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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152442
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】曲げ加工機
(51)【国際特許分類】
   B21D 5/02 20060101AFI20231010BHJP
【FI】
B21D5/02 K
B21D5/02 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062466
(22)【出願日】2022-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大志
【テーマコード(参考)】
4E063
【Fターム(参考)】
4E063AA01
4E063BA07
4E063FA04
4E063FA05
4E063JA03
4E063JA07
4E063LA03
4E063LA13
4E063LA17
(57)【要約】
【課題】クラウニング出力を精度良く検出する。
【解決手段】曲げ加工機1は、上下方向Zに移動する可動テーブル7と、可動テーブル7に対して上下方向Zの対応する位置に配置される固定テーブル5と、を備える曲げ加工機であって、前後方向Yに沿った回転軸Ar周りに回転したときに、回転軸Arから偏心した偏心部20Cが上下して固定テーブル5を押圧することで固定テーブル5を湾曲させる偏心軸20と、偏心軸20を回転駆動させる電動機51を有する駆動部50と、固定テーブル5を含む加工機本体に対して駆動部50を連結して駆動部50が偏心軸20を回転駆動させたときの反力CFを受けるトルクアーム61と、トルクアーム61に取付けられる、ひずみを検出可能なひずみ検出センサ63と、備えている。
【選択図】図4C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に移動する可動テーブルと、前記可動テーブルに対して前記上下方向の対応する位置に配置される固定テーブルと、を備える曲げ加工機であって、
前後方向に沿った回転軸周りに回転したときに、前記回転軸から偏心した偏心部が上下して前記固定テーブルを押圧することで前記固定テーブルを湾曲させる偏心軸と、
前記偏心軸を回転駆動させる電動機を有する駆動部と、
前記固定テーブルを含む加工機本体に対して前記駆動部を連結して前記駆動部が前記偏心軸を回転駆動させたときの反力を受けるトルクアームと、
前記トルクアームに取付けられる、ひずみを検出可能なひずみ検出センサと、を備える
曲げ加工機。
【請求項2】
前記ひずみ検出センサは、取付プレートを介して前記トルクアームに取付けられる
請求項1に記載の曲げ加工機。
【請求項3】
前記駆動部は、前記電動機の回転を減速して前記偏心軸に伝達する減速機を含み、
前記電動機及び前記減速機が一体となっている場合、前記トルクアームは前記電動機又は前記減速機に固定される
請求項1に記載の曲げ加工機。
【請求項4】
前記駆動部は、前記電動機の回転を減速して前記偏心軸に伝達する減速機を含み、
前記電動機及び前記減速機が別体となっている場合、前記トルクアームは前記減速機に固定される
請求項1に記載の曲げ加工機。
【請求項5】
前記ひずみ検出センサが検出したひずみに基づいて、前記駆動部を制御する制御装置をさらに備える
請求項1から4いずれか一項に記載の曲げ加工機。
【請求項6】
前記取付プレートは、前記トルクアームとは機械特性が相違する材料から形成されている
請求項2記載の曲げ加工機。
【請求項7】
前記取付プレートは、前記トルクアームに対して着脱可能に取付けられている
請求項2又は6記載の曲げ加工機。
【請求項8】
前記加工機本体は、前後方向における前記固定テーブルの両側に配置され、前記偏心軸の両端を回転自在に支持する前後の支持板をさらに備え、
前記駆動部は、前記前後の支持板のうち一方の支持板側に設けられ、
前記トルクアームは、前記一方の支持板に固定される
