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  • 特開-真菌類細胞壁組成物の純化方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152399
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】真菌類細胞壁組成物の純化方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/36 20060101AFI20231010BHJP
   A61L 15/28 20060101ALI20231010BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20231010BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20231010BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
A61K47/36
A61L15/28 100
A61K9/70
A61K8/73
A61Q19/00
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062385
(22)【出願日】2022-04-04
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】522135525
【氏名又は名称】鴻盛投資股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】蘇慶華
【テーマコード(参考)】
4C076
4C081
4C083
【Fターム(参考)】
4C076AA72
4C076BB31
4C076EE30A
4C076FF70
4C076GG41
4C081AA01
4C081AA12
4C081BC01
4C081BC02
4C081CD011
4C081EA01
4C081EA12
4C083AD211
4C083FF01
(57)【要約】
【課題】真菌類細胞壁組成物の純化方法を提供する。
【解決手段】真菌類細胞壁組成物の純化方法は以下のステップを含み(1)真菌類の子実態から抽出過程を経て抽出液を得た後の残渣を取り、抽出液はテルペン、ステロール或いは多糖類或いはその組合せを含み、残渣は子実体の細胞壁を含み(2)残渣を過炭酸塩水溶液中に入れ混合液を形成し、第一温度で反応させ残渣を脱色し、過炭酸塩水溶液の濃度は5~20%(w/v)で、第一温度は15~40℃で(3)脱色完了後、混合液の温度を第二温度まで上げ第二温度で反応させ残渣を消化分解し、第二温度は80~100℃で(4)処理が完了した混合液をろ過し純化産物を取得する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真菌類細胞壁組成物の純化方法であって、
以下の(1)~(4)ステップ、
(1)真菌類の子実態から、抽出過程を経て抽出液を得た後の残渣を取り、その内、該抽出液は、テルペン、ステロール、若しくは多糖類、又はその組合せを含み、該残渣は、該子実体の細胞壁を含み、
(2)該残渣を過炭酸塩水溶液中に入れ、混合液を形成し、第一温度で反応させ、該残渣を脱色し、その内、該過炭酸塩水溶液の濃度は、5~20%(w/v)であり、該第一温度は、15~40℃であり、
(3)脱色完了後、該混合液の温度を第二温度まで上げ、該第二温度で反応させ、該残渣を消化分解し、その内、該第二温度は、80~100℃であり、
(4)処理が完了した該混合液をろ過し、純化産物を取得する、を含むことを特徴とする、
真菌類細胞壁組成物の純化方法。
【請求項2】
前記過炭酸塩水溶液は、過炭酸ナトリウム水溶液であることを特徴とする、請求項1に記載の真菌類細胞壁組成物の純化方法。
【請求項3】
前記過炭酸塩水溶液の濃度は、7.5~15%(w/v)であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の真菌類細胞壁組成物の純化方法。
【請求項4】
