(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151996
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20231005BHJP
B41J 29/13 20060101ALI20231005BHJP
B65H 29/60 20060101ALI20231005BHJP
B65H 31/02 20060101ALI20231005BHJP
B65H 29/52 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G03G21/16 195
G03G21/16 133
G03G21/16 138
B41J29/13
B65H29/60 C
B65H31/02
B65H29/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061905
(22)【出願日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】篠矢 翔太
(72)【発明者】
【氏名】水野 智之
【テーマコード(参考)】
2C061
2H171
3F053
3F054
3F101
【Fターム(参考)】
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AS02
2C061CD07
2C061CD12
2C061CD26
2H171FA01
2H171FA19
2H171FA22
2H171GA23
2H171HA23
2H171JA22
2H171JA42
2H171KA12
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2H171QC03
2H171SA10
2H171SA12
2H171SA19
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2H171SA26
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2H171SA32
2H171SA34
3F053EA01
3F053EC02
3F053EC06
3F053EC07
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3F053LA01
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3F054BF03
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3F101FB11
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3F101FD02
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3F101LA01
3F101LB03
(57)【要約】
【課題】第1排出経路に沿って排出されるシートがカールすることを確実性高く抑制できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1は、筐体9、画像形成部3、搬送部26、及び、閉位置と開位置とに移動可能なカバー100を備える。画像形成装置1は、筐体9内に収容される第1位置と、筐体9内から排出方向DE1の下流に向かって突出して搬送部26によって搬送されるシートSHに上から当接可能な第2位置と、に移動可能な排出ガイド50と、カバー100と排出ガイド50とを連結する連結部60であって、カバー100の開位置から閉位置への移動に連動して、排出ガイド50を第2位置から第1位置に移動させる一方、カバー100の閉位置から開位置への移動に連動して、排出ガイド50を第1位置から第2位置に移動させる連結部60と、をさらに備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する筐体と、
前記筐体内に位置する画像形成部であって、通過するシートに画像を形成する前記画像形成部と、
前記画像形成部を通過したシートについて、画像が形成された面が上を向いた状態で排出方向に排出する第1排出経路、又は、前記第1排出経路よりも上方に導いて排出する第2排出経路、に沿って搬送する搬送部と、
前記開口を閉鎖する閉位置であって、前記画像形成部を通過したシートが前記第2排出経路に向かう前記閉位置と、前記閉位置から前記排出方向の下流かつ下方に向かって移動して前記開口を開放する開位置であって、前記画像形成部を通過したシートが前記第1排出経路に向かう前記開位置であって、前記第1排出経路に沿って前記開口を経由して排出されるシートを支持する前記開位置と、に移動可能なカバーと、
を備えた画像形成装置であって、
前記筐体内に収容される第1位置と、前記筐体内から前記排出方向の前記下流に向かって突出して前記搬送部によって搬送されるシートに上から当接可能な第2位置と、に移動可能な排出ガイドと、
前記カバーと前記排出ガイドとを連結する連結部であって、前記カバーの前記開位置から前記閉位置への移動に連動して、前記排出ガイドを前記第2位置から前記第1位置に移動させる一方、前記カバーの前記閉位置から前記開位置への移動に連動して、前記排出ガイドを前記第1位置から前記第2位置に移動させる前記連結部と、をさらに備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記排出ガイドは、少なくとも回動軸心周りの回動によって、前記第1位置と前記第2位置とに移動可能であり、
前記連結部は、前記排出ガイドにおける前記回動軸心とは回動の径方向に異なる位置で前記排出ガイドと連結している請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記排出ガイドは、前記第2位置にある状態で前記第2排出経路と交差する一方、前記第1位置にある状態で、前記第2排出経路と交差しないように退避する請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記連結部は、互いに直線方向に摺動可能に連結する第1リンクアーム及び第2リンクアームを有し、
前記連結部は、前記第1リンクアームにおける前記第2リンクアームから離隔した先端にて、前記カバーと回動可能に連結し、
