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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152348
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】硬貨処理装置及び自動取引装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 1/00 20060101AFI20231010BHJP
   G07D 11/10 20190101ALI20231010BHJP
   G07D 11/23 20190101ALI20231010BHJP
【FI】
G07D1/00 B GBB
G07D11/10
G07D11/23
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062286
(22)【出願日】2022-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】大栗 章平
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA08
3E141CA01
3E141FC05
3E141FC12
3E141GA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】運用効率を向上する硬貨処理装置を提供する。
【解決手段】現金自動預払機は、複数の収納部と、収納動作中において受入位置に位置している筒収納部がフル状態になると、受入位置に位置する筒収納部を切り替えた後に、硬貨を受入位置に位置する筒収納部に再び収納する硬貨制御部とを設け、硬貨制御部は、収納しようとしている硬貨の枚数である収納予定枚数と、筒収納部それぞれの空き容量とを金種毎に比較し、収納動作中において受入位置に位置する筒収納部の切り替えが必要となる金種数が所定の金種数閾値以下である場合、収納動作中において受入位置に位置している筒収納部がフル状態になる際に硬貨の搬送を一旦停止させ、受入位置に位置しているフル状態の筒収納部を、フル状態ではない別の筒収納部へ切り替えた後に、硬貨を受入位置に位置する筒収納部に再び収納するようにする。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能であり硬貨を重ねて収納可能な筒状の収納空間が設けられた複数の筒収納部を有し、それぞれ所定の金種が割り当てられた複数の収納部と、
前記硬貨が前記収納空間に収納される受入位置に位置する前記筒収納部を切り替え、前記受入位置に位置している前記筒収納部に前記硬貨を収納させると共に、収納動作中において前記受入位置に位置している前記筒収納部がフル状態になると、前記受入位置に位置する前記筒収納部を切り替えた後に、前記硬貨を前記受入位置に位置する前記筒収納部に再び収納する制御部と
を有し、
前記制御部は、
収納しようとしている前記硬貨の枚数である収納予定枚数と、前記筒収納部それぞれの空き容量とを金種毎に比較し、収納動作中において前記受入位置に位置する前記筒収納部の切り替えが必要となる金種数が所定の金種数閾値以下である場合、収納動作中において前記受入位置に位置している前記筒収納部がフル状態になる際に前記硬貨の搬送を一旦停止させ、前記受入位置に位置しているフル状態の前記筒収納部を、フル状態ではない別の前記筒収納部へ切り替えた後に、前記硬貨を前記受入位置に位置する前記筒収納部に再び収納する
硬貨処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
収納動作中において前記受入位置に位置する前記筒収納部の切り替えが必要となる金種数が前記金種数閾値以下である場合、収納動作中において前記受入位置に位置している前記筒収納部がフル状態になると、未だ前記筒収納部に収納されておらず搬送路上に残留している前記硬貨を一旦前記筒収納部以外の退避部へ搬送させてから、前記受入位置に位置する前記筒収納部を切り替えた後に、前記硬貨を前記受入位置に位置する前記筒収納部に再び収納する
請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項3】
前記退避部は、前記硬貨処理装置から前記硬貨が入出金される入出金部である
請求項2に記載の硬貨処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、
収納動作中において前記受入位置に位置する前記筒収納部の切り替えが必要となる金種数が前記金種数閾値以下である場合、収納動作中において前記受入位置に位置している前記筒収納部がフル状態になると、前記硬貨を前記筒収納部以外へ搬送することなく、前記受入位置に位置する前記筒収納部を切り替えた後に、前記硬貨を前記受入位置に位置する前記筒収納部に再び収納する
請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
収納動作中において前記受入位置に位置する前記筒収納部の切り替えが必要となる金種数が前記金種数閾値以下である場合、収納動作中において前記受入位置に位置している前記筒収納部がフル状態になる分の枚数の前記硬貨を繰出元から搬送路へ繰り出させると前記繰出元からの前記搬送路への前記硬貨の繰り出しを停止させ、前記受入位置に位置する前記筒収納部を切り替えた後に、前記硬貨を前記受入位置に位置する前記筒収納部に再び収納する
請求項4に記載の硬貨処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
収納動作中において前記受入位置に位置する前記筒収納部の切り替えが必要となる金種数が前記金種数閾値以下である場合、収納動作中において前記受入位置に位置している前記筒収納部がフル状態になると、未だ前記筒収納部に収納されておらず搬送路上に残留している前記硬貨の搬送を一旦停止させ、前記受入位置に位置する前記筒収納部を切り替えた後に、前記硬貨を前記受入位置に位置する前記筒収納部に再び収納する
請求項4に記載の硬貨処理装置。
【請求項7】
前記金種数閾値は、1である
請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、
収納動作中において前記受入位置に位置する前記筒収納部の切り替えが必要となる金種数が前記金種数閾値よりも多い場合、収納動作中において前記受入位置に位置しているフル状態になった前記筒収納部に該当する金種の前記硬貨は前記筒収納部以外の退避部へ搬送させる一方、前記受入位置に位置しているフル状態になっていない前記筒収納部に該当する金種の前記硬貨は該筒収納部への収納動作を継続し、収納しきいれない前記硬貨を前記退避部へ搬送させてから、前記受入位置に位置しているフル状態の前記筒収納部を、該筒収納部に該当する金種が割り当てられたフル状態ではない別の前記筒収納部へ切り替えた後に、前記硬貨を前記退避部から搬送させて前記受入位置に位置する前記筒収納部に再び収納する
請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項9】
前記退避部は、前記硬貨処理装置から前記硬貨が入出金される入出金部である
請求項8に記載の硬貨処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記収納予定枚数が全ての前記筒収納部それぞれの空き容量よりも多い金種が前記金種数閾値以下である場合、収納動作中において前記受入位置に位置する前記筒収納部の切り替えが必要となる金種数が前記金種数閾値以下であると判定する
請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項11】
使用者の操作を受け付ける操作部と、
請求項1乃至請求項10の何れかに記載の硬貨処理装置と
を有する自動取引装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は硬貨処理装置及び自動取引装置に関し、例えば顧客に紙幣や硬貨を投入させて所望の取引を行う現金自動預払機(ATM:Automatic Teller Machine)に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金融機関等で使用される現金自動預払機等においては、顧客との取引内容に応じて、例えば顧客に紙幣や硬貨等の現金を入金させ、また顧客へ現金を出金するものが広く普及している。この現金自動預払機としては、例えば硬貨に関する処理を行う硬貨処理装置を内部に有するものがある。硬貨処理装置は、例えば顧客との間で硬貨の授受を行う入出金部と、硬貨を搬送する搬送部と、投入された硬貨の金種や真偽等を識別する識別部(認識部とも呼ぶ)と、金種毎に硬貨を収納する収納部(スタッカ部とも呼ぶ)等を有するものが提案されている。そのような硬貨処理装置においては、筒状のスタッカ部に上方から硬貨を収納するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような硬貨処理装置としては、例えば、図2に示す硬貨処理装置110がある。入金取引において硬貨処理装置110は、顧客によって入出金部13に投入された入金硬貨を上分離部15と認識搬送部16とを通過させて一時保留部23へ搬送する。その後、顧客が入金を承認すると、硬貨処理装置110は、入金硬貨を一時保留部23から上分離部15と認識搬送部16とを通過させてスタッカ部21(スタッカ部21A~21F)へ搬送することにより、各スタッカ部21において硬貨を一列に重ねて収納する筒収納部が3つ配された筒収納部回転体における、所定の受入位置に位置している筒収納部に収納する。硬貨処理装置110は、入金硬貨を全てスタッカ部21の筒収納部に収納し切るか、又は、何れかのスタッカ部21において収納中の筒収納部がフル状態になるまで、受入位置に位置している筒収納部に入金硬貨を収納する。
