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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152085
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】情報管理方法及び情報管理システム
(51)【国際特許分類】
   H04L 45/247 20220101AFI20231005BHJP
   H04L 51/226 20220101ALI20231005BHJP
【FI】
H04L45/247
H04L51/226
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062026
(22)【出願日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐事 敬太
【テーマコード(参考)】
5K030
【Fターム(参考)】
5K030GA12
5K030HA08
5K030LB08
5K030MA04
5K030MB01
5K030MD02
(57)【要約】
【課題】通信障害や通信制限がある場合にも、送りたいデータを送りたいタイミングで送信できるようにする。
【解決手段】それぞれ送信用データを生成する複数の情報処理装置と、前記情報処理装置のそれぞれに接続された通信端末である対応通信端末と、を備えた情報管理システムにおいて、前記送信用データを、いずれの前記対応通信端末によって送信可能か否かを判定する情報管理方法であって、前記送信用データに、送信に関する優先度を設定するステップと、前記送信用データに設定された前記優先度と、該送信用データに接続された前記対応通信端末の通信状態とに基づいて、該対応通信端末によって送信可能か否かを判定するステップと、前記対応通信端末によって前記送信用データを送信できないと判定された場合に、他の前記対応通信端末によって送信可能か否かを判定するステップとを、を含む。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ送信用データを生成する複数の情報処理装置と、
前記情報処理装置のそれぞれに接続された通信端末である対応通信端末と、
を備えた情報管理システムにおいて、前記送信用データを、いずれの前記対応通信端末によって送信可能か否かを判定する情報管理方法であって、
前記送信用データに、送信に関する優先度を設定するステップと、
前記送信用データに設定された前記優先度と、該送信用データに接続された前記対応通信端末の通信状態とに基づいて、該対応通信端末によって送信可能か否かを判定するステップと、
前記対応通信端末によって前記送信用データを送信できないと判定された場合に、他の前記対応通信端末によって送信可能か否かを判定するステップとを、
を含むことを特徴とする情報管理方法。
【請求項2】
前記優先度は、前記送信用データの所定期間内の送信の要否、及び、該送信用データを送信できない場合の再送信の要否の少なくともいずれか一方に基づいて設定されることを特徴とする請求項1に記載の情報管理方法。
【請求項3】
前記情報処理装置は、所定のデータ生成態様であるデータ生成モードに従った前記送信用データを生成する情報処理装置であって、
他の前記対応通信端末のいずれによっても送信できないと判定された場合に、前記データ生成モードを変更するステップを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報管理方法。
【請求項4】
前記データ生成モードは、前記送信用データの大きさ及び所定期間内の生成回数の少なくともいずれか一方であることを特徴とする請求項3に記載の情報管理方法。
【請求項5】
複数の情報処理装置と、
前記情報処理装置のそれぞれに接続された通信端末である対応通信端末と、
前記情報処理装置において生成された送信用データを、いずれの前記対応通信端末によって送信するかを選択する情報管理装置と、
を含む情報管理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記送信用データを生成するデータ生成部と、
前記送信用データを記憶する生成データ記憶部と、
前記送信用データに優先度を設定する優先度設定部と、
前記通信端末の通信状態を監視する通信状態監視部と、
前記通信状態と、前記優先度と、前記送信用データの属性情報に基づいて、該送信用データの前記対応通信端末による送信の可否を判定する送信可否判定部と、
送信可と判定された前記送信用データを、前記通信端末によって送信させる通信処理部と、
送信不可と判定された前記送信用データを、該送信用データの前記優先度及び前記属性情報とともに前記情報管理装置に送信する経路制御部と、
前記通信状態監視部によって監視される前記通信状態に関する情報を含む通信状態情報を前記情報管理装置に送信する通信状態通知部と、
を備え、
前記情報管理装置は、
前記通信状態通知部から送信される前記通信状態情報を取得する通信状態取得部と、
前記通信状態情報に基づいてすべての前記対応通信端末の通信状態を監視するシステム通信状態監視部と、
前記経路制御部から送信される前記送信用データ、前記優先度及び前記属性情報を取得するシステム送信用データ取得部と、
前記優先度と、前記属性情報と、前記通信状態情報と、に基づいて、いずれかの前記対応通信端末によって送信可能か否かを判定するシステム送信可否判定部と、
送信可能と判定された前記対応通信端末がある場合には、該対応通信端末が接続された前記情報処理装置に、前記送信用データ、前記優先度及び前記属性情報を送信することを特徴とするシステム経路制御部と、
を備えることを特徴とする情報管理システム。
【請求項6】
前記優先度は、前記送信用データの所定期間内の送信の要否、及び、該送信用データを送信できない場合の再送信の要否の少なくともいずれか一方に基づいて設定されることを特徴とする請求項5に記載の情報管理システム。
【請求項7】
前記情報処理装置は、所定のデータ生成態様であるデータ生成モードに従った前記送信用データを生成する情報処理装置であって、
前記情報管理装置は、
送信可能と判定された前記対応通信端末がない場合には、前記データ生成モードの変更を、前記データ生成部に指示するモード変更指示部を備えることを特徴とする請求項5又は6に記載の情報管理システム。
【請求項8】
前記データ生成モードは、前記送信用データの大きさ及び所定期間内の生成回数の少なくともいずれか一方であることを特徴とする請求項7に記載の情報管理システム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報管理方法及び情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遠隔地の処理装置に備えられた記憶媒体のデータを受信する際に、有線/無線通信を使用する必要があるが、回線の安定性、データサイズ制限、送信回数制限等の要因によって、処理装置からのデータ受信が不可能になったり、遅延したりする場合があった。