前記連結部は、前記第2リンクアームにおける前記第1リンクアームから離隔した先端にて、前記排出ガイドと回動可能に連結している請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記カバーは、平板形状のカバー本体と、
前記カバー本体からそれぞれ突出し、前記カバーが前記閉位置にある状態で前記第2排出経路に沿って延びる複数のリブと、を有し、
前記排出方向及び上下方向に直交する幅方向に沿って見て、前記連結部の一部は、前記カバーが前記閉位置にある状態で、各前記リブと重なっている請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成部は、シートに転写されるトナー像が形成される感光体と、
加熱部材及び加圧部材によって転写された前記トナー像をシートに定着させる定着器と、
を有し、
前記定着器を通過したシートを案内する案内位置と、前記案内位置から前記排出方向の前記下流かつ下方に向かって離れた離隔位置と、に移動可能な定着後ガイドをさらに備え、
前記カバーが前記開位置にある状態で、前記連結部は、前記案内位置と前記離隔位置とに移動する前記定着後ガイドに対して、前記排出方向の前記下流かつ上方に逃げている請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記カバーが前記開位置にある状態で、前記画像形成部の構成部品を手動操作するための操作部材をさらに備え、
前記連結部は、前記操作部材に対し、前記排出方向及び上下方向に直交する幅方向の内側に位置している請求項1又は2記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の画像形成装置の一例が開示されている。この画像形成装置は、装置本体、画像形成ユニット、第1の排出ローラ及びガイド部材を備えている。
【0003】
装置本体は、開口を有している。画像形成ユニットは、装置本体内に位置し、通過するシートに画像を形成する。
【0004】
第1の排出ローラは、駆動ローラ及び従動ローラを有している。第1の排出ローラは、画像形成ユニットを通過したシートについて、画像が形成された面が上を向いた状態で排出方向に排出するフェイスアップ排出経路、又は、フェイスアップ排出経路よりも上方に導いて排出するフェイスダウン排出経路、に沿って搬送する。
【0005】
第1の排出ローラの排出方向は、特許文献1の
図1及び
図2における紙面左側に向かって上り傾斜する方向である。
【0006】
ガイド部材は、開口を閉鎖する閉位置と、閉位置から排出方向の下流かつ下方に向かって移動して開口を開放する開位置と、に移動可能である。ガイド部材の閉位置は、画像形成ユニットを通過したシートがフェイスダウン排出経路に向かう位置である。ガイド部材の開位置は、画像形成ユニットを通過したシートがフェイスアップ排出経路に向かう位置である。ガイド部材は、開位置にある状態で、フェイスアップ排出経路に沿って開口を経由して排出されるシートを支持する。
【0007】
画像形成装置は、腰付け部材及びトーションスプリングをさらに備えている。腰付け部材は、第1位置と第2位置とに移動可能である。トーションスプリングは、腰付け部材を第1位置から第2位置に移動するように付勢している。
【0008】
ガイド部材が開位置から閉位置に揺動すると、ガイド部材の突起部が腰付け部材の揺動レバーを押し、腰付け部材がトーションスプリングの付勢力に抗して第1位置に移動して装置本体内に収容される。
【0009】
その一方、ガイド部材が閉位置から開位置に揺動すると、腰付け部材がトーションスプリングに付勢されて第2位置に移動する。これにより、腰付け部材は、装置本体内から排出方向の下流に向かって突出し、第1の排出ローラによって搬送されるシートに上から当接可能となる。第2位置にある腰付け部材は、フェイスアップ排出経路に沿って排出されるシートに上から当接することで、そのシートがカールすることを抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、上記従来の画像形成装置において、フェイスアップ排出経路に沿って排出されるシートが厚紙等である場合にそのシートの剛性が高くなり易い。そして、その剛性が高いシートがトーションスプリングの付勢力よりも強い力で第2位置にある腰付け部材を押し返すことにより、腰付け部材がそのシートから逃げてしまうおそれがある。その結果、この画像形成装置は、フェイスアップ排出経路に沿って排出されるシートがカールすることを確実性高く抑制することが難しいという問題がある。
【0012】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、第1排出経路に沿って排出されるシートがカールすることを確実性高く抑制できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の画像形成装置は、開口を有する筐体と、
前記筐体内に位置する画像形成部であって、通過するシートに画像を形成する前記画像形成部と、
前記画像形成部を通過したシートについて、画像が形成された面が上を向いた状態で排出方向に排出する第1排出経路、又は、前記第1排出経路よりも上方に導いて排出する第2排出経路、に沿って搬送する搬送部と、
前記開口を閉鎖する閉位置であって、前記画像形成部を通過したシートが前記第2排出経路に向かう前記閉位置と、前記閉位置から前記排出方向の下流かつ下方に向かって移動して前記開口を開放する開位置であって、前記画像形成部を通過したシートが前記第1排出経路に向かう前記開位置であって、前記第1排出経路に沿って前記開口を経由して排出されるシートを支持する前記開位置と、に移動可能なカバーと、
を備えた画像形成装置であって、
前記筐体内に収容される第1位置と、前記筐体内から前記排出方向の前記下流に向かって突出して前記搬送部によって搬送されるシートに上から当接可能な第2位置と、に移動可能な排出ガイドと、
前記カバーと前記排出ガイドとを連結する連結部であって、前記カバーの前記開位置から前記閉位置への移動に連動して、前記排出ガイドを前記第2位置から前記第1位置に移動させる一方、前記カバーの前記閉位置から前記開位置への移動に連動して、前記排出ガイドを前記第1位置から前記第2位置に移動させる前記連結部と、をさらに備えていることを特徴とする。
【0014】
