(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151946
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】液だれせず局所に留まり高い鎮痒作用を有するエアゾール育毛剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/34 20060101AFI20231005BHJP
A61Q 7/00 20060101ALI20231005BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20231005BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20231005BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
A61K8/34
A61Q7/00
A61K8/81
A61K8/73
A61K8/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061831
(22)【出願日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】308040638
【氏名又は名称】株式会社バスクリン
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上野 康博
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AB05
4C083AC172
4C083AC532
4C083AC542
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD281
4C083AD282
4C083AD531
4C083AD532
4C083BB36
4C083BB49
4C083CC37
4C083DD08
4C083DD31
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE22
(57)【要約】
【課題】鎮痒成分(メントール)と冷却成分(ジメチルエーテル)を十分量配合しつつ「液だれしない」エアゾール育毛剤を提供する。
【解決手段】次の成分(A)~(D):
(A)エタノール10~35質量%、
(B)メントール0.6~1質量%、
(C)水溶性高分子0.05~1質量%、及び
(D)水
を含有する製剤原液と、噴射剤としての(E)液化ガスからなり、製剤原液と噴射剤の質量比が70:30~40:60であるエアゾール育毛剤であって、
前記水溶性高分子が、成分(A)のエタノールの配合量が30質量%であり、かつ製剤原液と噴射剤の質量比が50:50のとき、当該エアゾール育毛剤に0.1質量%以上配合しても沈殿及び析出を生じない、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれる1種又は2種以上であるエアゾール育毛剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)~(D):
(A)エタノール10~35質量%、
(B)メントール0.6~1質量%、
(C)水溶性高分子0.05~1質量%、及び
(D)水
を含有する製剤原液と、噴射剤としての(E)液化ガスからなり、製剤原液と噴射剤の質量比が70:30~40:60であるエアゾール育毛剤であって、
前記水溶性高分子が、成分(A)のエタノールの配合量が30質量%であり、かつ製剤原液と噴射剤の質量比が50:50のとき、当該エアゾール育毛剤に0.1質量%以上配合しても沈殿及び析出を生じない、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれる1種又は2種以上であるエアゾール育毛剤。
【請求項2】
製剤原液が水溶性高分子による乳化物であり、かつ20℃における粘度が500~10,000mPa・sである請求項1記載のエアゾール育毛剤。
【請求項3】
水溶性高分子が、0.2質量%トリエタノールアミン中和物(水溶液)の粘度が500~5,000mPa・sであるアルキル変性カルボキシビニルポリマー、20℃における2質量%水溶液の粘度が9,000~12,000mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びステアリルオキシヒドロキシプロポキシ基の置換率が0.3~0.6%で、ヒドロキシプロポキシ基の置換率が7.0~11.0%である疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれる1種又は2種以上である請求項1又は2記載のエアゾール育毛剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール育毛剤に関する。
【背景技術】
【0002】
エアゾール育毛剤の処方開発において、痒みに十分な効果を発揮するためには鎮痒成分と冷却成分を十分な量、配合することが重要である。また痒み症状は往々にして頭皮の局所で持続的に発現することが多いため、液だれせずに一定時間、局所で留まって作用するような剤形が望まれる。
【0003】
エアゾール剤形においては、その製造特性上、製剤原液(噴射剤を含まない)と充填製剤(製剤原液+噴射剤)双方において、安定性と均一性を担保できるような処方設計が求められる。
