(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152267
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】移動体用ヒートポンプ装置
(51)【国際特許分類】
B60H 1/22 20060101AFI20231005BHJP
B60H 1/32 20060101ALI20231005BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20231005BHJP
F25B 39/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B60H1/22 651B
B60H1/32 613G
B60H1/32 613A
B60H1/32 613E
B60H1/32 613C
F25B1/00 D
F25B1/00 399Y
F25B39/00 G
F25B1/00 361D
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123550
(22)【出願日】2022-08-02
(31)【優先権主張番号】P 2022056898
(32)【優先日】2022-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】宮地 智也
(72)【発明者】
【氏名】山本 真也
(72)【発明者】
【氏名】林 志郎
(72)【発明者】
【氏名】熊澤 伸吾
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211AA11
3L211BA55
3L211CA16
3L211DA28
3L211DA30
(57)【要約】
【課題】インバータ回路を好適に冷却可能であり、かつ、移動体への搭載性に優れた移動体用ヒートポンプ装置を提供する。
【解決手段】本発明のヒートポンプ装置は、電動圧縮機1と、凝縮器9と、蒸発器11とを備えている。電動圧縮機1は、ハウジング10、圧縮機構16、インバータ回路18、吸入口16a及び吐出口16b等を有している。このヒートポンプ装置では、凝縮器9と蒸発器11との間に電動圧縮機1が配置されつつ、凝縮器9、電動圧縮機1及び蒸発器11が一体化されている。また、インバータ回路18は、圧縮機構16と蒸発器11との間に配置されている。そして、吐出口16bは吸入口16aよりも凝縮器9の近くに配置されており、吸入口16aは吐出口16bよりも蒸発器11の近くに配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、前記ハウジングに設けられて冷媒を吸入する吸入口と、前記ハウジングに設けられて冷媒を吐出する吐出口と、前記ハウジング内に設けられ、前記吸入口から吸入した冷媒を前記吐出口から吐出させる圧縮機構と、前記ハウジング内に設けられて前記圧縮機構を作動させる電動モータとを有する電動圧縮機と、
冷媒と加熱用液体とで熱交換を行う凝縮器と、
冷媒と冷却用液体とで熱交換を行う蒸発器とを備え、
前記凝縮器は、前記吐出口から吐出された冷媒を流入させる第1流入口と、前記蒸発器に向けて冷媒を流出させる第1流出口とを有し、
前記蒸発器は、前記第1流出口から流出した冷媒を流入させる第2流入口と、前記吸入口に向けて冷媒を流出させる第2流出口とを有している移動体用ヒートポンプ装置であって、
前記凝縮器と前記蒸発器との間に前記電動圧縮機が配置されつつ、前記凝縮器、前記電動圧縮機及び前記蒸発器が一体化され、
前記電動圧縮機は、前記ハウジング内に設けられて前記電動モータの制御を行うインバータ回路をさらに有し、
前記インバータ回路は、前記圧縮機構と前記蒸発器との間に配置され、
前記吐出口は前記吸入口よりも前記凝縮器の近くに配置され、
前記吸入口は前記吐出口よりも前記蒸発器の近くに配置されていることを特徴とする移動体用ヒートポンプ装置。
【請求項2】
前記第1流出口と前記第2流入口とは循環通路によって接続され、
前記循環通路は、少なくとも一部が前記ハウジングに形成されている請求項1記載の移動体用ヒートポンプ装置。
【請求項3】
前記循環通路には、気液分離器と、冷媒の流通方向で前記気液分離器の下流側に位置して前記循環通路を流通する冷媒を減圧させる絞り部とが設けられ、
前記気液分離器は、前記ハウジングと前記凝縮器との間に配置されている請求項2記載の移動体用ヒートポンプ装置。
【請求項4】
前記循環通路には、気液分離器と、冷媒の流通方向で前記気液分離器の下流側に位置して前記循環通路を流通する冷媒を減圧させる絞り部とが設けられ、
前記凝縮器は、前記気液分離器と前記電動圧縮機との間に配置されている請求項2記載の移動体用ヒートポンプ装置。
【請求項5】
前記循環通路には、気液分離器と、冷媒の流通方向で前記気液分離器の下流側に位置して前記循環通路を流通する冷媒を減圧させる絞り部とが設けられ、
前記気液分離器は、前記ハウジングと前記蒸発器との間に配置されている請求項2記載の移動体用ヒートポンプ装置。
【請求項6】
前記循環通路には、気液分離器と、冷媒の流通方向で前記気液分離器の下流側に位置して前記循環通路を流通する冷媒を減圧させる絞り部とが設けられ、
前記気液分離器は、前記ハウジング内に配置されている請求項2記載の移動体用ヒートポンプ装置。
【請求項7】
前記凝縮器は、前記第1流入口に接続する凝縮器側第1冷媒領域と、
前記凝縮器側第1冷媒領域よりも冷媒の流通方向の下流側に位置して前記第1流出口に接続する凝縮器側第2冷媒領域と、
前記凝縮器側第1冷媒領域と前記凝縮器側第2冷媒領域との間に位置して前記凝縮器側第1冷媒領域と前記凝縮器側第2冷媒領域とに接続された凝縮器側気液分離部とを有し、
前記凝縮器側第1冷媒領域を流通する冷媒及び前記凝縮器側第2冷媒領域を流通する冷媒は、前記加熱用液体と熱交換を行い、
前記循環通路には、前記循環通路を流通する冷媒を減圧させる絞り部が設けられている請求項2記載の移動体用ヒートポンプ装置。
【請求項8】
前記吸入口と前記第2流出口とは吸入通路によって接続され、
前記循環通路には、前記循環通路を流通する冷媒を減圧させる絞り部が設けられ、
前記ハウジング内に設けられて前記インバータ回路と接続され、前記循環通路において前記絞り部よりも上流側を流通する冷媒の圧力を検出する循環通路側検出部と、
前記ハウジング内に設けられて前記インバータ回路と接続され、前記吸入通路を流通する冷媒の圧力及び温度を検出する吸入通路側検出部とをさらに備えている請求項2乃至7のいずれか1項記載の移動体用ヒートポンプ装置。
【請求項9】
前記循環通路側検出部は、前記循環通路において前記絞り部よりも上流側を流通する冷媒の温度を検出する請求項8記載の移動体用ヒートポンプ装置。
【請求項10】
前記第2流出口と前記吸入口との間にはアキュムレータが設けられ、
前記循環通路には、前記循環通路の通路面積を縮小する固定絞りが設けられ、
前記アキュムレータは、前記ハウジングと前記蒸発器との間に配置されている請求項2記載の移動体用ヒートポンプ装置。
【請求項11】
前記第2流出口と前記吸入口との間にはアキュムレータが設けられ、
前記循環通路には、前記循環通路の通路面積を縮小する固定絞りが設けられ、
前記蒸発器は、前記アキュムレータと前記電動圧縮機との間に配置されている請求項2記載の移動体用ヒートポンプ装置。
【請求項12】
前記第2流出口と前記吸入口との間にはアキュムレータが設けられ、
前記循環通路には、前記循環通路の通路面積を縮小する固定絞りが設けられ、
前記アキュムレータは、前記ハウジング内に配置されている請求項2記載の移動体用ヒートポンプ装置。
【請求項13】
前記ハウジング内に設けられて前記インバータ回路と接続され、前記循環通路において前記固定絞りよりも上流側を流通する冷媒の圧力を検出する高圧側検出部と、
前記ハウジング内に設けられて前記インバータ回路と接続され、前記アキュムレータと前記吸入口との間を流通する冷媒の圧力及び温度を検出する低圧側検出部とをさらに備えている請求項10乃至12のいずれか1項記載の移動体用ヒートポンプ装置。
【請求項14】
前記高圧側検出部は、前記循環通路において前記固定絞りよりも上流側を流通する冷媒の温度を検出する請求項13記載の移動体用ヒートポンプ装置。
【請求項15】
前記蒸発器は、前記第2流入口よりも冷媒の流通方向の下流側に位置する蒸発器側第1冷媒領域と、
前記蒸発器側第1冷媒領域よりも冷媒の流通方向の下流側に位置し、前記蒸発器側第1冷媒領域と前記第2流出口とに接続する蒸発器側第2冷媒領域と、
前記蒸発器側第1冷媒領域よりも冷媒の流通方向の上流側に位置して前記第2流入口と前記蒸発器側第1冷媒領域とに接続された蒸発器側気液分離部と、
前記蒸発器側第1冷媒領域と前記蒸発器側第2冷媒領域との間に位置し、前記蒸発器側第1冷媒領域を流通した冷媒を減圧させる蒸発器側絞り部とを有し、
前記蒸発器側第1冷媒領域を流通する冷媒及び前記蒸発器側第2冷媒領域を流通する冷媒は、前記冷却用液体と熱交換を行う請求項1又は2記載の移動体用ヒートポンプ装置。
【請求項16】
前記蒸発器は、前記第2流入口よりも冷媒の流通方向の下流側に位置する蒸発器側第1冷媒領域と、
前記蒸発器側第1冷媒領域よりも冷媒の流通方向の下流側に位置し、前記蒸発器側第1冷媒領域に接続する蒸発器側第2冷媒領域と、
前記蒸発器側第2冷媒領域よりも冷媒の流通方向の下流側に位置し、前記蒸発器側第2冷媒領域と前記第2流出口とに接続する蒸発器側第3冷媒領域と、
前記蒸発器側第1冷媒領域よりも冷媒の流通方向の上流側に位置して前記第2流入口と前記蒸発器側第1冷媒領域とに接続された蒸発器側気液分離部と、
前記蒸発器側第1冷媒領域と前記蒸発器側第2冷媒領域との間に位置し、前記蒸発器側第1冷媒領域を流通した冷媒を減圧させる蒸発器側絞り部とを有し、
前記蒸発器側第1冷媒領域を流通する冷媒は、前記蒸発器側第3冷媒領域を流通する冷媒と熱交換を行い、
前記蒸発器側第2冷媒領域を流通する冷媒は、前記冷却用液体と熱交換を行う請求項1又は2記載の移動体用ヒートポンプ装置。
【請求項17】
前記ハウジングには、前記加熱用液体を前記凝縮器に流入させる加熱用液体入口と、前記加熱用液体を前記凝縮器から流出させる加熱用液体出口と、前記冷却用液体を前記蒸発器に流入させる冷却用液体入口と、前記冷却用液体を前記蒸発器から流出させる冷却用液体出口とが形成されている請求項1又は2記載の移動体用ヒートポンプ装置。
【請求項18】
前記蒸発器及び前記凝縮器の少なくとも一方は、複数枚の熱交換プレートと、前記各熱交換プレート同士の間に配置されたスペーサとを有し、
前記各熱交換プレートと前記スペーサと前記ハウジングとは、締結部材によって一体に締結され、
前記締結部材の締結力によって、前記各熱交換プレートと前記スペーサとの間が封止されている請求項1又は2記載の移動体用ヒートポンプ装置。
【請求項19】
前記電動モータは、前記圧縮機構と前記インバータ回路との間に配置されている請求項1又は2記載の移動体用ヒートポンプ装置。
【請求項20】
前記吐出口と前記第1流入口とは吐出通路によって接続され、
前記吸入口と前記第2流出口とは吸入通路によって接続され、
前記吐出通路及び前記吸入通路は、少なくとも一部が前記ハウジングに形成されている請求項1又は2記載の移動体用ヒートポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は移動体用ヒートポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の移動体用ヒートポンプ装置(以下、単にヒートポンプ装置という)が開示されている。このヒートポンプ装置は、移動体としての電気自動車に搭載されている。ヒートポンプ装置は、電動圧縮機と、凝縮器と、蒸発器とを備えている。
【0003】
電動圧縮機は、ハウジングと、冷媒を吸入する吸入口と、冷媒を吐出する吐出口と、吸入口から吸入した冷媒を圧縮して吐出口から吐出させる圧縮機構と、圧縮機構を作動させる電動モータと、電動モータの制御を行うインバータ回路とを有している。圧縮機構、電動モータ及びインバータ回路はハウジング内に設けられている。ここで、同文献では、吸入口及び吐出口が配置された具体的な個所は不明である。
【0004】
凝縮器は、冷媒と加熱用液体とで熱交換を行う。凝縮器は、吐出口から吐出された冷媒を流入させる第1流入口と、蒸発器に向けて冷媒を流出させる第1流出口とを有している。蒸発器は、冷媒と冷却用液体とで熱交換を行う。蒸発器は、第1流出口から流出した冷媒を流入させる第2流入口と、吸入口に向けて冷媒を流出させる第2流出口とを有している。
【0005】
このヒートポンプ装置では、ハウジングの径方向において、ハウジングと蒸発器とが一体化されている。これにより、凝縮器は圧縮機構及び電動モータの外周側に配置されている。一方、蒸発器は、ハウジングの軸方向でハウジングと一体化されている。なお、ハウジングの径方向とハウジングの軸方向とは、互いに直交する関係にある。また、インバータ回路は、圧縮機構と蒸発器との間に配置されている。
【0006】
そして、このヒートポンプ装置では、凝縮器において冷媒と加熱用液体とが熱交換を行うことにより、加熱用液体が加熱される。また、蒸発器において冷媒と冷却液体とが熱交換を行うことにより、冷却用液体が冷却される。こうして凝縮器で加熱された加熱用液体は車室内の暖房に用いられる。一方、蒸発器で冷却された冷却用液体は走行用モータ等の冷却に用いられる。また、このヒートポンプ装置では、低温の蒸発器によってインバータ回路を冷却できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、移動体にはヒートポンプ装置以外にも種々の機器が搭載されることから、ヒートポンプ装置を搭載するためのスペースを十分に確保することが難しい。そこで、このように搭載スペースが限られる場合であっても、ヒートポンプ装置は、移動体に容易に搭載し得ることが求められる。
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、インバータ回路を好適に冷却可能であり、かつ、移動体への搭載性に優れた移動体用ヒートポンプ装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の移動体用ヒートポンプ装置は、ハウジングと、前記ハウジングに設けられて冷媒を吸入する吸入口と、前記ハウジングに設けられて冷媒を吐出する吐出口と、前記ハウジング内に設けられ、前記吸入口から吸入した冷媒を前記吐出口から吐出させる圧縮機構と、前記ハウジング内に設けられて前記圧縮機構を作動させる電動モータとを有する電動圧縮機と、
冷媒と加熱用液体とで熱交換を行う凝縮器と、
冷媒と冷却用液体とで熱交換を行う蒸発器とを備え、
前記凝縮器は、前記吐出口から吐出された冷媒を流入させる第1流入口と、前記蒸発器に向けて冷媒を流出させる第1流出口とを有し、
前記蒸発器は、前記第1流出口から流出した冷媒を流入させる第2流入口と、前記吸入口に向けて冷媒を流出させる第2流出口とを有している移動体用ヒートポンプ装置であって、
前記凝縮器と前記蒸発器との間に前記電動圧縮機が配置されつつ、前記凝縮器、前記電動圧縮機及び前記蒸発器が一体化され、
前記電動圧縮機は、前記ハウジング内に設けられて前記電動モータの制御を行うインバータ回路をさらに有し、
前記インバータ回路は、前記圧縮機構と前記蒸発器との間に配置され、
