IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社JVCケンウッドの特許一覧

<>
  • 特開-車両用記録制御装置および記録方法 図1
  • 特開-車両用記録制御装置および記録方法 図2
  • 特開-車両用記録制御装置および記録方法 図3
  • 特開-車両用記録制御装置および記録方法 図4
  • 特開-車両用記録制御装置および記録方法 図5
  • 特開-車両用記録制御装置および記録方法 図6
  • 特開-車両用記録制御装置および記録方法 図7
  • 特開-車両用記録制御装置および記録方法 図8
  • 特開-車両用記録制御装置および記録方法 図9
  • 特開-車両用記録制御装置および記録方法 図10
  • 特開-車両用記録制御装置および記録方法 図11
  • 特開-車両用記録制御装置および記録方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152285
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】車両用記録制御装置および記録方法
(51)【国際特許分類】
   G07C 5/00 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
G07C5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151227
(22)【出願日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】P 2022055954
(32)【優先日】2022-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(72)【発明者】
【氏名】照内 拓之
【テーマコード(参考)】
3E138
【Fターム(参考)】
3E138AA07
3E138BB04
3E138BB05
3E138MA02
3E138MB08
3E138MB10
3E138MC03
3E138MC12
3E138MF02
3E138MF05
(57)【要約】
【課題】イベントの状況をより適切に確認可能なイベントデータを生成することを可能とする。
【解決手段】本発明にかかる車両用記録制御装置200は、車両の周辺を撮影するカメラが撮影した撮影データを取得する撮影制御部202と、車両に対するイベントを検出するイベント検出部212と、撮影データを上書可能な撮影ファイルとしてループ記録を行い、イベント検出部212がイベントを検出した場合、イベントの検出時点を少なくとも含む期間の撮影データを上書禁止のイベントデータとして保存する記録制御部208と、イベントデータの再生を行う再生制御部210と、を備え、記録制御部208は、イベントデータの再生が行われたときに、イベントデータとして保存した期間の前の期間を含む撮影ファイルまたは後の期間を含む撮影ファイルが上書されていない場合、イベントデータの前または後の時間長を長くしたイベントデータを生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺を撮影するカメラが撮影した撮影データを取得する撮影制御部と、
前記車両に対するイベントを検出するイベント検出部と、
前記撮影制御部が取得した撮影データを、上書可能な撮影ファイルとしてループ記録を行い、前記イベント検出部がイベントを検出した場合、イベントの検出時点を少なくとも含む期間の撮影データを上書禁止のイベントデータとして保存する記録制御部と、
前記イベントデータの再生を行う再生制御部と、
を備え、
前記記録制御部は、前記再生制御部によって前記イベントデータの再生が行われたときに、前記イベントデータとして保存した期間の前の期間を含む撮影ファイルまたは後の期間を含む撮影ファイルが上書されていない場合、前記イベントデータの前または後の時間長を長くしたイベントデータを生成する、
車両用記録制御装置。
【請求項2】
前記記録制御部は、イベント検出時点から所定期間内に前記再生制御部によって前記イベントデータの再生が行われた場合、前記イベントデータとして保存した期間の前の期間を含む撮影ファイルまたは後の期間を含む撮影ファイルが上書されていないと判断する、
請求項1に記載の車両用記録制御装置。
【請求項3】
前記記録制御部は、前記再生制御部によって前記イベントデータが再生されたときの再生範囲に基づき、前記イベントデータの前または後のいずれかの時間長を長くしたイベントデータを生成する、
請求項1または2に記載の車両用記録制御装置。
【請求項4】
前記記録制御部は、前記再生制御部によって前記イベントデータが再生されたときの再生回数に基づき、前記イベントデータの前または後のいずれかの時間長変更して長くしたイベントデータを生成する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用記録制御装置。
【請求項5】
前記記録制御部は、イベント検出時点から前記再生制御部によって前記イベントデータの再生が行われたときまでの時間に基づき、前記イベントデータの前または後のいずれかの時間長を長くする時間を変更させたイベントデータを生成する、
請求項1または2に記載の車両用記録制御装置。
【請求項6】
前記記録制御部は、前記再生制御部によって前記イベントデータが再生されたときの再生方法に基づき、前記イベントデータの前または後のいずれかの時間長変更して長くしたイベントデータを生成する、
請求項1または2に記載の車両用記録制御装置。
【請求項7】
車両の周辺を撮影するカメラが撮影した撮影データを取得する撮影制御ステップと、
前記車両に対するイベントを検出するイベント検出ステップと、
前記撮影制御ステップで取得した撮影データを、上書可能な撮影ファイルとしてループ記録を行い、前記イベント検出ステップでイベントを検出した場合、イベントの検出時点を少なくとも含む期間の撮影データを上書禁止のイベントデータとして保存する記録ステップと、
前記イベントデータの再生を行う再生ステップと、
前記再生ステップで前記イベントデータの再生が行われたときに、前記イベントデータとして保存した期間の前の期間を含む撮影ファイルまたは後の期間を含む撮影ファイルが上書されていない場合、前記イベントデータの前または後の時間長を長くしたイベントデータを生成する生成ステップと、
を車両用記録制御装置が実行する記録方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用記録制御装置および記録方法に関し、特に詳しくは、自動車など車両において用いられる車両用記録制御装置および記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載され、車両に対して発生したイベントを検出した場合に、カメラが撮影した撮影データを保存する、所謂ドライブレコーダが普及している。このようなドライブレコーダは、撮影データをメモリに上書するループ記録を行い、イベントが検出された場合に、ループ記録された撮影データを用いて、イベント検出時点の前後所定期間の撮影データを、イベントデータとして保存する。
【0003】
