(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152070
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】自動走行車の制御システム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20231005BHJP
【FI】
G05D1/02 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062011
(22)【出願日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 拓嗣
(72)【発明者】
【氏名】横田 真人
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA02
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD05
5H301DD15
5H301FF01
5H301FF16
5H301JJ06
(57)【要約】
【課題】自動走行車の目標地点への停止精度を可及的に高める。
【解決手段】本自動走行車の制御システムは、指定された目標地点を撮影範囲に含む位置に設けられたカメラと、電動機と上記電動機の出力軸に接続された車輪とを有し、上記目標地点へ向けて自動で走行する自動走行車と、上記電動機の駆動指令を上記自動走行車に出力する制御装置と、を備える。上記制御装置は、上記カメラによって撮影された画像に基づいて、上記目標地点から第1距離の範囲に接近した上記自動走行車を検出すると、上記自動走行車の停止位置から上記目標地点までの位置の差分を上記画像に基づいて算出する算出処理と、上記差分を解消するように上記自動走行車を走行させる上記駆動指令を上記自動走行車に出力する出力処理と、を実行する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指定された目標地点を撮影範囲に含む位置に設けられたカメラと、
電動機と前記電動機により駆動される車輪とを有し、前記目標地点へ向けて自動で走行する自動走行車と、
前記電動機の駆動指令を前記自動走行車に出力する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記カメラによって撮影された画像に基づいて、前記目標地点から第1距離の範囲に接近した前記自動走行車を検出すると、前記自動走行車の停止位置から前記目標地点までの位置の差分を前記画像に基づいて算出する算出処理と、
前記差分を解消するように前記自動走行車を走行させる前記駆動指令を前記自動走行車に出力する出力処理と、を実行する、
自動走行車の制御システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記駆動指令にしたがった前記自動走行車の移動後に前記カメラによって撮影された画像を基に前記移動後の自動走行車の位置が前記目標地点からずれていることを検出した場合には、前記算出処理と前記出力処理とを再度実行する、
請求項1に記載の自動走行車の制御システム。
【請求項3】
前記自動走行車は、
前記目標地点への走行経路を記憶するとともに、前記電動機を制御する制御部を備え、
前記第1距離の範囲に接近するまでは、前記走行経路にしたがって前記目標地点へ向けて走行するように前記制御部によって前記電動機を駆動し、
前記第1距離の範囲に前記自動走行車の位置が接近すると、前記制御装置からの駆動指令を受けて前記電動機を駆動する、
請求項1に記載の自動走行車の制御システム。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記カメラによって撮影された画像に基づいて、前記目標地点から第1距離の範囲に接近した前記自動走行車を検出すると、前記自動走行車を停止させてから、前記算出処理を実行する、
請求項1に記載の自動走行車の制御システム。
【請求項5】
前記カメラは上方から前記目標地点を撮影し、
前記自動走行車及び前記目標地点の夫々には、前記カメラから撮影可能な位置に同一形状のマークが付されており、
前記出力処理では、前記自動走行車に付されたマークと前記目標地点に付されたマークとが、上方から見たときに重なる位置となるように前記自動走行車を走行させる前記駆動指令が出力される、
請求項1から4のいずれか一項に記載の自動走行車の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動走行車の制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場等において、資材の運搬等に自動搬送車(AGV)が利用されている。自動搬送車としては、例えば、記憶された地図情報にしたがって自動走行するものや、カメラで撮影した画像を基に自動搬送車の位置を検出するもの、サーボモータがサーボ制御されて移動するものが提案されている(例えば、特許文献1-3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-92393号公報
【特許文献2】特開平4-303216号公報
【特許文献3】特開平10-320050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