前記吐出口は前記吸入口よりも前記凝縮器の近くに配置され、
前記吸入口は前記吐出口よりも前記蒸発器の近くに配置されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の移動体用ヒートポンプ装置では、凝縮器と蒸発器との間に電動圧縮機が配置されつつ、凝縮器、電動圧縮機及び蒸発器が一体化されている。ここで、このヒートポンプ装置では、凝縮器とハウジングと蒸発器とが一体化されることにより、インバータ回路が圧縮機構と蒸発器との間に配置される。このため、低温の蒸発器によってインバータ回路を好適に冷却することができる。
【0012】
そして、このヒートポンプ装置では、吐出口が吸入口よりも凝縮器の近くに配置されており、吸入口が吐出口よりも蒸発器の近くに配置されている。このため、例えば、吐出口が吸入口よりも凝縮器から遠くに配置されている場合に比べて、このヒートポンプ装置では、吐出口から吐出された冷媒が凝縮器の第1流入口に至るまでの距離を短くすることができる。同様に、蒸発器の第2流出口から流出した冷媒が吸入口に至るまでの距離も短くすることができる。これにより、このヒートポンプ装置では全体としての大型化を抑制できる。
【0013】
したがって、本発明の移動体用ヒートポンプ装置は、インバータ回路を好適に冷却可能であり、かつ、移動体への搭載性に優れている。
【0014】
第1流出口と第2流入口とは循環通路によって接続され得る。そして、循環通路は、少なくとも一部がハウジングに形成されていることが好ましい。この場合には、循環通路の全てがハウジングとは別体でハウジングの外部に設けられる構成に比べて、移動体へのヒートポンプ装置の搭載性を高くできる。
【0015】
循環通路には、気液分離器と、冷媒の流通方向で気液分離器の下流側に位置して循環通路を流通する冷媒を減圧させる絞り部とが設けられ得る。そして、気液分離器は、ハウジングと凝縮器との間に配置されていることが好ましい。
【0016】
また、循環通路には、気液分離器と、冷媒の流通方向で気液分離器の下流側に位置して循環通路を流通する冷媒を減圧させる絞り部とが設けられ得る。そして、凝縮器は、気液分離器と電動圧縮機との間に配置されていることも好ましい。
【0017】
また、循環通路には、気液分離器と、冷媒の流通方向で気液分離器の下流側に位置して循環通路を流通する冷媒を減圧させる絞り部とが設けられ得る。そして、気液分離器は、ハウジングと蒸発器との間に配置されていることも好ましい。
【0018】
また、循環通路には、気液分離器と、冷媒の流通方向で気液分離器の下流側に位置して循環通路を流通する冷媒を減圧させる絞り部とが設けられ得る。そして、気液分離器は、ハウジング内に配置されていることも好ましい。
【0019】
これらの場合には、循環通路路に気液分離器及び絞り部を設けつつも、移動体へのヒートポンプ装置の搭載性を高くできる。
【0020】
凝縮器は、第1流入口に接続する凝縮器側第1冷媒領域と、凝縮器側第1冷媒領域よりも冷媒の流通方向の下流側に位置して第1流出口に接続する凝縮器側第2冷媒領域と、凝縮器側第1冷媒領域と凝縮器側第2冷媒領域との間に位置して凝縮器側第1冷媒領域と凝縮器側第2冷媒領域とに接続された凝縮器側気液分離部とを有し得る。また、凝縮器側第1冷媒領域を流通する冷媒及び凝縮器側第2冷媒領域を流通する冷媒は、加熱用液体と熱交換を行い得る。そして、循環通路には、循環通路を流通する冷媒を減圧させる絞り部が設けられていることも好ましい。
【0021】
この場合、凝縮器側第2冷媒領域には、凝縮器側気液分離部によって気液分離された後の冷媒が流通する。このため、加熱用液体との熱交換により、凝縮器側第2冷媒領域を流通する冷媒を好適に過冷却できる。これにより、第1流出口から流出して循環通路を絞り部に向かって流通する冷媒、つまり、絞り部によって減圧される前の冷媒について、確実性高く液相とすることができる。この結果、蒸発器の第2流入口において、気相の冷媒が生じることを好適に抑制できるため、蒸発器での熱交換によって、冷却用液体を好適に冷却することができる。
【0022】
本発明のヒートポンプ装置において、吸入口と第2流出口とは吸入通路によって接続され得る。また、循環通路には、循環通路を流通する冷媒を減圧させる絞り部が設けられ得る。そして、本発明のヒートポンプ装置は、ハウジング内に設けられてインバータ回路と接続され、循環通路において絞り部よりも上流側を流通する冷媒の圧力を検出する循環通路側検出部と、ハウジング内に設けられてインバータ回路と接続され、吸入通路を流通する冷媒の圧力及び温度を検出する吸入通路側検出部とをさらに備えていることが好ましい。
【0023】
この場合、インバータは、循環通路を流通する冷媒の圧力と、吸入通路を流通する冷媒の圧力及び温度とに基づいて電動モータの制御を行うことが可能となる。これにより、この移動体用ヒートポンプ装置では、冷媒が過度に高圧の状態で電動圧縮機が作動したり、圧縮機構に液相の冷媒が吸入されたりすることを好適に防止できる。
【0024】
また、この場合、循環通路側検出部は、循環通路において絞り部よりも上流側を流通する冷媒の温度を検出することが好ましい。これにより、インバータは電動モータの制御をより好適に行うことができる。
【0025】
本発明のヒートポンプ装置において、第2流出口と吸入口との間にはアキュムレータが設けられ得る。さらに、循環通路には、循環通路の通路面積を縮小する固定絞りが設けられ得る。そして、アキュムレータは、ハウジングと蒸発器との間に配置されていることも好ましい。
【0026】
また、第2流出口と吸入口との間にはアキュムレータが設けられ得る。さらに、循環通路には、循環通路の通路面積を縮小する固定絞りが設けられ得る。そして、蒸発器は、アキュムレータと電動圧縮機との間に配置されていることも好ましい。
【0027】
また、第2流出口と吸入口との間にはアキュムレータが設けられ得る。さらに、循環通路には、循環通路の通路面積を縮小する固定絞りが設けられ得る。そして、アキュムレータは、ハウジング内に配置されていることも好ましい。
【0028】
これらの場合には、アキュムレータを設けつつも、移動体へのヒートポンプ装置の搭載性を高くできる。
【0029】
本発明のヒートポンプ装置は、ハウジング内に設けられてインバータ回路と接続され、循環通路において固定絞りよりも上流側を流通する冷媒の圧力を検出する高圧側検出部と、ハウジング内に設けられてインバータ回路と接続され、アキュムレータと吸入口との間を流通する冷媒の圧力及び温度を検出する低圧側検出部とをさらに備えていることも好ましい。
【0030】
この場合にも、インバータ回路が電動モータの制御を好適に行うことが可能となるため、冷媒が過度に高圧の状態で電動圧縮機が作動したり、圧縮機構に液相の冷媒が吸入されたりすることを好適に防止できる。
【0031】
また、高圧側検出部は、循環通路において固定絞りよりも上流側を流通する冷媒の温度を検出することが好ましい。これにより、インバータは電動モータの制御をより好適に行うことができる。
【0032】
蒸発器は、第2流入口よりも冷媒の流通方向の下流側に位置する蒸発器側第1冷媒領域と、蒸発器側第1冷媒領域よりも冷媒の流通方向の下流側に位置し、蒸発器側第1冷媒領域と第2流出口とに接続する蒸発器側第2冷媒領域と、蒸発器側第1冷媒領域よりも冷媒の流通方向の上流側に位置して第2流入口と蒸発器側第1冷媒領域とに接続された蒸発器側気液分離部と、蒸発器側第1冷媒領域と蒸発器側第2冷媒領域との間に位置し、蒸発器側第1冷媒領域を流通した冷媒を減圧させる蒸発器側絞り部とを有し得る。そして、蒸発器側第1冷媒領域を流通する冷媒及び蒸発器側第2冷媒領域を流通する冷媒は、冷却用液体と熱交換を行うことが好ましい。
【0033】
この場合、第2流入口から流入した冷媒は、蒸発器側気液分離部によって気液分離された後に蒸発器側第1冷媒領域を流通する。このため、冷却用液体との熱交換によって、蒸発器側第1冷媒領域を流通する冷媒を好適に過冷却することができる。これにより、蒸発器側第1冷媒領域を経た冷媒、つまり、蒸発器側絞り部で減圧される前の冷媒について、確実性高く液相とすることができる。この結果、蒸発器側絞り部において冷媒を好適に減圧できることから、蒸発器側第2冷媒領域を流通する冷媒との熱交換によって冷却用液体を好適に冷却することができる。
【0034】
また、蒸発器は、第2流入口よりも冷媒の流通方向の下流側に位置する蒸発器側第1冷媒領域と、蒸発器側第1冷媒領域よりも冷媒の流通方向の下流側に位置し、蒸発器側第1冷媒領域に接続する蒸発器側第2冷媒領域と、蒸発器側第2冷媒領域よりも冷媒の流通方向の下流側に位置し、蒸発器側第2冷媒領域と第2流出口とに接続する蒸発器側第3冷媒領域と、蒸発器側第1冷媒領域よりも冷媒の流通方向の上流側に位置して第2流入口と蒸発器側第1冷媒領域とに接続された蒸発器側気液分離部と、蒸発器側第1冷媒領域と蒸発器側第2冷媒領域との間に位置し、蒸発器側第1冷媒領域を流通した冷媒を減圧させる蒸発器側絞り部とを有し得る。さらに、蒸発器側第1冷媒領域を流通する冷媒は、蒸発器側第3冷媒領域を流通する冷媒と熱交換を行い得る。そして、蒸発器側第2冷媒領域を流通する冷媒は、冷却用液体と熱交換を行うことも好ましい。
【0035】
この場合、蒸発器では、第2流入口から流入した冷媒が蒸発器側気液分離部によって気液分離されるため、蒸発器側第1冷媒領域には液相の冷媒が流通する。また、蒸発器側第1冷媒領域を流通する冷媒は、蒸発器側第3冷媒領域を流通する冷媒との間で熱交換を行う。このため、蒸発器側第1冷媒領域を流通する冷媒を好適に過冷却することができる。これにより、蒸発器側第1冷媒領域を経た冷媒、つまり、蒸発器側絞り部で減圧される前の冷媒について、確実性高く液相とすることができる。この結果、冷媒は、蒸発器側絞り部で好適に減圧されて減圧されて蒸発器側第2冷媒領域を流通するため、冷却用液体との熱交換によって冷却用液体を好適に冷却することができる。
【0036】
ハウジングには、加熱用液体を凝縮器に流入させる加熱用液体入口と、加熱用液体を凝縮器から流出させる加熱用液体出口と、冷却用液体を蒸発器に流入させる冷却用液体入口と、冷却用液体を蒸発器から流出させる冷却用液体出口とが形成されていることが好ましい。
【0037】
この場合には、凝縮器に対して加熱用液体入口及び加熱用液体出口を形成するためのスペースが不要となり、また、蒸発器に対して冷却用液体入口及び冷却用液体出口を形成するためのスペースが不要となる。このため、凝縮器及び蒸発器を小型化することができる。また、加熱用液体入口、加熱用液体出口、冷却用液体入口及び冷却用液体出口が設けられた専用の部材も不要となる。これらのため、移動体へのヒートポンプ装置の搭載性をより高くできる。
【0038】
蒸発器及び凝縮器の少なくとも一方は、複数枚の熱交換プレートと、各熱交換プレート同士の間に配置されたスペーサとを有し得る。また、各熱交換プレートとスペーサとハウジングとは、締結部材によって一体に締結され得る。そして、締結部材の締結力によって、各熱交換プレートとスペーサとの間が封止されていることが好ましい。
【0039】
この場合には、凝縮器及び蒸発器の少なくとも一方について構成を簡素化しつつ、加熱用液体又は冷却用液体と冷媒との間で好適に熱交換を行うことができる。また、仮に凝縮器が各熱交換プレート及びスペーサを有している場合、締結部材によって各熱交換プレートとスペーサとハウジングとを締結する過程で、凝縮器とハウジングとを一体に締結することが可能となる。さらに、締結部材の締結力によって、各熱交換プレートとスペーサとの間が封止されることにより、加熱用液体や冷却用液体の他、冷媒の漏れを好適に抑制できる。
【0040】
電動モータは、圧縮機構とインバータ回路との間に配置されていることが好ましい。この場合には、低温の蒸発器によって電動モータも好適に冷却することができる。また、インバータ回路と電動モータとを近接させて配置できるため、インバータ回路と電動モータとの接続も容易化できる。
【0041】
吐出口と第1流入口とは吐出通路によって接続され得る。また、吸入口と第2流出口とは吸入通路によって接続され得る。そして、吐出通路及び吸入通路は、少なくとも一部がハウジングに形成されていることが好ましい。この場合には、吐出通路及び吸入通路の全てがハウジングとは別体でハウジングの外部に設けられる構成に比べて、移動体へのヒートポンプ装置の搭載性を高くできる。
【発明の効果】
【0042】
本発明の移動体用ヒートポンプ装置は、インバータ回路を好適に冷却可能であり、かつ、移動体への搭載性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】
図1は、実施例1の移動体用ヒートポンプ装置の側面図である。
【
図2】
図2は、実施例1の移動体用ヒートポンプ装置の模式図である。
【
図4】
図4は、実施例2の移動体用ヒートポンプ装置の模式図である。
【
図5】
図5は、実施例3の移動体用ヒートポンプ装置の模式図である。
【
図6】
図6は、実施例4の移動体用ヒートポンプ装置の模式図である。
【
図7】
図7は、実施例5の移動体用ヒートポンプ装置の模式図である。
【
図8】
図8は、実施例6の移動体用ヒートポンプ装置の模式図である。
【
図9】
図9は、実施例7の移動体用ヒートポンプ装置の模式図である。
【
図10】
図10は、実施例8の移動体用ヒートポンプ装置の模式図である。
【
図11】
図11は、実施例9の移動体用ヒートポンプ装置の模式図である。
【
図12】
図12は、実施例10の移動体用ヒートポンプ装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明を具体化した実施例1~10を図面を参照しつつ説明する。
【0045】
(実施例1)
図1及び
図2に示すように、実施例1のヒートポンプ装置は、電動圧縮機1と、レシーバケース3と、レシーバ5と、膨張弁7と、凝縮器9と、蒸発器11と、制御装置(図示略)とを備えている。実施例1のヒートポンプ装置は、電気自動車100に搭載されている。電気自動車100は、本発明における「移動体」の一例である。また、レシーバ5は、本発明における「気液分離器」の一例である。膨張弁7は、本発明における「絞り部」の一例である。なお、
図1では膨張弁7の図示を省略している。
【0046】
電動圧縮機1は、コンプレッサハウジング13と、モータハウジング14と、インバータハウジング15と、圧縮機構16と、電動モータ17と、インバータ回路18とを有している。コンプレッサハウジング13、モータハウジング14及びインバータハウジング15によって、ハウジング10が構成されている。ハウジング10は、アルミニウム合金等の金属製である。
【0047】
本実施例では、
図1等に示す実線矢印によって、ハウジング10の軸方向D1を示している。また、本実施例では、軸方向D1の一方側をD1A側として説明し、軸方向D1の他方側をD1B側として説明する。
【0048】
図1に示すように、コンプレッサハウジング13は、本体部131と固定部133とからなる。本体部131は、軸方向D1に延びる略円筒状をなしている。固定部133は、本体部131におけるD1A側で本体部131と一体をなしている。つまり、コンプレッサハウジング13では、本体部131がコンプレッサハウジング13におけるD1B側を構成しており、固定部133がコンプレッサハウジング13におけるD1A側を構成している。本体部131と固定部133とは内部で連通している。
【0049】
