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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151974
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/18 20110101AFI20231005BHJP
   F24F 1/36 20110101ALI20231005BHJP
   F24F 1/26 20110101ALI20231005BHJP
   F25B 39/04 20060101ALI20231005BHJP
   F28F 1/30 20060101ALI20231005BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20231005BHJP
   F24F 1/42 20110101ALI20231005BHJP
【FI】
F24F1/18
F24F1/36
F24F1/26
F25B39/04 N
F28F1/30 E
F25B1/00 381G
F24F1/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061866
(22)【出願日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】森 優太
【テーマコード(参考)】
3L054
【Fターム(参考)】
3L054BA05
3L054BB03
(57)【要約】
【課題】外気との熱交換効率を低下させることなく、冷房運転時における熱交換効率を向上可能な熱交換器を提供する。
【解決手段】熱交換器30は、空気調和機10の室外機11に設けられる。熱交換器30は、熱交換器本体31と、冷媒配管32と、注液部40とを備える。冷媒配管32は、熱交換器本体31に循環される冷媒を流す。冷媒配管32は、熱交換器本体31から露出する第1露出部分37及び第2露出部分38を有する。注液部40は、冷媒配管32の第1露出部分37及び第2露出部分38に対してドレン水を注ぐ。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機の室外機における熱交換器であって、
熱交換器本体と、
前記熱交換器本体に循環される冷媒を流す冷媒配管と、
前記冷媒配管に液体を注ぐ注液部と、
を備え、
前記冷媒配管は、前記熱交換器本体から露出する露出部分を有し、
前記注液部は、前記露出部分に対して前記液体を注ぐ、熱交換器。
【請求項2】
前記熱交換器本体の一端部にサイドプレートをさらに備え、
前記注液部は、前記サイドプレートに沿って上下方向に延びて形成される、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記注液部は、前記液体を所定の方向に流す溝部分を有し、
前記溝部分は、前記サイドプレートに沿って形成される、請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記溝部分は、前記サイドプレートに沿って複数形成される、請求項3に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記注液部は、前記液体を、前記室外機の送風機を備える送風室に向けて排出する排出部分を有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記注液部は、前記液体の流れを分岐させる分岐部分を有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記冷媒配管は、前記室外機の圧縮機から供給される冷媒を、前記熱交換器本体に対して供給する冷媒供給配管を含み、
前記露出部分は、前記冷媒供給配管において前記熱交換器本体から露出する第1露出部分を含み、
前記注液部は、前記第1露出部分に対して前記液体を注ぐ、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記注液部は、前記液体の流れを分岐させる分岐部分を有し、
