(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152134
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】位置合わせ機構、及び認証システム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20231005BHJP
【FI】
G06T7/00 510F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062094
(22)【出願日】2022-04-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 公開者 BOLDLY株式会社 公開場所 茨城県境町 公開日 令和 3年10月14日
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.SWIFT
2.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】517326475
【氏名又は名称】BOLDLY株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】改發 壮
【テーマコード(参考)】
5B043
【Fターム(参考)】
5B043AA09
5B043BA04
5B043DA06
(57)【要約】
【課題】ユーザの顔を映す鏡を用いることなく、簡易な構成で、ユーザの顔を読取装置の読取範囲に誘導可能な位置合わせ機構及び認証システムを提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態による、ユーザの顔を読み取る読取装置の読取範囲内にユーザの顔の位置を合わせる位置合わせ機構は、第1画像を含む第1プレートと、透過性の第2画像を含む第2プレートと、を備え、第2プレートは、第2画像を第1画像に重ねて、第1プレートの法線方向に第1プレートから所定の距離離間して配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの顔を読み取る読取装置の読取範囲内に前記ユーザの顔の位置を合わせる位置合わせ機構であって、
第1画像を含む第1プレートと、
透過性の第2画像を含む第2プレートと、
を備え、
前記第2プレートは、前記第2画像を前記第1画像に重ねて、前記第1プレートの法線方向に前記第1プレートから所定の距離離間して配置される、位置合わせ機構。
【請求項2】
前記第1画像は閉じた輪郭を有し、
前記第2画像は、前記第1画像の輪郭線と、当該輪郭線で囲まれた透過領域とを有する、
請求項1に記載の位置合わせ機構。
【請求項3】
前記第1プレートと前記第2プレートとは、前記第1画像の向きと前記第2画像の向きとが同一方向となる位置に重ねられる、
請求項2に記載の位置合わせ機構。
【請求項4】
前記位置合わせ機構は、前記第1プレートの法線方向上に前記ユーザの顔が位置する場合に、前記読取装置の読取範囲内に前記ユーザの顔が位置する位置に、前記読取装置に対して配置される、
請求項3に記載の位置合わせ機構。
【請求項5】
前記第2画像の鉛直方向成分の輪郭線の太さは、前記第2画像の水平方向成分の輪郭線の太さよりも細い、
請求項2に記載の位置合わせ機構。
【請求項6】
前記第2画像は、前記第1画像の輪郭線のうち、水平方向成分の輪郭線のみから成る、
請求項2に記載の位置合わせ機構。
【請求項7】
ユーザの顔による認証システムであって、
前記ユーザの顔を読み取る読取装置と、
前記読取装置で読み取られた顔に関する情報と、予め登録された認証用の情報とに基づいて、前記ユーザを認証する認証部と、
前記読取装置の読取範囲内に前記ユーザの顔の位置を合わせる位置合わせ機構と、
を備え、
前記位置合わせ機構は、
第1画像を含む第1プレートと、透過性の第2画像を含む第2プレートとを備え、