【0003】
従来、通信障害時に別の経路を選択する技術(特許文献1参照)や、個々の通信端末がフレキシブルに経路を探索する技術(特許文献2参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-247378号公報
【特許文献2】特開2001-34313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、通信制限による送信不能や送信遅延に対応できるものではなかった。
【0006】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、通信障害や通信制限がある場合にも、送りたいデータを送りたいタイミングで送信できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための本発明は、
それぞれ送信用データを生成する複数の情報処理装置と、
前記情報処理装置のそれぞれに接続された通信端末である対応通信端末と、
を備えた情報管理システムにおいて、前記送信用データを、いずれの前記対応通信端末によって送信可能か否かを判定する情報管理方法であって、
前記送信用データに、送信に関する優先度を設定するステップと、
前記送信用データに設定された前記優先度と、該送信用データに接続された前記対応通信端末の通信状態とに基づいて、該対応通信端末によって送信可能か否かを判定するステップと、
前記対応通信端末によって前記送信用データを送信できないと判定された場合に、他の前記対応通信端末によって送信可能か否かを判定するステップとを、
を含むことを特徴とする。
【0008】
情報処理装置において生成される送信用データが異なる価値を有する場合があり、その価値に応じて、送信用データに送信に関する優先度を設定し、その優先度も考慮して、送信用データの送信の可否を判定することにより、情報処理装置に接続された対応通信端末から送信できない場合でも、送信用データの優先度を考慮して、情報管理システム内の他の通信端末によって送信の可否が判定されるので、送りたいデータを送りたいタイミングで送信できる。
【0009】
また、本発明において、
前記優先度は、前記送信用データの所定期間内の送信の要否、及び、該送信用データを
送信できない場合の再送信の要否の少なくともいずれか一方に基づいて設定されるようにしてもよい。
【0010】
送信用データの価値は、例えば、送信用データの所定期間内の送信の要否や送信できない場合の再送信の要否に反映されるので、送信用データの所定期間内の送信の要否、及び、送信用データを送信できない場合の再送信の要否の少なくともいずれか一方に基づいて優先度を設定することにより、送信用データの価値に応じた送信が可能となる。
【0011】
また、本発明において、
前記情報処理装置は、所定のデータ生成態様であるデータ生成モードに従った前記送信用データを生成する情報処理装置であって、
他の前記対応通信端末のいずれによっても送信できないと判定された場合に、前記データ生成モードを変更するステップを含むようにしてもよい。
【0012】
このように、所定のデータ生成モードでは、いずれの通信端末によっても送信できない場合には、データ生成モードを変更することにより送信可能となる可能性があるので、データ生成モードを変更することにより、送信可能な対応通信端末を選択することができる。
【0013】
また、本発明において、
前記データ生成モードは、前記送信用データの大きさ及び所定期間内の生成回数の少なくともいずれか一方であるようにしてもよい。
【0014】
対応通信端末には、データの大きさや所定期間内の送信回数に対して制約が課される場合があるので、データ生成モードを、送信用データの大きさ及び所定期間内の生成回数の少なくともいずれか一方とすることにより、変更後のデータ生成モードに従って生成された送信用データについて、送信可能性が高まる。
【0015】
また、本発明は、
複数の情報処理装置と、
前記情報処理装置のそれぞれに接続された通信端末である対応通信端末と、
前記情報処理装置において生成された送信用データを、いずれの前記対応通信端末によって送信するかを選択する情報管理装置と、
を含む情報管理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記送信用データを生成するデータ生成部と、
前記送信用データを記憶する生成データ記憶部と、
前記送信用データに優先度を設定する優先度設定部と、
前記通信端末の通信状態を監視する通信状態監視部と、
前記通信状態と、前記優先度と、前記送信用データの属性情報に基づいて、該送信用データの前記対応通信端末による送信の可否を判定する送信可否判定部と、
送信可と判定された前記送信用データを、前記通信端末によって送信させる通信処理部と、
送信不可と判定された前記送信用データを、該送信用データの前記優先度及び前記属性情報とともに前記情報管理装置に送信する経路制御部と、
前記通信状態監視部によって監視される前記通信状態に関する情報を含む通信状態情報を前記情報管理装置に送信する通信状態通知部と、
を備え、
前記情報管理装置は、
前記通信状態通知部から送信される前記通信状態情報を取得する通信状態取得部と、
前記通信状態情報に基づいてすべての前記対応通信端末の通信状態を監視するシステム通信状態監視部と、
前記経路制御部から送信される前記送信用データ、前記優先度及び前記属性情報を取得するシステム送信用データ取得部と、
前記優先度と、前記属性情報と、前記通信状態情報と、に基づいて、いずれかの前記対応通信端末によって送信可能か否かを判定するシステム送信可否判定部と、
送信可能と判定された前記対応通信端末がある場合には、該対応通信端末が接続された前記情報処理装置に、前記送信用データ、前記優先度及び前記属性情報を送信することを特徴とするシステム経路制御部と、
を備えることを特徴とする。
【0016】
情報処理装置において生成される送信用データが異なる価値を有する場合があり、その価値に応じて、送信用データに送信に関する優先度を設定し、その優先度も考慮して、送信用データが生成された情報処理装置に接続された対応通信端末によって、送信用データを送信の可否を判定し、送信できない場合に、情報管理装置が、送信用データの優先度及び属性情報と情報管理システムを構成する通信端末の通信状態情報とに基づいて、いずれの対応通信端末によって送信可能かを判定し、通信可能と判定された通信端末が接続された情報処理装置に、送信用データと優先度と属性情報を送信するので、対応通信端末に通信障害や通信制限等の制約が課されていても、適切な対応通信端末を選択して、送りたいデータを送りたいタイミングで送信できる。
【0017】
また、本発明において、