【0004】
ここで硬貨処理装置110は、入金取引における硬貨収納中に何れかのスタッカ部21において硬貨収納中の何れかの筒収納部がフル状態になると、上分離部15から全ての硬貨を繰り出して入出金部13へ一旦搬送してから、受入位置に位置しているフル状態になった筒収納部を空きのある別の筒収納部に切り替え、その後、上分離部15から硬貨を筒収納部へ再度搬送する。
(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-194418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような硬貨処理装置においては、入金取引における硬貨の搬送中に何れかのスタッカ部21の何れかの筒収納部がフル状態になった際に、上分離部15から入出金部13へ硬貨を搬送する搬送動作が多いため、取引時間の増大の一因となってしまい、運用効率が低下してしまう可能性があった。
【0007】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、運用効率を向上し得る硬貨処理装置及び自動取引装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため本発明の硬貨収納装置においては、移動可能であり硬貨を重ねて収納可能な筒状の収納空間が設けられた複数の筒収納部を有し、それぞれ所定の金種が割り当てられた複数の収納部と、硬貨が収納空間に収納される受入位置に位置する筒収納部を切り替え、受入位置に位置している筒収納部に硬貨を収納させると共に、収納動作中において受入位置に位置している筒収納部がフル状態になると、受入位置に位置する筒収納部を切り替えた後に、硬貨を受入位置に位置する筒収納部に再び収納する制御部とを設け、制御部は、収納しようとしている硬貨の枚数である収納予定枚数と、筒収納部それぞれの空き容量とを金種毎に比較し、収納動作中において受入位置に位置する筒収納部の切り替えが必要となる金種数が所定の金種数閾値以下である場合、収納動作中において受入位置に位置している筒収納部がフル状態になる際に硬貨の搬送を一旦停止させ、受入位置に位置しているフル状態の筒収納部を、フル状態ではない別の筒収納部へ切り替えた後に、硬貨を受入位置に位置する筒収納部に再び収納するようにした。
【0009】
本発明は、収納動作において硬貨の搬送中に受入位置に位置している筒収納部がフル状態になった際に、筒収納部回転体を回転させて受入位置に位置する筒収納部を切り替える前に退避部へ一旦搬送する硬貨の枚数を削減できる。
【0010】
さらに本発明の自動取引装置においては、使用者の操作を受け付ける操作部と、上述した硬貨処理装置とを設けるようにした。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、運用効率を向上し得る硬貨処理装置及び自動取引装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】現金自動預払機の外観構成を示す斜視図である。
図2】硬貨処理装置の内部構成を示す右側面図である。
図3】スタッカユニットの構成を示す斜視図である。
図4】筒収納部回転体の構成(1)を示す斜視図である。
図5】筒収納部回転体の構成(2)を示す右側面図である。
図6】筒収納部回転体の構成(3)を示し、図5におけるA-A矢視断面図である。
図7】入金取引の入金計数処理における硬貨の流れ(1)を示す右側面図である。
図8】入金取引の入金収納処理における硬貨の流れ(2)を示す右側面図である。
図9】出金取引における硬貨の流れを示す右側面図である。
図10】筒収納部が回転する様子を示す平面図である。
図11】収納処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0014】
[1.現金自動預払機の全体構成]
図1に示すように現金自動預払機1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関や各種商業施設等に設置され、使用者(すなわち金融機関や商業施設の顧客等)との間で、入金処理や出金処理等の現金に関する取引を行う。
【0015】
筐体2は、その前側に使用者が対峙した状態で紙幣又は硬貨の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所に応対部3が設けられている。応対部3は、カード入出口4、硬貨入出金口5、操作表示部6、テンキー7及びレシート発行口8が設けられており、使用者との間で例えば現金やカード等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行う。
【0016】
カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードが挿入又は排出される部分である。カード入出口4の奥側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。硬貨入出金口5は、使用者によって入金される硬貨が投入されると共に、使用者へ出金する硬貨が排出される部分である。また硬貨入出金口5は、シャッタを駆動することにより開放又は閉塞する。因みに応対部3には、使用者により入金される紙幣が投入されると共に該使用者へ出金する紙幣が排出される紙幣入出金口(図示せず)等も設けられている。
【0017】
操作表示部6は、取引に際して操作画面や取引内容等を表示する液晶表示パネルと、使用者の入力操作を検知するタッチセンサとが一体化されたタッチパネルである。テンキー7は、「0」~「9」の数字等の入力を受け付ける物理キーであり、暗証番号や取引金額等の入力操作時に用いられる。レシート発行口8は、取引処理の終了時に取引内容等を印字したレシートを発行する部分である。
【0018】
以下では、現金自動預払機1のうち使用者が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、該前側に対峙した使用者から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
【0019】
筐体2の内部には、現金自動預払機1全体を統括制御する主制御部9や、取引対象である硬貨に関する種々の処理を行う硬貨処理装置10や、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣処理装置(図示せず)等が設けられている。主制御部9は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金処理や出金処理等の種々の処理を行う。また主制御部9は、内部にRAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
【0020】
[2.硬貨処理装置の全体構成]
図2に示すように硬貨処理装置10は、硬貨処理装置筐体11の内部に、硬貨に関する種々の処理を行う複数の部分が組み込まれている。この硬貨は、例えば銅及びニッケルの合金やアルミニウム等、十分な強度を有する種々の材料でなり、薄い円板状に形成されている。
【0021】
硬貨処理装置筐体11の内部には、比較的上側に、入出金部13、シュート部14、上分離部15、認識搬送部16、受渡部17、ピンベルト搬送部18、6個のスタッカ部21、出金搬送部22及び一時保留部23が設けられている。また硬貨処理装置筐体11の内部には、比較的下側に、硬貨制御部12、補充回収庫24、第1補充リジェクト庫25、第2補充リジェクト庫26、リジェクト庫27、取忘取込庫28及び下分離部29が設けられている。
【0022】
硬貨制御部12は、主制御部9と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金取引や出金取引等に関する種々の処理を行い、硬貨処理装置10を統括制御する。また硬貨制御部12は、内部にRAM及びフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
【0023】
[2-1.入出金部、シュート部及び上分離部の構成]
入出金部13は、使用者との間で硬貨を受け渡すことにより、該使用者に硬貨を入金させ、又は該使用者に硬貨を出金する。また入出金部13は、使用者により硬貨が投入されると、投入された硬貨をシュート部14に引き渡して該シュート部14内を下降させ、該シュート部14の下側に設けられた上分離部15内に到達させる。また入出金部13は、ピンベルト搬送部18から硬貨が搬送されてくると、該硬貨を集積した後、使用者に受け取らせる。
【0024】
シュート部14は、硬貨の直径よりも十分に大きい内径を有する筒状に形成されており、重力を利用して硬貨を入出金部13から上分離部15へ進行させる。すなわちシュート部14は、硬貨を1枚ずつに分離することなく、複数の硬貨が連なった状態やある程度まとまった状態のまま、複数の硬貨を短時間で移動させる。
【0025】
上分離部15は、大きく分けて、下側の比較的大きい容積を占める部分である集積分離部15Aと、該集積分離部15Aから上方に突出するように形成された分離搬送部15Bとにより構成されている。集積分離部15Aは、シュート部14から硬貨が落下してくると、この硬貨を集積空間内に集積する。また集積分離部15Aは、傾斜円盤15Cを図2中時計回りに回転させることにより、集積された硬貨を適宜撹拌しながら、傾斜円盤15Cに形成された突起に硬貨を1枚ずつ引っ掛け、該硬貨の盤面を該傾斜円盤15Cに対向(すなわち当接)させた姿勢で持ち上げていき、分離搬送部15Bに引き渡す。
