(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152394
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】ポリマー
(51)【国際特許分類】
C08G 63/688 20060101AFI20231010BHJP
C09J 171/02 20060101ALI20231010BHJP
C09D 7/20 20180101ALI20231010BHJP
C09D 171/02 20060101ALI20231010BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
C08G63/688
C09J171/02
C09D7/20
C09D171/02
C09J11/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062375
(22)【出願日】2022-04-04
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (その1) ウェブサイトの掲載日 2021年7月5日 ウェブサイトのアドレス https://spsj.or.jp/branch/kansai/programs/p-3.html
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (その2) 開催日 2021年7月9日 集会名、開催場所 第67回高分子研究発表会(神戸)(オンライン開催)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (その3) ウェブサイトの掲載日 2021年12月2日 ウェブサイトのアドレス https://www.adhesion.or.jp/
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (その4) 開催日 2021年12月6日 集会名、開催場所 日本接着学会 関西支部 第17回若手の会(オンライン開催)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (その5) 開催日 2021年12月17日(ハワイ標準時) 集会名、開催場所 The 2021 International Chemical Congress of Pacific Basin Societies(Pacifichem2021)(オンライン開催)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (その6) ウェブサイトの掲載日 2022年1月17日 ウェブサイトのアドレス https://confit.atlas.jp/guide/event/csj102nd/top https://confit.atlas.jp/guide/event/csj102nd/tables https://confit.atlas.jp/guide/event/csj102nd/table/20220325
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (その7) ウェブサイトの掲載日 2022年3月9日 ウェブサイトのアドレス https://confit.atlas.jp/guide/event/csj102nd/top https://confit.atlas.jp/guide/event/csj102nd/proceedings/list https://confit.atlas.jp/guide/event-img/csj102nd/P3-3am-28/public/pdf?type=in
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (その8) 開催日 2022年3月25日(開催期間:2022年3月23日~2022年3月26日) 集会名、開催場所 日本化学会第102春季年会(2022)(オンライン開催)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (その9) ウェブサイトの掲載日 2021年10月15日 ウェブサイトのアドレス https://www.erca.go.jp/suishinhi/seika/seika_4.html https://www.erca.go.jp/suishinhi/seika/pdf/seika_4_r03/seika/3RF-2001.pdf
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)〔採択年度;2020 年、研究費拠出元(Ex,省又は法人);独立行政法人環境再生保全機構 ERCA 、事業名;環境研究総合推進費、資源循環領域、革新型研究開発(若手枠) 、課題番号:3RF-2001、研究課題名;高防汚性と易原料化とを兼備する双性イオン型PET の開発〕委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】399030060
【氏名又は名称】学校法人 関西大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河村 暁文
(72)【発明者】
【氏名】宮田 隆志
(72)【発明者】
【氏名】糸満 璃香
【テーマコード(参考)】
4J029
4J038
4J040
【Fターム(参考)】
4J029AA03
4J029AB01
4J029AE06
4J029AE11
4J029AE12
4J029BH01
4J029CB06A
4J029HA01
4J029HB05
4J029JC231
4J029JC392
4J029KH01
4J038DF001
4J038GA09
4J038JA17
4J038KA06
4J038MA14
4J038NA07
4J038PB01
4J040EE001
4J040GA16
4J040HB07
4J040KA23
4J040KA41
4J040LA01
4J040NA02
(57)【要約】
【課題】新たな特性を備える双性イオンポリマー、及び当該特性に基づいた用途を提供すること。
【解決手段】一般式(1):
で表されるポリマー単位を含む、ポリマー。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1):
