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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152050
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/18 20060101AFI20231005BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20231005BHJP
   B60N 2/14 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B60N2/18
B60N2/90
B60N2/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061979
(22)【出願日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】細川 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】望月 慎太郎
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087AA02
3B087BA07
3B087BA12
3B087BA17
3B087BB14
3B087BB17
3B087DE09
(57)【要約】
【課題】シート本体とフロアの間に形成される空間を、有効に利用することができる乗物用シートを提供する。
【解決手段】電動式の車両用シート1は、乗物のフロアFLから所定の高さ位置に取り付けられて、フロアFLとの間に下方空間USを形成するシート本体10と、シート本体10を移動させるように駆動する駆動機構40と、駆動機構40を制御する制御手段と、を備えている。制御手段は、下方空間USに進入するリアシートの着座者の足FTの検知信号を取得し、検知信号に基づいて、シート本体10が足FTから離隔するようにリアリンク42を制御する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物のフロアから所定の高さ位置に取り付けられて、前記フロアとの間に空間を形成するシート本体と、該シート本体を移動させるように駆動する駆動機構と、該駆動機構を制御する制御手段と、を備える電動式の乗物用シートであって、
前記制御手段は、
前記空間に進入する進入物の検知信号を取得し、
該検知信号に基づいて、前記シート本体が前記進入物から離隔するように前記駆動機構を制御することを特徴とする乗物用シート。
【請求項2】
前記駆動機構は、前記シート本体を上下方向に駆動する昇降機構であり、
前記制御手段は、前記検知信号に基づいて、前記シート本体が上昇するように前記昇降機構を制御することを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項3】
前記昇降機構は、傾動可能なリンク部材を有し、
前記制御手段は、前記検知信号に基づいて、前記リンク部材が起立するように前記昇降機構を制御することを特徴とする請求項2に記載の乗物用シート。
【請求項4】
前記リンク部材は、リアリンク部材及びフロントリンク部材を有し、
前記制御手段は、前記検知信号に基づいて、前記リアリンク部材を起立させ、前記シート本体が前傾するように前記昇降機構を制御することを特徴とする請求項3に記載の乗物用シート。
【請求項5】
前記駆動機構は、前記シート本体を前後に駆動する摺動機構であり、
前記制御手段は、前記検知信号に基づいて、前記シート本体が前方に摺動するように前記摺動機構を制御することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一の請求項に記載の乗物用シート。
【請求項6】
前記駆動機構は、上下方向に延びる回転軸を中心に前記シート本体を回転駆動する回転機構であり、
前記制御手段は、前記検知信号に基づいて、前記シート本体が回転するように前記回転機構を制御することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一の請求項に記載の乗物用シート。
【請求項7】
前記制御手段は、乗員の着座状態に関する着座信号を取得し、前記検知信号を取得した際に、前記着座信号に基づいて前記シート本体を移動させないように前記駆動機構を制御することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一の請求項に記載の乗物用シート。
【請求項8】
前記制御手段は、乗物の速度に関する速度信号を取得し、前記検知信号を取得した際に、前記速度信号に基づいて前記シート本体を移動させないように前記駆動機構を制御することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一の請求項に記載の乗物用シート。
【請求項9】
前記乗物用シートは、前記進入物を検知して、前記検知信号を出力する非接触式又は接触式の進入検知センサを備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一の請求項に記載の乗物用シート。
【請求項10】
前記制御手段は、前記乗物用シートの異常の有無に関する異常検出信号を取得し、前記検知信号を取得した際に、前記異常検出信号に基づいて前記シート本体を移動させないように前記駆動機構を制御することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一の請求項に記載の乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物用シートに係り、特に、シート本体とフロアとの間に空間を形成する乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用シートは、フロアから所定の高さに取り付けられて、フロアとの間に空間(以後、この空間を下方空間と呼ぶ。)を形成している。そして車両用シートは、フロアからの高さを調整可能なハイト機構を備えており、着座者にとって最適な高さとなるように車両用シートの高さを調整することができる。
