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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152292
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】継手及び配管構造
(51)【国際特許分類】
   F16L 27/113 20060101AFI20231005BHJP
   F16L 27/02 20060101ALI20231005BHJP
   F16L 21/03 20060101ALI20231005BHJP
   H02G 9/06 20060101ALI20231005BHJP
   H02G 1/06 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
F16L27/113
F16L27/02 Z
F16L21/03
H02G9/06 050
H02G1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155739
(22)【出願日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2022059385
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】澤田 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】竹村 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】鈴鹿 正治
(72)【発明者】
【氏名】川地 奏
【テーマコード(参考)】
3H104
5G352
5G369
【Fターム(参考)】
3H104JA02
3H104JB07
3H104JD09
3H104KA02
3H104LB30
3H104LF05
3H104LG03
3H104LG22
5G352CG01
5G369AA05
5G369AA19
5G369BA01
5G369BA04
5G369DC08
5G369DC10
(57)【要約】
【課題】管路方向を調節自在で、ケーブル等を挿通しやすい継手及び配管構造を提供できる。
【解決手段】継手30は、直線状の管軸Xに沿って延びる管状の継手30である。継手30は、第1保護管10を嵌合する第1受口31を一端31aに有し、第2保護管20を嵌合する第1差口32を他端32aに有し、第1受口31と第1差口32との間に中間部33を有している。第1受口31は、一端31aから他端32aに向けて拡径する受口拡径部35を有している。第1差口32は、管軸Xに沿って一律な円環状の断面を有している。第1受口31の最小内径は、第1差口32の外径より大きい。中間部33の最小内径は、第1差口32の外径より小さい。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状の管軸に沿って延びる管状の継手であって、
第1保護管を嵌合する第1受口を一端に有し、第2保護管を嵌合する第1差口を他端に有し、前記第1受口と前記第1差口との間に中間部を有し、
前記第1受口は、前記一端から前記他端に向けて拡径する受口拡径部を有し、
前記第1差口は、前記管軸に沿って一律な円環状の断面を有し、
前記第1受口の最小内径は、前記第1差口の外径より大きく、
前記中間部の最小内径は、前記外径より小さい
継手。
【請求項2】
前記第1受口の前記管軸に沿う第1長さは、前記第1差口の前記管軸に沿う第2長さに等しい
請求項1に記載の継手。
【請求項3】
前記受口拡径部は、楕円形状の断面を有する
請求項1に記載の継手。
【請求項4】
前記受口拡径部は、テーパ面を有する
請求項1に記載の継手。
【請求項5】
前記中間部は、楕円形状の断面を有する
請求項1に記載の継手。
【請求項6】
前記中間部は、前記一端から離れるに従って拡径する中間拡径部を有する
請求項1に記載の継手。
【請求項7】
前記第1保護管と、前記第2保護管と、を備える請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の前記継手を含む配管構造。
【請求項8】
前記第1保護管又は前記第2保護管は、直管である
請求項7に記載の前記継手を含む配管構造。
【請求項9】
前記第1保護管又は前記第2保護管は、前記継手と同形状である
