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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152428
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】電池ユニット温度管理装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/633 20140101AFI20231010BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20231010BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20231010BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20231010BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20231010BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20231010BHJP
   H01M 10/617 20140101ALI20231010BHJP
   H01M 10/651 20140101ALI20231010BHJP
【FI】
H01M10/633
H01M10/6556
H01M10/6568
H01M10/613
H01M10/615
H01M10/625
H01M10/617
H01M10/651
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062446
(22)【出願日】2022-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 嵩
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 敏貴
【テーマコード(参考)】
5H031
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031HH06
5H031HH08
5H031KK08
(57)【要約】
【課題】複数の電池ユニット間における温度のばらつきを抑制する。
【解決手段】電池ユニット温度管理装置1は、複数の電池ユニット10と、各電池ユニット10を通るように熱交換媒体Wが循環する流路30と、各電池ユニット10に対応するように設けられ且つ各電池ユニット10と熱交換媒体Wとの間の伝熱能力を変化させる複数の可変機構50と、各電池ユニット10間での温度差を小さくするように、各可変機構50による伝熱能力の変化を電池ユニット10毎に制御する制御装置60と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池ユニットと、
各前記電池ユニットを通るように熱交換媒体が循環する流路と、
各前記電池ユニットに対応するように設けられ且つ各前記電池ユニットと前記熱交換媒体との間の伝熱能力を変化させる複数の可変機構と、
各前記電池ユニット間での温度差を小さくするように、各前記可変機構による前記伝熱能力の変化を前記電池ユニット毎に制御する制御装置と、を備える、電池ユニットの温度管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電池ユニット温度管理装置であって、
各前記電池ユニットは、前記流路の流れ方向に沿って配置されており、
前記制御装置は、前記流れ方向の上流側に配置された前記電池ユニットと前記熱交換媒体との間の前記伝熱能力を、前記流れ方向の下流側に配置された前記電池ユニットと前記熱交換媒体との間の前記伝熱能力よりも、小さくする、電池ユニット温度管理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電池ユニット温度管理装置であって、
前記制御装置は、前記流れ方向の最下流側に配置された前記電池ユニットと前記熱交換媒体との間の前記伝熱能力を、最大にする、電池ユニット温度管理装置。
【請求項4】
請求項2に記載の電池ユニット温度管理装置であって、
各前記電池ユニットに対応するように設けられ且つ各前記電池ユニットの温度を検出する複数の温度センサを備え、
前記制御装置は、各前記温度センサにより検出された各前記電池ユニットの温度に基づいて、前記伝熱能力を調整する、電池ユニット温度管理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の電池ユニットの温度管理装置であって、
前記電池ユニットは、並べて配置された複数の電池セルで構成されており、
前記可変機構は、
前記熱交換媒体と熱交換を行い且つ互いに隣り合う前記電池セル間に配置された伝熱材と、
前記伝熱材と前記電池セルとの接触面積を変化させることによって、前記電池セルと前記熱交換媒体との間の前記伝熱能力を変化させる面積変化機構と、を含む、電池ユニット温度管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池ユニット温度管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車には、モータ駆動用の電池ユニット(例えば二次電池)が搭載される。
【0003】
例えば特許文献1に係るハイブリッド車の二次電池加温装置は、内燃機関と、リチウムイオン電池(電池ユニット)と、昇温デバイスと、を備える。昇温デバイスは、潜熱蓄熱材と、内燃機関の冷却水(熱交換媒体)が供給され且つ潜熱蓄熱材に対して熱伝達する冷却水貯留槽と、冷却水貯留槽及び内燃機関の間で冷却水が循環する冷却水通路と、冷却水貯留槽内に配設され且つ冷却水貯留槽内の冷却水を加温する電気ヒータと、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-222239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の電池ユニットが車両に搭載される場合、通常、各電池ユニットは、熱交換媒体が循環する1つの流路に、流れ方向に沿って並んで配置される。
【0006】
この場合、例えば、低温の熱交換媒体(冷却媒体)により高温の各電池ユニットを冷却する場合、熱交換媒体が上流側から下流側に亘って各電池ユニットと順次熱交換される度に、熱交換媒体の温度が徐々に上昇する。反対に、高温の熱交換媒体(加温媒体)により低温の各電池ユニットを加温する場合、熱交換媒体が上流側から下流側に亘って各電池ユニットと順次熱交換される度に、熱交換媒体の温度が徐々に低下する。
【0007】
すなわち、熱交換媒体が上流側から下流側に亘って各電池ユニットと順次熱交換される度に、熱交換媒体の温度は、電池ユニットの温度に徐々に近づいてしまう。このため、下流側の電池ユニットは、上流側の電池ユニットに比較して、熱交換媒体と間で熱交換されにくくなる。そして、最終的には、各電池ユニットの温度は、互いにばらついてしまう。
【0008】
また、複数の電池ユニットのうちの特定の電池ユニットの近傍にのみ、ヒータやクーラ等が配置される場合、当該特定の電池ユニットは、他の電池ユニットに比較して、熱交換媒体との間での熱交換態様が異なってしまう。このため、この場合もやはり、各電池ユニットの温度は、互いにばらついてしまう。
【0009】