予め記憶した地図情報にしたがって目標地点に向けて自動走行する自動搬送車は、例えば、自動搬送車が認識する現在位置と実際の自動搬送車の現在位置との間とのずれにより、自動搬送車の停止位置が目標地点からずれることがある。このような位置のずれは、自動搬送車によって運搬された資材を利用する後工程の作業効率を低下させる虞がある。そのため、搬送車の停止位置と目標地点とは可及的に一致することが好ましい。このような課題は、自動搬送車に限定されず、予め記憶された地図情報等にしたがって自動走行する一般の自動走行車でも生じ得る。
【0005】
開示の技術の1つの側面は、自動走行車の目標地点への停止精度を可及的に高めることができる自動走行車の制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術の1つの側面は、次のような自動走行車の制御システムによって例示される。本自動走行車の制御システムは、指定された目標地点を撮影範囲に含む位置に設けられたカメラと、電動機と上記電動機の出力軸に接続された車輪とを有し、上記目標地点へ向けて自動で走行する自動走行車と、上記電動機の駆動指令を上記自動走行車に出力する制御装置と、を備える。上記制御装置は、上記カメラによって撮影された画像に基づいて、上記目標地点から第1距離の範囲に接近した上記自動走行車を検出すると、上記自動走行車の停止位置から上記目標地点までの位置の差分を上記画像に基づいて算出する算出処理と、上記差分を解消するように上記自動走行車を走行させる上記駆動指令を上記自動走行車に出力する出力処理と、を実行する。
【0007】
自動走行車は、敷設された磁気テープに沿って移動したり予め記憶した地図情報にしたがって移動したりして目的地へと走行しても、最終的に停止した位置が目標地点からずれている場合がある。上記自動走行車の制御システムによれば、カメラで撮影した画像を基に自動走行車と目標地点との位置の差分を算出し、当該差分を解消するように自動走行車を走行させる駆動指令を出力することで、自動走行車の停止位置を可及的に目標地点に近付けることができる。すなわち、本自動走行車の制御システムによれば、自動走行車の目標地点への停止精度を可及的に高めることができる。
【0008】
上記自動走行車の制御システムは、次の特徴を備えてもよい。前記制御装置は、前記駆動指令にしたがった前記自動走行車の移動後に前記カメラによって撮影された画像を基に前記移動後の自動走行車の位置が前記目標地点からずれていることを検出した場合には、前記算出処理と前記出力処理とを再度実行する。本自動走行車の制御システムは、このような特徴を備えることで、駆動指令にしたがって走行した後に、自動走行車の位置と目標地点の位置の差分が生じているときでも、このような位置の差分を解消することができる。
【0009】
上記自動走行車の制御システムは、次の特徴を備えてもよい。上記自動走行車は、上記目標地点への走行経路を記憶するとともに、上記電動機を制御する制御部を備える。そして、上記自動走行車は、上記第1距離の範囲に接近するまでは、上記走行経路にしたがって上記目標地点へ向けて走行するように上記制御部によって上記電動機を駆動し、上記第1距離の範囲に上記自動走行車の位置が接近すると、上記制御装置からの駆動指令を受けて上記電動機を駆動する。本自動走行車の制御システムは、このような特徴を備えることで、予め走行経路にしたがって走行する自動走行車の停止位置と目標地点とを可及的に一致させることができる。
【0010】
上記自動走行車の制御システムは、次の特徴を備えてもよい。前記制御装置は、前記カメラによって撮影された画像に基づいて、前記目標地点から第1距離の範囲に接近した前記自動走行車を検出すると、前記自動走行車を停止させてから、前記算出処理を実行する。自動走行車を停止させることで、位置の差分の算出中に自動走行車の位置が変動することが抑制される。すなわち、本自動走行車の制御システムは、このような特徴を備えることで、上記算出処理の算出精度を高めることができる。
【0011】
上記自動走行車の制御システムは、次の特徴を備えてもよい。前記カメラは上方から前記目標地点を撮影し、前記自動走行車及び前記目標地点の夫々には、前記カメラから撮影可能な位置に同一形状のマークが付されており、前記出力処理では、前記自動走行車に付されたマークと前記目標地点に付されたマークとが、上方から見たときに重なる位置となるように前記自動走行車を走行させる前記駆動指令が出力される。本自動走行車の制御システムは、このような同一形状のマークを用いることで、自動走行車と目標地点の位置の差分を算出してもよい。
【発明の効果】
【0012】
開示の技術によれば、自動走行車の目標地点への停止精度を可及的に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態に係る制御システムの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、自動搬送車を上方から見た図である。
【
図4】
