IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社小松製作所の特許一覧

<>
  • 特開-経路設定装置 図1
  • 特開-経路設定装置 図2
  • 特開-経路設定装置 図3
  • 特開-経路設定装置 図4
  • 特開-経路設定装置 図5
  • 特開-経路設定装置 図6
  • 特開-経路設定装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152371
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】経路設定装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20231010BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20231010BHJP
   B62D 6/00 20060101ALI20231010BHJP
   B60W 40/06 20120101ALI20231010BHJP
   B60W 30/10 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G05D1/02 P
B62D6/00
B60W40/06
B60W30/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062319
(22)【出願日】2022-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000969
【氏名又は名称】弁理士法人中部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸山 俊
(72)【発明者】
【氏名】赤塚 康佑
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 博文
(72)【発明者】
【氏名】高島 亨
(72)【発明者】
【氏名】溝尾 駿
【テーマコード(参考)】
3D232
3D241
5H181
5H301
【Fターム(参考)】
3D232CC20
3D232DA03
3D232DA15
3D232DA29
3D232DA33
3D232DA78
3D232DA82
3D232DA87
3D232DA88
3D232DC33
3D232DD15
3D232EB04
3D232EC34
3D232FF01
3D232GG01
3D241BA15
3D241BA60
3D241CC03
3D241CC08
3D241CC17
3D241CE01
3D241CE02
3D241CE04
3D241CE05
3D241DC12Z
3D241DC47Z
5H181AA07
5H181AA20
5H181AA27
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF05
5H181LL01
5H181LL09
5H301AA03
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD01
5H301DD07
5H301DD15
5H301GG07
5H301GG08
5H301GG09
5H301GG17
5H301KK03
5H301KK08
5H301KK19
(57)【要約】
【課題】路面状態が悪い部分を回避可能な予定走行経路を設定することである。
【解決手段】本経路設定装置において、先に走行した移動体である第1移動体の走行状態に基づいて、後に走行する移動体である第2移動体の予定走行経路が設定される。具体的には、第1移動体の走行状態に基づいて、第1移動体についての予定走行経路に沿った路面の状態が設定状態より悪いと取得された場合に、第1移動体の後に走行する移動体である第2移動体の予定走行経路が第1移動体についての予定走行経路とは別の経路に設定される。その結果、第2移動体は、路面状態が悪い部分を回避して走行することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動体のうちの少なくとも1台についての予定走行経路を設定する経路設定装置であって、
前記複数の移動体のうちの前記少なくとも1台の移動体の前方を走行する1台以上の移動体である第1移動体の各々の走行状態に基づいて、前記少なくとも1台の移動体である第2移動体についての予定走行経路を設定する走行経路設定部を含む経路設定装置。
【請求項2】
複数の移動体のうちの少なくとも1台の移動体についての予定走行経路を設定する経路設定装置であって、
前記複数の移動体のうちの前記少なくとも1台の移動体の前方を走行する1台以上の移動体である第1移動体の各々の走行状態に基づいて、前記第1移動体の予定走行経路に沿った路面の状態を取得する路面状態取得部と、
前記路面状態取得部によって前記路面の状態が設定状態より悪いと取得された場合に、前記少なくとも1台の移動体である第2移動体についての予定走行経路を、前記第1移動体の前記予定走行経路とは異なる経路に設定する走行経路設定部と
を含む経路設定装置。
【請求項3】
前記路面状態取得部が、前記第1移動体の各々の走行状態に基づいて、前記第2移動体についての予定走行経路を、前記第1移動体についての予定走行経路とは異なる経路に設定する要求の大きさを表す別経路設定要求度を取得し、その取得した前記別経路設定要求度が設定要求度より大きい場合と前記別経路設定要求度が設定要求度差以上大きくなった場合との少なくとも一方の場合に前記第1移動体の予定走行経路に沿った路面の状態が前記設定状態より悪いと取得するものである請求項2に記載の経路設定装置。
【請求項4】