前記露出部分は、前記冷媒供給配管とは異なる前記冷媒配管において前記熱交換器本体から露出する第2露出部分を含み、
前記分岐部分は、前記第2露出部分の直上に形成される、請求項7に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記注液部は、前記第1露出部分に直結される、請求項7又は請求項8に記載の熱交換器。
【請求項10】
前記冷媒配管は、前記室外機の圧縮機から供給される冷媒を、前記熱交換器本体に対して供給する冷媒供給配管を含み、
前記露出部分は、
前記冷媒供給配管において前記熱交換器本体から露出する第1露出部分と、
前記冷媒供給配管とは異なる前記冷媒配管において前記熱交換器本体から露出する第2露出部分と、
を含み、
前記注液部は、
前記第1露出部分の直上に設けられ、前記第1露出部分に対して前記液体を注ぐ注液部分と、
前記第2露出部分の直上に設けられ、前記液体の流れを分岐させる分岐部分と、
を有する、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項11】
前記液体が、前記空気調和機の室内機で生じたドレン水である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、空気調和機の室外機に搭載される熱交換器が開示されている。特許文献1の熱交換器は、空気調和機の室内機で発生したドレン水を、熱交換器の表面に注水可能な構成を有している。特許文献1の熱交換器では、ドレン水を熱交換器の表面に注水することで、空気調和機の冷房運転時における熱交換器の凝縮性能を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-250033号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示すような熱交換器では、空気調和機の室内機で発生したドレン水が、直接、熱交換器の表面に注水されるため、熱交換器の表面が汚れる。そのため、外気との熱交換を行うための有効な熱交換面がドレン水の注水による汚れによって減少し、熱交換器における外気との熱交換効率が低下するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、外気との熱交換効率を低下させることなく、冷房運転時における熱交換効率を向上可能な熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、熱交換器は、空気調和機の室外機におけるものである。熱交換器は、熱交換器本体と、冷媒配管と、注液部とを備える。冷媒配管は、熱交換器本体に循環される冷媒を流す。冷媒配管は、熱交換器本体から露出する露出部分を有する。注液部は、冷媒配管に液体を注ぐ。注液部は、露出部分に対して液体を注ぐ。
【発明の効果】
【0007】
以上のように本発明によると、外気との熱交換を起こすことを想定していない配管に液体を注ぐため、外気との熱交換を行うための熱交換面が液体によって汚れることがなく、有効な熱交換面が汚れによって減少しない。そのため、外気との熱交換効率を低下させることなく、冷房運転時における熱交換器の熱交換効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態における熱交換器を備える空気調和機を示す斜視図である。
図2】実施形態における熱交換器を分解した状態で示す右側前方斜視図である。
図3】実施形態における熱交換器を分解した状態で示す後方斜視図である。
図4A】実施形態における熱交換器を分解した状態で示す上方斜視図である。
図4B図4Aの領域A1を拡大して示す上方斜視図である。
図5図4AのA-A断面図である。
図6A】室外機のサイドプレートを示す正面図である。
図6B図6AのB-B断面図である。
図6C図6AのC-C断面図である。
図7A】実施形態における熱交換器を分解した状態で示す左側前方斜視図である。
図7B図7Aの領域A2を拡大して示す上方斜視図である。
図8A】室外機のサイドプレートの別実施例を示す正面図である。
図8B図8AのD-D断面図である。
図9A】室外機のサイドプレートの別実施例を示す正面図である。