前記優先度は、前記送信用データの所定期間内の送信の要否、及び、該送信用データを送信できない場合の再送信の要否の少なくともいずれか一方に基づいて設定されるようにしてもよい。
【0018】
送信用データの価値は、例えば、送信用データの所定期間内の送信の要否や送信できない場合の再送信の要否に反映されるので、送信用データの所定期間内の送信の要否、及び、送信用データを送信できない場合の再送信の要否の少なくともいずれか一方に基づいて優先度を設定することにより、送信用データの価値に応じた送信が可能となる。
【0019】
また、本発明において、
前記情報処理装置は、所定のデータ生成態様であるデータ生成モードに従った前記送信用データを生成する情報処理装置であって、
前記情報管理装置は、
送信可能と判定された前記対応通信端末がない場合には、前記データ生成モードの変更を、前記データ生成部に指示するモード変更指示部を備えるようにしてもよい。
【0020】
このように、所定のデータ生成モードでは、いずれの通信端末によっても送信できない場合には、データ生成モードを変更することにより送信可能となる可能性があるので、データ生成モードを変更することにより、送信可能な対応通信端末を選択することができる。
【0021】
また、本発明において、
前記データ生成モードは、前記送信用データの大きさ及び所定期間内の生成回数の少なくともいずれか一方であるようにしてもよい。
【0022】
対応通信端末には、データの大きさや所定期間内の送信回数に対して制約が課される場合があるので、データ生成モードを、送信用データの大きさ及び所定期間内の生成回数の少なくともいずれか一方とすることにより、変更後のデータ生成モードに従って生成され
た送信用データについて、送信可能性が高まる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、通信障害や通信制限がある場合にも、送りたいデータを送りたいタイミングで送信できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施例に係る生産システムの概略構成図である。
図2】本発明の実施例に係る検査システムの概略構成図である。
図3】本発明の実施例に係るPC及び第1集中管理端末の機能ブロック図である。
図4】本発明の実施例に係る優先度を説明する図である。
図5】本発明の実施例に係るデータ生成モードの切替条件を説明する図である。
図6】本発明の実施例に係る送信経路選択方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
〔適用例〕
以下、本発明の適用例について、図面を参照しつつ説明する。
【0026】
本発明が適用される検査システム1は、図1に示す生産ライン100のように、はんだ印刷装置100a、はんだ印刷後検査装置100b、マウンタ100c、マウント後検査装置100d、リフロー炉100e、リフロー後検査装置100fを含む。各検査装置100b、100d、100fは各工程の出口でプリント基板の状態を検査し、不良あるいは不良のおそれを自動的に検出する。
【0027】
上述したはんだ印刷後検査装置100b、マウント後検査装置100d、リフロー後検査装置100f(以下、これらをまとめて検査装置20ともいう。)は、LANなどのネットワークを介して接続され、検査システム1を構成している。図2に、検査システム1の概略構成を示す。ここでは、第1PC30-1、第2PC30-2、第3PC30-3が、それぞれ検査装置20に設けられたPC(Personal Computer)である。
【0028】
図2に示す検査システム1では、第1PC30-1、第2PC30-2の上位に、第2集中管理端末40が接続され、第2集中管理端末40、第3PC30-3、中継器50の上位に第1集中管理端末60が接続されている。
【0029】
第1PC30-1、第2PC30-2、第2集中管理端末40、第3PC30-3、第1集中管理端末60には、第1通信端末70-1、第2通信端末70-2、第3通信端末70-3、第4通信端末70-4、第5通信端末70-5がそれぞれ接続されている。また、中継器50には、第6通信端末70-6及び第7通信端末70-7が接続されている。これらの第1通信端末70-1~第7通信端末70-7(以下、これらをまとめて通信端末70ともいう。)は、外部の通信局200と無線又は有線により接続して、各装置において生成されたデータを、外部に送信するための装置である。
【0030】
PC30は、図3に示すように、データ生成部30a、経路制御部30b、通信可否判定部30c、通信制限判定閾値保持部30d、通信状態監視部30e,通信処理部30f、通信状態通知部30gを含む。第2集中管理端末40、中継器50は、PC30と同様の機能ブロック構成を有する。ただし、第2集中管理端末40、中継器50については、データ生成部30aを含まない構成も可能である。
また、第1集中管理端末60は、図3に示すように、データ生成部60a、経路制御部60b、通信可否判定部60c、通信制限判定閾値保持部60d、通信状態監視部60e,通信処理部60f、通信状態通知部60g、システム通信状態監視部60h、通信状態
取得部60i、システム通信可否判定部60j、データ生成モード切替部60kを含む。ただし、第1集中管理端末60は、データ生成部60aを含まない構成も可能である。
【0031】
検査システム1では、図6に示すような経路制御方法により、送信用データが送信されるので、通信障害や通信制限等の制約が通信端末70に課せられている場合でも、送りたいデータを送りたいタイミングで、送信用データを、通信局200を介して送信できる。
【0032】
以下に説明する送信用データの経路制御では、検査装置1全体で生成された送信用データの経路制御を行うため、第1集中管理端末60及び第2集中管理端末40をいずれも「管理端末」として扱うが、より上位に設けられた第1集中管理端末60のみを「集中管理端末」として扱う。
【0033】
まず、検査システム1を構成する各PC30、第2集中管理端末40、中継器50及び第1集中管理端末60(以下、PC30等ともいう。)のデータ生成部30a等において、優先度が付された送信用データが生成されると(ステップS1)、通信可否判定部30c等において、送信用データの送信の可否が判定される(ステップS2)。
送信可と判定される場合には、ステップS10に進み、接続された通信端末から通信局200に向けて、優先度順に送信用データが送信される。
送信不可と判定された場合には、送信用データは、上位の管理端末、に送信される(ステップS3)。
【0034】
ステップS3において送信用データを受信した管理端末が、集中管理端末か否かを判定する(ステップS4)。
送信用データを受信した管理端末が、集中管理端末でない場合には、ステップS3に戻り、さらに上位の管理端末に送信用データを送信する。
