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特開2023-15211分散音響センシングのための方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023015211
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】分散音響センシングのための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/353 20060101AFI20230124BHJP
   H04B 10/071 20130101ALI20230124BHJP
【FI】
G01D5/353 B
H04B10/071
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177980
(22)【出願日】2022-11-07
(62)【分割の表示】P 2019535420の分割
【原出願日】2017-09-08
(31)【優先権主張番号】2016903617
(32)【優先日】2016-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(71)【出願人】
【識別番号】521040466
【氏名又は名称】ファイバー センス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】エングルンド、 マーク アンドリュー
(57)【要約】
【課題】データセンターを含む専用の確立された光ファイバ通信ネットワークを含む都市または大都市エリアなどにおける分散音響センシングの方法およびシステムの提供。
【解決手段】上記方法及びシステムは、(a)光ファイバの束を含み、光ファイバ通信ネットワークの一部を形成する、選択された地理的エリアを横切って延びる経路を有する光ファイバケーブル設備を選択するステップと、(b)設備に関連する光ファイバおよび/または選択された光ファイバに関連する特性を決定するステップと、(c)光ファイバ内で出射光を送信するステップと、(d)光ファイバに沿って後方散乱された反射光を受信するステップと、(e)反射光および決定された特性に基づいて、音響事象を表す警報信号を生成するものであり、選択された地理的エリアの近くまたは範囲内の音響事象の検出に有用であり得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散音響センシングの方法であって、
選択された地理的エリアを横切って延びる経路を有する光ファイバケーブル設備を選択するステップであって、前記光ファイバケーブル設備は光ファイバの束を含み、前記光ファイバは、確立された専用の光ファイバ通信ネットワークの一部を形成し、前記光ファイバの束は、(1)通信トラフィックを搬送する少なくとも1つの光ファイバ又はチャネルを備える第1のサブセットと、(2)通信のために未使用または点灯されていない少なくとも1つの光ファイバ又はチャネルを備える第2のサブセットと、を含む、ステップと、
前記光ファイバの束の前記少なくとも1つの光ファイバ又はチャネルの前記第2のサブセットを分散音響検知のために使用するステップと、
前記光ファイバの束の長さに沿った1つ以上の位置と前記選択された地理的エリア内の
対応する1つ以上の位置との間の地理的なマッピングをすることによって空間的な較正を行うことを含む、前記選択された光ファイバケーブル設備内の前記光ファイバの束の少なくとも一部に関連する特性を決定するステップと、
前記少なくとも1つの光ファイバ又はチャネルの前記第2のサブセットを介して出射光を伝送するステップと、
前記光ファイバ又はチャネルの前記第2のサブセットに沿って後方散乱された反射光を受信するステップであって、前記反射光は時間にわたる変動を含む、ステップと、
前記変動および前記決定された特性に基づいて、音響事象を表す警報信号を生成するステップと、
を含む分散音響センシングの方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、1つまたは複数の光ファイバに基づく分散音響センシングの方法に関する。より詳細には、本発明が1つ以上の設置された光ファイバケーブルに基づく分散音響検知の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ分散音響センシングは、光ファイバに沿った周囲領域における音響事象を検出することができる。音響事象は、ガスパイプ、水パイプ、または電力ケーブルの近くの地下掘削、または歩行者および道路交通活動などの事故によって引き起こされる可能性がある。異なるタイプの事象は、音響事象において異なる音響シグネチャ(signature)を引き起こし得る。したがって、音響事象の監視はこれらの事象の防止または識別のために、または歩行者および道路交通の場合の道路ユーザの追跡のために、警報が生成されることを可能にする。
【0003】
分散音響感知のために専用光ファイバを配備する方法は設計の観点から意味をなすことができ、その結果、光ファイバの状態およびパラメータ(例えば、光ファイバに沿った空間均一性、トレンチ深さ、および音響減衰のレベル)は、設置時に既知であるか、またはよく制御される。しかし、分散型音響検知のための専用光ファイバの設置は特に都市中心部およびその周辺において、高価であり、破壊的であり得る。
【0004】
本明細書における任意の先行技術への言及は、この先行技術が任意の管轄における共通の一般知識の一部を形成すること、またはこの先行技術が当業者によって、他の先行技術の部分と関連するものとして、および/または組み合わせられることが合理的に予想され得ることの、肯定応答または任意の形態の示唆ではなく、かつ、そのように解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の態様によれば、分散音響センシングの方法であって、
選択された地理的領域を横切って延びる経路を有する光ファイバケーブル設備を選択するステップであって、前記光ファイバケーブル設備は光ファイバの束を含み、確立された専用の光ファイバ通信ネットワークの一部を形成し、前記光ファイバの束は、通信のために未使用のチャネルを含むか、または点灯されていない光ファイバを含む、ステップと、
光ファイバの長さに沿った1つ以上の位置と地理的エリア内の対応する1つ以上の位置との間のマッピングのために光ファイバを地理的に較正することを含む、光ファイバおよび/または選択された光ファイバ設備に関連する特性を決定するステップと、
前記光ファイバに出射光を伝送するステップと、
前記光ファイバに沿って後方散乱された反射光を受信するステップであって、前記反射光は時間にわたる変動を含む、ステップと、及び、
変動および決定された特性に基づいて、音響事象を表す警報信号を生成するステップと、
を含む分散音響センシングの方法、が提供される。
【0006】
光ファイバ通信ネットワークは、都市または大都市エリアネットワークであってもよい。あるいはまたはさらに、光ファイバ通信ネットワークは企業ネットワークであってもよい。企業ネットワークは、1つまたは複数のデータセンターを含むことができる。企業ネットワークが複数のデータセンターを含む場合、これらは光ファイバ設備によって相互接続される。
