IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブラザー工業株式会社の特許一覧

特開2023-152054印刷装置、印刷方法及びコンピュータプログラム
<>
  • 特開-印刷装置、印刷方法及びコンピュータプログラム 図1
  • 特開-印刷装置、印刷方法及びコンピュータプログラム 図2
  • 特開-印刷装置、印刷方法及びコンピュータプログラム 図3
  • 特開-印刷装置、印刷方法及びコンピュータプログラム 図4
  • 特開-印刷装置、印刷方法及びコンピュータプログラム 図5
  • 特開-印刷装置、印刷方法及びコンピュータプログラム 図6
  • 特開-印刷装置、印刷方法及びコンピュータプログラム 図7
  • 特開-印刷装置、印刷方法及びコンピュータプログラム 図8
  • 特開-印刷装置、印刷方法及びコンピュータプログラム 図9
  • 特開-印刷装置、印刷方法及びコンピュータプログラム 図10
  • 特開-印刷装置、印刷方法及びコンピュータプログラム 図11
  • 特開-印刷装置、印刷方法及びコンピュータプログラム 図12
  • 特開-印刷装置、印刷方法及びコンピュータプログラム 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152054
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】印刷装置、印刷方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/015 20060101AFI20231005BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B41J2/015 101
B41J2/01 401
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061985
(22)【出願日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】太田 晶子
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EB58
2C056EC08
2C056EC37
2C056EC42
2C056EC54
2C056EC79
2C057AM16
2C057AM21
2C057AM22
2C057AM28
2C057AM31
2C057AR04
2C057AR08
2C057BA04
2C057BA14
(57)【要約】
【課題】エネルギー付与素子に与えられる駆動波形の振幅を調整し、ノズルの待機時間を削減することができる印刷装置を提供する
【解決手段】印刷装置は、エネルギー付与素子によって液体を吐出するノズルと、所定時間帯毎に、互いに異なる複数の駆動波形から、所定時間帯における電圧の大きさが所定値よりも大きい駆動波形を選択する選択部と、選択部によって選択された駆動波形を示すデータに基づいて、1つの信号線で送信可能な時分割多重信号を生成する信号生成部と、信号生成部にて生成された時分割多重信号から、駆動波形を示す駆動波形信号を分離する分離部とを備え、エネルギー付与素子は分離部にて分離された駆動波形信号によって駆動し、信号生成部は、所定時間帯において選択された駆動波形1つ当たりに割り当てられる割当時間を、選択部により選択された駆動波形の数が少なくなるに従って、長くする。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー付与素子によって液体を吐出するノズルと、
所定時間帯毎に、互いに異なる複数の駆動波形を示すデータから、前記所定時間帯における電圧の大きさに基づき駆動波形を示すデータを選択する第1選択部と、
前記第1選択部によって選択された駆動波形を示すデータに基づいて、1つの信号線で送信可能な時分割多重信号を生成する信号生成部と、
前記信号生成部にて生成された前記時分割多重信号から、前記駆動波形を示す駆動波形信号を分離する分離部と
を備え、
前記エネルギー付与素子は前記分離部にて分離された前記駆動波形信号によって駆動し、
前記信号生成部は、前記所定時間帯において前記第1選択部により選択された駆動波形1つ当たりに割り当てられる割当時間を、前記第1選択部により選択された駆動波形の数が少なくなるに従って、長くする
印刷装置。
【請求項2】
前記分離部は、パルス信号に基づいて、前記時分割多重信号から前記駆動波形信号を分離し、
前記パルス信号のパルス幅は、前記割当時間の長さが長くなるに従って、長くなる
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記パルス信号のパルス幅は、前記第1選択部により選択された駆動波形を示すデータの種類が複数である場合、前記所定時間帯よりも短い
請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記分離部は、パルス信号に基づいて、前記時分割多重信号から前記駆動波形信号を分離し、
前記パルス信号のパルス幅は、前記割当時間よりも短い
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
印刷ジョブを受信した場合、前記印刷ジョブが示す印刷方法に対応した駆動波形を選択する第2選択部を備え、
前記印刷ジョブが示す印刷方法は、印刷媒体に第1印刷を行った後、前記印刷媒体における前記第1印刷を行った部分に第2印刷を重畳して行う重畳印刷を含み、
前記複数の駆動波形の種類は、前記第1印刷を行う場合、前記第2印刷を行う場合よりも少なく、
前記第2選択部は、前記印刷ジョブが示す印刷方法が前記重畳印刷であって、前記第1印刷を行う場合、前記第2印刷を行う場合よりも少ない種類の前記複数の駆動波形の中から前記データを選択し、
前記第1選択部は、前記第2選択部が選択した前記複数の駆動波形を示すデータから、前記所定時間帯における電圧の大きさに基づき駆動波形を示すデータを選択する
請求項1から4のいずれか一つに記載の印刷装置。
【請求項6】
印刷ジョブを受信した場合、前記印刷ジョブが示す印刷方法に対応した駆動波形を選択する第2選択部を備え、
前記複数の駆動波形の種類は、前記印刷ジョブが示す印刷方法が低階調印刷である場合、前記印刷ジョブが示す印刷方法が高階調印刷である場合よりも少なく、
前記第2選択部は、前記低階調印刷である場合、前記高階調印刷である場合よりも少ない種類の前記複数の駆動波形の中から前記データを選択し、
前記第1選択部は、前記第2選択部が選択した前記複数の駆動波形を示すデータから、前記所定時間帯における電圧の大きさに基づき駆動波形を示すデータを選択する
請求項1から4のいずれか一つに記載の印刷装置。
【請求項7】
印刷ジョブを受信した場合、前記印刷ジョブが示す印刷方法に対応した駆動波形を選択する第2選択部を備え、
前記複数の駆動波形の種類は、前記印刷ジョブが示す印刷方法が高速印刷である場合、前記印刷ジョブが示す印刷方法が低速印刷を行う場合よりも少なく、
前記第2選択部は、前記高速印刷である場合、前記低速印刷を行う場合よりも少ない種類の前記複数の駆動波形の中から前記データを選択し、
前記第1選択部は、前記第2選択部が選択した前記複数の駆動波形を示すデータから、前記所定時間帯における電圧の大きさに基づき駆動波形を示すデータを選択する
請求項1から4のいずれか一つに記載の印刷装置。
【請求項8】
印刷中に異常が発生したか否か判定する異常判定部と、
前記異常判定部にて異常が発生したと判定した場合、前記第1選択部による駆動波形を示すデータの選択を中止する中止部と、
前記異常が解消されたか否かを判定する異常解消判定部と、
前記異常解消判定部にて前記異常が解消されたと判定した場合、前記第1選択部による駆動波形を示すデータの選択を再開する再開部と
を備える請求項1から4のいずれか一つに記載の印刷装置。
【請求項9】
前記データは、少なくとも第1駆動波形を示す第1データ及び前記第1駆動波形とは異なる第2駆動波形を示す第2データを含み、
前記第1選択部は、
前記第1データが示す電圧値が変更される第1変更時点において、前記第1データ及び前記第2データが示す電圧値が同じである場合、前記第1データ又は前記第2データのいずれか一方を選択し、
前記第2データが示す電圧値が変更される第2変更時点において、前記第1データ及び前記第2データが示す電圧値が同じである場合、前記第1データ又は前記第2データのいずれか一方を選択し、
前記割当時間は、前記第1データ又は前記第2データのいずれか一方を選択した後の駆動波形を示すデータの種類の数に基づく時間になる
請求項1から4のいずれか一つに記載の印刷装置。
【請求項10】
エネルギー付与素子によってノズルから液体を吐出する印刷方法であって、
所定時間帯毎に、互いに異なる複数の駆動波形を示すデータから、前記所定時間帯における電圧の大きさに基づき駆動波形を示すデータを選択し、
選択された駆動波形を示すデータに基づいて、1つの信号線で送信可能な時分割多重信号を生成し、
生成された前記時分割多重信号から、前記駆動波形を示す駆動波形信号を分離し、
前記エネルギー付与素子は、分離された前記駆動波形信号によって駆動し、
前記所定時間帯において選択された駆動波形1つ当たりに割り当てられる割当時間を、選択された駆動波形の数が少なくなるに従って、長くする
印刷方法。
【請求項11】
エネルギー付与素子によってノズルから液体を吐出する印刷装置にて実行されるコンピュータプログラムであって、
前記印刷装置に、
所定時間帯毎に、互いに異なる複数の駆動波形を示すデータから、前記所定時間帯における電圧の大きさに基づき駆動波形を示すデータを選択し、
選択された駆動波形を示すデータに基づいて、1つの信号線で送信可能な時分割多重信号を生成し、
生成された前記時分割多重信号から、前記駆動波形を示す駆動波形信号を分離し、
前記エネルギー付与素子は、分離された前記駆動波形信号によって駆動し、
前記所定時間帯において選択された駆動波形1つ当たりに割り当てられる割当時間を、選択された駆動波形の数が少なくなるに従って、長くする