送信用データを受信した管理端末が、集中管理端末である場合には、送信可能な端末があるか否かを判定する(ステップS5)。
【0035】
ステップS5において、送信可能な端末があると判定された場合には、集中管理端末は、最適な端末と経由する装置を選択する(ステップS6)。最適な端末には、通信端末自体は含まれず、通信端末が接続された端末が対象となる。経由する装置は、一つに限られず、複数の装置であってもよい。
ステップS5において、送信可能な端末がないと判定された場合には、データ生成モード切替部60kが送信用データのデータ生成モードを切り替える(ステップS7)。そして、ステップS1に戻って、変更されたデータ生成モードに従って送信用データが生成され、ステップS2以降の処理が繰り返される。
【0036】
ステップS6において、最適な端末と経由する装置が選択されると、集中管理端末は、経由する装置に送信用データを送信する(ステップS8)。
【0037】
次に、経由する装置が最終端末であるか否かが判定される(ステップS9)。この最終端末には、通信端末自体は含まれず、通信端末が接続された端末が対象となる。
経由する装置が最終端末である場合には、最終端末は優先度順に送信用データを通信局200へ伝送し(ステップS10)、処理を終了する。
経由する装置が最終端末でない場合には、経由する装置はさらに経由する装置に送信用データを送信し(ステップS11)、ステップS9の判定を繰り返す。
ここで、PC30等から直接送信できない場合に、必ず最上位の管理管理端末まで上がってシステム全体から最適な端末を選択している。しかし、最上位ではなく、より下位の管理端末の段階で、配下の端末に送信可能な端末がある場合には、その中から最適な端末(及び経由する装置)を選択して、当該端末に送信用データを送信し、当該端末から通信
局200に向けて送信用データを優先度順に送信するようにしてもよい。
【0038】
〔実施例1〕
以下、図面を参照して本発明の実施例1に係る検査システム1の構成について説明する。ただし、この実施例に記載されている装置の構成は各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この発明の範囲を以下の実施例に限定する趣旨のものではない。
【0039】
本実施例に係る生産ライン100を図1に示す。上述のように、生産ライン100は、例えばはんだ印刷装置100a、はんだ印刷後検査装置100b、マウンタ100c、マウント後検査装置100d、リフロー炉100e、リフロー後検査装置100fを含む。はんだ印刷装置100aは、プリント基板上の電極部はんだペーストを印刷する装置である。マウンタ100cは、プリント基板に実装すべき多数の電子部品をはんだペーストの上に載置するための装置である。また、リフロー炉100eは、プリント基板上に載置された電子部品を基板上のプリント配線にはんだ接合するための加熱装置である。そして、各検査装置100b、100d、100fは各工程の出口でプリント基板の状態を検査し、不良あるいは不良のおそれを自動的に検出する。
【0040】
上述したはんだ印刷後検査装置100b、マウント後検査装置100d、リフロー後検査装置100f(以下、これらをまとめて検査装置20ともいう。)は、LANなどのネットワークを介して接続され、検査システム1を構成している。図2に、検査システム1の概略構成を示す。ここでは、第1PC30-1、第2PC30-2、第3PC30-3が、それぞれ検査装置20に設けられたPC(Personal Computer)である。図2では、
3つのPCを含んで構成されているが、これは例示であり、検査システムを構成する検査装置の数に応じて適宜の数のPCを設けることができる。ここで、第1PC30-1、第2PC30-2、第3PC30-3は、CPU(プロセッサ)、主記憶装置(メモリ)、補助記憶装置(ハードディスクなど)、入力装置(キーボード、マウス、コントローラ、タッチパネルなど)、出力装置(ディスプレイ、プリンタ、スピーカなど)などを具備する汎用的なコンピュータシステムにより構成することができる。ここでは、第1PC30-1、第2PC30-2、第3PC30-3が、本発明の情報処理装置に相当する。
【0041】
図2に示す検査システム1では、第1PC30-1、第2PC30-2の上位に、第2集中管理端末40が接続され、第2集中管理端末40、第3PC30-3、中継器50の上位に第1集中管理端末60が接続されている。例えば、第1集中管理端末60は、検査サーバによって構成することができる。第1集中管理端末60、第2集中管理端末40、中継器50、第1PC30-1、第2PC30-2、第3PC30-3を含む階層構造についても、これに限られず、検査装置の数や配置に応じて、適宜の数の検査装置を含み、集中管理端末を最上位とする適宜の階層の接続構成が可能である。ここで、第2集中管理端末40、中継器50、第1集中管理端末60は、本発明の情報処理装置に相当し、第1PC30-2~第3PC30-3を含めて、本発明の複数の情報処理装置に相当する。
【0042】
また、第1PC30-1、第2PC30-2、第2集中管理端末40、第3PC30-3、第1集中管理端末60には、第1通信端末70-1、第2通信端末70-2、第3通信端末70-3、第4通信端末70-4、第5通信端末70-5がそれぞれ接続されている。また、中継器50には、第6通信端末70-6及び第7通信端末70-7が接続されている。これらの通信端末70-1~70-7は、外部の通信局200と無線又は有線により接続して、各装置において生成されたデータを、外部に送信するための装置であり、例えば、USBケーブル等により第1PC30-1等の各装置に接続されている。第1通信端末~第7通信端末は、それぞれ通信条件に関する制約が課されている。制約が課せられているとは、送信用データを送りたいタイミングで送れない状態であることを指す。制約には、通信障害や、契約等によって定まる通信制限が含まれる。通信障害には断線や通
信強度の変動が含まれる。また、通信制限には、所定の期間を対象として定められた所定期間内の送信データ容量や所定期間内の送信回数による通信停止や通信待ちが含まれ、所定の期間を対象としない送信データ容量等が含まれるが、これらに限らない。第1通信端末70-1~第7通信端末70-7が、本発明の対応通信端末に相当する。
【0043】
図3に、第1集中管理端末60と、第1PC30-1、第2PC30-2、第3PC30-3との機能ブロック図を示す。第1PC30-1~第3PC30-3は同様の機能ブロック構成を有するので、まとめてPC30として説明する。
【0044】
<PCの機能ブロック構成>
PC30は、図3に示すように、データ生成部30a、経路制御部30b、通信可否判定部30c、通信制限判定閾値保持部30d、通信状態監視部30e,通信処理部30f、通信状態通知部30gを含む。
【0045】
(データ生成部)
