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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152001
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】錠装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 41/00 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
E05B41/00 C
E05B41/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061914
(22)【出願日】2022-04-01
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000138613
【氏名又は名称】株式会社ユニオン
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】小林 純子
(72)【発明者】
【氏名】榎本 拓也
(57)【要約】
【課題】触覚的情報を含むより多様な情報によって、より確実に、個室の使用状況を知らせることができる錠装置を提供する。
【解決手段】
施錠部材と、表示部材と、ケースとを具備する。施錠部材は、施錠状態と解錠状態との間で可動である。施錠状態は、施錠部材によって、ドアが開かないように係止されている状態である。解錠状態は、施錠部材によって、ドアが係止されていない状態である。表示部材は、ドアを開けようとする者に施錠部材が施錠状態であるか解錠状態であるかに対応する表示を行うための部材であり、施錠部材と連動し、施錠状態における定位置と解錠状態における別の定位置との間で、ドアの表面に沿って直線的に進退移動可能に設けられる。ケースは、表示部材が出入可能である開口を有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアが開かないように係止する施錠状態と前記ドアを係止しない解錠状態との間で可動である施錠部材と、
前記ドアを開けようとする者に前記施錠部材が前記施錠状態であるか前記解錠状態であるかに関する表示を行う表示部材であって、前記施錠部材と連動し、前記施錠状態における定位置と前記解錠状態における別の定位置との間で、前記ドアの表面に沿って直線的に進退移動可能に設けられる表示部材と、
前記表示部材が出入可能である開口を有しており、前記施錠状態において前記表示部材の少なくとも一部分が前記開口を介し外部に突出し、前記解錠状態において前記表示部材が前記外部に突出する突出量が前記施錠状態における前記突出量より小さくなるように、前記表示部材を収容するケース
とを具備する、錠装置。
【請求項2】
前記表示部材は、前記施錠状態において前記外部に突出する前記一部分に、前記施錠部材が前記施錠状態であることと対応する、文字列等の記号列が設置される記号列設置部を有する、請求項1に記載の錠装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ、浴室等の個室のドアに設置される錠装置に関し、特に、個室の使用状況を表示する機能を有する錠装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トイレ、浴室等の個室のドアに設置され、個室の使用状況を表示する機能を有する錠装置として、特許文献1には、円形の表示板と、覗き窓部とを有する錠装置が記載されている。特許文献1に記載の錠装置においては、表示板に「使用中」、「空き」等の文言が記載されており、覗き窓部から見える文言によって、個室が使用中であるか使用されていないかを知ることができるようにされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-44360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の錠装置においては、「使用中」、「空き」等の文言のような視覚的情報によってのみ、個室の使用状況を表示しているために、例えば目の不自由な人は、個室が使用中であるか否かを知ることはできず、様々な人に対して、確実に個室の使用状況を知らせることはできない。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、触覚的情報を含むより多様な情報によって、より確実に、個室の使用状況を知らせることができる錠装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に開示する錠装置は、施錠部材と、表示部材と、ケースとを具備する。前記施錠部材は、施錠状態と解錠状態との間で可動である。前記施錠状態は、前記施錠部材によって、ドアが開かないように係止されている状態である。前記解錠状態は、前記施錠部材によって、前記ドアが係止されていない状態である。前記表示部材は、前記ドアを開けようとする者に前記施錠部材が前記施錠状態であるか前記解錠状態であるかに関する表示を行うための部材であり、前記施錠部材と連動し、前記施錠状態における定位置と前記解錠状態における別の定位置との間で、前記ドアの表面に沿って直線的に進退移動可能に設けられる。前記ケースは、前記表示部材が出入可能である開口を有しており、前記施錠状態において前記表示部材の少なくとも一部分が前記開口を介し外部に突出し、前記解錠状態において前記表示部材が前記外部に突出する突出量が、前記施錠状態における前記突出量より小さくなるように、前記表示部材を収容する。
