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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152360
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】吐出装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/046 20060101AFI20231010BHJP
   A47K 3/28 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
E03C1/046
A47K3/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062303
(22)【出願日】2022-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小牧 秀征
(72)【発明者】
【氏名】近藤 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】清水 和幸
【テーマコード(参考)】
2D060
2D132
【Fターム(参考)】
2D060BA01
2D060BC21
2D132FA12
2D132FB01
2D132FC04
2D132FK03
(57)【要約】
【課題】添加物が添加された水が上流側に吸引されることを確実に防止できる吐出装置を提供する。
【解決手段】吐出装置1は、通水部2と、添加部(泡供給ユニット3)と、吸気部60と、排水部70とを備える。通水部2は、上流側から供給される水を流通させて下流側の吐出部(シャワーヘッド102)に供給する。泡供給ユニット3は、通水部2に設けられる。泡供給ユニット3は、通水部2を流通する水に添加物(液体洗浄剤)を添加する。吸気部60は、泡供給ユニット3よりも上流側の通水部2に設けられる。吸気部60は、通水時に閉塞されて止水時に開放される吸気路(空気導入孔65B、隙間66A)を有する。排水部70は、吸気部60と泡供給ユニット3との間の通水部2に設けられるとともに吸気部60よりも下方に配置されている。排水部70は、通水時に閉塞されて止水時に開放される排水路(水排出孔75B、隙間76A)を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側から供給される水を流通させて下流側の吐出部に供給する通水部と、
前記通水部に設けられ、前記通水部を流通する水に添加物を添加する添加部と、
前記添加部よりも上流側の前記通水部に設けられ、通水時に閉塞されて止水時に開放される吸気路を有する吸気部と、
前記吸気部と前記添加部との間の前記通水部に設けられるとともに前記吸気部よりも下方に配置されており、通水時に閉塞されて止水時に開放される排水路を有する排水部と、
を備えており、
前記吸気部は、止水時には、前記吸気路から空気を吸入して前記通水部に導入し、
前記排水部は、止水時には、前記吸気部との間の前記通水部内の水を前記排水路から外部に排出する、吐出装置。
【請求項2】
前記吸気部は、前記吐出部よりも下方に配置される請求項1に記載の吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は従来の吐出装置を開示している。この吐出装置は、シャワーヘッドに送水する流路を流れる水に対して香料を添加して、シャワーヘッドから吐出する。この吐出装置は、香料を添加する部分に切替スイッチを備えている。この吐出装置は、切替スイッチによって、香料が添加された水が給水源等の上流側へ流れることを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-023867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合、給水ホースの上流側で負圧が発生すると、切替スイッチでは逆流を十分に防止できず、香料が添加された水が上流側に吸引されるおそれがある。
【0005】
本開示は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、添加物が添加された水が上流側に吸引されることを確実に防止できる吐出装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る吐出装置は、上流側から供給される水を流通させて下流側の吐出部に供給する通水部と、前記通水部に設けられ、前記通水部を流通する水に添加物を添加する添加部と、前記添加部よりも上流側の前記通水部に設けられ、通水時に閉塞されて止水時に開放される吸気路を有する吸気部と、前記吸気部と前記添加部との間の前記通水部に設けられるとともに前記吸気部よりも下方に配置されており、通水時に閉塞されて止水時に開放される排水路を有する排水部と、を備えており、前記吸気部は、止水時には、前記吸気路から空気を吸入して前記通水部に導入し、前記排水部は、止水時には、前記吸気部との間の前記通水部内の水を前記排水路から外部に排出する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る吐出装置の設置状態を示す図である。
図2】実施形態に係る添加部の構成を模式的に示す図である。
図3】実施形態に係る吸気部及び排水部を示す側断面図である。
図4】実施形態に係る吸気部を示す側断面図である。
