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特開2023-152177サーバ、および、コンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152177
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】サーバ、および、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20231005BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20231005BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20231005BHJP
【FI】
G06F3/12 335
G06F3/12 310
G06F3/12 303
G06F3/12 331
G06F3/12 336
G06F3/12 385
B41J29/38 401
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062158
(22)【出願日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001058
【氏名又は名称】鳳国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 香澄
【テーマコード(参考)】
2C061
5L049
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061HJ08
2C061HK05
2C061HK23
2C061HN05
2C061HN27
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】複数個のデバイス識別情報を用いて実行される特定処理のためのユーザの負担を軽減する。
【解決手段】サーバは、通信装置から複数個のデバイス識別情報を受信する第1受信部と、複数個のデバイス識別情報と、1個の対応情報と、を対応付けてメモリに記録する記録部と、ユーザの端末装置から対応情報を受信する第2受信部と、対応情報を受信したことに応じて、対応情報と対応付けられた複数個のデバイス識別情報を用いて特定のサービスに関する特定処理を実行する特定処理部と、を備える。複数個のデバイス識別情報のそれぞれは、特定のサービスを受けるために用いるべきデバイスを示す。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバであって、
通信装置から複数個のデバイス識別情報を受信する第1受信部であって、前記複数個のデバイス識別情報のそれぞれは、特定のサービスを受けるために用いるべきデバイスを示す、前記第1受信部と、
前記複数個のデバイス識別情報と、1個の対応情報と、を対応付けてメモリに記録する記録部と、
ユーザの端末装置から前記対応情報を受信する第2受信部と、
前記対応情報を受信したことに応じて、前記対応情報と対応付けられた前記複数個のデバイス識別情報を用いて前記特定のサービスに関する特定処理を実行する特定処理部と、
を備える、サーバ。
【請求項2】
請求項1に記載のサーバであって、さらに、
前記対応情報を生成する生成部と、
生成された前記対応情報を前記通信装置に送信する送信部と、
を備えるサーバ。
【請求項3】
請求項2に記載のサーバであって、
前記生成部は、前記第1受信部が前記通信装置から前記複数個のデバイス識別情報を受信することに応じて、前記対応情報を生成する、サーバ。
【請求項4】
請求項1に記載のサーバであって、さらに、
前記複数個のデバイス識別情報によって示される複数個のデバイスのそれぞれとの間の通信の接続を確立する確立処理を実行する確立処理部を備え、
前記特定処理は、前記確立処理の結果を前記端末装置に通知する処理を含む、サーバ。
【請求項5】
請求項4に記載のサーバであって、
前記確立処理は、前記対応情報が受信された後に、前記デバイスから接続要求を受信した場合に、前記デバイスとの間の通信の接続を確立する処理である、サーバ。
【請求項6】
請求項4に記載のサーバであって、
前記確立処理は、前記対応情報が受信されたか否かに関わらずに、前記デバイスから接続要求を受信した場合に、前記デバイスとの間の通信の接続を確立する処理である、サーバ。
【請求項7】
請求項1に記載のサーバであって、
前記特定処理は、前記複数個のデバイス識別情報によって示される前記複数個のデバイスのそれぞれに、前記デバイスが前記サーバと通信を行うための通信情報を送信する処理を含む、サーバ。
【請求項8】
請求項7に記載のサーバであって、
前記通信情報は、送信先の前記デバイスごとに異なる情報である、サーバ。
【請求項9】
請求項1に記載のサーバであって、
前記特定処理は、前記複数個のデバイス識別情報によって示される前記複数個のデバイスのいずれかを指定して前記サーバと通信を行うための通信情報を、前記端末装置に送信する処理を含む、サーバ。
【請求項10】
請求項1に記載のサーバであって、さらに、
前記端末装置からアカウント情報を受信する第3受信部を備え、
前記特定処理は、前記複数個のデバイス識別情報を、前記アカウント情報によって示される特定のアカウントと対応付けてメモリに記録する処理を含む、サーバ。
【請求項11】
請求項10に記載のサーバであって、
前記第2受信部が、前記特定処理の後に前記対応情報を再度受信した場合に、前記第3受信部は、前記対応情報の送信元の装置から前記アカウント情報を再度受信し、
前記サーバは、さらに、再度受信された前記アカウント情報によって示されるアカウントが前記特定のアカウントであるか否かを判断する判断部を備え、
前記特定処理部は、
再度受信された前記アカウント情報によって示されるアカウントが前記特定のアカウントである場合には、前記特定のサービスに関する処理を実行し、
再度受信された前記アカウント情報によって示されるアカウントが前記特定のアカウントとは異なる場合には、前記特定のサービスに関する処理を実行しない、サーバ。
【請求項12】
コンピュータプログラムであって、
通信装置から複数個のデバイス識別情報を受信する第1受信機能であって、前記複数個のデバイス識別情報のそれぞれは、特定のサービスを受けるために用いるべきデバイスを示す、前記第1受信機能と、
前記複数個のデバイス識別情報と、1個の対応情報と、を対応付けてメモリに記録する記録機能と、
ユーザの端末装置から前記対応情報を受信する第2受信機能と、
前記対応情報を受信したことに応じて、前記対応情報と対応付けられた前記複数個のデバイス識別情報を用いて前記特定のサービスに関する特定処理を実行する特定処理機能と、