コンプレッサハウジング13には、吸入口16a及び吐出口16bが設けられている。より具体的には、吸入口16a及び吐出口16bは、それぞれ本体部131に設けられている。ここで、吸入口16aは、本体部131において吐出口16bよりもD1B側に位置している。つまり、吸入口16aはコンプレッサハウジング13のD1B側に位置しており、吐出口16bはコンプレッサハウジング13のD1A側に位置している。
【0050】
また、
図2に示すように、コンプレッサハウジング13には、第1吐出通路21a、第3循環通路22c及び第3吸入通路23cが形成されている。ここで、第1吐出通路21a及び第3循環通路22cは、本体部131及び固定部133にわたって形成されている。第3吸入通路23cは本体部131にのみ形成されている。第1吐出通路21a、第3循環通路22c及び第3吸入通路23cには、冷媒が流通可能となっている。
【0051】
さらに、コンプレッサハウジング13には、加熱用液体入口31と、加熱用液体出口32と、第1加熱用液体通路33aと、第4加熱用液体通路33dとが形成されている。加熱用液体入口31と加熱用液体出口32とは、固定部133において互いに異なる位置に形成されており、コンプレッサハウジング13の外部に開口している。第1加熱用液体通路33a及び第4加熱用液体通路33dは固定部133に形成されている。第1加熱用液体通路33aは加熱用液体入口31と接続している。第4加熱用液体通路33dは加熱用液体出口32と接続している。
【0052】
加熱用液体入口31及び加熱用液体出口32には、それぞれ図示しない配管が接続されている。これにより、加熱用液体入口31には、配管を通じてヒートポンプ装置の外部から固定部133内、ひいてはハウジング10内に加熱用液体が流入する。また、加熱用液体出口32から配管を通じて、ハウジング10内からヒートポンプ装置の外部に熱用液体が流出する。ここで、加熱用液体としては、ロングライフクーラントが用いられている。
【0053】
図示を省略するものの、固定部133には仕切壁が設けられている。この仕切壁により、加熱用液体入口31から流入した加熱用液体と、加熱用液体出口32から流出する加熱用液体とは、固定部133内で混ざり合うことがない。
【0054】
図1に示すように、モータハウジング14は、コンプレッサハウジング13の本体部131と同様に、軸方向D1に延びる略円筒状をなしている。インバータハウジング15は、モータハウジング14におけるD1B側でモータハウジング14と一体をなしている。
【0055】
図2に示すように、モータハウジング14には、第4循環通路22dと、第2吸入通路23bとが形成されている。インバータハウジング15には、第5循環通路22eと、第1吸入通路23aとが形成されている。第5循環通路22eはD1A側で第4循環通路22dのD1B側と接続している。第1吸入通路23aはD1A側で第2吸入通路23bのD1B側と接続している。
【0056】
また、インバータハウジング15には、冷却用液体入口34と、冷却用液体出口35と、第1冷却用液体通路36aと、第2冷却用液体通路36bとが形成されている。冷却用液体入口34と冷却用液体出口35とは、インバータハウジング15において互いに異なる位置に形成されており、インバータハウジング15の外部に開口している。第1冷却用液体通路36aは冷却用液体入口34と接続している。第2冷却用液体通路36bは冷却用液体出口35と接続している。
【0057】
冷却用液体入口34及び冷却用液体出口35には、それぞれ図示しない配管が接続されている。これにより、冷却用液体入口34及び配管を通じてヒートポンプ装置の外部からインバータハウジング15、ひいてはハウジング10内に冷却用液体が流入する。また、冷却用液体出口35から配管を通じてハウジング10内からヒートポンプ装置の外部に冷却用液体が流出する。ここで、加熱用液体と同様、冷却用液体についても、ロングライフクーラントが用いられている。なお、加熱用液体及び冷却用液体は、水等であっても良い。
【0058】
図示を省略するものの、インバータハウジング15には仕切壁が設けられており、この仕切壁によって、冷却用液体は、インバータハウジング15内において、後述するインバータ回路18と直接接することがない。また、仕切壁により、冷却用液体入口34から流入した冷却用液体と、冷却用液体出口35から流出する冷却用液体とがインバータハウジング15内で混ざり合うこともない。
【0059】
圧縮機構16は、コンプレッサハウジング13の本体部131内に収容されている。詳細な図示を省略するものの、圧縮機構16は、公知のスクロール型圧縮機構である。圧縮機構16は、吸入口16aと吐出口16bとに接続している。また、吸入口16aは第3吸入通路23cのD1A側と接続している。吐出口16bは第1吐出通路21aのD1B側と接続している。これにより、圧縮機構16は、吸入口16aを通じて第3吸入通路23cと接続しているとともに、吐出口16bを通じて第1吐出通路21aと接続している。なお、スクロール型圧縮機構に換えて、斜板式圧縮機構やベーン型圧縮機構等を圧縮機構16として採用しても良い。
【0060】
電動モータ17は、モータハウジング14内に収容されている。詳細な図示を省略するものの、電動モータ17は、公知のステータ及びロータ等で構成されている。
【0061】
インバータ回路18は、インバータハウジング15内に収容されている。これにより、インバータ回路18は、モータハウジング14内に収容された電動モータ17に対して、D1B側に位置している。つまり、インバータ回路18は、ハウジング10内において、電動モータ17と軸方向D1で隣接している。
【0062】
詳細な図示を省略するものの、インバータ回路18は、回路基板と、回路基板に設けられたスイッチング素子等で構成されている。インバータ回路18は、電動モータ17と通電可能に接続されている。また、インバータ回路18は、インバータハウジング15に設けられたコネクタ部(図示略)に接続されている。これにより、インバータ回路18は、コネクタ部を通じて、電気自動車100のバッテリ(図示略)に通電可能に接続されている。また、インバータ回路18は制御装置(図示略)に接続されている。
【0063】
図1に示すように、コンプレッサハウジング13に対して、モータハウジング14及びインバータハウジング15がD1B側に配置されている。そして、コンプレッサハウジング13の本体部131と、モータハウジング14とを軸方向D1で対向させつつ、コンプレッサハウジング13とモータハウジング14とが図示しないボルトによって締結されている。これにより、コンプレッサハウジング13とモータハウジング14とが軸方向D1で固定されている。こうして、ハウジング10では、コンプレッサハウジング13、モータハウジング14及びインバータハウジング15が軸方向D1でこの順に配置されている。つまり、ハウジング10において、コンプレッサハウジング13が最もD1A側に位置しており、インバータハウジング15が最もD1B側に配置されている。
【0064】
また、ハウジング10内では、圧縮機構16、電動モータ17及びインバータ回路18が軸方向D1でこの順に配置されている。つまり、インバータ回路18が最もD1B側に配置されており、圧縮機構16とインバータ回路18との間に電動モータ17が配置されている。圧縮機構16と電動モータ17とは動力伝達可能に接続されている。
【0065】
また、コンプレッサハウジング13とモータハウジング14とが軸方向D1で固定されることにより、第3循環通路22cのD1B側と第4循環通路22dのD1A側とが接続している。これにより、第3循環通路22cと第4循環通路22dと第5循環通路22eとが接続されている。また、第3吸入通路23cのD1B側と第2吸入通路23bのD1A側とが接続している。これにより、第1吸入通路23aと第2吸入通路23bと第3吸入通路23cとが接続されている。
【0066】
また、上述のように、吐出口16bはコンプレッサハウジング13のD1A側に位置していることから、吐出口16bは、ハウジング10におけるD1A側に位置している。一方、吸入口16aはハウジング10におけるD1B側、より厳密には、ハウジング10において、吸入口16aは吐出口16bよりもD1A側に位置している。
【0067】
レシーバケース3は、略矩形の箱状に形成されている。レシーバケース3は、コンプレッサハウジング13の固定部133のD1A側に配置されている。つまり、レシーバケース3は、ハウジング10、ひいては電動圧縮機1に対して軸方向D1に配置され、かつ、電動圧縮機1のD1A側に位置している。
【0068】
図2に示すように、レシーバケース3には、第2吐出通路21bと、第1循環通路22aと、第2循環通路22bとが形成されている他、第2加熱用液体通路33bと、第3加熱用液体通路33cとが形成されている。
【0069】
レシーバ5及び膨張弁7は、レシーバケース3内に収容されている。レシーバ5は、第1循環通路22aと、第2循環通路22bとの間に位置しており、第1循環通路22a及び第2循環通路22bに接続している。膨張弁7は、第2循環通路22bに設けられている。また、膨張弁7は、図示しない制御装置に接続されている。なお、レシーバ5及び膨張弁7は、それぞれ公知のレシーバ及び膨張弁と同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。また、膨張弁7はハウジング10内に収容されることにより、第2循環通路22bに換えて、第3~5循環通路22c~22eのいずれかに設けられても良い。
【0070】
図1及び
図3に示すように、凝縮器9は、複数枚の第1熱交換プレート91と、複数枚の第1スペーサ92と、1枚の第1エンドプレート93と、1枚の第2エンドプレート94とで構成されている。各第1熱交換プレート91は、本発明における「熱交換プレート」の一例である。また、各第1スペーサ92は、本発明における「スペーサ」の一例である。
【0071】
各第1熱交換プレート91、各第1スペーサ92及び第1、2エンドプレート93、94は金属製であり、略矩形の板状に形成されている。各第1熱交換プレート91及び各第1スペーサ92は、第1、2エンドプレート93、94に比べて板厚が薄く形成されている。
図3に示すように、各第1スペーサ92には、軸方向D1の両面にそれぞれ樹脂製のシール部材921、922が設けられている。
【0072】
第1エンドプレート93は、凝縮器9における最もD1A側に配置されている。第2エンドプレート94は、凝縮器9における最もD1Bに配置されている。そして、各第1熱交換プレート91及び第1スペーサ92は、第1エンドプレート93と第2エンドプレート94との間に配置されている。
【0073】
ここで、各第1熱交換プレート91と各第1スペーサ92とは、それぞれ軸方向D1に交互に配置されている。つまり、第1熱交換プレート91同士における軸方向D1の間に第1スペーサ92が配置されている。これにより、第1熱交換プレート91同士は、第1スペーサ92によって軸方向D1に離隔している。
【0074】
また、最もD1A側に位置する第1熱交換プレート91と第1エンドプレート93との間、及び、最もD1B側に位置する第1熱交換プレート91と第2エンドプレート94との間についても、第1スペーサ92によって軸方向D1に離隔している。
【0075】
そして、第1熱交換プレート91同士の間、最もD1A側に位置する第1熱交換プレート91と第1エンドプレート93との間、及び、最もD1B側に位置する第1熱交換プレート91と第2エンドプレート94との間は、冷媒が流入する第1冷媒領域91a又は加熱用液体が流入する第1液体領域91bとされている。第1冷媒領域91aと第1液体領域91bとは、軸方向D1に交互に配置されている。
【0076】
各第1熱交換プレート91と各第1スペーサ92とは、4つの連通路901を形成している。そして、第1エンドプレート93は各連通路901をそれぞれD1A側から塞いでいる。なお、
図3では、4つの連通路901のうち1つを図示している。
【0077】
第2エンドプレート94には、第1流入口9aが形成されている他、
図2に示すように、第1流出口9bと、第3流入口9cと、第3流出口9dとが形成されている。
【0078】
そして、各第1スペーサ92は、4つの連通路901のうちの2つの連通路901を第1流入口9a及び第1流出口9bに連通させており、残りの2つの連通路901を第3流入口9c及び第3流出口9dに連通させている。これにより、第1流入口9a及び第1流出口9bと各第1冷媒領域91aとが連通している。そして、第3流入口9c及び第3流出口9dと各第1液体領域91bとが連通している。
【0079】
凝縮器9は、
図1に示す複数の第1締結ボルト201によって、ハウジング10及びレシーバケース3に軸方向D1で締結されている。各第1締結ボルト201は、本発明における「締結部材」の一例である。
【0080】
具体的には、コンプレッサハウジング13のD1A側にレシーバケース3を配置する。また、レシーバケース3のD1A側に凝縮器9を配置する。そして、凝縮器9の第1エンドプレート93側から、各第1締結ボルト201を挿通しつつ締結する。
【0081】
これにより、第1エンドプレート93、各第1熱交換プレート91、各第1スペーサ92、第2エンドプレート94を軸方向D1に締結する。この際、各第1締結ボルト201は、レシーバケース3を軸方向D1に貫通してコンプレッサハウジング13の固定部133まで至る。こうして、各第1締結ボルト201によって、コンプレッサハウジング13、すなわちハウジング10と、レシーバケース3と、凝縮器9とが軸方向D1で締結されて固定されている。
【0082】
このように、ハウジング10と、レシーバケース3と、凝縮器9とが軸方向D1で固定されることにより、
図1に示すように、凝縮器9は、レシーバケース3を介してハウジング10のD1A側に配置されており、ヒートポンプ装置において最もD1A側に位置している。なお、各第1締結ボルト201の個数は適宜設計可能である。
【0083】
また、凝縮器9では、各第1締結ボルト201の締結力によって、
図3に示す各第1スペーサ92のシール部材921、922がそれぞれ弾性変形する。これにより、各第1熱交換プレート91と各第1スペーサ92との間が封止されている。また、第1スペーサ92と第1エンドプレート93との間、及び、第1スペーサ92と第2エンドプレート94との間も同様に封止されている。
【0084】
また、ハウジング10とレシーバケース3とが固定されることにより、
図2に示すように、第1吐出通路21aのD1A側と第2吐出通路21bのD1B側とが接続している。そして、第2循環通路22bがレシーバ5とは反対側で第3循環通路22cのD1A側と接続している。さらに、第1加熱用液体通路33aが加熱用液体入口31とは反対側で第2加熱用液体通路33bのD1B側と接続しており、第4加熱用液体通路33dが加熱用液体出口32とは反対側で第3加熱用液体通路33cのD1B側と接続している。
【0085】
また、レシーバケース3と凝縮器9とが固定されることにより、第1流入口9aが第2吐出通路21bのD1A側と接続しており、第1流出口9bがレシーバ5とは反対側で第1循環通路22aと接続している。さらに、第3流入口9cが第2加熱用液体通路33bのD1A側と接続しており、第3流出口9dが第3加熱用液体通路33cのD1A側と接続している。
【0086】