【0007】
本願に開示する錠装置において、前記表示部材は、前記施錠状態において前記外部に突出する前記一部分に記号列設置部を有する。前記記号列設置部には、前記施錠部材が前記施錠状態であることと対応する、文字列等の記号列が設置される。
【0008】
また、本願に開示する錠装置において、前記記号列設置部に設置される前記記号列は、複数の文字等の記号を含み、前記複数の記号は、前記表示部材が移動可能である方向と交差する方向に並ぶように前記記号列設置部に設置される。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る錠装置によれば、触覚的情報を含むより多様な情報によって、より確実に、個室の使用状況を知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る錠装置を示す、個室の外側から見た施錠状態の斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る錠装置を示す、個室の内側から見た施錠状態の斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る錠装置を示す、個室の内側から見た解錠状態の斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る錠装置を示す分解斜視図である。
図5】(a)本発明の実施形態に係る錠装置を示す、施錠状態の断面図、及び個室の外側から見た施錠状態の正面図である。(b)本発明の実施形態に係る錠装置を示す、解錠状態の断面図、及び個室の外側から見た解錠状態の正面図である。
図6】(a)本発明の実施形態に係る錠装置のケース台板を示す正面図である。(b)本発明の実施形態に係る錠装置のケース台板を示す側面図である。
図7】本発明の他の実施形態に係る錠装置を示す、個室の内側から見た施錠状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係る錠装置を図面に基づいて詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するのに好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨が明記されていない限り、この実施形態に限定されるものではない。
【0012】
〈実施形態〉
以下に、図1図6を参照して、本発明の実施形態に係る錠装置を説明する。図1は、実施形態に係る錠装置を示す、個室の外側から見た施錠状態の斜視図である。図2は、実施形態に係る錠装置を示す、個室の内側から見た施錠状態の斜視図である。図3は、実施形態に係る錠装置を示す、個室の内側から見た解錠状態の斜視図である。図4は、実施形態に係る錠装置を示す分解斜視図である。図5(a)は、実施形態に係る錠装置を示す、施錠状態の断面図、及び個室の外側から見た施錠状態の正面図である。図5(b)は、実施形態に係る錠装置を示す、解錠状態の断面図、及び個室の外側から見た解錠状態の正面図である。図6(a)は、実施形態に係る錠装置のケース台板を示す正面図である。図6(b)は、実施形態に係る錠装置のケース台板を示す側面図である。
【0013】
図1から図3に示すように、実施形態に係る錠装置は、トイレ、浴室等の個室のドア1に設置されるものであり、施錠部材10と、表示部材20と、ケース30とを具備する。実施形態の錠装置は、ドア1を開けようとする者に個室が使用されているか否かの使用状況を知らせるために、当該錠装置が施錠されているか施錠されていないかに関する表示を行う機能を有している。
【0014】
施錠部材10は、施錠状態と解錠状態との間で可動である。図1図2に示すように、施錠状態は、施錠部材10によってドア1が開かないように係止されている状態である。図3に示すように、解錠状態は、施錠部材10によってドア1が係止されていない状態である。
【0015】
実施形態においては、施錠部材10は、ドア1の表面に沿う方向に配される細長い板状の部材であり、係合部11、及び操作部12を有する。また、施錠部材10は、図3に示すように、ドア1の表面に対し垂直な中心軸Iを中心として回動可能にドア1に取付けられ、錠の掛け金として機能する。
