(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152255
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】肉加工品用固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 27/60 20160101AFI20231005BHJP
A23D 7/005 20060101ALI20231005BHJP
A23L 13/00 20160101ALI20231005BHJP
A23L 13/50 20160101ALI20231005BHJP
A23L 13/60 20160101ALI20231005BHJP
A23L 13/40 20230101ALI20231005BHJP
【FI】
A23L27/60 A
A23D7/005
A23L13/00 A
A23L13/00 Z
A23L13/50
A23L13/60 Z
A23L13/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110271
(22)【出願日】2022-07-08
(31)【優先権主張番号】P 2022060701
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 孝治
【テーマコード(参考)】
4B026
4B042
4B047
【Fターム(参考)】
4B026DC01
4B026DG02
4B026DG03
4B026DG05
4B026DL01
4B026DL03
4B026DL04
4B026DL10
4B026DP01
4B026DP03
4B026DP04
4B026DX04
4B042AC03
4B042AD18
4B042AE03
4B042AG07
4B042AH01
4B042AH09
4B042AK01
4B042AK06
4B042AK08
4B042AK09
4B042AK10
4B042AK17
4B042AK20
4B042AP02
4B042AP05
4B042AP14
4B042AP18
4B042AP20
4B047LB09
4B047LE03
4B047LF04
4B047LG03
4B047LG11
4B047LG18
4B047LG23
4B047LG26
4B047LG27
4B047LG52
4B047LG53
4B047LG62
4B047LG66
4B047LG70
4B047LP02
4B047LP04
4B047LP06
(57)【要約】
【課題】加熱調理後の肉加工品において、ジューシー感とマヨネーズ風味の両方を強く感じさせることができる固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物及びそれを含有する肉加工品を提供すること。
【解決手段】水中油型乳化油脂組成物全体中に、油脂30~55重量%及び水0.5~60重量%を含有する肉加工品用固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物であって、前記水中油型乳化油脂組成物全体中に、酵素処理卵黄0.2~10重量%、ゼラチン1~10重量%、寒天0.1~1.5重量%、及び食酢1~35重量%を含有する、肉加工品用固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中油型乳化油脂組成物全体中に、油脂30~55重量%及び水0.5~60重量%を含有する肉加工品用固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物であって、
前記水中油型乳化油脂組成物全体中に、酵素処理卵黄0.2~10重量%、ゼラチン1~10重量%、寒天0.1~1.5重量%、及び食酢1~35重量%を含有する、
肉加工品用固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物。
【請求項2】
澱粉を前記水中油型乳化油脂組成物全体中に、0.5~10重量%含有する、請求項1に記載の肉加工品用固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物。
【請求項3】
形状が粒状である、請求項1に記載の肉加工品用固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物。
【請求項4】
前記肉加工品がナゲットである、請求項1に記載の肉加工品用固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物。
【請求項5】
請求項1~4の何れかに記載の肉加工品用固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物を含有する、肉加工品。
【請求項6】
請求項5に記載の肉加工品を含む、食品。
【請求項7】
水中油型乳化油脂組成物全体中に、水0.5~60重量%、酵素処理卵黄0.2~10重量%、ゼラチン1~10重量%、寒天0.1~1.5重量%、食酢1~35重量%を含有するように各材料を混合し、撹拌しながら55~60℃に加熱して水相を得、
油脂の含有量が水中油型乳化油脂組成物全体中30~55重量%となるように油脂を含有し、60~80℃に加熱した油相を、前記水相を撹拌しているところに添加して混合物を得、
前記混合物を乳化処理してから加熱殺菌して水中油型乳化油脂組成物を得、
