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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152224
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】太陽熱温水器
(51)【国際特許分類】
   F24S 40/10 20180101AFI20231005BHJP
   F24S 40/00 20180101ALI20231005BHJP
   F24S 25/10 20180101ALI20231005BHJP
   F24S 10/10 20180101ALI20231005BHJP
   F24S 23/70 20180101ALI20231005BHJP
   F24H 1/00 20220101ALI20231005BHJP
【FI】
F24S40/10
F24S40/00
F24S25/10
F24S10/10
F24S23/70
F24H1/00 621E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071083
(22)【出願日】2022-04-22
(31)【優先権主張番号】P 2022056670
(32)【優先日】2022-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】594055170
【氏名又は名称】北斗制御株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 清
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122AA24
3L122AB22
3L122GA04
3L122GA06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】集熱部に複数併設されたガラス管の防護手段を設けて安全に地上で運用可能とし、強風時にガラス管背面に設けられた反射部材を容易に脱着可能として転倒・破損を防止し、貯湯タンク近傍に設けた配管混合部から吐出させた混合水による意図しない火傷を防止することができる太陽熱温水器を提供する。
【解決手段】地上に設置固定される架台1に支持された貯湯タンク2と、当該貯湯タンク2に一端が接続され他端が設置面近傍まで延設されたガラス管3が傾斜姿勢で保持され,複数併設された集熱部4と、を有し、集熱部4の左右両側を覆って配置される一対の防護フレーム1b間にガラス管3と平面視で交差するように手前側に架設された複数の防護ワイヤ5を備え、ガラス管3は防護フレーム1b及び防護ワイヤ5との間に隙間を設けて架台1に保持されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上に設置固定される架台に支持された貯湯タンクと、当該貯湯タンクに一端が接続され他端が設置面近傍まで延設された複数のガラス管が傾斜姿勢で前記架台に併設保持された集熱部と、を有し、前記集熱部が太陽光にさらされて加熱生成された温水を前記貯湯タンクより給湯する太陽熱温水器であって、
前記架台は、前記貯湯タンクの長手方向両端部を支持するタンク支持フレームと、
前記タンク支持フレームに一端が接続され他端が設置面まで延設されて設置固定され、前記集熱部の左右両側を覆って配置される一対の防護フレームと、
前記一対の防護フレーム間に前記ガラス管と平面視で交差するように前記集熱部の手前側に架設された複数の防護ワイヤと、を備え、
前記集熱部を構成する複数のガラス管は、前記一対の防護フレーム間に配置され、かつ前記防護フレーム及び前記防護ワイヤと非接触で前記架台に保持されていることを特徴とする太陽熱温水器。
【請求項2】
前記一対の防護フレームの設置面側端部近傍には、複数のガラス管の端部を保持するガラス管固定フレームが架設されている請求項1記載の太陽熱温水器。
【請求項3】
前記一対の防護フレームには、長手方向に沿って複数の抜孔が各々設けられている請求項1又は請求項2に記載の太陽熱温水器。
【請求項4】
設置面に設置固定される架台に支持された貯湯タンクと、当該貯湯タンクに一端が接続され他端が設置面近傍まで延設された複数のガラス管が傾斜姿勢で前記架台に併設保持された集熱部と、を有し、前記集熱部が太陽光にさらされて加熱生成された温水を前記貯湯タンクより給湯する太陽熱温水器であって、
前記架台は、前記貯湯タンクの長手方向両端部を支持するタンク支持フレームと、
前記タンク支持フレームに一端が接続され他端が設置面まで延設されて設置固定され、前記集熱部の左右両側に配置される一対の側面フレームと、を備え、
前記複数のガラス管の背面側に、凹部どうしを向かい合わせた一対のガイドレールが前記一対の側面フレーム間に架設されており、前記一対のガイドレール間には反射面を有する反射部材が脱着可能に挿入支持され、少なくとも前記反射部材と前記貯湯タンク間、前記反射部材と設置面間には所定幅の隙間を設けて支持されていることを特徴とする太陽熱温水器。
【請求項5】
前記貯湯タンクには給水管と給湯管が各々接続されており、前記給水管と前記給湯管を接続する配管混合部には温水を吐出する吐出口と温水の温度を計測する水温センサ及び温水の温度を表示する水温表示部が設けられている請求項1又は請求項4に記載の太陽熱温水器。
【請求項6】
前記貯湯タンクには給水管と給湯管が各々接続されており、前記給水管と前記給湯管を接続し、水道水と温水を混合する配管混合部が設けられ、前記配管混合部には前記給水管、前記給湯管、前記給水管及び前記給湯管のいずれかからの水量を調節するバルブと、混合された温水を吐出する吐出口を備え、前記バルブを開閉操作する開閉操作部は脱着可能に設けられている請求項1又は請求項4記載の太陽熱温水器。
【請求項7】
設置面に設置固定される架台に支持された貯湯タンクと、当該貯湯タンクに一端が接続され他端が設置面近傍まで延設された複数のガラス管が傾斜姿勢で前記架台に併設保持された集熱部と、を有し、前記集熱部が太陽光にさらされて加熱生成された温水を前記貯湯タンクより給湯する太陽熱温水器であって、
前記複数のガラス管の背面側に平板状の反射面を有する反射部材が、所定間隔を設けて反射面を正対させ、少なくとも前記反射部材と前記貯湯タンク間、前記反射部材と設置面間には任意幅の隙間を設けて配置され、前記反射部材は前記架台に対して取付部材によって脱着可能に取り付けられていることを特徴とする太陽熱温水器。
【請求項8】
前記反射部材を複数備え、前記反射部材と前記貯湯タンク間、前記反射部材と設置面間、前記反射部材どうしの間には任意幅の隙間を設けて取り付けられている請求項7記載の太陽熱温水器。
【請求項9】
前記反射部材には複数の取付穴が設けられ、前記反射部材は前記架台を構成するいずれかのフレームの背面又は前記ガラス管背面においていずれかの前記取付穴に取付ベルトを挿通して前記フレーム又は前記ガラス管に対して環状に締結されて取り付けられている請求項7又は請求項8記載の太陽熱温水器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集熱部の集熱で貯湯タンクの貯水を加熱して温水を生成する太陽熱温水器に関する。