【0026】
分離搬送部15Bは、硬貨を案内する搬送ガイドと、該搬送ガイドに沿って走行するピンベルトとを有している。搬送ガイドは、上方へ進行してから後ろ斜め下方向へ屈曲するような搬送経路に沿って形成されている。また搬送ガイドには、搬送経路の左側において硬貨の盤面と対向するガイド面を貫通するようにして、該搬送経路に沿った溝が形成されている。
【0027】
ピンベルトは、搬送ガイドの左側に配置されており、図示しないプーリ等によって搬送経路に沿って走行するように張架されている。このピンベルトは、走行方向に沿って所定間隔毎に搬送ピンが設けられており、搬送ピンの先端が搬送ガイドの溝に入り込むように、ガイド面よりも右側に突出している。分離搬送部15Bは、傾斜円盤15Cの回転と同期するようにピンベルトを走行させることにより、集積分離部15Aから引き渡された硬貨を搬送ガイドに沿って上方向へ搬送してから後ろ斜め下方へ搬送し、認識搬送部16に引き渡す。
【0028】
[2-2.認識搬送部及び受渡部の構成]
認識搬送部16は、シュート部14の右側(図2における紙面の手前側)に位置しており、上分離部15の分離搬送部15Bにより硬貨が搬送されてくると、これを圧接搬送ベルト(図示せず)と搬送ガイド(図示せず)の搬送面との間に挟み込み、圧接搬送ベルトの走行に伴ってこの硬貨を摺動させながら搬送面に沿って後方へ搬送する。やがて認識搬送部16は、この硬貨が撮像部(図示せず)の右側に到達すると、該撮像部により該硬貨を撮像して画像信号を生成し、これを硬貨制御部12へ供給すると共に、引き続き該圧接搬送ベルトの走行によりこの硬貨を後方へ搬送して、後側の受渡部17に引き渡す。
【0029】
受渡部17は、前側の認識搬送部16と後側のピンベルト搬送部18との間に位置しており、搬送ガイドにより硬貨を後ろ斜め下方へ進行させる。これにより受渡部17は、認識搬送部16から受け取った硬貨を、ピンベルト搬送部18による硬貨の搬送経路上に位置させて該ピンベルト搬送部18に引き渡す。このとき受渡部17は、硬貨を1枚ずつ受け渡す。すなわち受渡部17は、認識搬送部16において1枚ずつ認識された硬貨を、1枚ずつに分離された状態を維持したまま、且つ受け取った順序も維持したまま、ピンベルト搬送部18に順次引き渡す。
【0030】
[2-3.ピンベルト搬送部の構成]
ピンベルト搬送部18は、スタッカ部21の前側下部、下側、後側及び上側を取り囲むように配置されている。説明の都合上、以下ではピンベルト搬送部18の前側下部、下側、後側及び上側をそれぞれ前ピンベルト搬送部18F、下ピンベルト搬送部18D、後ピンベルト搬送部18B及び上ピンベルト搬送部18Uと呼ぶ。このうち下ピンベルト搬送部18Dの大部分は、出金搬送部22及び一時保留部23の左側(図2における紙面の奥側)に位置している。
【0031】
ピンベルト搬送部18は、大きく分けて搬送ガイド及びピンベルト(図示せず)により構成されている。搬送ガイドは、硬貨の搬送面を形成し、搬送面を硬貨の盤面と当接させる。ピンベルト搬送部18のうち上ピンベルト搬送部18Uと下ピンベルト搬送部18Dとは、前後方向に沿って硬貨を案内する。また上ピンベルト搬送部18Uは、前端近傍において、前斜め下方向へ屈曲し、入出金部13と接続されている。一方、ピンベルト搬送部18のうち前ピンベルト搬送部18F及び後ピンベルト搬送部18Bは、概ね上下方向に沿って硬貨を案内する。
【0032】
ピンベルトは、搬送ベルト及び搬送ピン(図示せず)により構成されている。搬送ベルトは、可撓性を有する材料によって円環状に形成されている。一方、硬貨処理装置筐体11には、主に搬送ガイドが屈曲する箇所の近傍に、複数のプーリがそれぞれ回転可能に設けられている。搬送ベルトは、各プーリを順次結ぶように張架される。ピンベルト搬送部18は、図示しないモータから一部のプーリに駆動力が伝達されると、該プーリを図2中反時計回りに回転させ、これに伴ってピンベルトを図2中反時計回りとなるように走行させる。これに伴いピンベルト搬送部18は、搬送ガイドの搬送面に硬貨の盤面(すなわち左側面)を寄りかからせた状態で、搬送ピンにより該硬貨に対し搬送方向へ力を加え、該搬送ガイドに沿って進行させることにより、搬送する。
【0033】
このピンベルト搬送部18は、受渡部17から硬貨を受け取ると、この硬貨を前ピンベルト搬送部18Fに沿って下方へ進行させ、さらに下ピンベルト搬送部18Dに沿って後方へ進行させる。続いてピンベルト搬送部18は、この硬貨を後ピンベルト搬送部18Bに沿って上方へ進行させ、さらに上ピンベルト搬送部18Uに沿って前方へ進行させた後、入出金部13へ進行させる。すなわちピンベルト搬送部18は、認識搬送部16から受渡部17を介して受け渡された硬貨を、スタッカ部21の周囲を周回するようにして、概ね環状に形成された搬送経路に沿って入出金部13へ搬送する。
【0034】
かかる構成に加えてピンベルト搬送部18には、6箇所の分岐部が設けられている。この分岐部は、ピンベルト搬送部18を進行する硬貨の進行先を、それぞれ、補充回収庫24へ切り替え可能な前補回分岐部と、第1補充リジェクト庫25又は第2補充リジェクト庫26へ切り替え可能な前リジェクト分岐部と、一時保留部23へ切り替え可能な一時保留分岐部と、リジェクト庫27へ切り替え可能な後第1リジェクト分岐部と、取忘取込庫28へ切り替え可能な後第2リジェクト分岐部と、補充回収庫24が硬貨処理装置筐体11の後側に取り付けられた場合に該補充回収庫24へ切り替え可能な後補回分岐部とにより構成されている。
【0035】
各分岐部は、硬貨制御部12の制御に基づいて分岐板(図示せず)を回動させることにより、硬貨を引き続きピンベルト搬送部18に沿って進行させるか、又は該硬貨をピンベルト搬送部18から分岐させてそれぞれの搬送先へ進行させるかを切り替える。
【0036】
さらにピンベルト搬送部18には、6個のスタッカ部21のそれぞれ上側となる6箇所に、スタッカ分岐部が設けられている。スタッカ分岐部の左側には、硬貨をスタッカ部21へ案内する案内部31が設けられている。各スタッカ分岐部は、硬貨制御部12の制御に基づいて分岐板を回動させることにより、硬貨を引き続きピンベルト搬送部18に沿って進行させるか、又は該硬貨をピンベルト搬送部18から分岐させて各スタッカ部21へ進行させるかを切り替える。
【0037】
このようにピンベルト搬送部18は、認識搬送部16から受渡部17を介して受け渡された硬貨を搬送経路に沿って搬送し、該硬貨の搬送経路を分岐部又はスタッカ分岐部により適宜分岐させて補充回収庫24やスタッカ部21等へ進行させ、又は入出金部13へ進行させる。
【0038】
[2-4.スタッカ部、出金搬送部及び一時保留部の構成]
硬貨処理装置10には、前後方向に沿って6個のスタッカ部21(スタッカ部21A、21B、21C、21D、21E及び21F)が整列配置されている。各スタッカ部21は、それぞれ所定の金種の硬貨と対応付けられている。本実施の形態においては、各スタッカ部21に、例えば500円、100円、50円、10円、5円及び1円といった6種類の金種の1金種ずつがそれぞれ割り当てられている。このスタッカ部21は、案内部31の下側においてスタッカ部21の大部分を占める収納部50と、該収納部50の下側に設けられた繰出機構69とにより構成されている。これらのスタッカ部21は、前後方向に隣接する2つのスタッカ部21毎に、1つのスタッカユニット44として一体化するようにまとめられている。具体的に硬貨処理装置10は、スタッカ部21A及び21Bで1つのスタッカユニット44を構成し、スタッカ部21C及び21Dで1つのスタッカユニット44を構成し、スタッカ部21E及び21Fで1つのスタッカユニット44を構成している。
【0039】
収納部50は、硬貨の盤面をほぼ水平とした姿勢で順次積み上げるようにして、上下方向に沿って集積するように収納するための集積空間が形成された円筒形状の筒収納部56を有している。因みに収納部50では、3つの筒収納部56が設けられており、これらを水平面内で移動させ得るようになっている。案内部31は、スタッカ分岐部から引き渡される硬貨を筒収納部56の上端近傍へ案内し、該筒収納部56内に既に集積されている他の硬貨の上側に載置させる。
【0040】
繰出機構69は、筒収納部56の下端近傍において、該筒収納部56に集積されている硬貨のうち最も下側の1枚を繰り出す。具体的に繰出機構69は、筒収納部56の真下から右側にかけてベルト及びプーリの組み合わせでなる繰出搬送部72(図3)を構成しており、このベルトの上面を右方向へ向けて走行させることにより、筒収納部56内に集積されている最も下側の硬貨を右方向へ搬送して繰り出す。
【0041】
ここで、スタッカ部21は下ピンベルト搬送部18Dのほぼ真上に位置している。またスタッカ部21における繰出機構69は、ベルトの右端を出金搬送部22の真上に、すなわち下ピンベルト搬送部18Dの右側に位置させている。このためスタッカ部21から繰り出された硬貨は、下ピンベルト搬送部18Dへ落下することなく、出金搬送部22又は一時保留部23へ落下する。
【0042】
出金搬送部22は、後側から4個のスタッカ部21、すなわちスタッカ部21C~21Fの右下側に位置している。この出金搬送部22は、上側及び前側が開放された中空の直方体のような形状となっており、内部に硬貨を収容し得る空間を形成している。この出金搬送部22は、硬貨制御部12の制御に基づいてプーリを回転させることにより、ベルトの上面を前方向へ進行させ、該ベルト上に載置若しくは集積されている硬貨を前方向へ搬送し、やがて一時保留部23内へ落下させる。このとき出金搬送部22は、硬貨を1枚ずつに分離することなく、複数の硬貨が連なった状態やある程度まとまった状態のまま、複数の硬貨を短時間で搬送する。