前記過炭酸塩水溶液の濃度は、7.5%(w/v)又は15%(w/v)であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の真菌類細胞壁組成物の純化方法。
【請求項5】
前記第一温度は、20~37℃であることを特徴とする、請求項1に記載の真菌類細胞壁組成物の純化方法。
【請求項6】
前記第二温度は、85~90℃であることを特徴とする、請求項1に記載の真菌類細胞壁組成物の純化方法。
【請求項7】
前記ステップ(1)の抽出過程は、順番に有機溶剤抽出及び熱水抽出を経て、該有機溶剤抽出を経てトリテルペン及びステロールを含む抽出液を得た後、該熱水抽出を経て多糖類を含む抽出液を得ることを特徴とする、請求項1に記載の真菌類細胞壁組成物の純化方法。
【請求項8】
前記真菌類は、霊芝類で、該純化産物は、キチン及び多糖類の複合体であることを特徴とする、請求項1に記載の真菌類細胞壁組成物の純化方法。
【請求項9】
前記純化産物は、ポリメグルミン繊維で、N-アセチルグルコサミン(N-Acetylglucosamine)及び(l→3)ポリデキストロース((l→3)-β-D-Glucan)の共重合体構造であることを特徴とする、請求項8に記載の真菌類細胞壁組成物の純化方法。
【請求項10】
前記純化産物は、皮膚創傷被覆材、化粧品若しくは基礎化粧品賦形剤、又は薬用賦形剤に応用可能であることを特徴とする、請求項1、8、及び9のいずれか一項に記載の真菌類細胞壁組成物の純化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は真菌類の関連技術に関し、特に真菌類細胞壁組成物の純化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
霊芝は、多重成分を有する真菌類で、健康保健食品の重要な原料である。
その子実体は、約1~3%トリテルペン(triterpenoid)及びステロール(sterol)、及び約1~2%の水溶性多糖類(water-soluble polysaccharide)を含む。
従来の霊芝の抽出方法は、先ず65~95%のアルコールにより第一段階抽出を行い、極性が比較的低い小分子トリテルペン及びステロール後を取得する。
次に熱水で第二段階抽出を行い、極性が比較的高い大分子多糖類を取得する。
残った霊芝の残渣は、上述抽出物の賦形物(excipient)に利用される他、大部分は、土壌改良剤及び堆肥としてしか利用されない。
【0003】
しかし、上述の霊芝の残渣は、主に霊芝子実体の細胞壁であり、超高分子量の多糖類及びキチン(chitin)を含む多くの有用な成分をなお含んでいる。
よって、該各霊芝残渣を有効に利用するため、特許文献1では、該各霊芝残渣をさらに純化し、純化後の細胞壁組成、即ちキチン及び多糖類の複合体を取得する。
それは、一種のポリメグルミン繊維で、N-アセチルグルコサミン(N-Acetylglucosamine)及び(l→3)ポリデキストロース((l→3)-β-D-Glucan)の共重合体構造である。
しかも、その実験結果により、該ポリメグルミン繊維は、皮膚創傷被覆材、化粧品賦形剤、或いは薬用賦形剤に応用可能であることが分かる。
【0004】
特許文献1の純化方法は、以下の通りである。
先ず強塩基(1N 水酸化ナトリウム)により第一段階処理を行い、80~100℃の高温で霊芝残渣に残存するタンパク質、核酸、及び脂質を消化分解し、ろ過物を取得後に洗浄する。
次に、脱色剤(0.1%次亜塩素酸塩(hypochlorite))により第二段階処理を行い、80~100℃の高温で霊芝残渣の色素を除去し、純白のフォークパルプの菌絲細胞壁とする。
しかし、強塩基の消化分解過程を使用したこの種の方式は、極めて色が濃い大量のアルカリ性廃液を生み出し、処理が難しいだけでなく、環境に対して極めて大きな負担となる。
この他、次亜塩素酸塩により色素を除去するが、次亜塩素酸は除去が難しく、塩素が残留するという問題があると同時に、次亜塩素酸塩は、温度が比較的高い状況下では反応条件の制御が難しく、しばしば過度に酸化し、回収率が悪いという結果を招く。
【0005】
特許文献1の回収率が悪い(約8~12%)という問題を解決するため、特許文献2では、第二段階処理を、25~45%の過酸化水素による色素除去に変えた。
