IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社臼杵鋼鈑工業所の特許一覧

<>
  • 特開-除塵システム 図1
  • 特開-除塵システム 図2
  • 特開-除塵システム 図3
  • 特開-除塵システム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152335
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】除塵システム
(51)【国際特許分類】
   E02B 5/08 20060101AFI20231010BHJP
【FI】
E02B5/08 102B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062258
(22)【出願日】2022-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】517143791
【氏名又は名称】株式会社臼杵鋼鈑工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100131842
【弁理士】
【氏名又は名称】加島 広基
(72)【発明者】
【氏名】加嶋 久嗣
(72)【発明者】
【氏名】匹田 春美
(57)【要約】
【課題】除塵機を動作させるのに動力源を必要とすることなく、また設置場所に制約のない除塵システムを提供する。
【解決手段】除塵システム10は、水路2に設置される水車20と、水路2において水車20よりも上流側に設置され、水路2で流れる異物を除去するための除塵機40と、水車20により生じた動力を除塵機40に伝達するための伝達装置30とを備え、除塵機40は、伝達装置30により水車20から伝達された動力により循環移動を行う無端状のスクリーン42と、スクリーン42が掛け渡されるローラ44の回転に同期して回転し、スクリーン42の表面に接触しながら回転する回転ブラシ46とを有している。スクリーン42と回転ブラシ46が接触する箇所においてスクリーン42および回転ブラシ46が反対方向に移動するようローラ44から回転ブラシ46に回転力が伝達されるようになっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水路に設置される水車と、
前記水路において前記水車よりも上流側に設置され、前記水路で流れる異物を除去するための除塵機と、
前記水車により生じた動力を前記除塵機に伝達するための伝達装置と、
を備え、
前記除塵機は、
前記伝達装置により前記水車から伝達された動力により循環移動を行う無端状のスクリーンと、
前記スクリーンが掛け渡されるローラの回転に同期して回転し、前記スクリーンの表面に接触しながら回転する回転ブラシと、
を有しており、
前記スクリーンと前記回転ブラシが接触する箇所において前記スクリーンおよび前記回転ブラシが反対方向に移動するよう前記ローラから前記回転ブラシに回転力が伝達されるようになっている、除塵システム。
【請求項2】
前記除塵機の前記スクリーンはメッシュ状の金属材料を含み、前記金属材料には突起部材が設けられており、前記突起部材により前記金属材料上に異物がすくい上げられる、請求項1記載の除塵システム。
【請求項3】
前記伝達装置には、前記水車により生じた動力の前記除塵機への伝達を選択的に遮断するクラッチが設けられており、前記クラッチには、前記水車により生じた動力の前記除塵機への伝達を遮断するか否かを切り換えるためのレバーが取り付けられている、請求項1記載の除塵システム。
【請求項4】
前記除塵機はその一端が前記水路に入るよう傾斜状態となっており、
前記除塵機における前記水路に入っている前記一端を持ち上げて前記水路から上方に出す持ち上げ装置を更に備えた、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の除塵システム。
【請求項5】
前記持ち上げ装置は、前記除塵機の前記一端の近傍に取り付けられた線状部材と、前記線状部材を巻き取る巻き取り部と、前記巻き取り部を回転させるハンドルとを有しており、
前記ハンドルによって前記巻き取り部が回転させられて前記線状部材が前記巻き取り部に巻き取られることによって前記除塵機の前記一端が持ち上げられる、請求項4記載の除塵システム。
【請求項6】