【0043】
一時保留部23は、硬貨を一時的に集積させる箇所であり、出金搬送部22の前側、すなわちスタッカ部21A及び21Bの右下側に位置している。一時保留部23は、スタッカ部21A及び21Bから硬貨が繰り出されて落下してくると、これらを内部空間に収容し、ベルト上に載置させ、若しくは他の硬貨と共に集積させる。また一時保留部23は、出金搬送部22から搬送されてきた硬貨も、内部空間のベルト上に載置若しくは集積させる。このため一時保留部23は、ピンベルト搬送部18から一時保留分岐部を介して硬貨が引き渡されると、この硬貨も内部空間のベルト上に載置若しくは集積させる。
【0044】
この一時保留部23は、ベルトを停止させている場合、内部空間に集積している硬貨をそのまま保持する。一方、一時保留部23は、硬貨制御部12の制御に基づいてベルトの上面を前上方向に走行させた場合、集積している硬貨を前斜め上方へ進行させていき、やがて該ベルトの前端部分から繰り出して上分離部15に受け渡す。上分離部15に受け渡された硬貨は、認識搬送部16へ搬送される。このとき一時保留部23は、出金搬送部22と同様に、硬貨を1枚ずつに分離することなく、複数の硬貨が連なった状態やある程度まとまった状態のまま、複数の硬貨を短時間で搬送する。
【0045】
[2-5.補充回収庫、リジェクト庫等及び下分離部の構成]
補充回収庫24は、硬貨処理装置筐体11の下部前側に設けられており、直方体における後上側部分を仕切って第1補充リジェクト庫25及び第2補充リジェクト庫26とした場合の残った部分となっている。この補充回収庫24は、ピンベルト搬送部18から前補回分岐部を介して硬貨が進行してくると、この硬貨を内部に進行させて集積する。また補充回収庫24は、内部のベルトを停止させている場合には、硬貨を集積した状態を保持する一方、硬貨制御部12の制御に基づいてベルトの上面を後方へ進行させるように走行させた場合、この硬貨を後方へ搬送して該ベルトの後端近傍から補充回収庫24の後方へ繰り出す。
【0046】
第1補充リジェクト庫25は、補充回収庫24の後上側における右側に位置しており、該補充回収庫24と比較して十分に小さい直方体状に形成されている。また第1補充リジェクト庫25は、補充回収庫24と同様に、内部に硬貨を集積する空間が形成されている。この第1補充リジェクト庫25は、ピンベルト搬送部18から前リジェクト分岐部を介して硬貨が進行してくると、この硬貨を内部に収容する。
【0047】
第2補充リジェクト庫26は、第1補充リジェクト庫25の左側に位置しており、該第1補充リジェクト庫25とほぼ同様に構成されている。この第2補充リジェクト庫26は、ピンベルト搬送部18から前リジェクト分岐部と、該前リジェクト分岐部よりも下側に設けられた前第2リジェクト分岐部とを順次介して硬貨が進行してくると、この硬貨を内部に収容する。
【0048】
リジェクト庫27は、第1補充リジェクト庫25と同様に構成されており、後第1リジェクト分岐部を介して硬貨が進行してくると、この硬貨を内部に収容する。取忘取込庫28は、リジェクト庫27の左側に設けられており、第2補充リジェクト庫26と同様に構成されており、後第2リジェクト分岐部を介して硬貨が進行してくると、この硬貨を内部に収容する。
【0049】
下分離部29は、硬貨処理装置筐体11の下部における中央付近であり、補充回収庫24の後側に隣接する位置に配置されている。この下分離部29は、上分離部15と類似した構成となっており、集積分離部15A、分離搬送部15B及び傾斜円盤15Cとそれぞれ対応する集積分離部29A、分離搬送部29B及び傾斜円盤29Cにより構成されている。集積分離部29Aは、内部の傾斜円盤29Cを回転させることにより、集積されている硬貨を1枚ずつに分離して分離搬送部29Bに引き渡す。分離搬送部29Bは、集積分離部29Aから受け取った硬貨を1枚ずつ上方へ持ち上げるように搬送し、一時保留部23の放出口から一時保留部23の内部の空間へ放出する。
【0050】
このように下分離部29は、硬貨処理装置10内において比較的下側に位置する補充回収庫24から繰り出された硬貨を、これよりも上側に位置する一時保留部23へ搬送する。
【0051】
[3.各種処理における硬貨の搬送]
次に、硬貨処理装置10において硬貨の搬送を伴う種々の処理、すなわち入金処理及び出金処理等における硬貨の搬送や集積等について説明する。ここでは、現金自動預払機1と顧客との間で入金取引及び出金取引を行う場合における硬貨処理装置10での処理についてそれぞれ説明する。
【0052】
[3-1.入金取引における硬貨の搬送]
まず、現金自動預払機1(図1)において顧客との間で入金取引が行われる場合について説明する。この場合、硬貨処理装置10は、前段の入金計数処理により、図7に示すように、顧客に入金された硬貨の金種等を認識しながら枚数を計数し、これに続く後段の入金収納処理により、図8に示すように、各硬貨を適切な収納箇所へ搬送して収納する。
【0053】
具体的に硬貨処理装置10の硬貨制御部12は、現金自動預払機1の主制御部9(図1)と連携することにより、操作表示部6(図1)を介して顧客から入金取引を開始する旨の操作入力を受け付けると、入金計数処理を開始する。
【0054】
このとき硬貨制御部12は、まず主制御部9と連携して硬貨入出金口5(図1)のシャッタ及び入出金部13の上シャッタを開放させて顧客に入出金部13内へ硬貨を投入させる。次に硬貨制御部12は、顧客から操作表示部6(図1)を介して硬貨の取り込みを開始する操作入力を受け付けると、硬貨入出金口5のシャッタ及び入出金部13の上シャッタを閉塞させた上で、入出金部13からシュート部14を介して上分離部15に硬貨を引き渡させる。
【0055】
上分離部15は、硬貨を1枚ずつに分離して繰り出し、認識搬送部16へ引き渡す。認識搬送部16は、硬貨を1枚ずつ搬送しながら認識し、受渡部17に引き渡すと共に、得られた認識結果を硬貨制御部12へ通知する。
【0056】
これに応じて硬貨制御部12は、通知された認識結果を基に、該硬貨を受け入れ得るか否かを判定すると共にその搬送先を決定し、さらに記憶する。このとき硬貨制御部12は、該硬貨が取扱可能な金種であり、且つ正当である(すなわち偽造されていない)と判定した場合にこれを受入可能とし、それ以外の場合を受入不可能とする。また硬貨制御部12は、受入可能と判定した硬貨の金額を逐次加算することにより合計金額を集計する。さらに硬貨制御部12は、受け入れ可能な硬貨が各金種において何枚であるかを判定し、各金種の枚数を、対応する金種を収納するスタッカ部21の収納予定枚数として記憶する。
【0057】
受渡部17は、認識搬送部16から受け取った硬貨をピンベルト搬送部18に引き渡す。ピンベルト搬送部18は、該硬貨が受入可能であれば、一時保留分岐部まで搬送して分岐させて一時保留部23へ進行させ、該一時保留部23に集積させる。またピンベルト搬送部18は、該硬貨が受入不可能であれば、入出金部13まで搬送して収容させる。
【0058】
やがて硬貨制御部12は、上分離部15から全ての硬貨を繰り出させ終えると、入出金部13が受入不可能な硬貨を収容していれば、主制御部9(図1)と協働し上シャッタ等を開放させ、該硬貨を顧客に返却させて確認させると共に、必要に応じて再投入させる。一方、硬貨制御部12は、入出金部13が受入不可能な硬貨を収容していなければ、入金計数処理を完了し、入金計数処理を完了したこと及び集計した合計金額(以下これを入金額と呼ぶ)を主制御部9に通知する。これに応じて現金自動預払機1の主制御部9は、所定の操作指示画面を操作表示部6(図1)に表示させ、顧客にこの入金額を提示すると共に入金取引を継続するか、又は中止するかを選択させる。
【0059】
ここで入金取引の中止が選択されると、主制御部9はこのことを硬貨制御部12に通知する。これに応じて硬貨制御部12は、入金返却処理を行うことにより、一時保留部23に集積している硬貨を入出金部13へ搬送させて顧客に返却させる。
【0060】
一方、顧客から入金取引の継続が選択されると、主制御部9はこのことを硬貨制御部12に通知する。これに応じて硬貨制御部12は、入金収納処理を行うことにより、一時保留部23に集積している硬貨をスタッカ部21へ搬送させて金種毎に収納させる。
【0061】
具体的に硬貨制御部12は、一時保留部23のベルトを走行させることにより、一時保留部23内に集積している硬貨を前方へ搬送させて繰り出させ、上分離部15に順次引き渡させる。上分離部15及び認識搬送部16は、硬貨を1枚ずつに分離してから認識すると共に、受渡部17へ引き渡す。
【0062】
これに応じて硬貨制御部12は、得られた認識結果を基に、硬貨が再利用可能であるか否か、すなわち以降の出金処理において出金可能な硬貨であるか否かを判定し、該硬貨の搬送先を決定する。このとき硬貨制御部12は、該硬貨が再利用可能であればその金種に応じたスタッカ部21(スタッカ部21A~21F)を搬送先とし、再利用不可能であればリジェクト庫27を搬送先とする。因みに以下では、再利用不可能と判定された硬貨をリジェクト硬貨とも呼ぶ。
【0063】
受渡部17は、認識搬送部16から受け取った硬貨をピンベルト搬送部18に引き渡す。ピンベルト搬送部18は、硬貨が再利用可能であれば、前ピンベルト搬送部18F、下ピンベルト搬送部18D及び後ピンベルト搬送部18Bにより該硬貨を順次搬送する。やがてピンベルト搬送部18は、該硬貨が上ピンベルト搬送部18Uに到達すると、金種に応じたスタッカ分岐部により該硬貨を分岐させ、案内部31を介して収納部50に収納させる。