【0004】
従来、鎮痒成分であるメントールを高配合(0.6%以上)するエアゾール育毛剤は、その製造過程において製剤原液を安定な可溶化物とするため、製剤原液のエタノール濃度を40%以上にすることが常であった。更に、冷却成分である液化ガスを噴射剤として用いる場合、充填製剤における、製剤原液に対する液化ガスの比率が一定以上になると、有機溶媒(エタノール+液化ガス)比率が高くなるため、水溶性高分子等の増粘作用を有する成分が安定的に溶解できないことから「液だれしない」剤形にすることができなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、鎮痒成分(メントール)と冷却成分(液化ガス)を十分量配合しつつ「液だれしない」エアゾール育毛剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)次の成分(A)~(D):
(A)エタノール10~35質量%、
(B)メントール0.6~1質量%、
(C)水溶性高分子0.05~1質量%、及び
(D)水
を含有する製剤原液と、噴射剤としての(E)液化ガスからなり、製剤原液と噴射剤の質量比が70:30~40:60であるエアゾール育毛剤であって、
前記水溶性高分子が、成分(A)のエタノールの配合量が30質量%であり、かつ製剤原液と噴射剤の質量比が50:50のとき、当該エアゾール育毛剤に0.1質量%以上配合しても沈殿及び析出を生じない、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれる1種又は2種以上であるエアゾール育毛剤。
(2)製剤原液が水溶性高分子による乳化物であり、かつ20℃における粘度が500~10,000mPa・sである前記(1)に記載のエアゾール育毛剤。
(3)水溶性高分子が、0.2質量%トリエタノールアミン中和物(水溶液)の粘度が500~5,000mPa・sであるアルキル変性カルボキシビニルポリマー、20℃における2質量%水溶液の粘度が9,000~12,000mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びステアリルオキシヒドロキシプロポキシ基の置換率が0.3~0.6%で、ヒドロキシプロポキシ基の置換率が7.0~11.0%である疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれる1種又は2種以上である前記(1)又は(2)に記載のエアゾール育毛剤。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、特定の水溶性高分子を用いることで鎮痒成分(メントール)と冷却成分(液化ガス)を十分量配合しつつ「液だれしない」エアゾール育毛剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のエアゾール育毛剤は、製剤原液と噴射剤から構成される。
本発明に用いる製剤原液は水系原液であり、水以外に、(A)エタノール、(B)メントール及び(C)特定の水溶性高分子を含む。
【0009】
本発明において、製剤原液中の水は製剤原液を形成する溶媒としての成分である。
本発明における(A)エタノールは製剤原液を形成する有機溶媒としての成分である。エタノールの製剤原液中の配合量は、10~35質量%であり、好ましくは20~30質量%である。10%未満の場合、製剤原液にメントールを安定的に配合することが難しい。一方、35質量%を超えると、噴射剤を充填した際に水溶性高分子の析出・沈殿を生じることがある。
【0010】
本発明における(B)メントールは鎮痒作用及び育毛作用を示す成分である。メントール、特にl-メントールは、天然からの精製品、合成品のいずれも用いることができ、またハッカ油やペパーミント油等のメントールを多量に含む精油を用いてもよい。メントールの製剤原液中の配合量は、高い鎮痒効果と育毛効果を与える点から、0.6~1質量%であり、好ましくは0.8~1.0質量%である。
【0011】
本発明における(C)水溶性高分子は増粘作用を有し、製剤原液を乳化物とする成分であり、液だれを防止するための成分である。
【0012】
本発明においては、エアゾール噴射時の液だれを防ぐために製剤原液に粘性を与える点と製剤原液にメントールを安定的に乳化させる点から、水溶性高分子として、成分(A)のエタノールの配合量が30質量%であり、かつ製剤原液と噴射剤の質量比が50:50のとき、当該エアゾール育毛剤に0.1質量%以上配合しても沈殿及び析出を生じない、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれる1種又は2種以上を用いる。
【0013】
前記水溶性高分子の種類は増粘作用と乳化力を有し、かつ噴射剤(E)液化ガスとの相溶性が良好な成分から選択されることが好ましい。例えば、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれる成分を1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0014】
