(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152073
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】サーボドライバ
(51)【国際特許分類】
H02P 27/06 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
H02P27/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062014
(22)【出願日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武田 郷
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 健治
【テーマコード(参考)】
5H505
【Fターム(参考)】
5H505CC05
5H505EE48
5H505GG01
5H505GG02
5H505GG04
5H505HB01
5H505JJ03
5H505JJ17
5H505LL24
5H505LL41
(57)【要約】
【課題】大型化を抑制するとともに、回生エネルギーの充電容量を増加可能なサーボドライバを提供する。
【解決手段】本サーボドライバは、入力された交流電圧を直流電圧に変換して出力するコンバータ部と、上記コンバータ部からの上記直流電圧を受けて、モータに駆動電流を供給するインバータ部と、を備える。上記コンバータ部は、回生状態の上記モータから入力される回生電力を蓄電する蓄電部であって、上記回生電力を蓄電したことで上記蓄電部の電圧が第1の直流電圧以上となると放電する蓄電部を含み、上記直流電圧を上記インバータ部の定格電圧よりも低い第2の直流電圧で上記インバータ部に出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された交流電圧を直流電圧に変換して出力するコンバータ部と、
前記コンバータ部からの前記直流電圧を受けて、モータに駆動電流を供給するインバータ部と、を備え、
前記コンバータ部は、
回生状態の前記モータから入力される回生電力を蓄電する蓄電部であって、前記回生電力を蓄電したことで前記蓄電部の電圧が第1の直流電圧以上となると放電する蓄電部を含み、
前記直流電圧を前記インバータ部の定格電圧よりも低い第2の直流電圧で前記インバータ部に出力する、
サーボドライバ。
【請求項2】
前記インバータ部には、上位装置から前記モータの動作に係る指令信号が入力され、
前記コンバータ部は、前記指令信号が示す前記モータの動作に応じて、前記定格電圧よりも低い範囲で前記インバータ部に出力する前記直流電圧を変動させる、
請求項1に記載のサーボドライバ。
【請求項3】
前記コンバータ部は、前記指令信号が前記モータの所定の閾値以上の加速を示す場合には、前記第2の直流電圧よりも高い第3の直流電圧を前記インバータ部に出力する、
請求項2に記載のサーボドライバ。
【請求項4】
前記コンバータ部は、前記インバータ部に出力する前記直流電圧を段階的に切り替えるスイッチ回路を含み、
前記直流電圧の変動は、前記スイッチ回路によって前記直流電圧を段階的に変動させることを含む、
請求項2または3のいずれか一項に記載のサーボドライバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーボドライバに関する。
【背景技術】
【0002】
モータの回生時に生じる回生エネルギーに対して、大きな回生エネルギーによるパワーモジュール等の回路部品を保護する技術が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-033061号公報
【特許文献2】特開平6-245563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
モータからの回生エネルギーをサーボドライバ内蔵のコンデンサに充電しておき、所望のタイミングで充電した回生エネルギーを用いてモータを駆動することで、サーボドライバやモータの消費電力低減が実現できる。より大きな回生エネルギーを充電するためには、例えば、サーボドライバにコンデンサが追加される。しかしながら、コンデンサが追加されることでサーボドライバが大型化してしまう。
【0005】