前記水中油型乳化油脂組成物を-20±3℃まで冷却する、
肉加工品用固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肉加工品に用いるための固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マヨネーズは、油、卵、酢等を乳化させたペースト状の調味料である。サラダにかけたり、パンにトッピング又はサンドしたり、ハンバーグやナゲット等の肉加工品用生地に混ぜ込んだりして使用される。
【0003】
マヨネーズを肉加工品用生地に混ぜ込む場合は、肉加工品にマヨネーズ風味やジューシー感を付与する効果が期待できる。しかし、マヨネーズはペースト状なので、挽肉等を使用した肉加工品用生地と混ざり易いため、生地中に均一分散して、加熱調理後の肉加工品の喫食時にマヨネーズの風味を感じにくい。マヨネーズの風味を強く感じさせるには、混ぜ込む量を増やせばよいが、ジューシー感の付与効果はあるものの、生地がべたついて作業性が悪くなる上に、柔らかくなりすぎて成形性や保形性が劣るし、肉加工品特有の弾力が失われてしまう。多量に混ぜ込む他には、通常ペースト状であるマヨネーズを固形状にして不均一分散させる方法が考えられる。
【0004】
特許文献1では、野菜、魚介類、肉類から選ばれる一種又は二種以上の細片化処理物、食用油脂、乳化剤、ゼラチン及び食塩を含有することを特徴とするベーカリー食品用の固形状乳化調味料が開示されている。この固形状乳化調味料は、ゲル化剤としてゼラチンしか使用していないため加熱により溶解しやすく、特に肉加工品の場合には外に溶け出してしまいその風味を感じにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、加熱調理後の肉加工品において、ジューシー感とマヨネーズ風味の両方を強く感じさせることができる固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物及びそれを含有する肉加工品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、油脂、水、酵素処理卵黄、ゼラチン、寒天、及び食酢をそれぞれ特定量配合した水中油型乳化油脂組成物を、冷却して得られた固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物は、加熱調理後の肉加工品において、ジューシー感とマヨネーズ風味の両方を強く感じさせることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明の第一は、水中油型乳化油脂組成物全体中に、油脂30~55重量%及び水0.5~60重量%を含有する肉加工品用固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物であって、前記水中油型乳化油脂組成物全体中に、酵素処理卵黄0.2~10重量%、ゼラチン1~10重量%、寒天0.1~1.5重量%、及び食酢1~35重量%を含有する、肉加工品用固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物に関する。好ましい実施態様は、澱粉を前記水中油型乳化油脂組成物全体中に、0.5~10重量%含有する、前記記載の肉加工品用固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物に関する。より好ましくは、形状が粒状である、前記記載の肉加工品用固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物、更に好ましくは、前記肉加工品がナゲットである、前記記載の肉加工品用固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物に関する。本発明の第二は、前記記載の肉加工品用固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物を含有する、肉加工品に関する。本発明の第三は、前記記載の肉加工品を含む、食品に関する。本発明の第四は、水中油型乳化油脂組成物全体中に、水0.5~60重量%、酵素処理卵黄0.2~10重量%、ゼラチン1~10重量%、寒天0.1~1.5重量%、食酢1~35重量%を含有するように各材料を混合し、撹拌しながら55~60℃に加熱して水相を得、油脂の含有量が水中油型乳化油脂組成物全体中30~55重量%となるように油脂を含有し、60~80℃に加熱した油相を、前記水相を撹拌しているところに添加して混合物を得、前記混合物を乳化処理してから加熱殺菌して水中油型乳化油脂組成物を得、前記水中油型乳化油脂組成物を-20±3℃まで冷却する、肉加工品用固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に従えば、加熱調理後の肉加工品において、ジューシー感とマヨネーズ風味の両方を強く感じさせることができる固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物及びそれを含有する肉加工品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明につき、更に詳細に説明する。
