(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152432
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】プログラム及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
A63F 13/422 20140101AFI20231010BHJP
A63F 13/426 20140101ALI20231010BHJP
A63F 13/5255 20140101ALI20231010BHJP
A63F 13/837 20140101ALI20231010BHJP
【FI】
A63F13/422
A63F13/426
A63F13/5255
A63F13/837
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062455
(22)【出願日】2022-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100207619
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 知晴
(72)【発明者】
【氏名】丸山 敦史
(57)【要約】
【課題】ゲームにおいて、異なる第1動作と第2動作を同一の操作性において実現し得るシステムを提供する。
【解決手段】第1操作受付手段70は、プレイヤが第1動作を実行する位置(座標)及び角度等を決定するための基準位置に関する第1操作の入力を受け付ける。第1動作手段72は、プレイヤからの第1動作の実行に関する第2操作の入力を受け付ける。第1操作受付手段80は、第1操作受付手段70と同様に、プレイヤが第1動作を実行する位置(座標)及び角度等を決定するための照準操作に関する入力操作を受け付ける。第1動作手段82は、第1動作手段72と同様に、第1操作受付手段80等で決定された位置(座標)及び方向に対して、第1動作を実行する。第2動作手段84は、第1操作又は第1動作に基づいて特定される軌跡に応じて第2動作を実行させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
第1操作により仮想空間における位置を指定し、第2操作により指定した当該位置に対して第1動作を実行させる第1動作手段と、
前記仮想空間における前記第1操作又は前記第1動作に基づいて特定される軌跡に応じて、第2動作を実行させる第2動作手段と、
前記第1動作を実行し得る状態及び前記第2動作を実行し得る状態に関する管理又は制御を実行する操作環境制御手段と、
として機能させるプログラム。
【請求項2】
前記操作環境制御手段は、前記第1動作を実行し得る状態と前記第2動作を実行し得る状態の切り替えに関する制御を実行する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記操作環境制御手段は、前記第1動作を実行し得る状態において前記第1操作を行う場合、前記仮想空間に設置された仮想カメラの位置又は姿勢を自動で変更する制御を実行し、前記第2動作を実行し得る状態において前記第1操作を行う場合、当該仮想カメラの位置又は姿勢を自動で変更しない制御を実行する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
前記操作環境制御手段は、前記第2操作に基づいて1回または複数回の前記第1動作の実行を許可し、複数回の前記第1動作に基づいて前記軌跡を判別し、前記第2動作の実行を許可する操作環境に関する管理又は制御を実行する、
請求項1又は3に記載のプログラム。
【請求項5】
前記第2動作手段は、前記第1動作において前記仮想空間内に移動体が複数回射出された場合に、当該移動体の到達点の形成する図形又は形状に基づいて、前記軌跡を判別し、前記第2動作を実行させる、
請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記第2動作手段は、前記第1動作が実行されているときの前記第1操作に基づいて、前記軌跡を判別し、前記第2動作を実行させる、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項7】
第1操作により仮想空間における位置を指定し、第2操作により指定した当該位置に対して第1動作を実行させる第1動作手段と、
前記仮想空間における前記第1操作又は前記第1動作に基づいて特定される軌跡に応じて、第2動作を実行させる第2動作手段と、