本発明において、アルキル変性カルボキシビニルポリマーとは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸と、それらのアクリル酸アルキル及び/又はメタクリル酸アルキルとの共重合体をいう。アルキル変性カルボキシビニルポリマーとしてはアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体が好ましい。アクリル酸・メタクリル酸アルキルとは、主としてアクリル酸とメタクリル酸アルキル(C10~C30)の共重合体からなるものをいう。
【0015】
疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースとは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースにステアリル基を導入したセルロースエーテルをいう。
【0016】
成分(C)水溶性高分子としてアルキル変性カルボキシビニルポリマーを用いる場合は、中和剤を用いて製剤原液のpHを中性付近に調整することが好ましい。pHの好ましい範囲はpH5~9、特に好ましい範囲はpH6~8である。pHがこの範囲より酸性側又はアルカリ性側にあると、十分な増粘作用、乳化作用を発揮しないことがある。
【0017】
用いる中和剤の種類は特に限定されず、一般的に中和剤として用いられる成分、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、L-アルギニン、トロメタミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、PEG-15コカミン等の中から任意の成分を選択し、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。一方、噴射剤(E)液化ガスを充填した際に製剤系内の有機溶媒割合が高くなるため、中和剤の種類によっては沈殿や析出を生じ、噴射不良の原因となることがあることから、有機溶剤との相溶性が高い成分から選択されることが好ましい。トロメタミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、PEG-15コカミンが好ましく、テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、PEG-15コカミンが特に好ましい。
【0018】
また、前記水溶性高分子の製剤原液中の合計配合量は、0.05~1質量%であり、好ましくは0.1~0.6質量%であり、特に好ましくは0.1~0.4質量%である。配合量が少ないと、製剤原液にメントールを安定的に配合することが難しい。一方、配合量が多いと噴射時にべたつきの原因となる。
【0019】
本発明に用いる水溶性高分子の粘度の測定方法は、特に定めのない限りは、下記の通りである。
【0020】
(粘度測定方法)
・測定装置:B型粘度計TV-20(東機産業株式会社製)
・測定条件:20℃、M4、30rpm/sec(60sec)
なお、水溶性高分子は溶液への溶解時、攪拌を必要とするが、長時間、強い攪拌力を加えると粘度が低下することがある。安定した条件で粘度の評価を行うため、水溶性高分子を溶媒に添加してからディスパーにて3,000rpm、60min攪拌し、完全に分散溶解したことを確認してから粘度測定に供した。
【0021】
本発明に用いる水溶性高分子としては、好ましくは、0.2質量%トリエタノールアミン中和物(水溶液)の粘度が500~5,000mPa・sであるアルキル変性カルボキシビニルポリマー、20℃における2質量%水溶液の粘度が9,000~12,000mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びステアリルオキシヒドロキシプロポキシ基の置換率が0.3~0.6%で、ヒドロキシプロポキシ基の置換率が7.0~11.0%である疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。
【0022】
本発明に用いる水溶性高分子としては、例えば、以下の市販品を用いることができる。
(アルキル変性カルボキシビニルポリマー)
PEMULENTM TR-2(Lubrizol社製、0.2質量%トリエタノールアミン中和物(水溶液)の粘度:500~5,000mPa・s)
(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)
メトローズTM 60SH-10000(信越化学工業株式会社製、20℃における2質量%水溶液の粘度:10,000mPa・s)
(疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース)
サンジェロースTM 60L(大同化成工業株式会社製、ステアリルオキシヒドロキシプロポキシ基の置換率:0.3~0.6%、ヒドロキシプロポキシ基の置換率:7.0~11.0%)
【0023】