をコンピュータに実現させる、コンピュータプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、サーバ、および、コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数個のプリンタをサーバに登録する技術が開示されている。この技術では、プリンタのユーザは、発行されたPINコードを複数個のプリンタに記憶させる登録作業を行う。プリンタは、PINコードとプリンタのシリアル番号とを含む接続要求をサーバに送信する。サーバは、PINコードが有効である場合には、シリアル番号を記憶することでプリンタを登録し、プリンタにトークンを送信する。登録されたプリンタは、トークンを用いてサーバと通信を行うことが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-178984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記技術では、プリンタのユーザは、PINコードを複数個のプリンタに記憶させる登録作業を行う必要があるので、例えば、登録すべきプリンタの個数が多い場合には、ユーザの負担が過度に大きくなる可能性があった。
【0005】
本明細書は、複数個のデバイス識別情報を用いて実行される特定処理(例えば、複数個のプリンタの登録処理)のためのユーザの負担を軽減できる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示された技術は、以下の適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]サーバであって、通信装置から複数個のデバイス識別情報を受信する第1受信部であって、前記複数個のデバイス識別情報のそれぞれは、特定のサービスを受けるために用いるべきデバイスを示す、前記第1受信部と、前記複数個のデバイス識別情報と、1個の対応情報と、を対応付けてメモリに記録する記録部と、ユーザの端末装置から前記対応情報を受信する第2受信部と、前記対応情報を受信したことに応じて、前記対応情報と対応付けられた前記複数個のデバイス識別情報を用いて前記特定のサービスに関する特定処理を実行する特定処理部と、を備える、サーバ。
【0008】
上記構成によれば、通信装置から受信される複数個のデバイス識別情報と1個の対応情報とが対応付けて記録され、ユーザの端末装置から対応情報を受信したことに応じて、複数個のデバイス識別情報を用いて特定のサービスに関する特定処理が実行される。この結果、ユーザは端末装置からサーバに対応情報を送信するだけで特定処理をサーバに実行させることができる。したがって、複数個のデバイス識別情報を用いて実行される特定処理のためのユーザの負担を軽減できる。
【0009】
なお、本明細書に開示された技術は、種々の形態で実現可能であり、例えば、サーバ、端末装置、サーバと端末装置とを含むシステム、処理方法、これらの装置および方法の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】システム1000の構成を示すブロック図。
図2】テーブルの一例を示す図。
図3】端末装置200Aとデバイス管理サーバ300とによって実行される第1登録処理のシーケンス図。
図4】端末装置に表示される画面の一例を示す図。
図5】第1実施例の第2登録処理の第1のシーケンス図。
図6】第1実施例の第2登録処理の第2のシーケンス図。
図7】第1実施例の第2登録処理の第3のシーケンス図。
図8】第2実施例の第2登録処理のシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
A.第1実施例
A-1.システム1000の構成
図1は、システム1000の構成を示すブロック図である。システム1000は、複数個のプリンタ100A~100Eと、端末装置200A、200Bと、デバイス管理サーバ300と、を備える。
【0012】
プリンタ100Aは、プリンタ100Aのコントローラとして、CPU110と、DRAMなどの揮発性記憶装置120と、ハードディスクやフラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置130と、を備えている。また、プリンタ100Aは、画像を表示する液晶ディスプレイなどの表示部140と、ユーザによる操作を取得するためのボタンやタッチパネルなどの操作部150と、印刷機構170と、通信インタフェース(IF)180と、を備えている。
【0013】
通信IF180は、インターネットITに接続するためのインタフェース、例えば、イーサネット(登録商標)に準拠した有線のインタフェースや、Wi-Fi規格に準拠した無線のインタフェースである。
【0014】
CPU110は、データ処理を行う演算装置(プロセッサ)である。揮発性記憶装置120は、CPU110が処理を行う際に生成される種々の中間データを一時的に格納するバッファ領域を提供する。不揮発性記憶装置130には、プリンタ100Aを制御するためのコンピュータプログラムPGpと、後述するデバイス情報等の各種の情報が記録される情報データベースIBと、が格納されている。
【0015】
コンピュータプログラムPGpは、本実施例では、プリンタ100Aの製造時に不揮発性記憶装置130に予め格納されて提供される。これに代えて、コンピュータプログラムPGpは、例えば、インターネットITを介して接続されたサーバからダウンロードされる形態、あるいは、CD-ROMなどに記録された形態で提供され得る。
【0016】
CPU110は、コンピュータプログラムPGpを実行することによって、プリンタ100Aの制御を実行する。例えば、CPU110は、ユーザの指示に基づいて、印刷機構170を制御して、印刷機構170に画像を印刷させる。また、CPU110は、後述するように、デバイス管理サーバ300と通信を行って、デバイス管理サーバ300と協働して、印刷に関連するサービスを実現する。
【0017】
プリンタ100B~100Eは、上述したプリンタ100Aと同様の構成110~180(図示省略)を備えている。プリンタ100B~100Eの構成の説明は省略する。
【0018】
印刷機構170は、CPU110の制御に従って、印刷を実行する。本実施例の印刷機構170は、複数種類のインク(例えば、シアンとマゼンタとイエロとブラックとの4種類のインク)を色材として用いて、画像を記録媒体に印刷するインクジェット方式の印刷機構である。これに代えて、印刷機構170は、トナーを色材として用いて、画像を記録媒体に印刷する電子写真方式の印刷機構であっても良い。
【0019】
端末装置200A、200Bは、計算機であり、例えば、パーソナルコンピュータである。変形例では、端末装置200A、200Bは、スマートフォンやタブレットコンピュータであっても良い。端末装置200Aは、プリンタ100A~100Eを販売する販売会社が所有する計算機である。端末装置200Bは、プリンタ100A~100Eを使用するユーザが所有する計算機である。
【0020】
端末装置200Aは、コントローラとして、CPU210と、DRAMなどの揮発性記憶装置220と、ハードディスクやフラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置230と、を備えている。また、端末装置200Aは、画像を表示する液晶ディスプレイなどの表示部240と、ユーザによる操作を取得するためのキーボードやタッチパネルなどの操作部250と、通信IF280と、を備えている。通信IFは、インターネットITに接続するためのインタフェース、例えば、イーサネット(登録商標)に準拠した有線のインタフェースや、Wi-Fi規格に準拠した無線のインタフェースである。