図1に示すように、蒸発器11は、複数枚の第2熱交換プレート111と、複数枚の第2スペーサ112と、1枚の第3エンドプレート113と、1枚の第4エンドプレート114とで構成されている。各第2熱交換プレート111も、本発明における「熱交換プレート」の一例である。また、各第2スペーサ112も、本発明における「スペーサ」の一例である。
【0087】
第3エンドプレート113は、蒸発器11における最もD1B側に配置されている。第4エンドプレート114は、蒸発器11における最もD1A側に配置されている。そして、各第2熱交換プレート111及び各第2スペーサ112は、第3エンドプレート113と第4エンドプレート114との間に配置されている。
【0088】
各第2熱交換プレート111、各第2スペーサ112及び第3、4エンドプレート113、114は、それぞれ各第1熱交換プレート91、各第1スペーサ92及び第1、2エンドプレート93、94と軸方向D1で対称の形状である。ここで、第2熱交換プレート111同士の間は、冷媒が流入する第2冷媒領域111a又は冷却用液体が流入する第2液体領域111bとされている(
図2参照)。第2冷媒領域111aと第2液体領域111bとについても、軸方向D1に交互に配置されている。
【0089】
また、第4エンドプレート114には、第2流入口11aと、第2流出口11bと、第4流入口11cと、第4流出口11dとが形成されている。第2流入口11a及び第2流出口11bは各第2冷媒領域111aと連通しており、第4流入口11c及び第4流出口11dは第2液体領域111bと連通している。
【0090】
図1に示すように、蒸発器11は、インバータハウジング15のD1B側に配置されている。そして、蒸発器11とハウジング10とは、複数の第2締結ボルト203によって、軸方向D1に締結されている。各第2締結ボルト203も、本発明における「締結部材」の一例である。
【0091】
具体的には、第3エンドプレート113側から、各第2締結ボルト203を挿通しつつ締結する。これにより、第3エンドプレート113、各第2熱交換プレート111、各第2スペーサ112、第4エンドプレート114が軸方向D1に締結される。この際、各第2締結ボルト203は、インバータハウジング15まで至ることにより、蒸発器11とハウジング10とが軸方向D1で締結されて固定されている。こうして、蒸発器11は、ヒートポンプ装置において最もD1B側に位置している。なお、各第2締結ボルト203の個数は適宜設計可能である。
【0092】
そして、ハウジング10と蒸発器11とが固定されることにより、
図2に示すように、第2流入口11aが第5循環通路22eのD1B側と接続している。また、第2流出口11bが第1吸入通路23aのD1B側と接続している。さらに、第4流入口11cが第1冷却用液体通路36aのD1B側と接続している。そして、第4流出口11dが第2冷却用液体通路36bのD1B側と接続している。
【0093】
詳細な図示を省略するものの、凝縮器9と同様、蒸発器11においても、第2締結ボルト203の締結力によって、各第2熱交換プレート111と各第2スペーサ112との間が封止されている他、第2スペーサ112と第3エンドプレート113との間、及び、第2スペーサ112と第4エンドプレート114との間が封止されている。
【0094】
このように、このヒートポンプ装置では、D1A側からD1B側に向かって、凝縮器9、レシーバケース3、ハウジング10及び蒸発器11がこの順で固定されて一体化されている。つまり、このヒートポンプ装置は、軸方向D1において、凝縮器9と蒸発器11との間に電動圧縮機1とレシーバケース3とが配置されている。また、レシーバケース3は、電動圧縮機1よりも凝縮器9側、すなわちD1A側に配置されている。
【0095】
また、このヒートポンプ装置では、第1、2吐出通路21a、21bによって吐出通路211が形成されており、吐出通路211によって、吐出口16bと第1流入口9aとが接続されている。また、第1~5循環通路22a~22eによって循環通路221が形成されており、循環通路221によって、第1流出口9bと第2流入口11aとが接続されている。また、第1~3吸入通路23a~23cによって吸入通路231が形成されており、吸入通路231によって、第2流出口11bと吸入口16aとが接続されている。上述のように、第1吐出通路21a、第3循環通路22c及び第3吸入通路23cには、冷媒が流通可能となっている。すなわち、吐出通路211、循環通路221及び吸入通路231には、それぞれ冷媒が流通可能となっている。
【0096】
ここで、吐出通路211は、ハウジング10及びレシーバケース3に形成されており、循環通路221及び吸入通路231は、ハウジング10に形成されている。また、レシーバ5及び膨張弁7は循環通路221に設けられている。そして、膨張弁7は、レシーバ5よりも冷媒の流通方向の下流側に位置している。
【0097】
以上のように構成されたこのヒートポンプ装置では、加熱用液体が加熱用液体入口31から第1、2加熱用液体通路33a、33bを経て、第3流入口9cから凝縮器9の各第1液体領域91b内に流入する。同様に、冷却用液体が冷却用液体入口34から第1冷却用液体通路36aを経て、第4流入口11cから蒸発器11の各第2液体領域111b内に流入する。
【0098】
また、インバータ回路18が電動モータ17に給電を行いつつ電動モータ17の作動制御を行うことにより、電動モータ17は圧縮機構16を作動させる。これにより、圧縮機構16は、吸入口16aから吸入された冷媒を圧縮し、圧縮した冷媒を吐出口16bから吐出する。吐出口16bから吐出された高温高圧の冷媒は、吐出通路211を経て、第1流入口9aから凝縮器9の各第1冷媒領域91a内を流通する。
【0099】
これにより、凝縮器9において、各第1冷媒領域91a内の冷媒と、各第1液体領域91b内の加熱用液体とが熱交換を行う。このため、加熱用液体は加熱されて高温となる。そして、冷媒との熱交換を終えた加熱用液体は、第3流出口9d、第3、4加熱用液体通路33c、33dを経て、加熱用液体出口32からハウジング10の外部に流出する。このように凝縮器9で加熱された加熱用液体は、電気自動車100の車室内の暖房に用いられる他、電気自動車100のバッテリの調温等に用いられる。
【0100】
一方、凝縮器9での熱交換を終えた冷媒は、第1流出口9bから第1循環通路22aを流通し、レシーバ5内で気液分離される。また、レシーバ5を経た液相の冷媒は膨張弁7によって減圧され、第2~5循環通路22b~22e及び第2流入口11aを経て、蒸発器11の各第2冷媒領域111a内を流通する。この際、膨張弁7は制御装置によって制御されることにより、自己の開度を適宜変更させる。これにより、膨張弁7は、循環通路221を蒸発器11に向かって流通する冷媒の圧力を適宜調整する。
【0101】
蒸発器11では、各第2冷媒領域111a内の冷媒と、各第2液体領域111b内の冷却用液体とが熱交換を行う。このため、冷却用液体は冷却されて低温となる。そして、蒸発器11での熱交換を終えた冷却用液体は、第4流出口11d及び第2冷却用液体通路36bを経て、冷却用液体出口35からハウジング10の外部に流出する。このように蒸発器11で冷却された冷却用液体は、車室内の冷房に用いられる他、電気自動車100の走行用モータ(図示略)等の冷却やバッテリの調温等に用いられる。
【0102】
一方、蒸発器11での熱交換を終えた冷媒は、第2流出口11bから吸入通路231を流通し、吸入口16aから圧縮機構16内に吸入される。こうして、冷媒は圧縮機構16において再び圧縮される。
【0103】
このヒートポンプ装置では、凝縮器9及び蒸発器11の両方がハウジング10の軸方向D1でハウジング10と一体化されている。このため、凝縮器9又は蒸発器11がハウジング10の径方向でハウジング10に一体化される構成に比べて、径方向での大型化が抑制されている。
【0104】
また、このヒートポンプ装置では、凝縮器9、圧縮機構16、電動モータ17、インバータ回路18及び蒸発器11がD1A側からD1B側に向かって、この順で配置されている。つまり、電動モータ17と蒸発器11との間にインバータ回路18が配置されている。このため、インバータ回路18を電動モータ17よりも蒸発器11に接近させることが可能となっている。これにより、低温の蒸発器11によってインバータ回路18を好適に冷却することが可能となっている。また、インバータ回路18は、軸方向D1で電動モータ17及び圧縮機構16よりも、凝縮器9から離隔している。このため、インバータ回路18は、凝縮器9の熱の影響を受け難くなっている。この点においても、このヒートポンプ装置では、インバータ回路18を好適に冷却することが可能となっている。
【0105】
また、吐出口16b及び凝縮器9が共にハウジング10のD1A側に配置されることにより、吐出口16bは、吸入口16aよりも軸方向D1で凝縮器9の近くに配置されている。このため、例えば、コンプレッサハウジング13の本体部131において、吸入口16aがD1B側に設けられ、吐出口16bがD1A側に設けられることにより、吐出口16bが吸入口16aよりも軸方向D1で凝縮器9から遠くに配置される構成に比べて、このヒートポンプ装置では、吐出通路211を短くすることが可能となっている。
【0106】
また、吸入口16a及び蒸発器11が共にハウジング10のD1B側に配置されることにより、吸入口16aが吐出口16bよりも蒸発器11の近くに配置されている。このため、吸入通路231も短くすることが可能となっている。これらにより、このヒートポンプ装置では全体としての大型化が抑制されている。
【0107】
さらに、このヒートポンプ装置では、加熱用液体入口31及び加熱用液体出口32がコンプレッサハウジング13の固定部133に形成されることにより、加熱用液体入口31及び加熱用液体出口32は凝縮器9の近くに配置されている。また、冷却用液体入口34及び冷却用液体出口35がインバータハウジング15に形成されることにより、冷却用液体入口34及び冷却用液体出口35は蒸発器11の近くに配置されている。
【0108】
このため、このヒートポンプ装置では、加熱用液体が加熱用液体入口31から凝縮器9を経て加熱用液体出口32まで至る経路が短くなっている。同様に、冷却用液体が冷却用液体入口34から蒸発器11を経て冷却用液体出口35まで至る経路も短くなっている。この点においても、このヒートポンプ装置では全体としての大型化が抑制されている。
【0109】
また、このヒートポンプ装置では、加熱用液体入口31及び加熱用液体出口32を凝縮器9に設ける必要がなく、冷却用液体入口34及び冷却用液体出口35を蒸発器11に設ける必要がない。これにより、凝縮器9及び蒸発器11の構成を簡素化できるため、凝縮器9及び蒸発器11の大型化も抑制されている。
【0110】
そして、このヒートポンプ装置では、加熱用液体入口31、加熱用液体出口32、冷却用液体入口34及び冷却用液体出口35を設けるための専用の部材が不要となっている。この点においても、このヒートポンプ装置では大型化が抑制されている。
【0111】
したがって、実施例1のヒートポンプ装置は、インバータ回路18を好適に冷却可能であり、かつ、電気自動車100への搭載性に優れている。
【0112】
ところで、凝縮器9及び蒸発器11の両方がハウジング10の軸方向D1で電動圧縮機1と一体化されることにより、このヒートポンプ装置は、上述の特許文献1のヒートポンプ装置に比べてハウジング10の軸方向D1に大型化し得る。しかし、一般的に電気自動車100のような移動体では、搭載される他の機器との配置の関係上、ヒートポンプ装置をハウジング10の軸方向D1に小型化するよりも、ハウジング10の径方向に小型化することの要求が大きい。換言すれば、電気自動車100にヒートポンプ装置を配置するためのスペースを確保するに当たって、ハウジング10の径方向よりもハウジング10の軸方向D1の方がスペースを確保し易い。このため、このヒートポンプ装置は、たとえハウジング10の軸方向D1に大型化しても、電気自動車100への搭載性を高くできる。
【0113】
また、このヒートポンプ装置では、凝縮器9が複数枚の第1熱交換プレート91と、複数枚の第1スペーサ92と、1枚の第1エンドプレート93と、1枚の第2エンドプレート94とで構成されている。また、蒸発器11が複数枚の第2熱交換プレート111と、複数枚の第2スペーサ112と、1枚の第3エンドプレート113と、1枚の第4エンドプレート114とで構成されている。これらのため、凝縮器9及び蒸発器11の構成を簡素化することが可能となっている。
【0114】
ここで、凝縮器9では、複数の第1締結ボルト201によって、各第1熱交換プレート91、各第1スペーサ92及び第1、2エンドプレート93、94を締結して一体化させている。このため、ろう付けを行う場合に比べて、これらの各第1熱交換プレート91等を容易に一体化させることが可能となっている。蒸発器11についても同様である。
【0115】
また、このヒートポンプ装置では、各第1熱交換プレート91、各第1スペーサ92、第1、2エンドプレート93、94、レシーバケース3及びコンプレッサハウジング13を各第1締結ボルト201によって締結することにより、ハウジング10と、レシーバケース3と凝縮器9とを軸方向D1に固定することが可能となっている。同様に、各第2熱交換プレート111、各第2スペーサ112、第3、4エンドプレート113、114及びインバータハウジング15を各第2締結ボルト203によって締結することにより、ハウジング10と蒸発器11とを軸方向D1に固定することが可能となっている。
【0116】
また、凝縮器9では、各第1締結ボルト201の締結力によって、各第1熱交換プレート91と各第1スペーサ92との間、第1スペーサ92とレシーバケース3との間、第1スペーサ92と第1エンドプレート93との間、及び、第1スペーサ92と第2エンドプレート94との間がそれぞれ封止されている。このため、凝縮器9からの冷媒や加熱用液体の漏れを好適に防止することが可能となっている。蒸発器11についても同様である。
【0117】
また、このヒートポンプ装置では、ハウジング10と凝縮器9との間にレシーバケース3が設けられることにより、レシーバ5は、ハウジング10と凝縮器9との間に配置されている。これにより、循環通路221の構成を簡素化しつつ、凝縮器9を経た冷媒をレシーバ5によって好適に気液分離させることが可能となっている。
【0118】
また、電動モータ17が圧縮機構16と蒸発器11との間に配置されているため、電動モータ17が蒸発器11に近い位置に配置されている。このため、蒸発器11によって電動モータ17も冷却し易くなっている。
【0119】
また、吐出通路211は、ハウジング10及びレシーバケース3に形成されており、循環通路221及び吸入通路231は、ハウジング10に形成されている。これにより、吐出通路211、循環通路221及び吸入通路231のいずれについても、ハウジング10及びレシーバケース3の外部にハウジング10やレシーバケース3とは別体で設けられることがない。この点においても、このヒートポンプ装置は、電気自動車100への搭載性に優れている。
【0120】
(実施例2)
図4に示すように、実施例2のヒートポンプ装置では、D1A側からD1B側に向かって、レシーバケース3、凝縮器9、ハウジング10及び蒸発器11がこの順で一体化されている。つまり、レシーバケース3が最もD1A側に配置されており、凝縮器9がハウジング10に対して軸方向D1で直接固定されている。また、実施例1のヒートポンプ装置と異なり、レシーバケース3には、第2吐出通路21b、第2、3加熱用液体通路33b、33cが形成されていない。
