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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152163
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】船舶の制御システム及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   B63B 79/30 20200101AFI20231005BHJP
   B63H 25/04 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B63B79/30
B63H25/04 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062136
(22)【出願日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】原田 秀彦
(72)【発明者】
【氏名】安田 隼平
(72)【発明者】
【氏名】井上 良太
(57)【要約】
【課題】どのような環境で、どのように船舶推進器が使用されているのか、或いは、どのような不具合が発生しているかを示す情報を収集することで、ユーザの利便性を向上させる。
【解決手段】システムは、データ通信モジュールと、位置センサと、コントローラとを備える。位置センサは、船舶の位置を検出する。コントローラは、機能情報と、不具合情報と、運転情報との少なくとも1つを、データ通信モジュールを介して外部のコンピュータに送信する。機能情報では、使用された船舶推進器の自動制御機能と、自動制御機能が使用されたときの船舶の位置とが互いに対応付けられている。不具合情報では、発生した船舶推進器の不具合と、不具合が発生したときの船舶の位置とが互いに対応付けられている。運転情報では、ユーザによる船舶推進器の運転パターンと、運転パターンが行われたときの船舶の位置とが互いに対応付けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶推進器を含む船舶の制御システムであって、
外部のコンピュータと無線通信を行うデータ通信モジュールと、
前記船舶の位置を検出する位置センサと、
コントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記船舶の位置を取得し、
機能情報と、不具合情報と、運転情報との少なくとも1つを、前記データ通信モジュールを介して前記外部のコンピュータに送信し、
前記機能情報では、使用された前記船舶推進器の自動制御機能と、前記自動制御機能が使用されたときの前記船舶の位置とが互いに対応付けられており、
前記不具合情報では、発生した前記船舶推進器の不具合と、前記不具合が発生したときの前記船舶の位置とが互いに対応付けられており、
前記運転情報では、ユーザによる前記船舶推進器の運転パターンと、前記運転パターンが行われたときの前記船舶の位置とが互いに対応付けられている、
制御システム。
【請求項2】
前記機能情報は、前記自動制御機能が使用されたときの天候をさらに含む、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記自動制御機能は、前記船舶を所定の軌道で移動させるように前記船舶推進器を制御するオートパイロット機能を含み、
前記コントローラは、
使用された前記自動制御機能が前記オートパイロット機能であることを示す機能データと、前記オートパイロット機能が使用されたときの前記船舶の位置を示す位置データとを互いに対応付けて前記機能情報を生成し、
前記データ通信モジュールを介して、前記機能情報を前記外部のコンピュータに送信する、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項4】
前記自動制御機能は、前記船舶を所定の位置に保持するように前記船舶推進器を制御する定点保持機能を含み、
前記コントローラは、
使用された前記自動制御機能が前記定点保持機能であることを示す機能データと、前記定点保持機能が使用されたときの前記船舶の位置を示す位置データとを互いに対応付けて前記機能情報を生成し、
前記データ通信モジュールを介して、前記機能情報を前記外部のコンピュータに送信する、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項5】
前記不具合情報は、前記不具合が発生したときの天候をさらに含む、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項6】
前記船舶推進器は、駆動源を含み、
前記不具合は、前記駆動源のオーバーヒートを含み、
前記コントローラは、
発生した前記不具合が前記駆動源のオーバーヒートであることを示す不具合データと、前記オーバーヒートが発生したときの前記船舶の位置を示す位置データとを互いに対応付けて前記不具合情報を生成し、
前記データ通信モジュールを介して、前記不具合情報を前記外部のコンピュータに送信する、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項7】
前記船舶推進器は、駆動源を含み、
前記不具合は、前記駆動源の過回転を含み、
前記コントローラは、
発生した前記不具合が前記駆動源の過回転であることを示す不具合データと、前記過回転が発生したときの前記船舶の位置を示す位置データとを互いに対応付けて前記不具合情報を生成し、
前記データ通信モジュールを介して、前記不具合情報を前記外部のコンピュータに送信する、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項8】
前記運転情報は、前記運転パターンが行われたときの天候をさらに含む、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項9】
