特開 2023-152160 画像形成装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2023152160

(43)【公開日】2023-10-16

(54)【発明の名称】画像形成装置

(51)【国際特許分類】

   G03G 21/16 20060101AFI20231005BHJP

   G03G 15/20 20060101ALI20231005BHJP

【ＦＩ】

G03G21/16 147

G03G21/16 185

G03G15/20 505

【審査請求】未請求

【請求項の数】14

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022062133

(22)【出願日】2022-04-01

(71)【出願人】

【識別番号】000005267

【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110002217

【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】池野 雄一

【テーマコード（参考）】

2H033

2H171

【Ｆターム（参考）】

2H033AA35

2H033AA42

2H033BA04

2H033BA05

2H033BA06

2H033BA39

2H033BB12

2H033BB18

2H033BB21

2H033BB33

2H033BB34

2H033BE00

2H033CA39

2H171FA03

2H171FA19

2H171GA06

2H171GA31

2H171HA23

2H171JA12

2H171JA46

2H171JA59

2H171KA08

2H171KA21

2H171KA25

2H171KA27

2H171QA02

2H171QA08

2H171QB15

2H171QB32

2H171QC03

2H171QC36

2H171SA10

2H171SA12

2H171SA18

2H171SA19

2H171SA22

2H171SA26

(57)【要約】

【課題】定着器のシャッタを精度良く閉位置に移動させることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置１は、加熱部材６１と、加圧ローラ６２と、加熱部材６１のシート搬送方向における上流側に第１開口６３ａが形成された定着フレーム６３と、第１開口６３ａを閉塞する閉位置と第１開口６３ａを開放する開位置との間で移動するシャッタ６４とを有する定着器６と、シャッタ６４と連結しシャッタ６４を開位置と閉位置とに移動させる開閉リンク４とを備え、定着フレーム６３は閉位置にあるシャッタ６４が当接する第１当接面６３１を有し、開閉リンク４のリンクカム４２は、シャッタ６４を閉位置に移動させる第１方向Ｗ１と、開位置に移動させる第２方向Ｗ２とに移動可能であり、シャッタ６４が第１当接面６３１と当接して閉位置にある場合に、シャッタ６４を閉位置に維持したまま、リンクカム４２の第１方向Ｗ１への移動が許容される。
【選択図】図７

【特許請求の範囲】

【請求項1】

搬送されるシートに転写されたトナー像を定着させる定着器であって、加熱部材と、前記加熱部材とともにシートをニップする加圧部材と、前記加熱部材および前記加圧部材を覆い、前記加熱部材のシート搬送方向における上流側に開口が形成された定着フレームと、前記開口を閉塞する閉位置と前記開口を開放する開位置との間で移動するシャッタと、を有する定着器と、
前記シャッタと連結し、前記シャッタを前記開位置と前記閉位置とに移動させる開閉リンクと、
を備え、
前記定着フレームは、前記閉位置にある前記シャッタが当接する第１当接面を有し、
前記開閉リンクは、前記シャッタを前記閉位置に移動させる第１方向と、前記シャッタを前記開位置に移動させる第２方向とに移動可能であり、
前記シャッタが前記当接面と当接して前記閉位置にある場合に、前記シャッタを前記閉位置に維持したまま、前記開閉リンクの前記第１方向への移動が許容されることを特徴とする画像形成装置。

【請求項2】

前記定着フレームの前記第１当接面は、前記シート搬送方向の上流側に面している請求項１に記載の画像形成装置。

【請求項3】

前記開閉リンクは、
前記シャッタと連結し、前記シャッタを前記開位置と前記閉位置とに移動させるシャッタリンクと、
前記シャッタリンクと連結し、前記第１方向と前記第２方向とに移動可能なリンクカムと、
前記リンクカムの移動に沿って移動して前記シャッタリンクを押圧するバネと、を有し、
前記シャッタが前記第１当接面と当接して前記閉位置にある場合に、
前記バネは前記シャッタリンクと当接して前記シャッタリンクを前記第１方向へ押圧しており、
前記シャッタが前記閉位置にある状態を維持したまま前記バネが弾性変形することで、前記リンクカムの前記第１方向への移動が許容される請求項１または請求項２に記載の画像形成装置。

【請求項4】

前記シャッタは、前記定着フレームに回動可能に支持される回動軸と、前記回動軸と平行な向きに突出する連結軸とを有し、
前記シャッタリンクは、前記連結軸と連結される請求項３に記載の画像形成装置。

【請求項5】

前記シャッタリンクは、長孔を有し、
前記シャッタの前記連結軸は、前記長孔内に位置する請求項４に記載の画像形成装置。

【請求項6】

前記定着器を収容する装置本体を備え、
前記リンクカムは、前記回動軸心方向に沿って貫通する貫通孔を有し前記定着フレームに回動可能に支持されるリンクカム本体と、前記リンクカム本体から回動軸心方向に沿って突出する突起と、を有し、
前記シャッタリンクは、前記回動軸心方向に沿って突出し、前記貫通孔内に位置するボスを有し、
前記装置本体は、前記突起と係合し、前記リンクカムを移動させる本体側リンクを有する請求項３に記載の画像形成装置。

【請求項7】

前記シャッタリンクと前記リンクカムとは、同軸上において前記定着フレームに回動可能に支持されており、
前記バネは、前記リンクカム本体に支持されるコイルと、前記コイルから外径側へ延出するバネ腕とを有するコイルバネであり、
前記バネ腕は、前記貫通孔内に位置し、
前記リンクカム本体は、前記バネ腕と係止して前記バネ腕の周方向における一方の側への移動を規制する係止溝を有している請求項６に記載の画像形成装置。

【請求項8】

前記リンクカム本体の前記係止溝は、前記リンクカム本体の回動動作の周方向に切り欠かれており、
前記係止溝の溝底において前記バネ腕と当接することで、前記バネ腕が前記リンクカム本体に対して前記第１方向に移動することを規制し、かつ、前記係止溝の内部において、前記シャッタが前記閉位置にある状態を維持したまま前記バネ腕が弾性変形することで、前記リンクカム本体が前記バネ腕に対して前記第１方向に移動することを許容する請求項７に記載の画像形成装置。

【請求項9】

前記リンクカムは、前記第１方向へ移動して前記シャッタを前記閉位置に移動させる第１位置と、前記第２方向へ移動して前記シャッタを前記開位置に移動させる第２位置とに移動可能であり、
前記貫通孔は、周方向における前記第１方向側に位置する第１端面と、周方向における前記第２方向側に位置する第２端面とを有し、
前記第２端面は、前記リンクカムが前記第１位置に位置する状態で、前記シャッタが前記閉位置から前記開位置に移動したときに、前記シャッタリンクの前記ボスと接触しない位置にある請求項６に記載の画像形成装置。

【請求項10】

前記本体側リンクは、前記装置本体に対して装着されるカートリッジが装着されることに応じて前記シャッタリンクを前記第２方向に移動させ、前記装置本体からカートリッジが離脱されることに応じて前記シャッタリンクを前記第１方向に移動させる請求項６に記載の画像形成装置。

【請求項11】

前記シート搬送方向において、前記シャッタリンクと前記シャッタとの連結点は、前記加熱部材と前記加圧部材とにおけるシートのニップ点を挟んで、前記シャッタリンクと前記リンクカムとの連結点と反対側に位置する請求項３に記載の画像形成装置。

【請求項12】

前記定着器は、
前記定着フレームに支持される回転軸を有し、前記回転軸が回転することで前記加熱部材と前記加圧部材とのニップ圧を変更するニップ圧変更機構を備え、
前記リンクカムは、前記回転軸と同軸に位置する請求項３に記載の画像形成装置。

【請求項13】

前記定着フレームは、前記開位置にある前記シャッタが当接する第２当接面を有し、
前記シャッタが前記２当接面と当接して前記開位置にある場合に、
前記バネは前記シャッタリンクと当接して前記シャッタリンクを前記第２方向へ押圧しており、
前記シャッタが前記開位置にある状態を維持したまま前記バネが弾性変形することで、前記リンクカムの前記第２方向への移動が許容される請求項３に記載の画像形成装置。

【請求項14】

前記定着フレームの前記第２当接面は、前記シート搬送方向の上流側に面している請求項１３に記載の画像形成装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、画像形成装置に関する。

【背景技術】

【0002】

従来、着脱可能なカートリッジを備えた画像形成装置においては、加熱部材を有する定着器にユーザの手が接触することを防止するために、定着器の前にシャッタを設けることが行われている。

【0003】

例えば、特許文献１に開示される画像形成装置においては、シャッタに連結されカートリッジに当接可能なリンク部材を備えており、カートリッジが装着されるとリンク部材がカートリッジと当接して移動し、リンク部材の移動に沿ってシャッタが開くように構成されている。また、カートリッジが離脱されると、リンク部材がバネ力によって反対側へ移動し、シャッタが閉じるように構成されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【特許文献1】特許第６９６１４７１号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

ユーザが操作する可動部材であるカートリッジと連動してシャッタが開閉する構成が開示された特許文献１においては、シャッタが開くときには、シャッタは装置本体の規制部と当接してそれ以上回転しないことが開示されているが、シャッタが閉じる動作を行う場合に、シャッタがどのような動作を行うかは開示されていない。従って、シャッタが閉じるときに、シャッタが精度良く閉位置に移動しないおそれがあった。

【0006】

そこで、本発明においては、カートリッジやフロントカバー等のユーザが操作する可動部材と連動してシャッタが開閉する構成において、シャッタを精度良く閉位置に移動させることができる画像形成装置を提供する。

【課題を解決するための手段】

【0007】

上記課題を解決する画像形成装置は、以下の特徴を有する。

【0008】

即ち、画像形成装置は、搬送されるシートに転写されたトナー像を定着させる定着器であって、加熱部材と、前記加熱部材とともにシートをニップする加圧部材と、前記加熱部材および前記加圧部材を覆い、前記加熱部材のシート搬送方向における上流側に開口が形成された定着フレームと、前記開口を閉塞する閉位置と前記開口を開放する開位置との間で移動するシャッタと、を有する定着器と、前記シャッタと連結し、前記シャッタを前記開位置と前記閉位置とに移動させる開閉リンクと、を備え、前記定着フレームは、前記閉位置にある前記シャッタが当接する第１当接面を有し、前記開閉リンクは、前記シャッタを前記閉位置に移動させる第１方向と、前記シャッタを前記開位置に移動させる第２方向とに移動可能であり、前記シャッタが前記当接面と当接して前記閉位置にある場合に、前記シャッタを前記閉位置に維持したまま、前記開閉リンクの前記第１方向への移動が許容される。

【0009】

これにより、シャッタが第１当接面と当接して閉位置にある場合に開閉リンクが第１方向に押圧されると、シャッタはそれ以上第１方向へ移動することなく、開閉リンクのみが第１方向へ移動することになる。従って、閉位置にあるシャッタは常に第１当接面と当接した状態となり、シャッタを安定した姿勢で精度良く閉位置に移動させることができる。

【0010】

また、前記定着フレームの前記第１当接面は、前記シート搬送方向の上流側に面している。

【0011】

これにより、シャッタの閉位置での位置決め精度をより向上させることができる。

【0012】

また、前記開閉リンクは、前記シャッタと連結し、前記シャッタを前記開位置と前記閉位置とに移動させるシャッタリンクと、前記シャッタリンクと連結し、前記第１方向と前記第２方向とに移動可能なリンクカムと、前記リンクカムの移動に沿って移動して前記シャッタリンクを押圧するバネと、を有し、前記シャッタが前記第１当接面と当接して前記閉位置にある場合に、前記バネは前記シャッタリンクと当接して前記シャッタリンクを前記第１方向へ押圧しており、前記シャッタが前記閉位置にある状態を維持したまま前記バネが弾性変形することで、前記リンクカムの前記第１方向への移動が許容される。