図9B図9AのE-E断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態における熱交換器について、図面を参照して説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0010】
まず、図1から図7Bを参照して、実施形態における熱交換器30を備える空気調和機10の室外機11について説明する。図1は、実施形態における熱交換器30を備える空気調和機10を示す斜視図である。図2は、実施形態における熱交換器30を分解した状態で示す右側前方斜視図である。図3は、実施形態における熱交換器30を分解した状態で示す後方斜視図である。図4Aは、実施形態における熱交換器30を分解した状態で示す上方斜視図である。図4Bは、図4Aの領域A1を拡大して示す上方斜視図である。図5は、図4AのA-A断面図である。図6Aは、室外機11のサイドプレート20を示す正面図である。図6Bは、図6AのB-B断面図である。図6Cは、図6AのC-C断面図である。図7Aは、実施形態における熱交換器30を分解した状態で示す左側前方斜視図である。図7Bは、図7Aの領域A2を拡大して示す上方斜視図である。
【0011】
図1に示すように、空気調和機10の室外機11は、室内機12と、配管13及びドレンホース14を介して接続されている。室外機11は、配管13を介して、室内機12との間で冷媒を循環させる。室外機11は、ドレンホース14を介して、室内機12で生じたドレン水を受ける。
【0012】
図1から図3に示すように、室外機11は、筐体15と、送風機16と、圧縮機17と、熱交換器30とを備える。室外機11は、筐体15の内部に、送風機16と、圧縮機17と、熱交換器30とを収納する。
【0013】
筐体15は、前板15aと、天板15bと、右側板15cと、左側板15dと、底板15eとを含む。筐体15は、前板15a、天板15b、右側板15c、左側板15d、及び底板15eを組み合わせることで、矩形の箱状に形成される。なお、本実施形態では、前板15a側の面を室外機11の前面又は前側とし、前板15aとは反対側の面を室外機11の背面又は後側とする。また、室外機11の設置状態における重力方向を、室外機11の上下方向とする。さらに、前後方向及び上下方向に対する直角方向を、室外機11の横方向又は左右方向とする。
【0014】
室外機11は、筐体15の内部に、仕切り板18と、電装ボックス19と、サイドプレート20とを備える。仕切り板18は、例えば金属板によって構成され、筐体15内において上下方向に延びるように、底板15eに対して配置される。電装ボックス19は、例えば金属板によって箱状に構成され、筐体15内において仕切り板18の上部から傾斜して上下方向に延びるように、仕切り板18と天板15bとの間に配置される。サイドプレート20は、例えば金属板によって構成され、筐体15内において上下方向に延びるように、熱交換器30の右側端部31aに底板15eに対して配置される。
【0015】
室外機11は、筐体15の内部空間が、仕切り板18と、電装ボックス19と、サイドプレート20とによって仕切られている。室外機11は、仕切られた筐体15の左側の内部空間に、送風室Sを形成する。送風室Sには、送風機16が収納される。室外機11は、仕切られた筐体15の右側の内部空間に、機械室Kを形成する。機械室Kには、圧縮機17が収納される。
【0016】
送風機16は、モーター16aと、プロペラ16bとを備える。プロペラ16bは、モーター16aの出力軸に固定され、モーター16aの駆動によって回転する。送風機16では、回転するプロペラ16bの吸引力によって外気(室外空気)が熱交換器30を通過して筐体15内に流入する。送風機16は、熱交換器30を通過して熱交換された外気を吹出口15fから外部に吹き出す。
【0017】
圧縮機17は、冷媒を圧縮する。圧縮機17は、空気調和機10の冷房運転時には、高温高圧の冷媒を熱交換器30に吐出する。図3に示すように、圧縮機17は、側方がフェルト製のカバー17aによって覆われている。
【0018】
