(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023015212
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】流体不透過性超音波トランスデューサ
(51)【国際特許分類】
H04R 1/00 20060101AFI20230124BHJP
H04R 17/00 20060101ALI20230124BHJP
A61B 17/00 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
H04R1/00 331
H04R17/00 330G
H04R17/00 330J
A61B17/00 700
【審査請求】有
【請求項の数】57
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022177996
(22)【出願日】2022-11-07
(62)【分割の表示】P 2020552296の分割
【原出願日】2019-03-29
(31)【優先権主張番号】62/650,919
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507301040
【氏名又は名称】ラブサイト インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】バーブル ハディミオグル
(72)【発明者】
【氏名】ジェイ ドールトン
(72)【発明者】
【氏名】リチャード エヌ. エルソン
(57)【要約】
【課題】流体不透過性超音波トランスデューサの提供。
【解決手段】流体不透過性トランスデューサは、トランスデューサヘッドおよびケーシングのアセンブリと、トランスデューサヘッドの後部のケーシング後方に配設されており、かつトランスデューサヘッドを通して音響エネルギーを伝達するように動作可能なアクチュエータと、を含む。トランスデューサヘッドおよびケーシングは、流体不透過性であるトランスデューサの作業部分を画定する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体不透過性のトランスデューサであって、
流体不透過性の金属ケーシングと、
金属集束レンズを含む流体不透過性のトランスデューサヘッドであって、前記トランスデューサヘッドは、後面および前面を有し、前記金属集束レンズは、前記前面上に配置されており、かつ、焦点に向かって超音波を集束させるように構成されている、流体不透過性のトランスデューサヘッドと、
前記トランスデューサヘッドの前記後面に接着されているアクチュエータであって、前記アクチュエータは、超音波が前記金属集束レンズから前記焦点に向かって放出されるように、前記金属集束レンズの発振的機械的振動を生成するように動作可能である、アクチュエータと
を備え、
前記金属ケーシングおよび前記トランスデューサヘッドは、前記金属ケーシング内への液体の侵入を防止するために、単一の部品として一体的に形成されており、かつ、流体不透過性の様式で恒久的に接合されている、流体不透過性のトランスデューサ。
【請求項2】
前記集束レンズは、球状の凹状面を含む、請求項1に記載のトランスデューサ。
【請求項3】
前記集束レンズは、円筒形の凹状面を含む、請求項1~2のいずれか一項に記載のトランスデューサ。
【請求項4】
前記アクチュエータは、圧電トランスデューサである、請求項1~3のいずれか一項に記載のトランスデューサ。
【請求項5】
前記トランスデューサヘッドの前記前面は、前記集束レンズを囲む周辺部分を含み、
前記トランスデューサは、前記周辺部分とインターフェース接続されている減弱層をさらに備え、前記減弱層は、前記アクチュエータから前記周辺部分を通って放出される超音波エネルギーを吸収するように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のトランスデューサ。
【請求項6】
前記トランスデューサは、前記集束レンズから媒体に超音波を伝達するために前記集束レンズに結合されている整合層をさらに備え、前記整合層は、前記集束レンズから前記媒体への超音波の直接伝達と比較して、前記集束レンズから前記媒体への超音波の伝達を強化するように構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のトランスデューサ。
【請求項7】
前記集束レンズは、第1の音響インピーダンスを有し、前記媒体は、前記第1の音響インピーダンスとは異なる第2の音響インピーダンスを有し、前記整合層は、前記第1の音響インピーダンスと前記第2の音響インピーダンスとの間の整合音響インピーダンスを有する、請求項6に記載のトランスデューサ。
【請求項8】
前記整合音響インピーダンスは、式
【数1】
に従って、Z
m
とほぼ等しく、Z
l
は、前記第1の音響インピーダンスであり、Z
c
は、前記第2の音響インピーダンスである、請求項7に記載のトランスデューサ。
【請求項9】
前記整合音響インピーダンスは、Z
m
の10%以内である、請求項8に記載のトランスデューサ。
【請求項10】
前記整合音響インピーダンスは、Z
m
の5%以内である、請求項8に記載のトランスデューサ。
【請求項11】
前記整合音響インピーダンスは、4Mrayl~10Mraylの範囲内である、請求項7~10のいずれか一項に記載のトランスデューサ。
【請求項12】
前記整合音響インピーダンスは、6Mrayl~8Mraylの範囲内である、請求項7~10のいずれか一項に記載のトランスデューサ。
【請求項13】
前記整合層は、グラファイトを含む、請求項7~10のいずれか一項に記載のトランスデューサ。
【請求項14】
前記整合層は、フルオロポリマー層を含む、請求項7~10のいずれか一項に記載のトランスデューサ。
【請求項15】
前記整合層は、ポリビニリデンジフルオリドを含む、請求項7~10のいずれか一項に記載のトランスデューサ。
【請求項16】
前記整合層は、前記整合層を通過する公称周波数での音響信号の1/4波長の奇数倍に対応する厚さを有する、請求項7~15のいずれか一項に記載のトランスデューサ。
【請求項17】
前記整合層の厚さは、前記1/4波長の奇数倍によって定義される公称厚さの20%以内である、請求項16に記載のトランスデューサ。
【請求項18】
前記整合層の厚さは、前記1/4波長の奇数倍によって定義される公称厚さの10%以内である、請求項16に記載のトランスデューサ。
【請求項19】
前記公称周波数は、2MHz~15MHzの範囲である、請求項16~18のいずれか一項に記載のトランスデューサ。
【請求項20】
前記整合層は、30μm~80μmの範囲の厚さを有する、請求項6~19のいずれか一項に記載のトランスデューサ。
【請求項21】
前記トランスデューサは、前記前面上に配置されている第1の整合層と、前記第1の整合層上に配置されている第2の整合層とをさらに備え、前記第1の整合層および前記第2の整合層は、前記集束レンズから媒体への超音波の直接伝達と比較して、前記集束レンズから前記媒体への超音波の伝達を強化するように構成されている、請求項1~20のいずれか一項に記載のトランスデューサ。
【請求項22】
前記集束レンズは、第1の音響インピーダンスを有し、
前記媒体は、前記第1の音響インピーダンスとは異なる第2の音響インピーダンスを有し、
前記第1の整合層は、前記第1の音響インピーダンスと前記第2の音響インピーダンスとの間の第1の整合音響インピーダンスを有し、
前記第2の整合層は、前記第1の整合音響インピーダンスと前記第2の音響インピーダンスとの間の第2の整合音響インピーダンスを有する、請求項21に記載のトランスデューサ。
【請求項23】
前記第1の整合音響インピーダンスおよび前記第2の整合音響インピーダンスは、それぞれ、Z
m1
およびZ
m2
とほぼ等しく、
【数2】
であり、Z
l
は、前記金属の前記音響インピーダンスに対応し、集束レンズおよびZ
c
は、前記媒体の前記音響インピーダンスに対応する、請求項22に記載のトランスデューサ。
【請求項24】
前記集束レンズは、前記アクチュエータよりも直径が大きい、請求項1~23のいずれか一項に記載のトランスデューサ。
【請求項25】
前記トランスデューサヘッドは、金属または金属合金で形成されている、請求項1~24のいずれか一項に記載のトランスデューサ。
【請求項26】
前記トランスデューサヘッドは、アルミニウム(Al)、ベリリウム(Be)、カドミウム(Cd)、炭素(C)、クロム(Cr)、銅(Cu)、ゲルマニウム(Ge)、金(Au)、鉄(Fe)、鉛(Pb)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、ニオブ(Nb)、リン(P)、白金(Pt)、セレン(Se)、シリコン(Si)、銀(Ag)、スズ(Sn)、チタン(Ti)、タングステン(W)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、または、ジルコニウム(Zr)のうちの1つ以上を含む、請求項1~25のいずれか一項に記載のトランスデューサ。
【請求項27】
前記トランスデューサヘッドおよび前記金属ケーシングは、液体中に浸漬されたときに、液体浸透深さおよび誘導された材料損失がゼロであることを特徴とする、請求項1~26のいずれか一項に記載のトランスデューサ。
【請求項28】
前記トランスデューサヘッドおよび前記金属ケーシングは、液体との接触による材料の重量損失が年間0.1%未満であることを特徴とする、請求項1~27のいずれか一項に記載のトランスデューサ。
【請求項29】
前記アクチュエータは、前記トランスデューサによって生成された公称周波数での音響信号の公称音響波長のほぼ半分に等しい厚さを有する、請求項1~28のいずれか一項に記載のトランスデューサ。
【請求項30】
前記アクチュエータは、およそ275μmに等しい厚さを有する、請求項1~29のいずれか一項に記載のトランスデューサ。
【請求項31】
前記トランスデューサは、前記アクチュエータによって伝達される音響エネルギーを減弱させるように構成されているバッキング材料をさらに備え、前記アクチュエータは、前記バッキング材料と前記金属集束レンズとの間に位置付けられている、請求項1~30のいずれか一項に記載のトランスデューサ。
【請求項32】
前記バッキング材料は、音響減衰材料中に均一に懸濁されている音響散乱材料の粒子を含む、請求項31に記載のトランスデューサ。
【請求項33】
前記バッキング材料は、減衰ポリマーマトリックスを含む、請求項31に記載のトランスデューサ。
【請求項34】
前記バッキング材料は、シリコンカーバイドの粒子を含浸させた減衰ポリマーマトリックスを含む、請求項31に記載のトランスデューサ。
【請求項35】
前記バッキング材料は、タングステンの粒子を含浸させた減衰ポリマーマトリックスを含む、請求項31に記載のトランスデューサ。
【請求項36】
前記バッキング材料は、13.5Mrayl~16.5Mraylに及ぶ音響インピーダンスを有する、請求項31~35のいずれか一項に記載のトランスデューサ。
【請求項37】
前記トランスデューサは、前記金属ケーシングの内部空間を実質的に充填する密閉材をさらに備え、前記バッキング材料は、前記アクチュエータと前記密閉材との間に配置されている、請求項31~36のいずれか一項に記載のトランスデューサ。
【請求項38】
流体不透過性の超音波トランスデューサを形成する方法であって、前記方法は、
金属から実質的に中空の金属ケーシングを形成することであって、前記実質的に中空の金属ケーシングは、内部空洞および開いた第1の端部を有する、ことと、
前記金属からトランスデューサヘッド要素を形成することであって、前記トランスデューサヘッド要素は、前記金属ケーシングの前記開いた第1の端部と接続するようにサイズ決めされる、ことと、
前記ヘッド要素の前面上に集束レンズを形成することであって、前記集束レンズは、焦点に向かって超音波を集束させるように構成されている、ことと、
前記金属ケーシングと前記集束レンズとを1つの部品として一体的に形成することによって、前記ヘッド要素を前記金属ケーシングの前記第1の端部と恒久的に接合することにより、流体不透過性の接合部を形成することであって、前記ヘッド要素は、前記集束レンズが前記金属ケーシングから離れる方向を指すように位置付けられる、ことと、
前記前面とは反対の前記トランスデューサヘッドの後面にアクチュエータを接着することであって、前記アクチュエータは、超音波が前記集束レンズから前記焦点に向かって放出されるように、前記集束レンズの発振的機械的振動を生成するように動作可能である、ことと
を含む、方法。
【請求項39】
前記集束レンズを形成することは、精密機械加工プロセスを介して前記ヘッド要素の前記前面から材料を除去することを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記方法は、
前記金属ケーシング内に前記アクチュエータに隣接して、かつ、前記アクチュエータの後方にバッキング材料を挿入することと、
前記金属ケーシングの前記内部空洞の残りの部分を密閉材で実質的に充填することと
をさらに含む、請求項38~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記方法は、前記集束レンズに整合層を適用することをさらに含み、前記整合層は、式
【数3】
に従って、Z
m
に対応する整合音響インピーダンスを有する材料を含み、Z
l
は、前記ヘッド要素に対応する第1の音響インピーダンスであり、Z
c
は、媒体に対応する第2の音響インピーダンスである、請求項38~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記方法は、前記整合層の厚さを減少させることにより、前記整合層を通過する公称周波数での音響信号の1/4波長の奇数倍に前記厚さを一致させることをさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記方法は、前記整合層を通過する公称周波数での音響信号の1/4波長の奇数倍に対応する厚さで前記整合層を適用することをさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記方法は、
前記金属ケーシング内に前記アクチュエータに隣接して、かつ、前記アクチュエータの後方にバッキング材料を挿入することと、
前記アクチュエータに当接する前記金属ケーシングの中に、かつ、前記バッキング材料の周辺の周りに導電性リング要素を挿入することであって、前記導電性リング要素は、内側導電性部分および外側導電性部分を有する、ことと、
前記アクチュエータの第1の電極を前記導電性リング要素の前記内側導電性部分と接触させることと、
前記アクチュエータの第2の電極を前記導電性リング要素の前記外側導電性部分と接触させることと
をさらに含む、請求項38~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記方法は、前記集束レンズに隣接する前記ヘッド要素の周辺に減弱層を適用することをさらに含む、請求項38~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記方法は、前記集束レンズに整合層を適用することをさらに含み、前記整合層は、前記トランスデューサヘッドの第1の音響インピーダンスよりも小さい整合音響インピーダンスを有する、請求項38~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
流体不透過性超音波トランスデューサを形成する方法であって、前記方法は、
金属から実質的に中空のケーシングを形成することであって、前記実質的に中空のケーシングは、トランスデューサヘッド要素を画定する内部空洞および閉じた第1の端部を有する、ことと、
前記集束レンズが単一の部品として一体的に前記金属ケーシングに恒久的に接合されるように、前記ヘッド要素の前面上に集束レンズを形成することであって、前記集束レンズは。焦点に向かって超音波を集束させるように構成されている、ことと、
前記前面とは反対の前記トランスデューサヘッドの後面にアクチュエータを接着することであって、前記アクチュエータは、超音波が前記集束レンズから前記焦点に向かって放出されるように、前記集束レンズの発振的機械的振動を生成するように動作可能である、ことと
を含む、方法。
【請求項48】
前記集束レンズを形成することは、前記ヘッド要素の前記前面から材料を除去することを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記方法は、
前記金属ケーシング内に前記アクチュエータに隣接して、かつ、前記アクチュエータの後方にバッキング材料を挿入することと、
前記金属ケーシングの前記内部空洞の残りの部分を密閉材で実質的に充填することと
をさらに含む、請求項47~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記方法は、
前記アクチュエータに当接する前記ケーシングの中に、かつ、前記バッキング材料の周辺の周囲に導電性リング要素を挿入することであって、前記導電性リングは、内側導電性部分および外側導電性部分を有する、ことと、
前記アクチュエータの第1の電極を前記導電性リング要素の前記内側導電性部分と接触させることと、
前記アクチュエータの第2の電極を前記導電性リング要素の前記外側導電性部分と接触させることと
をさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記方法は、前記集束レンズに整合層を適用することをさらに含み、前記整合層は、式
【数4】
に従って、Z
m
に対応する整合音響インピーダンスを有する材料を含み、Z
l
は、前記ヘッド要素に対応する第1の音響インピーダンスであり、Z
c
は、媒体に対応する第2の音響インピーダンスである、請求項47~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記方法は、前記整合層の厚さを減少させることにより、前記整合層を通過する公称周波数での音響信号の1/4波長の奇数倍に前記厚さを一致させることをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記方法は、前記整合層を通過する公称周波数での音響信号の1/4波長の奇数倍に対応する厚さで前記整合層を適用することをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記方法は、前記集束レンズに隣接する前記ヘッド要素の周辺に減弱層を適用することをさらに含む、請求項47~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記方法は、前記集束レンズに整合層を適用することをさらに含み、前記整合層は、前記トランスデューサヘッドの第1の音響インピーダンスよりも小さい整合音響インピーダンスを有する、請求項47~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
流体のリザーバから液滴を排出する方法であって、前記方法は、
請求項1~41のいずれかに記載のトランスデューサを含む流体不透過性のトランスデューサを用いて、
前記トランスデューサから前記リザーバへ音響エネルギーを結合するように位置付けられている音響媒体中に前記集束レンズを浸漬することと、
前記リザーバの流体表面から液滴排出を引き起こすように構成されている周波数で、前記アクチュエータによって音響パルスを生成することと、
前記集束レンズを介して、前記アクチュエータから前記流体リザーバまで前記音響パルスを通過させることと
を含む、方法。
【請求項57】
構造の超音波試験を実行する方法であって、前記方法は、
請求項1~41のいずれかに記載のトランスデューサを含む流体不透過性のトランスデューサを用いて、
前記構造と流体接触する音響媒体中に前記集束レンズを浸漬することと、
前記アクチュエータによって音響パルスを生成し、前記構造のスキャン領域に向けることと、
前記スキャン領域に対応する前記音響パルスのエコーを受信することと、
前記エコーの特性に基づいて、前記構造の前記スキャン領域の物理的パラメータを決定することと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