【0064】
ところでスタッカ部21では、収納部50の筒収納部56に収納可能な硬貨の最大枚数が規定されており、既に最大枚数の硬貨が収納されている場合、新たな硬貨を収納することができない。このような場合、硬貨制御部12は、該硬貨を入出金部13まで搬送させて繰り出させ、さらにシュート部14を介して上分離部15へ進行させる。これにより該硬貨は、やがて搬送経路に沿って再びスタッカ部21まで搬送される。
【0065】
一方、スタッカ部21は、複数の筒収納部56を水平面内で移動させるための移動機構である図3に示す収納駆動部51を有しており、1個の筒収納部56に最大枚数の硬貨が収納された場合、該筒収納部56を案内部31の下側から他の箇所へ移動させると共に、他の筒収納部56を案内部31の下側に移動させる。すなわちスタッカ部21は、その内部において、案内部31の下側に位置する筒収納部56を交換する。これによりスタッカ部21は、次に硬貨が搬送されてきたときに、該硬貨を収納できる。
【0066】
一方、ピンベルト搬送部18は、硬貨が再利用不可能であれば、後第1リジェクト分岐部まで搬送して分岐させてリジェクト庫27へ進行させ、収容させる。やがて硬貨制御部12は、一時保留部23に集積していた全ての硬貨をそれぞれの搬送先に搬送させ終えると、入金収納処理を終了する。
【0067】
[3-2.出金取引における硬貨の搬送]
次に、現金自動預払機1(図1)において顧客との間で出金取引が行われる場合について説明する。この場合、硬貨処理装置10は、出金処理により、図9に示すように、顧客に指示された金額の硬貨を入出金部13へ搬送して出金する。
【0068】
具体的に硬貨処理装置10の硬貨制御部12は、現金自動預払機1の主制御部9(図1)と連携することにより、操作表示部6を介して顧客から出金取引を開始する旨の操作入力を受け付けると、出金処理を開始する。
【0069】
このとき硬貨制御部12は、まず主制御部9と連携して操作表示部6を介して出金額を含む所定の操作入力を受け付けると、硬貨制御部12において出金額に応じた硬貨の金種及び枚数を決定する。続いて各スタッカ部21は、決定した金種及び枚数に応じて、収納部50に収納させている硬貨を繰出機構69によりそれぞれ繰り出し、下側の出金搬送部22又は一時保留部23内へ落下させ、集積させる。出金搬送部22は、ベルトの上面を前方へ走行させることにより、集積されている硬貨を前方へ搬送し、一時保留部23内へ落下させて集積させる。
【0070】
その後、硬貨制御部12は、入金返却処理及び入金収納処理の場合と同様に、一時保留部23、上分離部15及び認識搬送部16により硬貨を1枚ずつに分離させて順次搬送させ、該硬貨を認識して受渡部17へ引き渡させる。受渡部17は、認識搬送部16から受け取った硬貨をピンベルト搬送部18に引き渡させる。
【0071】
また硬貨制御部12は、得られた認識結果を基に硬貨が出金可能であるか否かを判定し、その搬送先を決定すると共に記憶する。すなわち硬貨制御部12は、該硬貨が出金可能であれば入出金部13を搬送先とし、出金不可能であればリジェクト庫27を搬送先とする。因みに以下では、出金不可能と判定された硬貨をリジェクト硬貨とも呼ぶ。
【0072】
ピンベルト搬送部18は、硬貨が出金可能であれば、入出金部13へ搬送して収容させる。一方、ピンベルト搬送部18は、硬貨が出金不可能であれば、後第1リジェクト分岐部まで搬送して分岐させてリジェクト庫27へ進行させ、収容させる。因みに硬貨制御部12は、リジェクト硬貨が発生した場合、該リジェクト硬貨と同一金種の新たな硬貨をスタッカ部21から繰り出させる。
【0073】
やがて硬貨制御部12は、出金額に応じた金種及び枚数の硬貨を入出金部13内に収容させ終えると、主制御部9(図1)と協働して入出金部13の上シャッタ等を開放させて顧客に該硬貨が取り出されるのを待ち受ける。その後、硬貨制御部12は、顧客により入出金部13内の硬貨が取り出されたことを検知すると、再び主制御部9と協働して上シャッタ等を閉塞させ、出金処理を終了する。
【0074】
[4.スタッカユニットの全体構成]
3個のスタッカユニット44は何れもほぼ同様に構成されている。図3に示すように1つのスタッカユニット44は、前側のスタッカ部21の収納部50、集積機構59及び繰出機構69と、後側のスタッカ部21の収納部50、集積機構59及び繰出機構69とにより構成されている。以下では、前側のスタッカ部21の収納部50、集積機構59及び繰出機構69について主に説明する。
【0075】
[4-1.収納部の構成]
図3図4及び図5に示すように収納部50は、収納駆動部51と筒収納部回転体55とカバー57とにより構成されており、内部に硬貨を収納すると共に、収納駆動部51の駆動力により、筒収納部回転体55が回転する。
【0076】
[4-1-1.収納駆動部の構成]
収納駆動部51は、収納部モータ52と、ギア53及び54とにより構成されている。収納駆動部51は、収納部モータ52の回転駆動力をギア53とギア54とに順次伝達し、カバー57に設けられた孔部を介してギア54が筒収納部回転体55に噛み合うことにより、筒収納部回転体55を回転させる。
【0077】
[4-1-2.筒収納部回転体の構成]
筒収納部回転体55は、上下方向に延びる略円筒形状に構成されており、所定の1金種の硬貨を内部に収納する。この筒収納部回転体55は、中心に位置する回転軸55ARを中心として収納駆動部51の駆動力により、図6中時計回りである筒収納部回転体回転方向r1へ回転可能に構成されている。また筒収納部回転体55が回転する際の回転軌道の範囲は、上下方向の範囲が筒収納部回転体55の上端部から下端部までとなっている。
【0078】
また図6に示すように、筒収納部回転体55の内周側には、回転軸55ARを中心とした円周上に沿って筒収納部56(筒収納部56A、56B及び56C)が互いに対し120[°]の回転角度で3つ形成されている。以下では、筒収納部56A、56B及び56Cをまとめて筒収納部56とも呼ぶ。すなわち筒収納部回転体55は、硬貨を重ねて集積することにより収納する筒収納部56が3個連結された構成となっている。また筒収納部回転体55は、筒収納部回転体回転方向r1に沿って、筒収納部56A、筒収納部56C、筒収納部56Bの順番で筒収納部56が配置されている。すなわち筒収納部回転体55は、筒収納部回転体回転方向r1の逆方向に沿った場合、筒収納部56A、筒収納部56B、筒収納部56Cの順番で筒収納部56が配置されている。筒収納部56は、収納する硬貨の直径よりも僅かに広い直径であり上下方向に延び硬貨を収納する円筒形状の空間である硬貨集積空間SPCが内部に形成されている。また筒収納部56は、硬貨集積空間SPCの下端部が筒収納部回転体55の外側と連通している。3つの筒収納部56は、互いに同一金種の硬貨を収納するため、互いに同一形状となっている。図4図5及び図6に示すように、筒収納部回転体55の外周壁には、それぞれの筒収納部56の硬貨集積空間SPCと筒収納部回転体55の外部とを連通させるステージ入れ込みスリット55SLが筒収納部回転体55の上端部から下端部までに亘って形成されている。また筒収納部回転体55の上端に設けられたアッパガイド40には、回転軸55ARを中心とした円周上に沿って2つの筒回転位置検知ディテクタDT1が設けられている。これらの筒回転位置検知ディテクタDT1は、筒収納部回転体回転方向r1に沿って、互いに対し120[°]の回転角度で配置されている。
【0079】
また筒収納部回転体55には、図6に示すように筒収納部56にピンベルト搬送部18(図2)から硬貨を投入させる受入位置Prと、筒収納部56から出金搬送部22又は一時保留部23へ硬貨を繰り出す繰出位置Peとが設定されている。受入位置Prは、筒収納部回転体55の左端部における、ステージ67において硬貨を集積させる硬貨集積面67pSの上方に設定されている。繰出位置Peは、受入位置Prに対し筒収納部回転体回転方向r1へ120[°]回転した、分離ベルト73の左端部の上方に設定されている。分離ベルト73は、繰出位置Peにある筒収納部56から硬貨を1枚ずつ繰り出して出金搬送部22又は一時保留部23(図2)へ向けて右方へ搬送する。このように受入位置Prと繰出位置Peとは、平面視において異なる位置に設定されている。以下では、現在受入位置Prにある筒収納部56を受入対象筒収納部とも呼び、現在繰出位置Peにある筒収納部56を繰出対象筒収納部とも呼ぶ。
【0080】
硬貨処理装置10は、例えば入金取引等において、現在受入位置Prにある筒収納部56、すなわち受入対象筒収納部に硬貨を投入し収納する収納動作と、例えば出金取引等において、現在繰出位置Peにある筒収納部56、すなわち繰出対象筒収納部から硬貨を繰り出す繰出動作とを行う。また硬貨処理装置10は、筒収納部回転体55を収納駆動部51により筒収納部回転体回転方向r1へ回転させることにより、受入位置Prにある筒収納部56を切り替えると共に、繰出位置Peにある筒収納部56を切り替える。具体的に硬貨処理装置10は、現在の受入対象筒収納部に最大枚数の硬貨が収納された状態であるフル状態になると、筒収納部回転体55を筒収納部回転体回転方向r1へ回転させ、現在受入位置Prにある筒収納部56に対し筒収納部回転体回転方向r1とは逆方向側に位置する筒収納部56を受入位置Prへ移動させることにより、受入対象筒収納部を切り替える。
【0081】
