(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152059
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】鉄筋結束機およびリール
(51)【国際特許分類】
B65H 75/18 20060101AFI20231005BHJP
B25B 25/00 20060101ALI20231005BHJP
B21F 15/06 20060101ALI20231005BHJP
B65H 49/32 20060101ALI20231005BHJP
B65H 81/06 20060101ALI20231005BHJP
B65H 75/14 20060101ALI20231005BHJP
E04G 21/12 20060101ALN20231005BHJP
【FI】
B65H75/18 A
B25B25/00 A
B21F15/06
B65H49/32
B65H81/06 A
B65H75/14
E04G21/12 105E
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061992
(22)【出願日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 祐太
(72)【発明者】
【氏名】町田 吉隆
【テーマコード(参考)】
3C031
3F058
3F109
4E070
【Fターム(参考)】
3C031BB01
3F058AB03
3F058AC00
3F058BB19
3F058CA00
3F058DA05
3F058DB03
3F058DB05
3F058DC03
3F058DC08
3F058HB02
3F058HB08
3F058LA00
3F109BA01
3F109CA04
3F109CA06
3F109CA08
3F109CB02
4E070AA01
4E070AB06
4E070BA18
4E070DB04
(57)【要約】
【課題】複数の種類のボビンを用意することなく、鉄筋結束機でリールの種類を検出することを可能とする技術を開示する。
【解決手段】鉄筋結束機は、ボビンと、ボビンに巻回されているワイヤと、情報部分と、を備えているリールと、リールを取り付けるためのリール取付部と、ボビンに巻回されているワイヤを鉄筋の周りに送る送りユニットと、鉄筋の周りに送られたワイヤを捩る捩りユニットと、検出ユニットと、を備えている。情報部分は、リールに関連する情報を示しており、ワイヤによって構成されている。検出ユニットは、情報部分を検出する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボビンと、前記ボビンに巻回されているワイヤと、情報部分と、を備えているリールと、
前記リールを取り付けるためのリール取付部と、
前記ボビンに巻回されている前記ワイヤを鉄筋の周りに送る送りユニットと、
前記鉄筋の周りに送られた前記ワイヤを捩る捩りユニットと、
検出ユニットと、を備えており、
前記情報部分は、前記リールに関連する情報を示しており、前記ワイヤによって構成されており、
前記検出ユニットは、前記情報部分を検出する、鉄筋結束機。
【請求項2】
前記情報部分は、前記ボビンの外側に配置されている前記ワイヤによって構成されている、請求項1に記載の鉄筋結束機。
【請求項3】
前記情報部分は、前記ワイヤの巻き初め部分を備えており、
前記ボビンに対する前記巻き初め部分の配置は、前記リールの種類に応じて異なり、
前記検出ユニットは、前記ボビンに対する前記巻き初め部分の前記配置を検出する、請求項1または2に記載の鉄筋結束機。
【請求項4】
前記ボビンは、前記巻き初め部分と係合する係合爪を備えている、請求項3に記載の鉄筋結束機。
【請求項5】
前記係合爪は、前記巻き初め部分と係合しているときに前記巻き初め部分と当接する係合面を備えており、
前記係合面は、前記巻き初め部分に対して、前記ボビンの中心軸に沿って前記ボビンから離れる方向に配置されている、請求項4に記載の鉄筋結束機。
【請求項6】
前記ボビンは、
前記ワイヤが巻回されている胴部と、
前記胴部の一端に配置されている鍔部と、を備えており、
前記鍔部は、前記鍔部を厚み方向に貫通する切り欠きを備えており、
前記巻き初め部分は、前記切り欠きを通過することによって、前記ボビンの外側に配置される、請求項3から5のいずれか一項に記載の鉄筋結束機。
【請求項7】
前記鍔部は、
第1鍔部と、
前記巻き初め部分を前記胴部に向けて案内する傾斜面を備えており、前記第1鍔部との間に前記切り欠きを画定する第2鍔部と、を備えており、
前記巻き初め部分は、前記傾斜面に沿って配置されて90度未満の角度で屈曲している、請求項6に記載の鉄筋結束機。
【請求項8】
前記ボビンは、前記巻き初め部分を、前記切り欠きに向けて案内するガイドをさらに備えている、請求項6または7に記載の鉄筋結束機。
【請求項9】
前記ガイドは、
第1ガイドと、
前記第1ガイドと対向して配置されており、前記第1ガイドとの間に案内空間を画定する第2ガイドと、を備えており、
前記巻き初め部分は、前記案内空間に配置されている、請求項8に記載の鉄筋結束機。
【請求項10】
前記案内空間は、前記切り欠きの延長線上に配置されている、請求項9に記載の鉄筋結束機。
【請求項11】
前記リール取付部と、前記送りユニットと、前記捩りユニットと、前記検出ユニットを支持する支持部をさらに備えており、
前記検出ユニットは、前記支持部に対して移動可能な可動部材を備えており、
前記可動部材は、前記リールが前記リール取付部に取り付けられていないときに、初期位置に配置されており、
前記情報部分は、前記リールが前記リール取付部に取り付けられたときに、前記可動部材を前記初期位置から、前記初期位置とは異なる取付位置に移動させる、請求項1から10のいずれか一項に記載の鉄筋結束機。
【請求項12】
前記可動部材は、前記初期位置と前記取付位置との間を移動可能に、前記リール取付部に支持されている、請求項11に記載の鉄筋結束機。
【請求項13】
前記検出ユニットは、
前記可動部材に固定された種類検出用磁石と、
前記支持部に固定されており、前記種類検出用磁石を検出することにより前記可動部材が前記取付位置にあるか否かを検出可能な種類検出用センサと、をさらに備えている、請求項11または12に記載の鉄筋結束機。
【請求項14】
前記検出ユニットは、前記可動部材を前記初期位置に向けて付勢する第1付勢部材をさらに備えている、請求項11から13のいずれか一項に記載の鉄筋結束機。
【請求項15】
前記検出ユニットは、複数の前記可動部材を備えており、
前記情報部分は、前記リールが前記リール取付部に取り付けられたときに、前記複数の可動部材のうちの少なくとも1つの可動部材を、前記初期位置から前記取付位置に移動させ、
前記ボビンは、前記リールが前記リール取付部に取り付けられたときに、前記初期位置にある前記可動部材を受け入れる第1受入部を備えている、請求項11から14のいずれか一項に記載の鉄筋結束機。
【請求項16】
前記ボビンは、前記リールが前記リール取付部に取り付けられたときに、前記可動部材を受け入れる第2受入部を備えており、
前記情報部分は、前記リールが前記リール取付部に取り付けられたときに、前記第2受入部に受け入れられた前記可動部材を、前記初期位置から前記取付位置に移動させる、請求項15に記載の鉄筋結束機。
【請求項17】
前記リールは、前記リールが前記リール取付部に取り付けられたときに、回転軸の周りを回転可能であり、
前記検出ユニットは、前記リールの回転角度を検出する回転検出ユニットをさらに備えている、請求項11から16のいずれか一項に記載の鉄筋結束機。
【請求項18】
前記リールは、前記リールが前記リール取付部に取り付けられたときに、回転軸の周りを回転可能であり、
前記リール取付部は、
前記リールが前記リール取付部に取り付けられたときに前記リールと当接するリールストッパと、
前記リールが前記リール取付部に取り付けられたときに前記リールストッパを前記リールに向けて付勢する第2付勢部材と、を備えている、請求項1から17のいずれか一項に記載の鉄筋結束機。
【請求項19】
前記ボビンと前記リール取付部の一方は、リブを備えており、
前記ボビンと前記リール取付部の他方は、前記リールを前記リール取付部に取り付けるときに、前記情報部分を前記検出ユニットに対して所定の配置に調整するように、前記リブを案内する案内部材を備えている、請求項1から18のいずれか一項に記載の鉄筋結束機。
【請求項20】
鉄筋結束機のリール取付部に取り付けられて使用されるリールであって、
ボビンと、
前記ボビンに巻回されているワイヤと、
情報部分と、を備えており、
前記情報部分は、前記リールに関連する情報を示しており、前記ワイヤによって構成されており、
前記情報部分は、前記鉄筋結束機に検出される、リール。
【請求項21】
ボビンと、前記ボビンに巻回されているワイヤと、を備えているリールと、
前記リールを取り付けるためのリール取付部と、
前記ボビンに巻回されている前記ワイヤを鉄筋の周りに送る送りユニットと、
前記鉄筋の周りに送られた前記ワイヤを捩る捩りユニットと、
前記ボビンに巻回されている前記ワイヤを検出する検出ユニットと、を備えている、鉄筋結束機。
【請求項22】
鉄筋結束機のリール取付部に取り付けられて使用されるリールであって、
ボビンと、
前記ボビンに巻回されているワイヤと、を備えており、
前記ワイヤは、前記鉄筋結束機に検出される、リール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋結束機およびリールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、鉄筋結束機が開示されている。鉄筋結束機は、ボビン、ボビンに巻回されているワイヤ、および情報表示部を備えているリールと、リールを取り付けるためのリール取付部と、ボビンに巻回されているワイヤを鉄筋の周りに送る送りユニットと、鉄筋の周りに送られたワイヤを捩る捩りユニットと、検出ユニットと、を備えている。情報表示部は、リールに関連する情報を示しており、ボビンによって構成されている。検出ユニットは、情報表示部を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の鉄筋結束機では、情報表示部がボビンによって構成されているため、複数の種類のリールを用意するときに、リールの種類ごとにボビンの情報表示部の形状を変更する必要がある。このため、複数の種類のリールに対応して、複数の種類のボビンを用意する必要がある。本明細書では、複数の種類のボビンを用意することなく、鉄筋結束機でリールの種類を検出することを可能とする技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する鉄筋結束機は、ボビンと、ボビンに巻回されているワイヤと、情報部分と、を備えているリールと、リールを取り付けるためのリール取付部と、ボビンに巻回されているワイヤを鉄筋の周りに送る送りユニットと、鉄筋の周りに送られたワイヤを捩る捩りユニットと、検出ユニットと、を備えている。情報部分は、リールに関連する情報を示しており、ワイヤによって構成されている。検出ユニットは、情報部分を検出する。
【0006】
上記の構成によれば、情報部分がワイヤによって構成されているため、複数の種類のリールを用意する場合であっても、ボビンの形状を変更する必要がない。このような構成とすることにより、複数の種類のボビンを用意することなく、鉄筋結束機でリールの種類を検出することを可能とすることができる。
【0007】
本明細書が開示するリールは、鉄筋結束機のリール取付部に取り付けられて使用される。リールは、ボビンと、ボビンに巻回されているワイヤと、情報部分と、を備えている。情報部分は、リールに関連する情報を示しており、ワイヤによって構成されている。情報部分は、鉄筋結束機に検出される。
【0008】
上記の構成によれば、上記の鉄筋結束機と同様の効果を奏することができる。