図4は、自動搬送車のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、PLCのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、PLCの処理ブロックの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、目的地から第1距離の範囲内で停止した自動搬送車と目的地とをカメラで撮影した画像の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、自動搬送車を直進させる場合における車輪の回転数と自動搬送車の移動距離を模式的に示す図である。
【
図9】
図9は、自動搬送車の現在の進行方向と進行させたい進路方向とのずれ(角度)の算出を模式的に示す図である。
【
図10】
図10は、自動搬送車の進行方向の変更を模式的に例示する図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る制御システムの処理フローの一例を示す図である。
【
図12】
図12は、自動搬送車が目的地から第1の距離の範囲で停止した状態を例示する図である。
【
図13】
図13は、A1度回転させた後の自動搬送車の状態を模式的に示す図である。
【
図14】
図14は、X軸に向けて前進させた自動搬送車の状態を模式的に示す図である。
【
図15】
図15は、目標地点位置マークに向けて90度回転させた自動搬送車の状態を模式的に示す図である。
【
図16】
図16は、距離D3だけ自動搬送車を前進させた状態を例示する図である。
【
図17】
図17は、自動搬送車が目的地から第1の距離の範囲で停止した状態を模式的に示す図である。
【
図18】
図18は、直進後の自動搬送車の状態を模式的に示す図である。
【
図19】
図19は、自動搬送車を角度A4だけ車両本体を回転させた状態を模式的に示す図である。
【
図20】
図20は、速度制御で自動搬送車の停止位置の調整を行う処理を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態>
図1は、実施形態に係る制御システム100の一例を示す図である。制御システム100は、PLC1、カメラ2、自動搬送車3、キャスター4、目的地5及びネットワークN1を含む。PLC1、カメラ2及び自動搬送車3は、ネットワークN1によって通信可能に接続される。制御システム100は、「自動走行車の制御システム」の一例である。
【0015】
PLC1は、自動搬送車3が備えるサーボドライバに対する指令信号をネットワークN1を介して出力する。PLC1は、予め準備されたプログラムに従う処理を実行することによって、例えば、自動搬送車3が備えるサーボドライバの監視装置として機能する。ネットワークN1は、例えば、無線LAN等の無線通信ネットワークである。PLC1は、「制御装置」の一例である。
【0016】
カメラ2は、移動可能なキャスター4に取り付けられ、目的地5を含む撮影範囲を上方から撮影する。カメラ2は、例えば、Charge Coupled Device(CCD)イメージセンサーやComplementary Metal Oxide Semiconductor(CMOS)イメージセンサーを有するデジタルカメラである。カメラ2は、静止画を撮影するスチルカメラであっても動画を撮影するビデオカメラであってもよい。カメラ2がキャスター4に取り付けられることで、目的地5の変更に追従してカメラ2の位置を変更することが容易となる。キャスター4は、カメラ2取り付け先の一例である。
【0017】
自動搬送車3は、予め指定された目的地5に向けて指定されたルートを無人で走行する車両である。自動搬送車3は、例えば、工場等において、ある地点で資材を積載する。資材を積載した自動搬送車3は、指定されたルートを走行して目的地5まで資材を搬送する。自動搬送車3は、
図2に例示するように、車両本体31に対して4つの車輪32a、32b、32c、32dが設けられる。車輪32a、車輪32bは自動搬送車3の前輪であり、車輪32c、車輪32dは自動搬送車3の後輪である。4つの車輪32a、32b、32c、32dを区別しないときは、車輪32とも称する。詳細は後述するが、自動搬送車3は、例えば、予め記憶部に目的地5までの走行ルートを地図情報として記憶する。そ
して、自動搬送車3は、当該地図情報にしたがって、目的地5に向けて走行する。自動搬送車3は、「自動走行車」の一例である。目的地5は、「目標地点」の一例である。
【0018】
図2は、自動搬送車3を上方から見た図である。自動搬送車3では、車両本体31の上面に直交する2本の線分第1線分34及び第2線分35を含む車両位置マーク33が設けられる。第1線分34は、例えば、自動搬送車3の前輪(車輪32a、32b)を前後方向の中心を結んだ線上に配置される。車両位置マーク33では、第1線分34の方が第2線分35よりも長い。そして、第1線分34と第2線分35は直交する。ここで、第1線分34の両端点の夫々をP31、P32と称し、第2線分35の両端点の夫々をP33、P34と称する。また、第1線分34と第2線分35の交点をP35と称する。P35は、例えば、前輪(車輪32a、32b)を前後方向の中心を結んだ線分の中点であってもよい。なお、
図2では、車両位置マーク33は車両本体31の上面に設けられているが、カメラ2から撮影可能な位置であれば車両位置マーク33は車両本体31の上面以外の場所に設けられてもよい。車両位置マーク33は、「マーク」の一例である。
【0019】