【0121】
これにより、このヒートポンプ装置では、第1吐出通路21aのD1A側に第1流入口9aが接続されている。こうして、このヒートポンプ装置では、第1吐出通路21aのみで形成された吐出通路212によって、吐出口16bと第1流入口9aとが接続されている。また、第1加熱用液体通路33aのD1A側に第3流入口9cが接続されており、第4加熱用液体通路33dのD1A側に第3流出口9dが接続されている。
【0122】
また、凝縮器9に第6循環通路22fが形成されており、第6循環通路22fのD1B側に第3循環通路22cのD1A側が接続されている。そして、第2循環通路22bは、レシーバ5とは反対側で第6循環通路22fのD1A側と接続している。こうして、このヒートポンプ装置では、第1~6循環通路22a~22fによって、循環通路222が形成されている。このヒートポンプ装置における他の構成は実施例1のヒートポンプ装置と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0123】
このヒートポンプ装置では、レシーバケース3が最もD1A側に配置されることにより、レシーバケース3内のレシーバ5は、作動時における圧縮機構16の熱の影響を受け難くなっている。
【0124】
また、レシーバ5は、レシーバケース3を介して外部に好適に放熱することが可能となっている。これにより、このヒートポンプ装置では、レシーバ5を好適に冷却することが可能となっている。さらに、このヒートポンプ装置では、吐出通路212の構成が簡素化されている他、加熱用液体が加熱用液体入口31から凝縮器9を経て加熱用液体出口32に至る経路がより短くなっている。このヒートポンプ装置における他の作用は実施例1のヒートポンプ装置と同様である。
【0125】
(実施例3)
図5に示すように、実施例3のヒートポンプ装置では、D1A側からD1B側に向かって、凝縮器9、ハウジング10、レシーバケース3及び蒸発器11がこの順で一体化されている。つまり、レシーバケース3は、インバータハウジング15と蒸発器11との間に配置されており、蒸発器11がレシーバケース3を介してインバータハウジング15に固定されている。
【0126】
また、このヒートポンプ装置では、実施例2のヒートポンプ装置と同様、凝縮器9がハウジング10に対して直接固定されている。このため、第1吐出通路21aのD1A側に第1流入口9aが接続されており、第1吐出通路21aのみによって吐出通路212が形成されている。また、第1加熱用液体通路33aのD1A側に第3流入口9cが接続されており、第4加熱用液体通路33dのD1A側に第3流出口9dが接続されている。
【0127】
また、循環通路221では、第3循環通路22cのD1A側に第1流出口9bが接続されている。一方、第1循環通路22aは、レシーバ5とは反対側で第5循環通路22eのD1B側と接続しており、第2循環通路22bは、レシーバ5とは反対側で第2流入口11aと接続している。
【0128】
そして、レシーバケース3には、第2吐出通路21b、第2、3加熱用液体通路33b、33cに換えて、第3冷却用液体通路36cと、第4冷却用液体通路36dと、第4吸入通路23dとが形成されている。
【0129】
第3冷却用液体通路36cのD1A側には、第1冷却用液体通路36aのD1B側が接続されており、第3冷却用液体通路36cのD1B側には、第4流入口11cが接続されている。また、第4冷却用液体通路36dのD1A側には、第2冷却用液体通路36bのD1B側が接続されており、第4冷却用液体通路36dのD1B側には、第4流出口11dが接続されている。
【0130】
そして、第4吸入通路23dのD1A側には、第1吸入通路23aのD1B側が接続されており、第4吸入通路23dのD1B側には、第2流出口11bが接続されている。こうして、このヒートポンプ装置では、第1~4吸入通路23a~23dによって吸入通路232が形成されている。このヒートポンプ装置における他の構成は実施例1のヒートポンプ装置と同様である。
【0131】
このヒートポンプ装置では、レシーバケース3がインバータハウジング15と蒸発器11との間に配置されることにより、レシーバケース3内のレシーバ5は、蒸発器11に対してD1A方向に配置される。これにより、レシーバ5内の冷媒を低温の蒸発器11によって好適に冷却することが可能となっている。また、このヒートポンプ装置でも、吐出通路212の構成が簡素化されている他、加熱用液体が加熱用液体入口31から凝縮器9を経て加熱用液体出口32に至る経路がより短くなっている。このヒートポンプ装置における他の作用は実施例1のヒートポンプ装置と同様である。
【0132】
(実施例4)
図6に示すように、実施例4のヒートポンプ装置では、レシーバケース3を省略し、レシーバ5及び膨張弁7がコンプレッサハウジング13、すなわちハウジング10内に収容されている。これにより、このヒートポンプ装置では、凝縮器9がハウジング10に対して直接固定されている。このため、第1吐出通路21aのD1A側に第1流入口9aが接続されており、第1吐出通路21aのみによって、吐出通路212が形成されている。
【0133】
また、このヒートポンプ装置では、第1循環通路22a及び第2循環通路22bがコンプレッサハウジング13に形成されている一方、コンプレッサハウジング13に第3循環通路22cが形成されていない。このため、第2循環通路22bは、レシーバ5とは反対側で第4循環通路22dのD1A側と接続している。これにより、このヒートポンプ装置では、第1、2、4、5循環通路22a、22b、22d、22eによって、循環通路223が形成されている。このヒートポンプ装置における他の構成は実施例1のヒートポンプ装置と同様である。なお、レシーバ5及び膨張弁7をモータハウジング14やインバータハウジング15に収容しても良い。
【0134】
このヒートポンプ装置では、レシーバケース3を省略することにより、ヒートポンプ装置全体を軸方向D1により小型化することが可能となっている。また、このヒートポンプ装置でも、吐出通路212の構成が簡素化されている他、加熱用液体が加熱用液体入口31から凝縮器9を経て加熱用液体出口32に至る経路がより短くなっている。このヒートポンプ装置における他の作用は実施例1のヒートポンプ装置と同様である。
【0135】
(実施例5)
図7に示すように、実施例5のヒートポンプ装置では、レシーバケース3、レシーバ5及び膨張弁7に換えて、アキュムレータケース41、アキュムレータ42及び第1オリフィス43を備えている。第1オリフィス43は、本発明における「固定絞り」の一例ある。
【0136】
また、このヒートポンプ装置は、第1圧力センサ6aと、第1温度センサ6bと、第2圧力センサ6cと、第2温度センサ6dとを備えている。第1圧力センサ6a及び第1温度センサ6bは、本発明における「高圧側検出部」を構成している。第2圧力センサ6c及び第2温度センサ6dは、本発明における「低圧側検出部」を構成している。
【0137】
詳細な図示を省略するものの、レシーバケース3と同様、アキュムレータケース41は略矩形の箱状に形成されている。アキュムレータケース41は、インバータハウジング15に対して、D1B側に配置されている。つまり、アキュムレータケース41は、ハウジング10、ひいては電動圧縮機1に対して軸方向D1に配置され、かつ、電動圧縮機1に対してD1B側に位置している。
【0138】
アキュムレータケース41には、第7循環通路22gと、第5吸入通路23eと、第6吸入通路23fとが形成されている他、第5冷却用液体通路36eと、第6冷却用液体通路36fとが形成されている。
【0139】
アキュムレータ42は、アキュムレータケース41内に収容されている。アキュムレータ42は、第5吸入通路23eと、第6吸入通路23fとの間に位置しており、第5吸入通路23e及び第6吸入通路23fに接続している。アキュムレータ42は、図示しない制御装置に接続されている。なお、アキュムレータ42は、公知のアキュムレータと同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。
【0140】
第1オリフィス43は、アキュムレータケース41に形成されており、第7循環通路22gの通路面積を所定の大きさに縮小している。このため、冷媒は、第3循環通路22cを流通する際に減圧される。なお、第1オリフィス43は、例えばモータハウジング14に形成されることにより、第3循環通路22cの通路面積を所定の大きさに縮小しても良い。
【0141】
このヒートポンプ装置では、蒸発器11と、アキュムレータケース41と、ハウジング10とが各第2締結ボルト203(
図1参照)によって、軸方向D1で締結されて固定されている。また、このヒートポンプ装置では、実施例2~4のヒートポンプ装置と同様、凝縮器9がハウジング10に対して軸方向D1で直接固定されている。
【0142】
このように、蒸発器11と、アキュムレータケース41と、ハウジング10とが固定されることにより、第7循環通路22gのD1A側が第5循環通路22eのD1B側と接続している。また、第7循環通路22gのD1B側が第2流入口11aと接続している。さらに、第5吸入通路23eがアキュムレータ42とは反対側で第2流出口11bと接続している。また、第6吸入通路23fがアキュムレータ42とは反対側で第1吸入通路23aのD1B側と接続している。
【0143】
こうして、このヒートポンプ装置では、第1吐出通路21aのみに吐出通路212が形成されており、第3、4、5、7循環通路22c、22d、22e、22gによって循環通路224が形成されている。そして、第1、2、3、5、6吸入通路23a、23b、23c、23e、23fによって、吸入通路233が形成されている。
【0144】
また、このヒートポンプ装置では、第1冷却用液体通路36aが冷却用液体入口34とは反対側で第5冷却用液体通路36eのD1A側と接続しており、第2冷却用液体通路36bが冷却用液体出口35とは反対側で第6冷却用液体通路36fのD1A側と接続している。また、第5冷却用液体通路36eのD1B側が第4流入口11cと接続しており、第6冷却用液体通路36fのD1B側が第4流出口11dと接続している。
【0145】
第1圧力センサ6a、第1温度センサ6b、第2圧力センサ6c及び第2温度センサ6dは、いずれもインバータハウジング15内に設けられており、それぞれインバータ回路18と接続されている。なお、第1圧力センサ6a、第1温度センサ6b、第2圧力センサ6c及び第2温度センサ6dは、コンプレッサハウジング13内又はモータハウジング14内に設けられても良い。また、第1温度センサ6bを省略することにより、第1圧力センサ6a単体で本発明における「高圧側検出部」を構成しても良い。
【0146】
第1圧力センサ6aは、第5循環通路22eを流通する冷媒の圧力を検出可能となっている。第1温度センサ6bは、第5循環通路22eを流通する冷媒の温度を検出可能となっている。これにより、第1圧力センサ6a及び第1温度センサ6bは、循環通路224において、第1オリフィス43よりも上流側を流通する冷媒の圧力及び温度をそれぞれ検出する。なお、第1圧力センサ6a及び第1温度センサ6bは、第3循環通路22c又は第4循環通路22dを流通する冷媒の圧力及び温度をそれぞれ検出しても良い。また、第1圧力センサ6a及び第1温度センサ6bは、第1オリフィス43よりも上流側であれば、第7循環通路22gを流通する冷媒の圧力及び温度をそれぞれ検出しても良い。
【0147】
第2圧力センサ6cは、第1吸入通路23aを流通する冷媒の圧力を検出可能となっている。第2温度センサ6dは、第1吸入通路23aを流通する冷媒の温度を検出可能となっている。これにより、第2圧力センサ6c及び第2温度センサ6dは、吸入通路233において、アキュムレータ42と吸入口16aとの間を流通する冷媒の圧力及び温度をそれぞれ検出する。なお、第2圧力センサ6c及び第2温度センサ6dは、第2吸入通路23b、第3吸入通路23c又は第6吸入通路23fを流通する冷媒の圧力及び温度をそれぞれ検出しても良い。このヒートポンプ装置における他の構成は、実施例1のヒートポンプ装置と同様である。
【0148】
このヒートポンプ装置では、凝縮器9での熱交換を終えて循環通路224を蒸発器11に向かって流通する冷媒が第7循環通路22gを流通する際に第1オリフィス43によって、所定の圧力に減圧される。そして、蒸発器11での熱交換を終えた冷媒がアキュムレータ42に流入する。これにより、アキュムレータ42は、冷媒を蓄圧しつつ気液分離させる。このため、液相の冷媒が吸入口16aから圧縮機構16に吸入されることが好適に防止されている。ここで、蒸発器11とハウジング10との間にアキュムレータケース41が設けられることにより、アキュムレータケース41内のアキュムレータ42は、蒸発器11のD1A側に配置されている。これにより、吸入通路233の構成を簡素化することが可能となっている。
【0149】
また、このヒートポンプ装置では、第5循環通路22dを流通する冷媒の圧力及び温度、つまり、凝縮器9での熱交換を終えた後、第1オリフィス43において減圧される前の状態にある冷媒の圧力及び温度が第1圧力センサ6a及び第1温度センサ6bによって検出される。さらに、このヒートポンプ装置では、第1吸入通路23aを流通する冷媒の圧力及び温度、つまり、アキュムレータ42で蓄圧されつつ気液分離された後、吸入口16aに至る前の状態にある冷媒の圧力及び温度が第2圧力センサ6c及び第2温度センサ6dによって検出される。これにより、インバータ回路18は、第1圧力センサ6a、第1温度センサ6b、第2圧力センサ6c及び第2温度センサ6dによって検出された冷媒の温度及び圧力を通じて、現在の電動圧縮機1における作動状況、ひいては、ヒートポンプ装置の作動状況を検出することが可能となっている。
【0150】
具体的には、インバータ回路18は、第1圧力センサ6aが検出した冷媒の圧力が予め設定された閾値よりも高ければ、圧縮機構16が設定値よりも高圧で冷媒を圧縮して吐出していると判断する。これにより、このヒートポンプ装置では、インバータ回路18が電動モータ17の作動制御を行うことで、冷媒が過度に高圧の状態で圧縮機構16、ひいては電動圧縮機1が作動することを防止している。
【0151】
また、インバータ回路18は、第1圧力センサ6aが検出した冷媒の温度を通じて、凝縮器9での熱交換による冷媒の冷却の状態を測定する。ここで、熱交換による冷媒の冷却が好適に行われていなければ、ヒートポンプ装置では、インバータ回路18が電動モータ17の作動制御を通じて圧縮機構16から吐出される冷媒の流量を調整する。
【0152】
また、インバータ回路18は、第2圧力センサ6cと第2温度センサ6dとがそれぞれ検出した冷媒の圧力及び温度を通じて、アキュムレータ42での冷媒の蓄圧及び気液分離の状態を測定する。ここで、アキュムレータ42での冷媒の蓄圧及び気液分離が好適に行われていなければ、ヒートポンプ装置では、インバータ回路18が電動モータ17の作動制御を通じて圧縮機構16の作動制御を行う。また、ヒートポンプ装置では、アキュムレータ42の作動制御を行う。こうして、このヒートポンプ装置は、圧縮機構16に液相の冷媒が吸入されることを好適に防止している。このヒートポンプ装置における他の作用は、実施例1のヒートポンプ装置と同様である。
【0153】