熱交換器30は、送風機16によって送風される外気と、熱交換器30内を流れる冷媒との間で熱交換を行う。熱交換器30は、室外機11の背面及び左側板15dに沿って配置される。熱交換器30は、熱交換器本体31と、複数のフィン(不図示)と、冷媒配管32とを有する。
【0019】
熱交換器本体31は、室外機11の背面及び左側板15dに沿って平面視略L字状に形成されている。熱交換器本体31は、右側端部31a(一端部)にサイドプレート20をさらに備える。サイドプレート20は、熱交換器本体31の右側端部31aに沿って上下方向に延びて形成される。熱交換器30の各フィンは、略平板状であり、熱交換器本体31内において一定間隔で配置される。
【0020】
冷媒配管32は、熱交換器本体31に循環される冷媒を流す。冷媒配管32は、熱交換器本体31の内部において、複数のフィンを貫通して、各フィンに対して略直交するように配置される。冷媒配管32は、冷媒供給配管33と、第1冷媒出口配管34と、第2冷媒出口配管35と、複数のUベンド管36とを含む。
【0021】
冷媒供給配管33は、圧縮機17から供給される冷媒を、熱交換器本体31に対して供給する配管である。冷媒供給配管33は、熱交換器本体31に導入される直前で2つに分岐される。
【0022】
第1冷媒出口配管34及び第2冷媒出口配管35は、熱交換器本体31において冷却された冷媒を熱交換器本体31の外部に流すための配管である。第1冷媒出口配管34は、熱交換器本体31の右側端部31aの上部に設けられる。第2冷媒出口配管35は、熱交換器本体31の右側端部31aの下部に設けられる。
【0023】
Uベンド管36は、熱交換器本体31の右側端部31a及び左側端部31bにおいて冷媒配管32の折り返し部分を形成する配管である。Uベンド管36は、熱交換器本体31の右側端部31a及び左側端部31bに沿って上下方向に所定の間隔を有して設けられる。
【0024】
熱交換器30は、冷媒配管32の露出部分(外気との熱交換を起こすことを想定していない配管)に対してドレン水(「液体」の一例)を注ぐための注液部40を備える。熱交換器30では、注液部40が、冷媒配管32の露出部分に対して、空気調和機10の冷房運転時において室内機12で生じたドレン水を注ぐことによって、熱交換器本体31内の冷媒配管32及びフィン等に直接ドレン水を注がないため、熱交換器本体31内の冷媒配管32及びフィン等がドレン水によって汚れることがない。そのため、熱交換器30において外気との熱交換効率を低下させることなく、冷房運転時における熱交換器30の熱交換効率を向上させることができる。
【0025】
ここで、空気調和機10の冷房運転時において室内機12で生じたドレン水は、非常に低温である。一方で、空気調和機10の冷房運転時における熱交換器30(冷媒配管32)は、非常に高温である。このため、室内機12で生じた低温のドレン水を用いることで、高温である熱交換器30(冷媒配管32)を効率良く冷却することができ、冷房運転時における熱交換器30の熱交換効率を向上させることができる。また、ドレン水は、夏場の空気調和機10の冷房運転時に生じ、冬場の空気調和機10の暖房運転時には生じないため、冬場に注液部40において凍ることがない。このように、注液部40は、夏場の空気調和機10の冷房運転時に冷媒配管32に作用する熱交換器30の補助装置として機能する。
【0026】
またここで、注液部40がドレン水を注ぐ冷媒配管32の露出部分とは、冷媒配管32において熱交換器本体31の右側端部31aから露出する部分である。具体的には、図5に示すように、冷媒配管32の露出部分とは、冷媒供給配管33において熱交換器本体31から露出する第1露出部分37と、冷媒供給配管33とは異なる冷媒配管32において熱交換器本体31から露出する第2露出部分38とを含む。
【0027】
第1露出部分37は、冷媒供給配管33における熱交換器本体31への導入部分(入口部分)である。具体的には、第1露出部分37は、冷媒供給配管33において、熱交換器本体31の右側端部31aと、サイドプレート20との間隙M(図4B参照)に位置する部分である。熱交換器30では、圧縮機17によって圧縮された高温の冷媒が冷媒供給配管33に流れ込む。そのため、冷媒供給配管33は他の冷媒配管32(第1冷媒出口配管34、Uベンド管36、及び第2冷媒出口配管35)と比べて高温である。そのため、高温である冷媒供給配管33の第1露出部分37に対して低温のドレン水を注ぐことで、高温の冷媒供給配管33を効果的に冷却することができる。特に、外気と冷媒との温度差が少ないために、外気と冷媒供給配管33との間で熱交換が起こり難い夏場に効果的である。