【0013】

これにより、シャッタが第１当接面と当接して閉位置にある場合にリンクカムが第１方向に押圧されると、シャッタはバネにより第１方向へ付勢された状態で、それ以上第１方向へ移動することなく、リンクカムのみが第１方向へ移動することになる。従って、閉位置にあるシャッタは常に第１当接面と当接した状態となり、シャッタを安定した姿勢で精度良く閉位置に移動させることができる。

【0014】

また、前記シャッタは、前記定着フレームに回動可能に支持される回動軸と、前記回動軸と平行な向きに突出する連結軸とを有し、前記シャッタリンクは、前記連結軸と連結される。

【0015】

これにより、シャッタが開閉動作するときには、定着フレームに回動可能に支持される回動軸と平行な連結軸がシャッタリンクにより操作されるため、シャッタの開閉動作を正確に行うことができる。

【0016】

また、前記シャッタリンクは、長孔を有し、前記シャッタの前記連結軸は、前記長孔内に位置する。

【0017】

これにより、シャッタリンクが開閉動作する際に連結軸２が長孔内を摺動可能となるため、シャッタリンクによるシャッタの操作を円滑に行うことができる。

【0018】

また、前記定着器を収容する装置本体を備え、前記リンクカムは、前記回動軸心方向に沿って貫通する貫通孔を有し前記定着フレームに回動可能に支持されるリンクカム本体と、前記リンクカム本体から回動軸心方向に沿って突出する突起と、を有し、前記シャッタリンクは、前記回動軸心方向に沿って突出し、前記貫通孔内に位置するボスを有し、前記装置本体は、前記突起と係合し、前記リンクカムを移動させる本体側リンクを有する。

【0019】

これにより、画像形成装置内におけるシャッタの開閉操作を行う箇所の自由度を大きくすることができる。

【0020】

また、前記シャッタリンクと前記リンクカムとは、同軸上において前記定着フレームに回動可能に支持されており、前記バネは、前記リンクカム本体に支持されるコイルと、前記コイルから外径側へ延出するバネ腕とを有するコイルバネであり、前記バネ腕は、前記貫通孔内に位置し、前記リンクカム本体は、前記バネ腕と係止して前記バネ腕の周方向における一方の側への移動を規制する係止溝を有している。

【0021】

これにより、例えばシャッタをリンクカムによってシャッタリンクを介して閉位置に移動させる際には、貫通孔内に位置するバネ腕によってシャッタリンクのボスを押圧することで、シャッタリンクが駆動される。従って、バネ腕の付勢力によってシャッタを第１当接面に押圧することが可能となり、シャッタを精度良く閉位置に保持させることができる。

【0022】

また、前記リンクカム本体の前記係止溝は、前記リンクカム本体の回動動作の周方向に切り欠かれており、前記係止溝の溝底において前記バネ腕と当接することで、前記バネ腕が前記リンクカム本体に対して前記第１方向に移動することを規制し、かつ、前記係止溝の内部において、前記シャッタが前記閉位置にある状態を維持したまま前記バネ腕が弾性変形することで、前記リンクカム本体が前記バネ腕に対して前記第１方向に移動することを許容する。

【0023】

このように、係止溝の内部においてバネ腕が弾性変形することで、リンクカム本体の第１方向への移動が許容されるため、リンクカム本体は第１方向へ円滑に移動することができる。

【0024】

また、前記リンクカムは、前記第１方向へ移動して前記シャッタを前記閉位置に移動させる第１位置と、前記第２方向へ移動して前記シャッタを前記開位置に移動させる第２位置とに移動可能であり、前記貫通孔は、周方向における前記第１方向側に位置する第１端面と、周方向における前記第２方向側に位置する第２端面とを有し、前記第２端面は、前記リンクカムが前記第１位置に位置する状態で、前記シャッタが前記閉位置から前記開位置に移動したときに、前記シャッタリンクの前記ボスと接触しない位置にある。

【0025】

これにより、リンクカムが第１位置に位置していてシャッタが閉位置にあるときに、シャッタが開位置へ移動したとしても、シャッタリンクのボスがリンクカムと接触することがなく、開閉リンクが損傷することを抑制できる。

【0026】

また、前記本体側リンクは、前記装置本体に対して装着されるカートリッジが装着されることに応じて前記シャッタリンクを前記第２方向に移動させ、前記装置本体からカートリッジが離脱されることに応じて前記シャッタリンクを前記第１方向に移動させる。

【0027】

このように、本体側リンクは、装置本体に対して装着されるカートリッジの着脱に応じて動作するため、適切なタイミングで開閉リンクを介してシャッタ６４を開閉動作させることができる。

【0028】

また、前記シート搬送方向において、前記シャッタリンクと前記シャッタとの連結点は、前記加熱部材と前記加圧部材とにおけるシートのニップ点を挟んで、前記シャッタリンクと前記リンクカムとの連結点と反対側に位置する。

【0029】

これにより、シート搬送方向におけるシャッタリンクの長さを大きくすることができ、シャッタを開閉するために必要なリンクカムの移動量を小さくすることができる。

【0030】

また、前記定着器は、前記定着フレームに支持される回転軸を有し、前記回転軸が回転することで前記加熱部材と前記加圧部材とのニップ圧を変更するニップ圧変更機構を備え、前記リンクカムは、前記回転軸と同軸に位置する。

【0031】

これにより、ニップ圧変更機構を操作する回転軸を、リンクカムを支持するための軸と兼用することができ、リンクカムを省スペースで配置することができる。

【0032】

また、前記定着フレームは、前記開位置にある前記シャッタが当接する第２当接面を有し、前記シャッタが前記２当接面と当接して前記開位置にある場合に、前記バネは前記シャッタリンクと当接して前記シャッタリンクを前記第２方向へ押圧しており、前記シャッタが前記開位置にある状態を維持したまま前記バネが弾性変形することで、前記リンクカムの前記第２方向への移動が許容される。

【0033】

これにより、シャッタが第２当接面と当接して開位置にある場合にリンクカムが第２方向に押圧されると、シャッタはバネにより第２方向へ付勢された状態でそれ以上第２方向へ移動することなく、リンクカムのみが第２方向へ移動することになる。従って、開位置にあるシャッタは常に第２当接面と当接した状態となり、シャッタを安定した姿勢で精度良く開位置に移動させることができる。また、一つのバネによって、シャッタが閉位置にあるときと開位置にあるときとの両方において、リンクカムの移動を許容することができる。

【0034】

また、前記定着フレームの前記第２当接面は、前記シート搬送方向の上流側に面している。

【0035】

これにより、シャッタの開位置での位置決め精度をより向上させることができる。

【発明の効果】

【0036】

本発明によれば、閉位置にあるシャッタを常に第１当接面と当接した状態として、シャッタを安定した姿勢で精度良く閉位置に移動させることができる。

【図面の簡単な説明】

【0037】

【図1】画像形成装置を示す中央断面図である。

【図2】フロントカバーが開位置にある状態の画像形成装置を示す斜視図である。

【図3】定着器を示す側面断面図である。

【図4】定着器の加熱部材と加圧ローラとを示す斜視図である。

【図5】（ａ）はシャッタが閉位置にある状態の定着器を示す斜視図であり、（ｂ）はシャッタが開位置にある状態の定着器を示す斜視図である。

【図6】定着器を示す側面断面図である。

【図7】（ａ）はシャッタが閉位置にある状態の定着器を示す側面図であり、（ｂ）はシャッタが開位置にある状態の定着器を示す側面図である。

【図8】（ａ）はシャッタが閉位置にある状態の定着器を示す正面図であり、（ｂ）はシャッタが開位置にある状態の定着器を示す正面図である。

【図9】（ａ）はシャッタを示す正面図であり、（ｂ）はシャッタを示す側面図である。

【図10】開閉リンクを示す分解斜視図である。

【図11】開閉リンクを示す斜視図である。

【図12】シャッタが閉位置にあるときの開閉リンクを示す側面断面図である。

【図13】シャッタが開位置にあるときの開閉リンクを示す側面断面図である。

【図14】ニップ圧変更機構を示す側面図である。

【図15】プロセスカートリッジを示す斜視図である。

【図16】プロセスカートリッジを示す側面図である。

【図17】第１本体フレームの左側面を示す側面図である。

【図18】第１本体フレームの右側面を示す側面図である。

【図19】当接片の第１突起が当接片レールの中部に位置し、第２突起が当接片レールの前部に位置している状態の本体側リンクを示す側面図である。

【図20】プロセスカートリッジが装着開始位置に位置し、当接片の第１突起が当接片レールの中部に位置し、第２突起が当接片レールの前部に位置している状態の第１本体フレームを示す側面図である。

【図21】当接片を示す図である。

【図22】ドラム軸が当接片に当接し、当接片の第１突起および第２突起が共に当接片レールの中部に位置している状態の本体側リンクを示す側面図である。

【図23】ドラム軸が当接片に当接し、当接片の第１突起および第２突起が共に当接片レールの中部に位置している状態の第１本体フレームを示す側面図である。

【図24】ドラム軸が当接片に当接し、当接片の第１突起が当接片レールの後部に位置し、第２突起が当接片レールの中部に位置している状態の本体側リンクを示す側面図である。

【図25】ドラム軸が当接片に当接し、当接片の第１突起が当接片レールの後部に位置し、第２突起が当接片レールの中部に位置している状態の第１本体フレームを示す側面図である。

【図26】ドラム軸が当接片から離間し、プロセスカートリッジが装着位置に位置している状態の第１本体フレームを示す側面図である。

【図27】リンクカムが第１位置に位置する状態で、シャッタが閉位置から開位置に移動したときの、シャッタリンクのボスと貫通孔の第２端面との位置関係を示す側面断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0038】

次に、本発明を実施するための形態を、添付の図面を用いて説明する。

【0039】

[画像形成装置]
図１に示す画像形成装置１は、本発明に係るシート搬送装置を備えた画像形成装置の一実施形態であり、電子写真方式によりシートＳに画像を形成するレーザプリンタである。

【0040】

以下の説明では、図１における右側を画像形成装置１の前側、図１における左側を画像形成装置１の後側と規定し、図１おける紙面手前側を画像形成装置１の左側、図１における紙面奥側を画像形成装置１の右側と規定する。また、図１における上側および下側を、それぞれ画像形成装置１の上側および下側と規定する。

【0041】

画像形成装置１は、装置本体２と、給紙部３と、画像形成部５と、定着器６と、排紙部７とを備えている。

【0042】

装置本体２は、給紙部３、画像形成部５、定着器６、および排紙部７を収容している。装置本体２の前面には開口部２Ａが開口しており、装置本体２は開口部２Ａを開閉可能なフロントカバー２１を有している。フロントカバー２１は、下端部の回動軸２１ａを中心として回動可能に構成されており、回動軸２１ａを中心として回動することにより、開口部２Ａを閉鎖する閉位置と、開口部２Ａを開放する開位置との間を移動可能である。

【0043】

給紙部３は、シートＳを支持する給紙トレイ１０と、シート搬送部３０と、搬送ローラ対３４と、レジストローラ３５ａとを備えている。給紙部３は、装置本体２の下部に配置され、給紙トレイ１０に支持されるシートＳを画像形成部５に搬送する。画像形成装置１は、給紙部３から画像形成部５を経由して排紙部７へ至るシートＳの搬送経路Ｐを有している。

