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特開2023-152426配車支援装置、配車支援方法、配車支援システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152426
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】配車支援装置、配車支援方法、配車支援システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/083 20230101AFI20231010BHJP
【FI】
G06Q10/08 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062444
(22)【出願日】2022-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】中田 雄大
(72)【発明者】
【氏名】平林 知己
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
5L049CC42
(57)【要約】
【課題】車両に乗車することが不可能な乗客が発生する可能性を低減させる。
【解決手段】制御装置2が、配車リクエストデータに応じて作成した第一運行計画に応じて少なくとも荷物を移動しているとき、現在の時刻が、人の移動の需要が他の時間帯よりも高いと予測される時間帯である旅客時間帯を基準とし、予め設定した判定閾値時刻となったことを判定し、配送中止荷物の状態が返却条件を満足しているか否かを判定し、現在の時刻が判定閾値時刻となったことを判定し、且つ配送中止荷物の状態が返却条件を満足していると判定すると、返却閾値時刻までに荷物預け場所へ車両3が移動することが可能であるか否かを判定し、返却閾値時刻までに荷物預け場所へ車両3が移動することが可能であると判定すると第二運行計画を作成し、作成した第二運行計画を出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信した人の移動の希望及び荷物の移動の希望のうち少なくとも一方を含む配車リクエストデータを用いて作成した運行計画に応じて、前記人の移動及び前記荷物の移動のうち少なくとも一方に利用する車両を提供する配車支援装置であって、
前記配車リクエストデータに応じて作成した第一運行計画に応じて前記人の移動及び前記荷物の移動のうち少なくとも荷物を移動しているとき、現在の時刻が、前記人の移動の需要が他の時間帯よりも高いと予測される時間帯である旅客時間帯を基準とし、予め設定した判定閾値時刻となったことを判定する処理と、
前記車両に積載されている荷物のうち前記移動が中止となった荷物である配送中止荷物の状態を含む情報である配送中止荷物情報を取得する処理と、
前記取得した配送中止荷物情報に含まれる前記配送中止荷物の状態が、予め設定した返却条件を満足しているか否かを判定する処理と、
前記現在の時刻が前記判定閾値時刻となったことを判定し、且つ前記取得した配送中止荷物情報に含まれる前記配送中止荷物の状態が前記返却条件を満足していると判定すると、前記判定閾値時刻よりも前記旅客時間帯に近い時刻である返却閾値時刻までに前記配送中止荷物を預ける荷物預け場所へ前記車両が移動することが可能であるか否かを判定する処理と、
前記返却閾値時刻までに前記荷物預け場所へ前記車両が移動することが可能であると判定すると、前記荷物預け場所へ前記車両が移動する運行計画である第二運行計画を作成する処理と、
前記作成した第二運行計画を出力する処理と、
を実行するコンピュータを備える配車支援装置。
【請求項2】
前記第二運行計画には、前記荷物預け場所へ前記車両が移動した後に行う、新規の配車リクエストデータが含む前記人の移動及び前記荷物の移動のうち少なくとも一方が含まれる請求項1に記載した配車支援装置。
【請求項3】
前記コンピュータは、
前記配送中止荷物を預ける荷物預け場所を、前記車両の周囲に存在する荷物預け場所から抽出する処理と、
前記返却閾値時刻までに前記抽出した荷物預け場所へ前記車両が移動することが可能であるか否かを判定する処理と、
前記返却閾値時刻までに前記抽出した荷物預け場所へ前記車両が移動することが可能であると判定すると前記第二運行計画を作成する処理と、を実行する請求項1に記載した配車支援装置。
【請求項4】
前記コンピュータは、
前記配送中止荷物を預ける荷物預け場所を、前記車両の最寄りに存在する前記荷物預け場所から抽出する処理を実行する請求項3に記載した配車支援装置。
【請求項5】
前記コンピュータは、
前記現在の時刻が前記判定閾値時刻となったことを判定し、且つ前記取得した配送中止荷物情報に含まれる前記配送中止荷物の状態が前記返却条件を満足していると判定し、さらに、前記人の移動の希望を含む新規の配車リクエストデータを受け付けた場合、前記配送中止荷物を預ける荷物預け場所を、前記車両の現在の位置と、前記新規の配車リクエストデータで移動を希望する人が乗車する場所と、の間に存在する荷物預け場所から抽出する処理を実行する請求項3に記載した配車支援装置。
【請求項6】
前記コンピュータは、
前記取得した配送中止荷物情報に含まれる前記配送中止荷物の状態が、前記車両に前記人の移動が可能なスペースが確保されていないという状態を含む場合、前記返却条件を満足していると判定する処理を実行する請求項1から5のうちいずれか1項に記載した配車支援装置。
【請求項7】
前記コンピュータは、
前記取得した配送中止荷物情報に含まれる前記配送中止荷物の状態が、前記車両が備える座席に対する前記配送中止荷物の占有率が予め設定した閾値占有率に達しているという状態を含む場合、前記返却条件を満足していると判定する処理を実行する請求項1から5のうちいずれか1項に記載した配車支援装置。
【請求項8】
前記現在の時刻が前記判定閾値時刻となったことを判定した時点で前記車両が前記人の移動の需要が他の地域よりも高い地域に存在している場合、前記閾値占有率を、前記車両が前記人の移動の需要が他の地域よりも高い地域に存在していない場合よりも低下させる請求項7に記載した配車支援装置。
