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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152025
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】機器取付構造
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/12 20060101AFI20231005BHJP
   H02G 3/08 20060101ALN20231005BHJP
【FI】
H05K7/12 S
H02G3/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061948
(22)【出願日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100091524
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 充夫
(72)【発明者】
【氏名】久保 正彦
(72)【発明者】
【氏名】小川 伊彦
(72)【発明者】
【氏名】石井 寛明
【テーマコード(参考)】
4E353
5G361
【Fターム(参考)】
4E353AA17
4E353BB02
4E353BB06
4E353CC02
4E353CC12
4E353CC13
4E353CC16
4E353CC33
4E353DD02
4E353DD05
4E353DR12
4E353DR23
4E353DR27
4E353DR49
4E353GG21
5G361AA07
5G361AB01
5G361AC13
(57)【要約】
【課題】機器をレール部材から取り外す際の作業性を向上することができる機器取付構造を提供する。
【解決手段】レール部材に機器を取り付けるための機器取付構造は、機器に固定され、レール部材の幅方向の一方側からレール部材と係合する固定部材と、固定部材に対して移動可能であり、レール部材の幅方向の他方側からレール部材と係合する移動部材と、移動部材をレール部材と係合する付勢方向へ付勢する付勢部材とを備える。移動部材は、レール部材と係合する係合位置と当該係合が解除された第1解除位置とに付勢方向に沿って移動可能であり、且つ、第1解除位置と第2解除位置とに付勢方向と交差する交差方向に沿って移動可能である。移動部材は、付勢方向を向き、固定部材と接触可能な接触面を備える。固定部材は、付勢方向とは反対を向き、付勢部材に付勢された第2解除位置の移動部材の接触面に接触される被接触面を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール部材に機器を取り付けるための機器取付構造であって、
前記機器に固定され、前記レール部材の幅方向の一方側から前記レール部材に設けられた一対の被係合部の一方と係合する一方側係合部を有する固定部材と、
前記固定部材に対して移動可能であり、前記レール部材の前記幅方向の他方側から前記レール部材に設けられた前記一対の被係合部の他方と係合する他方側係合部を有する移動部材と、
前記移動部材を前記他方側係合部から前記一方側係合部へ向かう付勢方向へ付勢する付勢部材と、を備え、
前記移動部材は、前記他方側係合部が前記一対の被係合部の他方と係合する係合位置と、前記被係合部との係合が解除された第1解除位置とに、前記付勢方向に沿って移動可能であり、且つ、前記第1解除位置と、第2解除位置とに、前記付勢方向と交差する交差方向に沿って移動可能であり、
前記移動部材は、前記付勢方向を向き、前記固定部材と接触可能な接触面を備え、
前記固定部材は、前記付勢方向とは反対を向き、前記付勢部材に付勢された前記第2解除位置の前記移動部材の前記接触面に接触される被接触面を備える機器取付構造。
【請求項2】
前記固定部材及び前記移動部材の一方は、前記付勢方向に沿って延びた縦溝部と、前記縦溝部と連続しており且つ前記縦溝部から前記交差方向に延びた横溝部とを有する位置決め溝部を備え、
前記固定部材及び前記移動部材の他方は、前記位置決め溝部に挿入されており且つ前記位置決め溝部に沿って移動可能である位置決め凸部を備え、
前記接触面は、前記横溝部及び前記位置決め凸部の一方に設けられ、
前記被接触面は、前記横溝部及び前記位置決め凸部の他方に設けられ、
前記移動部材が前記第2解除位置に位置するとき、前記位置決め凸部は前記横溝部に位置し、
前記移動部材が前記第1解除位置に位置するとき、前記位置決め凸部は前記縦溝部における前記横溝部との境界部に位置し、
前記移動部材が前記係合位置に位置するとき、前記位置決め凸部は前記縦溝部における前記境界部とは異なる位置にある請求項1に記載の機器取付構造。
【請求項3】
前記固定部材は、前記位置決め溝部を備え、
前記移動部材は、前記位置決め凸部を備え、
前記固定部材は、
前記機器に取り付けられる取付板と、
前記取付板から前記交差方向に突出した突出板と、を備え、
前記位置決め溝部は、前記突出板に形成されている請求項2に記載の機器取付構造。
【請求項4】
前記固定部材は、前記位置決め溝部を備え、
前記移動部材は、前記位置決め凸部を備え、
前記固定部材は、
前記機器に取り付けられる取付板と、
前記取付板から前記交差方向に突出した突出板と、を備え、
前記縦溝部は、前記突出板に形成され、
前記横溝部は、前記取付板に形成されている請求項2に記載の機器取付構造。
【請求項5】
複数の前記位置決め溝部と、
複数の前記位置決め溝部の各々に対応して設けられた複数の前記位置決め凸部と、を備え、
複数の前記位置決め溝部及び複数の前記位置決め凸部は、前記一方側係合部が前記レール部材の前記一対の被係合部の一方と係合し且つ前記他方側係合部が前記レール部材の前記一対の被係合部の他方と係合しているときの、前記レール部材の長手方向に対応する方向に並んでいる請求項2から4のいずれか1項に記載の機器取付構造。
【請求項6】