図3は、目的地5を上方から見た図である。目的地5には、第1線分52及び第2線分53を含む目標地点位置マーク51が設けられる。目標地点位置マーク51では、第1線分52の方が第2線分53よりも長い。そして、第1線分52と第2線分53は直交する。ここで、第1線分52の両端点の夫々をP51、P52と称し、第2線分53の両端点の夫々をP53、P54と称する。また、第1線分52と第2線分53の交点をP55と称する。目標地点位置マーク51と車両位置マーク33は、例えば、同一形状である。目標地点位置マーク51は、「マーク」の一例である。
【0020】
図4は、自動搬送車3のハードウェア構成の一例を示す図である。自動搬送車3は、車輪32、サーボドライバ36a、36b、36c、36d、モータ37a、37b、37c、37d、通信部38、内蔵PLC39及び接続バスB1を備える。サーボドライバ36a、36b、36c、36d、モータ37a、37b、37c、37d、通信部38及び内蔵PLC39は、接続バスB1によって接続される。サーボドライバ36a、36b、36c、36dを区別しないときは、サーボドライバ36とも称する。また、モータ37a、37b、37c、37dを区別しないときは、モータ37とも称する。
【0021】
サーボドライバ36は、PLC1や内蔵PLC39から指令信号を受ける。さらにサーボドライバ36は、対応するモータ37からフィードバック信号を受ける。また、サーボドライバ36は、モータ37に駆動電流を供給する。サーボドライバ36においては、それぞれ、速度検出器、トルク検出器、電力生成器等を利用したフィードバック制御を行うサーボ系が形成されており、これらの信号を利用して、モータ37をサーボ制御し駆動する。すなわち、サーボドライバ36aはモータ37aを、サーボドライバ36bはモータ37bを、サーボドライバ36cはモータ37cを、サーボドライバ36dはサーボドライバ36dを、サーボ制御し駆動する。
【0022】
モータ37は、例えば、ACサーボモータである。モータ37は、サーボドライバ36からの駆動電流を受ける。モータ37の出力軸371は車輪32に接続される。モータ37aには、車輪32aに接続される出力軸371aが設けられる。モータ37bには、車輪32bに接続される出力軸371bが設けられる。モータ37cには、車輪32cに接続される出力軸371cが設けられる。モータ37dには、車輪32dに接続される出力軸371dが設けられる。すなわち、モータ37aは車輪32aを駆動し、モータ37bは車輪32bを駆動し、モータ37cは車輪32cを駆動し、モータ37dは車輪32dを駆動する。出力軸371a、371b、371c、371dを区別しないときは、出力軸371とも称する。
【0023】
モータ37は、出力軸371の変位を検出する。モータ37が検出する出力軸371の変位としては、例えば、出力軸371の回転方向や回転量、回転速度等を挙げることができる。モータ37は、検出された変位を示すフィードバック信号をモータ37に出力する。モータ37は、「電動機」の一例である。出力軸371は、「出力軸」の一例である。
【0024】
通信部38は、例えば、ネットワークN1とのインターフェースである。通信部38は、ネットワークN1を介してPLC1と通信を行う。
【0025】
内蔵PLC39は、自動搬送車3内に備えられるPLCである。内蔵PLC39は、記憶部391を有し、記憶部391には目的地5への走行経路を含む地図情報が予め記憶される。内蔵PLC39は、記憶部391に記憶された地図情報にしたがって目的地5へ自動搬送車3が走行するように、サーボドライバ36に駆動指令を出力する。内蔵PLC39は、「制御部」の一例である。
【0026】
図5は、PLC1のハードウェア構成の一例を示す図である。PLC1は、プロセッサ11、記憶部12及び通信部13を備える。プロセッサ11、記憶部12及び通信部13は、接続バスB1によって接続される。通信部13は、ネットワークN1を介して自動搬送車3と通信を行う。
【0027】
プロセッサ11は、単一のプロセッサに限定される訳ではなく、マルチプロセッサ構成であってもよい。記憶部12は、各種データを記憶する。記憶部12としては、例えば、Random Access Memory(RAM)及びRead Only Memory(ROM)、Hard Disk Drive(HDD)、Solid State Drive(SSD)等を挙げることができる。
【0028】
<PLC1の処理ブロック>
図6は、PLC1の処理ブロックの一例を示す図である。PLC1は、初期設定部101、検出部102、算出部103及び調整指令部104を備える。PLC1は、記憶部12に記憶されたコンピュータープログラムをプロセッサ11が実行することで、上記PLC1の、初期設定部101、検出部102、算出部103及び調整指令部104等の各部としての処理を実行する。
【0029】
初期設定部101は、目的地5を撮影範囲に含むようにカメラ2が設置されると、カメラ2によって撮影された画像中の目標地点位置マーク51の位置を算出する。初期設定部101は、算出した目標地点位置マーク51の位置を記憶部12に記憶させる。
【0030】
検出部102は、目的地5に向けて走行する自動搬送車3と目的地5との距離が予め決定された第1距離の範囲内に接近することをカメラ2によって撮影された画像を基に検出する。第1距離は、例えば、後述する調整指令部104による調整指令において自動搬送車3の停止位置を目的地5の位置に調整に好適な距離として予め決定される。決定された第1距離は、例えば、記憶部22に記憶される。第1距離の範囲内に接近した自動搬送車3を検出した検出部102は、自動搬送車3に対して、モータ37を停止させる停止指令を送信する。停止指令を受信した自動搬送車3では、サーボドライバ36がモータ37を停止させることで、自動搬送車3が停止する。
