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  • 特開-ルアー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152345
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】ルアー
(51)【国際特許分類】
   A01K 85/10 20060101AFI20231010BHJP
【FI】
A01K85/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062277
(22)【出願日】2022-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】515345115
【氏名又は名称】株式会社issei
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(72)【発明者】
【氏名】赤松 健
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307BA34
2B307BA44
2B307BA47
(57)【要約】
【課題】回転音と接触音とを共に効果的に発することができるルアーを提供する。
【解決手段】軸部13と、軸部13に回転可能に取り付けられる一対のバズブレード5とを備え、一対のバズブレード5は、軸部13の軸回りに当接及び離反可能であるルアー1であり、一対のバズブレード5は、軸部13を挟んで対向するように軸部13の軸回りに回転可能に配される一対の板状部31と、軸部13の軸方向の水流を受けて軸部13の軸回りに回転するように一対の板状部31に連設される一対の回転翼部37と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部と、
前記軸部に回転可能に取り付けられる一対のバズブレードと、
を備え、
前記一対のバズブレードは、前記軸部の軸回りに当接及び離反可能であるルアー。
【請求項2】
前記一対のバズブレードは、
前記軸部を挟んで対向するように前記軸部の軸回りに回転可能に配される一対の板状部と、
前記軸部の軸方向の水流を受けて前記軸部の軸回りに回転するように前記一対の板状部に連設される一対の回転翼部と、
を有する請求項1に記載のルアー。
【請求項3】
水面へと浮上させる浮上手段をさらに備える請求項1又は2に記載のルアー。
【請求項4】
前記浮上手段は、前記軸部の一端側に上向きに傾動可能に配設される浮上用ブレードを含む請求項3に記載のルアー。
【請求項5】
前記軸部の他端側に配設される錘をさらに備える請求項4に記載のルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸部に回転可能に取り付けられるバズブレードを備えるルアーに関する。
【背景技術】
【0002】
疑似餌(ルアー)を用いたルアーフィッシングは、釣り愛好者に根強い人気があり、幅広い世代に亘って盛んに行われている。狙う魚や場所、状況等によって様々な種類のルアーが使用されている。その中でも、水面付近で使用し、水流抵抗を受けて回転するバズブレードの回転音によって集魚するようにしたルアーがある(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1には、上側アームに回転可能に軸着されたバズブレードと、下側アームの後端部に左右及び前後に揺動可能に連結されたブレードとを備え、バズブレードが回転する一方でブレードが揺動すると、バズブレードとブレードとが接触して接触音が生じるように構成されたルアーが記載されている。
【0004】
特許文献1に記載のルアーによれば、バズブレードの回転による回転音と、バズブレード及びブレードの接触による接触音との両方を発生させることができるので、回転音と接触音との相乗効果により、魚に強い興味を持たせるような効果的な集魚音を発することができ、これによって漁獲効果を向上させることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3170756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のルアーでは、回転中のバズブレードに揺動中のブレードが接触することによって接触音を発する構成であるため、バズブレードの回転がブレードとの接触によって妨げられ、バズブレードの回転による回転音の効果が減殺されてしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、回転音と接触音とを共に効果的に発することができるルアーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明に係るルアーの特徴構成は、
