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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152115
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】光電解モジュール
(51)【国際特許分類】
   C25B 9/50 20210101AFI20231005BHJP
   C25B 1/04 20210101ALI20231005BHJP
   C25B 1/55 20210101ALI20231005BHJP
   C25B 9/23 20210101ALI20231005BHJP
   C25B 9/65 20210101ALI20231005BHJP
   C25B 9/70 20210101ALI20231005BHJP
   C25B 9/60 20210101ALI20231005BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20231005BHJP
   C25B 15/02 20210101ALI20231005BHJP
   C25B 11/052 20210101ALI20231005BHJP
   C25B 11/067 20210101ALI20231005BHJP
   C25B 11/087 20210101ALI20231005BHJP
   C25B 11/077 20210101ALI20231005BHJP
   C25B 1/30 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
C25B9/50
C25B1/04
C25B1/55
C25B9/23
C25B9/65
C25B9/70
C25B9/60
C25B9/00 A
C25B15/02
C25B11/052
C25B11/067
C25B11/087
C25B11/077
C25B1/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062063
(22)【出願日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】戸澤 友和
(72)【発明者】
【氏名】杉山 幹人
【テーマコード(参考)】
4K011
4K021
【Fターム(参考)】
4K011AA20
4K011AA29
4K011DA01
4K021AA01
4K021AB15
4K021CA05
4K021CA15
4K021DB06
4K021DB18
4K021DB43
4K021DB49
4K021DB53
4K021DC03
4K021DC15
4K021EA01
4K021EA07
(57)【要約】
【課題】本発明は、外部から電力を供給せずとも光電解が可能な光電解モジュールを提供する。
【解決手段】透明基板と、裏面封止部材と、電解部と、太陽電池を有し、電解部は、透明基板と裏面封止部材の間に配されており、電解部は、少なくとも2つの光触媒セルが電気的に直列接続された電解ユニットを有し、光触媒セルは、光触媒電極部と、イオン交換膜と、イオン交換膜を挟んで光触媒電極部と対向する対向電極部を有しており、太陽電池は、透明基板と裏面封止部材の間に配されており、かつ光を受光することで電力を生成し、生成した電力を電解ユニットに給電する構成とする。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板と、裏面封止部材と、電解部と、太陽電池を有し、
前記電解部は、前記透明基板と前記裏面封止部材の間に配され、少なくとも2つの光触媒セルが電気的に直列接続されて構成されており、
前記光触媒セルは、光触媒電極部と、イオン交換膜と、前記イオン交換膜を挟んで前記光触媒電極部と対向する対向電極部を有しており、
前記太陽電池は、前記透明基板と前記裏面封止部材の間に配されており、かつ光を受光することで電力を生成し、生成した電力を前記電解部に給電する、光電解モジュール。
【請求項2】
前記電解部は、3つ以上の光触媒セルが電気的に直列接続されている、請求項1に記載の光電解モジュール。
【請求項3】
絶縁性を有する区画部材を有し、
前記区画部材は、前記2つの光触媒セルの前記光触媒電極部の間を横切っている、請求項1又は2に記載の光電解モジュール。
【請求項4】
前記2つの光触媒セルは、前記イオン交換膜を共有している、請求項1又は2に記載の光電解モジュール。
【請求項5】
前記透明基板を正面視したときに、前記電解部と前記太陽電池を囲繞する側面封止部材を備えており、
前記側面封止部材は、第1封止部と第2封止部が積層された積層構造を有し、
前記第1封止部と前記第2封止部は、前記イオン交換膜を挟んで前記イオン交換膜の姿勢を保持する、請求項4に記載の光電解モジュール。
【請求項6】
前記透明基板を正面視したときに、前記電解部と前記太陽電池を囲繞する側面封止部材を備えており、
前記電解部と前記太陽電池は、前記透明基板、前記裏面封止部材、及び前記側面封止部材によって封止されている、請求項1又は2に記載の光電解モジュール。
【請求項7】
前記太陽電池から前記電解部に供給される電力量を調整する電力調整部を備える、請求項1又は2に記載の光電解モジュール。
【請求項8】
前記2つの光触媒セルを電気的に接続するセル間配線部材を有し、
前記透明基板を正面視したときに前記電解部を囲繞する囲繞壁部を有し、
前記光触媒電極部は、下地電極部上に光触媒が担持されており、
