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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152074
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】サーボシステム
(51)【国際特許分類】
   H02P 5/46 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
H02P5/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062015
(22)【出願日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 悌
【テーマコード(参考)】
5H572
【Fターム(参考)】
5H572AA14
5H572BB06
5H572EE01
5H572HC07
5H572JJ03
5H572JJ17
5H572JJ18
5H572KK05
5H572LL34
5H572LL39
(57)【要約】
【課題】検出したセンサ値を出力するオプションユニットをより柔軟に接続することができるサーボシステムを提供する。
【解決手段】本サーボシステムは、接続された電動機を制御する複数の制御ユニットと、複数の上記制御ユニットを相互に通信可能に接続するバスと、を含み、上記バスには、上記電動機の制御に係るセンサ値を複数の上記制御ユニットに対してブロードキャストで送信するオプションユニットが着脱可能に接続される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続された電動機を制御する複数の制御ユニットと、
複数の前記制御ユニットを相互に通信可能に接続するバスと、を含み、
前記バスには、前記電動機の制御に係るセンサ値を複数の前記制御ユニットに対してブロードキャストで送信するオプションユニットが着脱可能に接続される、
サーボシステム。
【請求項2】
前記バスに接続され、前記複数の制御ユニット及び前記オプションユニットの夫々に対して、互いに異なる識別番号を割り当てる管理ユニットをさらに備える、
請求項1に記載のサーボシステム。
【請求項3】
前記オプションユニットは、前記管理ユニットによって割り当てられた前記識別番号を付して前記センサ値をブロードキャストで送信し、
前記複数の制御ユニットには、取得する前記センサ値の送信元となる前記オプションユニットの前記識別番号が指定されており、
前記複数の制御ユニットは、前記指定された識別番号が付された前記センサ値を取得し、取得した前記センサ値を用いて前記電動機を制御する、
請求項2に記載のサーボシステム。
【請求項4】
前記管理ユニットは、前記バスを介して第1信号をブロードキャスト送信し、
前記複数の制御ユニットの夫々は、前記第1信号を受信すると、自ユニットに割り当てられた識別番号を基に決定された遅延時間が経過してから、前記第1信号に対する応答を前記バスを介してブロードキャストで送信し、
前記オプションユニットは、前記第1信号を受信すると、前記遅延時間が経過してから、前記第1信号に対する応答として前記センサ値を前記バスを介してブロードキャスト送信する、
請求項2に記載のサーボシステム。
【請求項5】
前記管理ユニットは、前記複数の制御ユニット及び前記オプションユニットのうち、前記第1信号に対する応答がないユニットが前記バスから取り外されたと認識する、
請求項4に記載のサーボシステム。
【請求項6】
前記管理ユニットは、前記複数の制御ユニット及び前記オプションユニットに対して優先度を設定し、
前記複数の制御ユニット及び前記オプションユニットの夫々は、設定された前記優先度に応じた頻度で前記第1信号に対する前記応答を送信する、
請求項4に記載のサーボシステム。
【請求項7】
前記複数の制御ユニットと前記オプションユニットは、前記複数の制御ユニットに対して前記電動機を駆動させる指令を出力する上位装置と、前記バスとは異なる配線で接続され、
前記複数の制御ユニットは、前記配線を介して前記上位装置から受ける指令にしたがって前記電動機を駆動し、
前記オプションユニットは、前記センサ値を前記配線を介して前記上位装置にも送信する、
請求項1から6のいずれか一項に記載のサーボシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーボシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
サーボシステムにおけるサーボ制御では、モータからのフィードバック信号に加えて、フルクローズドセンサや圧力センサ等の各種センサの検出値が利用される(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-90825号公報
