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特開2023-152154ネットワークシステム、携帯端末機器、及び情報提供方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152154
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】ネットワークシステム、携帯端末機器、及び情報提供方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20231005BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062126
(22)【出願日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 大輔
(72)【発明者】
【氏名】太田 政則
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】複数の設備が設けられている場合でも、近距離無線通信を用いて、所望の設備に関する設備情報を容易に取得することができるネットワークシステムを提供する。
【解決手段】ネットワークシステムでは、携帯端末機器(7)は、複数の近距離無線通信装置からの近距離無線通信による通知を検知した場合に、当該複数の近距離無線通信装置にそれぞれ紐づいた複数の設備のうちから、目的とする前記設備を推定して選択する対象設備選択を行う。携帯端末機器(7)は、対象設備選択において選択した設備に関する設備情報を、ネットワークを通じて取得する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続された、複数の設備と、
前記設備にそれぞれ紐づけられた複数の固定端末機器と、
前記ネットワークに無線接続された携帯端末機器と、を備え、
前記固定端末機器と、前記携帯端末機器とが、近距離無線通信による直接通信を行うことにより、前記携帯端末機器が、当該固定端末機器に紐づいた前記設備に関する設備情報を、前記ネットワークを通じて取得することが可能となる、ネットワークシステムであって、
前記携帯端末機器は、
複数の前記固定端末機器からの前記近距離無線通信による通知を検知した場合に、
当該複数の前記固定端末機器にそれぞれ紐づいた複数の前記設備のうちから、目的とする前記設備を推定して選択する対象設備選択を行い、
前記対象設備選択において選択した前記設備に関する設備情報を、前記ネットワークを通じて取得する、ネットワークシステム。
【請求項2】
前記携帯端末機器は、
前記携帯端末機器がいずれの前記固定端末機器に接近しているかを、前記近距離無線通信の電波の受信状態の変化に基づいて推定し、接近していると推定した前記固定端末機器に紐づいた前記設備を選択する、前記対象設備選択を行う、請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項3】
前記携帯端末機器は、
前記携帯端末機器がいずれの前記固定端末機器に接近しているかを、前記近距離無線通信の電波の受信状態の変化に基づいて算出される、前記設備毎の評価値に従って、前記対象設備選択を行う、請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項4】
前記携帯端末機器は、
前記携帯端末機器の使用者に応じて定められている調整パラメータに基づいて、前記設備毎の評価値を調整する、請求項3に記載のネットワークシステム。
【請求項5】
前記携帯端末機器は、
それぞれの前記設備における前記設備についてのエラー情報に基づいて算出される、前記設備毎の評価値に従って、前記対象設備選択を行う、請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項6】
前記携帯端末機器は、
前記携帯端末機器の使用者に応じて定められている調整パラメータに基づいて、前記設備毎の評価値を調整する、請求項5に記載のネットワークシステム。
【請求項7】
前記固定端末機器は前記ネットワークに接続されており、
前記携帯端末機器は、前記対象設備選択により選択した前記設備に関する設備情報を、前記ネットワークを通じて、当該設備に紐づけられた前記固定端末機器から取得する、請求項1から6のいずれか1項に記載のネットワークシステム。
【請求項8】
サーバを更に備えており、
前記携帯端末機器は、前記対象設備選択により選択した前記設備に関する設備情報を、前記ネットワークを通じて、前記サーバから取得する、請求項1から6のいずれか1項に記載のネットワークシステム。
【請求項9】
前記固定端末機器は、当該固定端末機器に紐づいた前記設備の近傍に設置されるか、または前記設備に内蔵されて設置される、請求項1から6のいずれか1項に記載のネットワークシステム。
【請求項10】
ネットワークに接続された、複数の設備と、
前記設備にそれぞれ紐づけられた複数の固定端末機器と、
前記ネットワークに無線接続された携帯端末機器と、を備え、
前記固定端末機器と、前記携帯端末機器とが、近距離無線通信による直接通信を行うことにより、前記携帯端末機器が、当該固定端末機器に紐づいた前記設備に関する設備情報を、前記ネットワークを通じて取得することが可能となる、ネットワークシステムに適用される前記携帯端末機器であって、
複数の前記固定端末機器からの前記近距離無線通信による通知を検知した場合に、
当該複数の前記固定端末機器にそれぞれ紐づいた複数の前記設備のうちから、目的とする前記設備を推定して選択する対象設備選択を行い、
前記対象設備選択において選択した前記設備に関する設備情報を、前記ネットワークを通じて取得する、携帯端末機器。
【請求項11】
ネットワークに接続された、複数の設備と、
前記設備にそれぞれ紐づけられた複数の固定端末機器と、
前記ネットワークに無線接続された携帯端末機器と、を備え、
前記固定端末機器と、前記携帯端末機器とが、近距離無線通信による直接通信を行うことにより、前記携帯端末機器が、当該固定端末機器に紐づいた前記設備に関する設備情報を、前記ネットワークを通じて取得することが可能となる、ネットワークシステムに適用される情報提供方法であって、
前記携帯端末機器が、複数の前記固定端末機器からの前記近距離無線通信による通知を検知する第1ステップと、
前記携帯端末機器が、第1ステップにおいて検知した当該複数の前記固定端末機器にそれぞれ紐づいた複数の前記設備のうちから、目的とする前記設備を推定して選択する第2ステップと、