請求項1記載の曲げ加工機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、曲げ加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、曲げ加工機に備わるクラウニング機構の加圧力(クラウニング出力)を検出する技術が知られている(特許文献1)。特許文献1に開示されたクラウニング機構は、油圧等によりシリンダを駆動させるクラウニングシリンダであり、下部テーブルの中央付近に左右一対設けられている。クラウニングシリンダは、ピエゾセンサが設けられた加圧ブロックを介して下部テーブルを持ち上げ、曲げ加工時における下部テーブルのたわみを補正する。このときのピエゾセンサの値からクラウニング出力を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-094038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、クラウニング機構の駆動方式は電動化が進んでおり、油圧シリンダ等の作動油を媒体としたシリンダ駆動から、電動機(モータ)が発生する力を用いてテーブルを持ち上げるモータ駆動へと変化している。したがって、モータ駆動のクラウニング機構に対応したクラウニング出力の検出技術が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、上下方向に移動する可動テーブルと、可動テーブルに対して上下方向の対応する位置に配置される固定テーブルとを備える曲げ加工機であって、前後方向に沿った回転軸周りに回転したときに、回転軸から偏心した偏心部が上下して固定テーブルを押圧することで固定テーブルを湾曲させる偏心軸と、偏心軸を回転駆動させる電動機を有する駆動部と、固定テーブルを含む加工機本体に対して駆動部を連結して駆動部が偏心軸を回転駆動させたときの反力を受けるトルクアームと、トルクアームに取付けられる、ひずみを検出可能なひずみ検出センサと、を備える。
【0006】
本発明の一態様の曲げ加工機によれば、駆動部が偏心軸を回転駆動させたとき、偏心軸からの反力を受けたトルクアームにはひずみが生じる。トルクアームに取付けられたひずみ検出センサは、トルクアームに生じたひずみを検出する。これにより、トルクアームに生じたひずみに基づいて、偏心軸が固定テーブルを押圧したときの荷重、すなわちクラウニング出力を精度良く検出することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、クラウニング出力を精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係る曲げ加工機の構成を模式的に示す図である。
図2A図2Aは、固定テーブルの構成を示す上面図である。
図2B図2Bは、固定テーブルの構成を示す正面図である。
図2C図2Cは、固定テーブルの構成を示す側面図である。
図3図3は、図2Aに示す切断線A-Aにおける断面図であり、クラウニング機構及び荷重検出部の構成を示す図である。
図4A図4Aは、クラウニング機構及び荷重検出部の構成を示す上面図である。
図4B図4Bは、クラウニング機構及び荷重検出部の構成を示す側面図である。
図4C図4Cは、クラウニング機構及び荷重検出部の構成を示す斜視図である。
図5図5は、第1実施形態に係るトルクアームの取付け位置を模式的に示す図である。
図6図6は、第2実施形態に係るトルクアームの取付け位置を模式的に示す図である。
図7図7は、第3実施形態に係るトルクアームの取付け位置を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、図面を参照し、第1実施形態に係る曲げ加工機について説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る曲げ加工機の構成を模式的に示す図である。図2Aは、固定テーブルの構成を示す上面図である。図2Bは、固定テーブルの構成を示す正面図である。図2Cは、固定テーブルの構成を示す側面図である。図3は、図2Aに示す切断線A-Aにおける断面図であり、クラウニング機構及び荷重検出部の構成を示す図である。以下、図1から図3を参照して、第1実施形態に係る曲げ加工機の構成を説明する。
【0011】
以下の説明では、曲げ加工機を定義するために、左右方向X、前後方向Y、及び上下方向Zを用いる。左右方向X及び前後方向Yは、水平方向において直交する2つの方向に対応し、上下方向Zは鉛直方向に対応する。ただし、これらの方向は、本実施形態において曲げ加工機を説明するために便宜的に用いられるに過ぎない。
【0012】
本実施形態に係る曲げ加工機1は、上下方向Zに移動する可動テーブル7と、可動テーブル7に対して上下方向Zの対応する位置に配置される固定テーブル5と、を備える曲げ加工機であって、前後方向Yに沿った回転軸Ar周りに回転したときに、回転軸Arから偏心した偏心部20Cが上下して固定テーブル5を押圧することで固定テーブル5を湾曲させる偏心軸20と、偏心軸20を回転駆動させる電動機51を有する駆動部50と、固定テーブル5を含む加工機本体に対して駆動部50を連結して駆動部50が偏心軸20を回転駆動させたときの反力CFを受けるトルクアーム61と、トルクアーム61に取付けられる、ひずみを検出可能なひずみ検出センサ63と、を備えている。