本発明の固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物は、酵素処理卵黄、ゼラチン、寒天、食酢、水、及び油脂を含み、風味がマヨネーズに似ていて、且つ固形状である。なお、前記固形状とは、20℃で流動性を持たないことを意味する。そして、本発明の固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物は、加熱調理を前提とする肉加工品に好適に用いられる。
【0011】
前記水中油型乳化油脂組成物は、酵素処理卵黄、ゼラチン、寒天、食酢、水、更には必要に応じて澱粉等の水溶性原料を含む水相と、油脂と必要に応じて油脂以外の油溶性原料を含む油相とを含む、水中油型の乳化物である。
【0012】
前記酵素処理卵黄とは、トリプシン、パパイン、ペプシン、フィチン等のプロテアーゼ;又はホスホリパーゼA、ホスホリパーゼB、ホスホリパーゼD等のホスホリパーゼ等の酵素で処理した卵黄をいう。その中でも、乳化性とより良い風味の観点から、リン脂質分解酵素であるホスホリパーゼで未処理の卵黄中のタンパク質と複合しているリン脂質をリゾリン脂質にしたホスホリパーゼ処理卵黄が好ましく、ホスホリパーゼA処理卵黄がより好ましい。前記未処理の卵黄としては、生、凍結、粉末、加塩、加糖等の任意の形態のものを用いることができる。
【0013】
前記酵素処理卵黄の含有量は、前記水中油型乳化油脂組成物全体中0.2~10重量%が好ましく、0.6~6重量%がより好ましく、1~2重量%が更に好ましい。0.2重量%より少ないと、固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物の乳化が不安定になったり、ジューシー感やマヨネーズ風味を十分に得られなかったりする場合があり、10重量%よりも多いと、固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物製造時の加熱により焦げが発生し、生産が困難になる場合がある。
【0014】
前記酵素処理卵黄は、マヨネーズ風味をより強く感じる観点から含有量が多い方が好ましいが、少な目の場合は、全卵又はレシチンを酵素処理した酵素処理全卵又は酵素処理レシチン、卵白、及びホエイタンパク質からなる群より選ばれる少なくとも1種を加えても良い。特に、前記水中油型乳化油脂組成物全体中の酵素処理卵黄の含有量が4重量%以下の場合は、加熱調理時の耐熱性を高める観点から、卵白を固形分換算で0.05~2.5重量%含有することが好ましい。
【0015】
前記ゼラチンは、食用に用いられる物であれば特に限定はなく、その含有量は、前記水中油型乳化油脂組成物全体中1~10重量%が好ましく、1.5~6.75重量%がより好ましく、2~3.5重量%が更に好ましい。1重量%より少ないと、固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物の保形性が劣り崩れやすくなるため、肉加工品用生地に混ぜ込まれやすくなり、ジューシー感及びマヨネーズ風味を感じにくくなる場合があり、10重量%よりも多いと、水中油型乳化油脂組成物の粘度が高く、固形状の成形が困難になったり、ジューシー感が劣る場合がある。
【0016】
前記寒天は、食用に用いられる物であれば特に限定はなく、その含有量は、前記水中油型乳化油脂組成物全体中0.1~1.5重量%が好ましく、0.15~1重量%がより好ましく、0.2~0.5重量%が更に好ましい。0.1重量%より少ないと、固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物の保形性が劣り崩れやすくなるため、肉加工品用生地に混ぜ込まれやすくなり、マヨネーズ風味を感じにくくなる場合があり、1.5重量%よりも多いと、加熱調理時に固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物が溶解し難くなり、ジューシー感が劣る場合がある。なお、寒天には、粉末寒天、フレーク寒天、固形寒天、角寒天、糸寒天等の形状があるが、本発明では何れの形状の寒天を使用してもよく、2種以上のものを組み合わせて使用しても良い。
【0017】
前記食酢とは、食酢品質表示基準で定められているものを指し、穀物酢や果実酢を含む醸造酢及び合成酢を指す。前記食酢は具体的には市販されているものを使用することができ、特に種類は限定されないが、食酢全体中の酢酸の含有量は、1~20重量%が好ましく、より好ましくは2~15重量%であり、更に好ましくは3~12重量%以下である。
【0018】
前記食酢の含有量は、前記水中油型乳化油脂組成物全体中1~35重量%が好ましく、5~30重量%がより好ましく、7~25重量%が更に好ましい。1重量%より少ないと、マヨネーズ風味の強さが劣る場合があり、35重量%よりも多いと、水中油型乳化油脂組成物の乳化が不安定になったり、固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物の酸味が強すぎてしまう場合がある。
【0019】
