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特開2023-152366衝立式パーティション及びその組立て方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152366
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】衝立式パーティション及びその組立て方法
(51)【国際特許分類】
   A47B 13/00 20060101AFI20231010BHJP
   A47B 96/04 20060101ALI20231010BHJP
   A47F 10/06 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
A47B13/00 Z
A47B96/04 Z
A47F10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062312
(22)【出願日】2022-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】592238799
【氏名又は名称】株式会社光モール
(74)【代理人】
【識別番号】100077791
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 収二
(72)【発明者】
【氏名】土本 展秀
【テーマコード(参考)】
3B053
【Fターム(参考)】
3B053NQ02
3B053NQ09
3B053NQ10
(57)【要約】
【課題】固定物の上面に立設される固定パネルにスライドパネルを重ねて設け、スライドパネルを移動することによりパーティションの面積を拡大・縮小することができるように構成した衝立式パーティションと、その組立て方法を提供する。
【解決手段】固定物(1)の上面に立設される固定パネル(3)の表面にスライドパネル(4)を重ね合わせ、引出方向X1と格納方向X2に移動可能な状態で支持する上側レール(7)と下側レール(8)から成る支持手段(5)と、前記移動を制御する受止め部材(9)と当接部材(10)から成る制御手段(6)を設けており、受止め部材(9)と当接部材(10)により、固定パネルの表面とスライドパネルの裏面の間に隙間Sを形成し、引出方向X1に移動されたスライドパネルの抜け止め手段を構成している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定物(1)の上面にX方向に向けて立設される固定パネル(3)と、前記固定パネルの表裏面のうち表面に重ね合わせられるスライドパネル(4)と、前記スライドパネルを固定パネルから引出す引出方向X1と固定パネルに重ねる格納方向X2に移動可能な状態で支持する支持手段(5)と、前記移動を制御する制御手段(6)により構成されており、
前記支持手段(5)は、前記固定パネルの表面においてスライドパネルの上下縁部をそれぞれ摺動自在に嵌合するようにX方向の両端部を開口した溝形部材から成る上側レール(7)及び下側レール(8)を備え、
前記下側レールの溝部の外側面を前記固定パネルの表面(3F)に固着し、前記上側レールの溝部の内側面を前記固定パネルの上縁部(3a)の裏面(3R)に固着しており、
前記制御手段(6)は、前記上側レールに固着された固定パネルの上縁部のうち前記引出方向X1に臨む側端部の表面に固着された受止め部材(9)と、前記上側レールに嵌合されたスライドパネルの上縁部のうち前記格納方向X2に臨む側端部の裏面に固着された当接部材(10)を備え、
上側レールに嵌合されたスライドパネルの上縁部(4a)を前記受止め部材(9)に重ねると共に、スライドパネルの前記当接部材(10)を固定パネルの上縁部の表面(3F)に重ねることにより、固定パネルの表面とスライドパネルの裏面の間に隙間Sを形成し、
引出方向X1に移動されたスライドパネルの前記当接部材(10)を前記受止め部材(9)に当接することにより、スライドパネルの抜け止め手段を形成するように構成されて成ることを特徴とする衝立式パーティション。
【請求項2】
前記支持手段(5)及び制御手段(6)とスライドパネル(4)は、固定物の上面に保持具を介して立設された既設の透明パネルから成る固定パネル(3)に対して後付け可能とされた組み立てキットを構成しており、