特許文献1には、第一レベルのイベントの検出によって記録された第一レベルのイベントデータと、第二レベルのイベントの検出によって記録された第二レベルのイベントデータとを保存し、第一レベルのイベント発生から所定期間内に第一レベルのイベントデータが再生された場合、第一レベルのイベントデータを第二レベルのイベントデータとして保存する、ドライブレコーダに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-200777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ドライブレコーダは、例えば、イベントが検出された時点の前後30秒間などの撮影データなど、予め設定された期間の撮影データを、上書が禁止された撮影ファイルであるイベントデータとして保存する。したがって、イベントデータとして保存された期間の前後の撮影ファイルは、ループ記録が継続されることで上書されてしまい、参照することができない。車両に対して発生したイベントの状況によっては、イベントデータとして保存される期間よりさらに長い期間の映像等の確認を要する場合がある。特許文献1に記載の技術は、実質的にイベントデータとして保存する期間を延長するが、延長する期間は第一レベルのイベントとして検出されている必要がある。
【0006】
本発明は、イベントの状況をより適切に確認可能なイベントデータを生成することができる、車両用記録制御装置および記録方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車両用記録制御装置は、車両の周辺を撮影するカメラが撮影した撮影データを取得する撮影制御部と、前記車両に対するイベントを検出するイベント検出部と、前記撮影制御部が取得した撮影データを、上書可能な撮影ファイルとしてループ記録を行い、前記イベント検出部がイベントを検出した場合、イベントの検出時点を少なくとも含む期間の撮影データを上書禁止のイベントデータとして保存する記録制御部と、前記イベントデータの再生を行う再生制御部と、を備え、前記記録制御部は、前記再生制御部によって前記イベントデータの再生が行われたときに、前記イベントデータとして保存した期間の前の期間を含む撮影ファイルまたは後の期間を含む撮影ファイルが上書されていない場合、前記イベントデータの前または後の時間長を長くしたイベントデータを生成する。
【0008】
本発明に係る記録方法は、車両の周辺を撮影するカメラが撮影した撮影データを取得する撮影制御ステップと、前記車両に対するイベントを検出するイベント検出ステップと、前記撮影制御ステップで取得した撮影データを、上書可能な撮影ファイルとしてループ記録を行い、前記イベント検出ステップでイベントを検出した場合、イベントの検出時点を少なくとも含む期間の撮影データを上書禁止のイベントデータとして保存する記録ステップと、前記イベントデータの再生を行う再生ステップと、前記再生ステップで前記イベントデータの再生が行われたときに、前記イベントデータとして保存した期間の前の期間を含む撮影ファイルまたは後の期間を含む撮影ファイルが上書されていない場合、前記イベントデータの前または後の時間長を長くしたイベントデータを生成する生成ステップと、を車両用記録制御装置が実行する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、イベントの状況をより適切に確認可能なイベントデータを生成することができる、
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係る車両用記録装置の構成例を示すブロック図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る撮影ファイルとイベントデータとの関係例を模式的に示す図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る車両用記録制御装置の処理例を示すフローチャートである。
図4】本発明の第1実施形態に係る撮影ファイルとイベントデータとの関係例を模式的に示す図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る車両用記録制御装置の処理例を示すフローチャートである。
図6】本発明の第3実施形態に係る車両用記録制御装置の処理例を示すフローチャートである。
図7】本発明の第3実施形態に係る撮影ファイルとイベントデータとの関係例を模式的に示す図である。
図8】本発明の第3実施形態に係る撮影ファイルとイベントデータとの関係例を模式的に示す図である。
図9】本発明の第4実施形態に係る車両用記録制御装置の処理例を示すフローチャートである。
図10】本発明の第4実施形態に係る撮影ファイルとイベントデータとの関係例を模式的に示す図である。
図11】本発明の第5実施形態に係る車両用記録制御装置の処理例を示すフローチャートである。
図12】本発明の第6実施形態に係る車両用記録制御装置の処理例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の説明では、本実施の形態にかかる車両用記録装置の例として、移動体である自動車において用いられるドライブレコーダの例として説明する。しかし、この実施形態により本発明が限定されるものではない。本発明は、例えば、オートバイ、自転車などの各種車両、鉄道、船舶、ロボット、さらには人など様々な移動体に対して適用することが可能である。また、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0012】
以下、図1から図4を参照して、本発明の第1実施形態を説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る車両用記録装置100の構成例を示すブロック図である。車両用記録装置100は、所謂ドライブレコーダである。車両用記録装置100は、車両のウィンドシールド上部などに装着され、事故に相当する衝撃、つまり車両に加わった事故に相当する加速度を検出し、事故が検出されたときの映像などをイベントデータとして保存する。
【0013】
図1に示す車両用記録装置100は、単体の装置として車両に装着されるものに限らず、ナビゲーション装置の機能として実現される構成や、車両に予め装着されている構成など、様々な構成が適用可能である。
【0014】
図1において、車両用記録装置100は、車両用記録制御装置としての制御部200、カメラ102、記録部104、加速度センサ106、操作部108、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信部110、および表示部112を備える。
【0015】
制御部200は、各種データ処理を行う単数または複数のCPU(Central Processing
Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)などで
構成され、プログラムによって様々な処理を実行する。制御部200は、その構成または
プログラムによって実現される機能として、撮影制御部202、バッファメモリ204、撮影データ処理部206、記録制御部208、再生制御部210、イベント検出部212、操作制御部214、位置情報取得部216、および表示制御部218を少なくとも備える。
【0016】
制御部200は、本発明にかかる記録方法を実行する車両用記録制御装置であり、本発明にかかるプログラムを動作させるコンピュータである。
【0017】
カメラ102は、移動体である車両の周囲を撮影する。カメラ102は、車両用記録装置100に一体的に備えられていてもよく、有線または無線により別体として接続されていてもよい。カメラ102には、図示しないが、レンズ、撮像素子、A-D(Analog to Digital)変換素子等が含まれる。カメラ102は、撮影した撮影データを、撮影制御部202に出力する。カメラ102が撮影する撮影データは、例えば毎秒30フレームの画像から構成される動画像である。これらの撮影データには、動画像に加えて音声データを含んでいてもよい。
【0018】
カメラ102は、車両用記録装置100が車両のウィンドシールド上部の車室内側に備えられており、車両用記録装置100に一体的に備えられている場合は、車両用記録装置100のウィンドシールド側に備えられる。
【0019】
カメラ102は、単数のカメラに限らず複数のカメラで構成されていてもよい。例えば、車両の前方、後方、側方、車室内などを各々撮影する任意の組合せの複数のカメラや、全周囲カメラであってもよい。