(実施例6)
図8に示すように、実施例6のヒートポンプ装置では、D1A側からD1B側に向かって、凝縮器9、ハウジング10、蒸発器11及びアキュムレータケース41がこの順で一体化されている。つまり、アキュムレータケース41が最もD1B側に配置されている。
【0154】
実施例5のヒートポンプ装置と異なり、このヒートポンプ装置では、アキュムレータケース41に第7循環通路22g、第5冷却用液体通路36e及び第6冷却用液体通路36fが形成されていない。これにより、第5循環通路22eのD1B側に第2流入口11aが接続されている。こうして、このヒートポンプ装置では、第3~5循環通路22c~22eによって循環通路225が形成されている。
【0155】
また、このヒートポンプ装置では、インバータハウジング15に第2オリフィス44が形成されている。第2オリフィス44も本発明における「固定絞り」の一例である。第2オリフィス44は、第5循環通路22eの通路面積を所定の大きさに縮小している。このため、蒸発器11に向かう冷媒は、第5循環通路22eを流通する際に所定の圧力に減圧される。
【0156】
さらに、このヒートポンプ装置では、第4流入口11cが第1冷却用液体通路36aのD1B側と接続しており、第4流出口11dが第2冷却用液体通路36bのD1B側と接続している。
【0157】
そして、このヒートポンプ装置では、蒸発器11に第7吸入通路23gが形成されている。これにより、第7吸入通路23gのD1B側は、アキュムレータ42とは反対側で第6吸入通路23fと接続している。また、第7吸入通路23gのD1A側は、第1吸入通路23aのD1B側と接続している。こうして、第1~3、5~7吸入通路23a~23c、23e~23gによって吸入通路234が形成されている。
【0158】
また、実施例5のヒートポンプ装置と異なり、このヒートポンプ装置は、第1圧力センサ6a、第1温度センサ6b、第2圧力センサ6c及び第2温度センサ6dを備えていない。このヒートポンプ装置における他の構成は、実施例5のヒートポンプ装置と同様である。
【0159】
このヒートポンプ装置では、アキュムレータケース41が最もD1B側に配置されることにより、アキュムレータケース41内のアキュムレータ42は、アキュムレータケース41を介して外部に好適に放熱することが可能となっている。これにより、アキュムレータ42内の冷媒を好適に冷却することが可能となっている。
【0160】
また、このヒートポンプ装置は、第1圧力センサ6a、第1温度センサ6b、第2圧力センサ6c及び第2温度センサ6dを省略することにより、構成の簡素化と製造コストの低廉化とが可能となっている。このヒートポンプ装置における他の作用は、実施例1、5のヒートポンプ装置と同様である。
【0161】
(実施例7)
図9に示すように、実施例7のヒートポンプ装置では、アキュムレータケース41を省略し、アキュムレータ42がモータハウジング14内、すなわちハウジング10内に収容されている。なお、アキュムレータ42は、インバータハウジング15内又はコンプレッサハウジング13内に収容されても良い。
【0162】
また、このヒートポンプ装置では、モータハウジング14に第2吸入通路23bが形成されていない一方で、第5吸入通路23e及び第6吸入通路23fが形成されている。そして、第5吸入通路23eは、アキュムレータ42とは反対側で第1吸入通路23aのD1A側と接続している。また、第6吸入通路23fは、アキュムレータ42とは反対側で第3吸入通路23cのD1B側と接続している。こうして、第1、3、5、6吸入通路23a、23c、23e、23fによって、吸入通路235が形成されている。
【0163】
また、実施例6のヒートポンプ装置と同様、このヒートポンプ装置でも、第3~5循環通路22c~22eによって循環通路225が形成されている。そして、モータハウジング14に第3オリフィス45が形成されている。第3オリフィス45も本発明における「固定絞り」の一例である。第3オリフィス45は、第4循環通路22dの通路面積を所定の大きさに縮小している。このため、冷媒は、第4循環通路22dを流通する際に所定の圧力に減圧される。
【0164】
さらに、実施例1のヒートポンプ装置と同様、このヒートポンプ装置でも、第4流入口11cが第1冷却用液体通路36aのD1B側と接続しており、第4流出口11dが第2冷却用液体通路36bのD1B側と接続している。さらに、このヒートポンプ装置も、第1圧力センサ6a、第1温度センサ6b、第2圧力センサ6c及び第2温度センサ6dを備えていない。このヒートポンプ装置における他の構成は、実施例5のヒートポンプ装置と同様である。
【0165】
このヒートポンプ装置では、アキュムレータケース41を省略することにより、ヒートポンプ装置全体を軸方向D1により小型化することが可能となっている。また、このヒートポンプ装置でも、第1圧力センサ6a、第1温度センサ6b、第2圧力センサ6c及び第2温度センサ6dを省略することにより、構成の簡素化と製造コストの低廉化とが可能となっている。このヒートポンプ装置における他の作用は実施例1、5のヒートポンプ装置と同様である。
【0166】
(実施例8)
図10に示すように、実施例8のヒートポンプ装置では、凝縮器9に換えて凝縮器90を備えている。また、このヒートポンプ装置は、レシーバケース3及びレシーバ5を備えていない。これにより、このヒートポンプ装置では、第1吐出通路21aのみによって吐出通路212が形成されており、第3~5循環通路22c~22eによって循環通路225が形成されており、第1~3吸入通路23a~23cによって吸入通路231が形成されている。
【0167】
さらに、このヒートポンプ装置は、第3圧力センサ8aと、第3温度センサ8bと、第4圧力センサ8cと、第4温度センサ8dとを備えている。第3圧力センサ8a及び第3温度センサ8bは、本発明における「循環通路側検出部」を構成している。第4圧力センサ8c及び第4温度センサ8dは、本発明における「吸入通路側検出部」を構成している。
【0168】
詳細な図示を省略するものの、凝縮器90についても凝縮器9と同様に、複数枚の第1熱交換プレート91と、複数枚の第1スペーサ92と、1枚の第1エンドプレート93と、1枚の第2エンドプレート94とで構成されている。そして、凝縮器90についても、各第1締結ボルト201によって、第1エンドプレート93、各第1熱交換プレート91、各第1スペーサ92、第2エンドプレート94を軸方向D1に締結しつつ、各第1締結ボルト201によってハウジング10に固定されている。こうして、このヒートポンプ装置では、凝縮器90がハウジング10の軸方向D1でハウジング10と一体化されており、凝縮器90は、ハウジング10のD1A側に配置されている。
【0169】
凝縮器90は、第1流入口90a、第1流出口90b、第3流入口90c及び第3流出口90dを有している他、凝縮器側第1冷媒領域90eと、凝縮器側第2冷媒領域90fと、第1液体領域90gとを有している。さらに、凝縮器90は、レシーバ90hを有している。レシーバ90hは、本発明における「凝縮器側気液分離部」の一例である。
【0170】
上述のように、凝縮器90がハウジング10に固定されることにより、第1流入口90aは、第1吐出通路21aのD1A側と接続されている。また、第1流出口90bは、第3循環通路22cのD1A側と接続されている。また、第3流入口90cは、第1加熱用液体通路33aのD1A側と接続されている。そして、第3流出口90dは、第4加熱用液体通路33dのD1A側と接続されている。
【0171】
凝縮器側第1冷媒領域90e及び凝縮器側第2冷媒領域90fは、凝縮器90における冷媒の流通方向において、第1流入口90aと第1流出口90bとの間に位置している。凝縮器側第1冷媒領域90eは、自己における冷媒の流通方向の最も上流側が第1吐出通路21aとは反対側で第1流入口90aと接続している。凝縮器側第2冷媒領域90fは、凝縮器側第1冷媒領域90eよりも冷媒の流通方向の下流側に位置している。凝縮器側第2冷媒領域90fは、自己における冷媒の流通方向の最も下流側が第3循環通路22cとは反対側で第1流出口90bと接続している。
【0172】
また、凝縮器側第1冷媒領域90eは、自己における冷媒の流通方向の最も下流側がレシーバ90hと接続している。そして、凝縮器側第2冷媒領域90fは、自己における冷媒の流通方向の最も上流側がレシーバ90hと接続している。これにより、レシーバ90hは、凝縮器90における冷媒の流通方向において、凝縮器側第1冷媒領域90eと凝縮器側第2冷媒領域90fとの間に位置しており、凝縮器側第1冷媒領域90eと凝縮器側第2冷媒領域90fとを接続している。そして、レシーバ90hは、凝縮器側第1冷媒領域90eを経た冷媒を気液分離させた状態で凝縮器側第2冷媒領域90fに流通させる。
【0173】
第1液体領域90gは、自己における加熱用液体の流通方向の最も上流側が第1加熱用液体通路33aとは反対側で第3流入口90cと接続している。また、第1液体領域90gは、自己における加熱用液体の流通方向の最も下流側が第4加熱用液体通路33dとは反対側で第3流出口90dと接続している。
【0174】
また、このヒートポンプ装置では、膨張弁7が第5循環通路22eに設けられている。これにより、膨張弁7はインバータハウジング15内に配置されている。なお、膨張弁7は、第3循環通路22c又は第4循環通路22dに設けられても良い。
【0175】
第3圧力センサ8a、第3温度センサ8b、第4圧力センサ8c及び第4温度センサ8dは、いずれもインバータハウジング15内に設けられており、それぞれインバータ回路18と接続されている。なお、第3圧力センサ8a、第3温度センサ8b、第4圧力センサ8c及び第4温度センサ8dは、コンプレッサハウジング13内又はモータハウジング14内に設けられても良い。また、第3温度センサ8bを省略することにより、第3圧力センサ8a単体で本発明における「循環通路側検出部」を構成しても良い。
【0176】
第3圧力センサ8aは、第5循環通路22eにおいて、膨張弁7よりも上流側を流通する冷媒の圧力を検出可能となっている。第3温度センサ8bは、第5循環通路22eにおいて、膨張弁7よりも上流側を流通する冷媒の温度を検出可能となっている。すなわち、第3圧力センサ8a及び第3温度センサ8bは、凝縮器90での熱交換を終えた後、膨張弁7によって減圧される前の状態にある冷媒の圧力及び温度をそれぞれ検出可能となっている。なお、第3圧力センサ8a及び第3温度センサ8bは、第3循環通路22c又は第4循環通路22dを流通する冷媒の圧力及び温度をそれぞれ検出しても良い。また、上述のように、膨張弁7が第3循環通路22c又は第4循環通路22dに設けられた場合、第3圧力センサ8a及び第3温度センサ8bは、膨張弁7が設けられた位置に対応しつつ、循環通路225において、膨張弁7よりも上流側を流通する冷媒の圧力及び温度をそれぞれ検出する。
【0177】
第4圧力センサ8cは、第1吸入通路23aを流通する冷媒の圧力を検出可能となっている。第4温度センサ8dは、第1吸入通路23aを流通する冷媒の温度を検出可能となっている。こうして、第4圧力センサ8c及び第4温度センサ8dは、吸入通路231を流通する冷媒の圧力及び温度、すなわち、蒸発器11での熱交換を終えた後、吸入口16aに至る前の状態にある冷媒の圧力及び温度をそれぞれ検出可能となっている。なお、第4圧力センサ8c及び第4温度センサ8dは、第2吸入通路23b又は第3吸入通路23cを流通する冷媒の圧力及び温度をそれぞれ検出することによって、吸入通路231を流通する冷媒の圧力及び温度をそれぞれ検出しても良い。
【0178】
これらの第3圧力センサ8a、第3温度センサ8b、第4圧力センサ8c及び第4温度センサ8dがそれぞれ検出した冷媒の圧力及び温度は、インバータ回路18に送信される。このヒートポンプ装置における他の構成は、実施例1のヒートポンプ装置と同様である。
【0179】
このヒートポンプ装置では、圧縮機構16で圧縮された高温高圧の冷媒が吐出口16b及び吐出通路212を経て第1流入口90aから凝縮器90内に流入する。そして、この冷媒は凝縮器側第1冷媒領域90e内を流通する。また、加熱用液体が加熱用液体入口31から第1加熱用液体通路33aを経て、第3流入口90cから凝縮器90内に流入し、第1液体領域90g内を流通する。
【0180】
これにより、凝縮器90では、凝縮器側第1冷媒領域90e内を流通する冷媒と、第1液体領域90g内を流通する加熱用液体とが熱交換を行う。こうして、加熱用液体の加熱が行われる。そして、凝縮器側第1冷媒領域90eを経た冷媒は、レシーバ90hによって気液分離された状態で凝縮器側第2冷媒領域90fを流通する。つまり、凝縮器側第2冷媒領域90f内を流通する冷媒は、ほぼ液相となっている。
【0181】
そして、凝縮器側第2冷媒領域90f内を流通する冷媒についても、第1液体領域90g内を流通する加熱用液体との熱交換を行うことにより、加熱用液体を加熱する。より詳細には、凝縮器側第2冷媒領域90f内を流通する冷媒は、凝縮器側第1冷媒領域90e内を流通する冷媒によって加熱される前の加熱用液体と熱交換を行う。また、凝縮器側第2冷媒領域90f内を流通する冷媒は、加熱用液体に放熱を行うことで過冷却される。このように過冷却された冷媒は、第1流出口90bから流出し、循環通路225を膨張弁7に向かって流通する。なお、熱交換によって加熱された加熱用液体は、第3流出口90d、第4加熱用液体通路33d及び加熱用液体出口32を経て、ハウジング10の外部に流出する。
【0182】
このように、このヒートポンプ装置において、凝縮器側第2冷媒領域90fには、レシーバ90hによって気液分離された後の冷媒が流通する。このため、第1液体領域90g内を流通する加熱用液体との熱交換によって、凝縮器側第2冷媒領域90f内を流通する冷媒を好適に過冷却することができる。これにより、循環通路225を膨張弁7に向かって流通する冷媒、つまり、膨張弁7によって減圧される前の冷媒について、確実性高く液相とすることが可能となっている。この結果、このヒートポンプ装置では、蒸発器11の第2流入口11aにおいて、気相の冷媒が生じることを好適に抑制できることから、蒸発器11での熱交換によって、冷却用液体を好適に冷却することが可能となっている。
【0183】
また、このヒートポンプ装置では、凝縮器90での熱交換を終えた後、膨張弁7によって減圧される前の状態にある冷媒の圧力及び温度が第3圧力センサ8a及び第3温度センサ8bによって検出される。さらに、蒸発器11での熱交換を終えた後、吸入口16aに至る前の状態にある冷媒の圧力及び温度が第4圧力センサ8c及び第4温度センサ8dによって検出される。これにより、インバータ回路18は、第3圧力センサ8a、第3温度センサ8b、第4圧力センサ8c及び第4温度センサ8dによって検出された冷媒の温度及び圧力を通じて、現在の電動圧縮機1における作動状況、ひいては、ヒートポンプ装置の作動状況を検出することが可能となっている。
【0184】
具体的には、インバータ回路18は、第3圧力センサ8aが検出した冷媒の圧力が予め設定された閾値よりも高ければ、圧縮機構16が設定値よりも高圧で冷媒を圧縮して吐出していると判断する。これにより、このヒートポンプ装置では、インバータ回路18が電動モータ17の作動制御を行うことで、冷媒が過度に高圧の状態で圧縮機構16、ひいては電動圧縮機1が作動することを防止している。
【0185】