【0013】
以下、曲げ加工機1の詳細な構成を説明する。曲げ加工機1は、例えば板金といった板状のワークに対して曲げ加工を行う加工機である。曲げ加工機1は、例えばプレスブレーキであり、可動テーブル7を上下方向Zに移動させてパンチなどの上型8とダイなどの下型6との間でワークを加圧することによりワークに対して曲げ加工を行う。
【0014】
曲げ加工機1は、固定テーブル5、可動テーブル7、左右の油圧シリンダ9L、9R、左右のクラウニング機構19L、19R、左右の荷重検出部60L、60R、及び制御装置80を備えている。
【0015】
曲げ加工機1は、左右方向Xに離間して対向した左右のサイドフレーム3L、3Rを有している。固定テーブル5は、左右方向Xに延在しており、サイドフレーム3L、3Rの前側下部に支持されている。可動テーブル7は、左右方向Xに延在しており、サイドフレーム3L、3Rの前側上部に支持されている。可動テーブル7は、上下方向Zに移動可能に構成されている。
【0016】
固定テーブル5の上側には、下型6を着脱可能に保持する下型ホルダが設けられている。下型ホルダには、下型6の基部を挿入するためのホルダ溝が左右方向Xに沿って形成されている。下型ホルダは、下型6を固定テーブル5に対して固定するクランプ機構を有している。
【0017】
可動テーブル7の下側には、上型8を着脱可能に保持する上型ホルダが設けられている。上型ホルダには、上型8の基部を挿入するためのホルダ溝が左右方向Xに沿って形成されている。上型ホルダは、上型8を可動テーブル7に対して固定するクランプ機構を有している。
【0018】
左右の油圧シリンダ9L、9Rは、サイドフレーム3L、3Rの左右の上部にそれぞれ設けられている。左右の油圧シリンダ9L、9Rは、可動テーブル7を上下方向Zへ移動させる昇降機構として機能する。なお、本実施形態では、可動テーブル7の昇降機構として、左右の油圧シリンダ9L、9Rを例示したが、可動テーブル7の昇降機構はこれに限定されない。例えば、昇降機構は、モータ駆動により可動テーブル7を上下方向Zへ昇降させる構造であってもよい。
【0019】
前後方向Yにおける固定テーブル5の両側には、前側の支持板11と後側の支持板13がそれぞれ設けられている。前側の支持板11及び後側の支持板13は、前後方向Yに貫通した左右の枢軸15L、15Rを介して、固定テーブル5に対して一体的に取り付けられている。
【0020】
固定テーブル5の左右方向Xの中心位置を基準とする左右の対称位置には、前側の支持板11及び後側の支持板13を前後方向Yに貫通する、左右の貫通穴部17L、17Rが設けられている。左右の貫通穴部17L、17Rはそれぞれ、前側の支持板11に設けられた貫通穴17Fと、後側の支持板13に設けられた貫通穴17Bとによって構成されている(図3)。左右の貫通穴部17L、17Rの内部には、電動機51によって駆動する左右のクラウニング機構19L、19Rが設けられている。左右のクラウニング機構19L、19Rの詳細については、図3から図5を参照して後述する。
【0021】
左右のクラウニング機構19L、19Rには、左右の荷重検出部60L、60Rが取り付けられている。左右の荷重検出部60L、60Rは、左右のクラウニング機構19L、19Rが駆動したときのクラウニング出力を個別に検出する。左右のクラウニング機構19L、19Rのクラウニング出力とは、クラウニング機構19L、19Rが固定テーブル5を押圧する荷重であり、固定テーブル5の変位と比例している。左側の荷重検出部60Lは、左側のクラウニング機構19Lのクラウニング出力を検出し、右側の荷重検出部60Rは、右側のクラウニング機構19Rのクラウニング出力を検出する。左右の荷重検出部60L、60Rは、検出したクラウニング出力を制御装置80に出力する。左右の荷重検出部60L、60Rの構成についての詳細は、図3から図5を参照して後述する。
【0022】
なお、左右の貫通穴部17L、17Rの形状は同一であり、左右のクラウニング機構19L、19R、及び左右の荷重検出部60L、60Rの構成は同一である。そのため、以後、左右のクラウニング機構19L、19R及び左右の荷重検出部60L、60Rの説明をする際には、単に、貫通穴部17、クラウニング機構19、荷重検出部60と記す。
【0023】