前記伝達装置は、環状部材と、前記環状部材が掛け渡される一対のプーリとを有しており、一対の前記プーリのうち一方の前記プーリが前記水車の回転軸と同期して回転することにより前記環状部材が循環移動を行うようになっており、他方の前記プーリから前記除塵機に回転力が伝達されることにより前記スクリーンが循環移動を行うようになっている、請求項1記載の除塵システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除塵システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、水路で流れる異物を除去するための除塵機として様々なものが知られている。とりわけ、エンジンやモータ等の動力源を必要としない除塵機として例えば特許文献1等に開示されるものが知られている。特許文献1に開示される除塵機は、水路高が低い河川や農業用水路を利用する小水力発電設備の安定的な取水のため設置される除塵スクリーンおよび水路を流れる水を利用し、スクリーン表面に残存する異物を無電動で自動掃除するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-042647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1等に開示される除塵機は動力源を必要としないものの、水路に高低差がある箇所にしか設置することができないため、設置場所に制約があるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、除塵機を動作させるのに動力源を必要とすることなく、また設置場所に制約のない除塵システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の除塵システムは、
水路に設置される水車と、
前記水路において前記水車よりも上流側に設置され、前記水路で流れる異物を除去するための除塵機と、
前記水車により生じた動力を前記除塵機に伝達するための伝達装置と、
を備え、
前記除塵機は、
前記伝達装置により前記水車から伝達された動力により循環移動を行う無端状のスクリーンと、
前記スクリーンが掛け渡されるローラの回転に同期して回転し、前記スクリーンの表面に接触しながら回転する回転ブラシと、
を有しており、
前記スクリーンと前記回転ブラシが接触する箇所において前記スクリーンおよび前記回転ブラシが反対方向に移動するよう前記ローラから前記回転ブラシに回転力が伝達されるようになっていることを特徴とする。
【0007】
本発明の除塵システムにおいては、
前記除塵機の前記スクリーンはメッシュ状の金属材料を含み、前記金属材料には突起部材が設けられており、前記突起部材により前記金属材料上に異物がすくい上げられてもよい。
【0008】
本発明の除塵システムにおいては、
前記伝達装置には、前記水車により生じた動力の前記除塵機への伝達を選択的に遮断するクラッチが設けられており、前記クラッチには、前記水車により生じた動力の前記除塵機への伝達を遮断するか否かを切り換えるためのレバーが取り付けられていてもよい。
【0009】
本発明の除塵システムにおいては、
前記除塵機はその一端が前記水路に入るよう傾斜状態となっており、
前記除塵機における前記水路に入っている前記一端を持ち上げて前記水路から上方に出す持ち上げ装置を更に備えていてもよい。
【0010】
本発明の除塵システムにおいては、
前記持ち上げ装置は、前記除塵機の前記一端の近傍に取り付けられた線状部材と、前記線状部材を巻き取る巻き取り部と、前記巻き取り部を回転させるハンドルとを有しており、
前記ハンドルによって前記巻き取り部が回転させられて前記線状部材が前記巻き取り部に巻き取られることによって前記除塵機の前記一端が持ち上げられてもよい。
【0011】
本発明の除塵システムにおいては、
前記伝達装置は、環状部材と、前記環状部材が掛け渡される一対のプーリとを有しており、一対の前記プーリのうち一方の前記プーリが前記水車の回転軸と同期して回転することにより前記環状部材が循環移動を行うようになっており、他方の前記プーリから前記除塵機に回転力が伝達されることにより前記スクリーンが循環移動を行うようになっていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の除塵システムによれば、除塵機を動作させるのに動力源を必要とすることなく、また設置場所に制約が生じないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態による除塵システムの概略的な構成を示す側面図である。