【0007】
空間的に較正するステップは、光ファイバに沿った1つまたは複数の位置またはその近傍で音響較正信号を生成するステップと、地理的エリア内の1つまたは複数の位置で対応する変動を検出するステップとを含むことができる。それは、地球の表面上の地理的座標に関して位置の地理的位置を決定し、記録することと、光ファイバに沿って後方散乱された受信反射光における地理的領域内の1つ以上の位置における対応する変動を検出することと、1つ以上の地理的位置に対応する光ファイバの経路長を決定することとをさらに含み得る。
【0008】
空間的に較正するステップは、光ファイバの経路長を1つまたは複数の位置の地理的座標と相関させて、光路長を地理的座標と相関させるルックアップテーブルを生成するステップをさらに含むことができる。
【0009】
警報生成ステップは、マッピングに基づいて検出された対応する変動に基づいて、地理的エリアにおけるインシデントの発生の位置を決定することを含むことができる。
【0010】
特性決定ステップは、望ましくない音響干渉の影響を低減するために光ファイバを音響的に較正することを含むことができる。音響的に較正するステップは、スペクトルフィルタを変動に適用して、望ましくない音響干渉を帯域通過または帯域阻止することを含むことができる。
【0011】
選択された地理的エリアは光ファイバの複数のセクションに対応する複数のゾーンを含むことができ、スペクトルフィルタ適用ステップは、複数のゾーンまたは対応するセクションのうちの1つに基づいて、帯域通過または帯域阻止特性を有するスペクトルフィルタを適用することを含むことができる。代替的に又は追加的に、スペクトルフィルタ適用ステップは、一日の時間及び/又は一週間の曜日に基づいて帯域通過又は帯域阻止特性を有するスペクトルフィルタを適用することを含むことができる。
【0012】
特性決定ステップは、光ファイバを物理的に較正することを含むことができる。物理的に較正するステップは、光ファイバのコア特性、減衰特性、およびトレンチ特性のうちの任意の1つまたは複数を取得することを含むことができる。コア特性は、コア直径および/または開口数を含むことができる。減衰特性は、伝搬損失、既存の欠陥、および/または接合点を含むことができる。トレンチ特性は、埋設条件および/またはケーブル同封物条件を含むことができる。
【0013】
岩石、砂利、コンクリート、砂、水、土、粘土、ビチューメン、またはこれらの1つ以上の組み合わせを含む、溝およびケーブルを取り囲む材料には、著しい変動があることが理解されるのであろう。これらの材料の音響インピーダンスは著しく変化し、その結果、関心のある摂動または源と光ファイバケーブルとの間のインピーダンスに変化が生じる。
【0014】
周囲の媒体の地震較正は、油井ケーシングの周りの音響インピーダンスを特徴付けるための既知の技法を含む、石油およびガス探査で行われるタイプの地震プロファイリングと同様の方法で行われる。この場合、目的は、周囲の材料の型および状態を決定することではなく、むしろ、これらの材料がファイバと関心のある摂動との間で空間的に形成する音響および地震伝達関数を決定することである。このような伝達関数は不均一な媒体が考慮されることを可能にし、したがって、光ファイバの周りの任意の所与の摂動の存在する空間位置、動力学、および光源周波数の正確な推定を可能にする。したがって、実行することができる3つの前駆較正ステップには、ファイバ自体の光学較正、地理空間較正、および周囲の媒体の地震較正が含まれる。
【0015】
警報信号生成ステップは、変動の音響シグネチャに基づいて警報信号を1つまたは複数の クラスの警報に分類することを含むことができる。選択された地理的エリアは光ファイバの複数のセクションに対応する複数のゾーンを含むことができ、各ゾーンまたは対応するセクションは、1つまたは複数の選択されたクラスの警報の生成に関連付けられる。代替的にまたは追加的に、選択された地理的エリアは光ファイバの複数のセクションに対応する複数のゾーンを含むことができ、各ゾーンまたは対応するセクションは、1つまたは複数の除外されたクラスの警報の非生成に関連付けられる。
【0016】
光ファイバの各ゾーンまたはセクションに対応する1つまたは複数の選択されたまたは除外されたクラスの警報は、レール監視、道路監視、および周辺侵入検出に関連し得る。
【0017】
この方法はさらに、出射光の送信と反射光の受信とを、通信のために別の未使用チャネルまたは非点灯光ファイバに切り替えることを含むことができ、他方の光ファイバは、別の選択された地理的エリアにわたって延在する別の経路を有する別の選択された光ファイバケーブル設備内の別の光ファイバ束内にある。切り替えステップは、複数の光ファイバケーブル設備への出射光の送信及び反射光の受信を時間多重化することを含むことができる。
【0018】
本方法は、接続インフラストラクチャをバイパスするためにバイパススプライシングするステップをさらに含むことができる。接続インフラストラクチャはまた、1つまたは複数のファイバ移送パネル(FTP)またはパッチパネルを含むことができる。スペクトルフィルタの帯域通過または帯域阻止周波数範囲を調整し、調整された周波数範囲に基づいて結果として得られる雑音レベルを決定することもできる。
【0019】
この方法は、音響事象の速度を決定することと、この決定に基づいて、音響事象を表す警報信号の生成を抑制またはイネーブルすることとをさらに含むことができる。
【0020】
本開示の第2の態様によれば、
分散センシングユニットと光スイッチを含む、分散音響センシングのためのシステムであって、
前記分散センシングユニットは、
光ファイバに出射光を伝送し、
光ファイバに沿って後方散乱された反射光を受信し、前記反射光は時間にわたる変動を含み、及び、
前記変動に基づいて、音響事象を表す警報信号を生成し、
前記光スイッチは、
前記分散センシングユニットを複数の光ファイバケーブル設備のうちの選択された1つに結合し、各設備はそれぞれの選択された地理的エリアを横切って延在し、光ファイバの束を含み、専用の光ファイバ電気通信ネットワークの一部を形成し、光ファイバの束は、通信のための未使用チャネルまたは非センシング点灯光ファイバを含む、
分散音響センシングのためのシステム、が提供される。
【0021】
光スイッチおよび分散検知ユニットは、企業ネットワークに接続するデータセンターに配置されてもよい。
【0022】
複数のファイバケーブル設備はデータセンターに接続されてもよいし、データセンターで終端されてもよい。
【0023】
本発明のさらなる態様および前述の段落に記載された態様のさらなる実施形態は、例として、および添付の図面を参照して与えられる以下の説明から明らかになるのであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1a図1aは、分散音響センシングのためのシステムの一例を示す。
図1b図1bは、図1aのシステムによって生成された電気信号の経時的な密度プロットの一例を示す。
図2図2は、分散音響検知の開示された方法の一例を示す。