図5】実施形態に係る排水部を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態>
実施形態に係る吐出装置1は、水に対し、添加物としての液体洗浄剤を添加して泡状にして吐出する装置である。吐出装置1は、例えば、ユニットバスやシャワーブース等の浴室に設置される。本実施形態の場合、吐出装置1は、図1に示すように、浴室における壁面Wに設置される。壁面Wは、浴室の壁部材における浴室側の面である。本実施形態において、浴室の壁部材は、鋼板等の磁性を有する金属材料の裏面に石膏ボード等の断熱材を貼り付けて構成されている。吐出装置1は、磁力によって壁面Wに取り付けられる。
【0009】
吐出装置1は、水栓101とシャワーヘッド102との間に設けられる。水栓101は湯水混合水栓である。水栓101は、壁面W内の図示しない給水配管及び給湯配管に接続されている。水栓101は、水量の調整、湯と水を混合しての温度調整、吐止水等を行うことができる。以下の説明では、水栓101から供給されるものは、湯と水の混合割合に関わらず単に水と表記する。シャワーヘッド102は、本開示に係る吐出部の例示である。シャワーヘッド102は、壁面Wに固定されたシャワーフック102Aに着脱自在に取り付けられる。シャワーヘッド102は、使用者が手に持って使用可能ないわゆるハンドシャワーである。
【0010】
以下の説明において、吐出装置1における各構成部材の方向は、設置状態における方向を基準とする(図1参照)。吐出装置1における前後の方向は、壁面Wの正面方向を前方、その反対方向を後方として定義する。吐出装置1における左右の方向及び上下の方向については、壁面Wに正対した使用者から見た方向をそのまま左右方向及び上下方向とする。各図に示すX軸、Y軸、及びZ軸は、それぞれ前後方向、左右方向、及び上下方向を表す。X軸、Y軸、及びZ軸において、各軸の正方向はそれぞれ前方、左方、及び上方である。
【0011】
吐出装置1は、図1から図3に示すように、通水部2と、泡供給ユニット3と、逆流防止ユニット4と、を備えている。通水部2は、上流側の水栓101から供給される水を流通させて下流側のシャワーヘッド102に供給する。通水部2は、上流側の水栓101から、逆流防止ユニット4及び泡供給ユニット3を経て、シャワーヘッド102に連通する一連の流路を形成している。通水部2は、通水ホースH1,H2,H3,を有している。通水ホースH1は、水栓101と逆流防止ユニット4との間の流路を形成する。通水ホースH2は、逆流防止ユニット4と泡供給ユニット3との間の流路を形成する。通水ホースH3は、泡供給ユニット3とシャワーヘッド102との間の流路を形成する。
【0012】
泡供給ユニット3及び逆流防止ユニット4は、それぞれ通水部2に設けられている。泡供給ユニット3は、通水部2を流通する水に液体洗浄剤を添加する。逆流防止ユニット4は、吐出装置1の上流側への逆流を防止する。泡供給ユニット3及び逆流防止ユニット4は、泡供給ユニット3が下流側、逆流防止ユニット4が上流側となる配置で、通水部2にそれぞれ設けられている。これによって、吐出装置1は、泡供給ユニット3において添加された液体洗浄剤を含んだ水が逆流防止ユニット4よりも上流側に逆流することを防止している。泡供給ユニット3及び逆流防止ユニット4は、マグネットシート等の図示しない磁力発生手段が発生する磁力によって、壁面Wに着脱自在に取り付けられる。
【0013】
吐出装置1の設置に際しては、泡供給ユニット3及び逆流防止ユニット4は、通水ホースH1,H2,H3の取り回しに無理のない範囲で、所望の位置に取り付けることができる。本実施形態では、図1に示すように、シャワーフック102Aに取り付けられた状態のシャワーヘッド102よりも下方であって、水栓101よりも上方に泡供給ユニット3及び逆流防止ユニット4を取り付ける場合を例示する。
【0014】
図2に示すように、泡供給ユニット3は、ケース10、流路20、コンプレッサ30、バッテリーユニットB、タンクT、制御部C、及び操作部22Aを備えている。泡供給ユニット3は、ケース10の内側空間に、流路20、コンプレッサ30、バッテリーユニットB、タンクT、及び制御部Cのそれぞれを収納している。操作部22Aは、ケース10に回転自在に支持されている。
【0015】
ケース10は、水流入口10Aと泡流出口10Bとを形成している。水流入口10Aには通水ホースH2が接続されている。泡流出口10Bには通水ホースH3が接続されている。流路20は、水流入口10Aから泡流出口10Bまで連なる流路である。この流路20は通水部2の一部を構成する。コンプレッサ30は、ケース10に内蔵され、流路20に圧縮空気を送り込む。バッテリーユニットBは、ケース10に内蔵され、コンプレッサ30に電力を供給する。タンクTは、ケース10に内蔵され、液体洗浄剤を貯留する。制御部Cは、ケース10に内蔵され、コンプレッサ30の運転制御を実行する。
【0016】
図2に示すように、流路20は、ケース10内に形成され、水流入口10Aと泡流出口10Bとを連結している。流路20は、図示しないホースや管継手等によって形成され得る。流路20は、水流入口10Aから流入した水を流通させ、その過程で液体洗浄剤と圧縮空気とを混合して泡を生成し、泡流出口10Bから流出する。液体洗浄剤及び圧縮空気は、流路20の途中において第1連結路TA及び第2連結路30Aからそれぞれ供給される。第1連結路TAは一端がタンクTに連結されている。第2連結路30Aは、一端がコンプレッサ30に連結されている。
【0017】
