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▶ 杉岡 陽介の特許一覧

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  • 特開-除菌コート化合物 図1
  • 特開-除菌コート化合物 図2
  • 特開-除菌コート化合物 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152124
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】除菌コート化合物
(51)【国際特許分類】
   A01N 59/16 20060101AFI20231005BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20231005BHJP
   A01N 65/00 20090101ALI20231005BHJP
   A01N 59/20 20060101ALI20231005BHJP
   A01N 65/22 20090101ALI20231005BHJP
   A01N 65/28 20090101ALI20231005BHJP
   A01N 65/24 20090101ALI20231005BHJP
   A01N 65/44 20090101ALI20231005BHJP
   A01N 65/48 20090101ALI20231005BHJP
   A01N 65/16 20090101ALI20231005BHJP
【FI】
A01N59/16 Z
A01P3/00
A01N65/00 A
A01N59/16 A
A01N59/20 A
A01N65/22
A01N65/28
A01N65/24
A01N65/44
A01N65/48
A01N65/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062073
(22)【出願日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】522133808
【氏名又は名称】杉岡 陽介
(74)【代理人】
【識別番号】100166589
【弁理士】
【氏名又は名称】植村 貴昭
(72)【発明者】
【氏名】杉岡 陽介
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AA02
4H011AA03
4H011AA04
4H011BA06
4H011BB18
4H011BB22
4H011DA13
(57)【要約】
【課題】利便性の高い除菌コート化合物を提供する。
【解決手段】硫酸銅水溶液と、亜鉛溶液と、銀イオン液と、精油と、水とを混合してなるものであり、精油は、オレガノオイルと、カルダモンオイルと、シナモンカッツアオイルと、ペパーミントオイルと、ユーカリグロブルスオイルと、リトセアオイルと、レモングラスオイルと、ティートゥリーオイルと、ベンゾインオイルとを含むものとすることで、利便性の高い除菌コート化合物を提供することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
亜鉛と、銀と、精油とを含む
ことを特徴とする除菌コート化合物。
【請求項2】
前記亜鉛を含む亜鉛溶液と、前記銀を含む銀イオン液と、前記精油と、水とを混合してなる
ことを特徴とする請求項1に記載の除菌コート化合物。
【請求項3】
前記亜鉛溶液は濃度0.1mol/L、前記銀イオン液は1500ppmである
ことを特徴とする請求項2に記載の除菌コート化合物。
【請求項4】
前記亜鉛溶液は5.0体積%以上50.0体積%以下である
ことを特徴とする請求項3に記載の除菌コート化合物。
【請求項5】
前記銀イオン液は2.5体積%以上50.0体積%以下である
ことを特徴とする請求項3に記載の除菌コート化合物。
【請求項6】
さらに銅を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の除菌コート化合物。
【請求項7】
前記銅を含む硫酸銅水溶液と、前記亜鉛を含む亜鉛溶液と、前記銀を含む銀イオン液と、前記精油と、水とを混合してなる
ことを特徴とする請求項6に記載の除菌コート化合物。
【請求項8】
前記硫酸銅水溶液は濃度1mol/L、前記亜鉛溶液は濃度0.1mol/L、前記銀イオン液は1500ppmである
ことを特徴とする請求項7に記載の除菌コート化合物。
【請求項9】
前記硫酸銅水溶液は12.5体積%以上25.0体積%以下である