【0021】
揮発性記憶装置220は、CPU210が処理を行う際に生成される種々の中間データを一時的に格納するバッファ領域を提供する。不揮発性記憶装置230には、ブラウザプログラムBPが格納されている。
【0022】
CPU210は、ブラウザプログラムBPを実行することによって、WEBブラウザとして機能する。WEBブラウザとして機能するCPU210は、後述するように、デバイス管理サーバ300にアクセスして、プリンタ100A~100Eの登録に関する処理を実行する。
【0023】
端末装置200Bは、端末装置200Aと同様の構成210~280を備えている。端末装置200Bの構成の説明は省略する。
【0024】
デバイス管理サーバ300は、例えば、プリンタ100A~100Eを製造する事業者が運用する計算機、例えば、クラウドサーバである。
【0025】
デバイス管理サーバ300は、コントローラとしてのCPU310と、DRAMなどの揮発性記憶装置320と、ハードディスクやフラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置330と、通信インタフェース(IF)380と、を備えている。通信IF380は、例えば、イーサネット(登録商標)に準拠した有線のインタフェースである。
【0026】
CPU310は、データ処理を行う演算装置(プロセッサ)である。揮発性記憶装置320は、CPU310が処理を行う際に生成される種々の中間データを一時的に格納するバッファ領域を提供する。不揮発性記憶装置330には、コンピュータプログラムPGsと、後述する管理テーブルTBと、が格納されている。
【0027】
デバイス管理サーバ300のコンピュータプログラムPGsは、例えば、デバイス管理サーバ300を運用する事業者によってアップロードされる形態で提供される。デバイス管理サーバ300のCPU310は、コンピュータプログラムPGsを実行することによって、プリンタ100A~100Eを用いるサービスを提供する。例えば、本実施例では、デバイス管理サーバ300は、プリンタ100A~100Eにおける消耗品(例えば、色材としてのインク)を管理する管理サービスを提供する。また、CPU310は、後述するように、サービスの提供に先立って、サービスの対象となるプリンタ100A~100Bを登録するための処理を実行する。
【0028】
デバイス管理サーバ300は、インターネットITを介して、インターネットITと接続された機器、例えば、プリンタ100A~100E、および、端末装置200A、200Bと通信可能である。
【0029】
なお、図1では、5つのプリンタ100A~100Eと、2つの端末装置200A、200Bのみが図示されているが、デバイス管理サーバ300は、複数のユーザに対して、多数のプリンタを用いてサービスを提供している。以下では、販売会社の1つの端末装置200Aと、ユーザの1つの端末装置200Bと、該ユーザのプリンタ100A~100Eに対する各種の処理を説明するが、これらの処理は、他の販売会社やユーザの端末装置、および、そのユーザのプリンタについても、それぞれ、同様に実行される。
【0030】
図2は、テーブルの一例を示す図である。図2(A)に示すように管理テーブルTBは、デバイスリストLTと、登録キーテーブルKTと、アカウントテーブルATと、デバイス登録テーブルDTと、を含んでいる。
【0031】
デバイスリストLTは、1以上のデバイス情報が記録されるテーブルである。図2には、3個のデバイスリストLT1~LT3が図示されている。デバイス情報は、デバイスを識別する識別情報であるデバイスIDと、該デバイスIDが付与されたプリンタのモデル名、型番等のプリンタ情報と、を含む。本実施例では、デバイスIDは、プリンタ固有のシリアル番号である。例えば、図2のデバイスリストLT1には、5個のプリンタ100A~100EのデバイスIDと、プリンタ情報と、が対応付けて記録されている。各デバイスリストLTは、後述するように、販売会社の端末装置200Aからデバイス情報を受信した際に、生成される。
【0032】
登録キーテーブルKTは、登録キーが記録されるテーブルである。登録キーは、例えば、ランダムに生成される文字列である。登録キーテーブルKTには、登録キーが、デバイスリストLTと、ステータスと、対応付けて記録される。登録キーは、後述するように、デバイスリストLTが生成される際に、記録される。
【0033】
登録キーのステータスは、受信済と、未受信と、のいずれかである。未受信の登録キーは、生成後にユーザの端末装置(例えば、端末装置200B)から受信されていない登録キーである。受信済みの登録キーは、生成後にユーザの端末装置(例えば、端末装置200B)から受信された登録キーである。ユーザの端末装置200Aからの登録キーを受信する処理については後述する。
【0034】
アカウントテーブルATは、ユーザのアカウントごとに、アカウント情報が記録されるテーブルである。本実施例では、後述するように、ユーザが、デバイス管理サーバ300が提供するサービスを利用するために、アカウントの登録を行う。各アカウント情報は、図2に示すように、アカウントIDと、パスワードと、ユーザ名と、を含む。
【0035】
デバイス登録テーブルDTには、アカウントIDと、デバイスリストLTと、が対応付けて記録される。これによって、アカウントIDによって識別されるアカウントと、該アカウントを所有するユーザが、管理サービスを利用する際に用いる1以上のプリンタ(例えば、100A~100E)と、が対応付けられる。
【0036】
A-2.プリンタの登録処理
デバイス管理サーバ300が提供する管理サービスを利用する際に、事前に該管理サービスに用いる1以上のプリンタがデバイス管理サーバ300に登録される。このための登録処理について説明する。登録処理は、販売会社の端末装置200Aとデバイス管理サーバ300とによって実行される第1登録処理と、第1登録処理の後に、ユーザの端末装置200Bとデバイス管理サーバ300とによって実行される第2登録処理と、を含む。
【0037】
A-2-1.第1登録処理
図3は、端末装置200Aとデバイス管理サーバ300とによって実行される第1登録処理のシーケンス図である。例えば、プリンタ100A~100Eが販売会社からユーザに販売される際に、販売会社とユーザとの間で、プリンタ100A~100Eを用いて管理サービスを利用する契約が締結された場合に、第1登録処理が実行される。
【0038】
S2では、販売会社の端末装置200Aは、デバイス管理サーバ300に対して登録キー発行要求を送信する。例えば、販売会社の担当者は、端末装置200Aを操作して端末装置200AのCPU210にブラウザプログラムBPを実行させることによって、WEBブラウザを起動させる。担当者は、WEBブラウザを操作して、デバイス管理サーバ300が提供する販売会社用のWEBページ(図示省略)にアクセスし、該WEBページ上において所定の操作を行う。これによって、端末装置200Aからデバイス管理サーバ300に登録キー発行要求が送信される。
【0039】