流路20には、逆止弁21、三方弁22、流量センサ23、アスピレータ24、及び発泡器25が設けられている。これら逆止弁21、三方弁22、流量センサ23、アスピレータ24、及び発泡器25は、内部に流路20の一部を形成しているといえる。逆止弁21、三方弁22、流量センサ23、アスピレータ24、及び発泡器25は、この順に、流路20の上流側である水流入口10Aから下流端である泡流出口10Bまでの間に配置されている。
【0018】
泡供給ユニット3における流路20は、概略的に分けると、水流入口10Aから三方弁22に至る流路20A、三方弁22からアスピレータ24に至る流路20B、アスピレータ24から発泡器25に至る流路20C、及び発泡器25から泡流出口10Bに至る流路20Dの4つの区間に分割される。
【0019】
逆止弁21は流路20Aに設けられている。逆止弁21は、流路20内の水が上流側に逆流するのを防止する。上述のように、添加部としての泡供給ユニット3では、添加物としての液体洗浄剤を水に添加する。このため、泡供給ユニット3は、内部の流路20のうち、最も上流側の流路20Aに逆止弁21を設けたことによって、泡供給ユニット3よりも上流側への逆流を防止している。
【0020】
三方弁22は、泡供給ユニット3における泡流出口10Bからの流出形態を水及び泡のいずれか一方に切り替える。三方弁22の3つの流出入口は、上流側の水流入口10Aから連なる流路20A、下流側の流量センサ23に至る流路20B、及び発泡器25に直接至るバイパス流路BPにそれぞれ接続されている。三方弁22は、ボール状弁体を用いたいわゆるボールバルブである。三方弁22は、操作部22Aの回転操作によって、各流路の連通状態の切り替えを行う。具体的には、三方弁22は、流路20Aと流路20Bとを連通した状態、及び流路20Aとバイパス流路BPとを連通した状態のいずれか一方の状態に切り替え自在である。三方弁22において流路20Aと流路20Bとが連通された状態では、泡供給ユニット3は、泡流出口10Bから泡を流出させる。三方弁22において流路20Aとバイパス流路BPとが連通された状態では、泡供給ユニット3は、泡流出口10Bから水を流出させる。
【0021】
操作部22Aは、図1に示す位置と、図1に示す位置から前方に傾倒させた位置と、の2位置の間で回転自在である。操作部22Aは、使用者に回転操作されることによって、上述した三方弁22による流路20の連通状態を切り替える。
【0022】
流路20Bは、三方弁22から延び、流量センサ23を経てアスピレータ24に接続されている。流量センサ23は、流路20Bを流通する水の流量を検知する。流量センサ23の検知結果は制御部Cに送信され、コンプレッサ30の運転制御に利用される。アスピレータ24は、負圧によってタンクT内の液体洗浄剤を吸引する。アスピレータ24は、ベンチュリ効果を利用して負圧を発生させる。
【0023】
アスピレータ24には第1合流部24Aが設けられている。第1合流部24Aには第1連結路TAが接続されている。第1連結路TAは、タンクTに連結しており、タンクT内に貯留されている液体洗浄剤を流通させる。アスピレータ24は、上流側の流路20Bから流入した水に対して、負圧によって第1合流部24Aから吸引した液体洗浄剤を混合する。アスピレータ24において液体洗浄剤が混合された水は、下流側の流路20Cに流出する。
【0024】
流路20Cは、アスピレータ24から延びて発泡器25に接続されている。発泡器25は、水と液体洗浄剤の混合流体に圧縮空気を更に混合し、水、液体洗浄剤、及び圧縮空気の混合流体、すなわち泡を生成する。発泡器25には第2合流部25Aが設けられている。第2合流部25Aには第2連結路30Aが連結されている。第2連結路30Aは、上流端においてコンプレッサ30に連結されている。第2連結路30Aには、コンプレッサ30において生成された圧縮空気が流通する。発泡器25は、第2連結路30Aを流通した圧縮空気が第2合流部25Aから送り込まれる。発泡器25は、第2合流部25Aから送り込まれる圧縮空気を、流路20Cから流入する水と液体洗浄剤の混合流体に混合する。発泡器25は、水と液体洗浄剤と圧縮空気の混合流体を、内部を流通させる過程で撹拌する。発泡器25においてよく混ぜ合わされた水、液体洗浄剤、及び圧縮空気の混合流体は、下流側の流路20Dに流出される。
【0025】
流路20Dは、発泡器25から延びて泡流出口10Bに連通している。発泡器25から流出した混合流体は、流路20Dを流通して泡流出口10Bから流出する。発泡器25にはバイパス流路BPも接続されている。バイパス流路BPを流通して発泡器25に至った水は、液体洗浄剤及び圧縮空気が混合されず、そのまま水として泡流出口10Bから流出される。
【0026】
コンプレッサ30は電気駆動式である。コンプレッサ30を駆動する電力はバッテリーユニットBから供給される。コンプレッサ30は、制御部Cによって制御される。上述のとおり、コンプレッサ30には第2連結路30Aが連結されている。バッテリーユニットBは、ケース10内に着脱自在に収納される。バッテリーユニットBは、リチウムイオン電池等の二次電池を有して構成され、ケース10から取り出して充電して使用することができる。
【0027】
タンクTは液体洗浄剤を貯留する。上述のように、タンクTには第1連結路TAが連結される。第1連結路TAを流通した液体洗浄剤は、流路20におけるアスピレータ24に導入される。制御部Cは、制御部Cに接続されたコンプレッサ30の動作制御を実行する。制御部Cは、例えばコンピュータを主体として構成されており、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)などのメモリ等を有して電気基板に実装された形態である。制御部Cは、流量センサ23の検知結果に基づいてコンプレッサ30を駆動する。