【0044】

給紙トレイ１０は、圧板１２と、押圧板１３とを有している。圧板１２は、シートＳを下方から支持する板状部材である。圧板１２は、後端部の回動支点１２ａを中心として回動可能であり、回動支点１２ａを中心に回動することで、下降位置と上昇位置との間で昇降可能である。押圧板１３は、圧板１２の下方に位置しており、圧板１２を下降位置と上昇位置との間で昇降させることが可能である。

【0045】

シート搬送部３０は、給紙トレイ１０に支持されるシートＳを一枚ずつ分離して取り出し、画像形成部５へ向けて搬送する搬送機構であり、給紙ローラ３１、分離ローラ３２、および分離パッド３３を備えている。給紙ローラ３１は、給紙トレイ１０に支持されるシートＳを分離ローラ３２へ向けて送り出すためのローラである。分離ローラ３２は、給紙ローラ３１よりもシート搬送方向の下流側に配置されており、分離パッド３３は、分離ローラ３２に対向して配置されるとともに分離ローラ３２に向けて付勢されている。

【0046】

給紙ローラ３１により分離ローラ３２に向けて送り出されたシートＳは、分離ローラ３２と分離パッド３３との間で１枚ずつに分離される。１枚ずつに分離されたシートＳは、搬送経路Ｐに送り出される。

【0047】

搬送経路Ｐに送り出されたシートＳは、搬送ローラ対３４と、レジストローラ３５ａおよびレジストローラ３５ａに対向配置されるピンチローラ３５ｂとによって、画像形成部５に向けて搬送される。レジストローラ３５ａは、搬送されるシートＳの先端の移動を規制して一旦停止させた後、シートＳを所定のタイミングにて画像形成部５に向けて搬送する。

【0048】

画像形成部５は、給紙部３よりもシート搬送方向の下流側に配置され、給紙部３から搬送されてきたシートＳに画像を形成する。画像形成部５は、給紙部３から搬送されてきたシートＳの表面に画像を転写するプロセスカートリッジ５０と、プロセスカートリッジ５０の感光ドラム５４に対向配置される転写ローラ５５と、感光ドラム５４の表面を露光する露光ユニット５６とを備えている。

【0049】

プロセスカートリッジ５０は、装置本体２における給紙部３の上方に配置されており、現像剤収容室５１と、供給ローラ５２と、現像ローラ５３と、感光ドラム５４等とを備えている。プロセスカートリッジ５０は、従動ローラであるピンチローラ３５ｂを支持している。

【0050】

プロセスカートリッジ５０は、感光ドラム５４を有するドラムカートリッジと、ドラムカートリッジに装着され現像ローラ５３を有する現像カートリッジとを備えており、装置本体２に着脱可能に装着されている。この場合、プロセスカートリッジ５０は、ドラムカートリッジとドラムカートリッジに装着された現像カートリッジとを一体的に装置本体２に対して挿入することにより装置本体２に装着され、ドラムカートリッジとドラムカートリッジに装着された現像カートリッジとを一体的に装置本体２から抜き出すことにより装置本体２から離脱される。

【0051】

プロセスカートリッジ５０は、装置本体に着脱可能に装着されるカートリッジの一例であり、ユーザが操作する可動部材である。プロセスカートリッジ５０は、フロントカバー２１が開位置にあるときに、装置本体２に対して着脱することが可能である。

【0052】

感光ドラム５４は、プロセスカートリッジ５０が装置本体２に装着された状態において、軸心Ｘが左右方向に沿う姿勢で配置されている。感光ドラム５４は、軸心Ｘ方向に沿って延びる金属製のドラム軸５４ａを有している。

【0053】

プロセスカートリッジ５０は、本実施形態においては感光ドラム５４を有するドラムカートリッジと、ドラムカートリッジに装着され現像ローラ５３を有する現像カートリッジとを備えているが、感光ドラム５４および現像ローラ５３を有するカートリッジと、カートリッジに装着されトナーを収容するトナーボックスとを備えた構成とすることもできる。また、画像形成装置においては、感光ドラム５４を有するドラムカートリッジと、現像ローラ５３を有する現像カートリッジとを、別々に装置本体２に装着するように構成することができる。

【0054】

露光ユニット５６は、レーザダイオード、ポリゴンミラー、レンズ、及び反射鏡等を備えており、画像形成装置１に入力された画像データに基づいてレーザ光を感光ドラム５４へ向けて照射することにより、感光ドラム５４の表面を露光する。

【0055】

現像剤収容室５１には現像剤となるトナーが収容されている。現像剤収容室５１に収容されたトナーは、図示しない撹拌部材により撹拌されながら供給ローラ５２に送られる。供給ローラ５２は、現像剤収容室５１から送られてくるトナーをさらに現像ローラ５３へ供給する。

【0056】

現像ローラ５３は、供給ローラ５２に密着して配置されており、供給ローラ５２から供給されるとともに図示しない摺接部材により正帯電されたトナーを担持する。また、現像ローラ５３には、図示しないバイアス印加手段により現像バイアスが印加される。

【0057】

感光ドラム５４は、現像ローラ５３に隣接して配置されている。感光ドラム５４の表面は、図示しない帯電器により一様に帯電された後、露光ユニット５６により露光される。感光ドラム５４の露光された部分は他の部分よりも電位が低くなり、感光ドラム５４に画像データに基づく静電潜像が形成される。そして、静電潜像が形成された感光ドラム５４の表面に、正に帯電されたトナーが現像ローラ５３から供給されることにより、静電潜像が顕像化されてトナー像となる。

【0058】

転写ローラ５５は、感光ドラム５４に対向配置され、図示しないバイアス印加手段により転写バイアスが印加される。転写ローラ５５の表面に転写バイアスがされている状態で、トナー像が形成された感光ドラム５４と転写ローラ５５との間でシートＳを挟持しなから搬送することにより、感光ドラム５４の表面に形成されたトナー像がシートＳの表面に転写される。トナー像が転写されたシートＳは定着器６に搬送される。

【0059】

定着器６は、加熱部材６１と加圧ローラ６２とを備えており、プロセスカートリッジ５０によりシートＳに転写された画像を定着させる。加熱部材６１は図示しない電源から電力を供給することで加熱される。加圧ローラ６２は加圧部材の一例である。加圧ローラ６２と加熱部材６１とは対向配置されており、加熱部材６１はニップ圧変更機構（図１４参照）によって加圧ローラ６２に対して付勢されている。加圧ローラ６２は、加熱部材６１とともにシートをニップする。

【0060】

トナー像が転写されたシートＳが定着器６に搬送されてくると、加熱部材６１と加圧ローラ６２との間でシートＳを挟持しながら搬送してシートＳを加熱し、シートＳにトナー像を定着させる。このように、定着器６は、搬送されるシートＳに転写されたトナー像を定着させる。

【0061】

排紙部７は、画像形成部５よりもシート搬送方向の下流側に位置しており、画像形成部５にて画像が形成されたシートＳを画像形成装置１の外部へ排紙する。排紙部７は、排紙ローラ対７１と、排紙トレイ７２とを備えている。排紙ローラ対７１は、定着器６から搬送経路Ｐに沿って搬送されてきたシートＳを装置本体２の外部へ向けて排紙可能に構成されている。排紙トレイ７２は装置本体２の上面に形成されており、排紙ローラ対７１によって装置本体２の外部に排紙されたシートＳを支持する。

【0062】

図２に示すように、装置本体２は、左右方向に互いに離間して配置される第１本体フレーム２４と、第２本体フレーム２５とを備えている。第１本体フレーム２４は装置本体２の右端部に位置しており、第２本体フレーム２５は装置本体２の左端部に位置している。第１本体フレーム２４は、前後方向および上下方向に延出しており、板面が左右方向に面する姿勢で配置されている。第２本体フレーム２５は、前後方向および上下方向に延出しており、板面が左右方向に面する姿勢で配置されている。

【0063】

プロセスカートリッジ５０および定着器６は、第１本体フレーム２４と第２本体フレーム２５との間に配置されている。第１本体フレーム２４はプロセスカートリッジ５０および定着器６の右方に配置されており、第２本体フレーム２５は、プロセスカートリッジ５０および定着器６の左方に配置されている。プロセスカートリッジ５０は、第１本体フレーム２４と第２本体フレーム２５とによって着脱可能に支持されている。

【0064】

［定着器］
図３、図４に示すように、定着器６の加熱部材６１は、ヒータ６１１と、ホルダ６１２と、ステイ６１３と、ベルト６１４とを備えている。ヒータ６１１は、左右方向に延びる平板状のヒータである。ヒータ６１１は、第１面６１１Ａと、第１面６１１Ａの反対側の第２面６１１Ｂとを有しており、第１面６１１Ａがホルダ６１２に支持されている。

【0065】

ホルダ６１２は、例えば樹脂部材からなり、ガイド面６１２ａと、支持壁６１２ｂとを有している。ガイド面６１２ａは、ベルト６１４の内周面６１４ａに接触してベルト６１４を案内している。支持壁６１２ｂは、ヒータ６１１を支持する支持面６１２Ａを有している。支持壁６１２ｂの支持面６１２Ａは、ヒータ６１１の第１面６１１Ａと当接している。ステイ６１３は、ホルダ６１２を支持する部材であり、ホルダ６１２よりも剛性が大きい板材、例えば鋼板等を断面視略Ｕ字状に折り曲げることにより形成されている。

【0066】

ベルト６１４は、耐熱性と可撓性とを有する無端状のベルトであり、ステンレス鋼等の金属からなる金属素管と、その金属素管を被覆するフッ素樹脂層とを有する。ヒータ６１１、ホルダ６１２、およびステイ６１３は、ベルト６１４の内側に配置されている。ベルト６１４は、ヒータ６１１、ホルダ６１２、およびステイ６１３の周りを回転するように構成されている。ベルト６１４の内周面６１４ａは、ヒータ６１１と接触する。

【0067】

加圧ローラ６２は、金属製のシャフト６２Ａと、シャフト６２Ａを被覆する弾性層６２Ｂとを有している。加圧ローラ６２は、ベルト６１４を介して相対的にヒータ６１１に押圧されている。加圧ローラ６２はヒータ６１１との間でベルト６１４を挟むことで、シートＳをニップして加熱および加圧するためのニップ点ＮＰを形成している。つまり、加圧ローラ６２は、ニップ点ＮＰにおいて、ヒータ６１１とともにシートＳを加熱および加圧する。

【0068】

加圧ローラ６２は、画像形成装置１が備えるモータ４からの駆動力が伝達されることにより回転駆動するように構成されている。加圧ローラ６２は回転駆動することで、ベルト６１４、またはニップ点ＮＰに挟まれたシートＳとの摩擦力によりベルト６１４を従動回転させる。これにより、トナー像が転写されたシートＳは、加圧ローラ６２と加熱されたベルト６１４の間を搬送されることでトナー像が熱定着される。

【0069】

図１、図５～図９に示すように、定着器６は、加熱部材６１および加圧ローラ６２を覆う定着フレーム６３と、定着フレーム６３に支持されるシャッタ６４とを有している。定着フレーム６３は、加熱部材６１および加圧ローラ６２を保持している。定着フレーム６３は、加熱部材６１および加圧ローラ６２の周囲を覆っており、加熱部材６１および加圧ローラ６２のシート搬送方向における上流側に形成される第１開口６３ａと、加熱部材６１および加圧ローラ６２のシート搬送方向における下流側に形成される第２開口６３ｂとを有している。第１開口６３ａは、開口の一例である。