デバイス管理サーバ300は、登録キー発行要求を受信すると、S4にて、登録キー発行要求に対する応答として、デバイス情報を入力するためのデバイス情報入力画面W1を示す画面データを、端末装置200Aに対して送信する。
【0040】
端末装置200Aは、画面データを受信すると、S6にて、端末装置200Aの表示部240にデバイス情報入力画面W1を表示する。
【0041】
図4は、端末装置に表示される画面の一例を示す図である。図4(A)のデバイス情報入力画面W1は、デバイス情報の入力を促すメッセージMS1と、デバイス情報の入力欄BX1、BX2と、送信ボタンBT1と、を含んでいる。入力欄BX1は、デバイスID(例えば、シリアル番号)を入力するための欄である。入力欄BX2は、モデル名を入力するための欄である。デバイス情報入力画面W1は、複数個のプリンタの情報を入力することができる。例えば、担当者は、デバイス情報入力画面W1において、5個のプリンタ100A~100Eの情報を入力したうえで、送信ボタンBT1を押下する。
【0042】
送信ボタンBT1が押下されると、端末装置200Aは、S10にて、デバイス情報入力画面W1を介して、1以上のデバイス情報(例えば、5個のプリンタ100A~100Eのデバイス情報)を取得する。端末装置200Aは、デバイス情報を取得すると、S12にて、該デバイス情報をデバイス管理サーバ300に送信する。
【0043】
デバイス管理サーバ300は、デバイス情報を受信すると、S14にて、デバイスリストLTを生成する。例えば、5個のプリンタ100A~100Eの情報が記録されたデバイスリストLT1(図2)が生成される。
【0044】
S16では、デバイス管理サーバ300は、登録キーを生成する。例えば、デバイス管理サーバ300は、所定個数の英数字をランダムに選択することによって、所定個数の英数字から成る登録キーを生成する。
【0045】
S18では、デバイス管理サーバ300は、S16にて生成済みの登録キーを、S14にて生成済みのデバイスリストLTと、を対応付けて記録する。例えば、図2に示すように、登録キーKY_1と、デバイスリストLT1と、が対応付けられて、登録キーテーブルKTに記録される。なお、この時点では、登録キーのステータスは「未受信」とされ、該ステータスも、登録キーと対応付けて登録キーテーブルKTに記録される。
【0046】
S20では、デバイス管理サーバ300は、S16にて生成済みの登録キーを端末装置200Aに対して送信する。登録キーは、例えば、S12にて受信されたデバイス情報に対する応答として、端末装置200Aに送信される。
【0047】
端末装置200Aは、登録キーを受信すると、S22にて、該登録キーを端末装置200Aの表示部140に表示して、第1登録処理を終了する。担当者は、登録キーを、管理サービスを利用するユーザに通知する。例えば、担当者は、登録キーを印刷して、プリンタ100A~100Eを購入するユーザに渡す。
【0048】
A-2-2.第2登録処理
図5は、第1実施例の第2登録処理の第1のシーケンス図である。例えば、販売会社からユーザにプリンタ100A~100Eが納品され、販売会社の担当者からユーザに登録キーが通知された後に、第2登録処理が実行される。
【0049】
S50では、ユーザの端末装置200Bは、デバイス管理サーバ300と通信を行って、アカウント作成処理を実行する。例えば、ユーザは、端末装置200Bを操作して端末装置200BのCPU210にブラウザプログラムBPを実行させることによって、WEBブラウザを起動させる。ユーザは、WEBブラウザを操作して、デバイス管理サーバ300が提供するユーザ用のWEBページ(図示省略)にアクセスし、該WEBページ上において所定の操作を行う。これによって、端末装置200Bの表示部240にアカウント作成画面(図示省略)が表示される。ユーザがアカウント作成画面に所定のアカウント情報(例えば、アカウントIDとパスワード)を入力することで、該アカウント情報が端末装置200Bからデバイス管理サーバ300に送信される。デバイス管理サーバ300は、該アカウント情報を用いて新規のアカウントを作成する。具体的には、デバイス管理サーバ300は、アカウントテーブルAT(図2)に、新たなアカウント情報(アカウントID、パスワード、名前)を記録する。例えば、図2に示すように、アカウントIDが「AC_a」であり、パスワードが「PW_a」であり、ユーザ名が「KEN」であるアカウントが作成されて、アカウントテーブルATに記録される。なお、このアカウント作成処理は、S56のログイン処理の前であれば、任意のタイミングで実行されて良い。
【0050】
なお、ユーザは、プリンタ100A~100EをインターネットITに接続可能な状態に設置し、プリンタ100A~100Eに電源を投入する。プリンタは、電源が投入されると、S52にて、デバイス管理サーバ300との間で通信の接続を確立する。本実施例では、各プリンタは、XMPP(eXtensible Messaging and Presence Protocol)に従う常時接続の接続要求をデバイス管理サーバ300に送信し、デバイス管理サーバ300との間に常時接続を確立する。なお、図5の例では、ユーザは、S56のログイン処理の前に、プリンタの電源を投入している。
【0051】
S54では、各プリンタは、自身のデバイス情報(デバイスIDと、モデル名などのプリンタ情報)をデバイス管理サーバ300に送信する。これによって、デバイス管理サーバ300は、常時接続を確立しているプリンタを識別することができる。
【0052】
その後のS56では、端末装置200Bは、デバイス管理サーバ300との間でログイン処理を実行する。例えば、ユーザは、端末装置200Bにて起動されたWEBブラウザを操作して、デバイス管理サーバ300が提供するユーザ用のWEBページ上において所定の操作を行う。これによって、端末装置200Bの表示部240にログイン画面(図示省略)が表示される。ユーザがログイン画面に自身のアカウントのアカウントIDとパスワードを入力することで、これらのアカウント情報が端末装置200Bからデバイス管理サーバ300に送信される。デバイス管理サーバ300は、受信したアカウント情報と、アカウントテーブルATに登録済みのアカウント情報と一致する場合には、ログインを認める。例えば、ユーザは、アカウントID「AC_a」、パスワード「PW_a」を用いてデバイス管理サーバ300にログインする。
【0053】
ログインが認められない場合には、この時点で処理は終了される(図示省略)。ログインが認められる場合には、デバイス管理サーバ300は、S58にて、登録キーを入力するための登録キー入力画面W2を示す画面データを、端末装置200Bに対して送信する。
【0054】
端末装置200Bは、画面データを受信すると、S60にて、端末装置200Bの表示部240に登録キー入力画面W2を表示する。
【0055】
図4(B)の登録キー入力画面W2は、登録キーの入力を促すメッセージMS2と、登録キーの入力欄BX3と、送信ボタンBT1と、を含んでいる。ユーザは、登録キー入力画面W2において、販売会社から通知された登録キーを入力したうえで、送信ボタンBT1を押下する。
【0056】
送信ボタンBT1が押下されると、端末装置200Bは、S62にて、登録キー入力画面W2を介して、登録キーを取得する。S64では、端末装置200Bは、取得した登録キーをデバイス管理サーバ300に送信する。