【0020】
記録部104は、車両用記録装置100におけるデータの一時記憶などに用いられる。記録部104は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、または、メモリカードなどの記録部である。または、図示しない通信装置を介して無線接続される外部記録部であってもよい。記録部104は、制御部200の記録制御部208から出力された制御信号に基づいて、ループ記録された撮影ファイルまたはイベントデータなどを記録する。記録部104に記録または保存された撮影ファイルとイベントデータは、再生制御部210の制御によって再生される。このため、車両用記録装置100および制御部200である車両用記録制御装置200は、車両用記録再生装置および車両用記録再生制御装置と言い換えることもできる。
【0021】
加速度センサ106は、車両用記録装置100または車両に加わった加速度を検出する。加速度センサ106は、例えば3軸の加速度センサであり、x軸方向として車両の前後方向、y軸方向として車両の左右方向、z軸方向として車両の上下方向に加わった加速度を検出する。加速度センサ106は、検出した加速度情報をイベント検出部212に出力する。加速度センサ106は、車両用記録装置100として一体的に備えられていてもよく、有線または無線により別体として接続されていてもよい。また、加速度センサ106は、加速度センサ106およびイベント検出部212を含むユニットとして別体であってもよい。
【0022】
操作部108は、車両用記録装置100に対する操作を受け付けるインターフェースであり、受け付けた操作情報を操作制御部214に出力する。操作部108は、車両用記録装置100に備えられた各種ボタンや、表示部112に備えられたタッチパネルであり、ユーザによる操作を受け付ける。操作部108は、無線接続された他の装置による操作を受け付けてもよい。操作部108は、例えば、ユーザによるイベント記録開始の操作を受け付ける。また、操作部108は、ユーザによるイベントデータの再生を行う操作を受け付ける。
【0023】
GNSS受信部110は、例えば、GPS(Global Positioning System)衛星などからの信号を受信する受信装置およびアンテナなどで構成される。GNSS受信部110は、受信した信号を位置情報取得部216に出力する。GNSS受信部110は、車両用記録装置100として一体的に備えられていてもよく、有線または無線により別体として接続されていてもよい。また、GNSS受信部110は、GNSS受信部110および位置情報取得部216を含む他の装置として別体であってもよい。
【0024】
表示部112は、表示制御部218の制御により各種情報を表示する表示装置である。表示部112は、例えば液晶パネルや有機EL(Organic Electro-Luminescence)パネルなどの表示パネルを備える。表示部112は、車両用記録装置100として一体的に備えられていてもよく、有線または無線により別体として接続されていてもよい。
【0025】
撮影制御部202は、カメラ102による撮影を制御する。撮影制御部202は、カメラ102が撮影した撮影データを取得する。撮影制御部202は、カメラ102から取得した撮影データを、バッファメモリ204へ出力する。
【0026】
バッファメモリ204は、制御部200が備える内部メモリであり、撮影制御部202が取得した一定時間分の撮影データを、更新しながら一時的に記憶する。
【0027】
撮影データ処理部206は、バッファメモリ204が一時的に記憶している撮影データを、例えばH.264やMPEG-4(Moving Picture Experts Group)などの任意の方式のコーデックで符号化された、例えばMP4形式などの任意のファイル形式からなる撮影ファイルに変換する。撮影データ処理部206は、撮影データから一定時間分の撮影ファイルを生成する。具体例として、撮影データ処理部206は、バッファメモリ204が一時的に記憶している撮影データを、記録順に60秒間の撮影データからなる撮影ファイルとして生成する。撮影データ処理部206は、生成した撮影ファイルを記録制御部208へ出力する。撮影データに基づいて生成される撮影ファイルの期間は、一例として60秒としたが、これには限定されない。
【0028】
撮影データ処理部206は、イベント検出部212がイベントを検出した場合、または操作制御部214がイベント記録を行う操作を受け付けた場合に、イベントを検出したときまたはイベント操作を受け付けたときを含む所定期間の撮影データから、撮影ファイルとしてのイベントデータを生成する。
【0029】
記録制御部208は、撮影データ処理部206で生成された撮影ファイルを、記録部104に記録させる制御を行う。記録制御部208は、車両のアクセサリ電源がONである期間など、ループ記録処理を実行する期間は、撮影データ処理部206で生成された撮影ファイルを、上書き可能なファイルとして、記録部104に記録し続ける。記録制御部208は、ループ記録処理を実行する期間は、撮影データ処理部206が生成した撮影ファイルを記録部104に記録し続け、記録部104の容量が上限となった場合、記録部104に記録されている上書き可能な撮影ファイルのうち、古い撮影ファイルが記録されている記録領域から、新しい撮影ファイルを上書きして記録する。このような記録処理を、通常記録またはループ記録と称する。
【0030】
記録制御部208は、イベント検出部212が、イベントが発生したと判断したことを受けて、撮影データ処理部206が生成したイベントデータとしての撮影ファイルを、上書き禁止のファイルとして記録部104に記録する。イベントデータは、例えば、イベント発生時点の前後30秒間などの撮影データで生成される。
【0031】
記録制御部208が、イベントデータとしての撮影ファイルを上書禁止のファイルとして記録する方法は任意である。例えば、ループ記録された撮影ファイルにおける上書き禁止とする区間のヘッダもしくはペイロードなどに上書き禁止フラグを付与して、記録部104に記録する。または、ループ記録された撮影ファイルにおける上書き禁止とする区間を、記録部104の上書き禁止エリアにコピーする。
【0032】
記録制御部208は、ループ記録される撮影ファイル、およびイベントデータとしての撮影ファイルに対して、これらのファイルを構成する撮影データが撮影されたときにおける位置情報取得部216が取得した位置情報を対応つけて記録部104に記録する。
【0033】
また、記録制御部208は、再生制御部210によってイベントデータの再生が行われたときに、再生されたイベントデータとして保存した期間の前の期間を含む撮影ファイルまたは後の期間を含む撮影ファイルが上書されていない場合、イベントデータの前または後の時間長を長くしたイベントデータを生成し、記録部104に保存する。再生されたイベントデータとして保存した期間の前の期間を含む撮影ファイルまたは後の期間を含む撮影ファイルとは、言い換えると、再生されたイベントデータの近傍の撮影ファイルであり、再生されたイベントデータの撮影時刻情報に撮影時刻が重複する撮影ファイルや、イベントデータの撮影時刻情報の前後の撮影時刻である撮影ファイルである。
【0034】
具体的には、記録制御部208は、イベントが検出されたことでイベントデータが保存された後、ユーザによる操作などに基づいてイベントデータの再生が行われたとき、ループ記録された撮影ファイルにおける、再生されたイベントデータの前の期間を含む撮影ファイル、または後期間を含む撮影ファイルが上書されずに残っていた場合、再生されたイベントデータの前または後の時間長を長くしたイベントデータを生成し、記録部104に保存する。
【0035】