軸部と、
前記軸部に回転可能に取り付けられる一対のバズブレードと、
を備え、
前記一対のバズブレードは、前記軸部の軸回りに当接及び離反可能であることにある。
【0009】
本構成のルアーによれば、一対のバズブレードが軸部の軸回りに当接しても、一対のバズブレードが共に軸部の軸回りに回転するため、一対のバズブレード全体の回転が妨げられることはない。従って、一対のバズブレードの回転により回転音を効果的に発することができる。ここで、キャストしたルアーを戻すようにリールを巻く動作(リーリング)を行う際には、ルアーに対する引き力の大きさや引く速さが変化したり、ルアーに対し相対的に生じた水流を受けるバズブレードの形状等に起因してバズブレードの回りに乱流が生じたり、対象魚が生息する川や湖等の水や風の流れが変化したりする。このため、一対のバズブレードに対して作用する軸部の軸回りの力の大きさや向きが時々刻々と変化する。これにより、一対のバズブレードは、軸部の軸回りに当接と離反とを繰り返すことになる。このような一対のバズブレードの当接及び離反の繰り返しによって接触音を効果的に発することができる。こうして、一対のバズブレード全体が回転しながら一対のバズブレードが当接及び離反を繰り返すことによる回転音と接触音との相乗効果により、魚に強い興味を持たせるような効果的な集魚音となり、これによって漁獲効果を向上させることができる。
【0010】
本発明に係るルアーにおいて、
前記一対のバズブレードは、
前記軸部を挟んで対向するように前記軸部の軸回りに回転可能に配される一対の板状部と、
前記軸部の軸方向の水流を受けて前記軸部の軸回りに回転するように前記一対の板状部に連設される一対の回転翼部と、
を有することが好ましい。
【0011】
本構成のルアーによれば、一対のバズブレードは、一対の板状部と一対の回転翼部とを有する。一対の板状部は、軸部を挟んで対向するように軸部の軸回りに回転可能に配されている。これにより、一方の板状部に対し他方の板状部を当接させたり、離反させたりすることができる。一方の板状部に対し他方の板状部が当接しても、一方の板状部と他方の板状部とが共に軸部の軸回りに回転するため、一対のバズブレード全体の回転が妨げられることはない。一対の回転翼部は、軸部の軸方向の水流を受けて軸部の軸回りに回転するように一対の板状部に連設されている。一対の回転翼部が軸部の軸方向の水流を受けると、一対の回転翼部と共に一対の板状部が軸部の軸回りに回転し、一対のバズブレード全体が回転する。こうして、一対のバズブレード全体の回転により回転音を効果的に発しながら、一対の板状部の当接及び離反により接触音を発することができる。
【0012】
本発明に係るルアーにおいて、
水面へと浮上させる浮上手段をさらに備えることが好ましい。
【0013】
本構成のルアーによれば、浮上手段によって水面へと浮上されるので、一対のバズブレードが水面付近に配されることになり、リーリングにより一対のバズブレードを水面付近で回転させながらルアーを引き寄せることができる。これにより、水面付近で水しぶきを上げてルアーを遊動させることができ、回転音及び接触音の相乗効果に加えて、水しぶきの音による効果が相俟ってより効果的な集魚音を発することができる。
【0014】
本発明に係るルアーにおいて、
前記浮上手段は、前記軸部の一端側に上向きに傾動可能に配設される浮上用ブレードを含むことが好ましい。
【0015】
本構成のルアーによれば、軸部の一端側において浮上用ブレードが上向きに傾動すると、リーリングに伴いルアーに対し相対的に生じた水流を浮上用ブレードの下面側で受けることになり、軸部の一端側を上向かせることができて、水面へと確実に浮上させることができる。
【0016】
本発明に係るルアーにおいて、
前記軸部の他端側に配設される錘をさらに備えることが好ましい。
【0017】
本構成のルアーによれば、軸部の他端側に錘が配設されるので、キャスト時に慣性によって飛び続けようとする作用を増大させることができ、より遠くまで飛ばすことができる。また、軸部の一端側を浮上用ブレードにより水面へと浮上させ、軸部の他端側を錘により水中へと潜らせてバランスをとることができるので、軸部の一端側と他端側との間に配される一対のバズブレードを水面付近に確実に配することができる。これにより、水面付近で水しぶきを上げながら、ルアーを安定的に遊動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るルアーの説明図である。
図2図2は、一対のバズブレードの説明図である。