処理を実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、ノズルから液体を吐出する印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルのピエゾ素子を駆動させる駆動信号として、振幅の異なる第1駆動パルス~第4駆動パルスを生成するプリンタがある。1画素を印刷する1周期の間に、第1駆動パルス~第4駆動パルスが連続的に生成される。第1駆動パルス~第4駆動パルスのうちの1つが選択され、各ノズルのピエゾ素子に印加される。ノズルは、選択された駆動パルスの振幅に対応した量のインクを噴射し、所望の大きさのドットが形成される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-142978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一周期の間に四つの駆動パルスが連続的に生成されるが、選択される駆動パルスは一つだけである。そのため、選択されなかった三つの駆動パルスに割り当てられた時間はノズルの待機時間となる。
【0005】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、エネルギー付与素子に与えられる駆動波形の振幅を調整し、ノズルの待機時間を削減することができる印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る印刷装置は、エネルギー付与素子によって液体を吐出するノズルと、所定時間帯毎に、互いに異なる複数の駆動波形を示すデータから、前記所定時間帯における電圧の大きさに基づき駆動波形を示すデータを選択する第1選択部と、前記第1選択部によって選択された駆動波形を示すデータに基づいて、1つの信号線で送信可能な時分割多重信号を生成する信号生成部と、前記信号生成部にて生成された前記時分割多重信号から、前記駆動波形を示す駆動波形信号を分離する分離部とを備え、前記エネルギー付与素子は前記分離部にて分離された前記駆動波形信号によって駆動し、前記信号生成部は、前記所定時間帯において前記第1選択部により選択された駆動波形1つ当たりに割り当てられる割当時間を、前記第1選択部により選択された駆動波形の数が少なくなるに従って、長くする。
【0007】
本開示の一実施形態に係る印刷方法は、エネルギー付与素子によってノズルから液体を吐出する印刷方法であって、所定時間帯毎に、互いに異なる複数の駆動波形を示すデータから、前記所定時間帯における電圧の大きさに基づき駆動波形を示すデータを選択し、選択された駆動波形を示すデータに基づいて、1つの信号線で送信可能な時分割多重信号を生成し、生成された前記時分割多重信号から、前記駆動波形を示す駆動波形信号を分離し、前記エネルギー付与素子は、分離された前記駆動波形信号によって駆動し、前記所定時間帯において選択された駆動波形1つ当たりに割り当てられる割当時間を、選択された駆動波形の数が少なくなるに従って、長くする。
【0008】
本開示の一実施形態に係るコンピュータプログラムは、エネルギー付与素子によってノズルから液体を吐出する印刷装置にて実行されるコンピュータプログラムであって、前記印刷装置に、所定時間帯毎に、互いに異なる複数の駆動波形を示すデータから、前記所定時間帯における電圧の大きさに基づき駆動波形を示すデータを選択し、選択された駆動波形を示すデータに基づいて、1つの信号線で送信可能な時分割多重信号を生成し、生成された前記時分割多重信号から、前記駆動波形を示す駆動波形信号を分離し、前記エネルギー付与素子は、分離された前記駆動波形信号によって駆動し、前記所定時間帯において選択された駆動波形1つ当たりに割り当てられる割当時間を、選択された駆動波形の数が少なくなるに従って、長くする処理を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一実施形態に係る印刷装置、印刷方法及びコンピュータプログラムにあっては、互いに異なる駆動波形を示す複数のデータから、時分割多重信号を生成する。生成された時分割多重信号から、いずれか1つの駆動波形に対応した駆動波形信号を分離する。エネルギー付与素子は、分離された駆動波形信号によって駆動される。いずれか1つの駆動波形信号を分離することによって、エネルギー付与素子に与えられる駆動波形の形状を調整することができる。また1画素を印刷する1周期には、いずれか1つの駆動波形の周期のみが含まれ、他の駆動波形の周期は含まれない。そのため、ノズルの待機時間を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る印刷装置を略示する平面図である。
図2】インクジェットヘッドの略示部分拡大断面図である。
図3】制御装置のブロック図である。
図4】制御回路のブロック図である。
図5】時間テーブルTta~Ttd及び電圧テーブルTva~Tvdの一例を示す概念図である。
図6】1周期の駆動波形データDa~Ddを時系列にプロットしたグラフ、時分割多重信号を示すグラフ及び同期信号Aを示すグラフである。
図7】同期信号B~Dを示すグラフである。
図8】タイムスロットを説明する説明図である。
図9】第nスイッチの開閉によってアクチュエータに入力される駆動波形信号の模式図である。
図10】実施の形態2に係るCPUによる印刷処理を説明するフローチャートである。
図11】CPUによる異常処理を説明するフローチャートである。
図12】実施の形態3に係る1周期の駆動波形データDa~Ddを時系列にプロットしたグラフ、時分割多重信号を示すグラフ及び同期信号Aを示すグラフである。
図13】同期信号B~Dを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態1)
以下本発明を実施の形態1に係る印刷装置を示す図面に基づいて説明する。図1は、印刷装置を略示する平面図である。以下の説明では、図1に示す前後左右を使用する。前後方向は搬送方向に対応し、左右方向は走査方向に対応する。また図1の表側が上側に対応し、裏側が下側に対応し、上下も使用する。
【0012】
図1に示すように、印刷装置1は、プラテン2と、インク吐出装置3と、搬送ローラ4、5等を備える。プラテン2の上面には、記録媒体である記録用紙200が載置される。インク吐出装置3は、プラテン2に載置された記録用紙200に対してインクを吐出して画像を記録する。インク吐出装置3は、キャリッジ6と、サブタンク7と、四つのインクジェットヘッド8と、循環ポンプ10等を備える。
【0013】
プラテン2の上側には、キャリッジ6を案内する左右に延びた2本のガイドレール11、12が設けられている。キャリッジ6には、左右に延びた無端ベルト13が連結されている。無端ベルト13は、キャリッジ駆動モータ14によって駆動される。無端ベルト13の駆動によって、キャリッジ6は、ガイドレール11、12に案内され、プラテン2に対向する領域において、走査方向に往復移動される。より具体的には、キャリッジ6は、四つのインクジェットヘッド8を支持した状態で、走査方向において、左方から右方へとある位置から他の位置へ前記ヘッドを移動させる第1移動と、走査方向において、右方から左方へと他の位置からある位置へ前記ヘッドを移動させる第2移動とを行う。
【0014】
ガイドレール11、12の間に、キャップ20及びフラッシング受け21が設けられている。キャップ20及びフラッシング受け21は、インク吐出装置3よりも下側に配置されている。キャップ20はガイドレール11、12の右端部に配置され、フラッシング受け21はガイドレール11、12の左端部に配置されている。なお、キャップ20及びフラッシング受け21は、左右逆に配置されてもよい。
【0015】
サブタンク7及び四つのインクジェットヘッド8はキャリッジ6に搭載され、キャリッジ6と共に走査方向に往復移動する。サブタンク7はカートリッジホルダ15とチューブ17を介して接続されている。カートリッジホルダ15には、一又は複数色(本実施例においては4色)のインクカートリッジ16が装着される。4色としては、例えばブラック、イエロー、シアン及びマゼンタが挙げられる。
【0016】
サブタンク7の内部には、四つのインク室(図示略)が形成されている。四つのインク室には、四つのインクカートリッジ16から供給された4色のインクがそれぞれ貯留される。
【0017】
四つのインクジェットヘッド8は、サブタンク7の下側において、走査方向に並んでいる。各インクジェットヘッド8の下面には、複数のノズル80(図2参照)が形成されている。一つのインクジェットヘッド8は、1色のインクに対応し、一つのインク室に接続されている。すなわち、四つのインクジェットヘッド8は、4色のインクにそれぞれ対応し、四つのインク室にそれぞれ接続されている。
【0018】
インクジェットヘッド8には、インク供給口と、インク排出口とが設けられている。インク供給口及びインク排出口は、チューブ等を介してインク室に接続されている。インク供給口及びインク室の間には、循環ポンプが介装されている。
【0019】
循環ポンプによってインク室から送出されたインクは、インク供給口を通ってインクジェットヘッド8に流入し、ノズル80から吐出される。ノズル80から吐出されないインクは、インク排出口を通って、インク室に戻る。インクは、インク室及びインクジェットヘッド8の間を循環する。四つのインクジェットヘッド8は、キャリッジ6と共に走査方向に移動しながら、サブタンク7から供給された4色のインクを記録用紙200に吐出する。
【0020】
図1に示すように、搬送ローラ4は、プラテン2よりも搬送方向上流側(後側)に配置されている。搬送ローラ5は、プラテン2よりも搬送方向下流側(前側)に配置されている。二つの搬送ローラ4、5は、モータ(図示略)によって、同期して駆動する。二つの搬送ローラ4、5は、プラテン2に載置された記録用紙200を、走査方向と直交する搬送方向に搬送する。印刷装置1は制御装置50を備える。制御装置50は、CPU又はロジック回路(例えばFPGA)、不揮発性メモリ及びRAM等のメモリ55等を備える。制御装置50は、外部装置100から印刷ジョブ及び駆動波形データを受信して、メモリ55に記憶する。制御装置50は、印刷ジョブに基づいて、インク吐出装置3及び搬送ローラ4等の駆動を制御し、印刷処理を実行する。
【0021】
図2は、インクジェットヘッド8の略示部分拡大断面図である。インクジェットヘッド8は、複数の圧力室81を備える。複数の圧力室81は、複数の圧力室列を構成する。圧力室81の上側には振動板82が形成されている。振動板82の上側には、層状の圧電体83が形成されている。各圧力室81の上側であって、圧電体83と振動板82との間に第1共通電極84が形成されている。
