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  • 特開-焼結鉱の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152401
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】焼結鉱の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C22B 1/20 20060101AFI20231010BHJP
【FI】
C22B1/20 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062389
(22)【出願日】2022-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】松村 勝
(72)【発明者】
【氏名】片山 一昭
(72)【発明者】
【氏名】長田 淳治
(72)【発明者】
【氏名】山口 泰英
【テーマコード(参考)】
4K001
【Fターム(参考)】
4K001AA10
4K001BA02
4K001CA42
4K001GA10
(57)【要約】
【課題】再点火法において、離間距離の延長によらない新たな高温保持時間の延長手段を提供する。
【解決手段】最初の点火を行う点火炉1と、該点火炉の下流側に所定の間隔を空けて配置されて再点火を行う再点火炉2とを備え、下方吸引により焼結を進行させるDL式焼結機10を用いて焼結鉱を製造する再点火法を用いた焼結鉱の製造方法において、点火炉1と再点火炉2との間の区間3を焼結機パレットが通過するのに要する時間である離間時間が1分以上であり、この区間3において下方吸引される吸引ガスの酸素濃度が30体積%以上である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
最初の点火を行う点火炉と、該点火炉の下流側に所定の間隔を空けて配置されて再点火を行う再点火炉とを備え、下方吸引により焼結を進行させるDL式焼結機を用いて焼結鉱を製造する再点火法を用いた焼結鉱の製造方法において、
前記点火炉と前記再点火炉との間の区間を焼結機パレットが通過するのに要する時間である離間時間が1分以上であり、
前記区間において下方吸引される吸引ガスの酸素濃度が30体積%以上であることを特徴とする焼結鉱の製造方法。
【請求項2】
前記離間時間が5分以下であり、前記吸引ガスの酸素濃度が40体積%以下であることを特徴とする請求項1に記載の焼結鉱の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼結鉱の製造方法、特に二段階で点火を行う再点火法を用いた焼結鉱の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、高炉製銑法の主原料は、焼結鉱である。焼結鉱は、通常、次のように製造される。まず、原料となる鉄鉱石(粉)、製鋼ダスト等の含鉄雑原料、橄欖岩等のMgO含有副原料、石灰石等のCaO含有副原料、返鉱、燃焼熱によって焼結鉱を焼結(凝結)させる燃料となる炭材(凝結材とも言う)を、所定の割合で混合する。混合した配合原料を造粒して原料造粒物とする。次に、造粒された原料造粒物を、ホッパより、下方吸引式のドワイトロイド(DL)式焼結機のパレット上に搭載して、原料充填層を形成する。形成した原料充填層の上部(表面層)から、点火炉(点火器)により原料充填層中の炭材に点火する。そして、パレットを連続的に移動させながらパレットの下方から空気を吸引する。吸引により酸素を供給し、原料充填層中の炭材の燃焼を上部から下部に向けて進行させて、炭材の燃焼熱により原料充填層を順次焼結させる。焼結により得られた焼結部(焼結ケーキ)は、所定の粒度に粉砕、篩分け等により整粒され、高炉の原料である焼結鉱となる。
【0003】
DL式焼結機では、上述のように上層から下層に向けて下方吸引により順次焼結させるため、一般的に、焼結過程において、原料充填層の下層部では熱量が十分であっても、上層部では熱量不足となる。そのため、熱量不足となる上層部では焼結が十分に進行せず、焼結鉱の強度不足を引き起こし、全体の歩留も悪くなる。