【0009】
本明細書が開示する鉄筋結束機は、ボビンと、ボビンに巻回されているワイヤと、を備えているリールと、リールを取り付けるためのリール取付部と、ボビンに巻回されているワイヤを鉄筋の周りに送る送りユニットと、鉄筋の周りに送られたワイヤを捩る捩りユニットと、ボビンに巻回されているワイヤを検出する検出ユニットと、を備えている。
【0010】
上記の構成によれば、ワイヤが検出ユニットにより直接検出されるため、ワイヤがリールに関連する情報を示している場合に、複数の種類のボビンを用意することなく、鉄筋結束機でリールの種類を検出することを可能とすることができる。
【0011】
本明細書が開示するリールは、鉄筋結束機のリール取付部に取り付けられて使用される。リールは、ボビンと、ボビンに巻回されているワイヤと、を備えている。ワイヤは、鉄筋結束機に検出される。
【0012】
上記の構成によれば、上記の鉄筋結束機と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施例の鉄筋結束機2を後方左方上方から見た斜視図である。
【
図2】実施例の鉄筋結束機2を前方右方上方から見た斜視図である。
【
図3】実施例の鉄筋結束機2の内部構成を示す側面図である。
【
図5】実施例の鉄筋結束機2の案内部46近傍の断面図である。
【
図7】実施例の鉄筋結束機2のリールホルダ6近傍の断面図である。
【
図9】実施例のボビン120を前方右側から見た斜視図である。
【
図10】実施例のボビン120を前方左側から見た斜視図である。
【
図11】実施例のリール30の係合爪132近傍の断面図である。
【
図16】実施例の右側リール取付部234と可動部材270と付勢部材272と種類検出用磁石274の分解斜視図である。
【
図17】実施例のリールホルダ6において、カバー26が取り外されてリール30が取り付けられていない状態の斜視図である。
【
図18】実施例のリールホルダ6において、カバー26が取り外されてリール30が取り付けられた状態の斜視図である。
【
図19】実施例の検出ユニット110と右側リール取付部234の分解斜視図である。
【
図20】実施例の鉄筋結束機2のリールホルダ6近傍の断面図である。
【
図21】実施例の種類検出用センサ290と回転検出用センサ294が検出するシグナルチャートである。
【
図22】実施例の制御回路基板32の回路構成を示す図である。
【
図23】実施例のMCU302が実行する処理のフローチャートである。
【
図24】実施例のMCU302が実行する処理のフローチャートである。
【
図25】実施例のMCU302が実行する処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本発明の代表的かつ非限定的な具体例について、図面を参照して詳細に説明する。この詳細な説明は、本発明の好ましい例を実施するための詳細を当業者に示すことを単純に意図しており、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。また、以下に開示される追加的な特徴ならびに発明は、さらに改善された鉄筋結束機およびリール、その製造方法及び使用方法を提供するために、他の特徴や発明とは別に、又は共に用いることができる。
【0015】
また、以下の詳細な説明で開示される特徴や工程の組み合わせは、最も広い意味において本発明を実施する際に必須のものではなく、特に本発明の代表的な具体例を説明するためにのみ記載されるものである。さらに、上記及び下記の代表的な具体例の様々な特徴、ならびに、独立及び従属クレームに記載されるものの様々な特徴は、本発明の追加的かつ有用な実施形態を提供するにあたって、ここに記載される具体例のとおりに、あるいは列挙された順番のとおりに組合せなければならないものではない。
【0016】
本明細書及び/又は特許請求の範囲に記載された全ての特徴は、実施例及び/又はクレームに記載された特徴の構成とは別に、出願当初の開示ならびにクレームされた特定事項に対する限定として、個別に、かつ互いに独立して開示されることを意図するものである。さらに、全ての数値範囲及びグループ又は集団に関する記載は、出願当初の開示ならびにクレームされた特定事項に対する限定として、それらの中間の構成を開示する意図を持ってなされている。
【0017】
本明細書が開示する鉄筋結束機は、鉄筋結束機は、ボビンと、ボビンに巻回されているワイヤと、情報部分と、を備えているリールと、リールを取り付けるためのリール取付部と、ボビンに巻回されているワイヤを鉄筋の周りに送る送りユニットと、鉄筋の周りに送られたワイヤを捩る捩りユニットと、検出ユニットと、を備えている。情報部分は、リールに関連する情報を示しており、ワイヤによって構成されている。検出ユニットは、情報部分を検出する。
【0018】
情報部分は、ボビンの外側に配置されているワイヤによって構成されていてもよい。
【0019】
上記の構成によれば、鉄筋結束機でリールの種類を容易に検出することを可能とすることができる。
【0020】
1またはそれ以上の実施形態において、情報部分は、ワイヤの巻き初め部分を備えていてもよい。ボビンに対する巻き初め部分の配置は、リールの種類に応じて異なっていてもよい。検出ユニットは、ボビンに対する巻き初め部分の配置を検出してもよい。
【0021】
上記の構成によれば、ボビンに対する巻き初め部分の配置を検出する簡便な方法により、鉄筋結束機でリールの種類を検出することを可能とすることができる。
【0022】
1またはそれ以上の実施形態において、ボビンは、巻き初め部分と係合する係合爪を備えていてもよい。
【0023】
巻き初め部分が係合爪に係合していない構成とすると、外力が巻き初め部分に作用したときに、ボビンに対する巻き初め部分の配置が変化する。これにより、鉄筋結束機がリールの種類を誤検出する。上記の構成によれば、外力が巻き初め部分に作用しても、ボビンに対する巻き初め部分の配置が変化しない。これにより、鉄筋結束機がリールの種類を誤検出することを抑制することができる。
【0024】
1またはそれ以上の実施形態において、係合爪は、巻き初め部分と係合しているときに巻き初め部分と当接する係合面を備えていてもよい。係合面は、巻き初め部分に対して、ボビンの中心軸に沿ってボビンから離れる方向に配置されていてもよい。
【0025】
上記の構成によれば、外力が巻き初め部分に作用しても、ボビンに対する巻き初め部分の配置が変化することをより抑制することができる。
【0026】
1またはそれ以上の実施形態において、ボビンは、ワイヤが巻回されている胴部と、胴部の一端に配置されている鍔部と、を備えていてもよい。鍔部は、鍔部を厚み方向に貫通する切り欠きを備えていてもよい。巻き初め部分は、切り欠きを通過することによって、ボビンの外側に配置されてもよい。
【0027】
上記の構成によれば、切り欠きを使用する簡便な構成により、巻き初め部分をボビンの外側に配置することができる。
【0028】
1またはそれ以上の実施形態において、鍔部は、第1鍔部と、巻き初め部分を胴部に向けて案内する傾斜面を備えており、第1鍔部との間に切り欠きを画定する第2鍔部と、を備えていてもよい。巻き初め部分は、傾斜面に沿って配置されて90度未満の角度で屈曲していてもよい。
【0029】
第2鍔部が傾斜面を備えていない構成とすると、巻き初め部分は、第2鍔部の角に当接して、90度以上の角度で屈曲する。これにより、ワイヤをボビンに巻回するときにワイヤがボビンから浮き上がることがある。上記の構成によれば、巻き初め部分が傾斜面に沿って配置されて90度未満の角度で屈曲しているため、ワイヤをボビンに巻回するときにワイヤがボビンから浮き上がることを抑制することができる。
【0030】
1またはそれ以上の実施形態において、ボビンは、巻き初め部分を、切り欠きに向けて案内するガイドをさらに備えていてもよい。
【0031】
上記の構成によれば、リールを作製するときに巻き初め部分がガイドに案内されることにより、巻き初め部分を切り欠きに容易に通過させることができる。
【0032】
1またはそれ以上の実施形態において、ガイドは、第1ガイドと、第1ガイドと対向して配置されており、第1ガイドとの間に案内空間を画定する第2ガイドと、を備えていてもよい。巻き初め部分は、案内空間に配置されていてもよい。
【0033】
上記の構成によれば、リールを作製するときに巻き初め部分を案内空間に配置することにより、巻き初め部分を切り欠きに容易に通過させることができる。
【0034】
1またはそれ以上の実施形態において、案内空間は、切り欠きの延長線上に配置されていてもよい。
【0035】
案内空間が切り欠きの延長線上に配置されていない構成とすると、巻き初め部分は、案内空間と切り欠きとの間の領域で屈曲してしまう。上記の構成によれば、巻き初め部分が案内空間と切り欠きとの間の領域で屈曲することを抑制することができる。
【0036】
1またはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束機は、リール取付部と、送りユニットと、捩りユニットと、検出ユニットを支持する支持部をさらに備えていてもよい。検出ユニットは、支持部に対して移動可能な可動部材を備えていてもよい。可動部材は、リールがリール取付部に取り付けられていないときに、初期位置に配置されていてもよい。情報部分は、リールがリール取付部に取り付けられたときに、可動部材を初期位置から、初期位置とは異なる取付位置に移動させてもよい。
【0037】
上記の構成によれば、可動部材の位置を利用する簡便な方法により、鉄筋結束機でリールの種類を検出することを可能とすることができる。
【0038】
1またはそれ以上の実施形態において、可動部材は、初期位置と取付位置との間を移動可能に、リール取付部に支持されていてもよい。
【0039】
可動部材がリール取付部に支持されていない構成とすると、可動部材をリール取付部以外の構成に支持させる必要があり、鉄筋結束機の構成が複雑となる。上記の構成によれば、鉄筋結束機の構成が複雑となることなく、鉄筋結束機2でリールの種類を検出することを可能とすることができる。
【0040】
1またはそれ以上の実施形態において、検出ユニットは、可動部材に固定された種類検出用磁石と、支持部に固定されており、種類検出用磁石を検出することにより可動部材が取付位置にあるか否かを検出可能な種類検出用センサと、をさらに備えていてもよい。
【0041】
鉄筋結束機の使用を続けると、種類検出用磁石や種類検出用センサに異物等の汚れが付着することがある。上記の構成によれば、種類検出用センサは、種類検出用磁石に起因する磁気を検出するため、種類検出用磁石や種類検出用センサに汚れが付着したときでも、可動部材が取付位置にあるか否かを検出することができる。これにより、鉄筋結束機でリールの種類を正確に検出することを可能とすることができる。
【0042】
1またはそれ以上の実施形態において、検出ユニットは、可動部材を初期位置に向けて付勢する第1付勢部材をさらに備えていてもよい。
【0043】
上記の構成によれば、リールがリール取付部から取り外されたときに、可動部材を初期位置に復帰させることができる。
【0044】
1またはそれ以上の実施形態において、検出ユニットは、複数の可動部材を備えていてもよい。情報部分は、リールがリール取付部に取り付けられたときに、複数の可動部材のうちの少なくとも1つの可動部材を、初期位置から取付位置に移動させてもよい。ボビンは、リールがリール取付部に取り付けられたときに、初期位置にある可動部材を受け入れる第1受入部を備えていてもよい。
【0045】
上記の構成によれば、リールがリール取付部に取り付けられたときに、初期位置にある可動部材は、第1受入部に受け入れられる。これにより、リールをリール取付部に固定することができる。
【0046】
1またはそれ以上の実施形態において、ボビンは、リールがリール取付部に取り付けられたときに、可動部材を受け入れる第2受入部を備えていてもよい。情報部分は、リールがリール取付部に取り付けられたときに、第2受入部に受け入れられた可動部材を、初期位置から取付位置に移動させてもよい。