【背景技術】
【0002】
温水あるいは熱水(約40℃~100℃)は、農業や工業などで広く使われている。例えば食器の殺菌や調理、コメ種子の洗浄、雑草の発芽抑制、医療用機器や食品製造設備の殺菌、そして住宅の給湯や暖房、等様々な分野で利用されている。冷水を温水に加熱する熱源としては、主に化石燃料を燃焼させるボイラーやジュール熱を利用した電気ヒーターが用いられる。一方、近年は化石燃料によらない再生可能エネルギーが見直されている。代表的な例として太陽光発電があげられ普及が加速しているが、迂回過程が多い、効率が低い、エネルギー密度が小さい、出力変動、廃棄コスト、そして何よりも発電と消費の同時性から例えば揚水ダムによる巨大なバックアップシステム等が必要となること、など多くの問題を含んでいる。
【0003】
一方、小規模な家庭用給湯設備などには、発熱体を太陽光で加熱し水と接触させて直接加温し、水に太陽光エネルギーを蓄積する太陽熱温水器が広く用いられてきた。太陽光発電による温水生成効率4%程度に対し最新のヒートパイプ型太陽熱温水器の効率はほぼ50%~60%と言われ太陽光発電の十倍以上にも達する。さらに日照があるときに水に熱エネルギーとして蓄積することから雲による日射量変化や夜間でも影響を受けにくい点が優れている。しかもインバータや発電パネルのような経年劣化もなく長寿命であり生産から廃棄まで含めたエネルギーコストも小さく抑えられる。即ち太陽熱温水器は、燃料コストゼロ・高効率・ロングライフという特長を備えており、ボイラーや電気ヒーターよりも圧倒的に有利であり普及が期待されている。
【0004】
太陽光エネルギーを使用する太陽熱温水器は、一般的に太陽光エネルギーを集める集熱部と温水を蓄える貯湯タンクとで構成される。以下、太陽熱温水器の種類について説明する。自然落下式は集熱部と貯湯タンクを一体とし、ボールタップあるいは水位センサと電磁弁を使い給水を制御し貯湯タンク内の水位を一定にし、集熱部により加熱された温水を重力により排出する方式である。排出される温水は非加圧のため貯湯タンクを高い位置に設置する必要があり、通常は屋根の上に設置される。また給湯器へ温水を供給する場合は別途加圧ポンプを付ける場合もある。
【0005】
水道直圧式は集熱部と貯湯タンクを一体とし、タンクには大気圧より水圧の高い水道水が常時供給され、集熱部により加熱された温水を給水の圧力により排出する方式である。排出される温水は加圧されており太陽熱温水器を地上設置も可能である。
【0006】
強制循環式は集熱部と貯湯タンクを別置きとし、集熱部にポンプで熱源(不凍液等)を循環させ、加熱された熱源が貯湯タンク内の熱交換器を経由して貯湯タンクの水を加熱する方式である。集熱部を屋根の上に設置し貯湯タンクは建物近傍の地上に置かれることが多い。不凍液を使用するタイプは冬季でも凍結せず一年を通して給湯することができる。
【0007】
また集熱部の構成には、集熱面を平板ガラスで覆った平板型(特許文献1;特開2005-265251号公報)、内部を真空とした真空二重ガラス管(以後「ガラス管」と呼ぶ)内を集熱面とし内部に通水するガラス管型(特許文献2;特開2020-153541号公報)、あるいはガラス管内にヒートパイプを設けたヒートパイプ型(特許文献3;実開昭60-79660号公報)などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005-265251号公報
【特許文献2】特開2020-153541号公報
【特許文献3】実開昭60-79660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した特許文献1乃至3に開示された太陽熱温水器は、多くは家屋の屋根に設置するものが多く、地上設置を示唆しているものがあるが具体的な構成は開示がない。これらの先行技術には、以下に述べる課題を有している。
(1)地上設置時の安全対策不足
太陽熱温水器を屋根に設置した時は、基本的に人が近づかないことからガラス管の破損やケガの恐れは少ない。一方、地表に設置時は生活圏に設置することになり、利用者が太陽熱温水器に直接接触する機会も多くより安全対策が必要となる。ガラス管は直径30mm程度の雹や積雪4m程度に耐える強度を有しているが、地表設置時は人間が倒れ込んだり自転車や一輪車が衝突したりする可能性があり、ガラス管が破損し割れたガラスによる怪我の恐れがある。また、集熱部背面側もガラス管がむき出しになっているため、園芸作業時に人が衝突したり、園芸道具が接触したりすることでガラス管の破損或いは作業者が怪我をするおそれがある。
そこでフェンスで温水器設置エリアを囲うことが考えられるが、日射を遮り効率低下につながること、フェンススペース・コストを要すること、ガラス管の掃除などの保守性が低下すること、あるいは玄関先や庭に設置した場合の景観を損なうことなどの課題がある。
(2)背面反射鏡の風荷重による装置破損
ガラス管を備えた太陽熱温水器には、ガラス管同士に隙間が設けられており隙間から入射光が背面に通過してしまい効率が低下する問題がある。そこでガラス管の背面に平面鏡あるいは複合パラボラ集光鏡Compound Parabolic Concentrator(CPC板)を設けて通過する入射光を反射させガラス管背面で集熱して効率を向上する方法が提案されている。
しかしながら反射鏡を設ける場合、反射鏡をフレームに強固に固定する必要があり、反射鏡による風荷重が増大し太陽熱温水器が転倒、破損する課題が発生する。
(3)屋外の貯湯タンクの温水を使う場合の安全対策
一般的に太陽熱温水器は生成した温水を給湯器あるいは屋内温水栓へ供給し屋内で温水を使用することが多いが、屋内へ引き込まず屋外で温水を使用する用途もあり、例えば、住宅の庭ではペットシャワーや洗車、公園ではキャンプ用水や温水除草、畑では作物や農機具の洗浄、など多岐にわたる。
そこでこれらの用途に対して貯湯タンクの温水を利用して、水源からの冷水と貯湯タンクからの温水を混合する配管混合部を貯湯タンク近傍に設け、所望の温度の温水を生成して配管混合部の吐出口から吐出させて使用することが考えられる。
その際混合状態により吐出される温水の温度は冷水から100℃近い熱水まで考えられ、吐出水温がわからないため意図しない高温水が吐出された場合は火傷の恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、上述した太陽熱温水器の様々な課題を解決するものであり、具体的には集熱部に複数併設されたガラス管の防護手段を設けて安全に地上で運用可能とし、強風時にガラス管背面に設けられた反射部材を容易に脱着可能として転倒・破損を防止し、貯湯タンク近傍に設けた配管混合部から吐出させた混合水による意図しない火傷を防止することができる太陽熱温水器を提供することを目的とする。
【0011】
地上に設置固定される架台に支持された貯湯タンクと、当該貯湯タンクに一端が接続され他端が設置面近傍まで延設された複数のガラス管が傾斜姿勢で前記架台に併設保持された集熱部と、を有し、前記集熱部が太陽光にさらされて加熱生成された温水を前記貯湯タンクより給湯する太陽熱温水器であって、前記架台は、前記貯湯タンクの長手方向両端部を支持するタンク支持フレームと、前記タンク支持フレームに一端が接続され他端が設置面まで延設されて設置固定され、前記集熱部の左右両側を覆って配置される一対の防護フレームと、前記一対の防護フレーム間に前記ガラス管と平面視で交差するように前記集熱部の手前側に架設された複数の防護ワイヤと、を備え、前記集熱部を構成する複数のガラス管は、前記一対の防護フレーム間に配置され、かつ前記防護フレーム及び前記防護ワイヤと非接触で前記架台に保持されていることを特徴とする。