【0022】
圧電体83の内部に第2共通電極86が設けられている。第2共通電極86は各圧力室81の上側且つ第1共通電極84よりも上側に配置されている。第2共通電極86は、第1共通電極84と対向しない位置に配置されている。各圧力室81の上側であって、圧電体83の上面に個別電極85が形成されている。個別電極85と、第1共通電極84及び第2共通電極86とは圧電体83を挟んで上下に対向する。振動板82、圧電体83、第1共通電極84、個別電極85及び第2共通電極86はアクチュエータ88を構成する。
【0023】
各圧力室81の下部にノズルプレート87が設けられている。ノズルプレート87には、上下に貫通した複数のノズル80が形成されている。各ノズル80は、各圧力室81の下側に配置されている。複数のノズル80は、圧力室列に沿って延びた複数のノズル列を構成する。
【0024】
第1共通電極84はCOM端子、本実施例ではグランドに接続され、第2共通電極86は、VCOM端子に接続される。VCOM電圧はCOM電圧よりも高い。個別電極85は、スイッチ群54(図3参照)に接続される。個別電極85にHIgh又はLow電圧が印加され、圧電体83が変形し、振動板82が振動する。振動板82の振動によって、ノズル80を介して、圧力室81にあるインクが吐出される。
【0025】
図3は、制御装置50のブロック図である。制御装置50は、制御回路51、D/Aコンバータ52、アンプ53、スイッチ群54を備える。
【0026】
D/Aコンバータ52はデジタル信号をアナログ信号に変換する。アンプ53はアナログ信号を増幅させる。スイッチ群54は、複数の第nスイッチ54(n)(n=1、2、・・・)を備える。第nスイッチ54(n)は、例えばアナログスイッチICによって構成される。複数の第nスイッチ54(n)の一端は、共通バスを介して、アンプ53に接続される。各第nスイッチ54(n)の他端は、複数のノズル80に対応した各個別電極85に接続される。つまり、第nスイッチ54(n)は、1つのアクチュエータ88に対して、1つ設けられている。
【0027】
個別電極85、第1共通電極84、及び圧電体83によって第1コンデンサ89aが構成されている。個別電極85、第2共通電極86、及び圧電体83によって第2コンデンサ89bが構成されている。
【0028】
図4は、制御回路51のブロック図である。制御回路51は、CPU51a、4つのメモリ55a~55d、4つのカウンタ56a~56d、比較回路57、周波数生成回路58、切替回路59、セレクタ回路60、多重化信号出力回路61及び4つの同期信号生成回路62a~62dを備える。CPU51aは制御部の一例であり、CPUに代えてMPU又はロジック回路等を使用してもよい。
【0029】
各メモリ55a~55dに駆動波形データDa~Ddが記憶されている。駆動波形データDa~Ddは、個別電極85に印加される電圧波形、即ちアクチュエータ88を駆動させる駆動波形を示すデータであり、量子化されたデータである。各駆動波形データDa~Ddは、互いに異なる駆動波形を示す。
【0030】
図5は、時間テーブルTta~Ttd及び電圧テーブルTva~Tvdの一例を示す概念図である。メモリ55aに駆動波形データDaが記憶される。駆動波形データDaは、時間テーブルTta及び電圧テーブルTvaを含む。時間テーブルTtaにはアドレスX(X=0、1、2・・・)に紐づけた時間ta(X)が格納されている。本実施例においては、ta(0)~ta(8)は、それぞれ2μs、1μs、5μs、1μs、5μs、1μs、2μs、1μs、2μsである。電圧テーブルTvaにはアドレスXに紐づけた電圧値Va(X)が格納されている。本実施例においては、Va(0)~Va(8)は、それぞれ0、V1、V2、V1、0、V1、V2、V1、0である。V2はV1よりも大きい電圧値である。V1は数値で表現され、例えば256である。V2は数値で表現され、例えば512である。
【0031】
メモリ55bに駆動波形データDbが記憶され、駆動波形データDbは時間テーブルTtbび電圧テーブルTvbを含む。時間テーブルTtbにはアドレスXに紐づけた時間tb(X)が格納されている。本実施例においては、tb(0)~tb(4)は、それぞれ4μs、1μs、9μs、1μs、5μsである。電圧テーブルTvbにはアドレスXに紐づけた電圧値Vb(X)が格納されている。本実施例においては、Vb(0)~Vb(4)は、それぞれ0、V1、V2、V1、0である。
【0032】
メモリ55cに駆動波形データDcが記憶され、駆動波形データDcは時間テーブルTtc及び電圧テーブルTvcを含む。時間テーブルTtcにはアドレスXに紐づけた時間tc(X)が格納されている。本実施例においては、tc(0)~tc(4)は、それぞれ2μs、1μs、5μs、1μs、11μsである。電圧テーブルTvcにはアドレスXに紐づけた電圧値Vc(X)が格納されている。本実施例においては、Vc(0)~Vc(4)は、それぞれ0、V1、V2、V1、0である。
【0033】
メモリ55dに駆動波形データDdが記憶され、駆動波形データDdは時間テーブルTtd及び電圧テーブルTvdを含む。時間テーブルTtdにはアドレスXに紐づけた時間td(X)が格納されている。本実施例においては、td(0)~td(4)は、8μs、1μs、5μs、1μs、5μsがそれぞれ紐づけられている。電圧テーブルTvdにはアドレスXに紐づけた電圧値Vd(X)が格納されている。本実施例においては、Vd(0)~Vd(4)は、それぞれ0、V1、V2、V1、0である。
【0034】
CPU51aは、メモリ55aに時間テーブルTtaの時間をアドレス順にカウンタ56aに出力させ、且つ、電圧テーブルTvaの電圧をアドレス順にセレクタ回路60及び比較回路57に出力させる。例えばメモリ55aにパラメータとしてアドレスXが記憶されている。CPU51aはアドレスXに0を設定する。メモリ55aはアドレス0を参照し、時間テーブルTtaのta(0)、即ち2μsをカウンタ56aに出力し、ta(0)が入力されたカウンタ56aは比較タイミング信号Saを比較回路57に出力する。カウンタ56aは、入力された時間2μsを計測し、計測終了後、メモリ55aにアドレスインクリメント信号Spaを出力する。メモリ55aはアドレスインクリメント信号Spaが入力されるとアドレスXを1つインクリメントして、アドレス1を参照し、時間テーブルTtaのta(1)、即ち1μsをカウンタ56aに出力する。ta(1)が入力されたカウンタ56aは比較タイミング信号Saを比較回路57に出力する。このようにして、時間ta(X)が時間テーブルTtaから入力する毎にカウンタ56aは比較タイミング信号Saを比較回路57に出力し、時間ta(X)の計測を完了する毎にアドレスインクリメント信号Spaをメモリ55aに出力する。
【0035】
CPU51aがアドレスXに0を設定した場合、メモリ55aは、電圧テーブルTvaの電圧値Va(0)、即ち0をセレクタ回路60及び比較回路57に出力する。その後、メモリ55aは信号Spaが入力されるとアドレスXを1つインクリメントし、電圧値Va(1)、即ちV1をセレクタ回路60及び比較回路57に出力する。このようにして、アドレスXに0が設定された場合及びアドレスインクリメント信号Spaが入力する毎に、電圧テーブルTvaの電圧値をセレクタ回路60及び比較回路57に出力する。即ち、電圧テーブルTvaの電圧値をアドレス順にセレクタ回路60及び比較回路57に出力する。
【0036】
同様に、CPU51aは、メモリ55b~55dに時間テーブルTtb~Ttdの時間tb(X)~td(X)をアドレス順にカウンタ56b~56dに出力させ、カウンタ56b~56dは、時間tb(X)~td(X)が入力する毎に比較タイミング信号Sb~Sdを比較回路57に出力する。カウンタ56b~56dは、アドレスXに対応した時間が経過する都度、アドレスインクリメント信号Spb~Spdをメモリ55aに出力する。
【0037】
同様に、アドレスXに0が設定された場合及びアドレスインクリメント信号Spb~Spdが入力する毎に、電圧テーブルTvb~Vvdの電圧値Vb(X)~Vd(X)をセレクタ回路60及び比較回路57に出力する。即ち、電圧値Vb(X)~Vd(X)をアドレス順にセレクタ回路60及び比較回路57に出力する。
【0038】
図6は、1周期の駆動波形データDa~Ddを時系列にプロットしたグラフ、時分割多重信号を示すグラフ及び同期信号Aを示すグラフ、図7は、同期信号B~Dを示すグラフ、図8は、タイムスロットを説明する説明図である。
【0039】
図6の上図は駆動波形データDa~Ddを時系列にプロットしたグラフであり、横軸が時間(μs)であり、縦軸が電圧値である。丸は電圧テーブルTvaの電圧値Va(X)を示し、三角は電圧テーブルTvbの電圧値Vb(X)を示し、四角は電圧テーブルTvcの電圧値Vc(X)を示し、バツは電圧テーブルTvdの電圧値Vd(X)を示す。時間テーブルの時間に対応させて、1μs毎にプロットしたものである。以下、プロットした時点についてμsを適宜省略する。プロットは、時点0から時点19までの20個である。時点k(k=0、1、2、・・・、19)の電圧値は、時点k~時点k+1μsの間の電圧値を示す。図6において、時点0~20の間の時間、即ち20μsが時分割多重信号の1周期である。以下、時点k~時点k+1の間の時間を所定時間帯とも称する。
【0040】
図6の中央図は、駆動波形データDa~Ddに基づいて生成された時分割多重信号であり、図6の下図及び図7は同期信号生成回路62a~62dにて生成される同期信号A~Dを示す。同期信号A~Dはパルス波であり、ハイレベル(H)区間及びローレベル(L)区間を有する。ここで時分割多重信号の詳細について説明する。アクチュエータ88を駆動させる場合、制御回路51はメモリ55にアクセスして、駆動波形データDa、Db、Dc、Ddを取得し、時系列データを作成する。時系列データは、データAk、Bk、Ck、Dkを、時間間隔Δtを設けて順に並べたものであり、A0、B0、C0、D0、A1、B1、C1、D1・・・、Ak、Bk、Ck、Dkの順に並べたものである。時系列データはデジタル信号である。なお、時間間隔Δtは、所定のサンプリング周波数の逆数である。量子化されたデータAk、Bk、Ck、Dkは、所定のサンプリング周波数の逆数に対応する時間ごとに、A0、B0、C0、D0、A1、B1、C1、D1・・・、Ak、Bk、Ck、Dkの順に並べられる。言い換えると、量子化されたデータAk、Bk、Ck、Dkのデータ長は、所定のサンプリング周波数の逆数に対応する長さ以下である。