これにより、回収率は25~35%(特許文献2の図2及び第0030段に開示)まで高めることはできるが、過度な酸化及び反応温度の制御が難しいという困難はやはりあり、反応においていささかでも不注意があれば、大量の気泡が発生し、反応装置から溢れてしまうおそれがある。
同時にこれにより回収率も大きく減少し、特に高濃度過酸化水素は高度毒性、反応性、腐蝕性、酸化性を備える液体であるため、大量操作及び貯蔵においてリスクが高い。
さらに、この方法で処理した後の廃液は、未反応の過酸化水素をなお大量に含んでおり、しかも第一段階処理で大量の強塩基廃液が発生するという問題を解決することはできないため、廃液処理において極めて大きな負担を引き起こしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】台湾特許第442496号明細書
【特許文献2】台湾特許第I620570号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記の先行技術には、回収率が低く、過度な酸化及び反応温度の制御が難しく、反応において大量の気泡が発生し反応装置から溢れてしまうおそれがあり、処理後の廃液は、未反応の過酸化水素をなお大量に含んでおり、しかも第一段階処理で大量の強塩基廃液が発生するため、廃液処理において極めて大きな負担を引き起こしているという欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は過炭酸塩水溶液を、脱色及び消化分解を一度に完成させる処理剤として、水酸化ナトリウム及び次亜塩素酸塩或いは過酸化水素を用いる従来の技術による二段階処理に置換し、廃液処理における負担を軽減できるばかりか、純化産物の回収率を向上させることもできる真菌類細胞壁組成物の純化方法に関する。
【0009】
本発明による真菌類細胞壁組成物の純化方法は、以下のステップを含む。
(1)真菌類の子実態から、抽出過程を経て抽出液を得た後の残渣を取る。その内、該抽出液は、テルペン、ステロール、或いは多糖類、或いはその組合せを含み、該残渣は、該子実体の細胞壁を含む。
(2)該残渣を過炭酸塩水溶液中に入れ、混合液を形成し、第一温度で反応させ、該残渣を脱色する。その内、該過炭酸塩水溶液の濃度は、5~20%(w/v)で、該第一温度は、15~40℃である。
(3)脱色完了後、該混合液の温度を第二温度まで上げ、該第二温度で反応させ、該残渣を消化分解する。その内、該第二温度は、80~100℃である。
(4)処理が完了した該混合液をろ過し、純化産物を取得する。
【0010】
その内、該過炭酸塩水溶液は、過炭酸ナトリウム水溶液(Sodium percarbonate,2NaCO・3H)である。
【0011】
その内、該ステップ(1)の抽出過程は、以下の通りで、順番に有機溶剤抽出及び熱水抽出を経て、該有機溶剤抽出を経てトリテルペン及びステロールを含む抽出液を得た後、該熱水抽出を経て多糖類を含む抽出液を得る。
【0012】
その内、該真菌類は、霊芝類で、該純化産物は、キチン及び多糖類の複合体である。
【0013】
その内、該純化産物は、ポリメグルミン繊維で、N-アセチルグルコサミン(N-Acetylglucosamine)及び(l→3)ポリデキストロース((l→3)-β-D-Glucan)の共重合体構造である。
【0014】
その内、該純化産物は、皮膚創傷被覆材、化粧品或いは基礎化粧品賦形剤、或いは薬用賦形剤に応用可能である。
【0015】
上記の通り、ステップ(2)で先ず過炭酸ナトリウム水溶液により室温下で霊芝子実体の残渣を処理し、過炭酸ナトリウム水溶液は、過酸化水素(H)をゆっくりと放出し、残渣の脱色反応を行うため、脱色程度に応じて過炭酸ナトリウムを追加できる。
脱色完成後に、ステップ(3)において、該反応物混合液の温度を高めるが、過炭酸ナトリウムは水を加えると炭酸ナトリウムを放出するため、濃度が比較的高く、しかも温度も上昇している状況下で十分なアルカリ性を提供できる。
よって、消化分解反応を行うことができ、霊芝残渣中のタンパク質、核酸、及び少量の脂質を分解し、アレルギー物質の残留を確実に防ぐことができる。