このように、車両用シートの下方に形成された下方空間は、車両用シートの高さを調整可能とするための調整用スペースとして利用されている。同時に、車両用シートの後方側に位置する下方空間は、後列の車両用シートに着座する乗員が足を載置するためのフットスペースとして利用されている。
【0003】
特許文献1に記載の車両用シートフレームは、車両用シートフレームのシート幅方向の中央に摺動機構を配置することによって、シート幅方向の両側の下方空間に空きスペースを形成している。これにより、リアシートに着座する乗員が両足を伸ばした際に、足が摺動機構と干渉することを抑制することができるとともに、着座者の両足の前方のスペースを広げることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-59420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術によれば、乗物用シートの下方空間をリアシートの着座者のフットスペースとして利用することができる。しかしながら、下方空間の有効利用に関して、更なる改善が望まれている。
詳細に説明すると、図11に示すように、近年の電気自動車の普及に伴い、動力源となる二次電池BTをフロア下に配設することが一般的に行われるようになった。これにより、フロアの位置は比較的高い位置に配置されるとともに、限られた車室空間の中で、乗物用シートの下方空間が削減される傾向にある。そのため、限られた下方空間を有効利用するための更なる改善が望まれていた。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、シート本体とフロアとの間に形成された空間を、有効に利用することができる乗物用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、本発明の乗物用シートによれば、乗物のフロアから所定の高さ位置に取り付けられて、前記フロアとの間に空間を形成するシート本体と、該シート本体を移動させるように駆動する駆動機構と、該駆動機構を制御する制御手段と、を備える電動式の乗物用シートであって、前記制御手段は、前記空間に進入する進入物の検知信号を取得し、該検知信号に基づいて、前記シート本体が前記進入物から離隔するように前記駆動機構を制御することにより解決される。
【0008】
上記構成によれば、シート本体とフロアとの間の空間に対して進入する進入物が検知されると、シート本体が、進入物から離隔するように駆動制御される。そのため、例えばリアシートに着座する着座者の足が、シート本体とフロアとの間の空間に進入すると、前列の乗物用シートは、足から離れるように上方又は前方に駆動される。これによりリアシートに着座する着座者のフットスペースが広がり、限られた下方空間を有効に利用することが可能となる。
【0009】
また、前記駆動機構は、前記シート本体を上下方向に駆動する昇降機構であり、前記制御手段は、前記検知信号に基づいて、前記シート本体が上昇するように前記昇降機構を制御すると好適である。
上記構成によれば、進入物が進入したことが検出されると、シート本体が上昇するように駆動制御される。そのため、例えばリアシートに着座する着座者の足がシート本体とフロアの間の空間に進入すると、前列の乗物用シートは、足から離れるように上方に駆動される。これにより、リアシートに着座する着座者のフットスペースが上方に広がる。結果的に、リアシートの着座者の足とシート本体の下部に配設された電装部品やケーブル配線等が接触することによって乗物用シートが損傷することを抑制することが可能となる。
【0010】
また、前記昇降機構は、傾動可能なリンク部材を有し、前記制御手段は、前記検知信号に基づいて、前記リンク部材が起立するように前記昇降機構を制御すると好適である。
上記構成によれば、乗物用シートの高さ位置を調整するハイト機構を構成するリンク部材によって昇降機構を構成しているため、専用の昇降機構を取り付ける必要がない。そのため、乗物用シートのコストアップを抑制することが可能となる。
【0011】
また、リンク部材は、リアリンク部材及びフロントリンク部材を有し、前記制御手段は、前記検知信号に基づいて、前記リアリンク部材を起立させ、前記シート本体が前傾するように前記昇降機構を制御すると好適である。
上記構成によれば、進入物の検知信号が取得されると、シート本体が前方に傾動するように駆動制御される。そのため、例えばリアシートに着座する着座者の足がシート本体とフロアとの間の空間に進入すると、前列の乗物用シートは、足から離隔するように前方に駆動される。このとき、フロントリンク部材を駆動制御する必要がないため、シート本体全体を上昇させる場合と比べて、より少ない動力で、効果的に下方空間を有効利用することが可能となる。
【0012】
また、前記駆動機構は、前記シート本体を前後に駆動する摺動機構であり、前記制御手段は、前記検知信号に基づいて、前記シート本体が前方に摺動するように前記摺動機構を制御すると好適である。
上記構成によれば、後方から進入物が進入したことが検出されると、シート本体が前方に摺動するように駆動制御される。そのため、例えばリアシートに着座する着座者の足が下方空間に進入すると、前列の乗物用シートは、足から離隔するように前方に駆動される。これにより、リアシートに着座する着座者のフットスペースが前方に広がる。結果的に、リアシートの着座者は、広がったフットスペースを利用して足を伸ばすことが可能となる。
