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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152172
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/17 20060101AFI20231005BHJP
   B41J 2/165 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B41J2/17 207
B41J2/17 203
B41J2/165 211
B41J2/165 303
B41J2/17 103
B41J2/165 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062148
(22)【出願日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】小林 和馬
(72)【発明者】
【氏名】川越 政子
(72)【発明者】
【氏名】白井 陽久
(72)【発明者】
【氏名】市川 翔平
(72)【発明者】
【氏名】中村 文哉
(72)【発明者】
【氏名】三枝 一茂
(72)【発明者】
【氏名】橋本 麻美
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056EA27
2C056FA10
2C056JA01
2C056JA13
2C056JB04
2C056JB15
2C056JC10
2C056JC11
2C056JC13
2C056JC15
2C056JC17
2C056JC23
2C056JC25
(57)【要約】
【課題】廃液タンクの構成を簡易にすることを目的とする。
【解決手段】液体吐出装置は、第1廃液回収部及び第2廃液回収部から排出された液体を溜める第1廃液貯留部(78)と、第1廃液貯留部(78)の内部に溜められた液体を外部に排出するための排出部と、を有する中間タンク(70)と、前記排出部から排出された液体を溜めるための第2廃液貯留部(88)を有し、前記本体筐体に対して挿抜可能に設けられている廃液タンクと、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体筐体と、
液体を吐出する液体吐出部と、
前記液体吐出部からの液体を回収する第1廃液回収部及び第2廃液回収部と、
前記第1廃液回収部及び前記第2廃液回収部から排出された液体を溜める第1廃液貯留部と、前記第1廃液貯留部の内部に溜められた液体を外部に排出するための排出部と、を有する中間タンクと、
前記排出部から排出された液体を溜めるための第2廃液貯留部を有し、前記本体筐体に対して挿抜可能に設けられている廃液タンクと、を備える、ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記排出部は、前記廃液タンクと当接することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記中間タンクは、前記第1廃液回収部及び前記第2廃液回収部から排出された液体を吸収する第1廃液吸収体を有し、
前記排出部は、前記第1廃液吸収体に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記廃液タンクは、前記排出部と当接可能であり、前記排出部から排出された液体を吸収する第2廃液吸収体を有することを特徴とする請求項2または3に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記第1廃液吸収体には、前記廃液タンク側に突出する凸部が前記排出部として設けられていることを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記廃液タンクには、切欠きが形成され、
前記切欠きは、前記廃液タンクの挿抜方向において、前記本体筐体の内部側に位置していることを特徴とする請求項5に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記液体吐出部は、液体を吐出するノズルを有する記録ヘッドであることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記第1廃液回収部は、搬送される記録媒体を支持するプラテンであることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記第1廃液回収部は、前記本体筐体内に生じたミスト状の液体を吸引するダクトであることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記第1廃液回収部は、前記ノズルのノズル面を覆うことで前記ノズルを封止するキャップであることを特徴とする請求項7に記載の液体吐出装置。
【請求項11】
前記第1廃液回収部は、前記ノズル内の液体を吸引する吸引ポンプであることを特徴とする請求項7に記載の液体吐出装置。
【請求項12】
前記第1廃液回収部は、前記ノズルに付着した液体を除去するワイパであることを特徴とする請求項7に記載の液体吐出装置。
【請求項13】
制御部を更に備え、
前記中間タンクの前記ノズルと対向する部分には開口が形成され、
前記制御部は、
前記開口に向けて前記ノズルから液体を吐出させるフラッシング処理を実行する
ことを特徴とする請求項7に記載の液体吐出装置。
【請求項14】
前記液体吐出装置の高さ方向において前記中間タンクの上方に設けられ、前記フラッシング処理にて吐出された液体を前記開口に案内する廃液ガイドを更に有し、
前記本体筐体を上面視したとき、前記廃液ガイドの前記中間タンク側の端部は、前記開口と重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項13に記載の液体吐出装置。
【請求項15】
前記液体吐出部は、液体を吐出するノズルに付着した液体を除去するワイパを洗浄するための洗浄液を噴射する洗浄液噴射ノズルであり、
前記第1廃液回収部は、内部に前記洗浄液を貯留するための開口が形成された筐体を有する液体貯留部である、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記録媒体への画像記録に用いられなかった液体(例えば、ノズルに残存するインク等)を廃液として貯留し、装置本体から着脱可能な廃液貯留部を備える液体吐出装置が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、装置の筐体に対して着脱可能な廃液収容体を備える液体噴射装置について開示がされている。液体噴射装置が備えるメンテナンス部により吸引されたインク(廃液)は、排出部により導かれて、廃液収容体に収容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-202648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の液体噴射装置において、メンテナンス部に加え、他の機構からも廃液を回収しようとすると、廃液回収体の構成が複雑になる可能性がある。
【0006】