本開示は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数の電池ユニット間における温度のばらつきを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示に係る電池ユニット温度管理装置は、複数の電池ユニットと、各前記電池ユニットを通るように熱交換媒体が循環する流路と、各前記電池ユニットに対応するように設けられ且つ各前記電池ユニットと前記熱交換媒体との間の伝熱能力を変化させる複数の可変機構と、各前記電池ユニット間での温度差を小さくするように、各前記可変機構による前記伝熱能力の変化を前記電池ユニット毎に制御する制御装置と、を備える。
【0011】
かかる構成によれば、各電池ユニットに対応するように設けられた各可変機構は、各電池ユニットと熱交換媒体との間の伝熱能力を、変化させる。そして、制御装置は、各可変機構による伝熱能力の変化を電池ユニット毎に制御することによって、各電池ユニット間での温度差を小さくしている。これにより、複数の電池ユニット間における温度のばらつきを抑制することができる。
【0012】
一実施形態では、各前記電池ユニットは、前記流路の流れ方向に沿って配置されており、
前記制御装置は、前記流れ方向の上流側に配置された前記電池ユニットと前記熱交換媒体との間の前記伝熱能力を、前記流れ方向の下流側に配置された前記電池ユニットと前記熱交換媒体との間の前記伝熱能力よりも、小さくする。
【0013】
流路の流れ方向の上流側に配置された電池ユニットに接する熱交換媒体は、流路の流れ方向の下流側に配置された電池ユニットに接する熱交換媒体に比較して、電池ユニットとの温度差が大きい傾向にある。すなわち、上流側に配置された電池ユニットは、下流側に配置された電池ユニットに比較して、熱交換媒体との間で熱交換されやすい。
【0014】
かかる構成によれば、上流側に配置された電池ユニットを、下流側に配置された電池ユニットに比較して、熱交換媒体との間で熱交換されにくくしている。これにより、流路の流れ方向に沿って配置された複数の電池ユニット間において、温度のばらつきを抑制することができる。
【0015】
一実施形態では、前記制御装置は、前記流れ方向の最下流側に配置された前記電池ユニットと前記熱交換媒体との間の前記伝熱能力を、最大にする。
【0016】
流路の流れ方向の下流側に配置された電池ユニットに接する熱交換媒体は、流路の流れ方向の上流側に配置された電池ユニットに接する熱交換媒体に比較して、電池ユニットとの温度差が小さい傾向にある。すなわち、最下流側に配置された電池ユニットは、他の全ての上流側に配置された電池ユニットに比較して、熱交換媒体との間で熱交換されにくい。
【0017】
かかる構成によれば、最下流側に配置された電池ユニットと熱交換媒体との間の伝熱能力を最大にすることによって、最下流側に配置された電池ユニットを、熱交換媒体との間で可能な限り熱交換されやすくしている。これにより、流路を流れる熱交換媒体の流量を極力増やすことなく、最下流側に配置された電池ユニットを温度変化させることができる。
【0018】
一実施形態では、各前記電池ユニットに対応するように設けられ且つ各前記電池ユニットの温度を検出する複数の温度センサを備え、前記制御装置は、各前記温度センサにより検出された各前記電池ユニットの温度に基づいて、前記伝熱能力を調整する。
【0019】
かかる構成によれば、より綿密に、各電池ユニットの温度を調整することができる。
【0020】
一実施形態では、上記電池ユニットは、並べて配置された複数の電池セルで構成されており、上記可変機構は、上記熱交換媒体と熱交換を行い且つ互いに隣り合う上記電池セル間に配置された伝熱材と、上記伝熱材と上記電池セルとの接触面積を変化させることによって、上記電池セルと上記熱交換媒体との間の上記伝熱能力を変化させる面積変化機構と、を含む。
【0021】
かかる構成によれば、電池ユニットと熱交換媒体との間の伝熱能力を、簡単に変化させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、複数の電池ユニット間における温度のばらつきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本開示の第1の実施形態に係る電池ユニット温度管理装置の概略構成図である。
図2図2は、電池ユニットの分解斜視図である。
図3図3は、断熱モードにおける電池ユニットの断面図である。
図4図4は、伝熱モードにおける電池ユニットの断面図である。
図5図5は、電池ユニットにおける温度と内部抵抗との関係を示すグラフである。
図6図6は、電池ユニットにおける温度と劣化特性との関係を示すグラフである。
図7図7は、電池ユニット及び熱交換媒体の第1の昇温パターンを示すグラフである。
図8図8は、電池ユニット及び熱交換媒体の第2の昇温パターンを示すグラフである。
図9図9は、電池ユニット及び熱交換媒体の第3の昇温パターンを示すグラフである。
図10図10は、電池ユニット及び熱交換媒体の昇温態様の一例を示すグラフである。
図11図11は、第1の実施形態に係る電池ユニット温度管理装置の制御態様の一例を示すフローチャートである(熱交換媒体による電池ユニットの昇温開始)。
図12図12は、第1の実施形態に係る電池ユニット温度管理装置の制御態様の一例を示すフローチャートである(各電池ユニット間での昇温均一化)。
図13図13は、第1の実施形態の変形例に係る図1相当図である。
図14図14は、第2の実施形態に係る電池ユニット温度管理装置の概略構成図である。
図15図15は、第2の実施形態に係る電池ユニット温度管理装置の制御態様の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物あるいはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0025】
<第1の実施形態>
(電池ユニット温度管理装置の基本構成)
図1は、本開示の第1の実施形態に係る電池ユニット温度管理装置1の概略構成図である。電池ユニット温度管理装置1は、電気自動車やハイブリッド自動車等の車両(図示せず)に、搭載されている。本実施形態では、車両は、電気自動車であり、モータ(図示せず)が搭載されている。電池ユニット温度管理装置1は、後述する電池ユニット(電池モジュール)10の温度を管理する。
【0026】
電池ユニット温度管理装置1は、複数の電池ユニット10と、複数の電池温度センサ20と、流路30と、ポンプ31と、バルブ32,33と、熱交換器34と、媒体温度センサ35と、ヒータ40と、複数の可変機構50と、制御装置60と、を備える。
【0027】
各電池ユニット10は、充放電可能であり、主にモータを駆動するために用いられる。電池ユニット10は、例えばリチウムイオン電池である。電池ユニット10は、第1電池ユニット10A、第2電池ユニット10B、第3電池ユニット10C及び第4電池ユニット10Dの計4個ある。
【0028】
各電池温度センサ20は、各電池ユニット10に対応するように設けられており、各電池ユニット10の温度Tmを検出する。電池温度センサ20は、第1電池温度センサ20A、第2電池温度センサ20B、第3電池温度センサ20C及び第4電池温度センサ20Dの計4個ある。第1電池温度センサ20Aは、第1電池ユニット10Aの近傍に配置されており、第1電池ユニット10Aの温度TmAを検出する。第2電池温度センサ20Bは、第2電池ユニット10Bの近傍に配置されており、第2電池ユニット10Bの温度TmBを検出する。第3電池温度センサ20Cは、第3電池ユニット10Cの近傍に配置されており、第3電池ユニット10Cの温度TmCを検出する。第4電池温度センサ20Dは、第4電池ユニット10Dの近傍に配置されており、第4電池ユニット10Dの温度TmDを検出する。