前記路面状態取得部が、前記第1移動体の前記走行状態として前記第1移動体の上下方向の振動状態と、前記第1移動体の旋回状態と、前記第1移動体に含まれる運転操作部材の操作状態と、前記第1移動体のスリップ状態とのうちの1つ以上に基づいて前記第1移動体の予定走行経路に沿った前記路面の状態を取得するものである請求項2または3に記載の経路設定装置。
【請求項5】
前記第1移動体が自動運転移動体を含み、
前記走行経路設定部が、前記路面状態取得部によって前記自動運転移動体の走行状態に基づいて前記路面の状態が前記設定状態より悪いと取得された場合に、前記第2移動体についての予定走行経路を、前記自動運転移動体が走行した路面を回避する経路に設定するものである請求項2または3に記載の経路設定装置。
【請求項6】
前記第1移動体がマニュアル運転移動体を含み、
前記走行経路設定部が、前記マニュアル運転移動体の旋回状態である実旋回状態を表す値と前記マニュアル運転移動体についての予定走行経路に沿った旋回状態である目標旋回状態を表す値との差の絶対値が設定値より大きい場合に、前記第2移動体についての予定走行経路を、前記マニュアル運転移動体が走行した経路に設定するものである請求項1ないし3のいずれか1つに記載の経路設定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の移動体のうちの少なくとも1台の移動体についての予定走行経路を設定する経路設定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の経路設定装置において、停止している移動体である第1移動体に接近する自動運転移動体である第2移動体が存在する場合に、第1移動体は、自身を回避可能な走行経路を作成して、第2移動体に送信する。第2移動体は、第1移動体を回避可能な経路に沿って走行することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-126433号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、路面状態が悪い部分を回避可能な予定走行経路を設定することである。
【課題を解決するための手段、作用および効果】
【0005】
本発明に係る経路設定装置において、先に走行した移動体である第1移動体の走行状態に基づいて後に走行する移動体である第2移動体の予定走行経路が設定される。具体的には、第1移動体の走行状態に基づいて、第1移動体についての予定走行経路に沿った路面の状態が設定状態より悪いと取得された場合に、第1移動体の後に走行する移動体である第2移動体の予定走行経路が第1移動体についての予定走行経路とは別の経路に設定される。その結果、第2移動体は、路面状態が悪い部分を回避して走行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の一実施形態である経路設定装置を含む作業システムを概念的に示す図である。
図2】上記経路設定装置の一実施形態である管制装置の管制ECUの記憶部に記憶された予定走行経路設定プログラムを表すフローチャートである。
図3】上記作業システムの構成要素である移動体の移動体ECUの記憶部に記憶された移動体情報作成プログラムを表すフローチャートである。
図4】上記移動体ECUの記憶部に記憶された予定走行経路記憶プログラムを表すフローチャートである。
図5】上記移動体が走行する経路を概念的に示す図である。
図6】上記移動体とは別の移動体が走行する経路を概念的に示す図である。
図7】上記管制ECUの記憶部に記憶され、(7A)移動体の実旋回状態を表す値と目標旋回状態を表す値との差の絶対値に基づいて別経路設定要求度を決定する場合に用いられるマップを示す図である。(7B)移動体実操舵操作状態を表す値と目標操舵操作状態を表す値との差の絶対値に基づいて別経路設定要求度を決定する場合に用いられるマップを示す図である。(7C)移動体の上下方向の振動の状態を表す値に基づいて別経路設定要求度を決定するために用いられるマップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の一実施形態に係る経路設定装置を含む作業システムについて図面に基づいて説明する。
【実施例0008】
本実施例に係る経路設定装置を含む作業システムは、例えば、鉱山等で作業を行う複数の移動体V、複数の移動体Vの各々と通信可能な管制装置C、アンテナA等を含む。管制装置Cと複数の移動体Vとの間では、直接またはアンテナAを介して無線の通信が行われる。
【0009】
複数の移動体Vには、例えば、運転者による運転操作部材の操作である運転操作により走行可能なマニュアル運転移動体Vmと、運転者による運転操作が行われなくても走行可能な自動運転移動体Vaとが含まれる。自動運転移動体Vaは、カメラ,ライダー等により取得された移動体Vの周辺の情報と、管制装置Cからの走行指令との少なくとも一方に基づいて走行可能な移動体である。以下、これらマニュアル運転移動体Vmと自動運転移動体Vaとを区別する必要がない場合、総称する場合等には、単に、移動体Vと称する。
【0010】
これら移動体Vは、それぞれ、移動体Vを駆動する駆動装置D,移動体Vを制動する制動装置B,移動体Vの操舵輪を転舵する転舵装置T,GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機としてのGPS(Global Positioning System)受信機10、周辺情報取得装置12、無線の情報を送信したり受信したりする移動体通信装置14、慣性計測装置16、コンピュータを主体とする移動体ECU20等を含む。
【0011】
