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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152318
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3205 20060101AFI20231010BHJP
【FI】
H01L21/88 T
H01L21/88 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062226
(22)【出願日】2022-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森山 卓史
【テーマコード(参考)】
5F033
【Fターム(参考)】
5F033HH07
5F033HH08
5F033HH11
5F033HH13
5F033HH17
5F033HH18
5F033HH21
5F033HH33
5F033JJ11
5F033JJ17
5F033JJ18
5F033JJ19
5F033JJ21
5F033KK08
5F033KK11
5F033KK18
5F033KK33
5F033MM01
5F033MM05
5F033MM08
5F033MM13
5F033NN06
5F033NN07
5F033PP06
5F033PP15
5F033PP27
5F033PP28
5F033QQ09
5F033QQ11
5F033QQ19
5F033QQ37
5F033QQ48
5F033QQ76
5F033QQ89
5F033RR03
5F033RR04
5F033RR06
5F033RR22
5F033SS11
5F033TT04
5F033VV07
5F033VV16
5F033WW01
5F033WW03
5F033XX03
5F033XX05
5F033XX21
5F033XX31
(57)【要約】
【課題】半導体装置の信頼性を向上させる。
【解決手段】半導体基板上に形成された多層配線層のうち最上層の配線層には、パッド電極PADが形成されている。絶縁膜IF1は、パッド電極PADを覆うように形成されている。絶縁膜IF1中には、パッド電極PADに到達するように、開口部OP1が形成されている。開口部OP1内において、導電性層OPMの一部である導電性膜PF1が、パッド電極PADに電気的に接続されている。導電性膜PF1の側面には、導電性膜PF1に含まれる材料が酸化された酸化物層OX1が形成されている。酸化物層OX1の幅は、200nm以上である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に形成された多層配線層と、
前記多層配線層のうち最上層の配線層に形成されたパッド電極と、
前記パッド電極を覆うように形成された絶縁膜と、
前記パッド電極に到達するように、前記絶縁膜中に形成された開口部と、
前記開口部内において、前記パッド電極に電気的に接続された第1導電性膜と、
を備え、
前記第1導電性膜の側面には、前記第1導電性膜に含まれる材料が酸化された酸化物層が形成され、
前記酸化物層の幅は、200nm以上である、半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1導電性膜に含まれる前記材料は、銅であり、
前記酸化物層は、酸化銅である、半導体装置。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1導電性膜は、前記絶縁膜上にも形成され、
前記酸化物層は、前記絶縁膜に接している、半導体装置。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1導電性膜上に形成された第2導電性膜と、
前記第2導電性膜上に形成された第3導電性膜と、
前記第3導電性膜に接続されたワイヤボンディングと、
を更に備える、半導体装置。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置において、
前記第3導電性膜のビッカース硬さは、前記第1導電性膜および前記第2導電性膜の各々のビッカース硬さよりも小さく、
前記第3導電性膜の厚さは、前記第1導電性膜および前記第2導電性膜の各々の厚さよりも厚い、半導体装置。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体装置において、
前記第1導電性膜に含まれる前記材料は、銅であり、
前記第2導電性膜に含まれる材料は、ニッケルであり、
前記第3導電性膜に含まれる材料は、金であり、
前記酸化物層は、酸化銅である、半導体装置。
【請求項7】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1導電性膜上に形成された第2導電性膜と、
第1配線を有する実装基板と、
を更に備え、
前記第2導電性膜および前記第1配線は、半田層によって接合されている、半導体装置。
【請求項8】
請求項4に記載の半導体装置において、
前記酸化物層の側面は、前記第2導電性膜および前記第3導電性膜のそれぞれの側面よりも後退している、半導体装置。
【請求項9】
(a)半導体基板上に多層配線層を形成する工程、
(b)前記多層配線層のうち最上層の配線層に形成されたパッド電極を覆うように、絶縁膜を形成する工程、
(c)前記パッド電極に到達するように、前記絶縁膜中に開口部を形成する工程、
(d)前記開口部内の前記パッド電極上に、メッキ法によって第1導電性膜を形成する工程、
(e)前記第1導電性膜に対して酸化処理を行うことで、前記第1導電性膜の側面に、前記第1導電性膜に含まれる材料が酸化された酸化物層を形成する工程、