図3a図3aは、いくつかのデータセンタービルディングを含むデータセンタークラスタの概略図である。
図3b図3bは、単一のデータセンタービルディングの概略図である。
図4図4は、異なるトレンチ条件の空中マップを示す。
図5図5は、光スイッチおよび複数の光ファイバケーブル設備に光学的に結合された図1のシステムの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
光ファイバ分散音響センシングの原理は、光ファイバの屈折率の対応する局所的摂動を引き起こす音響事象の発生に依存する。摂動された屈折率に起因して、光ファイバに沿って伝送され、その後、ファイバの長さに沿って(例えば、レイリー散乱または他の同様の散乱現象を介して)分散方式で後方散乱された光質問信号は反射光の時間にわたる変動(例えば、強度および/または位相)を示す。変動の大きさは、音響事象の重大度または近接度に関連する。分布後方散乱時間スケールに沿った変動のタイミングは、音響事象の位置に関連する。
【0026】
一例では、分散音響センシング(DAS)を使用するためのユニット100が図1aに示されている。DASユニット100は、光時間領域反射率計(OTDR)102を含む。OTDR102は、光質問信号106を発する光源104を含む。光ファイバ105に送信される質問信号106は、短い光パルスの形態であってもよい。OTDR102は反射光110を検出し、反射光強度に比例する振幅を有する対応する電気信号112を生成するように構成された光検出器108を含む。DASユニット100はまた、2つの異なった時間(tとt)の間で比較された強さの測定された変動116に基づいてアコースティック事象を決定するために、OTDR102内に、またはOTDR102とは別個に、電気信号112の変動を測定するように構成されたプロセッシングユニット114を含む。図1bは、DASユニット100によって生成された電気信号112を経時的に結合する例示的な密度プロットを示す。横軸(「チャネル」とラベル付けされた)はファイバに沿った位置を表し、縦軸(「時間」とラベル付けされた)は時間を表し、プロットの色分けされた振幅は反射強度を表す。図1bでは、相対的に一定の勾配を有する直線のような特徴がDASユニット100によって検出される関連する音響事象を引き起こす移動物体(勾配は速度を示す)に関連付けられる。OTDRが位相感受性である場合、反射光の位相変動を追加的にまたは代替的に測定することができる。図1bはまた、図1aに存在する電気信号112の減衰勾配を除去するためにオフセットされている。決定される音響事象は、掘削、掘削、掘削、交通の流れ、通り過ぎる列車及び歩行者の流れのような特定の静止又は移動の発生を示すことができる。
【0027】
分散音響センシングの方法を本明細書で説明する。開示された方法200の構成が図2に示されている。一般に、開示された方法は(a)選択された地理的領域を横切って延びる経路を有する光ファイバケーブルの設置を選択し、光ファイバケーブルの設置は光ファイバの束を含み、光ファイバ通信ネットワークの一部を形成するステップ(ステップ202)、(b)光ファイバ及び/又は選択された光ファイバに関連する特性を決定するステップ(ステップ204)、(c)光ファイバ内に出射光を送信するステップ(ステップ206)、(d)光ファイバに沿って散乱された反射光を受信するステップ(ステップ208)及び(e)反射光及び決定された特性に基づいて、音響事象を表す警報信号を生成するステップ(ステップ210)を含む。開示された方法は、選択された地理的エリアの近くまたは範囲内の音響事象の検出に有用であり得る。
【0028】
分散音響センシングのために専用の光ファイバを配備するのではなく、開示された方法は、光ファイバ通信ネットワークの一部を形成する既存の光ファイバケーブル設備を選択することに依存する。例えば、光ファイバ通信ネットワークはデータコムネットワーク(例えば、データセンターへ、またはデータセンター間から)、またはテレコムネットワーク(例えば、ローカル交換機へ、またはローカル交換機から)、または企業ネットワーク(例えば、大企業およびクラウドおよびデータセンターサプライヤーへ、または大企業およびクラウドおよびデータセンターサプライヤーから、または企業間)であってもよい。分散音響センシングのために既存の通信ネットワークから設備を選択することは専用ケーブルを設置する際の費用を回避するが、多くの技術的困難を克服する必要があり得る。結果として、当業者は、分散音響検知のための既存の光ファイバ通信ネットワークを選択することに動機付けられないであろう。さらに、当業者は、分散音響センシングのために既存の光ファイバ通信ネットワークを使用する際の技術的な困難を認識せず、これらの技術的な困難に対処する方法を認識しないであろう。
【0029】
光ファイバケーブル設置の選択
【0030】
一例では、開示された方法200がステップ202において、既存の光ファイバ設備を選択することを含む。選択された光ファイバケーブル設備は、選択された地理的エリアを横切って延びる経路を有する。選択された地理的エリアは、都市または大都市エリアであってもよい。1つの構成では光ファイバケーブル設備が光ファイバの束を含み、光ファイバは通信目的のために非点灯である。したがって、非点灯光ファイバは、分散音響センシングに使用することができる。別の構成では光ファイバケーブル設備が光ファイバの束を含み、光ファイバの1つまたは複数は通信に使用されない時間チャネルまたは波長チャネルを含む。例えば、高密度波長分割多重(DWDM)が使用される企業ネットワークでは、DWDMチャネルのすべてではないが一部だけが通信トラフィックを搬送する。残りのDWDMチャネルは未使用であってもよい。したがって、未使用チャネルのうちの1つまたは複数は、分散音響検知のために使用することができる。使用されていないチャネルまたは点灯されていない光ファイバの使用についてのさらなる言及は、いずれの構成にも適用可能である。
【0031】
1つ以上の要因が、光ファイバ設備の選択に影響を及ぼし得る。例えば、適切な選択は、既存の企業ネットワークの一部を形成するインストールに基づく。エンドツーエンドジオメトリを有する専用光ファイバとは異なり、企業ネットワークは例えば、1つまたは複数のデータセンターまたはハブを介して、複数の光ファイバケーブル設備に接続する。データセンターは、大量のファイバおよびファイバケーブルを有するという利点を有する、サーバおよびストレージの集合体を表す。一構成では、複数の光ファイバケーブル設備が都市または大都市エリアの異なる領域に及ぶことができる。したがって、企業ネットワークを選択することは、中央位置(例えば、データセンターまたはハブ)またはその近くの複数の光ファイバケーブル終端または接続点にアクセスすることによって、分散音響センシングのための比較的大きな地理的カバレージを容易にする。
【0032】