【0070】

シャッタ６４は、定着フレーム６３における第１開口６３ａのシート搬送方向における上流側に位置しており、左右方向に沿って延びる回動軸６４１と、回動軸６４１と平行な向きに突出する連結軸６４２とを有している。回動軸６４１は定着フレーム６３に回動可能に支持されている。シャッタ６４は、回動軸６４１を中心として回動可能に構成されており、回動軸６４１を中心として回動することで、第１開口６３ａを閉塞する閉位置と第１開口６３ａを開放する開位置との間で移動可能である。回動軸６４１はシャッタ６４の左右両端部に設けられており、連結軸６４２はシャッタ６４の右端部から右方へ突出している。

【0071】

定着フレーム６３は、閉位置にあるシャッタ６４が当接する第１当接面６３１と、開位置にあるシャッタ６４が当接する第２当接面６３２とを有している。第１当接面６３１は、シート搬送方向の上流側に面しており、シャッタ６４が閉位置にあるときに、シャッタ６４のストッパ６４３が当接する。ストッパ６４３が第１当接面６３１に当接することで、シャッタ６４がそれ以上閉方向へ移動することが規制される。第２当接面６３２は、シート搬送方向の上流側に面しており、シャッタ６４が開位置にあるときに、シャッタ６４の連結軸６４２が当接する。連結軸６４２が第２当接面６３２に当接することで、シャッタ６４がそれ以上開方向へ移動することが規制される。

【0072】

なお、本実施形態においては、加熱部材６１は、ヒータ６１１およびベルト６１４を有しているが、これに限らず、例えば加熱部材としてヒータを内蔵した加熱ローラであってもよい。また、本実施形態においては、加圧部材としての加圧ローラ６２を有しているが、これに限らず、加圧部材として、弾性部材によって加熱ローラに押圧される加圧ベルトを備えた構成とすることもできる。

【0073】

［開閉リンク］
図５、図７、図８、図１０に示すように、画像形成装置１は、シャッタ６４と連結し、シャッタ６４を開位置と閉位置とに移動させる開閉リンク４を備えている。開閉リンク４は、シャッタリンク４１と、リンクカム４２と、コイルバネ４３とを有している。

【0074】

シャッタリンク４１は、シャッタ６４と連結し、シャッタ６４を開位置と閉位置とに移動させる。定着器６は、左右方向に沿って延び定着フレーム６３に回転可能に支持される回転軸６５を有しており、シャッタリンク４１は回転軸６５に回動可能に支持されている。回転軸６５は、定着フレーム６３の右端部から右方に突出している。回転軸６５の右端部には、操作レバー６７が一体的に回転可能に固定されている。操作レバー６７は、回転軸６５を回転操作することが可能である。シャッタリンク４１は、定着器６の右端部に位置しており、支持部４１１と、アーム部４１２と、係合部４１３と、ボス４１４とを有している。

【0075】

支持部４１１は、左右方向に貫通した孔を有する円筒形状であり、アーム部４１２の後端部に位置し、回転軸６５に回動可能に支持されている。アーム部４１２は、支持部４１１から前方へ延出する棒状であり、より詳細には、支持部４１１から前方に延び、途中で下方に向かうよう屈曲した形状となっている。係合部４１３はアーム部４１２の前端部に位置しており、前後方向に長い長円形状の長孔４１３ａを有している。長孔４１３ａ内には、シャッタ６４の連結軸６４２が位置している。連結軸６４２が長孔４１３ａ内に位置することで、連結軸６４２と係合部４１３とが係合して、連結軸６４２とシャッタリンク４１とが連結される。

【0076】

シャッタリンク４１は、支持部４１１を中心として係合部４１３が上下移動する方向へ回動可能であり、シャッタリンク４１が回動して係合部４１３が下方へ移動した状態ではシャッタ６４が閉位置に移動し（図５（ａ）、図７（ａ）参照）、シャッタリンク４１が回動して係合部４１３が上方へ移動した状態ではシャッタ６４が開位置に移動する（図５（ｂ）、図７（ｂ）参照）。ボス４１４は、アーム部４１２の支持部４１１側端部から右方へ突出している。

【0077】

リンクカム４２は、シャッタリンク４１と連結し、第１方向Ｗ１と、第１方向Ｗ１とは反対側の第２方向Ｗ２とに移動可能である。リンクカム４２は定着器６の回転軸６５に回動可能に支持されており、リンクカム４２と回転軸６５とは同軸に位置している。リンクカム４２は、回転軸６５を中心として第１方向Ｗ１と第２方向Ｗ２とに回動可能である。本実施形態においては、第１方向Ｗ１は、図７における反時計回り方向であり、第２方向Ｗ２は、図７における時計回り方向である。シャッタリンク４１とリンクカム４２とは、共に回転軸６５に支持されており、同軸上において定着フレーム６３に回動可能に支持されている。

【0078】

リンクカム４２は、回転軸６５に回動可能に支持されるリンクカム本体４２１と、リンクカム本体４２１から右方へ突出する突起４２２とを有している。リンクカム本体４２１は、操作カム４２１ａを有している。操作カム４２１ａは、リンクカム本体４２１の周方向における突起４２２とは異なる位相に位置している。リンクカム本体４２１の操作カム４２１ａは、左右方向に沿って貫通する貫通孔４２３を有している。左右方向は、回動軸心方向の一例である。シャッタリンク４１のボス４１４は、リンクカム４２の貫通孔４２３内に位置している。

【0079】

図７、図１０～図１３に示すように、コイルバネ４３は、弾性を有した金属製の線材を屈曲して形成されており、コイル４３１と、第１バネ腕４３２と、第２バネ腕４３３とを有している。コイルバネ４３は、シャッタリンクを押圧するバネの一例である。第１バネ腕４３２および第２バネ腕４３３は、コイルから外径側へ延出するバネ腕の一例である。

【0080】

コイル４３１は、線材を円環状に巻回して形成されており、リンクカム４２のリンクカム本体４２１に形成される支持溝４２１ｂに嵌装されている。コイル４３１は、リンクカム本体４２１の支持溝４２１ｂに嵌装されることにより、リンクカム本体４２１に支持されている。リンクカム本体４２１において、操作カム４２１ａは支持溝４２１ｂの外径側に位置している。また、突起４２２は、リンクカム本体４２１の支持溝４２１ｂよりも外径側に位置する部分から突出している。

【0081】

第１バネ腕４３２は、コイル４３１から外径側へ延出している。第１バネ腕４３２は、リンクカム４２における貫通孔４２３内に内径側から外径側へ向けて進入しており、貫通孔４２３内に位置している。第２バネ腕４３３は、周方向における第１腕部８６１とは異なる位相においてコイル４３１から外径側へ延出している。第２バネ腕４３３は、リンクカム４２における貫通孔４２３内に内径側から外径側へ向けて進入しており、貫通孔４２３内に位置している。

【0082】

第１バネ腕４３２は、貫通孔４２３内においてボス４１４の上方に位置しており、第２バネ腕４３３は、貫通孔４２３内においてボス４１４の下方に位置している。貫通孔４２３は、周方向に沿って延びる長孔形状に形成されており、周方向における第１方向Ｗ１側に位置する第１端面４２３ａと、周方向における第２方向Ｗ２側に位置する第２端面４２３ｂとを有している。

【0083】

リンクカム本体４２１の操作カム４２１ａは、貫通孔４２３の外径側に位置する第１係止溝４２４および第２係止溝４２５を有している。第１係止溝４２４および第２係止溝４２５は、係止溝の一例である。第１係止溝４２４は、バネ腕がリンクカム本体に対して第１方向に移動することを規制する係止溝の一例である。

【0084】

第１係止溝４２４は、操作カム４２１ａの回動動作の周方向における第２方向Ｗ２側端部から第１方向Ｗ１に向けて切り欠かれた溝であり、第１バネ腕４３２は、第１係止溝４２４の第１方向Ｗ１側端部に位置する第１溝底４２４ａに当接可能である。第１バネ腕４３２は、第１溝底４２４ａに当接することで、リンクカム本体４２１に対して第１方向Ｗ１へ移動することが規制される。一方、第１溝底４２４ａに当接する第１バネ腕４３２は、第１係止溝４２４の内部において弾性変形することで、第２方向Ｗ２へ移動することが許容される。つまり、第１係止溝４２４は、第１バネ腕４３２と係止して、第１バネ腕４３２の周方向における一方の側への移動を規制する。

【0085】

第２係止溝４２５は、操作カム４２１ａの回動動作の周方向における第１方向Ｗ１側端部から第２方向Ｗ２に向けて切り欠かれた溝であり、第２バネ腕４３３は、第２係止溝４２５の第２方向Ｗ２側端部に位置する第２溝底４２５ａに当接可能である。第２バネ腕４３３は、第２溝底４２５ａに当接することで、リンクカム本体４２１に対して第２方向Ｗ２へ移動することが規制される。一方、第２溝底４２５ａに当接する第２バネ腕４３３は、第１係止溝４２４の内部において弾性変形することで、第１方向Ｗ１へ移動することが許容される。つまり、第２係止溝４２５は、第２バネ腕４３３と係止して、第２バネ腕４３３の周方向における一方の側への移動を規制する。

【0086】

コイルバネ４３はリンクカム４２の回動に沿って移動可能であり、リンクカム４２が回動することにより、第１バネ腕４３２または第２バネ腕４３３がボス４１４を押圧する。第１バネ腕４３２または第２バネ腕４３３がボス４１４を押圧することで、シャッタリンク４１がリンクカム４２の回動に沿って移動して、シャッタ６４を閉位置と開位置との間で移動させる。

【0087】

例えばシャッタ６４が開位置ある状態において、リンクカム４２が第１方向Ｗ１へ回動すると、コイルバネ４３がリンクカム４２の回動に沿って移動し、第１バネ腕４３２がボス４１４を下方へ押圧する。ボス４１４が下方へ押圧されると、シャッタリンク４１は係合部４１３が下方へ移動する第１方向Ｗ１へ回動して、シャッタ６４が開位置から閉位置に移動する。第１方向Ｗ１は、リンクカム４２がシャッタ６４を閉位置に移動させる方向であり、第１方向Ｗ１へ移動してシャッタ６４を閉位置に移動させた状態のリンクカム４２の回動位置は、第１位置（図７（ａ）に示す位置）である。

【0088】

この場合、閉位置に移動したシャッタ６４は、ストッパ６４３が定着フレーム６３の第１当接面６３１に当接して、それ以上閉方向へ移動することが規制されている。一方、リンクカム４２は、シャッタ６４が第１当接面６３１と当接して閉位置にある場合に、シャッタ６４を閉位置に維持したまま、第１方向Ｗ１への移動が許容されている。

【0089】

つまり、シャッタ６４が第１当接面６３１と当接して閉位置にある場合、コイルバネ４３の第１バネ腕４３２はシャッタリンク４１のボス４１４と当接して、シャッタリンク４１を第１方向Ｗ１へ押圧している。この状態においてリンクカム４２に第１方向Ｗ１へ移動する方向の力が加わると、シャッタ６４が閉位置にある状態を維持したまま、第１バネ腕４３２が第１係止溝４２４の内部において第１溝底４２４ａから離間する方向に弾性変形することで、リンクカム本体４２１が第１バネ腕４３２に対して第１方向Ｗ１へ移動することが許容される。