これにより、地上設置された集熱部へ人が倒れたり、物が衝突したりした場合に防護ワイヤによりガラス管の破損を防止することができる。また、ワイヤ形状とすることで集熱部の遮光面積を可及的に小さくすることができる。尚、複数の防護ワイヤは、互いに平行に張られていてもよいし、格子形状に張られていてもよい。
【0012】
前記一対の防護フレームの設置側端部近傍には、複数のガラス管の端部を保持するガラス管固定フレームが架設されているのが好ましい。
これにより、貯湯タンクに接続された複数のガラス管の設置側端部を、ガラス管固定フレームに保持することで、複数のガラス管が傾斜姿勢で防護フレーム及び防護ワイヤと非接触で架台に保持することができる。
【0013】
前記一対の防護フレームには、長手方向に沿って複数の抜孔が各々設けられていると、防護フレームの側面からの風圧を逃がすことができ、安定した地上設置が実現できる。
【0014】
設置面に設置固定される架台に支持された貯湯タンクと、当該貯湯タンクに一端が接続され他端が設置面近傍まで延設された複数のガラス管が傾斜姿勢で前記架台に併設保持された集熱部と、を有し、前記集熱部が太陽光にさらされて加熱生成された温水を前記貯湯タンクより給湯する太陽熱温水器であって、前記架台は、前記貯湯タンクの長手方向両端部を支持するタンク支持フレームと、前記タンク支持フレームに一端が接続され他端が設置面まで延設されて設置固定され、前記集熱部の左右両側に配置される一対の側面フレームと、を備え、前記複数のガラス管の背面側に、凹部どうしを向かい合わせた一対のガイドレールが前記一対の側面フレーム間に架設されており、前記一対のガイドレール間には反射面を有する反射部材が脱着可能に挿入支持され、少なくとも前記反射部材と前記貯湯タンク間、前記反射部材と設置面間には所定幅の隙間を設けて支持されていることを特徴とする。
【0015】
これにより、複数のガラス管を直径より大きなピッチで並列配置した場合、ガラス管同士の隙間から入射した太陽光が通過してしまい集熱部の加熱に寄与しないが、ガラス管の背面側に反射部材を設置すれば、ガラス管同士の隙間を通過した太陽光は反射されガラス管背面に入射し集熱効率が大幅に改善される。
しかしながら、反射部材を設けると台風などの強風時に反射部材により風荷重が増大し太陽熱温水器が転倒・破損する可能性がある。このため反射部材を取り外し可能とし、予め強風が予想される際には反射部材を取り外して強風時の風荷重による転倒・破損を防止する。
また、一対のガイドレール間に挿入支持された反射部材は、少なくとも反射部材と貯湯タンク間、反射部材と設置面間に所定幅の隙間を設けて支持されているので、反射部材にかかる風荷重を低減し太陽熱温水器の転倒・破損を防止することができる。
さらに、ガイドレールと反射部材はガラス管より背面側に配置されるため、背面側からの人や物の衝突からガラス管の破損を防止することができる。
なお、反射部材を複数箇所に設ける場合には、反射部材どうしの間にも所定幅の隙間を設けて支持するのが風荷重を低減するうえで好ましい。反射部材の表面は、平坦な鏡面状でもよいが凹凸面を有する粗面をして乱反射を起こすようにしてもよい。また、反射部材は、平面鏡に限らずトラフ形状あるいは複合パラボラ集光鏡(Compound Parabolic Concentrator、CPC板)のように曲面形状であってもよい。
【0016】
前記貯湯タンクには給水管と給湯管が各々接続されており、前記給水管と前記給湯管を接続する配管混合部には温水を吐出する吐出口と温水の温度を計測する水温センサ及び温水の温度を表示する水温表示部が設けられている。
これにより、配管混合部により生成された温水を吐出口より吐出して使用する場合、吐出される水温を水温表示器で確認し所望の温度で使用することができる。また、意図しない高温水が吐出された場合も吐出される水温が分かるため火傷を防止できる。
【0017】
前記貯湯タンクには給水管と給湯管が各々接続されており、前記給水管と前記給湯管を接続し、水道水と温水を混合する配管混合部が設けられ、前記配管混合部には前記給水管、前記給湯管又は前記給水管及び前記給湯管のいずれかからの水量を調節するバルブと、混合された温水を吐出する吐出口を備え、前記バルブを開閉操作する開閉操作部は脱着可能に設けられていてもよい。
これにより、第三者が不用意に配管混合部に設けられたバルブを操作することで吐出口より吐出される高温水による火傷を防止でき、安全性が高くなる。
【0018】
設置面に設置固定される架台に支持された貯湯タンクと、当該貯湯タンクに一端が接続され他端が設置面近傍まで延設された複数のガラス管が傾斜姿勢で前記架台に併設保持された集熱部と、を有し、前記集熱部が太陽光にさらされて加熱生成された温水を前記貯湯タンクより給湯する太陽熱温水器であって、前記複数のガラス管の背面側に平板状の反射面を有する反射部材が、所定間隔を設けて反射面を正対させ、少なくとも前記反射部材と前記貯湯タンク間、前記反射部材と設置面間には任意幅の隙間を設けて配置され、前記反射部材は前記架台に対して取付部材によって脱着可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0019】
これにより、貯湯タンクに対して複数のガラス管を直径より大きなピッチで並列配置した場合、ガラス管同士の隙間から入射した太陽光が通過してしまい集熱部の加熱に寄与しないが、ガラス管の背面側に反射部材を設置すれば、ガラス管同士の隙間を通過した太陽光は反射面にて反射されガラス管背面に入射し集熱効率が大幅に改善される。
また、反射部材を設けると台風などの強風時に反射部材により風荷重が増大し太陽熱温水器が転倒・破損する可能性がある。このため、反射部材を架台に対して脱着可能とし、予め強風が予想される際には反射部材を取り外すことで強風時の風荷重による転倒・破損を防止することができる。また、反射部材はガラス管より背面側に配置されるため、背面側からの人や物の衝突からガラス管の破損を防止することができる。なお、反射部材の表面は、平坦な鏡面状でもよいが凹凸面を有する粗面をして乱反射を起こすようにしてもよい。
【0020】
前記反射部材を複数備え、前記反射部材と前記貯湯タンク間、前記反射部材と設置面間、前記反射部材どうしの間には任意幅の隙間を設けて取り付けられていることが好ましい。
これにより、複数の反射部材を用いることで反射部材を小さくすることができ、反射部材にかかる風荷重を低減し、太陽熱温水器の転倒・破損を防止することができる。また、反射部材間にも任意幅の隙間を設けて取り付けられるため風を逃がす面積が広くなり耐風圧性が向上する。
【0021】
前記反射部材には複数の取付穴が設けられ、前記反射部材は前記架台を構成するいずれかのフレームの背面又は前記ガラス管背面においていずれかの前記取付穴に取付ベルトを挿通して前記フレーム又は前記ガラス管に対して環状に締結されて取り付けられていてもよい。