【特許文献2】特開2010-67036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、交流電力を直流電力に出力するコンバータユニットに対し、モータを制御するインバータユニットを複数接続する、いわゆるビルディングブロック形式のサーボシステムも利用されている。このようなビルディングブロック形式のサーボシステムに対して、各種センサに例示されるオプションユニットを接続することも考えられる。しかしながら、オプションユニットとインバータユニットとは1対1で接続されることから、オプションユニットの配置において柔軟性に欠けていた。
【0005】
開示の技術の1つの側面は、検出したセンサ値を出力するオプションユニットをより柔軟に接続することができるサーボシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術の1つの側面は、次のようなサーボシステムによって例示される。本サーボシステムは、接続された電動機を制御する複数の制御ユニットと、複数の上記制御ユニットを相互に通信可能に接続するバスと、を含み、上記バスには、上記電動機の制御に係るセンサ値を複数の上記制御ユニットに対してブロードキャストで送信するオプションユニットが着脱可能に接続される。
【0007】
上記サーボシステムでは、制御ユニット及びオプションユニットはいずれもバスに接続される。そして、オプションユニットは、上記バスを介してブロードキャストでセンサ値を出力する。そのため、オプションユニットは、バス上の任意に位置に配置されても複数の制御ユニットの何れに対してもセンサ値を送信することができる。そのため、上記サーボシステムによれば、オプションユニットをサーボシステムに対してより柔軟に接続することができる。
【0008】
上記サーボシステムは、次の特徴を備えてもよい。上記バスに接続され、上記複数の制御ユニット及び上記オプションユニットの夫々に対して、互いに異なる識別番号を割り当てる管理ユニットをさらに備える。上記サーボシステムによれば、バスに接続された各ユニットを一意に識別することができる。
【0009】
上記サーボシステムは、次の特徴を備えてもよい。上記オプションユニットは、上記管理ユニットによって割り当てられた上記識別番号を付して上記センサ値をブロードキャストで送信し、上記複数の制御ユニットには、取得する上記センサ値の送信元となる上記オ
プションユニットの上記識別番号が指定されており、上記複数の制御ユニットは、上記指定された識別番号が付された上記センサ値を取得し、取得した上記センサ値を用いて上記電動機を制御する。上記サーボシステムによれば、オプションユニットに識別番号が付されるので、制御ユニットは、当該識別番号を用いて所望のオプションユニットが送信元であるセンサ値を用いて電動機を制御することができる。
【0010】
上記サーボシステムは、次の特徴を備えてもよい。上記管理ユニットは、上記バスを介して第1信号をブロードキャストで送信し、上記複数の制御ユニットの夫々は、上記第1信号を受信すると、自ユニットに割り当てられた識別番号を基に決定された遅延時間が経過してから、上記第1信号に対する応答を上記バスを介してブロードキャストで送信し、上記オプションユニットは、上記第1信号を受信すると、上記識別番号を基に決定された遅延時間が経過してから、上記第1信号に対する応答として上記センサ値を上記バスを介してブロードキャスト送信する。各ユニットに対して互いに異なるように割り当てられた識別番号を基に遅延時間が決定されるので、複数のユニットからバスに対して同時に上記応答が出力されることが抑制される。ひいては、バス上でのコリジョンの発生を抑制することができるため、バスを利用した通信の通信効率低下が抑制される。
【0011】
上記サーボシステムは、次の特徴を備えてもよい。上記管理ユニットは、上記複数の制御ユニット及び上記オプションユニットのうち、上記第1信号に対する応答がないユニットが上記バスから取り外されたと認識する。上記サーボシステムは、このような特徴を備えることで、ユーザによる追加の作業無しに、ユニットのバスからの取り外しを認識することができる。
【0012】
上記サーボシステムは、次の特徴を備えてもよい。上記管理ユニットは、上記複数の制御ユニット及び上記オプションユニットに対して優先度を設定し、上記複数の制御ユニット及び上記オプションユニットの夫々は、設定された上記優先度に応じた頻度で上記第1信号に対する上記応答を送信する。上記サーボシステムは、このような特徴を備えることで、高い優先度が設定されたユニットに対して優先的にバスを用いた通信を実行させることができる。
