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特開2023-152290メッセージ中継装置、メッセージ中継方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152290
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】メッセージ中継装置、メッセージ中継方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/016 20230101AFI20231005BHJP
   G06Q 10/00 20230101ALI20231005BHJP
【FI】
G06Q30/00 330
G06Q10/00
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154300
(22)【出願日】2022-09-28
(62)【分割の表示】P 2022055584の分割
【原出願日】2022-03-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】川端 秀明
(72)【発明者】
【氏名】小頭 秀行
(72)【発明者】
【氏名】中村 翔太
(72)【発明者】
【氏名】加藤 一平
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 千洋
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA02
5L049BB05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】企業側から消費者側へ返信するメッセージの遅延を低減させるメッセージ中継装置、メッセージ中継方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】メッセージ中継装置1は、メッセージを受信する受信部131と、受信した第1のメッセージの送信元識別情報と宛先識別情報とが、ユーザから企業に対して送信されたメッセージであることを示す場合、受信したメッセージに含まれるユーザ識別情報を、優先度管理テーブルに記憶させる優先度管理部132と、受信したメッセージを宛先へ送信する送信部133と、を有する。優先度管理部132は、第2のメッセージを受信した場合に、送信元識別情報と宛先識別情報とが企業からユーザに対して送信されたメッセージであることを示し、宛先識別情報が優先度管理テーブルに記憶されたユーザ識別情報と一致する場合、第2のメッセージを他のメッセージに優先して送信部133に送信させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッセージを受信する受信部と、
前記受信部が受信した第1のメッセージに含まれる送信元識別情報と宛先識別情報とが、ユーザからメッセージ配信者に対して送信されたメッセージであることを示す場合、受信したメッセージに含まれる送信元のユーザを識別するユーザ識別情報を、記憶部が記憶する優先度管理テーブルに記憶させる優先度管理部と、
前記受信部が受信したメッセージを該メッセージの宛先へ送信する送信部と、を有し、
前記優先度管理部は、前記受信部が前記第1のメッセージとは異なる第2のメッセージを受信した場合に、該第2のメッセージに含まれる送信元識別情報と宛先識別情報とがメッセージ配信者からユーザに対して送信されたメッセージであることを示し、かつ前記第2のメッセージに含まれる前記宛先識別情報が前記優先度管理テーブルに記憶された前記ユーザ識別情報と一致する場合、前記第2のメッセージを他のメッセージに優先して前記送信部に送信させる、
メッセージ中継装置。
【請求項2】
前記優先度管理部は、前記受信部が受信した前記第1のメッセージに含まれる、送信元の前記ユーザ識別情報と、宛先のメッセージ配信者を識別するメッセージ配信者識別情報と、を関連付けて前記記憶部が記憶する前記優先度管理テーブルに記憶させ、前記受信部が受信した前記第2のメッセージに含まれる前記送信元識別情報と前記宛先識別情報とが、前記優先度管理テーブルに記憶された前記メッセージ配信者識別情報と前記ユーザ識別情報とに一致する場合、前記第2のメッセージを他のメッセージに優先して前記送信部に送信させる、
請求項1に記載のメッセージ中継装置。
【請求項3】
前記優先度管理部は、前記受信部が受信した前記第1のメッセージに含まれる、送信元の前記ユーザ識別情報と、宛先の前記メッセージ配信者を識別する前記メッセージ配信者識別情報と、該メッセージ配信者に対応する優先度と、を関連付けて前記優先度管理テーブルに記憶させ、