これにより、太陽熱温水器に反射部材取付用の格別な加工をすることなく、あるいは複雑な機構を用いることなく、反射部材を任意の箇所に容易に着脱することができる。
【発明の効果】
【0022】
上述した太陽熱温水器によれば、集熱部を構成するガラス管は、一対の防護フレーム間に配置され、かつ防護フレーム及び防護ワイヤとの間に隙間を設けて架台に保持されているので、地上設置されていても集熱部のガラス管が保護され、安全性が担保される。
また、防護ワイヤの素線径は小さくて済むため、遮光量が抑えられ集光効率低下を抑えることができる。しかも、防護フレームや防護ワイヤは、風圧の影響を受け難い。
集熱部の背面側に設けられた反射部材により集光効率を向上できる。また、台風などの強風時に反射部材を取り外し、耐風圧性を向上できる。反射部材を取り外し清掃することができ反射効率を維持できる。
特に、太陽熱温水器を用いることで、断水、停電、燃料切れ、給湯器故障が同時発生しても貯湯を非常用水として利用することができ利便性が高い。集熱部を南向きに設置し集熱効率を向上できる。積雪時に集光面の除雪ができ豪雪地でも使用できる。集熱部を水洗して黄砂や火山灰などによる集熱効率低下や塩害を低減できる。台風などの強風時に反射部材を取り外し、耐風圧性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施例1に係る太陽熱温水器の正面側斜視図である。
図2】実施例1に係る太陽熱温水器の背面側斜視図である。
図3】実施例1の給湯システムの配管説明図である。
図4】実施例1のガラス管、防護フレーム及び防護ワイヤの配置構成を示す説明図である。
図5】実施例1の反射部材の配置説明図である。
図6】実施例1の反射部材の取付構造を示す拡大側面図である。
図7】実施例1の貯湯タンクに接続する配管説明図である。
図8】ヒートパイプ型の集熱部の断面説明図である。
図9】ガラス管型の集熱部の断面説明図である。
図10】平面型の集熱部の断面説明図である。
図11】実施例2に係る太陽熱温水器の正面側斜視図である。
図12】実施例2に係る太陽熱温水器の背面側斜視図である。
図13】実施例2の反射部材の取付構造を示す拡大側面図である。
図14】実施例3に係る太陽熱温水器を含む給湯システムの配管説明図である。
図15】実施例4に係る太陽熱温水器の正面側斜視図である。
図16】実施例4に係る太陽熱温水器の背面側斜視図である。
図17】実施例4に係る太陽熱温水器の右側面図である。
図18】実施例4の反射部材の背面側配置説明図である。
図19】実施例4の他例に係る太陽熱温水器の設置状態を示す右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[実施例1]
先ず、太陽熱温水器の概略構成について図1乃至図7を参照して説明する。以下では、太陽熱温水器の一例として加圧した温水を排出する水道直圧式で、集熱部にガラス管を備えた太陽熱温水器Mについて説明する。尚、図1において、集熱部のガラス管に太陽光が入射する側を装置正面側とし、反対側を装置背面側として説明する。図1に示すように、太陽熱温水器Mは、太陽光エネルギーを集める集熱部4と、集熱部4で生成された温水を蓄える貯湯タンク2とで構成される。貯湯タンク2は水道水を供給する給水管8と温水を排出する給湯管9が接続されておりそれぞれ凍結防止帯が巻かれている(図2参照)。
【0025】
図1において、架台1は地上に設置固定され、貯湯タンク2及び集熱部4を支持する。集熱部4は一端が貯湯タンク2に接続され他端が設置面近傍まで延設された複数のガラス管3で構成され、貯湯タンク2には、一端が接続され他端が設置面近傍まで延設されたガラス管3を複数併設された集熱部4が架台1によって傾斜姿勢で保持されている。図2に示すように、貯湯タンク2には水道水が給水管8より供給され、集熱部4が太陽光にさらされて加熱生成された温水は貯湯タンク2より給湯管9を通じて排出されるようになっている。
【0026】
架台1は、両端を閉止された円筒状の貯湯タンク2の長手方向両端部を各々支持する弧状に形成された左右一対のタンク支持フレーム1aと、一対のタンク支持フレーム1aの正面側端部に一端が接続され、他端が設置面まで延設されて設置固定される左右一対の防護フレーム1bと、一対のタンク支持フレーム1aの奥側端部に一端が接続され、他端が設置面より起立する一対の起立フレーム1cを備えている。一対の防護フレーム1bの設置面側端部近傍には、複数のガラス管3の端部を保持するガラス管固定フレーム1d(図2参照)が架設されている。ガラス管固定フレーム1dには、複数のガラス管3が挿入保持される固定筒1eが設けられている。複数のガラス管3の設置面側端部は、ガラス管固定フレーム1dに設けられた固定筒1eに挿入保持されている。これにより、複数のガラス管3が傾斜姿勢で防護フレーム1b及び防護ワイヤ5と非接触で架台1に保持することができる。また、架台1の起立フレーム1cと防護フレーム1b間、起立フレーム1c間には、梁フレーム1fで連結されている。防護フレーム1b及び起立フレーム1cの設置端部は、設置面に対してボルト或いは杭などで固定することができる。尚、架台1の設置面側端部に設けられた固定筒1eの手前側に、ガラス管3に対して乗り上げ防止用のガードフレーム(図示せず)を設けてもよい。
【0027】
また、一対の防護フレーム1bには、長手方向に沿って複数の通気孔1gが各々設けられている。これにより防護フレーム1bの側面からの風圧を通気孔1gで逃がすことができ、太陽熱温水器M の安定した地上設置が実現できる。
このように、太陽熱温水器Mの設置作業は地上で行われ高所作業が不要となり安全性が高い。また、建物の屋根に取り付けることがなく雨漏りの原因とならず、強風により太陽熱温水器Mが飛ばされるおそれはなく、建物屋根の外観が悪くなることもない。
【0028】
一対の防護フレーム1b間には、複数併設されたガラス管3とガラス管3の装置正面側(手前側)に架設された複数の防護ワイヤ5を備えている。尚、防護フレーム1b間に平行に架設された複数の防護ワイヤ5に格子状に交差する交差ワイヤ5aが設けられていてもよい。
防護ワイヤ5は、集熱部4へ人が倒れたり、物が衝突したりした場合でも怪我をすることなく、ガラス管3が破損するのを防止する。ワイヤ形状とすることで集熱部4の遮光面積を可及的に小さくすることができる。例えばワイヤ径d=3mm、ピッチ=150mmで配置した時の遮光率=2%であった。
これに対して強化ガラスでガラス管3を防護した場合には、表面反射率=4%、減衰率=1~2%、で遮光率は5~6%となり、防護ワイヤ5のほうが効率低下がより少ない結果となった。
【0029】
防護ワイヤ5の両端は防護フレーム1bの側面に各々固定され、図1に示すようにガラス管3より装置正面側に設置される。図4に示すように、防護ワイヤ5の強度やテンションを維持するため、一対の防護フレーム1bの装置正面側のコーナー部は曲面1b1に形成されていることが好ましい。
防護ワイヤ5は対向する防護フレーム1b間に架設することで人などが倒れた時の垂直荷重は水平方向の引張応力に変換され、ガラス管3と防護ワイヤ5間に隙間を設けることで人体がガラス管3に衝突することを防止できる。例えば衝突荷重は100kgf程度であり、ワイヤ破断荷重は約600kgfであるから十分な耐荷重性能を有する。但し、防護ワイヤ5は例えば金属製ワイヤ(SUS)で直径φ3のものが用いられるものとする。