本発明の一態様は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、廃液タンクの構成を簡易にすることができる液体吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る液体吐出装置は、本体筐体と、液体を吐出する液体吐出部と、前記液体吐出部からの液体を回収する第1廃液回収部及び第2廃液回収部と、前記第1廃液回収部及び前記第2廃液回収部から排出された液体を溜める第1廃液貯留部と、前記第1廃液貯留部の内部に溜められた液体を外部に排出するための排出部と、を有する中間タンクと、前記排出部から排出された液体を溜めるための第2廃液貯留部を有し、前記本体筐体に対して挿抜可能に設けられている廃液タンクと、を備える。
【0008】
上記した構成によれば、第1廃液回収部および第2廃液回収部から排出された液体を中間タンクに集約することができる。そのため、第1廃液回収部から排出された液体を受容するための部分及び第2廃液回収部から排出された液体を受容するため部分を廃液タンクに設ける必要が無い。これにより、廃液タンクの構造を簡易にすることができる。
【0009】
本開示の態様2に係る液体吐出装置は、上記の態様1において、前記排出部は、前記廃液タンクと当接する構成としてもよい。上記構成によれば、中間タンクが有する排出部が廃液タンクと当接する。そのため、排出部から排出される液体は、廃液タンクを構成する部材を伝って、第2廃液貯留部に溜められる。そのため、中間タンク及び廃液タンクの外部に液体が漏れてしまうことを防ぐことができる。
【0010】
本開示の態様3に係る液体吐出装置は、上記の態様2において、前記中間タンクは、前記第1廃液回収部及び前記第2廃液回収部から排出された液体を吸収する第1廃液吸収体を有し、前記排出部は、前記第1廃液吸収体に形成されている構成としてもよい。
【0011】
上記構成によれば、中間タンクが有する第1廃液吸収体には排出部が設けられている。そのため、第1廃液貯留部により液体を保持することができる。これにより、中間タンクが動くことにより、液体の滴が周囲に飛んでしまうことを防ぐことができる。
【0012】
本開示の態様4に係る液体吐出装置は、上記の態様2または3において、前記廃液タンクは、前記排出部と当接可能であり、前記排出部から排出された液体を吸収する第2廃液吸収体を有する構成としてもよい。
【0013】
上記構成によれば、廃液タンク80は、中間タンク70が有する第1廃液吸収体73当接する第2廃液吸収体82を有する。そのため、第2廃液貯留部88により液体を保持することができる。これにより、廃液タンク80が動くことにより、液体の滴が周囲に飛んでしまうことを防ぐことができる。
【0014】
本開示の態様5に係る液体吐出装置は、上記の態様3において、前記第1廃液吸収体には、前記廃液タンク側に突出する凸部が前記排出部として設けられている構成としてもよい。上記構成によれば、第1廃液貯留部内の液体は第2廃液吸収体と当接する凸部から、第2廃液吸収体82へ伝わる。これにより、中間タンク及び廃液タンクから液体が外部に漏れてしまうことを防ぐことができる。
【0015】
本開示の態様6に係る液体吐出装置は、上記の態様5において、前記廃液タンクには、切欠きが形成され、前記切欠きは、前記廃液タンクの挿抜方向において、前記本体筐体の内部側に位置している構成としてもよい。
【0016】
上記構成によれば、廃液タンクには切欠きが形成されている。そのため、廃液タンクを着脱する際、中間タンクの凸部が廃液タンクと接触することがない。これにより、廃液タンクの外部に液体が付着することを防ぐことができる。
【0017】
本開示の態様7に係る液体吐出装置は、上記の態様1において、前記液体吐出部は、液体を吐出するノズルを有する記録ヘッドであってもよい。上記構成によれば、記録ヘッドが起因となり、発生した液体を中間タンクに溜めることができる。
【0018】
本開示の態様8に係る液体吐出装置は、上記の態様1において、前記第1廃液回収部は、前記ノズルと対向する位置において、傾斜面を有するように設けられ、搬送される記録媒体を支持するプラテンであってもよい。上記構成によれば、プラテン上に排出された液体を中間タンクに溜めることができる。
【0019】
本開示の態様9に係る液体吐出装置は、上記の態様1において、前記第1廃液回収部は、前記本体筐体内に生じたミスト状の液体を吸引するダクトであってもよい。上記構成によれば、ダクトにより吸引された液体を中間タンクに溜めることができる。
【0020】
本開示の態様10に係る液体吐出装置は、上記の態様7において、前記第1廃液回収部は、前記ノズルのノズル面を覆うことで前記ノズルを封止するキャップであってもよい。上記構成によれば、キャップにより回収された液体を中間タンクに溜めることができる。
【0021】
本開示の態様11に係る液体吐出装置は、上記の態様7において、前記第1廃液回収部は、前記ノズル内の液体を吸引する吸引ポンプであってもよい。上記構成によれば、吸引ポンプにより回収された液体を中間タンクに溜めることができる。
【0022】
本開示の態様12に係る液体吐出装置は、上記の態様7において、前記第1廃液回収部は、前記ノズルに付着した液体を除去するワイパであってもよい。上記構成によれば、ワイパにより除去された液体を中間タンクに溜めることができる。
【0023】
本開示の態様13に係る液体吐出装置は、上記の態様7において、制御部を更に備え、 前記中間タンクの前記ノズルと対向する部分には開口が形成され、前記制御部は、前記開口に向けて前記ノズルから液体を吐出させるフラッシング処理を実行する構成としてもよい。上記構成によれば、フラッシング処理により、ノズルから吐出された液体を中間タンクに溜めることができる。
【0024】
本開示の態様14に係る液体吐出装置は、上記の態様13において、前記液体吐出装置の高さ方向において前記中間タンクの上方に設けられ、前記フラッシング処理にて吐出された液体を前記開口に案内する廃液ガイドを更に有し、前記廃液ガイド側から平面視したとき、前記廃液ガイドの前記中間タンク側の端部は、前記開口と重なる位置に配置されている構成としてもよい。
【0025】
上記構成によれば、フラッシング処理において吐出された液体を廃液ガイドにより中間タンクに形成された開口に案内することができる。これにより、ノズルから吐出された液体が中間タンクの外部に漏れるのを防ぐことができる。
【0026】
本開示の態様15に係る液体吐出装置は、上記の態様1において、前記液体吐出部は、液体を吐出するノズルに付着した液体を除去するワイパを洗浄するための洗浄液を噴射する洗浄液噴射ノズルであり、前記第1廃液回収部は、内部に前記洗浄液を貯留するための開口が形成された筐体を有する液体貯留部であってもよい。
【0027】
上記構成によれば、液体貯留部内に貯留された液体を中間タンクに排出することができる。これにより、洗浄液噴射ノズルから噴射された洗浄液を中間タンクに溜めることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一態様によれば、廃液タンクの構成を簡易にすることができる液体吐出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施形態1に係るインクジェットプリンタの外観斜視図である。
