(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152317
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】換気装置
(51)【国際特許分類】
F24F 13/02 20060101AFI20231010BHJP
F24F 13/20 20060101ALN20231010BHJP
【FI】
F24F13/02 F
F24F13/20 205
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062225
(22)【出願日】2022-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】西川 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】井上 大輔
【テーマコード(参考)】
3L080
【Fターム(参考)】
3L080AA09
3L080AB02
3L080AC01
3L080AD01
(57)【要約】
【課題】本発明は、風量低下及び異音の発生や設計上の制限を低減するとともに、施工性の改善を図った換気装置を提供することを目的とする。
【解決手段】換気装置としての天井埋込型換気扇1の筐体4は、一側面25の天面側端部から、天面10よりも上方へ突出して設けられた引掛け部12を有し、前記引掛け部12は延出先端から上流方向へ屈曲した係止部23を備える。また、アダプタ設置板13は、上部に上流方向へ延出して天面10に対向する上端延出部15と、係合開口20と、を備える。係止部23は、係合開口20の縁部に当接することで筐体4の上流方向への移動を防止する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口を有する底面と当該底面に対向する天面と前記底面と前記天面とに接続する複数の側面とで形成され一側面に吹出口を有する筐体と、前記吹出口に対向する通風開口と当該通風開口から下流方向へ突出し排気用ダクトに接続するためのアダプタとを有するアダプタ設置板と、を備え、
前記筐体は、
前記吹出口を有する前記一側面の天面側端部から前記天面よりも上方へ延出した引掛け部を備え、
前記アダプタ設置板は、
前記天面の上方にて上端から前記下流方向とは逆方向である上流方向へ延出し前記天面に対向する上端延出部と、
少なくとも前記上端延出部に前記引掛け部と係合するための係合開口と、を備え、
前記引掛け部は、
延出先端から前記上流方向へ屈曲して前記係合開口の縁部に係止され前記筐体の前記上流方向への移動を防止する係止部を備えた換気装置。
【請求項2】
前記一側面と前記アダプタ設置板とは、
それぞれの下端部において締結部材を挿入して互いを締結するための一対の締結孔を備えた請求項1に記載の換気装置。
【請求項3】
前記締結部材は、
前記筐体の内側から前記締結孔に挿入され前記一側面の下端部と前記アダプタ設置板の下端部とを締結し、
前記締結部材と前記係止部とで前記一側面を前記アダプタ設置板の方向に付勢する、請求項2に記載の換気装置。
【請求項4】
前記アダプタ設置板は、
少なくとも一方の側端から前記上流方向へ突出する案内板を備え、
前記案内板は、
当該案内板に沿わせて前記筐体を摺動させて前記引掛け部と前記係合開口とを係合させることで前記筐体と前記アダプタ設置板とを接続する、請求項1に記載の換気装置。
【請求項5】
前記アダプタ設置板は、
少なくとも一方の側端から前記下流方向へ突出し当該アダプタ設置板の湾曲を防ぐ補強部を備えた請求項1に記載の換気装置。
【請求項6】
前記筐体は、
前記吸込口から前記吹出口に空気を導く遠心ファンを備えた請求項1から5に記載の換気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、換気装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、換気装置の一種として天井に設けられた開口に設置するものが知られている。このような天井埋込型換気扇は、天井埋込型換気扇の枠体に設けられた通気口とダクトとを継手パイプを介して接続することで空気を排出する。枠体と継手パイプとを密着させるためには取付板が用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、従来の天井埋込型換気扇について
図6を参照しながら説明する。
図6は天井110の開口部111に挿入装着された従来の天井埋込型換気扇101の断面図である。
【0004】