図2図1に示す除塵システムの上面図である。
図3図1等に示す除塵システムにおける除塵機の回転ブラシの構成を示す構成図である。
図4図1等に示す除塵システムの除塵機においてスクリーンが掛け渡されるローラの回転力を回転ブラシに伝達する機構を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施の形態による除塵システム10の構成について図1乃至図4を用いて説明する。図1乃至図4に示すように、本実施の形態による除塵システム10は、水路2に設置される水車20と、水路2において水車20よりも上流側に設置され、水路2で流れる小枝、枯葉、生活用ゴミ等の異物を除去するための除塵機40と、水車20により生じた動力を除塵機40に伝達するための伝達装置30とを備えている。ここで、除塵機40はその一端が水路2に入るよう傾斜状態となっている。また、本実施の形態による除塵システム10は、除塵機40における水路2に入っている一端を持ち上げて水路2から上方に出す持ち上げ装置50を更に備えている。このような除塵システム10の各構成要素について以下に詳述する。
【0015】
水車20は、回転軸24を中心として当該回転軸24と一体的に回転する枠体22と、枠体22の外周縁の近傍に取り付けられた複数の板状部材23とを有している。水路2において図1の矢印方向(左方向)に流れる水(図1において参照符号Wで表示)によって板状部材23が押されることにより枠体22および回転軸24が一体的に図1における時計回りの方向に回転するようになっている。図2に示すように、回転軸24の両端にはベアリング26が設けられている。
【0016】
図2に示すように、回転軸24にはブレーキ28が設けられており、このブレーキ28にはハンドル29が取り付けられている。作業者がハンドル29を回転させるとブレーキ28は枠体22および回転軸24の回転を停止させることができるようになっている。
【0017】
除塵機40は、一対のローラ44、45に掛け渡される無端状のスクリーン42と、スクリーン42の表面に接触しながら回転する回転ブラシ46とを有している。スクリーン42は、後述する伝達装置30により水車20から伝達された動力によって図1における矢印方向(反時計回りの方向)に循環移動するようになっている。また、スクリーン42はメッシュ状の金属材料を含んでおり、この金属材料の表面には異物を引っかけるための爪形状の突起部材が複数設けられている。このように、スクリーン42が循環移動を行うことによって、水路2において図1の左方向に流れる水に含まれる異物がスクリーン42の突起部材によりすくい上げられ、図1における左上側までスクリーン42上で移動した異物は図1におけるスクリーン42の左側に置かれている異物ボックス(図示せず)等に入れられるようになっている。
【0018】
図3に示すように、回転ブラシ46は、円柱形状の基部46aと、基部46aから放射状に延びる細長いプラスチック繊維の束46bとを有している。また、回転ブラシ46の基部46aの両端は支持部材46cにより除塵機40の機体に支持されている。このことにより、回転ブラシ46は支持部材46cにより支持されながら回転可能となる。
【0019】
図4に示すように、一対のローラ44、45のうち図1において左上側にあるローラ44にはプーリ62が取り付けられており、ローラ44およびプーリ62は同期して回転するようになっている。また、回転ブラシ46にもプーリ64が取り付けられており、回転ブラシ46およびプーリ64は同期して回転するようになっている。そして、プーリ62、プーリ64およびプーリ66に無端状のゴムベルト68が掛け渡されており、図4においてローラ44およびこのローラ44に取り付けられたプーリ64が反時計回りの方向に回転するとゴムベルト68が矢印方向に循環移動することによりプーリ64が反時計回りの方向に回転し、回転ブラシ46も図4における反時計回りの方向に回転する。
【0020】