データ生成部30aは、PC30が設けられた検査装置20に関するデータであって、通信局200を介して、検査システム1の外部の管理サーバ等によって回収されるべきデータである送信用データを生成する。データ生成部30aは、生成された送信用データを記憶する生成データ記憶部31aを含む。ここでは、データ生成部30a、生成データ記憶部31aが、それぞれ本発明のデータ生成部、生成データ記憶部に相当する。
送信用データには、例えば、検査装置20の故障情報や、課金情報、稼働情報や、PC30の負荷情報等が含まれる。
【0046】
データ生成部30aでは、上述の送信用データが生成されると、送信用データの内容に応じて優先度を設定し、データ名に優先度情報をラベリングする。データ生成部30aが、本発明の優先度設定部に相当する。また、送信用データには、生成されたデータの大きさ等の属性情報も含まれる。
優先度とは、データ送信に関する優先度であり、図4に示す要件に応じて付与される。すなわち、優先度Aの送信用データは、一定(所定)期間内に受信できることが必要とされ、通信NG(不可)時には再送信する再送処理をすることが必要とされるデータである。また、優先度Bの送信用データは、一定期間内に受信できることは不要であるが、通信NG時には再送処理をすることが必要とされるデータである。また、優先度Cの送信用データは、一定期間内に受信できることも、通信NG時に再送処理をすることも不要なデータである。
例えば、検査装置20の故障情報には優先度Aが付与され、検査装置20の課金情報には優先度Bが付与され、検査装置20の稼働情報やPC30の負荷情報には優先度Cが付与される。
【0047】
また、データ生成部30aでは、後述するデータ生成態様であるデータ生成モードに従ったデータ仕様で、送信用データが生成される。図5に、データ生成モードと、その切替条件との対応関係を示す。データ生成モードには、通常モード、サイズ制限モード、回数制限モード、サイズ&回数制限モード、通信制限モードの5つのモードが含まれる。通常モード、サイズ制限モード、回数制限モード、サイズ&回数制限モード、通信制限モードが、それぞれ本発明の所定のデータ生成態様及び所定のデータ生成モードに相当する。また、データサイズ、送信回数が、本発明の送信用データの大きさ、所定期間内の生成回数に相当する。
送信済みデータサイズと定期/都度データ見込みサイズとの合計がデータサイズ制限を上回る場合には、サイズ制限モード及びサイズ&回数制限モードが該当し、通常モード及び回数制限モードは該当せず、通信制限モードはこの条件には関係しない。
送信済み回数と定期/データ見込み回数との合計が回数制限を上回る場合には、回数制
限モード及びサイズ&回数制限モードが該当し、通常モード及びサイズ制限モードは該当せず、通信制限モードはこの条件に関係しない。
サイズ制限モード又はサイズ&回数制限モードで、送信済みデータと、定期/都度データ見込みサイズが、データサイズ制限を上回るか、若しくは、回数制限モード又はサイズ&回数制限モードで送信済み回数と定期/都度データ見込み回数が回数制限を上回る場合には、通信制限モードが該当し、通常モード、サイズ制限モード、回数制限モード、サイズ&回数制限モードは該当しない。
どのモード条件にも該当する条件がない場合には、通常モードが該当し、サイズ制限モード、回数制限モード、サイズ&回数制限モード、通信制限モードは該当しない。
【0048】
上述のモード切替条件によって、データ生成モードが切り替わったときのデータ仕様は、後述する経路制御部30bの待ちデータも対象となり、データを取得し、切替後のデータ仕様での送信用データを再生成するとともに、もとのデータは待ちデータから削除する。
【0049】
また、データ生成部30aは、通信状態監視部30eからの送信予定の見込みデータ量/回数要求に対して、データ生成モードと残期間から、見込み情報を応答する。
【0050】
(経路制御部)
経路制御部30bは、上位の端末の送信用データ格納場所情報を保持しており、当該送信用データ格納場所にネットワークを介してアクセスできる。
経路制御部30bは、データ生成部30a、若しくは他の端末の経路制御部又は通信制御部から受信した送信用データをラベリングされた優先度順及びデータ生成時刻順に処理する。
他の端末の経路制御部から受信した送信用データである場合には、データ名にラベリングされた端末が自身の端末であるか否かを判定し、自身の端末である場合には通信可否判定へ進む。自身の端末でない場合には、上位でラベリングされた端末に一致する端末の経路制御部へ送信用データを送信する。上位に、ラベリングされた端末に一致する端末がない場合には、上位の装置名にラベリングを変更し、上位装置の経路制御部へ送信する。
他の端末の通信処理部から受信した送信用データである場合には、優先度がA又はBである場合のみ、通信可否判定へ進む。
ここでは、経路制御部30bが、本発明の経路制御部に相当する。
【0051】
通信可否判定は、通信可否判定部30cに送信用データを渡すことによって通信可否判定部30cにおいて行われ、通信可否判定部30cから送信可否判定結果を取得する。
送信可の判定結果を取得した場合には、経路制御部30bは、判定対象となった送信用データを通信処理部30fに渡す。
送信不可の判定結果を取得した場合には、経路制御部30bは、判定対象となった送信用データを上位の端末の経路制御部に送信する。このとき、あて先の端末名をデータ名にラベリングする。
【0052】
(通信可否判定部)
通信可否判定部30cは、送信予定の送信用データの優先度及びサイズ、並びに、通信状態及び通信制限判定閾値に基づいて、通信可否判定を行う。このとき、通信状態は通信状態監視部30eから取得し、通信制限判定のための閾値は、通信制限判定閾値保持部30dから取得する。ここでは、通信可否判定部30cが、本発明の送信可否判定部に相当する。
通信状態に関して、通信電波強度が閾値以下であれば、通信可否判定部30cは、いかなる送信用データであっても通信不可と判定する。
また、通信状態に関して、一定期間の通信データ量又は通信回数が閾値以上であれば、
通信可否判定部30cは、いかなる送信用データであっても、通信不可と判定する。
判定対象となっている送信用データの優先度がAである場合には、通信可否判定部30cは、通信サイズと待ちデータ量から、通信制限内で送れるか、及び、優先度Aの通信速度条件を満たすかを判定し、どちらも満たす場合に通信可と判定する。
判定対象となっている送信用データの優先度がB又はCである場合には、通信可否判定部30cは、通信サイズと待ちデータ量から通信制限内で送れる場合には、通信可と判定する。
【0053】
(通信制限判定閾値保持部)
通信制限判定閾値保持部30dは、通信制限をかけるサイズ、回数、電波強度等をそれぞれの閾値として保持している。
【0054】
(通信状態監視部)