制御装置80は、例えば数値制御装置(NC(Numerical Control:数値制御)装置)などのコンピュータである。コンピュータは、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)などのハードウェアプロセッサと、メモリと、各種のインターフェースとを主体に構成されている。メモリ、各種のインターフェースは、バスを介してハードウェアプロセッサに接続されている。コンピュータには、所定のコンピュータプログラムがインストールされている。ハードウェアプロセッサがコンピュータプログラムを実行することにより、コンピュータは、制御装置80が備える機能を実行する。
【0024】
制御装置80は、曲げ加工機1の動作を制御する。具体的には、制御装置80は、左右の油圧シリンダ9L、9Rと、左右のクラウニング機構19L、19Rと、を制御する。制御装置80は、左右の油圧シリンダ9L、9R及び左右のクラウニング機構19L、19Rを制御することで、可動テーブル7の上下方向Zの移動、及び固定テーブル5の湾曲状態を制御することができる。
【0025】
制御装置80は、ワークの板厚、曲げ長さ、及び材質等のワーク情報、曲げ角度及びフランジ寸法等の製品情報、下型6及び上型8の種類、寸法、角度等の金型情報、下型6及び上型8の位置等の加工情報に基づいて、固定テーブル5の湾曲状態を制御する。具体的には、制御装置80は、ワーク情報、製品情報、金型情報、加工情報等に基づいて、曲げ加工時の固定テーブル5及び可動テーブル7の左右方向Xにおけるたわみ量を算出する。制御装置80は、固定テーブル5及び可動テーブル7の左右方向Xにおけるたわみ量を打ち消して下型6と上型8との間隔が一定となるよう、左右のクラウニング機構19L、19Rを駆動させて固定テーブル5を湾曲させる。
【0026】
より詳細には、制御装置80は、固定テーブル5及び可動テーブル7の左右方向Xにおけるたわみ量を打ち消す固定テーブルの湾曲量を算出し、算出した湾曲量とするために必要となる左右のクラウニング機構19L、19Rそれぞれのクラウニング出力(以後、「左右のクラウニング出力」という)を目標出力として算出する。制御装置80は、左右の荷重検出部60L、60Rによって検出される左右のクラウニング出力が目標出力となるよう制御する。したがって、制御装置80は、左右のクラウニング出力をフィードバック制御している。これにより、制御装置80は、精度良く固定テーブル5の湾曲量を制御することができ、固定テーブル5及び可動テーブル7の左右方向Xにおけるたわみ量を打ち消して、下型6と上型8との間隔が一定となるよう固定テーブル5を湾曲させることができる。なお、制御装置80は、左右のクラウニング機構19L、19Rの目標出力をその都度算出する必要はなく、加工条件として与えられる場合には、これを利用することができる。
【0027】
以上説明したように、曲げ加工時における固定テーブル5及び可動テーブル7のたわみ量を打ち消して、下型6と上型8との間隔を一定となるよう固定テーブル5を湾曲させるためには、左右のクラウニング出力を適切に制御する必要がある。そのため、左右のクラウニング出力を精度良く検出することは、曲げ加工における重量な要素である。
【0028】
このような構成の曲げ加工機1では、固定テーブル5に装着した下型6上に板状のワークが位置決めされる。制御装置80は、可動テーブル7を固定テーブル5に向かって下降させる。これにより、上型8と下型6との間でワークが加圧され、上型8と下型6との協働によってワークが所望の目標曲げ角度となるよう折り曲げられる。
【0029】
以下、図3から図5を参照して、クラウニング機構19及び荷重検出部60の詳細な構成について説明する。図4Aは、クラウニング機構及び荷重検出部の構成を示す上面図である。図4Bは、クラウニング機構及び荷重検出部の構成を示す側面図である。図4Cは、クラウニング機構及び荷重検出部の構成を示す斜視図である。図5は、第1実施形態に係るトルクアームの取付け位置を模式的に示す図である。
【0030】
先ず、クラウニング機構19の詳細な構成について説明する。クラウニング機構19は、偏心軸20と、駆動部50とを備えている。
【0031】
図3に示すように、偏心軸20は、前部20F、中央部(偏心部)20C、及び後部20Bの3つの部位から構成されており、前後方向Yに沿う回転軸Arを中心に回転する。前部20F及び後部20Bの中心は偏心軸20の回転軸Arと一致し、偏心部20Cの中心は偏心軸20の回転軸Arから所定偏心量ΔEだけ偏心している。
【0032】
偏心軸20は、貫通穴部17に挿入される。具体的には、前部20Fは前側の支持板11に設けられた貫通穴17Fに挿入され、後部20Bは後側の支持板13に設けられた貫通穴17Bに挿入される。偏心軸20は、支持リング30を介して前側の支持板11及び後側の支持板13に支持され、回転自在となっている。具体的には、前部20Fが支持リング30を介して前側の支持板11に支持され、後部20Bが支持リング30を介して後側の支持板13に支持される。前側及び後側の支持板11、13に偏心軸20が支持された状態において、偏心部20Cは固定テーブル5の受圧面5Pの下方に位置するよう構成されている。固定テーブル5の受圧面5Pは固定テーブル5の下端に設けられている。