【0047】
上記の構成によれば、リールがリール取付部に取り付けられたときに、可動部材は、第2受入部に受け入れられ、情報部分により初期位置から取付位置に移動する。取付位置にある可動部材を使用して、鉄筋結束機でリールの種類を検出することを可能とすることができるとともに、リールをリール取付部に固定することができる。
【0048】
1またはそれ以上の実施形態において、リールは、リールがリール取付部に取り付けられたときに、回転軸の周りを回転可能であってもよい。検出ユニットは、リールの回転角度を検出する回転検出ユニットをさらに備えていてもよい。
【0049】
上記の構成によれば、初期位置および/または取付位置にある可動部材を、リールの回転角度に関連付けることができる。これにより、鉄筋結束機でリールの種類を正確に検出することを可能とすることができる。
【0050】
1またはそれ以上の実施形態において、リールは、リールがリール取付部に取り付けられたときに、回転軸の周りを回転可能であってもよい。リール取付部は、リールがリール取付部に取り付けられたときにリールと当接するリールストッパと、リールがリール取付部に取り付けられたときにリールストッパをリールに向けて付勢する第2付勢部材と、を備えていてもよい。
【0051】
上記の構成によれば、鉄筋結束機の姿勢を変更したときやリールの回転に伴いリールが振動したときでも、リールがリールストッパから外れることを抑制することができる。
【0052】
1またはそれ以上の実施形態において、ボビンとリール取付部の一方は、リブを備えていてもよい。ボビンとリール取付部の他方は、リールをリール取付部に取り付けるときに、情報部分を検出ユニットに対して所定の配置に調整するように、リブを案内する案内部材を備えていてもよい。
【0053】
上記の構成によれば、ユーザがリールをリール取付部に取り付けるときに、案内部材がリブを案内するため、情報部分が検出ユニットに対して所定の配置に調整される。このため、検出ユニットに対する情報部分の配置を容易に調整することができる。
【0054】
(実施例)
図1に示すように、鉄筋結束機2は、複数の鉄筋RをワイヤWを用いて結束する。以下では、捩りユニット42(
図3参照)の長手方向を前後方向と呼び、前後方向に直交する方向を上下方向と呼び、前後方向および上下方向に直交する方向を左右方向と呼ぶ。
【0055】
鉄筋結束機2は、本体4と、リールホルダ6と、バッテリパックBと、を備えている。本体4は、支持部7の一部を構成している。本体4は、本体4の左半面の外形形状を規定している左側本体8と、本体4の右半面の外形形状を規定している右側本体10と、モータカバー12と、を備えている。モータカバー12は、右側本体10の外側に取り付けられている。
【0056】
本体4は、本体ハウジング14と、グリップ16と、バッテリ取付部18と、を備えている。本体ハウジング14とグリップ16とバッテリ取付部18は、一体的に形成されている。
図2に示すように、本体ハウジング14の左側上部には、主電源スイッチ15aと、主電源LED15bが配置されている。主電源スイッチ15aは、鉄筋結束機2の主電源のオンとオフを切り替えるためのユーザからの操作を受け入れる。主電源LED15bは、鉄筋結束機2の主電源のオンとオフの状態を表示する。
【0057】
グリップ16は、本体ハウジング14の後側下部に配置されている。グリップ16は、ユーザにより把持される。グリップ16の前面上部には、トリガ20が取り付けられている。グリップ16は、トリガ20が押し込まれたか否かを検出するトリガスイッチ22(
図3参照)を収容している。
【0058】
バッテリ取付部18は、グリップ16の下部に配置されている。バッテリパックBは、バッテリ取付部18に着脱可能である。バッテリパックBは、例えば、リチウムイオンバッテリ等の二次電池を備えている。
【0059】
リールホルダ6は、本体ハウジング14の前側下部に取り付けられている。リールホルダ6は、リール30を収容可能である。リール30の詳細な構成については、後で説明する。リールホルダ6は、ホルダハウジング24と、カバー26と、を備えている。ホルダハウジング24は、支持部7の一部を構成している。カバー26は、ホルダハウジング24の下部の回動軸24a周りを回動可能に、ホルダハウジング24に取り付けられている。カバー26が閉じているとき、ホルダハウジング24とカバー26は、リール30を収容するためのリール空間28を画定する。
【0060】
ホルダハウジング24の後面には、結束力設定スイッチ25aと、設定表示LED25bが配置されている。結束力設定スイッチ25aは、ワイヤWの結束力を調整するためのユーザからの操作を受け入れる。設定表示LED25bは、ワイヤWの結束力についての現在の設定を表示する。
【0061】
図3に示すように、鉄筋結束機2は、制御回路基板32を備えている。制御回路基板32は、バッテリ取付部18に収容されている。制御回路基板32は、鉄筋結束機2の動作等を制御する。
【0062】
鉄筋結束機2は、送りユニット40と、切断ユニット41と、捩りユニット42と、を備えている。送りユニット40は、送り部44と、案内部46と、を備えている。送り部44は、本体4の前部に収容されている。案内部46は、本体4の前部に配置されている。切断ユニット41と捩りユニット42は、本体4に収容されている。
【0063】
図4に示すように、送り部44は、送りモータ50と、減速部52と、ベース部材54と、駆動ギヤ56と、第1送りギヤ58と、第2送りギヤ60と、リリースレバー62と、付勢部材64と、を備えている。送りモータ50は、右側本体10(
図1参照)の右側に配置されており、モータカバー12(
図1参照)に覆われている。送りモータ50は、バッテリパックB(
図1参照)から供給される電力により動作する。送りモータ50は、例えば、ブラシレスモータである。減速部52は、送りモータ50の回転を減速して駆動ギヤ56に伝達する。
【0064】
第1送りギヤ58は、ベース部材54に回転可能に支持されている。第1送りギヤ58は、駆動ギヤ56の回転により回転する。第1送りギヤ58は、外周面を一周するように延びる溝58aを有する。第2送りギヤ60は、リリースレバー62に回転可能に支持されている。第2送りギヤ60は、外周面を一周するように延びる溝60aを有する。
【0065】
リリースレバー62は、ベース部材54に揺動可能に支持されている。付勢部材64は、第2送りギヤ60が第1送りギヤ58に近づく方向に、リリースレバー62を付勢する。これにより、第2送りギヤ60が第1送りギヤ58に押し当てられる。この結果、第1送りギヤ58の溝58aと第2送りギヤ60の溝60aとの間にワイヤWが挟持される。ワイヤWが第1送りギヤ58の溝58aと第2送りギヤ60の溝60aとの間に挟持された状態で、送りモータ50が回転すると、ワイヤWが移動する。
【0066】
図5に示すように、案内部46は、上側カールガイド66と、下側カールガイド68と、を備えている。上側カールガイド66は、下側に開口している。上側カールガイド66は、上側に凸な湾曲形状を有する上側ワイヤ通路70を有する。下側カールガイド68は、上側カールガイド66の下側に配置されている。下側カールガイド68は、上側に開口している。下側カールガイド68は、下側ワイヤ通路72を有する。
【0067】
第1送りギヤ58と第2送りギヤ60により送られたワイヤWは、上側ワイヤ通路70に送られる。ワイヤWが上側ワイヤ通路70を後側から前側に向かって通過するときに、ワイヤWは、上側カールガイド66により下向きの巻きぐせを付与される。上側ワイヤ通路70を通過したワイヤWは、下側ワイヤ通路72に送られる。ワイヤWは、下側ワイヤ通路72を前側から後側に向かって通過した後、後方上側に向かって送られる。これにより、ワイヤWが鉄筋Rの周りに巻回される。
【0068】
切断ユニット41は、カッタ部材74と、カッタ部材74に接続されているレバー部材75(
図3参照)と、を備えている。カッタ部材74は、送り部44から上側カールガイド66に向けてワイヤWが送られる経路上に配置されている。カッタ部材74は、レバー部材75の動作に応じて回転することによりワイヤWを切断する。
【0069】
図6に示すように、捩りユニット42は、捩りモータ76と、減速部78と、保持部80と、を備えている。捩りモータ76と減速部78は、本体ハウジング14(
図3参照)に固定されている。捩りモータ76は、バッテリパックB(
図3参照)から供給される電力により動作する。捩りモータ76は、例えば、ブラシレスモータである。減速部78は、捩りモータ76の回転を減速して保持部80に伝達する。
【0070】
保持部80は、スリーブユニット82と、センサ基板84と、保持ユニット86と、を備えている。スリーブユニット82は、捩りモータ76の回転に連動して、進退し、回転する。スリーブユニット82は、進退したときに、レバー部材75(
図3参照)を操作することにより、カッタ部材74(
図5参照)を回転させる。また、スリーブユニット82は、回転制限部材87と当接可能な複数のフィン82aを備えている。回転制限部材87は、フィン82aと協働して、スリーブユニット82の回転を許容または禁止する。
【0071】
スリーブユニット82には、永久磁石88が取り付けられている。センサ基板84は、永久磁石88と対向して配置されている。センサ基板84は、初期位置検出センサ90と、保持位置検出センサ92と、を備えている。スリーブユニット82が初期位置に配置されているとき、初期位置検出センサ90は、永久磁石88と対向し、永久磁石88からの磁気を検出する。スリーブユニット82が保持位置に配置されているとき、保持位置検出センサ92は、永久磁石88と対向し、永久磁石88からの磁気を検出する。
【0072】
保持ユニット86は、スリーブユニット82の前側から、スリーブユニット82に挿入されている。保持ユニット86は、シャフト部材94と、左側保持部材96と、右側保持部材98と、を備えている。鉄筋結束機2が鉄筋Rを結束する前の初期状態にあるとき、シャフト部材94と左側保持部材96との間には、左側ワイヤ通路100が形成されており、シャフト部材94と右側保持部材98との間には、右側ワイヤ通路102が形成されている。左側ワイヤ通路100と右側ワイヤ通路102には、ワイヤWが通過可能である。スリーブユニット82が前進すると、右側保持部材98がシャフト部材94に対して左側に移動する。これにより、右側ワイヤ通路102が狭まり、ワイヤWがシャフト部材94と右側保持部材98との間で挟持される。スリーブユニット82がさらに前進すると、左側保持部材96がシャフト部材94に対して右側に移動する。これにより、左側ワイヤ通路100が狭まり、ワイヤWがシャフト部材94と左側保持部材96との間で挟持される。
【0073】
図1に示す鉄筋結束機2の結束動作について説明する。ユーザによりトリガ20が操作されると、結束動作が制御回路基板32の制御により実行される。結束動作は、送り工程と、第1保持工程と、引き戻し工程と、第2保持工程と、切断工程と、捩り工程と、復帰工程と、を備えている。
【0074】
(送り工程)
鉄筋結束機2の初期状態から、
図4に示す送りモータ50が方向D1に回転すると、ワイヤWは、第1送りギヤ58と第2送りギヤ60の回転に伴い、リール30(
図2参照)から引き出される。
図5に示すように、ワイヤWの先端は、カッタ部材74、左側ワイヤ通路100(
図6参照)、上側ワイヤ通路70、下側ワイヤ通路72、右側ワイヤ通路102(
図6参照)を順に通過する。これにより、ワイヤWが鉄筋Rの周りに円環状に巻回される。ワイヤWの送り出しが完了すると、送りモータ50が停止する。
【0075】
(第1保持工程)
送り工程の終了後、
図6に示す捩りモータ76が方向D3に回転する。このとき、フィン82aが回転制限部材87に当接することによりスリーブユニット82の回転が禁止されている。このため、スリーブユニット82が前進し、右側保持部材98がシャフト部材94に対して左側に移動する。これにより、右側ワイヤ通路102が狭まり、ワイヤWの先端近傍がシャフト部材94と右側保持部材98との間で挟持される。ワイヤWの先端近傍が挟持されたことが検出されると、捩りモータ76が停止する。