前記優先度管理部は前記第2のメッセージに含まれる前記送信元識別情報と前記宛先識別情報とが、前記優先度管理テーブルに記憶された前記メッセージ配信者識別情報と前記ユーザ識別情報とに一致する場合、前記優先度管理テーブルにおいて前記メッセージ配信者識別情報と、前記ユーザ識別情報と、に関連付けられた前記優先度が示す優先順位で前記第2のメッセージを前記送信部に送信させる、
請求項2記載のメッセージ中継装置。
【請求項4】
前記優先度管理部は、前記受信部が受信した前記第1のメッセージに含まれる送信元の前記ユーザ識別情報を所定の方法で変換した変換識別情報をさらに関連付けて前記優先度管理テーブルに記憶させ、
前記送信部は、前記受信部が受信した前記第1のメッセージの送信元を前記変換識別情報で置換した前記第1のメッセージを前記第1のメッセージの宛先へ送信し、
前記優先度管理部は、前記受信部が受信した前記第2のメッセージに含まれる前記送信元識別情報と前記宛先識別情報とが、前記優先度管理テーブルに記憶された前記メッセージ配信者識別情報と前記変換識別情報とに一致する場合、前記第2のメッセージに含まれる宛先を前記優先度管理テーブルにおいて前記変換識別情報に対応する前記ユーザ識別情報に置換した前記第2のメッセージを前記送信部に送信させる、
請求項2又は3に記載のメッセージ中継装置。
【請求項5】
前記優先度管理部は、前記第1のメッセージに含まれる送信元の前記ユーザ識別情報を、前記第1のメッセージの宛先メッセージ配信者ごとに異なる変換識別情報を生成する所定の方法で変換した前記変換識別情報をさらに関連付けて前記優先度管理テーブルに記憶させる、
請求項4に記載のメッセージ中継装置。
【請求項6】
前記優先度管理部は、前記第1のメッセージに含まれる送信元の前記ユーザ識別情報を、前記第1のメッセージの宛先メッセージ配信者ごとに異なる所定の方法であって、前記メッセージ配信者識別情報と前記ユーザ識別情報とが同一である場合に同一の変換識別情報を生成する前記所定の方法で変換した前記変換識別情報をさらに関連付けて前記優先度管理テーブルに記憶させる、
請求項5に記載のメッセージ中継装置。
【請求項7】
コンピュータが実行する、
送信されたメッセージを受信するステップと、
受信した第1のメッセージに含まれる送信元識別情報と宛先識別情報とが、ユーザからメッセージ配信者に対して送信されたメッセージであることを示す場合、受信したメッセージに含まれる送信元のユーザを識別するユーザ識別情報を、記憶部が記憶する優先度管理テーブルに記憶させるステップと、
前記第1のメッセージと異なる第2のメッセージを受信するステップと、
受信した前記第2のメッセージに含まれる送信元識別情報と宛先識別情報とが、メッセージ配信者からユーザに対して送信されたメッセージであることを示す場合であって、前記第2のメッセージに含まれる前記宛先識別情報が、前記記憶部が記憶する前記優先度管理テーブルに記憶された前記ユーザ識別情報と一致する場合、前記第2のメッセージを他のメッセージに優先して送信するステップと、
を有するメッセージ中継方法。
【請求項8】
コンピュータに、
送信されたメッセージを受信するステップと、
受信した第1のメッセージに含まれる送信元識別情報と宛先識別情報とが、ユーザからメッセージ配信者に対して送信されたメッセージであることを示す場合、受信したメッセージに含まれる送信元のユーザを識別するユーザ識別情報を、記憶部が記憶する優先度管理テーブルに記憶させるステップと、
前記第1のメッセージと異なる第2のメッセージを受信するステップと、
受信した前記第2のメッセージに含まれる送信元識別情報と宛先識別情報とが、メッセージ配信者からユーザに対して送信されたメッセージであることを示す場合であって、前記第2のメッセージに含まれる前記宛先識別情報が、前記記憶部が記憶する前記優先度管理テーブルに記憶された前記ユーザ識別情報と一致する場合、前記第2のメッセージを他のメッセージに優先して送信するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メッセージ中継装置、メッセージ中継方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業と消費者との間のコミュニケーションチャネルとしてのメッセージングサービスが活用されている。メッセージを送受信するためのメッセージングサービスにおいて、企業から様々なコンテンツを提供するシステムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-62850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、消費者側から企業側へ送信するメッセージは、消費者が返信を期待して送信されている場合が多く、そのようなメッセージに対する返信メッセージは他のメッセージと比較してリアルタイム性がより強く求められる。