前記携帯端末機器が、前記第2ステップにおいて選択した前記設備に関する設備情報を、前記ネットワークを通じて取得する第3ステップと、
前記携帯端末機器が、前記第3ステップにおいて取得した前記設備情報を表示する第4ステップと、を含む、情報提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ネットワークシステム、携帯端末機器、及び情報提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の設備を備えた工場等において、設備を保全する作業員が設備保全データを現場において閲覧できるようにするための、スマートデバイス端末(携帯端末機器)を用いた設備保全情報管理システムが提案されている。スマートデバイス端末が、設備に接続されたBeacon端末(固定端末機器)とBluetooth(登録商標)通信を行うことで設備を特定し、当該設備に関する設備保全データをサーバから取得して、現場において作業者に対して表示させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-156373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら発明者の検討によれば、工場等においては多数の設備が設置されているため、スマートデバイス端末が同時刻に複数のBeacon端末を検知してしまうことがあった。従来技術ではこのような場合は想定されておらず、このような場合への対策をする必要があることが判明した。
【0005】
本開示は上記の問題点を鑑みてなされたものであり、複数の設備が設けられている場合でも、近距離無線通信を用いて、所望の設備に関する設備情報を容易に取得することができるネットワークシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、上述の課題を解決するために、以下の構成を採用する。
【0007】
本開示の一側面に係るネットワークシステムは、ネットワークに接続された、複数の設備と、前記設備にそれぞれ紐づけられた複数の固定端末機器と、前記ネットワークに無線接続された携帯端末機器と、を備え、前記固定端末機器と、前記携帯端末機器とが、近距離無線通信による直接通信を行うことにより、前記携帯端末機器が、当該固定端末機器に紐づいた前記設備に関する設備情報を、前記ネットワークを通じて取得することが可能となる、ネットワークシステムであって、前記携帯端末機器は、複数の前記固定端末機器からの前記近距離無線通信による通知を検知した場合に、当該複数の前記固定端末機器にそれぞれ紐づいた複数の前記設備のうちから、目的とする前記設備を推定して選択する対象設備選択を行い、前記対象設備選択において選択した前記設備に関する設備情報を、前記ネットワークを通じて取得する。
【0008】
上記構成によれば、携帯端末機器は、複数の固定端末機器からの近距離無線通信による通知を検知した場合に、対象設備選択を行うことにより、目的とする設備を推定して選択する。これにより、携帯端末機器は、選択した設備に紐づけられた固定端末機器との間で近距離無線通信を行うことにより、当該選択した設備にアクセスするためのアクセス情報を取得することが可能となる。従って、携帯端末機器は、取得したアクセス情報を基に、ネットワークを通じて選択した設備に関する設備情報を取得することができる。この結果、複数の設備が設けられている場合でも、近距離無線通信を用いて、所望の設備に関する設備情報を容易に取得することができる。
【0009】
上記一側面に係るネットワークシステムにおいて、前記携帯端末機器は、前記携帯端末機器がいずれの前記固定端末機器に接近しているかを、前記近距離無線通信の電波の受信状態の変化に基づいて推定し、接近していると推定した前記固定端末機器に紐づいた前記設備を選択する、前記対象設備選択を行ってもよい。
【0010】
上記構成によれば、携帯端末機器は、近距離無線通信の電波の受信状態の変化に基づいて、複数の固定端末機器のうちいずれの固定端末機器に接近しているかを推定している。これにより、携帯端末機器は、対象設備選択をより適切に行うことができ、複数の設備が設けられている場合でも、近距離無線通信を用いて、所望の設備に関する設備情報をより容易に取得することができる。
【0011】
上記一側面に係るネットワークシステムにおいて、前記携帯端末機器は、前記携帯端末機器がいずれの前記固定端末機器に接近しているかを、前記近距離無線通信の電波の受信状態の変化に基づいて算出される、前記設備毎の評価値に従って、前記対象設備選択を行ってもよい。
【0012】
上記構成によれば、携帯端末機器は、近距離無線通信の電波の受信状態の変化に基づいて算出される設備毎の評価値に従って、対象設備選択を行うので、携帯端末機器は、対象設備選択をより適切に行うことができる。この結果、複数の設備が設けられている場合でも、近距離無線通信を用いて、所望の設備に関する設備情報をより容易に取得することができる。
【0013】
上記一側面に係るネットワークシステムにおいて、前記携帯端末機器は、前記携帯端末機器の使用者に応じて定められている調整パラメータに基づいて、前記設備毎の評価値を調整してもよい。
【0014】
上記構成によれば、携帯端末機器は、上記調整パラメータに基づいて、設備毎の評価値を調整して対象設備選択を行うので、携帯端末機器は、対象設備選択をより適切に行うことができる。この結果、複数の設備が設けられている場合でも、近距離無線通信を用いて、所望の設備に関する設備情報をより容易に取得することができる。
【0015】
上記一側面に係るネットワークシステムにおいて、前記携帯端末機器は、それぞれの前記設備における前記設備についてのエラー情報に基づいて算出される、前記設備毎の評価値に従って、前記対象設備選択を行ってもよい。
【0016】
上記構成によれば、携帯端末機器は、設備についてのエラー情報に基づいて算出される設備毎の評価値に従って、対象設備選択を行うので、携帯端末機器は、対象設備選択をより適切に行うことができる。この結果、複数の設備が設けられている場合でも、近距離無線通信を用いて、所望の設備に関する設備情報をより容易に取得することができる。
【0017】
上記一側面に係るネットワークシステムにおいて、前記携帯端末機器は、前記携帯端末機器の使用者に応じて定められている調整パラメータに基づいて、前記設備毎の評価値を調整してもよい。