図2】実施形態1に係るインクジェットプリンタの内部構成の概略を示す断面図である。
図3】実施形態1に係るインクジェットプリンタの要部構成を前面から見た概略図である。
図4】実施形態1に係るインクジェットプリンタの要部構成を上面から見た概略図である。
図5図3に示した中間タンク、廃液タンク及び廃液ガイドの構成の概要を示す図である。
図6】中間タンク及び廃液タンクの構成の変形例を示す図である。
図7】実施形態2に係るインクジェットプリンタの要部構成を左側面から見た概略図である。
図8】実施形態2に係るインクジェットプリンタの要部構成を上面から見た概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0031】
図1は、インクジェットプリンタ1の外観斜視図である。図1に示すインクジェットプリンタ1は、液体吐出装置の一例である。以下の説明では、図1等に示すようにインクジェットプリンタ1が使用可能に設置された状態を基準として、設置面側を下として上下方向を定義し、開口20が設けられている側を前として前後方向を定義し、前方からインクジェットプリンタ1を視て左側を左として左右方向を定義する。なお、左右方向は後述するキャリッジ40(図2参照)の移動方向である走査方向と称する場合がある。
【0032】
図1に示すように、インクジェットプリンタ1は、本体筐体11とインクジェットプリンタ1の上方に積層されたスキャナ筐体12とによって、全体として略直方体形状を形成している。
【0033】
本体筐体11の前面には、操作パネル13と、カートリッジカバー14と、が設けられている。操作パネル13は、各種操作ボタンおよび液晶表示部を有する。カートリッジカバー14は、本体筐体11に対して、回動可能に設けられている。カートリッジカバー14の内部には、カートリッジケース(図示せず)に装着されたインクカートリッジ(図示せず)が配置されている。また、本体筐体11の前面には、開口20が形成されており、給送トレイ21および排出トレイ22は、本体筐体11の前面に形成された開口20を通じてインクジェットプリンタ1に対して着脱可能に設けられている。スキャナ筐体12は、シートPに記録された画像を読み取るスキャナを有している。
【0034】
本体筐体11の左右方向における側面には、タンク交換部15が設けられている。本実施形態においては左側面に設けられている。タンク交換部15は、本体筐体11に対して、回動可能な蓋部により構成されており、蓋部を開閉することにより、本体筐体11に対して廃液タンク80の挿抜が可能となるように構成されている。本実施形態においては、本体筐体11の後方から廃液タンク80の挿抜が可能である。
【0035】
なお、タンク交換部15は、蓋部を開閉する構成に限定するものではない。例えば、廃液タンク80と、蓋部を有する廃液タンク80の保持部と、により本体筐体11に対して着脱可能な廃液タンク80ユニットを挿抜する構成であってもよい。この場合、廃液タンク80ユニットを本体筐体11から抜き取ると、タンク交換部15には廃液タンク80ユニットの形状に対応する開口が露出する。また、露出した開口に対して廃液タンク80ユニットを挿入すると、廃液タンク80ユニットが有する蓋部により、露出した開口は塞がれる。
【0036】
(インクジェットプリンタ1の内部構成)
次に、インクジェットプリンタ1の内部構成について、図2を用いて説明する。図2は、インクジェットプリンタ1の内部構成の概略を示す断面図である。
【0037】
図2に示すように、インクジェットプリンタ1は、給送部3と、記録部4と、搬送機構5と、制御装置100と、を備えている。
【0038】
給送部3は、軸30と、給送アーム31と、給送ローラ32と、を有している。給送部3は、給送ローラ32の正回転によって、給送トレイ21に収容されたシートPを搬送路Rへ給送する。シートPは、記録媒体の一例である。給送ローラ32は、給送アーム31の先端部に回転可能に支持されている。給送アーム31は、インクジェットプリンタ1のフレームに支持された軸30に回動可能に支持されている。給送アーム31は、自重又はバネ等による弾性力によって、給送トレイ21へ向けて回動付勢されている。
【0039】
搬送路Rは、給送トレイ21の後端部から上方に延び、ガイド部材33で区画される領域にて湾曲し、記録部4の位置を経由して、排出トレイ22に至る経路である。
【0040】
給送ローラ32は、制御装置100により給送モータ(不図示)が駆動されると、給送トレイ21からシートPを1枚ずつ取り出す。給送トレイ21から取り出されたシートPは、搬送路Rに沿って送り出され、記録部4へと供給される。
【0041】
記録部4は、給送部3の上方に配置されている。記録部4は、キャリッジ40と、記録ヘッド41と、複数のノズル42と、プラテン43とを有している。キャリッジ40は、キャリッジモータ(不図示)の駆動力が伝達されて、左右への移動方向である走査方向、すなわち、搬送されるシートPの幅方向に往復移動する。シートPへの画像記録において、インクジェットプリンタ1の制御装置100は、シートPが停止している状態でキャリッジ40をシートPの幅方向に移動させながら記録ヘッド41のノズル42からインクを吐出させ、1行分の画像をシートPに記録させる記録処理と、搬送ローラ50および排出ローラ52を駆動させてシートPを所定の改行量だけ搬送する搬送処理とを繰り返す。
【0042】
キャリッジ40には、記録ヘッド41が搭載されている。記録ヘッド41は、液体吐出部の一例である。記録ヘッド41の下面には、複数のノズル42が設けられている。複数のノズル42は、前後方向に配列されることにより、ノズル列を形成しており、ノズル面421には、左右方向に並んだ4つのノズル列が形成されている。複数のノズル42からは、右側に位置するノズル列を形成するものから順に、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクが吐出される。なお、ノズル列の配置順はこれに限られるものではなく、製品ごとに適宜変更されてもよい。
【0043】
記録ヘッド41は、ピエゾ素子等の振動素子を振動させることによって、ノズル42からインク滴を吐出する。
【0044】
プラテン43は、記録ヘッド41の下方であり、ノズル42と対向する位置に配置されている。プラテン43は、左右方向におけるシートPの全長にわたって延びている。プラテン43は、記録処理時に、シートPを下側から支持する。プラテン43に支持されたシートPに対して、キャリッジ40が移動する過程において、記録ヘッド41がインク滴を選択的に吐出することによって、シートPに画像が記録される。
【0045】
搬送機構5は、前後方向において、キャリッジ40およびプラテン43を挟むように前後に配置された搬送ローラ50と、排出ローラ52と、を有する。搬送ローラ50の下方には、搬送ローラ50と対向する位置にピンチローラ51が設けられている。搬送ローラ50は、搬送モータ(不図示)によって駆動される。ピンチローラ51は、搬送ローラ50の回転に伴って回転する。搬送ローラ50およびピンチローラ51が正回転することにより、シートPは、搬送ローラ50およびピンチローラ51に挟持されて、搬送路Rに沿って記録部4へと搬送される。
【0046】