【0028】
図3に示すように、逆流防止ユニット4は、筐体50、吸気部60、及び排水部70を有している。逆流防止ユニット4は、筐体50の上部に吸気部60、下部に排水部70をそれぞれ固定した構成であり、筐体50によって吸気部60と排水部70の相対位置を固定している。筐体50は、上下両端が閉塞された円筒状をなしている。筐体50は、直径が約100mm、軸方向長さが約300mmの円筒状である。筐体50は、軸を上下方向に沿って配置した状態では、吸気部60と排水部70との鉛直距離を200mm以上確保している。筐体50は、下端部に流入口50A及び流出口50Bを形成している。流入口50A及び流出口50Bには、それぞれ通水ホースH1,H2が接続されている。逆流防止ユニット4は、流入口50Aに接続された通水ホースH1によって、上流側の水栓101と接続されている。逆流防止ユニット4は、流出口50Bに接続された通水ホースH2によって、下流側の泡供給ユニット3と接続されている。
【0029】
筐体50の内部には、流入口50Aから流出口50Bまで連続する流路51が形成されている。この流路51は通水部2の一部を構成する。吸気部60及び排水部70は、それぞれ流路51に設けられている。逆流防止ユニット4において、吸気部60は、排水部70よりも流路51の上流側に設けられている。流路51は、流入口50Aから流入した水を、吸気部60、排水部70の順に流通させ、流出口50Bから流出させる。流路51は、ホース、管継手等の流路形成部材によって形成される。流路51は、概略的に分けると、流入口50Aから吸気部60に至る流路51A、吸気部60から排水部70に至る流路51B、排水部70から流出口50Bに至る流路51Cの3つの区間に分割される。
【0030】
吸気部60は、流路51内の水の流通が停止した止水時において、外部から空気を吸入して流路51内に導入する。吸気部60は、いわゆるバキュームブレーカとして機能する。吸気部60は、逆流防止ユニット4よりも上流側において負圧が発生した場合に、外部から空気を導入する。これによって、吸気部60は、吸気部60よりも下流側の水が負圧によって上流側に吸引されるのを防止する。図4に示すように、吸気部60は、本体ケース61、ガイド部材65、及び開閉弁体67を有している。本体ケース61は、上下方向に延びた円筒状に形成されている。本体ケース61は、開口61A、及び収容空間62Wを形成している。開口61Aは、本体ケース61における上端の開口である。収容空間62Wは、開口61Aから下方に拡がる本体ケース61の内部空間である。収容空間62Wには、ガイド部材65及び開閉弁体67が収容されている。収容空間62Wの上部内周面にはめねじが形成されており、ガイド部材65が締結固定される。
【0031】
本体ケース61は、上流側通水管62、内筒63、及び下流側通水管64を有している。上流側通水管62は、本体ケース61の下端部から下方に延びている。上流側通水管62は、本体ケース61の中心軸と同心状に下方に延びている。上流側通水管62は、本体ケース61の内径よりも小さな内径で形成されている。上流側通水管62の下端には、流入口50Aから連なる流路51Aが接続される。
【0032】
内筒63は、本体ケース61の内側下面から上方に延びている。内筒63は、上流側通水管62の内部と連通する上流側通水路61Wを形成している。内筒63における上下方向の長さは、本体ケース61における上下方向の長さよりも短い。内筒63の上端63Aは、開閉弁体67における後述する内筒側弁部67Bが接触する。内筒63の上端63Aには僅かな切欠き63Bが形成されている。下流側通水管64は、本体ケース61における周壁部から径方向外側に延びている。下流側通水管64の先端は、流路51Bを介して、排水部70における後述する上流側通水路71Wに接続される。下流側通水管64は、上流側通水路61W及び収容空間62Wと連通する下流側通水路63Wを形成している。
【0033】
ガイド部材65は外観が円板形状である。ガイド部材65は、上下方向に貫通したガイド孔65Aと、ガイド孔65Aを囲うように上下方向に貫通した複数の空気導入孔65Bとを形成している。ガイド孔65Aは後述する開閉弁体67を上下方向にスライド自在に保持するためのものである。空気導入孔65Bは、本体ケース61の収容空間62Wと外部の空間とを連通させるものである。ガイド部材65の上部にはキャップ66が着脱自在に取り付けられている。キャップ66は本体ケース61の開口61Aを覆うような形状である。キャップ66の下端と本体ケース61の上端との間には隙間66Aが形成されている。本体ケース61の収容空間62Wは、隙間66A及び空気導入孔65Bを通じて、外部の空間と連通している。隙間66A及び空気導入孔65Bは、本開示に係る吸気路の例示である。
【0034】
開閉弁体67は、本体部68及び軸部69を有している。本体部68は外観が円板形状である。軸部69は本体部68の上面の中心から上方へ延びている。軸部69はガイド部材65のガイド孔65Aに挿入されている。本体部68は上面側にガイド側弁部67Aを有している。ガイド側弁部67Aはガイド部材65の下面に形成されたガイド側弁座65Cに接触できる形状である。ガイド側弁座65Cは、空気導入孔65Bを囲うように、円環状に形成されている。本体部68は下面側に内筒側弁部67Bを有している。内筒側弁部67Bは内筒63の上端63Aに接触できる形状である。
【0035】