【0076】
(引き戻し工程)
第1保持工程の終了後、
図4に示す送りモータ50が方向D1と反対の方向D2に回転すると、鉄筋Rの周りに巻回されたワイヤWは、第1送りギヤ58と第2送りギヤ60の回転に伴い、リール30に向かう方向に引き戻される。ワイヤWの先端近傍が挟持されているため、鉄筋Rの周りのワイヤWが縮径する。ワイヤWの引き戻しが完了すると、送りモータ50が停止する。
【0077】
(第2保持工程)
引き戻し工程の終了後、
図6に示す捩りモータ76が方向D3に回転する。このとき、フィン82aが回転制限部材87に当接することによりスリーブユニット82の回転が禁止されている。このため、スリーブユニット82が前進し、左側保持部材96がシャフト部材94に対して右側に移動する。これにより、左側ワイヤ通路100が狭まり、ワイヤWがシャフト部材94と左側保持部材96との間で挟持される。
【0078】
(切断工程)
第2保持工程の終了後、捩りモータ76が方向D3にさらに回転する。このとき、フィン82aが回転制限部材87に当接することによりスリーブユニット82の回転が禁止されている。このため、スリーブユニット82がさらに前進し、レバー部材75(
図3参照)を操作する。これにより、カッタ部材74が回転し、ワイヤWが切断される。ワイヤWの切断が完了すると、捩りモータ76が停止する。捩りモータ76が停止したとき、フィン82aは、回転制限部材87よりも前側に位置している。
【0079】
(捩り工程)
切断工程の終了後、
図6に示す捩りモータ76が方向D3に回転する。このとき、フィン82aが回転制限部材87に当接しておらず、スリーブユニット82の回転が許容されている。このため、スリーブユニット82は、保持ユニット86とともに方向D3に回転する。これにより、鉄筋Rの周りに巻回されたワイヤWが捩られる。ワイヤWの捩りが完了すると、捩りモータ76が停止する。
【0080】
(復帰工程)
捩り工程の終了後、捩りモータ76が方向D3と反対の方向D4に回転すると、スリーブユニット82が後退し、また、スリーブユニット82と保持ユニット86が回転する。スリーブユニット82が後退すると、左側保持部材96がシャフト部材94に対して左側に移動し、右側保持部材98がシャフト部材94に対して右側に移動する。これにより、ワイヤWが保持ユニット86から外れる。その後、スリーブユニット82と保持ユニット86が初期の回転位置に復帰し、スリーブユニット82が初期の前後方向の位置に復帰したことが検出されると、捩りモータ76が停止する。
【0081】
鉄筋結束機2では、使用される鉄筋Rの種類や鉄筋Rが使用される環境等に応じて、様々な太さ(例えば、直径0.5mmから2.5mm)のワイヤWや加工等されたワイヤWが使用されている。例えば、直径が16mm以下(例えば、直径16mm)の細径の鉄筋Rが使用されるとき、0.8mmの直径を有するワイヤWが選択され、直径が16mmよりも大きい(例えば、直径25mmまたは32mm)の太径の鉄筋Rが使用されるとき、2.0mmの直径を有するワイヤWが選択される。また、鉄筋Rが使用される環境等に応じて、被覆体(例えば、樹脂材料)により覆われたワイヤWや、焼なまし処理またはメッキ加工されたワイヤWが選択される。ワイヤWの太さや、被覆体の有無、焼なまし処理またはメッキ加工の有無に応じて、
図8に示すリール30の種類が区別されている。このため、鉄筋結束機2は、リール30の種類を検出するための検出ユニット110(
図18参照)を備えている。
【0082】
まず、リール30を説明する。
図7に示すように、リール30は、リールホルダ6のリール空間28に配置される。リール30は、左右方向に延びる回転軸AXのまわりを回転可能に、リールホルダ6に支持されている。
図8に示すように、リール30は、ボビン120と、ワイヤWと、情報部分122と、を備えている。
【0083】
ボビン120の中心軸は、リール30の回転軸AXと等しい。ボビン120は、例えば、樹脂材料からなる。
図9および
図10に示すように、ボビン120は、胴部124と、一対の鍔部126、128と、1個以上(本実施例では2個)のリブ130と、1個以上(本実施例では4個)の係合爪132と、1個以上(本実施例では6個)のガイド134と、を備えている。以下では、一対の鍔部126、128を、それぞれ右鍔部126、左鍔部128と呼ぶことがある。
【0084】
図9に示すように、胴部124は、外側筒部140と、内側筒部142と、接続部144と、底壁部146と、を備えている。外側筒部140と内側筒部142は、略円筒形状を有する。外側筒部140の外周面には、ワイヤW(
図8参照)が複数層に巻回されている。内側筒部142は、外側筒部140の内側に配置されている。内側筒部142の内周面は、内部空間142aを画定している。接続部144は、外側筒部140の内周面と内側筒部142の外周面を接続している。胴部124を2個の筒部からなる構成とすることにより、リール30が軽量化されている。
【0085】
底壁部146は、内側筒部142の左端近傍に接続されている。
図10に示すように、底壁部146は、略円板形状を有する。底壁部146は、底壁部146を厚み方向(左右方向)に貫通する1個以上(本実施例では4個)の受入部148を有する。4個の受入部148は、回転軸AXの周りに、等間隔に配置されている。
【0086】
図9に示すように、右鍔部126は、中心に開口を有する円板形状を有する。右鍔部126は、胴部124の右端から径方向外側に向かって延びている。
【0087】
図10に示すように、左鍔部128は、中心に開口を有する円板が部分的に(本実施例では、合計約45°分だけ)途切れた形状を有する。左鍔部128は、胴部124の左端に配置されている。左鍔部128は、内側筒部142(
図9参照)と底壁部146との接続箇所から径方向外側に向かって延びている。ワイヤW(
図8参照)は、右鍔部126と左鍔部128との間に配置されている。左鍔部128は、第1左鍔部150と、第2左鍔部152と、第3左鍔部154と、第4左鍔部156と、を備えている。
【0088】
図12に示すように、第1左鍔部150は、第1端面160と、第2端面162と、を備えている。第1端面160は、回転軸AXを中心とした周方向における第1左鍔部150の一端に配置されている。第2端面162は、第1端面160と反対側であって、第1左鍔部150の他端に配置されている。第1端面160は、内側端面164と、傾斜面166と、外側端面168と、を備えている。内側端面164は、内側筒部142(
図9参照)と底壁部146との接続箇所から径方向外側に向かって延びている。傾斜面166は、内側端面164から外側筒部140の外周面まで延びている。傾斜面166は、内側端面164に接続しており、内側端面164に対して90度未満(本実施例では45度)の角度で傾斜している。外側端面168は、傾斜面166から径方向外側に向かって延びている。外側端面168は、内側端面164と略平行である。第2端面162は、内側筒部142と底壁部146との接続箇所から径方向外側に向かって延びている。
【0089】
第2左鍔部152は、回転軸AXを中心とした周方向に、第1左鍔部150と離れて配置されている。第2左鍔部152は、第1端面170と、第2端面172と、を備えている。第1端面170は、回転軸AXを中心とした周方向における第2左鍔部152の一端に配置されている。第2端面172は、第1端面170の反対側であって、第2左鍔部152の他端に配置されている。第1端面170は、第1左鍔部150の第2端面162と対向している。第1端面170と第1左鍔部150の第2端面162との間には、切り欠き174が画定されている。
【0090】
第1端面170は、内側端面176と、傾斜面178と、を備えている。内側端面176は、内側筒部142と底壁部146との接続箇所から径方向外側に向かって延びている。内側端面176は、第1左鍔部150の第2端面162と略平行である。傾斜面178は、内側端面176から外側筒部140の外周面まで延びている。傾斜面178は、内側端面176に接続しており、内側端面176に対して90度未満(本実施例では45度)の角度で傾斜している。第2端面172は、内側筒部142と底壁部146との接続箇所から径方向外側に向かって延びている。第2端面172は、傾斜面178と略平行である。
【0091】
第3左鍔部154は、回転軸AXを中心とした周方向に、第2左鍔部152と離れて配置されている。第3左鍔部154は、第1端面180と、第2端面182と、を備えている。第1端面180は、回転軸AXを中心とした周方向における第3左鍔部154の一端に配置されている。第2端面182は、第1端面180の反対側であって、第3左鍔部154の他端に配置されている。第1端面180は、第2左鍔部152の第2端面172と対向している。
【0092】
第1端面180は、内側端面184と、傾斜面186と、外側端面188と、を備えている。内側端面184は、内側筒部142と底壁部146との接続箇所から径方向外側に向かって延びている。内側端面184は、第2左鍔部152の第2端面172と略平行である。傾斜面186は、内側端面184から外側筒部140の外周面まで延びている。傾斜面186は、内側端面184に接続しており、内側端面184に対して90度未満(本実施例では45度)の角度で傾斜している。外側端面188は、傾斜面186から径方向外側に向かって延びている。外側端面188は、第2左鍔部152の第2端面172と略平行である。内側端面184および傾斜面186と第2左鍔部152の第2端面172との間には、切り欠き190が画定されている。また、外側端面188と第1左鍔部150の第2端面162との間には、切り欠き192が画定されている。切り欠き192が左鍔部128に形成されていることにより、ユーザは、胴部124に巻回されたワイヤWの残量を目視で確認することができる。第2端面182は、内側筒部142と底壁部146との接続箇所から径方向外側に向かって延びている。
【0093】
第4左鍔部156は、回転軸AXを中心とした周方向に、第3左鍔部154と離れて配置されている。第4左鍔部156は、第1端面194と、第2端面196と、を備えている。第1端面194は、回転軸AXを中心とした周方向における第4左鍔部156の一端に配置されている。第2端面196は、第1端面194の反対側であって、第4左鍔部156の他端に配置されている。第1端面194は、第3左鍔部154の第2端面182と対向している。第1端面194と第3左鍔部154の第2端面182との間には、切り欠き198が画定されている。
【0094】
第1端面194は、内側端面200と、傾斜面202と、外側端面204と、を備えている。内側端面200は、内側筒部142と底壁部146との接続箇所から径方向外側に向かって延びている。内側端面200は、第3左鍔部154の第2端面182と略平行である。傾斜面202は、内側端面200から外側筒部140の外周面まで延びている。傾斜面202は、内側端面200に接続しており、内側端面200に対して90度未満(本実施例では45度)の角度で傾斜している。外側端面204は、傾斜面202から径方向外側に向かって延びている。外側端面204は、第3左鍔部154の第2端面182と略平行である。
【0095】
第2端面196は、第1左鍔部150の第1端面160と対向している。第2端面196は、内側筒部142と底壁部146との接続箇所から径方向外側に向かって延びている。第2端面196は、第1左鍔部150の外側端面168と略平行である。第2端面196と第1左鍔部150の第1端面160との間には、切り欠き206が画定されている。
【0096】
図9に示すように、リブ130は、内側筒部142の内周面に配置されている。リブ130は、底壁部146から内側筒部142の右端まで左右方向に延びている。2個のリブ130は、回転軸AXの周りに、等間隔に配置されている。
【0097】