前記第1動作を実行し得る状態及び前記第2動作を実行し得る状態に関する管理又は制御を実行する操作環境制御手段と、
を備える情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年において、コンピュータゲーム等の進歩は著しく、多種多様なゲームが開発され、多くのプレイヤを楽しませている。例えば、非特許文献1には、そのような技術の一つとして、自由度の高いタッチ操作によりゲームキャラクタへの動作指示を実現する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】[タッチ操作の筆しらべはこんなにも面白い!「大神 絶景版」Switch版ならではのポイントをピックアップ],[online],[令和4年3月14日検索],インターネット<https://www.gamer.ne.jp/news/201807050001/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の技術を含む従来技術では、例えば、タッチ操作(筆しらべ)という単一の入力操作に対応した効果が発動することが前提となっている。例えば、タッチ操作とそれ以外の操作(ボタン操作等)の両方を行おうとした場合、それら操作モードを切り替えて、全く異なる操作性の入力操作を行わなければならなかった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、ゲームにおいて、異なる第1動作と第2動作を同一の操作性において実現し得るシステムを提供する。
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の側面は、
コンピュータを、
第1操作により仮想空間における位置を指定し、第2操作により指定した当該位置に対して第1動作を実行させる第1動作手段と、
前記仮想空間における前記第1操作又は前記第1動作に基づいて特定される軌跡に応じて、第2動作を実行させる第2動作手段と、
前記第1動作を実行し得る状態及び前記第2動作を実行し得る状態に関する管理又は制御を実行する操作環境制御手段と、
として機能させるプログラムである。
【0007】
また第1の側面において、前記操作環境制御手段は、前記第1動作を実行し得る状態と前記第2動作を実行し得る状態の切り替えに関する制御を実行することができる。
【0008】
また第1の側面において、前記操作環境制御手段は、前記第1動作を実行し得る状態において前記第1操作を行う場合、前記仮想空間に設置された仮想カメラの位置又は姿勢を自動で変更する制御を実行し、前記第2動作を実行し得る状態において前記第1操作を行う場合、当該仮想カメラの位置又は姿勢を自動で変更しない制御を実行することができる。
【0009】
また第1の側面において、前記操作環境制御手段は、前記第2操作に基づいて1回または複数回の前記第1動作の実行を許可し、複数回の前記第1動作に基づいて前記軌跡を判別し、前記第2動作の実行を許可する操作環境に関する管理又は制御を実行することができる。
【0010】
また第1の側面において、前記第2動作手段は、前記第1動作において前記仮想空間内に移動体が複数回射出された場合に、当該移動体の到達点の形成する図形又は形状に基づいて、前記軌跡を判別し、前記第2動作を実行させることができる。
【0011】
また第1の側面において、前記第2動作手段は、前記第1動作が実行されているときの前記第1操作に基づいて、前記軌跡を判別し、前記第2動作を実行させることができる。
【0012】
また本発明の第2の側面は、
第1操作により仮想空間における位置を指定し、第2操作により指定した当該位置に対して第1動作を実行させる第1動作手段と、
前記仮想空間における前記第1操作又は前記第1動作に基づいて特定される軌跡に応じて、第2動作を実行させる第2動作手段と、
前記第1動作を実行し得る状態及び前記第2動作を実行し得る状態に関する管理又は制御を実行する操作環境制御手段と、
を備える情報処理装置である。
【0013】
本発明の一態様の情報処理装置も、本発明の一態様のプログラムに対応する情報処理装置として提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ゲームにおいて、異なる第1動作と第2動作を同一の操作性において実現し得るシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる情報処理システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態にかかる情報処理システムのうち、ゲーム装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】