【0041】
また、量子化されたデータA0と量子化されたデータB0とは連続し、量子化されたデータB0と量子化されたデータC0とは連続し、量子化されたデータC0と量子化されたデータD0とは連続する。つまり、量子化されたデータA0と量子化されたデータB0との間に、量子化されたデータC0、量子化されたデータD0その他の量子化されたデータ及びその他の波形のデータがない。また、量子化されたデータB0と量子化されたデータC0との間に、量子化されたデータA0、量子化されたデータD0、その他の量子化されたデータ及びその他の波形のデータがない。また、量子化されたデータC0と量子化されたデータD0との間に、量子化されたデータA0、量子化されたデータB0、その他の量子化されたデータ及びその他の波形のデータがない。
【0042】
制御回路51は時系列データをD/Aコンバータ52に出力する。図3に示すように、D/Aコンバータ52は時系列データをアナログ信号に変換し、アンプ53に出力する。アンプ53は、入力されたアナログ信号を増幅させて、スイッチ群54に出力する。図3に示すように、アンプ53にて増幅されたアナログ信号は時分割多重信号を構成する。時分割多重信号において、データAk-1に対応する部分を第1部分、データAkに対応する部分を第2部分、データBk-1に対応する部分を第3部分、データBkに対応する部分を第4部分とすると、第1部分と第2部分との間に第3部分があり、第3部分と第4部分との間に第2部分がある。なお、データBk及びCkとの間でも同様な関係が成立し、データCk及びDkとの間でも同様な関係が成立し、データDk及びAkとの間でも同様な関係が成立する。言い換えると、第1部分と第3部分とは連続し、第3部分と第2部分とは連続し、第2部分と第4部分とは連続する。つまり、時分割多重信号において、第1部分と第3部分との間には、第2部分、第4部分及び他の波形はない。また、時分割多重信号において、第3部分と第2部分との間には、第1部分、第4部分及び他の波形はない。また、時分割多重信号において、第2部分と第4部分との間には、第1部分、第3部分及び他の波形はない。制御回路51、D/Aコンバータ52、アンプ53及びメモリ55は信号生成部を構成する。
【0043】
図8にはタイムスロットとして、パルス形状のTS1~TS10が示されている。TS1~TS10はハイレベル区間及びローレベル区間を有し、ハイレベル区間は第nスイッチ54(n)が閉じる時間に対応し、ローレベル区間は第nスイッチ54(n)が開く時間に対応する。図8では、1つのタイムスロットの開始時点をt0とし、終了時点t4として、1つのタイムスロットを時点t1、時点t2、時点t3で区切り、4等分して示している。更に1つのタイムスロットの開始時点をt0とし、終了時点t4として、1つのタイムスロットを時点t5、時点t6で区切り、3等分して示している。
【0044】
図8に示すように、TS1は時点t0~t4の間、ハイレベル区間であり、ローレベル区間がない。TS2は時点t0~t2の間、ハイレベル区間であり、時点t2~t4の間、ローレベル区間である。TS3は時点t2~t4の間、ハイレベル区間であり、時点t0~t2の間、ローレベル区間である。TS4は時点t0~t5の間、ハイレベル区間であり、時点t5~t4の間、ローレベル区間である。TS5は時点t5~t6の間、ハイレベル区間であり、時点t0~t5の間、及び、時点t6~t4の間ローレベル区間である。TS6は時点t6~t4の間、ハイレベル区間であり、時点t0~t6の間、ローレベル区間である。TS7は時点t0~t1の間、ハイレベル区間であり、時点t1~t4の間、ローレベル区間である。TS8は時点t1~t2の間、ハイレベル区間であり、時点t0~t1の間、及び、時点t2~t4の間ローレベル区間である。TS9は時点t2~t3の間、ハイレベル区間であり、時点t0~t2の間、及び、時点t3~t4の間ローレベル区間である。TS10は時点t3~t4の間、ハイレベル区間であり、時点t0~t3の間、ローレベル区間である。
【0045】
TS1~TS10は互いに異なる4つのサンプリング周波数に分類され、TS1は第1サンプリング周波数、TS2及びTS3は第2サンプリング周波数、TS4~TS6は第3サンプリング周波数、TS7~TS10は第4サンプリング周波数に対応する。例えば、第4サンプリング周波数が24MHzに対応する場合、第3サンプリング周波数は18MHz、第2サンプリング周波数は12MHz、第1サンプリング周波数は6MHzに対応する。
【0046】
比較回路57に比較タイミング信号Sa~Sdのいずれかが入力された場合、比較回路57は各電圧テーブルTva~Tvdから入力された電圧値を比較する。比較タイミング信号Sa~Sdのいずれかが比較回路57に入力される時点は、図6の上図における時点0、2、3、4、5、8、9、14、15、17、18である。
【0047】
比較回路57は、時点k~時点k+1の間の時間毎に、即ち所定時間帯毎に、電圧の大きさが所定値(本実施例では0V)よりも大きい各電圧値に対してタイムスロットを一つずつ割り当てる。各電圧値は駆動波形に対応する。即ち比較回路57は、所定時間帯において、0Vよりも大きい駆動波形を選択し、選択された駆動波形それぞれにタイムスロットを割り当てる。割り当てられた各タイムスロットの時間はそれぞれ異なる。なお比較回路57は、比較タイミング信号Sa~Sdのいずれもが比較回路57に入力されていない場合、即ち図6の上図における時点1、6、7、10~13、16、19において、一つ前の時点と同じタイムスロットを同じ電圧値に割り当てる。以下、タイムスロットを割当時間とも称する。
【0048】
所定時間帯において、0Vよりも大きい電圧値の数、即ち選択された駆動波形の数が少なくなるに従って、割り当てられるタイムスロット、即ち同期信号のパルス幅は長くなる。例えば、選択された駆動波形の数が4つの場合、4つの駆動波形それぞれに、TS7、TS8、TS9、TS10が割り当てられる。TS7、TS8、TS9、TS10それぞれの長さは、1/4μsである。選択された駆動波形の数が3つの場合、3つの駆動波形それぞれに、TS4、TS5、TS6が割り当てられる。TS4、TS5、TS6それぞれの長さは、1/3μsである。選択された駆動波形の数が2つの場合、2つの駆動波形それぞれに、TS2、TS3が割り当てられる。TS2、TS3それぞれの長さは、1/2μsである。選択された駆動波形の数が1つの場合、1つの駆動波形に、TS1が割り当てられる。TS1の長さは、1μsである。即ち、選択された駆動波形を示すデータの種類が複数である場合、パルス幅は所定時間帯よりも短い。
【0049】
比較回路57は、タイムスロットと各電圧値Va(X)~Vd(X)とを紐付けて、切替回路59及び各同期信号生成回路62a~62dに出力する。前記周波数生成回路58は基準周波数(本実施例では24MHz)を生成し、切替回路59及び各同期信号生成回路62a~62dに出力する。
【0050】
例えば図6の上図に示すように、時点0において電圧値Va(X)~Vd(X)はいずれも0である。時点0のとき比較回路57はTS1と、電圧値0とを紐付けて切替回路59及び各同期信号生成回路62a~62dに出力する。切替回路59は電圧値0について、基準周波数及びTS1に基づいて6MHzの周波数を生成する。切替回路59は、TS1と、6MHzの周波数と、電圧値Va(X)とを紐づけてセレクタ回路60に出力する。なお6MHzの周期F個分の時間は1μsである。
【0051】
切替回路59は、時点0において、TS1と、6MHzの周波数と、電圧値0とを紐づけてセレクタ回路60に出力する。図6の中央図に示すように、セレクタ回路60は、切替回路59から入力された電圧値0を参照し、6MHzの周期F個分の時間、即ち時点0~時点1μsの間、電圧値0となる信号を生成する。換言すれば、電圧の大きさが所定値(0V)以下の駆動波形は選択されず、時分割多重信号に含まれない。
【0052】
例えば図6の上図に示すように、時点2において電圧値Va(X)及びVc(X)はV1であり、電圧値Vb(X)及びVd(X)は0である。時点2のとき比較回路57は電圧値Va(X)及びVc(X)を選択し、TS2と電圧値Va(X)とを紐付け、TS3とVc(X)とを紐付けて切替回路59及び同期信号生成回路62a~同期信号生成回路62dに出力する。切替回路59は電圧値Va(X)について、基準周波数及びTS2に基づいて12MHzの周波数を生成する。切替回路59は電圧値Vc(X)について、基準周波数及びTS3に基づいて12MHzの周波数を生成する。切替回路59は、TS2と、12MHzの周波数と、電圧値Va(X)とを紐づけてセレクタ回路60に出力し、TS3と、12MHzの周波数と、電圧値Vc(X)とを紐づけてセレクタ回路60に出力する。なお12MHzの周期F個分の時間は0.5μsである。
【0053】
図6の中央図に示すように、セレクタ回路60は、切替回路59から入力された電圧値Va(X)を参照し、電圧テーブルTva~Tvdから入力された4つの電圧値Va(X)~Vd(X)から電圧値Va(X)を選択し、12MHzの周期F個分の時間、即ち時点2~時点2.5μsの間、電圧値V1となる信号を生成する。セレクタ回路60は、切替回路59から入力された電圧値Vc(X)を参照し、電圧テーブルTva~Tvdから入力された4つの電圧値Va(X)~Vd(X)から電圧値Vc(X)を選択し、12MHzの周期F個分の時間、即ち時点2.5~時点3μsの間、電圧値V1となる信号を生成する。換言すれば、電圧の大きさが所定値(0V)よりも大きい駆動波形のみが選択され、時分割多重信号が生成される。
【0054】
例えば図6の上図に示すように、時点3において電圧値Va(X)及びVc(X)はV2であり、電圧値Vb(X)及びVd(X)は0である。時点3のとき比較回路57は電圧値Va(X)及びVc(X)を選択し、TS2と電圧値Va(X)とを紐付け、TS3とVc(X)とを紐付けて切替回路59及び同期信号生成回路62a~同期信号生成回路62dに出力する。切替回路59は電圧値Va(X)について、基準周波数及びTS2に基づいて12MHzの周波数を生成する。切替回路59は電圧値Vc(X)について、基準周波数及びTS3に基づいて12MHzの周波数を生成する。切替回路59は、TS2と、12MHzの周波数と、電圧値Va(X)とを紐づけてセレクタ回路60に出力し、TS3と、12MHzの周波数と、電圧値Vc(X)とを紐づけてセレクタ回路60に出力する。なお12MHzの周期F個分の時間は0.5μsである。