【0018】
上記構成によれば、携帯端末機器は、上記調整パラメータに基づいて、設備毎の評価値を調整して対象設備選択を行うので、携帯端末機器は、対象設備選択をより適切に行うことができる。この結果、複数の設備が設けられている場合でも、近距離無線通信を用いて、所望の設備に関する設備情報をより容易に取得することができる。
【0019】
上記一側面に係るネットワークシステムにおいて、前記固定端末機器は前記ネットワークに接続されており、前記携帯端末機器は、前記対象設備選択により選択した前記設備に関する設備情報を、前記ネットワークを通じて、当該設備に紐づけられた前記固定端末機器から取得してもよい。
【0020】
上記構成によれば、携帯端末機器は、ネットワークに接続された固定端末機器を介して選択した設備に関する設備情報を取得するので、複数の設備が設けられている場合でも、近距離無線通信を用いて、所望の設備に関する設備情報をより容易に取得することができる。
【0021】
上記一側面に係るネットワークシステムは、サーバを更に備えており、前記携帯端末機器は、前記対象設備選択により選択した前記設備に関する設備情報を、前記ネットワークを通じて、前記サーバから取得してもよい。
【0022】
上記構成によれば、携帯端末機器は、サーバから選択した設備に関する設備情報を取得するので、複数の設備が設けられている場合でも、近距離無線通信を用いて、所望の設備に関する設備情報をより容易に取得することができる。
【0023】
上記一側面に係るネットワークシステムにおいて、前記固定端末機器は、当該固定端末機器に紐づいた前記設備の近傍に設置されるか、または前記設備に内蔵されて設置されてもよい。
【0024】
上記構成によれば、固定端末機器が、紐づけられた設備の近傍に配置され、または当該設備に内蔵されているので、複数の設備が設けられている場合でも、近距離無線通信を用いて、所望の設備を簡単に判別することができる。
【0025】
また、本開示の携帯端末機器は、ネットワークに接続された、複数の設備と、前記設備にそれぞれ紐づけられた複数の固定端末機器と、前記ネットワークに無線接続された携帯端末機器と、を備え、前記固定端末機器と、前記携帯端末機器とが、近距離無線通信による直接通信を行うことにより、前記携帯端末機器が、当該固定端末機器に紐づいた前記設備に関する設備情報を、前記ネットワークを通じて取得することが可能となる、ネットワークシステムに適用される前記携帯端末機器であって、複数の前記固定端末機器からの前記近距離無線通信による通知を検知した場合に、当該複数の前記固定端末機器にそれぞれ紐づいた複数の前記設備のうちから、目的とする前記設備を推定して選択する対象設備選択を行い、前記対象設備選択において選択した前記設備に関する設備情報を、前記ネットワークを通じて取得する。
【0026】
上記構成によれば、携帯端末機器は、複数の固定端末機器からの近距離無線通信による通知を検知した場合に、対象設備選択を行うことにより、目的とする設備を推定して選択する。これにより、携帯端末機器は、選択した設備に紐づけられた固定端末機器との間で近距離無線通信を行うことにより、当該選択した設備にアクセスするためのアクセス情報を取得することが可能となる。従って、携帯端末機器は、取得したアクセス情報を基に、ネットワークを通じて選択した設備に関する設備情報を取得することができる。この結果、複数の設備が設けられている場合でも、近距離無線通信を用いて、所望の設備に関する設備情報を容易に取得することができる。
【0027】
また、本開示の情報提供方法は、ネットワークに接続された、複数の設備と、前記設備にそれぞれ紐づけられた複数の固定端末機器と、前記ネットワークに無線接続された携帯端末機器と、を備え、前記固定端末機器と、前記携帯端末機器とが、近距離無線通信による直接通信を行うことにより、前記携帯端末機器が、当該固定端末機器に紐づいた前記設備に関する設備情報を、前記ネットワークを通じて取得することが可能となる、ネットワークシステムに適用される情報提供方法であって、前記携帯端末機器が、複数の前記固定端末機器からの前記近距離無線通信による通知を検知する第1ステップと、前記携帯端末機器が、第1ステップにおいて検知した当該複数の前記固定端末機器にそれぞれ紐づいた複数の前記設備のうちから、目的とする前記設備を推定して選択する第2ステップと、前記携帯端末機器が、前記第2ステップにおいて選択した前記設備に関する設備情報を、前記ネットワークを通じて取得する第3ステップと、前記携帯端末機器が、前記第3ステップにおいて取得した前記設備情報を表示する第4ステップと、を含む。
【0028】
上記構成によれば、情報提供方法では、第2ステップが行われることにより、第1ステップにおいて検知された複数の固定端末機器にそれぞれ紐づいた複数の設備のうちから、目的とする設備が推定されて選択される。情報提供方法では、第3ステップが行われることにより、第2ステップにおいて選択した設備に関する設備情報が、ネットワークを通じて取得される。情報提供方法では、第4ステップが行われることにより、第3ステップにおいて取得された設備情報が携帯端末機器で表示される。この結果、複数の設備が設けられている場合でも、近距離無線通信を用いて、所望の設備に関する設備情報を容易に取得することができる。
【発明の効果】
【0029】
本開示によれば、複数の設備が設けられている場合でも、近距離無線通信を用いて、所望の設備に関する設備情報を容易に取得することができるネットワークシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本開示の実施形態1に係る携帯端末機器及びネットワークシステムの構成例を説明する図である。
図2】上記携帯端末機器の構成例を示す機能ブロック図である。
図3図2に示した付帯情報の具体例を説明する図である。
図4図2に示した表示部に表示される設備情報の具体例を説明する図である。
図5図2に示した表示部に表示されるユーザ指示情報の具体例を説明する図である。
図6】上記携帯端末機器の動作例を示すフローチャートである。
図7】上記表示部に表示されるアクセス情報の具体例を説明する図である。
図8】本開示の実施形態3に係る携帯端末機器の構成例を示す機能ブロック図である。
図9図8に示した評価値調整テーブルの具体例を説明する図である。
図10】本開示の変形例の要部構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
〔実施形態1〕
§1 適用例