図2のゲーム装置及び
図1のサーバの機能的構成の一例を示す図である。
【
図4】本発明にかかる第1モード及び第2モードのイメージを説明するためのイメージ図である。
【
図5】第1モード時に
図3のゲーム装置に表示される画像の一例を示す図である。
【
図6】第2モード時に
図3のゲーム装置に表示される画像の一例を示す図である。
【
図7】第1モード時において、
図3のゲーム装置が実行する各種処理の流れを説明するためのフローチャート図である。
【
図8】第2モード時において、
図3のゲーム装置が実行する各種処理の流れを説明するためのフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[実施形態]
本発明の一実施形態にかかる情報処理システム(以下、「本システム」と呼ぶ)について、図面を用いて説明する。
【0017】
<概要の説明>
図1は、本システムの構成の一例を示している。
図1に示すように、本システムは、ゲーム装置1と、サーバ2とを含み構成される。ゲーム装置1と、サーバ2とはインターネット等による所定のネットワークNを介して相互に接続されている。
ただし、ネットワークNは必須の構成要素ではないし、例えば、NFC(Near Field Communication)、ブルートゥース(登録商標)、LAN(Local Area Network)等が利用されてもよい。
【0018】
ここで、本システムにかかるゲーム(以下、「本ゲーム」と呼ぶ)の内容を簡単に説明する。本ゲームは、例えば、FPS(First Person Shooter)やTPS(Third Person Shooter)と呼ばれるネットワーク型の対戦ゲームである。
本ゲームでは、例えば、ネットワークを介して接続された多数のプレイヤが仮想空間を共有し、各プレイヤは、武器(銃火器など)や回復アイテムなどを活用しながら戦闘を行い、ゲームの勝利を目指す。そして、各プレイヤは、敵の攻撃を受けるなどのゲーム中の様々な要因により減少するHP(ヒットポイント)が、一定の数値を下まわると、ゲームの継続が認められない状態となり、ゲームから除外される。
なお、以下、単に「画像」と呼ぶ場合には、「動画像」と「静止画画像」の両方を含むものとする。また、以下、単に「音声」と呼ぶ場合には、人の声帯から発生した声だけでなく、音楽やBGM、効果音などを広く含むものとする。
【0019】
ゲーム装置1は、本ゲームをプレイするプレイヤにより使用される。ゲーム装置1は、汎用的なパーソナルコンピュータ、ゲーム機、タブレット等で構成される。ゲーム装置1は、他のハードウェア等と通信を行いながら、本ゲームの進行及び本発明にかかる各種処理等を実行する。
【0020】
サーバ2は、本システムの管理者等により管理される。サーバ2は、汎用的なパーソナルコンピュータ等で構成される。サーバ2は、ゲーム装置1におけるゲームの進行に必要となる情報の保存や管理等を実行する。
【0021】
<ハードウェア構成>
図2は、本システムを構成するゲーム装置1のハードウェア構成を示している。
【0022】
図2に示すように、ゲーム装置1は、制御部11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、出力部16と、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20と、を備えている。
【0023】
制御部11は、CPU、GPU、半導体メモリを含むマイクロコンピュータ等により構成される。制御部11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、制御部11が各種の処理を実行する上において必要な情報等も適宜記憶される。
【0024】
制御部11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19、ドライブ20が接続されている。
【0025】
出力部16は、自身に接続された液晶ディスプレイ又はスピーカ等に対して、画像データ又は音データを出力する。出力部16が出力した画像データや音声データは、ディスプレイやスピーカ等を介して、画像や音声として人が認識可能な状態で出力される。
【0026】
入力部17は、タッチパネルやゲーム用のコントローラ等で構成される。入力部17は、プレイヤの入力操作等に応じて、各種情報を入力する。
【0027】
記憶部18は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等で構成され、各種データを記憶する。例えば、記憶部18には、ゲームの進行に必要となる各種ゲームプログラム等が格納されている。