一構成では、光ファイバ設備の選択が複数のデータセンターを通過する光路を選択することに基づくことができる。例えば、ハブアンドスポーク構成では、中央データセンターが近くの複数のデータセンターに接続される。別の例として、データセンタークラスタでは、複数の近くのデータセンターが相互接続される。図3aは、互いに通信する4つのデータセンター建物302a、302b、302c、および302dを含むデータセンタークラスタ300の例を示す。クラスタ300内のデータセンタービル302は、クラスタ300から遠隔サービスプロバイダ(キャリアおよびコンテンツプロバイダなど)への外部通信を可能にする中継通信ファイバケーブル304を共有する。クラスタ300内では、データセンタービルディング302が異なるデータセンタービルディング302内のサーババンク間の交差接続を含むトレンチ内のデータセンター内通信ファイバケーブル306によって通信可能に相互接続される。各データセンタービルディング302内には、クロスコネクト308がある。データセンター内通信ファイバケーブル306はサービスプロバイダがその責任ではなく、データセンター内通信ファイバケーブル306の断線が顧客ホスティングに影響を及ぼすので、データセンターオペレータにとって重要なインフラストラクチャを表し、キャリアメッシュネットワークと同様にSDNオーバーレイ保護がない。中継通信ファイバケーブル304、データセンター内通信ファイバケーブル306、および交差接続308の各々は、光ファイバ資産を表す。光ファイバ設備の選択は、保護されるべきすべてではないにしてもほとんどの光ファイバ資産を通過する光路を選択することに基づくことができる。
【0033】
図3bの302eに示すような各データセンター内には、ファイバ転送パネル314aおよび314b内のそれぞれの屋外光ファイバケーブル312aおよび312bを受けるためのファイバブレイクアウトキャビネット310aおよび310bが示されている。開示された方法200は、バイパススプライシングのステップを含むことができる。バイパススプライシングは、センシングファイバ318が1つ以上のファイバ移送パネル(FTP)314aおよび314bまたはパッチパネルなどの接続インフラストラクチャをバイパスするように、320でスプライシングされる、熱スプライシングステップを指す。光ファイバケーブル322のいくつかは、ブレイクアウトキャビネット310aおよび310bから建物顧客キャビネット324まで延在する。他のものは、326で示されるような光クロスコネクトケーブルである。
【0034】
コヒーレントOTDRを展開するには、標準的な電気通信トランシーバ(例えば、企業ネットワークに見られるような)よりも、後方反射に対する許容度が厳しいことが必要である。FTPに一般的に見られるFC-PCのようなフラットコネクタタイプの使用は、望ましくないレベルの後方反射を生じる。バイパススプライシングのステップは、データセンター環境において、分散音響センシング(またはセンシングファイバ118)に使用される選択されたケーブル設備内のセンシングファイバ105がFTPまたはパッチパネルに接続されないことを提供する。1つの構成では、バイパススプライシングがDASユニット110におけるパッチリードから終端ユニットまでセンシングファイバ105または118を連続させる。開示された方法200はまた、センシングファイバ105または118が任意の接続インフラストラクチャを通過するかどうかを決定するステップを含み得る。この決定によれば、開示された方法200は、接続インフラストラクチャに対応するセンシングファイバ105または118の部分を除去することと、代替物としてバイパスファイバに接合することとを含むことができる。
【0035】
さらに、長距離ネットワークを介した企業ネットワークの選択は比較的短い到達ネットワークが再生または増幅を必要とせず、したがって、束内に比較的多数の光ファイバ(すなわち、比較的大きな断面)を有する傾向があり、1つまたは複数の未使用チャネルまたは非点灯光ファイバの可能性が増大するという観測に関連する。未使用チャネルまたは非点灯光ファイバはネットワーク需要の将来の成長を可能にする予備容量として機能するように、光ファイバ束の一部として敷設されていてもよい。いくつかの実施形態ではすべてのファイバが展開される場合、展開されるが、例えば、それほど重要ではないファイバが通信トラフィック以外の他の用途、例えば分散音響検知に使用されてもよいことも実現可能である。対照的に、長距離ネットワークは、ネットワークの長い到達範囲が再生または増幅を必要とするので、適切な選択ではない場合がある。したがって、長距離ネットワークは、未使用のチャネルまたは非点灯ファイバ、または重要な役割を果たしていないファイバの可能性が低減される、比較的小さい断面を有する傾向がある。
【0036】
大断面光ファイバケーブルの例は、216~624本のファイバを有するPrysmian’s(Prysmian Cavi E Sistemi Engergia s.r.l.の登録商標)Multi Loose Tube Duct Cableである。他の例では、大きな断面が32~64本の光ファイバを有する光ファイバケーブルを意味することができる。いくつかの構成では、都市または大都市エリアネットワークの到達範囲が約50~100km未満である。比較的短い到達範囲は、再生または増幅が使用されない減衰および光受信機感度によって制限される。他の構成では、本開示が都市または大都市エリアネットワークに限定されず、50~100kmに到達することにも限定されない。本開示は通信目的のために未使用のチャネルを有するか、または光ファイバを無効にする他の通信ネットワーク(例えば、国際海底光ファイバケーブル)に適用可能である。
【0037】
代替的に又は追加的に、光ファイバケーブル設置の選択は、既存のインフラストラクチャへの近接性に基づいてもよい。そのような既存のインフラストラクチャは道方法、鉄道、水道、電力、電気、電気通信、データセンター、建物、橋、トンネル、歩行者アクセス方法、河川、港湾、湖、ドック、建設現場、工業公園、および重要なインフラストラクチャを含むことができるが、これらに限定されない。さらに代替的に、または追加的に、光ファイバケーブル設置の選択は、警報信号の視聴者に応じた利害関係者のタイプに基づくことができる。ステークホルダーの種類には緊急および災害管理、重要なインフラストラクチャ管理、市民サービス、公共行政サービス、法執行、および企業のセキュリティおよび資産管理が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0038】