開示の技術の1つの側面は、大型化を抑制するとともに、回生エネルギーの充電容量を増加可能なサーボドライバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術の1つの側面は、次のようなサーボドライバによって例示される。本サーボドライバは、入力された交流電圧を直流電圧に変換して出力するコンバータ部と、上記コンバータ部からの上記直流電圧を受けて、モータに駆動電流を供給するインバータ部と、を備える。上記コンバータ部は、回生状態の上記モータから入力される回生電力を蓄電する蓄電部であって、上記回生電力を蓄電したことで上記蓄電部の電圧が第1の直流電圧以上となると放電する蓄電部を含み、上記直流電圧を上記インバータ部の定格電圧よりも低い第2の直流電圧で上記インバータ部に出力する。
【0007】
上記サーボドライバでは、上記コンバータ部から上記インバータ部に入力される直流電圧を上記インバータ部の定格電圧よりも低い第2の直流電圧とすることで、インバータ部に入力される電圧と上記第1の直流電圧との差を拡大する。その結果、上記サーボドライバは、追加のコンデンサ等を設けなくとも回生エネルギーの充電容量を増加させることができるため、大型化を抑制するとともに、回生エネルギーの充電容量を増加可能となる。
【0008】
上記サーボドライバは、次の特徴を備えてもよい。上記インバータ部には、上位装置から上記モータの動作に係る指令信号が入力され、上記コンバータ部は、上記指令信号が示す上記モータの動作に応じて、上記定格電圧よりも低い範囲で上記インバータ部に出力する上記直流電圧を変動させる。インバータ部は、モータの動作に応じて直流電圧が変動する。上記サーボドライバは、このような特徴を備えることで、インバータ部におけるモータの動作に応じた直流電圧の変動にコンバータ部による直流電圧の給電が対応できる。ここで、上記コンバータ部は、上記インバータ部に出力する上記直流電圧を段階的に切り替えるスイッチ回路を含み、上記直流電圧の変動は、上記スイッチ回路によって上記直流電
圧を段階的に変動させることを含むものであってもよい。
【0009】
上記サーボドライバは、次の特徴を備えてもよい。上記コンバータ部は、上記指令信号が上記モータの所定の閾値以上の加速を示す場合には、上記第2の直流電圧よりも高い第3の直流電圧を上記インバータ部に出力する。モータがある程度の加速を行う場合、モータへの給電のためにインバータ部の電圧が低下することがある。インバータ部の電圧があまり低下してしまうと、インバータ部において電圧不足となることがある。上記サーボドライバは、上記モータが所定の閾値以上の加速を行う場合にはインバータ部に出力する電圧を第2の直流電圧に高めることで、インバータ部における電圧不足を回避し得る。
【発明の効果】
【0010】
開示の技術によれば、大型化を抑制するとともに、回生エネルギーの充電容量を増加可能なサーボドライバを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係るサーボシステムの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、コンバータユニットが有する機能部の概略構成を示す図である。
【
図3】
図3は、直流電圧供給部に含まれる電圧変換回路の一例である。
【
図4】
図4は、インバータユニットが有する機能部の概略構成を示す図である。
【
図5】
図5は、コンバータユニット及びインバータユニットにおける電圧の関係を模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、サーボモータの動作速度、サーボモータの動作トルク及びインバータユニットに入力される入力電圧の変動を例示する第1の図である。
【
図7】
図7は、サーボモータの動作速度、サーボモータの動作トルク及びインバータユニットに入力される入力電圧の変動を例示する第2の図である。
【
図8】
図8は、サーボモータの動作速度、サーボモータの動作トルク及びインバータユニットに入力される入力電圧の変動を例示する第3の図である。
【
図9】
図9は、サーボモータの動作速度、サーボモータの動作トルク及びインバータユニットに入力される入力電圧の変動を例示する第4の図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
図1は、実施形態に係るサーボシステム100の一例を示す図である。サーボシステム100は、サーボドライバ1及びサーボモータ4を備える。サーボドライバ1は、コンバータユニット2及びインバータユニット3を含む。サーボシステム100では、コンバータユニット2から電力の供給を受けたインバータユニット3が、駆動電流をサーボモータ4に供給することで、サーボモータ4の駆動が制御される。
【0013】
コンバータユニット2は、例えば、商用電源から三相交流の供給を受ける。コンバータユニット2は、供給された三相交流を直流電圧に変換し、変換した直流電圧をコンバータユニット2に対して出力する。コンバータユニット2は、「コンバータ部」の一例である。