前記固定部材及び前記移動部材の一方は、前記位置決め溝部より前記付勢方向側に形成され且つ前記付勢方向に沿って延びた追加溝部を更に備え、
前記固定部材及び前記移動部材の他方は、前記追加溝部に挿入されており且つ前記追加溝部に沿って移動可能な追加凸部を備える請求項2から4のいずれか1項に記載の機器取付構造。
【請求項7】
前記固定部材及び前記移動部材は、金属で構成されている請求項1から4のいずれか1項に記載の機器取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レール部材に機器を取り付けるための機器取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
DIN(Deutsches Institutfur Normung)レール等のレール部材に機器を取り付けるための機器取付構造として、様々なものが提案されている。例えば、特許文献1には、バネによって付勢された斜面を有する突起部と、ホルダとを備えたレール用取付構造が開示されている。レール用取付構造は、機器に取り付けられる。レール用取付構造では、突起部とホルダとがDINレールのフランジを挟持する。これにより、機器は、レール用取付構造を介してDINレールに取り付けられる。
【0003】
レール用取付構造がDINレールに対して取り付け及び取り外しされるとき、突起部の斜面がDINレールに押し付けられる。これにより、突起部の斜面がバネの弾性力に対抗して押し下げられる。その結果、DINレールのフランジが突起部を乗り越え、レール用取付構造がDINレールに対して取り付け及び取り外しされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-13860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のレール用取付構造のように、DINレールに対する取り付け及び取り外しの際に突起部がDINレールに押し付けられる構造の場合、取り付け及び取り外しが繰り返されるにしたがって突起部に削れや曲がり等の劣化が生じるおそれがある。
【0006】
これに対して、突起部がDINレールに押し付けられるのではなく、突起部が上下にスライドされることによって突起部及びホルダによるDINレールの挟持と当該挟持の解除とが切り替えられる構造が考えられる。しかし、前記の構造の場合、突起部から手を離すと、突起がバネに付勢されて元の位置に戻ってしまう。そのため、DINレールからの取り外し中に突起部は常時把持されている必要があり、作業性が低下する。また、機器が電源等の重い物である場合、機器取付構造を機器に複数取り付ける場合がある。この場合、前記の構造では、DINレールからの取り外し中に複数の突起部が同時に把持される必要があり、更に作業性が低下する。
【0007】
従って、本開示の目的は、前記課題を解決することにあって、機器をレール部材から取り外す際の作業性を向上することができる機器取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る機器取付構造は、
レール部材に機器を取り付けるための機器取付構造であって、
前記機器に固定され、前記レール部材の幅方向の一方側から前記レール部材に設けられた一対の被係合部の一方と係合する一方側係合部を有する固定部材と、
前記固定部材に対して移動可能であり、前記レール部材の前記幅方向の他方側から前記レール部材に設けられた前記一対の被係合部の他方と係合する他方側係合部を有する移動部材と、
前記移動部材を前記他方側係合部から前記一方側係合部へ向かう付勢方向へ付勢する付勢部材と、を備え、
前記移動部材は、前記他方側係合部が前記一対の被係合部の他方と係合する係合位置と、前記被係合部との係合が解除された第1解除位置とに、前記付勢方向に沿って移動可能であり、且つ、前記第1解除位置と、第2解除位置とに、前記付勢方向と交差する交差方向に沿って移動可能であり、
前記移動部材は、前記付勢方向を向き、前記固定部材と接触可能な接触面を備え、
前記固定部材は、前記付勢方向とは反対を向き、前記付勢部材に付勢された前記第2解除位置の前記移動部材の前記接触面に接触される被接触面を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、機器をレール部材から取り外す際の作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示に係る第1実施形態の機器取付構造と機器とレール部材とを示す斜視図である。
図2】本開示に係る第1実施形態の機器取付構造と機器とを示す斜視図である。
図3】本開示に係る第1実施形態の機器取付構造を移動部材側から見た分解斜視図である。
図4】本開示に係る第1実施形態の機器取付構造を固定部材側から見た分解斜視図である。
図5】移動部材が係合位置のときの第1実施形態の機器取付構造と機器とレール部材とを示す側面図である。
図6】移動部材が第1解除位置のときの第1実施形態の機器取付構造と機器とレール部材とを示す側面図である。
図7】移動部材が第2解除位置のときの第1実施形態の機器取付構造と機器とレール部材とを示す側面図である。
図8】本開示に係る第2実施形態の機器取付構造と機器とレール部材とを示す斜視図である。
図9】本開示に係る第2実施形態の機器取付構造の固定部材を示す斜視図である。
図10】本開示に係る第3実施形態の機器取付構造と機器とレール部材とを示す斜視図である。
図11】本開示に係る第3実施形態の機器取付構造を移動部材側から見た分解斜視図である。
図12】移動部材が係合位置のときの図10のA-A断面図である。
図13】移動部材が第1解除位置のときの図10のA-A断面図である。
図14】移動部材が第2解除位置のときの図10のA-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