前記第2プレートは、前記第2画像を前記第1画像に重ねて、前記第1プレートの法線方向に前記第1プレートから所定の距離離間して配置される、認証システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置合わせ機構、及び認証システムに関し、特に、顔認証において、ユーザの顔を認証装置の認証範囲内に誘導する位置合わせ機構、及び認証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザを認証する際に、ユーザの顔画像や特徴点といった顔に関する情報を読取装置によって取得し、予め登録してある情報と照合する顔認証が行われている。顔認証を確実に行うためには、読取装置にユーザの顔を対向させ、認証に必要な情報を適切に読み取らせることが求められる。このため、例えば、特許文献1には、認証対象者を広視野角で撮像する広角カメラの近傍に、位置変動し得る各認証対象者の顔を該認証対象者により視認可能ならしめる凸面効果を有する凸面鏡を設け、各認証対象者がミラー部によって自らの顔を視認可能ならしめて認証対象者の顔を確実に凸面鏡及び広角カメラに正対させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の凸面鏡は広範囲を映すとの特徴を有する一方、鏡に映る像の大きさが小さくなり、ユーザが自身の顔を映すのに手間がかかる。また、自身の顔に対峙することに抵抗を感じるユーザが存在することも考えられる。
【0005】
本発明は、ユーザの顔を映す鏡を用いることなく、簡易な構成で、ユーザの顔を読取装置の読取範囲に誘導可能な位置合わせ機構及び認証システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態による、ユーザの顔を読み取る読取装置の読取範囲内にユーザの顔の位置を合わせる位置合わせ機構は、第1画像を含む第1プレートと、透過性の第2画像を含む第2プレートと、を備え、第2プレートは、第2画像を第1画像に重ねて、第1プレートの法線方向に第1プレートから所定の距離離間して配置される。
【0007】
本発明の一実施形態による位置合わせ機構において、第1画像は閉じた輪郭を有し、第2画像は、第1画像の輪郭線と、当該輪郭線で囲まれた透過領域とを有してもよい。
【0008】
本発明の一実施形態による位置合わせ機構において、第1プレートと第2プレートとは、第1画像の向きと第2画像の向きとが同一方向となる位置に重ねられてもよい。
【0009】
本発明の一実施形態による位置合わせ機構において、第1プレートの法線方向が、鉛直方向と水平方向の間を向く向きに配置されてもよい。
【0010】
本発明の一実施形態による位置合わせ機構において、第1プレートの法線方向上にユーザの顔が位置する場合に、読取装置の読取範囲内にユーザの顔が位置する位置に、読取装置に対して配置されてもよい。
【0011】
本発明の一実施形態による位置合わせ機構において、第2画像の鉛直方向成分の輪郭線の太さは、第2画像の水平方向成分の輪郭線の太さよりも細くてもよい。
【0012】
本発明の一実施形態による位置合わせ機構において、第2画像は、第1画像の輪郭線のうち、水平方向成分の輪郭線のみから成ってもよい。
【0013】
本発明の一実施形態によるユーザの顔による認証システムは、ユーザの顔を読み取る読取装置と、読取装置で読み取られた顔に関する情報と、予め登録された認証用の情報とに基づいて、ユーザを認証する認証部と、読取装置の読取範囲内にユーザの顔の位置を合わせる位置合わせ機構と、を備え、位置合わせ機構は、第1画像を含む第1プレートと、透過性の第2画像を含む第2プレートとを備え、第2プレートは、第2画像を第1画像に重ねて、第1プレートの法線方向に第1プレートから所定の距離離間して配置される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ユーザの顔を映す鏡を用いることなく、簡易な構成で、ユーザの顔を読取装置の読取範囲に誘導可能な位置合わせ機構及び認証システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態による認証システム構成の概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態による、情報処理装置(サーバ)及び車両用装置の機能ブロック図の一例である。
【
図3】(a)~(d)は、本発明の一実施形態による位置合わせ機構の一例である。
【
図4】(a)、(b)は、本発明の一実施形態によるユーザの位置合わせを説明する概略図である。
【
図5】(a)、(b)は、本発明の一実施形態による位置合わせ機構の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、諸図面を参照しながら、本発明の一実施形態を詳細に説明する。なお、図は一例であって、本発明は図に示すものに限定されない。例えば、図示したサーバ(情報処理装置)、車両用装置、位置合わせ機構、記憶装置等の数や構成等は一例であって、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0017】