【請求項9】
前記判定閾値時刻を、前記旅客時間帯の始まりの時刻よりも予め設定した先行時間の分だけ早い時刻に設定する請求項1から5のうちいずれか1項に記載した配車支援装置。
【請求項10】
道路の混雑が予測される場合、前記先行時間を前記混雑が予測されない場合よりも増加させる請求項9に記載した配車支援装置。
【請求項11】
受信した人の移動の希望及び荷物の移動の希望のうち少なくとも一方を含む配車リクエストデータを用いて作成した運行計画に応じて、前記人の移動及び前記荷物の移動のうち少なくとも一方に利用する車両を提供する配車支援方法であって、
前記受信した前記配車リクエストデータを制御装置へ送信し、
前記制御装置が、
前記配車リクエストデータに応じて作成した第一運行計画に応じて前記人の移動及び前記荷物の移動のうち少なくとも荷物を移動しているとき、現在の時刻が、前記人の移動の需要が他の時間帯よりも高いと予測される時間帯である旅客時間帯を基準とし、予め設定した判定閾値時刻となったことを判定し、
前記車両に積載されている荷物のうち前記移動が中止となった荷物である配送中止荷物の状態を含む情報である配送中止荷物情報を取得し、
前記取得した配送中止荷物情報に含まれる前記配送中止荷物の状態が、予め設定した返却条件を満足しているか否かを判定し、
前記現在の時刻が前記判定閾値時刻となったことを判定し、且つ前記取得した配送中止荷物情報に含まれる前記配送中止荷物の状態が前記返却条件を満足していると判定すると、前記判定閾値時刻よりも前記旅客時間帯に近い時刻である返却閾値時刻までに前記配送中止荷物を預ける荷物預け場所へ前記車両が移動することが可能であるか否かを判定し、
前記返却閾値時刻までに前記荷物預け場所へ前記車両が移動することが可能であると判定すると、前記荷物預け場所へ前記車両が移動する運行計画である第二運行計画を作成し、
前記作成した第二運行計画を出力する配車支援方法。
【請求項12】
受信した人の移動の希望及び荷物の移動の希望のうち少なくとも一方を含む配車リクエストデータを用いて作成した運行計画に応じて、前記人の移動及び前記荷物の移動のうち少なくとも一方に利用する車両を提供する配車支援システムであって、
前記受信した前記配車リクエストデータを受信する制御装置を備え、
前記制御装置は、
前記配車リクエストデータに応じて作成した第一運行計画に応じて前記人の移動及び前記荷物の移動のうち少なくとも荷物を移動しているとき、現在の時刻が、前記人の移動の需要が他の時間帯よりも高いと予測される時間帯である旅客時間帯を基準とし、予め設定した判定閾値時刻となったことを判定し、
前記車両に積載されている荷物のうち前記移動が中止となった荷物である配送中止荷物の状態を含む情報である配送中止荷物情報を取得し、
前記取得した配送中止荷物情報に含まれる前記配送中止荷物の状態が、予め設定した返却条件を満足しているか否かを判定し、
前記現在の時刻が前記判定閾値時刻となったことを判定し、且つ前記取得した配送中止荷物情報に含まれる前記配送中止荷物の状態が前記返却条件を満足していると判定すると、前記判定閾値時刻よりも前記旅客時間帯に近い時刻である返却閾値時刻までに前記配送中止荷物を預ける荷物預け場所へ前記車両が移動することが可能であるか否かを判定し、
前記返却閾値時刻までに前記荷物預け場所へ前記車両が移動することが可能であると判定すると、前記荷物預け場所へ前記車両が移動する運行計画である第二運行計画を作成し、
前記作成した第二運行計画を出力する配車支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配車支援装置、配車支援方法、配車支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、乗客と荷物とを混載して移動することが可能な車両の運行を管理する技術として、車両に乗車するユーザの人数と車両に積載する荷物の体積とに応じて、車両の運行を管理する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-087315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている技術では、受取人の不在等によって移動が中止となった荷物が発生した場合、移動が中止となった荷物を車両に積載した状態で、乗客や荷物の移動を継続することとなる。このため、特許文献1に記載されている技術では、新規の乗客が発生したときに、受取人が不在だった荷物を積載しているために、荷物に座席を占有されている可能性が高く、車両に乗車することが不可能な乗客が発生する可能性がある。
本発明は、車両に乗車することが不可能な乗客が発生する可能性を低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、受信した人の移動の希望及び荷物の移動の希望のうち少なくとも一方を含む配車リクエストデータを用いて作成した運行計画に応じて、人の移動及び荷物の移動のうち少なくとも一方に利用する車両を提供する。具体的には、配車リクエストデータに応じて作成した第一運行計画に応じて人の移動及び荷物の移動のうち少なくとも荷物を移動しているとき、現在の時刻が、人の移動の需要が他の時間帯よりも高いと予測される時間帯である旅客時間帯を基準とし、予め設定した判定閾値時刻となったことを判定する。さらに、車両に積載されている荷物のうち移動が中止となった荷物である配送中止荷物の状態を含む情報である配送中止荷物情報を取得し、取得した配送中止荷物情報に含まれる配送中止荷物の状態が、予め設定した返却条件を満足しているか否かを判定する。そして、現在の時刻が判定閾値時刻となったことを判定し、且つ取得した配送中止荷物情報に含まれる配送中止荷物の状態が返却条件を満足していると判定すると、判定閾値時刻よりも旅客時間帯に近い時刻である返却閾値時刻までに配送中止荷物を預ける荷物預け場所へ車両が移動することが可能であるか否かを判定する。これに加え、返却閾値時刻までに荷物預け場所へ車両が移動することが可能であると判定すると、荷物預け場所へ車両が移動する運行計画である第二運行計画を作成し、作成した第二運行計画を出力する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、車両に乗車することが不可能な乗客が発生する可能性を低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態の配車支援システムの一例の概略構成図である。