【化1】
[式中:R
1及びR
2の一方は各出現において独立して、二価の炭化水素基を示し、R
1及びR
2の他方は各出現において独立して、一般式(2a)、一般式(2b1)、若しくは一般式(2b2):
【化2】
(式中:R
31及びR
32は同一又は異なって二価の炭化水素基を示す。R
33は一価の炭化水素基を示す。mは1~5の整数を示す。)
で表される基を示す(但し、少なくとも1つのR
1又はR
2が一般式(2a)で表される基を示す。)。nは1以上の整数を示す。]
で表されるポリマー単位を含む、ポリマー。
【請求項2】
前記R1が二価の炭化水素基であり、且つ前記R2が一般式(2a)、一般式(2b)、若しくは一般式(2b2)で表される基である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
前記R1が芳香環を含む二価の炭化水素基であり、前記R31及び前記R32がアルキレン基であり、且つ前記R33がアルキル基である、請求項2に記載のポリマー。
【請求項4】
nに対する、前記ポリマー単位中の前記一般式(2a)で表される基の数(x)の割合(x/n)が0.6以上である、請求項1~3のいずれかに記載のポリマー。
【請求項5】
nに対する、前記ポリマー単位中の前記一般式(2a)で表される基の数(x)の割合(x/n)が0.6~0.9である、請求項1~4のいずれかに記載のポリマー。
【請求項6】
nに対する、前記ポリマー単位中の前記一般式(2a)で表される基の数(x)の割合(x/n)が0.9以上である、請求項1~4のいずれかに記載のポリマー。
【請求項7】
nに対する、前記ポリマー単位中の前記一般式(2a)で表される基の数(x)の割合(x/n)が1未満である、請求項1~6のいずれかに記載のポリマー。
【請求項8】
前記ポリマー単位の重量平均分子量が5000以上である、請求項1~7のいずれかに記載のポリマー。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載のポリマーを含有する、組成物。
【請求項10】
撥油剤、防汚性付与剤、親水化剤、又は接着剤である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
コーティング用である、請求項9又は10に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1~8のいずれかに記載のポリマーを含む、物品。
【請求項13】
一般式(1):
【化3】
[式中:R
1及びR
2の一方は各出現において独立して、二価の炭化水素基を示し、R
1及びR
2の他方は各出現において独立して、一般式(2b1):
【化4】
(式中:R
31及びR
32は同一又は異なって二価の炭化水素基を示し、R
33は一価の炭化水素基を示す。)
で表される基を示す。nは1以上の整数を示す。]
で表されるポリマー単位を含む、ポリマーと、スルトンとを、溶媒中で反応させることを含む、
請求項1~8のいずれかに記載のポリマーを製造する方法。
【請求項14】
前記溶媒がフルオロアルコールである、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー等に関する。
【背景技術】
【0002】
スルホベタインやホスホベタインなどの双性イオン基を導入した双性イオンポリマーの合成例がいつくか報告されている。双性イオンポリマーは優れた生体適合性、アンチファウリング特性、低摩擦性、撥油性を有しており、現在では、優れた生体適合性や低摩擦性が特に着目され、主として人工股関節や人工心臓などのバイオマテリアルに応用されている。
【0003】
双性イオンポリマーとしては、例えば、タンパク非特異吸着処理に使用可能なポリマー、イオン特異的水和状態の解析に使用可能なポリマー、アンチファウリング材料に使用可能なポリマー、水中では不溶であり、塩を含む溶液では塩感応性をもつポリマー等が報告されている(非特許文献1~3、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Langmuir 2001, 17, 2841-2850
【非特許文献2】Langmuir 2019, 35, 1413-1420
【非特許文献3】Langmuir 2020, 36, 9015-9024
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、新たな特性を備える双性イオンポリマー、及び当該特性に基づいた用途を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は上記課題に鑑みて鋭意研究を進めた結果、一般式(1):
【0008】
【0009】
[式中:R1及びR2の一方は各出現において独立して、二価の炭化水素基を示し、R1及びR2の他方は各出現において独立して、一般式(2a)、一般式(2b1)、若しくは一般式(2b2):
【0010】
【0011】
(式中:R31及びR32は同一又は異なって二価の炭化水素基を示し、R33は一価の炭化水素基を示す。mは1~5の整数を示す。)
で表される基を示す(但し、少なくとも1つのR1又はR2が一般式(2a)で表される基を示す。)。nは1以上の整数を示す。]
で表されるポリマー単位を含む、ポリマーが、撥油性、親水性、接着性等を有することを見出した。本発明者はこの知見に基づいてさらに研究を進めた結果、本発明を完成させた。即ち、本発明は、下記の態様を包含する。
【0012】
項1.
一般式(1):
【0013】
【0014】
[式中:R1及びR2の一方は各出現において独立して、二価の炭化水素基を示し、R1及びR2の他方は各出現において独立して、一般式(2a)、一般式(2b1)、若しくは一般式(2b2):
【0015】
【0016】
(式中:R31及びR32は同一又は異なって二価の炭化水素基を示す。R33は一価の炭化水素基を示す。mは1~5の整数を示す。)
で表される基を示す(但し、少なくとも1つのR1又はR2が一般式(2a)で表される基を示す。)。nは1以上の整数を示す。]
で表されるポリマー単位を含む、ポリマー。
【0017】
項2.
前記R1が二価の炭化水素基であり、且つ前記R2が一般式(2a)、一般式(2b)、若しくは一般式(2b2)で表される基である、項1に記載のポリマー。
【0018】
項3.