【0028】
通信部19は、インターネットを含むネットワークNを介して、他のハードウェア等と行う通信を制御する。
【0029】
ドライブ20は、必要に応じて設けられる。ドライブ20には磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア31が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア31から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。また、リムーバブルメディア31は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0030】
なお、サーバ2のハードウェア構成は、図示せぬ入力部がマウスやキーボード等で構成される点を除き、ゲーム装置1のハードウェア構成と基本的に同様とできるので、説明を省略する。このような各種ハードウェアと各種ソフトウェアとの協働により、ゲーム装置1及びサーバ2における各種処理の実行が可能となる。
【0031】
図3は、ゲーム装置1及びサーバ2の機能的構成を示している。
【0032】
図3に示すように、ゲーム装置1の制御部11は、各種プログラム等を実行することにより、ゲーム処理実行手段60と、入力操作受付手段62と、第1モード提供手段64と、第2モード提供手段66と、モード管理手段68とが機能する。
【0033】
ゲーム処理実行手段60は、ゲームに関する各種処理を実行する。
具体的にゲーム処理実行手段60は、プレイヤの各種入力操作に従い、ゲーム情報に含まれる仮想のゲーム空間オブジェクト及びテクスチャ等を記憶部18等から読み出す等して、ゲームプログラムを実行しつつ、ゲームに関する2次元又は3次元の画像や音声等を生成する。すなわち、ゲーム処理実行手段60は、プレイヤによる操作指示の結果を生成し、管理することで、ゲームの進行を制御する。
また、ゲーム処理実行手段60は、適宜、サーバ2からゲームの進行に必要な情報を取得する。
【0034】
入力操作受付手段62は、プレイヤからの入力操作の内容を受け付ける。例えば、入力操作受付手段62は、プレイヤからゲームのキャラクタに対する操作指示等を受け付ける。
【0035】
第1モード提供手段64は、通常のゲームモード(以下、「第1モード」と呼ぶ)をプレイヤに提供するための各種処理を実行する。
具体的に第1モード提供手段64には、第1操作受付手段70と、第1動作手段72とが設けられている。
【0036】
第1操作受付手段70は、プレイヤが第1動作を実行する位置(座標)及び角度等を決定するための基準位置に関する操作指示(以下、「第1操作」と呼ぶ)の入力を受け付ける。例えば、第1操作受付手段70は、ゲーム用のコントローラ等に設置された方向ボタンの押下の程度に応じて、後述する第1動作を実行する位置(座標)及び方向を決定するための基準位置に関する制御を実行する。
【0037】
第1動作手段72は、プレイヤからの第1動作の実行に関する操作指示(以下、「第2操作」と呼ぶ)の入力を受け付ける。また、第1動作手段72は、プレイヤからの第2操作の入力を受け付けると、第1操作受付手段70等により指定された位置に対して第1動作を実行させる。
具体的に第1動作手段72は、プレイヤからの第2操作の入力を受け付けると、第1操作受付手段70で決定された座標及び方向に対して、第1動作を実行する。
なお、第1動作とは、例えば、ゲームそれぞれにおいて設定されている攻撃動作又はアクション動作である。具体的に第1動作とは、例えば、所定のゲーム媒体である武器(例えば、銃)を使用して行う他のキャラクタに対して行う攻撃動作である。
また、キャラクタがこの第1動作を実行した場合、第1動作の実行の対象となった位置には第一動作の痕跡である弾痕が生じる。後述する第2モードでは、この弾痕を利用することで各種処理の判定等が行われる。
【0038】
第2モード提供手段66は、本ゲーム特有のゲーム処理を実行し得るゲームモード(以下、「第2モード」と呼ぶ)をプレイヤに提供するための各種処理を実行する。
具体的に第2モード提供手段66には、第1操作受付手段80と、第1動作手段82と、第2動作手段84とが設けられている。
【0039】
第1操作受付手段80は、第1操作受付手段70と同様に、プレイヤが第1動作を実行する位置(座標)及び角度等を決定するための基準位置に関する第1操作の入力を受け付ける。
【0040】
第1動作手段82は、第1動作手段72と同様に、第1操作受付手段80等で決定された位置(座標)及び方向に対して、第1動作を実行する。