前記食酢は、加熱により食酢中の酢酸が飛んでしまい、固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物の酸味が弱くなってしまう場合があるため、前記水中油型乳化油脂組成物全体中の食酢の含有量が10重量%以下の場合は、酢酸ナトリウム、氷酢酸、アジピン酸、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、DL-リンゴ酸、DL-リンゴ酸ナトリウム、リン酸、DL-酒石酸、L-酒石酸、DL-酒石酸ナトリウム、L-酒石酸ナトリウム、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、グルコノデルタラクトン、乳酸、乳酸ナトリウム、グルコン酸、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、柑橘果汁及び柑橘粉末等の酸味料及び酸味を呈する素材を含んでも良い。但し、前記酸味料及び酸味を呈する素材の含有量が多すぎると風味が悪化する場合があるため、前記含有量は、より良い風味の観点から前記水中油型乳化油脂組成物全体中3重量%未満が好ましい。
【0020】
前記水中油型乳化油脂組成物は、水を0.5~60重量%含有することが好ましく、10~50重量%含有することがより好ましく、20~40重量%含有することが更に好ましい。0.5重量%より少ないと、水中油型乳化油脂組成物の乳化が不安定になったり、ジューシー感を十分に得られなかったりする場合があり、60重量%よりも多いと、固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物の保形性が劣り崩れやすくなるため、肉加工品用生地に混ぜ込まれやすくなり、マヨネーズ風味を感じにくくなる場合がある。
【0021】
前記水中油型乳化油脂組成物の水相には、発明の効果を阻害しない範囲において、前記酵素処理卵黄、ゼラチン、寒天、食酢、及び水以外の水溶性原料並びに乳原料を含有しても良い。前記水溶性原料としては、例えば、前記酸味料及び酸味を呈する素材;前記ゼラチン及び前記寒天以外の増粘剤;前記食酢、前記酸味料及び酸味を呈する素材以外の調味料や香辛料;澱粉;乾燥卵白;及びHLBが7以上の水溶性の乳化剤等を挙げることができる。
【0022】
特に前記澱粉は、ゼラチンの含有量が前記水中油型乳化油脂組成物全体中1.5重量%より少なかったり、寒天の含有量が前記水中油型乳化油脂組成物全体中0.15重量%より少ない場合には、固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物の混ぜ込み時の保形性及び加熱調理時の耐熱性が劣る場合があるため、前記水中油型乳化油脂組成物に含有させることが好ましい。
【0023】
前記澱粉としては特に限定されず、例えば、馬鈴薯澱粉、甘薯澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉、及び、これら澱粉を化学的及び/又は物理的処理した加工澱粉等が挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。前記澱粉は、口溶けが良好で滑らかな食感を得る観点では、ワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉、サゴ澱粉、又は、甘薯澱粉が好ましく、ワキシーコーンスターチがより好ましい。また、加工澱粉の種類としては、老化しにくく保存性の観点から、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉が好ましい。
【0024】
前記澱粉を含有させる場合の含有量は、前記水中油型乳化油脂組成物全体中、0.5~10重量%であることが好ましく、より好ましくは0.85~7重量%であり、更に好ましくは1.2~5重量%である。0.5重量%より少ないと、混ぜ込み時の保形性を付与する効果が十分に得られない場合があり、10重量%より多いと、固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物の食感の滑らかさが劣る場合がある。
【0025】
前記ゼラチン及び前記寒天以外の増粘剤としては、キサンタンガム、ジェランガム、ローカストビーンガム、タラガム、グアーガム、アラビアガム、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、ペクチン、カードラン、コンニャクマンナン、カラギーナン、プルラン等が挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
【0026】
前記食酢、前記酸味料及び酸味を呈する素材以外の調味料としては、一般に料理の味を調える目的で食品に用いられているものが使用でき、例えば、砂糖、食塩、醤油、味噌、みりん、清酒、ウスターソース、オイスターソース、うま味調味料、かつおだし、昆布だし、畜肉エキス、水産エキス、野菜エキス、酵母エキス等が挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
【0027】
前記香辛料としては、一般に食品に用いられている香辛料、及びこれらの混合物が使用でき、例えば、黒胡椒、白胡椒、青胡椒、ニンニク、生姜、胡麻、唐辛子、ホースラディシュ、マスタード、ナツメグ、シナモン、パプリカ、カルダモン、クミン、コリアンダー、ターメリック、サフラン、オールスパイス、クローブ、山椒、オレンジピール、レモン、ゆず、ウイキョウ、カンゾウ、フェネグリーク、ディルシード、クレソン、ねぎ、パクチー、紫蘇、セロリ、タラゴン、チャイブ、チャービル、ニラ、パセリ、カラシナ、ミョウガ、ヨモギ、バジル、オレガノ、ローズマリー、ペパーミント、サボリー、レモングラス、ワサビ葉、山椒の葉等が挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
【0028】
