(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152257
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】全館空調ユニットの設置方法
(51)【国際特許分類】
F24F 13/02 20060101AFI20231005BHJP
F24F 3/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
F24F13/02 F
F24F3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113599
(22)【出願日】2022-07-15
(31)【優先権主張番号】P 2022054944
(32)【優先日】2022-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】勝又 慎介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康浩
(72)【発明者】
【氏名】荒牧 拓磨
【テーマコード(参考)】
3L053
3L080
【Fターム(参考)】
3L053BB10
3L080AB01
(57)【要約】
【課題】ダクト配管環境によらずに、狭小設置空間内への施工性を向上させることが可能な全館空調ユニットの設置方法を提供する。
【解決手段】全館空調ユニットを構成する送風機ユニット4bは、空調空気16を床面方向に吹き出す第一開口部26と、送風機18が吹き出す空調空気16を天井方向に吹き出す第二開口部27とを有する第一チャンバー部19を備える。全館空調ユニット2bの設置方法は、設置空間1内に、送風機ユニット4bを設置する第一工程と、第一チャンバー部19ごとに第一開口部26及び第二開口部27の一方(第一開口部26b及び第二開口部27a)を閉鎖する第二工程と、第一チャンバー部19ごとに第一開口部26及び第二開口部27の他方(第一開口部26a及び第二開口部27b)にダクトを連通接続する第三工程と、第一工程において設置した送風機ユニット4bの上部に空気調和機ユニット3を載置する第四工程とを備える。
【選択図】
図31
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から吸い込んだ空気を空調空気として吹き出す空気調和機を内蔵する空気調和機ユニットと、前記空気調和機ユニットの下部において前記空調空気を吸い込み、対象空間にまで延設されるダクトに向けて吹き出す少なくとも2つの送風機を内蔵する送風機ユニットとを備える全館空調ユニットを、正面側に所定寸法の開口部を有する設置空間内に対して設置する全館空調ユニットの設置方法であって、
前記送風機ユニットは、前記送風機ユニットの背面側において前記送風機ごとに設けられた第一チャンバー部であって、前記送風機が吹き出す前記空調空気を床面方向に吹き出す第一開口部と、前記送風機が吹き出す前記空調空気を天井方向に吹き出す第二開口部とを有する前記第一チャンバー部を備え、
前記設置空間内に、前記送風機ユニットを設置する第一工程と、
前記第一チャンバー部ごとに前記第一開口部及び前記第二開口部の一方を閉鎖する第二工程と、
前記第一チャンバー部ごとに前記第一開口部及び前記第二開口部の他方に前記ダクトを連通接続する第三工程と、
前記第一工程において設置した前記送風機ユニットの上部に前記空気調和機ユニットを載置する第四工程と、
を備える、全館空調ユニットの設置方法。
【請求項2】
前記送風機ユニットは、前記第一チャンバー部ごとに設けられ、前記第一開口部から吹き出される前記空調空気を、内部に構成された空気風路を介して、前記送風機ユニットの正面側に設けられた第三開口部から吹き出すことが可能な第二チャンバー部をさらに備え、
前記第二工程では、前記第三開口部を閉鎖することによって、前記第一開口部を閉鎖の状態とし、
前記第三工程では、前記第三開口部に前記ダクトを連通接続することによって、前記第一開口部を前記ダクトと連通接続した状態とする、請求項1に記載の全館空調ユニットの設置方法。
【請求項3】
前記第二工程では、前記第一チャンバー部ごとに、前記第三開口部及び前記第二開口部の一方に蓋をはめ込むことで、前記第三開口部及び前記第二開口部の一方を閉鎖する、請求項2に記載の全館空調ユニットの設置方法。
【請求項4】
前記第二工程では、前記第一開口部を閉鎖することによって、前記第三開口部を閉鎖の状態としている、請求項2に記載の全館空調ユニットの設置方法。
【請求項5】
前記送風機ユニットは、前記送風機ごとに設けられた前記第一チャンバー部に共通して1つ設けられ、前記第一開口部から吹き出される前記空調空気を、内部に構成された空気風路を介して、前記送風機ユニットの正面側に設けられた第三開口部から吹き出すことが可能な第二チャンバー部をさらに備え、
前記第二工程では、前記ダクトと連通接続する前記第二開口部を有する前記第一チャンバー部の前記第一開口部をさらに閉鎖し、
前記第三工程では、前記第三開口部に前記ダクトを連通接続することによって、閉鎖した前記第二開口部を有する前記第一チャンバー部の前記第一開口部を前記ダクトと連通接続した状態とする、請求項1に記載の全館空調ユニットの設置方法。
【請求項6】
前記第一工程の前に、前記ダクトとして、前記第一チャンバー部ごとに、前記設置空間の床面から前記設置空間内に引き出された第一ダクトまたは前記設置空間の天井から前記設置空間内に引き出された第二ダクトを配置する第五工程を有する、請求項1に記載の全館空調ユニットの設置方法。
【請求項7】
外部から吸い込んだ空気を空調空気として吹き出す空気調和機を内蔵する空気調和機ユニットと、前記空気調和機ユニットの下部において前記空調空気を吸い込み、対象空間にまで延設されるダクトに向けて吹き出す少なくとも2つの送風機を内蔵する送風機ユニットとを備える全館空調ユニットを、正面側に所定寸法の開口部を有する設置空間内に対して設置する全館空調ユニットの設置方法であって、
前記送風機ユニットは、前記送風機ユニットの底面側において前記送風機ごとに設けられた第三チャンバー部であって、前記送風機が吹き出す前記空調空気を床面方向に吹き出す第四開口部と、前記送風機が吹き出す前記空調空気を天井方向に吹き出す第五開口部とを有する前記第三チャンバー部を備え、
前記設置空間内に、前記送風機ユニットを設置する第一工程と、
前記第三チャンバー部ごとに前記第四開口部及び前記第五開口部の一方を閉鎖する第二工程と、
前記第三チャンバー部ごとに前記第四開口部及び前記第五開口部の他方に前記ダクトを連通接続する第三工程と、
前記第一工程において設置した前記送風機ユニットの上部に前記空気調和機ユニットを載置する第四工程と、
を備える、全館空調ユニットの設置方法。
【請求項8】
前記送風機ユニットは、前記第三チャンバー部ごとに設けられ、前記第五開口部から吹き出される前記空調空気を、内部に構成された空気風路を介して、前記送風機ユニットの背面側に設けられた第六開口部から吹き出すことが可能な第四チャンバー部をさらに備え、
前記第二工程では、前記第六開口部を閉鎖することによって、前記第五開口部を閉鎖の状態とし、
前記第三工程では、前記第六開口部に前記ダクトを連通接続することによって、前記第五開口部を前記ダクトと連通接続した状態とする、請求項7に記載の全館空調ユニットの設置方法。
【請求項9】
前記第二工程では、前記第三チャンバー部ごとに、前記第四開口部及び前記第六開口部の一方に蓋をはめ込むことで、前記第四開口部及び前記第六開口部の一方を閉鎖する、請求項8に記載の全館空調ユニットの設置方法。
【請求項10】
前記第二工程では、前記第五開口部を閉鎖することによって、前記第六開口部を閉鎖の状態としている、請求項8に記載の全館空調ユニットの設置方法。
【請求項11】
前記送風機ユニットは、前記送風機ごとに設けられた前記第三チャンバー部に共通して1つ設けられ、前記第五開口部から吹き出される前記空調空気を、内部に構成された空気風路を介して、前記送風機ユニットの背面側に設けられた第六開口部から吹き出すことが可能な第四チャンバー部をさらに備え、
前記第二工程では、前記ダクトと連通接続する前記第四開口部を有する前記第三チャンバー部の前記第五開口部をさらに閉鎖し、
前記第三工程では、前記第六開口部に前記ダクトを連通接続することによって、閉鎖した前記第四開口部を有する前記第三チャンバー部の前記第五開口部を前記ダクトと連通接続した状態とする、請求項7に記載の全館空調ユニットの設置方法。
【請求項12】
前記第一工程の前に、前記ダクトとして、前記第三チャンバー部ごとに、前記設置空間の床面から前記設置空間内に引き出された第一ダクトまたは前記設置空間の天井から前記設置空間内に引き出された第二ダクトを配置する第五工程を有する、請求項7に記載の全館空調ユニットの設置方法。
【請求項13】
前記第一工程は、前記送風機ユニットと前記設置空間の床面との間に所定の隙間を形成する脚部を設置する第六工程を含む、請求項1または7に記載の全館空調ユニットの設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間の空気調和を制御する全館空調ユニットの設置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和機と一対の送風機とによって、複数の空間に連通しているダクトであって、天井裏から配管されるダクトと、床下から配管されるダクトとに向けて空調空気を搬送する全館空調ユニットが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような従来の全館空調ユニットでは、全館空調ユニットが設置される設置空間のダクト配管環境に対応するために、施工現場において空調空気を搬送する送風機の着脱作業を施す必要があった。以下にその理由を詳細に記述する。
【0004】
一般的に、ダクトは、天井裏もしくは床下から設置空間に延設される。しかしながら、全館空調ユニットの設置フロア、空調空気の搬送対象空間フロア、及び火打ち梁などの躯体構造などに応じて、全館空調ユニットの正面視における左右における、天井裏もしくは床下のどの位置からダクトを配管されるのか様々である。そのため、施工現場のダクト施工環境に合わせた送風機の吹出方向の調整、つまり送風機を取り外して、送風機の向きを天井方向もしくは床面方向に変更して取り付けなければならなかった。
【0005】
これに対して、送風機の取り外し作業を省くために、送風機を全館空調ユニットに組み立てない状態で施工現場に持ち込む対策もあるが、この場合においても施工現場において送風機の向きを調整しながらの取り付け作業は必要であった。
【0006】
具体的には、天井裏から配管されるダクトが、全館空調ユニットの正面視において左側から延設されている場合には、左側の送風機の吹出方向を天井方向に変更する必要がある。そのため、左側の送風機を取り外して、送風機の向きを変更して取り付けなければならない。同様に、床下から配管されるダクトが、全館空調ユニットの正面視において右側から配管されている場合は、右側の送風機の吹出方向を床方向に向ける必要がある。そのため、右側の送風機を取り外して、送風機の向きを変更して取り付けなければならない。つまり、双方の送風機を取り外した後に、双方の送風機の向きをダクト施工環境に合わせて取り付ける必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これらの作業は、設置空間の施工スペースが狭いほど困難な作業になるゆえに、ダクト配管環境によらずに全館空調ユニットの施工性を向上させることが望まれている。
【0009】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、狭小設置空間内のダクト配管環境によらずに、狭小設置空間内への施工性を向上させることが可能な全館空調ユニットの設置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そして、この目的を達成するために、本発明に係る全館空調ユニットの設置方法は、外部から吸い込んだ空気を空調空気として吹き出す空気調和機を内蔵する空気調和機ユニットと、空気調和機ユニットの下部において空調空気を吸い込み、対象空間にまで延設されるダクトに向けて吹き出す少なくとも2つの送風機を内蔵する送風機ユニットとを備える全館空調ユニットを、正面側に所定寸法の開口部を有する設置空間内に対して設置する全館空調ユニットの設置方法である。送風機ユニットは、送風機ユニットの背面側において送風機ごとに設けられた第一チャンバー部であって、送風機が吹き出す空調空気を床面方向に吹き出す第一開口部と、送風機が吹き出す空調空気を天井方向に吹き出す第二開口部とを有する第一チャンバー部を備える。全館空調ユニットの設置方法は、設置空間内に、送風機ユニットを設置する第一工程と、第一チャンバー部ごとに第一開口部及び第二開口部の一方を閉鎖する第二工程と、第一チャンバー部ごとに第一開口部及び第二開口部の他方にダクトを連通接続する第三工程と、第一工程において設置した送風機ユニットの上部に空気調和機ユニットを載置する第四工程と、を備える。これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、狭小設置空間内のダクト配管環境によらずに、狭小設置空間内への施工性を向上させることが可能な全館空調ユニットの設置方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態1に係る全館空調ユニットの正面図である。
【
図2】
図2は、全館空調ユニットを構成する空気調和機ユニットの正面図及び側面図である。
【
図3】
図3は、全館空調ユニットを構成する送風機ユニットの正面図及び側面図である。
【
図4】
図4は、送風機ユニットを構成する第一チャンバー部の第二開口部近傍の上面図及び側面図である。
【
図5】
図5は、全館空調ユニットの設置方法における第五工程を示す正面図及び側面図である。
【
図6】
図6は、全館空調ユニットの設置方法における第六工程を示す正面図及び側面図である。
【
図7】
図7は、全館空調ユニットの設置方法における第二工程を示す正面図及び断面図である。
【
図8】
図8は、全館空調ユニットの設置方法における第一工程を示す正面図である。
【
図9】
図9は、全館空調ユニットの設置方法における第一工程を示す断面図である。
【
図10】
図10は、全館空調ユニットの設置方法における第三工程を示す断面図である。
【
図11】
図11は、全館空調ユニットの設置方法における第四工程を示す断面図である。
【
図12】
図12は、送風機ユニットを構成する第一チャンバー部の第一開口部近傍の上面図及び側面図である。
【
図13】
図13は、全館空調ユニットにおいて、第一開口部に装着する蓋によって変化する空調空気の内部流れを示す断面模式図である。
【
図14】
図14は、本発明の実施の形態2に係る全館空調ユニットの正面図である。
【
図15】
図15は、全館空調ユニットを構成する送風機ユニットの正面図及び側面図である。
【
図16】
図16は、全館空調ユニットの設置方法における第五工程を示す正面図及び側面図である。
【
図17】
図17は、全館空調ユニットの設置方法における第六工程を示す正面図及び側面図である。
【
図18】
図18は、全館空調ユニットの設置方法における第二工程を示す正面図及び断面図である。
【
図19】
図19は、全館空調ユニットの設置方法における第一工程を示す正面図である。