【0041】
第2動作手段84は、第1操作又は第1動作に基づいて特定される軌跡に応じて第2動作を実行させる。
具体的に第2動作手段84は、例えば、第1動作の結果として仮想空間内に生成される弾痕の形状が所定の条件を満たしている場合に、あらかじめ設定された所定のゲーム内効果(以下、「筆しらべ効果」とも呼ぶ)を発動する。なお、第2動作のより具体的な内容は、
図4乃至6を参照しながら後述する。
【0042】
モード管理手段68は、第1モード及び第2モードの管理、それぞれのモードの切り替えに関する制御を実行する。
【0043】
図3に示すように、サーバ2の制御部110は、各種プログラム等を実行することにより、ゲーム情報管理手段120が機能する。
ゲーム情報管理手段120は、は、ゲーム装置1によるゲームの進行に必要となる各種情報を管理し、各種処理を実行する。具体的に例えば、ゲーム情報管理手段120は、ゲーム装置1から送信されてきたアカウント情報に対する認証、ゲーム装置1からの各種ゲーム情報のダウンロード要求に対して、ゲーム情報等の配信等を実行する。
【0044】
続いて、
図4乃至6を参照しながら、本発明にかかる第1モード及び第2モードの詳細を説明する。
図4は、本発明にかかる第1モード及び第2モードの概要のイメージを示している。
上述の通り、第1モードは、通常のゲーム処理を実現するためのゲームモードである。
図4に示すように、第1モードでは、プレイヤが武器を使用すると通常の銃弾(飛翔体)が射出され、仮想空間内の所定の位置に到達する。第1モードでは、この銃弾が敵キャラクタ等に命中すると、その敵キャラクタのHPが減少し、HPが0になった時点で、そのキャラクタは敗北となる。すなわち、第1モードにおける銃弾(攻撃)は、敵キャラクタのHPを減少させることを目的とした動作であり、
図4の例で生じる弾痕も特段の規則性はない。第1モードでは、プレイヤ(キャラクタ)が互いに第1動作等を繰り返しながら戦闘を行い、敵キャラクタのHPを0にすることでゲームに勝利することを目指すことになる。なお、銃弾の到達により敵キャラクタ以外の地形や障害物等のオブジェクトが破壊される場合もある。
なお、本ゲームにおいて、第1動作の実行後、一定時間他の入力操作を受け付けない行動不能時間(以下、「反動」と呼ぶ)が設けられてもよい。本システムの管理者等は、反動の有無や時間を調整することによっても、さらに戦略性の高いゲームを提供することができる。
簡単に言えば、第1動作とは、例えば、プレイヤが攻撃動作を指示する入力指示を行った結果として、キャラクタが武器を使用して銃弾を射出するまでの一連の攻撃動作である。
他方、第2モードは、上述の通り、第1動作に加えて、本ゲーム特有の第2動作に関するゲーム処理を実行し得るゲームモードである。例えば、第2モードにおいては、プレイヤは、自由に第1動作をキャラクタに実行させつつも、第1動作の結果として生じた弾痕の軌跡に応じて、筆しらべ効果が発動する。例えば、後述するように
図4に示す形状が描かれた場合には、周囲に突風を発生させるという筆しらべ効果が発動する。
すなわち、第2モードにおいて、プレイヤは、第1動作により敵キャラクタとハイテンポで戦闘を行いながら、弾痕を利用して所定の図形を描くことで、所定の位置に追加的なアクション効果を発動させるという極めて自由度の高い戦闘を、同一の操作性において実行することが可能となる。なお、第1モードと第2モードの切り替えは、プレイヤからの所定の入力操作によって容易に行うことができる。例えば、上述の第1動作を実行させるためのボタン操作等を継続しつつ、同時に別のボタン操作等を行うことにより、第1動作を継続しつつ第2モードに移行することができる。
簡単に言えば、第2動作とは、例えば、筆しらべ効果を発動するために必要となる一連の動作である。
【0045】
図5は、第1モードで実際にゲーム装置1に表示される画像の一例を示している。
図5の(A)の例では、画像の中央にプレイヤと対戦中の敵キャラクタT1が表示されている。そして、敵キャラクタT1の右隣には、同様にプレイヤと対戦中の敵キャラクタT2が表示されている。プレイヤは、仮想空間内で近接する、敵キャラクタT1及び敵キャラクタT2との戦闘において、敵キャラクタT1に狙いを定めて武器による攻撃動作(第1動作)を実行してようとしている。
これに対して、
図5の(B)の例では、攻撃動作(第1動作)の対象が敵キャラクタT2へと変更されている。ここで、
図5の例では、本システムにプレイヤの第1操作に対して仮想カメラの自動調整機能が搭載されている。すなわち、プレイヤが第1操作を行う場合、武器の照準の中心点がゲーム画像の所定位置(例えば、中心)に表示されるように仮想カメラの位置及び角度が自動で調整される。換言すれば、仮想カメラの位置及び角度を調整することに連動して、武器の照準の位置を変更できる。