まず、図1を用いて、本開示が適用される場面の一例について説明する。図1は、本開示の実施形態1に係る携帯端末機器7及びネットワークシステム1の構成例を説明する図である。
【0032】
本実施形態1のネットワークシステム1は、例えば、工場やプラントなどの作業現場に設けられた産業用ネットワークである。ネットワークシステム1は、ネットワーク60に接続されたマスタ装置2及び複数の設備4A、4B、4Cを備えている。
【0033】
ネットワーク60には、複数の設備4A、4B、4Cにそれぞれ紐付けられた固定端末機器としての複数の近距離無線通信装置5A、5B、5Cが接続されている。ネットワーク60には、携帯端末機器7が無線接続され得るようになっている。この携帯端末機器7は、作業現場の保全担当者や監督者などの作業者に携帯されるとともに、複数の各近距離無線通信装置5A、5B、5Cとの間で近距離無線通信を実施できるように構成されている。携帯端末機器7は、作業者が目的とする所望の設備4A、4B、4Cから当該設備4A、4B、4Cに関する設備情報を取得可能に構成されている。
【0034】
携帯端末機器7は、複数の近距離無線通信装置5A、5B、5Cからの近距離無線通信による通知を検知した場合に、当該複数の近距離無線通信装置5A、5B、5Cにそれぞれ紐づいた複数の設備4A、4B、4Cのうちから、目的とする所望の設備4A、4B、4Cを推定して選択する対象設備選択を行う。更に、携帯端末機器7は、例えば、Wi-Fi(登録商標)によって通信装置3と通信することにより、対象設備選択において選択した設備4A、4B、4Cに関する設備情報を、ネットワーク60を通じて取得する。
【0035】
よって本実施形態1によれば、携帯端末機器7が複数の固定端末機器からの近距離無線通信による通知を検知した場合でも。携帯端末機器7は、複数の設備4A、4B、4Cの中から作業者が設備情報を所望する設備を推定して選択する。この結果、本実施形態1のネットワークシステム1によれば、現場の作業者は、所望の設備に関する設備情報を容易に取得することができる。
【0036】
§2 構成例
<ネットワークシステム1>
図1の例では、本実施形態1のネットワークシステム1は、マスタ装置2と、通信装置3と、複数の設備4A~4Cと、近距離無線通信装置5A~5Cと、を備えている。ネットワークシステム1は、ネットワーク60を有するシステムである。また、ネットワークシステム1では、通信装置3と、複数の設備4A~4Cと、複数の設備4A~4Cにそれぞれ対応する近距離無線通信装置5A~5Cとは、マスタ装置2に接続される。
【0037】
尚、上記の説明以外に、ネットワークシステム1は、後述するサーバ10を備えていてもよい。
【0038】
本実施形態1のネットワークシステム1では、ネットワーク60として、例えば、Ethernet(ETHERNET:登録商標、イーサネット:登録商標)、EtherCAT(登録商標)(Ethernet for Control Automation Technology)規格またはEtherNet/IP規格のネットワークシステムが適用できる。
【0039】
また、本実施形態1のネットワークシステム1では、通信装置3と、携帯端末機器7との間で無線通信が行われるようになっている。この無線通信には、例えば、Wi-Fi(登録商標)などの公知の無線通信規格が適用され得る。
【0040】
また、本実施形態1のネットワークシステム1では、携帯端末機器7と、複数の各近距離無線通信装置5A~5Cとの間で近距離無線通信が行われるようになっている。上記近距離無線通信として、例えば、Bluetooth(登録商標)、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)などの公知の通信方式が用いられている。
【0041】
マスタ装置2は、例えば、Ethernet(ETHERNET:登録商標、イーサネット:登録商標)ハブである。また、マスタ装置2は、例えば、通信装置3と、設備4A~4Cと、近距離無線通信装置5A~5Cと、サーバ10と、の間の通信を中継する。
【0042】
複数の設備4A~4Cは、作業現場に設置される、例えば、各々不図示のPLC(Programmable Logic Controller)によって制御される不図示の生産装置を含んでいる。複数の設備4A~4Cは、自身に関する情報を適宜更新するとともに、不図示の記憶手段に保持する。近距離無線通信装置5A~5Cは、それぞれ、紐づく設備4A~4Cに随時アクセスして、当該設備に関する情報を取得する。
【0043】
上記付帯情報及び設備情報は、例えば、設備自身が認識している設備自身の不具合の一覧やそれらの重要度、設備の動作状況などを示す情報である。また、付帯情報及び設備情報には、他の設備と識別し得る情報である、設備ID(識別子:Identifier)が含まれている。
【0044】
近距離無線通信装置5A~5Cは、それぞれ近傍に設置されて紐づけられた設備4A~4Cにアクセスして、後述する付帯情報を作成するために必要な設備に関する情報を受信する。近距離無線通信装置5A~5Cは、近距離無線通信を行うことにより、携帯端末機器7との間で双方向のデータ通信を行うことが可能である。
【0045】
近距離無線通信装置5A~5Cは、それぞれ紐づく設備4A~4Cについての付帯情報付したブロードキャストを行うことにより、携帯端末機器7に向けての通知を実施する。付帯情報は、後掲の図3に例示するように、パケット形式のデータ書式を有する情報であり、比較的データ量が小さくて近距離無線通信が可能である情報である。
【0046】
具体的には、近距離無線通信装置5A~5Cは、所定のBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)アドバタイズ・パケットをブロードキャストすることによって、それぞれが設備4A~4Cからの付帯情報を常時発信している。また、近距離無線通信装置5A~5Cは、携帯端末機器7との間で近距離無線通信が確立されたときに、携帯端末機器7からの指示に従って、設備4A~4Cに関する設備情報にアクセス(例えば、リンク)するためのアクセス情報を携帯端末機器7に送信する。
【0047】
尚、上記の説明以外に、携帯端末機器7自身、または、サーバ10が、予め個々の設備4A~4Cとアクセス情報との組を保持する構成でもよい。
【0048】
