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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152021
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】リース契約の仲介システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20231005BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061943
(22)【出願日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】522132524
【氏名又は名称】株式会社日本オートモーティブマーケティングサービス
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧原 一博
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】リース契約を契約期間中に別の者へ円滑に継承させることができるようにする。
【解決手段】リース契約の継承仲介システムSは、ユーザ端末10に入力された物品特定情報と、リース契約の継承を希望する継承希望時期に関する情報とを登録する登録受付部1bと、登録受付部1bに登録された情報を、他のユーザ端末20、30、40へ配信する配信部1cとを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品のリース契約を契約当初に定めたリース期間の途中で他者に継承させるリース契約の継承仲介システムであって、
複数のユーザ端末と通信可能に接続され、各ユーザ端末から送信された各種データを受信する受信部と、
複数の前記ユーザ端末のうち、一の前記ユーザ端末に入力された前記物品を特定するための物品特定情報と、前記リース契約の他者への継承を希望する継承希望時期を特定するための希望時期特定情報とを、前記受信部を介して取得するとともに、取得した前記物品特定情報及び前記希望時期特定情報の登録を受け付ける登録受付部と、
複数の前記ユーザ端末と通信可能に接続され、前記登録受付部で登録された前記物品特定情報及び前記希望時期特定情報を、複数の前記ユーザ端末のうち、他の前記ユーザ端末へ配信する配信部とを備えている、リース契約の継承仲介システム。
【請求項2】
請求項1に記載のリース契約の継承仲介システムにおいて、
前記ユーザ端末は、物品のリース契約に関する情報を持っている店舗に設置される店舗端末と、リース契約の対象となる者が所有している複数の個人端末とを含んでおり、
前記登録受付部は、一の前記個人端末に入力された前記物品特定情報及び前記希望時期特定情報の登録を受け付ける、リース契約の継承仲介システム。
【請求項3】
請求項2に記載のリース契約の継承仲介システムにおいて、
前記配信部は、前記登録受付部に登録された前記物品特定情報及び前記希望時期特定情報を、他の複数の前記個人端末へ配信する、リース契約の継承仲介システム。
【請求項4】
請求項3に記載のリース契約の継承仲介システムにおいて、
前記登録受付部は、一の前記個人端末に入力された物品の画像を、前記受信部を介して取得するとともに、取得した前記画像の登録を受け付け、
前記配信部は、前記登録受付部に登録された前記画像を他の複数の前記個人端末へ配信する、リース契約の継承仲介システム。
【請求項5】
請求項4に記載のリース契約の継承仲介システムにおいて、
前記登録受付部は、複数の前記物品特定情報、前記希望時期特定情報及び前記画像の登録を受け付け、
前記配信部は、前記登録受付部に登録された複数の前記物品特定情報、前記希望時期特定情報及び前記画像を、他の前記ユーザ端末へ配信する、リース契約の継承仲介システム。
【請求項6】
請求項5に記載のリース契約の継承仲介システムにおいて、
他の前記ユーザ端末が有する表示部に、複数の前記画像が並んだ仮想空間を表示させる、リース契約の継承仲介システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物品のリース契約を契約当初に定めた契約期間の途中で他者に継承させるリース契約の継承仲介システムに関する。
【背景技術】
【0002】
個人、法人を問わず、自動車等の各種物品をリース契約して使用する場合がある。例えば自動車(新車)のリース契約を行う際には、新車時の販売価格からリース期間終了時の自動車の残価(0の場合もある)を差し引いた金額に、登録料、税金、リース取扱手数料等の諸費用(諸費用には自動車保険料や整備代金等が含まれる場合もある)を加算した金額をリース総額として算出する。そのリース総額をリース期間に属する月数で割った金額(リース料)をリース契約者が毎月支払うことで、リース契約者はその自動車をリース期間内あれば継続して使用することが可能になる。
【0003】
ここで、所定のリース期間でリース契約を締結したものの、その後、リース契約の期間が満了する前で自動車が不要になることや、別の自動車に乗り換えたくなることがある。これらの場合を想定したリースプラン作成装置が特許文献1に開示されている。特許文献1のリースプラン作成装置では、5年の全リース期間内に3年の設定期間を設けており、3年間のリース料とそれ以降の2年間のリース料とに差を設定し、5年で契約したリース契約を3年で解約するときに高額な解約金が徴収されないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4118539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、昨今、自動車のリース期間は5年や7年等で設定される場合が多く、従って、リース契約が途中で解約されたとしても、その自動車の使用期間は例えば3年とか5年といった短い期間であるため、十分に使用可能な状態である。特に、リース契約の場合、自動車税、車検代、整備代金も含まれた金額で契約されているケースが多いので、リース契約で使用された自動車は定期的に整備された良質なものが多い。よって、リース契約の途中で解約された自動車はその後も市場において高い価値を持っている。