なお、
図5の(B)の例では、この状態でプレイヤが第1動作の入力操作を行った場合、プレイヤが操作するキャラクタは、敵キャラクタT2に対して、攻撃動作(第1動作)を実行する。
【0046】
一方、
図6は、第2モードで実際にゲーム装置1に表示される画像の一例を示している。
図6の(A)の例では、上述の
図5の(A)の状況と同じく、プレイヤは敵キャラクタT1に狙いを定めて武器による攻撃動作(第1動作)を実行してようとしている。
これに対して、
図6の(B)の例では、プレイヤは、敵キャラクタT1の左側に存在する大きな岩に対して、攻撃動作(第1動作)を複数回行った状態が示されている。そして、この複数回行われた攻撃動作(第1動作)の結果、生じた弾痕(第1動作の結果の軌跡)が所定の図形の形状を構成している。このようにして描かれた弾痕の軌跡によって、筆しらべ効果が発動する。例えば、
図6の(B)の例では、筆しらべ効果の結果、周囲に突風を発生させるという効果を発動させる。プレイヤは、このように弾道により発動される効果をうまく利用しながら戦闘(例えば、敵からの攻撃の方向を変更させる等)を行うことで、戦闘を有利に進めることが可能となる。
【0047】
なお、
図6の(B)の例では複数の銃弾がオブジェクト(例えば、大きな岩)に到達した場合に形成される図形の形状に基づいて、筆しらべ効果が発動することを説明したが、射出された銃弾の到達する位置にオブジェクトが存在しない場合もある(空中に向けて射出する等)。この場合、射出された銃弾の進行する方向において、所定距離だけ先に透明なオブジェクトを配置し、銃弾の到達位置を仮想的に検出することによって、弾痕の軌跡を特定してもよい。
【0048】
また、
図6の例では、
図5の例で本システムに搭載されていた仮想カメラの自動調整機能が搭載されていないものとする。すなわち、例えば、本システムの第1モードでは、第1操作に合わせて仮想カメラが自動で調整されるのに対して、本システムの第2モードでは、第1操作と仮想カメラの制御はそれぞれ独立して行われる。プレイヤは、第1モードにおける攻撃動作では敵キャラクタと照準との位置関係に着目する一方、第2モードにおいては軌跡の形状に着目するため、第2モードにおいては第1操作と仮想カメラの制御を連動させないことにより、映像酔いを防止し得る。
ただし、これらの仮想カメラに関する仕様は全て例示であり、モードにおける自動調整機能の採用の有無や詳細な仕様は、本システムの管理者等が自由に設定できる。
【0049】
続いて、
図7及び8を参照しながら、ゲーム装置1が実行する各種処理の流れを説明する。
図7は、第1モードにおいて、ゲーム装置1が実行する各種処理の流れを示している。
【0050】
ステップS1において、第1操作受付手段70は、プレイヤが第1動作(例えば、通常の攻撃操作)を実行する位置(座標)及び角度等を決定するための基準位置に関する第1操作の入力を受け付ける。
【0051】
ステップS2において、第1動作手段72は、プレイヤからの第1動作の実行に関する第2操作の入力を受け付ける。
【0052】
ステップS3において、第1動作手段72は、プレイヤからの第2操作の入力を受け付けると、第1操作受付手段70等で決定された座標及び方向に対して、第1動作を実行する。これにより、第1モードにおいて、ゲーム装置1が実行する各種処理は終了する。
【0053】
これに対して、
図8は、第2モードにおいて、ゲーム装置1が実行する各種処理の流れを示している。
ステップS21において、第1操作受付手段80は、第1モード時と同様に、プレイヤが第1動作(例えば、通常の攻撃操作)を実行する位置(座標)及び角度等を決定するための基準位置に関する第1操作の入力を受け付ける。
【0054】
ステップS22において、第1動作手段82は、第1モード時と同様に、プレイヤからの第1動作の実行に関する第2操作の入力を受け付ける。
【0055】
ステップS23において、第1動作手段82は、プレイヤからの第2操作の入力を受け付けると、第1操作受付手段80等で決定された位置(座標)及び方向に対して、第1動作を実行する。
【0056】
ステップS24において、第2動作手段84は、第1操作又は第1動作に基づいて特定される軌跡、すなわち弾痕の軌跡の形状が所定の条件を満たしているか否かを判定する。
弾痕の形状が所定の条件を満たしている場合、ステップS24はYESと判定され、処理はそのままステップS25に進む。