図1は、本開示に係る第1実施形態の機器取付構造と機器とレール部材とを示す斜視図である。図2は本開示に係る第1実施形態の機器取付構造と機器とを示す斜視図である。以下の説明において、方向が示される場合に、各図中に示されたX,Y,Z方向が用いられる。X方向、Y方向、Z方向は、各図中の矢印の方向を示し、X方向と逆方向、Y方向と逆方向、Z方向と逆方向は、各図中の矢印とは逆の方向を示す。
【0012】
図1に示すように、機器取付構造10は、機器50をレール部材40に取り付けるための構造物である。
【0013】
図1及び図2に示される機器50は、例えば、電源装置、モータのサーボドライバ、温度調節装置、センサユニット、通信ユニット、及び端子台等である。第1実施形態において、機器50は、電源装置やサーボドライバ等、温度調節装置、センサユニット、通信ユニット、及び端子台等に比べて重いものが採用されている。各図において、X方向は機器50の奥行き方向を示し、Y方向は機器50の幅方向を示し、Z方向は機器50の高さ方向を示す。X方向、Y方向、及びZ方向は、互いに直交する。
【0014】
図1に示すように、レール部材40は、機器50等の少なくとも1つの機器が取り付けられるものである。第1実施形態において、レール部材40はDIN(Deutsches Institutfur Normung)レールである。各図において、X方向はレール部材40の厚み方向を示し、Y方向はレール部材40の長手方向を示し、Z方向はレール部材40の幅方向を示す。
【0015】
レール部材40は、ドイツ工業規格(DIN: Deutsches Institutfur Normung)に従って製造されている。レール部材40は、制御盤等に取り付けられる。レール部材40には、機器50が取り付けられる。機器50は、機器取付構造10を介してレール部材40に取り付けられる。
【0016】
レール部材40は、Y方向に延びている。レール部材40のZ方向(幅方向)の長さは、レール部材40のY方向(長手方向)の長さより短い。レール部材40の厚み方向(X方向)の長さは、レール部材40のZ方向(幅方向)の長さより短い。レール部材40のXZ断面は、概ねU字形状である。
【0017】
レール部材40は、底部41と、一対の側部42A,42Bと、一対のフランジ部43A,43Bとを備える。レール部材40は、板状の部材が屈曲されることによって、XZ断面が概ねU字形状に構成されている。
【0018】
底部41は、Y方向及びZ方向に拡がっている。一対の側部42A,42Bは、底部41のZ方向に沿った両端部からX方向と逆方向に突出している。フランジ部43Aは、側部42Aの先端部(X方向と逆方向の端部)からZ方向に突出している。フランジ部43Bは、側部42Bの先端部(X方向と逆方向の端部)からZ方向と逆方向に突出している。一対のフランジ部43A,43Bは、一対の被係合部の一例である。フランジ部43Aは、一対の被係合部の一方の一例である。フランジ部43Bは、一対の被係合部の他方の一例である。
【0019】
なお、レール部材40は、DINレールに限らない。レール部材40は、後述される機器取付構造10と係合する一対の被係合部を有していればよい。例えば、レール部材40の各寸法が、DINレールで規定された各寸法と異なっていてもよい。また、例えば、レール部材40における底部41と一対の側部42A,42Bとが直交していない等、レール部材40がDINレールと異なる形状であってもよい。
【0020】
図1及び図2に示すように、機器取付構造10は、機器50に固定される固定部材20と、固定部材20に対して相対的に移動可能である移動部材30と、固定部材20と移動部材30とを連結する付勢部材80とを備える。
【0021】
第1実施形態において、固定部材20及び移動部材30は、ステンレス鋼等の金属で構成されている。なお、固定部材20及び移動部材30は、ステンレス鋼以外の金属で構成されていてもよいし、樹脂等の金属以外の材料で構成されていてもよい。また、固定部材20及び移動部材30は、同一の材料で構成されていてもよいし、異なる材料で構成されていてもよい。
【0022】
図3は、本開示に係る第1実施形態の機器取付構造を移動部材側から見た分解斜視図である。図4は、本開示に係る第1実施形態の機器取付構造を固定部材側から見た分解斜視図である。
【0023】
図3及び図4に示すように、固定部材20は、機器50に取り付けられる取付板21A,21B,21Cと、一対の取付板21A,21BからX方向に突出した一対の突出板22A,22Bと、一対の突出板22A,22Bを連結する連結板23と、連結板23及び取付板21Cを連結する連結板24と、取付板21CのY方向に沿った両端部から突出する一対の突出板25A,25Bとを備える。X方向は、交差方向の一例である。なお、固定部材20の形状は、図3及び図4に示す形状に限らない。例えば、固定部材20は取付板21Cを備えておらず、一対の突出板25A,25Bは一対の取付板21A,21Bから突出していてもよい。
【0024】
取付板21A,21B,21Cには、貫通孔21Dが形成されている。図1及び図2に示すように、各貫通孔21Dを貫通するネジ90によって、取付板21A,21B,21Cは、機器50に取り付けられる。なお、取付板21A,21B,21Cが機器50に取り付けられる手段は、ネジ90によるものに限らない。例えば、取付板21A,21B,21Cは、接着、溶接、嵌合等によって機器50に取り付けられてもよい。
【0025】
図3に示すように、一対の突出板22A,22Bは、Y方向に隙間を空けて対向している。この隙間に、移動部材30が配置される。
【0026】
一対の突出板25A,25Bの各々には、切欠き25Aa,25Baが形成されている。図1に示すように、切欠き25Aa,25Baは、レール部材40のフランジ部43Aと係合可能である。切欠き25Aa,25Baは、一方側係合部の一例である。なお、固定部材20が備える一方側係合部(第1実施形態では切欠き25Aa,25Ba)の数は2つに限らない。
【0027】