前記船舶は、前記船舶推進器の前進と後進とを切り替えるために操作されるシフト操作部材をさらに含み、
前記運転パターンは、ユーザによる前記シフト操作部材の操作を示し、
前記コントローラは、
前記シフト操作部材の操作を示す運転パターンデータと、前記シフト操作部材の操作が行われたときの前記船舶の位置を示す位置データとを互いに対応付けて前記運転情報を生成し、
前記データ通信モジュールを介して、前記運転情報を前記外部のコンピュータに送信する、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項10】
前記船舶は、前記船舶を前後左右に移動させるために操作されるジョイスティックをさらに含み、
前記運転パターンは、ユーザによる前記ジョイスティックの操作を示し、
前記コントローラは、
前記ジョイスティックの操作を示す運転パターンデータと、前記ジョイスティックの操作が行われたときの前記船舶の位置を示す位置データとを互いに対応付けて前記運転情報を生成し、
前記データ通信モジュールを介して、前記運転情報を前記外部のコンピュータに送信する、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項11】
船舶推進器を含む船舶を制御するための方法あって、
前記船舶の位置を取得することと、
機能情報と、不具合情報と、運転情報との少なくとも1つを、外部のコンピュータに送信すること、
を備え、
前記機能情報では、使用された前記船舶推進器の自動制御機能と、前記自動制御機能が使用されたときの前記船舶の位置とが互いに対応付けられており、
前記不具合情報では、発生した前記船舶推進器の不具合と、前記不具合が発生したときの前記船舶の位置とが互いに対応付けられており、
前記運転情報では、ユーザによる前記船舶推進器の運転パターンと、前記運転パターンが行われたときの前記船舶の位置とが互いに対応付けられている、
方法。
【請求項12】
前記機能情報は、前記自動制御機能が使用されたときの天候をさらに含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記自動制御機能は、前記船舶を所定の軌道で移動させるように前記船舶推進器を制御するオートパイロット機能を含み、
使用された前記自動制御機能が前記オートパイロット機能であることを示す機能データと、前記オートパイロット機能が使用されたときの前記船舶の位置を示す位置データとを互いに対応付けて前記機能情報を生成することと、
前記機能情報を前記外部のコンピュータに送信すること、
をさらに備える請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記自動制御機能は、前記船舶を所定の位置に保持するように前記船舶推進器を制御する定点保持機能を含み、
使用された前記自動制御機能が前記定点保持機能であることを示す機能データと、前記定点保持機能が使用されたときの前記船舶の位置を示す位置データとを互いに対応付けて前記機能情報を生成することと、
前記機能情報を前記外部のコンピュータに送信すること、
をさらに備える請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記不具合情報は、前記不具合が発生したときの天候をさらに含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記船舶推進器は、駆動源を含み、
前記不具合は、前記駆動源のオーバーヒートを含み、
発生した前記不具合が前記駆動源のオーバーヒートであることを示す不具合データと、前記オーバーヒートが発生したときの前記船舶の位置を示す位置データとを互いに対応付けて前記不具合情報を生成することと、
前記不具合情報を前記外部のコンピュータに送信すること、
をさらに備える請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記船舶推進器は、駆動源を含み、
前記不具合は、前記駆動源の過回転を含み、
発生した前記不具合が前記駆動源の過回転であることを示す不具合データと、前記過回転が発生したときの前記船舶の位置を示す位置データとを互いに対応付けて前記不具合情報を生成することと、
前記不具合情報を前記外部のコンピュータに送信すること、
をさらに備える請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記運転情報は、前記運転パターンが行われたときの天候をさらに含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記船舶は、前記船舶推進器の前進と後進とを切り替えるために操作されるシフト操作部材をさらに含み、
前記運転パターンは、ユーザによる前記シフト操作部材の操作を示し、
前記シフト操作部材の操作を示す運転パターンデータと、前記シフト操作部材の操作が行われたときの前記船舶の位置を示す位置データとを互いに対応付けて前記運転情報を生成することと、
前記運転情報を前記外部のコンピュータに送信すること、
をさらに備える請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記船舶は、前記船舶を前後左右に移動させるために操作されるジョイスティックをさらに含み、
前記運転パターンは、ユーザによる前記ジョイスティックの操作を示し、
前記ジョイスティックの操作を示す運転パターンデータと、前記ジョイスティックの操作が行われたときの前記船舶の位置を示す位置データとを互いに対応付けて前記運転情報を生成することと、
前記運転情報を前記外部のコンピュータに送信すること、
をさらに備える請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶の制御システム及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶の制御システムには、自動制御機能を有するものがある。制御システムは、自動制御機能において、船に取り付けられた船舶推進器を自動的に制御する。例えば、特許文献1の制御システムは、定点保持機能を有している。制御システムは、定点保持機能において、船舶が所定の位置に保持されるように、船舶推進器を制御する。