【0006】
一般に、リース契約が途中で解約されると、解約後の自動車は中古車として市場に流通することになり、次の使用者がその中古車を購入するか、その中古車を対象としたリース契約を締結して使用することになる。前者の中古車を購入する場合、消費税等の税金を諸費用として支払わなければならないので、購入金額が割高になる。また、後者の中古車をリース契約する場合、新車時のリース契約は解約されているので、新たに税金やリース取扱手数料等を加算した金額をリース総額として算出することになるので、リース料が割高になる。つまり、リース契約されていた自動車のリース契約を解約して中古車として市場に流通させると、次の使用者の金銭的な負担が大きくなるという問題があり、ひいては自動車の流通に支障をきたすことが考えられる。この点、特許文献1では単に解約金が高額にならないようにするプランを提示するだけであり、解約後の自動車の流通を考慮したものではない。
【0007】
また、自動車のみならず、リース可能な物品であれば、同様な問題が生じ得る。
【0008】
本開示は、かかる点に鑑みたものであり、その目的とするところは、リース契約を契約期間中に他者へ円滑に継承させることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本開示の一態様では、物品のリース契約を契約当初に定めたリース期間の途中で他者に継承させるリース契約の継承仲介システムを前提とすることができる。継承仲介システムは、複数のユーザ端末と通信可能に接続され、各ユーザ端末から送信された各種データを受信する受信部と、複数の前記ユーザ端末のうち、一の前記ユーザ端末に入力された前記物品を特定するための物品特定情報と、前記リース契約の他者への継承を希望する継承希望時期を特定するための希望時期特定情報とを、前記受信部を介して取得するとともに、取得した前記物品特定情報及び前記希望時期特定情報の登録を受け付ける登録受付部と、複数の前記ユーザ端末と通信可能に接続され、前記登録受付部で登録された前記物品特定情報及び前記希望時期特定情報を、複数の前記ユーザ端末のうち、他の前記ユーザ端末へ配信する配信部とを備えている。
【0010】
この構成によれば、リース契約中の物品を現在の契約者がリース期間の途中で手放したい場合には、一のユーザ端末に、その物品を特定するための物品特定情報としてリース契約中の物品の名称等を入力し、また、リース契約の他者への継承を希望する希望時期特定情報として継承希望時期を入力すると、入力した物品特定情報及び希望時期特定情報が継承仲介システムの受信部により受信される。通信部により受信された物品特定情報及び希望時期特定情報は、登録受付部に登録される。登録受付部に登録された物品特定情報及び希望時期特定情報は他のユーザ端末へ配信されるので、他のユーザ端末を介してリース契約中の物品及びリース契約の継承希望時期を前記契約者とは別の者(例えば継承者となり得る者等)に知らせることができる。
【0011】
物品及び継承希望時期に関する情報を取得した者は、その物品のリース契約を継承するか否かをリース期間が満了する前に検討できる。その者がリース契約を継承したい場合には、契約者のリース契約を継承することで、契約当初の金銭的な条件のままで、物品を使用できる。
【0012】
本開示の他の形態に係るユーザ端末は、物品のリース契約に関する情報を持っている店舗に設置される店舗端末と、リース契約の対象となる者が所有している複数の個人端末とを含んでいてもよい。前記登録受付部は、一の前記個人端末に入力された前記物品特定情報及び前記希望時期特定情報の登録を受け付けることができる。
【0013】
この構成によれば、現在の契約者が入力した物品特定情報及び希望時期特定情報を他のユーザ端末に配信することができるので、店舗に行くことなく、リース契約の継承者を探すことができる。
【0014】
本開示の他の形態に係る配信部は、前記登録受付部に登録された前記物品特定情報及び前記希望時期特定情報を、他の複数の前記個人端末へ配信するものであってもよい。
【0015】
この構成によれば、店舗を介することなく、物品特定情報及び希望時期特定情報の配信を受けることができるので、当該情報を広範囲にかつ迅速に提供できる。
【0016】
本開示の他の形態に係る登録受付部は、一の前記個人端末に入力された物品の画像を、前記受信部を介して取得するとともに、取得した前記画像の登録を受け付けるように構成されていてもよい。この場合、前記配信部は、前記登録受付部に登録された前記画像を他の複数の前記個人端末へ配信することができる。
【0017】
また、前記登録受付部は、複数の前記物品特定情報、前記希望時期特定情報及び前記画像の登録を受け付けることができる。前記配信部は、前記登録受付部に登録された複数の前記物品特定情報、前記希望時期特定情報及び前記画像を、他の前記ユーザ端末へ配信することもできる。
【0018】
この構成によれば、物品を撮像して取得された画像も配信できるので、継承希望者が物品の状態を正確に把握できる。
【0019】
本開示の他の形態では、他の前記ユーザ端末が有する表示部に、複数の前記画像が並んだ仮想空間を表示させることができる。すなわち、例えば物品を販売している店舗のような仮想空間がユーザ端末に表示されるので、希望の物品の探索や、閲覧、選択が容易に行えるようになる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、リース契約中の物品を特定するための物品特定情報と、リース契約の継承を希望する継承希望時期を特定するための希望時期特定情報とを、リース期間の満了前に現在のリース契約者以外の者に配信することができるので、リース契約を契約期間中に別の者へ円滑に継承させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係るリース契約の継承仲介システムの概略構成を示すブロック図である。
図2】自動車のリース契約を説明する図である。
図3】リース契約の継承と自動車の流通過程を説明する図である。