【0057】
デバイス管理サーバ300は、登録キーを受信すると、S65にて、登録キーテーブルKT(図2)にて、受信した登録キーを検索し、該登録キーのステータスを確認する。図5は、未受信の登録キーを受信した場合のシーケンス図であるので、該登録キーのステータスは、「未受信」である。デバイス管理サーバ300は、受信した登録キーのステータスが未受信である場合には、該登録キーのステータスを未受信から受信済に更新する。
【0058】
S66では、デバイス管理サーバ300は、登録キーテーブルKTを参照して、登録キーに対応付けられたデバイスリストLTを特定する。例えば、図2の例では、受信された登録キーが「KY_1」である場合には、デバイスリストLT1が特定される。S68では、デバイス管理サーバ300は、デバイス登録テーブルDT(図2)に、ログインされたアカウントのアカウントIDと、登録キーに対応付けられたデバイスリストLTと、を対応付けて記録する。例えば、図2の例では、登録キーがアカウントID「AC_a」と、デバイスリストLT1と、が対応付けて記録されている。これによって、端末装置200Bのユーザのアカウントと、プリンタ100A~100Eと、が対応付けられる。以下、端末装置200Bのユーザのアカウントと対応付けられるプリンタ、すなわち、管理サービスに用いられるプリンタを「対象プリンタ」とも呼ぶ。
【0059】
S70では、デバイス管理サーバ300は、端末装置200Bのユーザのアカウントと対応付けられた対象プリンタとデバイス管理サーバ300との接続を確認する。具体的には、プリンタ100Aは、ユーザのアカウントIDと対応付けられたデバイスリストLTを参照して対象プリンタの複数個のデバイスIDを特定する。プリンタ100Aは、該デバイスIDを有するプリンタ(すなわち、対象プリンタであるプリンタ100A~100E)のそれぞれとの常時接続(図5のS52、S54参照)が確立されているか否かを確認する。
【0060】
S71では、デバイス管理サーバ300は、常時接続が確認された対象プリンタに対して、デバイストークンを送信する。デバイストークンは、対象プリンタが、管理サービスの開始後に、デバイス管理サーバ300と通信する際に用いられる認証情報であり、対象プリンタごとに異なる情報である。例えば、対象プリンタは、デバイス管理サーバ300に対してデータを送信する際には、該データにデバイストークンを付加する。デバイス管理サーバ300は、受信したデータに付加されたデバイストークンを確認することで、データの送信元が特定の対象プリンタであることを認識できる。
【0061】
対象プリンタは、デバイストークンを受信すると、S72にて、該デバイストークンを不揮発性記憶装置130に保存する。
【0062】
デバイス管理サーバ300は、デバイストークンを送信すると、S75にて、処理結果通知を端末装置200Bに対して送信する。端末装置200Bは、処理結果通知を受信すると、S76にて、処理結果を端末装置200Bの表示部240に表示する。例えば、図4(C)の表示画面W3や図4(D)の表示画面W4が表示される。
【0063】
図4(C)の表示画面W3は、全ての対象プリンタとの接続が確認されて、全ての対象プリンタにデバイストークンが送信された場合に表示される。表示画面W3は、全ての対象プリンタとの接続が確認され、管理サービスが有効になったことを通知するメッセージMS3と、確認ボタンBT2と、を含む。
【0064】
図4(D)の表示画面W4は、一部の対象プリンタとの接続が確認できず、該一部の対象プリンタにデバイストークンが送信されない場合に表示される。表示画面W4は、一部の対象プリンタとの接続が確認できなかったことを通知し、接続が確認できなかった対象プリンタのインターネットITへの接続状態を確認することを促すメッセージMS4と、確認ボタンBT2と、を含む。
【0065】
確認ボタンBT2が押下されると、端末装置200Bは、処理結果の表示を終了して、第2登録処理を終了する。
【0066】
図5の第2登録処理によって、少なくとも1つの対象プリンタにデバイストークンが送信されると、デバイストークンを取得した対象プリンタとデバイス管理サーバ300との間で管理サービスが開始される。例えば、対象プリンタは、デバイストークンを使用して、インクの残量情報をデバイス管理サーバ300に定期的(例えば、1日に1回)に送信する。デバイス管理サーバ300は、対象プリンタから送信される残量情報に基づいて、対象プリンタのインクの残量を管理する。デバイス管理サーバ300は、対象プリンタのインクが基準以下になった場合に、該インクを収容するインクカートリッジが別途登録されたユーザの住所宛に配送されるように、配送処理を実行する。あるいは、デバイス管理サーバ300は、対象プリンタのインクが基準以下になった場合に、インクカートリッジをユーザが注文するための案内を端末装置200Bに送信する。
【0067】
なお、ユーザのアカウントに対応付けられた対象プリンタのうち、接続が確認できなかった対象プリンタがある場合がある。例えば、対象プリンタがネットワークに接続されていない場合や対象プリンタのネットワーク設定に誤りがある場合には、対象プリンタの接続が確認できない。この場合には、ユーザは、接続が確認されなかった対象プリンタのネットワークへの接続や設定を行った後に、端末装置200Bからデバイス管理サーバ300に、再度、登録キーを送信できる。その場合の処理について説明する。
【0068】
図6は、第1実施例の第2登録処理の第2のシーケンス図である。図6には、端末装置200Bからデバイス管理サーバ300に、再度、登録キーが送信される場合の例が示されている。図6のS52では、図5のS52と同様に、電源が投入された対象プリンタとデバイス管理サーバ300との間で通信の常時接続が確立される。図6のS54では、図5のS54と同様に、対象プリンタは、自身のデバイス情報をデバイス管理サーバ300に送信する。
【0069】
図6のS56~S64では、図5のS56~S64と同様の処理が実行され、登録キーが、再度、端末装置200Bからデバイス管理サーバ300に送信される。デバイス管理サーバ300は、登録キーを受信すると、S65Bにて、登録キーテーブルKT(図2)にて、受信した登録キーを検索し、該登録キーのステータスを確認する。図6は、受信済の登録キーを受信した場合のシーケンス図であるので、該登録キーのステータスは、「受信済」である。
【0070】
図6のS66では、図5のS66と同様に、デバイス管理サーバ300は、登録キーテーブルKTを参照して、登録キーに対応付けられたデバイスリストLTを特定する。例えば、図2の例では、受信された登録キーが「KY_1」である場合には、デバイスリストLT1が特定される。
【0071】
図6のS68Bでは、デバイス管理サーバ300は、図6のS56のログイン処理にて用いられたアカウントIDが、初回受信時のアカウントIDと同一であるか否かを判定する。ここで、初回受信時のアカウントIDは、再度受信された登録キーが最初に受信された際のログイン処理にて用いられたアカウントIDを意味する。該登録キーに対応付けられたデバイスリストLTと、初回受信時のアカウントIDとは、登録キーの初回受信時に対応付けられている(図5のS68)。このために、デバイス登録テーブルDTにて、図6のS66にて特定されたデバイスリストLTに対応付けられたアカウントIDが、初回受信時のアカウントIDである。図6の例では、S68Bにて、初回受信時のアカウントIDが、図6のS56のログイン処理にて用いられたアカウントIDと同一であると判定される。