排出ローラ52は、キャリッジ40およびプラテン43を挟んで搬送ローラ50よりも下流側に位置するように設けられている。排出ローラ52の上方には、排出ローラ52と対向する位置に拍車ローラ53が設けられている。排出ローラ52は、搬送モータ(不図示)によって駆動される。拍車ローラ53は、排出ローラ52の回転に伴って回転する。排出ローラ52および拍車ローラ53が正回転することにより、シートPは、排出ローラ52および拍車ローラ53に挟持されて、排出トレイ22へ排出される。
【0047】
制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory
)、RAM(Random Access Memory)、および、各種制御回路を含むASIC(Application Specific Integrated Circuit)等を備える。制御装置100は、制御部の一例である。制御装置100は、記録ヘッド41や搬送機構5の搬送モータ等のインクジェットプリンタ1を構成する様々な装置と接続されている。また、制御装置100は、操作パネル13、および、外部機器であるPC等とも接続されている。
【0048】
制御装置100は、ROMに格納されたプログラムに従い、CPU及びASICにより、記録ヘッド41や後述のメンテナンスユニット60、および、フラッシング処理と呼ばれるノズル42からのインク滴の吐出等の動作を制御する各種処理を実行する。制御装置100は、PC等の外部機器から送信された印刷指令に基づいて、記録ヘッド41や搬送モータ等を制御して、シートPに画像を印刷する印刷処理を実行する。メンテナンスユニット、および、フラッシング動作については後述する。なお、本実施形態では、制御装置100は、CPU、ROM、RAM、およびASICを備えたものとして説明するが、これに限るものではなく、制御装置100はいかなるハードウェア構成で実現してもよい。
【0049】
以上の構成において、インクジェットプリンタ1は、搬送機構5によってシートPを搬送方向に搬送しつつ、キャリッジ40とともに記録ヘッド41を走査方向に移動させながらインクを吐出させることにより、シートPに画像を印刷する。
【0050】
(廃液回収部の構成)
次に、図3及び図4を用いて、廃液回収部の構成について説明する。図3は、インクジェットプリンタ1の要部構成を前面から見た概略図である。図4は、インクジェットプリンタ1の要部構成を上面から見た概略図である。なお、図3及び図4において示した複数の構成要素の配置関係は、模式的に示されたものであり、明細書中に記載された事項を除き、他の構成要素との配置関係を示すものではない。
【0051】
図3及び図4に示すように、インクジェットプリンタ1は、記録部4と、プラテン43と、メンテナンスユニット61と、ワイパ62と、液体貯留部63と、洗浄液噴射ユニット64と、ダクト66と、中間タンク70と、廃液タンク80と、廃液ガイド90とを有している。
【0052】
プラテン43は、プラテン43上に吐出されたインクを回収する。プラテン43は、廃液回収部の一例である。プラテン43は、前後方向において、後端が下となる傾斜面を有している。図3及び図4に示すように、プラテン43のノズル42と対向する面には、前後方向に延出する複数のリブ46が設けられている。プラテン43は、複数のリブ46によりシートPを支持している。図4に示すように、プラテン43には、プラテン43の傾斜面に沿って流れたインク(廃液)を収集する廃液収集部45が設けられている。廃液収集部45は、例えば樋のような溝により構成されている。
【0053】
廃液収集部45は、プラテン43の後端部からプラテン43の左端部の一部に渡って設けられている。廃液収集部45は、L字のような形状を成している。以下の説明において、プラテン43の後端部側の廃液収集部45については後部廃液収集部451と称し、プラテン43の左端部側の廃液収集部45については側部廃液収集部452と称し、後部廃液収集部451及び側部廃液収集部452を総称する場合には単に廃液収集部45と称する。後部廃液収集部451は、左側に向かって下る傾斜を有している。側部廃液収集部452には、排出口44が形成されている。側部廃液収集部452は、排出口44に向かって下る傾斜を有している。廃液収集部45は、収集したインクが排出口44に向かって流れるように構成されている。
【0054】
プラテン43上に吐出されたインクは、矢印Y1にて示すように、傾斜面に沿ってプラテン43の後方に流れる。後部廃液収集部451は、Y1方向に流れてきたインクを収集する。後部廃液収集部451を流れるインクは、矢印Y2方向に向かい、側部廃液収集部452に流れる。側部廃液収集部452を流れるインクは、矢印Y3方向に向い、排出口44に流れる。
【0055】
図3に示すように、プラテン43の左側であって、プラテン43よりも下方には中間タンク70が配置されている。中間タンク70は、排出口44の下方に位置する。図3の矢印Y9にて示すように、側部廃液収集部452を流れるインクは、排出口44を通り中間タンク70へ排出される。図4に示すように、排出口44は、排出口44側から平面視したときに、後述する中間タンク70の開口72と重なる位置に位置している。そのため、排出口44から下方に滴り落ちたインクは、中間タンク70の開口72を通り、中間タンク70内部に溜められる。
【0056】
なお、側部廃液収集部452に排出口44を形成せず、側部廃液収集部452から中間タンク70の開口72内に直接インクを流すような構成としてもよい。また、プラテン43の後端から上方に向かって延出し、プラテン43に形成された排出口にインクを案内する案内壁を有する構成であってもよい。また、プラテン43には、中間タンク70にインクを排出するための廃液チューブ55が接続されてもよい。
【0057】
図3及び図4に示すように、インクジェットプリンタ1は、廃液回収部の一例であるメンテナンスユニット61を備える。メンテナンスユニット61は、記録ヘッド41のノズル42の吐出状態を回復させるためのメンテナンスを行う。図4に示すように、メンテナンスユニット61は、左右方向において、プラテンの外側に配置されている。メンテナンスユニット61は、記録ヘッド41の待機位置と同じ側に配置されている。記録ヘッド41の待機位置は、シートPに画像を記録しない時において、キャリッジ40が所定の位置に待機する位置である。本実施形態において、メンテナンスユニット61は、プラテン43の右側に配置されている。メンテナンスユニット60は、記録ヘッド41の走査領域内において、記録ヘッド41よりも下方に位置するように配置されている。メンテナンスユニット61は、キャップ(図示せず)と、吸引ポンプ(図示せず)と、を有する。
【0058】
キャップは、待機位置にて待機している記録ヘッド41と対向する位置に配置されている。キャップは、ノズル42内のインク(廃液)を回収するための部材である。キャップは廃液回収部の一例である。キャップは、駆動モータの動力により昇降する。キャップは、上方に向かって駆動すると、待機位置にて待機する記録ヘッド41のノズル面421を覆う。キャップは、ノズル面421を覆うことでノズル42を封止する。
【0059】