連結板23には、掛け部26が設けられている。掛け部26には、付勢部材80の他端部80Bが接続される。第1実施形態において、付勢部材80はコイルバネである。なお、付勢部材80は、コイルバネに限らず、例えば板バネであってもよい。
【0028】
図3及び図4に示すように、一対の突出板22A,22Bの各々には、溝部27が形成されている。前述したように、一対の突出板22A,22Bは、Y方向に隙間を空けて対向している。つまり、2つの溝部27は、Y方向に並んでいる。
【0029】
2つの溝部27の各々には、後述する移動部材30の凸部35が挿入される。溝部27内の凸部35の位置によって、移動部材30の位置が規定される。溝部27は、位置決め溝部の一例である。なお、固定部材20に形成される溝部27の数は2つに限らず、1つでもよいし3つ以上でもよい。例えば、固定部材20が突出板22A,22Bに加えて突出板22A,22Bの一方とY方向に隙間を空けて対向した突出板を更に備え、この突出板にも溝部27が形成されていてもよい。この場合、固定部材20に形成される溝部27の数は3つである。
【0030】
2つの溝部27の各々は、Z方向に沿って延びた縦溝部27Aと、縦溝部27Aと連続しており且つ縦溝部27AからX方向に沿って延びた横溝部27Bとを有する。横溝部27Bは、縦溝部27AにおけるZ方向と逆方向の端部である境界部27AaからX方向へ延びている。第1実施形態において、縦溝部27AはZ方向と平行であるが、縦溝部27AはZ方向に対して傾斜していてもよい。同様に、第1実施形態において、横溝部27BはX方向と平行であるが、横溝部27BはX方向に対して傾斜していてもよい。
【0031】
一対の突出板22A,22Bの各々には、溝部28が形成されている。溝部28は、溝部27よりZ方向側に形成されている。2つの溝部28の各々には、後述する移動部材30の凸部36が挿入される。溝部28は、Z方向に沿って延びている。溝部27は、追加溝部の一例である。なお、溝部27と同様に、固定部材20に形成される溝部28の数は2つに限らない。また、第1実施形態において、溝部28はZ方向と平行であるが、溝部28はZ方向に対して傾斜していてもよい。
【0032】
移動部材30は、底板31と、底板31からX方向に突出した一対の突出板32A,32Bとを備える。なお、移動部材30の形状は、図3及び図4に示す形状に限らない。例えば、突出板32A,32Bは、X方向に対いて傾斜する方向に突出していてもよい。
【0033】
一対の突出板32A,32Bは、Y方向に隙間を空けて対向している。一対の突出板32A,32Bの各々には、切欠き33A,33Bが形成されている。切欠き33A,33Bは、レール部材40のフランジ部43B(図1参照)と係合可能である。切欠き33A,33Bは、他方側係合部の一例である。なお、移動部材30が備える他方側係合部(第1実施形態では切欠き33A,33B)の数は2つに限らない。
【0034】
図3及び図4に示すように、底板31には、掛け部34が設けられている。掛け部34には、付勢部材80の一端部80Aが接続される。これにより、移動部材30は、付勢部材80を介して固定部材20に連結されている。また、移動部材30は、付勢部材80の伸縮に応じて固定部材20に対してZ方向に沿って移動可能である。また、前述したように、移動部材30は、固定部材20の一対の突出板22A,22Bの間に配置されている。そのため、Z方向に移動する移動部材30がY方向へ移動することが低減される。
【0035】
一対の突出板32A,32Bの各々は、凸部35を備える。前述したように、一対の突出板32A,32Bは、Y方向に隙間を空けて対向している。つまり、2つの凸部35は、Y方向に並んでいる。
【0036】
2つの凸部35の各々は、固定部材20の溝部27に挿入される。つまり、2つの凸部35の各々は、2つの溝部27の各々に対応して設けられている。凸部35は、移動部材30の移動に応じて、溝部27に沿って移動する。前述したように、溝部27内の凸部35の位置によって、移動部材30の位置が規定される。凸部35は、位置決め凸部の一例である。なお、移動部材30が備える凸部35の数は2つに限らず、1つでもよいし3つ以上でもよい。凸部35の数は、固定部材20に形成される溝部27の数に応じて決定される。
【0037】
一対の突出板32A,32Bの各々は、凸部36を備える。凸部36は、凸部35よりZ方向側に位置している。2つの凸部36の各々は、固定部材20の溝部28に挿入される。凸部36は、移動部材30の移動に応じて、溝部28に沿って移動する。凸部36は、追加凸部の一例である。なお、移動部材30が備える凸部36の数は2つに限らない。凸部36の数は、固定部材20に形成される溝部28の数に応じて決定される。
【0038】
凸部35が溝部27に挿入され且つ凸部36が溝部28に挿入された状態において、移動部材30は付勢部材80によってZ方向に付勢されている。Z方向は、切欠き33A,33Bから切欠き25Aa,25Baに向かう方向である。Z方向は、付勢方向の一例である。
【0039】
図5は、移動部材が係合位置のときの第1実施形態の機器取付構造と機器とレール部材とを示す側面図である。図6は、移動部材が第1解除位置のときの第1実施形態の機器取付構造と機器とレール部材とを示す側面図である。図7は、移動部材が第2解除位置のときの第1実施形態の機器取付構造と機器とレール部材とを示す側面図である。
【0040】
以下、図5図7が参照されつつ、機器取付構造10がレール部材40から取り外される過程(言い換えると、機器取付構造10が取り付けられた機器50がレール部材40から取り外される過程)が説明される。
【0041】
図5に示すように、固定部材20の切欠き25Aa,25Baは、レール部材40の幅方向の一方側からレール部材40のフランジ部43Aと係合する。一方、移動部材30の切欠き33A,33Bは、レール部材40の幅方向の他方側からレール部材40のフランジ部43Bと係合する。このように、機器取付構造10は、Z方向及びZ方向と逆方向からレール部材40を挟み込むようにして、レール部材40に取り付けられる。