しかし、配信設備に配信依頼が集中している場合等においては返信メッセージの遅延が発生しうるという問題が生じていた。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、企業側から消費者側へ返信するメッセージの遅延を低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様のメッセージ中継装置においては、メッセージを受信する受信部と、前記受信部が受信した第1のメッセージに含まれる送信元識別情報と宛先識別情報とが、ユーザからメッセージ配信者に対して送信されたメッセージであることを示す場合、受信したメッセージに含まれる送信元のユーザを識別するユーザ識別情報を、記憶部が記憶する優先度管理テーブルに記憶させる優先度管理部と、前記受信部が受信したメッセージを該メッセージの宛先へ送信する送信部と、を有し、前記優先度管理部は、前記受信部が前記第1のメッセージとは異なる第2のメッセージを受信した場合に、該第2のメッセージに含まれる送信元識別情報と宛先識別情報とがメッセージ配信者からユーザに対して送信されたメッセージであることを示し、かつ前記第2のメッセージに含まれる前記宛先識別情報が前記優先度管理テーブルに記憶された前記ユーザ識別情報と一致する場合、前記第2のメッセージを他のメッセージに優先して前記送信部に送信させる。
【0007】
前記優先度管理部は、前記受信部が受信した前記第1のメッセージに含まれる、送信元の前記ユーザ識別情報と、宛先のメッセージ配信者を識別するメッセージ配信者識別情報と、を関連付けて前記記憶部が記憶する前記優先度管理テーブルに記憶させ、前記受信部が受信した前記第2のメッセージに含まれる前記送信元識別情報と前記宛先識別情報とが、前記優先度管理テーブルに記憶された前記メッセージ配信者識別情報と前記ユーザ識別情報とに一致する場合、前記第2のメッセージを他のメッセージに優先して前記送信部に送信させてもよい。
【0008】
前記優先度管理部は、前記受信部が受信した前記第1のメッセージに含まれる、送信元の前記ユーザ識別情報と、宛先の前記メッセージ配信者を識別する前記メッセージ配信者識別情報と、該メッセージ配信者に対応する優先度と、を関連付けて前記優先度管理テーブルに記憶させ、前記優先度管理部は前記第2のメッセージに含まれる前記送信元識別情報と前記宛先識別情報とが、前記優先度管理テーブルに記憶された前記メッセージ配信者識別情報と前記ユーザ識別情報とに一致する場合、前記優先度管理テーブルにおいて前記メッセージ配信者識別情報と、前記ユーザ識別情報と、に関連付けられた前記優先度が示す優先順位で前記第2のメッセージを前記送信部に送信させてもよい。
【0009】
前記優先度管理部は、前記受信部が受信した前記第1のメッセージに含まれる送信元の前記ユーザ識別情報を所定の方法で変換した変換識別情報をさらに関連付けて前記優先度管理テーブルに記憶させ、前記送信部は、前記受信部が受信した前記第1のメッセージの送信元を前記変換識別情報で置換した前記第1のメッセージを前記第1のメッセージの宛先へ送信し、前記優先度管理部は、前記受信部が受信した前記第2のメッセージに含まれる前記送信元識別情報と前記宛先識別情報とが、前記優先度管理テーブルに記憶された前記メッセージ配信者識別情報と前記変換識別情報とに一致する場合、前記第2のメッセージに含まれる宛先を前記優先度管理テーブルにおいて前記変換識別情報に対応する前記ユーザ識別情報に置換した前記第2のメッセージを前記送信部に送信させてもよい。
【0010】
前記優先度管理部は、前記第1のメッセージに含まれる送信元の前記ユーザ識別情報を、前記第1のメッセージの宛先メッセージ配信者ごとに異なる変換識別情報を生成する所定の方法で変換した前記変換識別情報をさらに関連付けて前記優先度管理テーブルに記憶させてもよい。
【0011】
前記優先度管理部は、前記第1のメッセージに含まれる送信元の前記ユーザ識別情報を、前記第1のメッセージの宛先メッセージ配信者ごとに異なる所定の方法であって、前記メッセージ配信者識別情報と前記ユーザ識別情報とが同一である場合に同一の変換識別情報を生成する前記所定の方法で変換した前記変換識別情報をさらに関連付けて前記優先度管理テーブルに記憶させてもよい。
【0012】