【0031】
算出部103は、目的地5から第1距離の範囲内で停止した自動搬送車3と目的地5との位置の差分を算出する。算出部103は、例えば、自動搬送車3に設けられた車両位置マーク33と目的地5に設けられた目標地点位置マーク51の夫々の位置を、カメラ2によって撮影された画像を基に算出する。
【0032】
図7は、目的地5から第1距離の範囲内で停止した自動搬送車3と目的地5とをカメラ2で撮影した画像201の一例を示す図である。算出部103は、カメラ2によって撮影された画像201を取得すると、自動搬送車3の車両位置マーク33及び目的地5の目標地点位置マーク51の夫々の位置を算出する。算出部103は、算出した夫々の位置に基づいて、自動搬送車3の車両位置マーク33の位置及び目的地5の目標地点位置マーク51の位置の差分を算出する。
【0033】
図6に戻り、調整指令部104は、算出部103によって算出された位置の差分を解消するために自動搬送車3を走行させる走行距離及び走行方向を決定する。調整指令部104は、決定した走行距離及び走行方向に自動搬送車3を走行させるための調整指令を自動搬送車3に出力する。なお、調整指令部104は、1回の調整指令で車両位置マーク33と目標地点位置マーク51とが重なるように自動搬送車3を走行させてもよい。また、調整指令部104は、複数回の調整指令で車両位置マーク33と目標地点位置マーク51とが重なるように自動搬送車3を徐々に走行させてもよい。また、PLC1は自動搬送車3とマーク33の相対位置を自動搬送車3の内蔵PLC39に転送し、停止位置の調整自体は自動搬送車3で実施させてもよい。
【0034】
なお、調整指令部104による調整指令は、自動搬送車3のモータ37の出力軸371の回転数や回転速度に係るものである。そして、自動搬送車3では、出力軸371の回転数に等しい数だけ車輪32が回転する。
図8は、自動搬送車3を直進させる場合における車輪32の回転数と自動搬送車3の移動距離を模式的に示す図である。
図8において、車輪32の半径をR(mm)、直進で移動させる距離をZ(mm)であるとする。この場合、車輪32が1周したときに自動搬送車3が進む距離は2πR(mm)であることから、自動搬送車3をZ(mm)直進させるには、自動搬送車3が備える4つの車輪32をZ/(2πR)回転させればよい。すなわち、調整指令部104は、自動搬送車3が備える4つのモータ37の出力軸371をZ/(2πR)回だけ回転させる調整指令を自動搬送車3に送信すればよい。
【0035】
図9は、自動搬送車3の現在の進行方向と進行させたい進路方向とのずれ(角度)の算出を模式的に示す図である。
図9では、目標地点位置マーク51の第1線分52と一致するようにY軸が設けられ、目標地点位置マーク51の第2線分53と一致するようにX軸が設けられる。そして、
図9では、目標地点位置マーク51のP55と一致するようにXY座標空間における原点が配置される。なお、
図9では、図面が煩雑になることを抑制するため、車輪32の図示は省略している。
【0036】
自動搬送車3の進行方向は第2線分35の長手方向のうち車輪32a、32b側の向きである。そして、自動搬送車3をY軸方向に進行させたい場合、自動搬送車3の現在の進行方向と進行させたい方向とのずれ(角度)は、A1によって例示される。ここで、目標地点位置マーク51のP51と車両位置マーク33のP35を結ぶ線分をL1とする。目標地点位置マーク51のP51と車両位置マーク33のP31を結ぶ線分をL2とする。車両位置マーク33のP35とP31を結ぶ線分をL3とする。車両位置マーク33のP35からX軸におろした垂線とX軸との交点をP01とする。車両位置マーク33のP31からX軸に対しておろした垂線に対して目標地点位置マーク51のP51から垂線をおろしたときの交点をP02とする。P31とP02を結ぶ線分をL4とし、P51とP02とを結ぶ線分をL5とする。そして、線分L2と線分L3とのなす角をA2とする。線分L2と線分L5のなす角をA3とする。
【0037】
そして、P01のXY座標は(x2,0)である。P51のXY座標は(0,y1)である。P31のXY座標は(x1,y3)である。P35のXY座標は(x2,y2)である。P55のXY座標は(0,0)である。このように設定すると、線分L1、L2、
L3、L4、L5の夫々の長さは、以下の式(1)から(5)によって算出することができる。
【数1】
【0038】
そして、式(1)から(5)で算出した線分L1、L2、L3、L4、L5の夫々の長さを用いると、角度A2及び角度A3の夫々は、以下の式(6)、(7)によって算出することができる。
【数2】
【0039】
P55、P51、P31、P35、P01を結ぶ五角形の内角の和が540度であることを考慮すると、角度A1は、以下の式(8)、(9)によって算出することができる。
【数3】
【0040】
つづいて、自動搬送車3の進行方向を上記で算出したA1だけ変更する処理について説明する。
図10は、自動搬送車3の進行方向の変更を模式的に例示する図である。