【0013】
上記サーボシステムは、次の特徴を備えてもよい。上記複数の制御ユニットと上記オプションユニットは、上記複数の制御ユニットに対して上記電動機を駆動させる指令を出力する上位装置と、上記バスとは異なる配線で接続され、上記複数の制御ユニットは、上記配線を介して上記上位装置から受ける指令にしたがって上記電動機を駆動し、上記オプションユニットは、上記センサ値を上記配線を介して上記上位装置にも送信する。上記サーボシステムは、このような特徴を備えることで、センサ値の変動を含むサーボシステムの監視を上記上位装置に行わせることができる。
【発明の効果】
【0014】
開示の技術によれば、センサを含むオプションユニットをより柔軟に接続することができるサーボシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施形態に係るサーボシステムの一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係るサーボシステムにおけるコンバータユニット、インバータユニット及びオプションユニットの接続を模式的に示す図である。
図3図3は、実施形態に係るサーボシステムにおいて、コンバータユニット、インバータユニット及びオプションユニットが内部バスで接続される状態を例示する図である。
図4図4は、コンバータユニットの制御回路が有する機能部の概略構成を示す図である。
図5図5は、インバータユニットの制御回路が有する機能部の概略構成を示す図である。
図6図6は、オプションユニットのセンサ回路が有する機能部の概略構成を示す図である。
図7図7は、サーボシステムにおいて、新たに内部バスに接続されたユニットを検出する処理フローの一例を示す図である。
図8図8は、サーボシステムにおいて、内部バスに接続されたユニットの取り外しを検出する処理フローの一例を示す図である。
図9図9は、サーボシステムにおける内部バスを利用した通信シーケンスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態>
以下、図面を参照して実施形態に係るサーボシステムについて説明する。図1は、実施形態に係るサーボシステム100の一例を示す図である。サーボシステム100は、コンバータユニット1、インバータユニット2a、インバータユニット2b及びオプションユニット4を含む。インバータユニット2aにはサーボモータ3aが接続され、インバータユニット2bにはサーボモータ3bが接続される。インバータユニット2a、インバータユニット2bを区別しない場合、インバータユニット2とも称する。また、サーボモータ3a、サーボモータ3bを区別しない場合、サーボモータ3とも称する。サーボシステム100には、産業用ネットワークN1によってPLC5が接続される。
【0017】
PLC5は、サーボシステム100のコンバータユニット1及びインバータユニット2に対する指令信号を産業用ネットワークN1を介して出力する。PLC5は、予め準備されたプログラムに従う処理を実行することによって、例えば、サーボシステム100の監視装置として機能する。産業用ネットワークN1は、例えば、TCP/IPネットワークである。PLC5は、「上位装置」の一例である。産業用ネットワークN1は、「配線」の一例である。
【0018】
サーボシステム100は、コンバータユニット1及び複数のインバータユニット2を含むビルディングブロック形式のサーボシステムである。サーボシステム100では、1台のコンバータユニット1に対して複数のインバータユニット2を接続することや、コンバータユニット1に接続したインバータユニット2をコンバータユニット1から切り離すことができる。図1では、サーボシステム100は3台のインバータユニット2を含むが、インバータユニット2の数は2台以下でもよいし、4台以上であってもよい。
【0019】
コンバータユニット1及びインバータユニット2は、産業用ネットワークN1を介してPLC5から指令信号を受ける。コンバータユニット1は、図示しない電源から受けた電流をインバータユニット2に分配する。コンバータユニット1は、「管理ユニット」の一例である。
【0020】
インバータユニット2は、コンバータユニット1から電流の供給を受けてサーボモータ3に駆動電流を供給する。インバータユニット2は、サーボモータ3からフィードバック信号を受ける。インバータユニット2においては、それぞれ、位置制御器、速度制御器、電流制御器等を利用したフィードバック制御を行うサーボ系が形成されており、これらの信号を利用して、サーボモータ3をサーボ制御し駆動する。また、インバータユニット2は、オプションユニット4から提供されるセンサ値をサーボモータ3のサーボ制御に利用する。インバータユニット2は、「制御ユニット」の一例である。