光ファイバケーブル設備が選択されると、開示された方法200は、DASユニット100を選択された設備に光学的に結合する(図示せず)ことを含む。光ファイバ105の終端タイプに応じて、光結合は、スプライシング(終端タイプが裸ファイバである場合)および/または接続(終端タイプがSCまたはFCコネクタなどの光コネクタである場合)を含むことができる。音響事象が決定される場合、音響事象を表す警報信号を生成することができる。警報信号生成ステップは変動の音響シグネチャに基づいて、警報信号を1つまたは複数のクラスの警報(例えば、掘削の脅威、大量の歩行者交通、大量の道路交通など)に分類することを含むことができる。警報分類におけるいくつかの技術は例えば、「ファイバー・センシング:光ファイバーは商業の動脈ネットワークを監視する」、レーザー・フォーカス・ワールド、volume-51、issue-08、2015年6月8日(http://www.laserfocusworld.com/articles/print/volume-51/issue-08/features/fiber-sensing-optical-fiber-monitors-the-arterial-networks-of-commerce.html))に要約され、さらに参照されている。一構成では、地理的エリアが光ファイバの複数のセクションに対応する複数のゾーンに分割される。この構成では、各ゾーンまたは対応するセクションが1つまたは複数の選択されたクラスの警報の生成(または1つまたは複数の除外されたクラスの警報の非生成)に関連付けられる。例えば、各ゾーンは、異なる利害関係者によって表されてもよい。利害関係者が(例えば、ガス、電力、または水を供給するための)ユーティリティ接続オペレータである場合、発電のために選択される警報のクラスは、掘削、掘削、または供給ケーブルの近くでの掘削に関連し得る。さらに、生成のために除外される警報のクラスは、歩行者交通または道路交通に関連付けられてもよい。一方、利害関係者が交通事業者(例えば、バス又は鉄道事業者)である場合、生成のために選択される警報のクラスは、歩行者交通又は道路交通に関連付けられてもよい。さらに、生成のために除外される警報のクラスは、掘削、掘削、または供給ケーブルの近くでの掘削に関連し得る。異なるゾーンまたはセクションに対する同じ光ファイバに沿った1つまたは複数の選択されたまたは除外されたクラスの警報は、レール監視、道路監視、および周辺侵入検出に関連する。
【0039】
音響較正
【0040】
開示された方法200はまた、ステップ204において、光ファイバおよび/または設備の選択された光ファイバに関連する特性を決定することを含む。一例では、この決定ステップ204が音響較正を含む。
【0041】
分散音響センシングが行われる都市または大都市エリアは、望ましくない音響干渉を有するエリアである可能性が高い。望ましくない音響干渉は決定される音響事象の特性に干渉し、マスクし、または他の形で影響を及ぼす可能性がある。一構成では、不要な音響干渉の影響を低減するために、開示される方法200は不要な音響干渉に関連する変動を低減または除去するために、検出された変動にスペクトルフィルタリングを適用することを含む。例えば、バスエンジンノイズから生じる音響干渉は低い走行速度でのエンジンの低い回転速度のために、典型的には1~120Hzの範囲であり得る。低い回転速度は、より高い音響周波数と比較してより浸透性の低い音響周波数をもたらす。そのような侵入ノイズの影響を低減するために、検出された変動は例えば、100~150Hz付近のカットオフ周波数を有するローパスフィルタによって、低周波数変動を除去または減衰するためにスペクトル的にフィルタリングされてもよい。
【0042】
さらに、開示された方法は、地理的エリアの1つまたは複数のゾーンにスペクトルフィルタリングを選択的に適用することができる。地理的エリアの異なるゾーンは、異なるスペクトルフィルタリングを必要とするか、またはスペクトルフィルタリングを必要としない場合がある。例えば、都市ゾーンから離れて高速道路上ではローパスフィルタを適用する必要はないかもしれないが、開示された方法はタイヤノイズを除去または減衰させるために帯域阻止フィルタを適用してもよい。代替的に又は追加的に、開示された方法は時間、例えば、時刻又は曜日に基づいて、スペクトルフィルタリングを変動に選択的に適用することができる。
【0043】
特定のゾーンまたは特定の時間に対する適切な帯域通過周波数または帯域阻止周波数を決定するために、ステップ204は、光ファイバに沿った周波数内容のベースラインデータを取得することを含むことができる。ベースラインデータは、個々のゾーンおよび/または特定の時間について別々に得ることができる。ベースラインデータは、特定の持続時間中の変動を監視することによって得ることができる。ベースラインデータ中の頻度内容は、特定の持続時間にわたって測定されたデータのいくつかのセットを平均することに基づくことができる。ゾーンまたは時間に基づいて使用される特定のスペクトルフィルタはベースラインデータ内の周波数成分とは反対の(例えば、反転された)帯域通過または帯域阻止プロファイルを有するように構成されてもよい。
【0044】
一構成では、開示された方法200が帯域通過または帯域阻止周波数範囲を調整することを含む。開示される方法200は、調整された周波数範囲に基づいて、結果として生じる雑音レベルを決定することをさらに含み得る。この調整は、雑音レベルが特定の閾値を下回るまで動的に実施することができる。代替的に又は追加的に、調整は、雑音レベルが特定の閾値又は別の閾値を下回るまで、再帰的に実施されてもよい。ノイズレベルは、各較正サイトにおけるノイズ帯域幅に基づいて決定されてもよい。雑音帯域幅は、DASソフトウェアにおけるチャネル分析および音響ウォーターフォール機能性、ならびに各較正サイトのための適切なウォーターフォールおよび励起周波数を選択することによって決定され得る。一構成では、雑音帯域幅が関心のある過渡信号よりもかなり長い積分時間を有するフィルタを実装することによって決定される。例えば、ノイズバックグラウンドはファイバ長に沿った位置の範囲(例えば、地上レベルより下の通信ピットに対応する)にわたるバックグラウンドノイズの閾値に関連するように、数十分にわたる時間積分に基づいて計算されてもよい。電気信号112の強度(例えば、電気通信ピットに関する)と比較したバックグラウンドノイズの音響強度の差は、ノイズ帯域幅の指標を提供する。
【0045】
空間較正
【0046】
光ファイバケーブル設備は、直線状に延びていない。さらに、設置中にファイバ長に沿った位置と地理的エリア内の対応する位置との間の相関が分かる専用ファイバの使用とは異なり、既存の光ファイバケーブルを選択することは、この相関にいくらかの不確実性を提示する。例えば、交換機内の電気通信ネットワーク内の光ファイバは、修理または継ぎ合わせの目的のために柔軟性のために余分な長さを提供するためにスプールに巻かれてもよい。さらに、光ファイバの長さは、修理または継ぎ合わせの際に変化する可能性がある。したがって、この相関を較正して、ファイバに沿った位置における任意の検出された変動を、任意の音響事象の対応する位置に正確にマッピングすることが必要である。
【0047】
一構成では、ステップ204が光ファイバに沿った位置と地理的エリア内の位置との間で空間的に較正することを含む。空間較正は光ファイバの長さに沿った検出のための変動を引き起こすために、地理的エリアの特定の位置で音響較正信号(例えば、都市中心の典型的な雑音源とは異なるように選択された420Hz+/-5Hzの単一周波数トーン)を生成することを含むことができる。音響較正信号周波数を420Hz+/-5Hzに制限することによって、都市中心部の他の音響雑音源を除去することができる。他の音響雑音源を除去することにより、図1bのチャネル1990付近に見られるように、単一周波数トーンに対応する1つの強い信号を検出することができる。例示的な例として、オペレータは特定の場所、例えば、選択された光ファイバケーブル設備に沿ったケーブルピットに移動することができ、ここで、ケーブルは必要であれば、その地点から追加のケーブルランを作ることを可能にするために、典型的には、蓋付きピット内でコイル状に巻かれる。ケーブルトレンチに沿ってx-y mの間隔で離間された各ピット内に、50m以上のケーブルをコイル状に巻くことができる。その結果、ケーブル経路長と地理的経路長との間に有意な(15%以上までの)不一致が存在する。