前記下地電極部は、前記囲繞壁部の内外に延び、前記囲繞壁部の外部で前記セル間配線部材と接続されている、請求項1又は2に記載の光電解モジュール。
【請求項9】
前記太陽電池と前記電解部を接続する給電配線部材を有し、
前記透明基板を正面視したときに前記電解部を囲繞する囲繞壁部を有し、
前記光触媒電極部は、下地電極部上に光触媒が担持されており、
前記下地電極部は、前記囲繞壁部の内外に延び、前記囲繞壁部の外部で前記給電配線部材と接続されている、請求項1又は2に記載の光電解モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光エネルギーを用いて水等の電解液を分解する光電解モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、燃料電池モジュールの普及により、燃料電池モジュールの燃料極に使用される水素原料の需要が増えており、太陽光によって水を分解し、水素を発生させる光触媒の研究が注目されている(例えば、特許文献1)。
光触媒による水素原料の製法は、光触媒を塗膜した電極(以下、光触媒電極ともいう)で太陽光を受光し、さらに電源装置として太陽電池等の再生可能エネルギー装置によって光触媒電極と対極との間で水の分解電圧を印加することで、対極上で水が分解され、二酸化炭素を排出させずに水素を発生できるので、従来の化石燃料を用いた水素の製法に比べて環境負荷が小さい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5628840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の水素発生モジュールは、光分解を行う光電解モジュールとは別に電源装置が設けられている。そのため、電源装置から光電解モジュールに給電するための給電配線を光電解モジュールの外部に設ける必要があり、設置の際に給電配線の接続が煩わしいという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、外部から電力を供給せずとも光電解が可能な光電解モジュールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するための本発明の一つの様相は、透明基板と、裏面封止部材と、電解部と、太陽電池を有し、前記電解部は、前記透明基板と前記裏面封止部材の間に配され、少なくとも2つの光触媒セルが電気的に直列接続されて構成されており、前記光触媒セルは、光触媒電極部と、イオン交換膜と、前記イオン交換膜を挟んで前記光触媒電極部と対向する対向電極部を有しており、前記太陽電池は、前記透明基板と前記裏面封止部材の間に配されており、かつ光を受光することで電力を生成し、生成した電力を前記電解部に給電する、光電解モジュールである。
【0007】
本様相によれば、モジュール内に太陽電池と電解部を有し、太陽電池によって発電された電力によって電解部で電解できるので、外部から電力を供給せずとも光電解が可能である。また化石燃料等を用いずとも電解可能であり、環境にやさしい。
【0008】
好ましい様相は、前記電解部は、3つ以上の光触媒セルが電気的に直列接続されている。
【0009】
本様相によれば、より電解効率を向上できる。
【0010】
好ましい様相は、絶縁性を有する区画部材を有し、前記区画部材は、前記2つの光触媒セルの前記光触媒電極部の間を横切っていることである。
【0011】
本様相によれば、光触媒セルの光触媒電極部が区画部材によって区画されているので、光触媒セルの光触媒電極部同士が直接接触することによる短絡を防止できる。
【0012】
好ましい様相は、前記2つの光触媒セルは、前記イオン交換膜を共有している。
【0013】
本様相によれば、複数の光触媒セルがイオン交換膜を共有しているため、部品点数を少なくでき、コストを低減できる。
【0014】
より好ましい様相は、前記透明基板を正面視したときに、前記電解部と前記太陽電池を囲繞する側面封止部材を備えており、前記側面封止部材は、第1封止部と第2封止部が積層された積層構造を有し、前記第1封止部と前記第2封止部は、前記イオン交換膜を挟んで前記イオン交換膜の姿勢を保持する。
【0015】
本様相によれば、側面封止部材がイオン交換膜の保持を兼ねているため、部品点数を少なくでき、コストを低減できる。
【0016】
好ましい様相は、前記透明基板を正面視したときに、前記電解部と前記太陽電池を囲繞する側面封止部材を備えており、前記電解部と前記太陽電池は、前記透明基板、前記裏面封止部材、及び前記側面封止部材によって封止されている。
【0017】
本様相によれば、電解部と太陽電池を封止しやすい。
【0018】
好ましい様相は、前記太陽電池から前記電解部に供給される電力量を調整する電力調整部を備えることである。
【0019】
本様相によれば、安定した電力を電解部に供給できる。
【0020】
好ましい様相は、前記2つの光触媒セルを電気的に接続するセル間配線部材を有し、前記透明基板を正面視したときに前記電解部を囲繞する囲繞壁部を有し、前記光触媒電極部は、下地電極部上に光触媒が担持されており、前記下地電極部は、前記囲繞壁部の内外に延び、前記囲繞壁部の外部で前記セル間配線部材と接続されていることである。
【0021】
本様相によれば、囲繞壁部の外部で下地電極部が接続されているため、短絡しにくく、安全性が高い。
【0022】