記録制御部208は、当初生成して保存したイベントデータに、撮影ファイルに基づく撮影データを追加することで、時間長を長くしたイベントデータを生成してもよく、当初生成して保存したイベントデータとは別に、時間長を長くしたイベントデータを生成してもよい。
【0036】
再生制御部210は、操作制御部214から出力された再生操作の制御信号に基づいて、記録部104に記録された、ループ記録された撮影ファイル、またはイベントデータとしての撮影ファイルを再生し、再生した映像信号を表示制御部218に出力するよう制御する。
【0037】
イベント検出部212は、加速度センサ106が検出している加速度情報を取得し、イベントに該当する加速度が検出された場合、イベントが検出されたと判断する。イベントに該当する加速度とは、車両用記録装置100が搭載されている車両に対して、他車両などの他の物体が衝突したときの加速度に該当する加速度である。イベントに該当する加速度の検出は、x軸方向、y軸方向およびz軸方向の各々で重み付けを行ってもよい。イベント検出部212は、イベントが検出されたと判断された場合、記録制御部208にイベント記録を行う指示を出力する。
【0038】
イベント検出部212は、加速度センサ106の出力値によるイベントの検出に加えて、操作部108におけるイベント記録を行う操作が受け付けられたことをイベントとして検出してもよい。また、イベント検出部212は、図示しない音声認識機能を用いて、音声コマンドが入力されたことをイベントとして検出してもよい。
【0039】
操作制御部214は、操作部108が受け付けた操作情報を取得し、操作情報に基づいた操作指示を、各構成要素に出力する。操作制御部214は、操作部108からイベント記録を行うボタンやアイコンに対する操作を受け付けた場合、記録制御部208にイベント記録を行う指示を出力する。操作制御部214は、上記に加えて、イベントデータ等の選択操作、再生操作、消去操作、車両用記録装置100の各種設定操作などを示す操作情報を取得し、取得した操作情報に対応した処理の指示を行う。操作制御部214は、再生されているイベントデータに対して行う操作として、一時停止操作、コマ送り操作、早送り操作、早戻し操作、スロー再生操作などを示す操作情報を取得し、取得した操作情報に対応した再生処理の指示を再生制御部210に行う。
【0040】
位置情報取得部216は、GNSS受信部110が受信した電波に基づいて、車両用記録装置100の位置情報を公知の方法によって算出する。位置情報取得部216が算出した位置情報は、記録制御部208によって撮影ファイルやイベントデータとともに記録される。位置情報取得部216が取得する車両用記録装置100の位置情報は、車両用記録装置100が搭載されている車両の位置情報でもある。
【0041】
表示制御部218は、表示部112に対し、様々な情報を表示させる制御を行う。例えば、表示制御部218は、カメラ102が撮影中の撮影データを表示部112に表示させる。また、表示制御部218は、再生制御部210によって再生されたイベントデータ等の映像を表示部112に表示させる。また、表示制御部218は、表示部112が操作部108としてのタッチパネル機能を備えている場合、タッチ操作を行うアイコンなどを表示部112に表示させる。
【0042】
図2を用いて、ループ記録とイベントデータについて説明する。図2は、紙面の左側から右側へ時間が経過していることを示している。撮影データ処理部206は、バッファメモリ204が一時的に記憶している撮影データに基づき、撮影順に撮影ファイルがループ記録されている。図2においては、撮影順に、撮影ファイルLFx-3、撮影ファイルLFx-2、撮影ファイルLFx-1、撮影ファイルLFxのように、例えば各々の撮影ファイルが60秒の映像で構成される撮影ファイルが生成され、記録部104にループ記録されている状態を示している。
【0043】
例えば、時刻Tiにおいてイベント検出部212がイベントの発生を検出した場合、記録制御部208は、記録部104に記録される撮影ファイルLFxおよびファイルLFx+1から、上書が禁止されたイベントデータIF001を生成し、記録部104に保存する。イベントデータIF001は、イベントの発生を検出した時刻Tiから期間tb1遡ったときから期間tf1経過したときまでの撮影データから生成される撮影ファイルである。期間tb1および期間tf1は、例えば30秒間である。
【0044】
記録部104が、例えば記憶容量が64GBのメモリカードである場合、メモリの割り当てや撮影データの解像度などでも異なるが、イベントデータの生成から2時間から4時間程度ループ記録が継続すると、イベントデータを生成した期間およびその前後の撮影データに基づく撮影ファイルは上書されてしまう。
【0045】
図2に示すように、イベント検出時の前後所定期間の映像データをイベントデータとして保存した後に、ループ記録が継続されている場合、イベントデータIF001として保存されている期間の前後の映像を後から確認したくとも、確認したい期間の撮影ファイルは新たな撮影ファイルが上書されることで確認できない状態が発生しうる。イベントデータの前の期間の映像には、例えば、イベントである事故が発生する前の自車両や先行車両、後続車両などの走行状態が記録されており、事故の状況把握に有用な映像が含まれることもある。また、イベントデータの後の期間の映像には、イベント発生後の事故の当事者や周囲の対応状況などが記録されており、事故の状況把握に有用な映像が含まれることもある。
【0046】
次に、図3を参照して、本発明の第1実施形態に係る車両用記録制御装置の処理例を説明する。図3に示す処理は、車両用記録装置100が搭載されている車両などのエンジンまたは電源等がオンとなることで、車両用記録装置100の動作開始によって開始される。
【0047】
処理の開始に伴い、撮影制御部202は、カメラ102による撮影を開始し、カメラ102が撮影した撮影データの取得を開始する。また、記録制御部208は、撮影データのループ記録を開始し、イベント検出部212は、イベントの検出を開始する(ステップS101)。
【0048】
ステップS101の処理の開始とともに、イベント検出部212は、イベントが検出されたか否かを判断する(ステップS102)。具体的には、イベント検出部212は、加速度センサ106から取得した加速度の計測値が、事故などに相当する加速度を示したか否かを判断する。また、イベント検出部212は、操作部108による操作、または音声コマンドによる操作によって、イベント記録を行う指示を受け付けたか否かを判断する。
【0049】
ステップS102において、イベントが検出されたと判断された場合(ステップS102:Yes)、記録制御部208は、ステップS102で検出されたイベントの検出時点を含む撮影データを、イベントデータとして保存する(ステップS103)。記録制御部208は、イベントが検出された場合、例えば、図2に示すように、イベント検出時点である時刻Tiを含み、時刻Tiの前30秒間である期間tb1と時刻Tiの後30秒間である期間tf1の撮影データをイベントデータIF001として保存する。ステップS102において、イベントが検出されていないと判断された場合(ステップS102:No)、ステップS107に進む。
【0050】
ステップS103でイベントデータが保存された場合、記録制御部208は、再生制御部210によってステップS103で保存されたイベントデータが再生されたか否かを判断する(ステップS104)。具体的には、ステップS103で記録部104に保存されたイベントデータを、操作部108を用いたイベントデータの選択、再生操作が行われることで、再生制御部210がイベントデータの再生を行う。記録制御部208は、再生制御部210によるイベントデータの再生処理が行われたか否かを判断する。
【0051】