【0028】
第2露出部分38は、第1冷媒出口配管34、第2冷媒出口配管35及び複数のUベンド管36における熱交換器本体31側の基端部分である。具体的には、第2露出部分38は、第1冷媒出口配管34、第2冷媒出口配管35及び複数のUベンド管36において、熱交換器本体31の右側端部31aと、サイドプレート20との間隙M(図4B参照)に位置する部分である。
【0029】
冷媒配管32の露出部分(第1露出部分37及び第2露出部分38)は、熱交換器30において外気との熱交換を想定した部分ではないため、ドレン水によって汚れた場合であっても、熱交換器30における外気との熱交換効率を低下させることはない。
【0030】
図3図4A及び図4Bに示すように、注液部40は、受け皿41と、溝42(「溝部分」の一例)とを含む。注液部40は、受け皿41で受けたドレン水を、サイドプレート20に形成される溝42に沿って流すことで、空気調和機10の室内機12で生じたドレン水を冷媒配管32の露出部分に注ぐ。すなわち、注液部40は、サイドプレート20に沿って上下方向に延びて形成される。注液部40がサイドプレート20に沿って上下方向に延びて形成されることで、受け皿41から注がれるドレン水を、重力が掛かる方向に流すことができ、ドレン水が上から下に流れ易くなる。
【0031】
受け皿41は、空気調和機10の室内機12で生じたドレン水を受け、受けたドレン水を、冷媒配管32において熱交換器本体31の右側端部31aから露出する露出部分に対して注ぐ。受け皿41は、熱交換器本体31の上端に沿って形成される。受け皿41は、側面断面視で略凹状の長尺状の部材によって形成される。受け皿41は、例えば、樹脂によって構成される。受け皿41は、中央部から右側端部に向けて傾斜した流路を有する。受け皿41は、中央部からドレン水を受け、受けたドレン水を右側端部から冷媒配管32の露出部分に対して注ぐ。
【0032】
受け皿41の中央側部には、受け入れ部41aが形成されている。受け入れ部41aは、室内機12からのドレン水を受け入れる。受け入れ部41aは、受け皿41の中央側部から筒状に突出して形成される。受け入れ部41aには、ドレン水を流すドレンホース14が取り付けられる。
【0033】
図6A及び図6Bに示すように、溝42は、サイドプレート20に沿って形成される。溝42は、サイドプレート20を内側(間隙M側)から凹ませることによってサイドプレート20の内側面に凹状に形成される。溝42は、ドレン水を所定の方向に流す。具体的には、溝42は、受け皿41から注がれるドレン水をサイドプレート20に沿って下方向に流す。溝42をサイドプレート20に沿って形成することで、受け皿41からのドレン水を上から下に容易に流すことができる。
【0034】
図6A図6B及び図6Cに示すように、溝42は、ドレン水の流れを分岐させる凸状部43(「分岐部分」の一例)を有する。溝42は、凸状部43によって、第1溝部44と第2溝部45に分岐される。すなわち、溝42は、サイドプレート20に沿って複数(2か所)形成されている。サイドプレート20に沿って溝42を複数形成することで、ドレン水の流れを一か所に集中させずに分散させることができる。
【0035】
凸状部43は、第1冷媒出口配管34、第2冷媒出口配管35及び複数のUベンド管36の第2露出部分38の直上に形成される。凸状部43は、サイドプレート20を外側から凹ませることによってサイドプレート20の内側面に凸状に形成される。凸状部43は、溝42の中央に形成され、ドレン水の流れを第1溝部44と第2溝部45とに分岐させる。溝42に凸状部43を形成してドレン水の流れを第1溝部44と第2溝部45とに分岐させることで、受け皿41から注がれたドレン水が、特定の冷媒配管32の第2露出部分38のみに集中して注がれることを防止できる。特に、熱交換器本体31の最上部に形成される第1冷媒出口配管34の第2露出部分38は、受け皿41からのドレン水が直接注がれる位置にあるため、大量のドレン水が集中して注がれる虞がある。そのため、第1冷媒出口配管34の第2露出部分38の直上に凸状部43を形成させることによって、ドレン水が第1冷媒出口配管34の第2露出部分38のみに集中して注がれることを防止でき、第1冷媒出口配管34以外の冷媒配管32(Uベンド管36、冷媒供給配管33及び第2冷媒出口配管35)の露出部分に対してもドレン水を注ぐことができる。