本発明の画像形成装置において、連結部がカバーの閉位置から開位置への移動に連動して排出ガイドを第2位置に移動させると、その排出ガイドは、第1排出経路に沿って排出されるシートに上から当接することで、そのシートがカールすることを抑制する。
【0015】
ここで、第1排出経路に沿って排出されるシートが厚紙等である場合にそのシートの剛性が高くなり易い。そして、その剛性が高いシートが第2位置にある排出ガイドを押し返そうとする場合がある。
【0016】
このような場合でも、カバーの重量に応じた大きな力が連結部を介して排出ガイドに作用するので、排出ガイドは、第2位置に確実性高く保持される。これにより、この画像形成装置は、その剛性が高いシートが第2位置にある排出ガイドを押し返そうとしても、排出ガイドがそのシートから逃げてしまうことを確実性高く抑制できる。
【0017】
したがって、本発明の画像形成装置は、第1排出経路に沿って排出されるシートがカールすることを確実性高く抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施例1の画像形成装置の模式断面図であって、カバーが閉位置にあり、排出ガイドが第1位置にあり、定着後ガイドが案内位置にある状態を示す図である。
【
図2】実施例1の画像形成装置の模式部分断面図であって、カバーが開位置にあり、排出ガイドが第2位置にあり、定着後ガイドが案内位置にある状態を示す図である。
【
図3】実施例1の画像形成装置の部分斜視図であって、カバーが開位置にあり、排出ガイドが第2位置にあり、定着後ガイドが案内位置にある状態を示す図である。
【
図5】実施例1の画像形成装置の模式部分断面図であって、カバーの開位置への移動に連動して排出ガイドを第2位置に移動させる連結部の動作を説明する図である。
【
図6】
図5と同様の模式部分断面図であって、カバーの閉位置への移動に連動して排出ガイドを第1位置に移動させる連結部の動作を説明する図である。
【
図7】
図3と同様の部分斜視図であって、カバーが開位置にあり、排出ガイドが第2位置にあり、定着後ガイドが離隔位置にある状態を示す図である。
【
図8】
図5と同様の模式部分断面図であって、カバーが開位置にあり、排出ガイドが第2位置にあり、定着後ガイドが離隔位置にある状態で、定着後ガイドと連結部との相対関係を説明する図である。
【
図10】実施例2の画像形成装置の模式部分断面図であって、第1、2カバーが開位置にあり、排出ガイドが第2位置にあり、定着後ガイドが案内位置にある状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施例1、2について図面を参照しつつ説明する。
【0020】
(実施例1)
図1に示すように、実施例1の画像形成装置1は、本発明の画像形成装置の具体的態様の一例である。画像形成装置1は、電子写真方式によりシートSHに画像を形成するレーザプリンタである。
【0021】
図1では、画像形成装置1の筐体9における手差しトレイ10が位置する側を画像形成装置1の前方と規定し、筐体9におけるカバー100が位置する側を画像形成装置1の後方と規定し、筐体9における排出トレイ9Tが位置する側を画像形成装置1の上方と規定する。そして、
図2以降の各図に示す各方向は、
図1に対応させて表示する。
【0022】
<画像形成装置の概略構成>
図1に示すように、画像形成装置1は、筐体9、画像形成部3、シートトレイ9C、給送部20、手差しトレイ10、手差し給送部25、定着後搬送ローラ対26、カバー100、排出補助ローラ対28及び排出ローラ対29を備えている。定着後搬送ローラ対26は、本発明の「搬送部」の一例である。
【0023】
筐体9は略箱状体であり、その内部に画像形成部3が位置している。画像形成部3は、直接転写型のカラー電子写真方式である。画像形成部3は、周知の構成であるプロセスカートリッジ4、転写ベルト6、スキャナ部8及び定着器7等を有し、通過するシートSHの上を向く面に画像を形成する。
【0024】
プロセスカートリッジ4は、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のトナーに対応し、前後方向に直列する4つのカートリッジの集合体である。プロセスカートリッジ4は、各色のトナーにそれぞれ対応する4個の感光体5や、図示しない現像ローラ、帯電器及びトナー収容部等を有している。転写ベルト6は、各感光体5に下から対向している。
【0025】
スキャナ部8は、レーザ光源、ポリゴンミラー、fθレンズ及び反射鏡等を有している。スキャナ部8は、上方からレーザビームをプロセスカートリッジ4内の各感光体5に照射する。
【0026】
定着器7は、プロセスカートリッジ4よりも後方に位置している。定着器7は、加熱ローラ7A及び加圧ローラ7Bを有している。加熱ローラ7Aは、本発明の「加熱部材」の一例である。加圧ローラ7Bは、本発明の「加圧部材」の一例である。
【0027】
加熱ローラ7A及び加圧ローラ7Bのニップ位置は、転写ベルト6における各感光体5に対向する搬送面6Aよりも上方に位置している。
【0028】
定着器7は、プロセスカートリッジ4の下方を通過したシートSHを加熱ローラ7Aと加圧ローラ7Bとにより加熱及び加圧する。
【0029】
筐体9は、その上面において排出トレイ9Tを有している。排出トレイ9Tは、画像形成を終えたシートSHを支持する。
【0030】
筐体9は、その底部において、シートトレイ9Cを着脱可能に収容している。シートトレイ9Cは、画像形成部3によって画像が形成される前のシートSHを積層状態で収容している。シートSHは、用紙、OHPシート等である。
【0031】
給送部20は、給送経路PF1に沿って配置された給送ローラ21、分離ローラ22、分離パッド22A、第1搬送ローラ対23及び第2搬送ローラ対24を有している。
【0032】
給送経路PF1は、シートトレイ9Cの前端部から上向きかつ前向きに進んだ後にUターンし、後向きに進んで画像形成部3に至る経路である。
【0033】
供給ローラ21は、シートトレイ9Cに収容されたシートSHを給送経路PF1に送り出す。分離ローラ22及び分離パッド22Aは、供給ローラ21が送り出したシートSHが複数枚重なっている場合に、1枚ずつに分離する。
【0034】
第1搬送ローラ対23及び第2搬送ローラ対24は、分離ローラ22及び分離パッド22Aによって1枚ずつに分離されたシートSHをニップして画像形成部3に向けて搬送する。
【0035】