吸引ポンプは、キャップに接続されている。吸引ポンプは、駆動モータが駆動することにより、キャップにより封止されたノズル42内のインク(廃液)を吸引する。即ち、吸引ポンプはノズル42内のインクを回収する。吸引ポンプは、廃液回収部の一例である。駆動モータは、制御装置100により制御されている。吸引ポンプは、例えばチューブポンプである。吸引ポンプは、廃液チューブ55と接続している。吸引ポンプにより吸引されたノズル42内のインクは、廃液チューブ55を介して、中間タンク70へ排出される。即ち、図3及び図4の矢印にて示すように、メンテナンスユニット60から排出されたインクは、廃液チューブ55を介して、中間タンク70に排出される。
【0060】
ワイパ62は、記録ヘッド41のノズル面421を払拭することにより、ノズル42に付着したインクを除去する。即ち、ワイパ62は、ノズル面421を払拭することにより、ノズル42に付着したインクを回収する。ワイパ62は、廃液回収部の一例である。ワイパ62は、ゴム製の部材である。ワイパ62は、記録ヘッド41の走査領域上に配置される。ワイパ62は、記録ヘッド41よりも下方に配置される。ワイパ62は、左右方向において、プラテン43とメンテナンスユニット61との間に配置される。
【0061】
ワイパ62の先端部分は、記録ヘッド41のノズル面421に対して当接可能である。ワイパ62は、図示しないホルダーに指示され、上下方向に移動可能である。ワイパ62は、画像記録時には下方に移動し、ノズル面421に対して当接しない。ワイパ62は、メンテナンスユニット61によりノズル42内のインクが吸引された後、ノズル面421と当接可能となる位置まで、上方に移動する。上方に移動したワイパ62は、ワイパ62上を走査する記録ヘッド41のノズル面421と当接することが可能となる。これにより、ワイパ62は、ノズル面421を払拭し、ノズル42に付着したインク(廃液)を除去する。ワイパ62により除去されたインクは、ワイパ62を伝い、液体貯留部63へと流れ込む。
【0062】
洗浄液噴射ユニット64は、ワイパ62の付近に配置されている。洗浄液噴射ユニット64は、記録ヘッド41の走査方向において、ワイパ62と同じ側に配置されている。洗浄液噴射ユニット64は、洗浄液噴射ノズル641と、洗浄液供給チューブ642と、洗浄液貯留部643と、を有する。
【0063】
洗浄液噴射ノズル641は、ワイパ62を洗浄するための洗浄液を噴射する。洗浄液噴射ノズル641は、液体吐出部の一例である。洗浄液噴射ノズル641は、ワイパ62を洗浄可能である位置に配置されている。洗浄液は、洗浄液貯留部643に溜められている。制御装置100により、供給ポンプ等により構成される洗浄液供給部(図示せず)が駆動されると、洗浄液供給部は洗浄液貯留部643内に溜められている洗浄液を、洗浄液供給チューブ642を介して、洗浄液噴射ノズル641に供給する。洗浄液噴射ノズル641は、洗浄液貯留部643から供給された洗浄液をワイパ62に向けて噴射する。洗浄液噴射ノズル641から噴射された洗浄液(廃液)は、液体貯留部63に溜められる。
【0064】
図3に示すように、液体貯留部63は、ワイパ62の下方に配置されている。液体貯留部63は、ワイパ62により除去されたインク及び洗浄液噴射ノズル641により噴射された洗浄液を溜める。即ち、液体貯留部63は、洗浄液噴射ノズル641により噴射された洗浄液を回収する。液体貯留部63は、廃液回収部の一例である。
【0065】
液体貯留部63の上面には、開口631が形成されている。ワイパ62が除去したインク及び洗浄液噴射ノズル641から噴射された洗浄液は、液体貯留部63の開口を通り、液体貯留部63に溜められる。即ち、開口631は、ワイパ62が除去したインク及び洗浄液噴射ノズル641から噴射された洗浄液を内部に貯留するための開口である。液体貯留部63は、廃液チューブ55により中間タンク700と接続している。液体貯留部63に溜められたインク及び洗浄液は、図3及び図4の矢印Y5にて示すように、廃液チューブ55に流れる。液体貯留部63に溜められたインク及び洗浄液は、廃液チューブ55を介して中間タンク700に排出される。中間タンク700は、液体貯留部63から排出されたインク及び洗浄液を受容する接続部712を有している。接続部712は、液体貯留部63から延びる廃液チューブ55が接続されている部分である。
【0066】
ダクト66は、本体筐体11内に生じたミスト状の液体を吸引する。ダクト66は、廃液回収部の一例である。本実施形態において、ダクト66は記録ヘッド41のノズル42から吐出されたミスト状のインク及び/又は洗浄液噴射ノズル641から噴射されたミスト状の洗浄液を吸引することが可能である。記録ヘッド41のノズル42から吐出されたミスト状のインクは、ダクト66が吸引するミスト状の液体の一例である。また、洗浄液噴射ノズル641から噴射されたミスト状の洗浄液は、ダクト66が吸引するミスト状の液体の一例である。ダクト66は、本体筐体11の左側に配置されている。ダクト66は、ファン69と、導管67とを有する。
【0067】
ファン69は、本体筐体11内のエアーを排気口691から外部に排気する。ファン69は、制御装置100により駆動される。ファン69には、エアーが通過する導管67が接続されている。導管67は、本体筐体11内から吸引されたエアーを排気口691に送るための導管67である。導管67の一方端は、ファン69及び排気口691と接続している。導管67の他方端は、筐体本体内のエアーを吸引するための吸気口68と接続している。導管67は、本体筐体11の下方に向かって凸な曲線部分を有している。一例として、導管67はU字のような形状である。
【0068】
ファン69が駆動すると、本体筐体11内の気圧が減圧する。本体筐体11内の気圧が減圧すると、吸気口68から本体筐体11内のエアーが吸引される。記録ヘッド41のノズル42から吐出されたミスト状の液体は、図3の矢印Y7にて示すように、本体筐体11内のエアーと共に吸気口68から吸引される。ミスト状の液体は、導管67を通過する。ミスト状の液体は、導管67の曲線部分において凝集され、曲線部分に液体化した廃液として溜まる。導管67の曲線部分には、廃液チューブ55が接続されている。導管67の曲線部分に溜まった廃液は、図4の矢印Y8にて示すように、廃液チューブ55から中間タンク70に排出される。中間タンク70は、ダクト66から排出された廃液を受容する接続部713を有している。接続部713は、導管67から延びる廃液チューブ55が接続されている部分である。
【0069】
制御装置100は、中間タンク70の開口72に向けて、記録ヘッド41のノズル42からインクを吐出させるフラッシング処理を実行する。制御装置100は、フラッシング処理を実行する際、記録ヘッド41をフラッシング領域に移動させる。フラッシング領域は、フラッシング処理を実行する領域である。
【0070】
図3及び図4において、記録ヘッド41は、フラッシング領域に位置している。フラッシング処理は、プラテン43を挟んで、記録ヘッド41の待機位置とは反対側において実行される。本実施形態において、フラッシング処理は、左右方向において、プラテン43よりも左側において実行される。フラッシング領域は、中間タンク70の開口72の上方の領域である。図3の矢印Y10にて示すように、フラッシング処理によりノズル42から吐出されたインク(廃液)は、開口72を通り、中間タンク70内に溜められる。開口72は、フラッシング処理により排出されたインクを受容する。
【0071】