通信状態監視部30eは、PC30自身に接続された通信端末70の通信電波強度、送信済みデータ量及び送信回数と、待ちデータ量及び待ち通信回数、送信予定の見込みデータ量及び見込み通信回数を監視する。第1PC30-1及び第2PC30-2の通信状態監視部30-1e及び30-2eであれば、それぞれ第1通信端末70a及び第2通信端末70bの通信強度等を監視し、第3PC30-3の通信状態監視部30-3eであれば、第4通信端末70-4の通信強度等を監視する。ここでは、通信状態監視部30eが、本発明の通信状態監視部に相当する。
【0055】
送信予定の見込みデータ量及び通信回数は、通信状態監視部30eがデータ生成部30aに要求し、データ生成部30aから取得する。
送信済みデータ量及び送信回数は、通信処理部30fが出力したロギングデータに基づいて、通信状態監視部30eが取得し蓄積する。
通信電波強度は、通信処理部30fが出力したロギングデータに基づいて、通信状態監視部30eが取得する。
待ちデータ量及び待ち通信回数は、通信処理部30fに溜まっている送信用データに基づいて、通信状態監視部30eが取得する。
【0056】
(通信処理部)
通信処理部30fは、経路制御部30bから受け取った送信用データを、接続されている通信端末70を介して送信する。ここでは、通信処理部30fが、本発明の通信処理部に相当する。
また、通信処理部30fは、通信状態監視部30eへ通信状況を監視するための情報を出力する。
また、通信処理部30fは、送信用データの送信に失敗した場合には、その送信用データを経路制御部30bに渡す。
【0057】
(通信状態通知部)
上位の集中管理端末40、60の通信状態通知命令に対して、通信状態監視部30eが持っている情報を、通信状態通知部30gが送信する。ここでは、通信状態監視部30eが持っている情報が、本発明の通信状態情報に相当し、通信状態通知部30gが、本発明の通信状態通知部に相当する。
【0058】
<第2集中管理端末の機能ブロック構成>
第2集中管理端末40は、データ生成部40a、生成データ記憶部41a、経路制御部40b、通信可否判定部40c、通信制限判定閾値保持部40d、通信状態監視部40e,通信処理部40f、通信状態通知部40gを含む。ここでは、データ生成部40aが、本発明のデータ生成部及び優先度設定部に相当する。また、生成データ記憶部41a、経
路制御部40b、通信可否判定部40c、通信状態監視部40e,通信処理部40f、通信状態通知部40gが、それぞれ本発明の生成データ記憶部、経路制御部、送信可否判定部、通信状態監視部,通信処理部、通信状態通知部に相当する。ただし、第2集中管理端末40では、データ生成部40aを備えない構成も可能である。
【0059】
第2集中管理端末40は、図3に示す、PC30と同様の機能ブロック構成を有するため、図示は省略する。
【0060】
第2集中管理端末40のデータ生成部40aは、第2集中管理端末40が設けられた検査装置20に関するデータであって、通信局200を介して、検査システム1の外部の管理サーバ等によって回収されるべきデータである送信用データを生成する。データ生成部40aの機能は、PC30のデータ生成部40aと同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0061】
経路制御部40bは、第1PC30-1及び第2PC30-2の送信用データ格納場所情報を保持しており、当該送信用データ格納場所にネットワークを介してアクセスできる。
経路制御部40bは、データ生成部40a、若しくは他の端末の経路制御部又は通信制御部から受信した送信用データをラベリングされた優先度順及びデータ生成時刻順に処理する。
他の端末の経路制御部から受信した送信用データである場合には、データ名にラベリングされた端末が自身の端末であるか否かを判定し、自身の端末である場合には通信可否判定へ進む。自身の端末でない場合には、配下でラベリングされた端末に一致する端末の経路制御部へ送信用データを送信する。配下でラベリングされた端末に一致する端末がない場合には、通信可否判定に進む。
他の端末の通信処理部から受信した送信用データである場合には、優先度がA又はBである場合のみ、通信可否判定へ進む。
【0062】
第2集中管理端末40の、通信可否判定部40c、通信制限判定閾値保持部40d、通信状態監視部40e,通信処理部40f、通信状態通知部40gは、PC30の、通信可否判定部30c、通信制限判定閾値保持部30d、通信状態監視部30e,通信処理部30f、通信状態通知部30gとそれぞれ同じ機能を有するため、説明を省略する。
【0063】
<中継器の機能ブロック構成>
中継器50は、接続された第6通信端末70-6、第7通信端末70-7の電波強度等が十分である良好な通信環境に設けられたPCによって構成される。このため、検査装置20に設けられたPCに限られず、ネットワークによって接続され、良好な通信環境に設けられた適宜のPCを利用することができる。
【0064】
中継器50は、データ生成部50a、生成データ記憶部51a、経路制御部50b、通信可否判定部50c、通信制限判定閾値保持部50d、通信状態監視部50e,通信処理部50f、通信状態通知部50gを含む。中継器50の、データ生成部50a、経路制御部50b、通信可否判定部50c、通信制限判定閾値保持部50d、通信状態監視部50e,通信処理部50f、通信状態通知部50gの機能は、図3に示すPC30の、データ生成部30a、経路制御部30b、通信可否判定部30c、通信制限判定閾値保持部30d、通信状態監視部30e,通信処理部30f、通信状態通知部30gとそれぞれ同様の機能を有するので、説明を省略する。ここでは、データ生成部50aが、本発明のデータ生成部及び優先度設定部に相当する。また、生成データ記憶部51a、経路制御部50b、通信可否判定部50c、通信状態監視部50e,通信処理部50f、通信状態通知部50gが、それぞれ本発明の生成データ記憶部、経路制御部、送信可否判定部、通信状態監
視部,通信処理部、通信状態通知部に相当する。ただし、中継器50では、データ生成部50aを備えない構成も可能である。
【0065】
<第1集中管理端末の機能ブロック構成>
第1集中管理端末60は、図3に示すように、データ生成部60a、生成データ記憶部61a、経路制御部60b、通信可否判定部60c、通信制限判定閾値保持部60d、通信状態監視部60e,通信処理部60f、通信状態通知部60g、システム通信状態監視部60h、通信状態取得部60i、システム通信可否判定部60j、データ生成モード切替部60kを含む。ここでは、第1集中管理端末60が、本発明の情報管理装置に相当する。
【0066】
(データ生成部)
第1集中管理端末60のデータ生成部60aは、第1集中管理端末60が設けられた検査装置20に関するデータであって、通信局200を介して、検査システム1の外部の管理サーバ等によって回収されるべきデータである送信用データを生成する。データ生成部60a及び生成データ記憶部61aの機能は、PC30のデータ生成部30a及び生成データ記憶部31aと同様であるため、詳細な説明は省略する。ここでは、データ生成部60aが、本発明のデータ生成部及び優先度設定部に相当する。また、生成データ記憶部61aが、本発明の生成データ記憶部に相当する。ただし、第1集中管理端末では、データ生成部60aを備えない構成も可能である。