【0072】
図6のS56のログイン処理にて用いられたアカウントIDが、初回受信時のアカウントIDと同一である場合には、図6のS70、S71にて、図5のS70、S71と同様の処理が行われる。すなわち、デバイス管理サーバ300は、図6のS70にて、対象プリンタとデバイス管理サーバ300との常時接続を確認し、図6のS71にて、常時接続が確認された対象プリンタに対して、デバイストークンを送信する。ただし、図6のS71では、この時点までに、デバイストークンを既に送付済みの対象プリンタに対しては、デバイストークンは送信されず、デバイストークンが送信されていない対象プリンタに対してのみデバイストークンが送信される。
【0073】
対象プリンタは、デバイストークンを受信すると、図6のS72にて、図6のS72と同様に、該デバイストークンを不揮発性記憶装置130に保存する。デバイス管理サーバ300は、図6のS75にて、図5のS75と同様に、処理結果通知を端末装置200Bに対して送信する。端末装置200Bは、図6のS76にて、図5のS76と同様に、処理結果を端末装置200Bの表示部240に表示する(図4(C)、図5(D)参照)。
【0074】
図6の第2登録処理によって、少なくとも1つの対象プリンタに新たにデバイストークンが送信されると、新たにデバイストークンを取得した対象プリンタとデバイス管理サーバ300との間で管理サービスが開始される。
【0075】
次に、ユーザが登録キーを端末装置200Bからデバイス管理サーバ300に送信した後に、ユーザとは異なる者が別のアカウントを使用して、同一の登録キーをデバイス管理サーバ300に送信した場合の処理について説明する。例えば、登録キーを不正に入手した者が別のアカウントを使用して、該登録キーを送信する場合が考えられる。
【0076】
図7は、第1実施例の第2登録処理の第3のシーケンス図である。図7には、上記のユーザとは異なる者が端末装置200Bとは異なる端末装置(図1では図示省略)からデバイス管理サーバ300に、再度、登録キーが送信される送信される場合の例が示されている。
【0077】
図7のS56~S64では、ユーザとは異なる者の端末装置とデバイス管理サーバ300との間で、図5のS56~S64と同様の処理が実行される。ただし、図7のS56のログイン処理は、ユーザのアカウントとは別のアカウントのアカウントIDおよびパスワードを用いて実行される。
【0078】
登録キーが端末装置からデバイス管理サーバ300に送信された後の図7のS65Bでは、デバイス管理サーバ300は、図6のS65Bと同様に、該登録キーのステータスを確認する。図7は、受信済の登録キーを受信した場合のシーケンス図であるので、該登録キーのステータスは、「受信済」である。
【0079】
図7のS66では、図6のS66と同様に、デバイス管理サーバ300は、登録キーテーブルKTを参照して、登録キーに対応付けられたデバイスリストLTを特定する。
【0080】
図7のS68Cでは、デバイス管理サーバ300は、図7のS56のログイン処理にて用いられたアカウントIDが、初回受信時のアカウントIDと同一であるか否かを判定する。図7の例では、図7のS56のログイン処理にて用いられたアカウントIDは、初回受信時の該アカウントIDとは異なると判定される。
【0081】
図7のS56のログイン処理にて用いられたアカウントIDが、初回受信時のアカウントIDとは異なる場合には、デバイス管理サーバ300は、図7のS75Cにて、エラー通知を、端末装置に対して送信する。図7のS76Cでは、エラー通知を端末装置の表示部に表示する。
【0082】
このように、デバイス管理サーバ300は、登録キーが再度受信される場合には、初回受信時のアカウントの所有者によって送信された場合にだけ、対象プリンタとの接続確認や対象プリンタへのデバイストークンの送信が行われる。これによって、例えば、特定のユーザのアカウントと対応付けられるべきプリンタが別のアカウントと対応付けられることや登録キーの正当な所有者であるユーザの意図に反して管理サービスが開始されることなどの不都合が発生することを抑制することができる。
【0083】
以上説明した本実施例によれば、第1登録処理(図3)において、デバイス管理サーバ300は、販売会社の端末装置200Bから複数個のデバイスIDを受信する(図3のS12)。複数個のデバイスIDは、管理サービスを受けるために用いるべきデバイスであるプリンタ100A~100Eを示す。デバイス管理サーバ300は、複数個のデバイスIDと、1個の登録キーと、を対応付けてメモリ(不揮発性記憶装置330)に記録する(図3のS14、S18)。第2登録処理(図5)において、デバイス管理サーバ300は、ユーザの端末装置200Aから登録キーを受信する(図5のS64)。デバイス管理サーバ300は、登録キーを受信したことに応じて、登録キーと対応付けられた複数個のデバイスIDを含むデバイスリストLTを用いて、管理サービスに関する特定処理(例えば、管理サービスに用いるべき対象プリンタの登録(図6のS68))を実行する(S66~S71)。この結果、ユーザは端末装置200Aからデバイス管理サーバ300に登録キーを送信するだけで、デバイス管理サーバ300に特定処理を実行させることができる。したがって、該特定処理のためのユーザの負担を軽減できる。
【0084】
例えば、デバイス管理サーバ300に対象プリンタを登録する等の特定処理を行う際に、仮に、ユーザが端末装置200Aに1個ずつデバイスID等を入力するとする。この場合には、特に対象プリンタの個数が多い場合には、入力の負担が大きくなる。また、デバイスIDに加えて型番などの他の情報を入力する必要がある場合にも、入力の負担が大きくなる。さらに、この場合には、デバイスIDの入力間違いが発生しやすく、入力間違いが発生すると、特定処理を適切に完了することができず、さらに、ユーザの負担が大きくなり得る。本実施例では、ユーザは、端末装置200Aに登録キーを入力するだけで良いので、誤入力も発生し難く、ユーザの負担が軽減される。
【0085】
さらに、本実施例によれば、第1登録処理(図3)において、デバイス管理サーバ300は、登録キーを生成し(図3のS16)、生成された登録キーを端末装置200Bに送信する(図3のS20)。この結果、端末装置200Bの操作者は、デバイスID等のデバイス情報を端末装置200Bからデバイス管理サーバ300に送信するだけで、容易に登録キーを取得できる。例えば、端末装置200Bの操作者(本実施例では販売会社の担当者)が登録キーを作成する場合よりも、端末装置200Bの操作者の負担を軽減できる。
【0086】
さらに、本実施例によれば、デバイス管理サーバ300は、端末装置200Bから数個のデバイスIDを受信することに応じて、登録キーを生成する(図3のS12、S20)。この結果、必要に応じて登録キーが生成されるので、例えば、予め使用すべき登録キーのリストを保持しておく必要がなく、必要なメモリ量を低減できる。