図2A図1の電子装置の機能構成の一例の説明図である。
図2B図1の制御装置の機能構成の一例の説明図である。
図3】配車サービスの利用におけるメインルーチンを示すフローチャートである。
図4】配車サービスの利用におけるサブルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面は模式的なものであり、現実のものとは異なる場合が含まれる。以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、下記の実施形態に例示した装置や方法に特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることが可能である。
【0009】
(構成)
図1は、実施形態の配車支援システムの一例の概略構成図である。配車支援システム1は、ユーザや荷物の移動に用いる車両3(サービス車両)を提供するシステムである。
具体的に、配車サービスは、配車リクエストデータを用いて作成した運行計画に応じて、人の移動及び荷物の移動のうち少なくとも一方に利用する車両3を配車するサービスである。配車リクエストデータは、ユーザ等から受信した人の移動の希望及び荷物の移動の希望のうち、少なくとも一方を含むデータである。
配車支援システム1は、制御装置2と、車両3とを少なくとも備える。
電子装置4は、配車支援システム1による配車サービスを利用するユーザが使用する端末装置である。電子装置4は、例えば、ユーザが携行可能な携帯情報端末や、持ち運びが容易な小型コンピュータであってもよい。
【0010】
ユーザは、配車サービスを予約する際に、電子装置4を用いて制御装置2にアクセスする。ユーザは、配車サービスを予約する前に、配車支援システム1を使用するための専用アプリケーションソフトウエアを、電子装置4に予めインストールしておき、専用アプリケーションソフトウエアを用いて予約をしてもよい。以下の説明においては、「アプリケーションソフトウエア」を単に「ソフトウエア」と表記する。また、ユーザは、電子装置4のブラウザ機能を利用して、インターネット上で配車サービスの予約を受け付けるサイトで、配車サービスを予約してもよい。
【0011】
<電子装置>
電子装置4は、配車サービスの予約に関し、ユーザによる入力操作を受け付ける。電子装置4は、ユーザから入力された情報に基づいて、配車サービスの予約を申し込むための配車リクエストデータを生成し、制御装置2へ配車リクエストデータを送信する。
配車リクエストデータは、車両3を利用して移動する人数(ユーザ自身を含む)の情報と、ユーザが車両3への乗車を希望する乗車場所(希望乗車地)と、ユーザが車両3からの降車を希望する降車場所(希望降車地)の情報を含む。これに加え、配車リクエストデータは、ユーザが車両3への乗車を希望する日付及び時間(希望乗車日時)と、ユーザが車両3からの降車を希望する日付及び時間(希望降車日時)の情報を含む。また、配車リクエストデータは、例えば、ユーザに関する情報(例えば、ユーザの属性や識別情報)を含んでもよい。なお、ユーザの属性とは、例えば、ユーザの性別、年齢、健康状態、家族構成等である。
【0012】
さらに、配車リクエストデータは、ユーザが移動(配送)を希望する荷物に関する情報である配送情報を含む。
配送情報は、車両3を利用して移動する荷物の情報(荷物の大きさ、荷物の数、荷物を積載する場所、荷物を配送する場所)を含む。なお、以降の説明では、荷物を積載する場所を、「荷物積載地」と記載する場合がある。同様に、以降の説明では、荷物を配送する場所を、「荷物配送地」と記載する場合がある。
【0013】
荷物積載地については、ユーザが指定する場所(例えば、ユーザの自宅や勤務先)であっても、配車支援システム1が指定する場所(例えば、荷物の集配所)であってもよい。また、荷物の情報には、荷物を積載する時間(時間帯)と、荷物を配送する時間(時間帯)が含まれていてもよい。
また、配車リクエストデータは、相乗り(他のユーザと人員及び荷物の移動を共用する)の希望の有無を含んでいてもよい。
【0014】
電子装置4は、測位装置40と、通信装置41と、ヒューマンマシンインタフェース(HMI)42と、コントローラ43とを備える。
測位装置40は、電子装置4の現在位置(すなわち、ユーザの現在位置)を測定する。測位装置40は、例えば、全地球型測位システム(GNSS)受信機を備えてよい。GNSS受信機は、例えば、地球測位システム(GPS)受信機等であってよい。測位装置40は、慣性航法装置を備えてもよい。測位装置50は、電子装置4の現在位置情報をコントローラ34へ出力する。
【0015】
通信装置41は、電子装置4と外部装置との間における通信機能を提供する。通信装置41による通信方式は、例えば、公衆移動体通信網による無線通信、衛星通信等であってよい。電子装置4は、通信装置41によって、制御装置2との間でデータを送受信する。
HMI42は、電子装置4とユーザとの間で情報を授受するインタフェース装置である。HMI42は、ユーザが視認可能な表示装置や、警報音、通知音、音声情報を出力するスピーカやブザーを備える。また、HMI42は、ユーザによる電子装置4への操作入力を受け付ける操作子や音声入力デバイスを備える。操作子は、ボタンやスイッチ、レバー、ダイヤル、キーボード、タッチパネル等であってもよい。
【0016】