請求項7に記載の前記継手を含む配管構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、継手及び配管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ケーブルを保護する保護管の配管構造において、管路方向を調節自在な、保護管同士を継手で連結した配管構造があった(特許文献1から特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-163627号公報
【特許文献2】特開2017-198338号公報
【特許文献3】特開2020-014290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の管路方向を調節自在な配管構造は、保護管同士を継手で連結した構造であった。そのため、管路方向が屈曲している状態の配管構造では、継手の内方で、保護管同士の端部間に生じる段差により、円形断面を有する線状のケーブル又は配管構造に挿通するケーブルを模擬した外径及び長さを有する直円柱形状の導通試験棒(以下、ケーブル等という。)を挿通しにくくなる場合があった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、管路方向を調節自在で、ケーブル等を挿通しやすい継手及び配管構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決する手段は、次のとおりである。
(1)本発明の一態様に係る継手は、直線状の管軸に沿って延びる管状の継手であって、第1保護管を嵌合する第1受口を一端に有し、第2保護管を嵌合する第1差口を他端に有し、前記第1受口と前記第1差口との間に中間部を有し、前記第1受口は、前記一端から前記他端に向けて拡径する受口拡径部を有し、前記第1差口は、前記管軸に沿って一律な円環状の断面を有し、前記第1受口の最小内径は、前記第1差口の外径より大きく、前記中間部の最小内径は、前記外径より小さい。
(2)上記(1)において、前記第1受口の前記管軸に沿う第1長さは、前記第1差口の前記管軸に沿う第2長さに等しい。
(3)上記(1)又は(2)において、前記受口拡径部は、楕円形状の断面を有してよい。
(4)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、前記受口拡径部は、テーパ面を有してよい。
(5)上記(1)から(4)のいずれかにおいて、前記中間部は、楕円形状の断面を有してよい。
(6)上記(1)から(5)のいずれかにおいて、前記中間部は、前記一端から離れるに従って拡径する中間拡径部を有してよい。
(7)本発明の一態様に係る配管構造は、前記第1保護管と、前記第2保護管と、を備えており、上記(1)から(6)のいずれかの継手を含む。
(8)上記(7)において、前記第1保護管又は前記第2保護管は、直管であってよい。
(9)上記(7)において、前記第1保護管又は前記第2保護管は、前記継手と同形状であってよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、管路方向を調節自在で、ケーブル等を挿通しやすい継手及び配管構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る継手を平面から見た断面図である。
図2A図1におけるA矢視断面図である。
図2B図1におけるB矢視断面図である。
図2C図1におけるC矢視断面図である。
図2D図1におけるD矢視断面図である。
図3】第1実施形態に係る継手を正面から見た断面図である。
図4A図3におけるA矢視断面図である。
図4B図3におけるB矢視断面図である。
図4C図3におけるC矢視断面図である。
図4D図3におけるD矢視断面図である。
図5】管路方向が屈曲した状態の第1実施形態に係る配管構造を平面から見た断面図である。
図6】管路方向が屈曲した状態の第1実施形態に係る配管構造に導通試験棒を通している状況を示す説明図である。
図7】管路方向が屈曲した状態の第1実施形態に係る配管構造に導通試験棒を通している状況を示す説明図である。
図8】第2実施形態に係る継手を平面から見た断面図である。
図9】第3実施形態に係る継手を平面から見た断面図である。
図10】第1変形例に係る継手を平面から見た断面図である。
図11】第2変形例に係る継手を平面から見た断面図である。
図12】第3変形例に係る継手を平面から見た断面図である。
図13】第4変形例に係る継手を平面から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、図面を参照し、第1実施形態に係る継手30及び配管構造1を説明する。