【0003】
また、上述した制御システムは、ユーザによって操作される操作部材を備えている。操作部材は、例えば、シフトレバー、ステアリングホイール、或いはジョイスティックを含む。ユーザは、シフトレバーを操作することで、船舶推進器の前進と後進とを切り替える。ユーザは、ステアリングホイールを操作することで、船舶を旋回させる。ユーザは、ジョイスティックを操作することで、船舶を前後左右に移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-168921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
陸上と比べて、海上では、環境の多様性が大きい。そのため、海上では、ユーザが、どのような環境で、どのような自動制御機能を使用しているか、或いは、どのような運転パターンで操作部材を操作しているのかを把握することは容易ではない。このようなユーザによる船舶推進器の使い方を把握できる情報は、ユーザの利便性を向上させるための情報となりうる。
【0006】
また、海上では、船舶に不具合が発生した場合に、不具合を解消することは容易ではない。どのような環境で、どのような不具合が発生しているかを把握できる情報を収集すれば、不具合の再発対応に役立てることができ、それによりユーザの利便性を向上させることができる。
【0007】
本発明の目的は、どのような環境で、どのように船舶推進器が使用されているのか、或いは、どのような不具合が発生しているかを示す情報を収集することで、ユーザの利便性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係るシステムは、船舶推進器を含む船舶の制御システムである。本態様に係るシステムは、データ通信モジュールと、位置センサと、コントローラとを備える。データ通信モジュールは、外部のコンピュータと無線通信を行う。位置センサは、船舶の位置を検出する。コントローラは、船舶の位置を取得する。コントローラは、機能情報と、不具合情報と、運転情報との少なくとも1つを、データ通信モジュールを介して外部のコンピュータに送信する。機能情報では、使用された船舶推進器の自動制御機能と、自動制御機能が使用されたときの船舶の位置とが互いに対応付けられている。不具合情報では、発生した船舶推進器の不具合と、不具合が発生したときの船舶の位置とが互いに対応付けられている。運転情報では、ユーザによる船舶推進器の運転パターンと、運転パターンが行われたときの船舶の位置とが互いに対応付けられている。
【0009】
本発明の他の態様に係る方法は、船舶推進器を含む船舶の制御方法である。本態様に係る方法は、船舶の位置を取得することと、機能情報と、不具合情報と、運転情報との少なくとも1つを、外部のコンピュータに送信すること、を備える。機能情報では、使用された船舶推進器の自動制御機能と、自動制御機能が使用されたときの船舶の位置とが互いに対応付けられている。不具合情報では、発生した船舶推進器の不具合と、不具合が発生したときの船舶の位置とが互いに対応付けられている。運転情報では、ユーザによる船舶推進器の運転パターンと、運転パターンが行われたときの船舶の位置とが互いに対応付けられている。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、機能情報と、不具合情報と、運転情報との少なくとも1つが、外部のコンピュータに送信される。機能情報では、使用された自動制御機能と、自動制御機能が使用されたときの船舶の位置とが互いに対応付けられている。不具合情報では、発生した不具合と、不具合が発生したときの船舶の位置とが互いに対応付けられている。運転情報では、運転パターンと、運転パターンが行われたときの船舶の位置とが互いに対応付けられている。従って、機能情報と、不具合情報と、運転情報との少なくとも1つが、外部のコンピュータによって収集されることで、ユーザの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る船舶を示す斜視図である。
図2】船舶推進器の側面図である。
図3】船舶の制御システムの構成を示す模式図である。
図4】ジョイスティックによる船舶推進器の制御を示す模式図である。
図5】ジョイスティックによる船舶推進器の制御を示す模式図である。
図6】オートパイロット機能における船舶の動きを示す図である。
図7】定点保持機能における船舶の動きを示す図である。
図8】機能情報のデータ構造を示す模式図である。
図9】不具合情報のデータ構造を示す模式図である。
図10】運転情報のデータ構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。図1は、実施形態に係る船舶推進器1a,1bが搭載された船舶100を示す斜視図である。船舶100は、複数の船舶推進器1a,1bを備えている。本実施形態において、船舶推進器1a,1bは、船外機である。船舶推進器1a,1bは、船舶100の船尾に取り付けられる。船舶推進器1a,1bは、船舶100の幅方向に並んで配置されている。具体的には、船舶推進器1aは、船舶100の左舷に配置される。船舶推進器1bは、船舶100の右舷に配置される。船舶推進器1a,1bは、それぞれ船舶100を推進させるスラストを発生させる。
【0013】
図2は、船舶推進器1aの側面図である。以下、船舶推進器1aの構造について説明するが、船舶推進器1bも船舶推進器1aの構造と同様である。船舶推進器1aは、ブラケット11aを介して船舶100に取り付けられる。ブラケット11aは、ステアリング軸12a回りに回転可能に船舶推進器1aを支持する。ステアリング軸12aは、船舶推進器1aの上下方向に延びている。
【0014】
船舶推進器1aは、駆動源2aと、ドライブ軸3aと、プロペラ軸4aと、シフト機構5aと、ハウジング10aとを含む。駆動源2aは、船舶100を推進させるスラストを発生させる。駆動源2aは、内燃エンジンである。駆動源2aは、クランク軸13aを含む。クランク軸13aは、船舶推進器1aの上下方向に延びている。