【0029】
流路30には、熱交換媒体Wが循環する。流路30を流れる熱交換媒体Wは、途中、各電池ユニット10の傍らを通る。熱交換媒体Wが各電池ユニット10の傍らを通ることによって、熱交換媒体Wは、各電池ユニット10との間で熱交換される。熱交換媒体Wは、例えばモータ冷却水である。
【0030】
ここで、各電池ユニット10は、流路30の流れ方向(図1の矢印参照)に沿って配置されている。各電池ユニット10は、流路30の流れ方向の上流側から下流側に亘って、第1電池ユニット10A、第2電池ユニット10B、第3電池ユニット10C、第4電池ユニット10Dの順で、配置されている。
【0031】
流路30の途中には、ポンプ31と、バルブ32,33と、熱交換器34と、媒体温度センサ35と、ヒータ40と、が配置されている。ポンプ31は、流路30における電池ユニット10よりも上流側に配置されており、熱交換媒体Wを電池ユニット10に供給する。
【0032】
バルブ32,33は、流路30における熱交換媒体Wの流れを、切り換える。具体的には、バルブ32,33は、流路30における熱交換媒体Wの流れを、熱交換器34をバイパスするバイパス流路30Aと、熱交換器34を通過する熱交換流路30Bと、の間で切り換える。
【0033】
熱交換器34は、例えばラジエータであり、車両走行風を利用して、熱交換媒体Wを冷却する。熱交換器34の隣には、ファンが配置されてもよい。本実施形態では、熱交換媒体Wは、熱交換器34をバイパスして、バイパス流路30Aを通過する。すなわち、熱交換媒体Wは、熱交換器34によって冷却されない。
【0034】
媒体温度センサ35は、流路30における熱交換媒体Wの温度Twを検出する。
【0035】
ヒータ40は、電気ヒータであり、流路30における電池ユニット10よりも上流側に配置されている。ヒータ40は、電池ユニット10からの電力供給(放電)E1によって作動する。ヒータ40は、熱交換媒体Wを加温する。ヒータ40は、複数の電池ユニット10間において、共通である。熱交換媒体Wは、加温媒体として、各電池ユニット10の昇温のために用いられる。
【0036】
各可変機構50は、各電池ユニット10に対応するように設けられており、各電池ユニット10と熱交換媒体Wとの間の伝熱能力を変化させる。可変機構50は、第1可変機構50A、第2可変機構50B、第3可変機構50C及び第4可変機構50Dの計4個ある。第1可変機構50Aは、第1電池ユニット10Aと熱交換媒体Wとの間の伝熱能力を変化させる。第2可変機構50Bは、第2電池ユニット10Bと熱交換媒体Wとの間の伝熱能力を変化させる。第3可変機構50Cは、第3電池ユニット10Cと熱交換媒体Wとの間の伝熱能力を変化させる。第4可変機構50Dは、第4電池ユニット10Dと熱交換媒体Wとの間の伝熱能力を変化させる。
【0037】
ここで、「伝熱能力」は、電池ユニット10と熱交換媒体Wとの間における熱交換のしやすさを、意味する。伝熱能力が大きいほど熱交換しやすく、伝熱能力が小さいほど熱交換しにくい。伝熱能力は、例えば、熱伝達率や熱伝導率である。可変機構50の詳細については、後述する。
【0038】
制御装置60は、ヒータ40による熱交換媒体Wの加温を、制御する。また、制御装置60は、各可変機構50による各電池ユニット10と熱交換媒体Wとの間の伝熱能力の変化を、電池ユニット10毎に制御する。
【0039】
また、各可変機構50は、各電池ユニット10と熱交換媒体Wとの間の熱交換モードを、熱交換を抑制する断熱モードと、熱交換を促進する伝熱モードとに、切り換え可能である。断熱モードは、伝熱モードに比較して、各電池ユニット10と熱交換媒体Wとの間の伝熱能力が、相対的に小さい。一方、伝熱モードは、断熱モードに比較して、各電池ユニット10と熱交換媒体Wとの間の伝熱能力が、相対的に大きい。制御装置60による具体的な制御態様については、後述する。制御装置60は、例えば、マイクロコンピュータ及びプログラムによって構成されている。
【0040】
制御装置60は、流路30における熱交換媒体Wの循環を制御する。具体的には、制御装置60は、ポンプ31の吐出圧/吐出量及びバルブ32,33の開閉を制御することによって、流路30を流れる熱交換媒体Wの流量/圧力を制御する。
【0041】
ヒータ40は、外部電源70(例えば電気スタンド等)からの電力供給E2によっても、作動する。なお、外部電源70は、主に、電池ユニット10を外部充電(C)するために、用いられる。外部電源70により電池ユニット10を外部充電(C)するためには、電池ユニット10の温度Tmを、ある程度上昇させておく必要がある。
【0042】
(電池ユニット)
図2は、電池ユニット10の分解斜視図である。図3,4は、電池ユニット10の断面図である。図2~4に示すように、電池ユニット10は、並べて配置された複数の電池セル11で構成されている。各電池セル11は、筐体12に収容されている。各電池セル11は、扁平な略直方体形状であり、面積が大きい面が互いに重なるように配置されている。電池セル11の一側面には、正極端子13及び負極端子14が設けられている。図3,4に示すように、電池セル11は、バスバーばね15によって、互いに電気的に接続されている。
【0043】
図2~4に示すように、可変機構50は、伝熱材51と、面積変化機構としての電磁ソレノイド52と、を含む。伝熱材51は、互いに隣り合う電池セル11間に配置されている。伝熱材51は、波板形状に形成されている。伝熱材51は、例えば、銅やアルミ等で形成されている。
【0044】
伝熱材51は、その表面の法線方向における外力、すなわち電池セル11が並ぶ方向における外力を受けると、波板形状から平板形状に形状変化する。また、伝熱材51は、電池ユニット10の傍らを通る熱交換媒体Wと熱交換を行うための伝熱面51aを、有する。
【0045】
電磁ソレノイド52は、押圧機構の1種であり、複数の電池セル11に対して、電池セル11が並ぶ方向に外力を作用させる。電磁ソレノイド52は、制御装置60によって、引き方向と、延ばし方向と、に切り換えられる。電磁ソレノイド52が引き方向のとき、複数の電池セル11は、拘束されない。電磁ソレノイド52が延ばし方向のとき、複数の電池セル11は、拘束される。
【0046】
以下、可変機構50の電磁ソレノイド52が複数の電池セル11を拘束する力を、拘束力Fという。第1可変機構50Aによる拘束力をFA、第2可変機構50Bによる拘束力をFB、第3可変機構50Cによる拘束力をFC、第4可変機構50Dによる拘束力をFDとする。
【0047】
詳細は後述するが、電磁ソレノイド52は、伝熱材51と電池セル11との接触面積を変化させることによって、電池セル11と熱交換媒体Wとの間の伝熱能力を変化させる。電磁ソレノイド52が引き方向のとき、熱交換モードは、断熱モードとなる。電磁ソレノイド52が延ばし方向のとき、熱交換モードは、伝熱モードとなる。
【0048】
図3は、可変機構50が断熱モード(電磁ソレノイド52が引き方向)の場合を、示す。図4は、可変機構50が伝熱モード(電磁ソレノイド52が延ばし方向)の場合を、示す。図3に示すように、伝熱材51が波板形状であるため、電磁ソレノイド52が引き方向のとき、電池セル11同士の隙間に空気層が形成される。また、電磁ソレノイド52が引き方向のとき、伝熱材51と電池セル11とは互いに密接しない。
【0049】