駆動装置Dは、例えば、移動体Vの複数の車輪30のうちの複数の駆動輪に連結された駆動源としての電動モータと、電動モータを制御する駆動回路とを含むものとすることができる。駆動回路の制御により電動モータが制御され、駆動輪に加えられる駆動力が制御され、移動体Vの走行速度や加速度が制御される。
【0012】
制動装置Bは、例えば、複数の車輪30の各々に対応して設けられ、摩擦係合部材を車輪30と一体的に回転可能なブレーキ回転体に押し付けることにより車輪30の回転を抑制する摩擦ブレーキと、複数の摩擦ブレーキの各々の押付力を制御可能な押付力制御アクチュエータとを含むものとすることができる。摩擦ブレーキが、押付力としての流体圧により作動可能な流体圧ブレーキである場合には、押付力制御アクチュエータを流体圧制御アクチュエータとすることができる。押付力制御アクチュエータの制御により、複数の車輪30の各々に設けられた摩擦ブレーキの押付力が制御され、複数の車輪30の各々に加えられる制動力が制御される。
【0013】
転舵装置Tは、複数の車輪30のうちの操舵輪である左側車輪30Lと右側車輪30Rとを転舵するものである。転舵装置Tは、例えば、左側車輪30L、右側車輪30Rを連結する一対のタイロッドおよび一対のタイロッドを連結する転舵ロッド、転舵ロッドに設けられた転舵アクチュエータ等を含むものとすることができる。転舵アクチュエータにより転舵ロッドが移動体Vの幅方向に移動させられることにより、左側車輪30と右側車輪30Rとが転舵される。
【0014】
GPS受信機10は、GPS信号を受信するものであり、GPS信号に基づいて、移動体自体の位置を取得する。
周辺情報取得装置12は、カメラ、ライダー等を含み、その周辺情報取得装置12が設けられた移動体自体の周辺の物体等を認識するとともに、その物体等と移動体自体との相対位置関係等を取得する。
【0015】
慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)16は、慣性計測装置16が設けられた移動体自体の前後方向,横方向および上下方向の加速度、前後方向軸、横方向軸および上下方向軸回りの角速度等を検出するものである。換言すると、慣性計測装置16は、移動体Vの前後方向,横方向,上下方向の加速度、ロールレート、ピッチレート、ヨーレート等を検出する。
【0016】
移動体通信装置14は、移動体ECU20において作成された移動体情報を無線で送信したり、管制装置Cから無線で送信された情報である管制情報を受信したりするものである。
【0017】
また、マニュアル運転移動体Vmは、操舵操作部材22等の運転操作部材を含む。操舵操作部材22は、移動体Vの向きを変える場合に操作するものである。マニュアル運転移動体Vmには、また、操舵操作部材22の操作量、操作の向き等を検出する操舵操作状態検出部26等の運転操作状態検出部が含まれる。これら、運転操作部材、運転操作状態検出部等は、自動運転移動体Vaにも設けられる場合がある。
【0018】
また、マニュアル運転移動体Vmには、ディスプレイ32が設けられることが多い。ディスプレイ32には、予定走行経路等が表示されるようにすることができる。運転者は、ディスプレイ32に表示された予定走行経路を見ながら、運転操作部材を操作して、マニュアル運転移動体Vmを移動させる。
【0019】
移動体ECU20には、これら駆動装置Dの駆動回路、制動装置Bの押付力制御アクチュエータ、転舵装置Tの転舵アクチュエータ、GPS受信機10、周辺情報取得装置12、移動体通信装置14、慣性計測装置16、操舵操作状態検出部26、ディスプレイ32等が接続される。また、移動体ECU20には、走行経路等記憶部42、走行状態取得部43、移動体情報作成部44、走行制御部46等が設けられる。
【0020】
走行経路等記憶部42は、移動体自体に設定された予定走行経路に関する情報等を記憶するものである。マニュアル運転移動体Vmにおいては、走行経路等記憶部42は不可欠ではないが、ディスプレイ32に予定走行経路が表示されるようにすることが可能であり、運転者は、その表示に沿って運転することが可能となる。
【0021】
なお、移動体Vの各々の予定走行経路に関する情報は、出発前に管制装置Cから供給されて記憶されるが、出発後に変更されて、設定される場合がある。変更されて設定された予定走行経路に関する情報は、管制装置Cから移動体Vに送信され、走行経路等記憶部42に記憶されて、更新される。
【0022】
走行状態取得部43は、移動体Vの走行状態を取得するものであり、移動体走行状態取得部と称することができる。移動体がマニュアル運転移動体である場合には、走行状態には、実際の旋回状態である実旋回状態、運転操作部材の操作状態、上下方向の振動の状態等が含まれる。移動体が自動運転移動体である場合には、走行状態には、上下方向の振動の状態等が含まれる。
【0023】
例えば、マニュアル運転移動体Vmの実旋回状態は、横変位、旋回半径、ヨーレート等で表すことができる。横変位、旋回半径等は、マニュアル運転移動体Vmの慣性計測装置16の検出値である横方向の加速度、ヨーレート等に基づいて取得することができる。
また、マニュアル運転移動体Vmの運転操作部材としての操舵操作部材22の操作状態(操作量、操作力等で表すことができる)は、操舵操作状態検出部26によって検出することができる。なお、マニュアル運転移動体Vmは、操舵操作部材22の操作に応じて旋回走行するため、操舵操作状態検出部26によって検出された操舵操作部材22の操舵操作状態に基づいて、実旋回状態を取得することができる。その意味において、操舵操作状態検出部26によって検出された操舵操作部材22の操舵量、操作力等は、実旋回状態を表す値であると考えることもできる。
【0024】
自動運転移動体Va、マニュアル運転移動体Vmの上下方向の振動状態は上下方向の変位の差(上下方向の振動の振幅)、上下方向の加速度等で表すことができる。これら上下方向の振動の振幅、上下方向の加速度等は、慣性計測装置16によって検出された上下加速度等に基づいて取得することができる。