尚、上記の説明以外に、設備4A~4Cが付帯情報を作成し、この付帯情報を近距離無線通信装置5A~5Cに送信することにより、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)アドバタイズ・パケットとして近距離無線通信装置5A~5Cに送信せしめる構成でもよい。
【0049】
<携帯端末機器7の構成>
以下、図2も参照して、本実施形態1の携帯端末機器7について具体的に説明する。図2は、上記携帯端末機器7の構成例を示す機能ブロック図である。
【0050】
図2に示すように、本実施形態1の携帯端末機器7は、近距離無線通信部71と、表示部72と、操作受付部73と、記憶部74と、演算部75と、通信部76と、制御部77と、を備えている。携帯端末機器7は、例えば、スマートフォン、タブレットなどの携帯情報端末機器を用いて構成されており、作業者に携帯されて上記作業現場内を移動可能である。また、携帯端末機器7は、作業者の指示に応じて、当該作業者が目的とする所望の設備4A~4C、すなわち保守作業などの作業対象としたいいずれかの設備4A~4Cから後述する設備情報を取得して、作業者に視認させることができる。
【0051】
近距離無線通信部71は、近距離無線通信装置5A~5Cとの間で上記近距離無線通信を行う機能ブロックである。
【0052】
表示部72は、液晶パネルなどの表示パネルを含んでいる。表示部72は、制御部77の指示に従って、設備情報やユーザ指示情報などの情報を表示する。
【0053】
操作受付部73は、作業者からの指示を入力する入力装置であり、入力した指示を受け付けて制御部77に出力する。操作受付部73は、操作ボタンや上記表示パネル上に載置されたタッチパネルを用いて構成されている。
【0054】
記憶部74は、不揮発性メモリなどの記憶手段を用いて構成されている。記憶部74は、近距離無線通信部71または通信部76を通じて受信した付帯情報または設備情報を設備毎に管理して記憶している。具体的には、記憶部74には、設備4Aに関する付帯情報74A、設備4Bに関する付帯情報74B、及び設備4Cに関する付帯情報74Cが記憶されている。
【0055】
演算部75は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、プログラムと、ASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)などを用いて構成されている。また、演算部75は、制御部77の指示に従って、設備4A~4C毎に、記憶部74に記憶されている、上記エラー情報を基に所定の評価値を算出する(詳細は後述。)。
【0056】
通信部76は、通信装置3との間で双方向の上記無線通信を行う通信インターフェースである。通信部76は、通信装置3を介してマスタ装置2、設備4A~4C、またはサーバ10からの設備情報等を受信する。通信部76は、近距離無線通信部71による近距離無線通信よりも、通信距離が大きく、かつ、大きい通信帯域での無線通信を行うよう構成されている。このため、通信部76は、通信装置3との間において、近距離無線通信によって通信される上記パケット形式の付帯情報よりも大容量なデータ量を有する後述する設備情報を高速に通信することが可能である。
【0057】
また、通信部76は、制御部77の指示に従って、通信装置3を通じて操作受付部73が受け付けた作業者からのユーザ指示情報を当該ユーザ指示情報で指定された設備4A~4Cに送信する。
【0058】
制御部77は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含み、情報処理に応じて各構成要素の制御を行う機能ブロックである。
【0059】
<付帯情報の具体例>
ここで、図3を用いて、例えば、近距離無線通信装置5Aがブロードキャストする付帯情報74Aについて具体的に説明する。図3は、図2に示した付帯情報74Aの具体例を説明する図である。
【0060】
図3に示すように、付帯情報74Aは、例えば、6つのフィールド74AD、74A1、74A2、74A3、74A4、及び74A5を有するデータ書式で示される情報である。フィールド74ADには、設備4Aに付与されている設備IDが格納されている。また、フィールド74A1~74A5には、設備4Aについてのエラー情報が格納されている。具体的にいえば、フィールド74A1~74A5には、それぞれ予め定められた重要度1~5について、設備4Aで検出されたエラー発生件数(不具合発生件数)を示すデータが格納されている。付帯情報74B、及び付帯情報74Cも、付帯情報74Aと同様のフィールドで構成される。
【0061】
§3 動作例
<ネットワークシステム1の動作>
次に、図6及び図7も用いて、本実施形態1のネットワークシステム1の動作について説明する。図6は、上記携帯端末機器7の動作例を示すフローチャートである。図7は、上記表示部72に表示されるアクセス情報の具体例を説明する図である。尚、以下の説明では、携帯端末機器7の動作について主に説明する。また、携帯端末機器7は、近距離無線通信装置5A~5Cとの間に近距離無線通信による通知を検知した場合について説明する。
【0062】
図7のステップS1に示すように、本実施形態1では、携帯端末機器7が、複数の近距離無線通信装置5A~5CからBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)アドバタイズ・パケットによりブロードキャストされている付帯情報74A~74Cを取得する(第1ステップ)。携帯端末機器7では、取得した付帯情報74A~74Cを記憶部74に記憶する。
【0063】
次に、ステップS2に示すように、携帯端末機器7において、演算部75が記憶部74に記憶された付帯情報74A~74C毎に、例えば、下記(1)式を用いて、評価値Eを計算する。なお、Nは、設備4A~4Cのいずれかの設備に対応する。
【0064】
【数1】
【0065】
なお、(1)式において、kは、重要度の区分数(図3に示した重要度1~5の種類の数)である。wは、重要度iの重み係数であり、予め定められて記憶部74に格納されている。cは、重要度iのエラー発生件数である。
【0066】
続いて、制御部77は、演算部75が算出した設備4A~4Cの各評価値Eに従って、作業者が目的とする対象設備の選択を行う。具体的には、制御部77は、例えば、設備4Aの評価値Eが最も大きいと判断すると、制御部77は、上記第1ステップにおいて取得した当該複数の近距離無線通信装置5A~5Cにそれぞれ紐づいた複数の設備4A~4Cのうちから、目的とする設備4Aを推定して選択する(第2ステップ)。つまり、この第2ステップでは、制御部77は、作業者が所望する設備として設備4Aを選択する対象設備選択を行う。