コントローラ43は、電子装置4の動作を制御する電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)である。コントローラ43は、プロセッサ44と、記憶装置45等の周辺部品とを含む。プロセッサ44は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)であってよい。記憶装置45は、レジスタ、キャッシュメモリや、主記憶装置として使用されるROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリ等の一時的でない有形の記憶媒体(non-transitory tangible storage media)を含んでよい。
以下に説明する電子装置4の機能は、例えば、プロセッサ44が、記憶装置45に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
【0017】
<制御装置>
制御装置2(サーバ装置)は、電子装置4から配車リクエストデータを受信する。そして、配車リクエストデータに応じた処理を行う。
制御装置2は、プロセッサ20と、記憶装置21と、通信装置22と、登録者データベース(登録者DB)23と、地図データベース(地図DB)24と、予約データベース(予約DB)25を備える。
【0018】
プロセッサ20は、例えば、CPUやMPUであってよい。記憶装置21は、レジスタ、キャッシュメモリや、主記憶装置として使用されるROM、RAM等のメモリ等、一時的でない有形の記憶媒体を含んでよい。以下に説明する制御装置2の機能は、例えば、記憶装置21に格納されたコンピュータプログラムを、プロセッサ20が実行することにより実現される。
通信装置22は、制御装置2と外部装置との間における通信機能を提供する。通信装置22による通信方式は、例えば、公衆移動体通信網による有線通信や無線通信、衛星通信、車両3との間の路車間通信等であってよい。
制御装置2は、通信装置22によって、車両3、電子装置4との間でデータを送受信する。
【0019】
登録者DB23は、配車支援システム1を使用する者を登録するためのデータベースである。以下の説明においては、登録者DB23に登録された者を「登録者」と表記する。例えば、配車支援システム1を使用する者として、配車サービスの利用者が登録者DB23に登録されている。
図DB24には、配車支援システム1が配車サービスを提供する地域の地図情報が格納されている。地図情報は、例えば、ナビゲーション用の地図データ(以下、単に「ナビゲーション地図」という)であってよい。
【0020】
制御装置2は、電子装置4から受信した配車リクエストデータに応じて、地図DB24に格納されている地図情報に基づき、配車リクエストデータに含まれる希望乗車地から希望降車地まで至る走行経路を算出する。また、制御装置2は、配車リクエストデータに含まれる希望乗車日時に車両3が発車し、走行経路を走行して希望降車地に到着する降車日時を予測する。
制御装置2は、配車リクエストデータに含まれる希望乗車地、希望乗車日時、希望降車地と、制御装置2が算出した走行経路及び降車日時とを、車両3の運行計画として予約DB25に記憶する。
また、制御装置2は、希望乗車地、希望乗車日時、希望降車地、降車日時及び走行経路を含んだ運行計画を、車両3へ出力する。
【0021】
<車両>
車両3は、ユーザの要求に応じて運行する車両(いわゆる、デマンド型交通の車両)であり、例えば、乗り合いタクシーやロボットタクシーであってよい。車両3は、制御装置2から出力された運行計画に従って、運転者(人間)が関与せずに、コントローラ34によって車両3を自動的に運転する自律運転車両である。
実施形態では、車両3の構成を、利用可能スペースが、ユーザ自身が乗車する乗車スペースと、荷物を積載する積載スペースとを含む場合について説明する。
【0022】
車両3は、制御装置2から運行計画を受信すると、運行計画に含まれる希望乗車日時までに到着するように乗車場所まで走行する。また、乗車場所において利用者が車両3に乗車すると、運行計画に含まれる走行経路に沿って降車場所まで走行する。
また、車両3は、制御装置2から運行計画を受信すると、運行計画に含まれる荷物積載地まで走行する。また、荷物積載地において荷物が積載されると、運行計画に含まれる走行経路に沿って荷物配送地まで走行する。そして、荷物配送地において荷物が配送された(荷物を降ろした)後は、運行計画に応じて、人の移動や荷物の移動等を継続する。
【0023】
車両3は、センサ30と、測位装置31と、地図データベース(地図DB)32と、通信装置33と、コントローラ34と、アクチュエータ35とを備える。
センサ30は、車両3の周囲の物体を検出する物体センサや、車両3から得られる様々な情報(車両状態)を検出する車両センサを含む。
物体センサは、例えば、車両3の周囲に存在する物体と車両3との相対位置、車両3と物体との距離、物体が存在する方向等の車両3の周囲環境を検出する。物体センサは、例えば、車両3の周囲環境を撮影するカメラを含んでよい。また、例えば、物体センサは、レーザレンジファインダ(LRF)やレーダ、LiDAR(Light Detection and Ranging)のレーザレーダ等の測距装置を含んでもよい。物体センサは、検出した車両3の周囲環境の情報である周囲環境情報を、コントローラ34へ出力する。
【0024】
車両センサは、例えば、車両3の走行速度(車速)を検出する車速センサ、車両3が備える各タイヤの回転速度を検出する車輪速センサ、車両3の3軸方向の加速度(減速度を含む)を検出する3軸加速度センサ(Gセンサ)、操舵角(転舵角を含む)を検出する操舵角センサ、車両3に生じる角速度を検出するジャイロセンサ、ヨーレイトを検出するヨーレイトセンサを含んでよい。さらに、車両センサは、シートベルトの着脱を検出するシートベルトセンサや、ドアの開閉を検出するドアセンサを含んでよい。車両センサは、車両状態情報をコントローラ34へ出力する。
【0025】
測位装置31は、車両3の現在位置及び姿勢を測定する。測位装置31は、例えば、全地球型測位システム(GNSS)受信機を備えてよい。GNSS受信機は、例えば、地球測位システム(GPS)受信機等であってよい。測位装置31は、慣性航法装置を備えてもよい。測位装置31は、測定した現在位置の現在位置情報をコントローラ34へ出力する。