前記R1が芳香環を含む二価の炭化水素基であり、前記R31及び前記R32がアルキレン基であり、且つ前記R33がアルキル基である、項2に記載のポリマー。
【0019】
項4.
nに対する、前記ポリマー単位中の前記一般式(2a)で表される基の数(x)の割合(x/n)が0.6以上である、項1~3のいずれかに記載のポリマー。
【0020】
項5.
nに対する、前記ポリマー単位中の前記一般式(2a)で表される基の数(x)の割合(x/n)が0.6~0.9である、項1~4のいずれかに記載のポリマー。
【0021】
項6.
nに対する、前記ポリマー単位中の前記一般式(2a)で表される基の数(x)の割合(x/n)が0.9以上である、項1~4のいずれかに記載のポリマー。
【0022】
項7.
nに対する、前記ポリマー単位中の前記一般式(2a)で表される基の数(x)の割合(x/n)が1未満である、項1~6のいずれかに記載のポリマー。
【0023】
項8.
前記ポリマー単位の重量平均分子量が5000以上である、項1~7のいずれかに記載のポリマー。
【0024】
項9.
項1~8のいずれかに記載のポリマーを含有する、組成物。
【0025】
項10.
撥油剤、防汚性付与剤、親水化剤、又は接着剤である、項9に記載の組成物。
【0026】
項11.
コーティング用である、項9又は10に記載の組成物。
【0027】
項12.
項1~8のいずれかに記載のポリマーを含む、物品。
【0028】
項13.
一般式(1):
【0029】
【0030】
[式中:R1及びR2の一方は各出現において独立して、二価の炭化水素基を示し、R1及びR2の他方は各出現において独立して、一般式(2b1):
【0031】
【0032】
(式中:R31及びR32は同一又は異なって二価の炭化水素基を示し、R33は一価の炭化水素基を示す。)
で表される基を示す。nは1以上の整数を示す。]
で表されるポリマー単位を含む、ポリマーと、スルトンとを、溶媒中で反応させることを含む、
項1~8のいずれかに記載のポリマーを製造する方法。
【0033】
項14.
前記溶媒がフルオロアルコールである、項13に記載の方法。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、新たな特性を備える双性イオンポリマー、及び当該特性に基づいた用途を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】PMDATおよびPDSBTの
1H NMRスペクトル(CF
3COOD, 400 MHz)を示す。
【
図2】PMDATの分子量分布を示す。二本の線は、それぞれのRunの結果を示す。
【
図3-1】中和前のPMDATおよびPDSBTのTGカーブを示す。PMDATはRun1の結果である。
【
図3-2】中和後のPMDATおよびPDSBTのTGカーブを示す。PMDATはRun1の結果である。
【
図4-1】中和前のPMDATおよびPDSBTのDSCカーブを示す。PMDATはRun1の結果である。
【
図4-2】中和後のPMDATおよびPDSBTのDSCカーブを示す。PMDATはRun1の結果である。
【
図5】塩濃度を変化させた際のPMDATの濁度を示す。左側のラインから、順に、0.5M、0.8M、1.0Mの塩濃度の際の測定結果を示す。
【
図6】1 M NaCl水溶液中でのPDSBT(スルホベタイン導入率98%)の濁度を示す。
【
図7】PMDATおよびPDSBTの水に対する接触角の画像を示す。
【
図8】PMDATおよびPDSBTの水中でのhexadecaneに対する接触角の画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
【0037】
1.ポリマー
本発明は、その一態様において、一般式(1):
【0038】
【0039】
で表されるポリマー単位(本明細書において、「本発明のポリマー単位」と示すこともある。)を含む、ポリマー(本明細書において、「本発明のポリマー」と示すこともある。)、に関する。以下に、これについて説明する。
【0040】
一般式(1)中、R1及びR2の一方は各出現において独立して、二価の炭化水素基を示し、R1及びR2の他方は各出現において独立して、一般式(2a)、一般式(2b1)、若しくは一般式(2b2):
【0041】
【0042】
で表される基を示す(但し、少なくとも1つのR1又はR2が一般式(2a)で表される基を示す。)。
【0043】
すなわち、本発明のポリマーは、R1が二価の炭化水素基であり、且つR2が一般式(2a)、一般式(2b1)、若しくは一般式(2b2)で表される基である場合と、R1が一般式(2a)、一般式(2b1)、若しくは一般式(2b2)で表される基であり、且つR2が二価の炭化水素基である場合とを包含する。本発明のポリマー単位は、一般式(1A1)で示される単位、及び一般式(1A2)で示される単位(或いは当該単位のNがNHである単位):