【
図20】
図20は、全館空調ユニットの設置方法における第一工程を示す断面図である。
【
図21】
図21は、全館空調ユニットの設置方法における第三工程を示す断面図である。
【
図22】
図22は、全館空調ユニットの設置方法における第四工程を示す断面図である。
【
図23】
図23は、本発明の実施の形態3に係る全館空調ユニットの正面図である。
【
図24】
図24は、全館空調ユニットを構成する送風機ユニットの正面図及び側面図である。
【
図25】
図25は、全館空調ユニットの第五工程を示す正面図及び側面図である。
【
図26】
図26は、全館空調ユニットの設置方法における第六工程を示す正面図及び側面図である。
【
図27】
図27は、全館空調ユニットの設置方法における第二工程を示す正面図及び断面図である。
【
図28】
図28は、全館空調ユニットの設置方法における第一工程を示す正面図である。
【
図29】
図29は、全館空調ユニットの設置方法における第一工程を示す断面図である。
【
図30】
図30は、全館空調ユニットの設置方法における第三工程を示す断面図である。
【
図31】
図31は、全館空調ユニットの設置方法における第四工程を示す断面図である。
【
図32】
図32は、本発明の実施の形態4に係る全館空調ユニットの正面図である。
【
図33】
図33は、全館空調ユニットを構成する加湿ユニットの上面図、正面図、及び断面図である。
【
図34】
図34は、全館空調ユニットおける空調空気の内部流れを示す断面模式図である。
【
図35】
図35は、本発明の実施の形態5に係る全館空調ユニットの正面図である。
【
図36】
図36は、全館空調ユニットを構成する送風機ユニットの正面図及び側面図である。
【
図37】
図37は、全館空調ユニットの設置方法における第二工程を示す正面図及び断面図である。
【
図38】
図38は、全館空調ユニットの設置方法における第一工程を示す正面図である。
【
図39】
図39は、全館空調ユニットの設置方法における第一工程を示す断面図である。
【
図40】
図40は、全館空調ユニットの設置方法における第三工程を示す断面図である。
【
図41】
図41は、全館空調ユニットの設置方法における第四工程を示す断面図である。
【
図42】
図42は、本発明の実施の形態5の変形例1に係る全館空調ユニットの正面図である。
【
図43】
図43は、全館空調ユニットを構成する送風機ユニットの正面図及び側面図である。
【
図44】
図44は、全館空調ユニットの設置方法における第二工程を示す正面図及び断面図である。
【
図45】
図45は、全館空調ユニットの設置方法における第一工程を示す正面図である。
【
図46】
図46は、全館空調ユニットの設置方法における第一工程を示す断面図である。
【
図47】
図47は、全館空調ユニットの設置方法における第三工程を示す断面図である。
【
図48】
図48は、全館空調ユニットの設置方法における第四工程を示す断面図である。
【
図49】
図49は、本発明の実施の形態5の変形例2に係る全館空調ユニットの断面図である。
【
図50】
図50は、本発明の実施の形態5の変形例2に係る全館空調ユニットの別の構成を示す断面図である。
【
図51】
図51は、本発明の実施の形態1に係る全館空調ユニットに送風機ユニット凸部を設けた構成を示す断面図である。
【
図52】
図52は、本発明の実施の形態5に係る全館空調ユニットに送風機ユニット凸部を設けた構成を示す断面図である。
【
図53】
図53は、本発明の実施の形態5の変形例2に係る全館空調ユニットに送風機ユニット凸部を設けた構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る全館空調ユニットの設置方法は、外部から吸い込んだ空気を空調空気として吹き出す空気調和機を内蔵する空気調和機ユニットと、空気調和機ユニットの下部において空調空気を吸い込み、対象空間にまで延設されるダクトに向けて吹き出す少なくとも2つの送風機を内蔵する送風機ユニットとを備える全館空調ユニットを、正面側に所定寸法の開口部を有する設置空間内に対して設置する全館空調ユニットの設置方法である。送風機ユニットは、送風機ユニットの背面側において送風機ごとに設けられた第一チャンバー部であって、送風機が吹き出す空調空気を床面方向に吹き出す第一開口部と、送風機が吹き出す空調空気を天井方向に吹き出す第二開口部とを有する第一チャンバー部を備える。全館空調ユニットの設置方法は、設置空間内に、送風機ユニットを設置する第一工程と、第一チャンバー部ごとに第一開口部及び第二開口部の一方を閉鎖する第二工程と、第一チャンバー部ごとに第一開口部及び第二開口部の他方にダクトを連通接続する第三工程と、第一工程において設置した送風機ユニットの上部に空気調和機ユニットを載置する第四工程と、を備える。
【0014】
こうした構成によれば、設置空間の開口部が狭小であっても、送風機ユニットから送風機を取り外すことなく、第二工程による第一開口部及び第二開口部の一方の閉鎖、及び、第三工程による第一開口部及び第二開口部の他方へのダクト接続によって送風機ユニットから吹き出す空調空気の吹出方向を調整して、全館空調ユニットを設置することができる。この際、第二工程及び第三工程において設置空間内のダクト配管環境に合わせて空調空気の吹出方向を容易に調整できる。つまり、狭小設置空間内のダクト配管環境によらずに、狭小設置空間内への施工性を向上させることが可能な全館空調ユニットの設置方法とすることができる。
【0015】
また、本発明に係る全館空調ユニットの設置方法では、送風機ユニットは、第一チャンバー部ごとに設けられ、第一開口部から吹き出される空調空気を、内部に構成された空気風路を介して、送風機ユニットの正面側に設けられた第三開口部から吹き出すことが可能な第二チャンバー部をさらに備える。第二工程では、第三開口部を閉鎖することによって、第一開口部を閉鎖の状態とし、第三工程では、第三開口部にダクトを連通接続することによって、第一開口部をダクトと連通接続した状態としてもよい。これにより、全館空調ユニットの正面側において、第三開口部へのアクセスが容易になるゆえ、第三開口部へのダクト接続の作業も容易になり、更なる施工性の向上を果たすことができる。
【0016】
また、本発明に係る全館空調ユニットの設置方法は、第二工程では、第一チャンバー部ごとに、第三開口部及び第二開口部の一方に蓋をはめ込むことで、第三開口部及び第二開口部の一方を閉鎖することが好ましい。このようにすることで、第二工程を蓋のはめ込みという容易な手段で賄えるため、更なる施工性の向上を果たすことができる。
【0017】
また、本発明に係る全館空調ユニットの設置方法は、第二工程では、第一開口部及び第三開口部の両方を閉鎖してもよい。これにより、第一開口部が閉鎖されて第二チャンバー部内に空調空気が流入しなくなるので、第一開口部が閉鎖されずに第三開口部のみが閉鎖されている場合において第二チャンバー部内で発生する空調空気の剥離流れを防止して、空調空気の風路圧損を抑制することができる。このため、全館空調ユニットの省エネ性及び静音性を向上させることができる。
【0018】
また、本発明に係る全館空調ユニットの設置方法では、送風機ユニットは、送風機ごとに設けられた第一チャンバー部に共通して1つ設けられ、第一開口部から吹き出される空調空気を、内部に構成された空気風路を介して、送風機ユニットの正面側に設けられた第三開口部から吹き出すことが可能な第二チャンバー部をさらに備える。第二工程では、ダクトと連通接続する第二開口部を有する第一チャンバー部の第一開口部を閉鎖し、第三工程では、第三開口部にダクトを連通接続することによって、閉鎖した第二開口部を有する第一チャンバー部の第一開口部をダクトと連通接続した状態としてもよい。これにより、床下から配管されるダクトが1本である場合は、全館空調ユニットの寸法を拡大することなく、ダクトを連通接続した第三開口部に向けて第二チャンバー部内を流れる空調空気の風路面積を大きく設けることが可能になる。そのため、空調空気の風速を低下させることが可能になり、風速の2乗に比例して大きくなる圧力損失を抑制することで、送風機に必要とされる負荷を低減し、全館空調ユニットの省エネ性及び静音性を高めることが可能になる。
【0019】
また、本発明に係る全館空調ユニットの設置方法は、第一工程の前に、ダクトとして、第一チャンバー部ごとに、設置空間の床面から設置空間内に引き出された第一ダクトまたは設置空間の天井から設置空間内に引き出された第二ダクトを配置する第五工程を有することが好ましい。これにより、建物の一般的な施工手順である基礎工事、木工事の後に行われる電気工事、内装工事の一環として全館空調ユニットを設置することが可能になるため、建物全体の施工時間の延長の抑制が可能になる。
【0020】
また、本発明に係る全館空調ユニットの設置方法では、第一工程は、送風機ユニットと設置空間の床面との間に所定の隙間を形成する脚部を設置する第六工程を含むことが好ましい。これにより、形成される隙間での施工が可能になるため、第一開口部(または第三開口部)にダクトを連通接続する施工作業が容易になる。
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための全館空調ユニットの設置方法を例示するものであって、本発明は全館空調ユニットの設置方法を以下のものに特定しない。また、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明の実施の形態を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施の形態において説明された内容は、他の実施例、実施の形態等に利用可能なものもある。
【0022】
(実施の形態1)
図1~
図3を参照して、本発明の実施の形態1に係る全館空調ユニット2の構成について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る全館空調ユニット2の正面図である。
図2は、全館空調ユニット2を構成する空気調和機ユニット3の正面図及び側面図である。より詳細には、
図2(a)は、空気調和機ユニット3の正面図であり、
図2(b)は、空気調和機ユニット3の側面図である。
図3は、全館空調ユニット2を構成する送風機ユニット4の正面図及び側面図である。より詳細には、
図3(a)は、送風機ユニット4の正面図であり、
図3(b)は、送風機ユニット4の側面図である。
【0023】
図1に示すように、x軸、y軸、z軸を含む直交座標系が規定される。原点は全館空調ユニット2の中心線および全館空調ユニット2の設置空間1の床面7a及び全館空調ユニット2の設置空間1の前面との交差点に設定され、x軸とy軸とは、水平面内において互いに直交する。z軸は、x軸及びy軸に垂直であり、高さ(垂直)方向に延びる。また、x軸、y軸、及びz軸のそれぞれの正の方向は、
図1における矢印の方向に規定され、負の方向は、矢印と逆向きの方向に規定される。また、x軸の正方向側を「前側」又は「正面側」、x軸の負方向側を「後側」又は「背面側」、y軸の正方向側を「右側」又は「側面側」、y軸の負方向側を「左側」又は「側面側」、z軸の正方向側を「上側」又は「天井方向」、z軸の負方向側を「下側」又は「床面方向」ということもある。そのため、z軸は上下方向に延びる軸であり、x軸は前後方向に延びる軸であり、y軸は左右方向に延びる軸である。
【0024】
全館空調ユニット2は、建物内の複数の空間を1つの空気調和機11で空調するためのユニットである。
【0025】
図1に示すように、全館空調ユニット2は、所定寸法を有する設置空間1内に設置されている。全館空調ユニット2は、設置空間1の上側から順に、空気調和機ユニット3、送風機ユニット4、及び脚部6によって主に構成される。全館空調ユニット2には、右側の床下7から延設された第一ダクト8が接続され、左側の天井裏9から延設された第二ダクト10が接続されている。
【0026】
設置空間1は、全館空調ユニット2が収納及び設置される空間である。設置空間1は、全館空調ユニット2を収容設置できる最小寸法に設定され、狭小空間とも言える。設置空間1は、正面側に所定寸法の開口部を有する空間である。つまり、設置空間1は、正面側以外の面は、全て壁、床、及び天井で形成されており、施工作業時あるいはメンテナンス作業時には正面側の開口部からのみアクセス可能となっている。設置空間1は、建物内の複数の空間(例えば、居間、寝室、食堂、及び書斎等の居室)とは別に設けられた空調室とも言え、例えば、建物の二階に設置される。
【0027】
空気調和機ユニット3は、建物内の空気(後述する外部空気12)を内部に吸い込み、吸い込んだ空気を温調(冷却または昇温)して送出するユニットである。詳細は後述する。
【0028】
送風機ユニット4は、空気調和機ユニット3によって温調された空気(後述する空調空気16)を外部ダクト(第一ダクト8及び第二ダクト10)に送出するユニットである。詳細は後述する。
【0029】
脚部6は、設置空間1の床面7aとの間の所定の隙間によって形成される空間となる送風機ユニット下部空間42を形成するように、送風機ユニット4を支える支柱部材である。
【0030】
第一ダクト8は、設置空間1から対象空間にまで延設される床下7側のダクトである。具体的には、第一ダクト8は、床下7(もしくは全館空調ユニット設置フロアの1層下のフロアの天井裏9)で途中複数のダクトに分岐され、その分岐された各ダクトが全館空調ユニット設置フロアの1層下のフロアの各空間にまで延設されている(図示せず)。そして、第一ダクト8は、全館空調ユニット2から送出される温調された空気(後述する空調空気16)を全館空調ユニット設置フロアの1層下のフロアの各空間に送出する。
【0031】
第二ダクト10は、設置空間1から対象空間にまで延設される天井裏9側のダクトである。具体的には、第二ダクト10は、天井裏9で途中複数のダクトに分岐され、その分岐された各ダクトが全館空調ユニット設置フロアと同じフロアの各空間にまで延設されている(図示せず)。そして、第二ダクト10は、全館空調ユニット2から送出される温調された空気(後述する空調空気16)を全館空調ユニット設置フロアと同じフロアの各空間に送出する。
【0032】
<空気調和機ユニット>
図2に示すように、空気調和機ユニット3は、空気調和機ユニット筐体40と、空気調和機11とを有して構成される。
【0033】
空気調和機ユニット筐体40は、空気調和機ユニット3の外枠を構成する筐体であり、空気調和機11を内蔵している。空気調和機ユニット筐体40には、外部空気12と連通するように空気調和機ユニット筐体40の上側に開口された第一開口13と、空気調和機ユニット筐体40の下側に開口された第二開口14とが設けられている。
【0034】
空気調和機11には、第一開口13に向けられるように空気調和機吸込口15が空気調和機11の上側に設けられ、第二開口14に向けられるように空気調和機吹出口17が空気調和機11の下側に設けられている。なお、空気調和機11に関する配管接続に関しての記述は省略する。
【0035】
この構成により、空気調和機11が稼働すると、外部空気12が第一開口13を経由して空気調和機吸込口15に取り込まれる。そして、空気調和機11は、内部に取り込んだ外部空気12を温調(冷却または昇温)して空調空気16を生成し、空調空気16を空気調和機吹出口17から吹き出す。その後、空気調和機吹出口17から吹き出された空調空気16が、第二開口14を経由して空気調和機ユニット筐体40から吹き出される。