【0055】
図6の中央図に示すように、セレクタ回路60は、切替回路59から入力された電圧値Va(X)を参照し、電圧テーブルTva~Tvdから入力された4つの電圧値Va(X)~Vd(X)から電圧値Va(X)を選択し、12MHzの周期F個分の時間、即ち時点3~時点3.5μsの間、電圧値V2となる信号を生成する。セレクタ回路60は、切替回路59から入力された電圧値Vc(X)を参照し、電圧テーブルTva~Tvdから入力された4つの電圧値Va(X)~Vd(X)から電圧値Vc(X)を選択し、12MHzの周期F個分の時間、即ち時点3.5~時点4μsの間、電圧値V2となる信号を生成する。換言すれば、電圧の大きさが所定値(0V)よりも大きい駆動波形のみが選択され、時分割多重信号が生成される。
【0056】
例えば図6の上図に示すように、時点4において電圧値Va(X)及びVc(X)は、いずれもV2であり、電圧値Vb(X)はV1であり、電圧値Vd(X)は0である。時点4のとき比較回路57はTS4と電圧値Va(X)とを紐付け、TS5と電圧値Vb(X)とを紐付け、TS6とVc(X)とを紐付けて切替回路59及び各同期信号生成回路62a~62dに出力する。切替回路59は電圧値Va(X)について、基準周波数及びTS4に基づいて18MHzの周波数を生成する。切替回路59は電圧値Vb(X)について、基準周波数及びTS5に基づいて18MHzの周波数を生成する。切替回路59は電圧値Vc(X)について、基準周波数及びTS6に基づいて18MHzの周波数を生成する。切替回路59は、TS4と、18MHzの周波数と、電圧値Va(X)とを紐づけてセレクタ回路60に出力し、TS5と、18MHzの周波数と、電圧値Vb(X)とを紐づけてセレクタ回路60に出力し、TS6と、18MHzの周波数と、電圧値Vc(X)とを紐づけてセレクタ回路60に出力する。なお18MHzの周期F個分の時間は1/3μsである。
【0057】
図6の中央図に示すように、セレクタ回路60は、切替回路59から入力された電圧値Va(X)を参照し、電圧テーブルTva~Tvdから入力された4つの電圧値Va(X)~Vd(X)から電圧値Va(X)を選択し、18MHzの周期F個分の時間、即ち時点4~時点4+(1/3)μsの間、電圧値V2となる信号を生成する。セレクタ回路60は、切替回路59から入力された電圧値Vb(X)を参照し、電圧テーブルTva~Tvdから入力された4つの電圧値Va(X)~Vd(X)から電圧値Vb(X)を選択し、時点4+(1/3)~時点4+(2/3)μsの間、電圧値V1となる信号を生成する。セレクタ回路60は、切替回路59から入力された電圧値Vc(X)を参照し、電圧テーブルTva~Tvdから入力された4つの電圧値Va(X)~Vd(X)から電圧値Vc(X)を選択し、時点4+(2/3)~時点5μsの間、電圧値V2となる信号を生成する。換言すれば、電圧の大きさが所定値(0V)よりも大きい駆動波形のみが選択され、時分割多重信号が生成される。
【0058】
例えば図6の上図に示すように、時点5において電圧値Va(X)~Vc(X)は、いずれもV2であり、電圧値Vd(X)は0である。時点5のとき比較回路57はTS4と電圧値Va(X)とを紐付け、TS5と電圧値Vb(X)とを紐付け、TS6とVc(X)とを紐付けて切替回路59及び各同期信号生成回路62a~62dに出力する。切替回路59は電圧値Va(X)について、基準周波数及びTS4に基づいて18MHzの周波数を生成する。切替回路59は電圧値Vb(X)について、基準周波数及びTS5に基づいて18MHzの周波数を生成する。切替回路59は電圧値Vc(X)について、基準周波数及びTS6に基づいて18MHzの周波数を生成する。切替回路59は、TS4と、18MHzの周波数と、電圧値Va(X)とを紐づけてセレクタ回路60に出力し、TS5と、18MHzの周波数と、電圧値Vb(X)とを紐づけてセレクタ回路60に出力し、TS6と、18MHzの周波数と、電圧値Vc(X)とを紐づけてセレクタ回路60に出力する。なお18MHzの周期F個分の時間は1/3μsである。
【0059】
図6の中央図に示すように、セレクタ回路60は、切替回路59から入力された電圧値Va(X)を参照し、電圧テーブルTva~Tvdから入力された4つの電圧値Va(X)~Vd(X)から電圧値Va(X)を選択し、18MHzの周期F個分の時間、即ち時点5~時点5+(1/3)μsの間、電圧値V2となる信号を生成する。セレクタ回路60は、切替回路59から入力された電圧値Vb(X)を参照し、電圧テーブルTva~Tvdから入力された4つの電圧値Va(X)~Vd(X)から電圧値Vb(X)を選択し、時点5+(1/3)~時点5+(2/3)μsの間、電圧値V2となる信号を生成する。セレクタ回路60は、切替回路59から入力された電圧値Vc(X)を参照し、電圧テーブルTva~Tvdから入力された4つの電圧値Va(X)~Vd(X)から電圧値Vc(X)を選択し、時点5+(2/3)~時点6μsの間、電圧値V2となる信号を生成する。換言すれば、電圧の大きさが所定値(0V)よりも大きい駆動波形のみが選択され、時分割多重信号が生成される。
【0060】
例えば図6の上図に示すように、時点8において電圧値Va(X)、Vc(X)及びVd(X)は、いずれもV1であり、電圧値Vc(X)はV2である。時点8のとき比較回路57はTS7と電圧値Va(X)とを紐付け、TS8と電圧値Vb(X)とを紐付け、TS9とVc(X)とを紐付け、TS10とVd(X)とを紐付けて切替回路59及び各同期信号生成回路62a~62dに出力する。切替回路59は電圧値Va(X)について、基準周波数及びTS7に基づいて24MHzの周波数を生成する。切替回路59は電圧値Vb(X)について、基準周波数及びTS8に基づいて24MHzの周波数を生成する。切替回路59は電圧値Vc(X)について、基準周波数及びTS9に基づいて24MHzの周波数を生成する。切替回路59は電圧値Vd(X)について、基準周波数及びTS10に基づいて24MHzの周波数を生成する。切替回路59は、TS7と、24MHzの周波数と、電圧値Va(X)とを紐づけてセレクタ回路60に出力し、TS8と、24MHzの周波数と、電圧値Vb(X)とを紐づけてセレクタ回路60に出力し、TS9と、24MHzの周波数と、電圧値Vc(X)とを紐づけてセレクタ回路60に出力し、TS10と、24MHzの周波数と、電圧値Vd(X)とを紐づけてセレクタ回路60に出力する。なお24MHzの周期F個分の時間は1/4μsである。
【0061】
図6の中央図に示すように、セレクタ回路60は、切替回路59から入力された電圧値Va(X)を参照し、電圧テーブルTva~Tvdから入力された4つの電圧値Va(X)~Vd(X)から電圧値Va(X)を選択し、24MHzの周期F個分の時間、即ち時点8~時点8+(1/4)μsの間、電圧値V1となる信号を生成する。セレクタ回路60は、切替回路59から入力された電圧値Vb(X)を参照し、電圧テーブルTva~Tvdから入力された4つの電圧値Va(X)~Vd(X)から電圧値Vb(X)を選択し、時点8+(1/4)~時点8+(2/4)μsの間、電圧値V2となる信号を生成する。セレクタ回路60は、切替回路59から入力された電圧値Vc(X)を参照し、電圧テーブルTva~Tvdから入力された4つの電圧値Va(X)~Vd(X)から電圧値Vc(X)を選択し、時点8+(2/4)~時点8+(3/4)μsの間、電圧値V1となる信号を生成する。セレクタ回路60は、切替回路59から入力された電圧値Vd(X)を参照し、電圧テーブルTva~Tvdから入力された4つの電圧値Va(X)~Vd(X)から電圧値Vd(X)を選択し、時点8+(3/4)~時点9μsの間、電圧値V1となる信号を生成する。換言すれば、電圧の大きさが所定値(0V)よりも大きい駆動波形のみが選択され、時分割多重信号が生成される。
【0062】
例えば図6の上図に示すように、時点9において電圧値Vb(X)及びVd(X)はV2であり、電圧値Va(X)及びVc(X)は0である。時点9のとき比較回路57は電圧値Vb(X)及びVd(X)を選択し、TS2と電圧値Vb(X)とを紐付け、TS3とVd(X)とを紐付けて切替回路59及び同期信号生成回路62a~同期信号生成回路62dに出力する。切替回路59は電圧値Vb(X)について、基準周波数及びTS2に基づいて12MHzの周波数を生成する。切替回路59は電圧値Vd(X)について、基準周波数及びTS3に基づいて12MHzの周波数を生成する。切替回路59は、TS2と、12MHzの周波数と、電圧値Vb(X)とを紐づけてセレクタ回路60に出力し、TS3と、12MHzの周波数と、電圧値Vd(X)とを紐づけてセレクタ回路60に出力する。なお12MHzの周期F個分の時間は0.5μsである。
【0063】
図6の中央図に示すように、セレクタ回路60は、切替回路59から入力された電圧値Vb(X)を参照し、電圧テーブルTva~Tvdから入力された4つの電圧値Va(X)~Vd(X)から電圧値Vb(X)を選択し、12MHzの周期F個分の時間、即ち時点9~時点9.5μsの間、電圧値V2となる信号を生成する。セレクタ回路60は、切替回路59から入力された電圧値Vd(X)を参照し、電圧テーブルTva~Tvdから入力された4つの電圧値Va(X)~Vd(X)から電圧値Vd(X)を選択し、12MHzの周期F個分の時間、即ち時点9.5~時点10μsの間、電圧値V2となる信号を生成する。換言すれば、電圧の大きさが所定値(0V)よりも大きい駆動波形のみが選択され、時分割多重信号が生成される。
【0064】
例えば図6の上図に示すように、時点14において電圧値Va(X)、Vb(X)及びVd(X)は、いずれもV1であり、電圧値Vc(X)は0である。時点14のとき比較回路57はTS4と電圧値Va(X)とを紐付け、TS5と電圧値Vb(X)とを紐付け、TS6とVd(X)とを紐付けて切替回路59及び各同期信号生成回路62a~62dに出力する。切替回路59は電圧値Va(X)について、基準周波数及びTS4に基づいて18MHzの周波数を生成する。切替回路59は電圧値Vb(X)について、基準周波数及びTS5に基づいて18MHzの周波数を生成する。切替回路59は電圧値Vd(X)について、基準周波数及びTS6に基づいて18MHzの周波数を生成する。切替回路59は、TS4と、18MHzの周波数と、電圧値Va(X)とを紐づけてセレクタ回路60に出力し、TS5と、18MHzの周波数と、電圧値Vb(X)とを紐づけてセレクタ回路60に出力し、TS6と、18MHzの周波数と、電圧値Vd(X)とを紐づけてセレクタ回路60に出力する。なお18MHzの周期F個分の時間は1/3μsである。