【0016】
係合部11は、施錠部材10の回動先端に設けられており、施錠状態において、図2に示すように、個室の壁2に設置される受け部材3における被係合部3aと係合する。受け部材3は、図4に示す止めビス3bによって、個室のドア2に固定される。
【0017】
操作部12は、施錠部材10の回動中心の近傍において施錠部材10のドア1の表面からの高さ方向の長さを大きくするようにして、施錠部材10の把持が容易となるように形成されており、施錠部材10を施錠状態とする施錠操作、及び施錠部材10を解錠状態とする解錠操作を受付ける。実施形態においては、施錠操作、及び解錠操作は、図3に円弧状の矢印Aで示すように、中心軸Iの周りに施錠部材10を回転する操作である。
【0018】
施錠部材10の重心は、中心軸Iに対し係合部11の方に偏った位置にあり、図3に示すように、施錠部材10は、解錠状態においては、係合部11が垂れ下がった状態となる。また、施錠状態において、施錠部材10は、図2に示すように、係合部11が受け部材3の被係合部3aの上に乗り、横方向に延びた状態となる。
【0019】
表示部材20は、図4図5に示すように、ドア1を開けようとする者に個室の使用状況を知らせるために、施錠部材10が施錠状態であるか解錠状態であるかに関する表示を行うものである。
【0020】
なお、表示部材20が行う「表示」は、図示されている「使用中」等の文字列による表示に限られず、後で詳述するように、表示部材20がケース30に対し移動することによって生ずる外観上の変化によって個室の使用状況を知らせることを含む。また、表示部材20は、後で詳述するように、表示部材20がケース30に対し移動することによって生ずる触覚上の変化によっても個室の使用状況を知らせる機能を有する。
【0021】
実施形態においては、表示部材20は、方形板状であり、施錠部材10と連動し、図5(a)に示す、施錠状態における定位置と、図5(b)に示す、解錠状態における別の定位置との間で、ドア1の表面に沿って、ドア1に対し、直線的に進退移動可能に設けられる。実施形態においては、施錠状態における表示部材20の定位置は、解錠状態における表示部材20の定位置より上にある。
【0022】
ケース30は、表示部材20の形状に対応し、扁平な角筒状であり、表示部材20が出入可能な開口31を上端に有している。また、ケース30は、施錠状態において、図5(a)に示すように、表示部材20の少なくとも一部分が開口31を介し外部に突出するように表示部材20を収容する。
【0023】
また、ケース30は、解錠状態において表示部材20がケース30の外部に突出する突出量、又は突出長さが、施錠状態における突出量より小さくなるように、表示部材20を収容する。
【0024】
以上の結果、施錠状態の方が解錠状態よりも、表示部材20が開口31を介しケース30の外部に突出する突出量は大きくなり、施錠状態の突出量と解錠状態の突出量との差異によって個室の使用状況を知らせることができ、視覚的情報のみならず、触覚的情報によっても、個室の使用状況を知らせることができる。なお、実施形態においては、図5(b)に示すように、ケース30は、解錠状態においては表示部材20の全体を内部に収容する。
【0025】
また、表示部材20は、施錠状態においてケース30の外部に突出する一部分に記号列設置部21を有する。更に、表示部材20は、一対のガイド孔22、及びバネ収容孔23を有する。
【0026】
表示部材20の記号列設置部21には、施錠部材10が施錠状態であることと対応する文字列等の記号列が設置される。また、実施形態においては、記号列設置部21は赤色等の目立ちやすい色に着色され、記号列設置部31に設置される記号列は、複数の文字等の記号を含み、複数の記号は、表示部材20が移動可能である方向と交差する方向に並ぶように記号列設置部21に設置される。
【0027】
図1図4図5に示すように、実施形態においては、記号列設置部21には、「使用中」という文字列が横並びに設置されており、施錠部材10が施錠状態であるとき、個室が使用されていることが記号列設置部21に設置される文字列によって理解できるようにされている。なお、実施形態において、記号列設置部21は、解錠状態において、全体がケース30の内部に収容される。
【0028】
図5に示すように、表示部材20の一対のガイド孔22、及びバネ収容孔23は、表示部材20が移動可能である方向に沿って延びる長孔である。一対のガイド孔22は、表示部材20の移動を案内し、バネ収容孔23は、付勢手段としてのスプリング24を内部に収容する。スプリング24は、圧縮された状態でバネ収容孔23の内部に収容され、解錠状態における定位置に向かって表示部材20を付勢する。
【0029】
また、実施形態においては、ケース30は、ケース台板32と、ケース蓋板33とを有する。ケース台板32は、ドア1に固定されるものであり、図6に示すように、方形板状の台板本体32a、及び一対の側板32bを有する。台板本体32aは、ドア1と接するようにしてドア1に固定される。一対の側板32bは、台板本体32aの両側端から立設される。