を備え、
前記酸化物層の幅は、200nm以上である、半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1導電性膜に含まれる前記材料は、銅であり、
前記酸化物層は、酸化銅である、半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の半導体装置の製造方法において、
前記酸化処理は、酸素雰囲気中で行われ、且つ、100℃以上且つ450℃以下の条件下で行われる熱処理であるか、100℃以上且つ250℃以下の条件下で行われる酸素プラズマ処理である、半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項9に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程では、前記第1導電性膜は、前記絶縁膜上にも形成され、
前記酸化物層は、前記絶縁膜に接している、半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項9に記載の半導体装置の製造方法において、
(f)前記(d)工程後であって前記(e)工程前に、前記第1導電性膜上に、メッキ法によって第2導電性膜を形成する工程、
(g)前記(f)工程後であって前記(e)工程前に、前記第2導電性膜上に、メッキ法によって第3導電性膜を形成する工程、
を更に備える、半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第3導電性膜のビッカース硬さは、前記第1導電性膜および前記第2導電性膜の各々のビッカース硬さよりも小さく、
前記第3導電性膜の厚さは、前記第1導電性膜および前記第2導電性膜の各々の厚さよりも厚い、半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項14に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1導電性膜に含まれる前記材料は、銅であり、
前記第2導電性膜に含まれる材料は、ニッケルであり、
前記第3導電性膜に含まれる材料は、金であり、
前記酸化物層は、酸化銅である、半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項14に記載の半導体装置の製造方法において、
(h)前記(e)工程後に、前記第3導電性膜にワイヤボンディングを接続する工程、
を更に備える、半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項9に記載の半導体装置の製造方法において、
(i)前記(d)工程後であって前記(e)工程前に、前記第1導電性膜上に、メッキ法によって第2導電性膜を形成する工程、
(j)前記(i)工程後であって前記(e)工程前に、前記第2導電性膜上に第1半田層を形成する工程、
(k)第1配線と、前記第1配線上に形成された第2半田層とを有する実装基板を用意する工程、
(l)前記(j)工程および前記(k)工程後であって前記(e)工程前に、前記第1半田層と前記第2半田層とを接合する工程、
を更に備える、半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項17に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1導電性膜に含まれる前記材料は、銅であり、
前記酸化物層は、酸化銅であり、
前記酸化処理は、酸素雰囲気中で行われ、且つ、100℃以上且つ200℃以下の条件下で行われる熱処理であるか、100℃以上且つ200℃以下の条件下で行われる酸素プラズマ処理である、半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項13に記載の半導体装置において、
前記酸化物層の側面は、前記第2導電性膜および前記第3導電性膜のそれぞれの側面よりも後退している、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、例えば、パッド電極上に形成された導電性層を有する半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の信頼性を高めるなどの要求から、半導体基板上に形成された多層配線層のうちの最上層配線の一部であるパッド電極上に、OPM(Over Pad Metal)電極と呼ばれる導電性層が形成された構造が提案されている。このOPM電極には、ワイヤボンディングなどの外部接続用部材が接続される。
【0003】
例えば、特許文献1には、パッド電極上に、メッキ法によって導電性層を形成することで、再配線を形成する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-206938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、設計の容易性およびチップ面積の縮小などを目的として、各パッド電極間のスペースを縮小することが行われている。そして、パッド電極上に形成されるOPM電極または再配線などの導電性層でも、各導電性層間のスペースを縮小することが求められている。それ故、導電性層の残渣またはエレクトロマイグレーションなどが要因となり、各導電性層間の絶縁性が低下し、リーク電流が発生し易くなっている。従って、そのような不具合を解消し、半導体装置の信頼性を高める技術が求められる。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願において開示される実施の形態のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0008】