【0025】
移動体情報作成部44は、移動体Vから無線で送信される情報である移動体情報を作成するものである。移動体情報は、移動体走行状態情報、移動体位置情報、識別情報等を含む。
【0026】
移動体走行状態情報は、走行状態取得部42によって取得された移動体Vの走行状態を表す情報であり、移動体走行状態情報には、上述の実旋回状態を表す情報である実旋回状態情報、操舵操作状態を表す情報である操舵操作状態情報、上下振動の状態を表す情報である上下振動状態情報等のうちの1つ以上が含まれる。
【0027】
移動体位置情報は、GPS受信機10において受信したGPS信号に基づいて取得された移動体Vの位置を表す情報である。識別情報は、移動体Vの各々を特定する情報であり、移動体Vの各々に対応して予め設定され、記憶されている。作成した移動体情報は、移動体通信装置14に出力される。移動体通信装置14は移動体情報を無線で送信する。
【0028】
図3に示す移動体情報作成プログラムは、複数の移動体Vの各々の移動体情報作成部44において予め定められた設定時間毎に実行される。ステップ51(以下、S51と略称する。他のステップについても同様とする)において、移動体走行状態情報が取得される。S52において、移動体位置情報が取得される。S53において、識別情報が読み込まれる。そして、S54において、識別情報、移動体位置情報、移動体走行状態情報等を含む移動体情報が作成される。移動体情報は、移動体通信装置14に出力されて、送信される。
【0029】
走行制御部46は、駆動装置D,制動装置B,転舵装置T等を制御することにより、移動体Vの走行を制御するものである。
自動運転移動体Vaにおいて、走行制御部46は、走行経路等記憶部42に記憶された予定走行経路に沿って移動体Vが走行するように、駆動装置D,制動装置B,転舵装置T等を制御する。例えば、これら駆動装置D,制動装置B,転舵装置T等は、移動体通信装置14によって受信した管制情報に含まれる走行指令と、周辺情報取得装置12によって取得された移動体Vの周辺の物体等と移動体Vとの相対位置関係等との少なくとも一方に基づいて制御される。
【0030】
マニュアル運転移動体Vmにおいて、走行制御部46は、操舵操作部材22等の運転操作部材の操作状態に基づいて駆動装置D,制動装置B,転舵装置T等を制御する。
【0031】
管制装置Cは、コンピュータを主体とする管制ECU50と管制ECU50に接続された管制通信装置52とを含む。管制ECU50は、管制情報作成部54、作業計画情報記憶部56、移動体情報記憶部58、路面状態取得部60、走行経路設定部62等を含む。
【0032】
管制通信装置52は、管制情報作成部54によって作成された管制情報を無線で送信したり、移動体Vの移動体通信装置14から無線で送信された移動体情報を受信したりするものである。
【0033】
管制情報作成部54は、走行指令、予定走行経路を表す情報である走行経路情報、移動体の識別情報等を含む管制情報を作成する。
【0034】
作業計画情報記憶部56は、移動体Vの各々の作業計画に関する情報を記憶するものである。作業計画情報記憶部56は、移動体Vの各々の予定走行経路に関する情報を記憶する走行経路情報記憶部56aを含む。また、作業計画情報記憶部56には、複数の移動体Vの各々の走行順等も記憶されている。
【0035】
例えば、図5,6に示すように、鉱山において、道路の幅は広いため、予定走行経路R0は、移動体Vがほぼ直進するように設定されるのが普通である。また、出発地、目的地が同じである場合、複数の移動体Vの各々には、それぞれ、同じ予定走行経路R0が設定されるのが普通である。本実施例において、先に走行する移動体Vである第1移動体V1についての予定走行経路と、後に走行する移動体である第2移動体V2についての予定走行経路とは、同じ経路である予定走行経路R0に設定される。そして、走行経路情報記憶部56aには、例えば、実細線で示す予定走行経路R0に関する情報が記憶される。
【0036】
移動体情報記憶部58は、管制通信装置52において受信した移動体情報に含まれる移動体位置情報、移動体走行状態情報(実旋回状態、運転操作状態、上下振動の状態等を表す情報)等を記憶するものである。これら情報は、今回受信したものに限らず、過去に受信したものも記憶されている。
【0037】
路面状態取得部60は、移動体情報に含まれる移動体走行状態情報が表す走行状態に基づいて予定走行経路に沿った路面の状態が設定状態より悪い状態であるか否かを取得するものである。また、路面の状態として、主として凹凸の状態が考慮される。例えば、路面の凹凸の差が大きい場合、凹凸の傾きが急である場合等に路面の状態が設定状態より悪いと取得される。
【0038】
具体的には、路面状態取得部60において、先に走行した第1移動体V1の走行状態に基づいて、後に走行する予定の第2移動体V2についての予定走行経路を、第1移動体V1についての予定走行経路とは別の経路に設定する要求の大きさである別経路設定要求度Aが取得される。そして、別経路設定要求度Aが設定要求度Athより大きい場合と、別経路設定要求度Aが設定要求度差ΔAthを越えて大きくなった場合との少なくとも一方の場合に、路面状態が設定状態より悪いと取得される。
【0039】
「別経路設定要求度が設定要求度差ΔAthを越えて大きくなった」とは、管制通信装置52において、予定走行経路の同じ位置の路面について、今回受信した移動体情報に含まれる移動体走行状態情報が表す移動体の走行状態に基づいて取得された別経路設定要求度A(n)から前回受信した移動体情報に含まれる移動体走行状態が表す移動体の走行状態に基づいて取得された別経路設定要求度A(n-1)を引いた値が設定要求度差ΔAthより大きいことである。