超音波トランスデューサは、超音波エネルギーを加えて生物内の組織を加熱または破壊する手順、および流体液滴を排出するプロセスのために、医用画像処理などの多種多様な用途で使用されている。上の事例のいずれかまたはすべては、超音波トランスデューサが音響エネルギーを小さな焦点に集束させることができることを必要とし得る。例として、音響手段を使用して流体液滴を生成するいくつかの方法としては、Ellsonに対する米国特許第8,544,976号、およびStearnsらに対する米国特許第6,416,164号に記載されるものが挙げられ、これらは両方とも、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
超音波音響放射を様々な手段によって集束させることができる。例えば、曲面を使用して、音響放射を焦点に向けるか、または焦点からそらすことができる。流体液滴を生成するプロセスでは、焦点を流体表面の近くに設置することができる。かかる技術の1つは、Loveladyらに対する米国特許第4,308,547号に記載されている。曲面によって音響エネルギーを集束させる一部の市販の音響トランスデューサには、Camasonics(Wiltshire、UK)、GE/Krautkramer、Sonic
Concepts,Inc.,(Bothell、Washington、USA)、およびSonotec(Halle、Germany)、Ultran Group(State College、PA、USA)製の一部の集束型浸漬トランスデューサが含まれる。音響エネルギーを集束させる他の方法としては、例えば、Quateらに対する米国特許第5,041,849号に記載される、フレネルレンズの使用が挙げられる。様々な汎用の曲面および球面トランスデューサが、非破壊試験(NDT)産業、医療産業などに使用されている。本明細書で使用される場合、「浸漬」という用語は、NDTの浸漬の従来の定義(トランスデューサが液体結合流体中に部分的または完全に浸漬される)を示すだけでなく、より一般的な意味で、トランスデューサの任意の部分が液体に曝露される、すなわち、トランスデューサの一部分が流体と結合接触する用途を含むように使用され得る。
【0003】
超音波トランスデューサは通常、アクチュエータと、アクチュエータが生成した音響エネルギーを凝縮する集束要素と、を含む。アクチュエータのいくつかの例としては、圧電要素および磁歪要素が挙げられる。動作中、アクチュエータは、超音波駆動周波数で信号によって駆動され、能動的な物理的要素で超音波振動を生成する。これらの振動は、液体またはゲル(例えば、水)などの周辺媒体内に放出され、そこから対象となる構造または媒体に放出される。例えば、液滴排出を伴う用途では、音響エネルギーは、トランスデューサから、水のような音響導電性流体または結合流体を通って、かつそこから、液滴が排出されるリザーバ内へと超音波振動の形態で伝達され得る。液体媒体中に浸漬されている間に音響エネルギーを一次的にまたは主に集束させるように設計されたトランスデューサは概して、浸漬トランスデューサと称される。
【0004】
集束浸漬トランスデューサは、例えば、曲面を含み得るか、またはフレネルレンズもしくは同様の構造を用い得る、形状決めされた能動的な物理的要素を用いる。かかる事例では、面は、集束形状に正確に形成することができ、かつ液体媒体中に音響エネルギーを容易に伝達することができる材料から構成される必要がある。この目的のために、従来の集束浸漬超音波トランスデューサは、硬化されたエポキシ樹脂、セラミック、複合体、または同等の材料を用いて、集束レンズの集束形状を形成する。かかる集束レンズ材料は、成形または別のネット形状製造方法によって形成されてもよく、限定された期間まで概して防水であるが、かかる材料は劣化しやすく、長い期間にわたって水に曝露されると、徐々に水を吸う傾向があり、変形、音響性質の変化、および最終的にはトランスデューサの故障につながる場合があることがわかっている。かかるトランスデューサは、短期浸漬用途に適している場合があるが、長期浸漬を必要とする用途には、より高い精度と耐久性が必要である。従来のNDTの手順に使用されるものなどの典型的な浸漬トランスデューサは、液滴排出トランスデューサと比較して、液体中で比較的低いデューティサイクルを有し、時間と共に一定の焦点長さを有する必要はない。しかしながら、音響液滴排出用途では、デバイスの性能は、焦点の一貫性、特に、長い浸漬時間にわたる一貫性にはるかに依存する。したがって、集束挙動の狭い範囲内で実施され、トランスデューサが長い期間にわたって浸漬されているにもかかわらず、その狭い範囲内に留まる、トランスデューサの集合体を有することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に記載される実施形態は、トランスデューサヘッドおよびケーシングのアセンブリを含むトランスデューサを含み、トランスデューサヘッドは、前方方向に面する集束レンズ、および後方方向に面するトランスデューサヘッドの後部を有する。ケーシングは、トランスデューサヘッドと接続されており、かつ後方方向に延在し、アクチュエータは、トランスデューサヘッドの後部のケーシング後方に配設されており、かつトランスデューサヘッドを通って前方方向に音響エネルギーを伝達するように動作可能である。流体不透過性は、本明細書に記載されるように、トランスデューサが使用される場合、作業流体中にやむを得ず浸漬されるトランスデューサの部分に少なくとも適用され得る。例えば、様々な実施形態によると、トランスデューサヘッドおよびケーシングは、流体不透過性であるトランスデューサの作業部分を画定し得る。流体不透過性とは、例えば、水もしくは同様に粘性反応性および非反応性の溶媒に対して不透過性、または非極性、極性プロトン性、および極性非プロトン性溶媒、特に、水/水性溶液(塩水を含む)、DMSO、アルコール、アルカン、油、界面活性剤などを含む一般的な液体および/もしくは溶媒系による浸透に対して不透過性であることも含み得る。いくつかの実施形態では、流体不透過性とは、従来の動作条件および滅菌手順中に使用されるものなどの高温/高圧の両方で、蒸気、例えば、溶媒蒸気、水蒸気、空気、または他の同等のガスに対して不透過性であることも含む。いくつかの追加の実施形態によれば、トランスデューサの作業部分以外は流体不透過性であり得、例えば、いくつかの実施形態では、ケーシングは液体貫入に対して完全に密閉され得る。
【0006】
様々な実施形態によれば、ケーシングおよびトランスデューサヘッドは、1つ以上の流体不透過性の非吸収性固体材料、例えば、金属元素、金属合金、セラミック、または同等の材料で形成されている。トランスデューサヘッドおよびケーシングのいずれかまたは両方は、適切な音響性能を有する任意の好適な水不透過性材料で形成され得る。材料(単一部品の場合)またはアセンブリ(複数の部品の場合)は、好ましくは、気密性および流体(水を含むが、これに限定されない)不透過性を提供し、トランスデューサヘッドは、好ましくは、過度ではない、すなわち、以下に考察されるような高い音響損失および/または「リンギング」の増加を引き起こさない、音響インピーダンスを有する。好適な材料としては、例えば、アルミニウム、ベリリウム、カドミウム、ゲルマニウム、鉛、銀、スズ、チタン、亜鉛、ジルコニウム、上記のいずれかの合金、あるいは密閉材、ドーパント、または腐食、毒性、もしくは構造上の弱みを緩和するための同等の手段の有無にかかわらず上記の材料のいずれかを含有する複合体を挙げることができる。トランスデューサヘッド(またはレンズ)の材料選択は、流体不透過性だけでなく、機械的性質において比較的均質でもある従来のエポキシレンズとは対照的である。したがって、トランスデューサヘッド(またはレンズ)は、浸漬されたときに機械的に均質に保たれ、結果として、トランスデューサの耐用期間にわたって持続する良好なビーム対称性をもたらす。
【0007】
ケーシングおよびトランスデューサヘッドは、好ましくは、水不透過性で非吸収性の接合部を生成する方法で接合さており、例えば、一緒に溶接もしくはろう付けされているか、共通の部品で形成されているか、または別様に恒久的に水不透過性接合されている。トランスデューサヘッドは、好ましくは、高精度用途のために再現可能な音の速度を伝達することができる材料から形成され、したがって、高い音響速度を有する材料が好ましい。代替的に、ケーシングおよびトランスデューサヘッドの一部の部分は、金属と組み合わせたセラミックまたはプラスチックなどの複数の材料で作製され得るが、アセンブリが長期の気密性に影響を与えないことを条件とする。例えば、プラスチックもしくはセラミックスリーブを金属ケーシングの周りに設置することができるか、あるいは金属を、トランスデューサヘッドおよび/もしくはトランスデューサヘッド構成要素を含むアセンブリの内側もしくは外側のいずれか、または内側および外側の両方にプレーティングすることができる。
【0008】
様々な実施形態によれば、ケーシングおよびトランスデューサヘッドは、作業部分を画定する連続的な要素から形成されてもよく、集束レンズは連続的な要素のトランスデューサヘッド部分の上に直接形成されており、アクチュエータはケーシング内の集束レンズの後方に位置付けられている。
【0009】
いくつかの実施形態によれば、集束レンズは、音響エネルギーを集束させるように構成されている、トランスデューサヘッドの凹状部分で形成される。この凹状部分は、球状音響レンズ、円筒状音響レンズ、または他の好適な音響集束形状から形成され得る。いくつかの実施形態では、集束レンズは、音響エネルギーを集束させるように構成されている、回折音響レンズを含み得る。集束レンズを取り囲む周辺部分は、トランスデューサヘッド周縁部を画定することができ、いくつかの実施形態では、トランスデューサヘッド周縁部上に減弱層が位置付けられ、減弱層は、音響エネルギーを吸収するように動作可能である。いくつかの実施形態では、補助トランスデューサを減弱層上に位置付け、減弱層によってトランスデューサから分離することができる。
【0010】
トランスデューサヘッドは、集束レンズから整合層を通って媒体へと伝達される音響信号の損失を減少させるために、集束レンズ上に配設された整合層をさらに含み得る。したがって、整合層は、一緒にトランスデューサが機能することを意図した媒体の音響性質に部分的に基づいて選択され得る。典型的な音響媒体としては、水、水溶液、または水と同様の粘度を有する他の流体、ならびにSONOGLIDE(Sonotech,Inc.,Bellingham WA)もしくはSONOGEL(Sonogel Vertriebs GmbH,Bad Camberg,Germany)のような水/プロピレングリコール系ゲルカプラント、またはAQUALENE(カナダ特許出願CA2127039 A1)のような固体の乾燥したカプラントなどであるが、これらに限定されない、様々な低音響損失ゲルが挙げられる。整合層は、トランスデューサヘッドおよび媒体の音響インピーダンス間の音響インピーダンスを有し、典型的には、式1を参照して以下に定義される整合値に近い。整合層は、整合層を通過する公称周波数での音響信号の1/4波長の奇数倍に対応する厚さを有する。
【0011】
本明細書に記載される実施形態はまた、流体不透過性トランスデューサを形成する方法を含む。例えば、様々な実施形態によれば、流体不透過性トランスデューサは、流体不透過性材料から実質的に中空のケーシングを形成することであって、実質的に中空のケーシングが、内部空洞および開いた第1の端部を有する、形成することと、流体不透過性材料から形成されたヘッド要素から材料を除去して、ヘッド要素上に集束レンズを形成することと、ヘッド要素をケーシングの第1の端部と接合して、流体不透過性の接合部を形成することと、によって作製され得る。ヘッド要素は、集束レンズがケーシングから離れる方向を指すように位置付けられ、ケーシング内にトランスデューサヘッドに隣接してアクチュエータを挿入することができる。集束レンズに隣接するヘッド要素の周辺に減弱層を適用することができる。
【0012】
流体不透過性トランスデューサを形成する方法はまた、流体不透過性材料から実質的に中空のケーシングを形成することであって、実質的に中空のケーシングが、内部空洞、およびトランスデューサヘッドを画定する閉じた第1の端部を有する、形成することと、閉じた第1の端部の外側表面から材料を除去して、閉じた第1の端部上に集束レンズを形成することと、ケーシング内にトランスデューサヘッドに隣接してアクチュエータを挿入することと、を含み得る。ヘッド要素は、精密機械加工プロセスを介してヘッド要素内に形成された凹状音響レンズを含むことができ、整合層を集束レンズに適用することができ、整合層は、トランスデューサヘッドの第1の音響インピーダンス未満の整合する音響インピーダンスを有する。
【0013】
本明細書に記載される実施形態はまた、本明細書に記載される流体不透過性トランスデューサの実施形態のいずれかによる流体不透過性トランスデューサを使用して、リザーバから流体の液滴を排出する方法を含む。具体的には、かかる実施形態は、トランスデューサからリザーバへ音響エネルギーを結合するように位置付けられた音響媒体または結合媒体中に流体不透過性トランスデューサの集束レンズを浸漬し、流体の液滴排出を続けることを含む。いくつかの実施形態では、流体リザーバおよび音響媒体は、同じ流体であっても、連続的なリザーバであってもよい。しかしながら、概して、音響媒体は、トランスデューサとリザーバとの間に位置付けられた流体またはゲル媒体であり、リザーバは結合媒体から分離された異なる流体を含む。トランスデューサは、リザーバの流体表面から液滴排出を引き起こすように構成された周波数で、アクチュエータによって音響パルスを発生させ、集束レンズを介し、かつ音響媒体を通って、アクチュエータから流体リザーバまで音響パルスを通過させる。
【0014】
本明細書に記載される実施形態はまた、本明細書に記載される流体不透過性トランスデューサの実施形態のいずれかによる流体不透過性トランスデューサを用いた、構造の非破壊音響試験(NDT)を実施する方法を含む。具体的には、かかる実施形態は、構造と流体接触する音響媒体中に流体不透過性トランスデューサの集束レンズを浸漬することと、アクチュエータによって音響パルスを発生させ、構造のスキャン領域に向けることと、を含む。スキャン領域に対応する音響パルスのエコーは、「リスニング」モードで同じトランスデューサによって、または第2のトランスデューサによって、およびエコーの特性に基づいて、構造のスキャン領域の物理的パラメータによって受信される。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
トランスデューサであって、
ケーシングと、
金属集束レンズを含む流体不透過性トランスデューサヘッドであって、前記トランスデューサヘッドが、後面および前面を有し、前記金属集束レンズが、前記前面上に配設されており、かつ焦点に向かって超音波を集束させるように構成されている、流体不透過性トランスデューサヘッドと、
前記トランスデューサヘッドの前記後面に接着されており、かつ超音波が前記金属集束レンズから前記焦点に向かって放出されるように、前記金属集束レンズの発振的機械的振動を発生させるように動作可能なアクチュエータと、を備え、前記ケーシング内への液体の侵入を防止するために、前記ケーシングおよび前記トランスデューサヘッドが、流体不透過性の様式で接続されている、トランスデューサ。
(項目2)
前記ケーシングが、流体不透過性の接合部を介して前記金属集束レンズに接続された金属ケーシングを含む、項目1に記載のトランスデューサ。
(項目3)
前記流体不透過性の接合部が、溶接接合部を含む、項目2に記載のトランスデューサ。
(項目4)
前記ケーシング内へのガスの侵入を防止するために、前記ケーシングおよび前記トランスデューサヘッドが、流体不透過性の様式で接続されている、先行する項目のいずれかに記載のトランスデューサ。
(項目5)
前記ケーシングおよび前記金属集束レンズが、一体的に形成されている、先行する項目のいずれかに記載のトランスデューサ。
(項目6)
前記集束レンズが、球状の凹状面を含む、先行する項目のいずれかに記載のトランスデューサ。
(項目7)
前記集束レンズが、円筒形の凹状面を含む、先行する項目のいずれかに記載のトランスデューサ。
(項目8)
前記アクチュエータが、圧電トランスデューサである、先行する項目のいずれかに記載のトランスデューサ。
(項目9)
前記トランスデューサヘッドの前記前面が、前記集束レンズを囲む周辺部分を含み、
前記周辺部分とインターフェース接続されており、かつ前記アクチュエータから前記周辺部分を通って放出される超音波エネルギーを吸収するように構成されている、減弱層をさらに備える、先行する項目のいずれかに記載のトランスデューサ。
(項目10)
前記集束レンズから媒体に超音波を伝達するために前記集束レンズに結合された整合層をさらに備え、前記整合層が、前記集束レンズから前記媒体への超音波の伝達を、前記集束レンズから前記媒体への超音波の直接伝達と比較して、強化するように構成されている、先行する項目のいずれかに記載のトランスデューサ。
(項目11)
前記集束レンズが、第1の音響インピーダンスを有し、前記媒体が、前記第1の音響インピーダンスとは異なる第2の音響インピーダンスを有し、前記整合層が、前記第1の音響インピーダンスと前記第2の音響インピーダンスとの間に整合する音響インピーダンスを有する、項目10に記載のトランスデューサ。
(項目12)
前記整合する音響インピーダンスが、式
【数1】
に従って、Z
mとほぼ等しく、式中、Z
lが、前記第1の音響インピーダンスであり、Z
cが、前記第2の音響インピーダンスである、項目11に記載のトランスデューサ。
(項目13)
前記整合する音響インピーダンスが、Zmの10%以内である、項目12に記載のトランスデューサ。
(項目14)
前記整合する音響インピーダンスが、Zmの5%以内である、項目12に記載のトランスデューサ。
(項目15)
前記整合する音響インピーダンスが、約4~10Mraylの範囲内である、項目11~14のいずれかに記載のトランスデューサ。
(項目16)
前記整合する音響インピーダンスが、約6~8Mraylの範囲内である、項目11~14のいずれかに記載のトランスデューサ。
(項目17)
前記整合層が、グラファイトを含む、項目11~14のいずれかに記載のトランスデューサ。
(項目18)
前記整合層が、フルオロポリマー層を含む、項目11~14のいずれかに記載のトランスデューサ。
(項目19)
前記整合層が、ポリビニリデンジフルオリドを含む、項目11~14のいずれかに記載のトランスデューサ。
(項目20)
前記整合層が、前記整合層を通過する公称周波数での音響信号の1/4波長の奇数倍に対応する厚さを有する、項目11~19のいずれかに記載のトランスデューサ。
(項目21)
前記整合層の前記厚さが、前記1/4波長の前記奇数倍によって定義される公称厚さの20%以内である、項目20に記載のトランスデューサ。
(項目22)
前記整合層の前記厚さが、前記1/4波長の前記奇数倍によって定義される公称厚さの10%以内である、項目20に記載のトランスデューサ。
(項目23)
前記公称周波数が、2~15MHzの範囲である、項目20~22のいずれかに記載のトランスデューサ。
(項目24)
前記整合層が、30~80μmの範囲の厚さを有する、項目10~23のいずれかに記載のトランスデューサ。
(項目25)
前記前面上に配設された第1の整合層と、前記第1の整合層上に配設された第2の整合層と、をさらに備え、前記第1および第2の整合層が、前記集束レンズから媒体への超音波の伝達を、前記集束レンズから前記媒体への超音波の直接伝達と比較して、強化するように構成されている、先行する項目のいずれかに記載のトランスデューサ。
(項目26)
前記集束レンズが、第1の音響インピーダンスを有し、
前記媒体が、前記第1の音響インピーダンスとは異なる第2の音響インピーダンスを有し、
前記第1の整合層が、前記第1の音響インピーダンスと前記第2の音響インピーダンスとの間に第1の整合する音響インピーダンスを有し、
前記第2の整合層が、前記第1の整合する音響インピーダンスと前記第2の音響インピーダンスとの間に第2の整合する音響インピーダンスを有する、項目25に記載のトランスデューサ。
(項目27)
前記第1および第2の整合する音響インピーダンスが、
【数2】