【0036】
第1溝部44と第2溝部45とは、第1冷媒出口配管34、Uベンド管36、冷媒供給配管33及び第2冷媒出口配管35のそれぞれの露出部分を側方から挟むように平行に形成される。第1溝部44は、第1冷媒出口配管34、Uベンド管36、冷媒供給配管33及び第2冷媒出口配管35のそれぞれの露出部分の一方側(左側)からドレン水が注がれるように形成される。第2溝部45は、第1冷媒出口配管34、Uベンド管36、冷媒供給配管33及び第2冷媒出口配管35のそれぞれの露出部分の他方側(右側)からドレン水が注がれるように形成される。
【0037】
図5図7A及び図7Bに示すように、第1溝部44及び第2溝部45の下端部には、ドレン水を室外機11の送風機16を備える送風室Sに向けて排出する排出部分46が形成されている。排出部分46は、第1溝部44及び第2溝部45に沿って流れるドレン水が送風室Sに向けて排出されるように、サイドプレート20の下端部を送風室Sに向けて折り曲げて形成される。サイドプレート20の下端部を送風室Sに向けて折り曲げて排出部分46を形成することで、第1溝部44及び第2溝部45に沿って流れるドレン水が、サイドプレート20の下端部の折り曲げ部分(排出部分46)に沿って流れ、送風室Sに向けて流れ込む。このため、第1溝部44及び第2溝部45に沿って流れるドレン水が、送風室Sの反対側に形成される機械室Kに流れることを防止できる。特に、ドレン水が機械室Kに流れると、圧縮機17を覆うフェルト製のカバー17aがドレン水を吸収し、その結果、圧縮機17がドレン水によって腐食する場合がある。そのため、ドレン水を送風室Sに向けて排出する排出部分46をサイドプレート20の下端部に形成することで、ドレン水による圧縮機17の腐食を防止できる。
【0038】
このように注液部40を構成することで、受け皿41の受け入れ部41aから受け入れたドレン水は、受け皿41の右側端部から、熱交換器本体31の右側端部31aとサイドプレート20との間に形成される間隙Mに注がれる。受け皿41から間隙Mに注がれたドレン水は、サイドプレート20に形成される溝42を流れる。ドレン水は、溝42を流れることで、溝42の中央に形成される凸状部43に当たり、第1溝部44と第2溝部45とに分岐して流れる。ドレン水は、第1溝部44と第2溝部45とに分岐して流れると、サイドプレート20に沿って下方に流れ、第1冷媒出口配管34、Uベンド管36、冷媒供給配管33及び第2冷媒出口配管35の順で、それぞれの露出部分(第1露出部分37及び第2露出部分38)に注がれる。ドレン水は、第1冷媒出口配管34、Uベンド管36、冷媒供給配管33及び第2冷媒出口配管35の露出部分(第1露出部分37及び第2露出部分38)に注がれることで、第1冷媒出口配管34、Uベンド管36、冷媒供給配管33及び第2冷媒出口配管35の露出部分(第1露出部分37及び第2露出部分38)を冷却する。サイドプレート20の下端まで流れたドレン水は、排出部分46上を流れることで、送風室Sに向けて排出される。送風室Sに向けて排出されるドレン水は、底板15eに形成される排水口(不図示)から排出される。
【0039】
以上のように、本発明の実施形態によると、外気との熱交換を起こすことを想定していない配管(冷媒配管32の露出部分(第1露出部分37及び第2露出部分38))にドレン水を注ぐため、外気との熱交換を行うための熱交換面がドレン水によって汚れることがなく、有効な熱交換面が汚れによって減少しない。そのため、熱交換器30において外気との熱交換効率を低下させることなく、冷房運転時における熱交換器30の熱交換効率を向上させることができる。
【0040】