前記水溶性の乳化剤としては、HLBが7~20の乳化剤を使用してよく、例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリソルベート等の合成乳化剤や、大豆リゾレシチン、サポニン、植物ステロール類、乳脂肪球皮膜等の合成乳化剤でない乳化剤等が挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
【0029】
前記乳原料としては、例えば、全粉乳、脱脂粉乳、牛乳、脱脂乳、バター、バターミルクパウダークリーム、チーズ等が挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
【0030】
前記油脂としては、食用油脂であれば特に限定されないが、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、菜種油、ハイエルシン菜種油、コーン油、米油、綿実油、大豆油、ひまわり油、サフラワー油、オリーブ油等の植物性油脂;乳脂肪、牛脂、豚脂、魚油等の動物性油脂;及びこれらを硬化、分別、エステル交換等の加工処理を行ったものが挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
【0031】
特に、大豆油、菜種油、コーン油、米油、綿実油、ひまわり油、サフラワー油、オリーブ油等の液状油を使用する場合には、ダイス状にカットしたり肉加工品用生地に混ぜ込む際により崩れにくくするため、これらの液状油に対しその他の油脂を複数種適宜組み合わせて使用することが好ましい。好適な油脂の組合せの一例として、大豆油と硬化パーム核油とパームスーパーオレインの組合せを挙げることができる。前記硬化パーム核油とは、パーム核油を硬化した油脂であり、上昇融点が30~38℃のものをいう。前記パームスーパーオレインとは、パームオレインを更に分別して得られる低融点画分の油脂である。なお前記上昇融点は、「日本油化学会制定 基準油脂分析試験法2.2.4.2(1996)1996年版」に準拠して測定できる。
【0032】
前記油脂の含有量は、前記水中油型乳化油脂組成物全体中30~55重量%が好ましく、33~52重量%がより好ましく、35~50重量%が更に好ましい。30重量%より少ないと、ジューシー感を十分に得られない場合があり、55重量%よりも多いと、乳化が不安定になり固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物の保形性が劣り崩れやすくなるため、肉加工品用生地に混ぜ込まれやすくなり、マヨネーズ風味を感じにくくなる場合がある。
【0033】
前記水中油型乳化油脂組成物の油相には、前記油脂以外の油溶性原料を含有しても良い。前記油溶性原料としては、発明の効果を阻害しない範囲において、一般的に水中油型乳化油脂組成物に配合される成分を使用することができ、例えば、油溶性の乳化剤、着色料、及び香料等を挙げることができる。
【0034】
前記油溶性の乳化剤としては、HLBが0~8の乳化剤であればよく、例えば、大豆レシチン、卵黄レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、縮合リシノレイン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
【0035】
前記着色料としては、食品添加物として使用が認められるものであれば使用できる。例えば、カロチン色素、カラメル色素、ベニコウ色素、コチニール色素、ベニバナ色素、クチナシ色素等の天然着色料;及び食用タール系色素等の合成着色料が挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
【0036】
前記香料としては、一般に食品に用いられている香料であれば特に制限はなく、天然香料、合成香料、及びこれらの混合物の何れをも用いることができる。例えば、マヨネーズ香料、ガーリック香料、ジンジャー香料、バター香料、バニラ香料、チーズ香料、マスタード香料等が挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
【0037】
前記固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物の形状は、粒状であることが好ましい。本明細書において粒状とは、例えば球状、立方体状、直方体状、円柱状、直球状等が挙げられ、特に限定はなく、複数の形状のものを組み合わせても良い。粒状に成形する方法は、シート状にしてからカットしても良いし、押出成形してからカットしても良いし、粒状の型に入れて固めても良い。カットに使用する道具は、粒状にカットできればなんでも良く、例えば、スライサー、ダイサー、包丁等が挙げられる。粒の大きさは、最大長が1~10mmであることが好ましく、2~6mmであることがより好ましく、3~5mmであることが更に好ましい。1mmよりも小さいと、マヨネーズ風味を十分に感じられない場合があり、10mmよりも大きいと、肉加工品の成形性が劣る場合がある。
【0038】
本発明の固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物は、特に肉加工品用生地に混ぜ込むことで好適に使用できる。
【0039】
本発明でいう肉加工品とは、食肉、人工肉を原料の一つとする加熱調理が前提の加工品であり、例えば、ナゲット、ハンバーグ、ソーセージ、ミートボール、シュウマイ、メンチカツ、つくね、つみれ等が挙げられる。
【0040】