本発明の第2の態様のメッセージ中継方法においては、コンピュータが実行する、送信されたメッセージを受信するステップと、受信した第1のメッセージに含まれる送信元識別情報と宛先識別情報とが、ユーザからメッセージ配信者に対して送信されたメッセージであることを示す場合、受信したメッセージに含まれる送信元のユーザを識別するユーザ識別情報を、記憶部が記憶する優先度管理テーブルに記憶させるステップと、前記第1のメッセージと異なる第2のメッセージを受信するステップと、受信した前記第2のメッセージに含まれる送信元識別情報と宛先識別情報とが、メッセージ配信者からユーザに対して送信されたメッセージであることを示す場合であって、前記第2のメッセージに含まれる前記宛先識別情報が、前記記憶部が記憶する前記優先度管理テーブルに記憶された前記ユーザ識別情報と一致する場合、前記第2のメッセージを他のメッセージに優先して送信するステップと、を有する。
【0013】
本発明の第3の態様のプログラムにおいては、コンピュータに、送信されたメッセージを受信するステップと、受信した第1のメッセージに含まれる送信元識別情報と宛先識別情報とが、ユーザからメッセージ配信者に対して送信されたメッセージであることを示す場合、受信したメッセージに含まれる送信元のユーザを識別するユーザ識別情報を、記憶部が記憶する優先度管理テーブルに記憶させるステップと、前記第1のメッセージと異なる第2のメッセージを受信するステップと、受信した前記第2のメッセージに含まれる送信元識別情報と宛先識別情報とが、メッセージ配信者からユーザに対して送信されたメッセージであることを示す場合であって、前記第2のメッセージに含まれる前記宛先識別情報が、前記記憶部が記憶する前記優先度管理テーブルに記憶された前記ユーザ識別情報と一致する場合、前記第2のメッセージを他のメッセージに優先して送信するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、企業側から消費者側へ返信するメッセージの遅延を低減させるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態にかかるメッセージ中継システムSの概要を説明する図である。
図2】メッセージ中継装置1の構成を示すブロック図である。
図3】記憶部12が記憶する優先度管理テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図4】優先度判定テーブルの一例を示す図である。
図5】メッセージ中継装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[メッセージ中継装置1の概要]
図1は、実施形態にかかるメッセージ中継システムSの概要を説明する図である。メッセージ中継システムSは、メッセージ中継装置1、メッセージ配信装置2及び情報端末3を有する。
【0017】
メッセージ中継装置1は、メッセージ配信装置2及び情報端末3とメッセージを送受信するための装置である。メッセージ中継装置1は例えばメッセージゲートウェイである。メッセージ中継装置1は、受信したメッセージの送信元識別情報又は宛先識別情報が後述する条件を満たす場合に、受信したメッセージを他のメッセージに優先して送信する。
【0018】
メッセージは、例えばRCS(Rich Communication Service)又はSMS(Short Message Service)に基づいてやり取りされるメッセージであるがこれに限定されない。メッセージは、送信元識別情報、宛先識別情報、件名及び本文を少なくとも含む。送信元識別情報及び宛先識別情報は一例として、電話番号、メールアドレス、ユーザID(Identification)等である。なお、以下の説明においては、送信元識別情報と宛先識別情報とが電話番号であるものとして説明する。
【0019】
メッセージ配信装置2は、企業が配信するメッセージを配信し、又は企業宛てのメッセージを受信する装置である。メッセージ配信装置2は、ユーザに対して送信するメッセージの送信依頼をメッセージ中継装置1に送信し、又は、ユーザから企業に対して送信されたメッセージをメッセージ中継装置1から取得する。
【0020】
情報端末3は、企業が提供するコンテンツやサービスの消費者であるユーザが使用する端末である。情報端末3は、例えば、スマートフォン、タブレット等である。情報端末3はメッセージを送受信する。
【0021】
メッセージ中継装置1の処理の概要について説明する。メッセージ中継装置1は、情報端末3からメッセージを受信する(図1における(1))。メッセージ中継装置1は、受信したメッセージに含まれる送信元電話番号と宛先電話番号とが、ユーザから企業に対して送信されたメッセージであることを示す場合、受信したメッセージに含まれる送信元のユーザの電話番号を、優先度管理テーブルに登録する(図1における(2))。