高さ寸法Hとされた固定パネル(3)のうち、前記保持具に保持された高さ寸法H2で規定される下部領域と、下部領域の上方に高寸法さH1で規定される上部領域に関して、スライドパネル(4)は、前記上部領域とほぼ同じ高さ寸法hを有する透明パネルにより形成され、
前記上側レール(7)と下側レール(8)は、上側レールの溝幅W1に対して下側レールの溝幅W2をW1>W2として形成され、上側レールの溝部(7a)の両側の内側面のうち一方の内側面に粘着層(7x)を設け、下側レールの溝部(8a)の両側の外側面のうち一方の外側面に粘着層(8x)を設けており、
前記受止め部材(9)と当接部材(10)は、それぞれ板片により形成され、それぞれの板片の両面のうち一方の面に粘着層(9x)(10x)を設けて成ることを特徴とする請求項1に記載の衝立式パーティション。
【請求項3】
スライドパネル(4)の上下縁部(4a)(4b)にそれぞれ上部モール材(12)及び下部モール材(13)が外嵌されており、
上部モール材及び下部モール材は、それぞれ底壁(14a)と両側壁(14b)(14c)を備えた弾性変形可能な溝形部材により形成され、両側壁を底壁から溝開口に向けて次第に近接する方向に傾斜するように形成して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の衝立式パーティション。
【請求項4】
請求項1に記載の衝立式パーティションの組立て方法であり、
前記支持手段(5)及び制御手段(6)とスライドパネル(4)は、固定物の上面に保持具を介して立設された既設の透明パネルから成る固定パネル(3)に対して後付け可能とされた組み立てキットを構成しており、
高さ寸法Hとされた固定パネル(3)のうち、前記保持具に保持された高さ寸法H2で規定される下部領域と、下部領域の上方に高寸法さH1で規定される上部領域に関して、スライドパネル(4)は、前記上部領域とほぼ同じ高さ寸法hを有する透明パネルにより形成され、
前記上側レール(7)と下側レール(8)は、上側レールの溝幅W1に対して下側レールの溝幅W2をW1>W2として形成され、上側レールの溝部(7a)の両側の内側面のうち一方の内側面に粘着層(7x)を設け、下側レールの溝部(8a)の両側の外側面のうち一方の外側面に粘着層(8x)を設けており、
前記受止め部材(9)と当接部材(10)は、それぞれ板片により形成され、それぞれの板片の両面のうち一方の面に粘着層(9x)(10x)を設けており、
前記固定パネル(3)に対して、固定パネルの上縁部(3a)を前記上側レール(7)の溝部に挿入した状態で上側レールの粘着層(7x)を該上縁部の裏面(3R)に固着し、該上縁部の引出方向X1に臨む側端部の表面(3F)に前記受止め部材(9)の粘着層(9x)を固着する固定パネル側の準備工程と、
スライドパネル(4)に対して、スライドパネルの上縁部(4a)のうち格納方向X2に臨む側端部の裏面(4R)に前記当接部材(10)の粘着テープ(10x)を固着するスライドパネル側の準備工程と、
その後、固定パネル(3)の表面に対して傾斜姿勢とすることによりスライドパネル(4)の上縁部(4a)を上側レール(7)の溝部(7a)に挿入すると共に、固定パネルの表面(3F)から離間したスライドパネルの下縁部(4b)に下側レール(8)の溝部(8a)を嵌合させ、該下縁部及び下側レールを一体状態で固定パネルの表面(3F)に向けて近接移動させることにより、下側レールの粘着テープ(8x)を固定パネルの表面に固着する組立て工程により構成されて成ることを特徴とする衝立式パーティションの組立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定物の上面に立設される固定パネルにスライドパネルを重ねて設け、スライドパネルを移動することによりパーティションの面積を拡大・縮小することができるように構成した衝立式パーティションと、その組立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、会社の会議室や飲食店において、ウイルス等の飛沫感染を防止するため、衝立式パーティションが提供されている。一般的な衝立式パーティションは、テーブルやデスクやカウンター等の固定物の上面に保持具を介して透明の固定パネルを立設することにより構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-6618号公報