ことを特徴とする請求項8に記載の除菌コート化合物。
【請求項10】
前記精油は、オレガノオイルと、カルダモンオイルと、シナモンカッツアオイルと、ペパーミントオイルと、ユーカリグロブルスオイルと、リトセアオイルと、レモングラスオイルと、ティートゥリーオイルと、ベンゾインオイルとを含む
ことを特徴とする請求項2、3、7、又は8に記載の除菌コート化合物。
【請求項11】
前記精油は1.0体積%以上2.0体積%以下である
ことを特徴とする請求項10に記載の除菌コート化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除菌コート化合物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば下記特許文献1には抗菌コート剤についての発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-081409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されるような従来の抗菌コート剤は利便性が低い。
【0005】
本発明では、利便性の高い除菌コート化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点における除菌コート化合物によれば、
亜鉛と、銀と、精油とを含む
ことを特徴とする。
【0007】
好ましくは、
前記亜鉛を含む亜鉛溶液と、前記銀を含む銀イオン液と、前記精油と、水とを混合してなる
ことを特徴とする。
【0008】
好ましくは、
前記亜鉛溶液は濃度0.1mol/L、前記銀イオン液は1500ppmである
ことを特徴とする。
【0009】
好ましくは、
前記亜鉛溶液は5.0体積%以上50.0体積%以下である
ことを特徴とする。
【0010】
好ましくは、
前記銀イオン液は2.5体積%以上50.0体積%以下である
ことを特徴とする。
【0011】
好ましくは、
さらに銅を含む
ことを特徴とする。
【0012】
好ましくは、
前記銅を含む硫酸銅水溶液と、前記亜鉛を含む亜鉛溶液と、前記銀を含む銀イオン液と、前記精油と、水とを混合してなる
ことを特徴とする。
【0013】
好ましくは、
前記硫酸銅水溶液は濃度1mol/L、前記亜鉛溶液は濃度0.1mol/L、前記銀イオン液は1500ppmである
ことを特徴とする。
【0014】
好ましくは、
前記硫酸銅水溶液は12.5体積%以上25.0体積%以下である
ことを特徴とする。
【0015】
好ましくは、
前記精油は、オレガノオイルと、カルダモンオイルと、シナモンカッツアオイルと、ペパーミントオイルと、ユーカリグロブルスオイルと、リトセアオイルと、レモングラスオイルと、ティートゥリーオイルと、ベンゾインオイルとを含む
ことを特徴とする。
【0016】
好ましくは、
前記精油は1.0体積%以上2.0体積%以下である
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る除菌コート化合物によれば、高い利便性を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施例に係る除菌コート化合物の成分表としての表1である。
図2】本発明の実施例における精油の成分表としての表2である。
図3】本発明の実施例に係る除菌コート化合物の試験結果を示す表としての表3である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、本発明に係る除菌コート化合物について、実施例により図面を用いて説明する。
【実施例0020】
本実施例に係る除菌コート化合物は、銅、亜鉛、銀、精油、及び、蒸留水を含有している。使用時には、これを原液として、蒸留水にて30倍~120倍に希釈した希釈液をスプレーする。
【0021】
図1に記載された表1は本実施例に係る除菌コート化合物の成分表であり、No.0~No.9の計10種類を表示している。
【0022】
本実施例に係る除菌コート化合物は、銅を含む硫酸銅水溶液、亜鉛を含む亜鉛溶液、銀を含む銀イオン液、及び、水(蒸留水)を混合してなるものである。硫酸銅水溶液については濃度1mol/Lのものを用いる。また、亜鉛溶液については濃度0.1mol/Lのものを用いる。さらに、銀イオン液については1500ppmのものを用いる。
【0023】
そして、精油については、オレガノオイル(オレガノから抽出した精油を指す。以下同様)、カルダモンオイル、シナモンカッツアオイル、ペパーミントオイル、ユーカリグロブルスオイル、リトセアオイル、レモングラスオイル、ティートゥリーオイル、及び、ベンゾインオイルを混合したものである。