【0004】
特許文献1には、このような上層部の焼結不良の改善を目的として、原料充填層を二度点火する技術(再点火法)が開示されている。再点火法を実施する焼結機は、機長方向に所定距離(以下、離間距離という)を離して直列に配置された2基の点火炉(上流側の点火炉と下流側の再点火炉)を備える(後述する図1参照)。
【0005】
上流側の点火炉(点火器)による点火(以下、初点火ともいう)完了後に、上面からの加熱(点火)を行わない区間(以下、大気吸引領域という)を設け、その後、下流側の再点火炉(フレーム加熱装置)による点火(フレーム加熱、以下、再点火ともいう)を行うことにより、原料充填層の表層に未着火で残留するコークスの量を減らすとともに、焼結層の高温ゾーンを拡大(焼結層の高温保持時間を延長)することで、歩留を改善する効果を有する。大気吸引領域をパレットが移動するのに要する時間、すなわち、最初の点火(初点火)完了後再点火が実施されるまでの時間を離間時間と定義すると、この離間時間の下限(最小値)は、高温ゾーン拡大が十分に得られる限界であり、好ましい離間時間の上限(最大値)は、初点火後の焼結層上層の冷却に支配される。特許文献1においては、適正な離間時間は、0.5分~3分が適正であると開示されている。
【0006】
ここで、非特許文献1および非特許文献2には、従来の焼結法(一段装入一段点火法)において下方吸引される大気(吸引ガス)に酸素を富化する方法(酸素富化技術)が検討されており、酸素富化により粉コークスの燃焼速度が速くなり、生産率が向上することが記載されている。具体的には、非特許文献1には、吸引ガス量一定の条件下において下方吸引される大気に酸素を富化させると、焼結排ガス中のCO濃度およびCO濃度が上昇する結果が開示されている。即ち、吸引ガス量を増加させなくても、酸素富化により単位時間あたりの粉コークス燃焼量が上昇、すなわち、粉コークスの燃焼速度が向上する。
【0007】
非特許文献2には、供給酸素量が一定であれば点火直後に集中して酸素富化することが焼結時間の短縮に有効であり、適正酸素濃度は約28~30vol%、添加時間は約2~3分と推定されることが開示されている。また、吸引する大気中酸素濃度が21%以上であれば、成品歩留がほぼ維持されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2020-2457号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】鉄と鋼92(2006),417-426
【非特許文献2】鉄と鋼87(2001),305-312
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
再点火法において、焼結層の高温保持時間を延長し、さらに歩留を向上させようとするとき、初点火完了後再点火が実施されるまでの時間である離間時間を延長する方法では、再点火までに表層温度が低下しすぎてしまう点で限界があった。
【0011】
そこで、本発明では、再点火法における、離間距離の延長によらない新たな高温保持時間の延長が可能な焼結鉱の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)最初の点火を行う点火炉と、該点火炉の下流側に所定の間隔を空けて配置されて再点火を行う再点火炉とを備え、下方吸引により焼結を進行させるDL式焼結機を用いて焼結鉱を製造する再点火法を用いた焼結鉱の製造方法において、
前記点火炉と前記再点火炉との間の区間を焼結機パレットが通過するのに要する時間である離間時間が1分以上であり、
前記区間において下方吸引される吸引ガスの酸素濃度が30体積%以上であることを特徴とする焼結鉱の製造方法。
(2)前記離間時間が5分以下であり、前記吸引ガスの酸素濃度が40体積%以下であることを特徴とする(1)に記載の焼結鉱の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