すなわち、電磁ソレノイド52が引き方向のとき、伝熱材51と電池セル11との接触面積が小さくなって、伝熱材51と電池セル11とは断熱状態になる。これにより、電池ユニット10(各電池セル11)と熱交換媒体Wとの間の熱交換が、抑制される(断熱モード)。
【0050】
図4に示すように、電磁ソレノイド52が延ばし方向のとき、複数の電池セル11に外力が加えられて、伝熱材51が平板形状になるので、電池セル11同士の隙間に空気層が形成されない。また、電磁ソレノイド52が延ばし方向のとき、伝熱材51と電池セル11とは互いに密接する。
【0051】
すなわち、電磁ソレノイド52が延ばし方向のとき、伝熱材51と電池セル11との接触面積が大きくなって、伝熱材51と電池セル11とは伝熱状態になる。これにより、電池ユニット10(各電池セル11)と熱交換媒体Wとの間の熱交換が、促進される(伝熱モード)。
【0052】
なお、可変機構50は、熱交換モードとして、断熱モード(電磁ソレノイド52が引き方向、図3)と伝熱モード(電磁ソレノイド52が延ばし方向、図4)との中間のモードを、採用してもよい。これにより、電池セル11と熱交換媒体Wとの間の伝熱能力を、微調整することができる。
【0053】
(熱交換媒体の温度)
電気自動車において、寒冷時に電池ユニット10の温度が低下すると、電池ユニット10の起電力が低下して、車両の走行性能が低下してしまうことがある。こうした事態を防止するために、ヒータ40で加温された熱交換媒体Wによって、電池ユニット10を素早く加温(暖機)したい。
【0054】
ところで、ヒータ40によって加温中の熱交換媒体Wの温度Twが、電池ユニット10の温度と同等の第1温度T1に未達の場合、電池ユニット10から熱交換媒体Wへ熱移動してしまい、電池ユニット10の昇温が遅れることがある。電池ユニット10の昇温が遅れると、特に寒冷時において、電池ユニット10の能力を十分に発揮できない。
【0055】
したがって、電池ユニット10を素早く昇温させる必要がある。そのためには、熱交換媒体Wの温度Twを、第1温度T1に素早く到達させる必要がある。熱交換媒体Wの温度Twが第1温度T1に到達すると、熱交換媒体Wによる電池ユニット10の昇温が可能になる。
【0056】
なお、第1温度T1は、電池ユニット10の温度Tmと完全に同じ温度、乃至、電池ユニット10の温度Tmから±3℃程度ずれた温度を、含み得る(T1≒Tm)。
【0057】
(電池ユニットの温度)
図5は、電池ユニット10における温度Tm(℃)と内部抵抗Rとの関係を示すグラフである。電池ユニット10の内部抵抗Rが高い状態では、電池ユニット10の能力が十分に発揮されず、例えば電池ユニット10によるモータの駆動ができないことがある。
【0058】
ここで、電池ユニット10からヒータ40への電力供給(放電)E1に伴って、電池ユニット10は、内部発熱して温度上昇する。図5に示すように、電池ユニット10の内部抵抗Rは、電池ユニット10の温度Tmの上昇に応じて低下するとともに、電池ユニット10の温度Tmが第2温度T2に到達すると飽和する。すなわち、第2温度T2は、電池ユニット10の内部抵抗Rの低下が飽和する温度である。なお、電池ユニット10の温度Tmが第2温度T2に未達でも、電池ユニット10からヒータ40への電力供給E1は、可能である。
【0059】
(電池ユニット及び熱交換媒体の温度管理)
電池ユニット10の温度Tm及び熱交換媒体Wの温度Twの管理について、説明する。制御装置60は、熱交換媒体Wの温度Twが第1温度T1に到達しているか否か、及び電池ユニット10の温度Tmが第2温度T2に到達しているか否かに基づいて、ヒータ40による熱交換媒体Wの加温及び可変機構50による電池ユニット10と熱交換媒体Wとの間の伝熱能力の変化を、制御する。
【0060】
制御装置60は、ヒータ40による熱交換媒体Wの加温時において、熱交換媒体Wの温度Twが第1温度T1に未達の場合、熱交換媒体Wの温度Twが第1温度T1に到達した場合に比較して、電池ユニット10と熱交換媒体Wとの間の伝熱能力を小さくする。
【0061】
詳細には、制御装置60は、ヒータ40による熱交換媒体Wの加温時において、熱交換媒体Wの温度Twが第1温度T1に未達の場合、電池ユニット10と熱交換媒体Wとの間の熱交換モードを断熱モード(図3参照)にする。一方、制御装置60は、ヒータ40による熱交換媒体Wの加温時において、熱交換媒体Wの温度Twが第1温度T1に到達した場合、電池ユニット10と熱交換媒体Wとの間の熱交換モードを伝熱モード(図4参照)にする。
【0062】
(通常劣化とハイレート劣化)
図6は、電池ユニット10における温度Tm(℃)と劣化特性との関係を示すグラフである。車両の運転状態や電池ユニット10の充放電状態に関係なく、電池ユニット10の温度Tmが高いほど、電池ユニット10の通常劣化A1が進行する。一方、電池ユニット10をハイレート(急速)で充放電する場合、通常劣化A1に加えて、ハイレート劣化A2も発生する。ハイレート劣化A2は、電池ユニット10の温度Tmが低いほど、進行する。すなわち、通常劣化A1とハイレート劣化A2とを合成した合成劣化A3は、極小値を有する。
【0063】
したがって、電池ユニット10を低(通常)レートで充放電する場合、電池ユニット10の温度Tmを低い温度に設定すればよい。しかしながら、電池ユニット10をハイレートで充放電する場合、電池ユニット10の温度Tmを、中間の目標管理温度Bの範囲に微調整しなければならない。すなわち、電池ユニット10をハイレートで充放電する場合、電池ユニット10の温度管理が難しくなる。
【0064】
(電池ユニット及び熱交換媒体の昇温パターン)
図7は、電池ユニット10及び熱交換媒体Wの第1の昇温パターンP1を示すグラフである。図8は、電池ユニット10及び熱交換媒体Wの第2の昇温パターンP2を示すグラフである。図9は、電池ユニット10及び熱交換媒体Wの第3の昇温パターンP3を示すグラフである。図7~9において、横軸は時刻を示し、縦軸は温度(℃)を示す。
【0065】
図7に示すように、第1の昇温パターンP1では、ヒータ40による熱交換媒体Wの加温時において、熱交換媒体Wの温度Twが第1温度T1に到達した時点tで、電池ユニット10の温度Tmは、第2温度T2に既に到達している。この場合、制御装置60は、電池ユニット10からヒータ40への電力供給E1を停止するとともに、熱交換モードを断熱モード(図3参照)から伝熱モード(図4参照)に切り換える。
【0066】
図8に示すように、第2の昇温パターンP2では、ヒータ40による熱交換媒体Wの加温時において、熱交換媒体Wの温度Twが第1温度T1に到達した時点tで、電池ユニット10の温度Tmは、第2温度T2に未達である。この場合、制御装置60は、電池ユニット10からヒータ40への電力供給E1を、停止させずに、且つ熱交換媒体Wの温度Twが第1温度T1に到達する前(時点t以前)よりも低下させる。具体的には、熱交換媒体Wを保温する(但し加温しない)程度の電力供給E1を、電池ユニット10からヒータ40へ行う。さらに、制御装置60は、熱交換モードを、断熱モード(図3参照)から伝熱モード(図4参照)に切り換える。
【0067】
図9に示すように、第3の昇温パターンP3では、ヒータ40による熱交換媒体Wの加温時において、電池ユニット10の温度Tmが第2温度T2に到達した時点tで、熱交換媒体Wの温度Twは、第1温度T1に未達である。この場合、制御装置60は、熱交換モードを、断熱モード(図3参照)に維持する。制御装置60は、電池ユニット10からヒータ40への電力供給E1を維持する。さらに、制御装置60は、外部電源70からヒータ40への電力供給E2を開始する。