【0024】
図2に記載された表2は精油の成分表である。配合比は全て質量%である。図2に示すように、各オイルの配合比については、オレガノオイルが10質量%、カルダモンオイルが10.0質量%、シナモンカッツアオイルが10.0質量%、ペパーミントオイルが12.5質量%、ユーカリグロブルスオイルが10.0質量%、リトセアオイルが17.5質量%、レモングラスオイルが10.0質量%、ティートゥリーオイルが12.5質量%、ベンゾインオイルが7.5質量%であるものとするのが最適である。
【0025】
なお上記精油は、界面活性剤により乳化させてから、硫酸銅水溶液、亜鉛溶液、銀イオン液と混合するようにしてもよい。
【0026】
本実施例に係る除菌コート化合物を30倍に希釈した液を染み込ませた希釈液に対し、JIS規格(JIS L 1902:2015 繊維製品の抗菌性試験方法及び抗菌効果)にしたがって試験を行い、殺菌効果を調査した(ただし、JIS規格では殺菌効果の確認を18時間~24時間後としているが、ここでは15秒で殺菌効果を確認した)。
【0027】
上記試験の結果、本実施例に係る除菌コート化合物の30倍の希釈液は、ブドウ球菌、大腸菌、及び、緑膿菌に対する殺菌効果が認められた。また、同様の試験を120倍の希釈液について行った結果、やはり殺菌効果が認められた。
【0028】
この点について、図1、及び、図3に記載された表3を用いて詳述する。表3は、上記試験の結果を示す表である。試験の結果、殺菌効果が認められた箇所には〇を記載している。
【0029】
表1に示すNo.0のように、本実施例に係る除菌コート化合物を、銅が2.5ml、亜鉛が5.0ml、銀が0.5ml、精油が0.2ml、蒸留水が1.8ml、すなわち、銅が25.0体積%、亜鉛が50.0体積%、銀が5.0体積%、精油が2.0体積%、蒸留水が18.0体積%とする(ただし、ここでの銅、亜鉛、銀は、それぞれ上述した硫酸銅水溶液、亜鉛溶液、銀イオン液を指すものとする。この点について以下同様である)。これを30倍又は120倍に希釈した希釈液について上記試験を行ったところ、表3に示すように、ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌それぞれに対する殺菌効果を有することが認められた。
【0030】
また、No.1のように、本実施例に係る除菌コート化合物を、銅が125.0ml、亜鉛が500.0ml、銀が50.0ml、精油が20.0ml、蒸留水が305.0ml、すなわち、銅が12.5体積%、亜鉛が50.0体積%、銀が5.0体積%、精油が2.0体積%、蒸留水が30.5体積%とする。これを30倍又は120倍に希釈した希釈液について上記試験を行ったところ、表3に示すように、ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌それぞれに対する殺菌効果を有することが認められた。
【0031】
また、No.2のように、本実施例に係る除菌コート化合物を、銅が0.0ml、亜鉛が500.0ml、銀が50.0ml、精油が20.0ml、蒸留水が430.0ml、すなわち、亜鉛が50.0体積%、銀が5.0体積%、精油が2.0体積%、蒸留水が43.0体積%とする。これを30倍又は120倍に希釈した希釈液について上記試験を行ったところ、表3に示すように、ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌それぞれに対する殺菌効果を有することが認められた。
【0032】
また、No.3のように、本実施例に係る除菌コート化合物を、銅が250.0ml、亜鉛が250.0ml、銀が50.0ml、精油が20.0ml、蒸留水が430.0ml、すなわち、銅が25.0体積%、亜鉛が25.0体積%、銀が5.0体積%、精油が2.0体積%、蒸留水が43.0体積%とする。これを30倍又は120倍に希釈した希釈液について上記試験を行ったところ、表3に示すように、ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌それぞれに対する殺菌効果を有することが認められた。
【0033】
また、No.4のように、本実施例に係る除菌コート化合物を、銅が250.0ml、亜鉛が0.0ml、銀が50.0ml、精油が20.0ml、蒸留水が680.0ml、すなわち、銅が25.0体積%、銀が5.0体積%、精油が2.0体積%、蒸留水が68.0体積%とする。これを30倍又は120倍に希釈した希釈液について上記試験を行ったところ、表3に示すように、ブドウ球菌、大腸菌それぞれに対する殺菌効果を有することが認められた。一方、緑膿菌に対する殺菌効果は認められなかった。