図4に示すように、筒収納部回転体55の上端部よりも上方における筒回転位置検知ディテクタDT1の移動経路上には、筒回転位置検知ディテクタDT1を検知する筒回転位置検知センサSE1(筒回転位置検知センサSE1A及びSE1B)が設けられている。以下では、筒回転位置検知センサSE1A及びSE1Bをまとめて筒回転位置検知センサSE1とも呼ぶ。筒回転位置検知センサSE1は、筒収納部回転体回転方向r1に沿って、筒回転位置検知センサSE1A、筒回転位置検知センサSE1Bの順番で配置されており、筒回転位置検知センサSE1Aから筒回転位置検知センサSE1Bまでの筒収納部回転体回転方向r1に沿った回転角度は、120[°]となっている。筒回転位置検知センサSE1は、筒回転位置検知ディテクタDT1を通過させる溝を挟んで、検知光を発光する発光部と該検知光を受光する受光部とを対向させて配置したU字状の光学式のセンサである。この筒回転位置検知センサSE1は、検知光の受光結果を硬貨制御部12(図2)に通知する。硬貨制御部12は、この受光結果を基に、筒収納部回転体55の回転位置を判断する。具体的に硬貨制御部12は、図10に示すように、筒収納部56Aが受入位置Prに位置している場合、検知光を受光していないことを示す受光結果(すなわちON状態)を筒回転位置検知センサSE1A及び筒回転位置検知センサSE1Bの両方から取得する。続いて硬貨制御部12は、筒収納部回転体55が筒収納部回転体回転方向r1へ回転し、筒収納部56Bが受入位置Prに位置すると、OFF状態を筒回転位置検知センサSE1Aから、ON状態を筒回転位置検知センサSE1Bからそれぞれ取得する。さらに硬貨制御部12は、筒収納部回転体55が筒収納部回転体回転方向r1へ回転し、筒収納部56Cが受入位置Prに位置すると、ON状態を筒回転位置検知センサSE1Aから、OFF状態を筒回転位置検知センサSE1Bからそれぞれ取得する。
【0082】
この筒収納部回転体55は、アッパガイド40と、サイドガイド46と、ロアガイド42と、回転軸55ARとにより構成されており、これらアッパガイド40、サイドガイド46及びロアガイド42によって囲まれた空間に、上述した硬貨集積空間SPCが形成されている。
【0083】
[5.収納処理]
次に、硬貨処理装置10による収納処理の具体的な処理手順について、図11に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。入金計数処理を完了し入金収納処理を開始すると、硬貨処理装置10は、収納処理プログラムを実行することにより図11に示す収納処理手順RT1を開始し、ステップSP1へ移る。硬貨制御部12は、まず、一時保留部23に収納されている硬貨をスタッカ部21へ搬送させることに先立ち、スタッカ部21の筒収納部56(筒収納部56A、56B及び56C)の何れを、硬貨を収納する受入対象筒収納部とするかを設定する。ステップSP1において硬貨制御部12は、収納すべき金種に対応した全てのスタッカ部21(スタッカ部21A、21B、21C、21D、21E及び21F)それぞれにおいて、入金計数処理において確定したそれぞれのスタッカ部21に収納する予定の硬貨の枚数である収納予定枚数と、筒収納部56Aの空き容量とを比較し、収納予定枚数が筒収納部56Aの空き容量以下であるか否かを判定する。空き容量とは、現在筒収納部56に収納されている硬貨の枚数から、フル状態になるまでの枚数である。ここで肯定結果が得られると、このことは、筒収納部56Aの空き容量が収納予定枚数以上であるため、収納する予定の硬貨を筒収納部56Aに収納し切れることを表し、このとき硬貨制御部12はステップSP2へ移る。ステップSP2において硬貨制御部12は、筒収納部56Aを受入対象筒収納部として設定し、筒収納部回転体55を筒収納部回転体回転方向r1へ回転させることにより筒収納部56Aを受入位置Prに移動させ、ステップSP8へ移る。
【0084】
一方ステップSP1において否定結果が得られると、このことは、筒収納部56Aの空き容量が収納予定枚数未満であるため、収納する予定の硬貨を筒収納部56Aに収納し切れないことを表し、このとき硬貨制御部12はステップSP3へ移る。
【0085】
ステップSP3において硬貨制御部12は、収納すべき金種に対応した全てのスタッカ部21(スタッカ部21A、21B、21C、21D、21E及び21F)それぞれにおいて、入金計数処理において確定したそれぞれのスタッカ部21の収納予定枚数と、筒収納部56Bの空き容量とを比較し、収納予定枚数が筒収納部56Bの空き容量以下であるか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは、筒収納部56Bの空き容量が収納予定枚数以上であるため、収納する予定の硬貨を筒収納部56Bに収納し切れることを表し、このとき硬貨制御部12はステップSP4へ移る。ステップSP4において硬貨制御部12は、筒収納部56Bを受入対象筒収納部として設定し、筒収納部回転体55を筒収納部回転体回転方向r1へ回転させることにより筒収納部56Bを受入位置Prに移動させ、ステップSP8へ移る。
【0086】
一方ステップSP3において否定結果が得られると、このことは、筒収納部56Bの空き容量が収納予定枚数未満であるため、収納する予定の硬貨を筒収納部56Bに収納し切れないことを表し、このとき硬貨制御部12はステップSP5へ移る。
【0087】
ステップSP5において硬貨制御部12は、収納すべき金種に対応した全てのスタッカ部21(スタッカ部21A、21B、21C、21D、21E及び21F)それぞれにおいて、入金計数処理において確定したそれぞれのスタッカ部21の収納予定枚数と、筒収納部56Cの空き容量とを比較し、収納予定枚数が筒収納部56Cの空き容量以下であるか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは、筒収納部56Cの空き容量が収納予定枚数以上であるため、収納する予定の硬貨を筒収納部56Cに収納し切れることを表し、このとき硬貨制御部12はステップSP6へ移る。ステップSP6において硬貨制御部12は、筒収納部56Cを受入対象筒収納部として設定し、筒収納部回転体55を筒収納部回転体回転方向r1へ回転させることにより筒収納部56Cを受入位置Prに移動させ、ステップSP8へ移る。
【0088】
一方ステップSP5において否定結果が得られると、このことは、筒収納部56Cの空き容量が収納予定枚数未満であるため、収納する予定の硬貨を筒収納部56Cに収納し切れない、すなわち、筒収納部56A、56B及び56C全ての空き容量が収納予定枚数未満であるため、収納する予定の硬貨を筒収納部56A、56B及び56Cの何れか1つだけでは収納し切れないことを表し、このとき硬貨制御部12はステップSP7へ移る。ステップSP7において硬貨制御部12は、例えば筒収納部56Aを受入対象筒収納部として設定し、筒収納部回転体55を筒収納部回転体回転方向r1へ回転させることにより筒収納部56Aを受入位置Prに移動させ、ステップSP8へ移る。
【0089】
ステップSP8において硬貨制御部12は、収納すべき金種に対応した全てのスタッカ部21(スタッカ部21A、21B、21C、21D、21E及び21F)それぞれにおいて、収納予定枚数と、筒収納部56A、56B及び56Cそれぞれの空き容量とを比較し、収納予定枚数が筒収納部56A、56B及び56Cそれぞれの空き容量よりも多いスタッカ部21が金種数閾値以下であるか否かを判定する。本実施の形態において金種数閾値は、例えば1金種に設定されている。このため、ステップSP8において硬貨制御部12は、収納予定枚数が筒収納部56A、56B及び56Cそれぞれの空き容量よりも多いスタッカ部21が1つ以下であるか否かを判定する。
【0090】
ステップSP8において否定結果が得られると、このことは、収納する予定の硬貨を筒収納部56A、56B及び56Cの何れか1つだけでは収納し切れない(すなわち収納途中で受入対象筒収納部の切り替えが必要となる)スタッカ部21が金種数閾値よりも多く(すなわち本実施の形態においては2金種分以上(2つ以上))存在することを表し、このとき硬貨制御部12はステップSP9へ移る。
【0091】
ステップSP9において硬貨制御部12は、第1収納動作パターンにより、一時保留部23から硬貨を搬送させて、受入対象筒収納部に収納する予定の硬貨が全て収納されるか、又は受入対象筒収納部がフル状態になるまで硬貨を収納し(図8)、ステップSP11へ移る。具体的にこの第1収納動作パターンにおいて硬貨制御部12は、収納する予定の硬貨の金種に対応した全てのスタッカ部21それぞれにおいて受入対象筒収納部がフル状態となると、フル状態となった受入対象筒収納部に収納すべき金種の硬貨のみを出金取引(図9)と同様の搬送ルートで、一旦入出金部13に搬送させる。一方で硬貨制御部12は、フル状態ではない受入対象筒収納部に収納すべき金種の硬貨については、受入対象筒収納部への収納を継続する。収納する予定の硬貨全てを受入対象筒収納部へ収納したか、又は、フル状態となった受入対象筒収納部に収納すべき金種の硬貨の入出金部13への搬送が完了すると、硬貨制御部12はステップSP11へ移る。
【0092】
ステップSP11において硬貨制御部12は、収納予定枚数を更新し、ステップSP12へ移る。具体的に硬貨制御部12は、最初の収納予定枚数から、ステップSP9においてそれぞれのスタッカ部21の受入対象筒収納部に収納できた硬貨の枚数を減算することにより、各金種の収納予定枚数を更新する。
【0093】
ステップSP12において硬貨制御部12は、更新した収納予定枚数が0枚よりも大きいスタッカ部21が存在するか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは、受入対象筒収納部の空き容量が収納予定枚数よりも少なかったスタッカ部21が存在したため受入対象筒収納部に硬貨を収納し切れなかったことを表し、このとき硬貨制御部12はステップSP1へ戻り、受入対象筒収納部に硬貨を収納し切れなかった金種の硬貨を収納する全てのスタッカ部21の筒収納部回転体55を同時に回転させて、更新された収納予定枚数以上の空き容量を有する筒収納部56を受入位置Prへ移動させ、それから入出金部13にある硬貨を上分離部15へ引き渡させた後、上分離部15から繰り出させることで、再びスタッカ部21に搬送させ、硬貨を再びスタッカ部21に搬送し、収納すべき金種に対応した全てのスタッカ部21の収納予定枚数が0枚になるまで上述した処理を繰り返す。