【0015】
ドライブ軸3aは、クランク軸13aに接続されている。ドライブ軸3aは、船舶推進器1aの上下方向に延びている。プロペラ軸4aは、船舶推進器1aの前後方向に延びている。プロペラ軸4aは、シフト機構5aを介して、ドライブ軸3aに接続されている。プロペラ軸4aにはプロペラ6aが取り付けられる。
【0016】
シフト機構5aは、前進ギア14aと、後進ギア15aと、ドッグクラッチ16aとを含む。シフト機構5aは、ドッグクラッチ16aによってギア14a,15aの接続が切り換えられることで、前進状態と、後進状態と、中立状態とに切り替えられる。シフト機構5aは、前進状態では、船舶100が前進する方向に、ドライブ軸3aからプロペラ軸4aへ回転を伝達する。シフト機構5aは、後進状態では、船舶100が後進する方向に、ドライブ軸3aからプロペラ軸4aへ回転を伝達する。シフト機構5aは、中立状態では、ドライブ軸3aからプロペラ軸4aへ回転を伝達しない。ハウジング10aは、駆動源2aと、ドライブ軸3aと、プロペラ軸4aと、シフト機構5aとを収容している。
【0017】
図3は、船舶100の制御システム20の構成を示す模式図である。図3に示すように、船舶推進器1aは、シフトアクチュエータ7aとステアリングアクチュエータ8aとを含む。
【0018】
シフトアクチュエータ7aは、シフト機構5aのドッグクラッチ16aに接続されている。シフトアクチュエータ7aは、ドッグクラッチ16aを動作させることで、ギア14a,15aの接続を切り換える。それにより、シフト機構5aが、前進状態と、後進状態と、中立状態とに切り替えられる。シフトアクチュエータ7aは、例えば電動モータである。ただし、シフトアクチュエータ7aは、電動シリンダ、油圧モータ、或いは油圧シリンダなどの他のアクチュエータであってもよい。
【0019】
ステアリングアクチュエータ8aは、船舶推進器1aに接続されている。ステアリングアクチュエータ8aは、船舶推進器1aをステアリング軸12a回りに回転させる。それにより、船舶推進器1aの舵角が変更される。ステアリングアクチュエータ8aは、例えば電動モータである。ただし、シフトアクチュエータ7aは、電動シリンダ、油圧モータ、或いは油圧シリンダなどの他のアクチュエータであってもよい。
【0020】
船舶推進器1aは、第1ECU9aを含む。第1ECU9aは、CPUなどのプロセッサと、RAMやROMなどのメモリとを含む。第1ECU9aは、船舶推進器1aを制御するためのプログラム及びデータを記憶している。第1ECU9aは、駆動源2aを制御する。
【0021】
船舶推進器1bは、駆動源2bと、シフトアクチュエータ7bと、ステアリングアクチュエータ8bと、第2ECU9bとを含む。船舶推進器1bの駆動源2b、シフトアクチュエータ7b、ステアリングアクチュエータ8b、及び第2ECU9bは、船舶推進器1aの駆動源2a、シフトアクチュエータ7a、ステアリングアクチュエータ8a、及び第1ECU9aと、それぞれ同様の構成である。
【0022】
制御システム20は、ステアリング操作装置24と、スロットル・シフト操作装置25と、ジョイスティック26とを含む。ステアリング操作装置24と、スロットル・シフト操作装置25と、ジョイスティック26とは、船舶100の操船席に配置されている。
【0023】
ステアリング操作装置24は、船舶推進器1a,1bの舵角を調整するために、ユーザによって操作可能である。ステアリング操作装置24は、例えばステアリングホイールを含む。ステアリング操作装置24は、ステアリング操作装置24の操作位置を示すステアリング信号を出力する。
【0024】
スロットル・シフト操作装置25は、第1スロットル・シフト操作部材25aと第2スロットル・シフト操作部材25bとを含む。第1スロットル・シフト操作部材25aと第2スロットル・シフト操作部材25bとは、例えばレバーである。ただし、第1スロットル・シフト操作部材25aと第2スロットル・シフト操作部材25bは、スイッチなどの他部材であってもよい。
【0025】
第1スロットル・シフト操作部材25aは、船舶推進器1aの出力回転速度を調整するために、ユーザによって操作可能である。また、第1スロットル・シフト操作部材25aは、船舶推進器1aを前進と後進とに切り替えるために、ユーザによって操作可能である。第1スロットル・シフト操作部材25aは、中立位置から前進位置と後進位置とに操作可能である。スロットル・シフト操作装置25は、第1スロットル・シフト操作部材25aの操作位置を示すスロットル信号を出力する。
【0026】
第2スロットル・シフト操作部材25bは、船舶推進器1bの出力回転速度を調整するために、ユーザによって操作可能である。また、第2スロットル・シフト操作部材25bは、船舶推進器1bを前進と後進とに切り替えるために、ユーザによって操作可能である。第2スロットル・シフト操作部材25bの構成は、第1スロットル・シフト操作部材25aと同様である。スロットル・シフト操作装置25は、第2スロットル・シフト操作部材25bの操作位置を示すスロットル信号を出力する。
【0027】
ジョイスティック26は、船舶100を前後左右に移動させるために、ユーザによって操作可能である。ジョイスティック26は、中立位置から前後左右に操作可能である。ジョイスティック26は、中立位置から全方向に操作可能であってもよい。ジョイスティック26は、船舶100を回頭させるために、ユーザによって操作可能である。ジョイスティック26は、中心軸Ax1回りに、捻り操作可能である。ジョイスティック26は、ジョイスティック26の操作位置を示すジョイスティック信号を出力する。
【0028】
制御システム20は、操船コントローラ30を含む。操船コントローラ30は、CPUなどのプロセッサと、RAMやROMなどのメモリと、HDD,SSDなどのストレージとを含む。操船コントローラ30は、船舶推進器1a及び船舶推進器1bを制御するためのプログラム及びデータを記憶している。操船コントローラ30は、第1、第2ECU9a,9bと有線、或いは無線を介して接続されている。操船コントローラ30は、ステアリング操作装置24、スロットル・シフト操作装置25、ジョイスティック26と、有線、或いは無線を介して接続されている。