(n)-A(n-1)>Ath
換言すれば、同じ予定走行経路を走行する2台の移動体のうち、前を走行する移動体Vから送信された移動体情報に含まれる移動体走行状態に基づいて取得された別経路設定要求度A(n-1)より後に走行する移動体Vから送信された移動体情報に含まれる移動体走行状態に基づいて取得された別経路設定要求度A(n)の方が、設定要求度差ΔAthを越えて大きいことである。
【0040】
なお、別経路設定要求度Aが設定要求度Athより大きい場合には、別経路設定要求度Aが設定要求度差ΔAthを越えて大きくなる場合が多い。
また、第1移動体V1と第2移動体V2とで同じ予定走行経路が設定されている場合には、別経路設定要求度Aは、第2移動体V2について予め設定されていた予定走行経路R0を変更する要求の大きさである経路変更要求度であると考えることもできる。
【0041】
例えば、第1移動体V1がマニュアル運転移動体Vmである場合に、そのマニュアル運転移動体Vmが予定走行経路から外れて走行した場合等には、運転者が予定走行経路に沿った路面の状態が悪く、回避すべき状態であると判断したと推定され、別経路設定要求度Aが設定要求度Athより大きいと取得される。
【0042】
具体的には、別経路設定要求度Aは、図7Aに示すように、マニュアル運転移動体Vmの実旋回状態を表す値(横変位、横加速度、旋回半径等のうちの1つ以上)Mrと目標旋回状態を表す値(目標横変位、目標横加速度、目標旋回半径等のうちの1つ以上)Mtとの差の絶対値が設定値である第1設定値Mthより大きい場合は小さい場合より大きい値に取得(決定)されるようにすることができる。そして、実旋回状態を表す値Mrと目標表旋回状態を表す値Mtとの差の絶対値が第1設定値Mthより大きい場合に、マニュアル運転移動体Vmが予定走行経路から外れて走行したと取得され、別経路設定要求度Aが設定要求度Athより大きいと取得される。
【0043】
また、別経路設定要求度Aは、図7Bに示すように、マニュアル運転移動体Vmの実操舵操作状態を表す値(例えば、操舵操作部材22の操作量、操作力等のうちの1つ以上)Srと目標操舵操作状態を表す値(目標操作量、目標操作力等のうちの1つ以上)Stとの差の絶対値が第2設定値Sthより大きい場合は小さい場合より大きい値に決定されるようにすることができる。これらの差の絶対値が第2設定値Sthより大きい場合に、マニュアル運転移動体Vmが予定走行経路から外れて走行したと取得され、別経路設定要求度Aが設定要求度Athより大きいと取得される。
【0044】
目標旋回状態を表す値、目標操舵操作状態を表す値は、予定走行経路に関する情報として、走行経路情報記憶部56aに記憶されるが、予定走行経路が直線に近い経路である場合には、これら目標旋回状態を表す値、目標操舵操作状態を表す値等は、0に近い値である。
【0045】
さらに、図7Cに示すように、自動運転移動体Vaまたはマニュアル運転移動体Vmの上下振動の状態を表す値(例えば、上下振動の振幅、上下加速度等が該当する)Hが第3設定値(設定振幅、設定加速度等)Hthより大きい場合は小さい場合より、別経路設定要求度Aが大きい値に決定されるようにすることができる。そして、上下振動の状態を表す値が第3設定値より大きい場合には、路面の凹凸が大きく、別経路設定要求度Aが設定要求度Athより大きいと取得されるようにすることができる。
【0046】
走行経路設定部62は、路面状態取得部60によって路面状態が設定状態より悪いと取得された場合に第2移動体V2についての予定走行経路を第1移動体V1についての予定走行経路とは別の経路に設定する、換言すると、第2移動体V2について予め設定されていた予定走行経路を変更して設定する。
【0047】
また、走行経路設定部62は学習部64等を含むものとすることができる。
学習部64は、移動体情報記憶部58に記憶された情報が表す複数の移動体Vの各々の現在および過去の走行状態(上下方向の振動の状態、スリップ状態、走行速度)等と複数の移動体Vの各々の現在および過去の走行経路(走行経路情報記憶部56aに記憶された情報が表す1台以上の第1移動体Vの予定走行経路、走行経路設定部62によって過去に設定された走行経路)との関係を学習することにより、第2移動体V2についての予定走行経路を最適な経路に決定するものである。最適な予定走行経路とは、例えば、路面状態が設定状態より悪い部分を回避し、かつ、できる限り短い経路とすることができる。
なお、学習部64は、AI(Artificial Intelligence)を利用して、最適な走行経路を決定するものとすることができる。
【0048】
例えば、図5に示すように、予定走行経路R0が路面の凹凸が大きい部分Pを含む場合において、第1移動体V1としての自動運転移動体Vaが予定走行経路R0に沿って走行した場合に、その第1移動体V1の上下振動の状態を表す値Hが第3設定値Hthより大きい場合には、図7Cに示すように、別経路設定要求度Aが設定要求度Athより大きいと取得される。そして、路面状態取得部60によって予定走行経路R0に沿った路面の状態が設定状態より悪いと取得された場合には、第2移動体V2についての予定走行経路が、予定走行経路R0とは別の経路である予定走行経路Ra1に設定されるようにすることができる。
【0049】
また、予定走行経路Ra1に沿って第2移動体V2が走行した場合において、第2移動体V2の上下振動の状態を表す値Hが第3設定値Hthより大きくなる場合があるが、その場合には、さらに、予定走行経路Ra1に沿って走行した移動体(第1移動体V1)の後に走行する移動体(第2移動体V2)についての予定走行経路が予定走行経路Ra1から予定走行経路Ra2(予定走行経路Ra1とは別の予定走行経路)に変更されて、設定される。