ステップS104におけるイベントデータの再生が行われたか否かの判断とは、イベントデータの再生が開始されたか否かの判断、イベントデータの再生が開始されイベントデータの末尾まで再生されたか否かの判断、またはイベントデータの再生が開始されイベントデータの時間長の半分以上など所定期間以上が再生されたか否かの判断などとしてもよい。ステップS104の判断は、言い換えると、イベントデータを再生することでイベントの発生状態の確認が行われたか否かの判断である。
【0052】
ステップS104における、イベントデータの再生が行われたか否かの判断は、上述した再生条件以外に、または、上述した再生条件に加えて、イベントデータの再生中に一時停止が行われた場合、イベントデータの再生中に一時停止が複数回行われた場合、イベントデータの再生中に、例えば10秒以上などの所定時間以上の一時停止が行われた場合、スロー再生が行われた場合などとしてもよい。
【0053】
ステップS104で、イベントデータの再生が行われたと判断されない場合(ステップS104:No)、ステップS107に進む。ステップS104で、イベントデータの再生が行われたと判断された場合(ステップS104:Yes)、記録制御部208は、再生されたイベントデータ近傍の撮影ファイルが上書されたか否かを判断する(ステップS105)。再生されたイベントデータ近傍の撮影ファイルとは、再生されたイベントデータを生成した撮影データおよび再生されたイベントデータを生成した撮影データの直前または直後の撮影データに基づく撮影ファイルである。
【0054】
ステップS105において、具体的には、ステップS104で再生されたイベントデータの直前または直後のループ記録された撮影ファイルが上書されずに残っているか否かを判断する。ステップS104で再生されたイベントデータが、図2におけるIF001である場合、イベントデータの直前の撮影ファイルである撮影ファイルLFx、撮影ファイルLFx-1またはイベントデータの直後の撮影ファイルである撮影ファイルLFx+1などが、上書されたか否かを判断する。
【0055】
ステップS105における判断は、イベントデータの撮影時刻情報と、ループ記録された撮影ファイルの撮影時刻情報とを対比して、イベントデータの撮影時刻情報に撮影時刻が重複する撮影ファイルや、イベントデータの撮影時刻情報の前後の撮影時刻である撮影ファイルが存在するか否かの判断などに基づいて行う。
【0056】
ステップS105で、再生されたイベントデータ近傍の撮影ファイルが上書されたと判断された場合(ステップS105:Yes)、ステップS107に進む。ステップS105で、再生されたイベントデータ近傍の撮影ファイルが上書されたと判断されない場合(ステップS105:No)、再生されたイベントデータの前または後あるいは前後の時間長を長くしたイベントデータを生成して、記録部104に保存し(ステップS106)、ステップS107に進む。
【0057】
ステップS106の処理を、図4を用いて説明する。図4においても、図2と同様に紙面の左側から右側へ時間が経過していることを示し、撮影ファイルがループ記録されており、時刻Tiにおいてイベントが検出されたことを示している。図4におけるイベントデータIF001は、ステップS103で保存されたイベントデータである。これに対し、イベントデータIF001rは、ステップS106で生成され保存されるイベントデータである。ステップS105において、イベントデータIF001の直前の撮影ファイルである撮影ファイルLFx、撮影ファイルLFx-1またはイベントデータIF001の直後の撮影ファイルである撮影ファイルLFx+1、撮影ファイルLFx+2が上書されずに残っていることが判断されている。このため、記録制御部208は、イベントデータIF001の前の撮影データまたは後の撮影データを追加して時間長を長くしたイベントデータIF001rを生成し保存する。
【0058】
図4においては、例えば、30秒間の期間tb1および期間tf1の撮影データで生成されるイベントデータIF001に対し、60秒間の期間tb2および期間tr2の撮影データで構成されるイベントデータIF001rが生成される。記録制御部208は、撮影ファイルLFx-1および撮影ファイルLFxに基づき、期間tb2と期間tb1の差分となる期間の撮影データ、および撮影ファイルLFx+1に基づく期間tr2と期間tr1の差分となる期間の撮影データをイベントデータIF001に加えて、イベントデータIF001rを生成する。
【0059】
記録制御部208は、イベントデータIF001とは別個に、撮影ファイルLFx-1と撮影ファイルLFxおよび撮影ファイルLFx+1に基づく撮影データから、期間tb2および期間tr2の撮影データで構成されるイベントデータIF001rを生成してもよい。この場合、イベントデータIF001rの保存後は、イベントデータIF001は削除されてもよい。
【0060】
また、ステップS106においては、再生されたイベントデータに対し、前後所定期間の時間長を長くしたイベントデータを生成することとしたが、再生されたイベントデータの前の期間のみ、または後の期間みの時間長を長くしたイベントデータを生成することとしてもよい。
【0061】
図3に戻り、ステップS107においては、制御部200は、処理を終了するか否かを判断する。具体的には、制御部200は、車両用記録装置100が搭載されている車両などのエンジンまたは電源等がオフなることや、操作部108の操作によって車両用記録装置100の電源がオフとなる操作が行われることで、処理を終了すると判断する。
【0062】
ステップS107において、処理を終了すると判断されない場合(ステップS107:No)、ステップS102に進む。ステップS107において、処理を終了すると判断された場合(ステップS107:Yes)、図3の処理を終了する。図3の処理を終了する場合には、ステップS101で開始した、カメラ102による撮影、撮影データのループ記録、イベントの検出を終了する。
【0063】
本実施形態は、再生が行われたイベントデータに対して、当初保存されたイベントデータの時間長よりも長い時間長のイベントデータが生成される。言い換えると、再生されないイベントデータは、イベントの状態を確認する必要性の低いイベントデータである。このため、イベントの状態を確認する必要のあるイベントに対しては、より長い時間長のイベントデータが保存されることで、イベントの前後におけるさらに長い期間の状況を確認することができる。
【0064】
次に、図5を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態にかかる車両用記録装置の構成は、第1実施形態にかかる車両用記録装置100と同一であるため、説明を省略する。第2実施形態においては、記録制御部208による判断が、第1実施形態とは異なる。第2実施形態において、記録制御部208は、再生されたイベントデータがイベント検出から所定期間内に再生されたか否かを判断する。
【0065】
具体的には、記録制御部208は、イベント検出時点から例えば、100分間などの所定の第1期間内にイベントデータの再生が再生制御部210によって行われたか否かを判断する。第1期間とは、記録部104の記憶容量およびカメラ102が撮影する撮影データの解像度などによって決定され、撮影ファイルが記録部104に記録されてから上書されるまでの期間より短い期間が設定される。例えば、記録部104の記憶容量が64GBであり、最も新しい撮影ファイルが記録されてから上書されるまでの期間が120分である場合、所定期間として100分間などが設定される。言い換えると、所定期間とは、再生されたイベントデータの近傍における撮影ファイルが上書されない期間である。
【0066】
図5に示すステップS201からステップS204、ステップS206からステップS207の処理は、図3に示すステップS101からステップS104、ステップS106からステップS107の処理と同一であるため、説明を省略する。
【0067】