【0090】

このように、シャッタ６４が第１当接面６３１と当接して閉位置にある場合にリンクカム４２が第１方向Ｗ１に押圧されると、シャッタ６４はそれ以上第１方向Ｗ１へ移動することなく、リンクカム４２のみが第１方向Ｗ１へ移動することになる。従って、閉位置にあるシャッタ６４は常に第１当接面６３１と当接した状態となり、シャッタ６４を安定した姿勢で精度良く閉位置に移動させることが可能である。

【0091】

特に、シャッタ６４が第１当接面６３１と当接して閉位置にある場合にリンクカム４２が第１方向Ｗ１に押圧されると、シャッタ６４はコイルバネ４３により第１方向Ｗ１へ付勢された状態で、それ以上第１方向Ｗ１へ移動することなく、リンクカム４２のみが第１方向Ｗ１へ移動することになる。従って、閉位置にあるシャッタ６４は常に第１当接面６３１と当接した状態となり、シャッタ６４を安定した姿勢で精度良く閉位置に移動させることが可能となっている。

【0092】

また、定着フレーム６３のシート搬送方向における上流側に設けられるシャッタ６４は、閉位置にあるときに、シート搬送方向の上流側に面する第１当接面６３１と当接する構成であるため、シャッタ６４の閉位置での位置決め精度をより向上させることが可能である。

【0093】

さらに、シャッタ６４をリンクカム４２によってシャッタリンク４１を介して閉位置に移動させる際には、貫通孔内４２４に位置する第１バネ腕４３２によってシャッタリンク４１のボス４１４を押圧することで、シャッタリンク４１が駆動される。これにより、第１バネ腕４３２の付勢力によってシャッタ６４を第１当接面６３１に押圧することが可能となり、シャッタ６４を精度良く閉位置に保持させることができる。

【0094】

また、開閉リンク４においては、第１係止溝４２４の内部において、シャッタ６４が閉位置にある状態を維持したまま第１バネ腕４３２が弾性変形することで、リンクカム本体４２１が第１バネ腕４３２に対して第１方向Ｗ１に移動することが許容される。このように、第１係止溝４２４の内部において第１バネ腕４３２が弾性変形することで、リンクカム本体４２１の第１方向Ｗ１への移動が許容されるため、リンクカム本体４２１は第１方向Ｗ１へ円滑に移動することが可能となっている。

【0095】

また、シャッタ６４が閉位置ある状態において、リンクカム４２が第２方向Ｗ２へ回動すると、コイルバネ４３がリンクカム４２の回動に沿って移動し、第２バネ腕４３３がボス４１４を上方へ押圧する。ボス４１４が上方へ押圧されると、シャッタリンク４１は係合部４１３が上方へ移動する第２方向Ｗ２へ回動して、シャッタ６４が閉位置から開位置に移動する。第２方向Ｗ２は、リンクカム４２がシャッタ６４を開位置に移動させる方向であり、第２方向Ｗ２へ移動してシャッタ６４を開位置に移動させた状態のリンクカム４２の回動位置は、第２位置（図７（ｂ）に示す位置）である。

【0096】

この場合、開位置に移動したシャッタ６４は、連結軸６４２が定着フレーム６３の第２当接面６３２に当接して、それ以上開方向へ移動することが規制されている。一方、リンクカム４２は、シャッタ６４が第２接面６３２当接して開位置にある場合に、シャッタ６４を開位置に維持したまま、第２方向Ｗ２への移動が許容されている。

【0097】

つまり、シャッタ６４が第２当接面６３２と当接して開位置にある場合、コイルバネ４３の第２バネ腕４３３はシャッタリンク４１のボス４１４と当接して、シャッタリンク４１を第２方向Ｗ２へ押圧している。この状態においてリンクカム４２に第２方向Ｗ２へ移動する方向の力が加わると、シャッタ６４が開位置にある状態を維持したまま、第２バネ腕４３３が第２係止溝４２５の内部において第２溝底４２５ａから離間する方向に弾性変形することで、リンクカム本体４２１が第２バネ腕４３３に対して第２方向Ｗ２へ移動することが許容される。

【0098】

このように、シャッタ６４が第２当接面６３２と当接して開位置にある場合にリンクカム４２が第２方向Ｗ２に押圧されると、シャッタ６４はそれ以上第２方向Ｗ１へ移動することなく、リンクカム４２のみが第２方向Ｗ２へ移動することになる。従って、開位置にあるシャッタ６４は常に第２当接面６３２と当接した状態となり、シャッタ６４を安定した姿勢で精度良く開位置に移動させることが可能である。

【0099】

特に、シャッタ６４が第２当接面６３２と当接して開位置にある場合にリンクカム４２が第２方向Ｗ２に押圧されると、シャッタ６４はコイルバネ４３により第２方向Ｗ２へ付勢された状態でそれ以上第２方向Ｗ２へ移動することなく、リンクカム４２のみが第２方向Ｗ２へ移動することになる。従って、開位置にあるシャッタ６４は常に第２当接面６３２と当接した状態となり、シャッタ６４を安定した姿勢で精度良く開位置に移動させることが可能となっている。また、一つのコイルバネ４３によって、シャッタ６４が閉位置にあるときと開位置にあるときとの両方において、リンクカム６４の移動を許容することが可能となっている。

【0100】

また、定着フレーム６３のシート搬送方向における上流側に設けられるシャッタ６４は、開位置にあるときに、シート搬送方向の上流側に面する第２当接面６３２と当接する構成であるため、シャッタ６４の開位置での位置決め精度をより向上させることが可能である。

【0101】

さらに、シャッタ６４をリンクカム４２によってシャッタリンク４１を介して開位置に移動させる際には、貫通孔内４２４に位置する第２バネ腕４３３によってシャッタリンク４１のボス４１４を押圧することで、シャッタリンク４１が駆動される。これにより、第２バネ腕４３３の付勢力によってシャッタ６４を第２当接面６３２に押圧することが可能となり、シャッタ６４を精度良く開位置に保持させることができる。

【0102】

また、シャッタ６４が開閉動作するときには、定着フレーム６３に回動可能に支持される回動軸６４１と平行な連結軸６４２がシャッタリンク４１により操作されるため、シャッタ６４の開閉動作を正確に行うことが可能となっている。

【0103】

さらに、シャッタ６４の連結軸６４２は、シャッタリンク４１の長孔４１３ａ内に位置しており、シャッタリンク４１が開閉動作する際に連結軸６４２が長孔４１３ａ内を摺動可能となるため、シャッタリンク４１によるシャッタ６４の操作を円滑に行うことが可能となっている。

【0104】

また、図６に示すように、シート搬送方向において、シャッタリンク４１とシャッタ６４との連結点となるシャッタ６４の連結軸６４２は、加熱部材６１と加圧ローラ６２とのニップ点ＮＰを挟んで、シャッタリンク４１とリンクカム４２との連結点となるリンクカム４２のボス４１４の反対側に位置している。これにより、シート搬送方向におけるシャッタリンク４１の長さを大きくすることができ、シャッタ６４を開閉するために必要なリンクカム４２の移動量を小さくすることが可能となっている。

【0105】

図１４に示すように、定着器６は、加熱部材６１と加圧ローラ６２とのニップ点ＮＰにおけるニップ圧を変更するニップ圧変更機構６６を備えている。ニップ圧変更機構６６は、定着器６の左端部および右端部に設けられている。ニップ圧変更機構６６は、ガイド６６１と、アーム６６２と、バネ６６３と、カム６６４とを有している。

【0106】

ガイド６６１は、加熱部材６１の上方に位置しており、加熱部材６１に当接している。ガイド６６１は、定着フレーム６３に上下移動可能に支持されている。具体的には、ガイド６６１は、加熱部材６１を加圧ローラ６２側に押圧する方向、および加熱部材６１から離間する方向へ移動可能なように、定着フレーム６３に支持されている。

【0107】

アーム６６２は、略Ｌ字型の金属製の部材であり、ガイド６６１を介して加熱部材６１を押圧可能に構成されている。アーム６６２は、定着フレーム６３のボス６３３に回動可能に嵌装される外嵌部６６２ａと、ガイド部材６６１の上面６６１ａを押圧する押圧部６６２ｂと、バネ６６３の上端部を支持する支持部６６２ｃと、カム６６４に当接可能な当接部６６２ｄとを有している。

【0108】

アーム６６２は、加圧ローラ６２と加熱部材６１とのニップ圧が大きくなるように押圧部６６２ｂがガイド６６１の上面６６１ａを押圧する押圧位置（図１４において実線で示す位置）と、押圧位置よりもニップ圧が小さくなるように押圧部６６２ｂがガイド６６１の上面６６１ａから離間した押圧解除位置（図１４において二点鎖線で示す位置）との間で移動可能である。定着器６においては、アーム６６２が押圧位置にあるときにシートＳに対する熱定着が可能であり、アーム６６２が押圧解除位置にあるときにシートＳのジャム処理を行うことが可能である。

【0109】

バネ６６３は、例えば引張コイルバネであり、上端部がアーム６６２の支持部６６２ｃに支持され、下端部が定着フレーム６３に支持されている。バネ６６３は、アーム６６２を押圧解除位置から押圧位置へ向かう方向へ付勢する。

【0110】

カム６６４は、回転軸６５に一体的に回転可能に固定されており、回転軸６５とともに回転することで、アーム６６２を押圧位置と押圧解除位置との間で移動させる。カム６６４は、断面Ｄ字型に形成されており、平面で構成される第１カム面６６４ａと、第１カム面６６４ａと連続して形成された円弧面で構成される第２カム面６６４ｂとを有している。

【0111】

第１カム面６６４ａは、アーム６６２の当接部６６２ｄと対向する位置にあるとき、当接部６６２ｄと離間している。この状態において、アーム６６２はバネ６６３に引っ張られて押圧位置に位置する。第１カム面６６４ａは、アーム６６２を押圧位置に案内する面である。第２カム面６６４ｂは、アーム６６２の当接部６６２ｄと対向する位置にあるときに、当接部６６２ｄに当接してアーム６６２を押し上げる。この状態において、アーム６６２はバネ６６３の付勢力に抗して押し上げられて押圧解除位置に移動する。第２カム面６６４ｂは、アーム６６２を押圧解除位置に案内する面である。

【0112】

このように、定着器６は、操作レバー６７によって回転操作された回転軸６５が回転することで、加圧ローラ６２と加熱部材６１とのニップ圧を変更するニップ圧変更機構６６を備えており、リンクカム４２は回転軸６５と同軸に位置している。これにより、ニップ圧変更機構６６を操作する回転軸６５を、リンクカム４２を支持するための軸と兼用することができ、リンクカム４２を省スペースで配置することが可能となっている。なお、ニップ圧変更機構６６は、本構成に限定せず、定着器６に設けられており、加熱部材６１または加圧ローラ６２に作用して、加熱部材６１と加圧ローラ６２とのニップ圧を変更できる構成であればよい。

【0113】

［ドラム軸］
図１５、図１６に示すように、感光ドラム５４のドラム軸５４ａは、プロセスカートリッジ５０の右端部から、軸心Ｘ方向に沿って右方に突出している。つまり、ドラム軸５４ａは、軸心Ｘ方向に沿って第１本体フレーム２４側に突出している。

【0114】

［第１本体フレーム］
図１７、図１８に示すように、第１本体フレーム２４は、前方に位置する前フレーム２４Ａと、前フレーム２４Ａの後方に位置する後フレーム２４Ｂとを有している。前フレーム２４Ａと後フレーム２４Ｂとは、前後方向に連続して一体的に形成されている。