図10に例示する状態では、自動搬送車3の進行方向D1は、所望の方向D2から角度A1度ずれているものとする。この状態で自動搬送車3の進行方向をD2に向けるには、例えば、自動搬送車3の前輪(車輪32a、32b)を互いに反対方向に回転させればよい。自動搬送車3は、例えば、自動搬送車3を後進させる方向(車輪32bに向かって反時計回りの方向)に車輪32bを回転させ、自動搬送車3を前進させる方向(車輪32aに向かって反時計回りの方向)に車輪32aを回転させることで、前輪(車輪32a、32b)を前後方向の中心を結んだ線分の中点(P35)を中心に自動搬送車3を回転させることができる。
【0041】
そして、自動搬送車3をA1度だけ回転させる移動量は、車輪32aと車輪32b夫々の幅方向の中心に接するとともに中心がP35に一致する直径W1の仮想円C1を考慮すると、仮想円C1のD1とD2によって区切られた曲線のうち、自動搬送車3の前方側の曲線Z1の距離となる。Z1は、角度A1を用いて以下の式(10)によってあらわすことができる。そして、車輪32の回転量Z2(モータ37の出力軸371の回転量)は、以下の式(11)によって算出することができる。
【数4】
【数5】
【0042】
図11は、実施形態に係る制御システム100の処理フローの一例を示す図である。以下、
図11を参照して、制御システム100の処理フローの一例について説明する。
【0043】
S1では、自動搬送車3は、記憶部391に記憶された地図情報にしたがって目的地5へ向かって走行するようにPLC39によってモータ37が駆動される。すなわち、S1の段階では、自動搬送車3は、内蔵PLC39によって制御されるオープンループ制御によって走行する。
【0044】
S2では、検出部102は、カメラ2によって撮影された停止した自動搬送車3と目的地5とを含む画像を取得する。検出部102は、取得した画像に基づいて、自動搬送車3が目的地5から第1距離の範囲内に位置することを検出する。自動搬送車3が目的地5から第1距離の範囲内に位置することを検出した検出部102は、自動搬送車3を停止させる指令を出力する。
【0045】
S3では、算出部103は、S2で取得した画像を基に、自動搬送車3の停止位置と目的地5との位置ずれを検出する。位置ずれが検出された場合(S3でYES)、処理はS4に進められる。位置ずれが検出されない場合(S3でNO)、処理は終了される。S3の処理は、「算出処理」の一例である。
【0046】
S4では、調整指令部104は、S3で検出された位置ずれを解消するように自動搬送車3を移動させる調整指令を出力する。調整指令部104による自動搬送車3の位置の調整は、例えば、
図8から
図10を参照して説明したように、自動搬送車3の回転及び前進を組み合わせて行われる。その後、処理はS3に進められる。S2で自動搬送車3を停止させる処理からS4までは、自動搬送車3はPLC1によって制御されるクローズドループ制御によって走行する。S4の処理は、「出力処理」の一例である。
【0047】
本実施形態では、S3で検出された位置ずれを解消するための調整指令がS4において出力される。そして、自動搬送車3のサーボドライバ36は調整指令にしたがったサーボ制御によってモータ37を駆動することで、自動搬送車3の位置が目的地5に向けて調整される。そのため、本実施形態によれば、高精度な制御が可能なサーボ制御によって自動搬送車3の停止位置を可及的に目的地5に一致させることができる。例えば、本実施形態によれば、予め記憶した地図情報にしたがって目的地5へと走行する自動搬送車3の停止位置が目的地5からずれていたとしても、調整指令によって自動搬送車3を目的地5へと走行させることで、自動搬送車3の停止位置を可及的に目的地5に一致させることができる。
【0048】
そして、本実施形態では、S4の調整指令後においても位置ずれが存在する場合(S4からS3のYES)、調整指令の出力が再度実行される。そのため、仮に一度の調整指令で自動搬送車3の停止位置を目的地5と一致させることができなかったとしても、自動搬送車3の停止位置を再度調整することで、自動搬送車3の停止位置を可及的に目的地5に
一致させることができる。
【0049】
本実施形態では、自動搬送車3が目的地5から第1距離の範囲内に接近したことを検出すると、PLC1は自動搬送車3を停止させてから自動搬送車3の現在位置と目的地5との位置ずれを算出する。本実施形態では、自動搬送車3を停止させることで自動搬送車3と目的地5との位置ずれを高精度に算出することができる。
【0050】
なお、
図11のS2において、検出部102は、自動搬送車3を停止させる指令を出力しなくともよい。例えば、目的地5に到着したと判定した自動搬送車3が移動を終了している場合もあるからである。また、自動搬送車3を停止させずに、
図11のS3やS4の処理が実行されてもよい。
【0051】
<処理例1>
以上の説明を踏まえて、算出部103及び調整指令部104による自動搬送車3の停止位置を調整する処理の具体例について説明する。
図12から
図16は、自動搬送車3の停止位置を調整する第1の例を例示する図である。
図12から
図16の処理は、例えば、
図11のS2及びS3で行われる処理に対応する。
図12から
図16では、目的地5の付近で停止した自動搬送車3をX軸上に移動させ、その後X軸に沿って目的地5へ向けて移動させる処理の例について説明する。
【0052】