【0033】
偏心軸20の偏心部20Cの周囲は、中心に貫通穴が設けられた中央リング70によって囲まれている。中央リング70には前後方向に並んだ一対の軸受部42が内嵌されており、偏心部20Cは一対の軸受部42によって回転自在に支持される。偏心軸20が回転軸Ar周りで回転方向Rに回転したときに、回転軸Arから所定偏心量ΔEだけ偏心した偏心部20Cは、上下方向に移動する。偏心部20Cの移動に伴って中央リング70が上下方向に移動することで、中央リング70が固定テーブル5の受圧面5Pを前側及び後側の支持板11、13に対して上方向に押圧する。偏心軸20は、固定テーブル5の受圧面5Pを押圧することで固定テーブル5を上方向へ凸上に湾曲させる。したがって、偏心軸20の回転角度が変化することで中央リング70が固定テーブル5の受圧面5Pを押圧する際の荷重、すなわちクラウニング出力が変化する。
【0034】
支持リング30は、前側及び後側の支持板11、13にそれぞれ設けられ、偏心軸20を回転自在に支持する円筒状のリングである。支持リング30は、前側及び後側の支持板11、13に設けられた貫通穴17F、17Bによって支持される外周部31と、偏心軸20を回転軸Ar周りに回転自在に支持する内周部32とを有している。内周部32には、偏心軸20を軸支する軸受部40が内嵌されている。軸受部40は、例えば自動調心ころ軸受である。
【0035】
本実施形態では、偏心軸20が支持リング30を介して前側及び後側の支持板11、13に支持される構成を例示したが、偏心軸20を支持する構成はこれに限定されない。例えば、前後の貫通穴17F、17Bそれぞれに軸受部40を内篏させ、偏心軸20は支持リング30を介さずに前側及び後側の支持板11、13に支持される構成としてもよい。
【0036】
駆動部50は、電動機51と、減速機52とを有している。本実施形態では、電動機51と減速機52は、モータベース54を介して連結されている。したがって、電動機51と減速機52は一体となっている。
【0037】
電動機51は、例えばサーボモータである。電動機51は、出力軸55を回転させるこことで偏心軸20を回転駆動させる。回転駆動される偏心軸20の回転角度は、クラウニング出力と比例しており、偏心軸20の回転角度によってクラウニング出力が変化する。電動機51は、制御装置80によって制御される。
【0038】
減速機52は、電動機51の回転速度を減速して偏心軸20に伝達する。減速機52は、遊星歯車を用いた同心軸式減速機である。減速機52によって減速された電動機51の回転速度は、連結部53を介して偏心軸20に伝達される。換言すれば、減速機52は電動機51の回転トルクを増幅して偏心軸20に伝達する。減速機52の減速比は、固定テーブル5の剛性に基づいて適宜設定される。なお、本実施形態では減速機52に遊星歯車を用いた同心軸式減速機を例示したが、減速機52の種類はこれに限定されない。例えば減速機52は、平行軸歯車減速機であってもよいし、垂直軸歯車減速機であってもよい。
【0039】
以上、クラウニング機構19の構成について説明した。左右のクラウニング機構19L、19Rは、独立して制御することができる。左右のクラウニング機構19L、19Rを独立して制御することで、固定テーブル5の左右方向Xにおける湾曲状態を調整することができる。湾曲状態の調整には、左側、中央、右側といった固定テーブル5を湾曲させる位置、湾曲の形状、湾曲の程度などを調整することが含まれる。
【0040】
次に、荷重検出部60の詳細な構成について説明する。荷重検出部60は、トルクアーム61と、ひずみ検出センサ63とを有している。
【0041】
トルクアーム61は、後側の支持板13に対して駆動部50を連結して駆動部50が偏心軸20を回転駆動させたときの反力(トルク)CFを受ける。具体的には、トルクアーム61の一端は、モータベース54に固定され、トルクアーム61の他端は後側の支持板13に固定されている。トルクアーム61とモータベース54及び後側の支持板13とは、それぞれボルトナットで締結されている。これにより、電動機51の回転トルクを偏心軸20に伝達することができ、電動機51は偏心軸20を回転駆動させることができる。
【0042】