【0021】
サーボモータ3は、例えば、ACサーボモータである。サーボモータ3は、インバータユニット2から給電された駆動電流を受けて動作する。サーボモータ3は、サーボモータ3の出力軸の変位を検出し、検出した変位を示すフィードバック信号をインバータユニット2に出力する。サーボモータ3は、「電動機」の一例である。
【0022】
オプションユニット4は、温度センサ、圧力センサ、フルクローズドセンサ等によって例示されるセンサを有するユニットである。オプションユニット4は、センサによって検出したセンサ値をインバータユニット2に提供する。オプションユニット4は、「オプションユニット」の一例である。
【0023】
図2は、実施形態に係るサーボシステム100におけるコンバータユニット1、インバータユニット2及びオプションユニット4の接続を模式的に示す図である。コンバータユニット1の側面には、メス型の他ユニット接続ポート113が設けられる。インバータユニット2のコンバータユニット1側(上流側)の側面にはオス型の上流側接続端子221が設けられる。また、インバータユニット2のコンバータユニット1側とは反対側(下流側)の側面には、メス型の下流側接続ポート222が設けられる。オプションユニット4の上流側の側面には上流側接続端子401が設けられる。また、オプションユニット4の下流側の側面には下流側接続ポート402が設けられる。
【0024】
コンバータユニット1の他ユニット接続ポート113とインバータユニット2aの上流側接続端子221とが接続され、インバータユニット2aの下流側接続ポート222とインバータユニット2bの上流側接続端子221とが接続される。そして、インバータユニット2bの下流側接続ポート222にはオプションユニット4の上流側接続端子401が接続される。そして、ビルディングブロック形式のサーボシステム100では、このように各ユニットの接続端子及び接続ポートが接続されることで、コンバータユニット1、インバータユニット2及びオプションユニット4が互いに着脱可能に接続される。
【0025】
図3は、実施形態に係るサーボシステム100において、コンバータユニット1、インバータユニット2及びオプションユニット4が内部バスB1で接続される状態を例示する図である。コンバータユニット1では、インバータユニット2への電流の供給やインバータユニット2との情報の授受を制御する制御回路101が内部バスB1に接続される。インバータユニット2aでは、サーボモータ3aを制御する制御回路201aが内部バスB1に接続される。インバータユニット2bでは、サーボモータ3bを制御する制御回路201bが内部バスB1に接続される。制御回路201a、制御回路201bを区別しない場合、制御回路201とも称する。そして、オプションユニット4では、センサによって検出されたセンサ値を出力するセンサ回路400が内部バスB1に接続される。内部バスB1は、「バス」の一例である。
【0026】
内部バスB1は、マルチドロップ型でユニット間を接続するバスである。内部バスB1に接続されたあるユニットが出力したデータは、内部バスB1に接続された他の全てのユニットが受信可能となる。すなわち、内部バスB1に接続されたユニットは、内部バスB1に対してブロードキャストでデータを出力する。内部バスB1としては、例えば、RS-485、CANバス等を挙げることができる。
【0027】
サーボシステム100では、図2に例示するようにコンバータユニット1、インバータユニット2及びオプションユニット4が接続されることで、コンバータユニット1、インバータユニット2及びオプションユニット4の内部バスB1が接続される。制御回路101は、内部バスB1が接続されることで、制御回路201への電流の供給や、制御回路201との情報の授受が可能となる。また、センサ回路400は、内部バスB1が接続されることで、制御回路201に対してセンサによって検出されたセンサ値を出力できる。上
記の通り、内部バスB1がマルチドロップ型のバスであることから、センサ回路400は内部バスB1に対してブロードキャストでセンサ値を出力する。
【0028】
<コンバータユニット1の機能部>
図4は、コンバータユニット1の制御回路101が有する機能部の概略構成を示す図である。制御回路101は、演算装置、記憶装置等を有するコンピュータとみなすことができる。図4に示す機能部は、制御回路101において所定のプログラム等が実行されることで実現される。制御回路101は、通信制御部11、給電部12、管理部13及び記憶部14を有するが、これら以外の機能部を有していても構わない。
【0029】
通信制御部11は、内部バスB1を利用した通信を行うインバータユニット2及びオプションユニット4に対して、通信開始の契機とする同期信号を出力する。給電部12は、外部の電源から供給された交流電流を直流電流に変換してインバータユニット2に供給する。同期信号は、「第1信号」の一例である。