<システム構成>
図1は、本発明の一実施形態による認証システム構成の概略図である。認証システム500は、ユーザUを、ユーザの顔に関する情報に基づいて認証する顔認証システムであって、ユーザの認証を要する様々な場面に適用可能である。顔認証システムとは、認証を行うユーザの顔をカメラ等の撮像装置で撮像して取得した顔画像と、事前に登録された情報との間で照合を行い、ユーザが本人であるか否かの確認を行うことができるシステムであってよい。また、ユーザの認証を要する場面とは、ユーザがある事柄に対する権限を有するか否かの確認を要する場面を指し、例えば、オフィスの入退出、空港での搭乗口等におけるユーザの確認等であってよい。
【0018】
なお、今日、乗客を乗せて運行するバスを自動運転車両で実現したサービスが開始されている。本発明の一実施形態では、認証システム500を、自動運転車両によるバス(以降、「自動運転バス」とも称する)への乗車時におけるユーザ認証に適用した場合について説明する。本発明の一実施形態に係る認証システムを適用して、自動運転バスを利用しようとしているユーザが、自動運転バスの利用権限を有するユーザであるか否かの乗客の認証の自動化を実現することで、乗客のチェックを行う人員の搭乗が必要なくなり、自動運転バスにおけるさらなる無人化に供することができる。
【0019】
認証システム500は、位置合わせ機構1、読取装置140、車両用装置100、サーバ(情報処理装置)200、及び記憶装置400を備える。ここで、位置合わせ機構1、読取装置140及び車両用装置100は、図示しない自動運転バス内に設置される。読取装置140は、車両用装置100と無線または有線で接続され、読み取った情報を車両用装置100に送信する。車両用装置100は、ネットワーク300を介して、サーバ200との間で情報の送受信を行う。
【0020】
読取装置140は、ユーザの顔を読み取る装置であって、例えば、撮像装置(カメラ)であってよい。本発明の一実施形態によれば、読取装置140は、自動運転バスの乗車口付近に設置され、乗車するユーザの顔を撮像してよい。
【0021】
位置合わせ機構1は、読取装置140の読取範囲内にユーザUの顔の位置を合わせる機構であって、例えば読取装置140がカメラである場合、カメラの画角P内にユーザUの顔を誘導する。なお、位置合わせ機構1については後述する。
【0022】
記憶装置400は、認証システム500で利用する各種情報(データ)を記憶(格納)する。なお、
図1において、記憶装置400はサーバ200とは別に1つのみ示してあるが、サーバ200に一体化されていてもよい。記憶装置400は、予め登録された認証用の情報を格納してよい。認証用の情報とは、認証システム500を利用するユーザごとに、ユーザの顔に関する情報(例えば、目、鼻、口等の特徴点)を関連付けた情報であってよい。
【0023】
車両用装置100は、読取装置140が取得したユーザUの顔に関する情報を、ネットワーク300を介してサーバ200に送信する。また、車両用装置100は、サーバ200によるユーザの認証結果を受信し、ユーザの乗車可否に関する情報を提示してもよい。
【0024】
サーバ200は、読取装置140で読み取られたユーザUの顔に関する情報と、予め登録された認証用の情報とに基づいて、ユーザUの認証処理を実行し、認証結果を車両用装置100へ送信する。
【0025】
ネットワーク300は、無線ネットワークや有線ネットワークを含み、ワイヤレスLAN(wireless LAN:WLAN)、LTE(long term evolution)、第4世代通信(4G)、第5世代通信(5G)、及び第6世代通信(6G)以降の移動体通信システム等であってよい。なお、ネットワーク300は、これらの例に限られず、例えば、公衆交換電話網(Public Switched Telephone Network:PSTN)やブルートゥース(Bluetooth(登録商標))、衛星通信網等であってもよい。また、ネットワーク300は、これらの組み合わせであってもよい。
【0026】
次に、
図2を用いて、本発明の一実施形態に係る車両用装置100及びサーバ200のハードウェア構成、機能構成について説明する。なお、