【0068】
図10は、電池ユニット10及び熱交換媒体Wの昇温態様の一例を示すグラフである。図10において、横軸は時刻を示し、縦軸は電池ユニット10の内部の温度Tm(℃)を示す。時刻t0において、電池ユニットTmの温度は、Tm0である。時刻t0において、電池ユニット10からヒータ40への電力供給(放電)E1を開始する。なお、時刻t0において、熱交換モードは、断熱モード(図3参照)である。
【0069】
時刻t1において、電池ユニット10の温度Tmは、Tm1に上昇する。電池ユニット10の温度TmがTm1になると、外部電源70による電池ユニット10への外部充電Cが可能となる。時刻t1において、電池ユニット10からヒータ40への電力供給E1を停止する。代わりに、時刻t1において、外部電源70からヒータ40への電力供給E2を開始する。同時に、時刻t1において、外部電源70による電池ユニット10のハイレートでの外部充電Cを開始する。
【0070】
ここで、時刻t1では電池ユニット10の温度Tm(Tm1)がまだ低いため、外部電源70によって電池ユニット10をハイレートで外部充電(C)すると、電池ユニット10のハイレート劣化が起こり得る。しかしながら、後述する電池ユニット10によるハイレートでの放電によって、ハイレート劣化を解消している。
【0071】
時刻t2において、電池ユニット10の温度Tmは、Tm2に上昇する。時刻t2において、外部電源70による電池ユニット10のハイレートでの外部充電Cを停止する。同時に、時刻t2において、上述した外部電源70による電池ユニット10への外部充電(C)と同レートにて、電池ユニット10からヒータ40への電力供給(放電)E1を開始する。これにより、電池ユニット10のハイレート劣化が解消される。
【0072】
時刻t3において、電池ユニット10の温度Tmは、Tm3に上昇する。また、時刻t3において、熱交換媒体Wの温度Twは、電池ユニット10の温度Tmと同じTm3に到達する。すなわち、時刻t3において、熱交換媒体Wの温度Tw及び電池ユニット10の温度Tm(Tm3)はともに、第1温度T1となる。熱交換媒体Wの温度Twが第1温度T1に到達すると、熱交換媒体Wによる電池ユニット10の昇温が可能になる。
【0073】
時刻t3において、電池ユニット10からヒータ40への電力供給(放電)E1を停止する。また、時刻t3において、熱交換媒体Wを保温可能な程度に、外部電源70からヒータ40への電力供給E2を維持する。同時に、時刻t3において、外部電源70による電池ユニット10のハイレートでの外部充電Cを再開する。
【0074】
時刻t3では電池ユニット10の温度Tm(Tm3)がある程度上昇しているので、外部電源70によって電池ユニット10をハイレートで外部充電(C)したとしても、電池ユニット10のハイレート劣化が起こりにくい。さらに、よりハイレート(急速)な外部充電Cが可能となるので、電池ユニット10の温度Tmの上昇率を高めることができる。
【0075】
時刻t4において、電池ユニット10の温度Tmは、Tm4に上昇する。このとき、電池ユニット10の内部抵抗Rの低下が飽和する(図5参照)。すなわち、時刻t4において、電池ユニット10の温度Tm(Tm4)は、第2温度T2である。時刻t4において、熱交換モードを、断熱モード(図3参照)から伝熱モード(図4参照)に切り換える。これにより、熱交換媒体Wによる電池ユニット10の昇温が開始される。
【0076】
(電池ユニット及び熱交換媒体の昇温方法)
図11は、電池ユニット温度管理装置1の制御態様の一例を示すフローチャートであり、熱交換媒体Wによる電池ユニット10の昇温開始までを、示す。先ず、ステップ1において、媒体温度センサ35によって、熱交換媒体Wの温度Twを検出する。また、ステップS1において、各電池温度センサ20(第1電池温度センサ20A、第2電池温度センサ20B、第3電池温度センサ20C及び第4電池温度センサ20D)によって、各電池ユニット10(第1電池ユニット10A、第2電池ユニット10B、第3電池ユニット10C及び第4電池ユニット10D)の温度Tm(TmA,TmB,TmC,TmD)を検出する。
【0077】
次に、ステップS2において、各電池ユニット10の温度Tmが所定温度Tr未満(Tm<Tr)であるか否かを判定する。Tm<Trであれば、ステップS3に進む。Tm≧Trであれば、電池ユニット10の昇温(暖機)が不要なので、スタートに戻る。
【0078】
次に、ステップS3において、各電池ユニット10に対応する各可変機構50(第1可変機構50A、第2可変機構50B、第3可変機構50C及び第4可変機構50D)を制御して、熱交換モードを断熱モード(図3参照)にする。具体的には、各可変機構50の電磁ソレノイド52による拘束力F(FA,FB,FC,FD)を最大限弱めて、電磁ソレノイド52を最大限引き方向にする。
【0079】
次に、ステップS4において、ポンプ31を作動させて、流路30に熱交換媒体Wを循環させる。
【0080】
次に、ステップS5において、各電池ユニット10からヒータ40への電力供給E1を開始する。このとき、第1電池ユニット10A、第2電池ユニット10B、第3電池ユニット10C、第4電池ユニット10Dの順に、ヒータ40への電力供給E1を行う。
【0081】
次に、ステップS6において、熱交換媒体Wの温度Twが電池ユニット10の温度Tm(すなわち第1温度T1)以上(Tw≧Tm(T1))であるか否かを判定する。Tw≧Tm(T1)であれば、ステップS7に進む。Tw<Tm(T1)であれば、ステップS5に戻る。
【0082】
次に、ステップS7において、電池ユニット10の温度Tmが、その内部抵抗Rの低下が飽和する第2温度T2以上(Tm≧T2)であるか否かを判定する。Tm≧T2であれば、ステップS8に進んで、電池ユニット10からヒータ40への電力供給E1を停止することで、ヒータ40を停止して、ステップS10に進む。Tm<T2であれば、ステップS9に進んで、熱交換媒体Wを保温可能な程度に、電池ユニット10からヒータ40への電力供給E1を維持しつつ、ステップS10に進む。
【0083】
図12は、電池ユニット温度管理装置1の制御態様の一例を示すフローチャートであり、各電池ユニット10間での昇温均一化を示す。
【0084】
ステップS10において、熱交換モードを、断熱モードから伝熱モード(図4参照)に切り換える。具体的には、各可変機構50の電磁ソレノイド52を延ばし方向にして、拘束力Fを大きくする。このとき、第4可変機構50Dによる拘束力FDを最大にする(電磁ソレノイド52を最大限延ばし方向にする)。さらに、各可変機構50(50A,50B,50C,50D)による拘束力Fの大きさを、FD>FC>FB>FAとする。すなわち、第4電池ユニット10D、第3電池ユニット10C、第2電池ユニット10B、第1電池ユニット10Aの順に、熱交換媒体Wとの間の伝熱能力が大きくなり、昇温されやすくなる。
【0085】
ここで、ヒータ40は、流路30における電池ユニット10よりも上流側に配置されるとともに、複数の電池ユニット10間で共通である。すなわち、制御装置60は、各可変機構50を制御することによって、共通のヒータ40からの距離の遠い(下流側に配置された)電池ユニット10(例えば第4電池ユニット10D)と熱交換媒体Wとの間の伝熱能力を、共通のヒータ40からの距離の近い(上流側に配置された)電池ユニット10(例えば第1電池ユニット10A)と熱交換媒体Wとの間の伝熱能力よりも、大きくする。
【0086】