【0065】
図6の中央図に示すように、セレクタ回路60は、切替回路59から入力された電圧値Va(X)を参照し、電圧テーブルTva~Tvdから入力された4つの電圧値Va(X)~Vd(X)から電圧値Va(X)を選択し、18MHzの周期F個分の時間、即ち時点14~時点14+(1/3)μsの間、電圧値V1となる信号を生成する。セレクタ回路60は、切替回路59から入力された電圧値Vb(X)を参照し、電圧テーブルTva~Tvdから入力された4つの電圧値Va(X)~Vd(X)から電圧値Vb(X)を選択し、時点14+(1/3)~時点14+(2/3)μsの間、電圧値V1となる信号を生成する。セレクタ回路60は、切替回路59から入力された電圧値Vd(X)を参照し、電圧テーブルTva~Tvdから入力された4つの電圧値Va(X)~Vd(X)から電圧値Vd(X)を選択し、時点14+(2/3)~時点15μsの間、電圧値V1となる信号を生成する。換言すれば、電圧の大きさが所定値(0V)よりも大きい駆動波形のみが選択され、時分割多重信号が生成される。
【0066】
例えば図6の上図に示すように、時点15において電圧値Va(X)はV2であり、電圧値Vb~Vd(X)はいずれも0である。時点15のとき比較回路57はTS1と電圧値Va(X)とを紐付けて切替回路59及び各同期信号生成回路62a~62dに出力する。切替回路59は電圧値Va(X)について、基準周波数及びTS1に基づいて6MHzの周波数を生成する。切替回路59は、TS1と、6MHzの周波数と、電圧値Va(X)とを紐づけてセレクタ回路60に出力する。なお6MHzの周期F個分の時間は1μsである。
【0067】
図6の中央図に示すように、セレクタ回路60は、切替回路59から入力された電圧値Va(X)を参照し、電圧テーブルTva~Tvdから入力された4つの電圧値Va(X)~Vd(X)から電圧値Va(X)を選択し、6MHzの周期F個分の時間、即ち時点15~時点16μsの間、電圧値V2となる信号を生成する。換言すれば、電圧の大きさが所定値(0V)よりも大きい駆動波形のみが選択され、時分割多重信号が生成される。
【0068】
例えば図6の上図に示すように、時点17において電圧値Va(X)はV1であり、電圧値Vb~Vd(X)はいずれも0である。時点17のとき比較回路57はTS1と電圧値Va(X)とを紐付けて切替回路59及び各同期信号生成回路62a~62dに出力する。切替回路59は電圧値Va(X)について、基準周波数及びTS1に基づいて6MHzの周波数を生成する。切替回路59は、TS1と、6MHzの周波数と、電圧値Va(X)とを紐づけてセレクタ回路60に出力する。なお6MHzの周期F個分の時間は1μsである。
【0069】
図6の中央図に示すように、セレクタ回路60は、切替回路59から入力された電圧値Va(X)を参照し、電圧テーブルTva~Tvdから入力された4つの電圧値Va(X)~Vd(X)から電圧値Va(X)を選択し、6MHzの周期F個分の時間、即ち時点17~時点18μsの間、電圧値V1となる信号を生成する。換言すれば、電圧の大きさが所定値(0V)よりも大きい駆動波形のみが選択され、時分割多重信号が生成される。
【0070】
例えば図6の上図に示すように、時点18において電圧値Va(X)~Vd(X)はいずれも0である。時点18のとき比較回路57はTS1と、電圧値0とを紐付けて切替回路59及び各同期信号生成回路62a~62dに出力する。切替回路59は電圧値0について、基準周波数及びTS1に基づいて6MHzの周波数を生成する。切替回路59は、TS1と、6MHzの周波数と、電圧値Va(X)とを紐づけてセレクタ回路60に出力する。なお6MHzの周期F個分の時間は1μsである。
【0071】
切替回路59は、時点18において、TS1と、6MHzの周波数と、電圧値0とを紐づけてセレクタ回路60に出力する。図6の中央図に示すように、セレクタ回路60は、切替回路59から入力された電圧値0を参照し、6MHzの周期F個分の時間、即ち時点0~時点1μsの間、電圧値0となる信号を生成する。換言すれば、電圧の大きさが所定値(0V)以下の駆動波形は選択されず、時分割多重信号に含まれない。
【0072】
セレクタ回路60は生成した各信号を多重化信号出力回路61に出力し、多重化信号出力回路61はD/Aコンバータ52に時分割多重信号(図6の中央図参照)を出力する。図3に示すように、時分割多重信号はアンプ53にて増幅され、複数の第nスイッチ54(n)それぞれに入力される。
【0073】
上述したように、電圧の大きさが所定値(0V)よりも大きい駆動波形のみが選択され、時分割多重信号が生成される。そのため、図6の中央図に示すように、時点2~時点18μsの間、0Vよりも大きい信号のみ含まれ、時分割多重信号に0Vの信号は含まれない。即ち、時分割多重信号において、時間帯を削減することができる。従来、1Vの信号や2Vの信号がある時間帯に0Vの信号が時分割多重信号に含まれていたので、時分割多重信号を構成し、0Vよりも大きい信号の幅が狭くなっていた。本実施例において、1Vの信号や2Vの信号がある時間帯に0Vの信号が時分割多重信号に含まれないので、時分割多重信号を構成する0Vよりも大きい各信号の幅を可能な限り広くし、時分割多重信号から所望の駆動波形を再現する場合に、駆動波形の再現性を高めることができる。なお、時点0~時点2μsの間及び時点18~時点20μsの間は、0V以外の信号がないので、時分割多重信号に0Vの信号は含まれる。
【0074】
前述したように周波数生成回路58は基準周波数を各同期信号生成回路62a~62dに出力し、比較回路57は、タイムスロットと各電圧値Va(X)~Vd(X)とを紐付けて、各同期信号生成回路62a~62dに出力する。
【0075】
図6の下図に示すように、同期信号生成回路62aは、電圧値Va(X)に紐付いたタイムスロットを参照し、同期信号Aを生成する。電圧値Va(X)に紐付いたタイムスロットは時点0~2μsの間に無い。つまり、同期信号Aは時点0~2μsの間においてローレベルの状態にある。なお時点0~2μsの間において、電圧値Va(X)~Vd(X)に紐付いたタイムスロットはTS1でもよい。
【0076】
時点2~3μsの間において電圧値Va(X)に紐付いたタイムスロットはTS2であり、同期信号Aは時点2~2.5μsの間において、ハイレベルの状態にあり、時点2.5~3μsの間において、ローレベルの状態にある。時点3~4の間においてタイムスロットはTS2であり、同期信号Aは時点3~3.5μsの間において、ハイレベルの状態にあり、時点3.5~4μsの間において、ローレベルの状態にある。時点4~7の間においてタイムスロットはTS4であり、同期信号Aは時点4~4+(1/3)、時点5~5+(1/3)、時点6~6+(1/3)、時点7~7+(1/3)μsの間において、ハイレベルの状態にあり、時点4+(1/3)~5、5+(1/3)~6、6+(1/3)~7μs、7+(1/3)~8μsの間において、ローレベルの状態にある。
【0077】
時点8μsにおいてタイムスロットはTS7であり、同期信号Aは時点8~8+(1/4)μsの間において、ハイレベルの状態にあり、時点8+(1/4)~9μsの間において、ローレベルの状態にある。同期信号Aは時点9~時点14μsの間において、ローレベルを維持し続ける。時点14μsにおいてタイムスロットはTS4であり、同期信号Aは時点14~14+(1/3)μsの間において、ハイレベルの状態にあり、時点14+(1/3)~15μsの間において、ローレベルの状態にある。時点15~18の間においてタイムスロットはTS1であり、同期信号Aは時点15~18の間において、ハイレベルの状態にある。つまり、同期信号Aのパルス幅は、タイムスロットの長さが長くなる従って、長くなる。
【0078】
図7の上図に示すように、同期信号生成回路62bは、電圧値Vb(X)に紐付いたタイムスロットを参照し、同期信号Bを生成する。同期信号Bは、時点0~4μsの間において、ローレベルの状態にある。電圧値Vb(X)に紐付いたタイムスロットは、時点4~9μsの間においてTS5であり、同期信号Bは時点k+(1/3)~k+(2/3)μs(kは4~8の整数)の間において、ハイレベルの状態にある。同期信号Bは、時点k~k+(1/3)及び時点k+(2/3)~k+1(kは4~8の整数)μsの間において、ローレベルの状態にある。
【0079】
タイムスロットは時点9~14μsの間においてTS2であり、同期信号Bは時点k′~k′+(1/2)μs(k′は9~13の整数)の間において、ハイレベルの状態にある。同期信号Bは、時点k′+(1/2)~k′+1μs(k′は9~13の整数)の間において、ローレベルの状態にある。時点14~15μsの間においてTS5であり、同期信号Bは時点14+(1/3)~14+(2/3)μsの間において、ハイレベルの状態にある。同期信号Bは、時点14~14+(1/3)及び時点14+(2/3)~15μsの間において、ローレベルの状態にある。また、同期信号Bは、時点15~20μsの間において、ローレベルの状態にある。つまり、同期信号Bのパルス幅は、タイムスロットの長さが長くなる従って、長くなる。
【0080】
図7の中央図に示すように、同期信号生成回路62cは、電圧値Vc(X)に紐付いたタイムスロットを参照し、同期信号Cを生成する。同期信号Cは、時点0~2μsの間において、ローレベルの状態にある。電圧値Vc(X)に紐付いたタイムスロットは、時点2~4μsの間においてTS3であり、同期信号Cは時点k′′+(1/2)~k′′+1μs(k′′は2及び3)の間において、ハイレベルの状態にある。同期信号Bは、時点k′′~k′′+(1/2)(k′′は2及び3)μsの間において、ローレベルの状態にある。
【0081】