【0044】
【0045】
からなるか、或いは一般式(1B1)で示される単位、及び一般式(1B2)で示される単位(或いは当該単位のNがNHである単位):
【0046】
【0047】
からなる。
【0048】
本発明のポリマーにおいては、撥油性、親水性、接着性等の観点から、R1が二価の炭化水素基であり、且つR2が一般式(2a)、一般式(2b1)、若しくは一般式(2b2)で表される基であることが好ましい。
【0049】
R1又はR2で示される二価の炭化水素基としては、特に制限されず、例えばアルキレン基、アリーレン基等、さらにはこれらが任意に組み合わされてなる基等が挙げられる。
【0050】
R1又はR2で示されるアルキレン基には、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれのものも包含される。該アルキレン基の炭素数は、特に制限されず、例えば1~12、好ましくは2~10、より好ましくは3~8である。該アルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、エチリデン基、トリメチレン基、プロピレン基、プロピリデン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ブタン-2-イリデン基、1,2-ジメチルエチレン基、ペンタメチレン基、ペンタン-2,3-ジイル基等が挙げられる。
【0051】
R1又はR2で示されるアリーレン基は、特に制限されないが、炭素数が6~12のものが好ましく、6~10のものがより好ましく、6~8のものがさらに好ましい。該アリーレン基は、単環式又は多環式(例えば2環式、3環式等)のいずれでも有り得るが、好ましくは単環式である。該アリーレン基としては、具体的には、例えばフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基等が挙げられ、好ましくはフェニレン基が挙げられる。
【0052】
本発明のポリマーにおいては、撥油性、親水性、接着性等の観点から、好ましくはR1及びR2の一方(好ましくは)が芳香環を含む二価の炭化水素基であり、より好ましくはR1及びR2の一方(好ましくは)が芳香環を含む二価の炭化水素基であり、さらに好ましくはR1及びR2の一方(好ましくは)がフェニレン基を含む二価の炭化水素基であり、特に好ましくはR1及びR2の一方(好ましくは)がフェニレン基である。
【0053】
一般式(2a)、一般式(2b1)、一般式(2b2)中、R31及びR32は同一又は異なって二価の炭化水素基を示す。
【0054】
R31及びR32で示される二価の炭化水素基としては、特に制限されず、例えばアルキレン基、アリーレン基等、さらにはこれらが任意に組み合わされてなる基等が挙げられる。
【0055】
R31及びR32で示されるアルキレン基には、直鎖状、分岐鎖状、及び環状(好ましくは直鎖状又は分枝鎖状、より好ましくは直鎖状)のいずれのものも包含される。該アルキレン基の炭素数は、特に制限されず、例えば1~12、好ましくは1~6、より好ましくは1~4、特に好ましくは2である。該アルキレン基の具体例としては、上記と同様のものが挙げられる。
【0056】
R31及びR32で示されるアリーレン基は、特に制限されないが、炭素数が6~12のものが好ましく、6~10のものがより好ましく、6~8のものがさらに好ましい。該アリーレン基は、単環式又は多環式(例えば2環式、3環式等)のいずれでも有り得るが、好ましくは単環式である。該アリーレン基の具体例としては、上記と同様のものが挙げられる。
【0057】
本発明のポリマーにおいては、撥油性、親水性、接着性等の観点から、好ましくはR31及びR32がアルキレン基であり、より好ましくはR31及びR32が直鎖状アルキレン基であり、特に好ましくはR31及びR32が炭素数1~4のアルキレン基である。
【0058】
一般式(2a)、一般式(2b1)、一般式(2b2)中、R33は一価の炭化水素基を示す。
【0059】
R33で示される炭化水素基としては、特に制限されず、例えばアルキル基、アリール基等、さらにはこれらが任意に組み合わされてなる基(例えば、アラルキル基、アルキルアリール基、アルキルアラルキル基)等が挙げられる。
【0060】
R33で示されるアルキル基には、直鎖状、分岐鎖状、又は環状(好ましくは直鎖状又は分枝鎖状、より好ましくは直鎖状)のいずれのものも包含される。該アルキル基の炭素数は、特に制限されず、例えば1~12、好ましくは1~6、より好ましくは1~4、さらに好ましくは1~2、特に好ましくは1である。該アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、3-メチルペンチル基等が挙げられる。
【0061】