【0094】
一方ステップSP12において否定結果が得られると、このことは、全てのスタッカ部21において受入対象筒収納部の空き容量が収納予定枚数以上であったため、受入対象筒収納部に収納する予定の全ての硬貨を収納し切れたことを表し、このとき硬貨制御部12はステップSP13へ移り収納処理手順RT1を終了する。
【0095】
一方ステップSP8において肯定結果が得られると、このことは、収納する予定の硬貨を筒収納部56A、56B及び56Cの何れか1つだけでは収納し切れない(すなわち収納途中で受入対象筒収納部の切り替えが必要となる)スタッカ部21が金種数閾値以下(すなわち本実施の形態においては1金種分以下(1つ以下))のみ存在するか、又は、収納する予定の硬貨の金種に対応した全てのスタッカ部21において、収納する予定の硬貨を筒収納部56A、56B及び56Cの何れか1つに収納し切れる状態であることを表し、このとき硬貨制御部12はステップSP10へ移る。
【0096】
ステップSP10において硬貨制御部12は、第2収納動作パターンにより、一時保留部23から硬貨を搬送して、受入対象筒収納部に収納する予定の硬貨が全て収納されるか、又は受入対象筒収納部がフル状態になるまで硬貨を収納し(図8)、ステップSP11へ移る。具体的にこの第2収納動作パターンにおいて硬貨制御部12は、収納する予定の硬貨の金種に対応した全てのスタッカ部21(すなわち本実施の形態においては1つのスタッカ部21)において受入対象筒収納部がフル状態となると、繰出元としての上分離部15からの硬貨の繰り出しを停止させることにより全てのスタッカ部21(本実施の形態においては1つのスタッカ部21)への硬貨の搬送を停止させると共に、ピンベルト搬送部18の駆動を継続することにより、ピンベルト搬送部18において上分離部15とスタッカ部21との間に残留している硬貨を出金取引(図9)と同様の搬送ルートで、一旦入出金部13に搬送させる。入出金部13に搬送された硬貨は、上分離部15へ落下する。ピンベルト搬送部18に残留した硬貨の入出金部13への搬送が完了すると、硬貨制御部12はステップSP11へ移る。ステップSP11及びSP12において硬貨制御部12は、上述した処理を行う。
【0097】
ステップSP12において肯定結果が得られると、硬貨制御部12はステップSP1へ戻り、受入対象筒収納部に硬貨を収納し切れなかった金種の硬貨を収納する全てのスタッカ部21の筒収納部回転体55を同時に回転させて、更新された収納予定枚数以上の空き容量を有する筒収納部56を受入位置Prへ移動させ、それから上分離部15にある硬貨を繰り出させることで、再びスタッカ部21に搬送させ、収納する予定の硬貨の金種に対応した全てのスタッカ部21の収納予定枚数が0枚になるまで上述した処理を繰り返す。実際上、本実施の形態において金種数閾値は1に設定されているため、硬貨制御部12は、受入対象筒収納部に硬貨を収納し切れなかった金種の硬貨を収納する1つのスタッカ部21の筒収納部回転体55を回転させる。
【0098】
一方ステップSP12において否定結果が得られると、このとき硬貨制御部12は第1収納動作パターンと同様にステップSP13へ移り収納処理手順RT1を終了する。
【0099】
[6.効果等]
以上の構成において現金自動預払機1は、入金計数処理において確定した、それぞれのスタッカ部21に収納する予定の硬貨枚数である収納予定枚数と、筒収納部56それぞれの空き容量とを比較した結果に応じて、2パターンの収納動作を選択するようにした。
【0100】
具体的に現金自動預払機1は、収納する予定の硬貨を筒収納部56A、56B及び56Cの何れか1つだけでは収納し切れず、収納途中で受入対象筒収納部の切り替えが必要となるスタッカ部21が1つ(1金種)のみ、又は0である場合は、第2収納動作パターンを実行し、受入対象筒収納部の切り替えが必要な金種を収納すべき筒収納部56がフル状態になった時点で上分離部15からの硬貨の繰り出しを停止し、ピンベルト搬送部18において上分離部15とスタッカ部21との間に残留している硬貨を一旦入出金部13に搬送してから、受入対象筒収納部の切り替えを行うようにした。
【0101】
このため現金自動預払機1は、受入対象筒収納部の切り替えが必要な金種を収納すべき筒収納部56がフル状態になった後に、受入対象筒収納部に収納しきれなかった全ての硬貨を上分離部15から退避部としての入出金部13へ搬送してから受入対象筒収納部の切り替えを行う場合と比較して、上分離部15から入出金部13へ退避させる硬貨の枚数を削減できる。これにより現金自動預払機1は、上分離部15から入出金部13へ硬貨を退避させるための時間を低減できる。かくして現金自動預払機1は、入金取引時間を短縮できる。
【0102】
ここで、金種数閾値が1に設定されている場合において第2収納動作パターンではなく第1収納動作パターンを実行する場合、受入対象筒収納部に収納しきれなかった1金種のみの硬貨を全て上分離部15から入出金部13へ搬送するという無駄な動作を行うこととなってしまう。これに対し、金種数閾値が1に設定されている場合において第2収納動作パターンを実行する場合、受入対象筒収納部に収納しきれなかった1金種のみの硬貨の上分離部15からの繰り出しを停止させる。このため、少なくとも金種数閾値が1に設定されている場合は、第1収納動作パターンではなく第2収納動作パターンを実行した方が、硬貨処理装置10は、受入対象筒収納部に収納しきれなかった1金種のみの硬貨を全て上分離部15から入出金部13へ搬送するという無駄な動作を行うことなく受入対象筒収納部の切り替えを行うことができる。
【0103】
一方、現金自動預払機1は、収納する予定の硬貨を筒収納部56A、56B及び56Cの何れか1つだけでは収納し切れず、収納途中で受入対象筒収納部の切り替えが必要となるスタッカ部21が2つ(2金種)以上ある場合は、第1収納動作パターンを実行し、筒収納部56がフル状態になった金種の硬貨を入出金部13へ退避させながら、収納する予定の硬貨のうち筒収納部56がフル状態になっていない金種の硬貨の筒収納部56へ収納を継続するようにした。
【0104】
このため現金自動預払機1は、収納途中で受入対象筒収納部の切り替えが必要となるスタッカ部21が2金種以上ある場合に、どれか1金種でも受入対象筒収納部がフル状態になるとそれ以外の金種の硬貨をフル状態ではない受入対象筒収納部に収納せずに入出金部13へ退避させる場合と比較して、上分離部15から入出金部13へ退避させる硬貨の枚数を削減できる。これにより現金自動預払機1は、上分離部15から入出金部13へ硬貨を退避させるための時間を低減できる。かくして現金自動預払機1は、入金取引時間を短縮できる。
【0105】
また現金自動預払機1は、第1収納パターンにおいて、受入対象筒収納部に収納しきれなかった全ての硬貨を入出金部13へ退避させた後に、フル状態となった受入対象筒収納部に該当する2金種以上のスタッカ部21における受入対象筒収納部の切り替えを同時に行うようにした。このため現金自動預払機1は、2金種以上のスタッカ部21における受入対象筒収納部の切り替えをそれぞれ別のタイミングで行う場合と比較して、受入対象筒収納部の切り替えに要する時間を低減できる。
【0106】
以上の構成によれば現金自動預払機1は、使用者の操作を受け付ける応対部3と、移動可能であり硬貨を重ねて収納可能な筒状の収納空間としての硬貨集積空間SPCが設けられた複数の筒収納部56を有し、それぞれ所定の金種が割り当てられた複数の収納部50と、硬貨が硬貨集積空間SPCに収納される受入位置Prに位置する筒収納部56を切り替え、受入位置Prに位置している筒収納部56に硬貨を収納させると共に、収納動作中において受入位置Prに位置している筒収納部56がフル状態になると、受入位置Prに位置する筒収納部56を切り替えた後に、硬貨を受入位置Prに位置する筒収納部56に再び収納する硬貨制御部12とを設け、硬貨制御部12は、収納しようとしている硬貨の枚数である収納予定枚数と、筒収納部56それぞれの空き容量とを金種毎に比較し、収納動作中において受入位置Prに位置する筒収納部56の切り替えが必要となる金種数が所定の金種数閾値以下である場合、収納動作中において受入位置Prに位置している筒収納部56がフル状態になる際に硬貨の搬送を一旦停止させ、受入位置Prに位置しているフル状態の筒収納部56を、フル状態ではない別の筒収納部56へ切り替えた後に、硬貨を受入位置Prに位置する筒収納部56に再び収納するようにした。
【0107】
これにより現金自動預払機1は、収納動作において硬貨の搬送中に受入位置Prに位置している筒収納部56がフル状態になった際に、筒収納部回転体55を回転させて受入位置Prに位置する筒収納部56を切り替える前に退避部である入出金部13へ一旦搬送する硬貨の枚数を削減できる。かくして現金自動預払機1は、入金取引の取引時間を短縮できる。さらに現金自動預払機1は、最終的な搬送先以外の場所に硬貨を搬送する回数を低減できるため、搬送中にジャムが発生する可能性も低減できる。
【0108】