タイムスロットは、時点4~8μsの間においてTS6であり、同期信号Cはk′′′+(2/3)~k′′′+1μs(k′′′は4~7の整数)の間において、ハイレベルの状態にある。同期信号Cはk′′′~k′′′+(2/3)μs(k′′′は4~7の整数)の間において、ローレベルの状態にある。時点8~9μsの間においてタイムスロットはTS9であり、同期信号Cは時点8+(1/2)~8+(3/4)μsの間において、ハイレベルの状態にある。同期信号Cは、時点8~8+(1/2)及び時点8+(3/4)~9μsの間において、ローレベルの状態にある。また、同期信号Cは、時点9~20μsの間において、ローレベルの状態にある。つまり、同期信号Cのパルス幅は、タイムスロットの長さが長くなる従って、長くなる。
【0082】
図7の下図に示すように、同期信号生成回路62dは、電圧値Vd(X)に紐付いたタイムスロットを参照し、同期信号Dを生成する。同期信号Dは、時点0~8μsの間において、ローレベルの状態にある。電圧値Vd(X)に紐付いたタイムスロットは、時点8~9μsの間においてタイムスロットTS10であり、同期信号Dは時点8+(3/4)~9μsの間において、ハイレベルの状態にある。同期信号Dは、時点8~8+(3/4)μsの間において、ローレベルの状態にある。
【0083】
タイムスロットは、時点9~14μsの間においてTS3であり、同期信号Dはk′′′′+(1/2)~k′′′′+1μs(k′′′′は9~13の整数)の間において、ハイレベルの状態にある。同期信号Dはk′′′′~k′′′′+(1/2)μs(k′′′′は9~13の整数)の間において、ローレベルの状態にある。時点14~15μsの間においてタイムスロットはTS6であり、同期信号Dは時点14+(2/3)~15μsの間において、ハイレベルの状態にある。同期信号Dは、時点14~14+(2/3)μsの間において、ローレベルの状態にある。また、同期信号Dは、時点15~20μsの間において、ローレベルの状態にある。つまり、同期信号Dのパルス幅は、タイムスロットの長さが長くなる従って、長くなる。
【0084】
各同期信号生成回路62a~62dは同期信号A~Dをスイッチ群54に出力する。図3に示すように、制御回路51は、複数の第nスイッチ54(n)の開閉を制御するスイッチ制御信号S1を出力する。スイッチ制御信号S1は、複数の第nスイッチ54(n)のいずれかを選択することを示す第一選択情報と、4つの同期信号A~Dのいずれかを選択することを示す第二選択情報とを含む。第一選択情報及び第二選択情報は紐づけられている。
【0085】
スイッチ群54は、選択された同期信号A~Dが示す開閉タイミングで、選択された第nスイッチ54(n)を開閉させる。前述したように、時分割多重信号は複数の第nスイッチ54(n)それぞれに入力されているので、第nスイッチ54(n)の開閉によって、駆動波形データDa~Ddのいずれかに対応した駆動波形がアクチュエータ88に入力される。
【0086】
図9は、第nスイッチ54(n)の開閉によってアクチュエータ88に入力される駆動波形信号の模式図である。同期信号Aが選択された場合、スイッチ群54は、同期信号Aのパルスがハイレベルの場合、第nスイッチ54(n)を閉じ、同期信号Aのパルスがローレベルの場合、第nスイッチ54(n)を開ける。第1コンデンサ89a及び第2コンデンサ89bによって、第nスイッチ54(n)を閉じたときに個別電極85に印加された電荷が保持される。即ち時分割多重信号から駆動波形信号WAが分離される。図9に示すように、駆動波形信号WAがアクチュエータ88に入力され、アクチュエータ88が駆動される。
【0087】
同期信号Bが選択された場合、スイッチ群54は、同期信号Bのパルスがハイレベルの場合、第nスイッチ54(n)を閉じ、同期信号Bのパルスがローレベルの場合、第nスイッチ54(n)を開ける。第1コンデンサ89a及び第2コンデンサ89bによって、第nスイッチ54(n)を閉じたときに個別電極85に印加された電荷が保持され、即ち時分割多重信号から駆動波形信号WBが分離される。図9に示すように、駆動波形信号WBがアクチュエータ88に入力され、アクチュエータ88が駆動される。
【0088】
同期信号Cが選択された場合、スイッチ群54は、同期信号Cのパルスがハイレベルの場合、第nスイッチ54(n)を閉じ、同期信号Cのパルスがローレベルの場合、第nスイッチ54(n)を開ける。第1コンデンサ89a及び第2コンデンサ89bによって、第nスイッチ54(n)を閉じたときに個別電極85に印加された電荷が保持され、即ち時分割多重信号から駆動波形信号WCが分離される。図9に示すように、駆動波形信号WCがアクチュエータ88に入力され、アクチュエータ88が駆動される。
【0089】
同期信号Dが選択された場合、スイッチ群54は、同期信号Dのパルスがハイレベルの場合、第nスイッチ54(n)を閉じ、同期信号Dのパルスがローレベルの場合、第nスイッチ54(n)を開ける。第1コンデンサ89a及び第2コンデンサ89bによって、第nスイッチ54(n)を閉じたときに個別電極85に印加された電荷が保持され、即ち時分割多重信号から駆動波形信号WDが分離される。図9に示すように、駆動波形信号WDがアクチュエータ88に入力され、アクチュエータ88が駆動される。
【0090】
駆動波形信号WAによってアクチュエータ88を駆動した場合、ノズル80から吐出されるインクの大きさは「中」である。駆動波形信号WBによってアクチュエータ88を駆動した場合、ノズル80から吐出されるインクの大きさは「大」である。駆動波形信号WC及びWDによってアクチュエータ88を駆動した場合、ノズル80から吐出されるインクの大きさはいずれも「小」である。駆動波形信号WC及びWDにおいて、インクの吐出タイミングが異なる。
【0091】
実施の形態1に係る印刷装置にあっては、互いに異なる駆動波形を示す複数の駆動波形データDa~Ddから、時分割多重信号を生成する。生成された時分割多重信号から、いずれか1つの駆動波形に対応した駆動波形信号WA~WDを分離する。アクチュエータ88は、分離された駆動波形信号WA~WDによって駆動される。いずれか1つの駆動波形信号WA~WDを分離することによって、アクチュエータ88に与えられる駆動波形の形状を調整することができる。また1画素を印刷する1周期には、いずれか1つの駆動波形の周期のみが含まれ、他の駆動波形の周期は含まれない。そのため、ノズル80の待機時間を削減することができる。
【0092】
また電圧の大きさが所定値(0V)よりも大きい駆動波形のみが選択され、時分割多重信号が生成される。一つの所定時間帯において、0Vよりも大きい電圧値の数、即ち選択された駆動波形の数が少なくなるに従って、割り当てられるタイムスロット、即ち割当時間は長くなる。そのため、各所定時間帯の全体に0Vよりも大きい電圧値が割り当てられる。換言すれば、電圧の大きさが所定値よりも大きい駆動波形のみが選択され、時分割多重信号が生成される。その結果、駆動波形の再現性を高めることができる。
【0093】
(実施の形態2)
以下本発明を実施の形態2に係る印刷装置を示す図面に基づいて説明する。実施の形態2に係る印刷装置の構成の内、実施の形態1と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。図10は、CPU51aによる印刷処理を説明するフローチャートである。
【0094】
CPU51aは、外部装置100から印刷ジョブを受信したか否か判定する(S1)。印刷ジョブを受信していない場合(S1:NO)、CPU51aはステップS1に処理を戻す。印刷ジョブを受信した場合(S1:YES)、CPU51aは、受信した印刷ジョブが第2印刷であるか否か判定する(S2)。印刷ジョブが第2印刷である場合(S2:YES)、CPU51aは、受信した印刷ジョブが高階調印刷であるか否か判定する(S3)。印刷ジョブが高階調印刷である場合(S3:YES)、CPU51aは、受信した印刷ジョブが低速印刷であるか否か判定する(S4)。印刷ジョブが低速印刷である場合(S4:YES)、CPU51aは全ての駆動波形データDa~Ddを選択し(S5)、第1多重化処理を開始する(S6)。第1多重化処理は、実施の形態1に示した時分割多重化信号の生成処理及び時分割多重化信号からの駆動波形信号の分離処理である。第1多重化処理において、比較回路57は、CPU51aが選択した複数の駆動波形データから、所定時間帯における電圧の大きさに基づき駆動波形を示すデータを選択する。
【0095】
CPU51aは1印刷タスクを実行する(S7)。印刷タスクは、印刷ジョブを構成する単位である。具体的には、インクジェットヘッド8が右方又は左方に記録用紙200の左右幅分移動する間に行う液体吐出処理である。次にCPU51aは、異常があるか否か判定する(S8)。異常は、例えば紙詰まりである。異常がある場合(S8:YES)、CPU51aは異常処理を実行する(S15)。異常処理の詳細は後述する。
【0096】
異常がない場合(S8:NO)、1印刷タスクが完了したか否か判定する(S9)。なお1印刷タスクにおいて、キャリッジ6は1走査する。1印刷タスクが完了していない場合(S9:NO)、ステップS8に処理を戻す。1印刷タスクが完了した場合(S9:YES)、CPU51aは、印刷ジョブが完了したか否か判定する(S10)。印刷ジョブが完了していない場合(S10:NO)、CPU51aはステップS7に処理を戻し、次の1印刷タスクを実行する。印刷ジョブが完了した場合(S10:YES)、CPU51aは第1多重化処理又は後述する第2多重化処理を終了し(S11)、フラッシング処理を実行する(S12)。フラッシング処理は印刷目的以外でノズル80からインクを吐出する処理であり、例えばフラッシング受け21にて実行される。フラッシング処理の実行後、CPU51aは印刷処理を終了する。
【0097】
ステップS2において、印刷ジョブが第2印刷でない場合(S2:NO)、即ち第1印刷である場合、ステップS3において、印刷ジョブが高階調印刷でない場合(S3:NO)、即ち低階調印刷である場合、又はステップS4において、印刷ジョブが低速印刷でない場合(S4:NO)、即ち高速印刷である場合、CPU51aは、印刷方法に対応した1つ~3つの駆動波形データを選択し(S13)、第2多重化処理を開始する(S14)。第2多重化処理は、使用する駆動波形データDa~Ddの数を実施の形態1よりも減らすことを除けば、実施の形態1に示した生成処理及び分離処理と同様な処理である。第2多重化処理において、比較回路57は、CPU51aが選択した複数の駆動波形データから、所定時間帯における電圧の大きさに基づき駆動波形を示すデータを選択する。ステップS14の実行後、CPU51aはステップS7に処理を進める。