一実施の形態である半導体装置は、半導体基板上に形成された多層配線層と、前記多層配線層のうち最上層の配線層に形成されたパッド電極と、前記パッド電極を覆うように形成された絶縁膜と、前記パッド電極に到達するように、前記絶縁膜中に形成された開口部と、前記開口部内において、前記パッド電極に電気的に接続された第1導電性膜と、を備える。ここで、前記第1導電性膜の側面には、前記第1導電性膜に含まれる材料が酸化された酸化物層が形成され、前記酸化物層の幅は、200nm以上である。
【0009】
一実施の形態である半導体装置の製造方法は、(a)半導体基板上に多層配線層を形成する工程、(b)前記多層配線層のうち最上層の配線層に形成されたパッド電極を覆うように、絶縁膜を形成する工程、(c)前記パッド電極に到達するように、前記絶縁膜中に開口部を形成する工程、(d)前記開口部内の前記パッド電極上に、メッキ法によって第1導電性膜を形成する工程、(e)前記第1導電性膜に対して酸化処理を行うことで、前記第1導電性膜の側面に、前記第1導電性膜に含まれる材料が酸化された酸化物層を形成する工程、を備える。ここで、前記酸化物層の幅は、200nm以上である。
【発明の効果】
【0010】
一実施の形態によれば、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1における半導体装置を示す平面図である。
図2】実施の形態1における半導体装置を示す断面図である。
図3】実施の形態1における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図4図3に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図5図4に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図6図5に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図7図6に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図8図7に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図9図8に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図10図9に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図11】検討例における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図12】実施の形態2における半導体装置を示す断面図である。
図13】実施の形態3における半導体装置を示す断面図である。
図14】実施の形態4における半導体装置を示す断面図である。
図15】実施の形態4の変形例における半導体装置を示す断面図である。
図16】実施の形態4における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図17図16に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図18図17に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図19図18に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図20図19に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図21図20に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0013】
(実施の形態1)
<半導体装置の構造>
以下に図1および図2を用いて、実施の形態1における半導体装置100について説明する。実施の形態1では、半導体装置100が1つの半導体チップである場合について説明するが、半導体装置100は、他の半導体チップとの積層体である場合もあるし、半導体チップが実装基板に設けられた半導体モジュールの場合もある。
【0014】
図1は、半導体装置100を示す平面図である。半導体装置100は、例えばフラッシュメモリなどの不揮発性記憶素子を有するMCU(Memory Controller Unit)であり、平面視において矩形状を成している。図1では、各々の用途で使用される回路を構成する半導体素子が形成されている領域を、回路領域C1~C4として示している。
【0015】
回路領域C1は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、半導体素子として、比較的低い電圧で高速動作する低耐圧MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)が形成されている領域である。回路領域C2は、例えば不揮発性メモリセルであり、半導体素子として、MONOS(Metal Oxide Nitride Oxide Silicon)メモリなどの不揮発性記憶素子が形成されている。回路領域C3は、例えばSRAM(Static Random Access Memory)であり、半導体素子として、回路領域C1とほぼ同様の構造の低耐圧MISFETが形成されている。回路領域C4は、例えばアナログ回路であり、半導体素子として、低耐圧MISFETよりも高い耐圧を有する高耐圧MISFET、容量素子、抵抗素子およびバイポーラトランジスタなどが形成されている領域である。