【0013】
また、前記駆動機構は、上下方向に延びる回転軸を中心に前記シート本体を回転駆動する回転機構であり、前記制御手段は、前記検知信号に基づいて、前記シート本体が回転するように前記回転機構を制御すると好適である。
上記構成によれば、進入物の検知信号が取得されると、シート本体が上下方向に延びる回転軸を中心に回転するように駆動制御される。これにより、例えばリアシートの着座者の足がシート本体とフロアとの間の空間に進入すると、前列の乗物用シートは、45度回転する。そのため、リアシートの着座者の両足の前方側のフットスペースが広がり、この広がったフットスペースを利用して足を伸ばすことが可能となる。
【0014】
また、前記制御手段は、乗員の着座状態に関する着座信号を取得し、前記検知信号を取得した際に、前記着座信号に基づいて前記シート本体を移動させないように前記駆動機構を制御すると好適である。
上記構成によれば、着座者が着座しているときは、進入物が進入しても乗物用シートは移動しない。したがって、着座中に乗物用シートが不用意に移動されて着座者に不快感を覚えさせる事態が発生することを抑制することができる。
【0015】
また、前記制御手段は、乗物の速度に関する速度信号を取得し、前記検知信号を取得した際に、前記速度信号に基づいて前記シート本体を移動させないように前記駆動機構を制御すると好適である。
上記構成によれば、乗物が所定の速度を超える速度で走行中の場合には、進入物が進入しても乗物用シートは移動しない。したがって、走行中に乗物用シートが不用意に移動されてしまう事態が発生することを抑制し、運転手が安心して運転に集中することが可能となる。
【0016】
また、前記乗物用シートは、前記進入物を検知して、前記検知信号を出力する非接触式又は接触式の進入検知センサを備えると好適である。
上記構成によれば、進入検知センサは、進入物と物理的に接触することなく進入物を検知することができるため、進入物と進入検知センサが接触することによって進入検知センサが破損することを抑制することができる。
また、接触式の進入検知センサは、物理的に接触することによって進入を検出する。換言すると、リアシートの着座者は、接触式センサに足を当接させることによって意図的に乗物用シートを駆動させてフットスペースを広げることができるため、利便性を高めることができる。
【0017】
また、前記制御手段は、前記乗物用シートの異常の有無に関する異常検出信号を取得し、前記検知信号を取得した際に、前記異常検出信号に基づいて前記シート本体が移動しないように前記駆動機構を制御すると好適である。
上記構成によれば、異常の発生によって乗物用シートが不用意に駆動されて着座者に不快感を覚えさせる事態が発生することを抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、シート本体とフロアの間に形成された空間を、有効に利用することができる乗物用シートを提供することが可能となる。
また、本発明によれば、リアシートの着座者の足とシート本体の下部に配設された電装部品やケーブル配線等が接触することによって乗物用シートが損傷することを抑制することが可能となる。
また、本発明によれば、乗物用シートのコストアップを抑制することが可能となる。
また、本発明によれば、より少ない動力で、効果的に下方空間を有効利用することが可能となる。
また、本発明によれば、リアシートの着座者の両足の前方側のフットスペースが広がり、この広がったフットスペースを利用して足を伸ばすことが可能となる。
また、本発明によれば、着座中に乗物用シートが不用意に駆動されて着座者に不快感を覚えさせる事態が発生することを抑制することができる。
また、本発明によれば、走行中に乗物用シートが不用意に駆動されてしまう事態が発生することを抑制し、運転手が安心して運転することが可能となる。
また、本発明によれば、進入検知センサが破損することを抑制することができる。
また、本発明によれば、リアシートの着座者は、接触式センサに足を当接させることによって意図的に乗物用シートを駆動させてフットスペースを広げることができるため、利便性が高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】車両用シートの基本構成と、下方空間を説明する図である。
図2】車両用シートの骨格となるシートフレームの斜視図である。
図3A図1のIII-III断面図であって、車両用シートが下降位置にある状態を示す図である。
図3B図1のIII-III断面図であって、車両用シートが上昇位置にある状態を示す図である。
図4】車両用シートの機能構成を示す図である。
図5】進入検知センサの取付位置を説明する図である。
図6】リアリンクが回動した状態を示す図である。
図7】第二実施形態に係る車両用シートの機能構成を示す図である。
図8】車両用シートが前方にスライドした状態を示す図である。
図9】第三実施形態に係る車両用シートの機能構成を示す図である。
図10】第四実施形態に係る接触式センサの取付位置を説明する図である。
図11】二次電池がフロア下に配設された電気自動車を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1乃至図6を参照しながら、本発明の実施形態(以下、本実施形態)に係る乗物用シートについて説明する。
【0021】
本実施形態は、フロアから所定の高さ位置に取り付けられて、フロアとの間に空間を形成するシート本体と、該シート本体を移動させるように駆動する駆動機構と、該駆動機構を制御する制御手段と、を備える電動式の乗物用シートであって、前記制御手段は、前記空間に進入する進入物の検知信号を取得し、前記制御手段は、前記検知信号に基づいて、前記シート本体が前記進入物から離隔するように前記駆動機構を制御することを主な特徴とする乗物用シートの発明に関するものである。なお、以下の実施形態では、本発明に係る乗物用シートを車両用シートに適用した場合を例として説明する。