【0022】
メッセージ中継装置1は、宛先電話番号に対応するメッセージ配信装置2に受信したメッセージを送信する(図1における(3))。こうしてユーザが送信したメッセージがメッセージ配信装置2に到達する。
【0023】
メッセージ中継装置1は、メッセージ配信装置2からユーザ宛てに返信されたメッセージを受信する(図1における(4))。メッセージ中継装置1は、メッセージ配信装置2から受信したメッセージに含まれる送信元電話番号と宛先電話番号とが企業からユーザに対して送信されたメッセージであることを示す場合において、宛先の電話番号が優先度管理テーブルに登録されているかを判定する(図1における(5))。受信したメッセージの宛先の電話番号が優先度管理テーブルに登録されている場合、メッセージ中継装置1は、受信したメッセージを他のメッセージに優先して情報端末3に送信する(図1における(6))。
【0024】
このようにメッセージ中継装置1は、ユーザからメッセージを受信した場合に、メッセージに含まれるユーザの電話番号を優先度管理テーブルに登録する。そして、企業側からのメッセージを受信した場合であって優先度管理テーブルに送信先の電話番号が含まれている場合、メッセージ中継装置1は、他のメッセージに優先して受信したメッセージを送信する。その結果、メッセージ中継装置1は、企業側からユーザ側へ返信するメッセージの遅延を低減させることができる。
【0025】
[メッセージ中継装置1の構成]
図2は、メッセージ中継装置1の構成を示すブロック図である。メッセージ中継装置1は、通信部11、記憶部12及び制御部13を有する。制御部13は、受信部131、優先度管理部132及び送信部133を有する。通信部11は、ネットワークを介して他の装置とデータの送受信をするための通信インターフェースである。
【0026】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを予め記憶している。
【0027】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサである。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、受信部131、優先度管理部132及び送信部133として機能する。
【0028】
受信部131は、メッセージを受信する。受信部131は、メッセージ配信装置2又は情報端末3からメッセージを受信する。以下では、ユーザから企業へ送信する受信したメッセージを第1のメッセージ、企業からユーザに送信するメッセージを第2のメッセージという場合がある。
【0029】
優先度管理部132は、受信部131が受信した第1のメッセージに含まれる送信元識別情報と宛先識別情報とが、ユーザから企業に対して送信されたメッセージであることを示す場合、受信したメッセージに含まれる送信元のユーザを識別するユーザ識別情報を、記憶部12が記憶する優先度管理テーブルに記憶させる。まず、優先度管理部132は、受信部131が受信したメッセージを取得する。そして、優先度管理部132は取得したメッセージの送信元電話番号がユーザの電話番号であり、宛先の電話番号が企業の電話番号であるかユーザであるかを判定する。
【0030】
優先度管理部132は、一例として、送信元又は宛先の電話番号が、予め登録された電話番号である場合又は携帯電話に指定された11桁の電話番号ではない場合(例えば4桁のプレフィックスと6桁の電話番号から構成される番号である場合)、企業の電話番号であると判定する。優先度管理部132は、送信元又は宛先の番号がそれ以外の番号である場合、ユーザの電話番号であると判定する。
【0031】
優先度管理部132は、受信したメッセージに含まれる送信元電話番号がユーザの電話番号であり、宛先電話番号が企業の電話番号である場合、メッセージに含まれる送信元電話番号を優先度管理テーブルにおけるユーザ側電話番号として記憶させる。
【0032】
図3は、記憶部12が記憶する優先度管理テーブルのデータ構造の一例を示す図である。優先度管理テーブルは、他のメッセージに優先して送信すべきメッセージのユーザ側電話番号又はユーザ側電話番号と企業側電話番号との組み合わせを示す。図3(a)に示す優先度管理テーブルにおいては、ユーザ側電話番号と優先度とが関連付けられている。優先度は、受信したメッセージが優先される程度を示す情報である。一例として優先度は、整数で表され、値が小さいほど優先度が高く、値が大きいほど優先度が低いことを示す。これに限定されないが、優先度の「1」は、最も優先度が高いことを示し、優先度の「3」は、優先度が最も低いことを示す。