【0029】
操船コントローラ30は、ステアリング操作装置24からステアリング信号を受信する。操船コントローラ30は、スロットル・シフト操作装置25からスロットル信号を受信する。操船コントローラ30は、ステアリング信号及びスロットル信号に基づいて、第1、第2ECU9a,9bへ指令信号を出力する。指令信号は、第1ECU9aを介して、シフトアクチュエータ7a、ステアリングアクチュエータ8aに送信される。指令信号は、第2ECU9bを介して、シフトアクチュエータ7b、ステアリングアクチュエータ8bに送信される。
【0030】
例えば、操船コントローラ30は、第1スロットル・シフト操作部材25aの操作位置に応じて、シフトアクチュエータ7aへの指令信号を出力する。それにより、船舶推進器1aの前進と後進とが切り替えられる。また、操船コントローラ30は、第1スロットル・シフト操作部材25aの操作位置に応じて、駆動源2aへのスロットル指令を出力する。第1ECU9aは、スロットル指令に応じて、船舶推進器1aの出力回転速度を制御する。
【0031】
操船コントローラ30は、第2スロットル・シフト操作部材25bの操作位置に応じて、シフトアクチュエータ7bへの指令信号を出力する。それにより、船舶推進器1bの前進と後進とが切り替えられる。また、操船コントローラ30は、第2スロットル・シフト操作部材25bの操作位置に応じて、駆動源2bへのスロットル指令を出力する。第2ECU9bは、スロットル指令に応じて、船舶推進器1bの出力回転速度を制御する。
【0032】
操船コントローラ30は、ステアリング操作装置24の操作位置に応じて、ステアリングアクチュエータ8a,8bへの指令信号を出力する。操船コントローラ30は、ステアリング操作装置24の操作位置に応じて、船舶推進器1aと船舶推進器1bとの舵角を制御する。
【0033】
ステアリング操作装置24が中立位置から左方に操作されると、操船コントローラ30は、船舶推進器1aと船舶推進器1bとが右方に回転するように、ステアリングアクチュエータ8a,8bを制御する。それにより、船舶100は左方に旋回する。ステアリング操作装置24が中立位置から右方に操作されると、操船コントローラ30は、船舶推進器1aと船舶推進器1bとが左方に回転するように、ステアリングアクチュエータ8a,8bを制御する。それにより、船舶100は右方に旋回する。
【0034】
操船コントローラ30は、ジョイスティック26の操作位置に応じて、駆動源2a,2bと、シフトアクチュエータ7a,7bと、ステアリングアクチュエータ8a,8bへの指令信号を出力する。ジョイスティック26が前後左右のいずれかの方向に操作された場合、操船コントローラ30は、ジョイスティック26の操作方向に応じた方向に船舶100が移動するように、船舶推進器1a,1bを制御する。
【0035】
例えば、ジョイスティック26が右方に操作された場合、操船コントローラ30は、図4に示すように、船舶推進器1aのスラストF1と船舶推進器1bのスラストF2との合力F3が、船舶100の重心G1を通り、且つ、右方を向くように、船舶推進器1a,1bのスラストF1,F2と舵角とを制御する。それにより、船舶100が、右方に平行移動する。同様に、ジョイスティック26が左方に操作された場合、操船コントローラ30は、船舶推進器1aのスラストF1と船舶推進器1bのスラストF2との合力F3が、船舶100の重心G1を通り、且つ、左方を向くように、船舶推進器1a,1bのスラストF1,F2と舵角とを制御する。
【0036】
ジョイスティック26が捻られた場合、操船コントローラ30は、ジョイスティック26の捻り方向に応じた方向に、船舶100を回頭するように、船舶推進器1a,1bを制御する。例えば、ジョイスティック26が時計回りに捻られた場合、操船コントローラ30は、図5に示すように、船舶推進器1aに前進のスラストを発生させ、船舶推進器1bに後進のスラストを発生させる。それにより、船舶100が時計回りに回頭する。同様に、ジョイスティック26が反時計回りに捻られた場合、操船コントローラ30は、船舶推進器1bに前進のスラストを発生させ、船舶推進器1aに後進のスラストを発生させる。それにより、船舶100が反時計回りに回頭する。
【0037】
図3に示すように、制御システム20は、ディスプレイ27と入力装置28とを含む。ディスプレイ27は、船舶推進器1a,1bに関する情報を表示する。ディスプレイ27は、ディスプレイ27に入力される画像信号に応じた画像を表示する。
【0038】
入力装置28は、ユーザによる入力を受け付ける。入力装置28は、ユーザによる入力を示す入力信号を出力する。入力装置28は、ジョイスティック26に配置されてもよい。或いは、入力装置28は、ジョイスティック26とは別に配置されてもよい。入力装置28は、スイッチを含む。入力装置28は、スイッチに限らず、タッチスクリーンなどの他の装置を含んでもよい。
【0039】
船舶推進器1aは、回転速度センサ17aと、温度センサ18aとを含む。回転速度センサ17aは、駆動源2aの出力回転速度を示す回転速度信号を出力する。温度センサ18aは、駆動源2aの温度を示す温度信号を出力する。操船コントローラ30は、回転速度センサ17aから回転速度信号を受信する。操船コントローラ30は、温度センサ18aから温度信号を受信する。
【0040】
船舶推進器1bは、回転速度センサ17bと、温度センサ18bとを含む。回転速度センサ17bは、駆動源2bの出力回転速度を示す回転速度信号を出力する。温度センサ18bは、駆動源2bの温度を示す温度信号を出力する。操船コントローラ30は、回転速度センサ17bから回転速度信号を受信する。操船コントローラ30は、温度センサ18bから温度信号を受信する。
【0041】