【0067】
そして、制御部77は、近距離無線通信部71と設備4Aに紐づけられた近距離無線通信装置5Aとの間で近距離無線通信を確立させる。更に、制御部77は、近距離無線通信装置5Aに対する近距離無線通信を近距離無線通信部71に行わせることにより、設備4Aについての後述の設備情報74Xにアクセスするためのアクセス情報を取得する。
【0068】
なお、設備情報74Xは、設備4Aが提供してもよいし、設備4Aに紐づけられた近距離無線通信装置5Aが提供してもよいし、サーバ10が設備4Aから取得してサーバ10が設備4Aに代わって提供してもよい。つまり、アクセス情報のリンク先は、設備4Aであってもよいし、近距離無線通信装置5Aであってもよいし、サーバ10であってもよい。
【0069】
その後、制御部77は、ステップS3に示すように、取得したアクセス情報に基づき、設備情報74Xへのリンクを表示部72に表示する。具体的にいえば、制御部77は、図7に示すように、設備情報74Xへのリンクを含む表示画面を作成して、表示部72に表示する。
【0070】
尚、上記の説明以外に、制御部77は、ネットワーク60を通じて設備情報74Xにアクセスするためのアクセス情報を設備4Aから直接的に取得する構成でもよい。
【0071】
次に、ステップS4に示すように、制御部77は、作業者などのユーザが一定時間内に表示部72に表示しているリンクをタップ(クリック)したかどうかについて判断する。制御部77は、ユーザがタップ(クリック)していないことを判断すると(ステップS4でNO)、ステップS1に戻る。
【0072】
一方、制御部77は、ユーザが前記リンクをタップ(クリック)したことを判断すると(ステップS4でYES)、制御部77は、上記第2ステップにおいて選択した設備4Aに関する設備情報74Xを、ネットワーク60を通じて取得する(第3ステップ)。この第3ステップでは、制御部77は、表示部72に表示されているリンクに対して、操作受付部73がユーザのタップ(クリック)を受け付けたことを判断すると、制御部77は、通信装置3を通じてネットワーク60に接続されたサーバ10、設備4A、または近距離無線通信装置5Aから設備情報74Xを取得する。
【0073】
続いて、制御部77は、取得した設備情報74Xを記憶部74に記憶させる。更に、制御部77は、上記第3ステップにおいて取得した設備情報74Xを表示部72に表示する(第4ステップ)。このように、第3ステップ及び第4ステップが行われることにより、ステップS5の動作が実行される。これにより、作業者は、所望の設備4Aに関する設備情報74Xを視認することができる。
【0074】
<設備情報及びユーザ指示情報の具体例>
ここで、図4及び図5を用いて、通信部76が受信する設備情報74X、及び、通信部76が送信するユーザ指示情報78についてそれぞれ具体的に説明する。図4は、図2に示した表示部72に表示される設備情報の具体例を説明する図である。図5は、図2に示した表示部72に表示されるユーザ指示情報の具体例を説明する図である。なお、以下の説明では、作業者は設備情報74Xを視認した後に、携帯端末機器7からユーザ指示情報を対応する設備に送信する場合について説明する。
【0075】
図4において、通信部76が、例えば、設備4Aからネットワーク60を通じて設備情報74Xを受信すると、表示部72は、制御部77の指示に従って、当該設備情報74Xを表示する。また、図4に示すように、設備情報74Xには、例えば、設備4Aの状態を表す、予め定められたパラメータについての数値を示すメータ表示などが含まれている。
【0076】
このように、設備情報は、作業者が設備を保全(保守)するために必要なメンテナンス情報を含んでおり、近距離無線通信によってはデータ送信が困難である、比較的データ量が大きい情報である。
【0077】
図5において、操作受付部73が作業者からのユーザ指示情報78を受け付けると、通信部76は、制御部77の指示に従って、通信装置3を通じて当該ユーザ指示情報78を設備4Aに送信する。ユーザ指示情報78には、例えば、設備4Aに対する、作業者からの動作指示が含まれている。
【0078】
以上のように、本実施形態1のネットワークシステム1では、携帯端末機器7は、複数の近距離無線通信装置5A~5Cからの近距離無線通信による通知を検知した場合に、当該複数の近距離無線通信装置5A~5Cにそれぞれ紐づいた複数の設備4A~4Cのうちから、目的とする設備を推定して選択する対象設備選択を行う。
【0079】
このように、本実施形態1の携帯端末機器7は、目的とする所望の設備4A、4B、または4Cを推定して選択する。携帯端末機器7は、選択した設備4A、4B、または4Cに紐づけられた近距離無線通信装置5A、5B、または5Cとの間で近距離無線通信を行う。これにより、本実施形態1の携帯端末機器7は、選択した設備4A、4B、または4Cにアクセスするためのアクセス情報を取得することが可能となる。
【0080】
従って、本実施形態1では、携帯端末機器7は、取得したアクセス情報を基に、ネットワーク60を通じて選択した設備4A、4B、または4Cに関する設備情報を取得することができる。この結果、本実施形態1では、携帯端末機器7は、複数の設備4A~4Cが設けられている場合でも、近距離無線通信を用いて、所望の設備4A~4Cに関する設備情報を容易に取得することができる。
【0081】
また、本実施形態1では、携帯端末機器7は、それぞれの設備4A~4Cにおける当該設備4A~4Cについてのエラー情報に基づいて算出される、設備4A~4C毎の評価値Eに従って、対象設備選択を行っている。つまり、携帯端末機器7から一定の距離内に入っている設備4A~4Cにおいて、エラー情報を発信している設備4A~4Cが存在する場合、エラー情報の発信源の設備4A~4Cがメンテナンスを行う作業者の作業対象となる対象設備である可能性が極めて高い。
【0082】
このため、本実施形態1では、携帯端末機器7は、対象設備選択をより適切に行うことができる。この結果、本実施形態1では、複数の設備4A~4Cが設けられている場合でも、近距離無線通信を用いて、所望の設備4A~4Cに関する設備情報をより容易に取得することができる。
【0083】
尚、上記の説明では、演算部75は、上記エラー情報を基に、(1)式を用いて、所定の評価値Eを算出する場合について説明したが、本実施形態1はこれに限定されるものではなく、設備の動作状況などの設備に関する設備情報に基づき、評価値ENを算出するものであれば何等限定されない。