【特許文献2】実用新案登録第3231218号公報
【特許文献3】実用新案登録第3229988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、飲食店におけるカウンターやテーブルの場合、隣り合う座席の間に位置して、卓上に固定パネルが立設されている。しかしながら、固定パネルは、卓上の上方空間を仕切ることはできても、座席の間を仕切ることができないので、必ずしも感染対策が十分でない。
【0005】
そこで、前記固定パネルを卓上だけでなく、座席の間も仕切ることができる長大のパネルにより形成すれば、前記問題を解決することが可能となる。しかしながら、この場合、固定パネルが座席の真横まで延びるので、店員や顧客の往来を妨げるおそれや、異物の衝突による破損を招来するおそれがある。
【0006】
その他、飲食店のカウンターやテーブルに限らず、会議室のデスク等においても、パネルの大きさが固定されていると、使い勝手が良くない等、種々の問題がある。
【0007】
本発明は、上記に鑑み、必要に応じて仕切り面積を拡大・縮小することができるように構成した衝立式パーティションを提供するものである。その際、好ましくは、飲食店等において既設されている固定パネルに対して、後付けできる組み立てキットを構成し、DIYにより組み立てることができる組立て方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明の衝立式パーティションが手段として構成したところは、固定物の上面にX方向に向けて立設される固定パネルと、前記固定パネルの表裏面のうち表面に重ね合わせられるスライドパネルと、前記スライドパネルを固定パネルから引出す引出方向X1と固定パネルに重ねる格納方向X2に移動可能な状態で支持する支持手段と、前記移動を制御する制御手段により構成されており、前記支持手段は、前記固定パネルの表面においてスライドパネルの上下縁部をそれぞれ摺動自在に嵌合するようにX方向の両端部を開口した溝形部材から成る上側レール及び下側レールを備え、前記下側レールの溝部の外側面を前記固定パネルの表面に固着し、前記上側レールの溝部の内側面を前記固定パネルの上縁部の裏面に固着しており、前記制御手段は、前記上側レールに固着された固定パネルの上縁部のうち前記引出方向X1に臨む側端部の表面に固着された受止め部材と、前記上側レールに嵌合されたスライドパネルの上縁部のうち前記格納方向X2に臨む側端部の裏面に固着された当接部材を備え、上側レールに嵌合されたスライドパネルの上縁部を前記受止め部材に重ねると共に、スライドパネルの前記当接部材を固定パネルの上縁部の表面に重ねることにより、固定パネルの表面とスライドパネルの裏面の間に隙間Sを形成し、引出方向X1に移動されたスライドパネルの前記当接部材を前記受止め部材に当接することにより、スライドパネルの抜け止め手段を形成するように構成されて成る点にある。
【0009】
好ましくは、前記支持手段及び制御手段とスライドパネルは、固定物の上面に保持具を介して立設された既設の透明パネルから成る固定パネルに対して後付け可能とされた組み立てキットを構成しており、高さ寸法Hとされた固定パネルのうち、前記保持具に保持された高さ寸法H2で規定される下部領域と、下部領域の上方に高さ寸法H1で規定される上部領域に関して、スライドパネルは、前記上部領域とほぼ同じ高さ寸法hを有する透明パネルにより形成され、前記上側レールと下側レールは、上側レールの溝幅W1に対して下側レールの溝幅W2をW1>W2として形成され、上側レールの溝部の両側の内側面のうち一方の内側面に粘着層を設け、下側レールの溝部の両側の外側面のうち一方の外側面に粘着層を設けており、前記受止め部材と当接部材は、それぞれ板片により形成され、それぞれの板片の両面のうち一方の面に粘着層を設けている。
【0010】
更に好ましくは、スライドパネルの上下縁部にそれぞれ上部モール材及び下部モール材が外嵌されており、上部モール材及び下部モール材は、それぞれ底壁と両側壁を備えた弾性変形可能な溝形部材により形成され、両側壁を底壁から溝開口に向けて次第に近接する方向に傾斜するように形成している。