【0016】
以上のとおり、本発明は、過炭酸ナトリウム水溶液を、脱色及び消化分解を一度に完成させる処理剤とし、従来の技術による、水酸化ナトリウム及び次亜塩素酸塩或いは過酸化水素を用いる二段階処理に置換し、しかも本発明の脱色反応は室温で行われるため、反応が穏やかで、過度な酸化状況を起こさないため、純化産物の回収率を約50~60%に高めることができる。
この他、本発明の純化方法の全行程は、色が比較的薄い廃液が一度生じるだけで、該廃液は、炭酸ナトリウム及び少量の過酸化水素を含むだけであるため、廃液処理上の負担を軽減することができる。
さらに、過炭酸ナトリウムは、白色粉状顆粒で、使用コストが比較的低いばかりか、貯蔵及び使用過程においても非常に安全である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(一実施形態)
上述の発明内容において開示した中心思想について説明するため、以下では具体的な実施形態を用いる。
【0019】
図1に示す通り、本発明による真菌類細胞壁組成物の純化方法は、以下のステップを含む。
【0020】
ステップS1:真菌類の子実態から、抽出過程を経て抽出液を得た後の残渣を取る。
一実施形態中において、本発明の真菌類は、霊芝類で、抽出過程は、以下の通りである。
先ず、霊芝の子実体を取り、それを砕いた後、有機溶剤中に浸し、有機溶剤抽出を行い、トリテルペン及びステロールを含む抽出液を得る。
該有機溶剤は、メタノール、エタノール、或いはプロパノールであり、好ましくは、エタノール(アルコール)である。
その後、有機溶剤抽出後の残渣を洗浄し、熱水中に浸し、熱水抽出を行い、多糖類を含む抽出液を得る。
最後に、反応が完了した残渣を洗浄し、約35~45℃下で該残渣を乾燥させる。
【0021】
ステップS2:ステップS1を経た後の残渣を過炭酸塩水溶液中に入れ混合液を形成し、第一温度で反応させ、該残渣を脱色する。
一実施形態中において、過炭酸塩水溶液は、過炭酸ナトリウム水溶液であり、その濃度は、5~20%(w/v)で、好ましくは、7.5~15%(w/v)である。
或いは好ましくは、過炭酸塩水溶液の濃度は、5、7.5、10、12.5、15、17.5、或いは20%(w/v)である。
或いは好ましくは、過炭酸塩水溶液の濃度は、7.5或いは15%(w/v)である。
一実施形態中において、第一温度は、15~40℃であり、好ましくは、20~37℃である。
或いは好ましくは、第一温度は、15、17.5、20、22.5、25、27.5、30、32.5、35、或いは37℃である。
ステップS2では、過炭酸ナトリウム水溶液により、室温下で霊芝子実体の残渣を処理し、過炭酸ナトリウム水溶液は、過酸化水素をゆっくりと放出し、残渣の脱色反応を行うため、脱色程度に応じて過炭酸ナトリウムを追加できる。
【0022】
ステップS3:脱色完了後、混合液の温度を第二温度まで高め、該第二温度で反応させ、該残渣を消化分解する。
一実施形態中において、第二温度は、80~100℃である。
好ましくは、85~90℃である。
或いは好ましくは、第二温度は、80、82.5、85、87.5、90、92.5、95、97.5、或いは100℃である。
ステップS3では、該反応物混合液の温度を高めるが、過炭酸ナトリウムは水を加えると炭酸ナトリウムを放出するため、濃度が比較的高く、しかも温度も上昇している状況下で十分なアルカリ性を提供できる。
このため、消化分解反応を行うことができ、霊芝残渣中のタンパク質、核酸、及び少量の脂質を分解し、アレルギー物質の残留を確実に防ぐことができる。
【0023】
ステップS4:処理が完了した該混合液をろ過し、純化産物を取得する。
一実施形態中において、本発明の純化産物は、キチン及び多糖類の複合体で、一種のポリメグルミン繊維で、N-アセチルグルコサミン(N-Acetylglucosamine)及び(l→3)ポリデキストロース((l→3)-β-D-Glucan)の共重合体構造を擁する。
【0024】
一実施形態中において、該純化産物を洗浄後、脱イオン水中に入れ、懸濁液を形成後、ろ紙を使用し該懸濁液に加圧ろ過すると、ろ紙上に薄膜を形成する。
該薄膜は、皮膚創傷被覆材、或いは化粧品或いは基礎化粧品賦形剤に応用可能である。