図4】情報入力用ユーザインターフェースの例を示す図である。
図5】情報配信用ユーザインターフェースの例を示す図である。
図6】仮想空間表示画面、詳細表示画面及び検索画面の例を示す図である。
図7】自動車の内装をVRゴーグルで見たイメージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係るリース契約の継承仲介システムSの概略構成を示すブロック図である。リース契約の継承仲介システムSは、本体部1と、表示部2と、キーボード3及びマウス4と、記憶部5とを備えている。本体部1は、例えばパーソナルコンピュータ等で構成することができ、中央演算処理装置(CPU)、ROM、RAM等を備えている。表示部2は、例えば液晶ディスプレイ装置や有機ELディスプレイ装置等で構成されており、本体部1によって制御される。キーボード3及びマウス4は、本体部1に接続され、当該本体部1を操作する機器であり、本システムSの管理者(ユーザに含まれる)による各種入力操作や切替操作、設定操作等を受け付ける。記憶部5は、例えばテキストや画像等を含む各種データを記憶するための部分であり、例えばハードディスクドライブ、SSD(ソリッドステートドライブ)等で構成されている。本体部1、表示部2、キーボード3、マウス4及び記憶部5が一体化されたノート型パーソナルコンピュータで継承仲介システムSを構成することもできる。また、記憶部5は、本体部1に内蔵されていてもよいし、本体部1の外部に設置されていてもよい。また、記憶部5は、本体部1が設定される場所とは異なる場所に設置されていてよく、いわゆるクラウド型のストレージシステムであってもよい。
【0024】
本体部1に内蔵されている中央演算処理装置は、ROMや記憶部5等に記憶されているプログラムに従って動作し、物品のリース契約を現在の契約者以外の者(他者)に継承させるリース契約の継承の仲介を行う主要な部分である。リース契約の物品(リース物件ともいう)は、特に限定されるものではなく、例えば自動車、二輪車、パーソナルコンピュータ、コピー機、オフィス什器等を挙げることができる。本実施形態では、自動車がリース契約の物品である場合について説明する。また、リース契約の期間についても特に限定されるものではなく、例えば5年や7年等、契約時に任意の期間に設定することができる。
【0025】
図2に基づいて自動車のリース契約について説明する。自動車が新車の場合、リース期間の開始日は、例えば自動車登録日とすることができる。リースの契約希望者は、希望する自動車を選択するとともに、グレード、ボディ色、オプション品(メーカーオプション、ディーラーオプションを含む)を選択する。これにより、自動車の価格、税金、登録費用等が算出可能になる。また、リースの契約希望者は、自動車保険料をリース料に含めるか否か、定期的な整備代金(車検費用等を含む)をリース料に含めるか否かを決定する。
【0026】
自動車の価格からリース期間終了時の自動車の残価を差し引いた金額に、税金、登録費用を加算するとともに、必要に応じて自動車保険料、整備代金等を加算してリース総額として算出する。そのリース総額をリース期間に属する月数で割った金額(リース料)をリース契約者が毎月支払うことで、リース契約者はその自動車をリース期間内あれば継続して使用することが可能になる。
【0027】
図2に示す例はリース期間が7年(84ヶ月)の例であり、自動車登録日から7年間でリース期間が満了する。リース期間の満了後は、リースの対象となっていた自動車をリース契約していた者が、原則無償で引き取ることが可能である。また、リース期間の満了後、リースの対象となっていた自動車をリース会社に返却することも可能である。
【0028】
本契約例では、自動車登録日から5年間はリース契約を解除することができないが、5年間経過後は、解除希望日の2ヶ月前までにリース会社に書面で通知することで、1ヶ月単位で解約可能な契約となっている。この場合、違約金や解約金等の発生はなく、解約することによる契約者の金銭的な負担はない。尚、自動車が過走行であったり、損傷していたりすると、その程度に応じた精算金を契約者が負担する場合がある。
【0029】
また、本例では、自動車のリース契約を契約当初に定めたリース期間の途中で他者に継承させるリース契約の継承が可能な契約になっている。この契約をリース継承が可能な契約という。リース継承が可能な契約を前提とした自動車の流通について、図3に基づいて具体的に説明する。
【0030】
契約者Aは、自動車A(新車)をリース期間7年でリース契約した者である。一般に乗用車は新車登録日から3年で1回目の車検、1回目の車検から2年で2回目の車検、その後、2年毎に車検を受ける必要がある。契約者Aは、自動車Aの車検を受ける前、または車検の後に自動車B(新車)に乗り換えたいと考えている。この場合、リース継承ができない従前のリース契約では、契約者Aは違約金等を支払って自動車Aに係るリース契約を解約する必要があったので、自動車Bへの乗り換えをためらう要因となっていた。
【0031】
自動車Aのリース契約が途中で解約されると、解約後の自動車Aは中古車として市場に流通することになり、次の使用者が自動車Aを中古で購入するか、その中古の自動車Aを対象としたリース契約を締結して使用することになる。自動車Aを中古で購入する場合、消費税等の税金を諸費用として支払わなければならないので、購入金額が割高になる。また、中古の自動車Aをリース契約する場合、新車時のリース契約は解約されているので、新たに税金やリース取扱手数料等を加算して金額をリース総額として算出することになるので、リース料が割高になるという問題があった。
【0032】
これに対し、リース継承が可能な契約の場合、自動車Aの登録日(リース期間の始期)から3年未満で別の契約者Bにリース契約を継承させることができる。契約者Aが契約していたリース契約を継承することになるので、契約者Bの契約条件は契約者Aの契約条件と同じであり、契約者Bが支払うリース料は契約者Aが支払っていたリース料と同額である。また、リース契約は解約されずに継続しているので、違約金等を支払うことなく、契約者Aは、次の自動車Bに乗り換えることができる。
【0033】