換気扇本体102は、下面開口104を有する箱状に形成した枠体103と枠体103に内装した送風装置118とを備えている。送風装置118は、吸気グリル105を介して下面開口104から吸い込んだ空気を枠体103の側壁に形成した通気口119より排気する。通気口119の下流側には取付板106が取り付けられる。取付板106は、継手パイプ107を中央に突出一体形成し、継手パイプ107の外側面にダクト109が被嵌接続される。継手パイプ107には風圧にて開閉するシャッタ板108を枢支している。このような構成によって、天井埋込型換気扇101は換気を行う。また、上記構成において、取付板106と換気扇本体102とは下記のように設置される。
【0005】
取付板106は、開口部111に沿って挿入装着され、ダクト109に継手パイプ107が嵌合される保持力によって開口部111の一側縁に取り付け保持される。取付板106の下端には開口部111下面縁に当接して位置決めを行う鍔部113を形成している。鍔部113の中央には切起傾斜片112を形成しており、その先端部が開口部111内に向かう方向に傾斜形成されている。取付板106の上端には換気扇本体102に被さる鍔部120を形成する。鍔部120の中央には切起傾斜片114を形成し、切起傾斜片114を切り起こした後には切起穴123が形成される。
【0006】
換気扇本体102は、枠体103の下縁において開口部111の下面縁に当接し螺子117にて固定する鍔部121を形成している。鍔部113に対向する位置の鍔部121には切起傾斜片112が挿入案内される切起片115と切起穴122を形成している。鍔部120に対向する枠体103の上部には係合突片116を形成している。換気扇本体102の開口部111への挿入時には、取付板106の切起穴123には換気扇本体102の係合突片116が挿入され、取付板106の切起傾斜片112が換気扇本体102の切起穴122に挿入される。そして、係合突片116の切起傾斜片114による案内及び切起傾斜片112の切起片115による案内により、換気扇本体102は取付板106に対して押圧密着する方向に案内されるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような従来の天井埋込型換気扇において、切起傾斜片112及び切起片115は開口部111内に向かう方向へ傾斜形成されるため、吸気グリル105から吸い込んだ空気を遮蔽して風量低下及び異音を発生させるという性能上の課題を有していた。さらに、切起傾斜片112及び切起片115は天井110の下方へ突出するため、設置できる吸気グリル105の高さに設計上の制限が発生するという構造上の課題も有していた。また、換気扇本体102と取付板106とを設置する際に、天井110よりも上での係合(切起穴123及び係合突片116)と天井110よりも下での係合(切起穴122及び切起傾斜片112)との両方を確認する必要があり、施工性の課題も有していた。
【0009】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、風量低下及び異音の発生や設計上の制限を低減するとともに、施工性の改善を図った換気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そして、この目的を達成するため、本発明に係る換気装置は、吸込口を有する底面と当該底面に対向する天面と前記底面と前記天面とに接続する複数の側面とで形成され一側面に吹出口を有する筐体と、前記吹出口に対向する通風開口と当該通風開口から下流方向へ突出し排気用ダクトに接続するためのアダプタとを有するアダプタ設置板と、を備え、前記筐体は、前記吹出口を有する前記一側面の天面側端部から前記天面よりも上方へ延出した引掛け部を備え、前記アダプタ設置板は、前記天面の上方にて上端から前記下流方向とは逆方向である上流方向へ延出し前記天面に対向する上端延出部と、少なくとも前記上端延出部に前記引掛け部と係合するための係合開口と、を備え、前記引掛け部は、延出先端から前記上流方向へ屈曲して前記係合開口の縁部に係止され前記筐体の前記上流方向への移動を防止する係止部を備えたものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、風量低下及び異音の発生や設計上の制限を低減するとともに、施工性の改善を図った換気装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る換気装置としての天井埋込型換気扇の断面図
【
図5】筐体をアダプタ設置板に接続する動きを示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、全図面を通して、同一の部位については同一の符号を付して二度目以降の説明を省略している。さらに、各図面において、本発明に直接には関係しない各部の詳細については説明を省略している。
【0014】
(実施の形態1)
まず
図1及び