なお、本実施形態では、トルクアーム61がモータベース54と後側の支持板13とにそれぞれ固定されることで、後側の支持板13に対して駆動部50を連結するが、駆動部50の連結方法はこれに限定されない。トルクアーム61は、偏心軸20を回転駆動させたときに反力CFを受ける駆動部50の部位に固定される構造となっていればよい。したがって、モータベース54によって電動機51と減速機52とが一体となっている場合、トルクアーム61の一端は、モータベース54に限らず、電動機51そのものに固定されてもよいし、減速機52に固定されてもよい。また、トルクアーム61の他端は、後側の支持板13に限らず、加工機本体を構成する前側の支持板11、左右のサイドフレーム3L、3Rなどに固定されてもよい。
【0043】
ひずみ検出センサ63は、ひずみを検出可能なセンサである。ひずみ検出センサ63は、例えば、ひずみゲージ、距離センサ、角度センサ等を用いることができる。なお、本実施形態では、ひずみ検出センサ63にひずみゲージを用いる。ひずみ検出センサ63は、トルクアーム61に取付けられる。具体的には、ひずみ検出センサ63は、取付プレート62を介してトルクアーム61に取付けられている。取付プレート62は、板厚、材質といった機械特性がトルクアーム61とは相違する材料から形成されており、トルクアーム61に着脱可能に取り付けられている。電動機51が偏心軸20を回転駆動させ、固定テーブル5を変位させたとき、トルクアーム61には偏心軸20からの反力(トルク)CFが作用する。反力CFを受けたトルクアーム61、並びにトルクアーム61に取り付けられた取付プレート62には、反力CFに応じたひずみが生じる。ひずみ検出センサ63は、取付プレート62に生じたひずみを検出することで、反力CFを検出する。取付プレート62に生じるひずみは、トルクアーム61に生じるひずみに比例し、偏心軸20からの反力CFに比例する。また、偏心軸20からの反力CFは、偏心軸20の回転角度、すなわちクラウニング出力(固定テーブル5の変位)と比例する。したがって、ひずみ検出センサ63は、偏心軸20を回転駆動した際にトルクアーム61が受けた反力CF、ひいては、クラウニング出力を検出したこととなる。ひずみ検出センサ63は、検出した反力CFをクラウニング出力として制御装置80に送信する。
【0044】
制御装置80は、トルクアーム61が受けた反力CFに基づいて、駆動部50を制御する。具体的には、制御装置80は、ひずみ検出センサ63によって測定されたクラウニング出力が目標出力となるように偏心軸20を回転駆動する。
【0045】
[作用効果]
以上説明したように、第1実施形態によれば、以下作用効果が得られる。
【0046】
曲げ加工機1は、偏心軸20を回転駆動させる電動機51を有する駆動部50と、固定テーブル5を含む加工機本体に対して駆動部50を連結して駆動部50が偏心軸20を回転駆動させたときの反力CFを受けるトルクアーム61と、トルクアーム61に取付けられる、ひずみを検出可能なひずみ検出センサ63とを備えている。駆動部50が偏心軸20を回転駆動させたとき、偏心軸20からの反力CFを受けたトルクアーム61にはひずみが生じる。トルクアーム61に取付けられたひずみ検出センサ63は、トルクアーム61に生じたひずみを検出する。これにより、トルクアーム61に生じたひずみに基づいて、偏心軸20が固定テーブル5を押圧したときの荷重、すなわちクラウニング出力を精度良く検出することができる。
【0047】
クラウニング出力は、トルクアーム61が受ける反力CFに比例する。トルクアーム61は、左右のクラウニング機構19L、19Rにそれぞれ個別に設けられ、それぞれ独立した構造体から構成されている。これにより、左右のクラウニング機構19L、19Rのうちの一方のクラウニング出力の影響を受けることなく、他方のクラウニング出力を検出することができる。したがって、左右のクラウニング出力をそれぞれ精度良く検出することができる。また、左右のクラウニング出力をそれぞれ精度良く検出することができるので、曲げ加工時におけるパンチとダイとの間隔を一定とし、通り精度を向上させることができる。
【0048】
ひずみ検出センサ63は、取付プレート62を介してトルクアーム61に取付けられる。取付プレート62は、板厚、材質などの機械特性が取付プレート62と相違しており、取付プレート62とトルクアーム61とではひずみ特性が相違する。これにより、ひずみ検出センサ63の特性に合わせて、取付プレート62のひずみ特性を調整することができ、特性の異なるひずみ検出センサ63に対応することができる。例えば、曲げ加工機1には、C形状のサイドフレーム3L、3Rの開き量を検出するひずみ検出センサが利用されるが、サイドフレーム3L、3Rの開き量(ひずみ量)を検出するひずみ検出センサと、トルクアーム61のひずみを検出するひずみ検出センサ63とでは分解能が相違する。しかしながら、取付プレート62を利用してひずみ特性を調整することで、検出分解能が異なるセンサであっても、ひずみ検出センサ63として利用することができる。これにより、曲げ加工機1に利用される部品の共用化を図ることができるので、製造コストの低減を図ることができる。