【0115】

第１本体フレーム２４の前フレーム２４Ａは、カートリッジレール２４１と、当接片レール２４２とを有している。カートリッジレール２４１は、左側が開放される溝形状に形成されている。カートリッジレール２４１は前後方向に延出しており、前方から後方へ向かうに従って下降する方向に傾斜している。

【0116】

カートリッジレール２４１には感光ドラム５４のドラム軸５４ａが進入可能であり、カートリッジレール２４１は、プロセスカートリッジ５０を装置本体２に装着するとき、およびプロセスカートリッジ５０を装置本体２から離脱するときに、ドラム軸５４ａを案内する。カートリッジレール２４１に案内されるドラム軸５４ａは、カートリッジレール２４１に左側から進入している。なお、プロセスカートリッジ５０は、前方から後方へ向かって装置本体２に装着され、後方から前方へ向かって装置本体２から離脱される。

【0117】

このように、前フレーム２４Ａは、プロセスカートリッジ５０を装置本体２に装着するとき、および装置本体２から離脱するときに、カートリッジレール２４１によってドラム軸５４ａを案内する。

【0118】

当接片レール２４２は、右側が開放される溝形状に形成されている。当接片レール２４２は前後方向に延出しており、前方から後方へ向かうに従って下降する方向に傾斜している。

【0119】

カートリッジレール２４１は、前方に位置する前部２４１ａと、後方に位置する後部２４１ｃと、前部２４１ａと後部２４１ｃとの間に位置する中部２４１ｂとを有している。当接片レール２４２は、前方に位置する前部２４２ａと、後方に位置する後部２４２ｃと、前部２４２ａと後部２４２ｃとの間に位置する中部２４２ｂとを有している。

【0120】

カートリッジレール２４１の中部２４１ｂと当接片レール２４２の中部２４２ｂとは重複しており、互いに連通している。中部２４１ｂと中部２４２ｂとによって、前フレーム２４Ａを左右方向に貫通する貫通孔２４Ｃが形成されている。

【0121】

つまり、カートリッジレール２４１の一部である中部２４１ｂと、当接片レール２４２の一部である中部２４２ｂとは重複しており、カートリッジレール２４１と当接片レール２４２との重複部分は貫通孔２４Ｃである。このように、カートリッジレール２４１と当接片レール２４２との一部が重複していることにより、カートリッジレール２４１を形成する部材と当接片レール２４２を形成する部材とを共通化することが可能となっている。

【0122】

貫通孔２４Ｃには、カートリッジレール２４１は、プロセスカートリッジ５０を装置本体２に装着するとき、およびプロセスカートリッジ５０を装置本体２から離脱するときに、ドラム軸５４ａが進入する。

【0123】

当接片レール２４２の前部２４２ａは、カートリッジレール２４１の前部２４１ａよりも上方に位置し、当接片レール２４２の後部２４２ｃはカートリッジレール２４１の後部２４１ｃよりも上方に位置している。

【0124】

［本体側リンク］
図１９、図２０に示すように、装置本体２は、リンクカム４２の突起４２２と係合することにより開閉リンク４と連結し、リンクカム４２を移動させる本体側リンク８を備えている。本体側リンク８は、プロセスカートリッジ５０が装置本体２に装着されるときにシャッタ６４を閉位置から開位置に移動させる方向に動作し、プロセスカートリッジ５０が装置本体２から離脱されるときにシャッタ６４を開位置から閉位置に移動させる方向に動作する。つまり、本体側リンク８は、プロセスカートリッジ５０の装置本体２に対する着脱に応じて動作することにより、開閉リンク４を介してシャッタ６４を開位置と閉位置とに移動させる。

【0125】

本体側リンク８は、左右方向において、第１本体フレーム２４の前フレーム２４Ａに対して、装置本体２に装着されているプロセスカートリッジ５０の反対側に位置している。本体側リンク８は、当接片８０と、第１回動リンク８１と、直動リンク８２と、第２回動リンク８３とを有している。

【0126】

当接片８０は、感光ドラム５４のドラム軸５４ａと当接して移動する。当接片８０は、当接片レール２４２に摺動可能に嵌装されており、当接片レール２４２は、ドラム軸５４ａと当接して移動する当接片８０を案内する。

【0127】

図２１に示すように、当接片８０は、本体部８０１と、連結部８０２と、第１突起８０３と、第２突起８０４とを有している。本体部８０１は、板面が左右方向に面する板状部材にて形成されている。連結部８０２は、本体部８０１の右面から右方へ向かって突出するボスである。

【0128】

第１突起８０３および第２突起８０４は、本体部８０１の左面から左方へ向かって突出するピンである。第１突起８０３および第２突起８０４は、第１本体フレーム２４の当接片レール２４２に右側から進入しており、当接片レール２４２に案内される。

【0129】

第１突起８０３および第２突起８０４が当接片レール２４２に進入した状態において、第２突起８０４は、第１突起８０３よりもプロセスカートリッジ５０の装置本体２に対する装着方向における上流側に位置している。なお、装着方向とは、プロセスカートリッジ５０を装置本体２に対して装着する際に、装置本体２に挿入されるプロセスカートリッジ５０が装着位置へ向けて移動する方向である。

【0130】

当接片８０は、第１本体フレーム２４の前フレーム２４Ａに対して、装置本体２に装着されているプロセスカートリッジ５０の反対側に位置している。第１突起８０３および第２突起８０４は、当接片レール２４２に進入した状態において、第１本体フレーム２４の前フレーム２４Ａよりもプロセスカートリッジ５０側へ突出しない位置に位置している。

【0131】

第１突起８０３は、プロセスカートリッジ５０が装置本体２に装着されるときにドラム軸５４ａと当接し、第２突起８０４は、プロセスカートリッジ５０が装置本体２から離脱されるときにドラム軸５４ａと当接する。つまり、第１突起８０３は、装置本体２に装着されるプロセスカートリッジ５０のドラム軸５４ａと当接し、第２突起８０４は、装置本体２から離脱されるプロセスカートリッジ５０のドラム軸５４ａと当接する。

【0132】

この場合、第１突起８０３は、当接片レール２４２の中部２４２ｂ（貫通孔２４Ｃ）に位置するときに、貫通孔２４Ｃを介して、装置本体２に装着されるプロセスカートリッジ５０のドラム軸５４ａと当接する。また、第２突起８０４は、当接片レール２４２の中部２４２ｂ（貫通孔２４Ｃ）に位置するときに、貫通孔２４Ｃを介して、装置本体２から離脱されるプロセスカートリッジ５０のドラム軸５４ａと当接する。

【0133】

貫通孔２４Ｃを介して第１突起８０３および第２突起８０４と当接するドラム軸５４ａは、貫通孔２４Ｃの内部において第１突起８０３および第２突起８０４と当接してもよく、左右方向において貫通孔２４Ｃよりも右方に出た位置で第１突起８０３および第２突起８０４と当接してもよい。

【0134】

なお、本実施形態においては、当接片８０はドラム軸５４ａと当接して移動するように構成されているが、プロセスカートリッジ５０に、ドラム軸５４ａとは別に第１本体フレーム２４側に突出するガイド突起を形成し、当接片８０がこのガイド突起と当接して移動するように構成することもできる。

【0135】

第１回動リンク８１は、当接片８０と連結される略直線状の部材である。第１回動リンク８１は、左右方向において、第１本体フレーム２４の前フレーム２４Ａよりも右側に位置している。第１回動リンク８１は、前端部に位置し、当接片８０の連結部８０２が嵌合する嵌合部８１１と、後端部に位置し、左方へ突出するボス８１２とを有している。第１回動リンク８１は、嵌合部８１１がボス８１２よりも上方かつ前方に位置する傾斜姿勢で配置されている。第１回動リンク８１は、嵌合部８１１に連結部８０２が嵌合することで当接片８０と連結されており、当接片８０の移動に沿って回動する。

【0136】

直動リンク８２は、第１回動リンク８１と連結され、前後方向に延出する略直線状の部材である。直動リンク８２は、左右方向において、第１本体フレーム２４の前フレーム２４Ａよりも右側に位置している。直動リンク８２は、前端部に位置し、第１回動リンク８１のボス８１２が嵌合する嵌合部８２１と、後端部に位置する連結孔８２２とを有している。直動リンク８２は、嵌合部８２１にボス８１２が嵌合することで第１回動リンク８１と連結されており、第１回動リンク８１の回動に沿って前後方向へ直線的に移動する。

【0137】

第２回動リンク８３は、直動リンク８２と連結され、第１本体フレーム２４に支持されている。第２回動リンク８３は、第１本体フレーム２４に回動可能に支持される支持部８３１と、支持部８３１から略下方へ延出する第１アーム８３２と、支持部８３１から略上方へ延出する第２アーム８３３とを有している。第１アーム８３２の先端部には左方へ突出する係合ピン８３２ａが形成されており、第２アーム８３３の先端部には連結孔８３３ａが形成されている。

【0138】

第１アーム８３２の係合ピン８３２ａは、直動リンク８２の連結孔８２２に右方から進入しており、直動リンク８２の前後方向への移動に沿って連結孔８２２と係合する。第２回動リンク８３は、係合ピン８３２ａと連結孔８２２とが係合することで直動リンク８２と連結され、直動リンク８２の移動に沿って支持部８３１を中心として回動する。

【0139】

第２回動リンク８３の連結孔８３３ａには、開閉リンク４におけるリンクカム４２の突起４２２が左方から進入しており、第２回動リンク８３の回動に沿って突起４２２と連結孔８３３ａとが係合する。リンクカム４２は、突起４２２と連結孔８３３ａとが係合することで第２回動リンク８３と連結され、第２回動リンク８３の回動に沿って回転軸６５を中心として回動する。リンクカム４２が回動することでシャッタリンク４１が上下方向に回動し、シャッタ６４を閉位置と開位置との間で移動させる。

【0140】

画像形成装置１においては、プロセスカートリッジ５０を装置本体２に対して装着または離脱する際に、本体側リンク８の当接片８０がドラム軸５４ａと当接して当接片レール２４２に沿って移動することで、本体側リンク８および開閉リンク４を介してシャッタ６４に駆動力が伝達され、シャッタ６４が閉位置と開位置との間で移動する。

【0141】

本実施形態では、本体側リンク８は、当接片８０と、第１回動リンク８１と、直動リンク８２と、第２回動リンク８３とを有する構成であったが、これに限定されず、開閉リンク４と連結し、かつプロセスカートリッジ５０と当接することでシャッタ６４を開閉する１つのリンクで構成されてもよい。

【0142】

また、開閉リンク４は、シャッタリンク４１と、リンクカム４２と、コイルバネ４３とを有する構成であったが、これに限定されず、本体側リンク８とシャッタ６４とに連結し、本体側リンク８の動作に沿ってシャッタ６４を開閉する１つのリンクで構成されてもよい。さらに、開閉リンク４は、シャッタ６４と連結し、かつプロセスカートリッジ５０と当接することでシャッタ６４を開閉する１つのリンクで構成されてもよい。また、本体側リンク８および開閉リンク４の動きも、回動やスライドに限定されず、プロセスカートリッジ５０の挿抜に応じて、適した動作でシャッタ６４を開閉するものであればよい。

【0143】

［ロック］
図１９に示すように、装置本体２は、シャッタ６４を開位置または閉位置に移動させた本体側リンク８の移動を規制するロック９を備えている。具体的には、ロック９は、直動リンク８２を押圧することにより直動リンク８２の前後方向への移動を規制する。ロック９は、直動リンク８２の上面８２Ａに当接するアーム９１と、アーム９１の先端を直動リンク８２の上面８２Ａ側へ向けて付勢するロックバネ９２とを有している。