【0016】
半導体基板上には、多層配線層が形成されており、多層配線層のうち最上層の配線層には、パッド電極PADが形成されている。パッド電極PADは、多層配線層を介して各回路領域C1~C4の半導体素子に電気的に接続されている。導電性層OPMは、パッド電極PAD上に形成され、パッド電極PADを介して多層配線層と電気的に接続されている。半導体装置100には、このようなパッド電極PADおよび導電性層OPMが複数形成されている。
【0017】
図2は、パッド電極PADおよび導電性層OPMを拡大した断面図である。図2に示されるように、半導体装置100の上部には、層間絶縁膜IL4中にダマシン(Damascene)構造の第4配線M4が形成されている。すなわち、第4配線M4は、層間絶縁膜IL4中に形成された溝内に、銅を主体とする導電性膜を埋め込むことで形成されている。
【0018】
なお、実施の形態1の主な特徴は導電性層OPMの構造にあるので、図2では、第4配線M4と、その上層の構造体とが示されており、第4配線M4よりも下層の構造は示されていない。下層の構造体とその製造方法については、後述する<半導体装置の製造方法>で、図3を用いて説明する。
【0019】
第4配線M4上には層間絶縁膜IL5が形成されており、層間絶縁膜IL5中にはビアV4が形成されている。なお、層間絶縁膜IL5は、例えば酸化シリコン膜またはフッ素を添加した酸化シリコン膜であり、ビアV4は、例えばタングステンを主体とする導電性膜である。
【0020】
層間絶縁膜IL5上には第5配線M5が形成されており、第5配線M5は、ビアV4を介して第4配線M4に電気的に接続されている。第5配線M5は多層配線層の最上層に複数形成された配線であり、その複数の配線の一部が、パッド電極PADとして用いられる。パッド電極PADは、バリアメタル膜BM1、バリアメタル膜BM1上に形成された導電性膜AL、および、導電性膜AL上に形成されたバリアメタル膜BM2によって構成されている。バリアメタル膜BM1およびバリアメタル膜BM2は、それぞれ、窒化チタン膜であるか、窒化チタン膜とチタン膜との積層膜である。導電性膜ALは、アルミニウムを主体とする導電性膜である。
【0021】
層間絶縁膜IL5上には、パッド電極PADを覆うように、絶縁膜IF1が形成されている。絶縁膜IF1は、例えば、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜またはポリイミド膜であるか、これらを適宜積層させた積層膜である。絶縁膜IF1の厚さは、例えば200nm以上且つ1000nm以下である。絶縁膜IF1には、パッド電極PADに到達するように、開口部OP1が形成されている。また、開口部OP1内において、バリアメタル膜BM2が除去されている。
【0022】
導電性層OPMは、開口部OP1内を埋め込むように、絶縁膜IF1上に形成され、パッド電極PADに電気的に接続されている。導電性層OPMは、OPM電極構造を成している。導電性層OPMは、バリアメタル膜BM3と、バリアメタル膜BM3上に形成されたシード層SDと、シード層SD上に形成された導電性膜PF1と、導電性膜PF1上に形成された導電性膜PF2と、導電性膜PF2上に形成された導電性膜PF3とを含む。
【0023】
導電性膜PF1およびシード層SDは、例えば銅を主成分とする材料からなる。シード層SDは、最終的には導電性膜PF1に取り込まれて一体化するが、ここでは発明の理解を容易にするために、これらを分けて示している。バリアメタル膜BM3は例えばチタン膜、タンタル膜またはクロム膜であり、導電性膜PF1(銅)の拡散を防止する機能を有する。また、バリアメタル膜BM3は上記材料からなる単層膜でもよいが、これらの単層膜と、窒化チタン膜または窒化タンタル膜のような窒化膜とを積層させた積層膜でもよい。
【0024】
導電性膜PF2は、導電性膜PF1と異なる材料からなり、例えばニッケルを主成分とする材料からなる。導電性膜PF3は、導電性膜PF1および導電性膜PF2と異なる材料からなり、例えば金を主成分とする材料からなる。導電性膜PF3は、ワイヤボンディングWBとの密着性を高めるため、および、導電性層OPMの表面が酸化されることを防止するために設けられた膜である。ワイヤボンディングWBは、導電性膜PF3に接続され、例えば銅または金を主成分とする材料からなる。
【0025】
なお、半導体チップのパッド電極上に形成される外部接続用部材として、ワイヤボンディングWBを用いずに、半田バンプ電極を用いることも考えられる。半田バンプ電極を用いる場合、半導体チップを実装基板に実装する際に、半導体チップに設けられたパッド電極の位置と、実装基板のパッド電極の位置とを正確に一致させる必要がある。そのため、高精度基板が必要になり、基板コストが高価になる。また、半田バンプ電極を半導体チップに形成するために、パッド電極を形成後、再配線工程および半田バンプ電極形成工程が必要になるので、半田バンプ電極の形成は高コストである。従って、外部接続用部材としてワイヤボンディングWBを用いることは、半田バンプ電極と比較して、低コストであるという利点を有する。
【0026】
導電性膜PF1の厚さは、例えば1μm以上且つ2μm以下である。導電性膜PF2の厚さは、例えば1μm以上且つ2μm以下である。導電性膜PF3の厚さは、例えば100nm以上且つ200nm以下である。
【0027】
導電性膜PF1の側面には、導電性膜PF1に含まれる材料が酸化された酸化物層OX1が形成されている。酸化物層OX1は、導電性膜PF1の側面全体を覆っている。そのため、導電性膜PF1は、酸化物層OX1、導電性膜PF2およびバリアメタル膜BM3によって囲まれ、露出されていない。