図DB32は、地図情報を記憶する。地図情報は、ナビゲーション用の地図データ(以下、単に「ナビゲーション地図」という)と、自動運転用の地図として好適な高精度地図データ(以下、単に「高精度地図」という)とを含んでいてよい。
通信装置33は、車両3と外部装置との間における通信機能を提供する。通信装置33による通信方式は、例えば、公衆移動体通信網による無線通信、衛星通信、路車間通信等であってよい。
車両3は、通信装置33によって制御装置2との間でデータを送受信する。
【0026】
コントローラ34は、車両3を制御する電子制御ユニットである。例えば、コントローラ34は、車両3の自律運転制御を行う。コントローラ34は、プロセッサ36と、記憶装置37等の周辺部品とを含む。プロセッサ36は、例えば、CPUやMPUであってよい。記憶装置37は、レジスタ、キャッシュメモリや、主記憶装置として使用されるROM、RAM等のメモリ等の一時的でない有形の記憶媒体を含んでよい。コントローラ34の機能は、例えば、プロセッサ36が、記憶装置37に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
【0027】
コントローラ34は、センサ30からの周囲環境情報及び車両状態情報と、測位装置31の測位結果と、地図DB32の地図情報とに基づいて、車両3を運行計画に従って走行させる自律運転制御を実行する。例えば、コントローラ34は、車両3の現在位置及び姿勢と、運行計画に含まれる走行経路と、地図情報と、車両3の周囲環境とに基づいて、車両3を走行させる目標走行軌道を算出する。これに加え、コントローラ34は、例えば、車両3の周辺の経路や物体の有無を表現する経路空間マップと、走行時の危険度を数値化したリスクマップとを生成し、車両3の運動特性、車両状態情報、経路空間マップと、リスクマップとに基づいて、目標走行軌道を生成する。そして、コントローラ34は、生成した目標走行軌道に沿って車両3が走行するようにアクチュエータ35を駆動する。
アクチュエータ35は、コントローラ34からの制御信号に応じて、車両3の操舵装置と、駆動装置と制動装置を操作して、車両3の車両挙動を発生させることにより、車両3を自動的に運転する。アクチュエータ35は、操舵アクチュエータと、アクセル開度アクチュエータと、ブレーキ制御アクチュエータを備える。
【0028】
<電子装置の機能構成>
以下、配車支援システム1の詳細について説明する。図2Aは、電子装置4の機能構成の一例の説明図である。
電子装置4は、予約者情報送信部50と、配車リクエストデータ生成部51を備える。
予約者情報送信部50は、電子装置4を用いて車両3を予約する際に、予約者の識別情報を制御装置2に送信する。例えば、予約者情報送信部50は、制御装置2へログインする際の予約者の認証のために、予約者の識別情報を制御装置2に送信してもよい。また、予約者情報送信部50は、配車リクエストデータと同時に、予約者の識別情報を制御装置2に送信してもよい。
配車リクエストデータ生成部51は、予約者がHMI41を操作して車両3の予約に必要な情報を入力すると、配車リクエストデータを生成する。そして、配車リクエストデータ生成部51は、生成した配車リクエストデータを制御装置2に送信する。
【0029】
<制御装置の機能構成>
図2Bは、制御装置2の機能構成の一例の説明図である。
制御装置2は、リクエストデータ取得部60と、運行計画作成部61と、時刻設定部62と、時刻判定部63と、配送中止荷物情報取得部64と、返却条件判定部65を備える。これに加え、制御装置2は、返却場所抽出部66と、返却移動判定部67と、運行計画追加部68を備える。
リクエストデータ取得部60は、電子装置4から配車リクエストデータを受信すると、配車リクエストデータが含む情報を予約DB25に登録する。
【0030】
運行計画作成部61は、リクエストデータ取得部60が予約DB25に登録した情報に応じて、第一運行計画を作成する。
以降の説明は、一例として、リクエストデータ取得部60が予約DB25に登録した情報に、配送情報が含まれている場合を記載する。したがって、第一運行計画は、少なくとも、荷物の移動(積載、配送)のために車両3を運行する計画である。なお、第一運行計画は、荷物の移動に加え、人の移動のために車両3を運行する計画であってもよい。
第一運行計画を作成する際には、配車リクエストデータが含む情報と、地図DB24に格納されている地図情報に基づいて、荷物積載地から荷物配送地まで至る走行経路を設定する。また、第一運行計画を作成する際には、配車リクエストデータが含む荷物を積載する時間(時間帯)と、荷物を配送する時間(時間帯)に応じて、走行経路を設定してもよい。
【0031】
また、運行計画作成部61は、算出した走行経路を予約DB25に記憶する。これにより、運行計画作成部61が設定した走行経路は、ユーザに提供される配車サービスの運行計画として、予約DB25に記憶される。
さらに、運行計画作成部61は、第一運行計画に関する運行計画情報を、ユーザに供する車両3と、電子装置4へ出力する。
時刻設定部62は、判定閾値時刻と、返却閾値時刻を設定する。
判定閾値時刻は、旅客時間帯を基準として、予め設定した時刻である。旅客時間帯は、人の移動の需要が他の時間帯よりも高いと予測される時間帯である。
旅客時間帯は、例えば、曜日、季節、地域、駅や商業施設との距離等に応じて設定する。また、旅客時間帯は、例えば、過去に取得したデータを用いて設定してもよい。
【0032】
実施形態では、一例として、時刻設定部62が、判定閾値時刻を、旅客時間帯の始まりの時刻よりも予め設定した先行時間の分だけ早い時刻に設定する場合について説明する。
先行時間は、例えば、1時間に設定する。したがって、例えば、旅客時間帯が13時から15時である場合、時刻設定部62は、判定閾値時刻を12時に設定する。