【0144】

アーム９１は、アーム９１の基端に位置し、第１本体フレーム２４に回動可能に支持される支持部９１１と、アーム９１の先端に位置し、直動リンク８２の上面８２Ａに当接する当接部９１２と、ロックバネ９２が嵌合する嵌合部９１３とを有している。当接部９１２は、アーム９１の先端の一例である。アーム９１は前後方向に延出しており、前端に支持部９１１が位置し、後端に当接部９１２が位置している。嵌合部９１３は、当接部９１２の上方に位置している。当接部９１２は支持部９１１を中心として上下方向に回動可能である。

【0145】

ロックバネ９２は第１本体フレーム２４に支持されており、下端部がアーム９１の嵌合部９１３に嵌合している。ロックバネ９２は、アーム９１の当接部９１２を直動リンク８２の上面８２Ａ側となる下側へ向けて付勢しており、当接部９１２は上面８２Ａに押圧されている。

【0146】

直動リンク８２の上面８２Ａは、嵌合部８２１と連結孔８２２との間において、ロック９側となる上側へ向けて突出するリンク突起８２３を有している。リンク突起８２３は、後方へいくに従って下降する第１傾斜面８２３ａと、第１傾斜面８２３ａの前方に連続して形成され、前方へいくに従って下降する第２傾斜面８２３ｂとを有した山形状に形成されている。

【0147】

アーム９１の当接部９１２は、直動リンク８２の前後方向への移動に伴って、ロックバネ９２の付勢力に抗してリンク突起８２３を乗り越え、リンク突起８２３の第１傾斜面８２３ａ側となる後側、またはリンク突起８２３の第２傾斜面８２３ｂ側となる前側に位置することが可能である。リンク突起８２３の前側はリンク突起の一側の一例であり、リンク突起８２３の後側はリンク突起の他側の一例である。

【0148】

アーム９１の当接部９１２がリンク突起８２３の後側に位置しているときには、当接部９１２と第１傾斜面８２３ａとが係止することで、直動リンク８２の後方への移動が規制される。アーム９１の当接部９１２がリンク突起８２３の前側に位置しているときには、当接部９１２と第２傾斜面８２３ｂとが係止することで、直動リンク８２の前方への移動が規制される。

【0149】

つまり、アーム９１は、リンク突起８２３の後側において直動リンク８２の上面８２Ａに当接して直動リンク８２を押圧することにより、直動リンク８２の後方への移動を規制して、本体側リンク８の動作を固定する。また、アーム９１は、リンク突起８２３の前側において直動リンク８２の上面８２Ａに当接して直動リンク８２を押圧することにより、直動リンク８２の前方への移動を規制して、本体側リンク８の動作を固定する。このように、ロック９は、アーム９１が直動リンク８２を押圧することにより直動リンク８２の移動を規制するため、簡単な構造でロック９を構成することが可能となっている。

【0150】

ロック９は、本実施形態に限定されるものではない。例えば、本体側リンク８と別でロック９が設けられず、本体側リンク８がシャッタ６４を開位置または閉位置に移動させた状態を維持できる構成であってもよい。

【0151】

［本体側リンクおよび開閉リンクの動作］
次に、本体側リンク８および開閉リンク４の動作について説明する。

【0152】

（プロセスカートリッジ装着時の動作）
まず、プロセスカートリッジ５０を装置本体２に装着するときの本体側リンク８および開閉リンク４の動作について説明する。

【0153】

図１９、図２０に示すように、プロセスカートリッジ５０が、装置本体２から離脱された状態にあるとき、およびプロセスカートリッジ５０の挿入方向の先端５０Ａが装置本体２に挿入された装着開始位置（図２０に示す位置）にあるときには、ドラム軸５４ａは当接片８０から離間しており、当接片８０は、当接片レール２４２の前部２４２ａと中部２４１ｂとに亘って位置している。具体的には、当接片８０は、第１突起８０３が当接片レール２４２の中部２４２ｂ（貫通孔２４Ｃ）に位置し、第２突起８０４が当接片レール２４２の前部２４２ａに位置する状態で当接片レール２４２に嵌装されている。なお、プロセスカートリッジ５０の挿入方向は、装着方向と同じ方向である。

【0154】

当接片８０が図２０に示す位置にあるときには、図７（ａ）に示すように、シャッタ６４は本体側リンク８および開閉リンク４により閉位置に移動された状態にある。これにより、プロセスカートリッジ５０が装置本体２から離脱された状態にあるときに、ユーザが開口部２Ａから装置本体２内に手を差し入れたとしても、定着器６の加熱部材６１にユーザの手が触れることをシャッタ６４によって抑制することができる。

【0155】

また、当接片８０が図２０に示す位置にあるときには、ロック９におけるアーム９１の当接部９１２は直動リンク８２におけるリンク突起８２３の後側に位置していて、直動リンク８２の後方への移動が規制される。これにより、シャッタ６４が本体側リンク８および開閉リンク４により閉位置に移動された状態で、直動リンク８２がロック９により固定され、シャッタ６４が閉位置から開位置へ不用意に移動することがない。つまり、ロック９においては、リンク突起８２３の後側に位置する当接部９１２がリンク突起８２３と係止することで直動リンク８２の移動を規制するため、シャッタ６４の閉位置を安定して保持することができる。

【0156】

図２２、図２３に示すように、装着開始位置にあるプロセスカートリッジ５０を装着位置へ向けてさらに挿入すると、ドラム軸５４ａはカートリッジレール２４１の前部２４１ａに進入し、カートリッジレール２４１内を移動する。カートリッジレール２４１内を移動するドラム軸５４ａが中部２４１ｂ（貫通孔２４Ｃ）にると、ドラム軸５４ａは当接片８０の第１突起８０３に当接する。

【0157】

カートリッジレール２４１の中部２４１ｂ（貫通孔２４Ｃ）内を移動するドラム軸５４ａと当接した当接片８０は、ドラム軸５４ａにより押圧されてプロセスカートリッジ５０の装着方向における下流側へ移動する。図２３においては、ドラム軸５４ａと当接して移動する当接片８０の第１突起８０３および第２突起８０４が共に当接片レール２４２の中部２４２ｂ（貫通孔２４Ｃ）に位置している。

【0158】

当接片８０が移動すると、当接片８０と連結される第１回動リンク８１は、水平方向に対する傾斜角度が小さくなる方向に回動しながら後方へ移動する。第１回動リンク８１が回動および移動すると、第１回動リンク８１と連結される直動リンク８２が後方へ直線的に移動する。

【0159】

直動リンク８２が移動すると、直動リンク８２の連結孔８２２と第２回動リンク８３の係合ピン８３２ａとが係合して、第２回動リンク８３は係合ピン８３２ａが後方へ移動する方向に回動する。第２回動リンク８３が回動すると、第２回動リンク８３の連結孔８３３ａとリンクカム４２の突起４２２とが係合して、リンクカム４２は突起４２２が前方へ移動する方向である第２方向Ｗ２へ回動する。

【0160】

この場合、直動リンク８２が後方へ移動することにより、ロック９におけるアーム９１の当接部９１２は、ロックバネ９２の付勢力に抗して直動リンク８２のリンク突起８２３における第１傾斜面８２３ａを上っていき、リンク突起８２３の頂部に乗り上げる。

【0161】

当接部９１２がリンク突起８２３の頂部に乗り上げた状態においては、ロックバネ９２は圧縮されて、当接部９１２がリンク突起８２３の後側または前側に位置しているときよりも当接部９１２に対する付勢力が増し、ロックバネ９２による当接部９１２の直動リンク８２に対する押圧荷重は最大となる。

【0162】

図２４、図２５に示すように、プロセスカートリッジ５０を図２３に示す位置から装着位置へ向けてさらに挿入すると、当接片８０は、カートリッジレール２４１の中部２４１ｂ（貫通孔２４Ｃ）内を移動するドラム軸５４ａによって、さらに装着方向の下流側へ移動される。図２５においては、当接片８０の第１突起８０３は当接片レール２４２の後部２４１ｃに位置し、第２突起８０４は当接片レール２４２の中部２４１ｂ（貫通孔２４Ｃ）に位置している。

【0163】

当接片８０が移動すると、第１回動リンク８１は、さらに水平方向に対する傾斜角度が小さくなる方向に回動しながら後方へ移動する。第１回動リンク８１が回動および移動すると、直動リンク８２はさらに後方へ直線的に移動する。直動リンク８２が移動すると、第２回動リンク８３は係合ピン８３２ａが後方へ移動する方向にさらに回動する。第２回動リンク８３が回動すると、リンクカム４２は第２方向Ｗ２へさらに回動する。

【0164】

図７（ｂ）に示すように、リンクカム４２が第２方向Ｗ２へ回動すると、リンクカム４２の回動に沿ってコイルバネ４３が移動し、コイルバネ４３の第２バネ腕４３３がシャッタリンク４１のボス４１４を上方へ押圧する。第２バネ腕４３３がボス４１４を上方へ押圧することで、係合部４１３が上方へ移動する方向へシャッタリンク４１が回動し、シャッタ６４が閉位置から開位置へ移動する。

【0165】

この場合、直動リンク８２が後方へ移動することにより、ロック９におけるアーム９１の当接部９１２は、ロックバネ９２の付勢力により直動リンク８２のリンク突起８２３における第１傾斜面８２３ａを下っていき、リンク突起８２３の前側に位置する。当接部９１２がリンク突起８２３の前側に位置することで、当接部９１２と第２傾斜面８２３ｂとが係止して直動リンク８２の前方への移動が規制される。

【0166】

これにより、本体側リンク８がシャッタ６４を開位置に移動させた状態で、直動リンク８２がロック９により固定され、シャッタ６４が開位置から閉位置に不用意に移動することを抑制できる。つまり、ロック９においては、リンク突起８２３の前側に位置する当接部９１２がリンク突起８２３と係止することで直動リンク８２の移動を規制するため、シャッタ６４の開位置を安定して保持することができる。

【0167】

画像形成装置１においては、本体側リンク８および開閉リンク４は、当接片８０、第１回動リンク８１、直動リンク８２、第２回動リンク８３、シャッタリンク４１、リンクカム４２、およびコイルバネ４３といった多くの部品を連結して構成されている。従って、プロセスカートリッジ５０を装置本体２に装着したときのリンクカム４２の回動量に誤差が生じ、シャッタ６４が開位置へ移動した後に、リンクカム４２が本体側リンク８によってさらに第２方向Ｗ２へ回動されてしまうことがある。

【0168】

この場合、開閉リンク４においては、コイルバネ４３の第２バネ腕４３３が第２係止溝４２５の第２溝底４２５ａから離れる方向へ弾性変形することで、リンクカム４２のさらなる第２方向Ｗ２への回動動作が許容されている。従って、リンクカム４２は、シャッタ６４が開位置にある状態を維持したままで、シャッタ６４が開位置へ移動したときの回動位置からさらに第２方向Ｗ２へ回動することができる（図１３参照）。これにより、シャッタ６４が開位置へ移動した後に、リンクカム４２が本体側リンク８によってさらに第２方向Ｗ２へ回動された場合でも、開閉リンク４が破損することを抑制できる。

【0169】

プロセスカートリッジ５０を図２５に示す位置から装着位置へ向けてさらに挿入すると、ドラム軸５４ａはカートリッジレール２４１の中部２４１ｂから後部２４１ｃへ移動し、後部２４１ｃ内を装着方向へ移動する。一方、当接片８０は、第１突起８０３が当接片レール２４２の後部２４１ｃにある位置に留まり、当接片８０とドラム軸５４ａとは離間する。その後、プロセスカートリッジ５０は、図２６に示すように装着位置に到達し、装置本体２に装着された状態となる。