【0028】
導電性膜PF1が銅を主成分とする材料からなる場合、酸化物層OX1は、CuOまたはCuOのような酸化銅であり、絶縁性を有する。また、酸化物層OX1の幅は、200nm以上であり、例えば200nm以上且つ400nm以下である。なお、本明細書における「幅」とは、厚さ方向に垂直な方向における長さ(厚さ)を意味する。
【0029】
また、図1に示されるように、複数の導電性層OPMは互いに隣接しているが、実施の形態1では、各導電性層OPMの間のスペースは、10μm以下であり、5μm程度である。
【0030】
実施の形態1の主な特徴は、導電性膜PF1の側面に酸化物層OX1が形成されている点にあるが、このような特徴の効果については、後で検討例(図11)を用いて詳細に説明する。
【0031】
<半導体装置の製造方法>
以下に図3図10を用いて、実施の形態1における半導体装置100の製造方法について説明する。図3は、第4配線M4とその下層の構造体とを示す断面図である。図4図10は、第4配線M4とその上層の構造体を示す断面図である。また、ここでは多層配線層が5層の配線層によって構成される場合について説明するが、配線層の数は、5層よりも少なくてもよいし、5層よりも多くてもよい。
【0032】
まず、図3に示されるように、p型の単結晶シリコンなどからなる半導体基板SUBを用意する。この段階では、半導体基板SUBはウェハ状態である。次に、半導体基板SUBに、活性領域を規定する複数の素子分離領域STIを形成する。素子分離領域STIは、半導体基板SUBに溝を形成し、この溝内に、例えば主に酸化シリコンからなる絶縁膜を埋め込むことによって形成できる。
【0033】
次に、半導体基板SUBに不純物を導入してウェル領域WLを形成する。次に、ウェル領域WL上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、ウェル領域WL内に形成されたソース・ドレイン領域とを含むMISFET1QおよびMISFET2Qを、それぞれ形成する。
【0034】
次に、半導体基板SUB上に、MISFET1QおよびMISFET2Qを覆うように、例えばCVD法によって、層間絶縁膜IL0を形成する。層間絶縁膜IL0は、例えば酸化シリコン膜である。次に、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング法によって、層間絶縁膜IL0内にコンタクトホールを形成する。次に、コンタクトホール内に、例えばタングステンからなる金属膜を埋め込むことで、プラグPGを形成する。プラグPGは、MISFET1QまたはMISFET2Qなどに接続される。
【0035】
次に、層間絶縁膜IL0上に、例えばCVD法によって、層間絶縁膜IL1を形成する。層間絶縁膜IL1は、酸化シリコンよりも誘電率の低い材料で構成され、例えばSiOCのような炭素を含む酸化シリコン膜である。第1配線M1は、所謂ダマシン技術を用いて形成される。すなわち、層間絶縁膜IL1内に溝を形成し、溝内に銅を主体とする導電性膜を埋め込み、溝外に形成された導電性膜をCMP(Chemical Mechanical Polishing)法によって除去することで、第1配線M1が形成される。なお、銅と層間絶縁膜IL1との間に、銅の拡散を防止するバリアメタル膜を形成してもよい。なお、第1配線M1は、プラグPGの上面に接続される。
【0036】
次に、層間絶縁膜IL1上に、第1配線M1を覆うように、例えばCVD法によって、層間絶縁膜IL2を形成する。層間絶縁膜IL2は、層間絶縁膜IL1と同様の材料で構成される。次に、層間絶縁膜IL2にビアホールおよび配線用の溝を形成し、ビアホール内および配線用の溝内に銅を主体とする導電性膜を埋め込み、ビアホール外および配線用の溝外に形成された導電性膜をCMP法によって除去することで、ビアV1および第2配線M2が形成される。すなわち、ビアV1および第2配線M2は、ダマシン法の一種であるデュアルダマシン(Dual Damascene)法によって形成されており、一体化している。なお、銅と層間絶縁膜IL2との間に、銅の拡散を防止するバリアメタル膜を形成してもよい。ビアV1は、第1配線M1の上面に接続される。
【0037】
次に、層間絶縁膜IL2上に、第2配線M2を覆うように、例えばCVD法によって、層間絶縁膜IL3を形成する。次に、ビアV1および第2配線M2を形成した時と同様の手法を用いて、層間絶縁膜IL3にビアV2と第3配線M3を形成する。次に、層間絶縁膜IL3上に、第3配線M3を覆うように、例えばCVD法によって、層間絶縁膜IL4を形成する。次に、ビアV1および第2配線M2を形成した時と同様の手法を用いて、層間絶縁膜IL4にビアV3および第4配線M4を形成する。なお、層間絶縁膜IL3および層間絶縁膜IL4の材料は、層間絶縁膜IL2と同様である。
【0038】
次に、図4に示されるように、層間絶縁膜IL4上に、第4配線M4を覆うように、例えばCVD法によって、層間絶縁膜IL5を形成する。層間絶縁膜IL5は、例えば酸化シリコン膜またはフッ素を添加した酸化シリコン膜である。次に、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング法によって、層間絶縁膜IL5にビアホールを形成する。次に、ビアホール内に、例えばタングステンを主体とする導電性膜を埋め込むことで、ビアV4を形成する。ビアV4は第4配線M4の上面に接続される。
【0039】