【0022】
なお、以下の説明中、「前後方向」とは、車両用シートの着座者から見たときの前後方向を意味し、車両の走行方向と一致する方向である。「シート幅方向」とは、車両用シートの横幅方向を意味し、車両用シートの着座者から見たときの左右方向と一致する。また、以下において「左」とは着座者から見たときの左を指し、同様に「右」とは着座者から見たときの右を指す。また、「高さ方向」とは、車両用シートの高さ方向を意味し、車両用シートを正面から見たときの上下方向と一致する。
【0023】
<<車両用シート1の主要構成>>
まず、図1に基づき、本実施形態に係る車両用シート1の基本構成について説明する。図1に示すように、電動式の車両用シート1は、シート本体10と、高さ調整機構40と、スライド機構50と、を主な構成として有し、乗物の車室内に取り付けられている。車両用シート1は、高さ調整機構40及びスライド機構50によって、シート本体10を車室のフロアFLに対して上下方向及び前後方向に移動させることができる。
【0024】
シート本体10は、シートクッション11、シートバック12、及びヘッドレスト13を有している。
シートクッション11は、シートクッションフレーム21(図2参照)に、シートクッションパッド11aと表皮材11bを被せることで構成されている。シートバック12は、シートバックフレーム31(図2参照)に、シートバックパッド12aと表皮材12bを被せることで構成されている。ヘッドレスト13は、ヘッドレストフレーム(不図示)に、パッドと表皮材(不図示)を被せることで構成されている。
【0025】
シートクッション11は、上面部111と、前面部(不図示)と、左右の側面部112と、後面部113と、底面部114と、を有している。上面部111は、湾曲形状を有する面状部であって、着座者が着座する着座面である。前面部は、上面部111の前端部から、前方に膨出しながら下方に延びている。側面部112は、上面部111のシート幅方向の両側から下方に延びている。後面部113は、上面部111の後端部から、前方側に傾斜しながら下方に延びている。上面部111、前面部、側面部112、及び後面部113は、表皮材11bによって被覆されている。
【0026】
底面部114は、上面部111と対向し、シートクッション11の底面を形成する。底面部114は、表皮材11bによって被覆されていない。そのため、底面部114から、後述するシートクッションフレーム21(図2参照)及び受圧部材26が露出している。
【0027】
シート本体10とフロアFLとの間には、下方空間USが形成されている。下方空間USとは、シートクッション11とフロアFLの間に形成された空間である。換言すると、下方空間USは、シート幅方向において左右の側面部112の間に位置するとともに、前後方向において前面部及び後面部113の間に位置している。
【0028】
図2に示すように、車両用シート1は、その骨格として、車両用シートフレーム20を有する。車両用シートフレーム20は、シートクッションフレーム21とシートバックフレーム31を主な構成要素としている。
車両用シートフレーム20は、車両用シート1を前後方向にスライド移動させるスライド機構50に対して、高さ調整機構40を介して固定されている。
【0029】
シートクッションフレーム21は、サイドフレームとしてのクッションサイドフレーム22と、パンフレーム23と、連結パイプとしてのフロントパイプ24と、リアパイプ25とを有している。
【0030】
クッションサイドフレーム22は、シートクッションフレーム21の左右に1つずつ配置されている。各々のクッションサイドフレーム22は、前後方向に延びている。
【0031】
左側のクッションサイドフレーム22の外側の側面には、高さ調整機構40の可動部(後述するフロントリンク41及びリアリンク42)を動作させるフロントアクチュエータ43(図4参照)及びリアアクチュエータ44が取り付けられている。
【0032】
パンフレーム23及びフロントパイプ24は、左右のクッションサイドフレーム22の前方側に介在し、左右のクッションサイドフレーム22を連結している。パンフレーム23のシート幅方向の中央には、制御装置70が取り付けられている。
リアパイプ25は、クッションサイドフレーム22の後方側で左右のクッションサイドフレーム22の間に介在するパイプ状体である。リアパイプ25は、左右のクッションサイドフレーム22を連結している。
【0033】
左右のクッションサイドフレーム22の間には、受圧部材26が配置されている。受圧部材26は、シートクッションパッド11aを介して着座者の荷重を受ける部材である。受圧部材26は、受圧板26aと、受圧板26aを支持する弾性バネ26bを有している。
受圧板26aの後端部には、上方に傾斜する傾斜部26cが形成されている。傾斜部26cには、後述する進入検知センサ60が取り付けられている。
【0034】
次に、シートバックフレーム31は、バックサイドフレーム32と、上部フレーム33と、下部フレーム34と、を有している。
バックサイドフレーム32は、シートバックフレーム31の左右に1つずつ配置されている。バックサイドフレーム32は、上下方向に延びている。バックサイドフレーム32は、板状の部材からなる。
【0035】
上部フレーム33は、左右のバックサイドフレーム32の上端部を連結する。上部フレーム33は、パイプ状体である。
下部フレーム34は、左右のバックサイドフレーム32の下端部を連結する。上部フレーム33及び下部フレーム34は、左右方向に延びている。下部フレーム34は、板状の部材からなる。
【0036】
水平連結フレーム35は、左右のバックサイドフレーム32の上方部分を連結する。水平連結フレーム35は、シート幅方向に延びている。水平連結フレーム35は、板状体である。