【0030】
また、台板本体32aには、図6に示すように、中央部の下端寄りの位置に後掲のカム軸41bが挿通されるカム軸挿通孔32cが形成され、上端寄りの左右対称位置に一対のガイドビス挿通孔32dが形成され、カム軸挿通孔32cの両脇における左右対称位置に一対の連結ビス挿通孔32eが形成され、一対のガイドビス挿通孔32dの中間位置にスプリングストッパ32fが立設される。
【0031】
ケース蓋板33は、図4に示す一対のガイドビス22bと螺合する、図示しない一対のビス孔をケース台板32との対向面に有している。ケース蓋板33が、ケース台板32の一対の側板32bと当接され、ケース台板32の台板本体32aと平行となっている状態で、一対のガイドビス22bによってケース蓋板33とケース台板32とが締結されることによって、ケース30が形成される。
【0032】
また、一対のガイドビス22bは、図4に示す筒状の一対のガイドスペーサ22aの中空部に挿通され、一対のガイドスペーサ22aは、表示部材20の一対のガイド孔22に挿入される。また、スプリングストッパ32fは、スプリング24とともに表示部材20のスプリング収納孔23に挿入され、スプリング24は、上端がスプリングストッパ32fと当接し、下端がスプリング収納孔23の底部と当接し、表示部材20を解錠状態の定位置に向かって付勢する。
【0033】
次に、施錠部材10と連動し進退移動するように表示部材20を駆動する駆動機構を説明する。実施形態においては、表示部材20を駆動する駆動機構は、図4に示す、カム部材41、及び回転部材42を含む。また、表示部材20を駆動する駆動機構は、更に、台座部材43、回転スペーサ44、及びスナップリング45を含む。
【0034】
カム部材41は、図4に示すように、一体的に形成される、カム本体41a、カム軸41b、及び凸部41cを有する。カム本体41aは、両端に丸みを帯びた角棒状であり、中央において、垂直に配設されるカム軸41bの一端と結合され、カム軸41bの反対側に凸部41cが突設される。凸部41cは、図5に示すように、カム本体41aをケース30のケース蓋板33に軸支する。
【0035】
回転部材42は、図4に示すように、外周面に段差を有する軸状の部材であり、大径部42a、及び小径部42bを有する。回転部材42の大径部42aは、施錠部材10と嵌合する溝状の嵌合部42cを有する。施錠部材10は、回転部材42の嵌合部42cと嵌合された状態で、例えばくぼみ先六角ネジから形成される止めビス54によって回転部材42に固定される。
【0036】
回転部材42の小径部42bは、一端において大径部42aと接続され、他端に、カム軸41bが嵌挿される軸嵌合部42dを有する。回転部材42の軸嵌合部42dにカム軸41bが嵌挿されることによって、回転部材42とカム部材41とは一体的に回転するように結合される。また、回転部材42の小径部42bは、スナップリング45と嵌合するリング溝42fを外周部に有する。
【0037】
図4に示すように、台座部材43は、円形板状であり、中央に軸受孔43aを有し、軸受孔43aの両脇に一対の連結ビス挿通孔43bを有する。台座部材43の軸受孔43aには、樹脂製筒状の回転スペーサ44が挿入される。回転スペーサ44の中空部には、回転部材42の小径部42bが挿通され、スナップリング45によって、回転部材42、及び回転スペーサ44が台座部材43に対し抜け止めされ、回転部材42が台座部材43に回転可能に支持される。
【0038】
次に、ケース30と台座部材43とをドア1に固定する固定機構を説明する。ケース30、及び台座部材43の固定機構は、図4に示す一対の固定用軸部材51と、一対の第1固定ビス52、及び一対の第2固定ビス53とを含む。
【0039】
一対の固定用軸部材51は、ドア1の厚みと対応する長さを有し、両端にビス孔が形成されており、一対の第1固定ビス52によって、一端にケース30のケース台板32がビス止され、一対の第2固定ビス53によって、他端に台座部材43がビス止される。一対の固定用軸部材51の両端に、ケース台板32と台座部材43とがビス止されることによって、図5に示す状態に、ケース30と台座部材43とがドア1に固定される。
【0040】
以上、図1図6を参照して説明したように、実施形態の錠装置によれば、施錠部材10が、施錠状態と解錠状態との間で可動であり、表示部材20が、ドア1を開けようとする者に施錠部材10が施錠状態であるか解錠状態であるかに関する表示を行うために、施錠部材10と連動し、施錠状態における定位置と解錠状態における別の定位置との間で、ドア1の表面に沿って直線的に進退移動する。また、ケース30が、施錠状態において表示部材10の少なくとも一部分が開口を介し外部に突出し、解錠状態において表示部材20が外部に突出する突出量が、施錠状態における突出量より小さくなるように、表示部材20を収容する。
【0041】