図2を参照して、本発明に係る換気装置としての天井埋込型換気扇の構造について説明する。
図1は、本発明に係る天井埋込型換気扇の断面図である。
図2は、本実施の形態に係る天井埋込型換気扇の分解図である。以下の説明にて必要に応じて、天井埋込型換気扇1の設置状態を基準として上方向を鉛直上方、下方向を鉛直下方と称する。また、後述する吹出口9の下流側を下流方向、上流側を上流方向と称する。
【0015】
天井埋込型換気扇1は、換気扇本体2と、ルーバー3と、アダプタ設置板13と、アダプタ5と、を備える。
【0016】
換気扇本体2は、筐体4と、ファンケース6と、送風部7と、を備える。
【0017】
筐体4は、中空角筒形状の金属製の箱体である。筐体4は、底面29と、天面10と、側面11と、を備える。
【0018】
底面29は、天井埋込型換気扇1の設置状態を基準として、筐体4の中空角筒形状における鉛直下方で底面を形成する。底面29は、矩形形状を有し、吸込口8と底面折曲部22と、を備える。
【0019】
吸込口8は、天井埋込型換気扇1を運転した際に筐体4の内部へ空気を吸い込むための開口である。吸込口8は、底面29に矩形の開口として設けられ、例えば底面29の全面にわたって設けられる。
【0020】
底面折曲部22は、矩形の開口を有する中空の略矩形形状であり、内周が底面29の外周に一致して設けられる。
【0021】
天面10は、筐体4の中空角筒形状における鉛直上方で天面を形成する。天面10は、矩形形状を有し、底面29に対向して設けられる。
【0022】
側面11は、筐体4の中空角筒形状における4つの側面を形成する。側面11は、矩形形状を有し、一辺が天面10の端部(一辺)に接続し、他辺が底面29の端部(一辺)に接続して設けられる。側面11は、例えば筐体4の中空角筒形状における4つがすべて同等の面積となるように設けられる。言い換えると、4つの側面11は、外形(外周)がすべて同―である。側面11は、一側面25を備える。
【0023】
一側面25は、4つの側面11のうち後述する排気口17に対向して設けられた側面であり、吹出口9と、引掛け部12と、を備える。
【0024】
吹出口9は、筐体4の内部に吸い込んだ空気を筐体4の外部へ吹き出すための開口である。吹出口9は、例えば一側面25の中央よりも天面側において矩形の開口として設けられる。
【0025】
引掛け部12は、アダプタ設置板13を一側面25に密着させるための部材である。引掛け部12は、一側面25の天面側端部から、鉛直上方へ突出して設けられる。言い換えると引掛け部12は、天井埋込型換気扇1の設置状態を基準として、一側面25の天面側端部から、天面10よりも鉛直上方に延出する。引掛け部12は、基部33と、係止部23とを備える。
【0026】
基部33は、略矩形形状を有する平板であり一側面25と同一平面上に設けられる。基部33は、一側面25の天面側端部、つまり天面側の一辺に設けられる。
【0027】
係止部23は、基部33の上辺から略鉛直上方へさらに延出し、基部33の延出先端から上流方向へ屈曲して設けられる。言い換えると係止部23は、係止部23と基部33とで鈍角を形成するよう設けられる。なお、屈曲には湾曲も含まれる。つまり、係止部23は、基部33の延出先端から上方に向かうにつれて上流方向へ湾曲して設けてもよい。係止部23は、基部33とともに一側面25における天面側端部の中央から延出して設けられる。
【0028】
ファンケース6は、筐体4の内部において送風部7を保護する。ファンケース6は、外周が筐体4の内周に一致して設けられる。言い換えるとファンケース6は、筐体4に内接する。ファンケース6は、給気口16と、排気口17とを備える。
【0029】
給気口16は、ファンケース6の内部へ空気を吸い込むための開口である。給気口16は、吸込口8に対向して設けられる。
【0030】
排気口17は、ファンケース6から空気を排出するための開口である。排気口17は、吹出口9に対向して設けられる。
【0031】
送風部7は、羽根18と、モータ19と、を備える。送風部7は、例えば遠心ファンであり、より好ましくはシロッコファンである。
【0032】
羽根18は、ファンケース6の内部に配置される。羽根18は、円筒形状を有し、円筒形状における底面を吸込口8に対向させて配置される。羽根18は、外周面に複数のフィンを備え、円筒形状における周方向に回転することにより給気口16から吸い込んだ空気を排気口17へ排出する。言い換えると羽根18は、吸込口8から吹出口9方向への気流を発生させる。
【0033】
モータ19は、給電によって回転軸を回転させることにより、回転軸に固定された羽根18を回転駆動する。モータ19は、例えば天面10の中央に固定され、ファンケース6の内部に向けて回転軸を突出させる。
【0034】
ルーバー3は、矩形形状であり、矩形形状における中央部に空気を通過させるための複数のスリットを有する。ルーバー3は、外周が底面29の外周に一致して配置される。ルーバー3は、例えば針金によって筐体4に係合される。