また、シートバックフレーム31は、上部フレーム33のシート幅方向の中央部分に、ヘッドレスト13のピラーを取り付けるためのピラー取付部材36を備えている。
【0037】
<<高さ調整機構40について>>
以下、高さ調整機構40について図3A及び図3Bを参照しながら説明する。図3A及び図3Bは、高さ調整機構40をシート幅方向の内側から見た図である。
高さ調整機構40は、上下方向においてシートクッション11とスライド機構50を構成するアッパーレール51の間に配置されている。そして、乗員が高さ調整操作(例えば、不図示の昇降ボタンを押す操作)を実行すると、フロントアクチュエータ43、及びリアアクチュエータ44によって高さ調整機構40の可動部が動作する。これにより、シートクッション11を含む車両用シート1の高さが調整される。
【0038】
高さ調整機構40は、前方に位置するフロントリンク41と、後方に位置するリアリンク42を有している。フロントリンク41とリアリンク42は、対をなして車両用シート1の高さを調整する。フロントリンク41はフロントリンク部材に相当し、リアリンク42はリアリンク部材に相当する。高さ調整機構40は、昇降機構に相当する。
【0039】
フロントリンク41は、金属製の板部材からなり、長尺形状を有している。フロントリンク41の長手方向の一方の端部は、アッパーレール51に対して第一揺動軸41aを中心に揺動自在に支持されている。フロントリンク41の長手方向の他方の端部は、ギヤ(不図示)を介してフロントアクチュエータ43と連結し、クッションサイドフレーム22に対して第二揺動軸41bを中心に揺動自在に取り付けられている。
【0040】
リアリンク42は、金属製の板部材からなり、長尺形状を有している。リアリンク42の長手方向の一方の端部は、アッパーレール51に対して第三揺動軸42aを中心に揺動自在に支持されている。リアリンク42の長手方向の他方の端部は、ギヤ(不図示)を介してリアアクチュエータ44と連結し、クッションサイドフレーム22に対して第四揺動軸42bを中心に揺動自在に取り付けられている。
【0041】
以上のように構成された高さ調整機構40の動作について説明する。高さ調整機構40は、フロントリンク41及びリアリンク42を駆動することによって車両用シート1全体の高さを調整するハイト調整動作と、リアリンク42のみを駆動することによって車両用シート1の後方側に位置する下方空間US(リアシートの着座者のフットスペース)を拡大するフットスペース調整動作を行う。
【0042】
まず、ハイト調整動作について説明する。シート着座者が高さ調整操作を実行することにより、フロントアクチュエータ43及びリアアクチュエータ44が駆動する。そして、フロントアクチュエータ43及びリアアクチュエータ44と、ギヤを介して歯合するフロントリンク41と、リアリンク42がそれぞれ揺動する。これにより、クッションサイドフレーム22は、図3Aに示す下降位置と、図3Bに示す上昇位置との間で昇降し、車両用シート1の高さが調整される。
このように、高さ調整機構40は、フロントリンク41及びリアリンク42を同時に揺動させることによって、シートクッション11を含む車両用シート1全体の高さを調整することができる。
フットスペース調整動作については後述するが、高さ調整機構40によって、車両用シート1のハイト調整動作に加えてフットスペース調整動作を可能としている。このように、フットスペース調整動作のために専用の昇降機構を取り付ける必要がないため、車両用シート1のコストアップを抑制することが可能となる。
【0043】
<<車両用シート1の機能構成について>>
次に、車両用シート1の機能構成について説明する。図4は、車両用シート1の機能構成を示すブロック図である。車両用シート1は、進入検知センサ60と、着座センサ61と、車速センサ62の検出値に基づいて、フロントアクチュエータ43及びリアアクチュエータ44を制御する制御装置70を備えている。制御装置70は、パンフレーム23に取り付けられたECU(Electronic Control Unit)(図2参照)であってもよい。
【0044】
図5に示すように、進入検知センサ60は、シートクッション11の後面部113及び底面部114の近傍に取り付けられている。具体的には、進入検知センサ60は、シートクッション11の後面部113及び底面部114の近傍に位置する受圧部材26の傾斜部26cと、傾斜部26cを被覆する表皮材11bの間に配設されている。
進入検知センサ60は、人感センサとして機能する赤外線センサであって、リアシートの着座者の足FTが放射する赤外線を受光して、検知信号を出力する。進入検知センサ60の受光部(不図示)は、後面部113の下端において表皮材11bによって被覆されることなく露出している。
【0045】
このように、進入検知センサ60をシートクッション11の後面部113に配設することによって、リアシートの着座者の足FTが、車両用シート1の後方から下方空間USに進入した際に、これをいち早く検知することが可能となる。
なお、進入検知センサ60は、図5の第二取付位置60aに配設してもよい。詳細に説明すると、進入検知センサ60は、シートバック12の下端において進入検知センサ60の検知部のみが表皮材11bに被覆されずに露出するように配設してもよい。これにより、後方から下方空間USに進入する進入物をより早期に検知することが可能となる。
【0046】
ここで、進入検知センサ60は、赤外線センサに限定されない。進入検知センサ60は、例えば、可視光線を検出して下方空間USの映像を撮像可能なカメラであってもよい。進入検知センサ60としてカメラを採用することにより、赤外線を放射しない物体(例えば、リアシートの着座者が不注意によって落下させた落とし物など)が下方空間USに進入した場合であっても、これを検知することが可能となる。この場合、カメラは、図4の符号60、又は符号60aで示される位置に配設されると好適である。これにより、後方から下方空間USに進入する進入物をいち早く検出することが可能となる。