自動車登録日から5年間はリース契約を解除することができない契約になっているので、契約者Bが違約金を支払わないためには、自動車Aを2年間は乗り続ける必要がある。契約者Bは、2回目の車検の前(5年経過前)または車検の後に自動車Aのリース契約を別の契約者Cに継承させることで、自動車Aを手放すことができる。契約者Bは、自動車Aをそのまま7年経過するまで使用してもよい。
【0034】
5年が経過した期間、即ち1ヶ月単位で解約可能な期間に入ると、契約者Bからリース契約を継承した契約者Cは1ヶ月単位で解約時期を選ぶことができる。7年経過前に契約者Cがリース契約を解約しても違約金等は発生しない。また、7年経過後には、契約者Cが自動車Aを引き取ることができるので、自動車Aを中古車市場に流通させてもよい。
【0035】
新車の自動車Bのリース契約を締結した契約者Aが次の自動車C(新車)に乗り換えたい場合、自動車Bのリース契約を契約者Dに継承させることができる。契約者Dは、自動車Bのリース契約を別の契約者Eに継承させることができる。契約者Eは、1ヶ月単位でリース契約を解除することができ、リース期間経過後には、契約者Eが自動車Bを引き取ることができるので、自動車Bを中古車市場に流通させてもよい。
【0036】
新車の自動車Cのリース契約を締結した契約者Aが自動車Cを手放したい場合、自動車Cのリース契約を契約者Fに継承させることができる。契約者Fは、自動車Cのリース契約を別の契約者Gに継承させることができる。契約者Gは、1ヶ月単位でリース契約を解除することができ、リース期間経過後には、契約者Gが自動車Cを引き取ることができるので、自動車Cを中古車市場に流通させてもよい。
【0037】
以上説明したように、リース継承が可能な契約とすることで、自動車A、自動車B及び自動車Cがリース期間中であっても、大きな金銭的負担を伴うことなく、別の契約者B~Gに自動車A、自動車B及び自動車Cのリース契約を継承させることができる。尚、金銭的な負担として、例えば使用者変更の料金や契約手数料等は負担する必要があるが、それらの金額は違約金等に比べて大幅に低廉である。
【0038】
ところで、一般的にリース契約は別の者が継承できないものであるという認識なので、リース契約を別の者に継承させたいと希望しても、継承してくれる者をどのようにして探すのかが問題になる。特に、自動車の場合、リース料がそれなりに高額であることも、継承してくれる者の探索を困難にしている。また、仮にリース契約を継承できるという認識が広まったとしても、リース対象の自動車やリース期間はリース契約者とリース会社(あるいは自動車販売店)同士の契約事項であることから、公にされることはなく、どのような自動車がリース対象となっているのか、また、リース期間がいつまでなのか、第三者が知る術はなかった。よって、図3に示すように自動車A、自動車B及び自動車Cを流通させることは実際には困難であった。
【0039】
本実施形態に係る継承仲介システムSは、図3に示すように自動車A、自動車B及び自動車Cをスムーズに流通可能にするシステムであり、自動車の流通支援システムと呼ぶこともできる。また、継承仲介システムSを用いることでリース契約を継承する者を探索することも可能であるため、継承仲介システムSを継承者探索システムと呼ぶこともできる。さらに、継承仲介システムSを用いることにより、リース契約の継承を仲介する方法を実行することができる。継承仲介システムSのユーザ権限は、事前に付与しておき、継承仲介システムSを利用する前にIDやパスワード等の入力を求め、登録された者しか利用できないようになっている。尚、後述する情報の配信を受ける者については、ユーザ権限を付与しなくてもよく、誰でも配信を受けることができるようにしてもよい。
【0040】
図1に示すように、継承仲介システムSの本体部1は、受信部1a、登録受付部1b及び配信部1cを有しており、いわゆるサーバであってもよい。受信部1a、登録受付部1b及び配信部1cは、ハードウェアのみで構成されていてもよいし、中央演算処理装置が所定のプログラムを実行することで本体部1に構成されるものであってもよいし、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせで構成されるものであってもよい。
【0041】
継承仲介システムSには、複数のユーザ端末として、第1ユーザ端末10、第2ユーザ端末20、第3ユーザ端末30、第4ユーザ端末40、・・・が接続されている。ユーザ端末10、20、30、40、・・・は、その全てが物品のリース契約に関する情報を持っている店舗に設置される店舗端末であってもよいし、リース契約の対象となる者(リース契約者)が所有している個人端末であってもよい。店舗は、自動車販売店や自動車リース店等であり、リース契約者の個人情報、物品の情報等をデータベース化して持っている。また、ユーザ端末10、20、30、40、・・・のうち、一部が店舗端末であり、他が個人端末であってもよい。個人端末には、リース契約者ではない個人(他者)が所有している端末も含まれる。
【0042】
継承仲介システムSは、ユーザ端末10、20、30、40、・・・を含んで構成されていてもよいし、ユーザ端末10、20、30、40、・・・は継承仲介システムSの一部を構成しないものであってもよい。ユーザ端末10、20、30、40、・・・の数は、特に限定されるものではなく、数十、数百、数千以上であってもよい。ユーザ端末10、20、30、40、・・・は、同じものでなくてもよいが、同様の機能を有するように構成されている。以下、第1ユーザ端末10について詳細に説明する。
【0043】
第1ユーザ端末10は、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット型端末、スマートフォン等で構成されており、表示部10a、入力部10b、記憶部10c、通信部10d及び制御部10eを備えている。表示部10aは、例えば液晶ディスプレイ装置や有機ELディスプレイ装置等で構成されており、制御部10eによって制御される。入力部10bは、例えばタッチ式の操作パネルやキーボード、ポインティングデバイス、マウス等で構成されており、ユーザによる各種入力操作や切替操作等を受け付ける部分である。記憶部10cは、各種データを記憶するための部分であり、例えばハードディスクドライブ、SSD等で構成されている。通信部10dは、例えば従来から周知の通信モジュール等を有しており、公衆電話回線やLAN等を介してインターネットに接続され、継承仲介システムSの本体部1と通信する部分である。通信には、各種データの送信、受信が含まれている。制御部10eは、中央演算処理装置(CPU)、ROM、RAM等を備えており、第1ユーザ端末10の各部を制御する部分である。