【0011】
そして、本発明の衝立式パーティションの組立て方法が手段として構成したところは、前記支持手段及び制御手段とスライドパネルは、固定物の上面に保持具を介して立設された既設の透明パネルから成る固定パネルに対して後付け可能とされた組み立てキットを構成しており、高さ寸法Hとされた固定パネルのうち、前記保持具に保持された高さ寸法H2で規定される下部領域と、下部領域の上方に高寸法さH1で規定される上部領域に関して、スライドパネルは、前記上部領域とほぼ同じ高さ寸法hを有する透明パネルにより形成され、前記上側レールと下側レールは、上側レールの溝幅W1に対して下側レールの溝幅W2をW1>W2として形成され、上側レールの溝部の両側の内側面のうち一方の内側面に粘着層を設け、下側レールの溝部の両側の外側面のうち一方の外側面に粘着層を設けており、前記受止め部材と当接部材は、それぞれ板片により形成され、それぞれの板片の両面のうち一方の面に粘着層を設けており、前記固定パネルに対して、固定パネルの上縁部を前記上側レールの溝部に挿入した状態で上側レールの粘着層を該上縁部の裏面に固着し、該上縁部の引出方向X1に臨む側端部の表面に前記受止め部材の粘着層を固着する固定パネル側の準備工程と、スライドパネルに対して、スライドパネルの上縁部のうち格納方向X2に臨む側端部の裏面に前記当接部材の粘着テープを固着するスライドパネル側の準備工程と、その後、固定パネルの表面に対して傾斜姿勢とすることによりスライドパネルの上縁部を上側レールの溝部に挿入すると共に、固定パネルの表面から離間したスライドパネルの下縁部に下側レールの溝部を嵌合させ、該下縁部及び下側レールを一体状態で固定パネルの表面に向けて近接移動させることにより、下側レールの粘着テープを固定パネルの表面に固着する組立て工程により構成されて成る点にある。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、スライドパネル4を引出方向X1に移動して固定パネル3から引出し又は格納方向X2に移動して固定パネル3に重ね合わせることにより、両パネル3、4で仕切られる面積の大きさを自在に拡張又は収縮することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る衝立式パーティションの1実施形態を示す斜視図である。
図2】固定物の上面に立設された状態の固定パネルを示す斜視図である。
図3】組立て方法における固定パネル側の準備工程を示し、(A)は固定パネルの上縁部に上側レールと受止め部材を固着した状態を示す斜視図、(B)は上側レールと受止め部材を固着した固定パネルの上縁部を示す縦断面拡大図である。
図4】組立て方法におけるスライドパネル側の準備工程を示し、(A)は固定パネルの上下縁部にモール材を嵌着すると共に当接部材を固着し、下縁部に下側レールを臨ませた状態を示す斜視図、(B)は縦断面拡大図である。
図5】組立て方法における組立て工程を示す斜視図である。
図6】組立て完了後の衝立式パーティションを示す斜視図である。
図7】(A)は図6のA-A線断面拡大図、(B)は図6のB-B線断面拡大図である。
図8】固定パネルとスライドパネルの相互関係を説明する斜視図である。
図9】スライドパネルに取付けた把手の1例を示しており、(A)は斜視図、(B)は横断面拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
【0015】
図1に示すように、衝立式パーティションは、テーブルやカウンター等の固定物1の上面に保持具2を介してX方向に向けて立設された固定パネル3と、固定パネル3の表面3Fと裏面3Rのうち表面3Fに重ね合わせられるスライドパネル4を備えている。この際、スライドパネル4を固定パネル3から引出す引出方向X1と固定パネル3に重ねる格納方向X2に移動可能な状態で支持する支持手段5と、前記移動を制御する制御手段6が設けられている。
【0016】
固定パネル3とスライドパネル4は、透明(半透明を含む)の矩形板、例えば、矩形のアクリル板から成り、それぞれ上下に平行な上縁部3a、4aと下縁部3b、4bを備えている。
【0017】