操船コントローラ30は、駆動源2aの出力回転速度に基づいて、駆動源2aの過回転を判定する。例えば、操船コントローラ30は、駆動源2aの出力回転速度が所定の回転速度閾値以上であるときに、駆動源2aの過回転が発生していると判定する。操船コントローラ30は、駆動源2aの過回転が発生していると判定したときには、ディスプレイ27に警告を表示する。或いは、操船コントローラ30は、駆動源2aの過回転が発生していると判定したときには、警告灯を表示させてもよい。操船コントローラ30は、駆動源2bについても同様に、駆動源2bの出力回転速度に基づいて、駆動源2bの過回転を判定する。
【0042】
操船コントローラ30は、駆動源2aの温度に基づいて、駆動源2aのオーバーヒートを判定する。例えば、操船コントローラ30は、駆動源2aの温度が所定の温度閾値以上であるときに、駆動源2aのオーバーヒートが発生していると判定する。操船コントローラ30は、駆動源2aのオーバーヒートが発生していると判定したときには、ディスプレイ27に警告を表示する。或いは、操船コントローラ30は、駆動源2aのオーバーヒートが発生していると判定したときには、警告灯を表示させてもよい。操船コントローラ30は、駆動源2bについても同様に、駆動源2bの温度に基づいて、駆動源2bのオーバーヒートを判定する。
【0043】
制御システム20は、位置センサ31を含む。位置センサ31は、船舶100の位置を検出する。位置センサ31は、例えばGPS(Global Positioning System)などのGNSS(Global Navigation Satellite System)の受信機である。ただし、位置センサ31は、GNSSの受信機以外センサであってもよい。位置センサ31は、船舶100の位置を示す位置信号を出力する。操船コントローラ30は、位置センサ31と通信可能に接続されている。操船コントローラ30は、位置センサ31からの位置信号により、船舶100の位置を取得する。また、操船コントローラ30は、位置センサ31からの位置信号により、船舶100の速度を取得する。制御システム20は、船舶100の速度を検出するための別途のセンサを含んでもよい。
【0044】
制御システム20は、方位センサ32を含む。方位センサ32は、船舶100の船首の方位を検出する。方位センサ32は、例えば、IMU(inertial measurement unit)である。ただし、方位センサ32は、IMU以外のセンサであってもよい。方位センサ32は、船舶100の船首の方位を示す方位信号を出力する。操船コントローラ30は、方位センサ32と通信可能に接続されている。操船コントローラ30は、方位センサ32からの方位信号により、船舶100の方位を取得する。
【0045】
操船コントローラ30は、船舶100の自動制御機能を有している。操船コントローラ30は、船舶100の位置と方位とに基づいて、自動制御機能により、船舶100の自動制御を行う。入力装置28は、自動制御機能を選択するためにユーザによって操作可能である。入力装置28は、ユーザによって選択された自動制御機能を示す入力信号を出力する。操船コントローラ30は、入力装置28から入力信号を受信する。操船コントローラ30は、選択された自動制御機能に応じて船舶100の自動制御を行う。
【0046】
自動制御機能は、オートパイロット機能と、定点保持機能とを含む。オートパイロット機能では、操船コントローラ30は、船舶100を所定の軌道で移動させるように、船舶推進器1a,1bを制御する。定点保持機能では、操船コントローラ30は、船舶100を所定の位置に保持するように、船舶推進器1a,1bを制御する。
【0047】
図6に示すように、オートパイロット機能では、操船コントローラ30は、船舶100が、設定されたルートR1に従って移動するように、船舶推進器1a,1bを制御する。ユーザは、入力装置28を用いて、ルートR1を設定する。詳細には、ユーザは、入力装置28を用いて、最終目的地P4を含む複数の目標地点P1-P4を指定する。例えば、ユーザは、ディスプレイ27上に表示される地図上の任意の目標地点P1-P4を選択する。入力装置28は、選択された複数の目標地点P1-P4を示す操作信号を出力する。目標地点は1つであってもよい。操船コントローラ30は、目標地点P1-P4を通るルートR1を演算する。操船コントローラ30は、ルートR1に沿って船舶100が移動するように、船舶推進器1a,1bのスラストと舵角とを制御する。
【0048】
図7に示すように、定点保持機能では、操船コントローラ30は、船舶100の船首を目標方位H1に維持しながら、船舶100を設定位置P0に保持する。例えば、操船コントローラ30は、入力装置28によって定点保持機能が選択されたときの船舶100の方位を目標方位H1として決定する。操船コントローラ30は、入力装置28によって定点保持機能が選択されたときの船舶100の位置を、設定位置P0として決定する。操船コントローラ30は、船舶100の船首を目標方位H1に維持しながら、船舶100を設定位置P0に保持するように、船舶推進器1a,1bのスラストと舵角とを制御する。
【0049】
制御システム20は、データ通信モジュール(以下、DCM)33を含む。DCM33は、外部のコンピュータと無線通信を行う。例えば、DCM33は、モバイル通信網200を介して、外部のコンピュータとデータ通信可能である。モバイル通信網200は、例えば3G、4G、或いは5Gなどのモバイル通信システムのネットワークである。DCM33は、サーバ201と通信可能である。DCM33は、ユーザ端末202と通信可能である。ユーザ端末202は、例えばスマートフォン、タブレット、或いはパーソナルコンピュータであってもよい。DCM33は、サーバ201を介して、ユーザ端末202と通信可能であってもよい。
【0050】
操船コントローラ30は、DCM33を介して、機能情報と、不具合情報と、運転情報とを、サーバ201に送信する。機能情報では、使用された自動制御機能と、自動制御機能が使用されたときの船舶100の位置とが互いに対応付けられている。図8は、機能情報40のデータ構造を示す模式図である。図8に示すように機能情報40は、識別データ41と、時間データ42と、機能データ43と、位置データ44と、天候データ45とを含む。