図3図3は、本実施形態のルアーの使用状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明について、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることは意図しない。
【0020】
本明細書においては、本発明のルアーを構成する各部分の位置関係を説明するにあたり、ルアーの実際の使用状態において水面と直交する方向を上下方向とし、ルアーの進行方向に沿った方向を前後方向、上下方向及び前後方向を含む面に直交する方向を左右方向とする。また、ルアーのうちの相対的に水面に近い側又は水面よりも上側を「上側」「上方」と称し、水面から遠い水中側を「下側」「下方」と称し、前後方向のうちの相対的に前に近い側を「前方」、後ろに近い側を「後方」と称する。
【0021】
<ルアーの全体構成>
図1は、本発明の一実施形態に係るルアー1の説明図である。図1(a)は、ルアー1の全体を示す側面図であり、図1(b)は、図1(a)のA矢視要部拡大図である。図1(a)及び(b)に示すように、ルアー1は、棒状体3、一対のバズブレード5、錘7及び釣針9を備えている。これらのうち、一対のバズブレード5は、本発明において特徴的な部材である。
【0022】
<棒状体>
棒状体3は、例えば、ステンレス鋼線のような高張力の線材よりなる。棒状体3は、前端側に配される円環状に形成された環状部11と、環状部11に一体的に連設されて前後方向に延在する軸部13と、軸部13に対し鈍角をなして後方斜め下向きに延在するアーム部15と、アーム部15に対し鈍角をなして後方に延在する支持部17とを有している。ここで、軸部13とアーム部15とは、第一屈曲部19を介して一体的に連設され、アーム部15と支持部17とは、第二屈曲部21を介して一体的に連設されている。
【0023】
<バズブレード>
一対のバズブレード5は、棒状体3の軸部13の軸回りにおける互いの回転領域が略完全に重なるように軸部13に取り付けられている。棒状体3の環状部11と一対のバズブレード5との間には、ストッパ23及び第一ビーズ25がそれぞれ介設されている。ストッパ23は、環状部11に固着されており、一対のバズブレード5の軸部13に沿う前方への移動を、第一ビーズ25を介して止めて環状部11に対する一対のバズブレード5の相対位置を規制する。一対のバズブレード5と棒状体3の第一屈曲部19との間には、第二ビーズ27が介設されている。第一ビーズ25及び第二ビーズ27は、軸部13の軸回りに回転可能に軸部13に装着されており、一対のバズブレード5がストッパ23及び第一屈曲部19に干渉することなくスムーズに回転するようにするためのベアリングとして機能する。
【0024】
図2は、一対のバズブレード5の説明図である。図2(a)~(f)は、一対のバズブレード5の非当接(離反)状態の六面図である。図2(a)は正面図、図2(b)は背面図、図2(c)は右側面図、図2(d)は左側面図、図2(e)は平面図、図2(f)は底面図である。図2(g)は、一対のバズブレード5の非当接(離反)状態の斜視図である。図2(h)は、一対のバズブレード5の図において上部どうしが当接した第一当接状態の正面図である。図2(i)は、一対のバズブレード5の図において下部どうしが当接した第二当接状態の正面図である。図2(a)~(i)においては、一対のバズブレード5と、軸部13とを区別し易いようにするため、一対のバズブレード5を実線で描き、軸部13を点線で描いている。
【0025】
図2(a)及び(b)に示すように、一対のバズブレード5は、軸部13を挟んで対向するように配される一対の板状部31を有している。図2(c)及び(d)に示すように、一対の板状部31のそれぞれは、軸部13の軸方向と当該軸方向と直交する方向にそれぞれ対角線を有するような略菱形状に形成されている。図2(a)~(d)に示すように、各板状部31における軸部13の軸方向に沿う前後両端部には、軸部13と直交するように一対のバズブレード5の内方側に延在するように軸受片33が一体的に連設されている。軸受片33には、軸部13が挿通可能な軸挿通孔35が形成されている。
【0026】
図2(e)~(g)に示すように、一対のバズブレード5においては、各板状部31の前端部及び後端部にそれぞれ連設された軸受片33どうしを前端部と後端部とで軸部13の軸方向に互い違いに重ねるように配し、各軸受片33に設けられた軸挿通孔35に軸部13を挿通することにより、軸部13に回転可能に取り付けられている。
【0027】