また、実施形態では、一例として、道路の混雑が予測される場合、先行時間を道路の混雑が予測されない場合よりも増加させる。具体的な例としては、道路の混雑が予測されない場合には1時間に設定していた先行時間を、道路の混雑が予測される場合には1時間半に設定する。したがって、例えば、旅客時間帯が13時から15時である場合、時刻設定部62は、道路の混雑が予測される場合には、判定閾値時刻を11時30分に設定する。
なお、道路の混雑が予測される場合とは、例えば、荒天時(雨天時等)の場合である。また、道路の混雑が予測されない場合とは、例えば、好天時(晴天時等)の場合である。
また、道路の混雑は、通信装置22を介して取得した情報を用いて予測してもよい。
【0033】
返却閾値時刻は、判定閾値時刻よりも旅客時間帯に近い時刻である。
実施形態では、一例として、時刻設定部62が、返却閾値時刻を、判定閾値時刻よりも30分、旅客時間帯に近い時刻に設定する場合について説明する。したがって、例えば、旅客時間帯が13時から15時である場合、時刻設定部62は、道路の混雑が予測されない場合には、返却閾値時刻を12時30分に設定する。また、例えば、旅客時間帯が13時から15時である場合、時刻設定部62は、道路の混雑が予測される場合には、返却閾値時刻を12時に設定する。
時刻判定部63は、車両3が、第一運行計画に応じて、人の移動及び荷物の移動のうち、少なくとも荷物を移動しているとき、現在の時刻が判定閾値時刻となったことを判定する。
【0034】
配送中止荷物情報取得部64は、配送中止荷物情報を取得する。
配送中止荷物情報は、車両3に積載されている荷物のうち、移動が中止となった荷物である配送中止荷物の状態を含む情報である。
なお、配送中止荷物情報は、例えば、第一運行計画が含む配送情報と、車両3の車室内を撮像可能なカメラや、車両3の座席に配置した感圧センサ等を用いて検出する。
返却条件判定部65は、配送中止荷物情報取得部64が取得した配送中止荷物情報に含まれる配送中止荷物の状態が、予め設定した返却条件を満足しているか否かを判定する。
具体的に、返却条件判定部65は、配送中止荷物情報取得部64が取得した配送中止荷物情報に含まれる配送中止荷物の状態が、車両3に人の移動が可能なスペースが確保されていないという状態を含む場合に、返却条件を満足していると判定する。
【0035】
実施形態では、一例として、配送中止荷物情報に含まれる配送中止荷物の状態が、車両3が備える座席に対する配送中止荷物の占有率が、閾値占有率に達しているという状態を含む場合、返却条件を満足していると判定する場合について説明する。
閾値占有率は、例えば、車両3が備える座席が5席(乗車可能な人数が5人)である場合、配送中止荷物情報が5席の全てを占有している状態の占有率(100%)として、予め設定する。
【0036】
また、閾値占有率は、例えば、現在の時刻が判定閾値時刻となったことを判定した時点で、車両3が存在している地域に応じて変更してもよい。
例えば、現在の時刻が判定閾値時刻となっていると判定した時点で、車両3が、人の移動の需要が他の地域よりも高い地域に存在している場合、人の移動の需要が他の地域よりも高い地域に存在していない場合よりも、閾値占有率を低下させる。
この場合、具体例としては、車両3が備える座席が5席である場合、配送中止荷物情報が5席のうち3席を占有している状態の占有率(60%)として、閾値占有率を設定する。
【0037】
返却場所抽出部66は、配送中止荷物を預ける荷物預け場所を、車両3の周囲に存在する複数の荷物預け場所から抽出する。荷物預け場所は、配送中止荷物を預ける場所(例えば、移動会社の集配所等)である。
実施形態では、一例として、返却場所抽出部66が、荷物預け場所を、車両3の周囲に存在する複数の荷物預け場所のうち、車両3の最寄りに存在する荷物預け場所から抽出する場合について説明する。
【0038】
また、実施形態では、一例として、人の移動の希望を含む新規の配車リクエストデータを受け付けた場合、新規の配車リクエストデータで移動を希望する人が乗車する場所に応じて、荷物預け場所を抽出する場合について説明する。
具体的には、荷物預け場所を、車両3の現在の位置と、新規の配車リクエストデータで移動を希望する人が乗車する場所との間に存在する荷物預け場所から抽出する。
なお、荷物預け場所を抽出する処理は、現在の時刻が判定閾値時刻となったことを時刻判定部63が判定しており、配送中止荷物情報に含まれる配送中止荷物の状態が返却条件を満足していると返却条件判定部65が判定している状態で行う。
【0039】
返却移動判定部67は、返却閾値時刻までに、返却場所抽出部66が抽出した荷物預け場所へ、車両3が移動することが可能であるか否かを判定する。
荷物預け場所へ車両3が移動することが可能であるか否かの判定は、例えば、車両3の現在の位置と、地図DB24に格納されている地図情報と、交通状況等に応じて行う。
また、返却移動判定部67が行う判定は、現在の時刻が判定閾値時刻となったことを時刻判定部63が判定しており、配送中止荷物情報に含まれる配送中止荷物の状態が返却条件を満足していると返却条件判定部65が判定している状態で行う。
【0040】
運行計画追加部68は、返却移動判定部67が、返却閾値時刻までに荷物預け場所へ車両3が移動することが可能であると判定すると、荷物預け場所へ車両3が移動する運行計画である第二運行計画を作成する。
第二運行計画を作成する際には、地図DB24に格納されている地図情報に基づいて、現在の位置から返却場所抽出部66が抽出した荷物預け場所まで至る走行経路を設定する。
また、運行計画追加部68は、算出した走行経路を予約DB25に記憶する。これにより、運行計画追加部68が設定した走行経路は、ユーザに提供される配車サービスの運行計画として、予約DB25に記憶される。
さらに、運行計画追加部68は、第二運行計画に関する運行計画情報を、ユーザに供する車両3と、電子装置4へ出力する。
【0041】
実施形態では、一例として、第二運行計画に、荷物預け場所へ車両3が移動した後に行う、新規の配車リクエストデータが含む人の移動及び荷物の移動のうち、少なくとも一方が含まれる場合について説明する。なお、第二運行計画は、例えば、荷物預け場所へ車両3が移動した後に行う、新規の配車リクエストデータが含む人の移動及び荷物の移動のうち、人の移動を優先して作成してもよい。