前記食肉とは、鳥類、魚類を含む動物の肉を指す。例えば、鶏肉、牛肉、豚肉、羊肉、馬肉、魚肉等が挙げられ、それらの市販の挽肉や細切れ肉等をそのまま使用しても良いし、塊の場合はチョッパーや包丁等で細かく切ったり、すり潰したもの、或いはそれらを固めて成形したものを使用すれば良い。
【0041】
前記人工肉とは、人工的に作り出した食肉様の食感を持つ食品を指し、例えば、大豆、小麦、エンドウ豆等の植物性たんぱくを加工した植物肉;昆虫を原料とする昆虫肉;並びに動物の細胞を培養し、人工的に組織化させた培養肉等が挙げられ、それらの市販品を使用しても良いし、加工、培養して作製したものを使用しても良い。
【0042】
更に、前記肉加工品を使用して、肉加工品を含む食品を得ることができる。このような肉加工品としては、例えば、ハンバーガー、ホットドッグ、甘酢がけミートボール等が挙げられる。
【0043】
本発明の固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物の製造方法を以下に例示する。まず、水に、前記した酵素処理卵黄、ゼラチン、寒天、食酢、更には必要に応じて水溶性の乳化剤、澱粉、乾燥卵白、調味料等の水溶性原料又は乳原料を添加し、ステファン型乳化機で混合しながら加熱し、55~60℃まで昇温して水相を得る。その際、各成分の含有量が、前記水中油型乳化油脂組成物全体中、ゼラチン1~10重量%、寒天0.1~1.5重量%、酵素処理卵黄0.2~10重量%、食酢1~35重量%、水0.5~60重量%となるように調整する。前記加熱に際しては、各成分を混合してから昇温してもいいし、昇温しながら各成分を混合してもよい。得られた前記水相を、撹拌しながら、好ましくは55~60℃に保持する。
【0044】
次に、油脂の含有量が水中油型乳化油脂組成物全体中30~55重量%となるように、油脂をそのまま或いは油脂に必要に応じて前記油脂以外の油溶性原料を溶解し、60~80℃に加熱して油相を得、好ましくは60~80℃に保持する。
【0045】
前記水相を撹拌しながら、そこに前記油相を添加して混合物を得、更に撹拌により前記混合物を乳化処理して乳化物を得、撹拌しながら90~95℃で2~3分間加熱殺菌してペースト状の水中油型乳化油脂組成物を得る。得られたペースト状の水中油型乳化油脂組成物をピロー包装又は粒状の型等の容器に充填し、冷凍庫で-20±3℃まで冷却することで、前記固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物を得ることができる。ここで、ピロー包装とは、包装フィルムを、開口部を有する袋状に加工した後、内容物を充填し、前記開口部を閉じて該内容物を包装するものをいう。
【0046】
得られた固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物の大きさ又は形状によっては、カット等により粒状に成形することが好ましい。粒状の肉加工品用固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物であることにより、該固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物は、容易に肉加工品用生地に混ぜ込まれ、その後加熱調理されて肉加工品を得ることができる。
【0047】
以下の各項目では、本開示における好ましい態様を列挙するが、本発明は以下の項目に限定されるものではない。
[項目1]
水中油型乳化油脂組成物全体中に、油脂30~55重量%及び水0.5~60重量%を含有する肉加工品用固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物であって、
前記水中油型乳化油脂組成物全体中に、酵素処理卵黄0.2~10重量%、ゼラチン1~10重量%、寒天0.1~1.5重量%、及び食酢1~35重量%を含有する、
肉加工品用固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物。
[項目2]
澱粉を前記水中油型乳化油脂組成物全体中に、0.5~10重量%含有する、項目1に記載の肉加工品用固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物。
[項目3]
形状が粒状である、項目1又は2に記載の肉加工品用固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物。
[項目4]
前記肉加工品がナゲットである、項目1~3の何れかに記載の肉加工品用固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物。
[項目5]
項目1~4の何れかに記載の肉加工品用固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物を含有する、肉加工品。
[項目6]
項目5に記載の肉加工品を含む、食品。
[項目7]
水中油型乳化油脂組成物全体中に、水0.5~60重量%、酵素処理卵黄0.2~10重量%、ゼラチン1~10重量%、寒天0.1~1.5重量%、食酢1~35重量%を含有するように各材料を混合し、撹拌しながら55~60℃に加熱して水相を得、
油脂の含有量が水中油型乳化油脂組成物全体中30~55重量%となるように油脂を含有し、60~80℃に加熱した油相を、前記水相を撹拌しているところに添加して混合物を得、
前記混合物を乳化処理してから加熱殺菌して水中油型乳化油脂組成物を得、