【0014】
インバータユニット3は、PLC等の上位装置からサーボモータ4の動作に係る指令信号を受ける。インバータユニット3は、コンバータユニット2から直流電圧の供給を受けてサーボモータ4に駆動電流を供給する。インバータユニット3は、サーボモータ4からフィードバック信号を受ける。インバータユニット3においては、位置制御器、速度制御器、電流制御器等を利用したフィードバック制御を行うサーボ系が形成されており、これらの信号を利用して、指令信号にしたがった動作となるようにサーボモータ4をサーボ制
御し駆動する。インバータユニット3は、「インバータ部」の一例である。
【0015】
サーボモータ4は、例えば、ACサーボモータである。サーボモータ4は、インバータユニット3から給電された駆動電流を受けて動作する。サーボモータ4は、サーボモータ4の出力軸の変位を検出し、検出した変位を示すフィードバック信号をインバータユニット3に出力する。サーボモータ4は、「モータ」の一例である。
【0016】
図2は、コンバータユニット2が有する機能部の概略構成を示す図である。コンバータユニット2は、演算装置、記憶装置等を有するコンピュータとみなすことができる。
図2に示す機能部は、コンバータユニット2において所定のプログラム等が実行されることで実現される。コンバータユニット2は、直流電圧供給部21、記憶部22及び蓄電部23を有するが、これら以外の機能部を有していても構わない。また、各機能部は、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせであってもよい。
【0017】
直流電圧供給部21は、商用電源から入力される三相交流を直流電圧に変換し、インバータユニット3の定格電圧より低い直流電圧をインバータユニット3に出力する。直流電圧供給部21は、例えば、上位装置からインバータユニット3が受けた指令信号を取得し、当該指令信号を基にサーボモータ4の加減速の程度を取得する。直流電圧供給部21は、サーボモータ4の加減速の程度に応じて、インバータユニット3に出力する直流電圧を変動させてもよい。直流電圧供給部21は、インバータユニット3から取得した指令信号を基に、所定の閾値以上の急加速がサーボモータ4で生じると判定した場合には、直流電圧供給部21からインバータユニット3に出力する電圧を、当該急加速が行われる前に予め上昇させてもよい。
【0018】
図3は、直流電圧供給部21に含まれる電圧変換回路210の一例である。電圧変換回路210は、整流回路211、平滑回路212及びスイッチ回路213がこの順に直接に接続された回路である。直流電圧供給部210に入力された三相交流は、整流回路211によって整流される。整流回路211によって整流された電流は、平滑回路212によって脈流が除去されてスイッチ回路213に入力される。直流電圧供給部21では、スイッチ回路213においてスイッチを切り替えることで、任意の電圧が段階的に切り替えられて出力される。
【0019】
図2に戻り、記憶部22は、例えば、直流電圧供給部21が直流電圧を変動させる上限及び下限等の、直流電圧供給部21の処理に用いられる各種データ等が記憶される。直流電圧を変動させる上限は、例えば、インバータユニット3の定格電圧である。また、直流電圧を変動させる下限は、例えば、インバータユニット3が電圧不足を検出する電圧である。記憶部22は、例えば、EEPROMである。
【0020】
蓄電部23は、回生状態のサーボモータ4から入力される回生エネルギーを蓄電する。回生エネルギーは、例えば、サーボモータ4が減速しているときに生じる。蓄電部23は、例えば、コンデンサである。
【0021】
図4は、インバータユニット3が有する機能部の概略構成を示す図である。インバータユニット3は、演算装置、記憶装置等を有するコンピュータとみなすことができる。
図4に示す機能部は、インバータユニット3において所定のプログラム等が実行されることで実現される。インバータユニット3は、モータ制御部31を有するが、これら以外の機能部を有していても構わない。また、各機能部は、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせであってもよい。
【0022】
モータ制御部31は、サーボモータ4に駆動電流を供給してサーボモータ4を駆動する
。モータ制御部31は、また、サーボモータ4からのフィードバック信号を受ける。モータ制御部31は、上位装置から受けた指令信号にしたがった動作となるように、フィードバック信号を用いてサーボモータ4を駆動する。
【0023】
サーボドライバ1では、コンバータユニット2からインバータユニット3に供給する直流電圧をインバータユニット3の定格電圧よりも低い電圧にすることで、コンバータユニット2の蓄電部23に蓄電可能な回生エネルギーの量を増加させる。