【0036】
<送風機ユニット>
図3に示すように、送風機ユニット4は、送風機ユニット筐体41と、2つの送風機18(送風機18a、送風機18b)と、2つの第一チャンバー部19(第一チャンバー部19a、第一チャンバー部19b)と、2つの第二チャンバー部20(第二チャンバー部20a、第二チャンバー部20b)とを有して構成される。なお、以下では、2つ部材を区別して説明する際には、右側に設置される部材の符号に「a」をつけ、左側に設置される部材の符号の符号に「b」をつけて説明する。
【0037】
送風機ユニット筐体41は、送風機ユニット4の外枠を構成する筐体である。送風機ユニット筐体41は、送風機ユニット中心線21を軸として左右対称に配置されるように、送風機18、第一チャンバー部19、及び第二チャンバー部を内蔵している。より詳細には、送風機ユニット筐体41の右側の領域には、送風機18a、第一チャンバー部19a、及び第二チャンバー部20aがそれぞれ配置されている。送風機ユニット筐体41の左側の領域には、送風機18b、第一チャンバー部19b、及び第二チャンバー部20bがそれぞれ配置されている。
【0038】
また、送風機ユニット筐体41の上側には、天井方向に向けて開口された送風機ユニット上面開口22が設けられている。送風機ユニット上面開口22は、送風機ユニット4の上に空気調和機ユニット3を載置した際に、空気調和機ユニット筐体40の第二開口14と重畳する開口である。送風機ユニット上面開口22は、空気調和機ユニット3によって温調された空調空気16を内部に取り込む開口でもある。
【0039】
送風機18は、空気調和機ユニット3によって温調された空調空気16を、外部ダクト(第一ダクト8または第二ダクト10)に送出する流れを生じさせる機器である。送風機18は、空気(空調空気16)を吸い込む送風機吸込口23と、内部に吸い込んだ空気を吹き出す送風機吹出口24とを有する。送風機18では、送風機吸込口23が天井方向を向いて配置され、送風機吹出口24が背面方向に向けて配置されている。具体的には、送風機吸込口23は、送風機ユニット上面開口22と対向して配置され、送風機吹出口24は、後述する第一チャンバー部19の第一チャンバー部正面開口25と対向(重畳)して配置される。つまり、送風機18は、天井方向から吸い込んだ空気を、背面方向に向けて吹き出すように配置されている。
【0040】
第一チャンバー部19は、送風機ユニット4の背面側領域において送風機18ごとに設けられた部材である。第一チャンバー部19は、送風機ユニット筐体41の一部を構成する。第一チャンバー部19は、送風機18が吹き出す空調空気16の吹出方向を、天井方向または床面方向のいずれか一方に切り替える。
【0041】
具体的には、第一チャンバー部19は、送風機18が吹き出す空調空気16を取り込む第一チャンバー部正面開口25と、送風機18が吹き出す空調空気16を床面方向に吹き出す第一開口部26と、送風機18が吹き出す空調空気16を天井方向に吹き出す第二開口部27との3つの開口部を有する。
【0042】
第一チャンバー部正面開口25は、送風機吹出口24と連通接続して第一チャンバー部19の正面側に設けられる開口部である。第一チャンバー部正面開口25には、送風機18の送風機吹出口24から空調空気16が導入される。
【0043】
第一開口部26は、第一チャンバー部19の下側に設けられ、第一チャンバー部正面開口25とL字型で連通する開口部である。第一開口部26には、後述する第一蓋31が取り付け可能となっている。第一開口部26は、第一開口部26に第一蓋31が取り付けられていない場合には、第一チャンバー部19の内部に導入された空調空気16を床面方向に吹き出す。より詳細には、第一開口部26は、第一チャンバー部19の下側に設置された第二チャンバー部20内に空調空気16を吹き出す。
【0044】
第二開口部27は、第一チャンバー部19の上側に設けられ、第一チャンバー部正面開口25とL字型で連通する開口部である。第二開口部27には、後述する第二蓋32が取り付け可能となっている。第二開口部27は、第二開口部27に第二蓋32が取り付けられていない場合には、第一チャンバー部19の内部に導入された空調空気16を天井方向に吹き出す。より詳細には、第二開口部27は、第一チャンバー部19の上側から第二開口部27に連通接続する第二ダクト10に空調空気16を吹き出す。
【0045】
なお、第一開口部26と第二開口部27とは、上下方向で互いに対向して配置されている。
【0046】
第二チャンバー部20は、送風機ユニット4の下側領域において送風機18ごとに設けられた部材である。第二チャンバー部20は、送風機ユニット筐体41の一部を構成する。第二チャンバー部20は、第一チャンバー部19の第一開口部26から導入される空調空気16を、送風機ユニット4の正面側において床面方向に吹き出すように調整する。
【0047】
具体的には、第二チャンバー部20は、第一チャンバー部19の第一開口部26が吹き出す空調空気16を取り込む第二チャンバー部上面開口28と、取り込んだ温調空気を床面方向に吹き出す第三開口部29との2つの開口部が設けられる。
【0048】
第二チャンバー部上面開口28は、第一開口部26と連通接続して第二チャンバー部20の上側に設けられる開口部である。第二チャンバー部上面開口28には、第一チャンバー部19の第一開口部26から空調空気16が導入される。
【0049】
第三開口部29は、送風機ユニット筐体41の正面側、且つ、下側に設けられる開口部である。第三開口部29には、後述する第三蓋33が取り付け可能となっている。第三開口部29は、第三開口部29に第三蓋33が取り付けられていない場合には、第二チャンバー部20の内部に導入された空調空気16を床面方向に吹き出す。より詳細には、第三開口部29は、第二チャンバー部20の下側(床面7a)から第三開口部29に連通接続する第一ダクト8に空調空気16を吹き出す。
【0050】
次に、
図4を参照して、第一チャンバー部19の第二開口部27への第二ダクト10または第二蓋32の取り付け状態について説明する。
図4は、送風機ユニット4を構成する第一チャンバー部19の第二開口部27近傍の上面図及び側面図である。より詳細には、
図4(a)は、第二ダクト10を連通接続した状態における第二開口部27の上面図であり、
図4(b)は、第二ダクト10を連通接続した状態における第二開口部27の側面図である。
図4(c)は、第二蓋32の装着後における第二開口部27の上面図であり、
図4(d)は、第二蓋32の装着状況を示す第二開口部27の側面図である。
【0051】
図4(a)及び
図4(b)に示すように、第一チャンバー部19の第二開口部27は、第二ダクト10の連通接続できるように、第二ダクト10の内径寸法よりも僅かに小さい外径を有する薄肉の円筒形のフランジ30を有して構成される。第二開口部27に第二ダクト10を連通接続する場合には、第二開口部27に第二ダクト10を被せた後にネジとテープとで固定している。
【0052】
一方、
図4(c)及び
図4(d)に示すように、第二開口部27には、第一チャンバー部19の外側(上方)から、フランジ30の内径寸法よりも僅かに小さい外径を有する円筒型の第二蓋32が装着可能となっている。第二開口部27を閉鎖する場合は、第二開口部27におけるフランジ30の内部の装着後ポジション34に第二蓋32を嵌め込んで固定している。これにより、第一チャンバー部19内の空気が第二開口部27から外部への漏れが防止されることになる。
【0053】
第三開口部29も、第二開口部27と同様の構造を有しており、第三開口部29への第一ダクト8または第三蓋33の取り付け状態に関する説明は省略する。
【0054】
全館空調ユニット2は、以上のように構成される。そして、設置空間1に設置された全館空調ユニット2は、所定の回転数によって、空気調和機11と2つの送風機18が稼働することで、まず外部空気12が第一開口13を経由して、空気調和機吸込口15に吸い込まれる。そして、空気調和機11によって空調された空調空気16が空気調和機吹出口17から吹き出され、第二開口14を経由して、2つの送風機18のそれぞれの送風機吸込口23に吸い込まれる。
【0055】
右側の送風機18aに吸い込まれた空調空気16は、右側の送風機18aの送風機吹出口24aから吹き出され、右側の第一チャンバー部正面開口25aを経由して、右側の第一開口部26aから、右側の第二チャンバー部20a内に導流されることになる。その後、右側の第二チャンバー部20a内を経由して、右側の第三開口部29aから第一ダクト8に搬送される。そして、第一ダクト8の延設先である各空間を空調することになる。
【0056】
一方、左側の送風機18bに吸い込まれた空調空気16は、左側の送風機18bの送風機吹出口24bから吹き出され、左側の第一チャンバー部正面開口25bを経由して、左側の第二開口部27bから第二ダクト10に搬送される。そして、第二ダクト10の延設先である各空間を空調することになる。
【0057】
つまり、2つの送風機18それぞれによって吹き出された空調空気16は混ざることなく、必要の風量を第一ダクト8及び第二ダクト10のそれぞれに搬送することが可能になるため、各ダクトの延設先である各空間を所望の温度環境に設定することが可能である。また、全館空調ユニット2の外部に空調空気16が漏れることもないため、省エネ性も担保されている。
【0058】
<全館空調ユニットの設置方法>
次に、
図5~
図11を参照して、設置空間1への全館空調ユニット2の設置方法について説明する。
【0059】
図5は、全館空調ユニット2の設置方法における第五工程を示す正面図及び側面図である。より詳細には、
図5(a)は、設置空間1に第一ダクト8と第二ダクト10とを引き出した状態の正面図であり、
図5(b)は、設置空間1に第一ダクト8と第二ダクト10とを引き出した状態の側面図である。
【0060】
図6は、全館空調ユニット2の設置方法における第六工程を示す正面図及び側面図である。より詳細には、
図6(a)は、脚部6を設置空間1の床面7aに設置した状態の正面図であり、
図6(b)は、脚部6を設置空間1の床面7aに設置した状態の側面図である。
【0061】
図7は、全館空調ユニット2の設置方法における第二工程を示す正面図及び断面図である。より詳細には、
図7(a)は、ダクト配管環境に合わせて送風機ユニット4の右側の第二開口部27a及び左側の第三開口部29bに対して、それぞれ第二蓋32a及び第三蓋33bを装着した状態の正面図であり、
図7(b)は、
図7(a)のA-A断面図であり、
図7(c)は、
図7(a)のB-B断面図である。
【0062】
図8は、全館空調ユニット2の設置方法における第一工程を示す正面図である。より詳細には、設置した脚部6の上部に送風機ユニット4を設置した状態の正面図である。
【0063】
図9は、全館空調ユニット2の設置方法における第一工程を示す断面図である。より詳細には、
図9(a)は、
図8のA-A断面図であり、
図9(b)は、
図8のB-B断面図である。
【0064】
図10は、全館空調ユニット2の設置方法における第三工程を示す断面図である。より詳細には、
図10(a)は、送風機ユニット4に第二ダクト10を連通接続した状態の
図8のA-A断面図であり、
図10(b)は、送風機ユニット4に第一ダクト8を連通接続した状態の
図8のB-B断面図である。
【0065】
図11は、全館空調ユニット2の設置方法における第四工程を示す断面図である。より詳細には、
図11(a)は、送風機ユニット4の上部に空気調和機ユニット3を載置した状態の
図8のA-A断面図であり、
図11(b)は、送風機ユニット4の上部に空気調和機ユニット3を載置した状態の
図8のB-B断面図である。
【0066】
実施の形態1での設置空間1への全館空調ユニット2の設置方法では、第五工程、第六工程、第二工程、第一工程、第三工程、第四工程の順に施工することで、ダクト配管環境に合わせて、設置空間1内に全館空調ユニット2を設置している。以下では、設置空間1内のダクト配管環境として、第一ダクト8が正面側、且つ、右側においける床下7から引き出され、第二ダクト10が背面側、且つ、左側において天井裏9から引き出された状態を例に説明する。
【0067】
第五工程は、第一チャンバー部19ごとに、設置空間1の床面7aから引き出された第一ダクト8または設置空間1の天井9aから設置空間内に引き出された第二ダクト10を配置する工程である。
図5に示すように、第五工程によって、正面側に所定寸法の開口部を有する設置空間1に、正面側、且つ、右側の床下7からの第一ダクト8が引き出されて配置され、背面側、且つ、左側の天井裏9からの第二ダクト10を引き出して配置される。
なお、第五工程は、建物の一般的な施工手順である基礎工事、木工事の後に行われる電気工事、内装工事の一環としてなされればよい。
【0068】
第六工程は、送風機ユニット4と設置空間1の床面7aとの間に所定の隙間を形成する脚部6を設置する工程である。
図6に示すように、第六工程によって、この後の第一工程において設置する送風機ユニット4を載せる4カ所の脚部6が設置空間1の床面7aにアンカーを使用して固定される。脚部6を設置したことによって、送風機ユニット4の下面と床面7aとの間の所定の隙間に該当する送風機ユニット下部空間42が形成される。送風機ユニット下部空間42は、この後の第三工程において第一ダクト8を第三開口部29に接続固定する際の作業スペースとなる。なお、第六工程は、第一工程に含まれるようにしてもよい。
【0069】
第二工程は、ダクト配管環境に合わせて、第一チャンバー部19ごとに第二開口部27及び第三開口部29の一方を閉鎖する工程である。具体的には、第二工程は、右側の第二開口部27aを第二蓋32aによって閉鎖するとともに、左側の第三開口部29bを第三蓋33bによって閉鎖する工程である。なお、第三開口部29を閉鎖することは、第一開口部26を閉鎖することに実質相当するので、第二工程での「第三開口部29の閉鎖」は「第一開口部26を閉鎖」と読み替えてもよい。
【0070】
ここでは、第二工程は、送風機ユニット4を設置空間1に設置する前に行われる。
図7に示すように、第二工程によって、送風機ユニット4には、
図5に示す第一ダクト8及び第二ダクト10の引き出し位置に合わせて、右側の第二開口部27aに第二蓋32aが装着され、左側の第三開口部29bに第三蓋33bが装着される。
【0071】
第一工程は、脚部6の上部に送風機ユニット4を設置する工程である。具体的には、
図8及び
図9に示すように、第一工程では、右側の第三開口部29aが第一ダクト8とおよそ同心円状になるように重なり、左側の第二開口部27bが第二ダクト10とおよそ同心円状になるように重なるように、各蓋(第二蓋32a及び第三蓋33b)を装着した状態の送風機ユニット4を持ち上げながら設置空間1の正面側から背面側に向けて移動させて、送風機ユニット4を設置空間1内に設置する。これにより、設置空間1内の所定の位置に、送風機ユニット4が設置される。
【0072】
第三工程は、第一チャンバー部19ごとに第二開口部27及び第三開口部29の他方に外部ダクト(第一ダクト8及び第二ダクト10)を連通接続する工程である。なお、第三工程は、第二工程において蓋(第二蓋32aまたは第三蓋33b)を装着していない各開口部(第二開口部27及び第三開口部29)に外部ダクトを連通接続する工程であるとも言える。具体的には、第三工程は、右側の第三開口部29aに第一ダクト8を連通接続するとともに、左側の第二開口部27aに第二ダクト10を連通接続する工程である。なお、第三開口部29に第一ダクト8を連通接続することは、第一開口部26に第一ダクト8を連通接続することに実質相当するので、第三工程での「第三開口部29へのダクト接続」は「第一開口部26へのダクト接続」と読み替えてもよい。