【0030】
図4に示すように、集熱部4を構成するガラス管3は、一対の防護フレーム1b間に配置され、かつ防護フレーム1b及び防護ワイヤ5との間に隙間Sを設けて架台1に保持されていることが好ましい。尚、図4の上下、左右の隙間Sの大きさは同じでも異なっていてもよい。
このように、集熱部4を構成するガラス管3は、一対の防護フレーム1b間に配置されかつ防護フレーム1b及び防護ワイヤ5との間に隙間Sを設けて架台1に保持されているので、地上設置されていても集熱部4のガラス管3が保護され、安全性が担保される。
また、防護ワイヤ5の素線径は小さくて済むため、遮光量が抑えられ集光効率低下を抑えることができる。しかも、防護フレーム1bや防護ワイヤ5は、風圧の影響を受け難い。特に、地上設置することで、積雪時には集光面の除雪が容易になり豪雪地でも使用でき、防護ワイヤ5により除雪時のガラス管3の破損も防止できる。集熱部4は水洗いし易いため、黄砂や火山灰による効率低下や塩害を低減することができる。
【0031】
ガラス管3は直径より大きなピッチで配置されると、ガラス管3同士の隙間から入射した太陽光が通過してしまい加熱に寄与しない。従ってガラス管3の背面側に反射部材6(平面鏡あるいは複合パラボラ集光鏡Compound Parabolic Concentrator;CPC板)を設置すれば集熱効率が大幅に改善される。しかしながら、反射部材6を設置すると、風圧等の風荷重が大きくなり太陽熱温水器Wの転倒・破損の恐れがある。
【0032】
図6に示すように、反射部材6の設置構造は、一対の防護フレーム1bの背面側にコ字状のガイドレール7が凹部7aどうしを向かい合わせて複数箇所に設けられている。一対のガイドレール7の凹部7aに沿って反射部材6(反射鏡)をスライドさせて挿入し脱着可能に支持されている(図5参照)。ガイドレール7と反射部材6のクリアランスを大きく取り、反射部材6は精密な位置決めはせず強固に固定しない。
これにより、一対の防護フレーム1bに対する反射部材6の着脱が容易になり、強風が吹く気象状況下においては、予め反射部材6を取り外して使用することができる。また、各反射部材6はガイドレール7から容易に取り外せるので清掃が容易に行える。さらに、ガイドレール7は一対の防護フレーム1b間を連結するため架台1の強度が向上し、ガラス管3の背面側から物が衝突することを防止できる。
【0033】
図5は反射部材6の太陽熱温水器Mを背面側から見た図である。なお、図5では貯湯タンク2に接続する給水管8、給湯管9及びガラス管3や起立フレーム1cは省略されている。一対の防護フレーム1bには、複数併設されたガラス管3の背面側に反射面を有する複数の反射部材6(第一反射部材6A,第二反射部材6B)が架設されている。これにより、ガラス管3の集熱効率が大幅に改善される。
第一反射部材6Aと第二反射部材6Bは、ガラス管3の長手方向に隙間S1を設けて一対の防護フレーム1b間に架設されている。このように、複数の反射部材6間、貯湯タンク2と反射部材6間、反射部材6と設置面間に隙間S1を設けて配置することで、例えば強風が吹くと風荷重が大きくなり易いが、隙間S1から風を逃がすことができるので、太陽熱温水器Mの転倒・破損のおそれはなくなる。尚、一対の防護フレーム1b間に反射部材6を一枚設ける場合には、少なくとも反射部材6と貯湯タンク2間、反射部材6と設置面間に所定幅の隙間を設けて支持されるのが好ましい。
【0034】
反射部材6は、ポリ塩化ビニル(PCV)やポリエチレン(PE)などの柔軟性のある素材で形成した平板材とし、またガラス管3に対向する反射面6aを高反射率の鏡面、あるいは面祖度の粗い乱反射面とし、入射光を反射させる構造としてもよい。また、反射部材6は、平面鏡に限らずトラフ形状あるいは複合パラボラ集光鏡(Compound Parabolic Concentrator、CPC板)のように曲面形状に成形されたものでもよい。このように、反射部材6に柔軟性のある素材を用いることで風圧により反射部材6が変形して風荷重を低減し、仮に反射部材6が脱落しても二次災害を低減できる。
【0035】
図2及び図7に示すように、貯湯タンク2には給水管8と給湯管9が各々接続されている。給水管8と給湯管9を接続する配管混合部10には吐出口11が設けられている。配管混合部10は、給水管8と給湯管9を連結して水道水と温水を混合して所望の温度の混合水を生成する。配管混合部10には、給水管8と接続される配管を開閉する給水管バルブ8aと、給湯管9と接続される配管を開閉する給湯管バルブ9aが各々設けられている。これらの給水管バルブ8a及び給湯管バルブ9aの開閉量を調節することで配管混合部10に生成された混合水を吐出口11から吐出できる。また、この配管混合部10には吐出口11より吐出される混合水の温度を測定する水温センサ12が設けられており、配管混合部10近傍に水温センサ12により測定された温度を示す水温表示部13(水温計)が設置されている。
【0036】
これにより、配管混合部10により生成された混合水を吐出口11より吐出して使用する場合、吐出される水温を水温表示部13で確認し所望の温度で使用することができる。また、貯湯タンク2内の水温は100℃近くになっていることもあり予め水温表示部13で水温が分かるため火傷を防止できる。
また、給水管バルブ8aと給湯管バルブ9aの開閉操作部(ハンドルあるいはレバー)は脱着可能となっており、配管混合部10より温水を使用しないときは取り外すことができる。なお、配管混合部10の構成によって開閉操作部は1つのバルブで給水管8及び給湯管9の水量を調節するようになっていてもよい。
これにより太陽熱温水器Mの管理者が開閉操作部を取り外し保管することができ、第三者が不用意にバルブを操作して混合水を吐出することを防止できる。あるいは幼児などが誤って高温の混合水を吐出させて火傷事故を起こすことを未然に防止できる。
【0037】
ここで、太陽熱温水器Mを含む給湯システムの一例について図3を参照して説明する。貯湯タンク2には水源14から給水管8により水道水が給水され、集熱部4のガラス管3により加熱された温水が貯湯タンク2から温度調節弁15に送出される。温度調節弁15には水源14から水道水も給水され、温水と水道水が適宜混合されて所定の温度に自動調整され、所定温度となった温水が家屋Hの給湯器16に送出される。給湯器16は通常、供給された水道水をガスや灯油によるボイラーや電気ヒーターで給湯設定温度まで加熱し家屋Hへ送出する。しかし本案では給湯器16には水道水に代わって太陽熱温水器Mからの温水が供給され、温水温度が給湯設定温度より高いときはボイラーは動作せず燃料は消費されない。温水温度が給湯設定温度より低いときは差分だけボイラーで加熱される。従って太陽熱温水器Mで得た太陽光エネルギーに相当する分はボイラー燃焼量が減り、燃費が改善されCO排出量も削減できる。
【0038】