図5は、コンバータユニット2及びインバータユニット3における電圧の関係を模式的に示す図である。
図5では、入力電圧201、コンバータユニット202、定格電圧301、回生ON検出電圧302、電圧不足検出電圧303の各電圧が例示される。インバータユニット3の定格電圧よりも低い電圧は、「第2の直流電圧」の一例である。回生ON検出電圧302は、「第1の直流電圧」の一例である。
【0024】
入力電圧201は、商用電源からコンバータユニット2に入力される交流電圧である。図中では、交流を「AC」、直流を「DC」と記載する。
図5の例では、入力電圧201は交流200Vとなっている。変動幅下限202は、コンバータユニット2がインバータユニット3に出力する直流電圧の下限である。
図5の例では、変動幅下限202は、直流200Vとなっている。定格電圧301は、コンバータユニット2の定格電圧である。
図5の例では、定格電圧301は、直流280Vとなっている。回生ON検出電圧302は、蓄電部23への回生エネルギーの蓄電の上限を示す電圧である。回生エネルギーが蓄電部23に蓄電されたことによって蓄電部23の直流電圧が回生ON検出電圧302を超えると、蓄電部23からの放電が開始される。
図5の例では、回生ON検出電圧302は、直流380Vとなっている。電圧不足検出電圧303は、入力される直流電圧の不足をインバータユニット3が検出する電圧である。
図5の例では、電圧不足検出電圧303は、直流120Vとなっている。
【0025】
直流電圧供給部21は、商用電源から入力される三相交流の入力電圧201を直流電圧に変換してインバータユニット3に出力する。ここで、直流電圧供給部21は、インバータユニット3に出力する直流電圧を定格電圧301から変動幅下限202の範囲で変動可能とする。変動幅下限202は、インバータユニット3が電圧不足を検出する電圧不足検出電圧303よりも高い電圧に設定される。
【0026】
ここで、蓄電部23が充電可能な回生エネルギーについて説明する。蓄電部23の静電容量Cを、蓄電部23にかかる電圧Vであるものとする。なお、電圧Vは、「(回生ON検出電圧302)-(インバータユニット3への入力電圧)」であるものとする。コンデンサに蓄電可能な回生エネルギーEは、以下の式(1)で示される。
【数1】
【0027】
例えば、静電容量Cが「200μF」、インバータユニット3に定格電圧301である直流280Vが入力される場合における蓄電部23が充電可能な回生エネルギーは、式(1)により、「1.0J」となる。また、静電容量「200μF」のコンデンサを蓄電部23に1つ追加した場合における蓄電部23が充電可能な回生エネルギーを算出すると、蓄電部23の静電容量は「400μF」となることから、蓄電部23が充電可能な回生エネルギーは、式(1)により、「2.0J」となる。
【0028】
一方で、直流電圧供給部21がインバータユニット3に入力する直流電圧を直流200Vに下げた場合における蓄電部23が充電可能な回生エネルギーは、式(1)により、「
3.24J」となる。すなわち、本実施形態では、直流電圧供給部21がインバータユニット3に入力する直流電圧を下げることでインバータユニット3に入力される直流電圧と回生ON検出電圧302との差が拡大され、蓄電部23に充電可能な回生エネルギーを増大させることができることが理解できる。
【0029】
図6から
図9は、サーボモータ4の動作速度、サーボモータ4の動作トルク及びインバータユニット3に入力される入力電圧の変動を例示する図である。
図6及び
図8では、上記で説明した通り、コンバータユニット2からインバータユニット3に入力する直流電圧を、インバータユニット3の定格電圧よりも低い電圧にした場合が例示される。また、
図7及び
図9では、インバータユニット3の定格電圧がコンバータユニット2からインバータユニット3に入力された場合が例示される。以下、
図6から
図9を参照して、インバータユニット3の定格電圧よりも低い直流電圧をインバータユニット3に入力した場合と、インバータユニット3の定格電圧をインバータユニット3に入力した場合とを比較する。
【0030】
図6及び
図7では、サーボモータ4においてゆっくり加速が行われた後に急減速が行われる場合における、サーボモータ4の動作速度、サーボモータ4の動作トルク及びインバータユニット3に入力される入力電圧の変動が例示される。
【0031】
図6及び
図7の一番上のグラフは、サーボモータ4の動作速度の変化を例示し、その縦軸はサーボモータ4の動作速度である。
図6及び
図7の中央のグラフは、サーボモータ4の動作トルクの変化を例示し、その縦軸はサーボモータ4の動作トルクである。