【0084】
また、上記の説明以外に、例えば、サーバ10において、設備4A~4Cに関する設備情報を記憶させて、携帯端末機器7がネットワーク60を通じ、サーバ10が保持するアクセス情報に従って当該サーバ10から所望の設備4A~4Cに関する設備情報を取得する構成でもよい。
【0085】
また、上記の説明以外に、サーバ10は、例えば、クラウド上に構築され情報処理サービスをインターネット経由で提供するクラウドサーバであってもよい。クラウドサーバは、典型的にはクラウド上に構築された仮想サーバである。
【0086】
〔実施形態2〕
本実施形態2と実施形態1との主な相違点は、携帯端末機器7において、演算部75は、いずれの近距離無線通信装置5A~5Cに接近しているかを、近距離無線通信の電波の受信状態の変化に基づいて推定可能となるように算出する。そして、制御部77は、演算部75の算出結果を用いて、接近していると推定した近距離無線通信装置5A~5Cに紐づいた設備4A~4Cを選択する、対象設備選択を行う点である。
【0087】
具体的にいえば、本実施形態2のネットワークシステム1では、近距離無線通信装置5A~5Cは、電波の発信強度を付帯したデータをブロードキャストする。
【0088】
携帯端末機器7では、近距離無線通信部71が近距離無線通信装置5A~5Cから受信した電波の受信強度を検知して、演算部75に出力する。また、演算部75は、電波の送信強度と受信強度とを用いて、当該電波の減衰の程度を評価することにより、各設備4A~4Cとの距離を算出する。更に、演算部75は、算出した距離の時間微分を求めることにより、各設備4A~4Cまでの接近速度や接近加速度を求め、これらに適当な係数を乗じて各設備4A~4Cの評価値を求める。
【0089】
そして、演算部75は、いずれの近距離無線通信装置5A~5Cに接近しているかを、近距離無線通信の電波の受信状態の変化に基づいて推定する。このように、演算部75は、携帯端末機器7がいずれの近距離無線通信装置5A~5Cに接近しているかを、近距離無線通信の電波の受信状態の変化に基づいて推定可能となるように算出する。
【0090】
制御部77は、演算部75で算出された、近距離無線通信装置5A~5C毎の評価値に従って、対象設備選択を行う。
【0091】
より具体的にいえば、演算部75は、例えば、下記(2)式を用いて、近距離無線通信装置5A~5C毎に携帯端末機器7との距離の推定値Lを求める。更に、演算部75は、例えば、下記(3)式を用いて、上記電波の受信状態の変化に対応した評価値Mを計算する。
【0092】
【数2】
【0093】
なお、(2)式において、S0は、設備情報の送信時の信号レベル(dBm)を、自由空間に近距離無線通信装置5A~5Cが置かれたと仮定して近距離無線通信装置5A~5Cから一定距離離れた場所で理論上観測される信号レベル(dBm)で表現した値である。Sは、近距離無線通信部71における、付帯情報74A~74Cの受信時の信号レベル(dBm)である。
【0094】
【数3】
【0095】
なお、(3)式から明らかなように、評価値Mは、推定値Lと、推定値Lの時間による1階微分と2階微分と、を線形結合した値である。また、(3)式において、αは、例えば、3.0の一定値であり、βは、例えば、0の一定値である。
【0096】
そして、制御部77は、演算部75が算出した設備4A~4Cの各評価値Mに従って、作業者が目的とする対象設備の選択を行う。具体的には、制御部77は、例えば、設備4Aの評価値Mが最も大きいと判断すると、上記第1ステップにおいて検知した当該複数の近距離無線通信装置5A~5Cにそれぞれ紐づいた複数の設備4A~4Cのうちから、目的とする設備4Aを推定して選択する(第2ステップ)。つまり、この第2ステップでは、制御部77は、作業者が所望する設備として設備4Aを選択する対象設備選択を行う。
【0097】
以上のように、本実施形態2では、上記実施形態1と同様な効果を奏する。また、本実施形態2では、携帯端末機器7は、携帯端末機器7がいずれの近距離無線通信装置5A~5Cに接近しているかを、近距離無線通信の電波の受信状態の変化に基づいて推定し、接近していると推定した近距離無線通信装置5A~5Cに紐づいた設備4A~4Cを選択する、対象設備選択を行っている。
【0098】
また、本実施形態2では、対象設備選択の際に、近距離無線通信の電波の受信状態の変化に基づいて算出される設備4A~4C毎の評価値Mを決定し、決定した評価値Mに従って、対象設備を選択している。これにより、本実施形態2では、携帯端末機器7は、対象設備選択をより適切に行うことができ、複数の設備4A~4Cが設けられている場合でも、近距離無線通信を用いて、所望の設備4A~4Cに関する設備情報をより容易に取得することができる。
【0099】
また、本実施形態2では、携帯端末機器7は、当該携帯端末機器7から一定の距離内に入っている設備4A~4Cにおいて、携帯端末機器7、つまり作業者が近づこうとしていると推定される設備が、対象設備として選択される。このため、本実施形態2では、対象設備選択を精度良く行うことができ、所望の設備4A~4Cに関する設備情報をより容易に取得することができる。
【0100】
また、距離の推定値Lの算出方法としては、例えば、上記BLEのRSSI(Received Signal Strength Indicator:電波の受信強度)を利用する方法やAoA(Angle of Arrival)やAoD(Angle of Departure)を利用する方法がある。
【0101】
また、例えば、近距離無線通信装置5A~5Cとは別の近距離無線通信装置を3個以上作業現場の天井等に設置することにより、「Local Positioning System」を構築する。これにより、設備4A~4Cと携帯端末機器7の位置を計算することができ、より正確な距離の推定値Lを算出することができる。
【0102】
〔実施形態3〕
図8は、本開示の実施形態3に係る携帯端末機器7の構成例を示す機能ブロック図である。図9は、図8に示した評価値調整テーブル741の具体例を説明する図である。
【0103】
図8において、本実施形態3と実施形態1及び2との主な相違点は、携帯端末機器7において、携帯端末機器7の使用者(作業者)に応じて定められている調整パラメータに基づいて、設備4A~4C毎の評価値を調整する点である。
【0104】