筐体9は、その前面側において手差しトレイ10を揺動可能に支持している。手差しトレイ10は、
図1に実線で示すように、起立して筐体9の前面の一部を構成する起立位置と、
図1に二点鎖線で示すように、筐体9の前面における上下方向の中間部から前向きに突出する手差し位置と、に移動可能である。
【0036】
手差しトレイ10は、手差し位置にある状態で、ユーザが手差しで画像形成部3に画像を形成させようとするシートSHを支持する。手差しトレイ10が支持可能なシートSHには、用紙、OHPシート等の他、厚紙、封筒等が含まれる。
【0037】
手差し給送部25は、第2搬送ローラ対24よりも前方に位置している。手差し給送部25は、第2搬送ローラ対24と協働し、手差し位置にある手差しトレイ10に支持されたシートSHを1枚ずつ画像形成部3に向けて搬送する。
【0038】
定着後搬送ローラ対26は、定着器7よりも後方に位置している。定着後搬送ローラ対26は、駆動ローラ26A及びピンチローラ26Pを有している。駆動ローラ26A及びピンチローラ26Pのニップ位置は、加熱ローラ7A及び加圧ローラ7Bのニップ位置よりも上方に位置している。
【0039】
定着後搬送ローラ対26は、画像形成部3の定着器7を通過したシートSHについて、
図2に示す第1排出経路P1、又は、
図1に示す第2排出経路P2に沿って搬送する。
【0040】
図2に示すように、第1排出経路P1は、画像形成部3の定着器7を通過して定着後搬送ローラ対26によって搬送されるシートSHについて、画像が形成された面が上を向いた状態で、筐体9の背面よりも後方の位置まで、排出方向DE1に排出する経路である。排出方向DE1は、前後方向に沿って後向きに進む方向である。
【0041】
図1に示すように、第2排出経路P2は、画像形成部3の定着器7を通過して定着後搬送ローラ対26によって搬送されるシートSHについて、第1排出経路P1よりも上方に導き、かつ画像が形成された面が下を向くようにUターンして排出トレイ9Tに排出する経路である。
【0042】
図1~
図3に示すように、筐体9は、その背面において開口9Hを有している。開口9Hは、筐体9の背面における上側半分の大部分を開放する略矩形状の開口である。
【0043】
図2に示すように、開口9Hは、画像形成部3の定着器7を通過して定着後搬送ローラ対26によって搬送されるシートSHが筐体9の背面よりも後方の位置まで排出されるときに、そのシートSHを通過させることが可能である。
【0044】
図1~
図3に示すように、筐体9は、カバー100を開閉軸心X100周りに揺動可能に支持している。開閉軸心X100は、開口9Hの下端縁の近くで筐体9の幅方向に延びている。幅方向は、排出方向DE1及び上下方向に直交する方向である。感光体5の回転軸心は、幅方向と平行に延びている。
【0045】
カバー100は、開閉軸心X100周りの揺動により、
図1に示すように、開口9Hを閉鎖する閉位置と、
図2及び
図3に示すように、閉位置から排出方向DE1の下流かつ下方に向かって移動して開口9Hを開放する開位置と、に移動可能である。
【0046】
図3に示すように、本実施例では、カバー100は、熱可塑性樹脂の射出成形等によって製造される樹脂成形品である。カバー100は、平板形状であるカバー本体101と、カバー本体101からそれぞれ突出する複数のリブ109と、を有している。各リブ109は、互いに間隔を有して幅方向に並んでいる。
【0047】
図1に示すように、カバー100が閉位置にある状態で、カバー本体101は、上下方向及び幅方向に延びて開口9Hを閉鎖する。その状態で、各リブ109は、カバー本体101における筐体9内を向く面から前向きに突出し、かつ上下方向に延びている。また、その状態では、各リブ109におけるカバー本体101とは反対側に位置して上下方向に延びる先端縁109Aは、上方及び下方に位置する端部に対して、中間部が後方にずれるように湾曲している。
【0048】
カバー100の閉位置は、画像形成部3の定着器7を通過して定着後搬送ローラ対26によって搬送されるシートSHが第2排出経路P2に向かう位置である。各リブ109の先端縁109Aは、カバー100が閉位置にある状態で第2排出経路P2に沿って延び、定着後搬送ローラ対26によって搬送されるシートSHを第2排出経路P2に沿って案内する。すなわち、定着後搬送ローラ対26によって搬送されるシートSHは、その先端がカバー100の各リブ109に案内されて上方に向った後に前方に向かうように向きを変えられることにより、排出トレイ9T上に排出される。
【0049】
図2に示すように、カバー100の開位置は、画像形成部3の定着器7を通過して定着後搬送ローラ対26によって搬送されるシートSHが第1排出経路P1に向かう位置である。カバー100は、開位置にある状態で、第1排出経路P1に沿って開口9Hを経由して排出されるシートSHを各リブ109の先端縁109Aによって支持する。すなわち、カバー100が開位置にある状態では、各リブ109は、上向きに突出して幅方向に並んでおり、各リブ109の先端縁109Aは、定着後搬送ローラ対26のニップ点及び後述する排出ガイド50よりも下方かつ排出方向DE1の下流に位置している。
【0050】
ユーザが第2排出経路P2に沿って搬送し難いシートSH、例えば剛性の高い厚紙、封筒等に画像を形成しようとする場合、カバー100が開位置にある状態で、そのシートSHを手差し位置にある手差しトレイ10に支持させて画像形成部3に給送させ、画像形成部3を通過したシートSHを第1排出経路P1に沿って排出させる、所謂ストレート排紙を選択することになる。
【0051】
排出補助ローラ対28は、定着後搬送ローラ対26よりも上方に位置している。排出ローラ対29は、排出補助ローラ対28よりも前方に位置し、かつ排出トレイ9Tの後端よりも上方に位置している。排出補助ローラ対28は、第2排出経路P2に沿って搬送されるシートSHをニップして排出ローラ対29に向けて搬送し、排出ローラ対29はそのシートSHをニップして排出トレイ9Tに排出する。
【0052】
<排出ガイド及び連結部>
加熱ローラ7A及び加圧ローラ7Bのニップ位置は、転写ベルト6における各感光体5に対向する搬送面6Aよりも上方に位置している。駆動ローラ26A及びピンチローラ26Pのニップ位置は、加熱ローラ7A及び加圧ローラ7Bのニップ位置よりも上方に位置している。
【0053】
このため、