排水部70は、流路51における吸気部60の下流側に設けられている。排水部70は、添加部としての泡供給ユニット3よりも上流側に設けられている。排水部70は、通水部2内の水の流通が停止した際、吸気部60との間の流路51B内の水を外部に排出する。排水部70は、排水部70よりも上流側の通水部2において逆流が発生した場合に、逆流してきた水を排出することができる。これによって、排水部70は、排水部70よりも上流側に水が逆流するのを防止する。
【0036】
図5に示すように、排水部70は、吸気部60と同様の構成に加え、弾性部材77Cを備えている。排水部70は、吸気部60の配置とは上下反対に配置したものである。すなわち、排水部70は、吸気部60が下方から水を流入させるのに対し、上方から水を流入させる。排水部70は、弾性部材77Cに加えて、本体ケース71、ガイド部材75、及び開閉弁体77を有している。本体ケース71は、上下方向に延びた円筒状に形成されている。本体ケース71は、開口71A、及び収容空間72Wを形成している。開口71Aは、本体ケース71における下端の開口である。収容空間72Wは、開口71Aから上方に拡がる本体ケース71の内部空間である。収容空間72Wには、ガイド部材75及び開閉弁体77が収容されている。収容空間72Wの上部内周面にはめねじが形成されており、ガイド部材75が締結固定される。
【0037】
本体ケース71は、上流側通水管72、内筒73、及び下流側通水管74を有している。上流側通水管72は、本体ケース71の上端部から上方に延びている。上流側通水管72は、本体ケース71の中心軸と同心状に上方に延びている。上流側通水管72は、本体ケース71の内径よりも小さな内径で形成されている。上流側通水管72の上端は、流路51Bを介して、吸気部60における下流側通水管64に接続されている。
【0038】
内筒73は、本体ケース71の内側上面から下方に延びている。内筒73は、上流側通水管72の内部と連通する上流側通水路71Wを形成している。内筒73における上下方向の長さは、本体ケース71における上下方向の長さよりも短い。内筒73の下端73Aは、開閉弁体77における後述する内筒側弁部77Bが接触する。下流側通水管74は、本体ケース71における周壁部から径方向外側に延びている。下流側通水管74の先端は、流路51Cを介して、流出口50Bに接続されている。下流側通水管74は、上流側通水路71W及び収容空間72Wと連通する下流側通水路73Wを形成している。
【0039】
ガイド部材75は外観が円板形状である。ガイド部材75は、上下方向に貫通したガイド孔75Aと、ガイド孔75Aを囲うように上下方向に貫通した複数の水排出孔75Bとを形成している。ガイド孔75Aは後述する開閉弁体77を上下方向にスライド自在に保持するためのものである。水排出孔75Bは、本体ケース71の収容空間72Wと外部の空間とを連通させるものである。ガイド部材75の上部にはキャップ76が着脱自在に取り付けられている。キャップ76は本体ケース71の開口71Aを覆うような形状である。キャップ76の上端と本体ケース71の下端との間には隙間76Aが形成されている。本体ケース71の収容空間72Wは、隙間76A及び水排出孔75Bを通じて、外部の空間と連通している。隙間76A及び水排出孔75Bは、本開示に係る排水路の例示である。
【0040】
開閉弁体77は本体部78及び軸部79を有している。本体部78は外観が円板形状である。軸部79は本体部78の下面の中心から下方へ延びている。軸部79はガイド部材75のガイド孔75Aに挿入されている。本体部78は下面側にガイド側弁部77Aを有している。ガイド側弁部77Aはガイド部材75の上面に形成されたガイド側弁座75Cに接触できる形状である。ガイド側弁座75Cは、水排出孔75Bを囲うように、円環状に形成されている。本体部78は上面側に内筒側弁部77Bを有している。内筒側弁部77Bは内筒73の下端73Aに接触できる形状である。開閉弁体77は、例えばポリプロピレン(PP)やエチレンプロピレンゴム(EPDM)等の水よりも比重の小さい材料で形成されている。
【0041】
弾性部材77Cは、開閉弁体77を上方に移動させるための弾性力を開閉弁体77に付与する。弾性部材77Cの弾性力は、比較的小さく設定されている。弾性部材77Cの弾性力は、排水部70の上方であって、吸気部60との間の流路51である流路51B内に滞留する水の質量による力よりも十分に小さい。本実施形態の場合、弾性部材77Cは圧縮コイルばねを採用している。この圧縮コイルばねは、図5に示すように、開閉弁体77における本体部78の下方に配置されて本体部78の下面に接触し、本体部78に対して上方への弾性力を作用させる。
【0042】
逆流防止ユニット4において上流側から下流側へ水の流通が生じている場合、吸気部60では、上流側通水路61Wから収容空間62Wに流入する水の圧力によって開閉弁体67が上方へ移動し、ガイド側弁部67Aがガイド側弁座65Cに接触する。
【0043】
逆流防止ユニット4において上流側から下流側へ水の流通が生じている場合、排水部70では、上流側通水路71Wから収容空間72Wに流入する水の圧力によって、開閉弁体77が弾性部材77Cの弾性力に抗して下方へ移動する。
【0044】
逆流防止ユニット4において上流側から下流側へ水の流通が生じていない止水状態の場合、吸気部60では、開閉弁体67が自重によって下方へ移動し、内筒側弁部67Bが内筒63の上端63Aに接触している。
【0045】
逆流防止ユニット4において上流側から下流側へ水の流通が生じていない止水状態の場合、排水部70では、開閉弁体77が弾性部材77Cの弾性力によって上方へ移動してガイド側弁座75Cから離れた状態となる。この時、開閉弁体77は、内筒側弁部77Bが内筒73の下端73Aからも離れた状態となっている。