図12は、自動搬送車3が目的地5から第1の距離の範囲で停止した状態を例示する図である。
図12の例では、自動搬送車3の進行方向とP35からX軸におろした垂線とのなす角はA1度であることを、カメラ2によって撮影された画像を基にPLC1の検出部102が検出する。調整指令部104は、その場でA1度回転させる調整指令を自動搬送車3に対して出力する。
【0053】
図13は、A1度回転させた後の自動搬送車3の状態を模式的に示す図である。カメラ2は、
図12を参照して説明した調整指令による自動搬送車3の移動後において撮影を行う。カメラ2によって撮影された画像には、
図13に例示されるように、A1度回転させたことにより、自動搬送車3の進行方向がX軸に向けられた状態が含まれる。
【0054】
算出部103は、車両位置マーク33の第2線分35のY座標値を算出する。A1度回転させたことにより、自動搬送車3の進行方向はX軸に向けられている。調整指令部104は、検出部102によって検出された第2線分35のY座標値の分だけ、X軸に向けて自動搬送車3を前進させる調整指令を自動搬送車3に対して出力する。なお、自動搬送車3の車輪32a、32bの前後方向の中心を結ぶ線上から第1線分34の位置がずれいてる場合には、そのずれ(オフセット)を考慮して、車輪32a、32bの前後方向の中心を結ぶ線がX軸に重なるように、自動搬送車3が移動されればよい。
【0055】
図14は、X軸に向けて前進させた自動搬送車3の状態を模式的に示す図である。カメラ2は、
図13を参照して説明した調整指令による移動後において撮影を行う。カメラ2によって撮影された画像には、
図13の状態から自動搬送車3をX軸に向けて第2線分35のY座標値の分だけ前進させたことにより、車両位置マーク33の第1線分34とX軸とが重なる位置に到達した状態が含まれる。
【0056】
検出部102は、自動搬送車3の第1線分34とX軸とが一致する位置に到達したことを、カメラ2によって撮影された画像を基に検出する。算出部103は、自動搬送車3の進行方向と、自動搬送車3から目標地点位置マーク51への方向との方向のずれが90度であることを算出する。調整指令部104は、車両本体31の進行方向をXY座標の原点、すなわち目標地点位置マーク51のP55に向けて車両本体31の向きを90度回転さ
せる調整指令を自動搬送車3に対して出力する。
【0057】
図15は、目標地点位置マーク51のP55に向けて90度回転させた自動搬送車3の状態を模式的に示す図である。カメラ2は、
図14を参照して説明した調整指令による回転後において撮影を行う。カメラ2によって撮影された画像には、
図14の状態からP55に向けて車両本体31の向きを90度回転させたことにより、車両位置マーク33の第2線分35とX軸とが重なる位置に到達した状態が含まれる。
【0058】
検出部102は、車両位置マーク33の第2線分35とX軸とが重なる位置に到達したことを、カメラ2によって撮影された画像を基に検出する。算出部103は、車両位置マーク33の第1線分34と目標地点位置マーク51の第1線分52との距離D3を、カメラ2によって撮影された画像を基に算出する。調整指令部104は、距離D3だけ自動搬送車3を前進させる調整指令を自動搬送車3に対して出力する。
【0059】
図16は、距離D3だけ自動搬送車3を前進させた状態を例示する図である。カメラ2は、
図15を参照して説明した調整指令による前進後において撮影を行う。カメラ2によって撮影された画像には、
図15の状態から距離D3だけ前進させたことにより、自動搬送車3が目的地5に到達した状態が含まれる。検出部102は、カメラ2によって撮影された画像を基に自動搬送車3の車両位置マーク33と、初期設定部101によって記憶部22に記憶された目標地点位置マーク51の位置とが一致していることを検出する。なお、車両位置マーク33の位置と目標地点位置マーク51の位置とのずれが検出部102によって検出された場合、当該ずれを算出部103によって算出し、算出部103によって算出されたずれを解消する調整指令が調整指令部104によって出力されてもよい。
【0060】
<処理例2>
図17から
図19は、自動搬送車3の停止位置を調整する第2の例を例示する図である。
図17から
図19は、自動搬送車3の停止位置を調整する第2の例を例示する図である。
図17から
図19では、目的地5の付近で停止した自動搬送車3をX軸と重なる位置にまで直進させ、その後X軸に沿って目的地5へ向けて移動させる処理の例について説明する。
【0061】
図17は、自動搬送車3が目的地5から第1の距離の範囲で停止した状態を模式的に示す図である。
図17の例では、自動搬送車3の進行方向とX軸との交点をP03とすると、P03のX座標が正の値(自動搬送車3の停止位置が目標地点位置マーク51よりも手前)であることを、カメラ2によって撮影された画像を基にPLC1の検出部102が検出する。算出部103は、カメラ2によって撮影された画像を基に車両位置マーク33の第1線分34からX軸までの、自動搬送車3の進行方向に沿った距離D4を算出する。
【0062】
調整指令部104は、算出部103によって算出された距離D4とオフセットM1分だけ自動搬送車3を前進させる調整指令を自動搬送車3に対して出力する。なお、P03のX座標が負の値(自動搬送車3の停止位置が目標地点位置マーク51を通過している)である場合、自動搬送車3をその場で回転させる調整指令を出力してP03のX座標が正の値となるようにすればよい。