なお、本発明の実施形態では、冷媒配管32の露出部分(第1露出部分37及び第2露出部分38)に注ぐ液体を、空気調和機10の室内機12で生じたドレン水としているが、これに限定されるものではなく、例えば、水道水、専用の冷却水等を用いても構わない。
【0041】
本発明の実施形態では、受け皿41からドレン水を注いでいるが、これに限定されるものではなく、例えば、受け皿41を設けずに、直接、ドレン水をドレンホース14から冷媒配管32の露出部分に注いでも構わない。
【0042】
本発明の実施形態では、溝42を第1溝部44と第2溝部45に分岐させ、第1溝部44と第2溝部45とが冷媒配管32の露出部分(第1露出部分37及び第2露出部分38)を側方から挟むように平行に形成させることで、ドレン水が、第1冷媒出口配管34、Uベンド管36、冷媒供給配管33及び第2冷媒出口配管35のそれぞれの露出部分(第1露出部分37及び第2露出部分38)に注がれるように構成しているが、これに限定されるものではなく、図8A及び図8Bに示すように、ドレン水を流す溝を1本の溝42Aによって構成するとともに、冷媒供給配管33の第1露出部分37のみにドレン水を流すように構成しても構わない。なお、図8Aは、室外機11のサイドプレート20の別実施例(サイドプレート20A)を示す正面図である。図8Bは、図8AのD-D断面図である。
【0043】
冷媒供給配管33は、他の冷媒配管32(第1冷媒出口配管34、Uベンド管36、及び第2冷媒出口配管35)と比べて高温である。そのため、高温である冷媒供給配管33を、低温のドレン水で冷却する必要がある。
【0044】
しかしながら、溝42(第1溝部44及び第2溝部45)のように、熱交換器本体31の上部に位置する第1冷媒出口配管34の第2露出部分38から順にドレン水を注ぐ構成では、ドレン水は、冷媒供給配管33の第1露出部分37に注がれる時点で、他の冷媒配管32の露出部分(第1冷媒出口配管34及びUベンド管36の第2露出部分38)によって温められる。そのため、低温のドレン水を効率良く冷媒供給配管33の第1露出部分37に注ぐことができない。そこで、図8Aに示すように、溝42Aを、冷媒供給配管33の第1露出部分37に直結させることで、冷媒供給配管33の第1露出部分37より上方の冷媒配管32の露出部分(第1冷媒出口配管34及びUベンド管36の第2露出部分38)に低温のドレン水が注がれない構成としている。
【0045】
溝42Aは、サイドプレート20Aに沿って形成される。溝42Aは、サイドプレート20Aを内側(間隙M側)から凹ませることによってサイドプレート20Aの内側面に凹状に形成される。溝42Aは、ドレン水の導入部47が、第1冷媒出口配管34の第2露出部分38の直上となる位置に形成される。溝42Aは、第1冷媒出口配管34を避けるように導入部47から左方向に湾曲する第1湾曲部48を有する。溝42Aは、第1冷媒出口配管34及びUベンド管36の第2露出部分38の左側を沿うように、上下方向に直線状に形成される。図8A及び図8Bに示すように、溝42Aは、冷媒供給配管33の第1露出部分37の直上付近となる位置で右方向に湾曲する第2湾曲部49を有する。溝42Aは、最下流部(導入部47の反対側の端部)が、冷媒供給配管33の第1露出部分37が配置される位置に直結される。
【0046】
このように、溝42Aは、上下方向に配置される冷媒配管32の露出部分に沿うように形成される。溝42Aは、冷媒配管32の露出部分に直接ドレン水を注ぐ部分と、ドレン水を注がない部分とを有する。溝42Aは、圧縮機17から吐出される高温の冷媒を流す冷媒供給配管33の第1露出部分37に対してドレン水を注ぐ。このため、溝42Aは、低温のドレン水を、冷媒供給配管33の第1露出部分37に直接注ぐことができ、高温の冷媒供給配管33を効率良く冷却することができる。
【0047】
本発明の実施形態では、溝42が、第1溝部44及び第2溝部45によって、冷媒供給配管33の第1露出部分37の側方からドレン水を注いでいるが、これに限定されるものではなく、図9Aの溝42Bのように、第1露出部分37の直上となる位置に注液部分50を設けることで、第1露出部分37の上方からドレン水を注ぐ構成としても構わない。なお、図9Aは、室外機11のサイドプレート20の別実施例(サイドプレート20B)を示す正面図である。図9Bは、図9AのE-E断面図である。