従って、表示部材20がケース30に対し移動することによって生ずる外観上の変化、及び触覚上の変化によって、個室の使用状況を知らせることができ、例えば目の不自由な人に対しても、個室の使用状況を知らせることができ、触覚的情報を含むより多様な情報によって、より確実に、個室の使用状況を知らせることができる。
【0042】
また、実施形態の錠装置によれば、表示部材20がドア1の表面に沿って移動するものとされることによって、例えばドア1の表面に対し垂直な方向に移動する場合と比較すると、同じ移動量であっても表示部材20のケース30の外部への突出量の変化が視認し易く、個室の使用状況をより確実に知らせることができる。また、例えば、「使用中」と書かれた短冊状の板を回動するようにして、個室の使用状況を知らせるような場合と比較すると、表示部材20の支持強度を大きくすることが容易であり、故障しにくい装置とすることができる。
【0043】
また、図1図6を参照して説明したように、実施形態の錠装置によれば、表示部材20が、施錠状態においてケース30の外部に突出する一部分に記号列設置部21を有し、記号列設置部21には、施錠部材10が施錠状態であることと対応する文字列等の記号列が設置される。従って、施錠状態において、「使用中」等の文字列を表示部材20によって表示することができ、ドア1を開けようとする者は、視覚的情報によって、当該装置の機能を直感的に理解することができる。また、当該装置の機能を理解した者は、例えば目の不自由な人にも当該装置の機能を説明することができ、触覚的情報を含むより多様な情報によって、更により確実に、個室の使用状況を知らせることができる。
【0044】
また、図1図6を参照して説明したように、実施形態の錠装置によれば、記号列設置部21に設置される記号列が、複数の文字等の記号を含み、表示部材20が移動可能である方向と交差する方向、実施形態においては垂直な方向に並ぶように記号列設置部21に設置される。従って、施錠状態において、「使用中」等の複数の文字である複数の記号によって個室の使用状況を知らせるときに、表示部材20の突出量、又は突出長さを大きくすることなく、表示部材20の横幅を大きくすることによって必要とされる個数の記号を設置でき、表示部材20の突出量を抑え、装置のコンパクト化が図れる。
【0045】
また、図1図6を参照して説明したように、実施形態の錠装置によれば、スプリング24が、表示部材20を解錠状態における定位置に向かって付勢することによって、ケース30の開口31が上下左右のいずれを向いている場合にも、カムと、付勢手段としてのスプリング24とから表示部材20の駆動機構を形成でき、駆動機構の構造を故障し難い簡単な構造とでき、更により確実に、個室の使用状況を知らせることができる。
【0046】
また、ケース30の開口31を上向きとする場合には、付勢手段としてのスプリング24を設けることなく、例えば重力のみで表示部材20を解錠状態における定位置に向かって付勢することも可能となり、駆動機構の構造を更に簡単な構造とすることも可能であり、駆動機構の構造を故障し難い簡単な構造とでき、更により確実に、個室の使用状況を知らせることができる。
【0047】
次に、図7を参照して、本発明の他の実施形態を説明する。図7は、本発明の他の実施形態に係る錠装置を示す、個室の内側から見た施錠状態の斜視図である。
【0048】
図7に示すように、本実施形態においては、施錠部材10の係合部11は、ドア1と平行な個室の壁2Aに取付けられる受け部材3Aと係合し、ドア1が開かないように係止する。それ以外の構成は、図1から図6の実施形態と同様である。図7に示す実施形態においても、図1から図6の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0049】
以上、図面(図1図7)を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である(例えば、下記(1)~(2))。
【0050】
(1)上記実施形態において、施錠部材10は、回動操作される掛け金として機能するものであったが、本発明の施錠部材はドアが開かないように係止できるものであればよく、例えば直線的に進退移動するものであってもよい。また、施錠部材を施錠状態とする施錠操作、及び解錠状態とする解錠操作を受付けるための操作部は、施錠部材と一体形成されていなくともよく、施錠部材とは別体のサムターン等であってもよい。
【0051】
(2)上記実施形態において、ドア1が設置される個室は、トイレや浴室であったが、ホテルの客室であってもよく、会社のオフィス等の個室であってもよい。このとき、記号設置部31に設置される文字列は、「使用中」に限られず、「在室」等であってもよい。
【符号の説明】
【0052】
1…ドア
10…施錠部材
20…表示部材
21…記号列設置部
30…ケース
31…開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7