【0042】
移動部材30は付勢部材80によってZ方向に付勢されている。
【0043】
これにより、移動部材30の切欠き33A,33Bは、前述したように、レール部材40の幅方向の他方側からレール部材40のフランジ部43Bと係合する。このときの移動部材30の位置、つまり図5に示す移動部材30の位置が係合位置である。
【0044】
また、これにより、移動部材30の凸部35は、溝部27の縦溝部27AのZ方向の端部に位置している。また、これにより、移動部材30の凸部36は、溝部28のZ方向の端部に位置している。
【0045】
機器取付構造10がレール部材40から取り外される場合、最初に、移動部材30が把持されて付勢部材80の付勢力に抗してZ方向に沿ってZ方向と逆方向に移動される。
【0046】
これにより、図6に示すように、切欠き33A,33Bは、レール部材40のフランジ部43Bと離れる。これにより、フランジ部43Bとの係合が解除される。このときの移動部材30の位置、つまり図6に示す移動部材30の位置が第1解除位置である。
【0047】
また、これにより、凸部35は、縦溝部27AのZ方向の端部から縦溝部27AのZ方向と逆方向の端部へ向けて縦溝部27Aに沿って移動し、凸部36は、溝部28のZ方向の端部からZ方向と逆方向に、溝部28に沿って移動する。これにより、移動部材30が第1解除位置に位置しているとき、凸部35は、縦溝部27AのZ方向の端部とは異なる位置である境界部27Aaに位置している。
【0048】
なお、移動部材30が第1解除位置のときに移動部材30が把持されなくなると、移動部材30は、付勢部材80に付勢されて係合位置に移動する。
【0049】
次に、図7に示すように、把持された移動部材30がX方向に沿ってX方向と逆方向に移動される。このとき、切欠き33A,33Bとフランジ部43Bとの係合は解除されたままである。このときの移動部材30の位置、つまり図7に示す移動部材30の位置が第2解除位置である。
【0050】
移動部材30がX方向と逆方向に移動されることにより、凸部35は、縦溝部27Aから横溝部27BへX方向に沿って移動する。つまり、移動部材30が第2解除位置のとき、凸部35は横溝部27Bに位置する。なお、このとき、凸部36は、溝部28を構成する面と接触するため、X方向と逆方向へ移動しない。よって、移動部材30は、凸部36と溝部28を構成する面との接触位置を中心として、第1係合位置から第2係合位置へX方向と逆方向へ回動する。
【0051】
移動部材30が第2係合位置のときに移動部材30が把持されなくなると、移動部材30は、付勢部材80に付勢されてZ方向へ移動しようとする。しかし、凸部35の外面のうち、Z方向を向く面35Aが横溝部27Bを構成する面であってZ方向と逆方向を向く面27Baと接触するため、移動部材30のZ方向への移動は規制される。そのため、移動部材30が第2解除位置のときに移動部材30が把持されなくなっても、移動部材30の位置は第2解除位置に維持される。面35Aは、接触面の一例である。面27Baは、被接触面の一例である。
【0052】
なお、機器取付構造10のレール部材40への取り付けは、例えば、以下のようにして実行される。つまり、移動部材30が第2解除位置とされた状態で、固定部材20の切欠き25Aa,25Baがレール部材40のフランジ部43Aと係合される。次に、移動部材30が第2解除位置から第1解除位置へ移動される。その後、移動部材30の把持が解除される。これにより、移動部材30が付勢部材80に付勢されて第1解除位置から係合位置へ移動し、移動部材30の切欠き33A,33Bがレール部材40のフランジ部43Bと係合される。
【0053】
第1実施形態によれば、移動部材30が第1解除位置のとき、移動部材30が把持されていない場合に、移動部材30は付勢部材80に付勢されて係合位置に戻る。一方、移動部材30が第2解除位置のとき、移動部材30が把持されていない場合であっても、移動部材30の係合位置への移動は溝部27の面27Baによって規制される。そのため、移動部材30が第2解除位置のとき、移動部材30が把持されていなくても、移動部材30の切欠き33A,33Bとレール部材40のフランジ部43Bとの係合が解除された状態を保持することができる。よって、機器取付構造10のレール部材40からの取り外し中に移動部材30が常時把持されている必要がない。その結果、機器取付構造10のレール部材40から取り外す際の作業性を向上することができる。
【0054】
第1実施形態によれば、凸部35が溝部27に沿って移動することによって、移動部材30は係合位置、第1解除位置、及び第2解除位置に移動する。そのため、移動する移動部材30の固定部材20に対する相対位置を安定させることができる。
【0055】
仮に、機器取付構造10が溝部27と凸部35とを1つずつのみ備えている場合、機器取付構造10がレール部材40に取り付けられている状態において、機器取付構造10がレール部材40の長手方向(Y方向)に対して傾くおそれがある。しかし、第1実施形態によれば、機器取付構造10が溝部27と凸部35とを複数ずつ備え、複数の溝部27及び複数の凸部35は、Y方向に並んでいる。そのため、機器取付構造10がレール部材40に取り付けられている状態において、機器取付構造10がレール部材40の長手方向に対して傾く可能性を低くすることができる。
【0056】
第1実施形態によれば、移動部材30が第1解除位置と第2解除位置との間を移動するときに、凸部36を中心として移動部材30を回動させることができる。そのため、移動部材30の第1解除位置と第2解除位置との間の移動を安定して実行することができる。
【0057】
仮に、固定部材20及び移動部材30が樹脂で構成されている場合、機器取付構造10は電源等の重い機器を支えることが困難である。第1実施形態によれば、固定部材20及び移動部材30が金属で構成されている。そのため、機器取付構造10が固定される機器50が電源等の重い物である場合であっても、機器を容易に支えることができる。
【0058】