図3に示すように、インクジェットプリンタ1の高さ方向において、中間タンク70の上方には廃液ガイド90が配置されている。廃液ガイド90は、フラッシング処理によりノズル42から吐出されたインクを、中間タンク70の開口721に案内するための部材である。廃液ガイド90は、インクジェットプリンタ1の高さ方向において、記録ヘッド41よりも下方である。廃液ガイド90は、フラッシング領域に位置する記録ヘッド41のノズル42と、中間タンク70の開口72との間に位置するように配置されている。廃液ガイド90は、図示しない保持部により保持されている。なお、廃液ガイド90は、少なくとも1つ以上配置されていればよい。
【0072】
図5を用いて、廃液ガイド90と中間タンク70との構成について説明する。図5は、図3に示した中間タンク70、廃液タンク80及び廃液ガイド90の構成の概要を示す図である。図5の符号1000は、中間タンク70、廃液タンク80、および廃液ガイド90の構成の概要を示した断面図である。図5の符号1001は、中間タンク70及び廃液ガイド90を上面視したときの図である。なお、図5の符号1000において、図面の見易さを考慮し、中間タンク70に設けられる接続部711,712,713についての記載は省略している。
【0073】
図5の符号1000に示すように、廃液ガイド90は、中間タンク70の開口72よりも上方に配置されている。廃液ガイド90の記録ヘッド41側の端部91及び中間タンク70側の端部92は、開口72よりも上方に位置している。なお、廃液ガイド90は、上下方向において、開口72と一部が重なるように配置してもよい。即ち、上下方向において、中間タンク70側の端部が開口72と同じ位置に位置するように、又は開口72よりも下方に位置するように廃液ガイド90が配置されてもよい。廃液ガイド90のノズル42と対向する面は、開口72に対して交差する傾斜面93となっている。
【0074】
図5の符号1001には、上面視したときの廃液ガイド90と中間タンク70の開口72の位置との位置関係が示されている。図5の符号1001において、図面の見易さを考慮し、一つの廃液ガイド90のみを図示し、その他の廃液ガイド90については省略している。本体筐体11を上面視したとき、廃液ガイド90の中間タンク70側の端部は、開口72と重なる位置に配置されている。
【0075】
フラッシング処理にて吐出されたインクは、廃液ガイド90の傾斜面93上に吐出される。図5の符号1001の矢印Xにて示すように、傾斜面93上に吐出されたインクは、傾斜面93に沿って下方に向かう。傾斜面93に沿って流れるインクは、廃液ガイド90の端部91から中間タンク70の開口72に向かって滴り落ちる。
【0076】
(中間タンクの構成)
図3図5を用いて、中間タンク70の構成について説明する。中間タンク70は、複数の廃液回収部から排出されたインクを溜めるタンクである。図3に示すように、中間タンク70は、インクジェットプリンタ1の左側であって、廃液タンク80の上方に配置されている。中間タンク70は、インク(廃液)の流れる方向において、プラテン43と廃液タンク80との間、メンテナンスユニット60と廃液タンク80との間に、及び液体貯留部63と廃液タンク80との間に位置する。また、中間タンク70は、洗浄液(廃液)の流れる方向において、液体貯留部63と、廃液タンク80との間に位置する。換言すれば、中間タンク70は、廃液回収部と廃液タンク80との間に流れるインクを中継する。中間タンク70は、接続部711,712,713と、開口72と、第1廃液吸収体73と、第1廃液貯留部78とを有する。
【0077】
図3及び図4に示すように、接続部711,712,713は、廃液チューブ55が接続されている部分である。接続部711は、メンテナンスユニット60から排出されたインクを受容するための部分である。メンテナンスユニット60から排出されたインクは、廃液チューブ55を介して中間タンク70に溜められる。接続部712は、液体貯留部63から排出されたインク及び洗浄液を受容するための部分である。液体貯留部63から排出されたインク及び洗浄液は、廃液チューブ55を介して中間タンク70に溜められる。接続部713は、ダクト66から排出された廃液を受容するための部分である。ダクト66から排出された廃液は、廃液チューブ55を介して中間タンク70に溜められる。
【0078】
開口72は、中間タンク70の上面に形成されている。中間タンク70の開口72は、プラテン43の排出口44と対向する位置に形成されている。中間タンク70の開口72は、プラテン43の排出口44から滴り落ちるインクを受容する開口である。中間タンク70の開口72は、プラテン43の排出口44の大きさよりも大きい。開口72は、プラテン43から排出されるインクを受容する。また、中間タンク70の開口72は、記録ヘッド41のノズル42と対向する位置に形成されている。開口72は、ノズル42から吐出されたインクの受容する開口である。開口72は、ノズル面421の大きさよりも大きく形成されている。
【0079】
接続部711,712,713及び開口72を介して受容した液体は、第1廃液貯留部78に溜められる。即ち、第1廃液貯留部78は、プラテン43、メンテナンスユニット61、液体貯留部63、およびダクト66から排出されたインク及び洗浄液を溜める。また、第1廃液貯留部78には、フラッシング処理にて吐出されたインクが溜められる。
【0080】
図5に示すように、中間タンク70は、内部に第1廃液吸収体73を有する。第1廃液吸収体73は、第1廃液貯留部78内に位置する。第1廃液吸収体73は、接続部711,712,713及び開口72を介して受容された液体を吸収する。第1廃液吸収体73は、液体を吸収することができる不織布、スポンジ、もしくは綿などで構成されたフォームである。第1廃液吸収体73には、排出部の一例としての凸部74が設けられている。凸部74は、廃液タンク80側に突出する。凸部74は、中間タンク70に形成された開口72を通り、中間タンク70の外部に向かってに突出している。凸部74は、中間タンク70の外部に露出している。凸部74は、接続部71及び開口72を介して第1廃液貯留部78内に溜められた液体を、中間タンク70の外部に排出するための部分である。
【0081】
(廃液タンクの構成)
図3図5を用いて、廃液タンク80の構成について説明する。廃液タンク80は、本体筐体11に対して挿抜可能に設けられている。廃液タンク80には、図3の矢印Y6にて示すように、中間タンク70から液体が排出される。
【0082】
図5の符号1000に示すように、廃液タンク80は、開口81と、第2廃液吸収体82と、第2廃液貯留部88とを有する。図5の符号1000において、廃液タンク80は本体筐体11に装着された状態を示している。開口81は、中間タンク70の凸部74と対向する部分に形成されている。図5に示す例では、廃液タンク80の上面に開口81が形成されている。開口81は、中間タンク70の凸部74が挿通可能な大きさの開口である。
【0083】
中間タンク70の凸部74を介して、廃液タンク80の第2廃液貯留部88に液体が溜められる。即ち、第2廃液貯留部88には、中間タンク70を介して、プラテン43、メンテナンスユニット61、液体貯留部63、およびダクト66から排出されたインク及び洗浄液が溜められる。第2廃液貯留部88は、廃液回収部からの液体を溜める部分である。
【0084】