図10に示すように、係合爪132は、底壁部146の左面に配置されている。係合爪132は、受入部148の周縁に接続している。
図11に示すように、係合爪132は、ワイヤWと係合可能である。係合爪132は、底壁部146の左面から回転軸AXに沿って左側に延びる基部133aと、基部133aから左鍔部128に向かってボビン120の径方向外側に延びる爪部133bと、を備えている。爪部133bは、係合面133b1を備えている。係合面133b1は、例えば、湾曲面である。係合面133b1は、底壁部146の左面と対向している。係合面133b1は、基部133aから離れるにつれて、底壁部146の左面から離れる。係合面133b1は、回転軸AXに沿ってボビン120から離れる方向(左方向)にワイヤWと少なくとも部分的に重なり合っている。係合面133b1の少なくとも一部分は、ワイヤWよりも左側に配置されている。ワイヤWが係合爪132に係合しているとき、係合面133b1は、ワイヤWと当接している。係合面133b1は、ワイヤWがボビン120の底壁部146から左方向に離れる(浮き上がる)ことを抑制する。以下では、4個の係合爪132のそれぞれを、係合爪132a、132b、132c、132dと呼ぶことがある。
【0098】
ガイド134は、底壁部146の左面から回転軸AXに沿って突出している。
図12に示すように、6個のガイド134は、4個の内側ガイド208と、2個の外側ガイド210と、を備えている。内側ガイド208は、略L字形状を有する。内側ガイド208は、受入部148よりもボビン120の径方向内側に配置されている。4個の内側ガイド208は、回転軸AXの周りに、等間隔に配置されている。以下では、4個の内側ガイド208のそれぞれを、内側ガイド208a、208b、208c、208dと区別して説明する。内側ガイド208aと内側ガイド208bは、対向して配置されている。内側ガイド208aと内側ガイド208bとの間には、ボビン120の径方向に延びる内側案内空間212aが画定されている。内側ガイド208bと内側ガイド208cは、対向して配置されている。内側ガイド208bと内側ガイド208cとの間には、ボビン120の径方向に延びる内側案内空間212bが画定されている。内側ガイド208cと内側ガイド208dは、対向して配置されている。内側ガイド208cと内側ガイド208dとの間には、ボビン120の径方向に延びる内側案内空間212cが画定されている。内側ガイド208dと内側ガイド208aは、対向して配置されている。内側ガイド208dと内側ガイド208aとの間には、ボビン120の径方向に延びる内側案内空間212dが画定されている。切り欠き174の延長線上には、2個の受入部148と内側案内空間212a、212cが配置されている。切り欠き206の延長線上には、他の2個の受入部148と内側案内空間212b、212dが配置されている。
【0099】
外側ガイド210は、略I字形状を有する。外側ガイド210は、内側ガイド208よりもボビン120の径方向外側に配置されている。以下では、2個の外側ガイド210のそれぞれを、外側ガイド210a、210bと区別して説明する。外側ガイド210aは、内側ガイド208aと対向して配置されている。外側ガイド210aと内側ガイド208aとの間には、外側案内空間214aが画定されている。外側ガイド210bは、内側ガイド208bと対向して配置されている。外側ガイド210bと内側ガイド208bとの間には、外側案内空間214bが画定されている。切り欠き190の延長線上には、2個の受入部148と外側案内空間214aが配置されている。切り欠き198の延長線上には、2個の受入部148と外側案内空間214bが配置されている。
【0100】
図12に示すように、情報部分122は、ボビン120の外側に配置されているワイヤWにより構成されており、ボビン120から露出している。本実施例では、情報部分122は、ワイヤWの巻き初め部分220に対応する。以下では、情報部分122を巻き初め部分220と呼ぶことがある。巻き初め部分220は、ワイヤWの巻き初め端(始端)から所定位置までの領域であり、所定位置は、ワイヤWの巻き初め端から所定距離(例えば、約1~約10cmの任意の値)離れた位置である。
【0101】
図12から
図15に示すように、巻き初め部分220に対するボビン120の配置は、リール30の種類に応じて異なっている。これにより、ユーザは、巻き初め部分220に対するボビン120の配置を確認することにより、リール30の種類を判別することができる。巻き初め部分220は、リール30の種類に関連する情報を示している。
【0102】
図12に示すリール30では、巻き初め部分220は、切り欠き174を通過することにより、右鍔部126と左鍔部128との間からボビン120の外側に突出している。巻き初め部分220は、第2左鍔部152の内側端面176と傾斜面178に沿って配置されて90度未満(本実施例では45度)の角度で屈曲している。巻き初め部分220は、回転軸AXに沿う方向に、2個の受入部148に対向している。巻き初め部分220は、内側案内空間212a、212cに配置されている。巻き初め部分220は、係合爪132aの係合面133b1(
図11参照)に係合している。以下では、巻き初め部分220と対向している受入部148を受入部148aと呼ぶことがあり、巻き初め部分220と対向していない受入部148を、受入部148bと呼ぶことがある。
【0103】
図13に示すリール30では、巻き初め部分220は、切り欠き190を通過することにより、右鍔部126と左鍔部128との間からボビン120の外側に突出している。巻き初め部分220は、第3左鍔部154の内側端面184と傾斜面186に沿って配置されて90度未満(本実施例では45度)の角度で屈曲している。巻き初め部分220は、回転軸AXに沿う方向に、2個の受入部148に対向している。巻き初め部分220は、外側案内空間214aに配置されている。巻き初め部分220は、係合爪132bの係合面133b1(
図11参照)に係合している。
【0104】
図14に示すリール30では、巻き初め部分220は、切り欠き198を通過することにより、右鍔部126と左鍔部128との間からボビン120の外側に突出している。巻き初め部分220は、第4左鍔部156の内側端面200と傾斜面202に沿って配置されて90度未満(本実施例では45度)の角度で屈曲している。巻き初め部分220は、回転軸AXに沿う方向に、2個の受入部148に対向している。巻き初め部分220は、外側案内空間214bに配置されている。巻き初め部分220は、係合爪132cの係合面133b1(
図11参照)に係合している。
【0105】
図15に示すリール30では、巻き初め部分220は、切り欠き206を通過することにより、右鍔部126と左鍔部128との間からボビン120の外側に突出している。巻き初め部分220は、第1左鍔部150の内側端面164と傾斜面166に沿って配置されて90度未満(本実施例では45度)の角度で屈曲している。巻き初め部分220は、回転軸AXに沿う方向に、2個の受入部148上に対向している。巻き初め部分220は、内側案内空間212b、212dに配置されている。巻き初め部分220は、係合爪132dの係合面133b1(
図11参照)に係合している。
【0106】
図12に示すリール30を例に挙げてリール30を作製する方法を説明する。まず、巻き初め部分220を係合爪132aに係合させる。次に、巻き初め部分220を係合爪132aに接続された受入部148a上に配策し、内側案内空間212a、212c内に配策する。次に、巻き初め部分220を係合爪132cに接続された受入部148a上に配策し、切り欠き174を通過させる。巻き初め部分220が4個の内側ガイド208により切り欠き174に向けて案内されるため、巻き初め部分220は、内側案内空間212a、212cから外れることなく、切り欠き174まで配索される。次に、巻き初め部分220を第2左鍔部152の内側端面176と傾斜面178に沿って、外側筒部140の外周面まで配策する。このとき、巻き初め部分220は、回転軸AXを中心とする配索方向(リール30を左側から見たときの時計回りの方向)に配策される。これにより、巻き初め部分220は、90度未満の角度で屈曲する。最後に、ワイヤWを配索方向に配策して、外側筒部140の外周面上に複数層に巻回する。巻き初め部分220が90度未満の角度で屈曲しているため、ワイヤWの第1層目において、ワイヤWは、外側筒部140の外周面から浮き上がることなく外側筒部140に巻回される。
【0107】
図7に示すように、リールホルダ6は、
図12から
図15に示すリール30を回転可能に取り付けるためのリール取付部230をさらに備えている。リール取付部230は、左側リール取付部232と、右側リール取付部234と、を備えている。
【0108】
左側リール取付部232は、カバー26に取り付けられている。左側リール取付部232は、リールストッパ236と、付勢部材238と、ベアリング239と、を備えている。リールストッパ236は、軸部236aと、ストッパ部236bと、を備えている。軸部236aは、略円柱形状を有する。軸部236aは、ベアリング239を介して、カバー26に回転可能に支持されている。ストッパ部236bは、軸部236aの一端(右端)に配置されている。ストッパ部236bは、略円板形状を有する。ストッパ部236bは、ストッパ部236bの一端面(右端面)において、ストッパ部236bの周縁に配置されている当接面237を備えている。当接面237は、ストッパ部236bの周縁を一周している。当接面237は、ストッパ部236bの右端面に対して傾斜している。ボビン120の胴部124の内周面の左端には、被当接面124aが形成されており、当接面237は、リール30がリール取付部230に取り付けられたときに被当接面124aと面で当接する。被当接面124aは、胴部124の内周面に対して傾斜している。
【0109】
付勢部材238は、例えば、圧縮ばねである。付勢部材238は、軸部236aの外周面を囲んでいる。付勢部材238は、軸部236aとベアリング239に当接している。付勢部材238は、リールストッパ236がカバー26から離れる方向にリールストッパ236を付勢する。このため、リール30がリール取付部230に取り付けられたとき、リールストッパ236は、付勢部材238の付勢力によりリール30に向けて付勢される。このとき、当接面237は、被当接面124aに面で当接して押圧される。これにより、リールストッパ236は、リール30とともに回転する。
【0110】
右側リール取付部234は、ホルダハウジング24に取り付けられている。右側リール取付部234は、ベース部材240と、係合部材242と、1個以上(本実施例では2個)の案内部材244(
図16参照)と、を備えている。ホルダハウジング24は、ホルダハウジング24の右壁を貫通する取付開口24bを有しており、ベース部材240は、取付開口24bに挿入されている。ベース部材240は、ベアリング245を介して、ホルダハウジング24に回転可能に支持されている。係合部材242は、ベース部材240に固定されている。係合部材242は、ボビン120の胴部124に右側から挿入される。
【0111】
図16に示すように、ベース部材240は、ベース本体246と、複数(本実施例では4個)の支持壁248と、を備えている。支持壁248は、ベース本体246を貫通して左側に向かって延びている。支持壁248は、略円筒形状を有する。4個の支持壁248は、回転軸AXの周りに等間隔に配置されている。
【0112】
係合部材242は、左端に底壁250を有する円筒形状を有する。係合部材242は、底壁250を厚み方向(左右方向)に貫通する複数(本実施例では4個)の貫通孔252を有する。貫通孔252は、回転軸AXの周りに等間隔に配置されている。貫通孔252は、係合部材242がベース部材240に固定されているとき、支持壁248と対向する位置に配置されている。
【0113】
案内部材244は、係合部材242の外周面から突出している。2個の案内部材244は、回転軸AXの周りに等間隔に配置されている。