の場合に、それぞれZ
m1およびZ
m2とほぼ等しく、式中、Z
lが、前記金属の前記音響インピーダンスに対応し、集束レンズおよびZ
cが、前記媒体の前記音響インピーダンスに対応する、項目26に記載のトランスデューサ。
(項目28)
前記集束レンズが、前記アクチュエータよりも直径が大きい、先行する項目のいずれかに記載のトランスデューサ。
(項目29)
前記トランスデューサヘッドが、金属または金属合金で形成されている、先行する項目のいずれかに記載のトランスデューサ。
(項目30)
前記トランスデューサヘッドが、アルミニウム(Al)、ベリリウム(Be)、カドミウム(Cd)、炭素(C)、クロム(Cr)、銅(Cu)、ゲルマニウム(Ge)、金(Au)、鉄(Fe)、鉛(Pb)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、ニオブ(Nb)、リン(P)、白金(Pt)、セレン(Se)、シリコン(Si)、銀(Ag)、スズ(Sn)、チタン(Ti)、タングステン(W)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、またはジルコニウム(Zr)のうちの1つ以上を含む、先行する項目のいずれかに記載のトランスデューサ。
(項目31)
前記トランスデューサヘッドおよび前記ケーシングが、液体中に浸漬されたときに、液体浸透深さおよび誘導された材料損失がゼロであることを特徴とする、先行する項目のいずれかに記載のトランスデューサ。
(項目32)
前記トランスデューサヘッドおよび前記ケーシングが、液体との接触による材料の重量損失が年間0.1%未満であることを特徴とする、先行する項目のいずれかに記載のトランスデューサ。
(項目33)
前記アクチュエータが、前記トランスデューサによって発生した公称周波数での音響信号の公称音響波長のほぼ半分に等しい厚さを有する、先行する項目のいずれかに記載のトランスデューサ。
(項目34)
前記アクチュエータが、およそ275μmに等しい厚さを有する、先行する項目のいずれかに記載のトランスデューサ。
(項目35)
前記アクチュエータによって伝達される音響エネルギーを減弱させるように構成されている、バッキング材料をさらに備え、前記アクチュエータが、前記バッキング材料と前記金属集束レンズとの間に位置付けられている、先行する項目のいずれかに記載のトランスデューサ。
(項目36)
前記バッキング材料が、音響減衰材料中に均一に懸濁された音響散乱材料の粒子を含む、項目35に記載のトランスデューサ。
(項目37)
前記バッキング材料が、減衰ポリマーマトリックスを含む、項目35に記載のトランスデューサ。
(項目38)
前記バッキング材料が、シリコンカーバイドの粒子を含浸させた減衰ポリマーマトリックスを含む、項目35に記載のトランスデューサ。
(項目39)
前記バッキング材料が、タングステンの粒子を含浸させた減衰ポリマーマトリックスを含む、項目35に記載のトランスデューサ。
(項目40)
前記バッキング材料が、13.5~16.5Mraylの範囲の音響インピーダンスを有する、項目35~39のいずれかに記載のトランスデューサ。
(項目41)
前記ケーシングの内部空間を実質的に充填する密閉材をさらに備え、前記バッキング材料が、前記アクチュエータと前記密閉材との間に配設されている、項目35~40のいずれかに記載のトランスデューサ。
(項目42)
前記トランスデューサによって発生した音響ビームの焦点長さが、十分に安定しており、前記焦点長さが、液体との接触によって年間0.1%未満の割合で変化する、先行する項目のいずれかに記載のトランスデューサ。
(項目43)
前記トランスデューサによって発生した音響ビームの偏心度が、十分に安定しており、前記偏心度が、液体との接触によって年間0.1%未満の割合で変化する、先行する項目のいずれかに記載のトランスデューサ。
(項目44)
前記トランスデューサが、流体不透過性であり、かつ2大気圧超で130℃を超える温度に曝露されたときの性能の変化に対して弾力性がある、先行する項目のいずれかに記載のトランスデューサ。
(項目45)
流体不透過性超音波トランスデューサを形成する方法であって、前記方法が、
流体不透過性材料から実質的に中空のケーシングを形成することであって、前記実質的に中空のケーシングが、内部空洞および開いた第1の端部を有する、形成することと、
前記流体不透過性材料からトランスデューサヘッド要素を形成することであって、前記トランスデューサヘッド要素が、前記ケーシングの前記開いた第1の端部と接続するようにサイズ決めされる、形成することと、
前記ヘッド要素の前面上に集束レンズを形成することであって、前記集束レンズが、焦点に向かって超音波を集束させるように構成されている、形成することと、
前記ヘッド要素を前記ケーシングの前記第1の端部と接合して、流体不透過性の接合部を形成することであって、前記ヘッド要素が、前記集束レンズが前記ケーシングから離れる方向を指すように位置付けられる、形成することと、
前記前面とは反対の前記トランスデューサヘッドの後面にアクチュエータを接着することであって、前記アクチュエータが、超音波が前記集束レンズから前記焦点に向かって放出されるように、前記集束レンズの発振的機械的振動を発生させるように動作可能である、接着することと、を含む、方法。
(項目46)
前記ヘッド要素を前記ケーシングの前記第1の端部と接合することが、前記ヘッド要素を前記ケーシングと溶接することを含む、項目45に記載の方法。
(項目47)
前記集束レンズを形成することが、精密機械加工プロセスを介して前記ヘッド要素の前記前面から材料を除去することを含む、先行する項目のいずれかに記載の方法。
(項目48)
前記ケーシング内に前記アクチュエータに隣接して、かつ前記アクチュエータの後方にバッキング材料を挿入することと、
密閉材で前記ケーシングの前記内部空洞の残りの部分を実質的に充填することと、をさらに含む、先行する項目のいずれかに記載の方法。
(項目49)
前記集束レンズに整合層を適用することをさらに含み、前記整合層が、式
【数3】
に従って、Z
mに対応する整合する音響インピーダンスを有する材料を含み、式中、Z
lが、前記ヘッド要素に対応する第1の音響インピーダンスであり、Z
cが、媒体に対応する第2の音響インピーダンスである、先行する項目のいずれかに記載の方法。
(項目50)
前記整合層の厚さを減少させて、前記厚さを、前記整合層を通過する公称周波数での音響信号の1/4波長の奇数倍に一致させることをさらに含む、項目49に記載の方法。
(項目51)
前記整合層を通過する公称周波数での音響信号の1/4波長の奇数倍に対応する厚さで前記整合層を適用することをさらに含む、項目49に記載の方法。
(項目52)
前記ケーシング内に前記アクチュエータに隣接して、かつ前記アクチュエータの後方にバッキング材料を挿入することと、
前記ケーシング内に前記アクチュエータに当接し、かつ前記バッキング材料の周辺を中心として導電性リング要素を挿入することであって、前記導電性リングが、内側導電性部分および外側導電性部分を有する、挿入することと、
前記アクチュエータの第1の電極を前記導電性リング要素の前記内側導電性部分と接触させることと、
前記アクチュエータの第2の電極を前記導電性リング要素の前記外側導電性部分と接触させることと、をさらに含む、先行する項目のいずれかに記載の方法。
(項目53)
前記集束レンズに隣接する前記ヘッド要素の周辺に減弱層を適用することをさらに含む、先行する項目のいずれかに記載の方法。
(項目54)
前記集束レンズに整合層を適用することをさらに含み、前記整合層が、前記トランスデューサヘッドの第1の音響インピーダンスよりも小さい整合する音響インピーダンスを有する、先行する項目のいずれかに記載の方法。
(項目55)
流体不透過性超音波トランスデューサを形成する方法であって、前記方法が、
流体不透過性材料から実質的に中空のケーシングを形成することであって、前記実質的に中空のケーシングが、内部空洞、およびトランスデューサヘッド要素を画定する閉じた第1の端部を有する、形成することと、
前記ヘッド要素の前面上に集束レンズを形成することであって、前記集束レンズが、焦点に向かって超音波を集束させるように構成されている、形成することと、
前記前面とは反対の前記トランスデューサヘッドの後面にアクチュエータを接着することであって、前記アクチュエータが、超音波が前記集束レンズから前記焦点に向かって放出されるように、前記集束レンズの発振的機械的振動を発生させるように動作可能である、接着することと、を含む、方法。
(項目56)
前記集束レンズを形成することが、前記ヘッド要素の前記前面から材料を除去することを含む、項目55に記載の方法。
(項目57)
前記ケーシング内に前記アクチュエータに隣接して、かつ前記アクチュエータの後方にバッキング材料を挿入することと、
密閉材で前記ケーシングの前記内部空洞の残りの部分を実質的に充填することと、をさらに含む、先行する項目のいずれかに記載の方法。
(項目58)
前記ケーシング内に前記アクチュエータに当接し、かつ前記バッキング材料の周辺を中心として導電性リング要素を挿入することであって、前記導電性リングが、内側導電性部分および外側導電性部分を有する、挿入することと、
前記アクチュエータの第1の電極を前記導電性リング要素の前記内側導電性部分と接触させることと、
前記アクチュエータの第2の電極を前記導電性リング要素の前記外側導電性部分と接触させることと、をさらに含む、項目57に記載の方法。
(項目59)
前記集束レンズに整合層を適用することをさらに含み、前記整合層が、式
【数4】
に従って、Z
mに対応する整合する音響インピーダンスを有する材料を含み、式中、Z
lが、前記ヘッド要素に対応する第1の音響インピーダンスであり、Z
cが、媒体に対応する第2の音響インピーダンスである、先行する項目のいずれかに記載の方法。
(項目60)
前記整合層の厚さを減少させて、前記厚さを、前記整合層を通過する公称周波数での音響信号の1/4波長の奇数倍に一致させることをさらに含む、項目59に記載の方法。
(項目61)
前記整合層を通過する公称周波数での音響信号の1/4波長の奇数倍に対応する厚さで前記整合層を適用することをさらに含む、項目59に記載の方法。
(項目62)
前記集束レンズに隣接する前記ヘッド要素の周辺に減弱層を適用することをさらに含む、先行する項目のいずれかに記載の方法。
(項目63)
前記集束レンズに整合層を適用することをさらに含み、前記整合層が、前記トランスデューサヘッドの第1の音響インピーダンスよりも小さい整合する音響インピーダンスを有する、先行する項目のいずれかに記載の方法。
(項目64)
流体のリザーバから液滴を排出する方法であって、前記方法が、
項目1~44のいずれかに記載のトランスデューサを含む流体不透過性トランスデューサを用いて、
前記トランスデューサから前記リザーバへ音響エネルギーを結合するように位置付けられた音響媒体中に前記集束レンズを浸漬することと、
前記リザーバの流体表面から液滴排出を引き起こすように構成された周波数で、前記アクチュエータによって音響パルスを発生させることと、
前記集束レンズを介して、前記アクチュエータから前記流体リザーバまで前記音響パルスを通過させることと、を含む、方法。
(項目65)
構造の超音波試験を実施する方法であって、前記方法が、
項目1~44のいずれかに記載のトランスデューサを含む流体不透過性トランスデューサを用いて、
前記構造と流体接触する音響媒体中に前記集束レンズを浸漬することと、
前記アクチュエータによって音響パルスを発生させ、前記構造のスキャン領域に向けることと、
前記スキャン領域に対応する前記音響パルスのエコーを受信することと、
前記エコーの特性に基づいて、前記構造の前記スキャン領域の物理的パラメータを決定することと、を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本開示による様々な実施形態を、図面を参照して説明する。
【0016】
【
図1】従来の先行技術の超音波トランスデューサの簡略化された断面図を示している。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態による、第1の流体不透過性超音波トランスデューサの側面図を示している。
【
図3】
図2の流体不透過性超音波トランスデューサの断面図を示している。
【
図4】
図2および
図3の流体不透過性超音波トランスデューサの端面図を示している。
【
図5】アクチュエータおよび集束レンズに注目した、
図2~
図4の流体不透過性超音波トランスデューサの別の断面の斜視図を示している。
【
図6】アクチュエータに注目した、
図5の斜視図のより詳細な部分を示している。
【
図7】本開示のいくつかの実施形態による、第2の流体不透過性超音波トランスデューサの側面図を示している。
【
図8】
図7の流体不透過性超音波トランスデューサの断面図を示している。
【
図9】アクチュエータおよび集束レンズに注目した、
図7および
図8の流体不透過性超音波トランスデューサの断面図を示している。
【
図10】本開示のいくつかの実施形態による、第3の流体不透過性超音波トランスデューサの側面図を示している。
【
図11】
図10の流体不透過性超音波トランスデューサの断面図を示している。
【
図12】本開示のいくつかの実施形態による、整合層を用いる浸漬トランスデューサの作業構成要素の簡略化された模式図を示している。
【
図13】本開示のいくつかの実施形態による、複数の整合層を用いる浸漬トランスデューサの作業構成要素の簡略化された模式図を示している。
【
図14】本開示のいくつかの実施形態による、回折集束レンズを用いた浸漬トランスデューサの作業構成要素の簡略化された模式図を示している。
【
図15】いくつかの実施形態による、集束レンズの比較的大きな集束領域を有する湾曲した集束レンズの簡略化された側面概略図を示している。
【
図16】
図15に示される湾曲した集束レンズと同様の湾曲した集束レンズによって引き起こされたエコー信号のグラフィカルな図解を示している。
【
図17】いくつかの実施形態による、集束レンズの外側吸収層および比較的小さな集束領域を有する湾曲した集束レンズの簡略化された側面概略図を示している。
【
図18】
図17に示される湾曲した集束レンズと同様の湾曲した集束レンズによって引き起こされたエコー信号のグラフィカルな図解を示している。
【
図19】様々な実施形態による、様々な開口サイズを有するトランスデューサのエコー信号のグラフィカルな図解を示している。
【
図20】様々な実施形態による、様々な開口サイズを有するトランスデューサに関連付けられたビームサイズのグラフィカルな図解を示している。
【
図21】実施形態による、流体不透過性超音波トランスデューサで使用するための集束レンズを発生させるための例示的なシステムを示している。
【
図22】実施形態による、流体不透過性超音波トランスデューサを生成するための第1の例示的なプロセスを示している。
【
図23】実施形態による、流体不透過性超音波トランスデューサを生成するための第2の例示的なプロセスを示している。
【
図24】実施形態による、流体不透過性超音波トランスデューサを生成するための第3の例示的なプロセスを示している。
【
図25】トランスデューサの焦点長さに対応する特徴的な飛行時間(ToF)を推定するための、流体不透過性トランスデューサのエコー遅延の関数としてのエコー振幅を図解するチャートである。
【
図26】焦点面における音響ビームの形状および対称性を推定するための、流体不透過性トランスデューサの焦点面を横切るエコー振幅を示す輪郭プロットである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の説明では、様々な実施形態について説明する。説明の目的で、実施形態の完全な理解を提供するために、特定の構成および詳細を明記する。しかしながら、実施形態が他の構成で、または特定の詳細なしに実践され得ることも当業者には明らかであろう。さらに、記載される実施形態を不明瞭にしないために、周知の特徴は省略または簡略化され得る。
【0018】
本明細書に記載の超音波トランスデューサの実施形態は、流体不透過性トランスデューサヘッドを用いる浸漬超音波トランスデューサを含む。流体不透過性超音波トランスデューサは、流体不透過性シェルをさらに含むことができ、流体不透過性シェルは、シェルおよび集束レンズの両方を形成し、かつその中にアクチュエータおよび関連する電気構成要素も包含する一体型部品であってもよい。かかる事例では、流体不透過性シェルおよび集束レンズは、同じ流体不透過性部分から形成され得る。集束レンズは、その上に整合層をさらに含むことができ、整合層は、集束レンズから液体媒体への音響エネルギーの伝達を改善する。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、超音波トランスデューサケースは、例えば、溶接、焼結、または同等の水密性取り付け手段によって流体不透過性ケースに永久的に固定されている、上に集束手段を含む集束レンズを備える流体不透過性トランスデューサヘッドを含み得る。アクチュエータは、アクチュエータが駆動信号によって起動されたときに振動をトランスデューサヘッドの中へ、およびトランスデューサヘッドを通して駆動することができるように、ケースの内側および集束レンズとは反対のトランスデューサヘッドの後部に隣接して配設される。アクチュエータは、例えば、圧電アクチュエータなどであるがこれに限定されない、任意の好適な電気機械アクチュエータを含み得る。
【0020】
本明細書に記載される流体不透過性とは、例えば、水もしくは同様に粘性反応性および非反応性の溶媒に対して不透過性、または非極性、極性プロトン性、および極性非プロトン性溶媒、特に、水/水性溶液(塩水を含む)、DMSO、アルコール、アルカン、油、界面活性剤などを含む一般的な液体および/もしくは溶媒系による浸透に対して不透過性であることも含み得る。いくつかの実施形態では、流体不透過性とは、従来の動作条件および滅菌手順中に使用されるものなどの高温/高圧の両方で、蒸気、例えば、溶媒蒸気、水蒸気、空気、または他の同等のガスに対して不透過性であることも含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される流体不透過性トランスデューサは、本開示から別段に仮定され得る通常の大気圧条件を超える広範囲の状態で流体不透過性のままである。流体(蒸気を含む)不透過性は、通常の実験室の圧力および温度、ならびに高圧および高温の両方で望ましく、これは、これらが、別様に浸透剤をトランスデューサ内に駆動し得る要因であるためである。例えば、トランスデューサを滅菌し易くすること、ひいては、少なくともいくつかの実施形態は、いずれの検出可能な性能の変化を誘導することなく、少なくともオートクレーブ滅菌条件下(例えば、2大気圧超、好ましくは3大気圧超で約130℃)で液体および/または蒸気に対して不透過性であることには相当な有用性がある。トランスデューサの性能基準としては、焦点長さ、効率、音響ビームの形状もしくは偏心度、貫入もしくは他の環境要因に対する耐性、経時的な動作の一貫性、および/または信号対雑音要件を挙げることができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態によれば、RFコネクタなどのトランスデューサに関連付けられた任意のコネクタは、キャップ内の極端な条件への曝露中に密閉され得るか、または標準的な高圧/高温気密RFコネクタ設計およびレーザ溶接技術を使用して、そのコネクタをトランスデューサケーシングに接合することによって、極端な圧力および高温での流体中の水浸のために設計され得る。
【0022】
超音波トランスデューサの集束レンズは、音響エネルギーを集束させるように形状決めされ得る。いくつかの特定の実施形態では、集束レンズは、凹状の球状、放物線状、円筒状、または他の集束形状を有し得る。集束レンズは、成形、鋳造、精密機械加工、三次元印刷、フロー形成、コーティング、エッチング、または他の好適な形状決めもしくは形成手段、あるいはそれらの組み合わせによって形状決めすることができる。いくつかの実施形態によれば、集束レンズは、その上に整合層をさらに含む。整合層は、集束レンズおよび液体媒体の音響インピーダンス間に入る音響インピーダンスを有する材料の薄い層から形成され、全体的な遷移損失を減少させるために、集束レンズ、整合層、および液体媒体の材料間の段階的な遷移に従って音響エネルギーを伝達するように構成されている。