【0044】
第1ユーザ端末10は、さらにカメラ10fとマイク10gも備えている。カメラ10fは、例えばリース対象の物品等をカラーで撮像可能に構成されている。マイク10gは、第1ユーザ端末10の周囲の音を集音可能に構成されている。
【0045】
第1ユーザ端末10の制御部10eは、図4に示すような情報入力用ユーザインターフェース100を生成して表示部10aに表示させる。情報入力用ユーザインターフェース100は、継承仲介システムSから受信したデータに基づいて生成されるものであってもよいし、記憶部10c等に記憶されたアプリケーションによって生成されるものであってもよい。情報入力用ユーザインターフェース100には、提供希望日入力領域101、車名・グレード入力領域102、ボディ色入力領域103、年式入力領域104、走行距離入力領域105、地域入力領域106、継承希望日入力領域107、希望店舗名入力領域108、外観画像入力領域109、内装画像入力領域110、拡大画像入力領域111等が設けられている。各領域101~111には、第1ユーザ端末10の入力部10bをユーザが操作することによって所望の情報を入力することが可能になっている。入力された各情報は、記憶部10cに記憶される。第1ユーザ端末10が店舗端末である場合には、リース契約者以外の者がリース契約者からの依頼を受けて各種情報を入力することができ、また、第1ユーザ端末10が個人端末である場合には、リース契約者が各種情報を入力する。
【0046】
提供希望日入力領域101は、情報入力用ユーザインターフェース100に入力された各種情報の他者への提供開始時期を入力するための領域である。提供希望日入力領域101に入力された時期が到来するまでは、各情報が継承仲介システムSによって外部に配信されない。
【0047】
車名・グレード入力領域102は、現在リース契約している自動車の車名と、グレードを入力するための領域である。車名・グレード入力領域102に自動車の製造会社名(メーカー名)や、自動車のエンジンの排気量等を入力してもよい。また、車名・グレード入力領域102に自動車の駆動方式(2輪駆動または4輪駆動)を入力してもよい。また、車名・グレード入力領域102に自動車の型式を入力してもよい。
【0048】
ボディ色入力領域103は、現在リース契約している自動車のボディ色(外板色)を入力するための領域である。年式入力領域104は、現在リース契約している自動車の初年度登録年と月を入力するための領域である。走行距離入力領域105は、現在リース契約している自動車の現時点における走行距離を入力するための領域である。車名・グレード入力領域102、ボディ色入力領域103、年式入力領域104、走行距離入力領域105に入力された情報は、現在リース契約されている自動車(物品)を特定するための自動車特定情報(物品特定情報)である。
【0049】
地域入力領域106は、現在リース契約している自動車の主な使用地域を入力するための領域であり、例えば都道府県名等を入力することが可能である。継承希望日入力領域107は、現在のリース契約を他者に継承して欲しい時期を入力するための領域であり、年月のみを入力してもよいし、年月に加えて日まで入力してもよい。継承希望日は、現在リース契約している契約者が任意に決めることができる。継承希望日入力領域107に入力された時期は、リース契約の他者への継承を希望する継承希望時期を特定するための希望時期特定情報である。
【0050】
希望店舗名入力領域108は、リース契約を継承する際に必要となる各種手続(使用者変更手続、リース契約の継承契約手続等)を依頼する店舗名を入力するための領域である。希望店舗は、現在リース契約している契約者が任意に決めることができる。
【0051】
ここで、希望店舗となる得る店舗は、継承仲介システムSに予め登録されている店舗のみに限定されている。すなわち、継承仲介システムSを利用するユーザとしては、個人のほか法人(例えば自動車販売店、自動車リース店等)も含むことができ、継承仲介システムSを利用する個人、法人は、継承仲介システムSの管理者に対して利用申請を行う。利用申請時には、個人であれば住所、氏名、電話番号、メールアドレス等の個人情報を登録し、法人であれば、法人名(店舗名)、所在地、電話番号、メールアドレス等を登録する。リース契約した個人であれば、その自動車の車検証に記載されている事項も登録しておき、これに加えて車名、グレード、ボディ色、装着されているオプション類等の車両情報についても登録しておく。上記個人情報、法人情報、車両情報は、図1に示す記憶部5が有するユーザ情報データベース5aに記憶され、このとき、リース契約した個人情報(契約者情報ともいう)と、リース契約した自動車の車両情報とが関連付けられ、また、契約者情報と、契約を締結した店舗の法人情報(店舗情報ともいう)とが関連付けられている。よって、契約者情報を取得すれば、契約を締結した店舗名等を取得可能なように、また契約者情報を取得すれば、リース契約した自動車の車両情報を取得可能なようにユーザ情報データベース5aが構成されている。また、自動車の車両情報を取得すれば、契約者情報を取得可能なようにユーザ情報データベース5aが構成されている。よって、例えば第1ユーザ端末10で契約者情報を入力して本体部1に送信すれば、ユーザ情報データベース5aを検索して自動車の車両情報を取得できるので、車名、グレード、ボディ色、年式等は自動入力することが可能になっている。
【0052】