図16および
図17に示すように、案内部材244は、第1非傾斜面254と、第2非傾斜面256と、傾斜面258と、を備えている。第1非傾斜面254は、回転軸AXに沿って、係合部材242の右端から左側に向かって延びている。第2非傾斜面256は、回転軸AXに沿って、係合部材242の右端から左側に向かって延びている。第2非傾斜面256の左右方向の長さは、第1非傾斜面254の左右方向の長さよりも長い。
【0114】
傾斜面258は、回転軸AXの周りを延びている。傾斜面258は、第1非傾斜面254の左端と第2非傾斜面256の左端に接続している。傾斜面258は、第1非傾斜面254と第2非傾斜面256の両方に対して傾斜している。傾斜面258は、第1非傾斜面254に対して鈍角に傾斜しており、傾斜角度は、例えば約120度である。傾斜面258は、第2非傾斜面256に対して鋭角に傾斜しており、傾斜角度は、例えば、約60度である。
【0115】
一方の案内部材244の第2非傾斜面256と他方の案内部材244の第1非傾斜面254との間には、リブ係合空間260が画定されている。リブ係合空間260の幅(一方の案内部材244の第2非傾斜面256と他方の案内部材244の第1非傾斜面254との幅)は、リブ130(
図9参照)の回転軸AX周りの幅以上である。
【0116】
図17に示すように、リール30(
図8参照)を右側リール取付部234に取り付けるとき、リール30を係合部材242に対して回転軸AXに沿って右方向に移動させると、リブ130は、傾斜面258に案内されて傾斜面258上を移動する。
図17では、傾斜面258上を移動するリブ130が一点鎖線により図示されている。リブ130が傾斜面258上を第1非傾斜面254に向かって移動するにつれて、リール30は、係合部材242に対して回転軸AX周りに回転する。リブ130が傾斜面258と第1非傾斜面254との接続位置まで移動した後にリール30を係合部材242に対して回転軸AXに沿って右方向にさらに移動させると、リブ130は、リブ係合空間260に配置される。
図17では、リブ係合空間260に配置されたリブ130が破線により図示されている。リブ130がリブ係合空間260に配置されたとき、
図18に示すように、ワイヤWの巻き初め部分220が右側リール取付部234に対して所定の配置に調整される。
【0117】
次に、検出ユニット110を説明する。
図16および
図19に示すように、検出ユニット110は、複数(本実施例では4個)の可動部材270と、複数(本実施例では4個)の付勢部材272と、複数(本実施例では4個)の種類検出用磁石274と、複数(本実施例では2個)の回転検出用磁石276と、を備えている。
図16に示すように、可動部材270は、略円柱形状を有する。可動部材270は、係合部材242の内部に配置されている。可動部材270は、支持壁248に挿入されており、支持壁248に移動可能に支持されている。可動部材270は、初期位置と取付位置との間を移動可能である。
図17に示すように、可動部材270は、係合部材242の貫通孔252に挿入されている。可動部材270の左端は、貫通孔252を通過して係合部材242の外部に突出している。
図18に示すように、リール30が右側リール取付部234に取り付けられたとき、2個の可動部材270は、リール30の受入部148bに受け入れられている。また、他の2個の可動部材270は、リール30の受入部148aに受け入れられている。他の2個の可動部材270は、ワイヤWの巻き初め部分220と当接している。他の2個の可動部材270は、巻き初め部分220により、取付位置に押し込まれている。巻き初め部分220が係合面133b1(
図11参照)に係合しておりボビン120(
図11参照)から浮き上がらないため、他の2個の可動部材270は、取付位置に維持される。4個の可動部材270は、巻き初め部分220に対して所定の配置に配置されている。
【0118】
図16に示すように、付勢部材272は、可動部材270の外周面の一部分を囲んでいる。付勢部材272は、例えば、圧縮ばねを備えている。付勢部材272は、可動部材270と支持壁248に当接している。付勢部材272は、可動部材270を初期位置に向けて左側に付勢する。
【0119】
種類検出用磁石274は、可動部材270の右端面に嵌合している。種類検出用磁石274は、可動部材270とともに移動可能である。
【0120】
図19に示すように、回転検出用磁石276は、ベース本体246の右面に嵌合している。回転検出用磁石276は、種類検出用磁石274よりも回転軸AX側に配置されている。2個の回転検出用磁石276は、回転軸AX周りに等間隔に配置されている。
【0121】
検出ユニット110は、支持部材278と、種類検出部280と、回転検出部282と、を備えている。
図7に示すように、支持部材278は、ホルダハウジング24の右面に固定されている。支持部材278は、ホルダハウジング24の取付開口24bと対向している。
図19に示すように、支持部材278は、支持部材278を厚み方向に貫通する種類検出用開口284と、回転検出用開口286と、を有する。種類検出用開口284は、ベース部材240が回転軸AX周りを回転したときに、可動部材270の右端面と対向する位置に配置されている。回転検出用開口286は、種類検出用開口284よりも回転軸AX側に配置されている。回転検出用開口286は、ベース部材240が回転軸AX周りを回転したときに、回転検出用磁石276と対向する位置に配置されている。
【0122】
種類検出部280と回転検出部282は、支持部材278に支持されている。種類検出部280と回転検出部282は、カバー部材287により覆われている。
【0123】
種類検出部280は、種類検出用基板288と、種類検出用センサ290と、を備えている。種類検出用基板288は、支持部材278に支持されている。種類検出用基板288は、種類検出用開口284と対向している。種類検出用センサ290は、図示省略の配線により制御回路基板32(
図3参照)に電気的に接続している。
図20に示すように、種類検出用センサ290は、種類検出用基板288に固定されている。種類検出用センサ290は、種類検出用開口284内に配置されている。種類検出用センサ290は、例えば、磁気センサである。種類検出用センサ290は、ベース部材240が回転軸AX周りを回転して、取付位置にある可動部材270が種類検出用センサ290と対向する位置を通過したときに、種類検出用磁石274を検出する。一方、種類検出用センサ290は、ベース部材240が回転軸AX周りを回転して、初期位置にある可動部材270が種類検出用センサ290と対向する位置を通過しても、種類検出用磁石274を検出しない。
【0124】
図19に示すように、回転検出部282は、回転検出用基板292と、回転検出用センサ294と、を備えている。回転検出用基板292は、支持部材278に支持されている。回転検出用基板292は、回転検出用開口286と対向している。回転検出用センサ294は、図示省略の配線により制御回路基板32(
図3参照)に電気的に接続している。
図7に示すように、回転検出用センサ294は、回転検出用基板292に固定されている。回転検出用センサ294は、回転検出用開口286内に配置されている。回転検出用センサ294は、例えば、磁気センサである。回転検出用センサ294は、ベース部材240が回転軸AX周りを回転して、回転検出用磁石276が回転検出用センサ294と対向する位置を通過したとき、回転検出用磁石276を検出する。
【0125】
リール30が右側リール取付部234に取り付けられた状態でベース部材240が回転軸AX周りを回転すると、制御回路基板32(
図3参照)は、種類検出用センサ290が検出した信号と回転検出用センサ294が検出した信号を受信する。制御回路基板32は、
図21に示すシグナルチャートを検出する。
図21では、シグナルチャートSC1は、回転検出用センサ294で検出される回転検出用磁石276のシグナルチャートであり、シグナルチャートSC2Aは、
図12に示すリール30が右側リール取付部234に取り付けられたときに種類検出用センサ290で検出される種類検出用磁石274のシグナルチャートであり、シグナルチャートSC2Bが、
図13に示すリール30が右側リール取付部234に取り付けられたときに種類検出用センサ290で検出される種類検出用磁石274のシグナルチャートであり、シグナルチャートSC2Cが、
図14に示すリール30が右側リール取付部234に取り付けられたときに種類検出用センサ290で検出される種類検出用磁石274のシグナルチャートであり、シグナルチャートSC2Dが、
図15に示すリール30が右側リール取付部234に取り付けられたときに種類検出用センサ290で検出される種類検出用磁石274のシグナルチャートである。
図21の例では、種類検出用磁石274が検出されている場合と回転検出用磁石276が検出されている場合、シグナル強度が「1」となり、種類検出用磁石274が検出されていない場合と回転検出用磁石276が検出されていない場合、シグナル強度が「0」となる。リール30が1回転したとき(
図21に示す期間T1に相当する範囲では)、各シグナルチャートSC1、SC2A、SC2B、SC2C、SC2Dでは、シグナル強度が「1」となる回数は2回である。回転検出用磁石276が種類検出用磁石274よりも回転軸AX(
図19参照)側に配置されているため、シグナルチャートSC1でシグナル強度が「1」となる間隔W1は、シグナルチャートSC2A、SC2B、SC2C、SC2Dでシグナル強度が「1」となる間隔W2よりも大きくなる。
【0126】
次に、制御回路基板32の構成を説明する。
図22に示すように、制御回路基板32には、制御電源回路300、MCU(Micro Control Unit)302、モータ制御信号出力先切換回路304、モータ回転信号入力元切換回路306、ゲートドライブ回路308、310、インバータ回路312、314、電流検出回路316、ブレーキ回路318、320等が設けられている。
【0127】
制御電源回路300は、バッテリパックBから供給される電力を所定の電圧に調整して、MCU302、ブレーキ回路318、320等に電力を供給する。
【0128】
インバータ回路312は、バッテリパックBの正極側電源電位と送りモータ50のコイルとの間に並列に接続された複数の上側スイッチング素子(図示省略)と、送りモータ50のコイルと電流検出回路316の間に並列に接続された複数の下側スイッチング素子(図示省略)と、を備えている。ゲートドライブ回路308は、モータ制御信号UH1、VH1、WH1、UL1、VL1、WL1に応じて、インバータ回路312の各上側スイッチング素子および各下側スイッチング素子を、導通と非導通の間で切り換えることで、送りモータ50の動作を制御する。
【0129】
インバータ回路314は、バッテリパックBの正極側電源電位と捩りモータ76のコイルとの間に並列に接続された複数の上側スイッチング素子(図示省略)と、捩りモータ76のコイルと電流検出回路316の間に並列に接続された複数の下側スイッチング素子(図示省略)と、を備えている。ゲートドライブ回路310は、モータ制御信号UH2、VH2、WH2、UL2、VL2、WL2に応じて、インバータ回路314の各上側スイッチング素子および各下側スイッチング素子を、導通と非導通の間で切り換えることで、捩りモータ76の動作を制御する。
【0130】
電流検出回路316は、インバータ回路312、314と、バッテリパックBの負極側電源電位の間に配置されている。電流検出回路316は、インバータ回路312、314を流れる電流の大きさを検出し、MCU302に出力する。
【0131】
MCU302は、モータ制御信号出力ポート302aと、モータ回転信号入力ポート302bと、汎用入出力ポート302cと、を備えている。モータ制御信号出力ポート302aは、ブラシレスモータへのモータ制御信号UH、VH、WH、UL、VL、WLの出力のために設けられている。モータ回転信号入力ポート302bは、ブラシレスモータからのホールセンサ信号Hu、Hv、Hwの入力のために設けられている。主電源スイッチ15aと、主電源LED15bと、トリガスイッチ22と、結束力設定スイッチ25aと、設定表示LED25bと、初期位置検出センサ90と、保持位置検出センサ92と、種類検出用センサ290と、回転検出用センサ294は、汎用入出力ポート302cに接続されている。