図1は、第1実施形態に係る継手30を平面から見た断面図である。図2Aは、図1におけるA矢視断面図である。図2Bは、図1におけるB矢視断面図である。図2Cは、図1におけるC矢視断面図である。図2Dは、図1におけるD矢視断面図である。図3は、第1実施形態に係る継手30を正面から見た断面図である。図4Aは、図3におけるA矢視断面図である。図4Bは、図3におけるB矢視断面図である。図4Cは、図3におけるC矢視断面図である。図4Dは、図3におけるD矢視断面図である。図5は、管路方向が屈曲した状態の第1実施形態に係る配管構造1を平面から見た断面図である。なお、図1から図5は、管軸Xを通る断面を示している。
【0010】
(配管構造)
図5に示すように、第1実施形態に係る配管構造1は、第1保護管10と、第2保護管20と、を備え、継手30を含んでいる。
配管構造1は、継手30を複数連結したものであってよい。第1保護管10、第2保護管20又は継手30のそれぞれの長さ(管軸Xに沿う寸法)は、配管構造1によって形成される管路(管軸Xに沿って内方に形成される、ケーブル等が通る円柱状の空間)に通されるケーブル等の外径、曲率、角度や、管路の内径、曲率、角度に応じて適宜設定される。例えば、図5に示すように、第1保護管10、継手30(一方の継手30)、第2保護管20(他方の継手30)の順で、これらを連結してよい。これにより、所望の曲率で所望の角度を有する管路を形成した配管構造1にできる。
【0011】
第1保護管10又は第2保護管20は、内径、外径及び肉厚が管軸に沿って一律な、いわゆる直管であってよい。第1保護管10と第2保護管20とは、同じサイズであってよい。第1保護管10と第2保護管20とを継手30を介して連結することにより、第1保護管10又は第2保護管20が直管であっても、配管構造1の内方に、曲がったケーブル等を挿通及び配置可能な屈曲した管路を形成できる。
【0012】
第1保護管10又は第2保護管20は、継手30と同形状であってよい。つまり、継手30の第1受口31に連結される第1保護管10は、その継手30と同形状のものであってよい。継手30の第1差口32に連結される第2保護管20は、その継手30と同形状のものであってよい。言い換えると、配管構造1は、継手30を2以上連続して連結されたものであってよい。これにより、同形状の継手30を複数連結した配管構造1を形成できる。継手30の長さと連結する継手30の数に応じて、所望の曲率で所望の角度で曲がった管路を形成できる。
【0013】
例えば、図5に示すように、一方の継手30の第1受口31に嵌る第1保護管10をいわゆる直管とし、一方の継手30の第1差口32に嵌る第2保護管20を他方の継手30としてよい。すなわち、図5に示すように、配管構造1は、複数の継手30同士(一方の継手30と他方の継手30)を連続して連結してもよい。
【0014】
(継手)
図1及び図3に示すように、継手30は、直線状の管軸Xに沿って延びる管状のものである。これにより、曲がった管軸に沿って延びる、いわゆる曲管に比べて、製造コストを低減できる。
【0015】
継手30は、第1保護管10を嵌合する第1受口31を一端31aに有し、第2保護管20を嵌合する第1差口32を他端32aに有し、第1受口31と第1差口32との間に中間部33を有している。
【0016】
第1差口32は、管軸Xに沿って一律な円環状の断面を有している。第1差口32の外径φ2は、第1保護管10の外径と同じであることが好ましい。これにより、継手30の第1受口31に嵌る第1保護管10が、直管であっても、他方の継手30の第1差口32であっても、いずれであってもよくできる。
【0017】
ここで、第1受口31は、一端31aから他端32aに向けて拡径する受口拡径部35を有している。これにより、第1受口31に挿通された状態の第1差口32を、所定の屈曲角度θの範囲内で、回動自在に支持できる。
【0018】
第1受口31の最小内径D1は、第1差口32の外径φ2より大きい。中間部33の最小内径D4は、外径φ2より小さい。このように、第1受口31の最小内径D1は、第1差口32の外径φ2より大きいので、一方の継手30の第1受口31を他方の継手30の第1差口32に嵌めることができる。したがって、同形状の継手30を、複数連続して連結することができる。また、中間部33の最小内径D4は、外径φ2より小さいので、一方の継手30の第1受口31に嵌った状態の他方の継手30の第1差口32の外径φ2の部分が、一方の継手30の中間部33の最小内径D4の部分に干渉する。そのため、一方の継手30の第1受口31に挿通された状態の他方の継手30の第1差口32を、それより奥(一方の継手30の第1差口32側)に移動しないようにできる。