図4に示す外観画像入力領域109は、現在リース契約している自動車の外観画像を入力するための領域である。外観画像は、第1ユーザ端末10のカメラ10fで取得することができる。ユーザは、カメラ10fで自動車の前面、後面、左右両側面を撮像して記憶部10cに保存しておく。その後、記憶部10cに保存されている各画像を外観画像入力領域109に貼り付けていくことで、外観画像が入力される。外観画像は、別のカメラ(図示せず)によって取得されたものであってもよく、この場合、画像を取得したカメラから画像データを第1ユーザ端末10に転送することで外観画像を入力できる。外観画像の数は4つに限られるものではなく、任意の数に設定できる。また、外観画像には、自動車を斜め方向から見た画像が含まれていてもよく、撮像時の方向等はシステムSから指定するようにしてもよい。
【0053】
内装画像入力領域110は、現在リース契約している自動車の内装画像を入力するための領域である。内装画像は、第1ユーザ端末10のカメラ10fで取得することができる。ユーザは、カメラ10fで自動車の内装を1箇所または複数箇所撮像して記憶部10cに保存しておく。その後、記憶部10cに保存されている各画像を内装画像入力領域110に貼り付けていくことで、内装画像が入力される。内装画像は、別のカメラ(図示せず)によって取得されたものであってもよく、この場合、画像を取得したカメラから画像データを第1ユーザ端末10に転送することで内装画像を入力できる。
【0054】
拡大画像入力領域111は、現在リース契約している自動車にあるキズやヘコミ等の画像を入力するための領域である。この画像も第1ユーザ端末10のカメラ10fや別のカメラで取得して入力できる。キズやヘコミ等の画像は、上記外観画像に比べて拡大して撮像した画像とする。また、図示しないが、修復歴の有無等の情報も入力可能である。
【0055】
情報入力用ユーザインターフェース100に入力された各種情報は、入力後にユーザが所定の送信操作を行うことで図1に示す第1ユーザ端末10の通信部10dが継承仲介システムSの本体部1へ所定のデータ形式で送信する。このとき、ユーザを特定するための情報(識別情報)も付与されている。
【0056】
本体部1の受信部1aは、複数のユーザ端末10、20、30、40、・・・と通信可能に構成された通信モジュール等を有している。通信部10dから送信された各種情報を所定のデータ形式で受信部1aが受信する。
【0057】
登録受付部1bは、第1ユーザ端末10の通信部10dから送信された各種情報を、受信部1aを介して取得するとともに、受信部1aを介して取得した各種情報の登録を受け付ける部分である。すなわち、登録受付部1bは、情報入力用ユーザインターフェース100に入力された各種情報を取得すると、取得した情報を記憶部5の特定情報データベース5bに記憶させる。特定情報データベース5bには、ユーザごとに識別情報が付与された状態で、当該ユーザの個人情報と、情報入力用ユーザインターフェース100に入力された各種情報とが関連付けられて記憶される。
【0058】
1つの第1ユーザ端末10から、複数の自動車特定情報、希望時期特定情報及び画像を入力することができる。例えば、リース契約中の1台目の自動車特定情報、希望時期特定情報及び画像を入力した後、2台目、3台目の自動車特定情報、希望時期特定情報及び画像を入力した場合、登録受付部1bは、複数の自動車特定情報、希望時期特定情報及び画像の登録を受け付ける。
【0059】
また、複数のユーザ端末10、20、30、40、・・・のうち、複数のユーザ端末のそれぞれで自動車特定情報、希望時期特定情報及び画像が入力された場合も、登録受付部1bは、複数の自動車特定情報、希望時期特定情報及び画像の登録を受け付ける。複数の自動車特定情報、希望時期特定情報及び画像の登録を受け付けた場合、特定情報データベース5bには、複数の自動車特定情報、希望時期特定情報及び画像が記憶される。
【0060】
継承仲介システムSの配信部1cは、複数のユーザ端末10、20、30、40、・・と通信可能に接続された通信モジュール等を有している。配信部1cは、登録受付部1bで登録された各種情報(物品特定情報及び希望時期特定情報を含む)を、複数のユーザ端末10、20、30、40、・・・のうち、他のユーザ端末20、30、40、・・・へ配信する。本実施形態では、第1ユーザ端末10から各種情報が送信されているので、各種情報が送信された第1ユーザ端末10とは異なるユーザ端末20、30、40、・・・へ各種情報を配信する。配信される情報は、将来、継承可能なリース契約に関する情報であるため、提供予告情報と呼ぶこともできる。
【0061】
配信の形態としては、例えば特定の情報配信サイトへのアクセスを許可するURLを電子メールに記載し、この電子メールをユーザ端末20、30、40、・・・へ送信する形態であってもよい。この場合、電子メールを受信したユーザがURLに記載のサイトにアクセスすることで、ユーザ端末20、30、40、・・・に各種情報がダウンロードされて閲覧可能になる。また、各種情報が記載された電子メールをユーザ端末20、30、40、・・・へ送信する形態であってもよい。
【0062】
各種情報の配信開始日は、提供希望日入力領域101に入力された年月日以降となる。各種情報が配信されるユーザ端末20、30、40、・・・は、店舗端末であってもよいし、個人端末であってもよい。提供希望日入力領域101に年月日が入力されていない場合には、各種情報をユーザ端末20、30、40、・・・にすぐに配信してもよい。各種情報が配信されるユーザ端末20、30、40、・・・が個人端末である場合には、配信された情報に基づく印刷物を作成して店頭に掲示してもよいし、配信された情報を店舗のホームページ等に掲載してもよいし、配信された情報を店舗に登録された客(管理ユーザ)に対して再度配信してもよい。
【0063】
各種情報を取得したユーザ端末20、30、40、・・・が有する各表示部には、図5に示すような情報配信用ユーザインターフェース200を表示させる。情報配信用ユーザインターフェース200は、継承仲介システムSから受信したデータに基づいて生成されるものであってもよいし、ユーザ端末20、30、40、・・・が有する記憶部等に記憶されたアプリケーションによって生成されるものであってもよい。
【0064】