【0030】
管理部13は、インバータユニット2やオプションユニット4からの同期信号に対する応答を基に、内部バスB1に新たに接続されたユニットを検出する。管理部13は、検出した新たなユニットに対して、内部バスB1に接続されたユニット間でユニークなIDを割り当てる。管理部13は、例えば、上流側に接続されたユニット程若い番号が割り当てられるように、IDの割り当てを行う。割り当てられたIDは、例えば、応答に含まれる当該応答を送信したユニットのシリアル番号等に対応付けて記憶部14に記憶される。また、管理部13は、ID割り当て済みのユニットから同期信号に対する応答がなかった場合には、当該ユニットのサーボシステム100からの取り外しを検出する。取り外しが検出されたユニットに割り当てられていたIDは、例えば、記憶部14から削除される。IDは、「識別番号」の一例である。
【0031】
記憶部14は、管理部13によってインバータユニット2やオプションユニット4に割り当てられたIDや、制御回路101で行われる処理に関連する情報を記憶する。記憶部14は、例えば、EEPROMである。
【0032】
<インバータユニット2の機能部>
図5は、インバータユニット2の制御回路201が有する機能部の概略構成を示す図である。制御回路201は、演算装置、記憶装置等を有するコンピュータとみなすことができる。図5に示す機能部は、制御回路201において所定のプログラム等が実行されることで実現される。制御回路201は、制御部21、取得部22、通信部23及び記憶部24を有するが、これら以外の機能部を有していても構わない。
【0033】
制御部21は、PLC5からの指令にしたがって、サーボモータ3をサーボ制御する。制御部21によるサーボ制御では、例えば、取得部22によって取得されたセンサ値が利用されてもよい。
【0034】
取得部22は、オプションユニット4から内部バスB1を介してブロードキャストで出力されるセンサ値を取得する。取得部22は、例えば、ユーザ等によって指定されたオプションユニット4のIDを記憶部24に記憶しておき、記憶部24に記憶されたIDのオプションユニット4から送信されたセンサ値を取得してもよい。
【0035】
通信部23は、コンバータユニット1からの同期信号に応じた応答信号を内部バスB1を介してコンバータユニット1に対して出力する。応答信号には、例えば、自ユニットのシリアル番号を含めてもよい。通信部23は、インバータユニット2に割り当てられたIDに基づいて応答信号の送信タイミングを決定してもよい。通信部23は、例えば、同期
信号を受信してから、自ユニットに割り当てられたIDと所定の応答時間とを乗じた時間の経過後に、応答信号を送信してもよい。所定の応答時間は、例えば、予め記憶部24に記憶されればよい。
【0036】
記憶部24は、制御回路201で行われる処理に関連する情報を記憶する。記憶部24は、例えば、EEPROM等の不揮発性の記憶部である。
【0037】
<オプションユニット4の機能部>
図6は、オプションユニット4のセンサ回路400が有する機能部の概略構成を示す図である。センサ回路400は、演算装置、記憶装置等を有するコンピュータとみなすことができる。図6に示す機能部は、センサ回路400において所定のプログラム等が実行されることで実現される。センサ回路400は、計測部41、通信部42及び記憶部43を有するが、これら以外の機能部を有していても構わない。
【0038】
計測部41は、オプションユニット4が有するセンサによる計測を行う。例えば、オプションユニット4が有するセンサが温度センサである場合には、計測部41は温度の計測を行う。また、例えば、オプションユニット4が有するセンサが圧力センサである場合には、計測部41は圧力の計測を行う。オプションユニット4は複数のセンサを有してもよい。オプションユニット4が複数のセンサを有する場合、計測部41は夫々のセンサによる計測を行えばよい。
【0039】
通信部42は、コンバータユニット1からの同期信号に応じて、計測部41によって計測されたセンサ値を内部バスB1を介して送信する。内部バスB1を介した送信は、上記の通り、ブロードキャストで行われる。センサ値には、例えば、オプションユニット4のシリアル番号を付してもよい。
【0040】
通信部42は、自ユニットに割り当てられたIDに基づいて応答信号の送信タイミングを決定してもよい。通信部42は、例えば、同期信号を受信してから、自ユニットに割り当てられたIDと所定の応答時間とを乗じた時間の経過後に、センサ値を内部バスB1に送信してもよい。所定の応答時間は、例えば、予め記憶部43に記憶されればよい。
【0041】