【0034】
また、No.5のように、本実施例に係る除菌コート化合物を、銅が250.0ml、亜鉛が500.0ml、銀が25.0ml、精油が20.0ml、蒸留水が205.0ml、すなわち、銅が25.0体積%、亜鉛が50.0体積%、銀が2.5体積%、精油が2.0体積%、蒸留水が20.5体積%とする。これを30倍又は120倍に希釈した希釈液について上記試験を行ったところ、表3に示すように、ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌それぞれに対する殺菌効果を有することが認められた。
【0035】
また、No.6のように、本実施例に係る除菌コート化合物を、銅が250.0ml、亜鉛が500.0ml、銀が0.0ml、精油が20.0ml、蒸留水が230.0ml、すなわち、銅が25.0体積%、亜鉛が50.0体積%、精油が2.0体積%、蒸留水が23.0体積%とする。これを30倍又は120倍に希釈した希釈液について上記試験を行ったところ、表3に示すように、ブドウ球菌、緑膿菌それぞれに対する殺菌効果を有することが認められた。一方で、大腸菌に対する殺菌効果は認められなかった。
【0036】
また、No.7のように、本実施例に係る除菌コート化合物を、銅が250.0ml、亜鉛が500.0ml、銀が50.0ml、精油が10.0ml、蒸留水が190.0ml、すなわち、銅が25.0体積%、亜鉛が50.0体積%、銀が5.0体積%、精油が1.0体積%、蒸留水が19.0体積%とし、これを30倍又は120倍に希釈した希釈液について上記試験を行ったところ、表3に示すように、ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌それぞれに対する殺菌効果を有することが認められた。
【0037】
また、No.8のように、本実施例に係る除菌コート化合物を、銅が250.0ml、亜鉛が500.0ml、銀が50.0ml、精油が0.0ml、蒸留水が200.0ml、すなわち、銅が25.0質量%、亜鉛が50.0質量%、銀が5.0質量%、蒸留水が200%とし、これを30倍又は120倍に希釈した希釈液について、大腸菌、緑膿菌それぞれに対する殺菌効果を有することが認められた。一方、ブドウ球菌に対する殺菌効果は認められなかった。
【0038】
また、No.9ついては、No.0と同様のものであるが、混合してから半年間経過させたものである。これを30倍又は120倍に希釈した希釈液について、ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌それぞれに対する殺菌効果を有することが認められた。
【0039】
以上の結果から、まず、銅(硫酸銅水溶液)については、本実施例に係る除菌コート化合物に含めずとも殺菌効果を奏するが、亜鉛(亜鉛溶液)、銀(銀イオン液)、精油については、これらが1つでも欠けると殺菌効果が低減することが分かった。
【0040】
さらに、亜鉛溶液は5.0体積%以上50.0体積%以下とすることで、殺菌効果を奏することが分かった。
【0041】
さらに、銀イオン液は2.5体積%以上50.0体積%以下とすることで、殺菌効果を奏することが分かった。
【0042】
さらに、精油は2.5体積%以上50.0体積%以下とすることで、殺菌効果を奏することが分かった。
【0043】
また、本実施例に係る除菌コート化合物を30倍又は120倍に希釈した液を染み込ませた希釈液の、新型コロナウイルス(COVID-19)に対する効果を、JIS規格(JIS L 1902:2015 繊維製品の抗菌性試験方法及び抗菌効果)に準拠して試験を行い、調査したところ、新型コロナウイルス(COVID-19)に対して殺ウイルス効果、すなわちウイルスを不活性化する効果を有することが認められた。
【0044】
したがって、本実施例に係る除菌コート化合物は、その希釈液を、トイレ、手すり、ドアノブ、あるいは壁などにスプレーすることで、当該箇所を殺菌するとともに殺ウイルスとすることができる。そのため、本実施例に係る除菌コート化合物は、ウイルス等の感染リスクを低減することができる。
【0045】
また、本実施例に係る除菌コート化合物は、例えば上記特許文献1に開示された従来の抗菌コート剤のように酸化チタンを含んでおらず、自然由来の成分のみを含んでいることから、人体への悪影響が少ない。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、除菌コート化合物として好適である。
図1
図2
図3