【0063】
図18は、直進後の自動搬送車3の状態を模式的に示す図である。カメラ2は、
図17を参照して説明した調整指令による前進後において撮影を行う。カメラ2によって撮影された画像には、
図17の状態から前進させたことにより、自動搬送車3の前輪(車輪32a、32b)の前後方向の中心を結ぶ線分(車両位置マーク33の第1線分34)の中心(P35)がX軸上に到達した状態が含まれる。検出部102は、カメラ2によって撮影された画像を基に自動搬送車3の車両本体31の中心がX軸上に到達していることを検出
する。そして、算出部103は、Y軸に平行でP35を通過する直線L6と、車両位置マーク33の第2線分35とのなす角A4を算出する。調整指令部104は、その場でA4だけ自動搬送車3を回転させる調整指令を自動搬送車3に対して出力する。
【0064】
図19は、自動搬送車3を角度A4だけ車両本体31を回転させた状態を模式的に示す図である。カメラ2は、
図18を参照して説明した調整指令による回転後において撮影を行う。カメラ2によって撮影された画像には、
図18の状態から車両本体31を回転させたことにより、自動搬送車3の進行方向が目標地点位置マーク51に向けられた状態が含まれる。算出部103は、カメラ2によって撮影された画像を基に車両位置マーク33の第1線分34と目標地点位置マーク51の第1線分52との距離D5を算出する。調整指令部104は、自動搬送車3をD5だけ前進させる調整指令を自動搬送車3に対して出力する。その結果、
図16のように、自動搬送車3が目的地5に到達する。
【0065】
<処理例3>
処理例1及び2では、カメラ2によって撮影された画像を用いて検出した角度に応じた車両本体31の回転や検出した距離だけ自動搬送車3を走行させる位置制御によって自動搬送車3の目的地5への位置の調整が行われる。処理例3では、所定間隔(例えば、ミリ秒オーダーの間隔)で自動搬送車3の位置をカメラ2に撮影させ、撮影させた画像を基に速度制御で自動搬送車3を目的地5に接近させる。そして、自動搬送車3がある程度目的地5に接近すると、位置制御に遷移して自動搬送車3を目的地5に停止させる。
【0066】
図20は、速度制御で自動搬送車3の停止位置の調整を行う処理を模式的に示す図である。なお、
図20では、図面が煩雑になることを抑制するため、車輪32の図示は省略している。第1距離の範囲内で停止した自動搬送車3の現在位置は、
図20の(1)の位置であったものとする。算出部103は、所定間隔でカメラ2によって撮影された画像を基に、自動搬送車3の現在位置と目的地5との位置のずれを算出する。調整指令部104は、算出部103によって算出された位置のずれを解消するように速度制御による調整指令を自動搬送車3に出力する。
【0067】
このような処理を所定間隔で繰り返すことにより、自動搬送車3の位置を、
図20の(1)→(2)→(3)→(4)と徐々に目的地5に接近させることができる。第1距離よりも近い第2距離まで自動搬送車3が目的地5に接近すると、調整指令部104は、処理例1及び2で説明した位置制御による調整指令によって、自動搬送車3を目的地5に移動させればよい。処理例3では、自動搬送車3を停止させる頻度が処理例1及び2よりも低減できるため、自動搬送車3を目的地5に停止させるまでの時間を短縮することができる。
【0068】
以上で開示した実施形態や処理例はそれぞれ組み合わせることができる。
【0069】
<付記1>
指定された目標地点(5)を撮影範囲に含む位置に設けられたカメラ(2)と、
電動機(37)と前記電動機(37)の出力軸(371)に接続された車輪(32)とを有し、前記目標地点(5)へ向けて自動で走行する自動走行車(3)と、
前記電動機(37)の駆動指令を前記自動走行車(3)に出力する制御装置(1)と、を備え、
前記制御装置(1)は、
前記カメラ(2)によって撮影された画像に基づいて、前記目標地点(5)から第1距離の範囲に接近した前記自動走行車(3)を検出すると、前記自動走行車(3)の停止位置から前記目標地点(5)までの位置の差分を前記画像に基づいて算出する算出処理と、
前記差分を解消するように前記自動走行車(3)を走行させる前記駆動指令を前記自動
走行車(3)に出力する出力処理と、を実行する、
自動走行車の制御システム(100)。
【符号の説明】
【0070】
1・・PLC
2・・カメラ
3・・自動搬送車
4・・キャスター
5・・目的地
11・・プロセッサ
12・・記憶部
13・・通信部
51・・目標地点位置マーク
52・・第1線分
53・・第2線分
31・・車両本体
32・・車輪
32a・・車輪
32b・・車輪
32c・・車輪
32d・・車輪
33・・車両位置マーク
34・・第1線分
35・・第2線分
36・・サーボドライバ
36a・・サーボドライバ
36b・・サーボドライバ
36c・・サーボドライバ
36d・・サーボドライバ
37・・モータ
37a・・モータ
37b・・モータ
37c・・モータ
37d・・モータ
38・・通信部
39・・内蔵PLC
100・・制御システム
101・・初期設定部
102・・検出部
103・・算出部
104・・調整指令部
201・・画像
371・・出力軸
371a・・出力軸
371b・・出力軸
371c・・出力軸
371d・・出力軸
391・・記憶部
B1・・接続バス
N1・・ネットワーク