伝達装置30は、水車20により生じた動力を除塵機40に伝達するものである。具体的には、伝達装置30は、一対のプーリ34、36に掛け渡された無端状のチェーンベルト32を有しており、一対のプーリ34、36のうち一方のプーリ34は水車20の回転軸24の端部に取り付けられてこの回転軸24と同期して回転するようになっている。また、他方のプーリ36の近傍には減速機38が設けられており、チェーンベルト32を介して水車20から伝達される回転力は減速機38で減速させられて除塵機40のローラ44に伝達されるようになっている。具体的には、ローラ44には軸(図示せず)が取り付けられており、減速機38から回転力が動力伝達機構47によりローラ44の軸に伝達されるようになっている。
【0021】
また、減速機38とローラ44の軸との間に設置される動力伝達機構47にはクラッチ48が設けられており、このクラッチ48にはレバー49が取り付けられている。クラッチ48は、水車20により生じた動力の減速機38からローラ44の軸への伝達を選択的に遮断するようになっている。このようなクラッチ48の切り替えは作業者がレバー49を操作することにより行うことができるようになっている。具体的には、レバー49が図2における実線の位置にあるときには水車20により生じた動力が減速機38からローラ44の軸に伝達されるが、作業者がレバー49を操作して図2における二点鎖線の位置に移動させるとクラッチ48が作動され、このことにより水車20により生じた動力の減速機38からローラ44の軸への伝達が遮断され、水車20が回転しても除塵機40のスクリーン42や回転ブラシ46は動作を行わなくなる。
【0022】
持ち上げ装置50は、除塵機40における水路2に入っている一端を持ち上げて水路2から上方に出すようになっている。具体的には、除塵機40は、一対のローラ44、45のうち図1における左上側にあるローラ44を中心として回転可能となっている。また、持ち上げ装置50は、作業者により操作されるハンドル52と、水平方向に延びる回転軸58と、回転軸58に取り付けられた左右一対の巻き取りローラ59と、各巻き取りローラ59にその一端が取り付けられている左右一対のワイヤ55とを有しており、各ワイヤ55の他端が除塵機40における水路2に入っている一端の近傍(すなわち、ローラ45の近傍の箇所)に取り付けられている。また、回転軸58の両端部には当該回転軸58を支持する左右一対の支持部54が設けられている。支持部54の内部には、ハンドル52の回転力を回転軸58に伝達して当該回転軸58を回転させるギヤ(図示せず)が設けられている。作業者がハンドル52を回すと回転軸58が回転することにより各巻き取りローラ59も回転し、各ワイヤ55が各巻き取りローラ59によって巻き取られることにより、除塵機40における水路2に入っている一端が持ち上げられて除塵機40が水路2から上方に出るようになる。各ワイヤ55が完全に各巻き取りローラ59によって巻き取られた状態になると、除塵機40は水路2の上方において略水平状態となり、このことにより作業者は除塵機40のスクリーン42の清掃や回転ブラシ46の交換等を容易に行うことができるようになる。
【0023】
また、図2に示すように、本実施の形態の除塵システム10では水路2の上方に金網等から構成される足場パネル90が設けられている。このような足場パネル90に作業者が乗ることにより、当該作業者はレバー49やハンドル52等の操作を行うことができるようになる。
【0024】
また、水路2において本実施の形態の除塵システム10の下流側には水力発電を行う発電装置が設置されている。発電装置は例えば水車(水車20とは異なる水車)を有しており、水路2を流れる水によってこの水車が回転することにより発電が行われる。
【0025】
次に、本実施の形態による除塵システム10の動作について説明する。水路2内で図1において矢印方向に流れる水により水車20の板状部材23が押されると、回転軸24を中心として枠体22および回転軸24が一体的に図1における時計回りの方向に回転する。このことにより、回転軸24の端部に取り付けられている伝達装置30のプーリ34が回転し、チェーンベルト32が図1における矢印方向に循環移動を行う。そして、チェーンベルト32が掛け渡されているプーリ36が回転し、減速機38により減速させられた回転力がローラ44の軸に伝達されることにより、このローラ44に掛け渡されているスクリーン42が図1における矢印方向に循環移動する。このことにより、水路2において図1の左方向に流れる水に含まれる異物がスクリーン42の突起部材によりすくい上げられ、図1における左上側までスクリーン42上で移動した異物は図1におけるスクリーン42の左側に置かれている異物ボックス(図示せず)等に入れられる。
【0026】