【0023】
トランスデューサヘッドの後部は、エポキシもしくはアルコキシシランまたは他の好適に堅牢な永久接着剤によってアクチュエータに接合することができ、それにより、アクチュエータによって誘導された振動は、トランスデューサヘッドに確実に伝達され、集束レンズから隣接する材料、典型的にはその焦点に向かって音響エネルギーを伝達するためのカプラントへと通過する。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、アクチュエータを、トランスデューサヘッドの後部とバッキング材料との間に挟むことができ、バッキング材料は、アクチュエータからトランスデューサヘッドを通って液体媒体へと音響エネルギーを前方に向けること、ならびにアクチュエータ層の後部に向かって進む音響エネルギーを吸収し、それに伴って、アクチュエータの反響を減衰させ、エコーを減少させ、かつよりクリーンな信号をもたらすことを助ける。例えば、いくつかの実施形態では、バッキング材料は、銅、インジウム-鉛、二酸化チタン、タングステン、またはこれらのもしくは同様の材料の組み合わせなどの音響散乱材料を含み得る。また、いくつかの実施形態では、バッキング材料中の音響吸収材料は、エポキシ、ポリウレタン、シリコーン、または同様の材料の組み合わせであってもよい。散乱材料および吸収材料の両方が粒子として存在し、音響吸収材料のマトリックス内に分散され得る。アクチュエータは、熱硬化性エポキシ樹脂などのような永久接着剤の薄い層によって、トランスデューサヘッドおよびバッキング材料のうちの一方または両方に接合され得る。
【0025】
バッキング層、および特にその均一性は、トランスデューサの全体的な性能に影響を与える可能性がある。特に、2つ以上の構成要素を含むバッキング層組成物については、構成要素の空間分布が重要な考慮事項であり得る。例えば、音響吸収材料中に懸濁された音響散乱材料を含むバッキング層では、その2つの間の密度に著しい差異がある場合、例えば、形成中に生じ得る架橋、冷却、ゲル化、重合、または他のプロセスに起因して、構成要素のうちの一方が他方の移動に対してより抵抗するようになるため、定着を回避するために製作中の均一性を保つように注意する必要がある。バッキング層材料の均一性は、様々な製造方法によって達成され得る。例えば、不均一な分布をもたらし得る浮揚力は、バッキング層材料内の密度差が構成要素間の相対的な動きを作り出すのに十分なほど大きい場合に、製作中に転回させるなどの方法によって軽減され得る。
【0026】
アクチュエータは、圧電アクチュエータなどの任意の好適な電気機械アクチュエータであってもよい。特定の実施形態では、アクチュエータは、限定されるものではないが、薄いセラミック圧電要素などの圧電ディスクである。かかる要素は、アノードおよびカソードが接着された薄い圧電セラミック要素を含み、アノードおよびカソードのうちの一方は、中心を被覆する薄い導電性ディスクから形成され、ディスク表面の一部またはほとんどがセラミック要素の一方の側のものであり、アノードおよびカソードのうちのもう一方は、アクチュエータディスクの後側にアクチュエータの側面を包み込む別の薄い導電性ディスクから形成され、アノードおよびカソードへの電気接続は、アクチュエータの後側に位置付けられた円筒形リングの形状の絶縁材料から作製された導電体リングによって提供される。導電体リングは、内側および外側の表面をコーティングする導電性トレース、例えば、銅を有する。導電体リングは、セラミック要素の縁の上またはその周りに位置付けられており、かつ任意の好適な方法、例えば、導電性エポキシ、はんだ付け、または同等の方法によって、アノードおよびカソードの導電性ディスクと電気接続されている。したがって、アノードおよびカソードが、短いインパルスまたはトーンバースト波形などの電気駆動信号を用いて導電体リングを介して供給される場合、セラミック要素は、駆動信号に従ってダイヤフラムとして作用し、振動する。好適な圧電セラミック要素としては、バリウムチタネート、ポリビニリデンジフルオリド、鉛ジルコネートチタネート組成物、リチウムニオベート、亜鉛オキシド、アルミニウムニトリド、および同等の材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
特定の実施形態を、図を参照して以下に詳細に説明する。
【0028】
図1は、ケース102、およびケース内にアクチュエータ116に隣接して挿入されているトランスデューサヘッド104を含む、従来の超音波トランスデューサ100の簡略化された断面図を示している。トランスデューサヘッド104は、例えば、成形されたエポキシ樹脂、シリコーン、または他の同等の材料から形成され得る。トランスデューサヘッド104は、トランスデューサヘッドとケース102との間のインターフェース108を有し、トランスデューサヘッドは、トランスデューサヘッドとケースとの間の液体の貫入を防止するように理論的にサイズ決めされるが、時間と共に、トランスデューサヘッド104は、液体を吸収および劣化し得るか、または液体がインターフェースを通過することができるように変形し得る。かかる吸収または劣化により、最終的に、液体をアクチュエータ116に貫入させ得るか、またはアクチュエータからのトランスデューサヘッド104の層間剥離を引き起こし得る。トランスデューサヘッド104の変形は、経時的な焦点長さのドリフト、またはトランスデューサヘッドが生成したビームパターンのドリフトに現れる。同様に、層間剥離は、アクチュエータ116からトランスデューサヘッド104への音響伝達の出力効率および/または均一性の経時的な著しい損失をもたらし得る。
【0029】
図1の従来の超音波トランスデューサ100とは対照的に、
図2は、液体の取り込みによる経時的な劣化が生じにくい液体不透過性超音波トランスデューサ200の例を示している。液体不透過性超音波トランスデューサ200は、ケーシング202、およびトランスデューサヘッド204を含む。ケーシング202は、トランスデューサヘッドセクション202aおよび本体セクション202bを含み、これらは、永久的に接合されている。ケーシング202を密閉するための好適な接合技術としては、例えば、溶接(レーザ溶接、摩擦溶接など)または類似の方法を挙げることができ、流体不透過性の接合部242をもたらす(
図3)。場合によっては、ケーシング202は、他の実施形態を参照して以下で考察されるように、単一の一体型部品であり得る。ケーシング202およびトランスデューサヘッド204は、完全に流体不透過性であり、ケーシングの内容物を水の貫入から保護する、トランスデューサの作業部分を形成する。
【0030】
トランスデューサヘッド204は、ケーシング202の前方に面する部分から形成されている(前方に面するとは、意図された音響エネルギー伝達の方向にあることを意味する)。外部から見えるトランスデューサ200の他の構成要素は、トランスデューサを信号供給源(図示せず)に電気接続するためのコネクタ208を含み、コネクタ208は、例えば、ユーザがトランスデューサの位置を調節するための取り扱い手段を提供するために、ケーシング202およびコネクタ208の周りに永久的に取り付けられたナット210でケーシング202と接続され得る。電子構成要素を含むケーシング202は、ケーシング内の空隙206を介して挿入され得る、エポキシなどのポッティング材料で再充填することもできる。基準面(3)および(4)は、それぞれ
図3および
図4に示される断面図を指す。
【0031】
図3は、内部により注目した、
図2の流体不透過性超音波トランスデューサ200の断面図を示している。ケーシング202は、トランスデューサヘッド204を含み、トランスデューサヘッド204は、狭いトランスデューサヘッド周縁部214によって区切られた凹状集束レンズ212を含む。集束レンズ212は、レンズ表面のすべてまたは大部分を横切って配設された薄い音響整合層を含む。整合層は、
図9および
図12および
図13を参照して以下により詳細に考察され、例えば、整合層370(
図9)である。
【0032】
凹状集束レンズ212の反対側では、トランスデューサヘッド後部216は、圧電ディスクであるアクチュエータ222と接続されている。アクチュエータ222は、正の電極226および負の電極228を含み、
図6を参照して以下にさらに考察されるように、正の電極は、内側の空洞218に向かってアクチュエータの中心を横切って配置されており、負の電極は、アクチュエータの外周の周りのリング内に、トランスデューサヘッド204に向かってアクチュエータを横切って配置されている。この電極の配置は、あるクラスのアクチュエータに特有であること、および本開示は、電極の異なる配置を有し得る電気機械アクチュエータを包含することを理解されよう。さらに、代替的な実施形態では、アクチュエータ222は、磁気拘束性アクチュエータ(magnetorestrictive actuator)、ボイスコイルアクチュエータ、または他の同等の電気機械アクチュエータなどの圧電アクチュエータとは異なるタイプのアクチュエータであってもよい。
【0033】
アクチュエータ222は、アクチュエータがトランスデューサヘッド204を通して振動を与え得るように、トランスデューサヘッド後部216に接合または接着されている。いくつかの実施形態によれば、アクチュエータ222は、高強度エポキシまたは同等の材料の層などの接着剤によってトランスデューサヘッド後部216に接着されている。接着は、好ましくは、アクチュエータからトランスデューサヘッドへの音響エネルギーの結合を最大化しながら、層間剥離の可能性を最小化するように、接着剤の薄く実質的に均一な層によって達成される。アクチュエータ222はまた、装填されたマトリックスを含むバッキング材料224と接続されている。バッキング材料224は、アクチュエータが動作しているときに、アクチュエータ222をトランスデューサヘッド後部216に対してしっかりと所定位置に保持するための好適な質量を有する1つ以上の材料、およびエコー効果がアクチュエータで発生した音響信号を妨害することを最小化または防止するように、ケーシング202を通って戻って進む反響を効果的に弱めるための好適な音響インピーダンスから構成される。いくつかの実施形態によれば、バッキング材料224の音響インピーダンスは、およそ15Mraylである。様々な実施形態において、バッキング材料224の音響インピーダンスは、例えば、約13.5~約16.5Mrayl、または約8~約28Mraylで変化し得る。バッキング材料224は、エポキシマトリックスなどの任意の好適な音響吸収物質から構成され得る。特定の実施形態では、バッキング材料224は、銅、シリコンカーバイド、チタンジオキシド、タングステンなどを含浸させたエポキシマトリックスなどの、1つ以上のセラミックおよび/または金属性材料もしくは粒子を含浸させた減衰ポリマーマトリックスから形成された複合材料である。
【0034】
バッキング材料中の粒子の特定の濃度および組成は、音響インピーダンスを調節するために変化させることができる。バッキング材料の望ましい音響インピーダンスは、概して、ピエゾ材料の音響インピーダンスにおける最大値と、最大値の約1/3の最小値との間に入る。音響インピーダンスをより密接に整合させると、より明白な反響はあるものの、効率がより高くなる一方、インピーダンスのギャップが増加すると、効率を犠牲にして反響が減少する。したがって、バッキング材料の特定の音響インピーダンスは、トランスデューサが意図される特定の用途に部分的に基づいて選択することができ、反響が容認できる高出力用途から、反響が最小化される必要がある高精度用途にまで及ぶ。いくつかの実施形態によれば、バッキング層は、2つ以上の材料から形成されてもよく、音響吸収材料中に懸濁される音響散乱材料の粒子を含み得る。かかるバッキング層は、好ましくは、音響的に均質である。この均質性は、粒子分布もまたバッキング層全体にわたって均質であるようにバッキング層を製作することによって達成され得る。
【0035】
バッキング材料224は、アクチュエータ222のすぐ後方の空間を、アクチュエータ222との電気接続に適応するためのチャネルおよびその中の空隙で実質的に充填する。いくつかの実施形態によれば、導電性リング220は、アクチュエータ222の外側部分に接触するために、バッキング材料224の周りに位置付けられている。
図4~
図6を参照して以下でより詳細に示されるように、正の回路226および負の回路228は、アクチュエータ222の正の電極部分230および負の電極部分232に電気信号を伝達するために中で接続されている。いくつかの実施形態によれば、導電性リング220の外側部分220bは、負の電極232の接触要素として使用されてもよく、導電性リングの内側部分220aは、正の電極230の接触要素として使用されてもよく、導電性リングの残部は、外側部分から内側部分を絶縁する。しかしながら、この配置を逆にすることができることを理解されよう。正の回路226および負の回路228によって搬送される電気信号は、信号基板236内の電子機器によって制御すること、条件付けること、および回路に向けることができる。信号基板236は、電気ピン238およびソケット240によってコネクタ208に動作可能に接続されている。信号基板236の動作の具体的な詳細を、
図4を参照して以下に説明する。
【0036】
ケーシング202の内部の空洞218内の残りの空間は、ケーシング202の内側の内部構成要素を固設するように動作可能である、エポキシ樹脂などの不活性な密閉材材料で充填され得る。この密閉材は、トランスデューサ200のコネクタ端部が液体中に曝露または浸漬された場合に、空洞218への水の貫入を防止することもできる。空洞218は、空隙206(
図2)を介して充填することができ、空隙206は、集束レンズ212から遠位に位置付けられ、ひいては、使用時に中にトランスデューサが浸漬される作業流体から遠くに位置付けられる。
【0037】
図4は、
図2および
図3の流体不透過性超音波トランスデューサ200の端面図、具体的には、信号基板236を示す部分を示している。示されるように、信号基板236は、インダクタ(図示せず)を含み得る電気整合ネットワーク246を含み、正の回路226の配列を一緒に接続する。この方法で正の回路226を一緒に配置して、トランスデューサ200が動作しているときに、アクチュエータ222の正の電極230の全体を横切って信頼できる信号転送を提供する。信号基板236はまた、負の(または接地)回路228の配列を通過するための空隙252を含む(
図2)。負の(または接地)回路228は同様に配列されて、アクチュエータ222の負の電極232に均等に接触する。ネットワーク246は、着信電気信号をより効率的にトランスデューサに結合するために、正の回路226の配列に動作可能に接続されている。ネットワーク246は、好ましくは、受動的な回路である。いくつかの実施形態によれば、ネットワーク246は、誘導性の能動的な回路であり得る。
【0038】
図5は、いくつかの実施形態による、アクチュエータ222および集束レンズ212に注目した、
図2~
図4の流体不透過性超音波トランスデューサ200の別の断面の斜視図を示している。トランスデューサヘッド204とバッキング材料224との間に挟まれたアクチュエータ222は、正の回路226の配列、およびケーシング202の内部でもある導電性の外側リング220を介して負の(または接地)回路228の配列と電気的に接触している。アクチュエータ222は、集束レンズ212と同軸に整列されており、かつトランスデューサヘッド周縁部214によって画定された領域内にある。
図6に関してさらに詳細に示されるように、負の電極232はアクチュエータ222の外側の縁の近くでアクチュエータ222を包み込み、正の電極230はアクチュエータ222の内部部分に接続されている。
【0039】
図6は、いくつかの実施形態による、アクチュエータ222、正の電極230、および負の電極232に注目した、
図5の斜視図の一部分をより詳細に示している。正の電極230および負の電極232の厚さは、非常に小さい、すなわち、ミクロンまたはナノメートルほどであり得、したがって、
図6の特徴は、縮尺して示されず、電極の目に見える厚さは、例示目的のみである。電極230、232は、300ナノメートルほどの厚さで、導電性材料(例えば、金、銀、銅、アルミニウム、または同様の材料)から形成され得る。アクチュエータ222は、圧電材料(例えば、リチウムニオベート、バリウムチタネート、ポリビニリデンジフルオリド、鉛ジルコネートチタネート組成物、亜鉛オキシド、アルミニウムニトリド、または類似物)から形成された薄い圧電ディスクから構成され得る。効率を最大化するため、アクチュエータ222の厚さは、所望の中心周波数の振動および圧電ディスクの音の速度によって決定される場合に、音響波長の半分に近いように選択されるが、様々な実施形態において、厚さは、波長の半分の任意の好適な奇数倍に近い場合がある。100MHz超の所望の周波数については、最適な厚さは10ミクロン未満であり得る。1MHz未満の所望の周波数については、厚さは1ミリメートルを超える場合がある。10MHz周辺では、典型的な圧電ディスク材料の場合、最適な厚さは数百ミクロンの範囲にある。いくつかの特定の実施形態では、例えば、12MHzほどの設計中心周波数については、最適な厚さは、好ましくは約275ミクロン(または275ミクロンの奇数倍)である。正の電極230および負の電極232は互いに電気的に隔離されており、負の電極232はアクチュエータ222の周囲を包み込み、正の電極230はその周囲内の空間を占有する。アクチュエータとケーシング202との間にはアクチュエータ222の外周の周りに位置付けられたクリアランスまたはギャップ250が存在してもよく、導電性の外側リング220およびバッキング材料224が互いに、導電リングのクリアランス248によって電気的に隔離されていてもよい。クリアランス250、248は両方とも、エポキシ樹脂などの電気絶縁材料で充填され得る。
【0040】
トランスデューサの様々な他の実施形態は、
図1~
図6を参照して上に記載されるように、ケーシングおよびトランスデューサヘッド-面構成要素の代替的なアセンブリを含む、トランスデューサ200のものと同様の特徴を含み得る。可能な場合、同様の機能を有する様々なトランスデューサの構成要素を説明するために、全体を通して同様の番号付けが使用される。明確に禁忌である場合を除き、1つのトランスデューサアセンブリの構成要素は、本開示の趣旨から逸脱することなく、本明細書に開示される別のトランスデューサアセンブリの構成要素と組み合わされ得ることが理解されよう。
【0041】
図7は、本開示のいくつかの実施形態による、第2の流体不透過性超音波トランスデューサ300の側面図を示している。トランスデューサ300は、
図2~
図6のトランスデューサ200に関して上に記載されるものと同様の外部特徴を備えるケース302と、トランスデューサを信号供給源と動作可能に接続するためのインターフェース308と、を含む。トランスデューサ300は、トランスデューサヘッド304の外周の周りにケーシング302上に位置付けられた減弱層350と、取り囲む開口レンズ312と、をさらに含む(
図8)。様々な実施形態において、減弱層350は省略され得ることに留意されたい。ケーシング202およびトランスデューサヘッド204が接合された
図2~
図6のトランスデューサ200とは対照的に、トランスデューサ300は、トランスデューサヘッド304がケーシング300の一体型部品であることに起因して、水不透過性である。
【0042】
図8は、実施形態に従って、
図7の流体不透過性超音波トランスデューサ300の断面図を示している。
図2~
図6のトランスデューサ200と同様に、トランスデューサ300は、上に記載されるトランスデューサヘッド204およびバッキング材料224と同様の組成および構成を有し得る、トランスデューサヘッド304とバッキング材料324との間に位置付けられたアクチュエータ322を含む。ケーシング302の内部空洞318は、エポキシ樹脂などの絶縁および防水充填材料によって同様に充填され得る。アクチュエータ322は、上に記載されるアクチュエータ222および信号基板236と同様の方法で、信号基板336と動作可能に接続され得る。アクチュエータ322は、トランスデューサヘッド304とバッキング層324との間に挟まれ、アクチュエータ322に電気接続を提供する導電性リング320によって囲まれている。トランスデューサ200および300について示されているレンズ形状(すなわち、