さらに、第1移動体V1が自動運転移動体Vaである場合には、学習部64によって、第2移動体V2についての予定走行経路が設定されるようにすることができる。
【0050】
なお、別の予定走行経路は、別経路設定要求度Aが大きい場合は小さい場合より、予定走行経路R0からの隔たりが大きい経路に設定することができる。路面の凹凸の程度が大きい場合は、その凹凸が大きい領域が広いことが多いからである。
【0051】
また、図6に示すように、第1移動体V1としてのマニュアル運転移動体Vmが、予定走行経路R0から外れた経路Rmに沿って走行し、これら実旋回状態を表す値Mrと目標旋回状態を表す値Mtとの差の絶対値が第1設定値Mthより大きい場合には、図7Aに示すように、予定走行経路R0に沿った路面についての別経路設定要求度Aが設定要求度Athより大きいと取得される。路面状態取得部60によって予定走行経路R0に沿った路面の状態が設定状態より悪いと取得された場合には、第2移動体V2についての予定走行経路がマニュアル運転移動体Vmが走行した経路Rmに設定される。
【0052】
管制ECU50においては、図2のフローチャートで表される走行経路決定プログラムが予め定められた設定時間毎に実行される。
S1において、管制通信装置52において、移動体情報を受信したか否かが判定される。判定がYESである場合には、S2において、移動体情報に含まれる移動体位置情報から移動体である第1移動体V1の位置が取得され、移動体走行状態情報から第1移動体V1の走行状態が取得され、その位置の路面についての別経路設定要求度Aが取得される。S3において、今回の別経路設定要求度A(n)が前回の別経路設定要求度A(n-1)より設定要求度差ΔAthを越えて大きくなったことと、
(n)-A(n-1)=ΔA
ΔA>ΔAth
別経路設定要求度A(n)が設定要求度Athより大きいこと
(n)>Ath
との少なくとも一方が成立するか否かが判定される。判定がYESである場合には、S4において、移動体情報を送信した第1移動体V1がマニュアル運転移動体Vmであるか否かが判定される。
【0053】
判定がYESである場合には、S5において、マニュアル運転移動体Vmの実旋回状態を表す値Mrと目標旋回状態を表す値Mtとの差の絶対値が第1設定値Mthより大きいことと、実操舵操作状態を表す値Srと目標操舵操作状態を表す値Stとの差の絶対値が第2設定値Sthより大きいこととの少なくとも一方が成立するか否かが判定される。S5の判定がYESである場合には、S6において、第2移動体V2についての予定走行経路が、図6の一点鎖線が示すように、マニュアル運転移動体Vmが走行した経路Rmに設定される。
【0054】
マニュアル運転移動体Vmが、路面の状態が設定状態より悪い路面を走行する場合があり、例えば、S3の判定が、マニュアル運転移動体Vmの上下振動の状態を表す値Hが第3設定値Hthより大きいことに起因してYESになる場合がある。そのため、S4の判定がYESである場合に常に、第2移動体V2の予定走行経路を第1移動体V1であるマニュアル運転移動体Vmの実際の走行経路に設定するのは望ましくない。
また、マニュアル運転移動体Vmの実際の走行経路と予定走行経路との差が小さい場合には、第2移動体V2についての予定走行経路をマニュアル運転移動体Vmの実際の走行経路に変更する必要性は低いと考えられる。
以上の事情に基づいて、S5のステップを設けたのである。
【0055】
S4またはS5の判定がNOである場合には、S7において、第1移動体(自動運転移動体Vaである場合とマニュアル運転移動体Vmである場合とがある)が走行した路面を回避する経路が設定される。例えば、第2移動体V2についての予定走行経路が、図5に示す、破線または一点鎖線が示す経路である予定変更経路Ra1またはRa2に設定される。そして、S8において、S6またはS7において設定された予定走行経路を表す情報である設定走行経路情報と、第2移動体V2(例えば、第1移動体V1の後に走行するすべての移動体とすることができる)の識別情報とを含む管制情報が作成されて、管制通信装置52に出力される。管制通信装置52は、管制情報を送信する。
【0056】
移動体の各々においては、図4のフローチャートで表される予定走行経路記憶プログラムが予め定められた設定時間毎に実行される。
S31において、移動体通信装置14において管制情報を受信したか否かが判定され、S32において、管制情報に含まれる識別情報が自身を表す識別情報と一致するか否かが判定される。判定がYESである場合には、S33において、管制情報に含まれる設定走行経路情報が読み込まれて、設定された予定走行経路が走行経路等記憶部42に記憶される。
【0057】
移動体Vが、その設定された予定走行経路の箇所に達した場合には、その設定後の予定走行経路に沿って走行する。マニュアル運転移動体Vmにおいては、ディスプレイ32に設定後の予定走行経路が表示されるため、運転者はディスプレイ32の表示を見ながら操舵操作部材22等を操作する。自動運転移動体Vaにおいては、走行制御部46により駆動装置D,制動装置B,転舵装置T等が制御される。
【0058】
このように、本実施例においては、先に走行した移動体の走行状態に基づいて予定走行経路に沿った路面の状態が取得され、後に走行する移動体についての予定走行経路が変更されて、設定される。その結果、速やかに、かつ、容易に、後に走行する移動体の予定走行経路を変更して設定することができ、移動体の走行安定性を図り、作業効率の向上を図ることができる。また、路面の状態は、移動体Vの走行や時間の経過に伴って変化するが、本実施例においては、先行する移動体Vの走行状態に基づいて路面の状態が取得され、後に走行する移動体Vの走行経路に反映させることができるのであり、実際の路面の状態に応じた走行経路を設定することができる。