第1受口31は、一端31aから他端32aに向けて拡径する受口拡径部35を有しているので、受口拡径部35の内方で、挿通された他方の継手30の第1差口32(又は第1保護管10)を所定の屈曲角度θの範囲内で揺動自在にできる。連続して連結された継手30の管軸Xを所望の屈曲角度θで屈曲して管路方向(管軸Xに沿う方向)を調節することで、所望の曲率に沿って曲がった管路を形成できる。そして、図5に示すように、管路方向を屈曲させた状態にしても、第1受口31に挿通されている第1保護管10の端部10Eの一部を受口拡径部35によって拡径された空間に収めることができ、管路に、ケーブル等の挿通を妨げるような段差が形成されないようにできる。よって、管路方向を調節自在で、ケーブル等を挿通しやすい継手30及び配管構造1を提供できる。
【0019】
第1受口31の管軸Xに沿う第1長さL1は、第1差口32の管軸Xに沿う第2長さL2に等しいことが好ましい。これにより、図5に示すように、一方の継手30の第1差口32を他方の継手30の第1受口31に挿通した状態で、一方の継手30の第1受口31に、他方の継手30の第1差口32を挿通した状態で、他方の継手30の第1差口32の端部30Eを、一方の継手30の受口拡径部35の内方に配置できる。
【0020】
受口拡径部35は、テーパ面35Tを有してよい。これにより、第1受口31に挿通される第1保護管10の側面を、面で受けることができる。よって、管路の屈曲角度θを、確実に規制できる。
【0021】
受口拡径部35は、楕円形状の断面を有してよい。これにより、図2Cに示すように、受口拡径部35の断面を、第1保護管10(又は他方の継手30の第1差口32)の外径φ2より小さい寸法の短軸長D5と、第1保護管10(又は他方の継手30の第1差口32)の外径φ2より大きい寸法の長軸長D2と、を有する楕円形状にできる。よって、継手30の第1受口31に、外径φ2の円形状の外周面を有する第1保護管10(又は他方の継手30の第1差口32)を挿通した状態で、重なる長さを大きくしていくと、第1保護管10の端部10E(又は他方の継手30の端部30E)が受口拡径部35の短軸の部分に干渉する(図5のF部参照)。そのため、一方の継手30の第1受口31に挿通された状態の第1保護管10(又は他方の継手30の第1差口32)を、それより奥(一方の継手30の第1差口32側)に移動しないようにできる。
【0022】
(シールリング)
継手30は、継手30の第1受口31の内周面と第1保護管10(又は他方の継手30の第1差口32の外周面)の外周面との間に配置されるシールリング34を有してよい。シールリング34は、継手30と第1保護管10(又は他方の継手30)との間を、気密的又は水密的にシールする。シールリング34の内径は、第1受口31に第1保護管10(又は他方の継手30の第1差口32)が挿通された状態で、直径方向に圧縮変形して内径が拡がり、第1受口31の最小内径D1となる。シールリング34は、例えば、ゴム輪であってよい。これにより、図5に示すように、継手30は、第1保護管10(又は他方の継手30)をシールリング34により屈曲角度θの範囲で回動自在に支持できる。この際、シールリング34の内方に交点Yを位置させることができる。したがって、配管構造1を、隣接する管軸X同士の交点Yを中心として屈曲角度θで屈曲させることができる。
【0023】
中間部33は、楕円形状の断面を有してよい。これにより、図2Bに示すように、中間部33の断面を、第1保護管10(又は他方の継手30の第1差口32)の外径φ2より小さい寸法の短軸長となる最小内径D4と、第1保護管10(又は他方の継手30の第1差口32)の外径φ2より大きい寸法の長軸長となる最大外径D3と、を有する楕円形状にできる。よって、一方の継手30の第1受口31に、外径φ2の円形状の断面を有する他方の継手30の第1差口32を挿通した状態で、重なる長さを大きくしていくと、一方の継手30の第1受口31の端部が他方の継手30の中間部33の長軸の部分の外周面に干渉する(図5のK部参照)。そのため、一方の継手30の第1受口31に挿通された状態の他方の継手30の第1差口32を、それより奥(一方の継手30の第1差口32側)に移動しないようにできる。
【0024】
例えば、第1保護管10が呼び径100(外径114mm、内径100mm)で、第1受口31と中間部33の合計長さ(有効長)が500mmである場合、継手30の第1受口31での屈曲角度θは5.75°とすることで、図5の様に継手30を2つ使用した5mRの曲率の配管構造1とすることができる。なお、この場合には中間部33の内径は124mm以上とされ、第1差口32の長さは142mmとされる。