【0098】
図11は、CPU51aによる異常処理を説明するフローチャートである。なおCPU51a以外のCPUによって、異常処理が実行されてもよい。CPU51aはステップS8にて異常ありと判定した場合(S8:YES)、印刷を中止し(S21)、第1多重化処理又は第2多重化処理を中止する(S22)。即ち、CPU51aは時分割多重信号の生成及び駆動波形信号の分離を中止する。言い換えると、CPU51aは、1Vの信号や2Vの信号がある時間帯に0Vの信号が時分割多重信号に含まれないように時分割多重信号の生成し、1Vの信号や2Vの信号がある時間帯に0Vの信号が含まれない時分割多重信号から駆動波形信号の分離するための同期信号A~Dを生成することも中止する。そしてCPU51aは異常が解消されたか否か判定する(S23)。異常が解消されていない場合(S23:YES)、例えば、紙詰まりが解消されていない場合、CPU51aはステップS23に処理を戻す。異常が解消されている場合(S23:NO)、CPU51aはパージ処理を実行する(S24)。パージ処理は、インクを不図示のポンプに吸引させる処理である。CPU51aは、第1多重化処理又は第2多重化処理を再開し(S25)、ステップS7に処理を戻す。言い換えると、CPU51aは、1Vの信号や2Vの信号がある時間帯に0Vの信号が時分割多重信号に含まれないように時分割多重信号の生成し、1Vの信号や2Vの信号がある時間帯に0Vの信号が含まれない時分割多重信号から駆動波形信号の分離するための同期信号A~Dを生成することを再開する。
【0099】
実施の形態2に係る印刷装置にあっては、複数の駆動波形データから、印刷方法に応じた数の駆動波形データを選択する。そのため、印刷に使用する駆動波形データの数を削減し、全駆動波形データを使用する場合に比べて、同期信号の数を削減し、スイッチ群54におけるスイッチング周波数を小さくし、ノイズの発生及び消費電力の増大を抑制することができる。
【0100】
(実施の形態3)
以下本発明を実施の形態3に係る印刷装置を示す図面に基づいて説明する。実施の形態3に係る印刷装置の構成の内、実施の形態1又は2と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。図12は、1周期の駆動波形データDa~Ddを時系列にプロットしたグラフ、時分割多重信号を示すグラフ及び同期信号Aを示すグラフ、図13は、同期信号B~Dを示すグラフである。
【0101】
実施の形態3において、実施の形態1の図6の中央図に示す時分割多重信号を構成する同じ値の電圧が所定時間帯、即ち1μsの間に複数ある場合、同じ値の電圧は一つに纏められる。例えば、時点2~3μsの間において、図6の電圧値Va(X)及びVc(X)はいずれもV1なので、時点2~3μsの間、継続保持される電圧値V1に纏められる(図12の中央部参照)。即ちCPU51aは、所定時間帯において選択された同じ電圧値の複数の駆動波形を1つに纏めて駆動波形の数を減少させる。
【0102】
図12の下図及び図13の中央図に示すように、時点2~3μsの間において、電圧値Va(X)及び電圧値Vc(X)それぞれに割り当てられる割当時間は1μsである。即ちCPU51aは、減少後の駆動波形の数に基づいて、選択された駆動波形に割り当てられる割当時間を演算する。時点2~3μsにおいて、実施の形態1において選択された駆動波形の数は2つであるが、実施の形態3では、選択された駆動波形の数は1つに減少する。CPU51aは、選択された駆動波形1つ当たりに割り当てられる割当時間として、1μs/(選択された駆動波形の数)、即ち1μs/1=1μsを演算する。演算された割当時間は電圧値Va(X)及びVc(X)に共通の時間である。CPU51aは、電圧値Va(X)及びVc(X)に共通する重畳的な割当時間として、時点2~3μsの間の1μsを設定する。時点2~3μsの間において、同期信号A及びCそれぞれはハイレベルの状態を保つ。
【0103】
同様にして、時点3~4μsの間において、電圧値Va(X)及びVc(X)は時点3~4μsの間、継続保持される電圧V2に纏められ、電圧値Va(X)及び電圧値Vc(X)それぞれに割り当てられる割当時間は1μsである。時点3~4μsの間において、同期信号A及びCそれぞれはハイレベルの状態を保つ。
【0104】
時点4~5μsの間において、図12の上図及び中央図に示すように、電圧値Va(X)及びVc(X)はいずれもV1なので、継続保持される電圧値V1に纏められる。そのため、選択された駆動波形の数は3つから2つに減少する。CPU51aは、選択された駆動波形1つ当たりに割り当てられる割当時間として、1μs/(選択された駆動波形の数)、即ち1μs/2=1/2μsを演算する。CPU51aは、図12の下図、図13の上図及び中央図に示すように、4~4+(1/2)μsの間の時間を電圧値Va(X)及びVc(X)それぞれに割り当て、4+(1/2)~5μsの間の時間を電圧値Vb(X)に割り当てる。
【0105】
また時点5~6μsの間において、図12の上図及び中央図に示すように、電圧値Va(X)、Vb(X)及びVc(X)は、時点5~6μsの間、継続保持される電圧値V2に纏められる。そのため、選択された駆動波形の数は3つから1つに減少する。CPU51aは、選択された駆動波形1つ当たりに割り当てられる割当時間として、1μs/(選択された駆動波形の数)、即ち1μs/1=1μsを演算する。演算された割当時間は電圧値Va(X)、Vb(X)及びVc(X)に共通の時間である。CPU51aは、図12の下図、図13の上図及び中央図に示すように、時点5~6μsの間の1μsを電圧値Va(X)、Vb(X)及びVc(X)に共通する重畳的な割当時間として設定する。時点6~7、7~8μsの間も同様である。
【0106】
また時点8~9μsの間において、図12の上図及び中央図に示すように、電圧値Va(X)、Vc(X)及びVd(X)は、時点8~9μsの間、継続保持される電圧値V1に纏められる。そのため、選択された駆動波形の数は4つから2つに減少する。CPU51aは、選択された駆動波形1つ当たりに割り当てられる割当時間として、1μs/(選択された駆動波形の数)、即ち1μs/2=1/2μsを演算する。演算された割当時間は電圧値Va(X)Vc(X)及びVd(X)に共通の時間である。CPU51aは8~8+(1/2)μsの間の1/2μs時間を電圧値Va(X)Vc(X)及びVd(X)に共通する重畳的な割当時間として設定する。8~8+(1/2)μsの間において、同期信号A、C及びDそれぞれはハイレベルの状態を保つ。8+(1/2)~9μsの間の時間を電圧値Vb(X)に割り当てる。
【0107】
また時点9~10μsの間において、図12の上図及び中央図に示すように、電圧値Vb(X)及びVd(X)は、時点9~10μsの間、継続保持される電圧値V2に纏められる。そのため、選択された駆動波形の数は2つから1つに減少する。CPU51aは、選択された駆動波形1つ当たりに割り当てられる割当時間として、1μs/(選択された駆動波形の数)、即ち1μs/1=1μsを演算する。演算された割当時間は電圧値Vb(X)及びVd(X)に共通の時間である。CPU51aは、図13の上図及び下図に示すように、時点9~10μsの間の1μsの間の時間を電圧値Vb(X)及びVd(X)に共通する重畳的な割当時間として設定する。時点10~11、11~12、12~13、13~14μsの間も同様である。
【0108】
また時点14~15μsの間において、図12の上図及び中央図に示すように、電圧値Va(X)、Vb(X)及びVd(X)は、時点14~15μsの間、継続保持される電圧値V1に纏められる。そのため、選択された駆動波形の数は3つから1つに減少する。CPU51aは、選択された駆動波形1つ当たりに割り当てられる割当時間として、1μs/(選択された駆動波形の数)、即ち1μs/1=1μsを演算する。演算された割当時間は電圧値Va(X)、Vb(X)及びVd(X)に共通の時間である。CPU51aは、図12の下図、図13の上図及び下図に示すように、時点14~15μsの間の1μsの間の時間を電圧値Va(X)、Vb(X)及びVd(X)に共通する重畳的な割当時間として設定する。時点15μs以降は、実施の形態1と同様である。
【0109】
実施の形態3に係る印刷装置にあっては、所定時間帯において同じ電圧値を有する駆動波形を纏めて、選択される駆動波形の数を減少させ、各電圧値の割当時間をより長くすることができる。その結果、駆動波形の再現性をより高めることができる。
【0110】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
実施の形態1において、同期信号A~Dはパルス波であり、ハイレベル(H)区間及びローレベル(L)区間を有していたがこれに限られない。同期信号A~Dはパルス波でなくてもよい。例えば、同期信号A~Dの立ち上がり部分が垂直でなく、90度より小さな傾斜を有していてもよい。また、同期信号A~Dの立ち下がり部分が垂直でなく、90度より小さな傾斜を有していてもよい。
実施の形態1において、比較回路57は、時点k~時点k+1の間の時間毎に、即ち所定時間帯毎に、電圧の大きさが所定値(本実施例では0V)よりも大きい各電圧値に対してタイムスロットを一つずつ割り当てていたが、これに限られない。比較回路57は、時点k~時点k+1の間の時間毎に、即ち所定時間帯毎に、電圧の大きさが0Vに対応する電圧値Va(X)、Vb(X)、Vc(X)及びVd(X)のいずれか一つに対してタイムスロットルを割り当ててもよい。具体的には、比較回路57はTS1と電圧値Va(X)とを紐付けるか、TS1と電圧値Vb(X)とを紐付けるか、TS1とVc(X)とを紐付けるか、TS1とVd(X)とを紐付けるかして、切替回路59及び各同期信号生成回路62a~62dに出力する。換言すれば、電圧の大きさが0Vの駆動波形が選択され、時分割多重信号が生成される。
【符号の説明】
【0111】
1 印刷装置
50 制御装置
51 制御回路
51a CPU(第2選択部)
52 D/Aコンバータ
53 アンプ
54 スイッチ群
57 比較回路(第1選択部)
80 ノズル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13