図2に示すように、シートSHが定着器7の加熱ローラ7A及び加圧ローラ7Bと、定着後搬送ローラ対26の駆動ローラ26A及びピンチローラ26Pと、にニップされて第1排出経路P1に沿って排出されるときに、何ら対策を施さなければ、その排出されるシートSHが上向きにカールするおそれがある。特に、シートSHが曲げ癖の付き易い厚紙、封筒等である場合に、カールし易くなる。
【0054】
このようなシートSHのカールを抑制するため、画像形成装置1は、
図1~
図8に示す排出ガイド50と、
図3及び
図5~
図8に示す連結部60と、をさらに備えている。
【0055】
図4に示すように、排出ガイド50は、基部51、一対の回動軸52、一対の受動部53及び複数のガイド突起54を有している。本実施例では、排出ガイド50は、熱可塑性樹脂の射出成形等によって製造される樹脂成形品である。
【0056】
基部51は、幅方向に棒状に延びている。一対の回動軸52は、基部51における幅方向の一方の端部及び他方の端部からそれぞれ幅方向の外側に突出する円柱である。一対の回動軸52は、幅方向に延びる回動軸心X50を中心としている。
【0057】
一対の受動部53は、基部51における幅方向の一方の端部及び他方の端部から回動軸心X50の径方向の外側に向かって突出している。幅方向の一方に位置する受動部53と、幅方向の他方に位置する受動部53とは、勝手違いの同一構成である。一対の受動部53は、その先端に連結孔53Hを有している。
【0058】
各ガイド突起54は、それぞれ基部51から回動軸心X50の径方向の外側に向かって突出し、かつ互いに間隔を有して幅方向に並んでいる。各ガイド突起54は、その先端に向かって先細るテーパ形状である。
【0059】
図3に示すように、一対の回動軸52は、筐体9内で幅方向の一方及び他方に位置するフレーム部材によって回動可能に支持されている。
図1に示すように、回動軸心X50は、定着後搬送ローラ対26の駆動ローラ26Aの外周面から後方かつ上方に僅かに離間した位置にある。
【0060】
排出ガイド50は、回動軸心X50周りの回動によって、
図1及び
図6に示す第1位置と、
図2、
図3、
図5、
図7及び
図8に示す第2位置と、に移動可能である。
【0061】
図1及び
図6に示すように、排出ガイド50の第1位置は、筐体9内に収容され、各ガイド突起54が第2排出経路P2と交差しないように退避する位置である。
【0062】
図2、
図3及び
図5に示すように、排出ガイド50の第2位置は、筐体9内から排出方向DE1の下流に向かって突出して、各ガイド突起54が定着後搬送ローラ対26によって搬送されるシートSHに上から当接可能な位置である。また、排出ガイド50の第2位置は、各ガイド突起54が第2排出経路P2と交差する位置である。
【0063】
図3に示すように、連結部60は、2組の第1リンクアーム61及び第2リンクアーム62を有している。幅方向の一方に位置する組の第1リンクアーム61及び第2リンクアーム62と、幅方向の他方に位置する組の第1リンクアーム61及び第2リンクアーム62とは、勝手違いの同一構成である。このため、以下では、幅方向の一方に位置する組の第1リンクアーム61及び第2リンクアーム62について説明し、幅方向の他方に位置する組の第1リンクアーム61及び第2リンクアーム62については説明を省略する。
【0064】
本実施例では、第1リンクアーム61及び第2リンクアーム62はそれぞれ、熱可塑性樹脂の射出成形等によって製造される樹脂成形品である。
【0065】
第1リンクアーム61は、断面「C」字形状で上下方向に直線状に延びている。
図5及び
図6に示すように、第1リンクアーム61は、基壁61A、一対の側壁61B、61C及び連結軸61Sを有している。
【0066】
基壁61Aは、上下方向に延びる長穴61Hを有している。一対の側壁61B、61Cは、基壁61の両側端縁から幅方向の内側に向かって突出し、かつ上下方向に延びている。
【0067】
第1リンクアーム61の先端61Eは、基壁61の下端であり、第2リンクアーム62から下方に離隔している。連結軸61Sは、先端61Eから幅方向の外側に突出する円柱である。
【0068】
カバー100は、カバー本体101から突出する板状片102を有し、その板状片102を貫通する丸孔には、連結軸61Sが嵌め込まれている。
【0069】
つまり、連結部60は、第1リンクアーム61における第2リンクアーム62から離隔した先端61Eにて、カバー100と回動可能に連結している。
【0070】
第2リンクアーム62は、側面視「L」字形状であり、直動部62A、抜け止め部62B及び伝達部62Cを有している。
【0071】
直動部62Aは、断面矩形状で上下方向に直線状に延びている。直動部62Aは、第1リンクアーム61の基壁61及び側壁61B、61Cに案内されて、第1リンクアーム61に対して上下方向に摺動する。
【0072】
抜け止め部62Bは、直動部62Aから幅方向の外側に向かって突出し、第1リンクアーム61の長穴61Hを通過している。抜け止め部62Bは、その長穴61Hを越えた先端が長穴61Hの内幅よりも大きいことにより、直動部62Aを第1リンクアーム61に対して抜け止めする。
【0073】
つまり、第1リンクアーム61及び第2リンクアーム62は、互いに直線方向に摺動可能に連結している。
【0074】
伝達部62Cは、直動部62Aの上端に接続し、前向きに突出している。第2リンクアーム62の先端62Eは、伝達部62Cの前端であり、第1リンクアーム61から上方かつ前方に離隔している。伝達部62Cは、先端62Eから幅方向の内側に突出する図示しない連結軸を有している。
【0075】
排出ガイド50は、
図4に示す受動部53の連結孔53Hに伝達部62Cの図示しない連結軸を内挿させている。これにより、
図5及び
図6に示すように、排出ガイド50の受動部53と、第2リンクアーム62の伝達部62Cとは、連結点CP1において回動可能に連結している。
【0076】
つまり、連結部60は、第2リンクアーム62における第1リンクアーム61から離隔した先端62Eにて、排出ガイド50と回動可能に連結している。また、連結部60は、排出ガイド50における回動軸心X50とは回動の径方向に異なる位置で排出ガイド50と連結している。
【0077】
このような構成の第1リンクアーム61及び第2リンクアーム62によって、連結部60は、カバー100と排出ガイド50とを連結している。
【0078】
カバー100が
図5に示す開位置から