【0046】
止水状態において、使用者がシャワーヘッド102を吐出装置1よりも上方に持ち上げた場合や、シャワーヘッド102をシャワーフック102Aに取り付けた場合等においては、通水部2には、シャワーヘッド102側から水栓101側に向かう方向、すなわち逆流方向の水圧が作用する。
【0047】
逆流防止ユニット4よりも下流側において逆流が生じた場合、この逆流した水は、排水部70に流入する。この時、排水部70における開閉弁体77は、弾性部材77Cの弾性力によって上方に押し上げられており、水排出孔75Bが開放されている。このため、排水部70に逆流してきた水は水排出孔75Bから外部に排出される。開閉弁体77は、水よりも比重の小さい材料で形成されている。このため、開閉弁体77は、収容空間72W内に逆流した水が流入してきた際には、浮力によっても水排出孔75Bを開放する。開閉弁体77は、逆流してきた水の水勢によっては、更に浮上して内筒73の下端73Aに接触する。これによって、排水部70は、逆流してきた水が上流側通水路71Wに流入するのを阻止する。このように、逆流防止ユニット4は、逆流防止ユニット4よりも下流側から逆流した水が、排水部70よりも上流側の通水部2に流入するのを回避できる。
【0048】
次に本実施形態に係る吐出装置1の作用について、使用方法と併せて説明する。吐出装置1を使用してシャワー浴を行う場合、吐出装置1の使用者は、泡状の吐出形態と、液体洗浄剤等の添加物が添加されない通常の水のみの吐出形態と、のどちらの吐出形態で吐出させるかを選択する。使用者は、泡状の吐出形態を所望の場合は、泡供給ユニット3における操作部22Aを操作して、三方弁22が流路20Aと流路20Bとを連通させた状態にする。使用者は、吐出形態として、通常の水のみの吐出形態を所望の場合は、操作部22Aを操作して、三方弁22が流路20Aとバイパス流路BPとを連通させた状態にする。
【0049】
吐出装置1の使用者は、操作部22Aを操作して流路20の連通状態を切り替えたら、水栓101を操作して吐出装置1に水を供給する。水栓101から供給される水は、吐出装置1における通水部2を流通する。具体的には、水栓101から供給される水は、通水ホースH1内を流通し、逆流防止ユニット4における流入口50Aから逆流防止ユニット4内に流入する。逆流防止ユニット4内に流入した水は、流路51Aを流通して吸気部60に流入する。吸気部60では、流入した水によって開閉弁体67が押し上げられる。これによって、吸気部60では、空気導入孔65Bから収容空間62Wが水密に閉塞され、上流側通水路61Wと下流側通水路63Wとが収容空間62Wを介して連通した状態となる。上流側通水路61Wから収容空間62Wに流入した水は、空気導入孔65Bから外部に漏れ出すことなく下流側通水路63Wに流入する。このように、吸気部60は、通水時には、上流側の流路51Aから下流側の流路51Bへと水を好適に流通させる。
【0050】
吸気部60を経て流路51Bを流通した水は、排水部70に流入する。排水部70では、流入した水によって開閉弁体77が弾性部材77Cの弾性力に抗して押し下げられる。これによって、排水部70では、水排出孔75Bから収容空間72Wが水密に閉塞され、上流側通水路71Wと下流側通水路73Wとが収容空間72Wを介して連通した状態となる。上流側通水路71Wから収容空間72Wに流入した水は、水排出孔75Bから外部に漏れ出すことなく下流側通水路73Wに流入する。このように、排水部70は、通水時には、上流側の流路51Bから下流側の流路51Cへと水を好適に流通させる。流路51Cに流入した水は、流出口50Bから流出して通水ホースH2を流通し、泡供給ユニット3における水流入口10Aから泡供給ユニット3内に流入する。
【0051】
泡供給ユニット3内に流入した水は、流路20Aを流通して三方弁22に至る。上述の操作部22Aの操作において、泡状の吐出形態に切り替えた場合、流路20Aを流通して三方弁22に流入した水は、流路20Bに流入する。流路20Bを流通する水は、流量センサ23を経てアスピレータ24に流入する。アスピレータ24においては、水の流れによるベンチュリ効果を利用した負圧によって、第1合流部24Aから液体洗浄剤が混合される。液体洗浄剤は、第1連結路TAを経てタンクTから供給される。アスピレータ24を通過し、流路20Cを流通した水と液体洗浄剤の混合流体は、発泡器25に流入する。発泡器25においては、水と液体洗浄剤の混合流体に対し、第2合流部25Aから圧縮空気が混合される。
【0052】
三方弁22からアスピレータ24へ、流路20Bを水が流通する際、流量センサ23は、流路20Bに水が流れていること検知し、これを表す信号を制御部Cに送信する。制御部Cは、流量センサ23からの信号を受けてコンプレッサ30の駆動制御を実行する。これによって、コンプレッサ30は圧縮空気を生成し、第2合流部25Aから流路20に圧縮空気を送り込む。圧縮空気は、第2連結路30Aを経てコンプレッサ30から供給される。発泡器25は、水と液体洗浄剤と圧縮空気の混合流体を撹拌したのち、流路20Dへと流出する。そして、流路20Dを流通した水と液体洗浄剤と圧縮空気の混合流体は、泡流出口10Bから泡として流出する。泡流出口10Bから流出した泡は通水ホースH3を流通してシャワーヘッド102に流入し、泡状のシャワーとして吐出される。吐出装置1の使用者は、シャワーヘッド102を手に持って、泡状のシャワーを所望の身体部位に当てたり、シャワーフック102Aに取り付けたシャワーヘッド102から吐出される泡状のシャワーを浴びたりすることができる。