大気吸引領域において、原料充填層表層から吸引される吸引ガスの酸素濃度を高めることで高温ゾーン(燃焼帯)を拡大(焼結層の高温保持時間を増加)させることができ、その結果、歩留が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明を実施するDL式焼結機の構成を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
再点火法にあっては酸素富化技術に関する開示はなく、再点火法における両点火炉間の大気吸引領域での酸素富化については検討されてこなかった。上述のように、従来の焼結法における酸素富化の作用効果は、コークス燃焼速度の増加に伴う焼結速度の向上である。ここで、一般的には、焼結速度が向上すると焼結時間が短縮するため、焼結の歩留は低下すると考えられる。しかしながら、酸素富化のもう一つの効果であるコークス燃焼の活発化(具体的には、吸引風量あたりのコークス燃焼量の増加)によって、焼結の歩留は低下せず維持される。
【0016】
発明者らは、大気吸引領域で酸素富化技術を適用すると、大気吸引領域において活発化したコークス燃焼により焼結層の温度上昇に再点火熱量が加算され、さらに温度上昇をもたらす効果が得られるのではないかと考えた。さらに、発明者らは、この更なる温度上昇による直接的効果に、離間時間延長による燃焼帯の拡大効果が加われば、歩留がさらに向上でき、その結果、焼結速度向上と歩留向上の双方が享受できるのではないかと考えた。そして、上記観点から焼結実験を重ね、その結果から大気吸引領域において酸素富化技術を適用する場合の適正な酸素濃度と、その酸素濃度適用時の適正な離間時間を検討して、本発明の焼結鉱の製造方法を創案した。
【0017】
以下に、図面を参照して再点火法の概要を説明し、その後、本発明の実施形態について説明する。図1は、再点火法を実施可能な焼結機の一例(パレットの図示は省略)を説明する概要図である。なお、この技術については、例えば上述した特許文献1(特開2020-2457号公報)などの文献を参照することによって実施可能であるため、ここでは基本構成に関する詳細な説明は省略する。
【0018】
(再点火法)
再点火法では、図1に示すように、機長方向(焼結ストランド方向)に所定距離を離して直列に配置された2つの点火炉(上流側の点火炉1と下流側の再点火炉2)を備える焼結機10を用いて、点火炉1(第1の点火炉)で点火(初点火)し、大気吸引領域3を挟んで、再び、再点火炉2(第2の点火炉)で点火(再点火)する方法である。ここで、大気吸引領域3とは、点火炉1および再点火炉2の間に設けられる区間であり、下方吸引により大気が吸引され、上面からの直接加熱(点火)が行われない領域をいう。
【0019】
ここで、図1に示すように、点火炉1の下流側および再点火炉2の上流側に隔壁1a,2aがある場合は、隔壁1aと隔壁2aの間の区間が大気吸引領域3である。このとき、隔壁1aと隔壁2aの間の距離を大気吸引領域3の距離(離間距離)、離間距離を焼結機10のパレットが通過するのに要する時間を大気吸引領域通過時間(離間時間)という。
なお、特開2020-2457で称したフレーム加熱装置は、本発明の再点火炉と同一(同義)である。
【0020】
再点火法では、大気吸引領域3を設けて原料充填層4の表層に形成された燃焼帯5に十分な酸素(大気)を供給することにより、表層に未着火で残留しているコークスの燃焼が生じる。コークスの燃焼により、上方から吸引されてこのコークス燃焼場所(以下、コークス燃焼場という)を通過する流通ガスが高温化し、さらに前記コークス燃焼場直下のコークス燃焼を促進するため、燃焼帯幅が拡大する。また、再点火を、大気吸引領域3における大気の供給により焼結ケーキ6が冷えてしまう前に実施することで、上層の高温保持時間(例えば、1200℃以上に保持される時間)が増加する。適正なタイミングで再点火して熱量を供給することにより高温保持時間を増加させることができ、成品歩留および焼結鉱冷間強度向上が期待される。
【0021】