【0073】
図10に示すように、第三工程では、送風機ユニット4の背面側の上方空間において、左側の第二開口部27bに対して第二ダクト10を引っ張り下げて第二開口部27bに第二ダクト10を被せた後にネジとテープで固定する。また、第三工程では、送風機ユニット4の正面側の下方空間(送風機ユニット下部空間42)において、右側の第三開口部29aに対して第一ダクト8を引っ張り上げて第三開口部29aに第二ダクト10を被せた後にネジとテープで固定する。これにより、送風機ユニット4には、左側の第二開口部27aに第二ダクト10が連通接続され、第三開口部29aに第一ダクト8を連通接続される。
【0074】
第四工程は、第一工程において設置した送風機ユニット4の上部に空気調和機ユニット3を載置する工程である。具体的には、
図11に示すように、第四工程では、空気調和機ユニット3の第二開口14が送風機ユニット4の送風機ユニット上面開口22と重なるように、空気調和機ユニット3を持ち上げながら設置空間1の正面側から背面側に向けて移動させて、空気調和機ユニット3を設置空間1内に設置する。これにより、設置空間1内の所定の位置に、空気調和機ユニット3が設置される。
【0075】
以上の工程により、外部ダクト(第一ダクト8及び第二ダクト10)が連通接続された全館空調ユニット2が、正面側に所定寸法の開口部を有する設置空間1内に対して設置される。
【0076】
上述した全館空調ユニット2の設置方法では、第五工程、第六工程、第二工程、第一工程、第三工程、第四工程の順に施工することで、ダクト配管環境に合わせて、全館空調ユニット2を設置することが可能になる。このとき、送風機18の向きを調整する必要がないゆえ、送風機18を送風機ユニット4に予め装着した状態の送風機ユニット4を施工現場に納品することが可能となる。その結果、送風機18の脱着という作業が省かれ、施工性を向上させることができる。
【0077】
ここで、実施の形態1では、ダクト配管環境として、第一ダクト8が正面側、且つ、右側に配管され、第二ダクト10が背面側、且つ、左側に配管されている場合を例に説明したが、他のダクト配管環境にも柔軟に対応することが可能である。
【0078】
ダクト配管環境の他例として、第一ダクト8が正面側、且つ、左側に配管され、第二ダクト10が背面側、且つ、右側に配管されている場合であれば、第二工程において、右側の第三開口部29aに第三蓋33aを装着し、左側の第二開口部27bに第二蓋32aを装着すればよい。
【0079】
また、ダクト配管環境の他例として、第一ダクト8が無く、第二ダクト10が背面側、且つ、左右両側に配管されている場合であれば、第二工程において、左右両側の第三開口部29への第三蓋33の装着及び/又は左右両側の第一開口部26への第一蓋31の装着を行えばよい。
【0080】
また、ダクト配管環境の他例として、第二ダクト10が無く、第一ダクト8が正面側、且つ、左右両側に配管されている場合であれば、第二工程において、左右両側の第二開口部27に第二蓋32を装着すればよい。
【0081】
また、実施の形態1では、施工工程の順番として、第五工程、第六工程、第二工程、第一工程、第三工程、第四工程としたが、必ずしもこの順番でなくてもかまわない。
【0082】
例えば、第一チャンバー部19が十分な高さを有しているゆえ第二開口部27への設置空間1の正面側からのアクセスが容易であれば、第一工程の後に第二工程としてもかまわない。
【0083】
また、実施の形態1では、第二工程として蓋を施工現場で装着する作業としたが、必ずしもそのようにする必要はない。
【0084】
他例として、予め全ての第一開口部26及び第二開口部27に第一蓋31及び第二蓋32をそれぞれ装着した送風機ユニット4を施工現場に持ち込み、第二工程として、外部ダクトを連通接続する開口部に装着された各蓋(第一蓋31及び第二蓋32)を取り外す作業としてもかまわない。つまり、実施の形態1で言えば、第二工程において、右側の第一開口部26a及び左側の第二開口部27bのそれぞれの第一蓋31a及び第二蓋32bを取り外せばよい。
【0085】
また、他例として、予め全ての第三開口部29に第三蓋33を装着した送風機ユニット4を施工現場に持ち込み、第二工程として、第一ダクト8を連通接続する第三開口部29に装着された第三蓋33を取り外す作業としてもかまわない。つまり、実施の形態1で言えば、第二工程において、右側の第三開口部29aに装着されている第三蓋33aを取り外し、右側の第二開口部27aに第二蓋32として装着しなおせばよい。ただし、この時、第二開口部27及び第三開口部29に共通の蓋の装着及び取り外しが行われるため、第二開口部27及び第三開口部29は同一の内径寸法を有する円形の開口形状によって形成されている必要がある。
【0086】
また、実施の形態1では、送風機ユニット筐体41は側面視にして矩形形状であったが、
図51で示すように空気調和機ユニット3よりも背面側において送風機ユニット4の上部を天井方向へ突出させた送風機ユニット凸部67をさらに備えた形状としてもよい。言い換えると、送風機ユニット筐体41は側面視にして逆L字形状としてもよい。
【0087】
このような構成であれば、第四工程で空気調和機ユニット3の背面側端部を送風機ユニット凸部67の正面側端部に当接させて送風機ユニット4に載置することで、空気調和機ユニット3の第二開口14と送風機ユニット4の送風機ユニット上面開口22とを容易に位置合わせすることが可能となり施工性をさらに向上させることができる。
【0088】
さらに、
図51で示すように第一チャンバー部19を天井方向へ延伸し、第二開口部27を送風機ユニット凸部67の天井方向端部に連接するように設けてもよい。言い換えると、第二開口部27の配置が送風機ユニット4の最も高い位置になるように設けてもよい。
【0089】
このような構成であれば、第三工程で第二ダクト10を第二開口部27bに接続する際に、第二ダクト10を引っ張り下げる距離が短くなることに加えて、施工者の腰を過度に曲げる必要がなくなるため施行者の負担が軽減し施工性を向上できる。
【0090】
以下に、実施の形態1に係る全館空調ユニット2の変形例について説明する。
【0091】
(変形例1)
第一ダクト8に空調空気16を搬送するために、左側の第三開口部29bに第三蓋33bを装着したが、左側の第一開口部26bにも第一蓋31bを装着するようにしてもよい。
【0092】
次に、
図12及び
図13を参照して、第一チャンバー部19の第一開口部26に第一蓋31を装着した送風機ユニット4について説明する。
【0093】
図12は、送風機ユニット4を構成する第一チャンバー部19の第一開口部26近傍の上面図及び側面図である。より詳細には、
図12(a)は、第一蓋31の装着後における第一開口部26の上面図であり、
図12(b)は、第一蓋31の装着状況を示す第一開口部26の側面図である。
【0094】
図13は、全館空調ユニット2において、第一開口部26に装着する第一蓋31によって変化する空調空気16の内部流れを示す断面模式図である。より詳細には、
図13(a)は、左側の第三開口部29bに第三蓋33bを装着した場合における
図11のA-A断面図であり、
図13(b)は、左側の第三開口部29bに第三蓋33bを装着し、左側の第一開口部26bに第一蓋31bを装着した場合の空調空気16の流れを示す
図11のA-A断面図である。
【0095】
図12(a)及び
図12(b)に示すように、第一開口部26は、それぞれの第一蓋31の外形寸法よりも僅かに大きい内径寸法を有する円形の開口形状によって形成されている。そして、第一開口部26には、第一チャンバー部19の外側(上方)から、第二開口部27を通して、半円筒型の2個の第一蓋31の装着後ポジション35への装着可能となっている。第一開口部26を閉鎖する場合は、第一開口部26の内部の装着後ポジション35に第一蓋31をそれぞれ嵌め込んで固定している。これにより、第一チャンバー部19内の空気が第一開口部26から外部への漏れが防止されることになる。
【0096】
図13(a)に示すように、実施の形態1における送風機ユニット4では、左側の第一開口部26bに第一蓋31bが装着されていないため、左側の第二チャンバー部20b内の空間において、風路の拡大に伴って空調空気16の剥離流れ36が発生することになる。
【0097】
一方、
図13(b)に示すように、変形例1における送風機ユニット4では、左側の第一開口部26bに第一蓋31bを装着することによって、左側の第一開口部26b及び左側の第三開口部29bの両方を閉鎖することになり、左側の第二チャンバー部20b内への空調空気16の流れをせき止めることになる。その結果、剥離流れ36を防止して、空調空気16の風路圧損を抑制することで、全館空調ユニット2の省エネ性及び静音性を向上させることができる。
【0098】
なお、左側の第一開口部26bに第一蓋31bを装着する一方で、左側の第三開口部29bに第三蓋33bを装着しなくても同様の効果を享受することが可能である。
【0099】
(変形例2)
実施の形態1では、脚部6を設けたが、必ずしも設ける必要はない。ただし、設けないのであれば、送風機ユニット4の外部から第一ダクト8を接続するための施工スペースとなる送風機ユニット下部空間を形成することができないため、送風機ユニット4の内部から第一ダクト8を接続する構成を設ける必要がある。
【0100】
その構成としては、先述のように、第三開口部29を、第一ダクト8の内径寸法よりも僅かに小さい外径を有する薄肉の円筒形のフランジ30によって形成するのではなく、第一ダクト8の外径寸法よりも大きい内径を有する円形開口によって形成する。そして、第五工程において、第一ダクト8を、全館空調ユニット2の施工完了時の長さよりも十分に長い状態まで引き出す。その後、第一工程において、第一ダクト8を第三開口部29に通しながら、送風機ユニット4を設置空間1内に設置する。最後に、第二チャンバー部20内部において、第一ダクト8を送風機ユニット4に固定すればよい。
【0101】
(変形例3)
実施の形態1では、第三開口部29は、送風機ユニット4の正面側に設けたが、必ずしも正面側である必要はない。ただし、本実施の形態のように、設置空間1が正面側からのみアクセス可能な状況で、且つ、第一ダクト8を送風機ユニット4の外部から接続する場合においては、正面側に近づけて設けるほど、施工者が第一ダクト8を第三開口部29に連通接続しやすくなる。
【0102】
ただし、その一方で、例えば、脚部6を十分に高く設定すれば、送風機ユニット下部空間42を大きく形成することができるため、第三開口部29が送風機ユニット4の背面側に設けられていても、施工が可能になる。そして、この場合は、第一開口部26と第三開口部29との全館空調ユニット2の前後方向の距離が短縮化されることになる。その結果、空調空気16の風路の曲げの量が抑制されることで、空調空気16の風路圧損の抑制が果たされ、全館空調ユニット2の省エネ性と静音性を向上させることが可能になる。
【0103】
以上、本実施の形態1に係る全館空調ユニット2の設置方法によれば、以下の効果を享受することができる。
【0104】
(1)全館空調ユニット2の設置方法は、外部から吸い込んだ空気を空調空気16として吹き出す空気調和機11を内蔵する空気調和機ユニット3と、空気調和機ユニット3の下部において空調空気16を吸い込み、対象空間にまで延設されるダクト(第一ダクト8及び第二ダクト10)に向けて吹き出す少なくとも2つの送風機18を内蔵する送風機ユニット4とを備える全館空調ユニット2を、正面側に所定寸法の開口部を有する設置空間1内に対して設置する全館空調ユニット2の設置方法である。送風機ユニット4は、送風機ユニット4の背面側において送風機18ごとに設けられた第一チャンバー部19であって、送風機18が吹き出す空調空気16を床面方向に吹き出す第一開口部26と、送風機18が吹き出す空調空気16を天井方向に吹き出す第二開口部27とを有する第一チャンバー部19を備える。全館空調ユニット2の設置方法は、設置空間1内に、送風機ユニット4を設置する第一工程と、第一チャンバー部19ごとに第一開口部26及び第二開口部27の一方を閉鎖する第二工程と、第一チャンバー部19ごとに第一開口部26及び第二開口部27の他方にダクトを連通接続する第三工程と、第一工程において設置した送風機ユニット4の上部に空気調和機ユニット3を載置する第四工程と、を備える。
【0105】
こうした構成によれば、設置空間1の開口部が狭小であっても、送風機ユニット4から送風機18を取り外すことなく、第二工程による第一開口部26及び第二開口部27の一方の閉鎖、及び、第三工程による第一開口部26及び第二開口部27の他方へのダクト接続によって送風機ユニット4から吹き出す空調空気16の吹出方向を調整して、全館空調ユニット2を設置することができる。この際、第二工程及び第三工程において設置空間1内のダクト配管環境に合わせて空調空気16の吹出方向を容易に調整できる。つまり、狭小設置空間内のダクト配管環境によらずに、狭小設置空間内への施工性を向上させることが可能な全館空調ユニット2の設置方法とすることができる。
【0106】
(2)全館空調ユニットの設置方法では、送風機ユニット4は、第一チャンバー部19ごとに設けられ、第一開口部26から吹き出される空調空気16を、内部に構成された空気風路を介して、送風機ユニット4の正面側に設けられた第三開口部29から吹き出すことが可能な第二チャンバー部20をさらに備える。第二工程では、第三開口部29を閉鎖することによって、第一開口部26を閉鎖の状態とし、第三工程では、第三開口部29にダクトを連通接続することによって、第一開口部26を第一ダクト8と連通接続した状態とした。これにより、全館空調ユニット2の正面側において、第三開口部29へのアクセスが容易になるゆえ、第三開口部29へのダクト接続の作業も容易になり、更なる施工性の向上を果たすことができる。また、施工時間の短縮を図ることもできる。
【0107】
(3)全館空調ユニット2の設置方法は、第二工程では、第一チャンバー部19ごとに、第三開口部29及び第二開口部27の一方に蓋(第三蓋33または第二蓋32)をはめ込むことで、第三開口部29及び第二開口部27の一方を閉鎖するようにした。このようにすることで、第二工程を蓋のはめ込みという容易な手段で賄えるため、更なる施工性の向上を果たすことができる。また、施工時間の短縮を図ることもできる。
【0108】
(4)全館空調ユニット2の設置方法は、第二工程では、第一開口部26及び第三開口部29の両方を閉鎖してもよい。これにより、第一開口部26が閉鎖されて第二チャンバー部20内に空調空気16が流入しなくなるので、第一開口部26が閉鎖されずに第三開口部29のみが閉鎖されている場合において第二チャンバー部20内で発生する空調空気16の剥離流れ36を防止して、空調空気16の風路圧損を抑制することができる。このため、全館空調ユニット2の省エネ性及び静音性を向上させることができる。
【0109】
(5)全館空調ユニット2の設置方法は、第一工程の前に、ダクトとして、第一チャンバー部19ごとに、設置空間1の床面7aから設置空間1内に引き出された第一ダクト8または設置空間1の天井9aから設置空間1内に引き出された第二ダクト10を配置する第五工程を有する。これにより、建物の一般的な施工手順である基礎工事、木工事の後に行われる電気工事、内装工事の一環として全館空調ユニット2を設置することが可能になるため、建物全体の施工時間の延長の抑制が可能になる。