前記支持手段5は、前記固定パネル3の表面3Fにおいてスライドパネル4の上縁部4aと下縁部4bをそれぞれ摺動自在に嵌合するようにX方向の両端部を開口した溝形部材から成る上側レール7と下側レール8により構成されている。
【0018】
この際、上側レール7は、溝部7aに固定パネル3の上縁部3aを挿入させた状態で、該溝部7aの内側面(両側の表側壁7bと裏側壁7cのうち裏側壁7cの内側面)を前記上縁部3aの裏面3Rに固着している。下側レール8は、溝部8aの外側面(両側の表側壁8bと裏側壁8cのうち裏側壁8cの外側面)を固定パネル3の表面3Fに固着している。
【0019】
前記制御手段6は、前記上側レール7を固着した固定パネル3の上縁部3aのうち前記引出方向X1に臨む側端部の表面3Fに固着された受止め部材9と、前記上側レール7に嵌合されたスライドパネル4の上縁部4aのうち前記格納方向X2に臨む側端部の裏面4Rに固着された当接部材10により構成されている。
【0020】
前記受止め部材9と当接部材10により、後述するように、固定パネル3にスライドパネル4を重ね合わせた状態で、固定パネル3の表面3Fとスライドパネル4の裏面R4の間に隙間Sが形成されている。
【0021】
そして、図1に示すように、スライドパネル4は、引出方向X1に移動して固定パネル3から引出し又は格納方向X2に移動して固定パネル3に重ね合わせることにより、両パネル3、4で仕切られる面積の大きさを自在に拡張又は収縮することができるように構成されている。尚、図例のように、スライドパネル4の引出方向X1の端縁部に把手11を設けることが好ましい。
【0022】
この際、スライドパネル4を引出方向X1に移動させ、両パネル3、4の重なり部分が所定幅Lまで減じたとき、前記当接部材10が受止め部材9に当接することにより、スライドパネル4の引出方向X1の移動を阻止する。つまり、当接部材10が受止め部材9に当接することにより、スライドパネル4の抜け止め手段が構成されている。そして、これにより最大引出位置まで移動されたスライドパネル4は、十分な幅Lにわたり固定パネル3に重ねられた上下縁部4a、4bを上側レール7と下側レール8により保持されているので、安定状態で片持ち支持される。
【0023】
(組み立てキットとその組立て方法)
本発明は、飲食店等において、既にカウンターやテーブル等の固定物1の上面に保持具2を介して立設された既設の固定パネル3を対象として、後付け可能に構成することが好ましく、そのための組み立てキットを提供することができる。
【0024】
組み立てキットは、前記スライドパネル4と、前記支持手段5(上側レール7及び下側レール8)と、前記制御手段6(受止め部材9及び当接部材10)と、後述するモール材12、13を1組として、ユーザがDIYにより既設の固定パネル3に対して組立てることができるように構成することが好ましい。
【0025】
図2は、既設の固定パネル3を例示している。図例の場合、本出願人が過去に販売した固定パネル3と保持具2が使用されており、固定パネル3は、幅寸法Wと高さ寸法Hを有する透明(半透明を含)の矩形アクリル板により形成されている。この場合、固定パネル3は、前記保持具2に保持された高さ寸法H2で規定される下部領域と、下部領域の上方に高寸法さH1で規定される上部領域を有しており、組み立てキットは、上部領域にスライドパネル4を重ねることにより後付けできるように構成されている。
【0026】
このため、スライドパネル4は、前記上部領域とほぼ同じ幅寸法wとほぼ同じ高さ寸法hを有する透明(半透明を含む)のアクリル板により形成されている。そして、上側レール7及び下側レール8は、前記幅寸法W及びwに対応する有効長さを有するように裁断された溝形部材、例えば、アルミニウムにより押出成形された溝形部材により形成されている。この際、図例の場合は、固定パネル3の厚さ寸法Tに対して、スライドパネル4の厚さ寸法tがT>tに形成されているので、これに対応するように、上側レール7と下側レール8の溝幅寸法が形成されている。
【0027】
(固定パネル側の準備工程)
図3に示すように、固定物1に立設された固定パネル3に対して、その上縁部3aに上側レール7を被せ、上縁部3aを溝部7aに挿入した状態で、裏側壁7cの内側面を上縁部3aの裏面3Rに固着する。
【0028】