図2(a)及び(b)に示すように、一対のバズブレード5は、軸部13を中心として点対称の位置関係となるように配される一対の回転翼部37をさらに有している。図2(c)及び(d)に示すように、一対の回転翼部37は、軸部13の軸方向の水流を受けて軸部13の軸回りに回転するように所定の迎角を付した状態で一対の板状部31に一体的に連設されている。なお、板状部31及び回転翼部37は、一枚の板を折り曲げることによって形成されるが、別々の部材を接着又は溶接することによって形成されてもよい。
【0028】
図2(a)~(g)に示すように、一対のバズブレード5は、軸部13を間に挟むように一対の板状部31が向かい合わせで配設されている。これにより、一対のバズブレード5は、軸部13の軸回りの揺動によって当接及び離反可能である。
【0029】
すなわち、図2(h)及び(i)に示すように、一方側(図において左方側)のバズブレード5と、他方側(図において右方側)のバズブレード5との軸部13の軸回りの揺動は、相対するバズブレード5によって所定の揺動角度の範囲に規制されることになる。これにより、一対のバズブレード5は、所定の揺動角度の範囲において軸部13の軸回りに相互に揺動可能である。従って、一対のバズブレード5は、図2(a)及び(b)に示すような、軸部13の軸回りに離反した状態と、図2(h)に示すような、図において上部どうしが当接した第一当接状態と、図2(i)に示すような、図において下部どうしが当接した第二当接状態との三つの状態に切り替え可能である。
【0030】
上記バズブレード5としては、強度の点、光を反射させる点、高音を発する点等からアルミニウム、マグネシウム、ジュラルミン、銅、ステンレス、鉄、真鍮等の金属板を加工したものを使用することが好ましい。
【0031】
<錘>
図1(a)に示すように、錘7は、釣針9と共に棒状体3の支持部17に一体的に固着されている。本実施形態のルアー1においては、後述する浮上用ブレード41により水面へと確実に浮上させることができるため、通常のバズベイトルアーで用いられる錘の重量よりも大きい重量の錘7を用いることができる。これにより、キャスト時に慣性によって飛び続けようとする作用をより増大させることができ、より遠くまでルアー1を飛ばすことができる。
【0032】
錘7と釣針9との境界部には、釣針9を覆うように後方に延在するラバースカート39が装着されており、対象魚に気づかれないように釣針9を隠すことができるとともに、リーリング時に不規則に動いて対象魚に興味を持たせて誘い出すことに有用となる。
【0033】
<浮上手段(浮上用ブレード)>
図1(a)及び(b)に示すように、本実施形態のルアー1は、当該ルアー1を水面へと浮上させるための浮上手段40をさらに備えている。浮上手段40は、浮上用ブレード41と、円環状のスプリットリング(以下、「ブレード連結用リング」と称する。)43とを含む。図1(b)に示すように、浮上用ブレード41は、平面視舌状の板材よりなり、軸部13の一端(前端)側に配されて、ブレード連結用リング43を介して棒状体3の環状部11に連結されている。ここで、環状部11は、水平面に沿うように円環状に形成され、ブレード連結用リング43は、鉛直面に沿うように円環状に形成されている。従って、浮上用ブレード41は、ブレード連結用リング43の案内によって鉛直面に沿うように移動可能であり、図1(a)において実線及び二点鎖線で示すように、軸部13の一端側において上向きに傾動可能に配設されている。
【0034】
図1(a)及び(b)に示すように、浮上用ブレード41の略中央部には、前後方向に並設された2つの挿通孔に通すように円環状のスプリットリング(以下、「釣糸連結用リング」と称する。)45が装着されている。
【0035】
浮上用ブレード41においては、釣糸連結用リング45に釣糸を直接結び、又は図示されないスナップを介して釣糸を連結し、対象魚が生息する川や湖等の水面に対し釣糸が鋭角をなした状態でリーリングにより釣糸に引張力を作用させると、図1(a)において二点鎖線で示すように、浮上用ブレード41がブレード連結用リング43に沿って上向きに傾動する。
【0036】
浮上用ブレード41としては、強度の点、光を反射させる点等からバズブレード5と同様に金属板を加工したものを使用することが好ましい。
【0037】
<ルアーの使用状態の説明>
図3は、本実施形態のルアー1の使用状態を示す説明図である。図3(a)は、キャストによって飛ばされたルアー1の着水直前の様子を示す図である。図3(b)及び(c)は、リーリングによってルアー1が浮上する様子を示す図である。図3(d)及び(e)は、リーリングによってルアー1が水面付近で遊動する様子を示す図である。
【0038】
図3(a)に示すように、対象魚が生息する川や湖等において、狙い定めたポイントを目掛けてルアー1をキャストする。ルアー1には、比較的重量の大きい錘7が採用されているため、比較的遠いポイントまでルアー1を飛ばすことができる。
【0039】