情報配信用ユーザインターフェース200には、車名・グレード表示領域201、年式表示領域202、排気量表示領域203、走行距離表示領域204、次回車検日表示領域205、修復歴表示領域206、ボディ色表示領域207、自動車画像表示領域208、リース料表示領域209、納車予定日表示領域210等が設けられている。各表示領域201~210には、配信部1cから配信された情報が表示される。
【0065】
車名・グレード表示領域201には、継承対象となる自動車の車名・グレードが表示され、また、年式表示領域202には、継承対象となる自動車の年式が表示される。排気量表示領域203には、継承対象となる自動車の車検証記載事項等に基づいて取得された排気量が表示される。走行距離表示領域204には、第1ユーザ端末10に入力された継承対象となる自動車の走行距離が表示される。次回車検日表示領域205には、継承対象となる自動車の車検証記載事項等に基づいて取得された次回車検日や、第1ユーザ端末10に入力された次回車検日が表示される。
【0066】
修復歴表示領域206には、第1ユーザ端末10に入力された継承対象となる自動車の修復歴の有無が表示される。ボディ色表示領域207には、継承対象となる自動車のボディ色が表示される。自動車画像表示領域208には、第1ユーザ端末10に入力された自動車の外観画像が表示されるので、ユーザ端末20、30、40、・・・のユーザは、どのような自動車のリース契約を継承することになるのかが分かり易い。尚、現在のリース契約者が虚偽の情報を登録していた場合には、継承をキャンセルできる。
【0067】
リース料表示領域209には、リース契約を継承した者が毎月負担することになるリース料が表示される。納車予定日表示領域210には、継承希望日入力領域107に入力された年月日またはそれ以降の年月日が表示される。車庫証明の取得に要する期間や、使用者変更に要する期間を考慮した日付を納車予定日表示領域210に表示することもできる。
【0068】
登録受付部1bが複数の自動車特定情報、希望時期特定情報及び画像の登録を受け付けた場合、配信部1cは、複数の自動車特定情報、希望時期特定情報及び画像をユーザ端末20、30、40、・・・に配信する。この場合、自動車毎に、図5に示すような情報配信用ユーザインターフェース200を生成する。また、配信されたユーザ端末20、30、40、・・・側では、配信された情報を一覧形式で表示させてユーザによる選択を受け付けるように構成することもできる。この場合、ユーザにより選択された情報は、図5に示すような情報配信用ユーザインターフェース200で詳細表示される。
【0069】
配信された情報を取得したユーザは、自動車の状態やリース料、納車予定日等に基づいてリース契約を継承するか否かを検討できる。つまり、リース契約を継承するか否かの検討材料を継承仲介システムSが提供することができるので、ユーザは具体的な情報に基づいた検討を進めることができ、リース契約を継承すると意思決定する可能性が高まる。
【0070】
リース契約を継承することを決めたユーザは、「継承する」との連絡をユーザ端末から本体部1に送信する。「継承する」との連絡は、電話やFAX等の他の通信手段であってもよいし、店舗等に出向いて直接伝達する形態であってもよい。「継承する」との連絡を受信した本体部1では、現在リース契約している契約者に対して継承希望者が現れたことを通知する。また、その自動車に関する情報の配信を停止するとともに、他のユーザからの連絡を受け付けないようにする。商談や契約の引き継ぎ業務は各店舗で行う。
【0071】
(ユーザオークション機能)
継承仲介システムSは、ユーザオークション機能を備えていてもよい。ユーザオークション機能は、現在リース契約している自動車の希望売価を現在の契約者が設定し、他のユーザが希望買値を提示し、最高値を提示したユーザを特定する機能である。原則として、最高値を提示したユーザが自動車を買い取りできる。継承仲介システムSの管理者は、ストップ高となる値段を設定することができ、その値段を超える値段での取引は行われないようにする。
【0072】
(ユーザ同士のコミュニケーション機能)
継承仲介システムSは、ユーザ同士のコミュニケーション機能を備えていてもよい。配信された情報に基づいてリース契約の継承を検討している段階で、その者がより詳細な情報を得たいと考えることがある。この場合、現在リース契約している契約者が使用する第1ユーザ端末10と、リース契約の継承を検討している者が使用する別のユーザ端末(例えば第2ユーザ端末20)とを通信可能に接続してユーザ同士でコミュニケーションさせてもよい。このコミュニケーションには、継承仲介システムSの管理者や店舗の者が参加してもよい。コミュニケーション時には、図1に示すカメラ10f及びマイク10gを利用することで、ユーザ同士で相手を確認しながら相談等できる。また、カメラ10fを移動させることで、自動車の所望箇所の状態をより詳細に伝えることができる。尚、コミュニケーション機能を実現するためには、従来から周知のオンラインミーティング用のアプリケーションを利用できる。
【0073】
(仮想空間表示機能)
継承仲介システムSは、仮想空間表示機能を備えていてもよい。仮想空間表示機能は、登録受付部1bが複数の自動車特定情報、希望時期特定情報及び画像の登録を受け付けた場合に実行される機能である。複数の自動車特定情報、希望時期特定情報及び画像が登録されて他のユーザ端末20、30、40、・・・に配信されると、ユーザ端末20、30、40、・・・の表示部には、複数の画像が並んだ仮想空間を表示させる。仮想空間の表示形態の一例を図6の左側に示している。
【0074】
すなわち、ユーザ端末20、30、40、・・・の表示部には、仮想空間表示画面300の表示が可能になっている。仮想空間表示画面300は、継承仲介システムSから受信したデータに基づいて生成されるものであってもよいし、ユーザ端末20、30、40、・・・の記憶部等に記憶されたアプリケーションによって生成されるものであってもよい。仮想空間表示画面300には、仮想店舗301と、仮想展示場302とが設けられている。仮想展示場302には、ユーザにより入力されて登録受付部1bに登録されている自動車の画像が実際の自動車展示場のように並べて表示される。この表示データは、本体部1が生成する。仮想展示場302に表示された複数の自動車の画像のうち、任意の画像をユーザがタッチ操作(選択操作)等によって選択すると、本体部1は選択された画像を特定する。画像が特定されたと判定すると、仮想空間表示画面300から詳細表示画面400に遷移し、詳細表示画面400がユーザ端末20、30、40、・・・の表示部に表示される。