廃液タンク80は、内部に第2廃液吸収体82を有している。第2廃液吸収体82は、第2廃液貯留部88内に位置する。第2廃液吸収体82は、中間タンク70の凸部74から伝わった液体を吸収する。第2廃液吸収体82は、液体を吸収することができる不織布、スポンジ、もしくは綿などで構成されたフォームである。
【0085】
図5の符号1000に示すように、廃液タンク80が本体筐体11に挿入された状態において、第2廃液吸収体82は中間タンク70の凸部74と当接している。中間タンク70の凸部74は、開口81を通り、第2廃液吸収体82と当接する。第2廃液吸収体82は、凸部74と当接する当接面83を有している。凸部74の先端と当接する第2廃液吸収体82の上面が当接面83である。第2廃液吸収体82が当接面83を有することにより、中間タンク70の第1廃液吸収体73に吸収されている液体が、凸部74から第2廃液吸収体82へと伝わる。これにより、中間タンク70の凸部74から排出された液体が第2廃液貯留部88に溜められる。
【0086】
(本実施形態の作用効果)
以上説明したように本実施形態によれば、プラテン43、メンテナンスユニット61、液体貯留部63、およびダクト66から排出された液体を中間タンク70に集約することができる。そのため、プラテン43、メンテナンスユニット61、液体貯留部63、およびダクト66から排出された液体を受容するための接続部711,712,713を廃液タンク80に設ける必要が無い。これにより、廃液タンク80の構造を簡易にすることができる。
【0087】
上記構成によれば、中間タンク70が有する排出部が廃液タンク80と当接する。そのため、排出部から排出される液体は、廃液タンク80を構成する部材を伝って、第2廃液貯留部88に溜められる。そのため、中間タンク70及び廃液タンク80の外部に液体が漏れてしまうことを防ぐことができる。
【0088】
上記構成によれば、中間タンク70が有する第1廃液吸収体73には排出部が設けられている。そのため、第1廃液貯留部78により液体を保持することができる。これにより、中間タンク70が動くことにより、液体の滴が周囲に飛んでしまうことを防ぐことができる。
上記構成によれば、廃液タンク80は、中間タンク70が有する第1廃液吸収体73当接する第2廃液吸収体82を有する。そのため、第2廃液貯留部88により液体を保持することができる。これにより、廃液タンク80が動くことにより、液体の滴が周囲に飛んでしまうことを防ぐことができる。
【0089】
上記構成によれば、第1廃液貯留部78内の液体は第2廃液吸収体82と当接する凸部74から、第2廃液吸収体82へ伝わる。これにより、中間タンク70及び廃液タンク80から液体が外部に漏れてしまうことを防ぐことができる。
【0090】
上記構成によれば、記録ヘッド41が起因となり、発生したインクを中間タンク70に溜めることができる。また、上記構成によれば、プラテン43上に排出された液体を中間タンク70に溜めることができる。また、上記構成によれば、キャップ及び吸引ポンプにより回収された液体を中間タンク70に溜めることができる。
上記構成によれば、ダクト66により吸引された本体筐体11内に生じた液体を中間タンク70に溜めることができる。また、上記構成によれば、ワイパ62により除去されたインクを中間タンク70に溜めることができる。また、上記構成によれば、フラッシング処理により、ノズル42から吐出されたインクを中間タンク70に溜めることができる。
【0091】
上記構成によれば、フラッシング処理において吐出されたインクを廃液ガイド90により中間タンク70に形成された開口721に案内することができる。これにより、ノズル42から吐出されたインクが中間タンク70の外部に漏れるのを防ぐことができる。
上記構成によれば、液体貯留部63内に貯留された洗浄液を中間タンク70に排出することができる。これにより、洗浄液噴射ノズル641から噴射された洗浄液を中間タンク70に溜めることができる。
【0092】
〔変形例1〕
図6を用いて、実施形態1に係るインクジェットプリンタ1の構成の変形例1について説明する。図6は、中間タンク及び廃液タンクの構成の変形例を示す図である。図6の符号1002は、変形例1における中間タンク70及び廃液タンク80Aの構成の概要を示した図である。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。図6の符号1002において、廃液タンク80Aは本体筐体11に装着された状態を示している。図6の符号1002に示す矢印は、本体筐体11に対する廃液タンク80Aの挿抜方向を示す。なお、図6の符号1002において、図面の見易さを考慮し、中間タンク70に設けられる接続部711,712,713についての記載は省略している。
【0093】
本変形例において、廃液タンク80Aに切欠き84Aが形成されている。切欠き84Aは、廃液タンク80Aの挿抜方向において、本体筐体11の内部側に位置する部分に形成されている。切欠き84Aは、廃液タンク80Aの挿抜方向において、廃液タンク80Aの挿入する方向の部分に形成されている。切欠き84Aは、中間タンク70の凸部74が通過可能な程度の幅を有している。切欠き84Aは、本体筐体11に対して廃液タンク80Aを挿抜する際、廃液タンク80Aに対して中間タンク70の凸部74が通過可能となるように形成されている。
【0094】
第2廃液吸収体82Aの上面には、第1面85A、第2面86A、及び段差面83Aが形成されている。即ち、第2廃液吸収体82Aは段差を有する。第1面85Aは、本体筐体11に廃液タンク80Aが装着された状態において、中間タンク70の凸部74の先端よりも上方に位置している。第2面86Aは、本体筐体11に廃液タンク80Aが装着された状態において、中間タンク70の凸部74の先端よりも下方に位置している。即ち、第2面86Aは、廃液タンク80Aを挿抜方向に移動させても凸部74が当接しない面である。
【0095】
段差面83Aは、第1面85Aと、第2面86Aを接続する面である。段差面83Aは、第1面85Aおよび第2面86Aと互いに直交する方向に延出する。段差面83Aは、本体筐体11に廃液タンク80Aが装着された状態において、中間タンク70の凸部74が当接する当接面である。中間タンク70の第1廃液貯留部78内の液体は、凸部74から段差面83Aに伝わり、第2廃液吸収体82Aに吸収される。即ち、第2廃液貯留部88Aに、凸部74から排出された液体が溜められる。
【0096】
このように、第2廃液吸収体82Aが段差を有することにより、中間タンク70の凸部74が廃液タンク80Aの凹み部分を通過可能となる。即ち、廃液タンク80Aを挿抜方向に移動させている途中において、中間タンク70の凸部74と廃液タンク80Aの第2廃液吸収体82Aと当接することがない。なお、段差面83Aは、第1面85Aと第2面86Aとを繋ぐ傾斜面であってもよい。また、第2廃液吸収体82Aは、段差面83Aを有しない構成としてもよい。
【0097】
以上説明したように本変形例によれば、廃液タンク80Aが本体筐体11から挿抜される方向に移動すると、中間タンク70の凸部74は廃液タンク80Aの切欠き84A内を通る構成となっている。そのため、廃液タンク80Aを挿抜する際、中間タンク70の凸部74が廃液タンク80Aと接触することがない。これにより、廃液タンク80Aの外部に液体が付着することを防ぐことができる。
【0098】
〔変形例2〕