次に、層間絶縁膜IL5上に第5配線M5を形成する。まず、層間絶縁膜IL5上に、CVD法またはスパッタリング法によって、バリアメタル膜BM1、導電性膜ALおよびバリアメタル膜BM2を順次積層させる。次に、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング法によって、これらの膜をパターニングすることで、第5配線M5が形成される。第5配線M5は、多層配線層の最上層に複数形成される配線であり、そのうちの一部がパッド電極PADとなる。第5配線M5(パッド電極PAD)はビアV4の上面に接続される。
【0040】
次に、層間絶縁膜IL5上に、第5配線M5(パッド電極PAD)を覆うように、CVD法によって、絶縁膜IF1を形成する。次に、パッド電極PADに到達するように、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング法によって、絶縁膜IF1中に開口部OP1を形成する。その後、開口部OP1内に位置するバリアメタル膜BM2を除去する。これにより、開口部OP1内において導電性膜ALが露出する。
【0041】
以上の製造工程を経て、半導体基板SUBと、MISFET1Q、2Qと、パッド電極PADを含む多層配線層と、パッド電極PADを覆うように形成された絶縁膜IF1とが準備される。
【0042】
次に、図5に示されるように、絶縁膜IF1上および開口部OP1内に、例えばCVD法またはスパッタリング法によって、バリアメタル膜BM3を形成する。バリアメタル膜BM3の厚さは、例えば50nm以上且つ200nm以下である。次に、バリアメタル膜BM3上に、例えばスパッタリング法によって、シード層SDを形成する。シード層SDは、後述の導電性膜PF1と同じ材料で構成され、例えば銅を主体とする材料からなる。シード層SDの厚さは、例えば100nm以上且つ300nm以下である。
【0043】
次に、図6に示されるように、シード層SD上に、導電性層OPMが形成される領域が開口されたパターンを有するレジストパターンRP1を形成する。
【0044】
次に、図7に示されるように、開口部OP1内のパッド電極PAD上に、メッキ法によって導電性膜PF1を形成する。導電性膜PF1は、レジストパターンRP1から露出しているシード層SD上に形成される。なお、導電性膜PF1の直下に位置するシード層SDは、導電性膜PF1に取り込まれて一体化するが、発明の理解を容易にするために、ここではこれらを分けて示している。次に、導電性膜PF1上に、メッキ法によって導電性膜PF2を形成する。次に、導電性膜PF2上に、メッキ法によって導電性膜PF3を形成する。
【0045】
次に、図8に示されるように、アッシング処理によってレジストパターンRP1を除去する。
【0046】
次に、図9に示されるように、導電性膜PF1~PF3から露出している領域(導電性膜PF1~PF3が形成されていない領域)において、ウェットエッチング処理によって、シード層SDおよびバリアメタル膜BM3を順次除去する。これにより、導電性層OPMが形成される。
【0047】
また、このウェットエッチング処理は、シード層SDおよびバリアメタル膜BM3を確実に除去するために、オーバーエッチングになるように行われる。そして、導電性膜PF1はシード層SDと同じ材料からなるので、導電性膜PF1の側面もエッチングされる。従って、導電性膜PF1の側面が、導電性膜PF2、PF3の各々の側面よりも後退する。
【0048】
次に、図10に示されるように、導電性膜PF1に対して酸化処理を行うことで、導電性膜PF1の側面に、導電性膜PF1に含まれる材料が酸化された酸化物層OX1を形成する。酸化物層OX1は、例えばCuOまたはCuOのような酸化銅であり、絶縁性を有する。また、酸化物層OX1の幅は、200nm以上であり、例えば200nm以上且つ400nm以下である。
【0049】
上記酸化処理は、酸素雰囲気中で行われ、且つ、100℃以上且つ450℃以下の条件下で行われる熱処理である。また、上記酸化処理は、100℃以上且つ250℃以下の条件下で行われる酸素プラズマ処理であってもよい。
【0050】
また、酸化処理によって酸化物層OX1の体積膨張が起こるので、酸化物層OX1を含む導電性膜PF1の側面が、導電性膜PF2、PF3の各々の側面に近づく。ここでは、導電性膜PF1~PF3の各々の側面が、ほぼ同じ位置になっており、面一になっている。
【0051】
しかし、ウェットエッチング処理の時間を更に多くすることで、導電性膜PF1の側面を更に後退させておき、最終的に、酸化物層OX1を含む導電性膜PF1の側面が、導電性膜PF2、PF3の各々の側面よりも後退している構造にすることもできる。つまり、酸化物層OX1の側面が、導電性膜PF2、PF3の各々の側面よりも内側に位置している。言い換えれば、導電性膜PF2、PF3の各々の側面は、酸化物層OX1の側面よりも突出している。酸化物層OX1の幅と導電性膜PF1の幅との合計(酸化物層OX1を含む導電性膜PF1の幅)は、導電性膜PF2、PF3の各々の幅よりも小さい。ここで、酸化物層OX1の側面とは、酸化物層OX1の導電性膜PF1側とは反対側の側面のことを意味する。その場合、隣接する各導電性膜PF1の間の距離が長くなるので、リーク電流が発生し難くなるという効果がある。
【0052】
その後、以下の製造工程を経て、図2に示される半導体装置100が製造される。まず、ウェハ状態の半導体基板SUBに対してダイシング工程などを行うことで、半導体基板SUBを複数の半導体チップへ個片化する。次に、導電性層OPMにワイヤボンディングWBのような外部接続用部材を接続する。
【0053】
<検討例の半導体装置>
以下に図11を用いて、本願発明者が検討を行った検討例の半導体装置と、その問題点とについて説明する。
【0054】