上側レール7は、溝部7aの深さ方向の幅に関して表側壁7bよりも裏側壁7cを幅広に形成されており、該レール7の全長にわたり裏側壁7cの内側面に両面粘着テープから成る粘着層7xを設け、粘着層7xを離形テープにより被覆した状態で組み立てキットの構成部品として提供される。
【0029】
そこで、ユーザは、離形テープを剥離した後、上述のように上側レール7を固定パネル3の上縁部3aに被せることにより、粘着層7xを上縁部3aの裏面3Rに固着すれば良い。
【0030】
上側レール7の取付けに際し、固定パネル3の上縁部3aの引出方向X1に臨む側端部の表面3Fには、前記受止め部材9が固着される。
【0031】
受止め部材9は、アルミニウム等の板片により形成され、両面のうち一方の面に両面粘着テープから成る粘着層9xを設け、粘着層9xを離形テープにより被覆した状態で組み立てキットの構成部品として提供される。
【0032】
そこで、ユーザは、離形テープを剥離した後、受止め部材9を固定パネル3の表面に臨ませながら粘着層9xを固着すれば良い。
【0033】
(スライドパネル側の準備工程)
図4に示すように、スライドパネル4は、上下縁部4a、4bにそれぞれ上部モール材12及び下部モール材13が外嵌される。
【0034】
上部モール材12及び下部モール材13は、同一部材により構成されており、塩化ビニール等の可撓性プラスチックにより押出成形され、底壁14aと両側壁14b、14cを備えた弾性変形可能な溝形部材であり、両側壁14b、14cを底壁14aから溝開口に向けて次第に近接する方向に傾斜するように形成しており、スライドパネル4の幅wに対応する長さに裁断されたものが組み立てキットの構成部品として提供される。
【0035】
上部モール材12及び下部モール材13の溝部に対して、スライドパネル4の上下縁部4a、4bを挿入すると、弾性変形により両側壁14b、14cが拡開されると共に、弾性により上下縁部4a、4bの表裏面を挟着して保持する。
【0036】
この際、上部モール材12の前記格納方向X2に臨む端部に位置して、スライドパネル4の裏面4Rを保持する側壁14cに当接部材10が固着される。
【0037】
当接部材10は、アルミニウム等の板片により形成され、両面のうち一方の面に両面粘着テープから成る粘着層10xを設け、粘着層10xを離形テープにより被覆した状態で組み立てキットの構成部品として提供される。
【0038】
そこで、ユーザは、離形テープを剥離した後、当接部材10を前記側壁14cの所定個所に臨ませながら粘着層10xを固着すれば良い。
【0039】
(下側レール)
上記の準備工程の間、下側レール8は、固定パネル3に取付けられることはなく、待機させられている。下側レール8は、全長にわたり溝部8aの外側面(裏側壁8cの外側面)に両面粘着テープから成る粘着層8xを設け、粘着層8xを離形テープにより被覆した状態で組み立てキットの構成部品として提供される。
【0040】
(組立て工程)
上記の準備工程を経た後、組立て工程が実施される。図5に示すように、スライドパネル4を固定パネル3の表面3Fに対して傾斜姿勢として、該スライドパネル4の上縁部4a(上部モール材12)を上側レール7の溝部7aに挿入した後、スライドパネル4を固定パネル3に重ね合わせる。
【0041】
重ね合わせに際して、固定パネル3の表面3Fから離間したスライドパネル4の下縁部4b(下部モール材13)に下側レール8の溝部8aを嵌合させ、該下縁部4bと下側レール8を一体に保持した状態で固定パネル3の表面3Fに向けて近接移動させ、下側レール8の粘着テープ8xを固定パネル3の表面3Fに固着することにより、図6に示すように、組立てが完了する。
【0042】
このように、スライドパネル4を固定パネル3に重ね合わせる作業と同時に、下側レール8を固定パネル3の表面3Fに固着することにより、予め、下側レール8の固定位置をメジャー等で測定するような煩雑な作業を必要とせず、下側レール8を所定位置に正確に固着することが可能となる。
【0043】
(作用)
図7に示すように、上側レール7は、溝部7aの内部に固定パネル3の上縁部3aを挿入した状態で裏側壁7cの内側面を粘着層7xにより上縁部3aの裏面3Rに固着している。従って、仮に上側レール7に対して荷重や外力が作用する場合でも、容易に脱落することはない。しかも、裏側壁7cで抱き込むことにより固定パネル3の上縁部3aを保護することができる。