また、継手30を3つ使用する場合には屈曲角度θを3.82°とすることで5mRの曲率の配管構造1とすることができる。この場合、第1受口31と中間部33の長さや第1差口32の長さは適宜調整される。継手30を複数個使用することで屈曲角度θは小さくできるが、多数の継手30を使用することにより配管構造1のコストや施工が煩雑となることから、屈曲角度θとしては2.86°以上5.75°以下の範囲で屈曲できるような形状とすることが好ましい。
【0025】
(作用)
配管構造1の作用を、図5から図7を用いて説明する。
図5は、管路方向が屈曲した状態の第1実施形態に係る配管構造1を平面から見た断面図である。図6は、管路方向が屈曲した状態の第1実施形態に係る配管構造1に導通試験棒CMを通している状況を示す説明図である。図7は、管路方向が屈曲した状態の第1実施形態に係る配管構造1に導通試験棒CMを通している状況を示す説明図である。なお、図5から図7は、管軸Xを通る断面を示している。
【0026】
第1保護管10と一方の継手30と他方の継手30(第2保護管20)とを連結して組み立てられた配管構造1の管路を、第1保護管10の管軸X1と、他方の継手30(第2保護管20)の管軸X2とを、継手30の管軸X3と同じ直線上に揃えて管路方向を真っ直ぐにした状態から、図5に示すように、所定の曲率で曲がったケーブル等を通すための管路を形成するため、管軸X3に対して管軸X1及び管軸X2を交差させて、管路方向を屈曲角度θで屈曲した状態にする。すると、第1保護管10の端部10Eは、継手30の第1受口31の受口拡径部35の内面に当接し、それ以上の回動が抑制される。他方、継手30の第1差口32の端部30Eは、他方の継手30の第1受口31の受口拡径部35の内面に当接し、それ以上の回動が抑制される。このように、継手30に対して、継手30に接続された第1保護管10又は第2保護管を、所望の曲率に応じて回動自在にできるとともに、屈曲角度θの最大を規定できる。
また、図5から図7に示すように、一方の継手30の端部10E及び他方の継手30の端部30Eは、一方の継手30及び他方の継手30のそれぞれに形成された受口拡径部35に位置している。そして、図6及び図7に示すように、例えば、配管構造1に挿通される電力ケーブルを模擬した、第1保護管10の内径(外径φ2から肉厚の2倍を差し引いた寸法)より10mm小さい外径と400mmの長さを有する直円柱状の導通試験棒CMを、第1保護管10から継手30を経て、第2保護管20(他方の継手30)まで、円滑に通すことができる。このように、配管構造1によって形成される管路に、ケーブル等を挿通しやすくできる。
【0027】
(第2実施形態)
次に、図面を参照し、第2実施形態に係る継手30及び配管構造1を説明する。なお、第2実施形態の説明において、第1実施形態と共通する機能を有する特徴部には、同じ符号が付される場合がある。なお、第2実施形態の説明において、第1実施形態と共通する機能を有する特徴部の説明は、省略される場合がある。
図8は、第2実施形態に係る継手30を平面から見た断面図である。なお、図8は、管軸Xを通る断面を示している。
【0028】
図8に示すように、第2実施形態に係る配管構造1は、第1実施形態に係る配管構造1と同様に、第1保護管10(図8では不図示)と、第2保護管20(図8では不図示)と、を備える継手30を含んでいる。
【0029】
ここで、第2実施形態に係る継手30の中間部33は、他端32aから離れるに従って拡径する中間拡径部36を有している。なお、中間部33は、管軸Xに沿って一律な円環状断面を有していてよい。中間拡径部36は、管軸Xに沿って一律な円環状断面を有していてよい。すなわち、中間部33及び中間拡径部36は、楕円形状でなくてもよい。これにより、一方の継手30の第1差口32に他方の継手30の第1受口31を嵌める際に、他方の継手30の第1受口31の端部が、一方の継手30に設けられた中間拡径部36の外周面に干渉する。よって、一方の継手30と他方の継手30との重なる長さを規制できる。また、ブロー成形等により簡単に製造できる。
【0030】
(第3実施形態)
次に、図面を参照し、第3実施形態に係る継手30及び配管構造1を説明する。なお、第3実施形態の説明において、第1実施形態又は第2実施形態と共通する機能を有する特徴部には、同じ符号が付される場合がある。なお、第3実施形態の説明において、第1実施形態又は第2実施形態と共通する機能を有する特徴部の説明は、省略される場合がある。
図9は、第3実施形態に係る継手30を平面から見た断面図である。なお、図9は、管軸Xを通る断面を示している。
【0031】
図9に示すように、第3実施形態に係る配管構造1は、第1実施形態に係る配管構造1及び第2実施形態に係る配管構造1と同様に、第1保護管10(図9では不図示)と、第2保護管20(図9では不図示)と、を備える継手30を含んでいる。