【0110】
(6)全館空調ユニット2の設置方法では、第一工程は、送風機ユニット4と設置空間1の床面7aとの間に所定の隙間(送風機ユニット下部空間42)を形成する脚部6を設置する第六工程を含むようにした。これにより、形成される隙間での施工が可能になるため、第三開口部29に第一ダクト8を連通接続する施工作業が容易になる。
【0111】
(実施の形態2)
図14及び
図15を参照して、本発明の実施の形態2に係る全館空調ユニット2aの構成について説明する。
図14は、本発明の実施の形態2に係る全館空調ユニット2aの正面図である。
図15は、全館空調ユニット2aを構成する送風機ユニット4aの正面図及び側面図である。より詳細には、
図15(a)は、送風機ユニット4aの正面図であり、
図15(b)は、送風機ユニット4aの側面図である。
【0112】
実施の形態2に係る全館空調ユニット2aは、2つの第一チャンバー部19のそれぞれに対応する独立した2つの第二チャンバー部20に代えて、2つの第一チャンバー部19に対応した1つの第二チャンバー部20cを備えている点で実施の形態1と異なる。これ以外の全館空調ユニット2aの構成は、実施の形態1に係る全館空調ユニット2と同様であり、第二開口部27も
図12に示す構造と同様である。以下、実施の形態1で説明済みの内容は再度の説明を適宜省略し、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
【0113】
全館空調ユニット2aでは、
図14に示すように、設置空間1内のダクト配管環境として、第一ダクト8が正面側、且つ、左側においける床下7から引き出され、第二ダクト10が背面側、且つ、左側において天井裏9から引き出された状態を例に説明する。
【0114】
送風機ユニット4aは、
図15に示すように、送風機ユニット筐体41と、2つの送風機18(送風機18a、送風機18b)と、2つの第一チャンバー部19(第一チャンバー部19a、第一チャンバー部19b)と、1つの第二チャンバー部20cとを有して構成される。
【0115】
第二チャンバー部20cは、送風機ユニット4aの下側領域において送風機18の両方に対応して設けられた部材である。第二チャンバー部20cは、送風機ユニット筐体41の一部を構成する。第二チャンバー部20cは、第一チャンバー部19の第一開口部26から導入される空調空気16を、送風機ユニット4の正面側において床面方向に吹き出すように調整する。
【0116】
具体的には、第二チャンバー部20cは、第一チャンバー部19aの第一開口部26aが吹き出す空調空気16を取り込む第二チャンバー部上面開口28aと、第一チャンバー部19bの第一開口部26bが吹き出す空調空気16を取り込む第二チャンバー部上面開口28bと、取り込んだ空調空気16を床面方向に吹き出す第三開口部29aと、取り込んだ空調空気16を床面方向に吹き出す第三開口部29bとの4つの開口部が設けられる。
【0117】
第二チャンバー部上面開口28aは、第一開口部26aと連通接続して第二チャンバー部20cの上側に設けられる開口部である。第二チャンバー部上面開口28aには、第一チャンバー部19aの第一開口部26aから空調空気16が導入される。
【0118】
第二チャンバー部上面開口28bは、第一開口部26bと連通接続して第二チャンバー部20cの上側に設けられる開口部である。第二チャンバー部上面開口28bには、第一チャンバー部19aの第一開口部26bから空調空気16が導入される。
【0119】
第三開口部29aは、送風機ユニット筐体41の正面側、且つ、下側に設けられる開口部である。第三開口部29aには、第三蓋33aが取り付け可能となっている。第三開口部29aは、第三開口部29aに第三蓋33aが取り付けられていない場合には、第二チャンバー部20cの内部に導入された空調空気16を床面方向に吹き出す。より詳細には、第三開口部29aは、第二チャンバー部20cの下側(床面7a)から第三開口部29aに連通接続する第一ダクト8に空調空気16を吹き出す。
【0120】
第三開口部29bは、送風機ユニット筐体41の正面側、且つ、下側に設けられる開口部である。第三開口部29bには、第三蓋33bが取り付け可能となっている。第三開口部29bは、第三開口部29aに第三蓋33bが取り付けられていない場合には、第二チャンバー部20cの内部に導入された空調空気16を床面方向に吹き出す。より詳細には、第三開口部29bは、第二チャンバー部20cの下側(床面7a)から第三開口部29bに連通接続する第一ダクト8に空調空気16を吹き出す。
【0121】
以上のように、全館空調ユニット2aは構成される。
【0122】
次に、
図16~
図22を参照して、設置空間1への全館空調ユニット2aの設置方法について説明する。
【0123】
図16は、全館空調ユニット2aの設置方法における第五工程を示す正面図及び側面図である。より詳細には、
図16(a)は、設置空間1に第一ダクト8と第二ダクト10とを引き出した状態の正面図であり、
図16(b)は、設置空間1に第一ダクト8と第二ダクト10とを引き出した状態の側面図である。
【0124】
図17は、全館空調ユニット2aの設置方法における第六工程を示す正面図及び側面図である。より詳細には、
図17(a)は、脚部6を設置空間1の床面7aに設置した状態の正面図であり、
図17(b)は、脚部6を設置空間1の床面7aに設置した状態の側面図である。
【0125】
図18は、全館空調ユニット2aの設置方法における第二工程を示す正面図及び断面図である。より詳細には、
図18(a)は、ダクト配管環境に合わせて送風機ユニット4aの右側の第二開口部27a及び右側の第三開口部29aに対して、それぞれ第二蓋32a及び第三蓋33aを装着した状態の正面図であり、
図18(b)は、
図18(a)のA-A断面図であり、
図18(c)は、
図18(a)のB-B断面図である。
【0126】
図19は、全館空調ユニット2aの設置方法における第一工程を示す正面図である。より詳細には、設置した脚部6の上部に送風機ユニット4aを設置した状態の正面図である。
【0127】
図20は、全館空調ユニット2aの設置方法における第一工程を示す断面図である。より詳細には、
図20(a)は、
図19(a)のA-A断面図であり、
図20(b)は、
図19(a)のB-B断面図である。
【0128】
図21は、全館空調ユニット2aの設置方法における第三工程を示す断面図である。より詳細には、
図21(a)は、送風機ユニット4aに第二ダクト10を連通接続した状態の
図19のA-A断面図であり、
図21(b)は、送風機ユニット4aに第一ダクト8を連通接続した状態の
図19のB-B断面図である。
【0129】
図22は、全館空調ユニット2aの設置方法における第四工程を示す断面図である。より詳細には、
図22(a)は、送風機ユニット4aの上部に空気調和機ユニット3を載置した状態の
図19(a)のA-A断面図であり、
図22(b)は、送風機ユニット4aの上部に空気調和機ユニット3を載置した状態の
図19(a)のB-B断面図である。
【0130】
実施の形態2での設置空間1への全館空調ユニット2aの設置方法では、第五工程、第六工程、第二工程、第一工程、第三工程、第四工程の順に施工することで、ダクト配管環境に合わせて、設置空間1内に全館空調ユニット2aを設置している。
【0131】
具体的には、第五工程では、
図16に示すように、正面側に所定寸法の開口部を有する設置空間1に、正面側、且つ、左側の床下7からの第一ダクト8を引き出されて配置し、背面側、且つ、左側の天井裏9からの第二ダクト10を引き出して配置する。
【0132】
第六工程では、
図17に示すように、第一工程において設置する送風機ユニット4aを載せる4カ所の脚部6を、設置空間1の床面7aにアンカーを使用して固定する。
【0133】
第二工程では、
図18に示すように、
図16に示す第一ダクト8及び第二ダクト10の引き出し位置に合わせて、右側の第二開口部27aに第二蓋32aを装着し、右側の第三開口部29aに第三蓋33aを装着する。さらに、第二工程では、
図16に示す第一ダクト8及び第二ダクト10の引き出し位置に合わせて、左側の第一開口部26bに第一蓋31bを装着する。これは、右側の第一開口部26aから導入される空調空気16が第三開口部29bから吹き出す際に、左側の第一開口部26bから第一チャンバー部19b内に逆流するのを防止するためである。つまり、送風機ユニット4aでは、第二ダクト10と連通接続する第二開口部27を有する第一チャンバー部19の第一開口部26を閉鎖する必要がある。
【0134】
第一工程では、
図19及び
図20に示すように、左側の第三開口部29bが第一ダクト8とおよそ同心円状になるように重なり、左側の第二開口部27bが第二ダクト10とおよそ同心円状になるように重なるように、各蓋(第二蓋32a及び第三蓋33a)を装着した状態の送風機ユニット4aを持ち上げながら設置空間1の正面側から背面側に向けて移動させて、送風機ユニット4aを設置空間1内に設置する。
【0135】
第三工程では、
図21に示すように、送風機ユニット4aの背面側の上方空間において、左側の第二開口部27bに対して第二ダクト10を引っ張り下げて第二開口部27bに第二ダクト10を被せた後にネジとテープで固定する。また、第三工程では、送風機ユニット4aの正面側の下方空間(送風機ユニット下部空間42)において、左側の第三開口部29bに対して第一ダクト8を引っ張り上げて第三開口部29bに第二ダクト10を被せた後にネジとテープで固定する。これにより、送風機ユニット4aには、左側の第二開口部27bに第二ダクト10が連通接続され、左側の第三開口部29bに第一ダクト8を連通接続される。
【0136】
第四工程では、
図22に示すように、空気調和機ユニット3の第二開口14が送風機ユニット4aの送風機ユニット上面開口22と重なるように、空気調和機ユニット3を持ち上げながら設置空間1の正面側から背面側に向けて移動させて、空気調和機ユニット3を設置空間1内に設置する。これにより、設置空間1内の所定の位置に、空気調和機ユニット3が設置される。
【0137】
以上の工程により、外部ダクト(第一ダクト8及び第二ダクト10)が連通接続された全館空調ユニット2aが、正面側に所定寸法の開口部を有する設置空間1内に対して設置される。
【0138】
実施の形態2は、第一ダクト8及び第二ダクト10の双方が左側から配管されている場合にも対応できる構成及び設置方法になっており、第一ダクト8及び第二ダクト10の双方が右側から配管されている場合も同様であることも大きな特徴である。
【0139】
また、先述の実施の形態1と同様に、第二工程において、各開口部の蓋の装着の是非を調整することで、他の様々なダクト配管環境にも柔軟に対応することが可能である。
【0140】
以上、本実施の形態2に係る全館空調ユニット2aの設置方法によれば、以下の効果を享受することができる(実施の形態1で記載した重複の効果の明記は省略する)。
【0141】
(1)全館空調ユニット2aの設置方法では、送風機ユニット4aは、送風機18ごとに設けられた第一チャンバー部19に共通して1つ設けられ、第一開口部26から吹き出される空調空気16を、内部に構成された空気風路を介して、送風機ユニット4の正面側に設けられた第三開口部29から吹き出すことが可能な第二チャンバー部20cを備える。第二工程では、第二ダクト10と連通接続する第二開口部27を有する第一チャンバー部19の第一開口部26を閉鎖し、第三工程では、第三開口部29に第一ダクト8を連通接続することによって、閉鎖した第二開口部27を有する第一チャンバー部19の第一開口部26をダクトと連通接続した状態とした。これにより、全館空調ユニット2aの正面側において、第三開口部29へのアクセスが容易になるゆえ、第三開口部29へのダクト接続の作業も容易になり、更なる施工性の向上を果たすことができる。また、施工時間の短縮を図ることもできる。
【0142】
(2)2つの第一チャンバー部19に対応した1つの第二チャンバー部20cを備えていることにより、床下7から配管されるダクトが1本である場合は、全館空調ユニット2a全体の寸法を拡大することなく、第一ダクト8を連通接続した左側の第三開口部29bに向けて流れる空調空気16の第二チャンバー部20c内の空気風路面積を大きく設定することが可能になる。それゆえに、空調空気16は、第二チャンバー部20c内を低流速で流れることになり、流速の2乗に比例して大きくなる空調空気16の圧力損失を抑制することになる。その結果、全館空調ユニット2aの省エネ性及び静音性を高めることが可能になる。
【0143】
(3)2つの第一チャンバー部19に対応した1つの第二チャンバー部20cを備えて、左側の第一開口部26b、右側の第二開口部27a、及び右側の第三開口部29aに、第一蓋31b、第二蓋32a、及び第三蓋33aをそれぞれ装着することにより、右側の送風機18aから右側の第一チャンバー部19aに吹き出された空調空気16を、第二チャンバー部20cを介して、左側の第三開口部29bに送出することができる。その結果、第一ダクト8及び第二ダクト10の双方が左側から配管されている場合にも対応できる。
【0144】
(実施の形態3)
図23及び
図24を参照して、本発明の実施の形態3に係る全館空調ユニット2bの構成について説明する。
図23は、本発明の実施の形態3に係る全館空調ユニット2bの正面図である。
図24は、全館空調ユニット2bを構成する送風機ユニット4bの正面図及び側面図である。より詳細には、
図24(a)は、送風機ユニット4bの正面図であり、
図24(b)は、送風機ユニット4bの側面図である。
【0145】
実施の形態3に係る全館空調ユニット2bは、送風機ユニット4bに第二チャンバー部20を設けていない点で実施の形態1と異なる。これ以外の全館空調ユニット2bの構成は、実施の形態1に係る全館空調ユニット2と同様である。以下、実施の形態1で説明済みの内容は再度の説明を適宜省略し、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
【0146】
全館空調ユニット2bでは、
図23に示すように、設置空間1内のダクト配管環境として、第一ダクト8が正面側、且つ、右側においける床下7から引き出され、第二ダクト10が背面側、且つ、左側において天井裏9から引き出された状態を例に説明する。
【0147】
全館空調ユニット2bは、設置空間1の上側から順に、空気調和機ユニット3、送風機ユニット4b、及び脚部6aによって主に構成される。全館空調ユニット2bには、右側の床下7から延設された第一ダクト8が接続され、左側の天井裏9から延設された第二ダクト10が接続されている。なお、実施の形態3では、第一チャンバー部19の第一開口部26aに第一ダクト8が連通接続されている。
【0148】
脚部6aは、設置空間1の床面7aとの間の所定の隙間によって形成される空間となる送風機ユニット下部空間42aを形成するように、送風機ユニット4bを支える支柱部材である。但し、実施の形態1の脚部6と比較して、より高く設定していることで、送風機ユニット4bの下面と設置空間1の床面7aとで形成される空間となる送風機ユニット下部空間42aをより大きく形成している。
【0149】
送風機ユニット4bは、