【0044】
図示のように、上側レール7の溝部7aの溝幅W1は、固定パネル3の上縁部3aと受止め部材9に加えて、スライドパネル4の上縁部4aの上部モール材12を摺動自在に受入れ可能とするように、幅広に形成されている。
【0045】
これに対して、下側レール8は、固定パネル3の表面3Fの所定個所に固着され、溝部8aの溝幅W2は、スライドパネル4の下縁部4bに嵌着された下部モール材13を摺動自在に受入れ可能とするように、幅狭に形成されている。つまり、W1>W2となるように形成されている。
【0046】
上側レール7に位置して、引出方向X1の端部には、固定パネル3の表面3Fに受止め部材9が固着され、格納方向X2の端部には、スライドパネル4の裏面3Rに当接部材10が固着されているので、これにより、固定パネル3とスライドパネル4の間に隙間Sが形成され、スライドパネル4をX方向に移動したとき、固定パネル3とスライドパネル4の相互において表面に擦り傷が生じることを防止している。
【0047】
図7(A)に示すように、スライドパネル4の上縁部4aは、上部モール材12の側壁14cが受止め部材9に対して符号Pで示すようにオーバラップする構成とされているので、スライドパネル4をX方向に移動したとき、上部モール材12の側壁14cが受止め部材9に摺擦され、スライドパネル4の裏面4Rを保護する。
【0048】
図7(B)に示すように、当接部材10は、上部モール材12の側壁14cに固着された固着部10aの下方に延長部10bを備えた上下幅の広い板片により形成されており、スライドパネル4を引出方向X1に移動したとき、符号Qで示すように、前記延長部10bの端面が受止め部材9の端面に当接するように構成されている。
【0049】
図8に示すように、スライドパネル4は、固定パネル3に対して、固定パネル3から引出す引出方向X1と固定パネル3に重ねる格納方向X2に移動することが可能であり、これにより、両パネル3、4で仕切られる面積の大きさを自在に拡張又は収縮することができ、スライドパネル4を最大引出位置まで移動したときは、当接部材10が受止め部材9に当接することにより、スライドパネル4の抜け止めとして機能する。
【0050】
ところで、固定パネル3及び/又はスライドパネル4を洗浄する等、メンテナンスのために分離する必要があるときは、スライドパネル4を格納方向X2に向けて移動し続ければ、スライドパネル4は、上側レール7及び下側レール8の端部の開口から引き抜くことが可能である。また、引き抜いたスライドパネル4を反対向きに移動して上側レール7及び下側レール8に挿入すれば、再び装着することができる。
【0051】
(把手)
図9は、前記把手11の好ましい1例を示している。把手11は、プラスチックにより射出成形され、ユーザが手指を掛けることができるハンドル部11aから凹部11bを形成する薄板状の固着部11cを延設し、凹部11bに臨んで固着部11cに両面粘着テープから成る粘着層11xを設け、粘着層11xを離形テープにより被覆した状態で組み立てキットの構成部品として提供される
【0052】
そこで、ユーザは、離形テープを剥離した後、スライドパネル4の引出方向X1の端縁部の表面4Fを凹部11bに嵌合し、粘着層11xを固着すれば良い。この状態で、図9(B)に示すように、ハンドル部11aの裏面がスライドパネル4の裏面4Rと面一となるので、スライドパネル4をX方向に移動する際、ハンドル部11aが固定パネル3の表面3Fを摺擦することはない。
【符号の説明】
【0053】
1 固定物
2 保持具
3 固定パネル
3F 表面
3R 裏面
3a 上縁部
3b 下縁部
4 スライドパネル
4F 表面
4R 裏面
4a 上縁部
4b 下縁部
5 支持手段
6 制御手段
7 上側レール
7a 溝部
7b 表側壁
7c 裏側壁
7x 粘着層
8 下側レール
8a 溝部
8b 表側壁
8c 裏側壁
8x 粘着層
9 受止め部材
9x 粘着層
10 当接部材
10a 固着部
10b 延長部
10x 粘着層
11 把手
11a ハンドル部
11b 凹部
11c 固着片
11x 粘着層
12 上部モール材
13 下部モール材
14a 底壁
14b、14c 側壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9