通信部42は、さらに、産業用ネットワークN1を介してセンサ値をPLC5に対して送信してもよい。産業用ネットワークN1を介した送信は、宛先装置であるPLC5を指定して行われてもよい。
【0042】
記憶部43は、センサ回路400で行われる処理に関連する情報を記憶する。記憶部43は、例えば、EEPROM等の不揮発性の記憶部である。
【0043】
図7は、サーボシステム100において、新たに内部バスB1に接続されたユニットを検出する処理フローの一例を示す図である。以下、図7を参照して、新たに内部バスB1に接続されたユニットを検出する処理フローの一例について説明する。なお、コンバータユニット1の通信制御部11は、所定間隔で同期信号を内部バスB1に対して出力しているものとする。
【0044】
S1では、コンバータユニット1の管理部13は、通信制御部11によって所定間隔で出力される同期信号に対する応答を受信したか否かを判定する。受信した場合(S1でYES)、処理はS2に進められる。受信しない場合(S2でYES)、処理はS1に進められる。
【0045】
S2では、管理部13は、S1で受信した応答がID未割当のユニットからの応答であ
るか否かを判定する。管理部13は、例えば、S1で受信した応答に含まれるシリアル番号が記憶部14に記憶されているか否かに基づいて、ID未割当のユニットからの応答であるか否かを判定する。ID未割当のユニットからの応答である場合(S2でYES)、処理はS3に進められる。ID未割当のユニットからの応答ではない場合(S2でNO)、処理はS1に進められる。
【0046】
S3では、管理部13は、コンバータユニット1で受信した応答の送信元ユニットに対してIDを割り当てる。管理部13は、例えば、割り当てたIDとS1で受信した応答に含まれるシリアル番号とを対応付けて記憶部14に記憶させる。
【0047】
図8は、サーボシステム100において、内部バスB1に接続されたユニットの取り外しを検出する処理フローの一例を示す図である。以下、図8を参照して、サーボシステム100において、内部バスB1に接続されたユニットの取り外しを検出する処理フローの一例について説明する。なお、コンバータユニット1の通信制御部11は、所定間隔で同期信号を内部バスB1に対して出力しているものとする。
【0048】
S11では、管理部13は、ID割り当て済みの全ユニットから、同期信号に対する応答が確認されたか否かを判定する。ID割り当て済みの全ユニットからの応答が確認された場合(S11でYES)、S11の処理が繰り返される。ID割り当て済みのユニットのうち少なくとも一部のユニットの応答が確認されなかった場合(S11でNO)、処理はS12に進められる。
【0049】
S12では、管理部13は、S11で応答が確認されなかったユニットのIDを記憶部14から削除する。
【0050】
図9は、サーボシステム100における内部バスB1を利用した通信シーケンスの一例を示す図である。図9では、各ユニットに対してIDが割り当てられた状態であるものとする。以下、図9を参照して、サーボシステム100における内部バスB1を利用した通信シーケンスの一例について説明する。なお、図9の例では、インバータユニット2のうち、インバータユニット2aがオプションユニット4からのセンサ値を利用するものとする。
【0051】
図9では、上から下に向けて時間が経過するものとする。図9では、コンバータユニット1は「CONV」、インバータユニット2aは「INV1」、インバータユニット2bは「INV2」、オプションユニット4は「OPT」と記載される。また、図9において、実線の矢印は実際の信号の送信を例示する。そして、実線の矢印の先が「BROADCAST」であるものは、ブロードキャストで送信された信号を例示する。また、ブロードキャストから延びる点線の矢印は、ブロードキャストで送信された信号の受信先を例示する。
【0052】
T1では、コンバータユニット1は、内部バスB1に対してブロードキャストで同期信号を送信する。T1においてブロードキャストで送信された同期信号は、V1、V2、V3で例示するように、インバータユニット2a、インバータユニット2b、オプションユニット4に受信される。
【0053】
T2では、インバータユニット2aは、T1で送信された同期信号に対する応答を内部バスB1に対してブロードキャストで送信する。T2においてブロードキャストで送信された応答は、V4で例示するように、コンバータユニット1によって受信される。
【0054】
T3では、インバータユニット2bは、T1で送信された同期信号に対する応答を内部
バスB1に対してブロードキャストで送信する。T3においてブロードキャストで送信された応答は、V5で例示するように、コンバータユニット1によって受信される。
【0055】