【0132】
モータ制御信号出力ポート302aは、モータ制御信号出力先切換回路304に接続されている。モータ制御信号出力先切換回路304は、汎用入出力ポート302cから出力される切換信号SWに応じて、モータ制御信号出力ポート302aから出力されるモータ制御信号UH、VH、WH、UL、VL、WLの出力先を、ゲートドライブ回路308とゲートドライブ回路310の間で切り換える。
【0133】
ブレーキ回路318は、モータ制御信号出力先切換回路304からゲートドライブ回路308に出力されるモータ制御信号UL1、VL1、WL1の信号線に接続されている。
【0134】
ブレーキ回路320は、モータ制御信号出力先切換回路304からゲートドライブ回路310に出力されるモータ制御信号UL2、VL2、WL2の信号線に接続されている。
【0135】
送りモータ50のホールセンサ50a、50b、50cと、捩りモータ76のホールセンサ76a、76b、76cは、モータ回転信号入力元切換回路306と汎用入出力ポート302cの両方に接続されている。モータ回転信号入力元切換回路306は、MCU302から出力される切換信号SWに応じて、送りモータ50からのホールセンサ信号Hu1、Hv1、Hw1と、捩りモータ76からのホールセンサ信号Hu2、Hv2、Hw2のうちの何れか一方を、モータ回転信号入力ポート302bに入力する。
【0136】
次に、リール30の種類を検出する種類検出処理を説明する。MCU302は、トリガスイッチ22からの信号を受信すると、
図23に示す種類検出処理を実行する。本実施例では、MCU302は、結束動作の送り工程と同時に種類検出処理を実行する。
【0137】
S2では、MCU302は、送りモータ50を動作する。送りモータ50が動作すると、ワイヤWがリール30から引き出されるために、リール30が右側リール取付部234とともに回転する。
【0138】
S4では、MCU302は、リール30の種類検出が未完了であるか否かを判断する。MCU302は、リール30の種類検出が未完了であると判断する場合(S4でYES)、S6に進む。一方、MCU302は、リール30の種類検出が完了していると判断する場合(S4でNO)、S16に進む。
【0139】
S6では、MCU302は、種類検出用センサ290が検出した信号と回転検出用センサ294が検出した信号が所定回数以上であるか否か、具体的には、回転検出用磁石276のシグナルチャートSC1でシグナル強度が「1」となった回数が2回以上であり、かつ、種類検出用磁石274のシグナルチャートSC2A、SC2B、SC2C、SC2Dでシグナル強度が「1」となった回数が2回以上であるか否かを判断する。MCU302は、シグナルチャートSC1でシグナル強度が「1」となった回数が2回以上であり、かつ、シグナルチャートSC2A、SC2B、SC2C、SC2Dでシグナル強度が「1」となった回数が2回以上であると判断する場合(S6でYES)、S8に進む。一方、MCU302は、シグナルチャートSC1でシグナル強度が「1」となった回数が2回未満であり、および/または、シグナルチャートSC2A、SC2B、SC2C、SC2Dでシグナル強度が「1」となった回数が2回未満であると判断する場合(S6でNO)、S16に進む。
【0140】
S8では、MCU302は、回転検出用磁石276のシグナルチャートSC1と種類検出用磁石274のシグナルチャートSC2A、SC2B、SC2C、SC2Dを確認する。
【0141】
S10では、MCU302は、回転検出用磁石276のシグナルチャートSC1と種類検出用磁石274のシグナルチャートSC2A、SC2B、SC2C、SC2Dの組み合わせがリストに含まれるか否かを判断する。MCU302は、リストを予め記憶している。MCU302は、当該組み合わせがリストに含まれると判断する場合(S10でYES)、S12に進む。一方、MCU302は、当該組み合わせがリストに含まれないと判断する場合(S10でNO)、S14に進む。例えば、リールが、鉄筋結束機2で使用することができるリール(例えば、鉄筋結束機2の製造者により製造されたリール)でない場合に、S10でNOとなる。
【0142】
S12では、MCU302は、リストの中から、上記のシグナルチャートの組み合わせと一致する組み合わせを特定して、リール30の種類を検出する。その後、MCU302は、S16に進む。
【0143】
S14では、MCU302は、エラーフラグをオンにする。エラーフラグがオンとなった場合でも、MCU302は、結束動作を1回だけ実行し、結束動作が完了すると、鉄筋結束機2を動作不可能な状態に切り替える。S14の後、MCU302は、S16に進む。
【0144】
S16では、MCU302は、送り終了条件を満たしているか否かを判断する。MCU302は、例えば、送りモータ50の回転回数が所定値以上となったと判断した場合、送り終了条件を満たしていると判断する。MCU302は、送り終了条件を満たしていると判断する場合(S16でYES)、送りモータ50を停止させて、種類検出処理を終了する。一方、MCU302は、送り終了条件を満たしていないと判断する場合(S16でNO)、S4に戻る。
【0145】
本実施例では、MCU302は、種類検出処理を実行した後、
図24と
図25の処理を実行する。
【0146】
結束動作の引き戻し工程とともに、MCU302は、
図24の処理を実行する。S20では、MCU302は、検出したリール30の種類に応じて、ワイヤWの引き戻し条件を設定する。MCU302は、リール30の種類とワイヤWの引き戻し条件との関係を示すリストを予め記憶している。また、S20では、MCU302は、エラーフラグがオンである場合には、例えば、ワイヤWの引き戻し条件を、リール30の種類に基づいたワイヤWの引き戻し条件と異なる条件に設定する。
【0147】
S22では、MCU302は、引き戻し終了条件を満たしているか否かを判断する。MCU302は、例えば、送りモータ50を流れる電流が所定値以上となると、引き戻し終了条件を満たしていると判断する。MCU302は、引き戻し終了条件を満たしていると判断する場合(S22でYES)、
図24の処理を終了する。
【0148】
結束動作の捩り工程とともに、MCU302は、
図25の処理を実行する。S30では、MCU302は、検出したリール30の種類に応じて、ワイヤWの捩り条件を設定する。MCU302は、リール30の種類とワイヤWの捩り条件との関係を示すリストを予め記憶している。また、S30では、MCU302は、エラーフラグがオンである場合には、例えば、ワイヤWの捩り条件を、リール30の種類に基づいたワイヤWの捩り条件と異なる条件に設定する。
【0149】
S32では、MCU302は、捩り終了条件を満たしているか否かを判断する。MCU302は、例えば、捩りモータ76を流れる電流が所定値以上となると、捩り終了条件を満たしていると判断する。MCU302は、捩り終了条件を満たしていると判断する場合(S32でYES)、
図25の処理を終了する。
【0150】
(効果)
本実施例の鉄筋結束機2は、ボビン120と、ボビン120に巻回されているワイヤWと、情報部分122と、を備えているリール30と、リール30を取り付けるためのリール取付部230と、ボビン120に巻回されているワイヤWを鉄筋Rの周りに送る送りユニット40と、鉄筋Rの周りに送られたワイヤWを捩る捩りユニット42と、検出ユニット110と、を備えている。情報部分122は、リール30に関連する情報を示しており、ワイヤWによって構成されている。検出ユニット110は、情報部分122を検出する。
【0151】
上記の構成によれば、情報部分122がワイヤWによって構成されているため、複数の種類のリール30を用意する場合であっても、ボビン120の形状を変更する必要がない。このような構成とすることにより、複数の種類のボビン120を用意することなく、鉄筋結束機2でリール30の種類を検出することを可能とすることができる。
【0152】
本実施例のリール30は、鉄筋結束機2のリール取付部230に取り付けられて使用される。リール30は、ボビン120と、ボビン120に巻回されているワイヤWと、情報部分122と、を備えている。情報部分122は、リール30に関連する情報を示しており、ワイヤWによって構成されている。情報部分122は、鉄筋結束機2に検出される。
【0153】
上記の構成によれば、上記の鉄筋結束機2と同様の効果を奏することができる。
【0154】
本実施例の鉄筋結束機2は、ボビン120と、ボビン120に巻回されているワイヤWと、を備えているリール30と、リール30を取り付けるためのリール取付部230と、ボビン120に巻回されているワイヤWを鉄筋Rの周りに送る送りユニット40と、鉄筋Rの周りに送られたワイヤWを捩る捩りユニット42と、ボビン120に巻回されているワイヤWを検出する検出ユニット110と、を備えている。
【0155】
上記の構成によれば、ワイヤWが検出ユニット110により直接検出されるため、ワイヤWがリール30に関連する情報を示している場合に、複数の種類のボビン120を用意することなく、鉄筋結束機2でリール30の種類を検出することを可能とすることができる。
【0156】
本実施例のリール30は、鉄筋結束機2のリール取付部230に取り付けられて使用される。リール30は、ボビン120と、ボビン120に巻回されているワイヤWと、を備えている。ワイヤWは、鉄筋結束機2に検出される。
【0157】
上記の構成によれば、上記の鉄筋結束機2と同様の効果を奏することができる。
【0158】
また、情報部分122は、ボビン120の外側に配置されているワイヤWによって構成されている。
【0159】
上記の構成によれば、鉄筋結束機2でリール30の種類を容易に検出することを可能とすることができる。
【0160】
また、情報部分122は、ワイヤWの巻き初め部分220を備えている。ボビン120に対する巻き初め部分220の配置は、リール30の種類に応じて異なる。検出ユニット110は、ボビン120に対する巻き初め部分220の配置を検出する。
【0161】
上記の構成によれば、ボビン120に対する巻き初め部分220の配置を検出する簡便な方法により、鉄筋結束機2でリール30の種類を検出することを可能とすることができる。
【0162】
また、ボビン120は、巻き初め部分220と係合する係合爪132を備えている。
【0163】
巻き初め部分220が係合爪132に係合していない構成とすると、外力が巻き初め部分220に作用したときに、ボビン120に対する巻き初め部分220の配置が変化する。これにより、鉄筋結束機2がリール30の種類を誤検出する。上記の構成によれば、外力が巻き初め部分220に作用しても、ボビン120に対する巻き初め部分220の配置が変化しない。これにより、鉄筋結束機2がリール30の種類を誤検出することを抑制することができる。
【0164】
また、係合爪132は、巻き初め部分220と係合しているときに巻き初め部分220と当接する係合面133b1を備えている。係合面133b1は、巻き初め部分220に対して、ボビン120の中心軸に沿ってボビン120から離れる方向に配置されている。
【0165】
上記の構成によれば、外力が巻き初め部分220に作用しても、ボビン120に対する巻き初め部分220の配置が変化することをより抑制することができる。
【0166】
また、ボビン120は、ワイヤWが巻回されている胴部124と、胴部124の一端に配置されている左鍔部128(鍔部の一例)と、を備えている。左鍔部128は、左鍔部128を厚み方向に貫通する切り欠き174を備えている。巻き初め部分220は、切り欠き174を通過することによって、ボビン120の外側に配置される。
【0167】