【0033】
優先度管理部132は、第2のメッセージを受信した場合に、第2のメッセージに含まれる送信元識別情報と宛先識別情報とが企業からユーザに対して送信されたメッセージであることを示し、かつ当該メッセージに含まれる宛先識別情報が優先度管理テーブルに記憶されたユーザ識別情報と一致する場合、当該メッセージを他のメッセージに優先して送信部133に送信させる。
【0034】
優先度管理部132は、受信したメッセージに含まれる送信元電話番号が企業であり、宛先電話番号がユーザである場合、宛先の電話番号が優先度管理テーブルに登録されているかを判定する。宛先の電話番号が優先度管理テーブルに登録されている場合、優先度管理部132は、当該メッセージを他のメッセージに優先して送信させる。一例として、優先度管理部132は、送信部133が送信するメッセージを管理するための複数のキューのうち優先度が高いキューにメッセージを出力する。
【0035】
なお、優先度管理部132は、優先又は非優先の2種類のキューで送信するメッセージを管理してもよいし、3種類以上の優先度に対応するキューで送信するメッセージを管理してもよい。
【0036】
送信部133は、受信部131が受信したメッセージを該メッセージの宛先へ送信する。送信部133は、一例として、受信したメッセージが管理されるキューのうち優先度が最も高いキューに格納されたメッセージから順に該メッセージの宛先に送信する。
【0037】
このように、メッセージ中継装置1は、ユーザからメッセージを受信した場合に優先度管理テーブルにユーザの電話番号を登録し、受信したメッセージの送信先が登録されたユーザの電話番号と一致する場合に、他のメッセージに送信して受信したメッセージを送信する。メッセージ中継装置1がこのように構成されることで、企業側からユーザ側へ返信するメッセージの遅延を低減させることができる。
【0038】
優先度管理テーブルに登録されたユーザの電話番号に基づいてメッセージの優先送信を判定する例について説明した。ここで、優先度管理テーブルにおいてユーザの電話番号と企業の電話番号とを関連付けて管理するようメッセージ中継装置1が構成されてもよい。
【0039】
具体的には、優先度管理部132は、受信部131が受信した第1のメッセージに含まれる、送信元のユーザ識別情報と、宛先の企業を識別する企業識別情報と、を関連付けて記憶部12が記憶する優先度管理テーブルに記憶させる。すなわち、優先度管理部132は、受信した第1のメッセージに含まれる送信元電話番号がユーザであり、宛先電話番号が企業である場合、第1のメッセージに含まれる送信元電話番号及び宛先電話番号を優先度管理テーブルにおけるユーザ側電話番号及び企業側電話番号として記憶させる。
【0040】
図3(b)は、この場合に用いられる優先度管理テーブルの一例を示す図である。図3(b)における優先度管理テーブルにおいては、ユーザ側電話番号と企業側電話番号と優先度とが関連付けられている。
【0041】
優先度管理部132は、受信部131が受信した第2のメッセージに含まれる送信元識別情報と宛先識別情報とが、優先度管理テーブルに記憶された企業識別情報とユーザ識別情報とに一致する場合、当該メッセージを他のメッセージに優先して送信部133に送信させてもよい。すなわち、受信した第2のメッセージに含まれる送信元の電話番号及び宛先の電話番号が優先度管理テーブルにおける企業側電話番号及びユーザ側電話番号として登録されている場合、優先度管理部132は、当該メッセージを他のメッセージに優先して送信させる。
【0042】
このように、優先度管理テーブルにおいては、ユーザの電話番号と企業の電話番号とが関連付けて管理され、メッセージ中継装置1は、ユーザの電話番号と企業の電話番号とに基づいて優先して送信するか否かを判定してもよい。メッセージ中継装置1がこのように構成されることで、企業からユーザへ返信するメッセージのみを優先して送信することが可能となり、メッセージ中継装置1を管理する事業者においては、ネットワークのリソースを有効に活用することができる。
【0043】
メッセージ中継装置1は、返信メッセージには複数の段階の優先度を設定して優先制御するよう構成されてもよい。
【0044】
優先度管理部132は、受信部131が受信した第1のメッセージに含まれる、送信元のユーザ識別情報と、宛先の企業を識別する企業識別情報と、該企業に対応する優先度と、を関連付けて優先度管理テーブルに記憶させてもよい。この場合、記憶部12は、優先度判定テーブルを記憶している。図4は、優先度判定テーブルの一例を示す図である。図4における優先度判定テーブルにおいては、企業側電話番号と優先度とが関連付けられている。
【0045】
