(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151991
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】防水ねじ
(51)【国際特許分類】
F16B 35/00 20060101AFI20231005BHJP
F16J 15/06 20060101ALI20231005BHJP
F16B 43/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
F16B35/00 K
F16J15/06 M
F16J15/06 H
F16J15/06 C
F16B43/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061896
(22)【出願日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 慎悟
【テーマコード(参考)】
3J034
3J040
【Fターム(参考)】
3J034AA04
3J034BA09
3J034DA10
3J040AA17
3J040BA02
3J040EA15
3J040HA23
3J040HA30
(57)【要約】
【課題】通常のねじと同じ態様で使用できる、防水効果の高い防水ねじを提供する。
【解決手段】頭部座面5にシール材7を備える防水ねじ1において、頭部座面の外周縁に段部6を成形し、ここに環状のシール材を配置した防水ねじによる。また、シール材の内径は、被締結部材10の通し穴11の内径よりも大径に設定されている。この防水ねじは、ねじ込み時にシール材が被締結部材の通し穴の開口縁に擦れないので、シール材の損傷による水漏れが発生しないようになっている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部座面にシール材を備える防水ねじにおいて、
頭部座面の外周縁に段部を成形し、ここに環状のシール材を配置したことを特徴とする防水ねじ。
【請求項2】
前記シール材は、その内径が被締結部材の通し穴の内径よりも大径に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の防水ねじ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水ねじに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から防水ねじとしては、特許文献1にものが知られている。この防水ねじは、頭部の座面に環状溝を設け、ここにシール材としてOリングが嵌め込まれている。Oリングが座面に収納される形になっているので、防水効果を発揮しながら通常のねじと同じ態様で使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記防水ねじは、座面の中心部近傍を取り囲むように環状溝が形成されているので、環状溝と十字穴の底部との間の厚みが薄くなるため、首下部の強度不足となる問題があった。また、環状溝に嵌め込まれたシール材が、被締結部材の下穴の開口縁に擦られて損傷し、水漏れの原因となる問題もあった。
【0005】
本発明は、上記欠点の除去を目的として発明されたもので、通常のねじと同じ態様で使用でき、防水効果の高い防水ねじを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、頭部座面にシール材を備える防水ねじにおいて、頭部座面の外周縁に段部を成形し、ここに環状のシール材を配置した防水ねじによって解決できる。
【0007】
なお、前記シール材は、その内径が被締結部材の下穴の内径よりも大径に設定されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、シール材を配置するための段部が、頭部座面の外周縁に成形されているので、首下部の厚みに影響が及ばないため、頭部の破断リスクのない安全な防水ねじを提供できる。また、シール材の内径が被締結部材の通し穴径よりも大径に設定されているので、防水ねじの締結時にシール材が通し穴の開口縁に擦られることもないため、シール材の損傷による水漏れが発生しない防水ねじを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る防水ねじを示す一部切り欠き断面図である。
【
図2】本発明に係る防水ねじを使用した状態を示す一部切り欠き断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の防水ねじの構成を図面に基づいて説明する。
図1において、1は防水ねじであり、頭部2と、この頭部2に一体成形されるねじ軸部3とから構成される。
【0011】
前記頭部2は、頭部表面にドライバビット(図示せず)と係合可能な十字穴4を備えている。また、頭部座面5の外周縁は、段付き形状になっており、全周にわたって段部6に成形されている。
【0012】
前記段部6には、シール材の一例としてOリング7が嵌め込まれており、頭部2の外径D1が、Oリングの外径D2よりも大径になるように設定されている。
【0013】
また、前記Oリング7の内径d2および頭部座面5の直径d1は、被締結部材10の通し穴11の内径d3よりも大径に設定されている。
【0014】
さらに、段部6の高さhは、Oリング7の線径φ(太さ)-Oリング7のつぶし代、に設定されている。このため、ねじ締めにおいて着座時に頭部座面5およびOリング7を被締結部材10に確実に密着させることができる。
【0015】
以下、上記防水ねじ1の使用形態について説明する。20は締結部材であり、防止ねじ1をねじ込むための雌ねじ21が予め成形されている。10は被締結部材であり、締結部材20に防水ねじ1を用いて固定されるものである。
【0016】
被締結部材10には、防水ねじ1のねじ軸部3が挿通可能な通し穴11が設けられている。このため、防水ねじ1は、通し穴11を介してねじ軸部3を締結部材20の雌ねじにねじ込むように構成されている。
【0017】
防水ねじ1をねじ込むと、頭部座面5が被締結部材10に着座する。このとき、上述のとおり、Oリング7は、通し穴11の開口縁に接触しない寸法設定になっている。このため、ねじ込み時にOリング7は、通し穴11の開口縁に擦れないので、損傷による水漏れが発生することもなくなる。
【0018】
本発明の防水ねじ1によれば、段部6が頭部座面5の最も外側に設けられているので、十字穴4の底部と、段部との間の厚みが過剰に薄くならないため、首下部の強度不足による頭部2の破断が発生しないようになっている。
【0019】
なお、本発明の各部の具体的な構成は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0020】
1 防水ねじ
2 頭部
3 ねじ軸部
4 十字穴
5 頭部座面
6 段部
7 Oリング(シール材)
10 被締結部材
11 通し穴
20 締結部材
21 雌ねじ