図3に示されるより大きな開口レンズ212、および
図7に示されるより小さな開口レンズ312)は、これらのそれぞれのケーシングタイプ(
図3に示される接続されたトランスデューサヘッド/ケーシング、
図7に示される一体型のトランスデューサヘッド/ケーシング)での使用に制限されない。別様に明示的に述べられていない限り、記載される各トランスデューサの構造的特徴は、互換的に使用され得る。必要に応じて、レンズ形状、およびレンズと結合されたトランスデューサ電極のサイズを調節して、トランスデューサの音響ビームサイズを制御することができる。
【0043】
トランスデューサ300は、
図2~
図6を参照して上に記載されるトランスデューサヘッド204と比較して、トランスデューサヘッド304の異なる構成を提供する。トランスデューサヘッド304は、アクチュエータ322よりも小さい直径を有する集束形状を画定する集束レンズ312を含む。この構成は、集束レンズ212がアクチュエータ222よりも直径が大きかったトランスデューサヘッド204(
図2~
図6)とは対照的である。集束レンズ312のより小さな幾何学的形状は、
図15~
図18を参照して図解され、かつ以下で考察されるように、トランスデューサヘッド304の材料中の内部音響反射の影響を減少させるように動作する。集束レンズ312は、
図2~
図6のレンズ表面212と同様の整合層でコーティングされている。整合層についての詳細を、
図9ならびに
図12および
図13を参照して以下で考察する。減弱層350または外側吸収性層は、集束レンズ312を取り囲んで、別様により大きなトランスデューサヘッド周縁部314から生じ得る非集束状態の振動を減少させるか、または除去する。
【0044】
減弱層350は、トランスデューサヘッド304の上、具体的にはトランスデューサヘッド周縁部314の上に、トランスデューサ端部面312の外周に隣接して、その周りに位置付けられている。減弱層350は、トランスデューサヘッド周縁部314からの、非集束状態の振動または反射された振動の偶発的な伝達を防止するように構成されている。減弱層350の中心の空隙352により、振動は、集束された様式で減弱層を越えて集束レンズ312から妨害されずに通過することができる。中心の空隙の直径354は、好ましくは、トランスデューサ端部面312と同じサイズである。減弱層350の幅358は、好ましくは、アクチュエータ222よりも広く、そのため、非集束状態の振動または反射された振動は、トランスデューサヘッド周縁部314から外にアクチュエータからほとんどまたは全く渡されない。いくつかの実施形態では、減弱層350は、ケーシング302の縁まで延在し得る。減弱層350の深さ356は、トランスデューサヘッド周縁部314から実質的にすべての伝達可能な振動を吸収するのに適当な減弱を提供するのに十分なものである。いくつかの実施形態では、減弱層350は、減弱層を通過するごとの音のエネルギーの少なくとも90%を十分に吸収する(すなわち、音のエネルギーを10dBだけ減少させる)のに十分な厚さである(すなわち、最小の厚さを有する)。特定の実施形態では、減弱層350の深さ356は、約0.5mm~5mmの範囲であり得る。アクチュエータ322から減弱層350の端部までの全深さ360は、約0.6mm~約10mmの範囲であり得る。しかしながら、吸収層の厚さは、好ましくは、少なくとも10dB減衰させる最小の厚さであるように選択される。
【0045】
図9は、アクチュエータおよび集束レンズに注目した、
図7および
図8の流体不透過性超音波トランスデューサ300の断面図を示している。示されるように、ケース302は、トランスデューサヘッド304で終端し、トランスデューサ端部周縁部314を画定する周辺部分と、集束レンズ312を画定する中心部分と、を含む。減弱層350は、ヘッド面312に隣接する、トランスデューサヘッド周縁部314上の位置である。減弱層350の幅358は、トランスデューサヘッド周縁部314の幅360の大部分を占有する。トランスデューサケース302内で、空洞318は、アクチュエータ322を含み、トランスデューサヘッド304に対して押し上げられ、トランスデューサヘッドとバッキング層324との間に挟まれる。負の電極または接地電極332は、アクチュエータ322上にトランスデューサヘッド304に隣接して位置付けられており、かつアクチュエータ322の周縁部の周りで導電性リング320に接続されている。正のリード線は、アクチュエータ322とバッキング層324との間に位置付けられた正の電極330に接触するように、導電性リング320に隣接して配線されている。整合層370は、ヘッド面からの音響伝達を改善するために、ヘッド面312上に位置付けられている。整合層370を、
図12および
図13を参照してさらに詳細に考察する。
【0046】
いくつかの代替的な実施形態によれば、さらなるトランスデューサ要素を、
図2~
図9を参照して上に記載されるトランスデューサのうちの1つ以上と組み合わせて提供することができる。例えば、
図10は、本開示のいくつかの実施形態による、二次トランスデューサ要素462を有する第3の流体不透過性超音波トランスデューサ400の側面図を示している。トランスデューサ400は、上に記載されるトランスデューサ200、300のケース202、302と同様の特徴を備えるケース402を含み、トランスデューサを信号供給源と動作可能に接続するためのインターフェース408を備える。トランスデューサ400は、ケーシング402上に位置付けられた二重目的のバッキングおよび減弱層450と、バッキング/減弱層上に位置付けられた二次トランスデューサ要素462と、をさらに含む。
【0047】
図11は、
図10の流体不透過性超音波トランスデューサ400の断面図を示し、
図7~
図9に示されるトランスデューサ300のものと同様のトランスデューサの特徴および構成要素を示し、同様の部品が同様の番号付けを有する。注目すべきことに、二次トランスデューサ要素462は、それ自体の作動および集束手段(図示せず)を含むことができ、バッキング/減弱層が二次トランスデューサ要素のためのバッキング層、および一次アクチュエータ422によって放出される音のエネルギーのための減弱層の両方として作用するように、トランスデューサヘッド404と接続されたバッキング/減弱層450に接続されている。二次トランスデューサ要素462は、トランスデューサ400の一次集束レンズ412の周りのリング内に配置されてもよく、一次アクチュエータ422と組み合わせて、または独立して動作することができ、かつ同じまたは好ましくは異なる音響周波数範囲で動作することができる。本明細書に示されるように、一次アクチュエータ422およびヘッド面412は、
図7~
図9に示されるトランスデューサ300のアクチュエータ322およびヘッド面312と類似している。いくつかの実施形態によれば、二次トランスデューサ要素462は、減弱層450の内径452と実質的に整合する、開いた内径464を有する。バッキング/減弱層450の厚さ456は、ここでは、一次アクチュエータ422によって引き起こされた一次トランスデューサヘッド周縁部414を通る振動を減衰させるだけでなく、二次トランスデューサ要素462から戻されたエコーを弱めるためにも十分である。
【0048】
上で考察されるトランスデューサの実施形態は、それらの中のアクチュエータに提供される電気信号に基づいて、音響波を媒体中に伝播させるのに適している。しかしながら、実施形態は、アクチュエータから媒体への音響エネルギーの転送を強化するためのさらなる特徴を含み得る。主に、エネルギー伝達を改善するために、1つ以上の整合層が集束レンズ(例えば、ヘッド面212、312、412)上に用いられる場合がある。
【0049】
図12は、本開示のいくつかの実施形態による、整合層または整合層514を用いる浸漬トランスデューサ500の作業構成要素の簡略化された模式図を示している。トランスデューサ500の態様は、
図2~
図11を参照して上に論じられるトランスデューサ200、300、400の各々の特徴と組み合わせて用いられ得る。
【0050】
トランスデューサ500は、トランスデューサヘッド要素510、作動要素530、バッキング要素540、バッキング空洞544、および電気整合ネットワークまたは制御要素550を含む。動作中、所望の音響出力を定義し得る電気信号は、入力回路554を通って電気整合ネットワーク要素550に渡される。この電気整合ネットワーク要素550は、入力信号(例えば、駆動信号)を、トランスデューサ作動要素530などの電気負荷に効率的に接続するように、電気信号をフィルタ、減弱、増幅、または別様に補正するための好適な電子機器を含み得る。いくつかの実施形態によれば、整合ネットワーク要素550は、誘導性ハイパス回路552、または入力信号を条件付けるための他の好適なフィルタリング回路を含み得る。動作中、整合ネットワーク要素550は、単純なハイパスフィルタを含むことができ、これにより、高周波数電気信号(音響信号に対応する高周波数駆動信号など)が十分な減弱を伴わずに通過する一方で、低周波数信号をフィルタリングして低周波数現象を遮断することができる。様々な他の実施形態によれば、制御要素550は、入力回路554からの信号を減弱させるための任意の好適なフィルタまたはフィルタの組み合わせを含み得る。
【0051】
制御要素550は、相互接続部538によって作動要素530に動作可能に接続されている。作動要素530は、圧電ディスクまたは同等のアクチュエータであり得るアクチュエータ536を含む。アクチュエータ536は、両側において、(ここでは相互接続部538と接続して示される)正の電極534、および(接地回路または負の回路に接続されているが、示されていない)負の電極または接地電極532に接続されている。アクチュエータ536は、駆動信号の周波数に従って物理的振動を生成することによって駆動信号に応答する。作動要素530は、一方の側ではトランスデューサヘッド要素510によって、もう一方の側ではバッキング空洞544内のバッキング要素540によって区切られている。バッキング要素540は、作動要素530と接触している間、および作動要素530をトランスデューサヘッド要素510に向かって付勢している間、振動を吸収するのに適した組成物および/または微細構造を有するバッキング材料542から構成される。バッキング空洞544は、開いていてもよいし、アクチュエータ要素530を水分または他の外部混入物から絶縁するための絶縁材料および/または防水材料で充填されてもよい。
【0052】
トランスデューサヘッド要素510は、中にトランスデューサ500が音響エネルギーを向けるように構成されている、媒体502に面する。トランスデューサヘッド要素510は、トランスデューサヘッド512の本体、集束レンズ518、およびアクチュエータ要素530に隣接して位置付けられたトランスデューサヘッド後部520を含む。集束レンズ518は、トランスデューサヘッド本体512の表面516上に位置付けられた整合層514から構成されている。トランスデューサヘッド本体512は、好ましくは、水を吸わない剛性、軽量、および非多孔性材料から構成される。例えば、いくつかの実施形態によれば、トランスデューサヘッド本体512は、好ましくは耐腐食性の金属または金属合金であり得る。様々な実施形態において、トランスデューサヘッドの材料としては、アルミニウム(Al)、ベリリウム(Be)、カドミウム(Cd)、炭素(C)、クロム(Cr)、銅(Cu)、ゲルマニウム(Ge)、金(Au)、鉄(Fe)、鉛(Pb)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、ニオブ(Nb)、リン(P)、白金(Pt)、セレン(Se)、シリコン(Si)、銀(Ag)、スズ(Sn)、チタン(Ti)、タングステン(W)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、またはジルコニウム(Zr)、および一部の非金属もしくは非半金属の成分を含有することもできる、ステンレス鋼などの複雑な合金を含む前述のいずれか2つ以上の合金もしくは複合体を挙げることができるが、これらに限定されない。好適な非金属または非半金属の成分としては、例えば、シリコン、ガラス、石英、または様々なセラミックを挙げることができる。トランスデューサヘッドは、好ましくは、トランスデューサヘッド表面およびケーシングが液体を除外するだけでなく、長い期間にわって液体に曝露されたときに劣化または形状の変化に対しても耐性があるように、耐腐食性かつ液体不透過性、特に流体不透過性である。いくつかの実施形態では、トランスデューサヘッドの材料は、水などの流体カプラントに対して完全に不活性であり得、長期間の浸透深さはゼロであり、腐食による重量損失はゼロである。トランスデューサヘッド本体512は、トランスデューサ500の内部構成要素を包み込むケーシングと一体的に接続され得るか、またはケーシングを含み得る。完全に不活性の材料については、浸透深さおよび重量損失がゼロであると仮定することができる(または浸透/損失は測定不可能であり得る)。低反応性材料の場合、許容可能な浸透深さおよび重量損失は、トランスデューサの目標寿命と、その寿命にわたるレンズ焦点性質の容認できる変化とに依存する。いくつかの実施形態では、材料の重量損失の最大許容値は、年間0.1%以下ほどである。
【0053】
整合層514は、トランスデューサヘッド本体512と媒体502との間のインピーダンスである音響、すなわち、機械的インピーダンスを有する材料から構成されている。この整合層514は、特にトランスデューサヘッド本体512が高インピーダンスの材料から構成される場合、媒体502への音響エネルギーの伝達を大幅に改善することができる。有利な腐食性質を有する流体不透過性金属および金属合金は、幅広い音響インピーダンスを網羅し、典型的には10~100MRaylの値を有する。好ましくは、トランスデューサヘッドおよびケーシングの材料は、アクチュエータ536の選択された圧電材料の音響インピーダンスに可能な限り近いものと整合するように選択する必要がある。およそ15~43MRaylの範囲の音響インピーダンスを有するセラミックである典型的な圧電材料については、音響エネルギー転送効率を促進するために、10~100MRaylのより低い範囲の音響インピーダンスを有する流体不透過性金属および金属合金が好ましい。例えば、トランスデューサヘッド本体512がバナジウムから構成される特定の実施形態では、トランスデューサヘッド本体の期待される音響インピーダンスは、およそ36.2MRaylである。
【0054】
音響整合層514は、トランスデューサヘッド本体512から媒体502への音響エネルギー転送を促進するように選択され、媒体502は通常、水、ゲル、または別の水溶液などのカプラントである。例えば、水の音響インピーダンスは、約1.5MRaylである。音響エネルギー転送損失は、音波が段階的な音響インピーダンスを横切って1つの媒体から別の媒体へと直接伝播され、最適な結合が次の式1に従って単一の中間層によって達成されたときに生じ、式中、Z
mは、中間層インピーダンスであり、Z
lおよびZ
cはそれぞれ、トランスデューサヘッド本体512および媒体502のインピーダンスである。
【化1】
【0055】
実施形態によれば、整合層514は、トランスデューサヘッド本体512と媒体502との間の音響エネルギー転送を最大化するように選択された材料から構成されており、材料はまた、トランスデューサヘッド本体の表面516との永久接着に耐えられる一方で、媒体による貫入または劣化に対して弾力性がある。トランスデューサヘッド本体512が、およそ36.2Mraylの音響インピーダンスを有するバナジウムであり、媒体が水、または約1.5Mraylの音響インピーダンスを有する同等の水溶液である特定の実施形態によれば、単一の中間層に対する最適な音響インピーダンスは、およそ7.3Mraylである。様々な実施形態によれば、整合層514は、7.3Mraylほどの音響インピーダンスを有する材料から構成される。いくつかの特定の実施形態によれば、整合層514は、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)などのフルオロポリマー、または約4~10Mrayl、または場合によっては、約4~5Mraylの音響インピーダンスを有する同様のポリマーコーティングから構成される。いくつかの他の実施形態によれば、整合層514は、約6~8Mraylの音響インピーダンスを有するグラファイトコーティングから構成され得る。様々な実施形態によれば、整合層514は、約5~10Mrayl、約4~10Mrayl、または約6~8Mraylの範囲の音響インピーダンスを有する。いくつかの特定の実施形態では、整合層514は、約4Mraylのインピーダンスを有する。様々な実施形態によれば、整合層は、PVDF、グラファイト、無定形炭素、またはポリマーマトリックス(例えば、エポキシもしくは類似物)およびアルミナ、タングステン、ガラス、もしくは他の同等の粒子状物質を含むが、これに限定されない、ポリマー/粒子の複合体のいずれかから構成される。
【0056】
いくつかの実施形態では、集束レンズ本体512と媒体502との間の音響エネルギーの転送効率は、整合層514の厚さを調整することによって改善される。整合層514は、好ましくは、スプレーコーティング、スピンコーティング、スパッタリング、拡散接着などのようなコーティング技術を使用して適用され、その後、全体を通して一定の厚さにされる。整合層514の厚さは、例えば、機械加工、プレス、スピニング、または上記もしくは同様のプロセスの任意の好適な組み合わせによって調節され得る。好ましくは、整合層514の厚さは、トランスデューサ500が中間層の選択された材料を通る音の速度で使用されることを意図した目標とされる周波数に対応する1/4波長と整合するように調節される。あるいは、整合層514は、3/4波長とほぼ等しい厚さ、または1/4波長の任意の他の奇数倍を有することができ、それにより、反射または破壊的干渉が最小化される。例えば、約12MHzの目標周波数(または公称周波数)を有する超音波トランスデューサについては、好適な整合層514は、およそ60μmの厚さを有し得る(グラファイトの例)。所与の中間層については、トランスデューサは、目標周波数に対応する公称波長値から約-25%から、公称波長から最大約+25%まで変化する波長で集束音響エネルギーを発生させ得る。したがって、いくつかの実施形態によれば、12MHz用に調整された厚さを有する単一の中間層を有するトランスデューサは、高い効率(通常、10%~20%ほど)では約9MHz~約15MHzの範囲の信号に適応することができ、より低い効率では当該範囲の外側で使用することができる。例えば、流体不透過性トランスデューサはまた、2~15MHzの範囲の公称周波数を有し得る。様々な実施形態によれば、整合層514は、約30~80μmの厚さで変化し得る。いくつかの実施形態では、整合層514の厚さは、およそ14%以下だけ公称厚さから変化し得る。しかしながら、材料選択、効率、および目標周波数におけるさらなる柔軟性は、2つ以上の中間層を使用して得ることができる。様々な代替的な実施形態では、整合層の厚さは、目標周波数の1/4波長に対応する公称値の奇数倍とほぼ等しくなり得る。
【0057】
図13は、本開示のいくつかの実施形態による、複数の整合層614、620を用いる浸漬トランスデューサ600の作業構成要素の簡略化された模式図を示している。示されるように、トランスデューサ600は、
図12を参照して上に記載されるトランスデューサ500のものと同様の特徴を有し、同様の部品には同様の番号付けが与えられている。17~42Mraylの音響インピーダンスを有する流体不透過性金属または金属合金、および約1.5Mraylの音響インピーダンスを有する水または任意の同等の水性物質の媒体602から形成されるトランスデューサヘッド本体612については、単一の中間層に対する最適な音響インピーダンスは、それぞれ約5~8Mraylであることになる。しかしながら、音響エネルギーは、トランスデューサヘッド本体612から、第1の音響インピーダンスを有する第1の中間層614を通り、続いて、第2の音響インピーダンスを有する第2の中間層620を通って媒体602へと転送されてもよく、第1の中間層は第2の中間層よりも高い音響インピーダンスを有し、第1および第2の中間層は、互いに対して最適化された音響エネルギー転送について上の式1を満たす。例えば、第1の中間層614の音響インピーダンス(すなわち、Z