優先度管理部132は、受信した第1のメッセージに含まれる送信元電話番号がユーザであり、宛先電話番号が企業である場合、記憶部12に記憶された優先度判定テーブルを参照し、受信した第1のメッセージに含まれる宛先電話番号に対応する優先度を特定する。そして、優先度管理部132は、受信した第1のメッセージに含まれる送信元のユーザ側電話番号と宛先の企業側電話番号と、特定した優先度と、を優先度管理テーブルに記憶させる。
【0046】
優先度管理部132は、受信した第2のメッセージに含まれる送信元識別情報と宛先識別情報とが、優先度管理テーブルに記憶された企業識別情報とユーザ識別情報とに一致する場合、優先度管理テーブルにおいて企業識別情報と、ユーザ識別情報と、に関連付けられた優先度が示す優先順位で受信した第2のメッセージを送信部133に送信させる。受信した第2のメッセージに含まれる宛先の電話番号が優先度管理テーブルに登録されている場合、優先度管理部132は、当該メッセージを他のメッセージに優先して送信させる。一例として、優先度管理部132は、送信部133が送信するメッセージを管理するための複数のキューのうち優先度管理テーブルに含まれる優先度に対応するキューに受信した第2のメッセージを出力する。
【0047】
このように、送信者に応じた優先度を設定するよう構成されることで、メッセージ中継装置1は、優先度合に応じた送信順序の制御をすることができる。この結果、メッセージ中継装置1は、最も優先されるメッセージが遅延する蓋然性を低減することができる。
【0048】
ところで、企業宛てに送信するメッセージに含まれるユーザ識別情報を本来のユーザ識別情報と異なる識別情報に置換してメッセージ中継装置1が送信することで、ユーザは、自身のユーザ識別情報が企業側に通知されないため安心してメッセージを送信することができる。
【0049】
この場合、優先度管理部132は、受信部131が受信した第1のメッセージに含まれる送信元のユーザ識別情報を所定の方法で変換した変換識別情報をさらに関連付けて優先度管理テーブルに記憶させる。所定の方法は、例えばユーザ側電話番号のハッシュ値を生成することである。
【0050】
図3(c)は、ユーザ側の電話番号を変換して送信する場合に用いられる優先度管理テーブルの一例を示す図である。図3(c)に示す優先度管理テーブルにおいては、ユーザ側電話番号、変換識別情報、企業側電話番号及び優先度が関連付けられている。変換識別情報は、ユーザ側電話番号を所定の方法で変換して生成されたユーザを識別する情報である。
【0051】
送信部133は、受信部131が受信した第1のメッセージの送信元を変換識別情報で置換した第1のメッセージを第1のメッセージの宛先へ送信する。
【0052】
そして、優先度管理部132は、受信部131が受信した第2のメッセージに含まれる送信元識別情報と宛先識別情報とが、優先度管理テーブルに記憶された企業識別情報と変換識別情報とに一致する場合、第2のメッセージに含まれる宛先を優先度管理テーブルにおいて変換識別情報に対応するユーザ識別情報に置換した第2のメッセージを送信部133に送信させる。優先度管理部132は、受信したメッセージに含まれる送信元電話番号と宛先識別情報とが、優先度管理テーブルにおいて企業側電話番号と変換識別情報として関連付けられている場合、変換識別情報に関連付けられたユーザ側電話番号を取得する。そして、送信部133は、宛先識別情報をユーザ側電話番号に置換したメッセージを情報端末3に送信する。
【0053】
メッセージ中継装置1がユーザ識別情報を変換識別情報に置換してメッセージを送信するように構成されることで、ユーザ識別情報が企業側に通知されなくなり、ユーザは安心してメッセージを送信することができる。
【0054】
なお、優先度管理部132は、ユーザあてのメッセージの送信が完了した場合に優先度管理テーブルから当該ユーザに関するデータを削除してもよい。又は、優先度管理部132は、ユーザにメッセージの送信が完了し、そのメッセージが到達したことの通知が情報端末3より受信した場合に、優先度管理テーブルから当該ユーザに関するデータを削除してもよい。このようにメッセージ中継装置1がこのように構成されることで、メッセージ中継装置1からユーザの電話番号が漏洩する虞が低減され、ユーザは安心してメッセージを送信することができる。
【0055】
ところで、メッセージ中継装置1が変換識別情報を企業ごとに異なる方法で変換することで変換識別情報からユーザを特定することが困難となり、ユーザのセキュリティを確保することが可能となる。
【0056】