【0049】
取付プレート62は、トルクアーム61に対して着脱可能に取り付けられている。これにより、板厚、材質などの機械特性が異なる複数の取付プレート62の中から、所望の取付プレート62をトルクアーム61に取り付けることができる。そのため、曲げ加工機1の製造時、或いは、曲げ加工機1が実際に稼働する作業現場で、曲げ加工機1の仕様及び加工形態に応じた取付プレート62を選択することができる。
【0050】
駆動部50は、電動機51の回転を減速して偏心軸20に伝達する減速機52を含み、電動機51及び減速機52が一体となっている場合、トルクアーム61は電動機51又は減速機52に固定される。電動機51及び減速機52が一体となっている場合、電動機51及び減速機52は、偏心軸20を回転駆動させたときに反力CFを受ける部位となる。したがって、トルクアーム61は、電動機51又は減速機52に固定されることにより、偏心軸20からの反力CFを受けることができる。これにより、取付プレート62を介してトルクアーム61に取付けられたひずみ検出センサ63は、トルクアーム61が受ける反力CFを測定することができる。よって、制御装置80は、トルクアーム61が受ける反力CFに基づいて、クラウニング出力を精度良く制御することができる。
【0051】
制御装置80は、ひずみ検出センサ63が検出した、トルクアーム61が受けた反力CFに基づいて、駆動部50を制御する。トルクアーム61に生じるひずみは、偏心軸20を回転駆動させたときに生じる反力CFにより発生する。したがって、制御装置80は、トルクアーム61に生じたひずみに基づいて、駆動部50を制御することで、クラウニング出力を精度良く制御することができる。
【0052】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態に係るトルクアームの取付け位置を模式的に示す図である。以下、図6を参照し、第2実施形態に係る曲げ加工機1について説明する。なお、第1実施形態との相違点についてのみ説明し、その他同一の構成については説明を省略する。なお、第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0053】
第2実施形態に係る曲げ加工機1は、電動機51及び減速機52が別体となっている。具体的には、電動機51は後側の支持板13とは異なる部材16に固定されている。この場合、トルクアーム61は減速機52に固定される。減速機52は、偏心軸20を回転駆動させたときに反力CFを受ける部位である。トルクアーム61が減速機52に固定されることにより、制御装置80はトルクアーム61が受けた反力CFからクラウニング出力を検出することができる。
【0054】
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態に係るトルクアームの取付け位置を模式的に示す図である。以下、図7を参照し、第3実施形態に係る曲げ加工機1について説明する。なお、第1実施形態との相違点についてのみ説明し、その他同一の構成については説明を省略する。なお、第3実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0055】
第3実施形態に係る曲げ加工機1は、駆動部50は減速機52を備えておらず、電動機51が直接的に偏心軸20を回転駆動させている。この場合、トルクアーム61は電動機51に固定される。電動機51は、偏心軸20を回転駆動させたときに反力CFを受ける部位である。トルクアーム61が電動機51に固定されることにより、制御装置80はトルクアーム61が受けた反力CFからクラウニング出力を検出することができる。
【0056】
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【符号の説明】
【0057】
1 曲げ加工機
5 固定テーブル
5P 受圧面
7 可動テーブル
11 前側の支持板
13 後側の支持板
20 偏心軸
20C 中央部(偏心部)
50 駆動部
51 電動機
52 減速機
60 荷重検出部
61 トルクアーム
62 取付プレート
63 ひずみ検出センサ
80 制御装置
Ar 回転軸
CF 反力
ΔE 所定偏心量
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7