図2に記載の各機能部は必須ではなく、これ以降に説明する各実施形態において、必須でない機能部はなくともよい。また、各機能部の機能又は処理は、実現可能な範囲において、機械学習又はAI(Artificial Intelligence)により実現されてもよい。
【0027】
<車両用装置>
(1)車両用装置のハードウェア構成
車両用装置100は、制御部110、通信部120、入出力部130、及び記憶部170を備える。
【0028】
制御部110は、典型的にはプロセッサであって、中央処理装置(CPU)、MPU(Micro Processing Unit)等を含み、集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ、LSI(Large Scale Integration))等に形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって実現される。
【0029】
通信部120は、ネットワークアダプタ、アンテナ等のハードウェアや通信用ソフトウェア、及びこれらの組み合わせとして実装され、ネットワーク300を介して、サーバ200との間で各種データの送受信を行う。
【0030】
入出力部130は、車両用装置100に対する各種操作やデータを入力する入力装置、及び、車両用装置100で処理された処理結果を出力する出力装置との間のインタフェースであってよい。例えば、入出力部130は、読取装置140を含む入力装置(キーボード、タッチパネル、マイク等)、表示装置(ディスプレイ)150との間のインタフェースであってよい。
【0031】
記憶部170は、車両用装置100が動作するうえで必要とする各種プログラムや各種データを記憶する、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等であってよい。また、記憶部170は、制御部110に対する作業領域を提供するメモリを含んでよい。
【0032】
(2)車両用装置の機能構成
車両用装置100は、制御部110によって実現される機能として、通信制御部111、入出力制御部112、表示処理部113、画像取得部114、及び校正処理部115を含む。
【0033】
通信制御部111は、通信部120を介したサーバ200との間の通信を制御する。入出力制御部112は、入出力部130を介した外部装置(読取装置140、表示装置150)との有線又は無線を介した情報の入出力を制御する。例えば、入出力制御部112は、表示処理部113を備え、サーバ200から送信された認証結果に基づいた表示画面を、表示装置150へ出力してよい。
【0034】
画像取得部114は、読取装置140が読み取ったユーザUの顔に関する情報を、読取装置140から取得する。読取装置140が読み取ったユーザUの顔に関する情報とは、ユーザUの2次元の顔画像データであってもよいし、3次元データであってもよい。
【0035】
校正処理部115は、位置合わせ機構1の設置位置に応じて決定されるユーザUの顔の位置に基づいて、読取装置140の読取範囲を校正する。具体的には、校正処理部115は、ユーザUの顔の位置に読取範囲を集中させるように、読取装置140の読取範囲を調整してよい。
【0036】
<サーバ>
(1)サーバのハードウェア構成
サーバ200は、制御部210、通信部220、入出力部230、及び記憶部270を備える。
【0037】
制御部210は、典型的にはプロセッサであって、中央処理装置(CPU)、MPU等を含み、集積回路(ICチップ、LSI)等に形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって実現される。
【0038】
通信部220は、ネットワークアダプタ、アンテナ等のハードウェアや通信用ソフトウェア、及びこれらの組み合わせとして実装され、ネットワーク300を介して、車両用装置100との間で各種データの送受信を行う。
【0039】
入出力部230は、サーバ200に対する各種操作を入力する入力装置(キーボード、タッチパネル、マイク等)、及び、サーバ200で処理された処理結果を出力する出力装置(表示装置、スピーカ等)を含んでよい。
【0040】
記憶部270は、記憶部270は、例えば、HDD、SSD、フラッシュメモリ等を含み、サーバ200が動作するうえで必要とする各種プログラムや各種データを記憶する。例えば、記憶部270は、サーバ200で実行されるユーザUの認証処理を実行するためのプログラムを記憶してよい。また、記憶部270は、制御部210に対する作業領域を提供するメモリを含んでよい。