好ましい様相は、前記太陽電池と前記電解部を接続する給電配線部材を有し、前記透明基板を正面視したときに前記電解部を囲繞する囲繞壁部を有し、前記光触媒電極部は、下地電極部上に光触媒が担持されており、前記下地電極部は、前記囲繞壁部の内外に延び、前記囲繞壁部の外部で前記給電配線部材と接続されている。
【0023】
本様相によれば、短絡しにくく、安全性が高い。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、外部から電力を供給せずとも光電解が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1実施形態の光電解システムの要部の水平面への設置状況を模式的に示した斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態の光電解システムの説明図であり、(a)は光電解システムの配管系統図であり、(b)は光電解モジュールの電気回路図である。
図3図1の光電解モジュールの分解斜視図である。
図4図1の光電解モジュールのA-A断面図である。
図5図4の光電解モジュールの断面に対して直交する断面図である。
図6図3の光電解パネルの分解斜視図である。
図7図6の電解部の分解斜視図である。
図8図7の光触媒電極部の分解斜視図である。
図9図1の光電解モジュールの説明図であり、(a)はイオン交換膜よりも透明基板側の部材の位置関係を表す平面図であり、(b)は裏面封止部材よりも透明基板側の部材の位置関係を表す平面図である。
図10図9の光電解モジュールの説明図であり、(a)は図9(a)において光触媒電極部を省略した平面図であり、(b)は図9(b)において対向電極部を省略した平面図である。
図11図1の光電解システムにおいて過酸化水素を濃縮する際の配管系統図である。
図12】本発明の他の実施形態の光電解モジュールの説明図であり、イオン交換膜よりも透明基板側の部材の位置関係を表す平面図である。
図13】本発明の他の実施形態の光電解モジュールの断面図である。
図14】本発明の他の実施形態の光電解モジュールの要部の一部破断斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0027】
本発明の第1実施形態の光電解システム1は、図1図2のように、複数の光電解モジュール2(2a~2c)と、電解液供給装置3と、水素貯留部5と、過酸化水素貯留部6と、気液分離部7と、酸素処理部8を備えており、各光電解モジュール2a~2cで電解液37,38たる水を光電解して主に水素ガスと過酸化水素を生成するものである。
【0028】
(光電解モジュール2)
光電解モジュール2は、図1のように、受光面40が水平面GLに対して傾斜角度θ1で傾斜又は直交した姿勢で設置されるものである。
傾斜角度θ1は、0度超過90度以下であることが好ましく、15度以上60度以下であることが好ましい。
光電解モジュール2は、図3のように、光電解パネル10と、ガスケット部材11a,11bと、フレーム部材12a,12bを備えている。
【0029】
(光電解パネル10)
光電解パネル10は、図6のように、透明基板20と、電解部21と、側面封止部材22と、裏面封止部材23と、太陽電池24と、セル間配線部材25a~25cと、給電配線部材26a,26bと、電解液導入配管部27,28と、ガス排出配管部30と、ガス連通配管部31(31a,31b)を備えている。
光電解パネル10は、図4図5のように、電解部21のイオン交換膜53によって光触媒側空間35と、対向側空間36に区画されており、各空間35,36内に電解液37,38が充填されている。
【0030】
(透明基板20)
透明基板20は、透光性と絶縁性を有した透明絶縁基板であり、電解部21を支持する支持基板である。
透明基板20は、透光性と絶縁性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ガラス基板が使用できる。
本実施形態の透明基板20は、図4のように、光電解パネル10の受光面40を構成している。
【0031】
(電解部21)
電解部21は、各電解液37,38をそれぞれ電解する部位である。
電解部21は、図7のように、主に複数の光触媒電極部50a~50dと、供給配線部51と、区画部材52a~52cと、イオン交換膜53と、対向電極部55a~55dによって構成されており、図9のように透明基板20を正面視したときに、区画部材52a~52cによって複数の光触媒セル56a~56dに区画されている。
【0032】
(光触媒電極部50a~50d)
光触媒電極部50a~50dは、図8のように、透明基板20側から、透明電極層60、補助電極層61、及び光触媒層62の順に積層されて構成され、光触媒層62で光を受光することで第1電解液37を酸化して過酸化水素を発生させるアノード電極層である。
光触媒電極部50a~50dは、図1図7から読み取れるように、左右方向に幅を持ち、傾斜方向に帯状に延びており、左右方向に間隔を空けて配されている。
【0033】
透明電極層60は、透光性と導電性を有する透明導電層である。
透明電極層60は、透光性と導電性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)やフッ素ドープ酸化スズ(FTO)等の透明導電性酸化物が使用できる。
補助電極層61は、透明電極層60の導電性を補助する導電層であり、透明電極層60とともに光触媒層62の下地となる下地電極部63を構成するものである。
補助電極層61は、透明電極層60よりも導電率が高い。
補助電極層61は、図8のように、細線が梯子状になったものであり、厚み方向に光を透過させるための光透過孔を複数有している。