図6を用いて、実施形態1に係るインクジェットプリンタ1の構成の変形例2について説明する。図6の符号1003は、変形例2における中間タンク70B及び廃液タンク80Bの構成の概要を示した図である。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。図6の符号1003において、廃液タンク80Bは本体筐体11に装着された状態を示している。なお、図6の符号1003において、図面の見易さを考慮し、中間タンク70Bに設けられる接続部711,712,713についての記載は省略している。
【0099】
本変形例において、中間タンク70Bは第1廃液吸収体73を有していない。中間タンク70Bの内部には、液体貯留壁76Bが形成されている。液体貯留壁76Bは、廃液回収部から排出されたインクを中間タンク70B内に溜めるための壁である。液体貯留壁76Bは、図示しない接続部711,712,713及び開口72Bにより受容したインクが排出口75Bにそのまま流れてしまうこと防いでいる。開口72Bは、上述したプラテン43排出されたインク及びフラッシング処理にて吐出されたインクを受容する開口である。
【0100】
排出口75Bは、上面視したときに、廃液回収部からの廃液を受容する開口72Bとは重ならない位置に形成されている。即ち、排出口75Bは、開口72Bにて受容した廃液が排出口75Bからそのまま流れ出ない位置に形成されている。
【0101】
液体貯留壁76Bは、排出口75Bの周縁に沿って形成されている。液体貯留壁76Bは、中間タンク70Bの内部に向かって延出する。液体貯留壁76Bにより、廃液回収部から排出された所定量のインクを中間タンク70Bの第1廃液貯留部78B内に溜めることができる。第1廃液貯留部78B内に所定量を超えたインクが溜まると、第1廃液貯留部78B内に溜まったインクが液体貯留壁76Bを超えて、排出口75Bに流れる。排出口75Bを伝って流れてきたインクは、中間タンク70Bの外部へ排出される。
【0102】
中間タンク70Bには、排出口75Bと連続し、中間タンク70Bの外部に形成された廃液案内部77Bが形成されている。廃液案内部77Bは、排出口75Bを伝って流れてきたインクを廃液タンク80Bへ案内する。廃液案内部77Bは、廃液タンク80B側の先端が尖った形状を成している。上面視したとき、廃液案内部77Bの廃液タンク80B側の先端は、廃液タンク80Bの開口81Bと重なる位置に位置している。廃液案内部77Bにより、排出口75Bを伝って来たインクは廃液タンク80Bの開口81Bへと排出される。これにより、廃液タンク80Bの外部にインクが漏れてしまうことを防ぐことができる。
【0103】
排出口75B、液体貯留壁76B、及び廃液案内部77Bは、接続部711,712,713及び開口72Bを介して中間タンク70Bの内部に溜められたインクを、中間タンク70Bの外部に排出するための部分である。排出口75B、液体貯留壁76B、及び廃液案内部77Bは、排出部の一例である。
【0104】
中間タンク70Bから廃液タンク80Bの開口81Bに排出される液体は、廃液タンク80Bが有する第2廃液吸収体82Bに吸収される。即ち、廃液タンク80Bの第2廃液貯留部88Bに液体が溜められる。第2廃液吸収体82Bは、中間タンク70Bの排出口75Bから排出された液体を受ける受容面87Bを有する。以上説明したように本変形例によれば、中間タンク70Bに第1廃液吸収体を設けなくてもよい。
【0105】
〔実施形態2〕
次に、本発明の実施形態2におけるインクジェットプリンタ1Aの要部構成について、図7及び図8を参照して説明する。図7は、インクジェットプリンタ1Aの要部構成を左側面から見た概略図である。図8は、インクジェットプリンタ1Aの要部構成を上面から見た概略図である。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0106】
図7及び図8に示すように、インクジェットプリンタ1Aは、記録部4と、プラテン43と、メンテナンスユニット61と、中間タンク700と、廃液タンク80とを有している。
【0107】
中間タンク700及び廃液タンク80は、インクジェットプリンタ1Aの後方に配置されている。タンク交換部15は、本体筐体11の後面に設けられている。本実施形態において、本体筐体11の後方から廃液タンク80の挿抜が可能である。
【0108】
中間タンク700は、プラテン43の後方に配置されている。廃液収集部453及び排出口44は、プラテン43の後端部に設けられている。プラテン43上に記録ヘッド41のノズル42から吐出されたインク(廃液)は、図8の矢印Y13にて示すように、傾斜面に沿って廃液収集部453へ流れる。廃液収集部453へ流れたインクは、図8の矢印Y14にて示すように、排出口44に向かって流れる。排出口44に流れたインクは、図7の矢印Y11にて示すように、中間タンク700の開口721へ排出される。開口721は、プラテン43から排出されたインクを受容する。
【0109】
メンテナンスユニット61は、上述したキャップ及び吸引ポンプを有するユニットである。メンテナンスユニット61により回収されたインク(廃液)は、図7及び図8の矢印Y12にて示すように、廃液チューブ55を介して中間タンク700に排出される。中間タンク700は、メンテナンスユニット61から排出されたインクを受容する接続部711を有している。
【0110】
例えば、インクジェットプリンタ1Aには給送部3が装置上方に設けられているような場合がある。即ち、インクジェットプリンタ1Aの下方かつ後方には、用紙Pを収容する給送トレイ21及び搬送された用紙Pを案内するガイド部材33が設けられていない。このようなインクジェットプリンタでは、装置の下方かつ後方には、廃液タンク80を配置するための十分なスペースがある。上記構成によれば、インクジェットプリンタ1Aの本体筐体11の後方に廃液タンク80を配置することができる。
【0111】
〔その他の実施形態〕
上記した実施形態1におけるインクジェットプリンタ1,1Aでは、ローラ部材、即ち搬送ローラ50及び排出ローラ52により、搬送路RにおいてシートPを搬送するものとしたが、これに限定されない。他にも、ベルト部材、ドラム部材等によりシートPを搬送してもよい。
【0112】
上記した実施形態におけるインクジェットプリンタ1,1Aでは、中間タンク70は接続部711,712,713及び開口72,721を有しているものとしたが、これに限定されない。一例として、中間タンクに一つの開口を形成し、複数の廃液回収部からの廃液を当該一つの開口に排出する構成としてもよい。また、複数の廃液回収部のそれぞれに接続される複数の廃液チューブを途中で合流させ、一つの廃液チューブとして中間タンク70,700に接続させる構成としてもよい。
【0113】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0114】
1 インクジェットプリンタ
11 本体筐体
15 タンク交換部
41 記録ヘッド
42 ノズル
43 プラテン
55 廃液チューブ
60 メンテナンスユニット
66 ダクト
70 中間タンク
73 第1廃液吸収体
74 凸部
80 廃液タンク
82 第2廃液吸収体
100 制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8