【0067】
経路制御部60bは、配下の端末の送信用データ格納場所情報を保持しており、当該送信用データ格納場所にネットワークを介してアクセスできる。
経路制御部30bは、データ生成部30a、若しくは他の端末の経路制御部又は通信制御部から受信した送信用データをラベリングされた優先度順及びデータ生成時刻順に処理する。
他の端末の経路制御部から受信した送信用データである場合には、データ名にラベリングされた端末が自身の端末であるか否かを判定し、自身の端末である場合には通信可否判定へ進む。自身の端末でない場合には、配下でラベリングされた端末に一致する端末の経路制御部へ送信用データを送信する。配下でラベリングされた端末に一致する端末がない場合には、通信可否判定に進む。
他の端末の通信処理部から受信した送信用データである場合には、優先度がA又はBである場合のみ、通信可否判定へ進む。
【0068】
通信可否判定は、通信可否判定部60cに送信用データを渡すことによって通信可否判定部30cにおいて行われ、通信可否判定部60cから送信可否判定結果を取得する。
送信可の判定結果を取得した場合には、経路制御部60bは、判定対象となった送信用データを通信処理部60fに渡す。
送信不可の判定結果を取得した場合には、経路制御部30bは、判定対象となった送信用データをシステム通信可否判定部60jに渡し、システム通信可否判定部60jから送信可否判定結果を取得する。
システム通信可否判定部60jの判定結果が送信可である場合には、通信可否判定結果とともに判定対象となった送信用データを経路制御部60bから、送信する端末の経路制御部にラベリング込みで送信する。このとき、あて先の端末に直接アクセスできない場合には、中継する端末の経路制御部に送信用データを送信する(このとき、ラベリングは元の宛先のままである。)。例えば、送信可と判定された端末が、第1PC30-1であれば、第1集中管理端末60は、第1PC30-1に直接アクセスできないので、送信用データを、第2集中管理端末40の経路制御部40bに送信する。
システム通信可否判定部60jの判定結果が送信不可である場合には、経路制御部60bは何もせず、データ生成モードが切り替わることになる。
ここでは、経路制御部60bが、本発明の経路制御部、システム経路制御部及びシステム送信用データ取得部に相当する。
【0069】
通信可否判定部60c、通信制限判定閾値保持部60d、通信状態監視部60e、通信処理部60fの機能は、それぞれPC30の通信可否判定部30c、通信制限判定閾値保持部30d、通信状態監視部30e、通信処理部30fと同様であるため、詳細な説明は省略する。ここでは、通信可否判定部60c、通信状態監視部60e,通信処理部60fが、それぞれ本発明の送信可否判定部、通信状態監視部,通信処理部に相当する。
【0070】
(通信状態通知部)
通信状態通知部60gは、通信状態監視部60eが持つ情報を取得する。ここでは、通信状態通知部60gが、本発明の通信状態通知部に相当する。
【0071】
(システム通信状態監視部)
システム通信状態監視部60hは、通信状態取得部60iから配下の端末の通信状態監視部が持つ情報を取得する。
システム通信状態監視部60hは、定期的に通信状態監視部60eの情報と、配下の端末の通信状態監視部の情報に基づいて検査システム1全体の通信状態情報を更新し保持する。
システム通信状態監視部60hは、定期的に検査システム1全体のデータ生成モード、残データ容量、待ちデータ量に基づいて、図5に示した生成モード切替条件を満たすかを判定し、判定結果をデータ生成モード切替部60kに渡す。
システム通信状態監視部60hにおける上述の生成モード切替条件として用いる通信制限の閾値等は、検査システム1全体の通信端末の台数(図2に示す例では7台)から合算して算出する。ここでは、システム通信状態監視部60hが、本発明のシステム通信状態監視部に相当する。
【0072】
(通信状態取得部)
通信状態取得部60iは、システム通信状態監視部60hの命令を受け、検査システム1の他の端末の通信状態通知部から通信状態情報を取得する。ここでは、通信状態取得部60iが、本発明のシステム通信状態取得部に相当する。
【0073】
(システム通信可否判定部)
システム通信可否判定部60jは、経路制御部60bから送信予定の送信用データの優先度とサイズを受け取ったときに、検査システム1全体の通信状態と通信制限判定閾値に基づいて、検査システム1のいずれの端末で通信可能かを判定する。判定内容は、通信可否判定部30cと同様であるが、検査システム1のすべての端末を対象にそれぞれ判定し、通信可と判定された場合には、判定条件を満たし、かつ、閾値との差が最も大きい端末名を経路制御部60bに渡す。ここでは、システム通信可否判定部60jは、本発明のシステム送信可否判定部に相当する。
【0074】
(データ生成モード切替部)
データ生成モード切替部60kは、システム通信状態監視部60hから得られた判定結果に基づいて、データ生成モードを切り替える必要がある場合には、検査システム1内のデータ生成部30a等に生成モード切替命令を出す。ここでは、データ生成モード切替部60kは、本発明のモード変更指示部に相当する。
また、データ生成モード切替部60kは、現在の検査システム1全体のデータ生成モードの情報を保持する。
【0075】
(第1集中管理端末による経路制御方法)
以下に、図6に示すフローチャートを参照して、検査システム1における第1集中管理端末60による経路制御方法の概略について説明する。ここでは、経路制御方法が、本発明の情報管理方法を含む。
なお、図2に示す検査システム1では、より上位の第1集中管理端末60と、より下位の第2集中管理端末40の2つの集中管理端末を含む。以下に説明する送信用データの経路制御では、検査装置1全体で生成された送信用データの経路制御を行うため、第1集中管理端末60及び第2集中管理端末40をいずれも「管理端末」として扱うが、より上位に設けられた第1集中管理端末60のみを「集中管理端末」として扱う。
【0076】
まず、検査システム1を構成する各PC30、第2集中管理端末40、中継器50及び第1集中管理端末60(以下、PC30等ともいう。)のデータ生成部30a等において、優先度が付された送信用データが生成されると(ステップS1)、通信可否判定部30c等において、送信用データの送信の可否が判定される(ステップS2)。以下、第1PC30-1を例に説明する。
送信可と判定される場合には、ステップS10に進み、自身が最終端末として、接続された通信端末、ここでは、第1通信端末70-1から通信局200に向けて、送信用データが送信される。