【0034】
光触媒層62は、光触媒で構成される層であり、下地電極部63に光触媒が担持されて形成されている。
光触媒層62を構成する光触媒は、光触媒活性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、三酸化タングステン(WO)触媒、バナジン酸ビスマス(BiVO)触媒、酸化スズ(SnO)触媒、酸化チタン(TiO)触媒、ヘマタイト(Fe)触媒などが使用できる。
【0035】
(供給配線部51)
供給配線部51は、イオン交換膜53に第1電解液37を供給する電解液供給配線部であり、本実施形態ではイオン交換膜53に第1電解液37として水を給水する給水部である。
供給配線部51は、図7のように、格子状であり、厚み方向に光を透過させるための光透過孔を複数有している。
供給配線部51は、多孔質樹脂で構成され、第1電解液37が供給されると孔内の空気と第1電解液37が置換されて第1電解液37を吸い込み、外力を受けると第1電解液37を放出することが可能となっている。
本実施形態の供給配線部51は、具体的にはスポンジであり、電解液導入配管部27,28から導入された電解液37を吸い込み、イオン交換膜53に供給することが可能となっている。
また、本実施形態の供給配線部51は、イオン交換膜53に接触し、かつ各光触媒電極部50a~50dと近接又は接触しており、光電解モジュール2に外力が働いたときに光触媒電極部50a~50dとイオン交換膜53の間隔を維持する間隔維持部材でもある。
【0036】
(区画部材52a~52c)
区画部材52a~52cは、図7図9のように、複数の光触媒セル56a~56dに区画する区画壁部であり、第1区画部65と、第2区画部66で構成されている。
第1区画部65は、図7図9(a)のように、イオン交換膜53を基準として光触媒セル56a~56dの光触媒電極部50a~50d側を区画する部位である。
第1区画部65は、透明基板20とイオン交換膜53を接着する接着部材であり、光電解モジュール2に外力が働いたときに、透明基板20とイオン交換膜53の間隔を維持する間隔維持部材でもある。
【0037】
第2区画部66は、図7図9(b)のように、イオン交換膜53を基準として光触媒セル56a~56dの対向電極部55a~55d側を区画する部位である。
第2区画部66は、イオン交換膜53と裏面封止部材23を接着する接着部材であり、光電解モジュール2に外力が働いたときに、イオン交換膜53と裏面封止部材23の間隔を維持する間隔維持部材でもある。
本実施形態の区画部65,66は、ともに液状の接着剤が硬化して形成されたものであり、封止性と接着性を有している。
【0038】
(イオン交換膜53)
イオン交換膜53は、図4図5のように、光触媒側空間35と対向側空間36を仕切るセパレータである。
イオン交換膜53は、厚み方向において、特定のイオンのみを移動可能とし、残りのイオンや電子の移動を規制する膜である。
本実施形態のイオン交換膜53は、陽イオン交換膜であり、陰イオンや電子の移動を制限又は不能にし、陽イオンだけを移動可能としている。
また、イオン交換膜53は、厚み方向のガスの流通を遮断する遮断膜でもある。
イオン交換膜53は、イオン交換が可能であり、水素や酸素がクロスオーバーしなければ材質は特に限定されない。
イオン交換膜53としては、例えば、ナフィオン(登録商標)等のパーフルオロアルキルスルホン酸系ポリマーの膜などの高分子膜が使用できる。
【0039】
(対向電極部55a~55d)
対向電極部55a~55dは、図7のように、光触媒電極部50a~50dと対をなし、イオン交換膜53を挟んで光触媒電極部50a~50dと対向する電極であり、第2電解液38を還元して水素ガスを発生させるカソード電極である。
対向電極部55a~55dは、図1図7のように、左右方向に幅を持ち、傾斜方向に帯状に延びており、左右方向に間隔を空けて配されている。
対向電極部55a~55dは、網目状であって複数の開口部を有しており、厚み方向に光が透過可能となっている。
本実施形態の対向電極部55a~55dは、金属製のメッシュ部材である。
【0040】
(光触媒セル56a~56d)
光触媒セル56a~56dは、図5図9のように、透明基板20を正面視したときに、光触媒電極部50a~50dとイオン交換膜53と対向電極部55a~55dが重畳した部分である。各光触媒セル56a~56dは、図5のように、イオン交換膜53が共通となっている。
【0041】
(側面封止部材22)
側面封止部材22は、透明基板20と裏面封止部材23を接着する接着部材である。
側面封止部材22は、図6のように、第1封止部70と、第2封止部71が積層構造をしており、図4図5のように第1封止部70と第2封止部71によって挟んでイオン交換膜53を保持する保持部材である。
第1封止部70は、図6のように、上方側壁部72と、左側方側壁部73と、右側方側壁部74と、下方側壁部75と、境界壁部76を備えている。
第2封止部71は、第1封止部70と対をなし、第1封止部70と同様の形状をしている。
第2封止部71は、上方側壁部82と、左側方側壁部83と、右側方側壁部84と、下方側壁部85と、境界壁部86を備えている。
本実施形態の封止部70,71は、ともに区画部材52a~52cと同様の材料によって構成されている。すなわち、封止部70,71は、液状の接着剤が硬化して形成されており、接着性と封止性を有している。
【0042】
側面封止部材22は、別の観点からみると、図9(b)のように、透明基板20を正面視したときに、電解部21と太陽電池24をそれぞれ内側に囲繞するように設けられており、電解部21を囲繞する電解側囲繞領域77と、太陽電池24を囲繞する電池側囲繞領域78を備えている。