R33で示されるアリール基は、特に制限されないが、炭素数が6~12のものが好ましく、6~10のものがより好ましく、6~8のものがさらに好ましい。該アリール基は、単環式又は多環式(例えば2環式、3環式等)のいずれでも有り得るが、好ましくは単環式である。該アリール基としては、具体的には、例えばフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられる。
【0062】
本発明のポリマーにおいては、撥油性、親水性、接着性等の観点から、好ましくはR33がアルキル基であり、より好ましくはR33が直鎖状アルキル基であり、特に好ましくはR33が炭素数1~4のアルキル基である。
【0063】
一般式(2a)、一般式(2b1)、一般式(2b2)中、mは1~5の整数を示す。
【0064】
本発明のポリマーにおいては、撥油性、親水性、接着性等の観点から、好ましくはmが2~4であり、特に好ましくは3である。
【0065】
本発明のポリマーにおいては、撥油性、親水性、接着性等の観点から、R1及びR2の一方は各出現において独立して、二価の炭化水素基であり、R1及びR2の他方は各出現において独立して、一般式(2a)、若しくは一般式(2b1)で表される基である(但し、少なくとも1つのR1又はR2が一般式(2a)で表される基である。)ことが好ましい。
【0066】
本発明のポリマーにおいては、ポリマー自身の水溶性(特に高塩濃度における水溶性性等の観点から、R1及びR2の一方は各出現において独立して、二価の炭化水素基であり、R1及びR2の他方は各出現において独立して、一般式(2a)、若しくは一般式(2b2)で表される基である(但し、少なくとも1つのR1又はR2が一般式(2a)で表される基である。)ことが好ましい。
【0067】
一般式(1)中、nは1以上の整数を示す。nは、例えば10以上、好ましくは20~400、より好ましくは32~200である。
【0068】
本発明のポリマーにおいては、少なくとも1つのR1又はR2が一般式(2a)で表される基である。
【0069】
本発明のポリマーにおいては、撥油性、親水性、接着性等の観点から、nに対する、本発明のポリマー単位中の一般式(2a)で表される基の数(x)の割合(x/n)が0.6以上であることが特に好ましい。当該範囲の中でも、0.65以上であることがより好ましい。
【0070】
本発明のポリマーにおいては、撥油性、接着性等(特に、接着性)の観点から、nに対する、本発明のポリマー単位中の一般式(2a)で表される基の数(x)の割合(x/n)が0.6~0.9であることが特に好まし。当該範囲の中でも、0.65~0.9であることがより好ましく、0.65~0.87であることがさらに好ましく、0.65~0.85であることがよりさらに好ましい。
【0071】
本発明のポリマーにおいては、撥油性、親水性等の観点から、nに対する、本発明のポリマー単位中の一般式(2a)で表される基の数(x)の割合(x/n)が0.9以上であることが特に好ましい。当該範囲の中でも、0.93以上であることがより好ましく、0.95以上であることがさらに好ましく、0.97以上であることがよりさらに好ましい。
【0072】
本発明のポリマーの一態様において、nに対する、本発明のポリマー単位中の前記一般式(2a)で表される基の数(x)の割合(x/n)が1未満(又は0.999以下、0.995以下、若しくは0.99以下)であることができる。
【0073】
x/n(スルホベタイン導入率)は、試験例1に記載の方法に従って、1H NMRスペクトルのピークの積分比から算出することができる。
【0074】
本発明のポリマー単位の重量平均分子量は、撥油性、親水性、接着性等を発揮できる限り特に制限されないが、例えば5000以上であることができる。当該重量平均分子量は、好ましくは10000以上、より好ましくは15000以上、さらに好ましくは20000以上である。当該重量平均分子量の上限は、例えば1000000、好ましくは500000、より好ましくは200000、さらに好ましくは100000、よりさらに好ましくは50000である。
【0075】
本発明のポリマー単位の数平均分子量は、撥油性、親水性、接着性等を発揮できる限り特に制限されないが、例えば3000以上であることができる。当該数平均分子量は、好ましくは5000以上、より好ましくは8000以上、さらに好ましくは10000以上である。当該数平均分子量の上限は、例えば1000000、好ましくは500000、より好ましくは200000、さらに好ましくは100000、よりさらに好ましくは50000である。
【0076】
本明細書において、重量平均分子量及び数平均分子量は、試験例1に記載の方法に従って、GPC測定結果に基づいて算出することができる。
【0077】
本発明のポリマー単位の、重量平均分子量(Mw)に対する数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、例えば1.0~3.0、好ましくは1.0~2.0である。