以上の構成の太陽熱温水器Mは、屋根上に設置することも可能であるが安全性が確保されるため生活圏である地上に設置することも可能であり、南向きに設置しさらにガラス管3と反射部材6により高効率で保温性にも優れている。温水を給湯器16に送出することで化石燃料の消費量を低減できる。また屋外で温水を使用することもでき、様々な用途に利用でき、さらに停電時や断水時や給湯器故障時あるいは災害時などには非常用水となる。なお、真空二重ガラス管を備えた貯湯タンク2に加圧された上水を給水あるいは排出する太陽熱温水器Mであれば、本実施例に関わらず各種形態の太陽熱温水器に適用することができる。
【0039】
次に集熱部4の構成例について、図8乃至図10を参照して説明する。
一般的に太陽熱温水器Mは貯湯タンク2と集熱部4で構成される。集熱部4の構造は大きく分けると、ヒートパイプ型、ガラス管型、平面型の三つがある。
ヒートパイプ型とガラス管型はガラス管3を備えており、実施例はヒートパイプ型を想定している。
図8は、ヒートパイプ型と呼ばれるタイプの構造説明図である。尚、以下の説明では、ボトムヒート方式ヒートパイプを扱い単にヒートパイプという。集熱部4は、内部が真空状態となった二重ガラス管19で覆われており、二重ガラス管19の内壁は熱吸収膜20が塗布されている。二重ガラス管19の中心線と同心状にヒートパイプ22が配置され、ヒートパイプ22は熱吸収膜20とは熱伝導板23を介して熱的に結合されて加熱される。
【0040】
ヒートパイプ22の一端(図面上端)は、貯湯タンク2内に接続され、熱拡散部24(金属凹部)となっている。熱拡散部24は、ヒートパイプ22がシリコングリスなどを介して熱的に結合されている。熱拡散部24は貯湯タンク2の内壁2aに接合され、貯湯タンク2内に突設されている。貯湯タンク2の底部内には水道水が注水されており、熱拡散部24と水道水が接触して熱伝導により水道水は加熱され貯湯タンク2の上部から温水として排出される。すなわちヒートパイプ22が集熱部4で太陽光エネルギーを吸収し熱量を移動させ貯湯タンク2内の水に放出して加熱する熱サイクルシステムとなっている。ヒートパイプ型は、集熱部4には通水せず貯湯タンク2だけに通水する構造であり、給水管と給湯管は貯湯タンク2に接続される。通常、貯湯タンク2内の水は対流により上方のほうがわずかに高温となるため貯湯タンク2下方から給水し貯湯タンク2上方から排出する。集熱部4の外周は真空二重ガラス管19で覆われているため断熱性が高く大気への放熱が極めて少ないため平面型と比べて保温性に優れる。従って貯湯タンク2内の水温は平面型より高くなり冬季でも80℃以上の熱水の生成が可能である。
【0041】
以上ヒートパイプ型の集熱部4について説明したが、集熱部4はガラス管型を用いてもよい。図9にて、ガラス管型の構造を説明する。尚、図8と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとする。集熱部4は、内部が真空状態となった二重ガラス管19で覆われており、二重ガラス管19の内壁は熱吸収膜20が塗布されている。二重ガラス管19の一端(図面上端)はパッキン21を介して貯湯タンク2と接続されている。二重ガラス管19内には貯湯タンク2の水道水が注水され熱吸収膜20からの熱伝導で加熱する。集熱部4で加熱された水道水Wは対流により上方の貯湯タンク2へ移動し、冷たい水道水が二重ガラス管19内へ戻る。加熱された水道水は貯湯タンク2上部へ溜まるため貯湯タンク2底部に水道水Wを給水し、貯湯タンク2上部から温水HWを排出する。ガラス管型は二重ガラス管19内に注水されるが真空断熱されているため断熱性能が高く大気への放熱が極めて少ないため平面型と比べて保温性に優れる。
【0042】
次に図10にて平面型の構造を説明する。集熱部4は太陽照射面を透明なガラス板17を用いたケース体で構成されており、ケース体内に平面状の発熱体18が敷設されている。また、ケース体下方からケース体上方に向かって水源から水道水を通水し直接発熱体18と接触させて熱伝導により加熱する。ケース体上方には貯湯タンク2が配置され、集熱部4で加熱された水道水は対流により上方の貯湯タンク2へ移動する。従って、集熱部4の底部に冷たい水道水を給水し、貯湯タンク2上部から温水を排出するようになっている。
平板型の集熱部4は放熱損失が非常に大きく外気温が下がると集熱部4から貯湯タンク2の温水の熱が逃げてしまい貯留水の水温が低下する。また、寒冷地では集熱部4内の水道水が凍結して装置が破損する恐れがあるため冬季は使用できない。
【0043】
以上説明したように、太陽熱温水器によれば、集熱部4にガラス管3を用いることで断熱性が高くなり外気温の影響を受けにくく、冬季も使用可能となる。集熱部4を構成するガラス管3は、一対の防護フレーム1b間に配置され、かつ防護フレーム1b及び防護ワイヤ5との間に隙間を設けて架台1に保持されているので、地上設置されていても集熱部4のガラス管3が保護され、安全性が担保される。
また、反射部材6とガイドレール7はガラス管3より背面側に配置されることで背面側からの人や物の衝突によるガラス管3の破損を防護できる。
さらに、防護ワイヤ5の素線径は小さくて済むため、遮光量が抑えられ集光効率低下を抑えることができる。しかも、防護フレーム1bや防護ワイヤ5は、風圧の影響を受け難い。特に、地上設置することで、断水、停電、燃料切れ、給湯器故障が同時発生しても貯水を非常用水として利用することができる。
集熱部4を南向きに設置し集光効率を向上できる。積雪時に集熱部4の除雪ができ豪雪地でも使用できる。また、集熱部4を水洗して黄砂や火山灰による効率低下や塩害を低減できる。反射部材6は容易に取り外しができ、反射面の清掃が容易にでき、台風などの強風時には予め反射部材6を取り外しておいて耐風圧性を向上できる。設置作業は地上で行われ高所作業が不要となり安全性が高い。
【0044】
[実施例2]
太陽熱温水器Mの他例について図11乃至図13を参照して説明する。本実施例は太陽熱温水器Mの一例として、集熱部4にガラス管3を備え、架台1に反射部材6を設けたものである。尚、実施例1と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとする。
【0045】
図11及び図12に示すように、太陽熱温水器Mは、太陽光エネルギーを集める集熱部4と、集熱部4で生成された温水を蓄える貯湯タンク2とで構成される。貯湯タンク2は水道水を供給する給水管8と温水を排出する給湯管9が接続されておりそれぞれ凍結防止帯が巻かれている。
【0046】
図12において、架台1は地上に設置固定され、貯湯タンク2及び集熱部4を支持する。集熱部4は一端が貯湯タンク2に接続され他端が設置面近傍まで延設された複数のガラス管3で構成され、架台1によって傾斜姿勢で保持されている。貯湯タンク2には水道水が給水管8より供給され、集熱部4が太陽光にさらされて加熱生成された温水は貯湯タンク2より給湯管9を通じて排出されるようになっている。尚、架台1は地上に限らず、倉庫などの屋根に設置されていてもよい。
【0047】
架台1は、両端を閉止された円筒状の貯湯タンク2の長手方向両端部を各々支持する弧状に形成された左右一対のタンク支持フレーム1aと、一対のタンク支持フレーム1aの正面側端部に一端が接続され、他端が設置面まで延設されて設置固定される左右一対の側面フレーム1hと、一対のタンク支持フレーム1aの奥側端部に一端が接続され、他端が設置面より起立する一対の起立フレーム1cを備えている。一対の側面フレーム1hの設置面側端部近傍には、複数のガラス管3の端部を保持するガラス管固定フレーム1dが架設されている。ガラス管固定フレーム1dには、複数のガラス管3が挿入保持される固定筒1eが設けられている。複数のガラス管3の設置面側端部は、ガラス管固定フレーム1dに設けられた固定筒1eに挿入保持されている。