【0035】
アダプタ設置板13は、筐体4とアダプタ5との位置決めを行う矩形形状の部材であり、吹出口9の下流側に設けられる。アダプタ設置板13は、一側面25に対向して配置され、一側面25よりも鉛直上方に長尺に設けられる。言い換えるとアダプタ設置板13の天面側端部は、一側面25の天面側端部よりも上方へ突出する。アダプタ設置板13は、上端延出部15と、下端延出部21と、通風開口30と、係合開口20と、補強部24とを備える。
【0036】
上端延出部15は、アダプタ設置板13の天面側端部において上流方向へ延出して設けられる。上端延出部15は、矩形形状であり、天面10に対向する。
【0037】
下端延出部21は、アダプタ設置板13の天面側端部において下流方向へ延出して設けられる。下端延出部21は、矩形形状であり、底面折曲部22に対向する。
【0038】
通風開口30は、吹出口9から吹き出された空気を通す矩形形状の開口である。通風開口30は、外周が吹出口9の外周に一致して配置される。
【0039】
係合開口20は、引掛け部12を挿入することで筐体4の上部とアダプタ設置板13の上部とを係合させる。係合開口20は、上端延出部15における下流側端部の中央に矩形の上面開口として設けられる。係合開口20は、上記に加えてアダプタ設置板13における天面側端部の中央にも矩形の側面開口を設けてもよい。側面開口を設ける場合には、上面開口と側面開口とが一辺を共有して連通される。
【0040】
補強部24は、アダプタ設置板13の湾曲を抑制する。補強部24は、アダプタ設置板13の少なくとも一方の側端から下流方向へ突出して設けられ、例えばアダプタ設置板13の側端部を折り曲げて形成してもよい。
【0041】
また、筐体4とアダプタ設置板13とは一対の締結孔26を備える。
【0042】
締結孔26は、筐体4の内側から締結部材を挿入することで、筐体4の下部とアダプタ設置板13の下部とを締結させる。締結孔26は、一方が一側面25の下部に設けられ、他方がアダプタ設置板13の下部に設けられた貫通孔である。ここで一側面25に設けられた貫通孔を締結孔26aとし、アダプタ設置板13に設けられた貫通孔を26bとする。締結孔26a及び締結孔26bは同等の大きさを有し、互いに対向して設けられる。
【0043】
締結孔26aは、吹出口9の鉛直下方近傍に設けられる。
【0044】
締結孔26bは、通風開口30の鉛直下方近傍に設けられる。
【0045】
アダプタ5は、排気用ダクトと通風開口30とを接続する通風路であり、アダプタ設置板13の下流側に設けられる。アダプタ5は、ダクト接続部14と、筐体接続部31とを備える。
【0046】
筐体接続部31は矩形の開口を有する中空矩形形状である。筐体接続部31は、通風開口30に対向して、アダプタ設置板13に設けられる。
【0047】
ダクト接続部14は、下流側端部が円形に開口し、上流側端部が矩形に開口した略筒形状を有する。ダクト接続部14は、上流側端部の外周が筐体接続部31の内周に一致して配置される。ダクト接続部14は、例えば下流側端部が屋内と屋外とを連通する排気用ダクトにおける屋内側端部に接続することにより、通風開口30から吹き出された空気を屋外へ導くことが可能となる。
【0048】
続いて
図3を参照して、天井埋込型換気扇1の構造について説明する。
図3は、本実施の形態に係る天井埋込型換気扇の上面視図である。
【0049】
係合開口20は、さらに縁部28を備える。
【0050】
縁部28は、係合開口20に引掛け部12が挿入されたとき、係止部23に当接する。縁部28は、係合開口20の上面開口における上流側の一辺である。
【0051】
アダプタ設置板13は、さらに案内板27を備える。
【0052】
案内板27は、矩形の平板形状でありアダプタ設置板13の少なくとも一方の側端から上流方向へ突出して設けられる。案内板27は、一側面25に直交して突出する。
【0053】
下端延出部21は、さらにネジ孔34を備える。
【0054】
ネジ孔34は、楕円径の貫通孔として等間隔に複数設けられる。本実施の形態においてネジ孔34は、2つ設けられる。
【0055】
続いて
図4及び
図5を参照して、天井に設置されたアダプタ設置板13と筐体4との接続方法について説明する。
図4は本実施の形態に係る天井埋込型換気扇の側面図である。
図5は筐体4を天井に設置されたアダプタ設置板13に接続する動きを示す概略図であり、(a)から(c)の手順で筐体4とアダプタ設置板13との接続を行う。ここで、天井には開口35が設けられ、開口35の外周には木枠32が配置されているとする。
【0056】