【0078】
本発明のポリマーは、本発明のポリマー単位のみからなるものであってもよいし、他のポリマー単位を含むものであることもできる。撥油性、親水性、接着性等の観点から、本発明のポリマー単位の割合が一定以上であることが必要である。例えば、本発明のポリマー単位の含有量は、本発明のポリマー100質量%に対して、例えば50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、よりさらに好ましくは95質量%以上、とりわけ好ましくは99質量%以上、特に好ましくは100質量%である。
【0079】
本発明のポリマーの重量平均分子量は、撥油性、親水性、接着性等を発揮できる限り特に制限されないが、例えば5000以上であることができる。当該重量平均分子量は、好ましくは10000以上、より好ましくは15000以上、さらに好ましくは20000以上である。当該重量平均分子量の上限は、例えば1000000、好ましくは500000、より好ましくは200000、さらに好ましくは100000、よりさらに好ましくは50000である。
【0080】
本発明のポリマーの数平均分子量は、撥油性、親水性、接着性等を発揮できる限り特に制限されないが、例えば3000以上であることができる。当該数平均分子量は、好ましくは5000以上、より好ましくは8000以上、さらに好ましくは10000以上である。当該数平均分子量の上限は、例えば1000000、好ましくは500000、より好ましくは200000、さらに好ましくは100000、よりさらに好ましくは50000である。
【0081】
本発明のポリマーの5%重量減少温度は、例えば180~300℃であることができる。本発明のポリマーのガラス転移点は、例えば18~103℃であることができる。本発明のポリマーの融点は、例えば110~120℃℃であることができる。これらのパラメータは、試験例2に記載の方法に従って、TG測定結果、DSC測定結果に基づいて算出することができる。
【0082】
2.ポリマーの製造方法
本発明は、その一態様において、一般式(1):
【0083】
【0084】
で表されるポリマー単位を含む、ポリマー(本明細書において、「前駆体ポリマー」と示すこともある。)と、スルトンとを、溶媒中で反応させることを含む、本発明のポリマーを製造する方法(本明細書において、「本発明の製造方法」と示すこともある。)、に関する。以下に、これについて説明する。
【0085】
前駆体ポリマーは、R1及びR2の一方は各出現において独立して、二価の炭化水素基を示し、R1及びR2の他方は各出現において独立して、一般式(2b1)で表される基を示すこと以外は、本発明のポリマーの定義と同じである。
【0086】
前駆体ポリマーとしては、市販のものを使用することができ、或いは公知の方法に従って(例えば、試験例1の方法に従って又は準じて)合成したものを使用することができる。
【0087】
スルトンは、ヒドロキシスルホン酸の環状スルホン酸エステルである。スルトンは、代表的には、一般式(3):
【0088】
【0089】
[式中:pは1~5の整数(好ましくはmが2~4の整数、特に好ましくは3)を示す。]
で表される化合物である。
【0090】
スルトンの使用量は、収率、合成の容易さ等の観点から、通常、前駆体ポリマー1モルに対して、0.1~30モルが好ましく、0.3~15モルがより好ましい。スルトンの使用量を変えることにより、目的のx/n(スルホベタイン導入率)である本発明のポリマーを得ることができる。
【0091】
本反応は、溶媒(反応溶媒)中で行われる。溶媒としては、特に制限されないが、フルオロアルコールを使用することにより特に簡便且つ効率的に本発明のポリマーを得ることができる。フルオロアルコールとしては、好ましくは部分フッ化アルコールが挙げられ、中でも2,2,2-トリフルオロエタノール(TFE)がとりわけ好ましい。
【0092】
反応温度は、加熱下、常温下及び冷却下のいずれでも行うことができ、通常、0~80℃で行うことができる。反応温度は、0~10℃であることが特に好ましい。反応時間は特に制限されず、通常、30分間~60時間とすることができる。
【0093】
反応の進行は、クロマトグラフィーのような通常の方法で追跡することができる。反応終了後、溶媒を留去し、生成物はクロマトグラフィー法、再沈殿法等の通常の方法で単離精製することができる。また、生成物の構造は、元素分析、MS(ESI-MS)分析、IR分析、1H-NMR、13C-NMR等により同定することができる。また、上記反応の生成物に対して、必要に応じて、炭酸水素ナトリウムなどの塩基を添加し、生成物のアミノ基を中和することができる。
【0094】
3.用途