m1)は、以下の式2の連立方程式が満たされるように、Z
lと第2の中間層620の音響インピーダンス(すなわち、Z
m2)との間に入る。組み立てられると、音響エネルギーは、トランスデューサヘッド本体612から、第1の中間層614を通り、そして第1の中間層インターフェース618から第2の中間層620へと転送される。その後、音響エネルギーは、第2の中間層620を通り、そして集束レンズ622から媒体602へと転送される。各それぞれの中間層614、620は、単一の中間層514(
図5)に関して上で考察されるように、各それぞれの中間層の選択された材料を通って、トランスデューサ600の公称周波数の1/4波長に対応するそれぞれの厚さに形成される。
【化2】
【0058】
図14は、本開示のいくつかの実施形態による、回折集束レンズ714を用いた浸漬トランスデューサ700の作業構成要素の簡略化された模式図を示している。示されるように、トランスデューサ700は、
図12および
図13を参照して上に記載されるトランスデューサ500、600のものと同様の特徴を有し、同様の部品には同様の番号付けが与えられている。トランスデューサヘッド要素710は、要素がトランスデューサヘッド後部716とは反対の回折ヘッド面714を画定するトランスデューサヘッド本体712を含む限り、上に記載されるトランスデューサヘッド要素510、610とは異なる。回折ヘッド面714は、実施形態に従って、音響エネルギーを所定の焦点長さに向けるように動作可能な回折エシェレットのセットを含む。
【0059】
上で考察されるように、集束レンズ(例えば、ヘッド面212、312、412、
図3、
図8、および
図11)は、アクチュエータ(例えば、アクチュエータ222、322、422)からの音響エネルギーを受信し、音響エネルギーをトランスデューサから集束レンズの遠位の焦点に向かって向け直すようにサイズ決めされる。しかしながら、集束レンズは(直径の点で)、アクチュエータより大きくても、アクチュエータより小さくても、アクチュエータとほぼ同じサイズであってもよい。音響ヘッド面がアクチュエータよりも小さいか大きいかによって、若干異なる力学が適用される。かかる力学は、トランスデューサがエミッタおよびレシーバの両方として使用される場合、より直接的に観察可能である。トランスデューサのアクチュエータを使用して、トランスデューサにエコーバックとして放出され、反射される音響エネルギーを感知すること、ならびにトランスデューサの構成要素内で反射する音響エネルギーを感知することができる。かかる感知用途についてのトランスデューサヘッドの幾何学的形状の効果を、
図15~
図20を参照して以下で考察する。
【0060】
図15は、いくつかの実施形態による、湾曲した集束レンズ806を有するトランスデューサヘッド802とアクチュエータ804とのアセンブリ800の簡略化された断面図を示している。トランスデューサヘッド802は、いくつかの実施形態に従って、関連付けられたアクチュエータ804の直径814よりも大きい、集束レンズ806の比較的大きな集束領域816を画定する。
図15の配置は、集束レンズ212(
図3)に関して上に示されるものと同様である。本明細書に示される集束レンズ806は、集束領域816を画定する、トランスデューサヘッド802の凹状曲面である。アクチュエータ814は、トランスデューサヘッド802の後方に位置付けられ、音波をトランスデューサヘッドへと前方に伝達する。音響エネルギー808の第1のサブセットは、トランスデューサヘッド802を通って直接伝達され、音響エネルギーが集まるように、集束レンズ806から低い角度で放出される。しかしながら、第1のサブセットよりも急勾配の角度に遭遇する音響エネルギー810の第2のサブセットは、集束レンズ806から放出される前に、トランスデューサヘッド802の材料に反射812され得る。反射812は、ある程度のノイズがアクチュエータに逆反射した結果となり得、これは、場合によっては、このノイズがセンサとして使用されている間にトランスデューサに影響を与えるように、時間的に十分に遅延する可能性があるため、同じ用途におけるエミッタおよびセンサの両方としてトランスデューサの使用に影響し得る。参照のために、ウェルの上面822およびプレートの底面824を含む、試料マイクロプレート820の位置が示されている。正確な位置は、ウェル内の流体の高さおよびウェルのサイズに応じて変化し得、アセンブリ800は、多くのタイプおよびサイズの試料マイクロプレートに適応し得る。音響反射は、材料の境界、例えば、マイクロプレート820の上面822および底面824のいずれか、ならびに流体/空気の境界826で生じ得る。感知用途、例えば、ウェル内の流体の高さを検出するために、流体/空気の境界826が、トランスデューサヘッド802の焦点面の近くにある必要はない。液滴排出用途では、流体/空気の境界826の近くに焦点面を設置するために、トランスデューサヘッド802またはマイクロプレート820が移動される。
【0061】
図16は、
図15に示される湾曲した集束レンズ806と同様の湾曲した集束レンズによって引き起こされたエコー信号データ900のグラフィカルな図解を示している。エコー信号データ900は、プレートの異なる部分、例えば、上面822および底面824からの音響反射によって引き起こされる2つのエコーに対応し、トランスデューサヘッド内の音響エネルギーを反射すること、および/または向け直すことによって引き起こされるテーリングまたはリンギングを含み得る、第1の信号902と、媒体を音響的に調査し、エコー、すなわち、流体/空気の境界826からのエコーを受信するトランスデューサに対応する、第2の信号904と、を含む。第1の信号902で生じる2つのエコーは、約20~30μsおよび30.5~32μsで目に見える。第1の信号902および第2の信号904の両方は、バックグラウンドとは別個であり、したがって、ノイズを容易に識別し、無視することができる。しかしながら、トランスデューサが複数の音響信号を素早く受信している場合、複数のエコー信号を互いに、またはバックグラウンドノイズと区別することは難しくなる場合がある。トランスデューサヘッド802内の反射によって引き起こされるリンギング効果および「ダブルエコー」効果は、水不透過性金属または金属合金などの硬い非多孔質材料の使用によって悪化する。
【0062】
上で考察されるように、レンズ材料に好適な音響/機械的性質には、通常10~30MRaylの範囲の音響インピーダンス、比較的高く一貫した(例えば、4km/秒以上)音の速度、ならびに腐食、吸水、曲げ、および音響吸収に対する耐性が含まれる。かかる材料で生じる音響効果は、通常、再現可能であり、ソフトウェアで補正され得る。例えば、音響効果を軽減または補正するための手段としては、従来のオーディオ用途で使用され、信号の初期ピーク後の二次反射を減少させるために適用される、エコーキャンセルソフトウェアを挙げることができる。さらに、かかる材料は、概して、NDT用途のための従来のトランスデューサに使用される、より延性のある成形可能な材料よりも効率的に音響エネルギーを伝達し、その結果、従来の材料を用いるシステムと比較して、音響信号を発生させるために必要なエネルギーが大幅に少なくなる。ノイズプロファイルは、アクチュエータに対する集束レンズのサイズを減少させることによって、信号と比較して短縮および減少し、かつトランスデューサヘッドの周辺に音響減衰材料を加えることによってさらに減少し得る。
【0063】
図17は、いくつかの実施形態による、湾曲した集束レンズ1006を有するトランスデューサヘッド1002とアクチュエータ1004とのアセンブリ1000の簡略化された断面図を示している。アセンブリ1000は、集束レンズの集束領域1012を取り囲む外側吸収層1014を含む。示されるように、集束領域1012は、アクチュエータ1010の直径よりもわずかに大きいが、集束レンズ1006の範囲は、
図15の集束レンズ806のものと比較して減少し、その結果、集束レンズの凹面はあまり目立たなくなり、音響エネルギー1008がヘッド面の境界に遭遇する角度が減少する。この角度の減少により、トランスデューサヘッド1002の内側に反射する音響エネルギーがはるかに少なくなり、したがって、トランスデューサが音響エネルギーを放出するときのノイズを全体的に減少する。いくつかの実施形態では、外側吸収層1014は、集束レンズ1006の外側でトランスデューサヘッド1002に追加されてもよく、集束レンズから出ることなく、トランスデューサヘッドの内側に反射する漂流音響エネルギー(stray acoustic energy)を吸収し得る。図解されるアセンブリ1000の配置は、
図15のアセンブリ800と比較して、ノイズおよび信号の両方を十分に密接させることができ、ノイズと比較して信号の分解能が増加することをもたらす。いくつかの実施形態では、アクチュエータ1004は、集束レンズ1006の集束領域1012と同じサイズであるか、または場合によっては、集束領域よりもわずかに大きい、直径1010を有し得る。参照のために、ウェルの上面822およびプレートの底面824を含む、試料マイクロプレート820の位置が再現されている。正確な位置は、ウェル内の流体の高さおよびウェルのサイズに応じて変化し得、アセンブリ1000は、多くのタイプおよびサイズの試料マイクロプレートに適応し得る。音響反射は、材料の境界、例えば、マイクロプレート820の上面822および底面824のいずれか、または通常、マイクロプレート820のウェル内の流体の高さに対応する流体/空気の境界826から生じ得る。
【0064】
図18は、
図16に示されるエコー信号データ900との比較のために、
図17に示されるアセンブリ1000と同様のアセンブリによって引き起こされたエコー信号データ1100のグラフィカルな図解を示している。信号1102は、ウェルプレートの底部および上部から反射する2つのパルスから構成されており、信号1104は、ウェル内の流体の表面、すなわち、流体/空気のインターフェース826からの反射に起因する。この信号は、
図16の信号902と比較することができる。特に、
図18に示される第1の信号1102は、
図16に示される対応する第1の信号902よりも狭く、かつ互いにより明確に分離されている。さらに、エコー信号データ1100は、特に初期エコー信号(1102、902)の各々の後に、エコーデータ信号900よりも少ないバックグラウンドノイズを有する。この明確さの増加およびバックグラウンドノイズの減少は、トランスデューサヘッドアセンブリ1000(
図17)の特徴がいかにエコーを減少させ、分解能を改善するかを示している。概して、集束領域(例えば、
図15および
図17に示される集束領域816、1012)のサイズを低下させると、信号が低下する一方で、同じレートではないが、上記信号に関連付けられたノイズまたはリンギングも低下する。したがって、トランスデューサの集束領域サイズを調整して、エコー信号の分解能を最適化し、ノイズイベントが表面反射として誤って分類される可能性を減少させることができる。
【0065】
図19は、様々な実施形態による、様々な開口サイズを有するトランスデューサのエコー信号データ1200のグラフィカルな図解を示している。トランスデューサのエコー信号データ1202、1204、1206、1208、1210を一緒に同じチャート上で再現して、各トランスデューサの信号発生面積または開口のそれぞれのサイズに関連付けられたエコー信号データの変化を図解する。各トランスデューサについて、第1の信号1220は、トランスデューサ内の音響エネルギーの反射に対応し、ここでは、ウェルプレートの底部からのエコーを示し、第2の信号1222は、目標からの音響エネルギーの反射によって引き起こされた信号、この場合は、ウェル内の流体の自由表面に対応する。開口サイズが(例えば、トランスデューサデータ1202の17.5mmの直径からトランスデューサデータ2110の10mmの直径まで)低下するにつれて、両方の信号の振幅の低下が、第1の信号1220に関連付けられたリンギング時の減少と共に観察される。したがって、トランスデューサの意図された用途(すなわち、高出力信号のみを発生させることから、信号検出まで)に応じて、適切な出力を提供しながら、ノイズおよび/またはリンギングを軽減する、開口サイズを選択することができる。同様に、開口サイズは、
図20を参照して示されるように、焦点における音響信号のビームサイズに影響を与える。
【0066】
図20は、様々な実施形態による、様々な開口サイズを有するトランスデューサ1202、1204、1206、1208、1210(
図19)に関連付けられたビームサイズデータ1300のグラフィカルな図解を示している。Y軸は、トランスデューサの焦点距離でとられ、焦点における音響信号の振幅に対して正規化された、音響ビーム経路の中心軸からの距離における音響信号の振幅を示している。曲線が広いほど、ビームの焦点がずれていることを示し、曲線が狭いほど、ビームが集束されていることを示す。示されるように、デフォーカス曲線1302~1310の幅は、開口サイズ1202~1210(
図19)のサイズが低下するにつれて増加する。したがって、開口サイズの増加は、集束の改善をもたらす一方、信号の明確さに反比例する。しかしながら、焦点開口サイズの増加は、デフォーカス曲線1306~1310間の差異と比較して、デフォーカス曲線1302~1306間の比較的小さな差異によって示される、音響ビームの集束を改善する際の収穫逓減を提示する。
【0067】
大きな出力の取り扱い能力を必要とする用途では、出力は開口面積とほぼ比例するため、概して、大きな開口面積を有することが望ましい。したがって、所与の目標F値または目標ビーム角度について、焦点長さおよび開口サイズを増加させて、出力取り扱い時の望ましい増加に適応することができる。しかしながら、この寸法の増加によって生じるより大きな焦点長さは、媒体内の音響ビーム経路の長さを増加させ、それに伴って、減弱が増加する。したがって、意図した用途に応じて、開口サイズを選択して、集束の必要性とノイズまたはリンギングを軽減する必要性とのバランスをとる。いくつかの実施形態によれば、開口サイズは、約10mm~約17.5mmの範囲であり得る。いくつかの特定の実施形態では、開口サイズは、約10mm~約13mmの範囲であり得るか、または約11.5mmであり得る。高出力用途に適したF値は変化し得るが、特定の実施形態では、約0.8~4、または好ましくは約1.5~3、もしくは約2~2.5の範囲であり得る。
【0068】
上に記載されるように、レンズ開口直径の調節は、焦点におけるビームサイズおよびリンギングレベルに影響し得る。しかしながら、これらのパラメータは、アクチュエータに接続された電極のサイズまたは直径を調節することによって、代替的にまたは好ましくは調整され得る。
図3を再び参照すると、例えば、アクチュエータ222は圧電ディスクであり、正の電極226は、内側の空洞218に向かってディスクの中心を横切って配設されており、負の電極228は、アクチュエータの外周の周りに円形に配設されている。かかる実施形態では、正の電極226のサイズを調節することにより、特にアクチュエータの音響出力発生ゾーンの面積を制御することができ、より広い面積は、より高い振幅およびより広いビーム面積と相関する。電極の直径を調整することは、
図17~
図20を参照して上に示されるように、反響およびリンギングを減少させるように、ビームサイズを収容するのに役立ち得る。
【0069】
様々な他の実施形態では、レンズの厚さは、レンズ材料における反響の時間遅延を変更するように調節され得る。例えば、少なくとも1つの特定の実施形態では、レンズの中心の厚さは、トランスデューサの公称周波数に従って1/4波長と整合される。レンズの中心の厚さをこの1/4波の値に設定すると、アクチュエータから媒体への音響結合が改善される。1つの実施形態では、レンズの厚さの公称値は、0.15mm(10~12MHzの範囲で動作するよう設計されたトランスデューサの場合)であるが、約0.1~0.2mmの範囲で変化し得る。
【0070】
様々な実施形態によると、集束レンズ(例えば、集束レンズ212、312、312、
図4、
図8、
図11)は、トランスデューサケーシング(202、302、402)の本体と接続され得るか、またはケーシングと一体的に接続され得、そこから集束レンズが精密な形成プロセスによって形成される。
図21は、実施形態による、集束レンズを発生させるためのシステム2100を図解する簡略化されたブロック図である。システム2100は、トランスデューサの開口直径、深さ、および形状の特定の寸法、ならびに/または所望の目標とされる媒体、公称焦点長さ、および/または材料選択に依存しても、しなくてもよい所望の焦点長さ、効率、および/もしくは信号対ノイズ要件などの性能基準を含むユーザ入力を受信するためのユーザ入力モジュール2102を含み得る。成形モジュール2104は、ユーザ入力に基づいて必要な集束レンズ形状を決定することができる。場合によっては、成形モジュール2104は、集束レンズおよび目標とされる媒体の選択された材料に基づいて、集束レンズに追加するための整合層の特性を決定することができる。成形モジュール2104を使用して、トランスデューサの性能を試験および/または検証する際に使用するための性能基準2110を発生させることもできる。
【0071】
1つ以上の自動化または半自動化された製作機構(材料を選択的に除去するレーザアブレーションもしくは精密CAD機械加工装置、または三次元印刷方法もしくは気相蒸着装置などのような材料を追加するものなど)を含み得る製作モジュール2106を使用して、集束レンズを製作することができ、これには、整合層を適用すること、または整合層の厚さを調節すること、ならびにトランスデューサの内部構成要素を集束レンズの後部に組み立てること、任意選択で、集束レンズをトランスデューサシェルと共に(例えば、溶接によって)組み立てることを含む二次アセンブリタスクが含まれ得る。組み立てられたトランスデューサは、試験モジュール2108に挿入されてもよく、試験モジュール2108は、エミッタとしてトランスデューサの焦点性能もしくは効率を測定するか、またはセンサとして動作しているときのトランスデューサの信号対ノイズ比、ノイズ減弱、および/もしくは感度を決定するために、トランスデューサを介して音響信号を繰り返し発生させ、かつ/または受信することができる。いくつかの実施形態では、試験モジュール2108は、長い時間スケールにわたって動作して、長いスケールの浸漬下で性能測定基準を提供することができる。性能基準を繰り返し査定2110および使用して、レンズもしくは整合層の材料の追加または除去のいずれかによって成形モジュール2104で集束レンズを定義するためのパラメータを調節することができる。
【0072】
図22は、実施形態による、水不透過性超音波トランスデューサを作製するための例示的なプロセス2200を示している。プロセス2200は、例えば、
図21に示されるシステム2100と併せて実装され得る。プロセス2100(あるいは本明細書に記載される任意の他のプロセス、または変形例および/もしくはそれらの組み合わせ)の一部またはすべては、実行可能な命令で構成された1つ以上のコンピュータシステムの制御下で実施されてもよく、ハードウェアもしくはその組み合わせによって、1つ以上のプロセッサ上で集合的に実行されるコード(例えば、実行可能な命令、1つ以上のコンピュータプログラム、または1つ以上のアプリケーション)として実装され得る。コードは、例えば、1つ以上のプロセッサによって実行可能な複数の命令を含むコンピュータプログラムの形態で、コンピュータ可読記憶媒体に記憶され得る。コンピュータ可読記憶媒体は、非一時的であってもよい。
【0073】
プロセス2200は、1つ以上のトランスデューサ性能基準(行為2202)を示す入力を受信することを含む。入力は、トランスデューサが動作することを意図した公称周波数、材料選択、好ましい焦点長さ、もしくは焦点における音響ビームの所望のプロファイル、または他の特性を含み得る。次に、集束レンズの幾何学的形状は、開口サイズ(すなわち、集束レンズの凹状部分の直径)および集束レンズの形状または深さを含む、入力に基づいて定義され得る(行為2204)。水不透過性トランスデューサヘッドは、例えば、精密機械加工または同等の方法によって、定義された集束レンズの幾何学的形状に適合するように形成され得(行為2206)、トランスデューサヘッドは、その後、水不透過性の手段(例えば、永久接着、接触、および/もしくはレーザ溶接、または他の同等の方法)を介して水不透過性ケーシングと接続され得る(行為2208)。トランスデューサ電子機器は、トランスデューサヘッドおよびケーシングで組み立てられ得(行為2210)、トランスデューサ200~700(