図6に示す閉位置に移動すると、連結部60において、第1リンクアーム61が上下方向に延びる姿勢のままで、上方かつ前方に移動する。
【0079】
すると、第2リンクアーム62の直動部62Aは、第1リンクアーム61に対して相対的に下降するように摺動し、直動部62Aの殆どが第1リンクアーム61と重なる。第2リンクアーム62の伝達部62Cは、上方かつ前方に移動し、排出ガイド50の受動部53を上方かつ前方に押す。その結果、排出ガイド50は、第1位置に移動する。
【0080】
つまり、連結部60は、カバー100の
図5に示す開位置から
図6に示す閉位置への移動に連動して、排出ガイド50を第2位置から第1位置に移動させる。
【0081】
幅方向に沿って見て、連結部60の一部、すなわち、第1リンクアーム61及び第2リンクアーム62の直動部62Aは、カバー100が
図6に示す閉位置にある状態で、各リブ109と重なっている。
【0082】
その一方、カバー100が
図6に示す閉位置から
図5に示す開位置に移動すると、連結部60において、第1リンクアーム61が上下方向に延びる姿勢のままで、下方かつ後方に移動する。
【0083】
すると、第2リンクアーム62の直動部62Aは、第1リンクアーム61に対して相対的に上昇するように摺動し、直動部62Aの上部分が第1リンクアーム61よりも上方に突出する。第2リンクアーム62の伝達部62Cは、下方かつ後方に移動し、排出ガイド50の受動部53を下方かつ後方に引く。その結果、排出ガイド50は、第2位置に移動する。
【0084】
つまり、連結部60は、カバー100の閉位置から開位置への移動に連動して、排出ガイド50を第1位置から第2位置に移動させる。
【0085】
<定着後ガイド、定着後ガイド操作部材及び封筒モード操作部材>
画像形成装置1は、
図1~
図3及び
図5~
図8に示す定着後ガイド70と、
図3及び
図5~
図8に示す一対の定着後ガイド操作部材77と、
図3及び
図7に示す一対の封筒モード操作部材78と、をさらに備えている。
【0086】
定着後ガイド操作部材77及び封筒モード操作部材78は、本発明の「操作部材」の一例である。
【0087】
図3に示すように、一対の封筒モード操作部材78は、一対の定着後ガイド操作部材77に対し、幅方向の内側に位置している。連結部60の第1リンクアーム61及び第2リンクアーム62は、一対の定着後ガイド操作部材77及び一対の封筒モード操作部材78に対し、幅方向の内側に位置している。
【0088】
定着後ガイド70は、揺動軸心X70周りの揺動により、
図1~
図3、
図5及び
図6に示す案内位置と、
図7及び
図8に示す離隔位置と、に移動可能である。揺動軸心X70は、定着後搬送ローラ対26のピンチローラ26Pよりも下方において幅方向に延びている。
【0089】
定着後ガイド70は、定着後搬送ローラ対26のピンチローラ26Pを回転可能に支持している。
【0090】
図1及び
図2に示すように、定着後ガイド70は、案内位置にある状態で、定着後搬送ローラ対26の駆動ローラ26Aとピンチローラ26Pとを当接させるとともに、定着器7を通過したシートSHを案内面70Gによって定着後搬送ローラ対26に向けて案内する。
【0091】
その一方、
図7及び
図8に示すように、定着後ガイド70は、離隔位置にある状態で、案内位置から排出方向DE1の下流かつ下方に向かって離れて、定着後搬送ローラ対26の駆動ローラ26Aとピンチローラ26Pとを離隔させる。
【0092】
図3及び
図5に示すように、一対の定着後ガイド操作部材77は、定着後ガイド70における幅方向の一方の端部及び他方の端部に連結されている。一対の定着後ガイド操作部材77は、案内位置にある定着後ガイド70よりも上方の位置で後方に突出するレバー形状である。
【0093】
ユーザは、カバー100が開位置にある状態で一対の定着後ガイド操作部材77を操作することにより、定着後ガイド70を案内位置と離隔位置とに移動させることができる。この操作は、主に定着器7周辺で詰まったシートSHを除去する作業のために行われる。
【0094】
図5及び
図8に示すように、カバー100が開位置にある状態で、連結部60の第1リンクアーム61及び第2リンクアーム62は、案内位置と離隔位置とに移動する定着後ガイド70に対して、排出方向DE1の下流かつ上方に逃げている。
【0095】
図3に示すように、一対の封筒モード操作部材78は、排出ガイド50の受動部53に対し、幅方向の外側かつ上方に位置している。図示は省略するが、一対の封筒モード操作部材78は、周知のリンク機構を経由して、定着器7における加熱ローラ7A及び加圧ローラ7Bの一方を加熱ローラ7A及び加圧ローラ7Bの他方に向けて付勢する付勢部材の付勢力を通常の付勢力から弱くすることが可能である。
【0096】
ユーザは、カバー100が開位置にある状態で一対の封筒モード操作部材78を操作することにより、定着器7の加熱ローラ7A及び加圧ローラ7BがシートSHをニップするときの加圧力を弱くすることができる。この操作は、主に封筒等であるシートSHに画像を形成するために行われる。
【0097】
<画像形成動作>
画像形成部3は、以下のようにして、シートトレイ9C又は手差しトレイ10から給送されるシートSHに画像を形成する。すなわち、各感光体5の表面は、その回転に伴って、帯電器により一様に正帯電された後、スキャナ部8から照射されるレーザビームの高速走査により露光される。これにより、各感光体5の表面には、シートSHに形成すべき画像に対応した静電潜像が形成される。
【0098】
次に、トナー収容部からトナーが静電潜像に対応して各感光体5の表面に供給され、トナー像が形成される。そして、シートSHが画像形成部3を通過する際、シートSHの上を向く面が感光体5と対面する。そして、各感光体5の表面上に担持されたトナー像がシートSHの上を向く面に転写される。定着器7は、加熱ローラ7A及び加圧ローラ7Bによって転写されたトナー像をシートSHに定着させる。
【0099】
図1に示すように、カバー100が閉位置にある場合、定着後搬送ローラ対26は、画像形成部3の定着器7を通過したシートSHについて、第2排出経路P2に沿って搬送する。排出補助ローラ対28及び排出ローラ対29は、そのシートSHをニップして排出トレイ9Tに排出する。
【0100】
この際、第1位置にある排出ガイド50は筐体9内に収容され、各ガイド突起54が第2排出経路P2と交差しないように退避しているので、第2排出経路P2に沿って排出されるシートSHを阻害し難い。