【0059】
以上のように、本実施例においては、管制装置Cが経路設定装置に対応し、管制ECU50の図7のマップを記憶する部分、図2のフローチャートのS1-3を記憶する部分、実行する部分等により路面状態取得部が構成され、S6,7を記憶する部分、実行する部分等により走行経路設定部が構成される。
【0060】
なお、路面の状態は、移動体Vの走行状態としてのスリップ状態を基づいて取得することができる。本実施例においては、予定走行経路に沿った路面の摩擦係数μが低い場合には路面の状態が設定状態より悪いと取得され、予定走行経路が変更される。例えば、第1移動体V1が予定走行経路R0に沿って走行した場合において、車輪30のスリップ率の絶対値が設定スリップ率より大きい場合には、路面の状態が設定状態より悪いと取得され、予定走行経路R0が変更されて、設定されるようにすることができる。また、第1移動体V1が自動運転移動体Vaである場合に、実旋回状態を表す値Mrと目標旋回状態を表す値Mtとの差の絶対値がスリップ判定しきい値より大きい場合に、路面の摩擦係数μが低く、路面の状態が設定状態より悪いと取得されるようにすることもできる。
【0061】
また、路面状態取得部60は移動体Vに設けることができる。本実施例においては、移動体ECU20の走行経路等記憶部42に目標旋回状態を表す値、目標操舵操作状態を表す値が記憶されるようにすることができる。また、移動体において取得された路面状態を表す情報が移動体情報に含まれ、管制装置Cに送信されるようにすることができる。
【0062】
さらに、走行経路設定部62は移動体Vに設けることもできる。その場合には、複数の移動体Vの各々において取得された変更予定経路情報が、その移動体である第1移動体V1の後に走行する移動体である第2移動体V2に送信されるようにすることができる。
【0063】
また、第2移動体V2についての予定走行経路は、予め設定しておく必要は必ずしもなく、第1移動体V1の走行状態に基づいて、その都度設定されるようにすることができる。第2移動体V2についての予定走行経路は、第1移動体V1についての予定走行経路と同じ経路に設定されたり、別の経路に設定されたりする。
【0064】
さらに、上記実施例においては、図7A-7Cに示すように、別経路設定要求度Aが取得されるようにされていたが、それに限らない。例えば、実旋回状態を表す値と目標旋回状態を表す値との差の絶対値、実操舵操作状態を表す値と目標操舵操作状態を表す値との差の絶対値、上下振動を表す値等が大きくなると、別経路設定要求度が段階的に大きくなる値に取得されるようにすること等ができる。
【0065】
また、上記実施例において、経路設定装置が作業システムに適用されて、鉱山の作業において利用される場合について説明したが、それに限らない。例えば、鉱山の作業に限らず、種々の作業に利用することができる。また、作業システムに限らず、複数の移動体の走行状態を制御する走行制御システム、複数の移動体を管理する管理システム等に適用することができる。
【0066】
さらに、駆動装置D、制動装置B、転舵装置Tの構造は問わない。また、学習部64は不可欠ではない等、本発明は、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0067】
14:移動体通信装置 26:操舵操作状態検出部 32:ディスプレイ 42:走行経路等記憶部 43:走行状態取得部 44:移動体情報作成部 46:走行制御部 50:管制ECU 52:管制通信装置 54:管制情報作成部 56:作業計画情報記憶部 56a:走行経路情報記憶部 58:移動体情報記憶部 60:路面状態取得部 62:走行経路設定部
【特許請求可能な発明】
【0068】
以下の各項に、特許請求可能な発明を記載する。
(1)複数の移動体のうちの少なくとも1台についての予定走行経路を設定する経路設定装置であって、
少なくとも、前記複数の移動体のうちの前記少なくとも1台の移動体の前方を走行する1台以上の移動体である第1移動体の各々の走行状態に基づいて、前記少なくとも1台の移動体である第2移動体についての予定走行経路を設定する走行経路設定部を含む経路設定装置。
【0069】
「少なくとも1台の移動体の前方を走行する1台以上の第1移動体」とは、少なくとも1台の移動体の直前を走行する移動体を含む1台以上の移動体であっても、少なくとも1台の移動体の複数台前を走行する移動体とその移動体の前方を走行する1台以上の移動体とを含む移動体であってもよい。
【0070】
「第2移動体についての予定走行経路を設定する」には、第2移動体の予定走行経路が新たに設定される場合と、第2移動体について、第1移動体についての予定走行経路と同様の予定走行経路が予め設定されている場合において、第2移動体についての予定走行経路が、第1移動体についての予定走行経路とは異なる経路に変更されて、設定される場合とが含まれる。
【0071】
(2)当該経路設定装置が、前記第1移動体の走行状態に基づいて、前記第1移動体の予定走行経路に沿った路面の状態を取得する路面状態取得部を含み、
前記走行経路設定部が、前記路面状態取得部によって、前記第1移動体の予定走行経路に沿った路面の状態が設定状態より悪いと取得された場合に、前記少なくとも1台の移動体である第2移動体についての予定走行経路を、前記第1移動体の前記予定走行経路とは異なる経路に設定するものである(1)項に記載の経路設定装置。
【0072】
第1移動体は予定走行経路に沿った路面を走行する場合と走行しない場合とがある。第1移動体が予定走行経路に沿って走行した場合には、例えば、第1移動体の走行状態(例えば、上下振動の状態、スリップ状態等)に基づいて、第1移動体の予定走行経路に沿った路面の実際の状態が取得され得る。第1移動体が予定走行経路に沿った路面を走行しない場合には、第1移動体において予定走行経路に沿った路面が悪く、回避すべきと取得されたと推定されるため、第1移動体の予定走行経路に沿った路面の状態が設定状態より悪いと取得されるようにすることができる。