【0048】
地理空間較正プロセスでは、較正音響信号が連続する各ピット位置で生成され、10進数の緯度および経度のGPS座標が連続するケーブルピットで取得される。代替的に、ケーブル経路に沿った他の位置が使用されてもよく、GPS座標が記録または記録されるならば、較正音響信号は容易に検出可能である。較正音響信号に対応する光変動は、光ファイバに沿った特定の位置で検出されることが予想される。地理的領域内の位置と、変動が検出される光ファイバに沿った位置とに対応する座標の対応する対は地理空間較正基準点を形成し、この地理空間較正基準点は次に、以下に示すタイプのルックアップテーブルの一部を形成し、このルックアップテーブルは、ファイバに沿って地理的領域内のさらなる空間較正点を含む。
【0049】
【表1】

【0050】
上記の表では、各ポイントが日付及びタイムスタンプと、スマートフォンのような適切なGPS対応デバイス上のデータロガーによってキャプチャされたGPS座標に同様に関連付けられた名前又は参照とで識別される。日付ロガーはこの情報をデータセンターに送信し、そこでマッピングされる。光ファイバ上の変動のピーク点は、ファイバループが存在する可能性が高いピットが記録されている場合には終端光距離及び開始光距離と共に記録される。幅の読みは、そのループの長さを表す。タイプ列は、読み取りがケーブルで行われるか(この場合、エネルギーピーク点が関連する)、ピットで行われるか(この場合、光学開始距離および光学終了距離および光学終了幅が関連する)を示す。
【0051】
音響事象が2つの較正点の間のファイバに沿った位置で検出される場合、補間(例えば、線形または非線形)を使用して、地理的エリア内の対応する発生の位置を推定することができる。音響事象が最初の較正点および最後の較正点を超えるファイバに沿った位置で検出される場合、外挿(例えば、線形または非線形)を使用して、地理的エリア内の対応する出現の位置を推定することができる。上記の地理空間較正方法を使用することによって、位置検出および検出機能を実行することに専用ではなく、むしろ本開示で企図されるタイプの専用通信および企業ネットワークである光ファイバネットワークの場合に遭遇する実質的な変動を低減することができ、位置検出の精度をネットワーク全体にわたってかなり実質的に改善することができる。地理空間位置への光路長のこの較正は、ケーブル事象の位置を決定する既存の方法では出願人が理解する方法では脅威またはケーブル破断事象に対する要員の正確な待ち行列化を可能にする。
【0052】
物理較正
【0053】
ステップ204は、音響分散検知のために選択された光ファイバの物理的較正をさらに含むことができる。専用ファイバ展開とは異なり、開示された方法200は、一般に特徴付けられていない特性の光ファイバの使用を含む。例えば、そのコア特性、減衰特性、およびトレンチ特性は、一般に未知である。得られた特性は、検出された変動の較正に使用することができる。
【0054】
一構成では、ステップ204が光ファイバのコア特性を取得することを含む。コア特性は、コア直径および/または開口数を含むことができる。コア特性は光源の発射パワーに影響を及ぼすことがあり、これは、反射光の強度にも影響を及ぼす。例えば、発射パワーによって増加させることができる最小反射強度は、光検出器のノイズフロアによって制限される。コア特性に基づいて、光源の発射パワーは所望の到達範囲を達成するために、ステップ206において、それに応じて調整されてもよい。代替的に又は追加的に、ステップ204は、光ファイバの減衰特性を得ることを含む。減衰特性は、単位長さ当たりの伝搬損失、既存の故障、および/または接合点を含むことができる。減衰特性は、分布音響検知の到達範囲に影響を及ぼし得る。例えば、伝搬損失が大きくなると到達距離が低下する。さらに、既存の故障および/またはスプライスされた点はそうでなければ故障のない、またはスプライスのないファイバにおける変動と比較して、反射光における異なる変動(増幅または低減)を引き起こし得る。
【0055】
減衰特性に基づいて、発射パワーは所望の到達範囲を達成するために、ステップ206において相応に調整されてもよい。さらに代替的にまたは追加的に、ステップ204は、光ファイバのトレンチ特性を得ることを含む。トレンチ特性は、埋設条件および/またはケーブル同封物条件によって影響される特性を含む。例えば、光ファイバは、100mmのPVC導管内に封入されてもよく、および/またはセメントトレンチ、土器および地下トンネル内に埋め込まれてもよい。トレンチ特性は、音響事象の音響シグネチャをマスクするか、または他の方法で影響を及ぼすことができる。図4は、オーストラリア、シドニーのサーキュラー・クウェイ地域における航空地図を示す。空中地図は光ファイバの複数のセクション(少なくともラベル「ch1346」および「ch1384」によって表される)で重ねられ、各セクションは円形Quayエリアの近くの位置(それぞれ、BentおよびBlighストリートのコーナー、ならびにMacquarieおよびBridgeストリートのコーナー)に対応する。ここで、光ファイバの異なるセクションは異なるトレンチ条件にさらされ、これは、ケーブル供給業者から、または試験場所による音響測定から得ることができる。例えば音響測定を介して得られるトレンチ特性は、上述の「ファイバ検知:光ファイバが商業の動脈ネットワークを監視する」に記載されている警報分類におけるいくつかの技術と併せて、ステップ210において検出された変動の較正のために使用されてもよい。
【0056】
静的、ゆっくり動く、または速く動くオカレンス
【0057】
上述したように、音響事象(決定される対象物を含む)は、特定の静止または移動の発生を示すことができる。例えば、図1bに示すように、比較的一定の勾配を有する直線などの特徴は、DASユニット100によって検出される関連音響事象を引き起こす移動物体(勾配は速度を示す)に関連付けられる。開示された方法200は、音響事象が静止しているか移動しているかを判定するステップを含むことができる。この決定は移動音響事象がゆっくりと移動する騒音源(例えば、掘削、掘削、ボアトンネリング等)に関連するか、または高速で移動する騒音源(例えば、車両、列車等)に関連するかを含むことができる。例えば、判断は音響事象の推定速度(例えば、直線の勾配に基づく)を閾値速度値と比較することを含むことができる。音響事象の推定速度が閾値速度値より低い場合、音響事象はゆっくりと動いているか、または静止していると判定され、そうでない場合は、音響事象は速く動いていると判定される。開示された方法200は、決定に基づいて、音響事象を表す警報信号の生成を抑制するステップをさらに含むことができる。この抑制は特に、良性の都市活動(例えば、歩行者の歩行、バスおよび列車の移動)の発生数が真の脅威(例えば、光ファイバー、掘削、掘削および掘削に従事する技術者またはエンジニア)の発生数よりもはるかに高くなり得る都市環境において、誤警報を回避するのに有用である。