【0101】
図2に示すように、カバー100が開位置にある場合、定着後搬送ローラ対26は、画像形成部3の定着器7を通過したシートSHについて、第1排出経路P1に沿って開口9Hを経由して排出方向DE1に排出する。なお、画像形成部3によって画像が形成されたシートSHだけではなく、例えばラミネートフィルムに挟み込まれたシートに対して、画像形成を行わずに定着器7に搬送し、加熱ローラ7A及び加圧ローラ7Bによって圧着されてラミネート加工が施されたシートを、第1排出経路P1に沿って開口9Hを経由して排出方向DE1に排出してもよい。
【0102】
この際、第2位置にある排出ガイド50は、筐体9内から排出方向DE1の下流に向かって突出して、各ガイド突起54が定着後搬送ローラ対26によって搬送されるシートSHに上から当接することで、そのシートSHが上向きにカールすることを抑制する。そのシートSHが排出ガイド50の各ガイド突起54を押し返そうとしても、排出ガイド50は、カバー100の重量に応じた大きな力が連結部60を介して作用することにより、第2位置に確実性高く保持される。特に、剛性の高い封筒や厚紙、上述したラミネート加工されたシート等であるシートSHが排出される場合に、排出ガイド50と、そのシートSHとが接触することで、そのシートSHがカールすることを抑制できる。
【0103】
そして、その排出されるシートSHが筐体9の背面よりも後方の位置まで排出されると、カバー100は、各リブ109の先端縁109AによってそのシートSHを支持する。
【0104】
<作用効果>
実施例1の画像形成装置1において、連結部60の第1リンクアーム61及び第2リンクアーム62は、カバー100の
図6に示す閉位置から
図5に示す開位置への移動に連動して排出ガイド50を第2位置に移動させる。
【0105】
これにより、
図2に示すように、排出ガイド50の各ガイド突起54は、第1排出経路P1に沿って排出されるシートSHに上から当接することで、そのシートSHが上向きにカールすることを抑制する。
【0106】
ここで、第1排出経路P1に沿って排出されるシートSHが厚紙等である場合にそのシートSHの剛性が高くなり易い。そして、その剛性が高いシートSHが第2位置にある排出ガイド50の各ガイド突起54を押し返そうとする場合がある。
【0107】
このような場合でも、カバー100の重量に応じた大きな力が連結部60の第1リンクアーム61及び第2リンクアーム62を介して排出ガイド50に作用するので、排出ガイド50は、第2位置に確実性高く保持される。これにより、この画像形成装置1は、その剛性が高いシートSHが第2位置にある排出ガイド50の各ガイド突起54を押し返そうとしても、排出ガイド50がそのシートSHから逃げてしまうことを確実性高く抑制できる。
【0108】
したがって、実施例1の画像形成装置1は、第1排出経路P1に沿って排出されるシートSHがカールすることを確実性高く抑制できる。
【0109】
また、上記従来の画像形成装置では、腰付け部材が第1位置に移動するときにトーションスプリングが蓄えた復元力により、トーションスプリングの周辺に位置する部材がクリープ変形し易くなるという問題があるが、実施例1の画像形成装置1は、そのような問題が発生しない。
【0110】
また、この画像形成装置1において、
図5及び
図6に示すように、排出ガイド50は、回動軸心X50周りの回動によって、第1位置と第2位置とに移動可能である。そして、連結部60の第2リンクアーム62の伝達部62Cは、排出ガイド50における回動軸心X50とは回動の径方向に異なる位置で、すなわち、連結点CP1において、排出ガイド50の受動部53と連結している。この構成により、排出ガイド50が第1位置と第2位置とに移動可能な構成を簡素化し易い。
【0111】
さらに、この画像形成装置1において、排出ガイド50の各ガイド突起54は、
図2に示す第2位置にある状態で第2排出経路P2と交差する一方、
図1に示す第1位置にある状態で、第2排出経路P2と交差しないように退避する。この構成により、第2位置にある排出ガイド50の各ガイド突起54は、画像形成部3を通過したシートSHが誤って第2排出経路P2に進入することを規制できる。また、第1位置にある排出ガイド50の各ガイド突起54は、第2排出経路P2に沿って排出されるシートSHを阻害し難い。
【0112】
また、この画像形成装置1において、
図5及び
図6に示すように、第1リンクアーム61と第2リンクアーム62の直動部62Aとは、互いに直線方向に摺動可能に連結している。第1リンクアーム61は、第2リンクアーム62から離隔した先端61Eにて、カバー100のカバー本体101の板状片102と回動可能に連結している。第2リンクアーム62の伝達部62Cは、第1リンクアーム61から離隔した先端62Eにて、排出ガイド50の受動部53と回動可能に連結している。この構成により、カバー100が閉位置と開位置とに移動するときの移動範囲の設計自由度と、排出ガイド50が第1位置と第2位置とに移動するときの移動範囲の設計自由度と、を向上させることができる。
【0113】
さらに、この画像形成装置1において、
図3に示すように、カバー100は、カバー本体101及び複数のリブ109を有している。そして、
図6に示すように、幅方向に沿って見て、連結部60の一部、すなわち、第1リンクアーム61及び第2リンクアーム62の直動部62Aは、カバー100が閉位置にある状態で、各リブ109と重なっている。この構成により、カバー100が閉位置にある状態で連結部60が占有するスペースを小さくし易いので、大型化を抑制できる。
【0114】
また、この画像形成装置1において、
図5及び
図8に示すように、連結部60の第1リンクアーム61及び第2リンクアーム62は、カバー100が開位置にある状態で、案内位置と離隔位置とに移動する定着後ガイド70に対して、排出方向DE1の下流かつ上方に逃げている。この構成により、ユーザが定着後ガイド70を
図8に示す離隔位置に移動させて定着器7周辺で詰まったシートSHを除去する作業を実施するときに、連結部60が邪魔になり難い。
【0115】
さらに、この画像形成装置1において、
図3に示すように、連結部60の第1リンクアーム61及び第2リンクアーム62は、定着後ガイド操作部材77及び封筒モード操作部材78に対し、幅方向の内側に位置している。この構成により、カバー100が開位置にある状態でユーザが定着後ガイド操作部材77及び封筒モード操作部材78を操作するときに、連結部60と、第2位置にある排出ガイド50とが邪魔になり難い。