[7.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態において硬貨処理装置10は、金種数閾値を1に設定する場合について述べた。本発明はこれに限らず、硬貨処理装置10は、金種数閾値を2以上の任意の数に設定しても良い。収納途中で受入対象筒収納部の切り替えが必要となるスタッカ部21が2金種以上の場合においても第2収納パターンを実行する場合、それら2金種以上のスタッカ部21における受入対象筒収納部の切り替えを同時に行うことはできず別々のタイミングで切り替えを行う必要はあるものの、第1収納パターンよりも第2収納パターンの方が最終的な入金取引時間を短縮できる可能性はある。
【0109】
また上述した実施の形態において硬貨処理装置10は、収納処理手順RT1(図11)における第2収納動作パターンにおいて、収納する予定の硬貨の金種に対応した全てのスタッカ部21において何れかの受入対象筒収納部がフル状態となると、上分離部15からの硬貨の繰り出しを停止させることにより全てのスタッカ部21への硬貨搬送を停止させると共に、ピンベルト搬送部18の駆動を継続することにより、ピンベルト搬送部18において上分離部15とスタッカ部21との間に残留している硬貨を一旦入出金部13に搬送させ、ピンベルト搬送部18に残留した硬貨の入出金部13への搬送を完了させる場合について述べた。
【0110】
本発明はこれに限らず、硬貨処理装置10は、硬貨を上分離部15から繰り出しつつ、収納する予定の硬貨の金種に対応した全てのスタッカ部21における受入対象筒収納部の空き容量を随時監視し、空き容量がなくなる(すなわちフル状態となる)枚数分だけ上分離部15から硬貨を繰り出した場合、硬貨が受入対象筒収納部に収納される前に、上分離部15からの硬貨の繰り出しを停止させることにより、ピンベルト搬送部18における上分離部15とスタッカ部21との間に硬貨が残留しないようにし、その状態で、受入対象筒収納部に硬貨を収納し切れなかった金種の硬貨を収納する全てのスタッカ部21の筒収納部回転体55を回転させても良い。その場合、ピンベルト搬送部18に残留した硬貨を入出金部13に搬送する時間を省くことができる。
【0111】
又は、硬貨処理装置10は、収納する予定の硬貨の金種に対応した全てのスタッカ部21において何れかの受入対象筒収納部がフル状態となると、上分離部15からの硬貨の繰り出しを停止させると共に、直ちにピンベルト搬送部18の駆動を停止し、その状態で、受入対象筒収納部に硬貨を収納し切れなかった金種の硬貨を収納する全てのスタッカ部21の筒収納部回転体55を回転させても良い。その場合、ピンベルト搬送部18上の硬貨がピンベルトの搬送ピンから離れてしまい挙動が不安定になる可能性はあるものの、ピンベルト搬送部18に残留した硬貨を入出金部13に搬送する時間を省くことができる。
【0112】
さらに上述した実施の形態において硬貨処理装置10は、収納処理手順RT1(図11)におけるステップSP12において肯定結果が得られると、受入対象筒収納部に硬貨を収納し切れなかった金種の硬貨を収納する全てのスタッカ部21の筒収納部回転体55を同時に回転させる場合について述べた。本発明はこれに限らず、硬貨処理装置10は、受入対象筒収納部に硬貨を収納し切れなかった金種の硬貨を収納する全てのスタッカ部21の筒収納部回転体55を同時に回転させなくても良い。但し、可能な限り多くの数のスタッカ部21の筒収納部回転体55を同時に回転させた方が、硬貨処理装置10は、受入対象筒収納部に硬貨を収納し切れなかった金種の硬貨を収納する全てのスタッカ部21の受入対象筒収納部を切り替える処理を早く完了できる。
【0113】
さらに上述した実施の形態において硬貨処理装置10は、各スタッカ部21に6種類の金種の1金種ずつをそれぞれ割り当てる場合について述べた。本発明はこれに限らず、硬貨処理装置10は、所定の金種を2つ以上のスタッカ部21に割り当てても良い。
【0114】
さらに上述した実施の形態において硬貨処理装置10は、収納処理において、筒収納部56に収納しきれなかった硬貨を一時的に退避させる退避部として入出金部13を用いる場合について述べた。本発明はこれに限らず、硬貨処理装置10は、筒収納部56に収納しきれなかった硬貨を一時的に退避させる専用の退避部を別途設けても良い。
【0115】
さらに上述した実施の形態において硬貨処理装置10は、収納処理手順RT1(図11)における第1収納動作パターンにおいて、筒収納部56がフル状態になった金種の硬貨を入出金部13へ退避させながら、収納する予定の硬貨のうち筒収納部56がフル状態にならない金種の硬貨の筒収納部56へ収納を継続する場合について述べた。本発明はこれに限らず、硬貨処理装置10は、第1収納動作パターンにおいて、収納途中でどれか1金種でも受入対象筒収納部がフル状態になるとそれ以外の金種の硬貨をフル状態ではない受入対象筒収納部に収納せずに入出金部13へ退避させても良い。
【0116】
さらに上述した実施の形態において硬貨処理装置10は、収納処理において、筒収納部56A、56B及び56C全ての空き容量が収納予定枚数未満の場合、筒収納部56Aを受入対象筒収納部として設定する場合について述べた。本発明はこれに限らず、硬貨処理装置10は、筒収納部56A、56B及び56C全ての空き容量が収納予定枚数未満の場合、筒収納部56B又は筒収納部56Cの何れかを受入対象筒収納部として設定しても良い。
【0117】
さらに上述した実施の形態において硬貨処理装置10は、入金取引時において収納処理を行う場合について述べた。本発明はこれに限らず、硬貨処理装置10は、硬貨処理装置10内部に収納されている硬貨の枚数を計数する精査時における収納処理についても、同様の動作を行っても良い。また、硬貨処理装置10は、補充回収庫24内部に収納されている硬貨を指定の枚数だけスタッカ部21へ補充する補充時の、予めスタッカ部21へ収納する枚数が確定している取引における収納処理についても、同様の動作を行っても良い。
【0118】
さらに上述した実施の形態において硬貨処理装置10は、筒収納部56を円周に沿った方向へ移動させ受入対象筒収納部と繰出対象筒収納部とを切り替える場合について述べた。本発明はこれに限らず、硬貨処理装置10は、筒収納部56を直線状や曲線状等、種々の移動経路に沿って移動させ、受入対象筒収納部と繰出対象筒収納部とを切り替えても良い。
【0119】
さらに上述した実施の形態において硬貨処理装置10は、1つの筒収納部回転体55に3つの筒収納部56を設ける場合について述べた。本発明はこれに限らず、硬貨処理装置10は、1つの筒収納部回転体55に2つ又は4つ以上の任意の個数の筒収納部56を設けても良い。
【0120】
さらに上述した実施の形態においては、現金自動預払機1に組み込まれる硬貨処理装置10に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば自動券売機等のように顧客との間で硬貨に関する取引を行う種々の装置や、金融機関の職員や小売店の店員等が現金を管理するために使用する現金管理装置等に本発明を適用しても良い。
【0121】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態にも本発明の適用範囲が及ぶものである。また、本発明は、上述した各実施の形態及び上述した他の実施の形態のうち任意の実施の形態に記載された構成の一部を抽出し、上述した実施の形態及び他の実施の形態のうちの任意の実施の形態の構成の一部と置換・転用する場合や、該抽出された構成の一部を任意の実施の形態に追加する場合にも本発明の適用範囲が及ぶものである。
【0122】
さらに上述した実施の形態においては、操作部としての応対部3と、収納部としての収納部50と制御部としての硬貨制御部12とによって、自動取引装置としての現金自動預払機1を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる操作部と、収納部と、制御部とによって、自動取引装置を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明は、例えば顧客との間で硬貨に関する取引処理を行う現金自動預払機等でも利用できる。
【符号の説明】
【0124】
1……現金自動預払機、2……筐体、3……応対部、4……カード入出口、5……硬貨入出金口、6……操作表示部、7……テンキー、8……レシート発行口、9……主制御部、10……硬貨処理装置、11……硬貨処理装置筐体、12……硬貨制御部、13……入出金部、14……シュート部、15……上分離部、15A……集積分離部、15B……分離搬送部、15C……傾斜円盤、16……認識搬送部、17……受渡部、18……ピンベルト搬送部、18F……前ピンベルト搬送部、18D……下ピンベルト搬送部、18B……後ピンベルト搬送部、18U……上ピンベルト搬送部、21……スタッカ部、22……出金搬送部、23……一時保留部、24……補充回収庫、25……第1補充リジェクト庫、26……第2補充リジェクト庫、27……リジェクト庫、28……取忘取込庫、29……下分離部、29A……集積分離部、29B……分離搬送部、29C……傾斜円盤、31……案内部、40……アッパガイド、42……ロアガイド、44……スタッカユニット、46……サイドガイド、50……収納部、51……収納駆動部、52……収納部モータ、53、54……ギア、55……筒収納部回転体、55AR……回転軸、56、56A、56B、56C……筒収納部、55SL……ステージ入れ込みスリット、57……カバー、59……集積機構、67……ステージ、67pS……硬貨集積面、69……繰出機構、72……繰出搬送部、73……分離ベルト、SPC……硬貨集積空間、Pr……受入位置、Pe……繰出位置、SE1……筒回転位置検知センサ、DT1……筒回転位置検知ディテクタ。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11