【0058】
例えば、電気通信インフラストラクチャの文脈では静止またはゆっくりと移動する雑音源の検出がその雑音源が脅威である可能性が高いことを示し、高速で移動する雑音源の検出はその雑音源が脅威である可能性が低いことを示す。脅威尤度は(例えば、低、中及び高のスケールで、又は1~10のスケールで)等級付けされてもよい。脅威警報が生成される(または生成されない)閾値グレードは、ユースケースコンテキストに基づいて、例えば動的に調整可能であってもよい。このような抑制がなければ、開示された方法を無効にする点まで、多数の誤警報が生成される可能性がある。1つの構成では、しきい速度値および/またはしきい勾配が誤警報の数を低減するように調整されてもよい。
【0059】
スイッチング
【0060】
1つのDASユニット100から監視することができる既存の光ファイバケーブルの全長を増大させるために、1つの構成では開示された方法が出射光の送信および反射光の受信を、通信のために別の未使用チャネルまたは非点灯光ファイバに切り替えることをさらに含み、他方の光ファイバは別の選択された地理的エリアにわたって延在する別の経路を有する別の選択された光ファイバケーブル設備内の光ファイバの別の束内にある。
【0061】
図5は分布音響センシングシステム400を形成するために、例えば光ファイバを介して光スイッチ500に光学的に結合されたDASユニット100の一例を概略的に示す。光スイッチ500は、複数の光ファイバ設備(502a、502b、502c、502d、および502e)に接続するデータセンターまたはハブに配置されてもよい。DASユニット100は光スイッチ500と一緒に配置されていてもよいし、光スイッチ500とは別個に配置されていてもよい。DASユニット100が、データセンターまたはハブ内の光スイッチ500と一緒に配置される場合、DASユニット100は光通信ネットワーク(例えば、企業ネットワーク、クラウドプロバイダネットワーク、IPトランジットプロバイダネットワーク、インターネットサービスプロバイダネットワーク、および地域、大都市、および長距離ネットワークを含む電気通信キャリアネットワーク)のエコシステムに近接している。したがって、データセンターまたはハブのDASユニット100は、分散音響センシングのために1つまたは複数の異なる通信ネットワーク型に選択的にアクセスするように構成することができる。上述したように、一例では、企業ネットワークの選択が比較的大きな光ファイバ断面の利点を提供する。
【0062】
光スイッチ500は、DASユニット100と複数の光ファイバ設備(502a、502b、502c、502d、および502e)のいずれか1つとの間で光を結合するように構成される。複数の光ファイバ設備502は、一緒になって、ファイバ設備502のうちのいずれか1つだけによってスパンされるのであろうよりも大きな地理的エリアにまたがる。一構成では、光スイッチ500が複数の光ファイバ設備を時間多重化する。例えば、出射光の送信および反射光の受信は、複数の光ファイバ設備を通って循環され、規則的な間隔で次の設備に切り替えられる。
【0063】
状況によっては、異なる設備が同じ音響事象を検出して、音響事象の位置を特定する空間精度を高めることができる。例えば、音響事象は設備502bおよび502cの両方によって検出されてもよいが、設備502a、502dおよび502eによっては検出されなくてもよい。このような検出は、対応する出現が502bと502cとの間の地理的領域に位置することを示す。インストール502bのみが問い合わせられた場合、検出はオカレンスがどこに位置するか(例えば、インストール502aと502bとの間、またはインストール502bと502cとの間)に関して不確実性を提示する可能性がある。音響事象が地震波を生成する場合、波は、複数のケーブルを横切って伝播することができる。この場合、エピセンターは、伝播方向および飛行時間計算の測定値に基づいて三角測量されてもよい。ここで、本開示の構成が説明されるが、説明された構成が以下の利点を有することは当業者には明らかであろう。
【0064】
分散音響センシングのために専用の光ファイバを配備する費用が回避される。
【0065】
不動産または土地が別の当事者によって所有されているので、専用のセンサシステムを見つけることがさもなければ可能ではない特定の場所で、資産または音響事象を測定する能力。
【0066】
較正ステップは、既存の設備を、そうでなければ専用の光ファイバ配置には存在しないであろう不完全または非理想的な特性に適合させる。
【0067】
切り替えが使用される場合、システムは、関心のある地理的エリアまたは監視されるべきケーブルの全長を拡張するように容易にスケーリングすることができる。さらに、切り替えは、ケーブルの外側に出現する場所を特定する空間的精度を高めることができる。
【0068】
本明細書に開示され、定義される本発明は、本文または図面に言及され、またはそれらから明らかな個々の特徴のうちの2つ以上の代替的な組み合わせのすべてに及ぶことが理解されるのであろう。例えば、任意の1つ以上の較正ステップを、別々にまたは一緒に使用することができる。これらの異なる組み合わせの全ては、本開示の様々な代替を構成する。
図1a
図1b
図2
図3a
図3b
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-12-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散音響センシング方法であって、
選択された地理的エリアを横切って延びる経路を有する光ファイバケーブル設備を選択するステップであって、前記光ファイバケーブル設備は光ファイバの束を含み、前記光ファイバは、確立された専用の光ファイバ通信ネットワークの一部を形成し、前記光ファイバの束は、(1)通信トラフィックを搬送するための少なくとも1つの光ファイバ又はチャネルを含む第1のサブセットと、(2)通信のために使用されず、若しくは点灯されていないか、又は使用され、若しくは点灯されてはいるものの重要度がより低い少なくとも1つの光ファイバ又はチャネルを含む第2のサブセットと、を含むステップと、
前記光ファイバの束の前記少なくとも1つの光ファイバ又はチャネルの前記第2のサブセットを分散音響検知のために使用するステップであって、
前記光ファイバの束の長さに沿った1つ以上の位置と前記選択された地理的エリア内の対応する1つ以上の位置との間の地理的なマッピングをすることによって空間的な較正を行うことを含む、前記選択された光ファイバケーブル設備内の前記光ファイバの束の少なくとも一部に関連する特性を決定するステップ、
光時間領域反射率計(OTDR)を使用して少なくとも1つの光ファイバ又はチャネルの前記第2のサブセットを通して出射光を送信するステップ、及び
前記OTDRを使用して光ファイバまたはチャネルの前記第2のサブセットに沿って後方散乱される反射光を受け取ること、この反射光は経時的な変動を含むステップを有するステップと、
前記変動および前記決定された特性に基づいて、音響事象を表す警報信号を生成するステップと、を含み、