図2~
図14)に関して上で考察されるように、例えば、トランスデューサヘッドの後部に接着されたアクチュエータ、ならびにバッキングおよび電子構成要素を含む。
図23に示されるように、トランスデューサヘッドをケーシングと接続するステップは、構成要素が一体的に接続されるように、トランスデューサヘッドおよびケーシングを単一の部品から形成することによって省略され得ることが理解されよう。
【0074】
図23は、単一の一体型部品からトランスデューサヘッドおよびケーシングを形成するための例示的なプロセス2300を示している。プロセス2300は、上で
図22を参照して考察されるように、超音波トランスデューサの任意の好適な性能基準に従って定義され得る、集束レンズの幾何学的形状を定義する入力を受信すること(行為2302)を含む。一方の端部で閉じている水不透過性ケーシングは、非腐食金属または合金シェルなどの水不透過性材料から鋳造、機械加工、または同等の方法の組み合わせによって形成され得(行為2304)、閉じた端部は、中の集束レンズに適応するようにサイズ決めされ、適応するのに十分な厚さを有する。次いで、集束レンズは、例えば、精密機械加工または同等の方法によって、ケーシングの閉じた端部から材料を除去することによって形成され得る(行為2306)。かかる方法で形成されたケーシングおよびトランスデューサヘッドは、その後、上に記載される様々なトランスデューサ電子機器と共に組み立てられ得る。
【0075】
目標媒体の音響インピーダンスとは著しく異なる音響インピーダンス(例えば、音響インピーダンスZ>10MRaylを有する典型的な金属対音響インピーダンスZ<2MRaylを有する水溶液で生じたときに5超の比)を有する任意のトランスデューサヘッド材料は、集束レンズと媒体との境界で音響エネルギーを放散する傾向があり、インピーダンスの差が大きくなり、より大きな損失をもたらす。従来の浸漬トランスデューサでは、トランスデューサヘッドは通常、転送損失が最小限になるように、低い音響インピーダンスを有する材料から構成されており、かつノイズが減弱されるように、中を通過する音響エネルギーの一部を吸収または減弱する。しかしながら、本明細書に記載される実施形態では、集束レンズは、金属(例えば、ステンレス鋼または白金)のシェルなどの完全水不透過性材料である。かかる材料は、より効率的なエミッタであってもよく、中を通過するエネルギーの吸収がより少ない。しかしながら、かかるトランスデューサは、低インピーダンスの媒体中に直接放出する場合、媒体境界での遷移損失に対して大量の音響エネルギーを損失する可能性があり、高度のノイズおよび内部反射を起こしやすくなる場合がある。かかる欠点は、以下の
図24を参照して考察される方法によって軽減され得る。
【0076】
図24は、実施形態に従って、遷移損失および/またはノイズを軽減するために、トランスデューサヘッドおよび/またはケーシングを修正するための例示的なプロセス2400を示している。プロセス2400は、トランスデューサヘッド材料の音響インピーダンスに関する情報を含む入力、およびトランスデューサが動作することを意図した目標媒体を受信することを含む(行為2404)。集束レンズと目標媒体との間の音響エネルギー転送を容易にするための整合材料(または材料)が、各々の音響インピーダンスに基づいて選択される(行為2406)。個別の整合材料が、
図12および式1に関して上で考察されるパラメータの任意の好適な組み合わせに従って選択され得る。場合によっては、複数の整合層が選択されてもよく、その場合、それぞれの材料は、
図13、および式2の連立方程式に関して上で考察されるパラメータの任意の好適な組み合わせに従って選択され得る。
【0077】
次に、整合層の材料の公称厚さは、選択された材料の音響インピーダンス、およびトランスデューサが動作することを意図した公称周波数に基づいて決定され得る(行為2308)。
図12を参照して考察されるように、公称厚さは、好ましくは、整合層の材料を通過する音波の公称周波数に関連付けられた1/4波長、または代替的に、1/4波長の任意の奇数倍(例えば、波長の3/4)を目標とする。整合層は、公称厚さ以上の厚さで集束レンズに適用される(行為2410)。場合によっては、材料を均等かつ正確に分布させる方法で整合層が蒸着されているときなどに、整合層を好ましい厚さに直接適用することができる。しかしながら、場合によっては、整合層を(例えば、精密機械加工によって)部分的に除去して、整合層全体を好ましい公称厚さに一致させることができる(行為2412)。
【0078】
ノイズまたはリンギングを軽減するために、トランスデューサヘッド上および集束レンズに隣接してさらなる材料を適用することができる。例えば、音響吸収物質から形成された減弱層を集束レンズの外周の周りに適用することができる(行為2414)。場合によっては、減弱層は、その上に次に積み上げることができ、かつトランスデューサ400(
図10および
図11)を参照して上に記載されるように、バッキング材料として減弱層を使用することによって動作し得る(行為2416)、1つ以上の小さな追加のトランスデューサなどのさらなる構成要素のためのバッキング材料として使用され得る。
【0079】
上に記載される水不透過性トランスデューサは、従来のトランスデューサの設計とは対照的に、時間と共に極めて均一な性能を提供し、流体曝露に応答して劣化することはない。かかるトランスデューサにより、浸漬しても製造時から長期間の使用まで一貫した性能を期待することができる。例えば、同じ音響集束を有する2つの同一のトランスデューサは、交換可能であり、一方が(器具の外側で乾燥したまま)5年使用され、もう一方が5年間浸漬された場合でも、液滴転送用途で使用されるのと同じサイズの液滴を発生させる必要がある。NDTなどの他の浸漬用途での長期間の使用でも同等の一貫性を期待することができる。
【0080】
流体不透過性トランスデューサにおける性能の一貫性は、一貫した焦点長さ、偏心度、および対称性を含むが、これに限定されないいくつかの方法で特徴付けられ得る。焦点長さは、レンズの頂点を通る軸に沿った音響ビームの振幅を測定することによって経験的に決定され得る。
図25は、この軸に沿った例示的な焦点掃引を示すチャートであり、エコー遅延の関数としてのエコー振幅、またはレンズからの距離に対応する飛行時間(ToF)を示している。同様に、集束の形状(例えば、偏心度、対称性)は、焦点長さ、すなわち、焦点面に対応する二次元平面を横切る音響ビームの振幅を測定することによって経験的に決定され得る。
図26は、流体不透過性トランスデューサによって発生した音響ビームの例示的な焦点面を横切って測定されたエコー振幅を示す輪郭プロットである。
【0081】
トランスデューサの焦点長さを測定するための手順は、以下のとおりである。平坦な固体のプレートは、プレートがトランスデューサから放射される音響ビームに対して垂直になるように、トランスデューサの前方の機械的並進ステージ上に装着される。並進ステージは、レンズの頂点とプレートとの間の距離がレンズの期待される焦点面の周りで変化し得るように、プレートを移動させるように構成される必要がある。トランスデューサとプレートとの間の空間は、温度制御された環境下において、限定されるものではないが、蒸留水などの好適な結合流体で充填される。ステンレスの平坦で滑らかなプレートを固体部品として使用することができる。トランスデューサは、プレートからの離散空間の範囲に位置付けられ、各空間の短い「ping」波形で励起される。各pingは、トランスデューサからプレートへと進む短い音のバーストを励起し、音のバーストは、レンズに向かって逆反射し、トランスデューサで電気信号に逆変換される。pingごとに、エコーピーク振幅、ならびに反射エコーと適用されたping信号との間の遅延が測定され、プロセスは、連続した各トランスデューサ-プレート空間で繰り返される。それぞれのエコーピーク振幅および遅延は、
図25に示されるようにプロットされ得る。最も高いエコーリターンを与える遅延は、トランスデューサの焦点長さに対応する特徴的な飛行時間(ToF)である。必要に応じて、曲線あてはめを用いて、受信したエコーの不可避なノイズを滑らかにして、集束ToFの一貫した推定を行う。本明細書に開示される流体不透過性トランスデューサは、長期浸漬中ずっとレンズの形状を保持し、それによって、長期浸漬後でも一貫した焦点長さを保持することができる。いくつかの実施形態によれば、本明細書に開示される流体不透過性トランスデューサは、浸漬の1年後に、初期浸漬直後に発生した初期音響ビームの初期焦点長さの0.1%以内の焦点長さを有する音響ビームを発生させ得る。この一貫性は、長期浸漬後のビームの偏心度および対称性にも及び得る。
【0082】
トランスデューサによって発生した音響ビームの空間的性質を測定し、かつそれによって、その偏心度および対称性を測定するための手順は、以下のとおりである。最初に、鋭利なピンリフレクタが、ピンがトランスデューサから放射される音響ビームと整列し、先端がレンズの焦点面にあるように、トランスデューサの前方のx-yの二重の機械的並進ステージのセットの上に装着される。並進ステージは、ピンをレンズの期待される焦点の周りに横方向に移動させるように構成される必要がある。トランスデューサとピンとの間の空間は、温度制御された環境下において、好適な結合流体、多くの場合、蒸留水で充填される。一旦組み立てられると、並進ステージは、小さなx-yステップ漸増を有するラスタパターンでピンを移動させるために使用され、トランスデューサは、音響信号を放出し、記録するために使用される。各x-y位置において、以下のステップが実施される。(a)トランスデューサが短い「ping」波形で励起されるステップ、(b)pingが、トランスデューサからプレートへと進む短い音のバーストを励起するステップ、(c)ピンがトランスデューサのレンズに向かって音のビームを逆反射するステップ、(d)トランスデューサ信号がエコーを電気信号に逆変換するステップ、および(e)反射されたエコーの反射されたエコーピーク振幅が記録され、それぞれのx-y位置に関連付けられるステップ。ピークエコー信号の記録値は、
図26の輪郭プロットに示されるように、x-y位置に対してプロットされ得る。表面あてはめを使用して、トランスデューサから放出された音響ビームの偏心度または同心性を推定することができる。
【0083】
本明細書に開示される流体不透過性トランスデューサによって発生する音響ビームの空間的特性は、液体中で徐々に取り込まれるか、劣化するか、または変形する材料を使用するトランスデューサとは対照的に、経時的に、および浸漬後に非常に一貫している。この一貫性は、対称性、偏心度、もしくは同心性、または他の属性の観点から説明され得る。いくつかの実施形態によれば、1年間、液体中にトランスデューサを浸漬した後に流体不透過性トランスデューサによって発生した音響ビームの偏心度は、初期浸漬直後に発生した初期音響ビームの初期偏心度の0.1%以内と一致する。トランスデューサのレンズ、ならびにバッキング層およびアクチュエータについて本明細書に開示される流体不透過性材料はまた、レンズの形状および結果として得られる音響ビームの形状の改善された精度を、前に利用可能なトランスデューサに対して提供し得る。したがって、偏心度が0.1%未満(すなわち、完全に同心またはほぼ同心)の精密な音響ビームの形状が達成可能であり、長期間の浸漬中ずっと保持され得る。
【0084】
いくつかの代替的な実施形態では、本明細書に記載される水不透過性トランスデューサを、特定の用途(例えば、NDTおよび分析用途、高出力用途など)のためのトランスデューサ配列で使用することができる。逆に、本明細書に記載される水不透過性トランスデューサを使用して、従来はトランスデューサの配列のために確保されていた用途において、トランスデューサ配列を置き換えることもできる。かかるトランスデューサ配列は、例えば、米国特許第8,544,976号に詳細に記載されている。当技術分野で公知の手法は、スキャン動作によってかかる構造から返されるエコーの特性に基づいて、スキャンされた構造の物理的パラメータを決定するために使用され得る。NDTのための様々な物理的パラメータおよびエコー特性、ならびにスキャンパラメータは当技術分野で公知であり、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる以下の参照文献に開示されている。V.M.Ristic,“Principles of Acoustic Devices,”John Wiley and Sons(1983)、G.Crowe,“An Introduction to Nondestructive Testing,”(2009),https://www.ndt.org/、およびhttps://asnt.org/Home。
【0085】
上で考察される様々な計算方法は、ハードウェア、ソフトウェア、および/もしくはファームウェアを有するコンピュータまたは他のプロセッサと併せて、またはそれらを使用して実施され得る。様々な方法ステップは、モジュールによって実施されてもよく、モジュールは、本明細書に記載される方法ステップを実施するように配置された多種多様なデジタルならびに/またはアナログデータ処理ハードウェアおよび/もしくはソフトウェアのいずれかを含み得る。モジュールは、任意選択で、関連付けられた適切な機械プログラミングコードを有することによって、これらのステップのうちの1つ以上を実施するように適合されたデータ処理ハードウェアを備え、2つ以上のステップ(または2つ以上のステップの一部)のためのモジュールは、単一のプロセッサボードに統合されるか、または多種多様な統合および/もしくは分散処理アーキテクチャのいずれかにおいて異なるプロセッサボードに分離される。これらの方法およびシステムは、多くの場合、上に記載される方法ステップを実施するための命令を有する機械可読コードを具現化する有形媒体を用いる。好適な有形媒体としては、メモリ(揮発性メモリおよび/もしくは不揮発性メモリを含む)、記憶媒体(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、テープなどへの磁気記録、CD、CD-R/W、CD-ROM、DVDなどの光学メモリ、または任意の他のデジタルもしくはアナログ記憶媒体など)などを挙げることができる。
【0086】
本明細書に示される特色は、例としてであり、本発明の好ましい実施形態の例示的な考察の目的のためだけであり、本発明の様々な実施形態の原理および概念的態様の最も有用かつ容易に理解されると考えられる説明を提供する場合に提示されている。この点に関して、本発明の基本的な理解に必要とされるよりも詳細に、本発明の構造の詳細を示すための試みは行われておらず、説明は、本発明のいくつかの形態が実際にどのように具現化され得るかを当業者に明らかにする図面および/または実施例を用いて行われる。
【0087】
以下の定義および説明は、以下の実施例において明確かつ明白に修正されない限り、または意味の適用により、任意の構成が無意味もしくは本質的に無意味となる場合を除き、任意の将来の構成で制御されることを意味および意図する。用語の構成がそれを無意味または本質的に無意味にする場合、その定義は、Webster’s Dictionary,3rd Edition、またはOxford Dictionary of Biochemistry and Molecular Biology(Ed.Anthony Smith,Oxford University Press,Oxford,2004)などの当業者に公知の辞書により行われる必要がある。
【0088】
別様に文脈が明確に要求しない限り、説明および特許請求の範囲全体を通して、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」などの語句は、排他的または網羅的な意味とは反対の包括的な意味、つまり、「含むが、それに限定されない」という意味で解釈されるべきである。単数形または複数形の数を使用する語句はまた、それぞれ複数形および単数形の数を含む。さらに、本出願において使用される場合、「本明細書(herein)」、「上記」、および「以下」という語句、ならびに同様の趣旨の語句は、本出願の任意の特定部分ではなく、本出願全体を指すものとする。
【0089】
本開示の実施形態の説明は、網羅的であること、または開示される正確な形態に本開示を限定することを意図するものではない。本開示の特定の実施形態および実施例が例示目的で本明細書に記載されているが、様々な同等の修正例が、関連技術の当業者が認識するように、本開示の範囲内において可能である。
【0090】
特許申請書(特許、特許出願、および特許刊行物を含む)、科学雑誌、書籍、論文、技術文献、ならびに本出願で考察される他の刊行物および資料を含むすべての参考文献は、すべての目的に対してそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0091】
本開示のなおもさらなる実施形態を提供するために、必要に応じて、本開示の態様を修正して、上記の参考文献および出願のシステム、機能、および概念を用いることができる。これらおよび他の変更を、詳細な説明を考慮して、本開示に行うことができる。
【0092】
任意の前述の実施形態の特定の要素は、他の実施形態の要素と組み合わされても、置換されてもよい。さらに、本開示のある特定の実施形態に関連付けられた利点を、これらの実施形態の文脈において説明してきたが、他の実施形態がかかる利点を示す場合もあり、すべての実施形態が必ずしも本開示の範囲内に入るように、かかる利点を示す必要はない。
【0093】
上記は本発明の例示的な実施形態の完全かつ徹底的な開示を提供するが、様々な修正例、代替構成、および同等物を必要に応じて用いることができる。その結果、実施形態を例として、および理解を明確にするために、一部詳細に説明してきたが、様々な修正例、変更例、および適合例が当業者には明らかであろう。したがって、上記の説明および図解は、本発明を限定するものとして解釈されるべきではなく、添付の特許請求の範囲によって定義され得る。
【0094】
他の変形例が本開示の趣旨の範囲内である。したがって、開示される技術は、様々な修正例および代替的な構成の影響を受けやすいが、開示される技術のある特定の図解される実施形態は、図面に示されており、詳細に上で説明されている。しかしながら、本開示を開示される特定の形態(複数可)に限定する意図はないが、反対に、意図は、添付の特許請求の範囲に定義されるように、本開示の趣旨および範囲内に入るすべての修正例、代替的な構成、および同等物を網羅することであることを理解されたい。
【0095】
開示される実施形態を説明する文脈(とりわけ、以下の特許請求の範囲の文脈)における用語「a」および「an」および「the」、ならびに同様の参照対象の使用は、別様に本明細書に示されない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形および複数形の両方を網羅すると解釈されるべきである。「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、および「含有する(containing)」という用語は、別様に記述されない限り、制限のない用語(open-ended term)(すなわち、「含むが、これに限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。「接続された」という用語は、介在する何かが存在する場合でも、部分的または全体的に中に含まれるか、取り付けられるか、または一緒に接合されるものとして解釈されるべきである。本明細書の値の範囲の列挙は、別様に本明細書に示されない限り、単に、範囲内に入る各別個の値を個別に参照する略式方法として役立つことを意図するものであり、各別個の値は、本明細書に個別に列挙されたものとして本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されるすべての方法は、別様に本明細書に示されない限り、または別様に文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施され得る。本明細書に提供される任意のおよびすべての実施例、または例示的な言い回し(例えば、「などの」)の使用は、単に本開示の実施形態をよりよく明らかにすることを意図するものであり、別様に請求されない限り、本開示の範囲に限定を課さない。本明細書のいかなる言い回しも、本開示の実施に不可欠なものとして任意の特許請求されない要素を示すように解釈されるべきではない。