また、インバータ回路18は、第3圧力センサ8aが検出した冷媒の温度を通じて、凝縮器90の凝縮器側第2冷媒領域90fにおける冷媒の過冷却の状態を測定する。ここで、冷媒の過冷却が好適に行われていなければ、ヒートポンプ装置では、インバータ回路18が電動モータ17の作動制御を通じて圧縮機構16から吐出される冷媒の流量を調整する。また、ヒートポンプ装置は、第3圧力センサ8aと第3温度センサ8bとがそれぞれ検出した冷媒の圧力及び温度を基に膨張弁7の開度を調整する。さらに、このヒートポンプ装置は、冷媒の過冷却の状態を通じて膨張弁7の異常を検出することも可能となっている。
【0186】
また、インバータ回路18は、第4圧力センサ8cと第4温度センサ8dとがそれぞれ検出した吸入通路231の冷媒の圧力及び温度を通じて、蒸発器11での熱交換を終えた冷媒の加熱の状態、すなわちスーパーヒートを測定する。ここで、冷媒のスーパーヒートが好適に行われていなければ、ヒートポンプ装置では、膨張弁7の開度を調整する他、インバータ回路18が電動モータ17の作動制御を通じて圧縮機構16の作動制御を行う。こうして、このヒートポンプ装置は、圧縮機構16に液相の冷媒が吸入されることを好適に防止している。このヒートポンプ装置における他の作用は、実施例1のヒートポンプ装置と同様である。
【0187】
(実施例9)
図11に示すように、実施例9のヒートポンプ装置では、蒸発器11に換えて蒸発器115を備えている。また、このヒートポンプ装置も、レシーバケース3、レシーバ5及び膨張弁7を備えていない。これにより、このヒートポンプ装置でも、第1吐出通路21aのみによって吐出通路212が形成されており、第3~5循環通路22c~22eによって循環通路225が形成されており、第1~3吸入通路23a~23cによって吸入通路231が形成されている。
【0188】
また、このヒートポンプ装置では、凝縮器9がハウジング10に固定されており、凝縮器9はハウジング10のD1A側に位置している。そして、凝縮器9では、第1流入口9aに対して第1吐出通路21aのD1A側が接続されており、第1流出口9bに対して第3循環通路22cのD1A側が接続されている。また、第3流入口9cに対して第1加熱用液体通路33aのD1A側が接続されており、第3流出口9dに対して第4加熱用液体通路33dのD1A側が接続されている。
【0189】
詳細な図示を省略するものの、蒸発器115についても蒸発器11と同様に、複数枚の第2熱交換プレート111と、複数枚の第2スペーサ112と、1枚の第3エンドプレート113と、1枚の第4エンドプレート114とで構成されている。そして、蒸発器115についても、各第2締結ボルト203によって、第3エンドプレート113、各第2熱交換プレート111、各第2スペーサ112、第4エンドプレート114を軸方向D1に締結しつつ、各第2締結ボルト203によって、インバータハウジング15、ひいてはハウジング10に固定されている。こうして、このヒートポンプ装置では、蒸発器115がハウジング10の軸方向D1でハウジング10と一体化されており、蒸発器115は、ハウジング10のD1B側に配置されている。
【0190】
蒸発器115は、第2流入口115a、第2流出口115b、第4流入口115c及び第4流出口115dを有している。また、蒸発器115は、蒸発器側第1冷媒領域115eと、蒸発器側第2冷媒領域115fと、第2液体領域115gと、レシーバ115hと膨張弁115iとを有している。レシーバ115hは、本発明における「蒸発器側気液分離部」の一例である。また、膨張弁115iは、本発明における「蒸発器側絞り部」の一例である。
【0191】
上述のように、蒸発器115がハウジング10に固定されることにより、第2流入口115aは、第5循環通路22eのD1B側と接続されている。また、第2流出口115bは、第1吸入通路23aのD1B側と接続されている。また、第4流入口115cは、第1冷却用液体通路36aのD1B側と接続されている。そして、第4流出口115dは、第2冷却用液体通路36bのD1B側と接続されている。
【0192】
蒸発器側第1冷媒領域115e及び蒸発器側第2冷媒領域115fは、蒸発器115における冷媒の流通方向において、第2流入口115aと第2流出口115bとの間に位置している。また、蒸発器側第2冷媒領域115fは、蒸発器115における冷媒の流通方向において、蒸発器側第1冷媒領域115eの下流側に位置している。蒸発器側第2冷媒領域115fは、自己における冷媒の流通方向の最も上流側が蒸発器側第1冷媒領域115eと接続している。さらに、蒸発器側第2冷媒領域115fは、自己における冷媒の流通方向の最も下流側が第1吸入通路23aとは反対側で第2流出口115bと接続している。
【0193】
レシーバ115hは、蒸発器115における冷媒の流通方向において、第2流入口115aと蒸発器側第1冷媒領域115eとの間に位置しており、第2流入口115aと蒸発器側第1冷媒領域115eとに接続している。つまり、レシーバ115hは、蒸発器115における冷媒の流通方向において、第2流入口115aの下流側かつ、蒸発器側第1冷媒領域115eの上流側に位置している。レシーバ115hは、第2流入口115aから流入した冷媒を気液分離させた状態で蒸発器側第1冷媒領域115eに流通させる。
【0194】
膨張弁115iは、蒸発器側第1冷媒領域115eと蒸発器側第2冷媒領域115fとの間に配置されている。膨張弁7と同様、膨張弁115iについても図示しない制御装置に接続されている。
【0195】
第2液体領域115gは、自己における冷却用液体の流通方向の最も上流側が第1冷却用液体通路36aとは反対側で第4流入口115cと接続している。また、第2液体領域115gは、自己における冷却用液体の流通方向の最も下流側が第2冷却用液体通路36bとは反対側で第4流出口115dと接続している。このヒートポンプ装置における他の構成は、実施例1のヒートポンプ装置と同様である。
【0196】
このヒートポンプ装置では、冷却用液体が冷却用液体入口34から第1冷却用液体通路36aを経て、第4流入口115cから蒸発器115内に流入し、第2液体領域115g内を流通する。また、凝縮器9及び循環通路225を経た冷媒が第2流入口115aから蒸発器115内に流入する。このように蒸発器115内に流入した冷媒は、まず初めにレシーバ115hによって気液分離される。このため、蒸発器側第1冷媒領域115e内を流通する冷媒は、ほぼ液相となっている。
【0197】
そして、蒸発器側第1冷媒領域115e内を流通する冷媒は、第2液体領域115g内を流通する冷却用液体と熱交換を行う。これにより、蒸発器側第1冷媒領域115e内を流通する冷媒は過冷却される。このように過冷却された冷媒は、膨張弁115iによって減圧されて蒸発器側第2冷媒領域115f内を流通する。この際、膨張弁115iは制御装置によって制御されることにより、自己の開度を適宜変更させる。これにより、膨張弁115iは、蒸発器側第2冷媒領域115f内を流通する冷媒の圧力を適宜調整する。
【0198】
こうして、蒸発器115では、蒸発器側第2冷媒領域115f内を流通する冷媒と、第2液体領域115g内を流通する冷却用液体との熱交換により、冷却用液体が冷却される。より詳細には、蒸発器側第2冷媒領域115f内を流通する冷媒は、蒸発器側第1冷媒領域115e内を流通する冷媒との熱交換を終えた冷却用液体と熱交換を行う。そして、冷却用液体との熱交換を終えた冷媒は、第2流出口115bから流出し、吸入通路231を経て圧縮機構16に吸入される。一方、冷媒との熱交換で冷却された冷却用液体は、第4流出口115d、第2冷却用液体通路36b及び冷却用液体出口35を経て、ハウジング10の外部に流出する。
【0199】
このように、このヒートポンプ装置では、第2流入口115aから流入した冷媒は、レシーバ115hによって気液分離された後に蒸発器側第1冷媒領域115e内を流通する。このため、冷却用液体との熱交換によって、蒸発器側第1冷媒領域115e内を流通する冷媒を好適に過冷却することが可能となっている。これにより、蒸発器側第1冷媒領域115eを経た冷媒、つまり、膨張弁115iで減圧される前の冷媒について、確実性高く液相とすることが可能となっている。この結果、このヒートポンプ装置では、膨張弁115iにおいて冷媒を好適に減圧できる。このため、蒸発器側第2冷媒領域115f内を流通する冷媒と、第2液体領域115g内を流通する冷却用液体との熱交換によって、冷却用液体を好適に冷却することが可能となっている。このヒートポンプ装置における他の作用は、実施例1のヒートポンプ装置と同様である。
【0200】
(実施例10)
図12に示すように、実施例10のヒートポンプ装置では、実施例9のヒートポンプ装置における蒸発器115に換えて蒸発器116を備えている。この蒸発器116についても、蒸発器11、115と同様に複数枚の第2熱交換プレート111等によって構成されているとともに、各第2締結ボルト203によって、ハウジング10に固定されてハウジング10のD1B側に配置されている。
【0201】
蒸発器116は、第2流入口116a、第2流出口116b、第4流入口116c及び第4流出口116dを有している。また、蒸発器116は、蒸発器側第1冷媒領域116eと、蒸発器側第2冷媒領域116fと、蒸発器側第3冷媒領域116gと、第2液体領域116hと、レシーバ116iと膨張弁116jとを有している。レシーバ116iも本発明における「蒸発器側気液分離部」の一例である。また、膨張弁116jも本発明における「蒸発器側絞り部」の一例である。
【0202】
第2流入口116aは、第5循環通路22eのD1B側と接続されている。また、第2流出口116bは、第1吸入通路23aのD1B側と接続されている。また、第4流入口116cは、第1冷却用液体通路36aのD1B側と接続されている。そして、第4流出口116dは、第2冷却用液体通路36bのD1B側と接続されている。
【0203】
蒸発器側第1冷媒領域116e、蒸発器側第2冷媒領域116f及び蒸発器側第3冷媒領域116gは、蒸発器116における冷媒の流通方向において、第2流入口116aと第2流出口116bとの間に位置している。また、蒸発器側第2冷媒領域116fは、蒸発器116における冷媒の流通方向において、蒸発器側第1冷媒領域116eの下流側に位置している。そして、蒸発器側第3冷媒領域116gは、蒸発器116における冷媒の流通方向において、蒸発器側第2冷媒領域116fの下流側に位置している。つまり、蒸発器側第3冷媒領域116gは、蒸発器側第1冷媒領域116e、蒸発器側第2冷媒領域116f及び蒸発器側第3冷媒領域116gのうち、最も冷媒の流通方向の下流側に位置している。
【0204】
蒸発器側第2冷媒領域116fは、自己における冷媒の流通方向の最も上流側が蒸発器側第1冷媒領域116eと接続している。また、蒸発器側第2冷媒領域116fは、自己における冷媒の流通方向の最も下流側が蒸発器側第3冷媒領域116gと接続している。そして、蒸発器側第3冷媒領域116gは、自己における冷媒の流通方向の最も下流側が第1吸入通路23aとは反対側で第2流出口116bと接続している。
【0205】
レシーバ116iは、蒸発器116における冷媒の流通方向において、第2流入口116aと蒸発器側第1冷媒領域116eとの間に位置しており、第2流入口116aと蒸発器側第1冷媒領域116eとに接続している。つまり、レシーバ116iは、蒸発器116における冷媒の流通方向において、第2流入口116aの下流側かつ、蒸発器側第1冷媒領域116eの上流側に位置している。レシーバ116iは、第2流入口116aから流入した冷媒を気液分離させた状態で蒸発器側第1冷媒領域116eに流通させる。
【0206】
膨張弁116jは、蒸発器側第1冷媒領域116eと蒸発器側第2冷媒領域116fとの間に配置されている。膨張弁7、115iと同様、膨張弁116jも図示しない制御装置に接続されている。
【0207】
第2液体領域116hは、自己における冷却用液体の流通方向の最も上流側が第1冷却用液体通路36aとは反対側で第4流入口116cと接続している。また、第2液体領域116hは、自己における冷却用液体の流通方向の最も下流側が第2冷却用液体通路36bとは反対側で第4流出口116dと接続している。このヒートポンプ装置における他の構成は、実施例9のヒートポンプ装置と同様である。
【0208】
このヒートポンプ装置では、冷却用液体が冷却用液体入口34から第1冷却用液体通路36aを経て、第4流入口116cから蒸発器116内に流入し、第2液体領域116h内を流通する。また、凝縮器9及び循環通路225を経た冷媒が第2流入口116aから蒸発器116内に流入する。このように蒸発器116内に流入した冷媒は、まず初めにレシーバ116iによって気液分離される。このため、蒸発器側第1冷媒領域116e内を流通する冷媒は、ほぼ液相となっている。
【0209】
そして、蒸発器側第1冷媒領域116e内を流通する冷媒は、蒸発器側第3冷媒領域116g内を流通する冷媒と熱交換を行う。ここで、蒸発器側第3冷媒領域116gは、冷媒の流通方向において、蒸発器側第2冷媒領域116f及び膨張弁116jよりも下流側に位置している。そして、蒸発器側第3冷媒領域116g内には、蒸発器側第2冷媒領域116fを経た冷媒、つまり、膨張弁116jによって減圧された冷媒が流通している。このため、蒸発器側第1冷媒領域116e内を流通する冷媒は、蒸発器側第3冷媒領域116g内を流通する冷媒と熱交換によって過冷却される。このように過冷却された冷媒は、膨張弁116jによって減圧されて蒸発器側第2冷媒領域116f内を流通する。なお、膨張弁116jについても制御装置によって制御されることで自己の開度を適宜変更させる。これにより、膨張弁116jは、蒸発器側第2冷媒領域116f内を流通する冷媒の圧力を適宜調整する。
【0210】
そして、蒸発器側第2冷媒領域116f内を流通する冷媒は、第2液体領域116h内を流通する冷却用液体と熱交換を行うことにより、冷却用液体を冷却する。このように、この蒸発器116では、蒸発器側第2冷媒領域116f内を流通する冷媒のみが冷却用液体と熱交換を行う。そして、蒸発器側第2冷媒領域116fを経た冷媒は、上述のように蒸発器側第3冷媒領域116g内を流通する。そして、蒸発器側第3冷媒領域116gを経た冷媒は、第2流出口116bから流出し、最終的に圧縮機構16に吸入される。一方、冷媒との熱交換で冷却された冷却用液体は、第4流出口116d、第2冷却用液体通路36b及び冷却用液体出口35を経て、ハウジング10の外部に流出する。
【0211】
このように、このヒートポンプ装置では、第2流入口116aから流入した冷媒は、レシーバ116iによって気液分離された後に蒸発器側第1冷媒領域116e内を流通する。このため、蒸発器側第3冷媒領域116g内を流通する冷媒との熱交換によって、蒸発器側第1冷媒領域116eを流通する冷媒を好適に過冷却することが可能となっている。これにより、実施例9のヒートポンプ装置と同様、このヒートポンプ装置においても、膨張弁116jで減圧される前の冷媒を確実性高く液相とすることが可能となっている。この結果、このヒートポンプ装置でも、膨張弁116jにおいて冷媒を好適に減圧できる。このため、蒸発器側第2冷媒領域116f内を流通する冷媒と、第2液体領域116h内を流通する冷却用液体との熱交換によって、冷却用液体を好適に冷却することが可能となっている。このヒートポンプ装置における他の作用は、実施例1のヒートポンプ装置と同様である。
【0212】