送信不可と判定された場合には、送信用データは、上位の管理端末、ここでは、第2集中管理端末40に送信される(ステップS3)。
【0077】
ステップS3において送信用データを受信した管理端末が、集中管理端末か否かを判定する(ステップS4)。
送信用データを受信した管理端末が、集中管理端末でない場合には、ステップS3に戻り、さらに上位の管理端末に送信用データを送信する。ここでは、第2集中管理端末40の上位に第1集中管理端末60が設けられているので、送信用データは第2集中管理端末40から第1集中管理端末60に送信される。
送信用データを受信した管理端末が、集中管理端末である場合には、送信可能な端末があるか否かを判定する(ステップS5)。ここでは、送信用データを受信した管理端末は第1集中管理端末60であるから、システム通信可否判定部60jにおいて、検査システム1のいずれの端末で送信可能かを判定する。
【0078】
ステップS5において、送信可能な端末があると判定された場合には、集中管理端末は、最適な端末と経由する装置を選択する(ステップS6)。最適な端末には、通信端末自体は含まれず、通信端末が接続された端末が対象となる。経由する装置は、一つに限られず、複数の装置であってもよい。ここでは、最適な端末として第2PC30-2、経由する装置として第2集中管理端末60が選択された場合(第1の例という)と、最適な端末として中継器50が選択された場合(第2の例)について説明する。
ステップS5において、送信可能な端末がないと判定された場合には、データ生成モード切替部60kが送信用データのデータ生成モードを切り替える(ステップS7)。そして、ステップS1に戻って、変更されたデータ生成モードに従って送信用データが生成され、ステップS2以降の処理が繰り返される。
【0079】
ステップS6において、最適な端末と経由する装置が選択されると、集中管理端末は、経由する装置に送信用データを送信する(ステップS8)。ここでは、第1の例では、第1集中管理端末60から第2集中管理端末40に送信用データを送信する。第2の例では、第1集中管理端末から中継器50に送信用データが送信される。
【0080】
次に、経由する装置が最終端末であるか否かが判定される(ステップS9)。この最終端末には、通信端末自体は含まれず、通信端末が接続された端末が対象となる。
経由する装置が最終端末である場合には、最終端末は優先度順に送信用データを通信局
200へ伝送し(ステップS10)、処理を終了する。第2の例では、第6通信端末70-6に接続された中継器50が最終端末に該当するので、中継器50は、第6通信端末70-6を介して、通信局200に、送信用データを優先度順に伝送し、処理を終了する。
経由する装置が最終端末でない場合には、経由する装置はさらに経由する装置に送信用データを送信し(ステップS11)、ステップS9の判定を繰り返す。第1の例では、第2集中管理端末40は最終端末ではないので、第2PC30-2に送信用データを送信する。ステップS9において、第2通信端末70-2に接続された第2PC30-2は最終端末に該当するので、ステップS10に進み、第2PC30-2は、第2通信端末70-2を介して、通信局200に、送信用データを伝送し、処理を終了する。
【0081】
上述の例では、PC30等から直接送信できない場合に、必ず最上位の管理管理端末(ここでは、第1集中管理端末60)まで上がってシステム全体から最適な端末を選択している。しかし、最上位ではなく、より下位の管理端末の段階で、配下の端末に送信可能な端末がある場合には、その中から最適な端末(及び経由する装置)を選択して、当該端末に送信用データを送信し、当該端末から通信局200に向けて送信用データを優先度順に送信するようにしてもよい。例えば、第2集中管理端末40の段階で、配下の第2PC30-2又は第2集中管理端末40自身が送信可能な端末である場合には、送信用データを第2PC30-2に送信し、第2通信端末70-2から通信局200に向けて送信させ、又は第3通信端末70-3から通信局200に向けて送信させるようにすることもできる。このようにすれば、最上位の管理端末に無駄にデータ送信が集中することを回避できる。
【0082】
この場合には、図6に示すフローチャートのステップS4の前にも、ステップS5と同様に、配下に送信可能な端末があるか否かを判定する処理を行い、送信可能な端末がある場合にはステップS6に進み、送信可能な端末がない場合には、ステップS4に進むことになる。また、このような第2集中管理端末40は、第1集中管理端末60と対応する機能ブロック構成を有する。すなわち、データ生成部40a、生成データ記憶部41a、経路制御部40b、通信可否判定部40c、通信制限判定閾値保持部40d、通信状態監視部40e,通信処理部40f、通信状態通知部40gに加え、システム通信状態監視部40h、通信状態取得部40i、システム通信可否判定部40jを含む。ただし、システム通信状態監視部40h、通信状態取得部40i、システム通信可否判定部40jは、第2集中管理端末40の配下の第1PC30-1及び第2PC30-2を含むサブシステムの通信状態を管理する。このとき、第2集中管理端末40も、本発明の情報管理装置に相当する。また、経路制御部40bは、本発明のシステム経路制御部およびシステム送信用データ取得部に相当する。また、システム通信状態監視部40h、通信状態取得部40i、システム通信可否判定部40jは、それぞれ本発明のシステム通信状態監視部、システム通信状態取得部、システム送信可否判定部に相当する。
【0083】
このように、検査システム1では、送信用データが送信されるので、通信障害や通信制限等の制約が通信端末70に課せられている場合でも、送りたいデータを送りたいタイミングで、送信用データを、通信局200を介して送信できる。
【0084】
<付記1>
それぞれ送信用データを生成する複数の情報処理装置(30、40、50、60)と、
前記情報処理装置(30、40、50、60)のそれぞれに接続された通信端末である対応通信端末(70)と、
を備えた情報管理システム(1)において、前記送信用データを、いずれの前記対応通信端末によって送信可能か否かを判定する情報管理方法であって、
前記送信用データに、送信に関する優先度を設定するステップ(ステップS1)と、
前記送信用データに設定された前記優先度と、該送信用データに接続された前記対応通
信端末の通信状態とに基づいて、該対応通信端末によって送信可能か否かを判定するステップ(ステップS29と、
前記対応通信端末によって前記送信用データを送信できないと判定された場合に、他の前記対応通信端末によって送信可能か否かを判定するステップ(ステップS6)とを、
を含むことを特徴とする情報管理方法。
【符号の説明】
【0085】
1 :検査システム
30 :PC
40 :第2集中管理端末
50 :中継器
60 :第1集中管理端末
70 :通信端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6