【0042】
(動作)
図3は、配車サービスの利用におけるメインルーチンを示すフローチャートである。なお、図3に示すフローチャートは、運行計画作成部61が、第一運行計画に関する運行計画情報を、車両3と電子装置4へ出力した状態からスタートする。
ステップS1において車両3は、第一運行計画が含む走行経路を走行して、荷物の移動を行う。
ステップS2において時刻判定部63は、現在の時刻が判定閾値時刻となったことを判定する。現在の時刻が判定閾値時刻となったと判定した場合(ステップS2:Y)、処理はステップS3へ進む。現在の時刻が判定閾値時刻になっていないと判定した場合(ステップS2:N)、処理はステップS4へ進む。
ステップS3において制御装置2は、配車サービスの利用におけるサブルーチンとして、戻し処理を行う。なお、戻し処理については、後述する。
ステップS4において車両3は、荷物の移動を継続する。
【0043】
図4は、配車サービスの利用におけるサブルーチン(戻し処理)を示すフローチャートである。
ステップS31において、配送中止荷物情報取得部64が配送中止荷物情報を取得する。これに加え、返却条件判定部65が、配送中止荷物情報取得部64が取得した配送中止荷物情報に含まれる配送中止荷物の状態が、返却条件を満足しているか否かを判定する。配送中止荷物の状態が返却条件を満足していると判定した場合(ステップS31:Y)、処理はステップS32へ進む。配送中止荷物の状態が返却条件を満足していないと判定した場合(ステップS31:N)、処理はステップS36へ進む。
ステップS32において返却場所抽出部66は、返却閾値時刻までに配送中止荷物を預ける荷物預け場所を、複数の荷物預け場所から抽出する。
【0044】
ステップS33において返却移動判定部67は、ステップS32で抽出した荷物預け場所へ、返却閾値時刻までに車両3が移動することが可能であるか否かを判定する。荷物預け場所へ返却閾値時刻までに車両3が移動することが可能であると判定した場合(ステップS33:Y)、処理はステップS34へ進む。荷物預け場所へ返却閾値時刻までに車両3が移動することが不可能である判定した場合(ステップS33:N)、処理はステップS36へ進む。
ステップS34において運行計画追加部68は、ステップS32で抽出した荷物預け場所へ車両3が移動する第二運行計画を作成し、作成した第二運行計画を車両3へ出力する。
ステップS35において車両3は、ステップS32で抽出した荷物預け場所へ移動して、配送中止荷物を返却する。
ステップS36において車両3は、荷物の移動を継続する。
【0045】
(実施形態の効果)
(1)配車支援装置が備えるコンピュータが、第一運行計画に応じて少なくとも荷物を移動しているとき、現在の時刻が判定閾値時刻となったことを判定する処理と、配送中止荷物の状態を含む情報である配送中止荷物情報を取得する処理を実行する。さらに、コンピュータが、取得した配送中止荷物情報に含まれる配送中止荷物の状態が返却条件を満足しているか否かを判定する処理を実行する。また、コンピュータが、現在の時刻が判定閾値時刻となったことを判定し、且つ取得した配送中止荷物情報に含まれる配送中止荷物の状態が返却条件を満足していると判定すると、返却閾値時刻までに荷物預け場所へ車両3が移動することが可能であるか否かを判定する処理を実行する。これに加え、コンピュータが、返却閾値時刻までに荷物預け場所へ車両3が移動することが可能であると判定すると第二運行計画を作成する処理と、作成した第二運行計画を出力する処理を実行する。
これにより、新規の乗客が発生する可能性が高い時間帯である旅客時間帯となる前に、荷物預け場所へ配送中止荷物を返却することが可能となるため、配送中止荷物に座席を占有されている可能性を低減させることが可能となる。
このため、旅客時間帯に、人の移動に使用する座席を確保することが可能となり、旅客時間帯において、車両3に乗車することが不可能な乗客が発生する可能性を低減させることが可能となる。
【0046】
(2)第二運行計画には、荷物預け場所へ車両3が移動した後に行う、新規の配車リクエストデータが含む人の移動及び荷物の移動のうち少なくとも一方が含まれる。
これにより、車両3の状態を、旅客時間帯において、人が乗車する座席や荷物を積載するスペースを確保した状態で、新規の配車リクエストデータを受け付けることが可能な状態とすることが可能となる。
【0047】
(3)コンピュータが、配送中止荷物を預ける荷物預け場所を、車両3の周囲に存在する荷物預け場所から抽出する処理と、返却閾値時刻までに抽出した荷物預け場所へ車両が移動することが可能であるか否かを判定する処理を実行する。これに加え、返却閾値時刻までに抽出した荷物預け場所へ車両3が移動することが可能であると判定すると、第二運行計画を作成する処理を実行する。
これにより、車両3の周囲に存在する荷物預け場所へ配送中止荷物を返却することで、配送中止荷物を返却した時点から旅客時間帯までに、新規の配車リクエストデータを受け付けることが可能な時間を確保することが可能となる。
【0048】
(4)コンピュータが、配送中止荷物を預ける荷物預け場所を、車両3の最寄りに存在する荷物預け場所から抽出する処理を実行する。
これにより、車両3の最寄りに存在する荷物預け場所へ配送中止荷物を返却することで、配送中止荷物を返却した時点から旅客時間帯までに、新規の配車リクエストデータを受け付けることが可能な時間を確保することが可能となる。
【0049】
(5)コンピュータが、現在の時刻が判定閾値時刻となったことを判定し、且つ配送中止荷物情報に含まれる配送中止荷物の状態が返却条件を満足していると判定し、さらに、人の移動の希望を含む新規の配車リクエストデータを受け付けた場合、配送中止荷物を預ける荷物預け場所を、車両3の現在の位置と、新規の配車リクエストデータで移動を希望する人が乗車する場所と、の間に存在する荷物預け場所から抽出する処理を実行する。
これにより、荷物預け場所へ配送中止荷物を返却した後に、新規の配車リクエストデータで移動を希望する人が乗車する場所へ、車両3を効率的に移動させることが可能となる。