第1実施形態及び後述する第2実施形態では、縦溝部27AがZ方向に沿って延びており、横溝部27BがX方向に沿って延びているが、縦溝部27A及び横溝部27Bが延びる方向は前記の方向に限らない。例えば、縦溝部27AがZ方向に対して傾斜する方向に沿って延びていてもよいし、横溝部27BがX方向に対して傾斜する方向に沿って延びていてもよい。
【0059】
第1実施形態及び後述する第2実施形態では、縦溝部27Aが延びる方向と横溝部27Bが延びる方向とは、直交しているが、両方向は交差していればよい。例えば、縦溝部27AがZ方向に沿って延びている一方で、横溝部27BがX方向に対して傾斜する方向に沿って延びていてもよい。
【0060】
第1実施形態及び後述する第2実施形態では、固定部材20が溝部27,28を備え、移動部材30が凸部35,36を備える。つまり、固定部材20が位置決め溝部及び追加溝部を備え、移動部材30が位置決め凸部及び追加凸部を備える。
【0061】
しかし、これとは逆に、移動部材30が位置決め溝部及び追加溝部を備え、固定部材20が位置決め溝部に挿入されて位置決め溝部に沿って移動する位置決め凸部と、追加溝部に挿入されて追加溝部に沿って移動する追加凸部とを備えていてもよい。この場合、移動部材30に設けられた位置決め溝部の横溝部は、Z方向を向き且つ固定部材20に設けられた位置決め凸部と接触可能な接触面を備える。また、固定部材20に設けられた位置決め凸部は、Z方向と逆方向を向き且つ付勢部材80に付勢された第2解除位置の移動部材30の当該接触面に接触される被接触面を備える。もちろん、この場合でも、移動部材30は、係合位置、第1解除位置、及び第2解除位置に移動する。
【0062】
前記した説明は、以下のようにも表現することができる。
【0063】
機器取付構造10は、レール部材40に機器50を取り付けるためのものである。
前記機器取付構造10は、
前記機器50に固定され、前記レール部材40の幅方向(Z方向)の一方側から前記レール部材40に設けられた一対の被係合部の一方(フランジ部43A)と係合する一方側係合部(切欠き25Aa,25Ba)を有する固定部材20と、
前記固定部材20に対して移動可能であり、前記レール部材40の前記幅方向(Z方向)の他方側から前記レール部材40に設けられた前記一対の被係合部の他方(フランジ部43B)と係合する他方側係合部(切欠き33A,33B)を有する移動部材30と、
前記移動部材30を前記他方側係合部(切欠き33A,33B)から前記一方側係合部(切欠き25Aa,25Ba)へ向かう付勢方向(Z方向)へ付勢する付勢部材80と、を備え、
前記移動部材30は、前記他方側係合部(切欠き33A,33B)が前記一対の被係合部の他方(フランジ部43B)と係合する係合位置と、前記被係合部(フランジ部43B)との係合が解除された第1解除位置とに、前記付勢方向(Z方向)に沿って移動可能であり、且つ、前記第1解除位置と、第2解除位置とに、前記付勢方向(Z方向)と交差する交差方向(X方向)に沿って移動可能であり、
前記移動部材30は、前記付勢方向(Z方向)を向き、前記固定部材20と接触可能な接触面(面35A)を備え、
前記固定部材20は、前記付勢方向(Z方向)とは反対を向き、前記付勢部材80に付勢された前記第2解除位置の前記移動部材30の前記接触面(面35A)に接触される被接触面(面27Ba)を備える。
【0064】
前記固定部材20及び前記移動部材30の一方は、前記付勢方向(Z方向)に沿って延びた縦溝部27Aと、前記縦溝部27Aと連続しており且つ前記縦溝部27Aから前記交差方向(X方向)に延びた横溝部27Bとを有する位置決め溝部(溝部27)を備え、
前記固定部材20及び前記移動部材30の他方は、前記位置決め溝部(溝部27)に挿入されており且つ前記位置決め溝部(溝部27)に沿って移動可能である位置決め凸部(凸部35)を備え、
前記接触面(面35A)は、前記横溝部27B及び前記位置決め凸部(凸部35)の一方に設けられ、
前記被接触面(面27Ba)は、前記横溝部27B及び前記位置決め凸部(凸部35)の他方に設けられ、
前記移動部材30が前記第2解除位置に位置するとき、前記位置決め凸部(凸部35)は前記横溝部27Bに位置し、
前記移動部材30が前記第1解除位置に位置するとき、前記位置決め凸部(凸部35)は前記縦溝部27Aにおける前記横溝部27Bとの境界部27Aaに位置し、
前記移動部材30が前記係合位置に位置するとき、前記位置決め凸部(凸部35)は前記縦溝部27Aにおける前記境界部27Aaとは異なる位置にある。
【0065】
前記固定部材20は、前記位置決め溝部(溝部27)を備え、
前記移動部材30は、前記位置決め凸部(凸部35)を備え、
前記固定部材20は、
前記機器50に取り付けられる取付板21A,21Bと、
前記取付板21A,21Bから前記交差方向(X方向)に突出した突出板22A,22Bと、を備え、
前記位置決め溝部(溝部27)は、前記突出板22A,22Bに形成されている。
【0066】
複数の前記位置決め溝部(溝部27)と、
複数の前記位置決め溝部(溝部27)の各々に対応して設けられた複数の前記位置決め凸部(凸部35)と、を備え、
複数の前記位置決め溝部(溝部27)及び複数の前記位置決め凸部(凸部35)は、前記一方側係合部(切欠き25Aa,25Ba)が前記レール部材40の前記一対の被係合部の一方(フランジ部43A)と係合し且つ前記他方側係合部(切欠き33A,33B)が前記レール部材40の前記一対の被係合部の他方(フランジ部43B)と係合しているときの、前記レール部材40の長手方向(Y方向)に対応する方向に並んでいる。
【0067】
前記固定部材20及び前記移動部材30の一方は、前記位置決め溝部(溝部27)より前記付勢方向(Z方向)側に形成され且つ前記付勢方向(Z方向)に沿って延びた追加溝部(溝部28)を更に備え、
前記固定部材20及び前記移動部材30の他方は、前記追加溝部(溝部28)に挿入されており且つ前記追加溝部(溝部28)に沿って移動可能な追加凸部(凸部36)を備える。