電解側囲繞領域77は、図4のように境界壁部76,86を境に電池側囲繞領域78よりも上方側の領域であり、図9のように上方側壁部72,82と、左側方側壁部73,83と、右側方側壁部74,84と、境界壁部76,86で構成される第1囲繞壁部88a,88bで囲繞された封止領域である。
電解側囲繞領域77では、第1封止部70が光触媒電極部50a~50dの周囲を囲繞して第1囲繞壁部88aを構成しており、第2封止部71が対向電極部55a~55dの周囲を囲繞して第1囲繞壁部88bを構成している。
電池側囲繞領域78は、境界壁部76,86を境に電解側囲繞領域77よりも下方側の領域であり、境界壁部76,86と、左側方側壁部73,83と、右側方側壁部74,84と、下方側壁部75,85で構成される第2囲繞壁部89で囲繞された封止領域である。
電池側囲繞領域78では、厚み方向において封止部70,71が一連の壁部となって第2囲繞壁部89を構成している。
【0043】
(裏面封止部材23)
裏面封止部材23は、図6のように、光電解パネル10の裏面を構成し、透明基板20と側面封止部材22とともに、電解部21を封止する部材である。
裏面封止部材23は、シート状又は板状であって、絶縁層90と、防湿層91と、裏面基板92を備えている。
絶縁層90は、絶縁性を有する絶縁フィルムである。
絶縁層90としては、絶縁性を有するものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、ポリプロピレンフィルムやポリイミドフィルムなどが使用できる。
防湿層91は、厚み方向に水分を透過しない防止フィルムである。
防湿層91は、光を反射する光反射層でもある。
防湿層91としては、防湿性を有するものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、アルミニウムフィルムなどが使用できる。
裏面基板92は、絶縁層90と防湿層91を支持する支持基板である。
裏面基板92としては、絶縁層90と防湿層91を支持できる剛性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ガラス基板や樹脂基板などが使用できる。
【0044】
(太陽電池24)
太陽電池24は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換装置であり、裏面に給電配線部材26a,26bと接続可能な端子部を備えている。
太陽電池24は、光電変換機能を備えるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、結晶シリコン太陽電池などが使用できる。
【0045】
(セル間配線部材25a~25c)
セル間配線部材25a(25b,25c)は、図2(b)のように、光触媒セル56a(56b,56c)の光触媒電極部50a(50b,50c)と、隣接する光触媒セル56b(56c,56d)の対向電極部55b(55c,55d)間を接続し、各光触媒セル56a~56dを電気的に直列接続する配線である。
セル間配線部材25a~25cは、図6のように、中間部で折り返されており、光触媒電極部50a~50cの下地電極部63と接続される第1配線部95と、対向電極部55b~55dと接続される第2配線部96と、第1配線部95と第2配線部96を接続する接続配線部97を有している。
【0046】
(給電配線部材26a,26b)
給電配線部材26a,26bは、電解部21と太陽電池24の端子部を接続する配線部である。
一方の給電配線部材26bの中途には、図9(b)のように、電力調整部98が設けられている。
電力調整部98は、電解部21に供給する電力量を調整する部位である。
電力調整部98は、電解部21に供給する電力量を調整できるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、可変抵抗などが使用できる。
電力調整部98は、信号等によって自動で電力量を調整してもよいし、作業者の手によって手動で電力量を調整してもよい。
【0047】
(電解液導入配管部27,28)
電解液導入配管部27,28は、図2(a)のように、外部の電解液供給装置3から電解液37,38を空間35,36に供給する配管である。
【0048】
(ガス排出配管部30)
ガス排出配管部30は、図2(a)のように、対向側空間36内の水素ガスを外部に排出し、外部の水素貯留部5に送り出す配管である。
【0049】
(ガス連通配管部31)
ガス連通配管部31は、図2(a)のように、光触媒側空間35を他の光電解モジュール2の光触媒側空間35又は外部の気液分離部7と連通させる配管である。
【0050】
(光触媒側空間35)
光触媒側空間35は、図4図5のように、電解側囲繞領域77において、側面封止部材22の第1封止部70によって囲繞される空間であって、透明基板20とイオン交換膜53の間の空間である。
【0051】
(対向側空間36)
対向側空間36は、図4図5のように、電解側囲繞領域77において、側面封止部材22の第2封止部71によって囲繞される空間であって、イオン交換膜53と裏面封止部材23の間の空間である。
【0052】
(電解液37,38)
第1電解液37は、光触媒電極部50a~50dによって酸化されて過酸化水素が発生する電解液であり、少なくとも水素元素を含む電解液である。
第2電解液38は、対向電極部55a~55dによって還元されて水素ガスが発生する電解液であり、少なくとも水素元素を含む電解液である。