記録制御部208は、再生されたイベントデータがイベント検出から第1期間内に再生されたか否かを判断する(ステップS205)。具体的には、ステップS204で再生されたイベントデータを保存するきっかけとなったイベントが検出された時点、つまりステップS202がYesとなった時点から、第1期間内にイベントデータが再生されたか否かを判断する。
【0068】
ステップS205の判断は、再生されたイベントデータが、イベント検出から第1期間内に再生されたか否かを判断することとしたが、再生されたイベントデータが生成されたときから第1期間内に再生されたか否かの判断とすることも可能である。また、イベント検出は、イベント発生と言い換えることも可能である。
【0069】
ステップS205において、再生されたイベントデータは、イベント検出から第1期間内に再生されたと判断された場合(ステップS205:Yes)、ステップS206に進む。ステップS205において、再生されたイベントデータは、イベント検出から第1期間内に再生されたと判断されない場合(ステップS205:No)、つまり、再生されたイベントデータの近傍の撮影ファイルが上書される程度の期間が経過した場合、ステップS207に進む。
【0070】
ステップS205の判断は、第1期間の定義に基づき、再生対象のイベントデータの前後の時間長を長くしたイベントデータを生成する撮影ファイルが上書される前に再生されたか否かの判断と言い換えることもできる。また、第1期間とは、記録制御部208が、再生対象のイベントデータが保存された後、ループ記録処理を行っている期間の累積された期間である。
【0071】
本実施形態においても、第1実施形態と同様に、再生が行われたイベントデータに対して、当初保存されたイベントデータの時間長よりも長い時間長のイベントデータが生成される。このため、イベントの状態を確認する必要のあるイベントに対しては、より長い時間長のイベントデータが保存されることで、イベントの前後におけるさらに長い期間の状況を確認することができる。
【0072】
次に、図6から図8を参照して、本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態にかかる車両用記録装置の構成は、第1実施形態にかかる車両用記録装置100と同一であるため、説明を省略する。第3実施形態においては、記録制御部208による判断が、第1実施形態とは異なる。
【0073】
第3実施形態において、記録制御部208は、再生制御部210によってイベントデータが再生されたときの再生範囲に基づき、イベントデータの前または後のいずれかの時間長を長くしたイベントデータを生成する。具体的には、記録制御部208は、再生制御部210によって再生されたイベントデータの再生された範囲を特定し、再生された範囲がイベントデータの前半部分が主である場合は、イベントデータの前の時間長を長くしたイベントデータを生成し、再生された範囲がイベントデータの後半部分が主である場合は、イベントデータの後の時間長を長くしたイベントデータを生成する。
【0074】
イベントデータの再生された範囲がイベントデータの前半部分が主である場合とは、例えば、イベントデータの前半部分のみ再生された場合、イベントデータの前半部分以外も含めた再生後に前半部分のみが再度再生された場合などである。イベントデータの再生された範囲がイベントデータの後半部分が主である場合とは、例えば、イベントデータの前半部分のみ再生された場合、イベントデータの前半部分以外も含めた再生後に前半部分のみが再度再生された場合などである。
【0075】
イベントデータの再生された範囲がイベントデータの前半部分が主である場合とは、上述した再生条件以外に、または、上述した再生条件に加えて、イベントデータの前半部分の再生時に一時停止が行われた場合、または一時停止が複数回行われた場合、例えば10秒以上などの所定時間以上の一時停止が行われた場合、スロー再生が行われた場合などとしてもよい。イベントデータの再生された範囲がイベントデータの後半部分が主である場合とは、上述した再生条件以外に、または、上述した再生条件に加えて、イベントデータの後半部分の再生時に一時停止が行われた場合、または一時停止が複数回行われた場合、例えば10秒以上などの所定時間以上の一時停止が行われた場合、スロー再生が行われた場合などとしてもよい。
【0076】
記録制御部208は、再生制御部210による上述した再生操作など、イベントデータを再生してイベントの状態を確認するユーザが、イベントデータの前半部分または後半部分のいずれを重点的に確認したのかが判断できればよい。
【0077】
図6に示すステップS301からステップS305およびステップS311の処理は、図3に示すステップS101からステップS105およびステップS107の処理と同一であるため、説明を省略する。また、図6におけるステップS305は、図5におけるステップS205の処理に置き換えることも可能である。
【0078】
ステップS305で、再生されたイベントデータ近傍の撮影ファイルが上書されたと判断されない場合(ステップS305:No)、ステップS306に進み、再生されたイベントデータの再生範囲は前半部分が主であるか否かを判断する(ステップS306)。
【0079】
ステップS306は、具体的には、記録制御部208は、ステップS304で再生制御部210が再生したイベントデータの再生範囲が、イベントデータの前半部分が主であるか否かを判断する。ステップS306において、再生されたイベントデータの再生範囲が、前半部分が主であると判断された場合(ステップS306:Yes)、ステップS308に進む。ステップS306において、再生されたイベントデータの再生範囲が前半部分ではないと判断された場合(ステップS306:No)、ステップS307に進み、再生されたイベントデータの再生範囲は後半部分であるか否かを判断する(ステップS307)。
【0080】
ステップS308においては、記録制御部208は、ステップS304で再生されたイベントデータの前の時間長を長くしたイベントデータを生成し、記録部104に保存する。ステップS308の処理を、図7を用いて説明する。図7においても、図2と同様に紙面の左側から右側へ時間が経過していることを示し、撮影ファイルがループ記録されており、時刻Tiにおいてイベントが検出されたことを示している。
【0081】
図7におけるイベントデータIF001は、ステップS303で生成され保存されたイベントデータである。これに対し、イベントデータIF001r2は、ステップS308で生成され保存されるイベントデータである。ステップS305において、イベントデータIF001の直前の撮影ファイルである撮影ファイルLFx、撮影ファイルLFx-1またはイベントデータIF001の直後の撮影ファイルである撮影ファイルLFx+1、撮影ファイルLFx+2が上書されずに残っていることが判断されている。このため、記録制御部208は、イベントデータIF001の前の時間長を長くしたイベントデータIF001r2を生成して、記録部104に保存する。
【0082】
図7においては、例えば、30秒間の期間tb1および期間tf1の撮影データで生成されるイベントデータIF001に対し、60秒間の期間tb2および期間tr1の撮影データで構成されるイベントデータIF001r2が生成される。記録制御部208は、イベントデータIF001に、期間tb2と期間tb1の差分となる期間の撮影データを加えて、イベントデータIF001r2を生成する。記録制御部208は、イベントデータIF001とは別個に、期間tb2および期間tf1の撮影データからイベントデータIF001r2を生成してもよい。この場合、イベントデータIF001r2の保存後は、イベントデータIF001は削除されてもよい。
【0083】
図6に戻り、ステップS307は、具体的には、記録制御部208は、ステップS304で再生制御部210が再生したイベントデータの再生範囲が、イベントデータの後半部分が主であるか否かを判断する。ステップS307において、再生されたイベントデータの再生範囲が、後半部分が主であると判断された場合(ステップS307:Yes)、ステップS309に進み、再生されたイベントデータの再生範囲が前半部分ではないと判断された場合(ステップS307:No)、ステップS310に進む。