【0051】
識別データ41は、船舶100の識別子を示す。例えば、識別データ41は、船舶100の識別番号であってもよい。或いは、識別データ41は、船舶100の種類を示す識別子であってもよい。時間データ42は、自動制御機能が使用された日時を示す。機能データ43は、船舶100において使用された自動制御機能を示す。位置データ44は、自動制御機能が使用されたときの船舶100の位置を示す。位置データ44は、例えば船舶100の位置の経度と緯度とを含む。天候データ45は、自動制御機能が使用されたときの船舶100の周囲の天候を示す。天候データ45は、例えば、天気、気圧、降水量、気温、風向・風速を含む。天気は、例えば、晴、曇、雨、霧などで示される。
【0052】
例えば、オートパイロット機能が使用された場合には、操船コントローラ30は、識別データ41と、オートパイロット機能が使用された日時を示す時間データ42と、オートパイロット機能を示す機能データ43と、オートパイロット機能が使用されたときの船舶100の位置を示す位置データ44と、オートパイロット機能が使用されたときの天候を示す天候データ45とを、互いに結合して機能情報40を生成する。
【0053】
定点保持機能が使用された場合には、操船コントローラ30は、識別データ41と、定点保持機能が使用された日時を示す時間データ42と、定点保持機能を示す機能データ43と、定点保持機能が使用されたときの船舶100の位置を示す位置データ44と、定点保持機能が使用されたときの天候を示す天候データ45とを、互いに結合して機能情報40を生成する。
【0054】
そして、操船コントローラ30は、DCM33を介して、生成した機能情報40をサーバ201に送信する。操船コントローラ30は、複数の機能情報40を蓄積しておき、所定周期ごとに蓄積された機能情報40をサーバ201に送信してもよい。操船コントローラ30は、サーバ201、或いは、ユーザ端末202からの要求に応じて、機能情報40をサーバ201に送信してもよい。操船コントローラ30は、機能情報40を生成するたびに、機能情報40をサーバ201に送信してもよい。
【0055】
不具合情報では、発生した船舶推進器の不具合と、不具合が発生したときの船舶100の位置とが互いに対応付けられている。図9は、不具合情報50のデータ構造を示す模式図である。図9に示すように不具合情報50は、識別データ51と、時間データ52と、不具合データ53と、位置データ54と、天候データ55とを含む。
【0056】
識別データ51は、機能情報40の識別データ41と同様である。時間データ52は、不具合が発生した日時を示す。不具合データ53は、船舶推進器1a,1bにおいて発生した不具合を示す。位置データ54は、不具合が発生したときの船舶100の位置を示す。天候データ55は、不具合が発生したときの船舶100の周囲の天候を示す。
【0057】
例えば、駆動源2aのオーバーヒートが発生した場合には、操船コントローラ30は、識別データ51と、オーバーヒートが発生した日時を示す時間データ52と、オーバーヒートを示す不具合データ53と、オーバーヒートが発生したときの船舶100の位置を示す位置データ54と、オーバーヒートが発生したときの天候を示す天候データ55とを、互いに結合して不具合情報50を生成する。
【0058】
駆動源2aの過回転が発生した場合には、操船コントローラ30は、識別データ51と、過回転が発生した日時を示す時間データ52と、過回転を示す不具合データ53と、過回転が発生したときの船舶100の位置を示す位置データ54と、過回転が発生したときの天候を示す天候データ55とを、互いに結合して不具合情報50を生成する。
【0059】
そして、操船コントローラ30は、DCM33を介して、生成した不具合情報50をサーバ201に送信する。操船コントローラ30は、複数の不具合情報50を蓄積しておき、所定周期ごとに蓄積された機能情報40をサーバ201に送信してもよい。操船コントローラ30は、サーバ201、或いは、ユーザ端末202からの要求に応じて、不具合情報50をサーバ201に送信してもよい。操船コントローラ30は、不具合情報50を生成するたびに、不具合情報50をサーバ201に送信してもよい。
【0060】
運転情報では、ユーザによる船舶推進器1a,1bの運転パターンと、運転パターンが行われたときの船舶100の位置とが互いに対応付けられている。図10は、運転情報60のデータ構造を示す模式図である。図9に示すように運転情報60は、識別データ61と、時間データ62と、運転パターンデータ63と、位置データ64と、天候データ65とを含む。
【0061】
識別データ61は、機能情報40の識別データ41と同様である。時間データ62は、ユーザによる船舶推進器1a,1bの運転が行われた日時を示す。運転パターンデータ63は、ユーザによる船舶推進器1a,1bの運転を示す。ユーザによる船舶推進器1a,1bの運転とは、ステアリング操作装置24、スロットル・シフト操作装置25、及びジョイスティック26の操作内容、及び、それらの組み合わせを示す。位置データ64は、ユーザによる船舶推進器1a,1bの運転が行われたたときの船舶100の位置を示す。天候データ65は、ユーザによる船舶推進器1a,1bの運転が行われたときの船舶100の周囲の天候を示す。
【0062】
例えば、ユーザによるスロットル・シフト操作部材25a,25bの操作が行われた場合には、操船コントローラ30は、識別データ61と、スロットル・シフト操作部材25a,25bの操作が行われた日時を示す時間データ62と、スロットル・シフト操作部材25a,25bの操作を示す運転パターンデータ63と、スロットル・シフト操作部材25a,25bの操作が行われたときの船舶100の位置を示す位置データ64と、スロットル・シフト操作部材25a,25bの操作が行われたときの天候を示す天候データ65とを、互いに結合して運転情報60を生成する。
【0063】