本発明のエアゾール育毛剤は、血流促進成分(例えば、トコフェロール酢酸エステル、ニコチン酸アミド、ショウキョウエキス、トウガラシエキス、ボタンエキス)、細胞賦活成分(例えば、パントテニルアルコール、ニンジンエキス)、抗炎症成分(例えば、グリチルリチン酸ジカリウム、センブリエキス、カンゾウエキス)、殺菌成分(例えば、イソプロピルメチルフェノール、クジンエキス)、鎮痒成分(例えば、メントール、カンフル、ハッカ油)、保湿成分(例えば、糖アルコール、ヒアルロン酸、各種植物エキス)等の育毛剤有効成分のほか、本発明の効果を損なわない範囲であれば、製剤原液中に、前記必須成分と育毛剤有効成分の他に、界面活性剤、油性成分(例えば、ダイズ油、ホホバ油)、水溶性シリコーン化合物、高級アルコール、エタノール以外の低級アルコール、多価アルコール(例えば、グリセリン、1,3―ブチレングリコール)、粉体、植物抽出物(例えば、海藻エキス、クワエキス)、防腐剤(例えば、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン)、キレート剤(例えば、エデト酸二ナトリウム)、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸、ビタミンE)、紫外線吸収剤、清涼化剤(例えば、l-メンチルグリセリルエーテル)、温感剤(例えば、バニリルブチルエーテル)、消臭剤(例えば、茶エキス、柿エキス)、香料、pH調整剤(例えば、ジイソプロパノールアミン)等を配合することができる。
【0024】
本発明のエアゾール育毛剤は、噴射時に液だれしない点と、べたつきのない良好な使用感という点から、製剤原液の20℃における粘度が500~10,000mPa・sであることが好ましく、800~8、000mPa・sであることが更に好ましく、1,000~5,000であることが特に好ましい。
【0025】
本発明に用いる噴射剤は、乳化状態にある製剤原液を充填時に安定的に可溶化させるため、液化ガスを用いる。液化ガスとしてはLPG、ジメチルエーテルを用いることができるが、製剤原液との相溶性や良好な噴射特性と冷却作用の点から、ジメチルエーテルが好ましい。
【0026】
製剤原液と噴射剤との質量比は、70:30~40:60であり、好ましくは60:40~40:60である。噴射剤の製剤原液に対する質量比が70:30未満であると油溶性成分であるメントールを完全に可溶化することができない。また、充填製剤の内部圧力が低く、噴射が弱くなり、噴射剤の気化熱による冷却効果を十分に与えることができない。一方、噴射剤の製剤原液に対する質量比が40:60を超えると水溶性高分子の析出・沈殿を生じ、噴射不良の原因となることがある。良好な噴射特性と噴射剤の気化熱による十分な冷却作用を与えるという観点から特に好ましい範囲は55:45~45:55である。
【0027】
本発明のエアゾール育毛剤は、例えば、内容積1L以下のアルミ缶又はブリキ缶などの金属容器に製剤原液を充填してからバルブにて封をした後、液化ガスを高圧充填することにより製造することができる。この際、エアゾール缶内の35℃における製品容器内の圧力は安全な保管という観点から0.8MPa以下である。
【0028】
本発明のエアゾール育毛剤は、製剤原液中のエタノール濃度を10~35質量%とし、特定の水溶性高分子を添加することで製剤原液を乳化物とし、これに液化ガスを充填したとき、充填製剤に占める有機溶媒(エタノール+液化ガス)の比率を下げる一方、水の比率を上げることで特定の水溶性高分子を安定に可溶化させることを特徴とする。
【実施例0029】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。表1~4中の配合量の数値は質量%を示す。
【0030】
[実施例1~19及び比較例1~25]
1.製剤の調製
表1~5に示す実施例1~19及び比較例1~25の組成の原料を用いて、エアゾール育毛剤を常法により調製した。
【0031】
水溶性高分子としては、以下の市販品を用いた。
(アルキル変性カルボキシビニルポリマー)
PEMULENTM TR-2(Lubrizol社製、0.2質量%トリエタノールアミン中和物(水溶液)の粘度:2,020mPa・s)
PEMULENTM TR-1(Lubrizol社製、0.2質量%トリエタノールアミン中和物(水溶液)の粘度:7,310mPa・s)
PEMULENTM EZ-4U(Lubrizol社製、0.2質量%トリエタノールアミン中和物(水溶液)の粘度:8,820mPa・s)
NTC CARBOMERTM FD10(日光ケミカルズ株式会社製、0.2質量%トリエタノールアミン中和物(水溶液)の粘度:8,220mPa・s)
NTC CARBOMERTM FD21(日光ケミカルズ株式会社製、0.2質量%トリエタノールアミン中和物(水溶液)の粘度:17,350mPa・s)
CarbopolTM 1382(Lubrizol社製、0.2質量%トリエタノールアミン中和物(水溶液)の粘度:14,570mPa・s)
CarbopolTM ETD 2020(Lubrizol社製、0.2質量%トリエタノールアミン中和物(水溶液)の粘度:9,800mPa・s)
CarbopolTM Ultrez 20(Lubrizol社製、0.2質量%トリエタノールアミン中和物(水溶液)の粘度:10,350mPa・s)
CarbopolTM Ultrez 21(Lubrizol社製、0.2質量%トリエタノールアミン中和物(水溶液)の粘度:9,630mPa・s)
【0032】
(カルボキシビニルポリマー)
ハイビスワコー 104(富士フイルム和光純薬株式会社製)
NTC CARBOMERTM 380(日光ケミカルズ株式会社製)
CarbopolTM 940(Lubrizol社製)
CarbopolTM 980 Lubrizol社製)
CarbopolTM 934 Lubrizol社製)
CarbopolTM 2984 Lubrizol社製)
CarbopolTM Ultrez 10 Lubrizol社製)
【0033】
(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)