【0087】
さらに、本実施例によれば、デバイス管理サーバ300は、複数個のデバイスIDによって示される複数個のプリンタ100A~100Eのそれぞれとの間の通信の接続を確立する確立処理を実行する(図5のS52)。そして、デバイス管理サーバ300が実行する特定処理は、該確立処理の結果をユーザの端末装置200Aに通知する処理(図5のS75)を含む。この結果、ユーザは、登録キーをデバイス管理サーバ300に送信することで、管理サービスを受けるために用いる複数個のプリンタ100A~100Eと、デバイス管理サーバ300と、の間の通信の接続状況を確認することができる。したがって、対象プリンタとデバイス管理サーバ300との通信不良に起因して、管理サービスの提供を適切に受けることができない不都合が発生することを抑制できる。
【0088】
さらに、本実施例では、デバイス管理サーバ300と対象プリンタとの間の通信の接続は、XMPPに従う常時接続である。このために、デバイス管理サーバ300は、通信の接続の確立は、登録キーの送信のタイミングとは無関係に、対象プリンタから接続要求に応じて行われる。すなわち、本実施例では、通信の接続の確立処理は、登録キーが受信されたか否かに関わらずに、対象プリンタから接続要求を受信した場合に、対象プリンタとの間の通信の接続を確立する処理である。この結果、例えば、対象プリンタは、何度も接続要求を送信する必要がなく、任意のタイミング(本実施例では電源投入時)に、一度だけ接続要求をデバイス管理サーバ300に送信すれば良い。
【0089】
さらに、本実施例では、デバイス管理サーバ300が実行する特定処理は、対象プリンタのそれぞれに、対象プリンタがデバイス管理サーバ300と通信を行うための通信情報であるデバイストークンを送信する処理を含む。この結果、特定処理の後に、対象プリンタは、管理サービスを受けるためにデバイス管理サーバ300と通信を行うことができる。
【0090】
さらに、デバイストークンは、デバイス管理サーバ300が通信の相手の対象プリンタを認識するために用いる情報であることから解るように、対象プリンタごとに異なる情報である。このために、デバイストークンは、対象プリンタとは異なるプリンタに送られることは好ましくない。本実施例では、登録キーに対応付けるデバイス情報は、販売会社の担当者が端末装置200Bに入力するので、ユーザによるデバイス情報の入力ミスが発生することを抑制できるので、デバイストークンが、対象プリンタとは異なるプリンタに送られることを抑制することができる。
【0091】
さらに、本実施例では、デバイス管理サーバ300が実行する特定処理は、複数個のデバイスIDを含むデバイスリストLTを、端末装置200Bから受信したアカウント情報によって示される特定のアカウントと対応付けてメモリ(不揮発性記憶装置330)に記録する処理(図5のS68)を含む。この結果、特定のアカウントの所有者(本実施例では、端末装置200Bのユーザ)が管理サービスを受けるために用いる複数個のプリンタ100A~100Eを適切に登録することができる。
【0092】
さらに、本実施例では、デバイス管理サーバ300は、一度第2登録処理を実行した後に登録キーを再度受信した場合に(図6図7のS64)、登録キーの送信元の装置(図6の端末装置200B、または、図7の端末装置)からアカウント情報を再度受信し(図6図7のS56)。デバイス管理サーバ300は、再度受信されたアカウント情報によって示されるアカウントが初回受信時の特定のアカウントであるか否かを判断する(図6のS68B、図7のS68C)。デバイス管理サーバ300は、再度受信された前記アカウント情報によって示されるアカウントが初回受信時の特定のアカウントである場合には(図6のS68B)、管理サービスに関する処理(図6のS70、S71)を実行する。デバイス管理サーバ300は、再度受信されたアカウント情報によって示されるアカウントが初回受信時の特定のアカウントとは異なる場合には(図7のS68C)、管理サービスに関する処理を実行しない。この結果、1つの登録キーが、ユーザとは異なる者によって利用されることを抑制することができる。これによって、例えば、ユーザの意図に反して管理サービスに関する処理が実行されることを抑制できる。
【0093】
以上の説明から解るように、本実施例の登録キーは、対応情報の例であり、本実施例の端末装置200Aは、通信装置の例であり、端末装置200Bは、ユーザの端末装置の例である。
【0094】
B.第2実施例
【0095】
第2実施例では、対象プリンタとデバイス管理サーバ300との間の通信には、常時接続に代えて、通信の度に確立される接続(例えば、HTTP接続)が用いられる。
【0096】
また、第1実施例では、デバイス管理サーバ300は管理サービスを提供するが、第2実施例では、デバイス管理サーバ300は、管理サービスに代えて、印刷サービスを提供する。印刷サービスでは、ユーザの端末装置200Bは、印刷すべき画像ファイルと、印刷に用いるべき対象プリンタを示すデバイストークンと、をデバイス管理サーバ300に送信する。管理サーバは、該画像ファイルを用いて印刷ジョブを生成し、デバイストークンによって示される対象プリンタに印刷ジョブを送信する。対象プリンタは、該印刷ジョブを用いて、画像を印刷する。この印刷サービスを利用することで、端末装置200Bは、画像ファイルから印刷ジョブを生成する処理を行うことなく、対象プリンタに画像を印刷させることができる。このために、端末装置200Bにプリンタドライバがインストールされていなくても、端末装置200Bは、対象プリンタに画像を印刷させることができる。
【0097】
このように、印刷サービスでは、ユーザの端末装置200Bがデバイストークンを用いるので、第2実施例では、後述するように、デバイストークンは、端末装置200Bに送信される。
【0098】
図8は、第2実施例の第2登録処理のシーケンス図である。第2実施例では、対象プリンタは、電源が投入されると、定期的に(例えば、数秒~1分ごと)ポーリング信号(接続要求)を送信する(図8のS52)。
【0099】
図8のS50、および、図8のS56~S68の処理は、図5の同符号の処理と同一である。図8のS68の後のS69Dの時点でも、対象プリンタからポーリング信号が定期的に送信され続けている。図8のS69Dの時点で、登録キーに対応するデバイスリストLTを特定済み(図8のS66)であるので、デバイス管理サーバ300は、デバイスIDを参照して、対象プリンタを特定できる。S69Dでは、デバイス管理サーバ300は、ポーリング信号に含まれるデバイスIDに基づいて、対象プリンタからのポーリング信号を受信したことを認識すると、対象プリンタからのポーリング信号に応答して、対象プリンタとの通信の接続を確立する。これによって、デバイス管理サーバ300は、対象プリンタとの通信の接続を確認できる。
【0100】
S71Dでは、デバイス管理サーバ300は、端末装置200Bにデバイストークンを送信する。なお、デバイス管理サーバ300との通信の接続が確認された対象プリンタをそれぞれ示す1個以上のデバイストークンが送信される。
【0101】