図11では、互いに隣接する2つの導電性層OPM(2つのパッド電極PAD)が示されている。図11に示されるように、検討例の半導体装置では、導電性膜PF1に対して酸化処理が行われておらず、導電性膜PF1の側面に、酸化物層OX1が形成されていない。
【0055】
ここで、シード層SDおよびバリアメタル膜BM3を除去するためのウェットエッチング処理において、これらが完全に除去されず、絶縁膜IF1上に残渣10として残される場合がある。このような残渣10が絶縁膜IF1上にあると、残渣10がリークパスとして機能し、各導電性層OPM間の絶縁性が低下するので、リーク電流が発生し易くなるという問題がある。
【0056】
また、ウェットエッチング処理の後には、使用されたエッチング溶液が排出されるが、シード層SDを構成する銅が、イオン化してエッチング溶液中に溶け出す現象が起こり得る。そして、エッチング溶液の排出中に、イオン化した銅が絶縁膜IF1上に再付着する場合がある。このように再付着した銅も残渣10と同様に機能するので、各導電性層OPM間において、リーク電流が発生し易くなるという問題がある。
【0057】
また、複数の導電性層OPMのうち数個の導電性層OPMには、大電流が流れるものがある。それ故、エレクトロマイグレーションによって、導電性膜PF1の変形が発生する場合がある。そして、変形した導電性膜PF1が、隣接する導電性層OPMへ近づき、リークパスとして機能するという現象が起こり得る。
【0058】
各導電性層OPMの間のスペースが広ければ、上述のような問題は発生し難い。しかし、近年の微細化の促進に伴って、各パッド電極PADの間のスペースを縮小することが求められ、各導電性層OPMの間のスペースを縮小することが求められている。例えば、従来では、各導電性層OPMの間のスペースが20μm以上であったが、近年では、各導電性層OPMの間のスペースが、10μm以下であり、5μm以下になる場合もある。従って、上述のような問題が発生し易い状態になっている。
【0059】
<実施の形態1の主な特徴>
実施の形態1では、導電性膜PF1に対して酸化処理が行われており、導電性膜PF1の側面に、酸化物層OX1が形成されている。導電性膜PF1は、酸化物層OX1、導電性膜PF2およびバリアメタル膜BM3によって囲まれ、露出されていない。酸化物層OX1は、CuOまたはCuOのような酸化銅であり、導電性膜PF1(銅)よりも高抵抗な膜である。導電性膜PF1の側面が酸化物層OX1によって覆われていることで、エレクトロマイグレーションによる導電性膜PF1の変形が、抑制され易くなっている。
【0060】
また、絶縁膜IF1上に残渣10が残されている場合、および、絶縁膜IF1上で銅の再付着が発生した場合でも、酸化処理によって、導電性膜PF1の側面だけでなく、残渣10および再付着物も酸化される。すなわち、残渣10および再付着物も高抵抗な膜となる。従って、各導電性層OPM間の絶縁性の低下を抑制でき、リーク電流の発生を抑制できるので、半導体装置100の信頼性を向上させることができる。
【0061】
なお、検討例の半導体装置を大気中に放置すると、導電性膜PF1が大気中の酸素と反応して酸化され、導電性膜PF1の側面に自然酸化膜が形成される場合がある。自然酸化膜の厚さは例えば10nm以下であるが、そのような薄い自然酸化膜では、エレクトロマイグレーションによる導電性膜PF1の変形を抑制することは難しく、リーク電流の発生を抑制することも難しいということが、本願発明者の検討によって明らかになっている。更に、絶縁膜IF1上の残渣10および再付着物を十分に酸化することもできない。
【0062】
実施の形態1では、導電性膜PF1の側面に対して積極的に酸化処理を行うことで、酸化物層OX1の幅が、200nm以上となり、上述の各問題を解消できるような幅になっている。
【0063】
(実施の形態2)
以下に図12を用いて、実施の形態2における半導体装置について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点について主に説明し、実施の形態1と重複する点については説明を省略する。
【0064】
実施の形態2では、酸化物層OX1は、絶縁膜IF1に接している。すなわち、酸化物層OX1は、導電性膜PF1の側面だけでなく、バリアメタル膜BM3の側面も覆っている。このような酸化物層OX1の形成は、酸化処理の時間を調整し、酸化物層OX1の体積膨張を大きくすることで達成できる。
【0065】
エレクトロマイグレーションによって、導電性膜PF1の変化が非常に大きかった場合、導電性膜PF1からの応力によって、酸化物層OX1が剥離する恐れがある。ここで、酸化物層OX1が絶縁膜IF1に接していることで、酸化物層OX1の密着性を高くすることができるので、酸化物層OX1の剥離を抑制し易くなる。従って、半導体装置100の信頼性を更に向上させることができる。
【0066】
(実施の形態3)
以下に図13を用いて、実施の形態3における半導体装置について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点について主に説明し、実施の形態1と重複する点については説明を省略する。
【0067】
実施の形態1では、導電性膜PF3の厚さは、導電性膜PF1および導電性膜PF2の各々の厚さよりも薄い。実施の形態3では、導電性膜PF3の厚さは、導電性膜PF1および導電性膜PF2の各々の厚さよりも厚く、例えば2μm以上且つ4μm以下である。
【0068】
ワイヤボンディングWBを導電性層OPMに接続する際に、導電性層OPMには大きな圧力が加えられる。その圧力によって、導電性膜PF1が変形し、酸化物層OX1に覆われていた導電性膜PF1の側面が露出する恐れがある。また、導電性膜PF1が変形する際の衝撃によって、絶縁膜IF1中にクラックが発生する恐れがある。