優先度管理部132は、第1のメッセージに含まれる送信元のユーザ識別情報を、第1のメッセージの宛先企業ごとに異なる変換識別情報を生成する所定の方法で変換した変換識別情報をさらに関連付けて優先度管理テーブルに記憶させる。この場合の変換識別情報は、一例としてユーザ識別情報と企業ごとに設定された所定の情報を結合させた文字列から生成されたハッシュ値である。所定の情報は、一例として、企業ごとに異なる所定の文字列、乱数又はタイムスタンプ等である。記憶部12は、企業側電話番号と、変換識別情報を生成するための方法とを対応付けて記憶し、優先度管理部132は、記憶部12を参照し、変換識別情報を生成する方法を特定する。
【0057】
なお、優先度管理部132は第1のメッセージの宛先企業ごとに異なる方法を用いて、第1のメッセージに含まれる送信元のユーザ識別情報を変換した変換識別情報を生成し、優先度管理テーブルに記憶させてもよい。この場合、記憶部12においては、企業ごとにSHA-2(Secure Hash Algorithm)、SHA-3等の変換識別情報を生成するための方法が関連付けられて記憶されている。
【0058】
ここで、変換識別情報は同一企業と同一ユーザとのやり取りにおいては、同一の変換識別情報が生成されると、企業側がメッセージのやり取りを管理しやすい。そこで、優先度管理部132は、第1のメッセージを受信した場合、企業識別情報とユーザ識別情報とが同一である場合に同一の変換識別情報を生成する所定の方法でユーザ識別情報を変換し、変換識別情報を生成してもよい。そして、優先度管理部132は、生成した変換識別情報をユーザ識別情報と関連付けて優先度管理テーブルに記憶させる。優先度管理部132は、この場合の所定の方法として例えば、企業を識別する企業識別情報又は所定の文字列とユーザ識別情報とを結合させてなる文字列からハッシュ値を生成する。
【0059】
[メッセージ中継装置1における処理の流れ]
図5は、メッセージ中継装置1における処理の流れを示すフローチャートである。図5におけるフローチャートは、メッセージ中継装置1がメッセージを受信するタイミングから開始している。受信部131は、メッセージを受信する(S11)。優先度管理部132は、受信したメッセージに含まれる送信元電話番号と宛先電話番号とに基づいて受信したメッセージが企業からユーザへのメッセージであるかを判定する(S12)。
【0060】
受信したメッセージが企業からユーザへのメッセージである場合(S12におけるYES)、優先度管理部132は、受信したメッセージに含まれる宛先電話番号が優先度管理テーブルに登録されたユーザ側電話番号と一致しているかを判定する(S13)。なお、優先度管理部132は、受信したメッセージに含まれる宛先電話番号及び送信元電話番号が、優先度管理テーブルに登録されたユーザ側電話番号及び企業側電話番号と一致しているかを判定してもよい。
【0061】
受信したメッセージに含まれる送信元電話番号と宛先電話番号とが優先度管理テーブルに登録されている場合(S13におけるYES)、送信部133は、受信したメッセージを他のメッセージに優先して送信し(S14)、メッセージ中継装置1は、処理を終了する。受信したメッセージに含まれる送信元電話番号と宛先電話番号とが優先度管理テーブルに登録されていない場合(S13におけるNO)、送信部133は、受信したメッセージを通常のメッセージに設定される優先順位で送信し(S17)、メッセージ中継装置1は、処理を終了する。
【0062】
受信したメッセージが企業からユーザへのメッセージでない場合(S12におけるNO)、優先度管理部132は、受信したメッセージに含まれる送信元電話番号と宛先電話番号とに基づいて受信したメッセージがユーザから企業へのメッセージであるかを判定する(S15)。受信したメッセージがユーザから企業へのメッセージである場合(S15におけるYES)、優先度管理部132は、受信したメッセージに含まれる送信元電話番号を優先度管理テーブルに登録する(S16)。そして、送信部133は、受信したメッセージを送信し(S17)、メッセージ中継装置1は、処理を終了する。
【0063】
受信したメッセージがユーザから企業へのメッセージでない場合(S15におけるNO)、送信部133は、受信したメッセージを送信し(S17)、メッセージ中継装置1は、処理を終了する。
【0064】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0065】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0066】
1 メッセージ中継装置
2 メッセージ配信装置
3 情報端末
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 受信部
132 優先度管理部
133 送信部
図1
図2
図3
図4
図5