ユーザによるステアリング操作装置24の操作が行われた場合には、操船コントローラ30は、識別データ61と、ステアリング操作装置24の操作が行われた日時を示す時間データ62と、ステアリング操作装置24の操作を示す運転パターンデータ63と、ステアリング操作装置24の操作が行われたときの船舶100の位置を示す位置データ64と、ステアリング操作装置24の操作が行われたときの天候を示す天候データ65とを、互いに結合して運転情報60を生成する。
【0064】
ユーザによるジョイスティック26の操作が行われた場合には、操船コントローラ30は、識別データ61と、ジョイスティック26の操作が行われた日時を示す時間データ62と、ジョイスティック26の操作を示す運転パターンデータ63と、ジョイスティック26の操作が行われたときの船舶100の位置を示す位置データ64と、ジョイスティック26の操作が行われたときの天候を示す天候データ65とを、互いに結合して運転情報60を生成する。
【0065】
そして、操船コントローラ30は、DCM33を介して、生成した運転情報60をサーバ201に送信する。操船コントローラ30は、複数の運転情報60を蓄積しておき、所定周期ごとに蓄積された機能情報40をサーバ201に送信してもよい。操船コントローラ30は、サーバ201、或いは、ユーザ端末202からの要求に応じて、運転情報60をサーバ201に送信してもよい。操船コントローラ30は、運転情報60を生成するたびに、運転情報60をサーバ201に送信してもよい。
【0066】
サーバ201は、機能情報40を操船コントローラ30から受信する。サーバ201は、受信した機能情報40を、機能情報40のデータベースに記録して蓄積する。サーバ201は、不具合情報50を操船コントローラ30から受信する。サーバ201は、受信した不具合情報50を、不具合情報50のデータベースに記録して蓄積する。サーバ201は、運転情報60を操船コントローラ30から受信する。サーバ201は、受信した運転情報60を、運転情報60のデータベースに記録して蓄積する。
【0067】
本実施形態に係る制御システム20では、機能情報40と、不具合情報50と、運転情報60とが、サーバ201に送信される。機能情報40では、使用された自動制御機能と、自動制御機能が使用されたときの船舶100の位置とが互いに対応付けられている。不具合情報50では、発生した不具合と、不具合が発生したときの船舶100の位置とが互いに対応付けられている。運転情報60では、運転パターンと、運転パターンが行われたときの船舶100の位置とが互いに対応付けられている。従って、機能情報40と、不具合情報50と、運転情報60とが、サーバ201によって収集されることで、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0068】
例えば、サーバ201は、様々な船舶100からの不具合情報50を分析することで、特定の不具合が多く発生している地域を特定してもよい。サーバ201は、特定した地域を示すマップをインターネットのウェブサイト、ユーザ端末202のアプリケーション、或いはディスプレイ27に表示してもよい。或いは、サーバ201は、特定した地域を通る船舶100に対して、警告を送信してもよい。
【0069】
サーバ201は、特定の船舶100の運転情報60を分析することで、特定の船舶100に対して、船舶100の適切な運転方法を提案してもよい。例えば、ユーザが手動で船舶100を定点に保持するように運転している場合に、サーバ201は、定点保持機能の利用をユーザに提案してもよい。サーバ201は、ディスプレイ27、或いはユーザ端末202のアプリケーションへの表示、或いは電子メールの送信によって、適切な運転方法を提案してもよい。
【0070】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0071】
船舶推進器1a,1bは、船外機に限らず、船内外機、或いはジェット推進器などの他の推進器であってもよい。船舶推進器1a,1bの構造は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、駆動源2a,2bは、電動モータであってもよい。船舶推進器の数は、2つに限らない。船舶推進器の数は、1つであってもよく、2つより多くてもよい。
【0072】
操船コントローラ30は、機能情報40と、不具合情報50と、運転情報60との一部のみを生成して、サーバ201に送信してもよい。機能情報40と、不具合情報50と、運転情報60とは、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、識別データ、時間データ、或いは天候データは、省略されてもよい。自動制御機能は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、自動制御機能は、ジグザグ状、或いは、らせん状などの特定の軌道で船舶100を移動させるパターン制御機能を含んでもよい。
【0073】
不具合情報50は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、不具合情報50は、エンストの発生、或いは船舶100のジャンプなどの他の不具合を含んでもよい。運転情報60は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、ステアリング操作装置24の操作は省略されてもよい。スロットル・シフト操作装置25の操作は、省略されてもよい。ジョイスティック26の操作は、省略されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明によれば、どのような環境で、どのように船舶推進器が使用されているのか、或いは、どのような不具合が発生しているかを示す情報が収集されることで、ユーザの利便性が向上する。
【符号の説明】
【0075】
1a:船舶推進器
2a:駆動源
25a:スロットル・シフト操作部材
26:ジョイスティック
30:コントローラ
31:位置センサ
33:データ通信モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10