T4では、オプションユニット4は、T1で送信された同期信号に対する応答としてセンサ値を内部バスB1に対してブロードキャストで送信する。T4においてブロードキャストで送信されたセンサ値は、V6及びV7で例示するように、コンバータユニット1及びインバータユニット2aによって受信される。
【0056】
<実施形態の作用効果>
本実施形態では、インバータユニット2及びオプションユニット4はいずれも内部バスB1に接続される。そして、内部バスB1に出力されるデータは、ブロードキャストで送信される。そのため、オプションユニット4は、任意の位置に配置されてもインバータユニット2a、2bの何れに対してもセンサ値を送信することができる。そのため、本実施形態によれば、センサを含むオプションユニット4をサーボシステム100に対してより柔軟に接続することができる。
【0057】
本実施形態では、コンバータユニット1は、インバータユニット2及びオプションユニット4の夫々に対して互いに異なるIDを割り当てる。そのため、本実施形態によれば、各ユニットを一意に識別することができる。また、本実施形態によれば、オプションユニット4から送信されるセンサ値にオプションユニット4のIDが付されることで、インバータユニット2は所望のオプションユニット4が送信元であるセンサ値を用いてサーボモータ3を制御することができる。
【0058】
本実施形態では、コンバータユニット1からの同期信号を受信してから、インバータユニット2及びオプションユニット4は割り当てられたIDに応じた遅延時間だけ遅延させてから応答を出力する。このような構成により、複数のユニットから同時に内部バスB1に対して応答が出力されることが抑制される。ひいては、内部バスB1上でのコリジョンの発生を抑制することができるため、内部バスB1を利用した通信の通信効率低下が抑制される。
【0059】
本実施形態では、コンバータユニット1は、ID割り当て済みにユニットのうち、同期信号に応答しないユニットが存在する場合、サーボシステム100(または内部バスB1)から当該ユニットの取り外しを検出する。また、コンバータユニット1は、ID未割当のユニットから同期信号に対する応答を受信すると、サーボシステム100への当該ユニットの接続を検出する。すなわち、本実施形態によれば、ユーザによる追加の作業が行われなくとも、ユニットの接続と取り外しを容易に検出することができる。
【0060】
本実施形態では、オプションユニット4は産業用ネットワークN1によってPLC5と接続される。そして、オプションユニット4は、産業用ネットワークN1を介して、センサ値をPLC5に出力することができる。そのため、本実施形態によれば、例えば、センサ値の変動を含むサーボシステム100の監視をPLC5に実行させることができる。
【0061】
<変形例>
コンバータユニット1は、インバータユニット2及びオプションユニット4に優先度を設定してもよい。そして、インバータユニット2及びオプションユニット4は、設定された優先度に応じて、同期信号に対する応答頻度を決定してもよい。例えば、高い優先度が設定されたユニットは同期信号を受信する度に応答を送信すればよい。また、例えば、低い優先度が設定されたユニットは、同期信号を2回受信すると応答を1回送信すればよい。このように優先度に応じて同期信号に対する応答の頻度が設定されることで、高頻度での応答の送信が好ましいユニットに対して有効に内部バスB1を利用させることができる
【0062】
<付記1>
接続された電動機(3)を制御する複数の制御ユニット(2)と、
複数の前記制御ユニット(2)を相互に通信可能に接続するバス(B1)と、を含み、
前記バス(B1)には、前記電動機(3)の制御に係るセンサ値を複数の前記制御ユニット(2)に対してブロードキャストで送信するオプションユニット(4)が着脱可能に接続される、
サーボシステム(100)。
【符号の説明】
【0063】
1・・コンバータユニット
2・・インバータユニット
2a・・インバータユニット
2b・・インバータユニット
3・・サーボモータ
3a・・サーボモータ
3b・・サーボモータ
4・・オプションユニット
5・・PLC
11・・通信制御部
12・・給電部
13・・管理部
14・・記憶部
21・・制御部
22・・取得部
23・・通信部
24・・記憶部
41・・計測部
42・・通信部
43・・記憶部
100・・サーボシステム
101・・制御回路
113・・他ユニット接続ポート
201・・制御回路
201a・・制御回路
201b・・制御回路
221・・上流側接続端子
222・・下流側接続ポート
400・・センサ回路
401・・上流側接続端子
402・・下流側接続ポート
B1・・内部バス
N1・・産業用ネットワーク
図1
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図9