次に、ステップS11において、各電池ユニット10の温度Tm(TmA,TmB,TmC,TmD)のばらつきの有無を判定する。温度Tmのばらつきの許容範囲を、例えば、最大温度と最小温度との間で所定温度差(例えば2~3℃)としてもよい。温度Tmのばらつき有りと判定された場合、ステップS12に進む。温度Tmのばらつき無しと判定された場合、ステップS13に進む。
【0087】
次に、ステップS12において、第4可変機構50Dによる拘束力FDを最大に維持しつつ、他の可変機構50A,50B,50Cによる拘束力FA,FB,FCを調整して、電池ユニット10A,10B,10C,10Dと熱交換媒体Wとの間の伝熱能力を調整する。そして、ステップS11に戻る。
【0088】
次に、ステップS13において、電池ユニット10(10A,10B,10C,10D)の温度Tm(TmA,TmB,TmC,TmD)が所定温度Tr以上(Tm≧Tr)であるか否かを判定する。Tm<Trであれば、ステップS14に進む。Tm≧Trであれば、ステップS15に進む。
【0089】
次に、ステップS14において、再び、熱交換媒体Wの温度Twが電池ユニット10の温度Tm(すなわち第1温度T1)以上(Tw≧Tm(T1))であるか否かを判定する。Tw≧Tm(T1)であれば、ステップS11に戻る。Tw<Tm(T1)であれば、ステップS9に戻る。
【0090】
次に、ステップS15において、各可変機構50による拘束力Fを均一にする。すなわち、FA=FB=FC=FDにする。その後、リターンに至る。
【0091】
(第1の実施形態の作用効果)
以上、本実施形態によれば、ヒータ40による熱交換媒体Wの加温時において、熱交換媒体Wの温度Twが電池ユニット10の温度Tmと同等の第1温度T1に未達の場合、制御装置60による可変機構50の制御によって、電池ユニット10と熱交換媒体Wとの間の伝熱能力を小さくする。このため、電池ユニット10から熱交換媒体Wへの熱移動が抑制されるので、電池ユニット10の昇温遅れを抑制することができる。
【0092】
そして、熱交換媒体Wの温度Twが電池ユニット10の温度Tmと同等の第1温度T1に到達した後に、制御装置60による可変機構50の制御によって、電池ユニット10と熱交換媒体Wとの間の伝熱能力を大きくする。このとき、熱交換媒体Wの温度Twが電池ユニット10の温度Tm(第1温度T1)よりも既に高くなっているので、たとえ電池ユニット10と熱交換媒体Wとの間の伝熱能力を大きくしたとしても、電池ユニット10から熱交換媒体Wへの熱移動はほとんど無く、むしろ熱交換媒体Wから電池ユニット10への熱移動が促進される。
【0093】
このように、熱交換媒体Wの温度Twが電池ユニット10の温度Tmと同等の第1温度T1に到達する前後において、電池ユニット10と熱交換媒体Wとの間の伝熱能力を変化させることによって、電池ユニット10を素早く昇温させることができる。
【0094】
さらに、熱交換媒体Wの温度Twが第1温度T1に到達する前後において、熱交換モードを断熱モードから伝熱モードに切り換えることによって、より簡単に、電池ユニット10の昇温を早めることができる。
【0095】
ところで、電池ユニット10の内部抵抗Rが高い状態では、電池ユニット10の能力が十分に発揮されず、例えば電池ユニット10によるモータの駆動ができないことがある。ここで、電池ユニット10の充放電に伴って、電池ユニット10は、内部発熱して温度上昇する。電池ユニット10の内部抵抗Rは、電池ユニット10の温度上昇に応じて低下するとともに、電池ユニット10の温度Tmが第2温度T2に到達すると飽和する(図5参照)。
【0096】
このため、電池ユニット10の能力を十分に発揮するためには、電池ユニット10の内部発熱を利用して、電池ユニット10の温度Tmを、第2温度T2まで素早く上昇させることが好ましい。また、電池ユニット10を効果的に加温するためには、熱交換媒体Wの温度Twを、第1温度T1まで素早く上昇させることが好ましい。
【0097】
そこで、熱交換媒体Wが第1温度T1(Tm)に到達しているか否か、及び電池ユニット10が第2温度T2に到達しているか否かを考慮することによって、電池ユニット10及び熱交換媒体Wの昇温を効果的に行うことができる。
【0098】
第1の昇温パターンP1(図7参照)によれば、熱交換媒体Wの温度Twが第1温度T1(Tm)に既に到達しているので、熱交換モードを断熱モードから伝熱モードに切り換えることによって、熱交換媒体Wから電池ユニット10への熱移動を促進して、電池ユニット10を効果的に温度上昇させることができる。
【0099】
一方、電池ユニット10の温度Tmが第2温度T2に既に到達しているので、電池ユニット10の内部抵抗Rを低下させることを目的として、電池ユニット10からヒータ40へこれ以上電力供給(放電)する必要はない。そこで、電池ユニット10からヒータ40への電力供給E1を停止することによって、電池ユニット10の不要な電力消費を無くすことができる。
【0100】
第2の昇温パターンP2(図8参照)によれば、上記と同様に、熱交換媒体Wの温度Twが第1温度T1(Tm)に既に到達しているので、熱交換モードを断熱モードから伝熱モードに切り換えることによって、熱交換媒体Wから電池ユニット10への熱移動を促進して、電池ユニット10を効果的に温度上昇させることができる。
【0101】
一方、電池ユニット10の温度Tmが第2温度T2に未達なので、電池ユニット10の内部抵抗Rを低下させることを目的として、電池ユニット10からヒータ40への電力供給(放電)E1を、停止させずに維持する必要がある。しかしながら、上述したように、伝熱モードによって熱交換媒体Wから電池ユニット10への熱移動が促進されているので、電池ユニット10からヒータ40への電力供給E1を、熱交換媒体Wの温度Twが第1温度T1(Tm)に到達する前よりも、低下させることができる。これにより、電池ユニット10の電力消費を極力抑制しつつ、電池ユニット10の温度Tmを第2温度T2まで上昇させることができる。
【0102】
第3の昇温パターンP3(図9参照)によれば、電池ユニット10の温度Tmが第2温度T2に既に到達しているので、電池ユニット10の内部抵抗Rを低下させることを目的として、電池ユニット10からヒータ40へこれ以上電力供給(放電)する必要はない。
【0103】
一方、熱交換媒体Wの温度Twが第1温度T1(Tm)に未達なので、熱交換モードを断熱モードに維持しつつ、電池ユニット10又は他の電源からヒータ40への電力供給を継続する必要がある。そこで、外部電源70からヒータ40への電力供給E2を開始する。これにより、電池ユニット10からヒータ40への電力供給E1を、抑制ないし停止させることができる。このように、外部電源70の助けを借りることによって、電池ユニット10の電力消費を抑制しつつ、熱交換媒体Wの温度Twを第1温度T1(Tm)まで上昇させることができる。
【0104】
伝熱材51及び電磁ソレノイド(面積変化機構)52を含む可変機構50によって、電池ユニット10と熱交換媒体Wとの間の伝熱能力を、簡単に変化させることができる。
【0105】
共通のヒータ40からの距離の遠い(下流側に配置された)電池ユニット10(例えば第4電池ユニット10D)に接する熱交換媒体Wは、共通のヒータ40からの距離の近い(上流側に配置された)電池ユニット10(例えば第1電池ユニット10A)に接する熱交換媒体Wに比較して、温度Tmが低い傾向にある。
【0106】
そこで、共通のヒータ40からの距離の遠い電池ユニット10を、共通のヒータ40からの距離の近い電池ユニット10に比較して、熱交換媒体Wとの間での伝熱能力を高めて、熱交換媒体Wとの間で熱交換しやすくしている。これにより、複数の電池ユニット10を、共通のヒータ40からの距離にかかわらず(上流側に配置されるか下流側に配置されるかにかかわらず)、均等に温度上昇させることができる。