【0116】
(実施例2)
図9及び
図10に示すように、実施例2の画像形成装置は、実施例1の画像形成装置1に係るカバー100及び連結部60の代わりに、カバー200及び連結部260を採用している。
【0117】
実施例2のその他の構成は、実施例1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
【0118】
実施例2において、カバー200は、第1カバー210及び第2カバー220を有している。第1カバー210及び第2カバー220は、実施例1に係るカバー100を2分割したものである。
【0119】
図9に示すように、第1カバー210は、実施例1に係るカバー100の上端部と、幅方向の一方の端部及び他方の端部と、によって構成され、第2カバー220は、実施例1に係るカバー100におけるその他の部分によって構成されている。第2カバー220は、第1カバー210に対し、幅方向の内側に位置している。
【0120】
カバー200は、第1カバー210及び第2カバー220がそれぞれ開閉軸心X200周りに揺動することにより、
図9に示すように、開口9Hを閉鎖する閉位置と、
図10に示すように、閉位置から排出方向DE1の下流かつ下方に向かって移動して開口9Hを開放する開位置と、に移動可能である。開閉軸心X200は、実施例1に係る開閉軸心X100と一致している。
【0121】
図10に示すように、第2カバー220は、開位置にある状態で、第1カバー210よりも排出方向DE1の下流かつ下方に位置し、第1排出経路P1に沿って排出されるシートSHを支持する。
【0122】
連結部260は、棒状に延びる1つのリンクアームである。第1カバー210は、連結部260の一端と連結点CP2において連結している。連結部260の他端は、排出ガイド50の受動部53と連結点CP3において連結している。
【0123】
連結部260は、カバー200が閉位置から開位置に移動するときに、第1カバー210の移動に連動して、排出ガイド50を
図10に二点鎖線で示す第1位置から、
図10に実線で示す第2位置に移動させる。
【0124】
その一方、連結部260は、カバー200が開位置から閉位置に移動するときに、第1カバー210の移動に連動して、排出ガイド50を
図10に実線で示す第2位置から、
図10に二点鎖線で示す第1位置に移動させる。
【0125】
このような構成である実施例2の画像形成装置は、第1カバー210の重量に応じた大きな力が連結部260を介して排出ガイド50に作用することにより、実施例1の画像形成装置1と同様に、第1排出経路P1に沿って排出されるシートSHがカールすることを確実性高く抑制できる。
【0126】
以上において、本発明を実施例1、2に即して説明したが、本発明は上記実施例1、2に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0127】
(変形例)
図11に示す変形例では、筐体9内で排出ガイド50の一対の回動軸52を支持するフレーム部材に弾性変形片59を形成し、排出ガイド50の受動部53における幅方向の外側を向く面に凸部58を形成している。
【0128】
そして、弾性変形片59は、排出ガイド50が第2位置に移動するときに、弾性変形しながら凸部58を乗り越えることで、排出ガイド50を第2位置に保持する保持力を発揮する。
【0129】
この変形例によっても、第1排出経路P1に沿って排出されるシートSHがカールすることを確実性高く抑制できる。
【0130】
実施例1、2では、本発明の画像形成装置を画像形成装置1として具体化したが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、画像形成装置の上方に画像読取装置を備えた複合機において、画像形成装置に本発明の構成を適用してもよい。
【0131】
実施例1、2では、排出ガイド50が回動軸心X50周りの回動によって、第1位置と第2位置とに移動可能であるが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、排出ガイドは、回動しながらスライドする複合的な移動によって、第1位置と第2位置とに移動可能であってもよい。
【0132】
実際例1、2では、第1位置にある排出ガイド50の各ガイド突起54は、第2排出経路P2と交差しないように退避するが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、排出ガイドは、第1位置にある状態で、第2排出経路P2に沿ってシートを案内してもよい。
【0133】
実施例1、2では、定着器7の搬送方向の下流に位置する定着後搬送ローラ対26が、搬送部としてシートSHを第1排出経路P1に沿って排出されるように搬送するが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、定着器7とカバー100との間に定着後搬送ローラ対26が存在せず、定着器7の加熱ローラ7A及び加圧ローラ7Bが搬送部として機能し、加熱ローラ7A及び加圧ローラ7Bの回転によってシートSHを第1排出経路P1に沿って搬送し、開位置にあるカバー100上にそのシートSHを直接排出する構成も本発明に含まれる。
【0134】
実施例1では連結部60を2つのリンクアームで形成し、実施例2では連結部260を1つのリンクアームで形成していたが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、3つ以上のリンクアームを組み合わせて、連結部を構成してもよい。
【符号の説明】
【0135】
1…画像形成装置、9H…開口、9…筐体
3…画像形成部、SH…シート、DE1…排出方向
P1…第1排出経路、P2…第2排出経路
26…搬送部(定着後搬送ローラ対)、100、200…カバー
50…排出ガイド、60、260…連結部、X50…回動軸心
61…第1リンクアーム、62…第2リンクアーム
61E…第1リンクアームにおける第2リンクアームから離隔した先端
62E…第2リンクアームにおける第1リンクアームから離隔した先端
101…カバー本体、109…複数のリブ、5…感光体
7A…加熱部材(加熱ローラ)、7B…加圧部材(加圧ローラ)
7…定着器、70…定着後ガイド
77、78…操作部材(77…定着後ガイド操作部材、78…封筒モード操作部材)