前記特性を決定するステップは、1つの光ファイバ又はチャネルの前記第2のサブセットのコア直径および開口数の少なくとも1つを含むコア特性、埋設条件およびケーブル同封物条件の少なくとも1つを含むトレンチ特性、並びに伝搬損失、既存の欠陥、および接合点の少なくとも1つを含む減衰特性のうちの1つ又は複数を取得して少なくとも1つの光ファイバ又はチャネルの前記第2のサブセットを物理的に較正するステップを含む、
分散音響センシング方法。
【請求項2】
前記光ファイバ通信ネットワークが、光ファイバ設備によって相互接続された複数のデータセンタを含む、確立された都市または大都市エリアネットワークまたは企業ネットワークである請求項1に記載の分散音響センシング方法。
【請求項3】
前記音響事象の推定速度を閾値速度値と比較することによって、前記音響事象が静止しているか、ゆっくり動いているか、または速く動いているかどうかを決定するステップを含み、前記音響事象の前記推定速度は、ある期間にわたって前記音響事象によって生成された足跡の勾配に基づいて決定される、請求項1に記載の分散音響センシング方法。
【請求項4】
前記決定に基づいて、前記音響事象を表す前記警報信号の生成を抑制することを含む、請求項3に記載の分散音響センシング方法。
【請求項5】
前記地理的なマッピングは、更に、
少なくとも1つの光ファイバまたはチャネルの前記第2のサブセットに沿った1つ若しくは複数の位置またはその近傍において音響較正信号を生成するステップと、
地球表面上の地理的座標に関して前記位置の地理的位置を決定およびロギングするステップと、
少なくとも1つの光ファイバまたはチャネルの前記第2のサブセットに沿って後方散乱された受信反射光において地理的エリア内の1つまたは複数の位置で対応する変動を検出するステップと、
1つまたは複数の前記地理的位置に対応する少なくとも1つの光ファイバまたはチャネルの前記第2のサブセットの経路長を決定するステップと、を含む、
請求項1~4のいずれか1項に記載の分散音響センシング方法。
【請求項6】
前記地理的なマッピングは、さらに、少なくとも1つの光ファイバまたはチャネルの前記第2のサブセットの前記経路長を前記1つまたは複数の位置の前記地理的座標と相関させて、前記経路長を地理的座標と相関させるルックアップテーブルを生成するステップを含む、請求項5に記載の分散音響センシング方法。
【請求項7】
前記警報信号を生成するステップは、前記地理的なマッピングに基づいて検出された対応する変動に基づいて、前記選択された地理的エリアにおけるインシデントの発生の位置を決定することを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の分散音響センシング方法。
【請求項8】
前記特性を決定するステップは、望ましくない音響干渉の影響を低減するために、少なくとも1つの光ファイバまたはチャネルの前記第2のサブセットを音響的に較正することを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の分散音響センシング方法
【請求項9】
前記音響的に較正するステップは、スペクトルフィルタを前記変動に適用して、望ましくない音響干渉を帯域通過または帯域阻止することを含む、請求項8に記載の分散音響センシング方法。
【請求項10】
前記選択された地理的エリアは少なくとも1つの光ファイバまたはチャネルの前記第2のサブセットの複数のセクションに対応する複数のゾーンを含み、
前記スペクトルフィルタを適用するステップは、前記複数のゾーンまたは対応するセクションのうちの1つに基づいて、帯域通過または帯域阻止特性を有する前記スペクトルフィルタを適用するステップを含む、請求項9に記載の分散音響センシング方法
【請求項11】
前記スペクトルフィルタを適用するステップは、一日の時間および/または一週間の曜日に基づいて、帯域通過特性または帯域阻止特性を有するスペクトルフィルタを適用することを含む、請求項9に記載の分散音響センシング方法。
【請求項12】
前記警報信号を生成するステップは、前記変動の音響シグネチャに基づいて、前記警報信号を1つまたは複数のクラスの警報に分類することを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の分散音響センシング方法
【請求項13】
選択された地理的エリアは少なくとも1つの光ファイバまたはチャネルの前記第2のサブセットの複数のセクションに対応する複数のゾーンを含み、各ゾーンまたは対応するセクションは、1つまたは複数の選択されたクラスの警報の生成に関連付けられる、請求項12に記載の分散音響センシング方法
【請求項14】
選択された地理的エリアは少なくとも1つの光ファイバまたはチャネルの前記第2のサブセットの複数のセクションに対応する複数のゾーンを含み、各ゾーンまたは対応するセクションは、1つまたは複数の除外されたクラスの警報の非生成に関連付けられる、請求項12に記載の分散音響センシング方法
【請求項15】
少なくとも1つの光ファイバまたはチャネルの第2のサブセットの各ゾーンまたはセクションに対応する前記1つまたは複数の選択されたまたは除外されたクラスの警報は、レール監視、道路監視、および周辺侵入検出に関連する、請求項13または請求項14に記載の分散音響センシング方法
【請求項16】
分散音響センシングユニットを、光スイッチを介して複数のファイバケーブル設備に接続するステップを備え、
光ファイバケーブル設備は、前記光スイッチによって前記複数のファイバケーブル設備から選択されるとともに、前記警報信号は、前記変動および決定された特性に基づいて前記分散音響センシングユニットによって生成される、請求項1~15のいずれか1項に記載の分散音響センシング方法。
【請求項17】
少なくとも1つの光ファイバまたはチャネルの前記第2のサブセットは、掘削、掘削、掘削、交通の流れ、選択された地理的エリアの近傍または内部を通り過ぎる列車及び歩行者の流れである音響事象を音響的に検知するのに使用される、請求項1~16のいずれか1項に記載の分散音響センシング方法。
【請求項18】
前記選択された光ファイバケーブル設備における前記光ファイバの束の少なくとも一部に関連する特性を決定するステップは、摂動源と前記光ファイバの束の前記少なくとも一部との間に位置する前記少なくとも1つの媒体を、前記少なくとも1つの媒体が生成する伝達関数を決定することによって音響較正および/または地震較正することを含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の分散音響センシング方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの媒体が生成する前記伝達関数を決定するステップは、前記少なくとも1つの媒体の音響インピーダンスの変動を考慮に入れて、前記摂動源の空間位置、動力学、および音源周波数のうちの少なくとも1つが決定され得るように、前記少なくとも1つの媒体の音響インピーダンスの変動を決定することを含む、請求項18に記載の分散音響センシング方法。
【請求項20】
前記確立された専用の光ファイバ通信ネットワークは、通信のために使用されず、若しくは点灯されていないか、又は使用され、若しくは点灯されてはいるものの重要度のより低い海底通信目的のための海底光ファイバを含む、請求項1に記載の分散音響センシング方法。