【0032】
ここで、第3実施形態に係る継手30の中間部33は、第2実施形態に係る配管構造1と同様に、他端32aから離れるに従って拡径する中間拡径部36を有している。ここで、第3実施形態に係る中間拡径部36は、中間部33における管軸X方向の略中央に設けられている。なお、中間部33は、管軸Xに沿って一律な円環状断面を有していてよい。中間拡径部36は、管軸Xに沿って一律な円環状断面を有していてよい。すなわち、中間部33及び中間拡径部36は、楕円形状でなくてもよい。これにより、一方の継手30の第1差口32に他方の継手30の第1受口31を嵌める際に、他方の継手30の第1受口31の端部が、一方の継手30に設けられた中間拡径部36の外周面に干渉する。よって、一方の継手30と他方の継手30との重なる長さを規制できる。また、ブロー成形等により簡単に製造できる。
【0033】
以上説明したように、第2、第3実施形態に係る継手30は、直線状の管軸Xに沿って延びる管状の継手30である。継手30は、第1保護管10を嵌合する第1受口31を一端31aに有し、第2保護管20を嵌合する第1差口32を他端32aに有し、第1受口31と第1差口32との間に中間部33を有している。第1受口31は、一端31aから他端32aに向けて拡径する受口拡径部35を有している。第1差口32は、管軸Xに沿って一律な円環状の断面を有している。第1受口31の最小内径D1は、第1差口32の外径φ2より大きい。中間部33の最小内径D4は、外径φ2より小さい。このように、第1受口31の最小内径D1は、第1差口32の外径φ2より大きいので、一方の継手30の第1受口31を他方の継手30の第1差口32に嵌めることができる。したがって、同形状の継手30を、複数連続して連結することができる。また、中間部33の最小内径D4は、外径φ2より小さいので、一方の継手30の第1受口31に嵌った状態の他方の継手30の第1差口32の外径φ2の部分が、一方の継手30の中間部33の最小内径D4の部分に干渉する。そのため、一方の継手30の第1受口31に挿通された状態の他方の継手30の第1差口32(または直管)を、それより奥に移動しないようにできる。中間部33のうち、最小内径D4となる部分は、第1受口31におけるストッパーとして機能する。ただし、最小内径D4は、導通試験棒CMの外径よりも大きい(最小内径D4は、第1保護管10の内径(外径φ2から肉厚の2倍を差し引いた寸法)より10mmよりは大きい)。そのため、導通試験棒CMは、最小内径D4となる部分を通過可能である。その上、中間部33には中間拡径部36が設けられている。よって、導通試験棒CMが中間部33に位置しているとき、中間拡径部36によって広がった空間を利用して、導通試験棒CMを管軸Xに対して傾斜させた状態とすることができる。その結果、前記ストッパーを有する継手30を含む配管構造が、管路方向に屈曲した状態であっても、導通試験棒CMが配管内を通過可能となる。第1受口31は、一端31aから他端32aに向けて拡径する受口拡径部35を有しているので、受口拡径部35の内方で、挿通された他方の継手30の第1差口32(又は第1保護管10)を所定の屈曲角度θの範囲内で揺動自在にできる。連続して連結された継手30の管軸Xを所望の屈曲角度θで屈曲して管路方向を調節することで、所望の曲率に沿って曲がった管路を形成できる。そして、図5に示すように、管路方向を屈曲させた状態にしても、第1受口31に挿通されている第1保護管10の端部10Eの一部を受口拡径部35によって拡径された空間に収めることができ、管路に、ケーブル等の挿通を妨げるような段差が形成されないようにできる。よって、管路方向を調節自在で、ケーブル等を挿通しやすい継手30及び配管構造1を提供できる。
【0034】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0035】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
例えば、前記実施形態において、配管構造1に挿通するケーブルとして電力ケーブルの場合で説明したが、これに限るものではなく、通信ケーブルとしてもよく、通信ケーブルの場合、複数のケーブルが挿通され、各ケーブルを収納する複数のさや管が配管構造1を構成する第1保護管10、第2保護管20および継手30の内部に挿通されていてもよい。このように、配管構造1は、電力管路だけでなく、通信管路として用いることも可能である。ただし、電力管路のように、局部的な曲がりがある(曲がりが大きい)配管構造1である方が、本発明の作用効果が顕著に奏功される。