本実施形態では、電解液37,38は、ともに電解質として炭酸水素ナトリウムなどを含む水である。
【0053】
(ガスケット部材11a,11b)
ガスケット部材11a,11bは、弾性を有し、図3のように光電解パネル10の端部を保護する緩衝部材である。
ガスケット部材11a,11bは、断面形状が「コ」字状であり、受光側覆部100と、裏側覆部101と、受光側覆部100と裏側覆部101を接続する端面側覆部102を備えている。
ガスケット部材11aの端面側覆部102は、光電解パネル10の上端面と対向する部分において各配管部27,28,30を挿通可能な挿通孔103a~103cを備えており、光電解パネル10の側面と対向する部分においてガス連通配管部31aを挿通可能な挿通孔104a(図示せず)を備えている。
ガスケット部材11bの端面側覆部102は、光電解パネル10の側面と対向する部分においてガス連通配管部31bを挿通可能な挿通孔104bを備えている。
【0054】
(フレーム部材12a,12b)
フレーム部材12a,12bは、光電解パネル10を保護する保護フレームである。
フレーム部材12a,12bは、図3のように、断面形状が「コ」字状であり、受光側覆部105と、裏側覆部106と、受光側覆部105と裏側覆部106を接続する端面側覆部107を備えている。
フレーム部材12aの端面側覆部107は、光電解パネル10の上端面とガスケット部材11aを挟んで対向する部分において各配管部27,28,30を挿通可能な挿通孔108a~108cを備えており、光電解パネル10の側面とガスケット部材11aを挟んで対向する部分においてガス連通配管部31aを挿通可能な挿通孔109a(図示せず)を備えている。
フレーム部材12bの端面側覆部107は、光電解パネル10の側面とガスケット部材11bを挟んで対向する部分においてガス連通配管部31bを挿通可能な挿通孔109bを備えている。
【0055】
(電解液供給装置3)
電解液供給装置3は、電解液37,38を貯留可能な貯留タンクを有し、貯留タンクから各光電解モジュール2に電解液37,38を供給可能な装置である。
電解液供給装置3は、図2(a)のように電解液供給流路110を介して各光電解モジュール2の電解液導入配管部27,28に接続されている。
電解液供給流路110は、電解液供給装置3から中途で分岐して各光電解モジュール2の電解液導入配管部27,28に接続される流路である。
電解液供給流路110は、電解液37,38の流れ方向において、各光電解モジュール2の電解液導入配管部27,28の上流側に開閉弁111,112が設けられている。
【0056】
(水素貯留部5)
水素貯留部5は、図2(a)のように各光電解モジュール2で生成された水素ガスを貯留する貯留タンクであり、水素貯留流路115を介して各光電解モジュール2のガス排出配管部30と接続されている。
【0057】
(過酸化水素貯留部6)
過酸化水素貯留部6は、各光電解モジュール2で生成された過酸化水素を貯留する貯留タンクである。
過酸化水素貯留部6は、図2(a)のように過酸化水素貯留流路116を介して光電解モジュール2cのガス連通配管部31と接続されている。
【0058】
(気液分離部7)
気液分離部7は、気体と液体を分離する部位である。
本実施形態の気液分離部7は、図2(a)のように過酸化水素貯留流路116の中途に設けられ、光電解モジュール2cのガス連通配管部31から排出される過酸化水素と酸素ガスを分離し、過酸化水素を過酸化水素貯留部6側に流し、酸素ガスを酸素処理部8側に流す部位である。
【0059】
(酸素処理部8)
酸素処理部8は、気液分離部7で過酸化水素から分離された酸素ガスを貯留、再利用、又は大気中に放出する部位である。
【0060】
続いて、光電解モジュール2の各部位の位置関係について説明する。
【0061】
光電解モジュール2は、図4図9のように、電解側囲繞領域77に電解部21が配されて第1囲繞壁部88a,88bが電解部21を囲繞しており、電池側囲繞領域78に太陽電池24が配されて第2囲繞壁部89が太陽電池24を囲繞している。
光電解モジュール2は、図4図5のように、電解側囲繞領域77において、透明基板20上に光触媒電極部50a~50dが積層されている。具体的には、光電解モジュール2は、透明基板20上に下地電極部63、光触媒層62がこの順に積層されて光触媒電極部50a~50dが形成されている。
下地電極部63は、透明基板20側から光触媒層62側に向かって透明電極層60及び補助電極層61がこの順に積層されている。
下地電極部63は、電解側囲繞領域77を基準として境界壁部76の内外に延びており、境界壁部76の外部の電池側囲繞領域78でセル間配線部材25a,25b,25c又は給電配線部材26aと接続されている。
【0062】
光電解モジュール2は、図4図5のように、透明基板20とイオン交換膜53との間に光触媒側空間35が形成されており、イオン交換膜53と裏面封止部材23との間に対向側空間36が形成されている。
イオン交換膜53は、図4図7のように、光触媒側空間35側(受光面40側)に供給配線部51が格子状に設けられて接しており、対向側空間36側に対向電極部55a~55dが接している。
光電解モジュール2は、光触媒側空間35に第1電解液37が充填されており、対向側空間36に第2電解液38が充填されている。
第1電解液37の液位は、光触媒電極部50a~50dの光触媒層62の大部分が浸漬される高さとなっており、第2電解液38の液位は、対向電極部55a~55dの大部分が浸漬される高さとなっている。