本発明では、この再点火法において、点火後かつ再点火前の、前記大気吸引領域3において、酸素富化したガスを下方吸引する。以下、本発明では、前記大気吸引領域3を、酸素富化ガス吸引領域ともいう。下方吸引により原料充填層表層から吸引される吸引ガス中の酸素濃度は30体積%以上、かつ、離間時間を1分以上とする。後述する実施例で示すように、吸引ガス中の酸素濃度が30体積%未満、または、離間時間を1分未満の場合は酸素供給量が十分でなく、十分な歩留向上効果が得られないからである。ここで、離間時間は、初点火と再点火の間で酸素富化された吸引ガスが焼結帯に供給される時間を示している。
【0022】
なお、離間時間は6分以下が好ましい。6分を超えると酸素富化しても、すでに焼結層が冷却してしまい、再点火の効果が得られない。一方、吸引ガス中の酸素濃度は50体積%以下が好ましい。50体積%を超えると、大気吸引ガス量に対する酸素ガス量比率が60体積%を超えてしまい、焼結層への吸引ガスの安定供給に支障をきたすからである。
【0023】
さらには、吸引ガス中の酸素濃度は40体積%以下、または、離間時間は5分以下がより好ましい。後述する実施例で示すように、酸素濃度が40体積%を超えるか、または、離間時間が5分を超えると、酸素供給量の増加に伴う歩留の上昇が緩慢になり、酸素富化が有効ではなくなるためである。
【0024】
本発明の酸素富化ガス吸引領域(大気吸引領域3)における酸素富化は、後述する実施例に裏付けられるように、焼結速度が上昇するにも関わらず歩留も向上する効果を有し、適正な離間時間が長時間側へ拡大する。(一方、再点火を実施しない酸素富化は、段落0015に記載のように、一般的な焼結速度上昇による歩留低下を抑制する程度である。)
前者の歩留向上の理由として、酸素富化直後の再点火によって、酸素富化により活発化したコークス燃焼場への熱量供給がなされ、コークス燃焼場の活発化を維持継続する効果を有する点が挙げられる。そのため、短時間の酸素富化でも歩留向上に結び付く。
後者の適正離間時間拡大の理由として、酸素富化によるコークス燃焼活発化を介して焼結層温度が上昇する点が挙げられる。焼結層が冷える前に再点火する必要があるが、冷えにくくなるため、長い離間時間でも効果発現する。そして、離間時間が長いと焼結鉱の高温保持時間が伸延して歩留向上に結び付く。
【0025】
ここで、酸素富化ガス吸引領域に供給する吸引ガス中の酸素ガス投入量は、酸素富化ガス吸引領域の焼結ベッド表面に採取管を設けて焼結ベッド表面の酸素濃度を計測して調整する方法、あるいは焼結機10のウインドボックスの風量に応じて調整する方法などで制御可能である。
そして、酸素ガスの投入方法は、酸素富化ガス吸引領域(大気吸引領域3)の上方に設けたフード(図示せず)内へ直接工業用酸素を供給する。その際、焼結機10の幅方向(パレット進行方向に対して垂直な方向)における複数箇所から供給するのが望ましい。なお、工業用酸素は製鉄所内の酸素プラントで製造される。
【実施例0026】
再点火法において酸素富化を行う場合の適正な条件を検討した焼結試験の結果を実施例として示す。
【0027】
焼結試験(鍋試験)では、直径300mm、高さ500mmの焼結鍋を用い、大気吸引の時間(離間時間)および酸素濃度を試験条件として変更して、その影響を調べた。鍋試験は、DL焼結機を模擬した条件で焼結を行うもので、DL焼結機のようにコンベアによるパレットの移動こそないが、下方吸引できる所定の大きさの容器に燃料を含む焼結原料を装入し、上面から着火し、下方吸引させて焼結を進行させる試験である。
【0028】
(実験条件)
表1は、使用した焼結用の原料とその配合割合を示す。
試験ケースによらず、原料の配合は同一である。鉄鉱石、橄欖岩、生石灰、および石灰石を配合した新原料を100質量%として、粉コークス、返鉱の配合割合を、外数で、それぞれ、4.5質量%、15.0質量%とした。なお、表1の鉄鉱石A~Eはそれぞれ異なる産地のものを使用した。また、粉コークスは、いずれも粒度が-5mm(5mm未満)のもの(5mmの篩目の篩下のもの)を使用した。
【0029】
【表1】
【0030】