図6及び
図7の一番下のグラフは、インバータユニット3に入力される電圧の変化を例示し、その縦軸は電圧値である。また、
図6及び
図7の何れのグラフも横軸は時間である。
【0032】
図6及び
図7においてL1が示す直線は回生ON検出電圧を示し、L2が示す直線は実施形態におけるPN電圧値を示す。すなわち、直流電圧供給部21によってインバータユニット3へ出力する直流電圧が下げられた状態における電圧値を示す。また、
図7のL3が示す直線は、直流電圧供給部21によってインバータユニット3へ出力する直流電圧が下げられていない場合のPN電圧値を示す。なお、
図7には、参考のため、
図6のPN電圧値を示すL2が示す直線も配置されている。
【0033】
図6の(A1)及び
図7の(B1)のいずれにおいても、コンバータユニット2から供給される電圧によってインバータユニット3の電圧は変化しない。
図6の(B2)及び
図7の(U)のいずれにおいてもサーボモータ4において加減速が生じていないことから、インバータユニット3の電圧は一定である。
【0034】
図6の(A3)及び
図7の(B3)においては、サーボモータ4の急減速によりサーボモータ4が回生状態となり、回生エネルギーが入力されることでインバータユニット3の電圧が上昇する。
図7の(B3)では、斜線を付した領域R1においてインバータユニット3の電圧(ひいては、蓄電部23の電圧)は回生ON検出電圧を超えており、回生ON検出電圧を超えた回生エネルギーは、例えば、抵抗器に流されて熱に変換される。
【0035】
図6の(A4)及び
図7の(B4)においては、サーボモータ4において加減速が生じていないことから、インバータユニット3の電圧は一定である。
図6の(A5)及び
図7の(B5)においては、サーボモータ4がゆっくりと加速されていることから、インバータユニット3の電圧がゆっくりと低下する。ここで、PN電圧以下になると、コンバータユニット2からDC電圧が供給される。
【0036】
図6の(A6)及び
図7の(B6)においては、サーボモータ4において加減速が生じていないことから、インバータユニット3の電圧は一定である。
図6の(A7)及び
図7
の(B7)においては、サーボモータ4の急減速によりサーボモータ4が回生状態となり、回生エネルギーが入力されることでインバータユニット3の電圧が上昇する。
図6の(A7)の斜線を付した領域R3及び
図7の(B7)の斜線を付した領域R2において蓄電部23の電圧は回生ON検出電圧を超えており、回生ON検出電圧を超えた回生エネルギーは、例えば、抵抗器に流されて熱に変換される。
【0037】
図8及び
図9では、サーボモータ4において急加速及び急減速が行われる場合における、サーボモータ4の動作速度、サーボモータ4の動作トルク及びインバータユニット3に入力される入力電圧の変動が例示される。
【0038】
図8及び
図9の一番上のグラフは、サーボモータ4の動作速度の変化を例示し、その縦軸はサーボモータ4の動作速度である。
図8及び
図9の中央のグラフは、サーボモータ4の動作トルクの変化を例示し、その縦軸はサーボモータ4の動作トルクである。
図8及び
図9の一番下のグラフは、インバータユニット3に入力される電圧の変化を例示し、その縦軸は電圧値である。また、
図8及び
図9の何れのグラフも横軸は時間である。
【0039】
図8及び
図9においてL1が示す直線は回生ON検出電圧を示し、L2が示す直線は実施形態におけるPN電圧値を示す。すなわち、直流電圧供給部21によってインバータユニット3へ出力する直流電圧が下げられた状態における電圧値を示す。また、
図9のL3が示す直線は、直流電圧供給部21によってインバータユニット3へ出力する直流電圧が下げられていない場合のPN電圧値を示す。なお、
図9には、参考のため、
図8のPN電圧値を示すL2が示す直線も配置されている。
【0040】
図8の(C1)及び
図9の(D1)では、サーボモータ4において急加速が生じていることから、電圧が低下する。ここで、
図8の(C1)では、急加速が生じることはサーボモータ4に出力する指令信号から把握できるため、コンバータユニット2の直流電圧供給部21は、電圧低下に備えて予めインバータユニット3に供給する電圧を高く設定している。高く設定された電圧は、「第3の直流電圧」の一例である。
【0041】
図8の(C2)においては、サーボモータ4において加減速がないため、電圧は一定である。
図9の(D2)では、電圧が低下したことからコンバータユニット2から電圧が供給される。そのため、
図9の(D2)では、インバータユニット3の電圧は、一度上昇してから一定となる。なお、
図8の(C2)で電圧上昇が生じないのは、