前記水中油型乳化油脂組成物を-20±3℃まで冷却する、
肉加工品用固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物の製造方法。
【実施例0048】
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
【0049】
実施例及び比較例で使用した原料は以下の通りである。
1)新田ゼラチン(株)製「ゼラチンG微粉」
2)伊那食品(株)「寒天UP37」
3)太陽化学(株)製「ヨークレートパウダーLP」
4)日本新薬(株)製「Wheyco W80」
5)内堀醸造(株)製「DV―100」(酢酸の含有量:10重量%)
6)松谷化学社製「FARINEX VA70WM」(ワキシーコーン由来のヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉)
7)キユーピー(株)製「乾燥卵白Kタイプ」
8)日新製糖(株)製「上白糖」
9)(株)日本海水製「特級精選塩」
10)味の素(株)「味の素S」
11)磐田化学工業(株)「クエン酸(結晶)」
12)(株)カネカ製「大豆油」
13)(株)カネカ製「硬化パーム核油」
14)(株)カネカ製「パームスーパーオレイン」
【0050】
<ジューシー感評価>
実施例・比較例で得られた固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物を混ぜ込んで作製したナゲットを、熟練した10人のパネラーに食してもらい、ジューシー感の観点で官能評価をし、各人の評価値の平均値を評価値とした。その際の評価基準は以下の通りである。ここで、ジューシー感があるとは、肉加工品を噛んだ時に肉汁、水分及び油脂等の液状成分が感じられることをいう。
5点:製造例1と比較して、非常にジューシー感がある。
4点:製造例1と比較して、ややジューシー感がある。
3点:製造例1と同等の、ジューシー感がある。
2点:製造例1と比較して、ややジューシー感が無く、ややパサついた食感である。
1点:製造例1と比較して、ジューシー感がなく、パサついた食感である。
【0051】
<マヨネーズ風味の強さ評価>
実施例・比較例で得られた固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物を混ぜ込んで作製したナゲットを、熟練した10人のパネラーに食してもらい、マヨネーズ風味の強さの観点で官能評価をし、各人の評価値の平均値を評価値とした。その際の評価基準は以下の通りである。
5点:実施例6と比較して、マヨネーズ風味を非常に強く感じる。
4点:実施例6と比較して、マヨネーズ風味をやや強く感じる。
3点:実施例6と同等にマヨネーズ風味を感じる。
2点:実施例6と比較して、マヨネーズ風味をあまり感じない。
1点:実施例6と比較して、マヨネーズ風味を感じない。
【0052】
<総合評価>
固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物のジューシー感、マヨネーズ風味の強さの各評価結果を基に、総合評価を行った。評価基準は以下の通りである。
A:ジューシー感、マヨネーズ風味の強さの評価が共に4.5点以上5.0点以下を満たすもの。
B:ジューシー感、マヨネーズ風味の強さの評価が共に4.0点以上5.0点以下であって、且つ少なくともどちらか一方の評価が4.0点以上4.5点未満のもの。
C:ジューシー感、マヨネーズ風味の強さの評価が共に3.0点以上5.0点以下であって、且つ少なくともどちらか一方の評価が3.0点以上4.0点未満のもの。
D:ジューシー感、マヨネーズ風味の強さの評価が共に2.0点以上5.0点以下であって、且つ少なくともどちらか一方の評価が2.0点以上3.0点未満のもの。
E:、ジューシー感、マヨネーズ風味の強さのどちらか一方の評価が2.0未満のもの。
【0053】
(製造例1)ペースト状マヨネーズ含有ナゲットの作製
ボウルに、5℃に温調した鶏胸挽肉:250g、全卵(キユーピータマゴ(株)製「殺菌全卵」):60g、片栗粉(火乃国食品工業株式会社(株)製「片栗粉」):25g、塩(財団法人塩事業センター製「精製塩」):2g、黒コショウ((株)ギャバン「ブラックペッパー」):1g、ペースト状マヨネーズ(キユーピー(株)製「キユーピーマヨネーズ」):15gを入れて、卓上ミキサー(HOBART CANADA社製「ホバートミキサー MODEL N-50」)にビーターを取り付けて285rpmで30秒間混合してナゲット生地を作製した。得られたナゲット生地20gを180℃で5分間油調し、ペースト状マヨネーズ含有ナゲットを得た。得られたペースト状マヨネーズ含有ナゲットの食感のジューシー感とマヨネーズ風味の強さを評価し、実施例及び比較例の食感の評価の基準とした。
【0054】
(参考例1)市販の固形マヨネーズの評価
ペースト状マヨネーズを市販の固形マヨネーズ(キユーピー(株)製「固形マヨ」)に変更した以外は製造例1と同様にして、ナゲットを作製した。得られた市販の固形マヨネーズを含有するナゲットの食感のジューシー感とマヨネーズ風味の強さを評価した結果、ジューシー感の評価は1.5であり、マヨネーズ風味の強さは4.8であった。
【0055】
(実施例1)固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物の作製