【0170】

このように、プロセスカートリッジ５０は、装着方向の先端５０Ａが装置本体２に挿入された装着開始位置から、装置本体２に装着された状態となる装着位置へ移動可能であり、プロセスカートリッジ５０が装着開始位置から装着位置へ至る過程において、当接片８０がプロセスカートリッジ５０のドラム軸５４ａと当接して移動することにより、シャッタ６４が閉位置から開位置へ移動し、さらに、シャッタ６４が開位置に移動した後にプロセスカートリッジ５０が装着位置に位置したときには、プロセスカートリッジ５０と当接片８０とは離間している。

【0171】

仮に、装着位置にあるプロセスカートリッジ５０が、シャッタ６４に連結されている本体側リンク８の当接片８０に当接していると、シャッタ６４に開閉方向の力がかかったときに、当接片８０からプロセスカートリッジ５０に不要な力がかかるおそれがある。しかし、装着位置にあるプロセスカートリッジ５０と当接片８０とは離間しているため、装置本体２に装着されたプロセスカートリッジ５０に当接片８０から不要な力がかかることがなく、本体側リンク８が印字精度に悪影響を及ぼすことを抑制可能である。

【0172】

（プロセスカートリッジ離脱時の動作）
次に、装着位置にあるプロセスカートリッジ５０を装置本体２から離脱させるときの本体側リンク８および開閉リンク４の動作について説明する。本体側リンク８および開閉リンク４は、プロセスカートリッジ５０を離脱させるときには、プロセスカートリッジ５０を装着するときの動作とは逆に動作する。

【0173】

図２６に示す装着位置にあるプロセスカートリッジ５０を装置本体２から前方へ向けて離脱させると、ドラム軸５４ａがカートリッジレール２４１の後部２４１ｃ内を離脱方向の下流側へ向けて移動する。なお、離脱方向とは、プロセスカートリッジ５０を装置本体２から離脱させる際に、装着本体２から抜き出されるプロセスカートリッジ５０が装着本体２の外部へ向けて移動する方向である。図２５に示すように、カートリッジレール２４１内を移動するドラム軸５４ａが中部２４１ｂ（貫通孔２４Ｃ）に達すると、ドラム軸５４ａが当接片８０の第２突起８０４に当接する。

【0174】

図２３に示すように、ドラム軸５４ａと当接した当接片８０は、ドラム軸５４ａにより押圧されてプロセスカートリッジ５０の離脱方向における下流側へ移動する。つまり、当接片８０は、第１突起８０３が当接片レール２４２の後部２４２ｃにある位置から中部２４２ｂ（貫通孔２４Ｃ）にある位置へ移動する。

【0175】

当接片８０が移動すると、第１回動リンク８１は水平方向に対する傾斜角度が大きくなる方向に回動しながら前方へ移動し、直動リンク８２は前方へ直線的に移動する。直動リンク８２が移動すると、直動リンク８２の連結孔８２２と第２回動リンク８３の係合ピン８３２ａとが係合して、第２回動リンク８３は係合ピン８３２ａが前方へ移動する方向に回動する。第２回動リンク８３が回動すると、第２回動リンク８３の連結孔８３３ａとリンクカム４２の突起４２２とが係合して、リンクカム４２は突起４２２が後方へ移動する方向である第１方向Ｗ１へ回動する。

【0176】

プロセスカートリッジ５０を装置本体２からさらに離脱させると、当接片８０は、カートリッジレール２４１の中部２４１ｂ（貫通孔２４Ｃ）内を移動するドラム軸５４ａによって、さらに離脱方向の下流側へ移動される。図２０に示すように、当接片８０が、第２突起８０４が当接片レール２４２の前部２４２ａに位置するまで移動すると、図７（ａ）に示すように、本体側リンク８および開閉リンク４を介して、係合部４１３が下方へ移動する方向へシャッタリンク４１が回動する。

【0177】

具体的には、当接片８０の移動により、リンクカム４２が第１方向Ｗ１へさらに回動する。リンクカム４２が第１方向Ｗ１へ回動すると、リンクカム４２の回動に沿ってコイルバネ４３が回動し、コイルバネ４３の第１バネ腕４３２がシャッタリンク４１のボス４１４を下方へ押圧する。第１バネ腕４３２がボス４１４を下方へ押圧することで、係合部４１３が下方へ移動する方向へシャッタリンク４１が回動する。これにより、シャッタ６４が開位置から閉位置へ移動する。

【0178】

画像形成装置１においては、プロセスカートリッジ５０を装置本体２から離脱したときのリンクカム４２の回動量に誤差が生じ、シャッタ６４が閉位置へ移動した後に、リンクカム４２が本体側リンク８によってさらに第１方向Ｗ１へ回動されてしまうことがある。

【0179】

この場合、開閉リンク４においては、コイルバネ４３の第１バネ腕４３２が第１係止溝４２４の第１溝底４２４ａから離れる方向へ弾性変形することで、リンクカム４２のさらなる第１方向Ｗ１への回動動作が許容されている。従って、リンクカム４２は、シャッタ６４が閉位置にある状態を維持したままで、シャッタ６４が閉位置へ移動したときの回動位置からさらに第１方向Ｗ１へ回動することができる（図１２参照）。これにより、シャッタ６４が閉位置へ移動した後に、リンクカム４２が本体側リンク８によってさらに第１方向Ｗ１へ回動された場合でも、開閉リンク４が破損することを抑制できる。

【0180】

また、プロセスカートリッジ５０が装置本体２から離脱して、リンクカム４２が第１位置に位置した状態でシャッタ６４が閉位置にあるときに、シャッタ６４がユーザ等によって開位置側へ押圧されることがある。このような場合は、図２７に示すように、リンクカム４２が回動することなく、コイルバネ４３の第１バネ腕４３２がシャッタリンク４１のボス４１４に押圧されて第１係止溝４２４の第１溝底４２４ａから離れる方向へ弾性変形することで、シャッタ６４が開位置へ移動することが可能である。

【0181】

この場合、シャッタリンク４１のボス４１４は、貫通孔４２３の第２端面４２３ｂに近づく第２方向Ｗ２へ移動するが、第２端面４２３ｂと接触することはなく、周方向においてボス４１４と第２端面４２３ｂとの間には隙間ｄが存在している。

【0182】

つまり、貫通孔４２３の第２端面４２３ｂは、リンクカム４２が第１位置に位置する状態で、シャッタ６４が閉位置から開位置に移動したときに、シャッタリンク４１のボス４１４と接触しない位置にある。これにより、リンクカム４２が第１位置に位置していてシャッタ６４が閉位置にあるときに、シャッタ６４が開位置へ移動したとしても、シャッタリンク４１のボス４１４がリンクカム４２と接触することがなく、開閉リンク４が損傷することを抑制できる。

【0183】

画像形成装置１においては、プロセスカートリッジ５０を装置本体２に装着するときに、ドラム軸５４ａが当接片８０の第１突起８０３に当接して、本体側リンク８によってシャッタ６４が閉位置から開位置へ移動する方向へ開閉リンク４を移動させる。また、プロセスカートリッジ５０を装置本体２から離脱させるときに、ドラム軸５４ａが当接片８０の第２突起８０４に当接して、本体側リンク８によってシャッタ６４が開位置から閉位置へ移動する方向へ開閉リンク４を移動させる。

【0184】

このように、本体側リンク８は、装置本体２に対して装着されるプロセスカートリッジ５０の装置本体２に対する着脱に応じて動作する。具体的には、本体側リンク８は、プロセスカートリッジ５０が装置本体２に装着されることに応じてシャッタリンク４１を第２方向Ｗ２に移動させ、プロセスカートリッジ５０が装置本体２から離脱させることに応じてシャッタリンク４１を第１方向Ｗ１に移動させる。これにより、本体側リンク８は、適切なタイミングで開閉リンク４を介してシャッタ６４を開閉動作させることが可能となっている。

【0185】

また、本実施形態においては、本体側リンク８は、プロセスカートリッジ５０の装置本体２に対する着脱に応じて動作するが、これに限るものではなく、ユーザにより操作される可動部材であるフロントカバー２１の開閉に応じて動作する等、他の可動部材と連動して動作するように構成することもできる。このように、リンクカム４２を移動させるための本体側リンク８は、種々の可動部材と連動して動作することが可能であり、画像形成装置１内におけるシャッタ６４の開閉操作を行う箇所の自由度を大きくすることが可能となっている。

【0186】

また、本実施形態においては、リンクカム４２及びシャッタリンク４１を介してシャッタ６４を開閉していたが、これに限るものではない。例えば、本体側リンク８とシャッタ６４との間に弾性変形可能な部材が連結していてもよい。例えば、ユーザにより操作される可動部材であるプロセスカートリッジ５０が引き出されると、本体側リンク８とともにシャッタ６４が閉じる方向に移動し、シャッタ６４が閉じて第１当接面６３１と当接後、さらに本体側リンク８が動くと、シャッタ６４が閉位置のまま、本体側リンク８とシャッタ６４との間の弾性変形部材が変形する構成であってもよい。

【0187】

また、リンクカム４２は、シャッタ６４が第１当接面６３１と当接して閉位置にある場合に、シャッタ６４を閉位置に維持したまま、第１方向Ｗ１への移動が許容されており、シャッタ６４が第２当接面６３２と当接して開位置にある場合に、シャッタ６４を開位置に維持したまま、第２方向への移動が許容されているが、これに限るものではない。リンクカム４２は、少なくともシャッタ６４を閉位置に維持したまま、第１方向Ｗ１への移動が許容されていればよく、シャッタ６４が第２当接面６３２と当接して開位置にある場合に、シャッタ６４を開位置に維持したまま、第２方向への移動は規制される構成であってもよい。

【0188】

また、本実施形態においては、リンクカム４２は、ニップ圧変更機構６６を操作する回転軸６５に支持される構成だが、これに限るものではない。例えば、リンクカム４２を支持する回転軸と別の回転軸によって、ニップ圧変更機構６６を操作してもよい。

【0189】

また、本実施形態においては、本体側リンク８は、当接片８０と、第１回動リンク８１と、直動リンク８２と、第２回動リンク８３とを有しているが、これに限るものではなく、１つのリンク部材で構成してもよい。

【符号の説明】

【0190】

１ 画像形成装置
２ 装置本体
４ 開閉リンク
６ 定着器
８ 本体側リンク
４１ シャッタリンク
４２ リンクカム
４３ コイルバネ
５０ プロセスカートリッジ
６１ 加熱部材
６２ 加圧ローラ
６３ 定着フレーム
６３ａ 第１開口
６４ シャッタ
６５ 回転軸
６６ ニップ圧変更機構
４１３ａ 長孔
４１４ ボス
４２１ リンクカム本体
４２１ａ 操作カム
４２２ 突起
４２３ 貫通孔
４２３ａ 第１端面
４２３ｂ 第２端面
４２４ 第１係止溝
４２４ａ 第１溝底
４２５ 第２係止溝
４２５ａ 第２溝底
４３１ コイル
４３２ 第１バネ腕
４３３ 第２バネ腕
６３１ 第１当接面
６３２ 第２当接面
６４１ 回動軸
６４２ 連結軸
ＮＰ ニップ点
Ｓ シート
Ｗ１ 第１方向
Ｗ２ 第２方向

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】

【図24】

【図25】

【図26】

【図27】