【0041】
(2)サーバの機能構成
サーバ200は、制御部210によって実現される機能として、通信制御部211、入出力制御部212、及び認証部213を含む。
【0042】
通信制御部211は、通信部220を介した車両用装置100との間の通信を制御する。例えば、通信制御部211は、読取装置140で読み取られたユーザUの顔に関する情報を、車両用装置100から受信する。また、通信制御部211は、後述する認証部213による認証結果を、車両用装置100へ送信する。
【0043】
入出力制御部212は、入出力部230を介した外部装置との有線又は無線を介した情報の入出力を制御する。
【0044】
認証部213は、読取装置140で読み取られたユーザUの顔に関する情報と、予め登録された認証用の情報とに基づいて、ユーザを認証する。具体的には、認証部213は、ユーザUの顔画像から、目、鼻、ほお骨等の顔のパーツの相対位置や大きさを抽出し、記憶装置400に予め登録された認証用の情報と照合して、一致する特徴のある画像を検索してよい。なお、顔認証に用いるアルゴリズムは既存のものであってよく、例えば、固有顔法、線形判別分析、グラフマッチング法、Viola-Jones法等の任意のアルゴリズムが用いられてよい。
【0045】
<位置合わせ機構>
次に、
図3を用いて、本発明の一実施形態による位置合わせ機構について説明する。
図3(a)は、位置合わせ機構1を側面からみた透過図、
図3(b)は、位置合わせ機構1を、
図3(a)における方向Nの逆方向から見た場合の正面図である。また、
図3(c)は第1プレート10及び第1画像11、
図3(d)は第2プレート20及び第2画像12の一例である。
【0046】
図3に示すように、位置合わせ機構1は、第1画像11を含む第1プレート10と、透過性の第2画像21を含む第2プレート20とを備える。第1画像11は、
図3(c)の例では自動運転バスのイラストで示してあるが、第1画像としてはこれに限定されない。すなわち、第1画像11として描かれる対象はどのようなものであってもよく、また、イラストに限らず、写真や模様等であってもよい。なお、第1プレート10の素材はどのようなものであってもよく、プラスチック、木板、厚紙等であってよい。
【0047】
第2画像21は、透過性を有する。透過性を有するとは、第2画像21の上方から第2画像21を目視した場合に、第2画像21の下方が見える状態であることを指してよい。したがって、第2画像21を含む第2プレート20の素材としては、透過性を有するプラスチック、ガラス等であってよい。なお、透過性を有するのであれば、第2画像21は透明であったり、色付きであってよく、模様が施されていてもよい。なお、これ以降の図において、グレーで示す箇所は、透過性を有する領域であることを示す。
【0048】
なお、第2プレート20を透過性を有しない素材とし、第2画像21の部分を透過性を有する素材として、第2画像21の部分を第2プレート20に嵌め込む等してもよい。また、
図3(d)に示すように、第2画像21は、第1画像11の輪郭線と、輪郭線で囲まれた透過領域とから成る画像であってよい。あるいは、上述のように、第2プレート20を不透過性の素材とし、第2画像21を、第1画像11の形状に相当する部分から成る透過領域とした場合は、第2画像21は、第1画像11の輪郭線を含まなくてもよい。
【0049】
第1プレート10と第2プレート20とは、
図3(a)に示すように円筒状部材30に配置される。なお、このとき、
図3(b)に示すように、第2プレート20は、第2画像21を第1画像11に重ねて、
図3(a)に示すように、第1プレート10の法線方向Nに第1プレート10から所定の距離dだけ離間して配置される。第2画像21は上述のように透過性を有するため、ユーザUが第2プレート20の上方から第2プレート20を見た場合に、第2画像21を通して、第1画像11を目視することができる。
【0050】
ここで、第1プレート10と第2プレート20とは、第1画像11の向きと第2画像21の向きとが同一方向となる位置に重ねられてよい。これにより、ユーザUは、第2プレート20の上方から第2画像21を見た場合に、透過性を有する第2画像21を通して、第1画像11と第2画像21とが重ね合わされた状態を目視することができる。
【0051】