【0084】
ステップS309においては、記録制御部208は、ステップS304で再生されたイベントデータの後の時間長を長くしたイベントデータを生成し、記録部104に保存する。ステップS309の処理を、図8を用いて説明する。図8においても、図2と同様に紙面の左側から右側へ時間が経過していることを示し、撮影ファイルがループ記録されており、時刻Tiにおいてイベントが検出されたことを示している。
【0085】
図8におけるイベントデータIF001は、ステップS303で生成され保存されたイベントデータである。これに対し、イベントデータIF001r3は、ステップS309で生成され保存されるイベントデータである。ステップS305において、イベントデータIF001の直前の撮影ファイルである撮影ファイルLFx、撮影ファイルLFx-1またはイベントデータIF001の直後の撮影ファイルである撮影ファイルLFx+1、撮影ファイルLFx+2が上書されずに残っていることが判断されている。このため、記録制御部208は、イベントデータIF001の後の時間長を長くしたイベントデータIF001r3を生成して、記録部104に保存する。
【0086】
図8においては、例えば、30秒間の期間tb1および期間tf1の撮影データで生成されるイベントデータIF001に対し、期間tb1および60秒間の期間tf2の撮影データで構成されるイベントデータIF001r3が生成される。記録制御部208は、イベントデータIF001に、期間tf2と期間tf1の差分となる期間の撮影データを加えて、イベントデータIF001r3を生成する。記録制御部208は、イベントデータIF001とは別個に、期間tb1および期間tf2の撮影データからイベントデータIF001r3を生成してもよい。この場合、イベントデータIF001r3の保存後は、イベントデータIF001は削除されてもよい。
【0087】
図6に戻り、ステップS310においては、記録制御部208は、ステップS304で再生されたイベントデータに前後の時間長を長くしたイベントデータを生成し、記録部104に保存し、ステップS311に進む。ステップS310の処理は、図3に示すステップS106の処理と同一であるため、説明を省略する。
【0088】
本実施形態においても、第1実施形態と同様に、再生が行われたイベントデータに対して、当初保存されたイベントデータの時間長よりも長い時間長のイベントデータが生成される。本実施形態においては、イベントの状態を確認する必要のあるイベントに対しては、イベントが検出される前の状態、またはイベントが検出された後の状態のうち、重点的に確認したいことが想定される方に対して、より長い時間長のイベントデータが保存される。このため、イベントの前または後におけるさらに長い期間の状況を確認することができる。
【0089】
次に、図9および図10を参照して、本発明の第4実施形態を説明する。第4実施形態にかかる車両用記録装置の構成は、第1実施形態にかかる車両用記録装置100と同一であるため、説明を省略する。第4実施形態においては、記録制御部208による判断が、第1実施形態とは異なる。
【0090】
第4実施形態において、記録制御部208は、再生制御部210によってイベントデータが再度再生されたかを判断し、イベントデータの2度目の再生が行われた場合、再生されたイベントデータの前または後の時間長を長くしたイベントデータを生成し、記録部104に保存する。
【0091】
図9に示すステップS401からステップS406およびステップS409の処理は、図3に示すステップS101からステップS106およびステップS107の処理と同一であるため、説明を省略する。また、図9におけるステップS405は、図5におけるステップS205の処理に置き換えることも可能である。
【0092】
ステップS406で、再生されたイベントデータの前後の時間長を長くしたイベントデータを生成して、記録部104に保存した後、ステップS407に進み、イベントデータが再度の再生が行われたか否かを判断する。具体的には、ステップS404で再生されたと判断されたイベントデータと同一のイベントデータに対して、再度の再生が行われたか否かを判断する。イベントデータの再度の再生とは、同一のイベントデータに対して2回目の再生が行われたことを意味するが、3回目の再生が行われたとすることも可能である。
【0093】
ステップS407で、イベントデータが再度の再生が行われたと判断された場合(ステップS407:Yes)、ステップS408に進む。ステップS407で、イベントデータが再度の再生が行われたと判断されない場合(ステップS407:No)、ステップS409に進む。
【0094】
ステップS408においては、ステップS406で前後の時間長を長くしたイベントデータに対して、さらに前後の時間長を長くしたイベントデータを生成、記録部104に保存して、ステップS409に進む。具体的には、ステップS404で再生されたと判断され、ステップS406で前後所定期間の撮影データを追加して保存されたイベントデータに対して、さらに前後所定期間の撮影データを追加したイベントデータが生成される。
【0095】
ステップS408の処理を、図10を用いて説明する。図10においても、図2と同様に紙面の左側から右側へ時間が経過していることを示し、撮影ファイルがループ記録されており、時刻Tiにおいてイベントが検出されたことを示している。図10におけるイベントデータIF001は、ステップS403で生成され保存されたイベントデータである。また、イベントデータIF001rは、ステップS406で生成され保存されたイベントデータである。
【0096】
ステップS408において、イベントデータIF001の直前の撮影ファイルである撮影ファイルLFx、ファイルLFx-1またはイベントデータIF001の直後の撮影ファイルである撮影ファイルLFx+1、撮影ファイルLFx+2が上書されずに残っていることが判断されている。このため、記録制御部208は、イベントデータIF001rの前の撮影データまたは後の撮影データを追加して時間長を長くしたイベントデータIF001r4を生成し保存する。
【0097】
図10においては、例えば、30秒間の期間tb1および期間tf1の撮影データで生成されるイベントデータIF001に対し、60秒間の期間tb2および期間tr2の撮影データで構成されるイベントデータIF001rが生成され、さらに、90秒間の期間の期間tb3および期間tr3の撮影データで構成されるイベントデータIF001r4が生成される。
【0098】
記録制御部208は、撮影ファイルLFx-1に基づき、期間tb3と期間tb2の差分となる期間の撮影データ、および撮影ファイルLFx+1と撮影ファイルLFx+2に基づき、期間tr3と期間tr2の差分となる期間の撮影データをイベントデータIF001rに加えて、イベントデータIF001r4を生成する。記録制御部208は、イベントデータIF001rとは別個に、撮影ファイルLFx-1から撮影ファイルLFx+2基づく撮影データから、期間tb3および期間tf3の撮影データで構成されるイベントデータIF001r4を生成してもよい。この場合、イベントデータIF001r4の保存後は、イベントデータIF001rは削除されてもよい。
【0099】
また、ステップS408においては、ステップS407で再生されたと判断されたイベントデータに、前後所定期間の時間長を長くしたイベントデータを生成することとしたが、再生されたイベントデータの前の期間のみ、または後の期間みの時間長を長くしたイベントデータを生成することとしてもよい。
【0100】