配合原料は、一括して造粒した。造粒は、ドラムミキサ-に投入し、これらを4分間混合した。ついで、造粒後の原料の水分が配合原料を100質量%として外数で6.5質量%となるように水を添加し、さらにこれらを4分間混合した。焼結鍋には、原料充填層厚が480mmとなるように、配合原料造粒物を装入した。
【0031】
(試験水準)
点火(点火炉1による点火(初点火)に相当)および再点火(再点火炉2による再点火に相当)での燃焼時間は共に1分間(入熱量25MJ/原料t)とした。表2の各試験ケース(比較例1~4、発明例1~6)について、点火および再点火の間(酸素富化ガス吸引領域の移動に相当)の時間(離間時間)および吸引ガスの酸素濃度を、試験条件として示す水準で変更した。
【0032】
点火後の焼成は風量一定条件とし、その風量は排ガスで1.8Nm/minで調整した。排ガス温度がピークに到達した3分後に送風機の吸引を停止し、焼成を終了した。ここに、焼結時間は、点火開始時刻から排ガス温度がピークに達した時刻までの時間とした。
【0033】
酸素投入方法は、ガスブレンダーで大気と酸素を所定の酸素濃度(表2の試験条件に記載の酸素濃度)となるように混合しておき、この混合ガスを鍋上にかぶせたフードを用いて供給した。なお、酸素富化ガスの供給および吸引は点火終了直後から再点火直前までに限定した。即ち、点火終了とともにフードをセットして酸素富化ガスの供給し、所定時間酸素富化ガスを吸引後直ちにフードを取り外して再点火した。ここで、入側ガス風量(=吸引ガス量)はすべてガスブレンダー経由の混合ガスとなるように流量を決定した。なお、入側ガス風量は、入側ガス窒素濃度、排ガス窒素濃度、および排ガス風量から求まる。これは、入側と出側の窒素ガス量が等しいことによる。さらに、排ガス窒素濃度は、排ガス分析(CO、CO、O)から引き算(N≒100-(CO+CO+O))で求められる。今回の鍋試験は排ガス風量一定条件のため、吸引ガス調整が容易であった。
【0034】
焼成後、得られた焼結ケーキを、2mの高さから4回落下処理を行い、床敷鉱を除く粒径+5mm(5mm超)を焼結成品として回収して質量を求め、成品質量とした。そして、以下で定義される焼結速度、成品歩留、および生産率を求めた。
焼結速度=原料層厚/焼結時間
成品歩留=成品質量/((焼結ケーキ質量)-(床敷鉱質量))
生産率=成品質量/(焼結時間×鍋底面積)
【0035】
【表2】
【0036】
(試験結果)
表2に、各試験ケースの試験結果(焼結速度、成品歩留、生産率)を示す。
比較例1~3の試験結果に示されるように、離間時間を0.5分とした場合、酸素濃度上昇(比較例1⇒比較例2⇒比較例3)にともなう焼結速度、成品歩留、生産率の上昇が鈍い。これは、離間時間が短いため、酸素富化時間も0.5分と短いことによると考えられる。
【0037】
一方、比較例4および発明例1の試験結果に示されるように、離間時間を1.0分とした場合、酸素濃度を21体積%から30体積%へ上昇(比較例4⇒発明例1)させることで、特に、成品歩留上昇が顕著となる。
【0038】
また、発明例1および発明例2の試験結果に示されるように、同じ酸素濃度(30体積%)で離間時間を1分から2分へと増加する(発明例1⇒発明例2)ことで焼結速度、成品歩留、および生産率が大きく上昇する。これは離間時間増加に伴う酸素富化時間増加の効果である。
【0039】
発明例2および発明例3の試験結果に示されるように、離間時間2分において、酸素濃度30体積%から40体積%へ上昇(発明例2⇒発明例3)させることで、焼結速度、および生産率が大きく上昇する。
【0040】
また、発明例3および発明例4の試験結果に示されるように、離間時間を2分から5分へ増大する(発明例3⇒発明例4)ことで焼結速度、成品歩留、生産率が向上する。
【0041】
しかしながら、発明例4~6の試験結果に示されるように、酸素濃度が40体積%を超えると(発明例4⇒発明例5)、または、離間時間が5分を超えると(発明例4⇒発明例6)、焼結速度、成品歩留、および生産率の向上効果が頭打ちになる。
【符号の説明】
【0042】
1…点火炉、1a…点火炉の下流側隔壁、2…再点火炉、2a…再点火炉の上流側隔壁、3…大気吸引領域(酸素富化ガス吸引領域)、4…原料充填層、5…燃焼帯、6…焼結ケーキ、10…焼結機
図1