ここでいう「大部分」とは、全体の50%超過をいう。
第1電解液37の液位は、光触媒電極部50a~50dの光触媒層62の80%以上の部分が浸漬される高さとなっていることが好ましく、光触媒電極部50a~50dの光触媒層62の高さ以上となっていることがより好ましい。
第2電解液38の液位は、対向電極部55a~55dの80%以上の部分が浸漬される高さとなっていることが好ましい。
【0063】
側面封止部材22は、図4図5のように、第1封止部70と第2封止部71によってイオン交換膜53を挟持してイオン交換膜53の姿勢を保持している。
具体的には、イオン交換膜53は、第1囲繞壁部88a,88bによって挟まれている。すなわち、イオン交換膜53は、図6から読み取れるように、封止部70,71の上方側壁部72,82、左側方側壁部73,83、右側方側壁部74,84、及び境界壁部76,86によって外周縁が挟まれている。
【0064】
区画部材52a~52cは、図10のように、透明基板20を正面視したときに、区画部65,66が上下方向に延びており、空間35,36を複数の区画空間120a~120d,121a~121dに区画している。
区画部材52a~52cの第1区画部65は、上方側端部が側面封止部材22の第1封止部70の上方側壁部72と接しておらず、上方側壁部72との間に隣接する区画空間120a,120b(120b,120c)を連通させる第1連通部125a,125bが形成されている。
区画部材52a~52cの第2区画部66は、上方側端部が側面封止部材22の第2封止部71の上方側壁部82と接しておらず、上方側壁部82との間に隣接する区画空間121a,121b(121b,121c)を連通させる第2連通部126a,126bが形成されている。
【0065】
第1連通部125a(125b)は、区画空間120a,120b(120b,120c)間で、第1電解液37、主生成物たる過酸化水素、及び副生成物である酸素ガスの行き来を可能にする部位であり、区画部材52a~52cの区画部65の上方側端部と第1封止部70の上方側壁部72との間の隙間である。
第2連通部126a(126b)は、区画空間121a,121b(121b,121c)間で、第2電解液38及び水素ガスの行き来を可能にする部位であり、区画部材52a~52cの区画部66の上方側端部と第2封止部71の上方側壁部82との間の隙間である。
区画部材52a~52cは、第1区画部65が境界壁部76から上方に向かって延びており、第2区画部66が境界壁部86から上方に向かって延びている。区画部材52a~52cは、透明基板20を正面視したときに、第1区画部65と第2区画部66が重畳する位置に配されており、補強リブとして機能している。
【0066】
電解液導入配管部27は、外部からフレーム部材12aの挿通孔108a、ガスケット部材11aの挿通孔103aを通過し、さらに第1封止部70と第2封止部71の間を通過して光触媒側空間35に挿入されている。
ガス連通配管部31a,31bは、外部からフレーム部材12a,12bの挿通孔109a,109b、ガスケット部材11a,11bの挿通孔104a,104bを通過し、さらに第1封止部70と第2封止部71の間を通過して光触媒側空間35に挿入されている。
電解液導入配管部28及びガス排出配管部30は、外部からフレーム部材12aの挿通孔108b,108c、ガスケット部材11aの挿通孔103b,103cを通過し、さらに第1封止部70と第2封止部71の間を通過して対向側空間36に挿入されている。
【0067】
本実施形態の光電解モジュール2によれば、内部に太陽電池24と電解部21を有し、太陽電池24が透明基板20と裏面封止部材23の間に配されており、かつ光を受光することで電力を生成し、生成した電力を電解部21に給電する。すなわち、太陽電池24によって発電された電力によって電解部21で電解できるので、外部から電力を供給せずとも光電解が可能である。
【0068】
本実施形態の光電解モジュール2によれば、電解部21は、複数の光触媒セル56a~56dが電気的に直列接続されて構成されている。そのため、光触媒セル56a~56dに流れる電流を定電流に制御でき、入力電力に対して発生水素量を設計し易く、また、光触媒層62に対して発生する水素量を最大化できる。
【0069】
本実施形態の光電解モジュール2によれば、光触媒セル56a~56dの光触媒電極部50a~50dが区画部材52a~52dの第1区画部65によって区画されているので、光触媒セル56a~56dの光触媒電極部50a~50d同士が直接接触することによる短絡を防止できる。
また、本実施形態の光電解モジュール2によれば、光触媒セル56a~56dの対向電極部55a~55dが区画部材52a~52dの第2区画部66によって区画されているので、光触媒セル56a~56dの対向電極部55a~55d同士が直接接触することによる短絡を防止できる。
【0070】
本実施形態の光電解モジュール2によれば、各光触媒セル56a~56dがイオン交換膜53を共有しているので、部品点数を少なくでき、コストを低減できる。
【0071】
本実施形態の光電解モジュール2によれば、側面封止部材22の第1封止部70と第2封止部71がイオン交換膜53を挟んでイオン交換膜53の姿勢を保持しており、側面封止部材22がイオン交換膜53の保持を兼ねているので、部品点数を少なくでき、コストを低減できる。
【0072】
本実施形態の光電解モジュール2によれば、電解部21と太陽電池24が側面封止部材22によって囲繞され、透明基板20、側面封止部材22、及び裏面封止部材23によって封止されているので、電解部21と太陽電池24を封止しやすい。