本発明のポリマーは、撥油性(特に、水中撥油性)、親水性、接着性等を有する。このため、本発明のポリマーは、撥油剤、防汚性付与剤、親水化剤、接着剤等として好適に用いることができる。また、上記作用を発現させるために、本発明のポリマーは、コーティング剤としても好適に使用することができる。
【0095】
本発明は、その一態様において、本発明のポリマーを含有する、組成物(本明細書において、「本発明の組成物」)、に関する。
【0096】
本発明の組成物は、撥油剤、防汚性付与剤、親水化剤、又は接着剤であることができる。また、本発明の組成物は、コーティング用であることができる。
【0097】
本発明の組成物は、本発明のポリマーのみからなるものであることもできるし、本発明のポリマーと他の成分を含むものであることもできる。他の成分としては、各種用途に応じて通常使用し得る成分を採用することができる。本発明の組成物の溶媒以外の全成分中の本発明のポリマーの含有量は、例えば10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、又は90質量%以上であることができる。
【0098】
本発明は、その一態様において、本発明のポリマーを含む、物品、に関する。
【0099】
物品としては、特に制限されない。また、物品の形状も特に制限されない。
【0100】
本発明のポリマーは、その一態様において、水溶性(特に高塩濃度の水に対する溶解性)に優れているので、本発明の物品は、海中でのマイクロプラスチック化が抑制されたプラスチック製品として使用することができる。
【0101】
本発明のポリマーは、撥油性、親水性、接着性等を有するので、本発明の物品(特に、表面に本発明のポリマーを含有するコーティング層を含む物品)は、これらの性質を発現する物品として、様々な用途に使用することができる。たとえば、撥油性を利用して、油水分離素材として使用することができる。
【実施例0102】
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0103】
試験例1.スルホベタインポリエステル(Poly(diethyl sulfobetaine terephthalate); PDSBT)の合成
<1. 1. ポリエステル(Poly(N-methyl-N,N-diethylamino terephthalate); PMDAT)の合成>
【0104】
【0105】
【0106】
Scheme 1および表1に従ってポリエステルであるPMDATを合成した。Ar雰囲気下でTerephthaloyl chloride(TPC)をN-methyl-2-pyrrolidone(NMP)に溶解させ,Pyridineを加えた。さらに2,2’-Methyliminodiethanol(MDEA)のNMP溶液を加え,24時間撹拌した。撹拌後,過剰量のMethanolを加えた。吸引ろ過により沈殿を回収し,50 ℃での真空乾燥により白色固体を得た。
【0107】
<1. 2. 1H NMR測定によるPMDATの同定>
1H NMR測定によりPMDATを同定した。溶媒としてTrifluoroacetic acid-dを用い,10 mg/mLの濃度でPMDATを溶解させた。基準物質としてSodium 3-(trimethylsilyl) propionate-2,2,3,3-d4を用い,積算回数64回として測定した。
【0108】
<1. 3. PMDATのGPS測定>
GPC測定によりPMDATの分子量を測定した。溶媒として2,2,2-trifluoroethanol(TFE)を用い,5 mg/mLの濃度でPMDATを溶解させた。孔径0.45 μmのPTFE膜で濾過したのち,GPCに溶液 20 μLをインジェクトした。測定条件は流速1.0 mL/min,温度40 ℃,検出方法RIとした。カラムとしてPSS製のPFG analytical 100 ÅとPFG analytical 1000 Åとを直列につないで用いた。また,分子量較正曲線はPoly(methyl methacrylate) を用いて作成した。
【0109】
<1. 4. PDSBTの合成>
【0110】
【0111】
【0112】
Scheme 2および表2に従ってスルホベタインポリエステルであるPDSBTを合成した。Ar雰囲気下でPDSBTをTFEに溶解させた。さらに1,3-PropanesultoneのTFE溶液を加え,48時間撹拌した。撹拌後,Acetone 300 mLに反応溶液を滴下した。遠心分離により沈殿を回収し,50 ℃での真空乾燥により黄色固体を得た。
【0113】
<1. 5. 1H NMR測定によるPDSBTの同定>
1H NMR測定によりPDSBTを同定した。溶媒としてTrifluoroacetic acid-dを用い,10 mg/mLの濃度でPDSBTを溶解させた。基準物質としてSodium 3-(trimethylsilyl) propionate-2,2,3,3-d4を用い,積算回数64回として測定した。