第1プレート10及び第2プレート20は、自動車両バスの乗降口に位置合わせ機構1を設置した場合にユーザUの乗降に邪魔にならず、また、様々な年齢層のユーザUが第1画像11及び第2画像21を無理なく目視可能であれば、その大きさはどのようなものであってもよい。例えば、第1プレート10及び第2プレート20は、直径3cm~7cm程度の大きさであってよいが、これに限定されない。また、第1プレート10と第2プレート20との間の所定の距離dは、第2画像21、及び、第2画像21を介して目視する第1画像11の大きさによって決定されてよい。すなわち、所定の距離dは、ユーザUが第2画像21を介して第1画像11を目視した場合に、第1画像11と第2画像21とが重なるように見える距離であってよい。
【0052】
なお、
図3の例では、位置合わせ機構1の全体形状が円筒状の場合を示してあるが、本発明はこれに限定されず、位置合わせ機構1は、直方体であってもよいし、円錐台や四角錐台であってもよい。したがって、位置合わせ機構1の全体形状に応じて、第1プレート10や第2プレート20の大きさは異なってよい。また、
図3(a)の例では、第1画像11を第2画像12よりも大きく示してあるが、ユーザUが第2画像21を介して第1画像11を目視した場合に、第1画像11と第2画像21とが重なるように見えるのであれば、第1画像11と第2画像21の大きさの比は図示したものに限られない。
【0053】
<位置合わせの原理>
次に、
図4を用いて、本発明の一実施形態に係る位置合わせ機構1による、位置合わせの原理について説明する。位置合わせ機構1は、自動運転バスの乗降口において、第2プレート20側がユーザUに対向する位置に設置される。このとき、
図1で示したように、位置合わせ機構1は、読取装置140の近傍に設置されてよい。
【0054】
ユーザUが位置合わせ機構1に対向し、第2プレート20の上方から第2画像21を目視した際に、
図4(a)のように、第1プレート10(及び第2プレート20)の法線方向Nと、ユーザUの視線の方向Qとがずれると、ユーザUの視野の例41に示すように、第1画像11と第2画像21とが重ならずにずれることとなる。これに対し、第2プレート20の上方から第2画像21を目視した際に、
図4(b)のように、第1プレート10(及び第2プレート20)の法線方向Nと、ユーザUの視線の方向Qとが一致すると、ユーザUの視野の例42に示すように、第1画像11と第2画像21とが重なって見えることとなる。
【0055】
このように、本発明の一実施形態に係る認証システム500によれば、ユーザUの顔を読み取る読取装置140の範囲P内に、ユーザUの顔の位置を合わせる位置合わせ機構1を、透過性の第2画像21と、第1画像11による簡易な構成で実現することができる。また、ユーザUは、位置合わせ機構1を目視し、2つの画像が重なる位置に自身の顔を移動させるという簡単な動作で、認証動作を完了させることができ、ユーザにとっても利便性が高い。
【0056】
さらに、本発明の一実施形態に係る認証システム500によれば、第1画像11を閉じた輪郭を有する画像とし、第2画像21を、第1画像11の輪郭線と、輪郭線で囲まれた透過領域とを有する画像とすることで、ユーザUによる2つの画像の位置合わせを直感的に行わせることができる。
【0057】
また、本発明の一実施形態に係る認証システム500によれば、第1プレート10と第2プレート20とを、第1画像11の向きと第2画像21の向きとが同一方向となる位置に重ねるとの簡易な方法で、位置合わせ機構1を実現することができる。
【0058】
本発明の一実施形態によれば、
図4(b)のように、第1画像11と第2画像21とが重なって見える位置にユーザUが位置合わせ機構1に対向すると、読取装置140における読取範囲P内にユーザUの顔が位置するように、読取装置140と位置合わせ機構1との相対位置が決定される。すなわち、本発明の一実施形態に係る認証システム500によれば、位置合わせ機構1は、第1プレート10の法線方向N上にユーザUの顔が位置する場合に、読取装置140の読取範囲P内にユーザUの顔が位置する位置に、読取装置140に対して配置される。この構成により、ユーザUが第1画像11と第2画像21とを重ね合わせることができない場合には、ユーザUの顔が読取装置140の読取範囲P内にないことを、ユーザUに直感的に理解させることが可能となる。
【0059】
<位置合わせ機構の他の例>
図5に、位置合わせ機構1における第2画像21の他の例を示す。