【0073】
本実施形態の光電解モジュール2によれば、太陽電池24から電解部21に供給される電力量を調整する電力調整部98を備えているので、安定した電力を電解部21に供給できる。
【0074】
本実施形態の光電解モジュール2によれば、下地電極部63は、電解側囲繞領域77を基準として境界壁部76の内外に延びており、境界壁部76の外部でセル間配線部材25a,25b,25cと接続されている。そのため、短絡しにくく、安全性が高い。
【0075】
本実施形態の光電解モジュール2によれば、下地電極部63は、電解側囲繞領域77を基準として境界壁部76の内外に延びており、境界壁部76の外部で給電配線部材26aと接続されている。そのため、短絡しにくく、安全性が高い。
【0076】
本実施形態の光電解システム1によれば、各光電解モジュール2a~2cの電解液導入配管部27の上流側に開閉弁111が設けられているので、過酸化水素を濃縮させたい場合には、図11のように、光電解モジュール2b,2cの開閉弁111を閉状態にし、稼働することで各光電解モジュール2a~2cの光触媒電極部50上で生成された過酸化水素が下流側の光電解モジュール2側に向かうにつれて濃縮される。その結果、高濃度の過酸化水素を生成することができる。
【0077】
上記した実施形態では、区画部材52a~52cの第1区画部65の高さはいずれも同じ高さであったが、本発明はこれに限定されるものではない。区画部材52a~52cの第1区画部65の高さは、異なる高さとなっていてもよい。例えば、図12のようにガス連通配管部31aからガス連通配管部31bに向かうにつれて区画部材52a~52cの第1区画部65の高さが低くなっていてもよい。
【0078】
上記した実施形態では、電解液供給装置3から光触媒側空間35と対向側空間36のそれぞれに電解液37,38を供給したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図13のように、イオン交換膜53の下部側に連通孔130を設け、電解液供給装置3から光触媒側空間35と対向側空間36のうち一方の空間にのみ電解液37,38を供給してもよい。この場合、連通孔130は、電解液37,38の液位よりも低い位置に設けられることが好ましい。
【0079】
上記した実施形態では、各配管部27,28,30は、フレーム部材12aの延び方向に対して直交するように内外に通過していたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図14のように、各配管部27,28,30は、図14のようにフレーム部材12aの延び方向に沿って側面封止部材22とフレーム部材12aの間を通過していてもよい。
こうすることで、フレーム部材12aによって各配管部27,28,30が隠されるので、見えにくく、見栄えが良好となる。
【0080】
上記した実施形態では、光電解モジュール2は、4つの光触媒セル56a~56dが電気的に直列接続されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。2つ又は3つの光触媒セルが電気的に直列接続されていてもよいし、5つ以上の光触媒セルが電気的に直列接続されていてもよい。
【0081】
上記した実施形態では、各光触媒セル56a~56dは、太陽電池24に対して電気的に直列接続されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。各光触媒セル56a~56dは、太陽電池24に対して電気的に並列接続されていてもよい。
【0082】
上記した実施形態では、一つの電解液供給装置3から各光電解モジュール2に電解液37,38を供給したが、本発明はこれに限定されるものではない。各光電解モジュール2に対応させてそれぞれ別個独立した電解液供給装置3を設けてもよい。
【0083】
上記した実施形態では、一つの電解液供給装置3から各光電解モジュール2の光触媒側空間35と対向側空間36のそれぞれに電解液37,38を供給したが、本発明はこれに限定されるものではない。各光電解モジュール2の光触媒側空間35と対向側空間36のそれぞれ別個独立した電解液供給装置3を設けてもよい。
【0084】
上記した実施形態では、電解液37,38は同一のものを使用していたが、本発明はこれに限定されない。電解液37,38は異なる種類のものを使用してもよい。
【0085】
上記した実施形態では、各光電解モジュール2は、ガス連通配管部31によって接続され、光触媒側空間35が連通していたが、本発明はこれに限定されるものではない。各光電解モジュール2は、ガス連通配管部31によって光触媒側空間35を互いに連通させずに直接気液分離部7につながっていてもよい。
【0086】
上記した実施形態は、本発明の技術的範囲に含まれる限り、各実施形態間で各構成部材を自由に置換や付加できる。
【符号の説明】
【0087】
1 光電解システム
2,2a~2c 光電解モジュール
20 透明基板
21 電解部
22 側面封止部材
23 裏面封止部材
24 太陽電池
25a~25c セル間配線部材
26a,26b 給電配線部材
50,50a~50d 光触媒電極部
52a~52d 区画部材
53 イオン交換膜
55a~55d 対向電極部
56a~56d 光触媒セル
62 光触媒層
63 下地電極部
70 第1封止部
71 第2封止部
88a,88b 第1囲繞壁部
89 第2囲繞壁部
98 電力調整部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14