これにより、複数のガラス管3が傾斜姿勢で架台1に保持することができる。また、架台1の起立フレーム1cと側面フレーム1h間、起立フレーム1c間には、梁フレーム1fで連結されている。側面フレーム1h及び起立フレーム1cの設置端部は、設置面に対してボルト或いは杭などで固定することができる。
【0048】
ガラス管3は直径より大きなピッチで配置されると、ガラス管3同士の隙間から入射した太陽光が通過してしまい加熱に寄与しない。従ってガラス管3の背面側に反射部材6(平面鏡あるいは複合パラボラ集光鏡Compound Parabolic Concentrator;CPC板)を設置すれば集熱効率が大幅に改善される。しかしながら、反射部材6を設置すると、反射部材6にかかる風荷重が大きくなり太陽熱温水器Mの転倒・破損の恐れがある。
【0049】
図13に示すように、反射部材6の設置構造は、一対の側面フレーム1hの背面側にコ字状のガイドレール7が凹部7aどうしを向かい合わせて複数箇所に設けられている。一対のガイドレール7の凹部7aに反射部材6をスライドさせて挿入し脱着可能に支持されている(図5参照)。ガイドレール7と反射部材6のクリアランスを大きく取り、反射部材6は精密な位置決めはせず強固に固定しない。
これにより、ガラス管3同士の隙間を通過した入射光を反射しガラス管3の背面で集光させることで集熱効率が大幅に改善される。また、一対の側面フレーム1hに対する反射部材6の着脱が容易にでき、強風が吹く気象状況下においては、予め反射部材6を取り外しておくことで太陽熱温水器Mの転倒・破損のおそれはなくなる。さらに、ガイドレール7は一対の側面フレーム1h間を連結するため架台1の強度が向上し、ガラス管3の背面側から物が衝突することを防止できる。
【0050】
図5は実施例1の反射部材6の太陽熱温水器Mを背面側から見た図であるが実施例2の太陽熱温水器Mを背面側から見た図として援用するものする。なお、図5では貯湯タンク2に接続する給水管8及び給湯管9やガラス管3や起立フレーム1cは省略されている。また、図5は防護フレーム1bを図示するが、側面フレーム1hと置き換えて説明するものとする。
第一反射部材6Aと第二反射部材6Bは、ガラス管3の長手方向に隙間S1を設けて一対の側面フレーム1h間に架設されている。このように、複数の反射部材6間、貯湯タンク2と反射部材6間、反射部材6と設置面間に隙間S1を設けて配置することで、例えば強風が吹くと風荷重が大きくなり易いが、隙間S1から風を逃がすことができるので、太陽熱温水器Mの転倒・破損のおそれはなくなる。
【0051】
反射部材6は、ポリ塩化ビニル(PCV)やポリエチレン(PE)などの柔軟性のある素材で形成した平板材とし、またガラス管3に対向する反射面6aを高反射率の鏡面、あるいは面祖度の粗い乱反射面とし、入射光を反射させる構造としてもよい。また、反射部材6は、平面鏡に限らずトラフ形状あるいは複合パラボラ集光鏡(Compound Parabolic Concentrator、CPC板)のように曲面形状に成形されたものでもよい。このように、反射部材6に柔軟性のある素材を用いることで風圧により反射部材6が変形して風荷重を低減し、仮に反射部材6が脱落しても二次災害を低減できる。
なお、セルロースナノファイバーやウッドプラスチックなど木材を原料とした素材を使うことで石油消費量を減らすことも可能である。
【0052】
以上説明したように、集熱部4を反射部材6にかかる風荷重を低減することで安全性を確保でき、地上で太陽熱温水器Mを運用できる。反射部材6によりガラス管3の集熱効率を大幅に改善できる。各反射部材6はガイドレール7から容易に取り外せるので清掃が容易に行うことができ、反射効率を維持できる。また、反射部材6とガイドレール7はガラス管3より背面側に設置されることで背面側からの人や物の衝突によるガラス管3の破損を防護でき、一対の側面フレーム1h間にガイドレール7を架設することで架台1の強度を向上することができる。
【0053】
[実施例3]
図14は実施例3に係る太陽熱温水器Mを含む給湯システムを示す。図3と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとする。図14は、図3の給湯システムから給湯器16への配管を無くし、給湯器16へ温水を供給しない実施例である。貯湯タンク2のみで生成された温水を使うことができ、配管は水源14からの給水管8のみですむ。貯湯タンク2に接続された給湯管9は混合手段10にのみに接続される。
【0054】
貯湯タンク2には水源14から給水管8を通り水道水が給水され、集熱部4により加熱された温水は給湯管9を通り配管混合部10へ排出される。配管混合部10は給水管8からの水道水と給湯管9からの温水を混合し吐出口11から混合水(温水)を吐出する。
このように、家屋Hに設けられた給湯器16への配管をなくすことで、太陽熱温水器Mの設置場所の自由度が広がる。よって、水源14さえあれば温水を作ることができ、公園やキャンプ場などでボイラーが無くても温水を提供することができる。
【0055】
[実施例4]
太陽熱温水器Mの他例について図15乃至図19を参照して説明する。本実施例は太陽熱温水器Mの一例として、集熱部4にガラス管3を備え、架台1に反射部材6を設けたものである。尚、実施例1と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとする。本実施例は、後述するように太陽熱温水器Mを、地上設置する場合の他、屋根25上に設ける場合も含む。
【0056】
図15及び図16に示すように、太陽熱温水器Mは、太陽光エネルギーを集める集熱部4と、集熱部4で生成された温水を蓄える貯湯タンク2とで構成される。貯湯タンク2は水道水を供給する給水管8と温水を排出する給湯管9が接続されておりそれぞれ凍結防止帯が巻かれている。
【0057】
図15において、架台1は地上に設置固定され、貯湯タンク2及び集熱部4を支持する。集熱部4は一端が貯湯タンク2に接続され他端が設置面近傍まで延設された複数のガラス管3で構成され、架台1によって傾斜姿勢で保持されている。貯湯タンク2には水道水が給水管8より供給され、集熱部4が太陽光にさらされて加熱生成された温水は貯湯タンク2より給湯管9を通じて排出されるようになっている。
【0058】
架台1は、両端を閉止された円筒状の貯湯タンク2の長手方向両端部及びタンク中心部を各々支持する弧状に形成されたタンク支持フレーム1aと、タンク支持フレーム1aの正面側端部に一端が接続され、他端が設置面まで延設されて設置固定される側面フレーム1h及び側面フレーム1h間に設けられた中央フレーム1iと、タンク支持フレーム1aの奥側端部に一端が接続され、他端が設置面より起立する起立フレーム1cを備えている。側面フレーム1h及び中央フレーム1iの設置面側端部近傍には、複数のガラス管3の端部を保持するガラス管固定フレーム1dが架設されている。ガラス管固定フレーム1dには、複数のガラス管3が挿入保持される固定筒1eが設けられている。複数のガラス管3の設置面側端部は、ガラス管固定フレーム1dに設けられた固定筒1eに各々挿入保持されている。