【0068】
前記固定部材20及び前記移動部材30は、金属で構成されている。
【0069】
<第2実施形態>
図8は、本開示に係る第2実施形態の機器取付構造と機器とレール部材とを示す斜視図である。図9は、本開示に係る第2実施形態の機器取付構造の固定部材を示す斜視図である。
【0070】
第2実施形態の機器取付構造10Aが第1実施形態の機器取付構造10と異なる点は、第2実施形態の機器取付構造10Aでは、溝部27の横溝部27Bが、取付板21Aに形成されている点である。以下、第1実施形態との相違点が説明される。第1実施形態の機器取付構造10との共通点については、同一の符号が付された上で、その説明は原則省略され、必要に応じて説明される。
【0071】
図8及び図9に示すように、機器取付構造10Aでは、溝部27は、一対の突出板22A,22Bの各々と、一対の取付板21A,21Bの各々とに形成されている。溝部27の縦溝部27Aは、一対の突出板22A,22Bの各々に形成されている。溝部27の横溝部27Bは、一対の取付板21A,21Bの各々に形成されている。
【0072】
第2実施形態によれば、縦溝部27Aは一対の突出板22A,22Bの各々に形成され、横溝部27Bは一対の取付板21A,21Bの各々に形成されている。そのため、縦溝部27A及び横溝部27Bの双方が一対の突出板22A,22Bの各々に形成されている構成より、一対の突出板22A,22Bの一対の取付板21A,21Bからの突出長を短くすることができる。
【0073】
前記した説明は、以下のようにも表現することができる。
【0074】
機器取付構造10において、
前記固定部材20は、前記位置決め溝部(溝部27)を備え、
前記移動部材30は、前記位置決め凸部(凸部35)を備え、
前記固定部材20は、
前記機器50に取り付けられる取付板21A,21Bと、
前記取付板21A,21Bから前記交差方向(X方向)に突出した突出板22A,22Bと、を備え、
前記縦溝部27Aは、前記突出板22A,22Bに形成され、
前記横溝部27Bは、前記取付板21A,21Bに形成されている。
【0075】
<第3実施形態>
図10は、本開示に係る第3実施形態の機器取付構造と機器とレール部材とを示す斜視図である。図11は、本開示に係る第3実施形態の機器取付構造を移動部材側から見た分解斜視図である。
【0076】
第3実施形態の機器取付構造10Bが第1実施形態の機器取付構造10と異なる点は、第3実施形態の機器取付構造10Bでは、溝部27,28及び凸部35,36が設けられていない点である。以下、第1実施形態との相違点が説明される。第1実施形態の機器取付構造10との共通点については、同一の符号が付された上で、その説明は原則省略され、必要に応じて説明される。
【0077】
図10及び図11に示すように、機器取付構造10Bは、固定部材60と移動部材70とを備える。
【0078】
固定部材60は、掛け部65及び一対の凸部66を有する第1板61と、機器50に取り付けられる取付板として機能する第2板62と、第1板61及び第2板62を連結する連結板63と、第2板62のY方向に沿った両端部から突出する一対の突出板64A,64Bとを備える。
【0079】
第1板61には、貫通孔62Aが形成されている。各貫通孔62Aを貫通するネジ(不図示)によって、第1板61は、機器50に取り付けられる。なお、第1板61が機器50に取り付けられる手段は、ネジによるものに限らない。
【0080】
一対の突出板64A,64Bの各々には、切欠き64Aa,64Baが形成されている。切欠き64Aa,64Baは、レール部材40のフランジ部43Aと係合可能である(図10参照)。切欠き64Aa,64Baは、一方側係合部の一例である。なお、固定部材20が備える一方側係合部(第3実施形態では切欠き64Aa,64Ba)の数は2つに限らない。
【0081】
掛け部65には、付勢部材80の他端部80Bが接続される。
【0082】
一対の凸部66は、Y方向に並んでいる。一対の凸部66の間に、掛け部65が位置している。
【0083】
一対の凸部66の各々は2箇所で湾曲している。一対の凸部66の各々は、Z方向の逆方向を向く面66Aと、面66Aと連続しており且つ面66AからZ方向の逆方向へ延びた面66Bと、面66Bと連続しており、面66BからX方向の逆方向へ延び、且つZ方向の逆方向を向く面66Cとを有する。面66Aは、凸部66における2箇所の湾曲部の間に位置している。面66Cは、面66AよりZ方向の逆方向側且つX方向の逆方向側に位置している。
【0084】
なお、第1実施形態の機器取付構造10の溝部27,28及び凸部35,36と同様に、固定部材20が備える凸部66の数は2つに限らず、1つでもよいし3つ以上でもよい。
【0085】
移動部材70は、第1板71と、掛け部75を有する第2板72と、第1板71及び第2板72を連結する連結板73と、第2板62のY方向に沿った両端部から突出する一対の突出板74A,74Bとを備える。
【0086】
一対の突出板74A,74Bは、Y方向に隙間を空けて対向している。一対の突出板74A,74Bの各々には、切欠き74Aa,74Baが形成されている。切欠き74Aa,74Baは、レール部材40のフランジ部43B(図10参照)と係合可能である。切欠き74Aa,74Baは、他方側係合部の一例である。なお、移動部材30が備える他方側係合部(第3実施形態では切欠き74Aa,74Ba)の数は2つに限らない。
【0087】
掛け部75には、付勢部材80の一端部80Aが接続される。これにより、第1実施形態の機器取付構造10の移動部材30と同様に、移動部材70は、付勢部材80を介して固定部材60に連結され、付勢部材80の伸縮に応じて固定部材60に対してZ方向に沿って移動可能である。
【0088】
一対の突出板74A,74Bの各々は、凸部76を備える。2つの凸部76は、Y方向に並んでいる。
【0089】