【0053】
上述の操作部22Aの操作において、通常の水の吐出形態に切り替えた場合、流路20Aを流通して三方弁22に流入した水は、バイパス流路BPに流入する。バイパス流路BPに流入した水は、液体洗浄剤、及び圧縮空気が混入されることなく発泡器25を通過し、流路20Dを流通して泡流出口10Bから流出する。泡流出口10Bから流出した水は通水ホースH3を流通してシャワーヘッド102に流入し、通常の水のみのシャワーとして吐出される。
【0054】
シャワー浴が終了したら、水栓101を操作して止水する。これによって、通水部2における水の流通が停止する。吐出装置1の使用者は、シャワーヘッド102を手に持って使用していた場合には、シャワーヘッド102をシャワーフック102Aに取り付けて片付ける。上述のように、本実施形態の場合、設置状態の吐出装置1は、下流側のシャワーヘッド102よりも下方であって、上流側の水栓101よりも上方に配置されている。この場合、止水状態の通水部2には、シャワーヘッド102側から泡供給ユニット3側に向かう方向、すなわち逆流方向の水圧が作用する。泡供給ユニット3は、流路20に逆止弁21を設けているため、泡供給ユニット3よりも上流側への逆流を防止する。仮に泡供給ユニット3から上流側への逆流が生じた場合でも、後述のように逆流防止ユニット4における排水部70において外部に排水され、逆流防止ユニット4よりも上流側の水栓101や給水源への逆流が防止される。
【0055】
通水部2が止水状態の場合、逆流防止ユニット4における吸気部60及び排水部70では、空気導入孔65B及び水排出孔75Bがそれぞれ開放される。具体的には、吸気部60では、通水時には水圧によって上方へ移動していた開閉弁体67が、自重によって下方へ移動する。これによって、通水時においてガイド側弁座65Cに接触していたガイド側弁部67Aがガイド側弁座65Cから離れ、空気導入孔65Bが吸気部60における収容空間62Wと連通する。下方に移動した開閉弁体67は、内筒側弁部67Bを内筒63の上端63Aに接触させ、上流側通水路61Wを閉塞する。このため、通水部2が止水状態の場合、吸気部60では、空気導入孔65Bから収容空間62W内に空気が導入され、下流側通水路63Wから排水部70との間の流路51B内に進入してエアーギャップを形成する。
【0056】
通水部2が止水状態の場合、排水部70では、通水時には水圧によって下方へ移動していた開閉弁体77が、弾性部材77Cの弾性力によって上方へ移動する。これによって、通水時においてガイド側弁座75Cに接触していたガイド側弁部77Aがガイド側弁座75Cから離れ、水排出孔75Bが排水部70における収容空間72Wと連通する。この時、弾性部材77Cによる弾性力が比較的小さく設定されていること、及び上流側の流路51Bに滞留する水の水頭圧が作用することによって、開閉弁体77は、内筒73の下端73Aに接触して上流側通水路71Wを閉塞することはない。このため、通水部2が止水状態の場合、排水部70では、収容空間72Wを介して水排出孔75Bと上流側通水路71Wとが連通する。これによって、流路51B内の水は、排水部70から外部に排水される。水が排出された流路51B内の空間には、上述の通り、吸気部60における空気導入孔65Bから導入された空気によるエアーギャップが形成される。
【0057】
すなわち、通水部2が止水状態の場合、逆流防止ユニット4では、吸気部60における空気導入孔65Bから、流路51Bを経て、排水部70における水排出孔75Bに至るまで、内部の空間が一連に連通する。これによって、逆流防止ユニット4では、吸気部60における空気導入孔65Bから空気が導入されて流路51B内の水と入れ替わる。この空気と入れ替わった流路51B内の水は、排水部70における水排出孔75Bから外部に排出される。このようにして、逆流防止ユニット4では、止水時において、吸気部60と排水部70との間の通水部2にエアーギャップが形成される。吐出装置1は、下流側の通水部2からの水が上流側に逆流するのを防止することができる。
【0058】
水栓101や、その上流側の給水配管、給湯配管等、逆流防止ユニット4よりも上流側において負圧が発生した場合、吸気部60における開閉弁体67は、負圧によって下方へ移動し、内筒側弁部67Bが内筒63の上端63Aに押し付けられる。内筒側弁部67Bと内筒63の上端63Aとの間は、切欠き63Bを形成したことによって完全に気密に保持されていない。このため、上流側通水路61Wは、隙間66A、空気導入孔65B、及び収容空間62Wを通じて外部と連通し、吸気部60の上流側の流路51Aに空気が吸入される。これによって、逆流防止ユニット4は、吸気部60よりも下流側には上流側の負圧が作用せず、上流の水栓101側へ水が吸入されるのを防止できる。このように、吐出装置1は、逆流防止ユニット4よりも上流側において負圧が発生した場合でも、その負圧を吸気部60によって解消でき、泡供給ユニット3において液体洗浄剤が添加された水が逆流防止ユニット4よりも上流側に吸引されることを確実に防止できる。
【0059】