【0075】
詳細表示画面400には、自動車の画像の他、車名、グレード、年式、走行距離等の車両情報が表示されるとともに、納車予定日等も表示される。仮想展示場302の別の画像を選択すれば、その画像に対応した自動車の詳細情報が詳細表示画面400に表示される。
【0076】
(検索機能)
継承仲介システムSは、検索機能を備えていてもよい。検索機能は、登録受付部1bが複数の自動車特定情報、希望時期特定情報及び画像の登録を受け付けた場合に実行される機能である。図6に示す検索画面500をユーザ端末20、30、40、・・・の表示部に表示させる。検索画面500は、継承仲介システムSから受信したデータに基づいて生成されるものであってもよいし、ユーザ端末20、30、40、・・・の記憶部等に記憶されたアプリケーションによって生成されるものであってもよい。
【0077】
検索画面500には、希望メーカー名の入力欄、希望車名の入力欄、希望色の入力欄、希望予算の入力欄、希望走行距離の入力欄等が設けられている。ユーザの希望情報が入力されると、その情報を本体部1が取得し、ユーザの希望に合致する自動車を検索する。検索の結果、ユーザの希望に合致する自動車が見つかれば、図6に示す詳細表示画面400にその自動車の情報を表示させる。
【0078】
(内装表示機能)
継承仲介システムSは、図6に示す仮想空間表示画面300上の複数の自動車の画像のうち、任意の自動車の画像が選択されると、その自動車の内装を仮想空間表示する内装表示機能を備えていてもよい。この内装表示機能では、図7に示すVR(バーチャルリアリティ)ゴーグル600をユーザ(仮想空間表示画面300上で選択操作した者)601が使用する。VRゴーグル600は従来から周知のものを用いることができ、ユーザ端末10、20、30、40、・・・に接続して使用することができる。
【0079】
VRゴーグル600で表示するための内装画像は、事前に店舗で撮影しておく。すなわち、登録受付部1bに自動車が登録されると、登録された自動車を登録した者が店舗まで乗っていき、店舗では、バーチャルリアリティ用の画像データを取得可能なカメラを使用して内装の全体を撮影する。撮影データは、自動車を特定するための情報に関連付けて記憶部5に記憶させておくことができる。
【0080】
VRゴーグル600を装着したユーザ601は、選択した自動車のリース契約を継承する前に、選択した自動車の内装画像をVRゴーグル600で見て確認できる。例えば、仮想空間表示画面300上で特定の自動車の画像を選択すると、選択された自動車の内装画像データ(バーチャルリアリティ表示可能なデータ)を本体部1がVRゴーグル600に送信する。データの送信後、VRゴーグル600を装着したままで前を向くと車両前側の内装(インストルメントパネル等)がVRゴーグル600に表示され、またVRゴーグル600を装着したままで右を向くと車両右側の内装がVRゴーグル600に表示され、またVRゴーグル600を装着したままで左を向くと車両左側の内装がVRゴーグル600に表示され、またVRゴーグル600を装着したままで後を向くと車両後側の内装(後部座席等)がVRゴーグル600に表示される。また、上及び下に向けば、天井や床の内装がVRゴーグル600に表示される。さらに、内装を一周連続して見ることや、任意のアングルで見ることも可能である。このような表示形態は、従来周知のバーチャルリアリティ技術を応用することで可能になる。
【0081】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、図3に示すようにリース契約中の自動車Aを現在の契約者Aがリース期間(7年間)の途中の3年目で手放したい場合には、例えば第1ユーザ端末10に、その自動車を特定するための自動車特定情報や、リース契約の他者への継承を希望する希望時期特定情報として継承希望時期等を入力することができる(図4参照)。このとき、契約者Aの代わりに店舗の者が入力することもできる。
【0082】
入力した自動車特定情報及び希望時期特定情報が継承仲介システムSの受信部1aにより受信されると、登録受付部1bに登録される。登録受付部1bに登録された自動車特定情報及び希望時期特定情報は他のユーザ端末20、30、40、・・・へ配信されるので、他のユーザ端末20、30、40、・・・を介してリース契約中の自動車A及びリース契約の継承希望時期を契約者Aとは別の者(図3に示す次の契約者B等)に知らせることができる。
【0083】
自動車A及び継承希望時期に関する情報を取得した者は、その自動車のリース契約を継承するか否かをリース期間が満了する前に検討できる。情報を取得した者がリース契約を継承したい場合には、契約者Aのリース契約を継承することで、契約当初の金銭的な条件のままで、自動車を使用できる。
【0084】
このように、リース契約の継承仲介システムSを利用することで、リース契約を契約期間中に別の者へ円滑に継承させることができるので、自動車の流通を促進できる。
【0085】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものであり、例えば、リース契約の継承仲介システムSは、自動車以外の物品がリース物件になっている場合についても利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
以上説明したように、本発明に係る継承仲介システムは、各種物品のリース契約を継承させる場合に利用できる。
【符号の説明】
【0087】
S リース契約の継承仲介システム
1a 受信部
1b 登録受付部
1c 配信部
10、20、30、40 ユーザ端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7