図24に示すように、送風機ユニット筐体41aと、2つの送風機18(送風機18a、送風機18b)と、2つの第一チャンバー部19(第一チャンバー部19a、第一チャンバー部19b)とを有して構成される。つまり、送風機ユニット4bは、第二チャンバー部20または第二チャンバー部20cを備えていない。
【0150】
以上のように、全館空調ユニット2bは構成される。
【0151】
次に、
図25~
図31を参照して、設置空間1への全館空調ユニット2bの設置方法について説明する。
【0152】
図25は、全館空調ユニット2bの設置方法における第五工程を示す正面図及び側面図である。より詳細には、
図25(a)は、設置空間1に第一ダクト8と第二ダクト10とを引き出した状態の正面図であり、
図25(b)は、設置空間1に第一ダクト8と第二ダクト10とを引き出した状態の側面図である。
【0153】
図26は、全館空調ユニット2bの設置方法における第六工程を示す正面図及び側面図である。より詳細には、
図26(a)は、脚部6aを設置空間1の床面7aに設置した状態の正面図であり、
図26(b)は、脚部6aを設置空間1の床面7aに設置した状態の側面図である。
【0154】
図27は、全館空調ユニット2bの設置方法における第二工程を示す正面図及び断面図である。より詳細には、
図27(a)は、ダクト配管環境に合わせて送風機ユニット4bの右側の第二開口部27aに対して、第二蓋32aを装着した状態の正面図であり、
図27(b)は、
図27(a)のA-A断面図であり、
図27(c)は、
図27(a)のB-B断面図である。
【0155】
図28は、全館空調ユニット2bの設置方法における第一工程を示す正面図である。より詳細には、設置した脚部6aの上部に送風機ユニット4bを設置した状態の正面図である。
【0156】
図29は、全館空調ユニット2bの設置方法における第一工程を示す断面図である。より詳細には、
図29(a)は、
図28(a)のA-A断面図であり、
図29(b)は、
図28(a)のB-B断面図である。
【0157】
図30は、全館空調ユニット2bの設置方法における第三工程を示す断面図である。より詳細には、
図30(a)は、送風機ユニット4bに第二ダクト10を連通接続した状態の
図28(a)のA-A断面図であり、
図30(b)は、送風機ユニット4bに第一ダクト8を連通接続した状態の
図28(a)のB-B断面図である。
【0158】
図31は、全館空調ユニット2bの設置方法における第四工程を示す断面図である。より詳細には、
図31(a)は、送風機ユニット4bの上部に空気調和機ユニット3を載置した状態の
図19(a)のA-A断面図であり、
図31(b)は、送風機ユニット4aの上部に空気調和機ユニット3を載置した状態の
図28(a)のB-B断面図である。
【0159】
実施の形態3での設置空間1への全館空調ユニット2bの設置方法では、第五工程、第六工程、第二工程、第一工程、第三工程、第四工程の順に施工することで、ダクト配管環境に合わせて、設置空間1内に全館空調ユニット2bを設置している。
【0160】
具体的には、第五工程では、
図25に示すように、正面側に所定寸法の開口部を有する設置空間1に、正面側、且つ、左側の床下7からの第一ダクト8を引き出されて配置し、背面側、且つ、左側の天井裏9からの第二ダクト10を引き出して配置する。
【0161】
第六工程では、
図26に示すように、第一工程において設置する送風機ユニット4bを載せる4カ所の脚部6aを、設置空間1の床面7aにアンカーを使用して固定する。
【0162】
第二工程では、
図27に示すように、
図25に示す第一ダクト8及び第二ダクト10の引き出し位置に合わせて、右側の第二開口部27aに第二蓋32aを装着し、左側の第一開口部26bに第一蓋31bを装着する。
【0163】
第一工程では、
図28及び
図29に示すように、左側の第一開口部26bが第一ダクト8とおよそ同心円状になるように重なり、右側の第二開口部27aが第二ダクト10とおよそ同心円状になるように重なるように、各蓋(第一蓋31b及び第二蓋32a)を装着した状態の送風機ユニット4bを持ち上げながら設置空間1の正面側から背面側に向けて移動させて、送風機ユニット4bを設置空間1内に設置する。
【0164】
第三工程では、
図30に示すように、送風機ユニット4bの背面側の上方空間において、左側の第二開口部27bに対して第二ダクト10を引っ張り下げて第二開口部27bに第二ダクト10を被せた後にネジとテープで固定する。また、第三工程では、送風機ユニット4bの正面側の下方空間(送風機ユニット下部空間42a)において、右側の第一開口部26aに対して第一ダクト8を引っ張り上げて第一開口部26aに第二ダクト10を被せた後にネジとテープで固定する。これにより、送風機ユニット4bには、左側の第二開口部27bに第二ダクト10が連通接続され、右側の第一開口部26aに第一ダクト8を連通接続される。
【0165】
第四工程では、
図31に示すように、空気調和機ユニット3の第二開口14が送風機ユニット4bの送風機ユニット上面開口22と重なるように、空気調和機ユニット3を持ち上げながら設置空間1の正面側から背面側に向けて移動させて、空気調和機ユニット3を設置空間1内に設置する。これにより、設置空間1内の所定の位置に、空気調和機ユニット3が設置される。
【0166】
以上の工程により、外部ダクト(第一ダクト8及び第二ダクト10)が連通接続された全館空調ユニット2bが、正面側に所定寸法の開口部を有する設置空間1内に対して設置される。
【0167】
実施の形態3では、実施の形態1及び実施の形態2と比較して、第二チャンバー部20及び第二チャンバー部20cを備えていないため、全館空調ユニット2bの部品点数の削減と軽量化の効果を享受することができる。特に、軽量化は、第一工程において、送風機ユニット4bを所定位置に設置する際の施工性を高めることができる。
【0168】
なお、実施の形態3では、施工工程の順番として、第二工程の後に第一工程としたが、作業が可能であるならば、第一工程のあとに第二工程としてもかまわない。
【0169】
以上、本実施の形態3に係る全館空調ユニット2bの設置方法によれば、以下の効果を享受することができる。
【0170】
(1)全館空調ユニット2bの設置方法は、外部から吸い込んだ空気を空調空気16として吹き出す空気調和機11を内蔵する空気調和機ユニット3と、空気調和機ユニット3の下部において空調空気16を吸い込み、対象空間にまで延設されるダクト(第一ダクト8及び第二ダクト10)に向けて吹き出す少なくとも2つの送風機18を内蔵する送風機ユニット4bとを備える全館空調ユニット2bを、正面側に所定寸法の開口部を有する設置空間1内に対して設置する全館空調ユニット2bの設置方法である。送風機ユニット4bは、送風機ユニット4bの背面側において送風機18ごとに設けられた第一チャンバー部19であって、送風機18が吹き出す空調空気16を床面方向に吹き出す第一開口部26と、送風機18が吹き出す空調空気16を天井方向に吹き出す第二開口部27とを有する第一チャンバー部19を備える。全館空調ユニット2bの設置方法は、設置空間1内に、送風機ユニット4bを設置する第一工程と、第一チャンバー部19ごとに第一開口部26及び第二開口部27の一方を閉鎖する第二工程と、第一チャンバー部19ごとに第一開口部26及び第二開口部27の他方にダクトを連通接続する第三工程と、第一工程において設置した送風機ユニット4bの上部に空気調和機ユニット3を載置する第四工程と、を備える。
【0171】
こうした構成によれば、設置空間1の開口部が狭小であっても、送風機ユニット4bから送風機18を取り外すことなく、第二工程による第一開口部26及び第二開口部27の一方の閉鎖、及び、第三工程による第一開口部26及び第二開口部27の他方へのダクト接続によって送風機ユニット4bから吹き出す空調空気16の吹出方向を調整して、全館空調ユニット2bを設置することができる。この際、第二工程及び第三工程において設置空間1内のダクト配管環境に合わせて空調空気16の吹出方向を容易に調整できる。つまり、狭小設置空間内のダクト配管環境によらずに、狭小設置空間内への施工性を向上させることが可能な全館空調ユニット2bの設置方法とすることができる。
【0172】
(2)送風機ユニット4bに第二チャンバー部20及び第二チャンバー部20cを設けていないゆえに、全館空調ユニット2b全体の部品点数の削減と軽量化の効果を享受することができる。特に、軽量化は、第一工程において、送風機ユニット4bを所定位置に設置する際の施工性を高めることができる。
【0173】
(3)脚部6aを高く設定することで、送風機ユニット下部空間42aを十分に大きく形成することで、送風機ユニット4bの背面側に設けられた右側の第一開口部26aへの第一ダクト8の連通接続作業の施工性を高めることができる。
【0174】
(実施の形態4)
図32~
図34を参照して、本発明の実施の形態4に係る全館空調ユニット2cを構成する送風機ユニット4a(加湿ユニット50)について説明する。
図32は、本発明の実施の形態4に係る全館空調ユニット2cの正面図である。
図33は、全館空調ユニット2cを構成する加湿ユニット50の上面図、正面図、及び断面図である。より詳細には、
図33(a)は、加湿ユニット50の上面図であり、
図33(b)は、加湿ユニット50の側面図であり、
図33(c)は、加湿ユニット50の
図33(a)のC―C断面図である。
図34は、全館空調ユニット2cにおける空調空気16の内部流れを示す断面模式図である。より詳細には、
図34(a)は、
図18(a)のA-A断面図であり、
図34(b)は、
図18(a)のB-B断面図である。
【0175】
実施の形態4に係る全館空調ユニット2cは、第二チャンバー部20cに加湿ユニット50を内蔵している点で実施の形態2と異なる。これ以外の全館空調ユニット2cの構成は、実施の形態2に係る全館空調ユニット2aと同様である。以下、実施の形態2で説明済みの内容は再度の説明を適宜省略し、実施の形態2と異なる点を主に説明する。
【0176】
図32に示すように、送風機ユニット4aを構成する第二チャンバー部20c内には、加湿ユニット50が内蔵されている。そして、加湿ユニット50では、送風機18から吹き出される空調空気16の加湿を行う。
【0177】
加湿ユニット50は、
図33に示すように、上側から順に、加湿装置51及び脚部52によって構成される。
【0178】
加湿装置51は、送風機18から吹き出される空調空気16の加湿を行う部材である。具体的には、加湿装置51は、
図33(a)に示すように、その上面に内部に空気を吸い込む矩形状で形成された1つの第三開口53と、吸い込んだ空気を加湿装置51外部に吹き出す矩形状で形成された2つの第四開口54と、第三開口53から吸い込んだ空気を加湿して第四開口54から吹き出すための加湿機構(図示せず)と、を有して構成される。
【0179】
脚部52は、加湿装置51の下面と加湿装置51の設置面55との間に所定の隙間(後述する加湿ユニット下部空間56)を形成して加湿装置51を支える支柱部材である。脚部52は、加湿装置51の矩形形状に合わせて4隅に設置されている。
【0180】
加湿ユニット50は、第二チャンバー部20cの内部下面が設置面55となるように、且つ、上面視において第一開口部26と上下方向で重ならないように送風機ユニット4aの正面側において設置されている。
【0181】
一方、送風機18の送風機吸込口23は、実施の形態2とは異なり、天井方向ではなく床面方向を向いて配置されている。つまり、送風機18は、床面方向から吸い込んだ空気を、背面方向に向けて吹き出すように配置されている。そして、加湿ユニット50の第三開口53は、送風機ユニット中心線21を対称軸になるように配置されており、上面視において、右側の第四開口54aは右側の送風機吸込口23aと重畳するように配置され、左側の第四開口54bは左側の送風機吸込口23bと重畳するように配置されている。これにより、全館空調ユニット2cでは、第二開口14から送風機ユニット4aの内部に供給され、送風機ユニット中心線21周辺を流れる空調空気16aが、左右の送風機18に挟まれた送風機狭間空間57を経由して、第三開口53に吸い込まれる。そして、加湿装置51の内部で加湿されることによって形成された加湿空調空気58が、第四開口54から吹き出される。つまり、加湿空調空気58と、第三開口53に吸い込まれなかった空調空気16(図示せず)とが、送風機吸込口23に吸い込まれる。そして、加湿空調空気58と空調空気16(図示せず)は、混合した混合加湿空調空気59となって、左右の送風機吹出口24から背面側の第一チャンバー部19にそれぞれ吹き出される。
【0182】
より詳細には、右側の送風機吹出口24aから吹き出された混合加湿空調空気59は、
図34(b)に示すように、右側の第一チャンバー部19aを経由して第二チャンバー部20cに送出されたあと、加湿ユニット下部空間56を経由し、第一ダクト8に送出される。一方、左側の送風機吹出口24bから吹き出された混合加湿空調空気59は、
図34(a)に示すように、左側の第一チャンバー部19bを経由して第二ダクト10に送出される。その結果、第一ダクト8及び第二ダクト10の延設先である各空間を、空調するだけでなく、加湿することにもなる。
【0183】
なお、全館空調ユニット2cの設置方法は、実施の形態2の全館空調ユニット2aの設置方法と同様であるので、説明は省略する。
【0184】
以上、実施の形態2の変形例に係る全館空調ユニット2cの設置方法によれば、以下の効果を享受することができる。
【0185】
(1)加湿ユニット50を内蔵する送風機ユニット4aであっても、送風機ユニット4から送風機18を取り外すことなく、設置空間1内のダクト配管環境に合わせて空調空気16の吹出方向を容易に調整できる。
【0186】
(2)加湿ユニット50の内蔵及び実施の形態2と同様の施工方法により、第一ダクト8及び第二ダクト10の延設先の空間を温調するだけでなく、加湿することが可能である。特に、低湿となる冬季においては、空気環境を大きく向上させることができる。
【0187】
(3)加湿ユニット50を第二チャンバー部20cに内蔵することにより、実施の形態2の全館空調ユニット2aと比較して、第二チャンバー部20cのサイズを拡大化させることが無いため、先述の施工性を維持することができる。
【0188】
(実施の形態5)
図35を参照して、本発明の実施の形態5に係る全館空調ユニット2dの構成について説明する。
図35は、本発明の実施の形態5に係る全館空調ユニット2dの正面図である。
図36は、全館空調ユニット2dを構成する送風機ユニット4dの正面図及び側面図である。より詳細には、
図36(a)は、送風機ユニット4dの正面図であり、
図36(b)は、送風機ユニット4dの側面図である。
【0189】
実施の形態5に係る全館空調ユニット2dでは、送風機ユニット4dの送風機吹出口24が背面側ではなく底面側に設けられている点で実施の形態1と異なる。送風機吹出口24の配置の変更に合わせて、本実施の形態における全館空調ユニット2dは、第一チャンバー部19の代わりに第三チャンバー部60を備え、第二チャンバー部20の代わりに第四チャンバー部61を備えた構成である。これ以外の全館空調ユニット2dの構成は、実施の形態1に係る全館空調ユニット2と同様である。以下、実施の形態1で説明済みの内容は再度の説明を適宜省略し、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
【0190】
全館空調ユニット2dでは、