以上において、本発明を実施例1~10に即して説明したが、本発明は上記実施例1~10に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0213】
例えば、実施例1~10のヒートポンプ装置では、凝縮器9、90が複数枚の第1熱交換プレート91と、複数枚の第1スペーサ92と、1枚の第1エンドプレート93と、1枚の第2エンドプレート94とで構成されている。しかし、これに限らず、凝縮器9、90は他の構成であっても良い。蒸発器11、115、116についても同様である。
【0214】
また、実施例1~10のヒートポンプ装置において、加熱用液体入口31及び加熱用液体出口32を凝縮器9、90に形成しても良い。
【0215】
また、実施例1~10のヒートポンプ装置において、固定部133に加熱用液体入口31を形成し、凝縮器9、90に加熱用液体出口32を形成しても良く、固定部133に加熱用液体出口32を形成し、凝縮器9、90に加熱用液体入口31を形成しても良い。
【0216】
また、実施例1~10のヒートポンプ装置において、冷却用液体入口34及び冷却用液体出口35を蒸発器11、115、116に形成しても良い。
【0217】
また、実施例1~10のヒートポンプ装置において、インバータハウジング15に冷却用液体入口34を形成し、蒸発器11、115、116に冷却用液体出口35を形成しても良く、インバータハウジング15に冷却用液体出口35を形成し、蒸発器11、115、116に冷却用液体入口34を形成しても良い。
【0218】
また、実施例1、2のヒートポンプ装置において、レシーバケース3に加熱用液体入口31及び加熱用液体出口32を形成しても良い。また、実施例1、2のヒートポンプ装置において、レシーバケース3に加熱用液体入口31を形成し、凝縮器9に加熱用液体出口32を形成しても良く、レシーバケース3に加熱用液体出口32を形成し、凝縮器9に加熱用液体入口31を形成しても良い。
【0219】
また、実施例3のヒートポンプ装置において、レシーバケース3に冷却用液体入口34及び冷却用液体出口35を形成しても良い。また、実施例3のヒートポンプ装置において、レシーバケース3に冷却用液体入口34を形成し、蒸発器11に冷却用液体出口35を形成しても良く、レシーバケース3に冷却用液体出口35を形成し、蒸発器11に冷却用液体入口34を形成しても良い。
【0220】
また、実施例5、6のヒートポンプ装置において、アキュムレータケース41に冷却用液体入口34及び冷却用液体出口35を形成しても良い。また、実施例5、6のヒートポンプ装置において、アキュムレータケース41に冷却用液体入口34を形成し、蒸発器11に冷却用液体出口35を形成しても良く、アキュムレータケース41に冷却用液体出口35を形成し、蒸発器11に冷却用液体入口34を形成しても良い。
【0221】
また、実施例1~4のヒートポンプ装置についても、実施例8ヒートポンプ装置と同様に第3圧力センサ8a、第3温度センサ8b、第4圧力センサ8c及び第4温度センサ8dを備えていても良い。
【0222】
また、実施例11のヒートポンプ装置において、蒸発器側第1冷媒領域115eを経て膨張弁115iに至る前の冷媒の圧力及び温度を第3圧力センサ8a及び第3温度センサ8bによって検出するとともに、吸入通路231を流通する冷媒の圧力及び温度を第4圧力センサ8c及び第4温度センサ8dによって検出しても良い。実施例12のヒートポンプ装置についても同様である。
【0223】
また、実施例8~10のヒートポンプ装置において、吸入通路231にアキュムレータ42を設けても良い。
【0224】
また、実施例1~4、8のヒートポンプ装置では、膨張弁7を本発明における「絞り部」としている。しかし、これに限らず、オリフィス等の固定絞りを本発明における「絞り部」としても良い。
【0225】
また、実施例9、10のヒートポンプ装置では、膨張弁115i、116jを本発明における「蒸発器側絞り部」としている。しかし、これに限らず、オリフィス等の固定絞りを本発明における「蒸発器側絞り部」としても良い。
【0226】
また、実施例6、7のヒートポンプ装置についても、実施例5ヒートポンプ装置と同様に第1圧力センサ6a、第1温度センサ6b、第2圧力センサ6c及び第2温度センサ6dを備えていても良い。
【0227】
また、実施例1~10のヒートポンプ装置において、インバータ回路18と電動モータ17との間に圧縮機構16を配置しても良い。
【0228】
また、実施例1~10のヒートポンプ装置は、本発明における「移動体」としての電気自動車100に搭載されている。しかし、これに限らず、本発明における「移動体」は、例えば、運送車両や産業車両の他、船舶や航空機等であっても良い。
【0229】
また、実施例1~10のヒートポンプ装置において、凝縮器9、90及び蒸発器11、115、116の少なくとも一方を軸方向D1に直交するハウジング10の径方向で電動圧縮機1と一体化させても良い。
【0230】
また、本明細書では以下の発明を含んでいる。
(付記1)
ハウジングと、前記ハウジングに設けられて冷媒を吸入する吸入口と、前記ハウジングに設けられて冷媒を吐出する吐出口と、前記ハウジング内に設けられ、前記吸入口から吸入した冷媒を前記吐出口から吐出させる圧縮機構と、前記ハウジング内に設けられて前記圧縮機構を作動させる電動モータとを有する電動圧縮機と、
冷媒と加熱用液体とで熱交換を行う凝縮器と、
冷媒と冷却用液体とで熱交換を行う蒸発器とを備え、
前記凝縮器は、前記吐出口から吐出された冷媒を流入させる第1流入口と、前記蒸発器に向けて冷媒を流出させる第1流出口とを有し、
前記蒸発器は、前記第1流出口から流出した冷媒を流入させる第2流入口と、前記吸入口に向けて冷媒を流出させる第2流出口とを有している移動体用ヒートポンプ装置であって、
前記凝縮器と前記蒸発器との間に前記電動圧縮機が配置されつつ、前記凝縮器、前記電動圧縮機及び前記蒸発器が一体化され、
前記電動圧縮機は、前記ハウジング内に設けられて前記電動モータの制御を行うインバータ回路をさらに有し、
前記インバータ回路は、前記圧縮機構と前記蒸発器との間に配置され、
前記吐出口は前記吸入口よりも前記凝縮器の近くに配置され、
前記吸入口は前記吐出口よりも前記蒸発器の近くに配置されていることを特徴とする移動体用ヒートポンプ装置。
(付記2)
前記第1流出口と前記第2流入口とは循環通路によって接続され、
前記循環通路は、少なくとも一部が前記ハウジングに形成されている付記1記載の移動体用ヒートポンプ装置。
(付記3)
前記循環通路には、気液分離器と、冷媒の流通方向で前記気液分離器の下流側に位置して前記循環通路を流通する冷媒を減圧させる絞り部とが設けられ、
前記気液分離器は、前記ハウジングと前記凝縮器との間に配置されている付記2記載の移動体用ヒートポンプ装置。
(付記4)
前記循環通路には、気液分離器と、冷媒の流通方向で前記気液分離器の下流側に位置して前記循環通路を流通する冷媒を減圧させる絞り部とが設けられ、
前記凝縮器は、前記気液分離器と前記電動圧縮機との間に配置されている付記2記載の移動体用ヒートポンプ装置。
(付記5)
前記循環通路には、気液分離器と、冷媒の流通方向で前記気液分離器の下流側に位置して前記循環通路を流通する冷媒を減圧させる絞り部とが設けられ、
前記気液分離器は、前記ハウジングと前記蒸発器との間に配置されている付記2記載の移動体用ヒートポンプ装置。
(付記6)
前記循環通路には、気液分離器と、冷媒の流通方向で前記気液分離器の下流側に位置して前記循環通路を流通する冷媒を減圧させる絞り部とが設けられ、
前記気液分離器は、前記ハウジング内に配置されている付記2記載の移動体用ヒートポンプ装置。
(付記7)
前記凝縮器は、前記第1流入口に接続する凝縮器側第1冷媒領域と、
前記凝縮器側第1冷媒領域よりも冷媒の流通方向の下流側に位置して前記第1流出口に接続する凝縮器側第2冷媒領域と、
前記凝縮器側第1冷媒領域と前記凝縮器側第2冷媒領域との間に位置して前記凝縮器側第1冷媒領域と前記凝縮器側第2冷媒領域とに接続された凝縮器側気液分離部とを有し、
前記凝縮器側第1冷媒領域を流通する冷媒及び前記凝縮器側第2冷媒領域を流通する冷媒は、前記加熱用液体と熱交換を行い、
前記循環通路には、前記循環通路を流通する冷媒を減圧させる絞り部が設けられている付記2記載の移動体用ヒートポンプ装置。
(付記8)
前記吸入口と前記第2流出口とは吸入通路によって接続され、
前記循環通路には、前記循環通路を流通する冷媒を減圧させる絞り部が設けられ、
前記ハウジング内に設けられて前記インバータ回路と接続され、前記循環通路において 前記絞り部よりも上流側を流通する冷媒の圧力を検出する循環通路側検出部と、
前記ハウジング内に設けられて前記インバータ回路と接続され、前記吸入通路を流通する冷媒の圧力及び温度を検出する吸入通路側検出部とをさらに備えている付記2乃至7のいずれか1項記載の移動体用ヒートポンプ装置。
(付記9)
前記循環通路側検出部は、前記循環通路において前記絞り部よりも上流側を流通する冷媒の温度を検出する付記8記載の移動体用ヒートポンプ装置。
(付記10)
前記第2流出口と前記吸入口との間にはアキュムレータが設けられ、
前記循環通路には、前記循環通路の通路面積を縮小する固定絞りが設けられ、
前記アキュムレータは、前記ハウジングと前記蒸発器との間に配置されている付記2記載の移動体用ヒートポンプ装置。
(付記11)
前記第2流出口と前記吸入口との間にはアキュムレータが設けられ、
前記循環通路には、前記循環通路の通路面積を縮小する固定絞りが設けられ、
前記蒸発器は、前記アキュムレータと前記電動圧縮機との間に配置されている付記2記載の移動体用ヒートポンプ装置。
(付記12)
前記第2流出口と前記吸入口との間にはアキュムレータが設けられ、
前記循環通路には、前記循環通路の通路面積を縮小する固定絞りが設けられ、
前記アキュムレータは、前記ハウジング内に配置されている付記2記載の移動体用ヒートポンプ装置。
(付記13)
前記ハウジング内に設けられて前記インバータ回路と接続され、前記循環通路において前記固定絞りよりも上流側を流通する冷媒の圧力を検出する高圧側検出部と、
前記ハウジング内に設けられて前記インバータ回路と接続され、前記アキュムレータと前記吸入口との間を流通する冷媒の圧力及び温度を検出する低圧側検出部とをさらに備えている付記10乃至12のいずれか1項記載の移動体用ヒートポンプ装置。
(付記14)
前記高圧側検出部は、前記循環通路において前記固定絞りよりも上流側を流通する冷媒の温度を検出する付記13記載の移動体用ヒートポンプ装置。
(付記15)
前記蒸発器は、前記第2流入口よりも冷媒の流通方向の下流側に位置する蒸発器側第1冷媒領域と、
前記蒸発器側第1冷媒領域よりも冷媒の流通方向の下流側に位置し、前記蒸発器側第1冷媒領域と前記第2流出口とに接続する蒸発器側第2冷媒領域と、
前記蒸発器側第1冷媒領域よりも冷媒の流通方向の上流側に位置して前記第2流入口と前記蒸発器側第1冷媒領域とに接続された蒸発器側気液分離部と、
前記蒸発器側第1冷媒領域と前記蒸発器側第2冷媒領域との間に位置し、前記蒸発器側第1冷媒領域を流通した冷媒を減圧させる蒸発器側絞り部とを有し、
前記蒸発器側第1冷媒領域を流通する冷媒及び前記蒸発器側第2冷媒領域を流通する冷媒は、前記冷却用液体と熱交換を行う付記1又は2記載の移動体用ヒートポンプ装置。
(付記16)
前記蒸発器は、前記第2流入口よりも冷媒の流通方向の下流側に位置する蒸発器側第1冷媒領域と、
前記蒸発器側第1冷媒領域よりも冷媒の流通方向の下流側に位置し、前記蒸発器側第1冷媒領域に接続する蒸発器側第2冷媒領域と、
前記蒸発器側第2冷媒領域よりも冷媒の流通方向の下流側に位置し、前記蒸発器側第2冷媒領域と前記第2流出口とに接続する蒸発器側第3冷媒領域と、
前記蒸発器側第1冷媒領域よりも冷媒の流通方向の上流側に位置して前記第2流入口と前記蒸発器側第1冷媒領域とに接続された蒸発器側気液分離部と、
前記蒸発器側第1冷媒領域と前記蒸発器側第2冷媒領域との間に位置し、前記蒸発器側第1冷媒領域を流通した冷媒を減圧させる蒸発器側絞り部とを有し、
前記蒸発器側第1冷媒領域を流通する冷媒は、前記蒸発器側第3冷媒領域を流通する冷媒と熱交換を行い、
前記蒸発器側第2冷媒領域を流通する冷媒は、前記冷却用液体と熱交換を行う付記1又は2記載の移動体用ヒートポンプ装置。
(付記17)
前記ハウジングには、前記加熱用液体を前記凝縮器に流入させる加熱用液体入口と、前記加熱用液体を前記凝縮器から流出させる加熱用液体出口と、前記冷却用液体を前記蒸発器に流入させる冷却用液体入口と、前記冷却用液体を前記蒸発器から流出させる冷却用液体出口とが形成されている付記1乃至16のいずれか1項記載の移動体用ヒートポンプ装置。
(付記18)
前記蒸発器及び前記凝縮器の少なくとも一方は、複数枚の熱交換プレートと、前記各熱交換プレート同士の間に配置されたスペーサとを有し、
前記各熱交換プレートと前記スペーサと前記ハウジングとは、締結部材によって一体に締結され、
前記締結部材の締結力によって、前記各熱交換プレートと前記スペーサとの間が封止されている付記1乃至17のいずれか1項記載の移動体用ヒートポンプ装置。
(付記19)
前記電動モータは、前記圧縮機構と前記インバータ回路との間に配置されている付記1乃至18のいずれか1項記載の移動体用ヒートポンプ装置。
(付記20)
前記吐出口と前記第1流入口とは吐出通路によって接続され、
前記吸入口と前記第2流出口とは吸入通路によって接続され、
前記吐出通路及び前記吸入通路は、少なくとも一部が前記ハウジングに形成されている付記1乃至19のいずれか1項記載の移動体用ヒートポンプ装置。
【産業上の利用可能性】
【0231】
本発明は、電気自動車等の移動体に利用可能である。
【符号の説明】
【0232】
1…電動圧縮機
5…レシーバ(気液分離器)
6a…第1圧力センサ(高圧側検出部)
6b…第1温度センサ(高圧側検出部)
6c…第2圧力センサ(低圧側検出部)
6d…第2温度センサ(低圧側検出部)
7…膨張弁(絞り部)
8a…第3圧力センサ(循環通路側検出部)
8b…第3温度センサ(循環通路側検出部)
8c…第4圧力センサ(吸入通路側検出部)
8d…第4温度センサ(吸入通路側検出部)
9、90…凝縮器
9a、90a…第1流入口
9b、90b…第1流出口
10…ハウジング
11、115、116…蒸発器
11a、115a、116a…第2流入口
11b、115b、116b…第2流出口
16…圧縮機構
16a…吸入口
16b…吐出口
17…電動モータ
18…インバータ回路
31…加熱用液体入口
32…加熱用液体出口
34…冷却用液体入口
35…冷却用液体出口
42…アキュムレータ
43~45…第1~3オリフィス(固定絞り)
90e…凝縮器側第1冷媒領域
90f…凝縮器側第2冷媒領域
90h…レシーバ(凝縮器側気液分離部)
91…第1熱交換プレート(熱交換プレート)
92…第1スペーサ(スペーサ)
100…電気自動車(移動体)
111…第2熱交換プレート(熱交換プレート)
112…第2スペーサ(スペーサ)
115e、116e…蒸発器側第1冷媒領域
115f、116f…蒸発器側第2冷媒領域
115h、116i…レシーバ(蒸発器側気液分離部)
115i、116j…膨張弁(蒸発器側絞り部)
116g…蒸発器側第3冷媒領域
201…第1締結ボルト(締結部材)
203…第2締結ボルト(締結部材)
211、212…吐出通路
221~225…循環通路
231~235…吸入通路