図8において、本実施形態3の携帯端末機器7では、演算部75は、記憶部74に記憶されている評価値調整テーブル741を参照することにより、上記調整パラメータを用いた評価値Xを算出する。
【0105】
より具体的にいえば、演算部75は、例えば、下記(4)式を用いて、設備4A~4C毎に、作業者に応じて定められている調整パラメータを考慮した評価値Xを計算する。
【0106】
【数4】
【0107】
なお、(4)式において、評価値Eは上記(1)式で算出される値であり、評価値Mは上記(3)式で算出される値である。p及びqは、携帯端末機器7の作業者によって定まる定数である。rは、携帯端末機器7の作業者と設備4A~4Cとの組み合わせによって定まる定数である。
【0108】
また、p、q、及びrの各値は、図9に示すように、評価値調整テーブル741において、作業者毎、もしくは作業者が属するグループ毎に予め定められて記憶部74に記憶されている。そして、演算部75は、ある作業者について、作業者に定められた評価値調整テーブルのデータが評価値調整テーブル741に存在する場合は、その記憶されているデータを使用する。
【0109】
一方、演算部75は、前記作業者に定められた評価値調整テーブルのデータが評価値調整テーブル741に存在しない場合は、前記作業者が属するグループに定められた評価値調整テーブルのデータを使用する。更に、演算部75は、前記作業者が属するグループに定められた評価値調整テーブルのデータも存在しない場合は、pの値を0とし、q、及びrの各値を1とする。
【0110】
より具体的にいえば、演算部75は、例えば、図9に示すように、作業者が「御室太郎」である場合、評価値調整テーブル741の「御室太郎」の行を参照して、pの値を0.5とし、qの値を0.5とし、rの値を2.0とし、rの値を0.5とし、rの値を0.5とする。また、演算部75は、作業者が設備保全担当者グループに属する「御室次郎」である場合、ユーザ名が御室次郎であるデータは評価値調整テーブル741に存在しないから、「設備保全担当者」グループのデータを参照して、pの値を0.8とし,qの値を0.2とし、rの値を1.0とし、rの値を1.0とし、rの値を1.0とする。
【0111】
尚、この説明以外に、例えば、サーバ10に評価値調整テーブルを予め保持して、携帯端末機器7が、ネットワーク60を通じて評価値調整テーブルのデータを適宜取得する構成でもよい。
【0112】
そして、制御部77は、演算部75が算出した設備4A~4Cの各評価値Xに従って、作業者が目的とする対象設備の選択を行う。具体的には、制御部77は、例えば、設備4Aの評価値Xが最も高いと判断すると、上記第1ステップにおいて検知した当該複数の近距離無線通信装置5A~5Cにそれぞれ紐づいた複数の設備4A~4Cのうちから、目的とする設備4Aを推定して選択する(第2ステップ)。つまり、この第2ステップでは、制御部77は、作業者が所望する設備として設備4Aを選択する対象設備選択を行う。
【0113】
以上のように、本実施形態3では、上記実施形態1及び2と同様な効果を奏する。また、本実施形態3では、携帯端末機器7は、上記調整パラメータに基づいて、設備4A~4C毎の評価値Xを調整して対象設備選択を行うので、携帯端末機器7は、対象設備選択をより適切に行うことができる。この結果、複数の設備4A~4Cが設けられている場合でも、近距離無線通信を用いて、所望の設備4A~4Cに関する設備情報をより容易に取得することができる。
【0114】
また、図9に示したように、評価値調整テーブル741では、作業者の属性、つまり、作業者が設備保全担当者、製造計画責任者、または設備4Aを保全メインに担当している担当者であるか等に応じてp、q、及びrの各値が変更されている。これにより、本実施形態3では、作業者の属性に応じて、例えば、設備4Aの状態をどの程度考慮するのかについて、評価値Xを変化させることができる。
【0115】
具体的にいえば、作業者が、例えば、設備保全担当者である場合、図9に示されるように、pの値及びqの値はそれぞれ0.8及び0.2に設定されている。つまり、設備保全担当者は、携帯端末機器7と近距離無線通信装置5Aとの間の電波の受信状態よりも、設備4Aでのエラーの状況を重視する。このため、評価値XN=Aにおいて、qの値よりもpの値を大きく(重みづけ)して、評価値MN=Aよりも評価値EN=Aが重視されるように、評価値XN=Aを算出するようになっている。このように、本実施形態3の携帯端末機器7では、対象設備の選択を作業者に応じて、より正しく行うことができる。
【0116】
〔変形例〕
図10は、本開示の変形例の要部構成を説明する図である。
【0117】
本変形例と実施形態1との相違点は、設備4Aに内蔵もしくはUSB(Universal Serial Bus)等により設備のごく近傍に配置された近距離無線通信装置5Aを用いた点である。
【0118】
図10に示すように、本変形例では、設備4Aは、ネットワーク60に接続されている。また、この設備4Aには、近距離無線通信装置5Aが内蔵もしくはUSB(Universal Serial Bus)等により設備のごく近傍に配置されている。この近距離無線通信装置5Aは、実施形態1のものと同様に、近距離無線通信を行うことにより、設備4Aに関する設備情報をブロードキャストする。
【0119】
以上の構成により、本変形例では、上記実施形態1と同様な効果を奏する。本変形例では、近距離無線通信装置5A~5Cが、紐づけられた設備4A~4Cに内蔵されているので、複数の設備4A~4Cが設けられている場合でも、近距離無線通信を用いて、所望の設備4A~4Cを簡単に判別することができる。
【0120】
また、上記の説明では、上記第2ステップにおいて、制御部77が、演算部75の演算結果を基に、複数の設備4A~4Cのうちから、目的とする設備4Aを推定して選択する場合を説明した。しかしながら、本実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、複数の設備4A~4Cの評価値が互いに近い値である場合、表示部72を介してそれらの設備4A~4Cを作業者に提示し、作業者が対象設備を選択する構成でもよい。
【0121】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0122】
1 ネットワークシステム
4A、4B、4C 設備
5A、5B、5C 近距離無線通信装置(固定端末機器)
7 携帯端末機器
60 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10