【0048】
溝42Bは、注液部分50と、分岐部分51とを備える。注液部分50は、冷媒供給配管33の第1露出部分37の直上に設けられ、第1露出部分37に対してドレン水を注ぐ。注液部分50は、第1溝部44と第2溝部45とを連結するように、サイドプレート20Bにおいて冷媒供給配管33の第1露出部分37の直上となる位置を平坦に形成する。注液部分50を形成することで、第1溝部44及び第2溝部45を流れるドレン水を多量に冷媒供給配管33の第1露出部分37に注ぐことができ、高温の冷媒供給配管33を効率良く冷却することができる。
【0049】
分岐部分51は、第1冷媒出口配管34、Uベンド管36及び第2冷媒出口配管35のそれぞれの第2露出部分38の直上に設けられ、ドレン水の流れを分岐させる。分岐部分51は、第1溝部44と第2溝部45とを分岐するように、サイドプレート20Bを外側から凹ませることによって、サイドプレート20Bにおいて第1冷媒出口配管34、Uベンド管36及び第2冷媒出口配管35のそれぞれの第2露出部分38の直上となる位置の内側面を凸状に形成する。分岐部分51を形成することで、第1溝部44及び第2溝部45を流れるドレン水の量を制限して、第1冷媒出口配管34、Uベンド管36及び第2冷媒出口配管35のそれぞれの第2露出部分38に注ぐことができる。
【0050】
このように、溝42Bは、注液部分50が形成される冷媒供給配管33の第1露出部分37にはドレン水を多量に注ぐことができ、分岐部分51が形成される第1冷媒出口配管34、Uベンド管36及び第2冷媒出口配管35のそれぞれの第2露出部分38には、ドレン水の量を制限して注ぐことができる。このため、第1冷媒出口配管34、Uベンド管36及び第2冷媒出口配管35を冷却しつつ、高温の冷媒供給配管33を効率良く冷却することができる。
【0051】
本発明の実施形態では、熱交換器本体31の右側端部31aと、サイドプレート20との間隙M(サイドプレート20の内側面)に沿ってドレン水を流すことによって冷媒配管32の露出部分にドレン水を注いでいるが、これに限定されるものではなく、例えば、熱交換器本体31の右側端部31aと、サイドプレート20との間に間隙Mを設けない場合には、サイドプレート20の外側面に沿ってドレン水を流すことによって冷媒配管32の露出部分にドレン水を注いでも構わない。この場合、ドレン水が機械室Kに収納される圧縮機17等に掛からないように、圧縮機17等を防水カバー等で覆うことが好ましい。また、熱交換器本体31の右側端部31aにサイドプレート20を設けない場合には、熱交換器本体31の右側端部31aに沿ってドレン水を流すことによって冷媒配管32の露出部分にドレン水を注いでも構わない。この場合、ドレン水が機械室Kに収納される圧縮機17等に掛からないように、圧縮機17等を防水カバー等で覆うことが好ましい。
【0052】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の構成から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明によると、熱交換器において外気との熱交換効率を低下させることなく、冷房運転時における熱交換器の熱交換効率を向上させることができる。よって、本発明の産業上の利用可能性は大きい。
【符号の説明】
【0054】
10 空気調和機
11 室外機
16 送風機
17 圧縮機
20 サイドプレート
30 熱交換器
31 熱交換器本体
32 冷媒配管
33 冷媒供給配管
34 第1冷媒出口配管(冷媒供給配管とは異なる冷媒配管)
35 第2冷媒出口配管(冷媒供給配管とは異なる冷媒配管)
36 Uベンド管(冷媒供給配管とは異なる冷媒配管)
40 注液部
42 溝(溝部分)
42A 溝(溝部分)
42B 溝(溝部分)
43 凸状部(分岐部分)
44 第1溝部(溝部分)
45 第2溝部(溝部分)
46 排出部分
37 第1露出部分(露出部分)
38 第2露出部分(露出部分)
50 注液部分
51 分岐部分
S 送風室
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B