本実施形態においては、再生が再度行われることで、再生が行われたイベントデータに対して、当初保存されたイベントデータの時間長よりもさらに長い時間長のイベントデータが生成される。このため、イベントの状態を確認する必要のあるイベントに対しては、より長い時間長のイベントデータが保存されることで、イベントの前後におけるさらに長い期間の状況を確認することができる。
【0101】
次に、図11を参照して、本発明の第5実施形態を説明する。第5実施形態にかかる車両用記録装置の構成は、第1実施形態にかかる車両用記録装置100と同一であるため、説明を省略する。第5実施形態においては、記録制御部208による判断が、第1実施形態とは異なる。
【0102】
第5実施形態において、記録制御部208は、イベント検出時点から、再生制御部210によってイベントデータの再生が行われたときまでの時間に基づき、イベントデータの前または後のいずれかの時間長を長くしたイベントデータを生成する。イベント検出時点とは、イベント発生時点やイベントデータ生成時点に置き換えてもよい。
【0103】
具体的には、記録制御部208は、イベント検出時点から例えば、10分間などの所定の第2期間内にイベントデータの再生が再生制御部210によって行われたか否かを判断する。第2期間とは、生成されたイベンデータが、イベント検出後に即座に再生しなければならないイベントデータであり、そのようなイベントデータが再生されることが推定される期間が設定される。つまり、イベントデータを再生することによってイベントの状態を確認することの重要性が高い場合であることが推定される。言い換えると、10分間などの第2期間以上経過してから再生されたイベントデータは、イベント検出後に即座に再生される必要性の低いイベントデータであることが推定される。
【0104】
第5実施形態においては、記録制御部208は、イベントデータの再生が、イベント検出時点から第2期間内に行われたか否かの判断によって、例えば、図4に示すように、再生対象となるイベントデータIF001に対して、時間長を長くしたイベントデータIF001rを生成し保存する。第5実施形態においては、上述したように第2期間を閾値とした2段階の判断として説明したが、イベント検出時点からイベントデータの再生が行われるまでの時間を多段階で判断し、イベントデータの時間長も多段階で長くすることとしてもよい。
【0105】
図11に示すステップS501からステップS504、ステップS506からステップS507の処理は、図3に示すステップS101からステップS104、ステップS106からステップS107の処理と同一であるため、説明を省略する。
【0106】
記録制御部208は、再生されたイベントデータがイベント検出から第2期間内に再生されたか否かを判断する(ステップS505)。具体的には、ステップS504で再生されたイベントデータを保存するきっかけとなったイベントが検出された時点、つまりステップS502がYesとなった時点から、第2期間内にイベントデータが再生されたか否かを判断する。
【0107】
ステップS505において、再生されたイベントデータは、イベント検出から第2期間内に再生されたと判断された場合(ステップS505:Yes)、ステップS506に進む。ステップS505において、再生されたイベントデータは、イベント検出から第2期間内に再生されたと判断されない場合(ステップS505:No)、ステップS507に進む。
【0108】
本実施形態においても、第1実施形態と同様に、再生が行われたイベントデータに対して、当初保存されたイベントデータの時間長よりも長い時間長のイベントデータが生成される。このため、イベント検出後に即座に再生されるような重要性の高いイベントに対しては、より長い時間長のイベントデータが保存されることで、イベントの前後におけるさらに長い期間の状況を確認することができる。
【0109】
次に、図12を参照して、本発明の第6実施形態を説明する。第6実施形態にかかる車両用記録装置の構成は、第1実施形態にかかる車両用記録装置100と同一であるため、説明を省略する。第6実施形態においては、記録制御部208による判断が、第1実施形態とは異なる。
【0110】
第6実施形態において、記録制御部208は、再生制御部210によってイベントデータの再生が行われたときの再生方法に基づき、イベントデータの前または後のいずれかの時間長を長くしたイベントデータを生成する。イベント検出時点とは、イベント発生時点やイベントデータ生成時点に置き換えてもよい。
【0111】
具体的には、記録制御部208は、再生制御部210によって再生されたイベントデータの再生方法が、再生されたイベントデータを念入りに確認するような再生が行われたか否かを判断する。再生されたイベントデータを念入りに確認するような再生とは、例えば、イベントデータの再生中に一時停止が行われた場合、スロー再生が行われた場合、コマ送り再生が行われた場合、部分的な繰り返し再生が行われた場合などであり、言い換えると、イベントデータを詳細に確認可能な再生方法である。逆に、再生されたイベントデータを念入りに確認しないような再生とは、通常の再生、早送り再生などである。
【0112】
第6実施形態においては、記録制御部208は、イベントデータの再生方法が、再生されたイベントデータを念入りに確認するような再生が行われたか否かの判断によって、例えば、図4に示すように、再生対象となるイベントデータIF001に対して、時間長を長くしたイベントデータIF001rを生成し保存する。
【0113】
図12に示すステップS601からステップS604、ステップS606からステップS607の処理は、図3に示すステップS101からステップS104、ステップS106からステップS107の処理と同一であるため、説明を省略する。
【0114】
記録制御部208は、再生されたイベントデータの再生方法が、再生されたイベントデータを念入りに確認するような再生が行われたか否かを判断する(ステップS605)。具体的には、ステップS604で再生されたイベントデータの再生中に、一時停止、スロー再生、部分的な繰り返し再生が行われたか否かを判断する。
【0115】
ステップS605において、再生されたイベントデータの再生方法が、再生されたイベントデータを念入りに確認するような再生が行われたと判断された場合(ステップS605:Yes)、ステップS606に進む。ステップS605において、再生されたイベントデータの再生方法が、再生されたイベントデータを念入りに確認する再生が行われたと判断されない場合(ステップS605:No)、ステップS607に進む。
【0116】
本実施形態においても、第1実施形態と同様に、再生が行われたイベントデータに対して、当初保存されたイベントデータの時間長よりも長い時間長のイベントデータが生成される。このため、イベントデータを念入りに確認するような再生が行われたイベントイベントに対しては、より長い時間長のイベントデータが保存されることで、イベントの前後におけるさらに長い期間の状況を確認することができる。
【0117】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、上述した処理をコンピュータに実行させるためのプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体を用いて格納され、車両用記録制御装置として動作するコンピュータに供給することができる。
【符号の説明】
【0118】
100 車両用記録装置
102 カメラ
104 記録部
106 加速度センサ
108 操作部
110 GNSS受信部
112 表示部
200 制御部(車両用記録制御装置)
202 撮影制御部
204 バッファメモリ
206 撮影データ処理部
208 記録制御部
210 再生制御部
212 イベント検出部
214 操作制御部
216 位置情報取得部
218 表示制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12