図3(b)に示すように、ルアー1は、水面に着水後、錘7の作用により程なく水中に沈む。リーリングによりルアー1を釣り手側に引き寄せると、釣糸50及び釣糸連結用リング45を介して浮上用ブレード41に引張力が作用する。このときの引張力は、水面に対し鋭角をなす方向に作用するため、図3(b)の部分拡大図に示すように、浮上用ブレード41がブレード連結用リング43に沿って上向きに傾動する。これにより、リーリングに伴いルアー1に対し相対的に生じた水流を浮上用ブレード41の下面側で受けることになり、軸部13の前端側を上向かせてルアー1を前方斜め上向きの姿勢にすることができて、水面へと確実に浮上させることができる。なお、釣糸50は、釣糸連結用リング45における浮上用ブレード41の下面側に突出した部分に直接結ばれる、又は図示されないスナップを介して連結される。こうすることにより、ブレード連結用リング43に沿って上向きに傾動しようとする浮上用ブレード41が、釣糸50と干渉するのを未然に防ぐことができ、水流抵抗を受けるように浮上用ブレード41の前方斜め上向きの姿勢が安定的に保持される。
【0040】
図3(b)及び(c)に示すルアー1のリーリングによる浮上過程において、一対のバズブレード5における一対の回転翼部37(図2(a)参照)が軸部13の軸方向の水流を受けると、一対の回転翼部37と共に一対の板状部31が軸部13の軸回りに回転し、一対のバズブレード5の全体が回転する。これにより、回転音を効果的に発することができる。また、リーリング時には、ルアー1に対する引き力の大きさや引く速さが変化したり、ルアー1に対し相対的に生じた水流を受けるバズブレード5の形状等に起因してバズブレード5の回りに乱流が生じたり、対象魚が生息する川や湖等の水や風の流れが変化したり、一対のバズブレード5自体の回転の影響で受ける力が変化したりする。このため、一対のバズブレード5に対して作用する軸部13の軸回りの力の大きさや向きが時々刻々と変化する。これにより、一対のバズブレード5は、軸部13の軸回りに当接と離反とを繰り返すことになる(図2(h)及び(i)参照)。このような一対のバズブレード5の当接及び離反の繰り返しによって接触音を効果的に発することができる。こうして、一対のバズブレード5の全体が回転しながら一対のバズブレード5が当接及び離反を繰り返すことによる回転音と接触音との相乗効果により、魚に強い興味を持たせるような効果的な集魚音を発することができる。
【0041】
図3(c)~(d)に示すように、浮上用ブレード41の浮上作用により、図3(d)に示すように、一対のバズブレード5が水面付近に配されることになり、リーリングにより一対のバズブレード5を水面付近で回転させながらルアー1を引き寄せることができる。これにより、図3(d)~(e)に示すように、水面付近で水しぶきを上げてルアー1を遊動させることができ、回転音及び接触音の相乗効果に加えて、水しぶきの音による効果が相俟ってより効果的な集魚音を発することができ、これによって漁獲効果をより向上させることができる。また、リーリングに伴いルアー1に対し相対的に生じた水面付近の水流を浮上用ブレード41の後部下面側が受けることによって軸部13の前端側を浮上用ブレード41により水面へと浮上させ、軸部13の後端側を錘7により水中へと潜らせてバランスをとることができるので、軸部13の前端側と後端側との間に配される一対のバズブレード5を水面付近に確実に配することができる。これにより、水面付近で水しぶきを上げながら、ルアー1を安定的に遊動させることができる。
【0042】
(別実施形態)
上記実施形態では、軸部13の軸回りにおける一対のバズブレード5の互いの回転領域が略完全に重なるように、一対のバズブレード5を軸部13に取り付けた例を示したが、これに限定されるものではなく、一対のバズブレード5の互いの回転領域の一部が重なるように、一対のバズブレード5を軸部13の軸方向にずらして取り付けるようにしてもよい。このような構成によっても、一対のバズブレード5の全体を回転させながら一対のバズブレード5を当接及び離反させることができ、上記実施形態と基本的に同様の効果を得ることができる。
【0043】
以上、本発明のルアーについて、実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明のルアーは、ブラックバスやシーバス等の中型の魚を対象とするものであるが、比較的大きな魚、例えば、コイ、ナマズ、ライギョ等に対して適用することも可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 ルアー
5 バズブレード
7 錘
13 軸部
31 板状部
37 回転翼部
40 浮上手段
41 浮上用ブレード
図1
図2
図3