【0073】
(3)前記路面状態取得部が、前記第1移動体の各々の走行状態に基づいて、前記第2移動体についての予定走行経路を、前記第1移動体についての予定走行経路とは異なる経路に設定する要求の大きさを表す別経路設定要求度を取得し、その取得した前記別経路設定要求度が設定要求度より大きい場合と前記別経路設定要求度が設定要求度差以上大きくなった場合との少なくとも一方の場合に前記第1移動体の予定走行経路に沿った路面の状態が前記設定状態より悪いと取得するものである(2)項に記載の経路設定装置。
【0074】
(4)前記路面状態取得部が、前記第1移動体の前記走行状態として前記第1移動体の上下方向の振動状態と、前記第1移動体の旋回状態と、前記第1移動体に含まれる運転操作部材の操作状態と、前記第1移動体のスリップ状態とのうちの1つ以上に基づいて前記第1移動体の予定走行経路に沿った前記路面の状態を取得するものである(2)項または(3)項に記載の経路設定装置。
【0075】
(5)前記第1移動体が自動運転移動体を含み、
前記走行経路設定部が、前記路面状態取得部によって前記自動運転移動体の走行状態に基づいて前記自動運転移動体の予定走行経路に沿った路面の状態が前記設定状態より悪いと取得された場合に、前記第2移動体についての予定走行経路を、前記自動運転移動体が走行した路面を回避する経路に設定するものである(2)項ないし(4)項のいずれか1つに記載の経路設定装置。
【0076】
(6)前記走行経路設定部が、前記第2移動体についての予定走行経路を、前記複数の移動体の各々の走行経路と走行状態との関係等に基づいて設定する学習型走行経路設定部を含む(1)項ないし(5)項のいずれか1つに記載の経路設定装置。
【0077】
複数の移動体には、第2移動体も第1移動体も含まれる。複数の移動体の各々の走行経路と走行状態との関係に基づけば、第2移動体についての最適な予定走行経路を設定することができる。
【0078】
(7)前記第1移動体がマニュアル運転移動体を含み、
前記走行経路設定部が、前記マニュアル運転移動体の旋回状態である実旋回状態を表す値と前記マニュアル運転移動体についての予定走行経路に沿った旋回状態である目標旋回状態を表す値との差の絶対値が設定値より大きい場合に、前記第2移動体についての予定走行経路を、前記マニュアル運転移動体が走行した経路に設定するものである(1)項ないし(6)項のいずれか1つに記載の経路設定装置。
【0079】
マニュアル運転移動体の後に走行する第2移動体は、自動運転移動体である場合と、マニュアル運転移動体である場合とがある。
【0080】
なお、第1移動体が自動運転移動体であっても、前方の路面の状態を認識可能な周辺情報取得装置を有する場合には、第1移動体が実際に走行した経路に、第2移動体についての予定走行経路を設定することができる。
【0081】
(8)当該経路設定装置が、前記マニュアル運転移動体の旋回状態である実旋回状態を表す値と前記マニュアル運転移動体についての予定走行経路に沿った旋回状態である目標旋回状態を表す値との差の絶対値が設定値より大きい場合に、前記予定走行経路に沿った路面の状態が前記設定状態より悪いと取得する路面状態取得部を含み、
前記走行経路設定部が、前記路面状態取得部によって前記マニュアル運転移動体の走行状態に基づいて前記路面の状態が前記設定状態より悪いと取得された場合に、前記第2移動体についての予定走行経路を、前記マニュアル運転移動体が走行した経路に設定するものである(7)項に記載の経路設定装置。
【0082】
(9)前記複数の移動体の各々が、前記走行経路設定部によって設定された前記予定走行経路を記憶する走行経路記憶部を含む(1)項ないし(8)項のいずれか1つに記載の経路設定装置。
【0083】
上記実施例において、走行経路等記憶部42が走行経路記憶部に対応する。
【0084】
(10)当該経路設定装置が、前記複数の移動体の各々と通信可能な管制装置を含み、
前記複数の移動体の各々が、それぞれ、前記移動体の走行状態を取得する走行状態取得部と、前記走行状態取得部によって取得された前記走行状態を表す情報である移動体走行状態情報を送信可能な移動体通信装置とを含み、
前記管制装置が、前記移動体走行状態情報を受信可能な管制通信装置を含み、
前記走行経路設定部が、前記管制装置に設けられ、前記管制通信装置において受信した前記移動体走行状態情報に基づいて取得した前記第1移動体の前記走行状態に基づいて、前記第2移動体についての予定走行経路を設定するものであり、
前記管制通信装置が、前記走行経路設定部によって設定された予定走行経路を表す情報である設定走行経路情報を送信するものである(1)項ないし(9)項のいずれか1つに記載の経路設定装置。
【0085】
(11)前記複数の移動体の各々が、それぞれ、前記移動体の走行状態を取得する走行状態取得部と、前記走行状態取得部によって取得された前記走行状態を表す情報である移動体走行状態情報を送信する移動体通信装置とを含み、
前記走行経路設定部が、前記複数の移動体の各々に設けられ、前記走行状態取得部によって取得された前記移動体の走行状態と、前記移動体通信装置において受信した前記移動体走行状態情報が表す走行状態との少なくとも一方に基づいて、前記第2移動体についての予定走行経路を設定するものであり、
前記移動体通信装置が、前記走行経路設定部によって設定された予定変更経路を表す設定走行経路情報を送信、受信するものである(1)項ないし(9)項のいずれか1つに記載の経路設定装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7