まず、アダプタ設置板13を、下端延出部21の上面を木枠32の下面に当接させて天井に固定する。当該固定は、例えばアダプタ設置板13を開口35の鉛直下方から鉛直上方に持ち上げて、天井に設けられた開口35内に配置した状態で、下端延出部21に設けられたネジ孔34から木枠32までネジを貫通させて行われる。
【0057】
続いて筐体4を、開口35の略鉛直下方から略鉛直上方へ移動させてアダプタ設置板13に接続する。言い換えると筐体4は、天井の下側から開口35を通って天井の上側へ移動することでアダプタ設置板13に接続する。
図5(a)に示すように、筐体4の移動の際に天面10を下流側へと傾けて、引掛け部12をアダプタ設置板13上部の係合開口20に挿入する。このとき、一側面25の側端を案内板27に摺動させながら筐体4を移動させることで、引掛け部12を係合開口20へと導くことができる。
【0058】
係合開口20への引掛け部12の挿入が完了した後、アダプタ設置板13と一側面25とが平行となるように筐体4の傾きを戻すことでアダプタ設置板13の下端延出部21の下面に、筐体4の底面折曲部22の上面を当接させる。このとき、吹出口9の外周と通風開口30の外周とが一致して配置される。また、
図5(b)に示すように、引掛け部12の係止部23が係合開口20の縁部28に当接して係合することで筐体4の上流方向への移動を防止する。
【0059】
さらに、
図5(c)に示すように一側面25及びアダプタ設置板13の下部において、一対の締結孔26に締結部材を挿入して、互いを締結させる。締結部材は、筐体4の内側から吹出口9及び通風開口30の鉛直下方近傍に設けられた締結孔26に挿入され、筐体4の下部とアダプタ設置板13の下部とを締結する。このとき、締結部材により筐体4の下部には一側面25の下部を下流方向(アダプタ設置板13側)へ付勢する力が加わる。また、筐体4の上部には係止部23と縁部28との接点を作用点として、一側面25の上部を下流方向(アダプタ設置板側)へ付勢する力が加わる。
【0060】
通常、吹出口9と通風開口30との間には隙間が発生しやすく、風漏れの原因となる。そして、従来技術のように上部の係合(係合突片)と、下部の係合(切起傾斜片)では上部の係合から下部の係合までの距離が長いため、通気口下方での密着性が低く、特に通気口下方における風漏れ対策が十分とは言えない。
【0061】
本実施の形態によれば、筐体4の上部の係合に加えて吹出口9及び通風開口30の鉛直下方近傍を締結することで、吹出口9の外周と通風開口30の外周とを、吹出口9及び通風開口30の上下で強固に密着できる。したがって、吹出口9と通風開口30との間に発生する風漏れを低減できる。
【0062】
また、本実施の形態によれば、開口35近傍に天井の下側へ突出する切起傾斜片を設けることなくアダプタ設置板13と筐体4とを密着させることが可能となる。したがって、当該切起傾斜片による空気の遮蔽が解消され風量低下や異音が発生する可能性を低減できる。さらに、当該切起傾斜片による天井の下側への突出がないため、筐体4に取り付けるルーバー3の高さを自由に設計することができる。
【0063】
また、上記のような構成によれば、アダプタ設置板13と筐体4との接続はすべて天井よりも上側でなされるため、上部の係合(引掛け部12及び係合開口20)と下部の締結(締結孔26及び締結部材)とを天井の上側で同時に確認可能となり施工性が改善される。
【0064】
以上のように、風量低下や異音が発生する可能性や設計上の制限を低減するとともに、施工性の改善を図った換気装置を提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明に係る換気装置は、天井埋込型換気扇はもとより、流路を構成する別々の部品が係合した換気装置である空調機や送風機等に応用が可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 天井埋込型換気扇
2 換気扇本体
3 ルーバー
4 筐体
5 アダプタ
6 ファンケース
7 送風部
8 吸込口
9 吹出口
10 天面
11 側面
12 引掛け部
13 アダプタ設置板
14 ダクト接続部
15 上端延出部
16 給気口
17 排気口
18 羽根
19 モータ
20 係合開口
21 下端延出部
22 底面折曲部
23 係止部
24 補強部
25 一側面
26 締結孔
27 案内板
28 縁部
29 底面
30 通風開口
31 筐体接続部
32 木枠
33 基部
34 ネジ孔
35 開口
101 天井埋込型換気扇
102 換気扇本体
103 枠体
104 下面開口
105 吸気グリル
106 取付板
107 継手パイプ
108 シャッタ板
109 ダクト
110 天井
111 開口部
112 切起傾斜片
113 鍔部
114 切起傾斜片
115 切起片
116 係合突片
117 螺子
118 送風装置
119 通気口
120 鍔部
121 鍔部
122 切起穴
123 切起穴