メトローズTM 60SH-4000(信越化学工業株式会社製、20℃における2質量%水溶液の粘度:4,000mPa・s)
メトローズTM 65SH-4000(信越化学工業株式会社製、20℃における2質量%水溶液の粘度:4,000mPa・s)
メトローズTM 90SH-4000(信越化学工業株式会社製、20℃における2質量%水溶液の粘度:4,000mPa・s)
メトローズTM 60SH-10000(信越化学工業株式会社製、20℃における2質量%水溶液の粘度:10,000mPa・s)
メトローズTM 65SH-15000(信越化学工業株式会社製、20℃における2質量%水溶液の粘度:15,000mPa・s)
メトローズTM 90SH-15000(信越化学工業株式会社製、20℃における2質量%水溶液の粘度:15,000mPa・s)
【0034】
(疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース)
サンジェロースTM 60M(大同化成工業株式会社製、ステアリルオキシヒドロキシプロポキシ基の置換率:1.0~2.0%、ヒドロキシプロポキシ基の置換率:7.0~11.0%)
サンジェロースTM 60L(大同化成工業株式会社製、ステアリルオキシヒドロキシプロポキシ基の置換率:0.3~0.6%、ヒドロキシプロポキシ基の置換率:7.0~11.0%)
サンジェロースTM 90M(大同化成工業株式会社製、ステアリルオキシヒドロキシプロポキシ基の置換率:1.0~2.0%、ヒドロキシプロポキシ基の置換率:7.0~11.0%)
【0035】
2.評価方法
下記の評価を行った。
【0036】
(1)製剤の性状
・製剤原液の性状:
40℃、室温及び低温(5℃)下、製剤原液が沈殿や分離を生じないか、外観を目視観察して評価を行った。
(判定基準)
◎・・・いずれの条件においても30日以上、沈殿や分離を生じなかった。
○・・・いずれの条件においても7日以上30日未満、沈殿や分離を生じなかった。
×・・・いずれかの条件において7日未満で沈殿や分離を生じた。
【0037】
・充填製剤の性状:
40℃、室温及び低温(5℃)下、製剤原液が沈殿や分離を生じないか、外観を目視観察して評価を行った。
(判定基準)
◎・・・いずれの条件においても30日以上、沈殿や分離を生じなかった。
○・・・いずれの条件においても7日以上30日未満、沈殿や分離を生じなかった。
×・・・いずれかの条件において7日未満で沈殿や分離を生じた。
【0038】
(2)使用感
前記「(1)製剤の性状」で良好な結果が得られたエアゾール育毛剤の使用感について、モニター10人が頭皮に適量噴射して、それぞれ以下の基準で評価した。評価は0~3点の4段階の整数の数値を記入する方法で行った。モニター全員の平均点に基づき評価を決定した。それぞれの評価結果は、下記のようにまとめた。
◎(2.5点超3点以下):非常に良好
〇(2点超2.5点以下):良好
△(1点超2点以下):問題と感じられない程度
×(0点以上1点未満):問題ある
【0039】
・噴射状態
噴射時、泡立ちや詰まりがなく、良好な噴射状態であったか、評価した。
3点:全く泡立ちや詰まりがなく、非常に良かった。
2点:ほとんど泡立ちや詰まりがなく、やや良かった。
1点:泡立ちやつまりは感じられたが、問題ない程度であった。
0点:泡立ちやつまりが感じられ、問題ある。
【0040】
・ベたつきのなさ
噴射後、頭皮及び髪のべたつき感を評価した。
3点:全くべたつきがなく、非常に良かった。
2点:ほとんどべたつきがなく、やや良かった。
1点:べたつきは感じられたが、問題ない程度であった。
0点:べたつきが強く感じられ、問題ある。
【0041】
・液だれしない性能
噴射後、頭皮に付着した製剤が液だれしない性能について評価した。
3点:全く液だれせず、非常に良かった。
2点:ほとんど液だれせず、やや良かった。
1点:液だれはあったが、問題ない程度であった。
0点:液だれが多く、問題ある。
【0042】
・鎮痒効果
3点:高い効果が感じられ、非常に良かった。
2点:効果が感じられ、やや良かった。
1点:効果はやや弱く感じられたが、問題ない程度であった。
0点:効果が感じられず、問題あった。
【0043】
3.結果
(1)製剤の性状
製剤原液及び充填製剤の両方で良好な結果が得られた水溶性高分子は下記3原料であった。
・実施例1
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、PEMULENTM TR-2(Lubrizol社製、0.2質量%トリエタノールアミン中和物(水溶液)の粘度:2,020mPa・s)
【0044】
・実施例2
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メトローズTM 60SH-10000(信越化学工業株式会社製、20℃における2質量%水溶液の粘度:10,000mPa・s)
【0045】
・実施例3
疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース、サンジェロースTM 60L(大同化成工業株式会社製、ステアリルオキシヒドロキシプロポキシ基の置換率:0.3~0.6%、ヒドロキシプロポキシ基の置換率:7.0~11.0%)
【0046】
(2)使用感
実施例に掲げた3処方は、すべて良好(○)又は非常に良好(◎)であった。
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】