【0050】
(6)コンピュータが、取得した配送中止荷物情報に含まれる配送中止荷物の状態が、車両3に人の移動が可能なスペースが確保されていないという状態を含む場合、配送中止荷物の状態が返却条件を満足していると判定する処理を実行する。
これにより、車両3に人の移動が可能なスペースを確保することが可能となり、旅客時間帯において、車両3に乗車することが不可能な乗客が発生する可能性を低減させることが可能となる。
【0051】
(7)コンピュータが、取得した配送中止荷物情報に含まれる配送中止荷物の状態が、車両3が備える座席に対する配送中止荷物の占有率が閾値占有率に達しているという状態を含む場合、返却条件を満足していると判定する処理を実行する。
これにより、車両3に人が座る座席を確保することが可能となり、旅客時間帯において、車両3に乗車することが不可能な乗客が発生する可能性を低減させることが可能となる。
【0052】
(8)現在の時刻が判定閾値時刻となったことを判定した時点で、車両3が人の移動の需要が他の地域よりも高い地域に存在している場合、閾値占有率を車両3が人の移動の需要が他の地域よりも高い地域に存在していない場合よりも低下させる。
これにより、人の移動の需要が高い地域においては、配送中止荷物の数が少ない場合であっても座席を確保することが可能となり、旅客時間帯において、車両3に乗車することが不可能な乗客が発生する可能性を低減させることが可能となる。
【0053】
(9)判定閾値時刻を、旅客時間帯の始まりの時刻よりも予め設定した先行時間の分だけ早い時刻に設定する。
これにより、旅客時間帯までに車両3に人が座る座席を確保することが不可能な状況の発生を低減させることが可能となり、車両3に乗車することが不可能な乗客が発生する可能性を低減させることが可能となる。
【0054】
(10)道路の混雑が予測される場合、先行時間を混雑が予測されない場合よりも増加させる。
これにより、混雑が予測されない場合よりも人の移動の需要が高くなると予測される、道路の混雑が予測される場合において、旅客時間帯までに車両3に人が座る座席を確保することが不可能な状況の発生を低減させることが可能となる。このため、車両3に乗車することが不可能な乗客が発生する可能性を低減させることが可能となる。
【0055】
(11)配車支援方法では、ユーザから受信した配車リクエストデータを制御装置へ送信する。そして、制御装置が、配車リクエストデータに応じて作成した第一運行計画に応じて人の移動及び荷物の移動のうち少なくとも荷物を移動しているとき、現在の時刻が、判定閾値時刻となったことを判定する。さらに、配送中止荷物の状態を含む情報である配送中止荷物情報を取得し、取得した配送中止荷物情報に含まれる配送中止荷物の状態が返却条件を満足しているか否かを判定する。また、現在の時刻が判定閾値時刻となったことを判定し、且つ取得した配送中止荷物の状態が返却条件を満足していると判定すると、返却閾値時刻までに荷物預け場所へ車両3が移動することが可能であるか否かを判定する。そして、返却閾値時刻までに荷物預け場所へ車両3が移動することが可能であると判定すると第二運行計画を作成し、作成した第二運行計画を出力する。
これにより、新規の乗客が発生する可能性が高い時間帯である旅客時間帯となる前に、荷物預け場所へ配送中止荷物を返却することが可能となるため、配送中止荷物に座席を占有されている可能性を低減させることが可能となる。
このため、旅客時間帯に、人の移動に使用する座席を確保することが可能となり、旅客時間帯において、車両3に乗車することが不可能な乗客が発生する可能性を低減させることが可能となる。
【0056】
(12)配車支援システム1が、ユーザから受信した配車リクエストデータを受信する制御装置を備える。そして、制御装置は、配車リクエストデータに応じて作成した第一運行計画に応じて人の移動及び荷物の移動のうち少なくとも荷物を移動しているとき、現在の時刻が、判定閾値時刻となったことを判定する。さらに、配送中止荷物の状態を含む情報である配送中止荷物情報を取得し、取得した配送中止荷物情報に含まれる配送中止荷物の状態が返却条件を満足しているか否かを判定する。また、現在の時刻が判定閾値時刻となったことを判定し、且つ取得した配送中止荷物の状態が返却条件を満足していると判定すると、返却閾値時刻までに荷物預け場所へ車両3が移動することが可能であるか否かを判定する。そして、返却閾値時刻までに荷物預け場所へ車両3が移動することが可能であると判定すると第二運行計画を作成し、作成した第二運行計画を出力する。
これにより、新規の乗客が発生する可能性が高い時間帯である旅客時間帯となる前に、荷物預け場所へ配送中止荷物を返却することが可能となるため、配送中止荷物に座席を占有されている可能性を低減させることが可能となる。
このため、旅客時間帯に、人の移動に使用する座席を確保することが可能となり、旅客時間帯において、車両3に乗車することが不可能な乗客が発生する可能性を低減させることが可能となる。
【0057】
(実施形態の変形例)
(1)実施形態では、車両3を自律運転車両としたが、これに限定するものではなく、車両3を、運転者(人間)が手動で運転する手動運転車両としてもよい。
この場合、例えば、車両3へ出力した第二運行計画を、車両3の運転者が参照して、手動運転により車両3が荷物預け場所へ移動する。
【符号の説明】
【0058】
1…配車支援システム、2…制御装置、3…車両、4…電子装置、20、36、44…プロセッサ、21、37、45…記憶装置、22、33、41…通信装置、23…登録者データベース、24、32…地図データベース、25…予約データベース、30…センサ、31、40…測位装置、34、43…コントローラ、35…アクチュエータ、42…ヒューマンマシンインタフェース、50…予約者情報送信部、51…配車リクエストデータ生成部、60…リクエストデータ取得部、61…運行計画作成部、62…時刻設定部、63…時刻判定部、64…配送中止荷物情報取得部、65…返却条件判定部、66…返却場所抽出部、67…返却移動判定部、68…運行計画追加部
図1
図2A
図2B
図3
図4