【0096】
「X、Y、またはZのうちの少なくとも1つ」という表現などの離接的な言い回しは、別様に具体的に明記されない限り、項目、用語などが、X、Y、もしくはZのいずれか、またはそれらの任意の組み合わせ(例えば、X、Y、および/またはZ)であり得ることを提示するように概して使用される文脈内で理解されることを意図する。したがって、かかる離接的な言い回しは、ある特定の実施形態が、各々が存在するために、Xの少なくとも1つ、Yの少なくとも1つ、またはZの少なくとも1つを必要とすることを概して意図するものではなく、それを暗示するべきではない。
【0097】
本発明者らが本開示を行うための最良のモードを含む、本開示の好ましい実施形態が本明細書に記載されている。これらの好ましい実施形態の変形例は、前述の説明を読むことで当業者には明らかになり得る。発明者らは、当業者がかかる変形例を適切に用いることを期待し、かつ発明者らは、本明細書に具体的に記載される以外の方法で本開示を実践することを意図している。したがって、本開示は、適用法によって許可された場合に、本明細書に添付される特許請求の範囲に列挙される主題のすべての修正例および同等物を含む。さらに、それらのすべての可能な変形例における、上に記載される要素の任意の組み合わせは、別様に本明細書に示されない限り、または別様に文脈によって明らかに矛盾しない限り、本開示によって包含される。
【0098】
本明細書に引用される刊行物、特許出願、および特許を含むすべての参照文献は、各参照文献が参照により組み込まれることが個別かつ具体的に示され、その全体が本明細書に記載される場合と同じ程度まで参照により本明細書に組み込まれる。
【0099】
以下において、本発明の理解を容易にするために、さらなる実施例を説明する。
【0100】
実施例A.トランスデューサであって、ケーシングと、金属集束レンズを含む流体不透過性トランスデューサヘッドであって、トランスデューサヘッドが、後面および前面を有し、金属集束レンズが、前面上に配設されており、かつ焦点に向かって超音波を集束させるように構成されている、流体不透過性トランスデューサヘッドと、トランスデューサヘッドの後面に接着されており、かつ超音波が金属集束レンズから焦点に向かって放出されるように、金属集束レンズの発振的機械的振動を発生させるように動作可能なアクチュエータと、を備え、ケーシング内への液体の侵入を防止するために、ケーシングおよびトランスデューサヘッドが、流体不透過性の様式で接続されている、トランスデューサ。
【0101】
実施例B.ケーシングが、流体不透過性の接合部を介して金属集束レンズに接続された金属ケーシングを含む、先行する実施例のいずれかに記載のトランスデューサ。
【0102】
実施例C.流体不透過性の接合部が、溶接接合部を含む、実施例Bに記載のトランスデューサ。
【0103】
実施例D.ケーシング内へのガスの侵入を防止するために、ケーシングおよびトランスデューサヘッドが、流体不透過性の様式で接続されている、先行する実施例のいずれかに記載のトランスデューサ。
【0104】
実施例E.ケーシングおよび金属集束レンズが、一体的に形成されている、先行する実施例のいずれかに記載のトランスデューサ。
【0105】
実施例F.集束レンズが、球状の凹状面を含む、先行する実施例のいずれかに記載のトランスデューサ。
【0106】
実施例G.集束レンズが、円筒形の凹状面を含む、先行する実施例のいずれかに記載のトランスデューサ。
【0107】
実施例H.アクチュエータが、圧電トランスデューサである、先行する実施例のいずれかに記載のトランスデューサ。
【0108】
実施例I.トランスデューサヘッドの前面が、集束レンズを囲む周辺部分を含み、周辺部分とインターフェース接続されており、かつアクチュエータから周辺部分を通って放出される超音波エネルギーを吸収するように構成されている、減弱層をさらに備える、先行する実施例のいずれかに記載のトランスデューサ。
【0109】
実施例J.集束レンズから媒体に超音波を伝達するために集束レンズに結合された整合層をさらに備え、整合層が、集束レンズから媒体への超音波の伝達を、集束レンズから媒体への超音波の直接伝達と比較して、強化するように構成されている、先行する実施例のいずれかに記載のトランスデューサ。
【0110】
実施例K.集束レンズが、第1の音響インピーダンスを有し、媒体が、第1の音響インピーダンスとは異なる第2の音響インピーダンスを有し、整合層が、第1の音響インピーダンスと第2の音響インピーダンスとの間に整合する音響インピーダンスを有する、実施例Jに記載のトランスデューサ。
【0111】
実施例L.整合する音響インピーダンスが、式Zm=√(ZlZc)に従って、Zmとほぼ等しく、式中、Zlが、第1の音響インピーダンスであり、Zcが、第2の音響インピーダンスである、実施例Kに記載のトランスデューサ。
【0112】
実施例M.整合する音響インピーダンスが、Zmの10%以内である、実施例Lに記載のトランスデューサ。
【0113】
実施例N.整合する音響インピーダンスが、Zmの5%以内である、実施例Lに記載のトランスデューサ。
【0114】
実施例O.整合する音響インピーダンスが、約4~10Mraylの範囲内である、実施例Kに記載のトランスデューサ。
【0115】
実施例P.整合する音響インピーダンスが、約6~8Mraylの範囲内である、実施例Kに記載のトランスデューサ。
【0116】
実施例Q.整合層が、グラファイトを含む、実施例J~Pのいずれかに記載のトランスデューサ。
【0117】
実施例R.整合層が、フルオロポリマー層を含む、実施例J~Pのいずれかに記載のトランスデューサ。
【0118】
実施例S.整合層が、ポリビニリデンジフルオリドを含む、実施例J~Pのいずれかに記載のトランスデューサ。
【0119】
実施例T.整合層が、整合層を通過する公称周波数での音響信号の1/4波長の奇数倍に対応する厚さを有する、実施例J~Sのいずれかに記載のトランスデューサ。
【0120】
実施例U.整合層の厚さが、1/4波長の奇数倍によって定義される公称厚さの20%以内である、請求項Tに記載のトランスデューサ。
【0121】
実施例V.整合層の厚さが、1/4波長の奇数倍によって定義される公称厚さの10%以内である、請求項Tに記載のトランスデューサ。
【0122】
実施例W.公称周波数が、2~15MHzの範囲である、実施例T~Vのいずれかに記載のトランスデューサ。
【0123】
実施例X.整合層が、30~80μmの範囲の厚さを有する、実施例T~Wのいずれかに記載のトランスデューサ。
【0124】
実施例Y.前面上に配設された第1の整合層と、第1の整合層上に配設された第2の整合層と、をさらに備え、第1および第2の整合層が、集束レンズから媒体への超音波の伝達を、集束レンズから媒体への超音波の直接伝達と比較して、強化するように構成されている、先行する実施例のいずれかに記載のトランスデューサ。
【0125】
実施例Z.集束レンズが、第1の音響インピーダンスを有し、媒体が、第1の音響インピーダンスとは異なる第2の音響インピーダンスを有し、第1の整合層が、第1の音響インピーダンスと第2の音響インピーダンスとの間に第1の整合する音響インピーダンスを有し、第2の整合層が、第1の整合する音響インピーダンスと第2の音響インピーダンスとの間に第2の整合する音響インピーダンスを有する、実施例Yに記載のトランスデューサ。
【0126】
実施例AA.第1および第2の整合する音響インピーダンスが、Zm1=√(ZlZm2)およびZm2=√(Zm1Zc)の場合に、それぞれZm1およびZm2とほぼ等しく、式中、Zlが、金属の音響インピーダンスに対応し、集束レンズおよびZcが、媒体の音響インピーダンスに対応する、請求項Zに記載のトランスデューサ。
【0127】
実施例AB.集束レンズが、アクチュエータよりも直径が大きい、先行する実施例のいずれかに記載のトランスデューサ。
【0128】
実施例AC.トランスデューサヘッドが、金属または金属合金で形成されている、先行する実施例のいずれかに記載のトランスデューサ。
【0129】
実施例AD.トランスデューサヘッドが、アルミニウム(Al)、ベリリウム(Be)、カドミウム(Cd)、炭素(C)、クロム(Cr)、銅(Cu)、ゲルマニウム(Ge)、金(Au)、鉄(Fe)、鉛(Pb)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、ニオブ(Nb)、リン(P)、白金(Pt)、セレン(Se)、シリコン(Si)、銀(Ag)、スズ(Sn)、チタン(Ti)、タングステン(W)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、またはジルコニウム(Zr)のうちの1つ以上を含む、先行する実施例のいずれかに記載のトランスデューサ。
【0130】
実施例AE.トランスデューサヘッドおよびケーシングが、液体中に浸漬されたときに、液体浸透深さおよび誘導された材料損失がゼロであることを特徴とする、先行する実施例のいずれかに記載のトランスデューサ。
【0131】
実施例AF.トランスデューサヘッドおよびケーシングが、液体との接触による材料の重量損失が年間0.1%未満であることを特徴とする、先行する実施例のいずれかに記載のトランスデューサ。
【0132】
実施例AG.アクチュエータが、トランスデューサによって発生した公称周波数での音響信号の公称音響波長のほぼ半分に等しい厚さを有する、先行する実施例のいずれかに記載のトランスデューサ。
【0133】
実施例AH.アクチュエータが、およそ275μmに等しい厚さを有する、先行する実施例のいずれかに記載のトランスデューサ。
【0134】
実施例AI.アクチュエータによって伝達される音響エネルギーを減弱させるように構成されている、バッキング材料をさらに備え、アクチュエータが、バッキング材料と金属集束レンズとの間に位置付けられている、先行する実施例のいずれかに記載のトランスデューサ。
【0135】
実施例AJ.バッキング材料が、音響減衰材料中に均一に懸濁された音響散乱材料の粒子を含む、実施例AIに記載のトランスデューサ。
【0136】
実施例AK.バッキング材料が、減衰ポリマーマトリックスを含む、実施例AIに記載のトランスデューサ。
【0137】
実施例AL.バッキング材料が、シリコンカーバイドの粒子を含浸させた減衰ポリマーマトリックスを含む、実施例AIに記載のトランスデューサ。
【0138】
実施例AM.バッキング材料が、タングステンの粒子を含浸させた減衰ポリマーマトリックスを含む、実施例AIに記載のトランスデューサ。
【0139】
実施例AN.バッキング材料が、13.5~16.5Mraylに及ぶ音響インピーダンスを有する、実施例AI~AMのいずれかに記載のトランスデューサ。
【0140】
実施例AO.ケーシングの内部空間を実質的に充填する密閉材をさらに備え、バッキング材料が、アクチュエータと密閉材との間に配設されている、実施例AI~ANのいずれかに記載のトランスデューサ。
【0141】
実施例AP.トランスデューサによって発生した音響ビームの焦点長さが、十分に安定しており、焦点長さが、液体との接触によって年間0.1%未満の割合で変化する、先行する実施例のいずれかに記載のトランスデューサ。
【0142】
実施例AQ.トランスデューサによって発生した音響ビームの偏心度が、十分に安定しており、偏心度が、液体との接触によって年間0.1%未満の割合で変化する、先行する実施例のいずれかに記載のトランスデューサ。
【0143】
実施例AR.トランスデューサが、流体不透過性であり、かつ2大気圧超で130℃を超える温度に曝露されたときの性能の変化に対して弾力性がある、先行する実施例のいずれかに記載のトランスデューサ。
【0144】
実施例AS.流体不透過性超音波トランスデューサを形成する方法であって、方法が、流体不透過性材料から実質的に中空のケーシングを形成することであって、実質的に中空のケーシングが、内部空洞および開いた第1の端部を有する、形成することと、流体不透過性材料からトランスデューサヘッド要素を形成することであって、トランスデューサヘッド要素が、ケーシングの開いた第1の端部と接続するようにサイズ決めされる、形成することと、ヘッド要素の前面上に集束レンズを形成することであって、集束レンズが、焦点に向かって超音波を集束させるように構成されている、形成することと、ヘッド要素をケーシングの第1の端部と接合して、流体不透過性の接合部を形成することであって、ヘッド要素が、集束レンズがケーシングから離れる方向を指すように位置付けられる、形成することと、前面とは反対のトランスデューサヘッドの後面にアクチュエータを接着することであって、アクチュエータが、超音波が集束レンズから焦点に向かって放出されるように、集束レンズの発振的機械的振動を発生させるように動作可能である、接着することと、を含む、方法。
【0145】
実施例AT.ヘッド要素をケーシングの第1の端部と接合することが、ヘッド要素をケーシングと溶接することを含む、実施例ASに記載の方法。
【0146】
実施例AU.集束レンズを形成することが、精密機械加工プロセスを介してヘッド要素の前面から材料を除去することを含む、先行する実施例のいずれかに記載の方法。
【0147】
実施例AV.ケーシング内にアクチュエータに隣接して、かつアクチュエータの後方にバッキング材料を挿入することと、密閉材でケーシングの内部空洞の残りの部分を実質的に充填することと、をさらに含む、先行する実施例のいずれかに記載の方法。
【0148】
実施例AW.集束レンズに整合層を適用することをさらに含み、整合層が、式Zm=√(ZlZc)に従って、Zmに対応する整合する音響インピーダンスを有する材料を含み、式中、Zlが、ヘッド要素に対応する第1の音響インピーダンスであり、Zcが、媒体に対応する第2の音響インピーダンスである、先行する実施例のいずれかに記載の方法。
【0149】
実施例AX.整合層の厚さを減少させて、厚さを、整合層を通過する公称周波数での音響信号の1/4波長の奇数倍に一致させることをさらに含む、実施例AWに記載の方法。
【0150】
実施例AY.整合層を通過する公称周波数での音響信号の1/4波長の奇数倍に対応する厚さで整合層を適用することをさらに含む、実施例AWに記載の方法。
【0151】
実施例AZ.ケーシング内にアクチュエータに隣接して、かつアクチュエータの後方にバッキング材料を挿入することと、ケーシング内にアクチュエータに当接し、かつバッキング材料の周辺を中心として導電性リング要素を挿入することであって、導電性リングが、内側導電性部分および外側導電性部分を有する、挿入することと、アクチュエータの第1の電極を導電性リング要素の内側導電性部分と接触させることと、アクチュエータの第2の電極を導電性リング要素の外側導電性部分と接触させることと、をさらに含む、先行する実施例のいずれかに記載の方法。
【0152】
実施例BA.集束レンズに隣接するヘッド要素の周辺に減弱層を適用することをさらに含む、先行する実施例のいずれかに記載の方法。
【0153】
実施例BB.集束レンズに整合層を適用することをさらに含み、整合層が、トランスデューサヘッドの第1の音響インピーダンスよりも小さい整合する音響インピーダンスを有する、先行する実施例のいずれかに記載の方法。
【0154】
実施例BC.流体不透過性超音波トランスデューサを形成する方法であって、方法が、流体不透過性材料から実質的に中空のケーシングを形成することであって、実質的に中空のケーシングが、内部空洞、およびトランスデューサヘッド要素を画定する閉じた第1の端部を有する、形成することと、ヘッド要素の前面上に集束レンズを形成することであって、集束レンズが、焦点に向かって超音波を集束させるように構成されている、形成することと、前面とは反対のトランスデューサヘッドの後面にアクチュエータを接着することであって、アクチュエータが、超音波が集束レンズから焦点に向かって放出されるように、集束レンズの発振的機械的振動を発生させるように動作可能である、接着することと、を含む、方法。
【0155】
実施例BD.集束レンズを形成することが、ヘッド要素の前面から材料を除去することを含む、実施例BCに記載の方法。
【0156】
実施例BE.ケーシング内にアクチュエータに隣接して、かつアクチュエータの後方にバッキング材料を挿入することと、密閉材でケーシングの内部空洞の残りの部分を実質的に充填することと、をさらに含む、先行する実施例のいずれかに記載の方法。
【0157】
実施例BF.ケーシング内にアクチュエータに当接し、かつバッキング材料の周辺を中心として導電性リング要素を挿入することであって、導電性リングが、内側導電性部分および外側導電性部分を有する、挿入することと、アクチュエータの第1の電極を導電性リング要素の内側導電性部分と接触させることと、アクチュエータの第2の電極を導電性リング要素の外側導電性部分と接触させることと、をさらに含む、実施例BEに記載の方法。
【0158】
実施例BG.集束レンズに整合層を適用することをさらに含み、整合層が、式Zm=√(ZlZc)に従って、Zmに対応する整合する音響インピーダンスを有する材料を含み、式中、Zlが、ヘッド要素に対応する第1の音響インピーダンスであり、Zcが、媒体に対応する第2の音響インピーダンスである、先行する実施例のいずれかに記載の方法。
【0159】
実施例BH.整合層の厚さを減少させて、厚さを、整合層を通過する公称周波数での音響信号の1/4波長の奇数倍に一致させることをさらに含む、実施例BGに記載の方法。
【0160】
実施例BI.整合層を通過する公称周波数での音響信号の1/4波長の奇数倍に対応する厚さで整合層を適用することをさらに含む、実施例BGに記載の方法。
【0161】
実施例BJ.集束レンズに隣接するヘッド要素の周辺に減弱層を適用することをさらに含む、先行する実施例のいずれか1つに記載の方法。
【0162】
実施例BK.集束レンズに整合層を適用することをさらに含み、整合層が、トランスデューサヘッドの第1の音響インピーダンスよりも小さい整合する音響インピーダンスを有する、先行する実施例のいずれか1つに記載の方法。
【0163】
実施例BL.流体のリザーバから液滴を排出する方法であって、方法が、実施例A~ARのいずれかに記載のトランスデューサを含む流体不透過性トランスデューサを用いて、トランスデューサからリザーバへ音響エネルギーを結合するように位置付けられた音響媒体中に集束レンズを浸漬することと、リザーバの流体表面から液滴排出を引き起こすように構成された周波数で、アクチュエータによって音響パルスを発生させることと、集束レンズを介して、アクチュエータから流体リザーバまで音響パルスを通過させることと、を含む、方法。
【0164】
実施例BM.構造の超音波試験を実施する方法であって、方法が、実施例A~ARのいずれか1つに記載のトランスデューサを含む流体不透過性トランスデューサを用いて、構造と流体接触する音響媒体中に集束レンズを浸漬することと、アクチュエータによって音響パルスを発生させ、構造のスキャン領域に向けることと、スキャン領域に対応する音響パルスのエコーを受信することと、エコーの特性に基づいて、構造のスキャン領域の物理的パラメータを決定することと、を含む、方法。
【0165】
図面に描かれるか、または上に記載される構成要素の異なる配置、ならびに図示または記載されていない構成要素およびステップが可能である。同様に、いくつかの特徴およびサブ組み合わせが有用であり、他の特徴およびサブ組み合わせを参照することなく用いられてもよい。本発明の実施形態は、制限的な目的ではなく、例示のために記載されており、代替的な実施形態が本特許の読者に明らかになるであろう。したがって、本発明は、上に記載されるか、または図面に描かれる実施形態に限定されず、以下の特許請求の範囲から逸脱することなく、様々な実施形態および修正例を行うことができる。
【外国語明細書】