【0107】
(第1の実施形態の変形例)
以下、第1の実施形態の変形例について説明する。なお、上記実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0108】
上記実施形態では、第1電池ユニット10A、第2電池ユニット10B、第3電池ユニット10C、第4電池ユニット10Dの順に、共通のヒータ40への電力供給E1を行ったが、これに限定されない。制御装置60は、複数の電池ユニット10のうちの少なくとも一部の電池ユニット10から共通のヒータ40へ、交互に電力供給させてもよい。
【0109】
例えば、複数の電池ユニット10のうちの第1電池ユニット10A及び第2電池ユニット10Bから、共通のヒータ40へ交互に電力供給してもよい。すなわち、第1電池ユニット10Aから共通のヒータ40への電力供給を行った後に、第2電池ユニット10Bから共通のヒータ40への電力供給を行って、その後再び、第1電池ユニット10Aから共通のヒータ40への電力供給を行ってもよい。また、全ての電池ユニット10A,10B,10C,10Dから共通のヒータ40へ、交互に電力供給してもよい。
【0110】
これにより、電池ユニット10の内部発熱を促して、電池ユニット10の内部抵抗Rを効率よく低下させることができる。
【0111】
上記実施形態では、ヒータ40は、複数の電池ユニット10間で共通であったが、これに限定されない。図13に示すように、熱交換媒体Wは、複数の電池ユニット10各々に対応した複数のヒータ40によって、加温されてもよい。
【0112】
この場合、ヒータ40は、第1ヒータ40A、第2ヒータ40B、第3ヒータ40C及び第4ヒータ40Dの計4個ある。各ヒータ40A,40B,40C,40Dは、対応する各電池ユニット10A,10B,10C,10Dの近傍に配置されており、対応する各電池ユニット10A,10B,10C,10Dに接する熱交換媒体Wを加温する。
【0113】
また、媒体温度センサ35は、第1媒体温度センサ35A、第2媒体温度センサ35B、第3媒体温度センサ35C及び第4媒体温度センサ35Dの計4個ある。各媒体温度センサ35A,35B,35C,35Dは、対応する各電池ユニット10A,10B,10C,10Dの近傍に配置されており、対応する各電池ユニット10A,10B,10C,10Dに接する熱交換媒体Wを検出する。
【0114】
制御装置60は、各ヒータ40A,40B,40C,40Dによる熱交換媒体Wの加温時において、熱交換媒体Wが第1温度T1(Tm)に未達の場合、熱交換媒体Wを流路30で循環させない。
【0115】
これにより、熱交換媒体Wを第1温度T1(Tm)まで、素早く昇温させることができる。
【0116】
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について説明する。なお、上記実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0117】
図14は、第2の実施形態に係る電池ユニット温度管理装置1の概略構成図である。本実施形態では、ヒータ40は、作動しない。また、流路30における熱交換媒体Wは、熱交換流路30Bを通過して、熱交換器34によって冷却される。熱交換媒体Wの温度Twは、熱交換器34で冷却されることによって、電池ユニット10の温度Tmよりも低くなる。熱交換媒体Wは、冷却媒体として、各電池ユニット10の冷却のために用いられる。
【0118】
熱交換媒体Wは、流路30の上流側から下流側に亘って、第1電池ユニット10A、第2電池ユニット10B、第3電池ユニット10C、第4電池ユニット10Dの順に、各電池ユニット10との間で熱交換される。ここで、熱交換媒体Wが上流側から下流側に亘って各電池ユニット10と順次熱交換される度に、熱交換媒体Wの温度Twが徐々に上昇する。すなわち、熱交換媒体Wが上流側から下流側に亘って各電池ユニット10と順次熱交換される度に、熱交換媒体Wの温度Twは、電池ユニット10の温度Tmに徐々に近づいてしまう。
【0119】
このため、下流側の電池ユニット10(例えば第4電池ユニット10D)は、上流側の電池ユニット(例えば第1電池ユニット10A)に比較して、熱交換媒体Wと間で熱交換されにくくなる。そして、最終的には、各電池ユニット10の温度Tmは、互いにばらついてしまう。
【0120】
本実施形態では、以下に示す方法によって、複数の電池ユニット10間における温度Tmのばらつきを抑制する。特に、電池ユニット10がハイレート充放電を行う場合、細かな温度管理が求められるので(図6参照)、複数の電池ユニット10間における温度Tmのばらつきを抑制することは、重要である。
【0121】
図15は、電池ユニット温度管理装置1の制御態様の一例を示すフローチャートである。先ず、ステップS1’において、電池ユニット10のハイレート充放電の要求の有無を判定する。ハイレート充放電の要求有りと判定されれば、ステップS2’に進む。ハイレート充放電の要求無し(すなわち低レート充放電である)と判定されれば、細かな温度管理が不要なので、スタートに戻る。なお、ハイレート充放電の要求の有無は、電池ユニット10に係る電流/電圧の履歴データ等から、判断され得る。
【0122】
次に、ステップS2’において、制御装置60は、各電池ユニット10間での温度差を小さくするように、各可変機構50による電池ユニット10と熱交換媒体Wとの間の伝熱能力の変化を、電池ユニット10毎に制御する。具体的には、制御装置60は、流れ方向の上流側に配置された電池ユニット10(例えば第1電池ユニット10A)と熱交換媒体Wとの間の伝熱能力を、流れ方向の下流側に配置された電池ユニット10(例えば第4電池ユニット10D)と熱交換媒体Wとの間の伝熱能力よりも、小さくする。
【0123】
さらに、制御装置60は、流れ方向の最下流側に配置された第4電池ユニット10Dと熱交換媒体Wとの間の伝熱能力を、最大にする。
【0124】
具体的には、第4可変機構50Dによる拘束力FDを最大にする。さらに、各可変機構50(50A,50B,50C,50D)による拘束力Fの大きさを、FD>FC>FB>FAとする。すなわち、第4電池ユニット10D、第3電池ユニット10C、第2電池ユニット10B、第1電池ユニット10Aの順に、熱交換媒体Wとの間の伝熱能力が大きくなり、冷却されやすくなる。そして、ステップS3’に進む。
【0125】
次に、ステップS3’において、第4電池温度センサ20Dにより検出された第4電池ユニット10Dの温度TmDが所定温度範囲Ts±αに含まれるか否かを判定する。所定温度範囲Ts±αは、ハイレート充放電における目標管理温度B(図6参照)に含まれる。Tsは、例えば45℃である。αは、例えば数度以下である。
【0126】
ステップS3’において、第4電池ユニット10Dの温度TmDが所定温度範囲Ts±αに含まれないと判定されれば、ステップS4’に進む。そして、ポンプ31の吐出量を調整して、流路30における熱交換媒体Wの流量を調整(増大又は減少)した後、ステップS3’に戻る。第4電池ユニット10Dの温度TmDが所定温度範囲Ts±αに含まれると判定されれば、ステップS5’に進む。なお、第4可変機構50Dによる拘束力FDが最大に固定されているので、拘束力FDを調整(増大又は減少)する余地はない。
【0127】