【0047】
また、進入検知センサ60は、マイクロ波を送信し、その反射波を受信することによって進入物を検知するレーダー式センサをであってもよい。特に、進入検知センサ60としてドップラー・レーダー式センサを採用することで、進入物を検知するとともに、進入物の進入速度を検知することが可能となる。このとき、後述する制御装置70は、進入物の進入速度に基づいてリアリンク42を制御してもよい。進入検知センサ60としてレーダー式センサを採用する場合、進入検知センサ60は、図4の第三取付位置60b、又は第四取付位置60cに配設されると好適である。詳細に説明すると、レーダー式センサは、シートクッション11の底面部114に露出した受圧部材26、又はスライド機構50のロアレール52に配設されている。このように、レーダー式センサを進入物の進入方向と正対する位置に配設することによって、進入物の進入速度を正確に検出することが可能となる。
【0048】
上述した赤外線センサ、カメラ及びレーダー式センサは、いずれも非接触式の進入検知センサ60である。このように進入検知センサ60として非接触式のセンサを採用することによって、進入検知センサ60が進入物と物理的に接触することなく進入物を検出することが可能となる。これにより、進入物が進入検知センサ60に接触することによって進入検知センサ60が破損してしまう事態の発生を抑制することが可能となる。
【0049】
図4に戻って、着座センサ61は、シートクッション11の上面部111に取り付けられている。具体的には、着座センサ61は、シートクッション11の上面部111においてシートクッションパッド11aと表皮材11bの間に配設されている。そして着座センサ61は、シートクッション11の上面部111に作用する荷重を検出する。制御装置70は、着座センサ61の検出値(着座信号に相当する)に基づいて、着座状態(着座者の有無)を判定することが可能となる。
車速センサ62は、車両V内に設置されて、車両Vの走行速度を検知する。制御装置70は、車速センサ62の検出値(速度信号に相当する)に基づいて、車両Vが走行中か否かを判定することが可能となる。
【0050】
制御装置70は、取得部71と、判定部72と、駆動部73と、を有している。制御装置70は、不揮発性メモリ(不図示)に記憶されたプログラムをロードし、ハードウェア資源であるプロセッサ(不図示)によって実行することによって取得部71、判定部72、及び駆動部73として機能する。
【0051】
取得部71は、各種センサの検出値を取得する。詳細には、取得部71は、進入検知センサ60と、着座センサ61と、車速センサ62の出力を取得する。取得部71は、ADC(アナログディジタル変換器)を有し、各種センサが出力するアナログ信号をディジタル信号に変換することができる。また取得部71は、ノイズ除去フィルタを有し、ノイズ成分からなる周波数帯域の信号を除去することにより、信号電力対雑音電力比(S/N比)を向上させることができる。
【0052】
判定部72は、取得部71が取得した検出値に基づいて、車両用シート1の状態を判定する。具体的には、判定部72は、進入検知センサ60の出力信号に基づいて、進入物の有無を判定する(進入物を検出する)。判定部72は、進入検知センサ60の出力信号を、予め定められた所定の閾値と比較することによって進入物の有無を判定してもよい。判定部72は、進入検知センサ60の出力信号の時間的な変化を、所定の閾値と比較することによって進入物の有無を判定してもよい。
判定部72は、着座センサ61の出力信号に基づいて、車両用シート1に着座者が着座している状態か否かを判定することができる。そして判定部72は、車速センサ62の出力信号に基づいて、車両Vが走行中か否かを判定することができる。
【0053】
判定部72は、車両Vに配置された各種センサの出力信号を異常検出信号として取得することで、センサ類の異常の有無を判定してもよい。例えば判定部72は、各種センサの出力信号に基づいて、センサの故障、及びセンサと制御装置70を接続するケーブルの断線を判定してもよい。
判定部72は、フロントアクチュエータ43及びリアアクチュエータ44からなる駆動機構における異常の有無を判定してもよい。
【0054】
駆動部73は、判定部72の判定結果に基づいて、フロントリンク41及びリアリンク42が回動するようにフロントアクチュエータ43及びリアアクチュエータ44を制御する。換言すると、駆動部73は、ハイト調整動作と、フットスペース調整動作を行う。
【0055】
<<フットスペース調整動作>>
次に、フットスペース調整動作について説明する。車両用シート1に着座者が着座しておらず、車両Vが走行中ではない状態において、後方から下方空間USに進入物が進入すると、フットスペース調整動作が行われる。これにより、リアリンク42は回動し、シートクッション11を前傾させながら車両用シート1を上昇させることができる。そのため、リアシートの着座者のフットスペースを上方に広げることが可能となる。
【0056】
図6は、リアリンク42が起立するように回動した状態の車両用シート1を示している。図6に示すように、車両用シート1の後方から下方空間USに進入する進入物(例えばリアシートの着座者の足FT)が検出されると、制御装置70は、リアリンク42を回動させることによって、シート本体10が足FTから離隔するように駆動する。換言すると、制御装置70は、シート本体10が上昇するようにリアリンク42を制御する。以下に詳細に説明する。
【0057】