図35に示すように、設置空間1内のダクト配管環境として、第一ダクト8が正面側、且つ、右側における床下7から引き出され、第二ダクト10が背面側、且つ、左側において天井裏9から引き出された状態を例に説明する。
【0191】
送風機ユニット4dは、
図36に示すように、送風機ユニット筐体41と、2つの送風機18(送風機18a、送風機18b)と、2つの第三チャンバー部60(第三チャンバー部60a、第三チャンバー部60b)と、2つの第四チャンバー部61(第四チャンバー部61a、第四チャンバー部61b)とを有して構成される。
【0192】
送風機ユニット筐体41は、送風機ユニット4dの外枠を構成する筐体である。送風機ユニット筐体41は、送風機ユニット中心線21を軸として左右対称に配置されるように、送風機18、第三チャンバー部60、及び第四チャンバー部61を内蔵している。より詳細には、送風機ユニット筐体41の右側の領域には、送風機18a、第三チャンバー部60a、及び第四チャンバー部61aがそれぞれ配置されている。送風機ユニット筐体41の左側の領域には、送風機18b、第三チャンバー部60b、及び第四チャンバー部61bがそれぞれ配置されている。
【0193】
送風機18は、送風機吹出口24が底面方向に向けて配置されている。具体的には、送風機吹出口24は、後述する第三チャンバー部60の第三チャンバー部天井開口62と対向(重畳)して配置される。つまり、送風機18は、天井方向から吸い込んだ空気を、底面方向に向けて吹き出すように配置されている。
【0194】
第三チャンバー部60は、送風機ユニット4dの下側領域において送風機18ごとに設けられた部材である。第三チャンバー部60は、送風機ユニット筐体41の一部を構成する。第三チャンバー部60は、送風機18が吹き出す空調空気16の吹出方向を、天井方向または床面方向のいずれか一方に切り替える。
【0195】
具体的には、第三チャンバー部60は、送風機18が吹き出す空調空気16を取り込む第三チャンバー部天井開口62と、送風機18が吹き出す空調空気16を床面方向に吹き出す第四開口部63と、送風機18が吹き出す空調空気16を天井方向に吹き出す第五開口部64との3つの開口部を有する。
【0196】
第三チャンバー部天井開口62は、送風機吹出口24と連通接続して第三チャンバー部60の天井側に設けられる開口部である。第三チャンバー部天井開口62には、送風機18の送風機吹出口24から空調空気16が導入される。
【0197】
第四開口部63は、第三チャンバー部60の下側かつ第三チャンバー部天井開口62に対向して設けられた開口部である。言い換えると、第四開口部63は、送風機吹出口24に対向して配置される。第四開口部63には、第三蓋33を取り付け可能となっている。第四開口部63に、第三蓋33が取り付けられていない場合には、第三チャンバー部60の内部に導入された空調空気16を床面方向に吹き出す。より詳細には、第四開口部63は、第四開口部63に連通接続する第一ダクト8に空調空気16を吹き出す。
【0198】
第五開口部64は、第三チャンバー部60の上側に設けられた開口部である。第五開口部64には、第一蓋31を取り付け可能となっている。第五開口部64に第一蓋31が取り付けられていない場合には、第三チャンバー部60の内部に導入された空調空気16を天井方向に吹き出す。より詳細には、第五開口部64は、第三チャンバー部60の上側から第四チャンバー部61を介して第五開口部64に連通接続する第二ダクト10に空調空気16を吹き出す。
【0199】
第四チャンバー部61は、送風機ユニット4dの背面側領域において第三チャンバー部60ごとに設けられた部材である。第四チャンバー部61は、送風機ユニット筐体41の一部を構成する。第四チャンバー部61は、第三チャンバー部60の第五開口部64から導入される空調空気16を、天井方向へ吹き出す。
【0200】
具体的には、第四チャンバー部61は、第三チャンバー部60の第五開口部64が吹き出す空調空気16を取り込む第四チャンバー部下面開口65と、取り込んだ空調空気16を天井方向に吹き出す第六開口部66との2つの開口部が設けられる。
【0201】
第四チャンバー部下面開口65は、第五開口部64に連通接続するために第四チャンバー部61の下側に設けられる開口部である。言い換えると、第四チャンバー部下面開口65は、第五開口部64に対向して設けられる。第四チャンバー部下面開口65には、第三チャンバー部60の第五開口部64から空調空気16が導入される。
【0202】
第六開口部66は、送風機ユニット筐体41の背面側かつ上側に設けられる開口部である。第六開口部66は、第四チャンバー部下面開口65に対向して設けられる。第六開口部66には、第二蓋32が取り付け可能となっている。第六開口部66に第二蓋32が取り付けられていない場合には、第四チャンバー部61の内部に導入された空調空気16を天井方向に吹き出す。より詳細には、第六開口部66は、第四チャンバー部61の上側から第六開口部66に連通接続する第二ダクト10に空調空気16を吹き出す。
【0203】
以上のように、全館空調ユニット2dは構成される。
【0204】
次に、
図5、6及び
図37~
図41を参照して、設置空間1への全館空調ユニット2dの設置方法について説明する。ここで
図5及び
図6は、実施の形態1の全館空調ユニット2の設置方法における第五工程及び第六工程を示す正面図及び側面図であるが、本実施の形態でも適用可能である。
【0205】
図37は、全館空調ユニット2dの設置方法における第二工程を示す正面図及び断面図である。より詳細には、
図37(a)は、ダクト配管環境に合わせて送風機ユニット4dの右側の第六開口部66a及び左側の第四開口部63bに対して、それぞれ第二蓋32a及び第三蓋33bを装着した状態の正面図であり、
図37(b)は、
図37(a)のA-A断面図であり、
図37(c)は、
図37(a)のB-B断面図である。
【0206】
図38は、全館空調ユニット2dの設置方法における第一工程を示す正面図である。より詳細には、設置した脚部6の上部に送風機ユニット4dを設置した状態の正面図である。
【0207】
図39は、全館空調ユニット2dの設置方法における第一工程を示す断面図である。より詳細には、
図39(a)は、
図38のA-A断面図であり、
図39(b)は、
図38のB-B断面図である。
【0208】
図40は、全館空調ユニット2dの設置方法における第三工程を示す断面図である。より詳細には、
図40(a)は、送風機ユニット4dに第二ダクト10を連通接続した状態の
図8のA-A断面図であり、
図40(b)は、送風機ユニット4dに第一ダクト8を連通接続した状態の
図8のB-B断面図である。
【0209】
図41は、全館空調ユニット2dの設置方法における第四工程を示す断面図である。より詳細には、
図41(a)は、送風機ユニット4dの上部に空気調和機ユニット3を載置した状態の
図39のA-A断面図であり、
図41(b)は、送風機ユニット4dの上部に空気調和機ユニット3を載置した状態の
図39のB-B断面図である。
【0210】
実施の形態5での設置空間1への全館空調ユニット2dの設置方法では、実施の形態1と同様に第五工程、第六工程、第二工程、第一工程、第三工程、第四工程の順に施工することで、ダクト配管環境に合わせて、設置空間1内に全館空調ユニット2を設置している。以下では、設置空間1内のダクト配管環境として、第一ダクト8が正面側、且つ、右側においける床下7から引き出され、第二ダクト10が背面側、且つ、左側において天井裏9から引き出された状態を例に説明する。
【0211】
第五工程は、第三チャンバー部60ごとに、設置空間1の床面7aから引き出された第一ダクト8または設置空間1の天井9aから設置空間内に引き出された第二ダクト10を配置する工程である。
図5に示すように、第五工程によって、正面側に所定寸法の開口部を有する設置空間1に、正面側、且つ、右側の床下7からの第一ダクト8が引き出されて配置され、背面側、且つ、左側の天井裏9からの第二ダクト10を引き出して配置される。
なお、第五工程は、建物の一般的な施工手順である基礎工事、木工事の後に行われる電気工事、内装工事の一環としてなされればよい。
【0212】
第六工程は、送風機ユニット4dと設置空間1の床面7aとの間に所定の隙間を形成する脚部6を設置する工程である。
図6に示すように、第六工程によって、この後の第一工程において設置する送風機ユニット4dを載せる4カ所の脚部6が設置空間1の床面7aにアンカーを使用して固定される。脚部6を設置したことによって、送風機ユニット4dの下面と床面7aとの間の所定の隙間に該当する送風機ユニット下部空間42が形成される。送風機ユニット下部空間42は、この後の第三工程において第一ダクト8を第四開口部63に接続固定する際の作業スペースとなる。なお、第六工程は、第一工程に含まれるようにしてもよい。
【0213】
第二工程は、ダクト配管環境に合わせて、第三チャンバー部60ごとに第六開口部66及び第四開口部63の一方を閉鎖する工程である。具体的には、第二工程は、右側の第六開口部66aを第二蓋32aによって閉鎖するとともに、左側の第四開口部63bを第三蓋33bによって閉鎖する工程である。なお、第六開口部66を閉鎖することは、第五開口部64を閉鎖することに実質相当するので、第二工程での「第六開口部66を閉鎖」は「第五開口部64を閉鎖」と読み替えてもよい。
【0214】
ここでは、第二工程は、送風機ユニット4dを設置空間1に設置する前に行われる。
図37に示すように、第二工程によって、送風機ユニット4dには、
図5に示す第一ダクト8及び第二ダクト10の引き出し位置に合わせて、右側の第六開口部66aに第二蓋32aが装着され、左側の第四開口部63bに第三蓋33bが装着される。
【0215】
第一工程は、脚部6の上部に送風機ユニット4dを設置する工程である。具体的には、
図38及び
図39に示すように、第一工程では、右側の第四開口部63aが第一ダクト8とおよそ同心円状になるように重なり、左側の第六開口部66bが第二ダクト10とおよそ同心円状になるように重なるように、各蓋(第二蓋32a及び第三蓋33b)を装着した状態の送風機ユニット4dを持ち上げながら設置空間1の正面側から背面側に向けて移動させて、送風機ユニット4dを設置空間1内に設置する。これにより、設置空間1内の所定の位置に、送風機ユニット4dが設置される。
【0216】
第三工程は、第三チャンバー部60ごとに第六開口部66及び第四開口部63の他方に外部ダクト(第一ダクト8及び第二ダクト10)を連通接続する工程である。なお、第三工程は、第二工程において蓋(第二蓋32aまたは第三蓋33b)を装着していない各開口部(第六開口部66及び第四開口部63)に外部ダクトを連通接続する工程であるとも言える。具体的には、第三工程は、右側の第四開口部63aに第一ダクト8を連通接続するとともに、左側の第六開口部66bに第二ダクト10を連通接続する工程である。なお、第六開口部66に第一ダクト8を連通接続することは、第五開口部64に第一ダクト8を連通接続することに実質相当するので、第三工程での「第六開口部66へのダクト接続」は「第五開口部64へのダクト接続」と読み替えてもよい。
【0217】
図40に示すように、第三工程では、送風機ユニット4dの背面側の上方空間において、左側の第六開口部66bに対して第二ダクト10を引っ張り下げて第六開口部66bに第二ダクト10を被せた後にネジとテープで固定する。また、第三工程では、送風機ユニット4dの正面側の下方空間(送風機ユニット下部空間42)において、右側の第四開口部63aに対して第一ダクト8を引っ張り上げて第四開口部63aに第一ダクト8を被せた後にネジとテープで固定する。これにより、送風機ユニット4dには、左側の第六開口部66bに第二ダクト10が連通接続され、第四開口部63aに第一ダクト8を連通接続される。
【0218】
第四工程は、第一工程において設置した送風機ユニット4dの上部に空気調和機ユニット3を載置する工程である。具体的には、
図11に示すように、第四工程では、空気調和機ユニット3の第二開口14が送風機ユニット4dの送風機ユニット上面開口22と重なるように、空気調和機ユニット3を持ち上げながら設置空間1の正面側から背面側に向けて移動させて、空気調和機ユニット3を設置空間1内に設置する。これにより、設置空間1内の所定の位置に、空気調和機ユニット3が設置される。
【0219】
以上の工程により、外部ダクト(第一ダクト8及び第二ダクト10)が連通接続された全館空調ユニット2dが、正面側に所定寸法の開口部を有する設置空間1内に対して設置される。
【0220】
本実施の形態5に係る全館空調ユニット2dでは、送風機吹出口24が底面方向に向けて配置され第三チャンバー部天井開口62に連通接続する点で実施の形態1と異なる。また、第四開口部63は、送風機吹出口24に対向して配置される。このような構成であれば、第四開口部63に第一ダクト8を接続した際に、送風機吹出口24から第一ダクト8への空調空気16の風路が直線状になる。したがって、空調空気16の風路の曲げの量が抑制されることで、特に第一ダクト8へ吹き出す空調空気16の風路圧損の抑制が果たされる。
【0221】
また、実施の形態5では、送風機ユニット筐体41は側面視にして矩形形状であったが、
図52で示すように空気調和機ユニット3よりも背面側において送風機ユニット4dの上部を天井方向へ突出させた送風機ユニット凸部67をさらに備えた形状としてもよい。言い換えると、送風機ユニット筐体41は側面視にして逆L字形状としてもよい。
【0222】
このような構成であれば、第四工程で空気調和機ユニット3の背面側端部を送風機ユニット凸部67の正面側端部に当接させて送風機ユニット4dに載置することで、空気調和機ユニット3の第二開口14と送風機ユニット4dの送風機ユニット上面開口22とを容易に位置合わせすることが可能となり施工性をさらに向上させることができる。
【0223】
さらに、
図52で示すように第四チャンバー部61を天井方向へ延伸し、第六開口部66を送風機ユニット凸部67の天井方向端部に連接するように設けてもよい。言い換えると、第六開口部66の配置が送風機ユニット4dの最も高い位置となるように設けてもよい。
【0224】
このような構成であれば、第三工程で第二ダクト10を第六開口部66bに接続する際に、第二ダクト10を引っ張り下げる距離が短くなることに加えて、施工者の腰を過度に曲げる必要がなくなるため施行者の負担が軽減し施工性を向上できる。
【0225】
以下に、実施の形態5に係る全館空調ユニット2dの変形例について説明する。
【0226】
(変形例1)
実施の形態5では、
図35のように第四チャンバー部61を第三チャンバー部60ごとに独立して2つ設けたが、
図42に示すように2つの第三チャンバー部60に対応した1つの第四チャンバー部61cを備える構成にしてもよい。これ以外の全館空調ユニット2dの構成は、実施の形態5に係る全館空調ユニット2dと同様である。以下、実施の形態5で説明済みの内容は再度の説明を適宜省略し、実施の形態5と異なる点を主に説明する。
【0227】
本変形例では、
図42に示すように、設置空間1内のダクト配管環境として、第一ダクト8が正面側、且つ、左側における床下7から引き出され、第二ダクト10が背面側、且つ、左側において天井裏9から引き出された状態を例に説明する。
【0228】
送風機ユニット4dは、
図43に示すように、送風機ユニット筐体41と、2つの送風機18(送風機18a、送風機18b)と、2つの第三チャンバー部60(第三チャンバー部60a、第三チャンバー部60b)と、1つの第四チャンバー部61cとを有して構成される。