次に、ステップS5’において、第3電池温度センサ20Cにより検出された第3電池ユニット10Cの温度TmCが所定温度範囲Ts±αに含まれるか否かを判定する。第3電池ユニット10Cの温度TmCが所定温度範囲Ts±αに含まれないと判定されれば、ステップS6’に進む。そして、第3可変機構50Cによる拘束力FCを調整(増大又は減少)した後、ステップS3’に戻る。第3電池ユニット10Cの温度TmCが所定温度範囲Ts±αに含まれると判定されれば、ステップS7’に進む。
【0128】
次に、ステップS7’において、第2電池温度センサ20Bにより検出された第2電池ユニット10Bの温度TmBが所定温度範囲Ts±αに含まれるか否かを判定する。第2電池ユニット10Bの温度TmBが所定温度範囲Ts±αに含まれないと判定されれば、ステップS8’に進む。そして、第2可変機構50Bによる拘束力FBを調整(増大又は減少)した後、ステップS3’に戻る。第2電池ユニット10Bの温度TmBが所定温度範囲Ts±αに含まれると判定されれば、ステップS9’に進む。
【0129】
次に、ステップS9’において、第1電池温度センサ20Aにより検出された第1電池ユニット10Aの温度TmAが所定温度範囲Ts±αに含まれるか否かを判定する。第1電池ユニット10Aの温度TmAが所定温度範囲Ts±αに含まれないと判定されれば、ステップS10’に進む。そして、第1可変機構50Aによる拘束力FAを調整(増大又は減少)した後、ステップS3’に戻る。第1電池ユニット10Aの温度TmAが所定温度範囲Ts±αに含まれると判定されれば、リターンに至る。
【0130】
このように、制御装置60は、各電池温度センサ20により検出された各電池ユニット10の温度Tmに基づいて、各電池ユニット10と熱交換媒体Wとの間の伝熱能力を、調整する。例えば、制御装置60は、高温の(熱交換媒体Wとの温度差の大きな)電池ユニット10と熱交換媒体Wとの間の伝熱能力を小さくしたり、低温の(熱交換媒体Wとの温度差の小さな)電池ユニット10と熱交換媒体Wとの間の伝熱能力を大きくしたりする。
【0131】
(第2の実施形態の作用効果)
本実施形態によれば、各電池ユニット10に対応するように設けられた各可変機構50は、各電池ユニット10と熱交換媒体Wとの間の伝熱能力を、変化させる。そして、制御装置60は、各可変機構50による伝熱能力の変化を電池ユニット10毎に制御することによって、各電池ユニット10間での温度差を小さくしている。これにより、複数の電池ユニット10間における温度Tmのばらつきを抑制することができる。
【0132】
流路30の流れ方向の上流側に配置された電池ユニット10(例えば第1電池ユニット10A)に接する熱交換媒体Wは、流路30の流れ方向の下流側に配置された電池ユニット10(例えば第4電池ユニット10D)に接する熱交換媒体Wに比較して、電池ユニット10との温度差が大きい傾向にある。すなわち、上流側に配置された電池ユニット10は、下流側に配置された電池ユニット10に比較して、熱交換媒体Wとの間で熱交換されやすい。
【0133】
そこで、各可変機構50による伝熱能力の調整によって、上流側に配置された電池ユニット10を、下流側に配置された電池ユニット10に比較して、熱交換媒体Wとの間で熱交換されにくくしている。これにより、流路30の流れ方向に沿って配置された複数の電池ユニット10間において、温度Tmのばらつきを抑制することができる。
【0134】
流路30の流れ方向の下流側に配置された電池ユニット10(例えば第4電池ユニット10D)に接する熱交換媒体Wは、流路30の流れ方向の上流側に配置された電池ユニット10(例えば第1電池ユニット10A)に接する熱交換媒体Wに比較して、電池ユニット10との温度差が小さい傾向にある。すなわち、最下流側に配置された第4電池ユニット10Dは、他の全ての上流側に配置された電池ユニット10A,10B,10Cに比較して、熱交換媒体Wとの間で熱交換されにくい。
【0135】
そこで、最下流側に配置された第4電池ユニット10Dと熱交換媒体Wとの間の伝熱能力(拘束力F4)を最大にすることによって、最下流側に配置された第4電池ユニット10Dを、熱交換媒体Wとの間で可能な限り熱交換されやすくしている。これにより、流路30を流れる熱交換媒体Wの流量(ポンプ31の吐出量)を極力増やすことなく、最下流側に配置された第4電池ユニット10Dを温度変化させることができる。
【0136】
伝熱材51及び電磁ソレノイド(面積変化機構)52を含む可変機構50によって、電池ユニット10と熱交換媒体Wとの間の伝熱能力を、簡単に変化させることができる。
【0137】
各電池温度センサ20により検出された各電池ユニット10の温度Tmに基づいて各伝熱能力を調整するので、より綿密に、各電池ユニット10の温度Tmを調整することができる。
【0138】
(第2の実施形態の変形例)
上記実施形態では、制御装置60は、流れ方向の上流側に配置された電池ユニット10と熱交換媒体Wとの間の伝熱能力を、流れ方向の下流側に配置された電池ユニット10と熱交換媒体Wとの間の伝熱能力よりも小さくしたが、これに限定されない。
【0139】
例えば、複数の電池ユニット10のうちの第2電池ユニット10Bの近傍にのみ、ヒータが配置される場合、第2電池ユニット10Bは、他の電池ユニット10A,10C,10Dに比較して、熱交換媒体Wとの間で熱交換(冷却)されにくくなる。
【0140】
この場合、第2電池ユニット10Bと熱交換媒体Wとの間の伝熱能力を、他の電池ユニット10A,10C,10Dと熱交換媒体Wとの間の伝熱能力よりも、大きくすればよい。このとき、制御装置60は、流れ方向の上流側に配置された第2電池ユニット10Bと熱交換媒体Wとの間の伝熱能力を、流れ方向の下流側に配置された電池ユニット10C,10Dと熱交換媒体Wとの間の伝熱能力よりも、大きくする。
【0141】
上記実施形態では、熱交換媒体Wが熱交換流路30Bを通過して、各電池ユニット10の冷却のために用いられる場合を、例示したが、これに限定されない。熱交換媒体Wは、バイパス流路30Aを通過して、各電池ユニット10の昇温のために用いられてもよい。なお、この場合、流路30において、ヒータ40は、作動する。
【0142】
<その他の実施形態>
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
【0143】
面積変化機構は、電磁ソレノイド52に限定されず、例えば機械式のピストンシリンダ機構で構成されてもよい。上記実施形態では、波板形状の伝熱材51は、熱交換媒体Wと熱交換を行うための伝熱面51aを有するが、これに限定されない。波板形状の伝熱材51とは別個の伝熱材を用意して、当該別個の伝熱材に、熱交換媒体Wと熱交換を行うための伝熱面を、設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0144】
本開示は、電池ユニット温度管理装置に適用できるので、極めて有用であり、産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0145】
1 電池ユニット温度管理装置
10 電池ユニット
11 電池セル
20 電池温度センサ
30 流路
35 媒体温度センサ
40 ヒータ
50 可変機構
51 伝熱材
52 電磁ソレノイド(面積変化機構)
60 制御装置
70 外部電源
E1 電力供給
E2 電力供給
C 外部充電
W 熱交換媒体
Tw 温度
Tm 温度
T1 第1温度
T2 第2温度
R 内部抵抗
F 拘束力
t 時点
図1
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