これに対して、弾痕の軌跡の形状が所定の条件を満たしていない場合又は弾痕の形状の軌跡が特定できない場合、ステップS24はNOと判定され、処理はステップS21に戻される。
【0057】
ステップS25において、第2動作手段84は、特定される軌跡が所定の条件を満たしている場合、あらかじめ設定された筆しらべ効果を発動する。これにより、第2モードにおいて、ゲーム装置1が実行する各種処理は終了する。
【0058】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0059】
<他の実施形態>
【0060】
また、上述の実施形態において、弾痕の形状等に基づいて、筆しらべ効果の発動の有無、効果の内容が決定されるものとして説明したが、限定されない。
例えば、プレイヤによる第1操作の軌跡(基準位置の移動操作の内容)、第1動作を実行した位置、第1動作が実行されている間の第1操作(銃口の向き)、第1動作の対象となるゲーム媒体(武器)と異なる他のゲーム媒体に関する指示操作等であってもよい。
また、例えば、空や川のように通常弾痕の残らないオブジェクトに攻撃動作が行われた場合、軌跡の判別は、弾痕ではなく攻撃動作の対象となった仮想空間内の位置(座標)等に基づいて、軌跡の判別がなされてもよい。
【0061】
また、上述の実施形態において、第1動作及び第2動作には、反動が設定されるものとして説明したが、反動の概念の採否は任意である。
例えば、第1動作又は第2動作のいずれかの動作のみに反動を設定してもよいし、いずれかの動作の反動を長くする、短くする等してもよい。
【0062】
また、上述の実施形態において、第1動作又は第2動作を行うためのゲーム媒体は銃であるものとして説明したが、限定されない。第1動作又は第2動作を行うためのゲーム媒体は各種銃火器、剣、筆、吹き矢、弓、刀等の各種各様の武器やアイテムであってもよい。
【0063】
さらに言えば、上述の実施形態において、第1モード及び第2モードでは、キャラクタが同一の武器を使用するものとして説明したが限定されない。
本システムの管理者等は、第1モードと第2モードを切り替えた時点において、使用する武器を自動で変更する仕様を採用してもよいし、例えば、同一の武器であっても敵キャラクタに与える効果等を変更してもよい。
本システムの管理者等は、一例として、第1モードの武器と第2モードの武器で反動の長さを変更し、プレイヤが、第1モードと第2モードの切り替え(武器の切り替え)を行うことで、反動を受ける期間を調整するようなアクションを許容する仕様を採用してもよい。
【0064】
また、上述の実施形態において、第2モードは、第1動作と第2動作を一連の操作のもとで実行し得るモードであったが、本システムの管理者等は、例えば、第2動作のみを実行し得るモードや第1動作と第2動作をそれぞれ異なる操作(独立した操作)により実現し得るモード等を採用してもよい。
また、本システムの管理者等は、例えば、第2モード等において、第1動作が実行される場合、第1動作が敵キャラクタに直接影響を与えない(ダメージを与えない)仕様を採用してもよい。
【0065】
また、上述の実施形態において、筆しらべ効果を発動させる図形の一例を示したが、限定されない。
筆しらべ効果を発動させるトリガは、例えば、任意の文字、図形、記号、形状、模様、マーク、色彩又はそれらの結合等であってもよい。
また、これらのトリガにより発動される効果の内容も任意であり、上述の実施形態の例に限定されない。例えば、「周囲に突風を発生させ武器の弾道を変更させる」という効果だけでなく、「敵の侵入を防ぐ川を生成する」、「敵の銃弾を防ぐことができる岩を生成する」、「稲光によって周囲の敵の視界を暗くする」等のゲームの設定に即した任意の効果であってもよい。
【0066】
また、上述の実施形態において、第2動作という用語は、第1動作の軌跡を特定し、所定の条件を満たした場合に筆しらべ効果を発動する(発動しない場合を含む)までの一連の動作として説明したが限定されない。
第2動作には、様々なバリエーションが存在する。例えば、第2動作は、筆しらべ効果の発動のトリガとなる所定の入力操作を行う動作(筆しらべ発動ボタン等)であってもよいし、上述の実施形態のように自動的に筆しらべ効果が発動する場合には、筆しらべ効果を発動するまでの広く一連の行為であってもよい。さらに言えば、筆しらべ効果を発動し得る状態(例えば、第2モード)へのモードを切り替える行為それ自体を第2動作と表現してもよい。
すなわち、第2動作という用語は、必ずしも一意的な意味を有している単語として使用される必要はなく、幅広く多義的な概念として使用し得る用語である。
【0067】