上記の構成によれば、切り欠き174を使用する簡便な構成により、巻き初め部分220をボビン120の外側に配置することができる。
【0168】
また、左鍔部128は、第1左鍔部150(第1鍔部の一例)と、情報部分122を胴部124に向けて案内する傾斜面178を備えており、第1左鍔部150との間に切り欠き174を画定する第2左鍔部152(第2鍔部の一例)と、を備えている。巻き初め部分220は、傾斜面178に沿って配置されて90度未満の角度で屈曲している。
【0169】
第2左鍔部152が傾斜面178を備えていない構成とすると、巻き初め部分220は、第2左鍔部152の角に当接して、90度以上の角度で屈曲する。これにより、ワイヤWをボビン120に巻回するときにワイヤWがボビン120から浮き上がることがある。上記の構成によれば、巻き初め部分220が傾斜面178に沿って配置されて90度未満の角度で屈曲しているため、ワイヤWをボビン120に巻回するときにワイヤWがボビン120から浮き上がることを抑制することができる。
【0170】
また、ボビン120は、巻き初め部分220を、切り欠き174に向けて案内するガイド134をさらに備えている。
【0171】
上記の構成によれば、リール30を作製するときに巻き初め部分220がガイド134に案内されることにより、巻き初め部分220を切り欠き174に容易に通過させることができる。
【0172】
また、ガイド134は、内側ガイド208a(第1ガイドの一例)と、内側ガイド208aと対向して配置されており、内側ガイド208aとの間に内側案内空間212a(案内空間の一例)を画定する内側ガイド208b(第2ガイドの一例)と、を備えている。巻き初め部分220は、内側案内空間212aに配置されている。
【0173】
上記の構成によれば、リール30を作製するときに巻き初め部分220を内側案内空間212aに配置することにより、巻き初め部分220を切り欠き174に容易に通過させることができる。
【0174】
また、内側案内空間212aは、切り欠き174の延長線上に配置されている。
【0175】
内側案内空間212aが切り欠き174の延長線上に配置されていない構成とすると、巻き初め部分220は、内側案内空間212aと切り欠き174との間の領域で屈曲してしまう。上記の構成によれば、巻き初め部分220が内側案内空間212aと切り欠き174との間の領域で屈曲することを抑制することができる。
【0176】
また、鉄筋結束機2は、リール取付部230と、送りユニット40と、捩りユニット42と、検出ユニット110を支持する支持部7をさらに備えている。検出ユニット110は、支持部7に対して移動可能な可動部材270を備えている。可動部材270は、リール30がリール取付部230に取り付けられていないときに、初期位置に配置されている。情報部分122は、リール30がリール取付部230に取り付けられたときに、可動部材270を初期位置から、初期位置とは異なる取付位置に移動させる。
【0177】
上記の構成によれば、可動部材270の位置を利用する簡便な方法により、鉄筋結束機2でリール30の種類を検出することを可能とすることができる。
【0178】
また、可動部材270は、初期位置と取付位置との間を移動可能に、右側リール取付部234に支持されている。
【0179】
可動部材270がリール取付部230に支持されていない構成とすると、可動部材270をリール取付部230以外の構成に支持させる必要があり、鉄筋結束機2の構成が複雑となる。上記の構成によれば、鉄筋結束機2の構成が複雑となることなく、鉄筋結束機2でリール30の種類を検出することを可能とすることができる。
【0180】
また、検出ユニット110は、可動部材270に固定された種類検出用磁石274と、支持部7に固定されており、種類検出用磁石274を検出することにより可動部材270が取付位置にあるか否かを検出可能な種類検出用センサ290と、をさらに備えている。
【0181】
鉄筋結束機2の使用を続けると、種類検出用磁石274や種類検出用センサ290に異物等の汚れが付着することがある。上記の構成によれば、種類検出用センサ290は、種類検出用磁石274に起因する磁気を検出するため、種類検出用磁石274や種類検出用センサ290に汚れが付着したときでも、可動部材270が取付位置にあるか否かを検出することができる。これにより、鉄筋結束機2でリール30の種類を正確に検出することを可能とすることができる。
【0182】
また、検出ユニット110は、可動部材270を初期位置に向けて付勢する付勢部材272(第1付勢部材の一例)をさらに備えている。
【0183】
上記の構成によれば、リール30が右側リール取付部234から取り外されたときに、可動部材270を初期位置に復帰させることができる。
【0184】
また、検出ユニット110は、複数の可動部材270を備えている。情報部分122は、リール30がリール取付部230に取り付けられたときに、複数の可動部材270のうちの少なくとも1つの可動部材270を、初期位置から取付位置に移動させる。ボビン120は、リール30がリール取付部230に取り付けられたときに、初期位置にある可動部材270を受け入れる受入部148b(第1受入部の一例)を備えている。
【0185】
上記の構成によれば、リール30がリール取付部230に取り付けられたときに、初期位置にある可動部材270は、受入部148bに受け入れられる。これにより、リール30をリール取付部230に固定することができる。
【0186】
また、ボビン120は、リール30がリール取付部230に取り付けられたときに、可動部材270を受け入れる受入部148a(第2受入部の一例)を備えている。情報部分122は、リール30がリール取付部230に取り付けられたときに、受入部148aに受け入れられた可動部材270を、初期位置から取付位置に移動させる。
【0187】
上記の構成によれば、リール30がリール取付部230に取り付けられたときに、可動部材270は、受入部148aに受け入れられ、情報部分122により初期位置から取付位置に移動する。取付位置にある可動部材270を使用して、鉄筋結束機2でリール30の種類を検出することを可能とすることができるとともに、リール30をリール取付部230に固定することができる。
【0188】
また、リール30は、リール30がリール取付部230に取り付けられたときに、回転軸AXの周りを回転可能である。検出ユニット110は、リール30の回転角度を検出する回転検出用磁石276と回転検出用センサ294(回転検出ユニットの一例)をさらに備えている。
【0189】
上記の構成によれば、初期位置および/または取付位置にある可動部材270を、リール30の回転角度に関連付けることができる。これにより、鉄筋結束機2でリール30の種類を正確に検出することを可能とすることができる。
【0190】
また、リール30は、リール30がリール取付部230に取り付けられたときに、回転軸AXの周りを回転可能である。リール取付部230は、リール30がリール取付部230に取り付けられたときにリール30と当接するリールストッパ236と、リール30がリール取付部230に取り付けられたときにリールストッパ236をリール30に向けて付勢する付勢部材238(第2付勢部材の一例)と、を備えている。
【0191】
上記の構成によれば、鉄筋結束機2の姿勢を変更したときやリール30の回転に伴いリール30が振動したときでも、リール30がリールストッパ236から外れることを抑制することができる。
【0192】
また、ボビン120は、リブ130を備えている。リール取付部230は、リール30をリール取付部230に取り付けるときに、情報部分122を検出ユニット110に対して所定の配置に調整するように、リブ130を案内する案内部材244を備えている。
【0193】
上記の構成によれば、ユーザがリール30をリール取付部230に取り付けるときに、案内部材244がリブ130を案内するため、情報部分122が検出ユニット110に対して所定の配置に調整される。このため、検出ユニット110に対する情報部分122の配置を容易に調整することができる。
【0194】
(変形例)
一実施形態において、検出ユニット110は、ボビン120に巻回されたワイヤWを直接検出する検出部をさらに備えていてもよい。例えば、検出部が撮影画像やレーザによりワイヤWの太さや、色、表面状態を検出することにより、MCU302は、リール30の種類を検出してもよい。
【0195】
一実施形態において、情報部分122は、ワイヤWの巻き初め部分220に替えて、ワイヤWの他の部分、例えば、ワイヤWの巻き終わり部分またはワイヤWが積層されている層部分を備えていてもよい。検出ユニット110がワイヤWの巻き終わり部分や層部分を検出することにより、MCU302は、リール30の種類を検出してもよい。
【0196】
一実施形態において、情報部分122は、ボビン120の外側に配置されておらず、ボビン120から露出していてもよい。情報部分122がボビン120から露出している場合、情報部分122は、ユーザが目で視認可能な位置に配置されている。この場合、検出ユニット110が情報部分122を撮像画像やレーザにより検出することにより、MCU302は、リール30の種類を検出してもよい。また、露出する情報部分122が可動部材270を押し込み、検出ユニット110が押し込まれた可動部材270を検出することにより、MCU302は、リール30の種類を検出してもよい。
【0197】
一実施形態において、情報部分122は、ボビン120の内側に、例えば、内部空間142aに配置されていてもよい。この場合、内部空間142aに配置される情報部分122が可動部材270を取付位置に押し込む。
【0198】
一実施形態において、検出ユニット110は、ロータリエンコーダを備えていてもよい。この場合、ロータリエンコーダが、リール30の回転角度を検出する。
【0199】
一実施形態において、MCU302は、結束動作の送り工程と同時に種類検出処理を実行しなくてもよい。例えば、MCU302は、結束動作の前に実行される予備動作と同時に種類検出処理を実行してもよい。ここでいう予備動作は、リール30がリールホルダ6に取り付けられたときに、送りモータ50を動作することによりワイヤWをリール30から引き出すことができるか否かを確認するための動作である。
【0200】
一実施形態において、ボビン120が案内部材244を備えていてもよく、右側リール取付部234がリブ130を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0201】
2 :鉄筋結束機
4 :本体
6 :リールホルダ
7 :支持部
30 :リール
32 :制御回路基板
40 :送りユニット
42 :捩りユニット
110 :検出ユニット
120 :ボビン
122 :情報部分
124 :胴部
124a :被当接面
126 :右鍔部
128 :左鍔部
130 :リブ
132、132a、132b、132c、132d:係合爪
133b1:係合面
134 :ガイド
146 :底壁部
148、148a、148b:受入部
150 :第1左鍔部
152 :第2左鍔部
154 :第3左鍔部
156 :第4左鍔部
166、178、186、202:傾斜面
174、190、192、198、206:切り欠き
208、208a、208b、208c、208d:内側ガイド
210、210a、210b:外側ガイド
212a、212b、212c、212d:内側案内空間
214a、214b:外側案内空間
220 :巻き初め部分
230 :リール取付部
232 :左側リール取付部
234 :右側リール取付部
236 :リールストッパ
236a :ストッパ部
237 :当接面
238 :付勢部材
239 :ベアリング
240 :ベース部材
242 :係合部材
244 :案内部材
250 :底壁
252 :貫通孔
270 :可動部材
272 :付勢部材
274 :種類検出用磁石
276 :回転検出用磁石
284 :種類検出用開口
286 :回転検出用開口
290 :種類検出用センサ
294 :回転検出用センサ
AX :回転軸
B :バッテリパック
R :鉄筋
W :ワイヤ