図8の(C1)の段階で、すなわちサーボモータ4が急加速する前に、予め電圧を高く設定していることによる。
【0042】
図8の(C3)及び
図9の(D3)では、サーボモータ4の急減速によりサーボモータ4が回生状態となり、回生エネルギーが入力されることでインバータユニット3の電圧が上昇する。
図9の(D3)では、電圧の急上昇の結果、領域R4において蓄電部23の電圧が回生ON検出電圧を超えており、回生ON検出電圧を超えた回生エネルギーは、例えば、抵抗器に流されて熱に変換される。
【0043】
図8の(C4)及び
図9の(D4)では、サーボモータ4において加減速がないため、インバータユニット3の電圧は一定である。
図8の(C5)及び
図9の(D5)では、サーボモータ4において急加速が生じていることから、インバータユニット3の電圧が低下する。
図8の(C6)では、サーボモータ4において加減速がないため、インバータユニット3の電圧は一定である。
図9の(D6)では、インバータユニット3の電圧が低下したことからコンバータユニット2から電圧が供給されるため、インバータユニット3の電圧は一度上昇してから一定となる。
【0044】
図8の(C6)及び
図9の(D6)では、サーボモータ4において加減速がないため、インバータユニット3の電圧は一定である。
図8の(C7)及び
図9の(D7)では、サーボモータ4の急減速によりサーボモータ4が回生状態となり、回生エネルギーが入力されることで蓄電部23の電圧が上昇する。
図9の(D7)では、蓄電部23の電圧の急上昇の結果、領域R5において回生ON検出電圧を超えており、回生ON検出電圧を超えた回生エネルギーは、例えば、抵抗器に流されて熱に変換される。
【0045】
<実施形態の作用効果>
図5を参照して説明したように、実施形態ではコンバータユニット2からインバータユニット3に供給する電圧を予め低めに設定することで、コンバータユニット2からインバータユニット3に入力される電圧と回生ON検出電圧302との差を拡大し、その結果、コンデンサ等を追加しなくとも、蓄電部23に充電可能な回生エネルギーを増大させることができる。
【0046】
図6と
図7とを比較すると理解できるように、実施形態ではコンバータユニット2からインバータユニット3に供給する電圧を予め定格電圧よりも低い電圧に設定することから、サーボモータ4の急減速によってサーボモータ4が回生状態となり、回生エネルギーが入力されることで蓄電部23の電圧が上昇しても、回生ON検出電圧302を超えにくくなる。そのため、サーボモータ4から受け取った回生エネルギーを熱に変換する頻度が低下するため、効率よく回生エネルギーを蓄電部23に充電することができる。
【0047】
また、
図8の(C1)を参照して説明したように、本実施形態では、インバータユニット3からサーボモータ4に出力する指令信号を基にサーボモータ4の急加速が生じると判定したときには、コンバータユニット2からインバータユニット3に供給する電圧を予め上昇させておく。実施形態では、コンバータユニット2からインバータユニット3に供給する電圧を定格電圧よりも低く設定しているため、そのまま電圧の低下が生じると、電圧不足検出電圧303を下回ることがある。本実施形態では、コンバータユニット2からインバータユニット3に供給する電圧を予め上昇させておくことで、電圧の低下が生じても電圧不足検出電圧303を下回ることを回避し得る。
【0048】
本実施形態では、直流電圧供給部21は電圧変換回路210を含む。直流電圧供給部21は、電圧変換回路210のスイッチ回路213のスイッチを切り替えることで、インバータユニット3に出力する直流電圧を段階的に切り替えることができる。
【0049】
<付記1>
入力された交流電圧を直流電圧に変換して出力するコンバータ部(2)と、
前記コンバータ部(2)からの前記直流電圧を受けて、モータ(4)に駆動電流を供給するインバータ部(3)と、を備え、
前記コンバータ部(2)は、
回生状態の前記モータ(4)から入力される回生電力を蓄電する蓄電部(23)であって、前記回生電力を蓄電したことで前記蓄電部(23)の電圧が第1の直流電圧以上となると放電する蓄電部(23)を含み、
前記直流電圧を前記インバータ部(3)の定格電圧よりも低い第2の直流電圧で前記インバータ部(3)に出力する、
サーボドライバ(1)。
【符号の説明】
【0050】
1・・サーボドライバ
2・・コンバータユニット
3・・インバータユニット
4・・サーボモータ
21・・直流電圧供給部
22・・記憶部
23・・蓄電部
31・・モータ制御部
100・・サーボシステム
201・・入力電圧
210・・電圧変換回路
211・・整流回路
212・・平滑回路
213・・スイッチ回路
301・・定格電圧
302・・回生ON検出電圧
303・・電圧不足検出電圧