図5(a)に示すように、本発明の一実施形態による位置合わせ機構において、第2画像21aの鉛直方向成分の輪郭線の太さは、第2画像21aの水平方向成分の輪郭線の太さよりも細くてよい。人間の目は、目の横方向(内眼角と外眼角とを結ぶ方向)に延在する線の方が、目の縦方向(上眼瞼と下眼瞼とを結ぶ方向)に延在する線よりも、見え方がはっきりしているという特徴がある。この特徴を利用し、第2画像21aと第1画像11との重ね合わせにおいて、第2画像21aの水平方向成分の輪郭線のみを用いるようにしてもよい。これにより、第2画像21の作成に必要な精度を落とすことができる。
【0060】
また、上述の理由から、
図5(b)に示すように、本発明の一実施形態による位置合わせ機構において、第2画像21bは、第1画像11の輪郭線のうち、水平方向成分の輪郭線のみから成るように構成してもよい。この場合も、同様に、第2画像21の作成に必要な精度を落とすことができる。
【0061】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を容易に行えることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。また、上記実施の形態に示す構成を適宜組み合わせることとしてもよい。例えば、車両用装置100、サーバ200として区別して説明した機能は、車両用装置100によって行われても良く、サーバ200が行うとした認証処理を、車両用装置100において行ってもよい。
【0062】
また、上述では、認証システム500を自動運転バスに適用する場合について説明した。しかしながら、本発明は、ユーザの認証を要するあらゆる場面に適用可能であってよい。
【0063】
また、上述では、第1画像11をイラストとし、ユーザに対向する側の透過性を有する第2画像21を、第1画像11の輪郭線とする態様について説明した。しかしながら、ユーザに対向する側の画像が透過性を有するものであれば、第2画像21が透過領域に描かれたイラストであって、第1画像11が輪郭線の画像であってもよい。
【0064】
さらに、上述では、第1プレート10の法線方向に所定の距離離間させて第2プレート20を配置した場合に、第1画像11と第2画像21とが重なる態様について説明した。しかしながら、読取装置140と位置合わせ機構1との相対的な位置関係によっては、第1プレート10と第2プレート20とを、第1プレートの法線方向に所定の距離離間させて配置した場合に、第1画像11と第2画像21とが、第1プレート10の法線方向には重ならず、法線方向に対して斜め方向から見た場合に重なるように構成してもよい。
【0065】
車両用装置100やサーバ200の各機能部をソフトウェアにより実現する場合、車両用装置100やサーバ200は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラム及び各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。すなわち、本発明に係る車両用装置100は、CPUがRAM上にロードされたプログラムを実行することにより、上述した各構成部として機能する。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、当該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0066】
なお、上記プログラムは、例えば、ActionScript、JavaScript(登録商標)、Python、Rubyなどのスクリプト言語、C言語、C++、C#、Objective-C、Swift、Java(登録商標)などのオブジェクト指向プログラミング言語、HTML5などのマークアップ言語などを用いて実装できる。さらに、特許請求の範囲における「部(section、module、unit)」との記載は、「手段」や「回路」に読み替えてもよい。例えば、受信部は、受信手段や受信回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0067】
100 車両用装置
110 制御部
111 通信制御部
112 入出力制御部
113 表示処理部
114 画像取得部
120 通信部
130 入出力部
140 読取装置
150 表示装置
170 記憶部
200 サーバ
210 制御部
211 通信制御部
212 入出力制御部
213 認証部
220 通信部
230 入出力部
270 記憶部
300 ネットワーク
400 記憶装置
500 認証システム
U ユーザ
P 読取範囲