【0069】
従って、ワイヤボンディングWBの形成時の圧力を吸収するために、導電性層OPMのうち最も柔らかい材料からなる導電性膜PF3の厚さを厚くしている。すなわち、導電性層OPMのうち、ビッカース硬さが最も小さい導電性膜PF3の厚さを厚くしている。それにより、上述の問題を解消できる。
【0070】
なお、導電性膜PF3が金を主成分とする材料からなる場合、導電性膜PF3のビッカース硬さは、70HV以下である。導電性膜PF2がニッケルを主成分とする材料からなる場合、導電性膜PF2のビッカース硬さは、400HV以上且つ500HV以下である。導電性膜PF1が銅を主成分とする材料からなる場合、導電性膜PF1のビッカース硬さは、80HV以上且つ200HV以下である。
【0071】
また、実施の形態2で開示した技術を、実施の形態3に適用することもできる。
【0072】
(実施の形態4)
以下に図14を用いて、実施の形態4における半導体装置について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点について主に説明し、実施の形態1と重複する点については説明を省略する。
【0073】
実施の形態1では、導電性層OPMがOPM電極構造を成していたが、実施の形態4では、導電性層OPMが、Cuピラー構造を成している。また、実施の形態4における半導体装置100は、実装基板20を備えた半導体モジュールである。
【0074】
図14に示されるように、実施の形態4における導電性層OPMは、バリアメタル膜BM3と、シード層SDと、導電性膜PF1と、導電性膜PF2とを含む。実装基板20は、配線21を含む複数の配線を有する。導電性膜PF2および配線21は、半田層SLによって接合されている。
【0075】
実施の形態4でも、実施の形態1と同様に、導電性膜PF1の側面に酸化物層OX1が形成されている。従って、実施の形態4でも、エレクトロマイグレーションによる導電性膜PF1の変形を抑制でき、各導電性層OPM間のリーク電流の発生を抑制できるので、半導体装置100の信頼性を向上させることができる。
【0076】
また、実施の形態2で開示した技術を、実施の形態4に適用することもできる。
【0077】
(変形例)
図15は、実施の形態4の変形例の半導体装置100を示している。図15に示されるように、変形例の導電性層OPMは、開口部OP1内においてパッド電極PAD上に形成され、絶縁膜IF1上には形成されていない。導電性層OPMは、このようなCuピラー構造であってもよい。
【0078】
<実施の形態4における半導体装置の製造方法>
以下に図16図21を用いて、実施の形態4における半導体装置100の製造方法について説明する。以下では、図14のCuピラー構造について説明する。
【0079】
実施の形態4における製造工程は、導電性膜PF2を形成するまでは、実施の形態1と同様である。次に、図16に示されるように、導電性膜PF2上に、半田層SLaを形成する。次に、図17に示されるように、半田層SLaに対してリフロー処理を行う。
【0080】
図17の製造工程の前後で、図18に示されるように、配線21上に形成された半田層SLbを有する実装基板20を用意しておく。なお、半田層SLbに対してもリフロー処理が行われている。上記リフロー処理は、半田層SLa、SLbの表面が酸化されないように、例えば窒素のような不活性ガス雰囲気中で行われる。
【0081】
次に、図19に示されるように、半田層SLaと半田層SLbとを接合する。図19では、接合された半田層SLaおよび半田層SLbが、半田層SLとして示されている。
【0082】
次に、図20に示されるように、導電性膜PF1に対して酸化処理を行うことで、導電性膜PF1の側面に、導電性膜PF1に含まれる材料が酸化された酸化物層OX1を形成する。実施の形態1と同様に、酸化物層OX1は、例えばCuOまたはCuOのような酸化銅であり、酸化物層OX1の幅は、200nm以上であり、例えば200nm以上且つ400nmである。
【0083】
実施の形態4における酸化処理は、半田層SLが溶融しないように、低温で行われる。すなわち、実施の形態4における酸化処理は、酸素雰囲気中で行われ、且つ、100℃以上且つ200℃以下の条件下で行われる熱処理である。また、上記酸化処理は、100℃以上且つ200℃以下の条件下で行われる酸素プラズマ処理であってもよい。
【0084】
次に、図21に示されるように、実装基板20と絶縁膜IF1との間に封止樹脂30を注入し、導電性層OPM、半田層SLおよび配線21を封止樹脂30によって覆う。このようにして、実施の形態4における半導体装置100が製造される。
【0085】
以上、本発明を上記実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0086】
100 半導体装置
10 残渣
20 実装基板
21 配線
30 封止樹脂
1Q、2Q MISFET
AL 導電性膜
BM1、BM2、BM3 バリアメタル膜
C1~C4 回路領域
IF1 絶縁膜
IL0~IL5 層間絶縁膜
M1~M5 第1配線~第5配線
OP1 開口部
OPM 導電性層
OX1 酸化物層
PF1~PF3 導電性膜
PAD パッド電極
PG プラグ
RP1 レジストパターン
SD シード層
SL、SLa、SLb 半田層
STI 素子分離領域
SUB 半導体基板
V1~V4 ビア
WB ワイヤボンディング
WL ウェル領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21