これにより、複数のガラス管3が傾斜姿勢で架台1に保持することができる。また、架台1の起立フレーム1cと側面フレーム1h間、起立フレーム1c間には、梁フレーム1fで連結されている。側面フレーム1h及び起立フレーム1cの設置端部は、設置面に対してボルト或いは杭などで固定することができる。
【0059】
複数のガラス管3は、その直径より大きなピッチで配置されると、ガラス管3同士の隙間から入射した太陽光が通過してしまい加熱に寄与しない。
従ってガラス管3の背面側に反射部材6(平面鏡あるいは複合パラボラ集光鏡Compound Parabolic Concentrator;CPC板)を設置すれば集熱効率が大幅に改善される。しかしながら、反射部材6を設置すると、反射部材6に作用する風荷重が大きくなり太陽熱温水器Mの転倒・破損の恐れがある。
【0060】
図16に示すように、平板状の反射部材6には取付穴6bが複数箇所に設けられている。反射部材6は取付穴6bを通した複数の取付ベルト26により側面フレーム1h及び中央フレーム1iと脱着可能に取り付けられている。このため、反射部材6を取り外し可能とし、予め強風が予想される際には反射部材6を架台1から取り外すことで強風時の風荷重による転倒・破損を防止することができる。また、複数の反射部材6を用いることで、反射部材6を小さくすることができ、反射部材6に作用する風荷重を低減し、太陽熱温水器Mの転倒・破損を防止することができる。また、反射部材6間にも任意幅の隙間を設けて支持されているため風を逃がす面積が広くなり耐風圧性が向上する。
また、反射部材6はガラス管3より背面側に配置されるため、背面側からの人や物の衝突からガラス管3の破損を防止することができる。なお、反射部材6の表面は、平坦な鏡面状でもよいが凹凸面を有する粗面をして乱反射を起こすようにしてもよい。
【0061】
また図17に示すように、反射部材6はガラス管3の背面側に設置され、反射部材6の反射面6aはガラス管3の背面と正対する。反射部材6は、例えば架台1を構成する側面フレーム1h及び中央フレーム1iの背面において、反射部材6に設けられたいずれかの取付穴6bに取付ベルト26を挿通して各フレーム対してバックル又は面ファスナー等で環状に締結されている。尚、フレームが存在しない位置では、ガラス管3と反射部材6の取付穴6bに取付ベルト26を環状に締結するようにしてもよい。これにより、太陽熱温水器Mに取り付け用の格別な加工をすることなく、或いは複雑な機構を用いることなく、反射部材6を任意の位置に容易に着脱することができる。
なお、専用の取り付け金具などが不要なことから既設の太陽熱温水器Mにも取り付けが可能で、多数の使用中の太陽熱温水器Mに適用することにより大きなCO排出量削減効果を期待できる。
【0062】
図18は実施例4の太陽熱温水器Mを背面側から見た図である。なお、図18では貯湯タンク2に接続する給水管8及び給湯管9やガラス管3や起立フレーム1cは省略されている。
第一反射部材6Aと第二反射部材6Bは、ガラス管3の長手方向に隙間S1を設けて側面フレーム1h及び中央フレーム1iに支持されている。このように、反射部材6間、貯湯タンク2と反射部材6間、反射部材6と設置面間に隙間S1を設けて配置することで、例えば強風が吹くと風荷重が大きくなり易いが、隙間S1から風を逃がすことができるので、太陽熱温水器Mの転倒・破損のおそれはなくなる。各隙間S1の大きさは、同じであっても異なっていてもよい。
【0063】
図19は太陽熱温水器Mを屋根25に設置した場合の側面図である。屋根25にボルトなどで固定されたベースフレーム1jを設けて、ベースフレーム1jに対して起立フレーム1c、側面フレーム1h、中央フレーム1iを組み付けることが好ましい。また、太陽熱温水器Mは、棟を跨いだ2面の屋根に設置される場合もある。図19のように太陽熱温水器Mを屋根25に設置した場合、給水管8及び給湯管9の配管図は、図3と同様であるとする。
【0064】
反射部材6は、ポリ塩化ビニル(PCV)やポリエチレン(PE)などの柔軟性のある素材で形成した平板材とし、またガラス管3に対向する反射面6aを高反射率の鏡面、あるいは面祖度の粗い乱反射面とし、入射光を反射させる構造としてもよい。このように、反射部材6に柔軟性のある素材を用いることで風圧により反射部材6が変形して風荷重を低減し、仮に反射部材6が脱落しても二次災害を低減できる。
なお、廃プラスチックをリサイクルした素材や、セルロースナノファイバー、ウッドプラスチックなど木材を原料とした素材を使うことで石油消費量を減らすことも可能である。
【0065】
以上説明したように、温水器に加工をすることなく反射部材6を支持することができ、反射部材6にかかる風荷重を低減することで安全性を確保できる。反射部材6によりガラス管3の集熱効率を大幅に改善できる。反射部材6は取付ベルト26を外すだけで容易に取り外せるので清掃が容易に行うことができ、反射効率を維持できる。また、反射部材6はガラス管3より背面側に設置されることで背面側からの人や物の衝突によるガラス管3の破損を防護できる。
【0066】
上述したように太陽熱温水器Mは、安全性が確保されるため生活圏である地上に設置が可能であり、南向きに設置しさらに真空二重ガラス管19と反射部材6により集光率が高く保温性にも優れている。給湯器16に貯湯タンク2で生成された温水を送出することで化石燃料の消費量を低減することができる。
また屋外で温水を使用することもでき、様々な用途に利用でき、さらに停電時や断水時や給湯器故障時あるいは災害時などには非常用水となる。
なお真空二重ガラス管を備えた太陽熱温水器Mであれば、ヒートパイプ型や水道直圧式に限定するものではなく各種形態の太陽熱温水器Mに適用することができる。
【0067】
また、集熱部4を構成するガラス管3の設置面に対する傾斜角度は、固定角度になっているが、防護フレーム1bや起立フレーム1cの長さを変えたり、或いは一対のタンク支持フレーム1aに対する一対の防護フレーム1bや側面フレーム1hの連結位置を変えたりして傾斜角度を可変としてもよい。
【符号の説明】
【0068】
M 太陽熱温水器 1 架台 1a タンク支持フレーム 1b 防護フレーム 1c 起立フレーム 1d ガラス管固定フレーム 1e 固定筒 1f 梁フレーム 1g 通気孔 1h 側面フレーム 1i 中央フレーム 1j ベースフレーム 2 貯湯タンク 3 ガラス管 4 集熱部 5 防護ワイヤ 5a 交差ワイヤ S,S1 隙間 6 反射部材 6A 第一反射部材 6B 第二反射部材 6a 反射面 7 ガイドレール 7a 凹部 8 給水管 8a 給水管バルブ 9 給湯管 9a 給湯管バルブ 10 配管混合部 11 吐出口 12 水温センサ 13 水温表示部 14 水源 15 温度調節弁 16 給湯器 17 ガラス板 18 発熱体 19 二重ガラス管 20 熱吸収膜 21 パッキン 22 ヒートパイプ 23 熱伝導版 24 熱拡散部 25 屋根 26 取付ベルト
図1
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