また、上述の実施形態では説明を省略したが、本システムにかかるゲームは、例えば、プレイステーション(登録商標)等の家庭用ゲーム機、ニンテンドースイッチ(登録商標)等の携帯用のゲーム機、業務用に設計された各種ゲーム機、もしくは、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等の電子機器等である各種ハードウェア(例えば、ゲーム装置1)により実行されてもよい。
【0068】
また、上述の実施形態では説明を省略したが、本システムにかかるゲームの内容は限定されない。本システムは、例えば、RPG(Role Playing Game)、アクションゲーム、シミュレーションゲーム、スポーツゲーム、カードゲーム、バトルロワイヤル(対称型、非対称型)、MOBA(Multiplayer online battle arena)、音楽ゲーム、格闘ゲーム、クイズゲーム等のあらゆるゲームに適用されてもよい。
【0069】
また、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、
図3等の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。
即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは
図3等の例に限定されない。また、機能ブロックの存在場所も、
図3等の例に限定されず、任意でよい。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成されてもよいし、ソフトウェア単体で構成されてもよいし、それらの組み合わせで構成されてもよい。
【0070】
また、本システムを構成する各種ハードウェアの数や使用者は任意であるし、他のハードウェア等を含み構成されてもよい。
【0071】
また、一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
【0072】
また、コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータであってもよい。
すなわち、例えば、上述の実施形態における各種ハードウェアには、任意のコンピュータ、任意のスマートフォン等の携帯端末、任意のゲーム機等が自由に採用されてもよい。さらに言えば、各種入力部や各種出力部等の種別や内容についても任意の組み合わせが採用されてもよい。
【0073】
また、このようなプログラムを含む記録媒体は、プレイヤ等にプログラムを提供するために装置本体とは別に提供される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でプレイヤに提供される記録媒体等で構成されてもよい。
【0074】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理は勿論、並列的又は個別に実行されてもよい。また、上述の実施形態で記載するステップは、一部が省略されてもよい。
【0075】
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味している。
【0076】
これらの他の実施形態を採用した場合においても、本実施形態の作用効果は発揮される。また、本実施形態と他の実施形態、及び他の実施形態同士を適宜組み合わせることも可能である。
【0077】
以上をまとめると、本発明適用される情報処理システムは、次のような構成を有する各種各様の実施形態を取ることができる。
すなわち本発明が適用されるプログラムは、
コンピュータを、
第1操作により仮想空間における位置を指定し、第2操作により指定した当該位置に対して第1動作を実行させる第1動作手段(例えば、第1動作手段72)と、
前記仮想空間における前記第1操作又は前記第1動作に基づいて特定される軌跡に応じて、第2動作を実行させる第2動作手段(例えば、第2動作手段84)と、
前記第1動作を実行し得る状態及び前記第2動作を実行し得る状態に関する管理又は制御を実行する操作環境制御手段(例えば、モード管理手段68)と、
として機能させるプログラムであれば足りる。
【0078】
<効果>
これにより、プレイヤは、第1動作と第2動作を同一の操作性において実現することができ、よりゲームを楽しむことができる。
【符号の説明】
【0079】
1 ゲーム装置
11 制御部
60 ゲーム処理実行手段
62 入力操作受付手段
64 第1モード提供手段
70 第1操作受付手段
72 第1動作手段
66 第2モード提供手段
80 第1操作受付手段
82 第1動作手段
84 第2動作手段
68 モード管理手段
2 サーバ
110 制御部
120 ゲーム情報管理手段