表1の配合に従って、次のように固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物を作製した。即ち、ゼラチン2.5重量部、寒天0.25重量部、酵素処理卵黄1.5重量部、食酢10.0重量部、澱粉1.5重量部、乾燥卵白0.15重量部、上白糖10.0重量部、食塩3.0重量部、調味料0.1重量部、酸味料0.1重量部、及び水27.90重量部が均一になるようにステファン型乳化機(Stephan社製「UMM/SK-25」)で撹拌、混合しながら60℃まで昇温して水相を得、ここに油相として60℃に温調した大豆油15.0重量部、硬化パーム核油8.0重量部及びパームスーパーオレイン20.0重量部を添加し、十分に撹拌して混合物を乳化処理して乳化液を得た。得られた前記乳化液を撹拌しながら95℃で2分間加熱殺菌してからピロー包装に充填した。その後、冷凍庫で-20℃まで冷却し、固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物を、包丁で4mm角のダイス状にカットし、粒状の固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物を得た。ペースト状マヨネーズを、得られた粒状の固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物に変更した以外は製造例1と同様にして、ナゲットを作製し、ジューシー感とマヨネーズ風味の強さを評価して表1にまとめた。
【0056】
【0057】
(実施例2~27、比較例1~16)
表1、表2及び表3の配合に従って、水相及び油相における各成分の配合量や種類を変更した以外は実施例1と同様にして固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物を得た。固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物の種類を、それぞれ得られた固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物に変更した以外は実施例1と同様にして、ナゲットを作製し、ジューシー感とマヨネーズ風味の強さを評価し表1、表2及び表3にまとめた。
【0058】
【0059】
【0060】
表1、表2及び表3より、水中油型乳化油脂組成物全体中に、油脂30~55重量%、水0.5~60重量%、酵素処理卵黄0.2~10重量%、ゼラチン1~10重量%、寒天0.1~1.5重量%、及び食酢1~35重量%の範囲で含有する固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物(実施例1~27)を使用して作製したナゲットは何れも、ジューシー感、マヨネーズ風味の強さの評価が良好であった。
【0061】
一方、水中油型乳化油脂組成物全体中、ゼラチンの含有量が0.5重量部と少ない固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物(比較例1及び比較例9)を使用して作製したナゲットは、ジューシー感、及び、マヨネーズ風味の強さの評価が悪く、総合評価はDであった。
【0062】
また、水中油型乳化油脂組成物全体中、ゼラチンの含有量が13.0重量%と多い固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物(比較例2及び比較例10)を使用して作製したナゲットは、ジューシー感の評価が悪く、総合評価はDであった。
【0063】
また、水中油型乳化油脂組成物全体中、寒天の含有量が0.05重量%と少ない固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物(比較例3及び比較例11)を使用して作製したナゲットは、マヨネーズ風味の強さの評価が悪く、総合評価はDであった。
【0064】
また、水中油型乳化油脂組成物全体中、寒天の含有量が1.70重量%と多い固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物(比較例4及び比較例12)を使用して作製したナゲットは、ジューシー感の評価が悪く、総合評価はDであった。
【0065】
また、水中油型乳化油脂組成物全体中、酵素処理卵黄の含有量が0.1重量%と少ない固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物(比較例5及び比較例13)を使用して作製したナゲットは、ジューシー感、及び、マヨネーズ風味の強さの評価が悪く、総合評価はEであった。
【0066】
また、水中油型乳化油脂組成物全体中、食酢の含有量が0.5重量%と少ない固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物(比較例6及び比較例14)を使用して作製したナゲットは、マヨネーズ風味の強さの評価が悪く、総合評価はDであった。
【0067】
また、水中油型乳化油脂組成物全体中、油脂の含有量が25.0重量%と少ない固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物(比較例7及び比較例15)を使用して作製したナゲットは、ジューシー感の評価が悪く、総合評価はDであった。
【0068】
更に、水中油型乳化油脂組成物全体中、油脂の含有量が60重量%と多い固形状マヨネーズ様水中油型乳化油脂組成物(比較例8及び比較例16)を使用して作製したナゲットは、マヨネーズ風味の強さの評価が悪く、総合評価はDであった。