図6に示すように、リアシートの着座者の足FTは、フロアFLに載置されている。そして、リアシートの着座者が、足FTを前方に伸ばす動作を行うと、足FTは、前列の車両用シート1の下方空間USに、後方から進入する。このとき、車両用シート1の進入検知センサ60が、足FTの進入を検知する。進入検知センサ60が赤外線センサである場合、進入検知センサ60は、足FTから放射される赤外線を検知する。
【0058】
取得部71は、進入検知センサ60、着座センサ61及び車速センサ62の出力信号を取得する。そして判定部72は、取得部71が取得した信号に基づいて、下方空間USの後方からの足FTが進入したか否かを判定する。
判定部72が、下方空間USの後方から足FTが進入したと判定すると、駆動部73は、リアリンク42が起立するように回動させる。これにより、シート本体10は、後方から進入した足FTから離隔するように上昇する。その結果、フットスペースが上方に広がるため、リアシートの着座者は、広くなったフットスペースを利用してリラックスした姿勢をとることが可能となる。また、リアシートの着座者の足FTとシート本体10の底面部114に露出した電装部品やケーブル配線等が接触することによって車両用シート1が損傷することを抑制することが可能となる。
【0059】
ここで、駆動部73は、判定部72によって車両用シート1に着座者が着座していると判定された場合に、リアリンク42を回動させないように制御してもよい。これにより、車両用シート1に着座しているにもかかわらず車両用シート1が突然上昇し、着座者が不快感を覚える事態が発生することを抑制することができる。
【0060】
また駆動部73は、判定部72によって車両Vが所定の閾値(例えば0km/h)を超える速度で走行していると判定した場合に、リアリンク42を回動させないように制御してもよい。これにより、車両Vが走行中に車両用シート1が不用意に駆動されてしまう事態が発生することを抑制し、運転手が安心して運転に集中することが可能となる。
【0061】
<<第二実施形態>>
以上、本発明の一実施形態に係る車両用シート1の構成について説明してきたが、上述した実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0062】
上述した実施形態において、後方から下方空間USに対する進入物が検出された際に、制御装置70は、シート本体10が上昇するようにリアリンク42を駆動制御することとして説明した。これに対して、第二実施形態に係る制御装置70Aは、シート本体10が前方にスライドするようにスライド機構50を駆動制御する。これにより、シート本体10がリアシートの着座者の足FTから離隔する方向に駆動されて、足FTの前方にフットスペースが広がり、着座者は、広がったフットスペースを有効に利用することが可能となる。
【0063】
図7は、第二実施形態に係る車両用シート1の機能構成を示すブロック図である。車両用シート1は、進入検知センサ60と、着座センサ61と、車速センサ62の検知信号に基づいて、スライド機構50を制御する制御装置70Aを備えている。スライド機構50については後述する。
【0064】
図8は、スライド機構50によってシート本体10が前方にスライドした状態の車両用シート1を示している。図8に示すように、リアシートの着座者の足FTが、前列の車両用シート1の下方空間USに後方から進入した場合、上述したように、進入検知センサ60が足FTから放射される赤外線を検知する。
【0065】
取得部71は、進入検知センサ60、着座センサ61、及び車速センサ62の出力信号を取得する。判定部72は、取得部71が取得した進入検知センサ60の検知信号に基づいて、下方空間USの後方から足FTが進入したか否かを判定する。
【0066】
判定部72が下方空間USの後方から足FTが進入したと判定すると、駆動部73は、フロアFLに固定されたロアレール52に対して、アッパーレール51が前方に摺動するようにスライド機構50を駆動する。これにより、シート本体10は、後方から進入した足FTから離隔するように前方に移動する。その結果、フットスペースが前方に広がるため、リアシートの着座者は、広くなったフットスペースを利用してリラックスした姿勢をとることが可能となる。
駆動部73は、スライド機構50を駆動すると同時に、リアリンク42を回動して起立させてもよい。これにより、フットスペースを前方及び上方に広げることができ、リアシートの着座者は、広くなったフットスペースを有効に利用することができる。
【0067】
スライド機構50は、フロアFLに対してシート本体10を前後方向に摺動させることができる機構を有していればよく、公知の電動式スライド機構を採用することができる。例えば、フロアFLに固定されたロアレール52がスクリュー部材を有するとともに、シート本体10に対して高さ調整機構40を介して固定されたアッパーレール51がモータ及びギヤ部材を有することとする。ギヤ部材は、スクリュー部材と歯合することによって、モータの回転力を前後方向に摺動する動力に変換する。これにより、モータを回転させることによってアッパーレール51及びシート本体10をロアレール52に対して前後方向にスライドさせることができる。スライド機構50は、摺動機構に相当する。
【0068】
<<第三実施形態>>
次に、第三実施形態について説明する。上述した実施形態では、車両用シート1は、高さ調整機構40及びスライド機構50を有することとして説明した。これに対して、第三実施形態に係る車両用シート1は、上下方向に延びる回転軸を中心にしてシート本体10を回転駆動する回転機構55を有し、シート本体10が45度回転するように制御される。これにより、リアシートの着座者の足FTが後方から下方空間USに進入すると、シート本体10が回転して足FTから離隔する。そのため、シート幅方向の両側の足FTの前方のフットスペースが広がり、着座者は、広がったフットスペースを有効に利用することが可能となる。
【0069】