端末装置200Bは、デバイストークンを受信すると、S72Dにて、該デバイストークンを不揮発性記憶装置230に保存する。デバイストークンは、上述のように、印刷サービスの開始後に、端末装置200Bが、画像ファイルをデバイス管理サーバ300に送信する際に、印刷に用いるべき対象プリンタを指定するために用いられる。
【0102】
デバイス管理サーバ300は、図8のS75にて、図5のS75と同様に、処理結果通知を端末装置200Bに対して送信する。端末装置200Bは、図8のS76にて、図5のS76と同様に、処理結果を端末装置200Bの表示部240に表示する(図4(C)、図5(D)参照)。
【0103】
以上説明した第2実施例によれば、デバイス管理サーバ300と対象プリンタとの間の通信の確立処理は、登録キーが受信された後に、対象プリンタから接続要求(具体的にはポーリング信号)を受信した場合に、対象プリンタとの間の通信の接続を確立する処理である。この結果、登録キーが受信された後に、対象プリンタであることがデバイスIDによって確認されたプリンタと通信を確立すれば良いので、無駄な通信処理が行われることを抑制することができる。
【0104】
さらに、第2実施例によれば、デバイス管理サーバ300が実行する特定処理は、対象プリンタのいずれかを指定してデバイス管理サーバ300と通信を行うための通信情報であるデバイストークンを、端末装置200Bに送信する処理を含む(図8のS71D)。この結果、例えば、特定処理の後に、端末装置200Bは、対象プリンタを用いた印刷サービスを受けるためにデバイス管理サーバ300と通信を行うことができる。
【0105】
C.変形例
(1)上記各実施例の第1登録処理では、デバイス管理サーバ300が登録キーを生成し、販売会社の端末装置200Aに送信している(図3のS14、20)。これに代えて、端末装置200Aが、自動で、または、販売会社の担当者の入力に基づいて、登録キーを生成し、デバイス情報とともに、図3のS12にて、該登録キーをデバイス管理サーバ300に送信しても良い。この場合には、デバイス管理サーバ300は、受信された登録キーと、受信されたプリンタ情報を記録したデバイスリストLTと、を対応付けて記録すれば良い。
【0106】
(2)上記各実施例の第1登録処理では、デバイス管理サーバ300は、端末装置200Aからデバイス情報を受信することに応じて、登録キーを生成している(図3のS12、S14)。これに代えて、例えば、デバイス管理サーバ300は、予め複数個の登録キーのリストを保持し、端末装置200Aからデバイス情報を受信することに応じて、該リストから使用すべき1つの登録キーを、ランダムあるいは順次に選択しても良い。
【0107】
(3)上記各実施例の第2登録処理において、デバイス管理サーバ300が実行する特定処理は、ユーザのアカウントと対象プリンタとを対応付ける処理(図5のS68)や、対象プリンタとの通信の接続を確認して確認結果を通知する処理(図5のS70、S75)や、デバイストークンを送信する処理(図5のS71)を含む。特定処理は、これらの処理に限られず、提供すべきサービスに関する様々な処理を含み得る。例えば、特定処理は、各実施例で例示した処理とともに、あるいは、各実施例で例示した処理に代えて、サービスのために実行すべき処理を実行させるためのアプリケーションプログラムを対象プリンタにインストールする処理や、サービスが有効化されてサービスが開始されたことを通知する処理を含んでも良い。
【0108】
(4)上記実施例では、デバイス管理サーバ300は、登録キーを再度受信した場合には、登録キーが再度受信された際にログイン処理を行ったアカウントが、初回受信時のアカウントである場合に限って、管理サービスに関する処理を実行している。これに代えて、デバイス管理サーバ300は、登録キーを再度受信した場合には、管理サービスに関する処理を実行せず、登録キーを初回に受信した場合に限って、管理サービスに関する処理を実行しても良い。
【0109】
(5)上記各実施例では、プリンタ100A~100Eを用いて提供されるサービスのためのデバイス管理サーバ300を例として説明されている。プリンタを用いるサービスに限らず、他のデバイスを用いるサービスのためのサーバが、本実施例のデバイス管理サーバ300に代えて採用されても良い。他のデバイスを用いるサービスとしては、例えば、自宅やオフィスなどに設定された他のデバイス(例えば、監視カメラ、調理器具等の電化製品)を、端末装置(端末アプリケーション)を利用して遠隔操作するサービスが採用され得る。また、温度、湿度、重さ、長さなどの様々な物理的な量を計測するデバイスから計測結果を受信し、該計測結果を用いて何らかのサービスを提供するサーバが、本実施例のデバイス管理サーバ300に代えて、採用されても良い。
【0110】
(6)上記各実施例では、デバイストークンは、対象プリンタごとに異なる通信情報であるが、これに代えて、複数個の対象プリンタに共通な通信情報が用いられても良い。この場合には、例えば、対象プリンタは、送信すべき情報(例えば、インク残量の情報)に、通信情報とデバイスIDを付加してデバイス管理サーバ300に送信しても良い。この場合には、デバイス管理サーバ300は、付加されたデバイスIDに基づいて、送信元の対象ブリン他を識別する。
【0111】
(7)上記実施例で、デバイス管理サーバ300が行っている処理は、複数個のサーバを用いて分担して実行されても良い。例えば、アカウントテーブルATを管理し、ログイン処理を行うサーバと、登録キーテーブルKTやデバイスリストLTを管理するサーバと、を、含む複数個のサーバが、協働して、デバイス管理サーバ300が実行する処理を実行しても良い。この場合には、該複数個のサーバの全体が、請求項におけるサーバと対応する。
【0112】
(8)上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部あるいは全部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
【0113】
以上、実施例、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。
【符号の説明】
【0114】
1000…システム,100A~100E…プリンタ,110…CPU,120…揮発性記憶装置,130…不揮発性記憶装置,140…表示部,150…操作部,170…印刷機構,180…通信IF,200A,200B…端末装置,210…CPU,210…構成,220…揮発性記憶装置,230…不揮発性記憶装置,240…表示部,250…操作部,280…通信IF,300…デバイス管理サーバ,310…CPU,320…揮発性記憶装置,330…不揮発性記憶装置,380…通信IF,AT…アカウントテーブル,BP…ブラウザプログラム,DT…デバイス登録テーブル,IB…情報データベース,IT…インターネット,KT…登録キーテーブル,LT…デバイスリスト,PG…コンピュータプログラム,PG1…コンピュータプログラム,PG2…ブラウザプログラム,TB…管理テーブル,W1…デバイス情報入力画面,W2…登録キー入力画面,W3…表示画面,W4…表示画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8