また、ローラ44が回転するとこのローラ44に取り付けられているプーリ62も図4における反時計回りの方向にローラ44と一体的に回転し、このプーリ62に掛け渡されているゴムベルト68が図4における矢印方向に循環移動する。このことにより、ゴムベルト68が掛け渡されているプーリ64が回転することによってこのプーリ64に取り付けられている回転ブラシ46が図4における反時計回りの方向に回転する。このようにして、スクリーン42の表面に接触しながら回転ブラシ46が回転する。この際に、スクリーン42と回転ブラシ46が接触する箇所においてスクリーン42および回転ブラシ46が反対方向に移動する。このことにより、スクリーン42上に付着した異物が図1における左上側にあるローラ44から下方に落下せずに付着したままであっても、回転ブラシ46によりこの付着したままの異物を掻き落とすことができる。このため、スクリーン42から水路2に異物が戻されてしまうことを防止することができる。
【0027】
次に、本実施の形態による除塵システム10のメンテナンス方法について説明する。例えば年に1回、除塵機40のスクリーン42の清掃や回転ブラシ46が破損している場合は回転ブラシ46の交換が行われる。除塵システム10のメンテナンスを行うにあたり、作業者はまずハンドル29を操作してブレーキ28により水車20の枠体22および回転軸24を一時的に停止させる。次に、作業者はレバー49を操作してクラッチ48により減速機38からローラ44の軸への動力の伝達を遮断する。このことにより、もし仮に水車20が回転を再開しても除塵機40のスクリーン42や回転ブラシ46は動作しなくなる。そして、作業者は持ち上げ装置50のハンドル52を回す。このことにより支持部54により支持されている回転軸58が回転し、回転軸58に取り付けられている各巻き取りローラ59も回転することによって、各ワイヤ55が各巻き取りローラ59によって巻き取られる。このようにして、除塵機40における水路2に入っている一端が持ち上げられて除塵機40が水路2から上方に出る。各ワイヤ55が完全に各巻き取りローラ59によって巻き取られた状態になると、除塵機40は水路2の上方において略水平状態となる。このことにより作業者は除塵機40のスクリーン42の清掃や回転ブラシ46の交換等を行うことができるようになる。
【0028】
以上のような構成からなる本実施の形態の除塵システム10によれば、水路2に設置される水車20と、水路2において水車20よりも上流側に設置され、水路2で流れる異物を除去するための除塵機40と、水車20により生じた動力を除塵機40に伝達するための伝達装置30とを備え、除塵機40は、伝達装置30により水車20から伝達された動力により循環移動を行う無端状のスクリーン42と、スクリーン42が掛け渡されるローラ44の回転に同期して回転し、スクリーン42の表面に接触しながら回転する回転ブラシ46とを有している。そして、スクリーン42と回転ブラシ46が接触する箇所においてスクリーン42および回転ブラシ46が反対方向に移動するようスクリーン42が掛け渡されるローラ44から回転ブラシ46に回転力が伝達されるようになっている。このような除塵システム10によれば、水車20により生じた動力が伝達装置30によって除塵機40に伝達されるため、動力源がなくても除塵機40を作動させることができ、よって除塵システム10が設置される水路2の近傍にエンジン等を設置することが難しい場合でも除塵機40により水路2を流れる異物を除去することができる。また、水路2において除塵機40が水車20の上流側に設置されているため、水車20に異物が絡むことによって当該水車20が停止または性能が低下してしまうというトラブルが発生することを防止することができる。また、スクリーン42が掛け渡されるローラ44の回転に同期してスクリーン42の表面に接触しながら回転する回転ブラシ46が設けられており、スクリーン42と回転ブラシ46が接触する箇所においてスクリーン42および回転ブラシ46が反対方向に移動するようスクリーン42が掛け渡されるローラ44から回転ブラシ46に回転力が伝達されるようになっているため、スクリーン42で掻き取った異物が当該スクリーン42から落下しない場合でも、スクリーン42に残留する異物を回転ブラシ46によって掻き落とすことができる。
【0029】