図9は、第三実施形態に係る車両用シート1の機能構成を示すブロック図である。車両用シート1は、進入検知センサ60と、着座センサ61と、車速センサ62の検知信号に基づいて、回転機構55を制御する制御装置70Bを備えている。
【0070】
駆動部73は、判定部72が、下方空間USの後方から足FTが進入したと判定すると、リアリンク42及びスライド機構50の少なくとも一方を駆動する。これにより、シート本体10は、後方から進入した足FTから離隔するように移動する。駆動部73はさらに、回転機構55を駆動することにより、シート本体10を、上下方向に延びる回転軸を中心に45度回転させる。そのため、リアシートの着座者の左右の足FTの前方に広いフットスペースを形成することができる。そして、リアシートの着座者は、広くなったフットスペースを有効に利用することができる。
【0071】
<<第四実施形態>>
次に、第四実施形態について説明する。上述した実施形態では、車両用シート1は、非接触式の進入検知センサ60を備えていることとして説明した。これに対して、第四実施形態に係る車両用シート1は、接触式の進入検知センサ60Aを備えている。接触式センサを採用することによって、リアシートの着座者は、自らの意思によって車両用シート1のシート本体10を駆動させることが可能となる。これにより、フットスペースを有効に利用することができるとともに、利便性を向上させることが可能となる。
【0072】
図10に示すように、第四実施形態に係る進入検知センサ60Aは、シートクッション11の後面部113及び底面部114の近傍に取り付けられている。具体的には、進入検知センサ60Aは、シートクッション11の後面部113及び底面部114の近傍に位置する受圧部材26の傾斜部26cを被覆する表皮材11bの表面に取り付けられている。
進入検知センサ60は、アクチュエータを有するリミットスイッチである。リアシートの着座者が、リミットスイッチのアクチュエータに足FTを当接させることによって、進入検知センサ60は検知信号を出力する。これにより、制御装置70によってシート本体10が駆動するように制御される。
【0073】
このように、進入検知センサ60を、シートクッション11の後面部113に配設することによって、リアシートの着座者の足FTが車両用シート1の後方から下方空間USに進入した際に、これをいち早く検出することが可能となる。
【0074】
ここで、進入検知センサ60が、図10の第三取付位置60Ab又は第四取付位置60Acに配設されてもよい。そして、リミットスイッチのアクチュエータが、車両用シート1のシート幅方向に延びていると好適である。これにより、リアシートの着座者は、足FTを伸ばすだけで、リミットスイッチのアクチュエータに足FTを当接させることとなり、より簡単にフットスペースを広げることが可能となる。
【0075】
また、進入検知センサ60Aは、図10の第二取付位置60Aaに示す位置に配設してもよい。詳細に説明すると、進入検知センサ60は、シートバック12の下端における表皮材12bの表面に取り付けられていてもよい。そして進入検知センサ60Aは、静電容量式のタッチセンサであってもよい。この場合、リアシートの着座者が、車両用シート1の後方から下方空間USに対して手を伸ばして進入検知センサ60に触れることによって、進入検知センサ60は検知信号を出力する。これにより、制御装置70は、フットスペースが広がるようにシート本体10を駆動制御する。
【0076】
以上、制御装置70は、進入検知センサ60の出力に基づいて、シート本体10が進入物から離隔するように駆動機構を制御することとして説明したが、これに限定されない。制御装置70は、リアシートの着座者が操作可能な操作スイッチが操作されたことに基づいて駆動機構を制御してもよい。これにより、フットスペースを有効に、そして高い利便性とともに利用することが可能となる。
【0077】
進入検知センサ60は、リアシートの着座者の足FTを検知することとして説明したが、これに限定されない。進入検知センサ60は、例えば側方(隣の座席)から下方空間USに落下する落下物を検知することとしてもよい。
【0078】
上述した実施形態では、乗物用シートとして、自動車で使用される車両用シート1を例示したが、本発明はこれに限定されず、その他の乗物用シート、例えば、船舶や航空機などで使用されるシートに適用することもできる。
【符号の説明】
【0079】
1 車両用シート
10 シート本体
11 シートクッション
11a シートクッションパッド
11b 表皮材
111 上面部
112 側面部
113 後面部
114 底面部
12 シートバック
12a シートバックパッド
12b 表皮材
13 ヘッドレスト
20 車両用シートフレーム
21 シートクッションフレーム
22 クッションサイドフレーム
23 パンフレーム
24 フロントパイプ
25 リアパイプ
26 受圧部材
26a 受圧板
26b 弾性バネ
26c 傾斜部
31 シートバックフレーム
32 バックサイドフレーム
33 上部フレーム
34 下部フレーム
35 水平連結フレーム
36 ピラー取付部材
40 高さ調整機構(駆動機構)
41 フロントリンク(フロントリンク部材)
41a 第一揺動軸
41b 第二揺動軸
42 リアリンク(リアリンク部材)
42a 第三揺動軸
42b 第四揺動軸
43 フロントアクチュエータ
44 リアアクチュエータ
50 スライド機構(駆動機構)
51 アッパーレール
52 ロアレール
55 回転機構
60、60A 進入検知センサ
60a、60Aa 第二取付位置
60b、60Ab 第三取付位置
60c、60Ac 第四取付位置
61 着座センサ
62 車速センサ
70、70A、70B 制御装置
71 取得部
72 判定部
73 駆動部
US 下方空間
FT 足
V 車両
FL フロア
BT 二次電池
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11