【0229】
第四チャンバー部61cは、送風機ユニット4dの背面側領域において第三チャンバー部60の両方に対応して設けられた部材である。第四チャンバー部61cは、送風機ユニット筐体41の一部を構成する。第四チャンバー部61cは、第三チャンバー部60の第五開口部64から導入される空調空気16を、天井方向へ吹き出す。
【0230】
具体的には、第四チャンバー部61cは、第三チャンバー部60aの第五開口部64aが吹き出す空調空気16を取り込む第四チャンバー部下面開口65aと、第三チャンバー部60bの第五開口部64bが吹き出す空調空気16を取り込む第四チャンバー部下面開口65bと、取り込んだ空調空気16を天井方向に吹き出す第六開口部66aと、取り込んだ空調空気16を天井方向に吹き出す第六開口部66bと、の4つの開口部が設けられる。
【0231】
第四チャンバー部下面開口65aは、第五開口部64aに連通接続するために第四チャンバー部61cの下側に設けられる開口部である。言い換えると、第四チャンバー部下面開口65aは、第五開口部64aに対向して設けられる。第四チャンバー部下面開口65aには、第三チャンバー部60の第五開口部64aから空調空気16が導入される。
【0232】
第四チャンバー部下面開口65bは、第五開口部64bに連通接続するために第四チャンバー部61cの下側に設けられる開口部である。言い換えると、第四チャンバー部下面開口65bは、第五開口部64bに対向して設けられる。第四チャンバー部下面開口65bには、第三チャンバー部60の第五開口部64bから空調空気16が導入される。
【0233】
第六開口部66aは、送風機ユニット筐体41の背面側かつ上側に設けられる開口部である。第六開口部66aは、第四チャンバー部下面開口65aに対向して設けられる。第六開口部66aには、第二蓋32aが取り付け可能となっている。第六開口部66aに第二蓋32aが取り付けられていない場合には、第四チャンバー部61cの内部に導入された空調空気16を天井方向に吹き出す。より詳細には、第六開口部66aは、第四チャンバー部61cの上側から第六開口部66aに連通接続する第二ダクト10に空調空気16を吹き出す。
【0234】
第六開口部66bは、送風機ユニット筐体41の背面側かつ上側に設けられる開口部である。第六開口部66bは、第四チャンバー部下面開口65bに対向して設けられる。第六開口部66bには、第二蓋32bが取り付け可能となっている。第六開口部66bに第二蓋32bが取り付けられていない場合には、第四チャンバー部61cの内部に導入された空調空気16を天井方向に吹き出す。より詳細には、第六開口部66bは、第四チャンバー部61cの上側から第六開口部66bに連通接続する第二ダクト10に空調空気16を吹き出す。
【0235】
以上が実施の形態5の変形例1における全館空調ユニット2dの構成である。
【0236】
次に、
図16、17及び
図44~
図48を参照して、設置空間1への全館空調ユニット2dの設置方法について説明する。ここで
図16及び
図17は、実施の形態2の全館空調ユニット2aの設置方法における第五工程及び第六工程を示す正面図及び側面図であるが、本実施の形態でも適用可能である。
【0237】
図44は、全館空調ユニット2dの設置方法における第二工程を示す正面図及び断面図である。より詳細には、
図44(a)は、ダクト配管環境に合わせて送風機ユニット4dの右側の第六開口部66a及び右側の第四開口部63aに対して、それぞれ第二蓋32a及び第三蓋33aを装着した状態の正面図であり、
図44(b)は、
図44(a)のA-A断面図であり、
図44(c)は、
図44(a)のB-B断面図である。
【0238】
図45は、全館空調ユニット2dの設置方法における第一工程を示す正面図である。より詳細には、設置した脚部6の上部に送風機ユニット4dを設置した状態の正面図である。
【0239】
図46は、全館空調ユニット2aの設置方法における第一工程を示す断面図である。より詳細には、
図46(a)は、
図45(a)のA-A断面図であり、
図46(b)は、
図45(a)のB-B断面図である。
【0240】
図47は、全館空調ユニット2dの設置方法における第三工程を示す断面図である。より詳細には、
図47(a)は、送風機ユニット4dに第二ダクト10を連通接続した状態の
図45のA-A断面図であり、
図47(b)は、送風機ユニット4dに第一ダクト8を連通接続した状態の
図45のB-B断面図である。
【0241】
図48は、全館空調ユニット2dの設置方法における第四工程を示す断面図である。より詳細には、
図48(a)は、送風機ユニット4dの上部に空気調和機ユニット3を載置した状態の
図45(a)のA-A断面図であり、
図48(b)は、送風機ユニット4dの上部に空気調和機ユニット3を載置した状態の
図45(a)のB-B断面図である。
【0242】
実施の形態5の変形例1での設置空間1への全館空調ユニット2dの設置方法では、第五工程、第六工程、第二工程、第一工程、第三工程、第四工程の順に施工することで、ダクト配管環境に合わせて、設置空間1内に全館空調ユニット2dを設置している。
【0243】
具体的には、第五工程では、
図16に示すように、正面側に所定寸法の開口部を有する設置空間1に、正面側、且つ、左側の床下7からの第一ダクト8を引き出されて配置し、背面側、且つ、左側の天井裏9からの第二ダクト10を引き出して配置する。
【0244】
第六工程では、
図17に示すように、第一工程において設置する送風機ユニット4dを載せる4カ所の脚部6を、設置空間1の床面7aにアンカーを使用して固定する。
【0245】
第二工程では、
図44に示すように、
図16に示す第一ダクト8及び第二ダクト10の引き出し位置に合わせて、右側の第六開口部66aに第二蓋32aを装着し、右側の第四開口部63aに第三蓋33aを装着する。さらに、第二工程では、
図16に示す第一ダクト8及び第二ダクト10の引き出し位置に合わせて、左側の第五開口部64bに第一蓋31bを装着する。これは、右側の第五開口部64aから導入される空調空気16が第四開口部63bから吹き出す際に、左側の第五開口部64bから第三チャンバー部60b内に逆流することを防止するためである。つまり、実施の形態5の変形例1における送風機ユニット4dでは、第二ダクト10と連通接続する第六開口部66を有する第三チャンバー部60の第五開口部64を閉鎖する必要がある。
【0246】
第一工程では、
図45及び
図46に示すように、左側の第四開口部63bが第一ダクト8とおよそ同心円状になるように重なり、左側の第六開口部66bが第二ダクト10とおよそ同心円状になるように重なるように、各蓋(第一蓋31b、第二蓋32a及び第三蓋33a)を装着した状態の送風機ユニット4dを持ち上げながら設置空間1の正面側から背面側に向けて移動させて、送風機ユニット4dを設置空間1内に設置する。
【0247】
第三工程では、
図47に示すように、送風機ユニット4dの背面側の上方空間において、左側の第六開口部66bに対して第二ダクト10を引っ張り下げて第六開口部66bに第二ダクト10を被せた後にネジとテープで固定する。また、第三工程では、送風機ユニット4dの正面側の下方空間(送風機ユニット下部空間42)において、左側の第四開口部63bに対して第一ダクト8を引っ張り上げて第四開口部63bに第一ダクト8を被せた後にネジとテープで固定する。これにより、送風機ユニット4dには、左側の第六開口部66bに第二ダクト10が連通接続され、左側の第四開口部63bに第一ダクト8を連通接続される。
【0248】
第四工程では、
図48に示すように、空気調和機ユニット3の第二開口14が送風機ユニット4dの送風機ユニット上面開口22と重なるように、空気調和機ユニット3を持ち上げながら設置空間1の正面側から背面側に向けて移動させて、空気調和機ユニット3を設置空間1内に設置する。これにより、設置空間1内の所定の位置に、空気調和機ユニット3が設置される。
【0249】
以上の工程により、実施の形態5の変形例1における全館空調ユニット2dが、正面側に所定寸法の開口部を有する設置空間1内に対して設置される。
【0250】
本変形例では、設置空間1内のダクト配管環境として第一ダクト8及び第二ダクト10の双方が左側から配管されている場合にも対応できる構成及び設置方法になっており、第一ダクト8及び第二ダクト10の双方が右側から配管されている場合も同様であることも大きな特徴である。
【0251】
(変形例2)
本変形例に係る全館空調ユニット2dでは、送風機ユニット4dに第四チャンバー部61を設けていない点で実施の形態5と異なる。これ以外の全館空調ユニット2dの構成は、実施の形態5に係る全館空調ユニット2dと同様である。以下、実施の形態5で説明済みの内容は再度の説明を適宜省略し、実施の形態5と異なる点を主に説明する。
【0252】
図49は、本発明の実施の形態5の変形例2に係る全館空調ユニットの断面図である。より詳細には、
図49(a)は、送風機ユニット4dに第四チャンバー部61を設けず側面視にしてL字形状である送風機ユニット筐体41bを有する状態の
図38のA-A断面図であり、
図49(b)は、送風機ユニット4dに第四チャンバー部61を設けず側面視にしてL字形状である送風機ユニット筐体41bを有する状態の
図38のB-B断面図である。
【0253】
送風機ユニット4dは、
図49に示すように、送風機ユニット筐体41bと、2つの送風機18(送風機18a、送風機18b)と、2つの第三チャンバー部60(第三チャンバー部60a、第三チャンバー部60b)とを有して構成される。つまり、本変形例に係る送風機ユニット4dは、第四チャンバー部61または第四チャンバー部61cを備えていない。
【0254】
送風機ユニット筐体41bは、送風機ユニット4dの外枠を構成する筐体である。送風機ユニット筐体41bは、側面視にしてL字形状である点で実施の形態5と異なる。送風機ユニット筐体41bは、送風機ユニット中心線21を軸として左右対称に配置されるように、送風機18、第三チャンバー部60を内蔵している。より詳細には、送風機ユニット筐体41の右側の領域には、送風機18a、第三チャンバー部60aがそれぞれ配置されている。送風機ユニット筐体41の左側の領域には、送風機18b、第三チャンバー部60bがそれぞれ配置されている。ここで、左の第五開口部64bには第二ダクト10が接続され、右の第五開口部64aには第一蓋31aが装着される。また、左の第四開口部63bには、第三蓋33bが装着され、右の第四開口部63aには第一ダクト8が接続される。したがって、実施の形態5と同様のダクト配管環境に対応することが可能になっている。
【0255】
このような構成であれば実施の形態5と比較して、第四チャンバー部61または第四チャンバー部61cを備えていないため、全館空調ユニット2dの部品点数の削減と軽量化の効果を享受することができる。特に、軽量化は、第一工程において、送風機ユニット4dを所定位置に設置する際の施工性を高めることができる。
【0256】
また、
図50に示すように、送風機ユニット4dは、断面視にして逆L字型の第三チャンバー部60(第三チャンバー部60c、第三チャンバー部60d)を送風機ユニット筐体41に内蔵する構成としてもよい。
図50は、本発明の実施の形態5の変形例2に係る全館空調ユニットの別の構成を示す断面図である。より詳細には、
図50(a)は、送風機ユニット4dに第四チャンバー部61を設けず断面視にして逆L字型の第三チャンバー部60を有する状態の
図38のA-A断面図であり、
図50(b)は、送風機ユニット4dに第四チャンバー部61を設けず断面視にして逆L字型の第三チャンバー部60を有する状態の
図38のB-B断面図である。
【0257】
このような構成では実施の形態5と比較して、第二ダクト10接続作業の施工性は維持しつつも、第四チャンバー部61または第四チャンバー部61cを備えていないため、全館空調ユニット2dの部品点数の削減と軽量化の効果を享受することができる。
【0258】
さらに、
図53で示すように空気調和機ユニット3よりも背面側において送風機ユニット4dの上部を天井方向へ突出させた送風機ユニット凸部67をさらに備えた形状としてもよい。言い換えると、送風機ユニット筐体41は側面視にして逆L字形状としてもよい。
【0259】
このような構成であれば、第四工程で空気調和機ユニット3の背面側端部を送風機ユニット凸部67の正面側端部に当接させて送風機ユニット4dに載置することで、空気調和機ユニット3の第二開口14と送風機ユニット4dの送風機ユニット上面開口22とを容易に位置合わせすることが可能となり施工性をさらに向上させることができる。
【0260】
さらに、
図53で示すように空気調和機ユニット3よりも背面側において第三チャンバー部60を天井方向へさらに延伸し、第五開口部64を送風機ユニット凸部67の天井方向端部に連接するように設けてもよい。言い換えると、第五開口部64の配置が送風機ユニット4dの最も高い位置となるように設けてもよい。
【0261】
このような構成であれば、第三工程で第二ダクト10を第五開口部64bに接続する際に、第二ダクト10を引っ張り下げる距離が短くなることに加えて、施工者の腰を過度に曲げる必要がなくなるため施行者の負担が軽減し施工性を向上できる。
【0262】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0263】
本発明に係る全館空調ユニットの設置方法は、各々の設置空間で異なるダクト配管環境に対応するために必要であった、送風機の吹出方向を調整するための送風機の着脱作業を省くことが可能になり、狭小設置空間内への施工性を向上させることが可能であるために有用である。
【符号の説明】
【0264】
1 設置空間
2,2a,2b,2c 全館空調ユニット
3 空気調和機ユニット
4,4a,4b 送風機ユニット
6,6a 脚部
7 床下
7a 床面
8 第一ダクト
9 天井裏
9a 天井
10 第二ダクト
11 空気調和機
12 外部空気
13 第一開口
14 第二開口
15 空気調和機吸込口
16,16a 空調空気
17 空気調和機吹出口
18,18a,18b 送風機
19,19a,19b 第一チャンバー部
20,20a,20b,20c 第二チャンバー部
21 送風機ユニット中心線
22 送風機ユニット上面開口
23,23a,23b 送風機吸込口
24,24a,24b 送風機吹出口
25,25a,25b 第一チャンバー部正面開口
26,26a,26b 第一開口部
27,27a,27b 第二開口部
28,28a,28b 第二チャンバー部上面開口
29,29a,29b 第三開口部
30 フランジ
31,31a,31b 第一蓋
32,32a,32b 第二蓋
33,33a,33b 第三蓋
34,35 装着後ポジション
36 剥離流れ
40 空気調和機ユニット筐体
41,41a,41b 送風機ユニット筐体
42,42a 送風機ユニット下部空間
50 加湿ユニット
51 加湿装置
52 脚部
53 第三開口
54,54a,54b 第四開口
55 設置面
56 加湿ユニット下部空間
57 送風機狭間空間
58 加湿空調空気
59 混合加湿空調空気
60,60a,60b,60c,60d 第三チャンバー部
61,61a,61b,61c 第四チャンバー部
62 第三チャンバー部天井開口
63,63a,63b 第四開口部
64,64a,64b 第五開口部
65,65a,65b 第四チャンバー部下面開口
66,66a,66b 第六開口部
67 送風機ユニット凸部