また、本実施の形態の除塵システム10においては、上述したように、除塵機40のスクリーン42はメッシュ状の金属材料を含み、金属材料には突起部材が形成されており、突起部材により金属材料上に異物がすくい上げられる。この場合は、水路2を流れる異物をより確実にスクリーン42で掻き取ることができる。また、メッシュ状の金属材料から構成されるスクリーン42は強度が大きく破損しにくい。
【0030】
また、本実施の形態の除塵システム10においては、上述したように、伝達装置30には、水車20により生じた動力の除塵機40への伝達を選択的に遮断するクラッチ48が設けられており、クラッチ48には、水車20により生じた動力の除塵機40への伝達を遮断するか否かを切り換えるためのレバー49が取り付けられている。この場合には、作業者が除塵機40のメンテナンスを行う際に、レバー49を操作してクラッチ48によって水車20により生じた動力の除塵機40への伝達を遮断することにより、水車20を回転させたまま除塵機40の動作を停止させて当該除塵機40のメンテナンスを行うことができる。
【0031】
また、本実施の形態の除塵システム10においては、上述したように、除塵機40はその一端が水路2に入るよう傾斜状態となっており、除塵機40における水路2に入っている一端を持ち上げて水路2から上方に出す持ち上げ装置50が設けられている。このような除塵システム10によれば、除塵機40のメンテナンスを行う際に、持ち上げ装置50により除塵機40の一端を水路2から上方に持ち上げることによって、作業者は除塵機40のメンテナンスをより容易に行うことができるようになる。
【0032】
この場合、持ち上げ装置50は、除塵機40の一端の近傍に取り付けられた線状部材(具体的には、ワイヤ55)と、線状部材を巻き取る巻き取り部(具体的には、巻き取りローラ59)と、巻き取り部を回転させるハンドル52とを有しており、ハンドル52によって巻き取り部が回転させられて線状部材が巻き取り部に巻き取られることによって除塵機40の一端が持ち上げられる。このような除塵システム10によれば、作業者はハンドル52を操作するだけで持ち上げ装置50により除塵機40の一端を水路2から上方に持ち上げることができるようになり、メンテナンスを行う際の作業性をより向上させることができる。
【0033】
また、本実施の形態の除塵システム10においては、上述したように、伝達装置30は、環状部材(具体的には、チェーンベルト32)と、環状部材が掛け渡される一対のプーリ34、36とを有しており、一対のプーリ34、36のうち一方のプーリ34が水車20の回転軸24と同期して回転することにより環状部材が循環移動を行うようになっており、他方のプーリ36から除塵機40に回転力が伝達されることによりスクリーン42が循環移動を行うようになっている。この場合には、水路2を流れる水により水車20が回転したときに、この回転力を確実に除塵機40に伝達してスクリーン42を循環移動させることができる。
【0034】
なお、本実施の形態による除塵システムは上述した態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
【0035】
例えば、水車20により生じた動力を除塵機40に伝達するための伝達装置30は、図1乃至図4に示すようなチェーンベルト32および一対のプーリ34、36を有するものに限定されることはない。水車20により生じた動力を除塵機40に伝達することができるものであれば、本発明に係る伝達装置として他の様々な構成のものを用いることができる。
【0036】
また、除塵機40は図1乃至図4に示すような構成のものに限定されることはない。水車20により生じた動力が伝達装置30によって伝達されることにより動作し、水路2を流れる異物を除去できるものであれば、本発明に係る除塵機として他の様々な構成のものを用いることができる。
【符号の説明】
【0037】
2 水路
10 除塵システム
20 水車
22 枠体
23 板状部材
24 回転軸
26 ベアリング
28 ブレーキ
29 ハンドル
30 伝達装置
32 チェーンベルト
34 プーリ
36 プーリ
38 減速機
40 除塵機
42 スクリーン
44 ローラ
45 ローラ
46 回転ブラシ
46a 基部
46b 束
46c 支持部材
47 動力伝達機構
48 クラッチ
49 レバー
50 持ち上げ装置
52 ハンドル
54 支持部
55 ワイヤ
58 回転軸
59 巻き取りローラ
62 プーリ
64 プーリ
66 プーリ
68 ゴムベルト
90 足場パネル
図1
図2
図3
図4