移動部材70が付勢部材80を介して固定部材60と連結されているとき、2つの凸部76の各々は、固定部材20の一対の凸部66に隣接している。つまり、2つの凸部76の各々は、一対の凸部66の各々に対応して設けられている。凸部76は、移動部材30の移動に応じて、凸部66の面66A,66B,66Cに隣接しつつ移動する。後述するように、凸部76の位置によって、移動部材70の位置が規定される。なお、移動部材70が備える凸部76の数は2つに限らず、1つでもよいし3つ以上でもよい。凸部76の数は、固定部材60が備える凸部66の数に応じて決定される。
【0090】
図12は、移動部材が係合位置のときの図10のA-A断面図である。図13は、移動部材が第1解除位置のときの図10のA-A断面図である。図14は、移動部材が第2解除位置のときの図10のA-A断面図である。
【0091】
以下、図12図14が参照されつつ、機器取付構造10Bがレール部材40から取り外される過程(言い換えると、機器取付構造10Bが取り付けられた機器50がレール部材40から取り外される過程)が説明される。
【0092】
図12に示すように、固定部材60の切欠き64Aa,64Baは、レール部材40の幅方向の一方側からレール部材40のフランジ部43Aと係合する。一方、図12には示されていないが、移動部材70の切欠き74Aa,74Ba(図11参照)は、レール部材40の幅方向の他方側からレール部材40のフランジ部43Bと係合する。このように、機器取付構造10Bは、Z方向及びZ方向と逆方向からレール部材40を挟み込むようにして、レール部材40に取り付けられる。
【0093】
移動部材70は付勢部材80によってZ方向に付勢されている。
【0094】
これにより、移動部材70の切欠き74Aa,74Baは、前述したように、レール部材40の幅方向の他方側からレール部材40のフランジ部43Bと係合する。このときの移動部材70の位置、つまり図12に示す移動部材70の位置が係合位置である。
【0095】
また、これにより、移動部材70の凸部76は、凸部66の面66AとZ方向に対向し且つ凸部66の面66BとX方向に対向する位置にある。図12では、移動部材70が係合位置のとき、凸部76は、面66Aから離れており、面66Bと接触している。しかし、移動部材70が係合位置のとき、凸部76は、面66Aと接触していてもよいし、面66Bから離れていてもよい。
【0096】
機器取付構造10Bがレール部材40から取り外される場合、最初に、移動部材70が把持されて付勢部材80の付勢力に抗してZ方向に沿ってZ方向と逆方向に移動される。
【0097】
これにより、切欠き74Aa,74Baは、レール部材40のフランジ部43Bと離れる。これにより、フランジ部43Bとの係合が解除される。このときの移動部材70の位置、つまり図13に示す移動部材30の位置が第1解除位置である。
【0098】
また、これにより、凸部76は、Z方向の逆方向へ移動する。その結果、図13に示すように、凸部76と面66AとのZ方向の距離は大きくなる。また、凸部76は、面66BよりZ方向の逆方向側に位置する。つまり、移動部材30の第1解除位置のとき、凸部76は、面66BとX方向に対向していない。
【0099】
なお、移動部材70が第1解除位置のときに移動部材70が把持されなくなると、移動部材70は、付勢部材80に付勢されて係合位置に移動する。
【0100】
次に、図14に示すように、把持された移動部材70がX方向に沿ってX方向と逆方向に移動される。このとき、切欠き74Aa,74Baとフランジ部43Bとの係合は解除されたままである。このときの移動部材70の位置、つまり図14に示す移動部材70の位置が第2解除位置である。
【0101】
移動部材70がX方向と逆方向に移動されることにより、凸部76は、凸部66の面66Cに対してZ方向の逆方向側に位置する。つまり、凸部76は、移動部材70が第2解除位置のとき、面66CとZ方向に対向する。
【0102】
移動部材70が第2係合位置のときに移動部材70の把持されなくなると、移動部材70は、付勢部材80に付勢されてZ方向へ移動しようとする。しかし、凸部76の外面のうち、Z方向を向く面76Aが凸部66の面66Cと接触するため、移動部材70のZ方向への移動は規制される。そのため、移動部材70が第2解除位置のときに移動部材70が把持されなくなっても、移動部材70の位置は第2解除位置に維持される。面76Aは、接触面の一例である。面66Cは、被接触面の一例である。
【0103】
なお、機器取付構造10Bのレール部材40への取り付けは、例えば、以下のようにして実行される。つまり、移動部材70が第2解除位置とされた状態で、固定部材60の切欠き64Aa,64Baがレール部材40のフランジ部43Aと係合される。次に、移動部材70が第2解除位置から第1解除位置へ移動される。その後、移動部材70の把持が解除される。これにより、移動部材70が付勢部材80に付勢されて第1解除位置から係合位置へ移動し、移動部材70の切欠き74A,74Baがレール部材40のフランジ部43Bと係合される。
【0104】
なお、前記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【0105】
本開示は、適宜図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0106】
10 機器取付構造
20 固定部材
21A 取付板
21B 取付板
22A 突出板
22B 突出板
25Aa 切欠き(一方側係合部)
25Ba 切欠き(一方側係合部)
27 溝部(位置決め溝部)
27A 縦溝部
27Aa 境界部
27B 横溝部
27Ba 面(被接触面)
28 溝部(追加溝部)
30 移動部材
33A 切欠き(他方側係合部)
33B 切欠き(他方側係合部)
35 凸部(位置決め凸部)
35A 面(接触面)
36 凸部(追加凸部)
40 レール部材
43A フランジ部(被係合部)
43B フランジ部(被係合部)
50 機器
80 付勢部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14