また、前記実施形態において、継手30は一端に第1受口31、他端に第1差口32を有するものとしたが、これに限るものではなく、図10から図13に示す第1~第4変形例に係る継手30A~30Dのように、継手30A~30Dは両端に受口を有するものとしてもよい。すなわち、継手30A~30Dでは、他端32aに、第1差口32に代えて第2受口37を備えている。この場合、両端の受口形状は、図10から図13に示す変形例のように同一でも、これらの変形例とは相違して異なる形状でもよく、例えば、図10から図13に示す変形例のように両端の受口形状がともに受口拡径部35を有していてもよく、これらの変形例とは相違して一端の受口のみ受口拡径部35を有していてもよい。両端の受口が受口拡径部35を備える場合、屈曲角度θは両端の受口で屈曲させた場合の合計が5.75°以下となるようにすることで曲率が5mRの配管構造1とすることもできる。なお、両端が受口である場合、第1保護管10および第2保護管20は、いずれも直管であることが好ましい。
【0036】
ここで、図10図13に示す継手30A~30Dは、例えば、いずれも呼び径100の保護管10、20の継手として用いられる。これらのうち、図10図12に示す継手30A~30Cでは、長さ500mmの導通試験棒CMが通過可能である。
図10に示す継手30Aでは、第1受口31および第2受口37それぞれにおける屈曲角度θが5.75°、受口拡径部35の内径が124mm以上、中間拡径部36の内径が142mm以上である。また、長さ500mmの導通試験棒CMの通過を目指す場合は、継手30Aにおける継手有効長(継手30Aによって接続された保護管10、20(直管)の差口同士の距離)を400mm以上とする必要がある。これにより、例えば、継手30Aによって接続される保護管10、20(直管)の長さを600mmとすることで、継手有効長と直管との足し算が1m(1000mm)となり、継手30Aで11.5度(5.75度×2)屈曲することで、5mRの施工曲率を達成できる。
図11に示す継手30B、および、図12に示す継手30Cはそれぞれ、継手30Aの変形例である。
図10に示す継手30Aでは、中間部33が、中間部33における管軸X方向の端から中央に向けて徐々に拡径する2つの径変化部33aを含み、これらの2つの径変化部33aが、前記中央で直接連なっている。これに対して、図11に示す継手30Bでは、中間部33が、2つの径変化部33aに加え、1つの直管部33bも備えている。継手30Bでは、中間部33の中央部に直管部33bが配置され、直管部33bにおける管軸X方向の両側に径変化部33aが設けられている。なお、中間部33の管軸X方向の中央における内径は、142mm以上である必要はない。例えば、中間部33の管軸X方向の端(受口拡径部35)から中央に向けて90mm以内で内径が133mm以上となるようテーパー構造(径変化部33a)である他の形態を採用することが可能である。
図10に示す継手30Aでは、中間部33の2つの径変化部33a(中間拡径部36)が、図示の断面において、管軸X方向の端から中央に向かうに従い継手30Aの径方向(紙面方向)の両側に拡径している。これに対して、図12に示す継手30Cでは、図示の断面において、径変化部33aが、管軸X方向の端から中央に向かうに従い径方向の片側のみ(図示の例では、紙面上側にのみ)に拡径している。受口拡径部35および中間拡径部36は、配管構造1がなす管路の曲げの外側においてのみ拡径していて、曲げの内側において拡径していなくてもよい。
また、図13に示す継手30Dでは、長さ400mmの導通試験棒CMが通過可能である。すなわち、図10図12に示す継手30A~30Cと、図13に示す継手30Dと、では、通過可能な導通試験棒CMの長さが異なる。図13に示す継手30Dでは、継手有効長が250mm以上でよく、継手30Dがコンパクトにできるので、より低コスト化が可能となる。なお継手有効長としては、例えば、第1受口31の受口拡径部35における最大内径部分と、第2受口37の前記最大内径部分と、の間の管軸X方向の距離が例示される。
【符号の説明】
【0037】
1 配管構造
10 第1保護管
10E (第1保護管の)端部
20 第2保護管
30、30A、30B、30C、30D 継手
30E (継手の)端部
31 第1受口
31a (継手の)一端
32 第1差口
32a (継手の)他端
33 中間部
34 シールリング
35 受口拡径部
35T テーパ面
X 管軸
X1 管軸
X2 管軸
X3 管軸
Y 交点
θ 屈曲角度
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13