一実施形態中において、該純化産物を洗浄後、フリーズドライなどの加工を行い、薬用錠剤の賦形剤に応用し、錠剤製造プロセスにおける粉末の物理性質を改善できる。
【0025】
以上により、本発明の純化方法は、過炭酸ナトリウム水溶液を、脱色及び消化分解を一度に完成させる処理剤とし、水酸化ナトリウム及び次亜塩素酸塩或いは過酸化水素を用いる従来の技術による二段階処理に置換し、しかも脱色反応のステップS2は、室温下で行われるため、反応が穏やかで、過度な酸化状況を起こさず、純化産物の回収率を約50~60%に高めることができる。
【0026】
この他、本発明の純化方法は、過炭酸ナトリウム水溶液だけを使用し、全プロセスで色が比較的薄い廃液が一度生じるだけで、しかも該廃液は、炭酸ナトリウム及び少量の過酸化水素を含むだけであるため、廃液処理上の負担を軽減することができる。
【0027】
以下では、本発明の具体的実施形態について説明する。
【0028】
実施形態1:
霊芝(Ganoderma lucidum)子実体から、アルコール及び熱水で、トリテルペン、ステロール、及び多糖類を抽出した後の残渣を取る。その内、残渣の主要組成は、細胞壁及びタンパク質などの大分子、核酸、及びメラニン(melanin)である。
残渣の重量は、100等分(水分含量12.44%)で、1000体積等分の15%(w/v)過炭酸ナトリウム溶液中に加え、室内温度20~37℃で約24時間反応させる。
過炭酸ナトリウム水溶液は、ゆっくりと過酸化水素を放出し、霊芝残渣を脱色する。
その後、該反応物を85~90℃まで温度を上げ、それを1~2時間維持し、霊芝残渣中のタンパク質、核酸、及び少量の脂質を分解する。
常温まで冷却後にろ過し、純化産物を取得する。
pH値が中性で、過酸化水素リトマス試験紙により過酸化水素濃度が検出されなくなるよう、純酸化物を真水で洗浄する。
回収純化産物の湿重量は185.45等分で、水分は、74.0%で、回収率は、55.06%である。
【0029】
実施形態2:
霊芝(Ganoderma lucidum)子実体から、アルコール及び熱水で、トリテルペン、ステロール、及び多糖類を抽出した後の残渣を取る。
その内、残渣の重量は、100等分(水分含量12.50%)で、1000体積等分の7.5%(w/v)過炭酸ナトリウム溶液中に入れ、室内温度20~37℃で約24時間反応させる。
過炭酸ナトリウム水溶液は、ゆっくりと過酸化水素を放出し、霊芝残渣を脱色する。
脱色は未完成であるため、さらに75体積等分の過炭酸ナトリウムを加え、さらに約24時間放置し脱色を完成させる。
その後、該反応物を85~90℃まで温度を上げ、それを1~2時間維持し、霊芝残渣中のタンパク質、核酸、及び少量の脂質を分解する。
常温まで冷却後にろ過し、純化産物を取得する。
pH値が中性で、過酸化水素リトマス試験紙により過酸化水素濃度が検出されなくなるよう、純酸化物を真水で洗浄する。
回収純化産物の湿重量は374.03等分で、水分は、87.50%で、回収率は、53.43%である。
【0030】
実施形態3:
無柄霊芝(Ganoderma recinaceum)子実体から、アルコール及び熱水で、トリテルペン、ステロール、及び多糖類を抽出した後の残渣を取る。
その内、残渣の重量は、100等分(水分含量11.87%)で、1000体積等分の15%(w/v)過炭酸ナトリウム溶液中に入れ、室内温度20~37℃で、約24時間反応させる。
過炭酸ナトリウム水溶液は、ゆっくりと過酸化水素を放出し、霊芝残渣を脱色する。
その後、該反応物を85~90℃まで温度を上げ、それを1~2時間維持し、霊芝残渣中のタンパク質、核酸、及び少量の脂質を分解する。
常温まで冷却後にろ過し、純化産物を取得する。
pH値が中性で、過酸化水素リトマス試験紙により過酸化水素濃度が検出されなくなるよう、純酸化物を真水で洗浄する。
回収純化産物の湿重量は244.75等分で、水分は、81.03%で、回収率は、52.68%である。
【0031】
前述した本発明の実施形態は本発明を限定するものではなく、よって、本発明により保護される範囲は後述される特許請求の範囲を基準とする。
【符号の説明】
【0032】
S1~S4 ステップ
図1