【0114】
<1. 6. PDSBTの中和>
【0115】
【0116】
表3に従ってPDSBTのアミノ基を中和した。超純水にPDSBTを溶解させ,NaHCO3水溶液をゆっくり加えた。遠心分離により沈殿を回収し,超純水で洗浄した。凍結乾燥により黄色固体を得た。
【0117】
<結果>
<
1H NMR測定結果>
図1にはPMDATおよびPDSBTの
1H NMRスペクトルを示した。PDSBTにおいて,dおよびhピークの積分比からRun1-6のPDSBTのスルホベタイン導入率はそれぞれ20, 56, 68, 83, 95, 98%と算出された。以下PDSB
20T,PDSB
56T,PDSB
68T,PDSB
83T,PDSB
95T,PDSB
98Tと表記する。
算出式:スルホベタイン導入率(%)=((ピークhの積分値 / 2) / (ピークdの積分値 / 4))×100
【0118】
<PMDATのGPC測定結果>
図2および表4にはRun1およびRun2のPMDATのGPC測定の結果を示した。
【0119】
【0120】
試験例2.中和前後のPDSBTの熱的性質
中和前後のPDSBTをアルミニウム製パンに加え,示差熱熱重量同時測定(TG/DTA測定)により分解温度を測定した。測定条件を表5に示した。
【0121】
【0122】
また,PDSBTをアルミニウム製パンに加え,サンプルシーラーを用いて簡易密封し,示差走査熱量測定(DSC測定)によりPDSBTのガラス転移点または融点を測定した。測定条件を表6に示した。
【0123】
【0124】
PMDATおよびPDSBTのTG測定の結果を
図3-1及び
図3-2,DSC測定の結果を
図4-1及び
図4-2に示した。また,これらの結果から得られた5%重量減少温度(T
d)、およびガラス転移点(T
g),融点(T
m)を表7にまとめた。
【0125】
【0126】
試験例3.PMDATおよびPDSBTの水溶性
PMDATまたはPDSBT 6 mgを超純水2 mLに添加し,温度および塩濃度による溶解性の変化を評価した。
【0127】
PMDATおよびPDSBTの塩濃度を変化させた際の水溶性を表8にまとめた。
【0128】
【0129】
温度応答挙動が見られたのは中和前のPMDATおよびPDSBTを1 M NaCl水溶液に溶解させたときであった。塩濃度を変化させた際のPMDATの濁度測定の結果を
図5および表9に,1 M NaCl水溶液中でのスルホベタイン導入率が98%のPDSBTの濁度測定の結果を
図6に示した。
【0130】
【0131】
試験例4.PMDATおよびPDSBTの接触角
溶媒としてTFEを用いて3 wt%の濃度で中和後のPMDATまたはPDSBTを溶解させた。基盤として用いるシリコンウェハーをMethanol,超純水,Acetoneの順にそれぞれ超音波照射により5分で2回洗浄し,オゾン処理を行った。試料溶液40 μLをシリコンウェハ―に拡げ,スピンコーターにより表面をコーティングした。スピンコーターは2000 rpmで1分回転させた。超純水を用いて,試料薄膜の空気中での接触角を測定した。液滴は2 μLとした。
【0132】
PMDATおよびPDSBTの水に対する接触角の画像を
図7に,接触角の平均値を表10に示した。高いスルホベタイン導入率を有するPDSBTにおいて優れた親水性が見られた。
【0133】
【0134】
試験例5.PMDATおよびPDSBTの水中撥油性
試験例4と同様に試料薄膜を形成し,試料薄膜の水中でのhexadecaneに対する接触角を測定した。液滴は2 μLとした。
【0135】
PMDATおよびPDSBTの水中でのhexadecaneに対する接触角の画像を
図8に,接触角の平均値を表11に示した。表12中、「-」は、
図8に示されるように、hexadecaneの油滴が付着しなかったこと(すなわち、油滴が付着しない程に水中撥油性が高かったこと)を示す。高いスルホベタイン導入率を有するPDSBTにおいて優れた水中撥油性が見られた。
【0136】
【0137】
試験例6.PMDATおよびPDSBTの接着特性
試験例6-1.引張せん断試験
1 cm×3 cmのPETフィルムの端に中和後のPMDATまたはPDSBTを置き,130 ℃に加熱した。もう一つのPETフィルムを1 cm重なるように被せ,1 MPaで1分加圧した。その後,室温で冷却し,50 mm/minの速度で接着面に対して180°の角度で引っ張った。
【0138】
試験例6-2.剥離試験
3 cm×3 cmのPETフィルムの端に中和後のPMDATまたはPDSBTを置き,130 ℃に加熱した。1 cm×3 cmのPETフィルムを1 cm重なるように被せ,1 MPaで1分加圧した。その後,室温で冷却し,50 mm/minの速度で接着面に対して90°の角度で引っ張った。
【0139】
引張せん断試験の結果を表12に,剥離試験の結果を表13に示した。
【0140】
【0141】