以上のように、本実施形態に係る吐出装置1は、通水部2と、添加部としての泡供給ユニット3と、吸気部60及び排水部70を有する逆流防止ユニット4と、を備えている。通水部2は、上流側である水栓101側から供給される水を流通させて下流側の吐出部としてのシャワーヘッド102に供給する。泡供給ユニット3は、通水部2に設けられている。泡供給ユニット3は、通水部2を流通する水に添加物としての液体洗浄剤を添加する。吸気部60は、泡供給ユニット3よりも上流側の通水部2に設けられている。吸気部60は、通水時に閉塞されて止水時に開放される吸気路としての空気導入孔65B及び隙間66Aを有している。排水部70は、吸気部60と泡供給ユニット3との間の通水部2に設けられるとともに吸気部60よりも下方に配置されている。排水部70は、通水時に閉塞されて止水時に開放される排水路としての水排出孔75B及び隙間76Aを有している。吸気部60は、止水時には、空気導入孔65Bから空気を吸入して通水部2に導入する。排水部70は、止水時には、吸気部60との間の通水部2内の水を水排出孔75Bから外部に排出する。
【0060】
このような構成によって、吐出装置1は、通水時には、吸気部60における空気導入孔65Bと、排水部70における水排出孔75Bとがそれぞれ閉塞されるため、水を外部に漏れださせることなく水を流通させることができる。これに対し、止水時には、吐出装置1は、空気導入孔65Bと水排出孔75Bとがそれぞれ開放される。これによって、吸気部60と排水部70との間の流路51B内の水が自重落下して水排出孔75Bから排出されるとともに、水が排出された流路51B内には空気導入孔65Bから導入される空気が導入されてエアーギャップが形成される。その結果、吐出装置1は、水栓101、給水源、給湯源等、吐出装置1よりも上流側において負圧が発生した場合でも、泡供給ユニット3において液体洗浄剤が混合された水が、逆流防止ユニット4を越えて上流側に吸引されることを防止できる。
【0061】
吐出装置1において、吸気部60は、吐出部としてのシャワーヘッド102よりも下方に配置される。このため、吐出装置1は、吸気部60よりも上方のシャワーヘッド102側の水頭圧が逆流方向に作用し得る。このような配置は、従来であれば回避すべきであった。しかし、吐出装置1は、仮にシャワーヘッド102側からの逆流が生じた場合でも、吸気部60よりも下方に排水部70を配置したことによって、逆流防止ユニット4よりも上流側からの逆流を排水部70における水排出孔75Bから排出することができるので、上流側への逆流を防止できる。すなわち、吐出装置1は、シャワーヘッド102等の吐出部との高さ関係に制約を受けることなく自由な配置を実現可能な構成である。このように、吐出装置1は、従来であれば逆流が生じ得た回避すべき配置を実現できることの意義は大きい。
【0062】
吐出装置1は、浴室内の見えにくい位置、例えば浴室鏡の背後側に形成した空間内に隠蔽して納める等の配置も実現できる。浴室鏡は、通常、シャワーヘッドと比較して低位に配置される。しかし、吐出装置1は、上述の通り、吐出部との高さ関係に制約を受けることがない。このため、吐出装置1は、浴室内の美観を損ねることのない、自由な配置を実現できる。
【0063】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施の形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
【0064】
本開示に係る流路の構成、流路を流通する過程における泡の生成形態等は、上記実施形態に限定されない。
【0065】
本開示に係る添加部の構成、添加部において添加される添加物の種類等は、上記実施形態に限定されない。添加部は、例えば、液体洗浄剤等の洗浄効果を有するもののみならず、例えば、芳香剤、入浴剤、炭酸ガス等であってもよい。添加部は、例えば、複数種類の添加物を水に添加してもよい。添加部は、例えば、吸気部及び排水部とともにユニット化されていてもよいし、シャワーヘッド等の吐出部と一体に設けられていてもよい。
【0066】
本開示に係る吸気部及び排水部の構成は、上記実施形態の構成に限定されない。吸気部は、添加部よりも上流側の通水部に設けられ、通水時に閉塞されて止水時に開放される吸気路を有し、止水時に吸気路から空気を吸入して通水部に導入する限り、その構成は特に問わない。排水部は、吸気部と添加部との間の通水部に設けられるとともに吸気部よりも下方に配置されており、通水時に閉塞されて止水時に開放される排水路を有し、止水時に吸気部との間の通水部内の水を排水路から外部に排出する限り、その構成は特に問わない。
【0067】
設置状態における吸気部と排水部との鉛直距離は、逆流防止の信頼性といった観点において、50mm以上確保されていることが好ましい。吸気部と排水部との鉛直距離の上限値は、250mm程度であることが好ましい。すなわち、設置状態における吸気部と排水部との鉛直距離は、50mm以上、250mm以下であることが好ましい。この範囲であれば、エアーギャップの確実な形成と、装置の大型化の回避との両立を図ることができる。
【0068】
吸気部及び排水部は、上記実施形態のようにユニット化されることなく、別々に設けられていてもよい。吸気部及び排水部がユニット化されている場合、吸気部及び排水部のそれぞれが別々に設けられている場合と比較して、容易に設置できて好ましい。吸気部及び排水部がユニット化されて互いの相対位置が固定されている場合、設置状態における吸気部と排水部との鉛直距離を適切に確保できて好ましい。吐出装置は、例えば、吸気部、排気部、及び添加部がユニット化されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0069】
1…吐出装置、2…通水部、3…泡供給ユニット(添加部)、60…吸気部、65B…空気導入孔(吸気路)、66A…隙間(吸気路)、70…排水部、75B…水排出孔(排水路)、76A…隙間(吸気路)、102…シャワーヘッド(吐出部)
図1
図2
図3
図4
図5