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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152448
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】現像装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20231010BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
G03G21/16 176
G03G21/16 133
G03G15/08 390B
G03G15/08 390Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062474
(22)【出願日】2022-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 淳
(72)【発明者】
【氏名】萩之内 友
【テーマコード(参考)】
2H077
2H171
【Fターム(参考)】
2H077AD02
2H077AD06
2H077BA08
2H077BA09
2H077CA11
2H077GA04
2H171FA03
2H171FA13
2H171GA11
2H171GA29
2H171HA23
2H171JA04
2H171JA05
2H171JA06
2H171JA10
2H171JA23
2H171JA27
2H171JA28
2H171JA29
2H171JA30
2H171JA31
2H171JA32
2H171JA45
2H171JA48
2H171JA52
2H171JA59
2H171KA05
2H171KA06
2H171KA23
2H171QA08
2H171QB02
2H171QB32
2H171QB35
2H171QB36
2H171QC03
2H171QC22
2H171QC29
2H171QC36
(57)【要約】
【課題】簡易な構造にてフィルタ装着忘れによるトナー漏れを防止することのできる現像装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置に用いられる現像ユニット13は、、現像槽の内部の空気を排出するための排気口134と、排気口134に対して着脱可能に設けられるフィルタ132とを備える。現像ユニット13のフロント側端部側面には、フィルタ132の非装着時に第1位置に保持され、フィルタ132を装着する際の装着動作に伴って第1位置から第2位置に移動する可動レバー136が備えられる。可動レバー136が第1位置にあるときには、画像形成装置における位置決めカバー17が可動レバー136に干渉して閉じることができなくなる。
【選択図】図5B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に用いられ、現像槽の内部の空気を排出するための排気口と、前記排気口に対して着脱可能に設けられるフィルタとを備える現像装置であって、
当該現像装置を前記画像形成装置に装着した場合におけるフロント側の端部側面に、前記フィルタの非装着時には第1位置に保持され、前記フィルタを装着する際の装着動作に伴って前記第1位置から第2位置に移動する可動部材を備えることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の現像装置であって、
前記可動部材は、当該現像装置が前記画像形成装置に装着され、かつ、前記フィルタが非装着のときには、重力の作用によって前記第1位置に保持されることを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の現像装置であって、
前記フィルタの着脱方向は、現像ローラの回転軸方向と平行な方向であり、
前記フィルタは、当該現像装置が前記画像形成装置に装着された状態での着脱が可能であることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の現像装置であって、
前記可動部材は、回動移動によって前記第1位置と前記第2位置との間で変位可能であると共に、ガイドボスを有するものであり、
前記フィルタは、当該現像装置への着脱動作に伴って前記ガイドボスを案内し、前記可動部材を前記第1位置と前記第2位置との間で回動させるガイド溝を有していることを特徴とする現像装置。
【請求項5】
現像装置を備える画像形成装置であって、
前記現像装置は、
現像槽の内部の空気を排出するための排気口と、前記排気口に対して着脱可能に設けられるフィルタと、
当該現像装置を前記画像形成装置に装着した場合におけるフロント側の端部側面に、前記フィルタの非装着時には第1位置に保持され、前記フィルタを装着する際の装着動作に伴って前記第1位置から第2位置に移動する可動部材と、を有し、
前記現像装置に対する一方の端部側に開閉部材を備えており、
前記開閉部材は、前記現像装置の前記可動部材が前記第1位置にあるときには前記可動部材と干渉して閉じることができず、前記可動部材が前記第2位置にあるときには前記可動部材と干渉せずに閉じることができることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置であって、
前記可動部材は、当該現像装置が前記画像形成装置に装着され、かつ、前記フィルタが非装着のときには、重力の作用によって前記第1位置に保持されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の画像形成装置であって、
前記フィルタの着脱方向は、現像ローラの回転軸方向と平行な方向であり、
前記フィルタは、当該現像装置が前記画像形成装置に装着された状態での着脱が可能であり、
前記可動部材は、回動移動によって前記第1位置と前記第2位置との間で変位可能であると共に、ガイドボスを有するものであり、
前記フィルタは、当該現像装置への着脱動作に伴って前記ガイドボスを案内し、前記可動部材を前記第1位置と前記第2位置との間で回動させるガイド溝を有していることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ付きの現像装置、およびこれを使用する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において使用される現像装置は、感光体ドラムとの対向箇所に開口を有し、この開口から現像ローラを露出させ、感光体ドラム表面の静電潜像を現像する。このとき、現像装置の内圧が高いと、開口と現像ローラとの隙間から空気が漏れ、これに伴って必要以上のトナーが放出されて所望の現像が行えなかったり、現像装置外部(画像形成装置内部)へのトナー飛散が生じたりするといった問題がある。このため、現像装置の筐体に排気口(圧抜き孔)を設け、この排気口からの排気を行うことで現像装置の内圧を下げてトナー飛散などを防止することが行われている。また、このような現像装置では、排気口からのトナー漏れを防止するために、排気口に対してフィルタが設けられる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-189787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1において、排気口に設けられるフィルタは、トナーによる目詰まりが生じると、現像装置の内圧を下げる効果を低下させる。そのため、このフィルタは、現像装置に対して着脱可能に装着されるようになっており、交換やメンテナンスが容易に行えるものとされている。一方、現像装置に対して着脱可能なフィルタは、現像装置に対する装着忘れの問題がある。フィルタ装着忘れの状態で画像形成装置を稼働させると、現像装置の排気口からトナーが大量に漏れ出し、画像形成装置の内部を著しく汚染する恐れがある。
【0005】
フィルタ装着忘れによるトナー漏れを防止するには、一般的には、センサやスイッチなどの検出デバイスにてフィルタ装着忘れを検出し、フィルタ装着忘れが検出された場合に画像形成装置を稼働させないようにする。しかしながら、この方法では、検出デバイスを必要とすることで構造が複雑となり、画像形成装置における部品点数の増加やコストアップの問題が生じる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、簡易な構造にてフィルタ装着忘れによるトナー漏れを防止することのできる現像装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の第1の態様である現像装置は、画像形成装置に用いられ、現像槽の内部の空気を排出するための排気口と、前記排気口に対して着脱可能に設けられるフィルタとを備える現像装置であって、当該現像装置を前記画像形成装置に装着した場合におけるフロント側の端部側面に、前記フィルタの非装着時には第1位置に保持され、前記フィルタを装着する際の装着動作に伴って前記第1位置から第2位置に移動する可動部材を備えることを特徴としている。
【0008】
上記の構成によれば、現像装置においてフィルタが装着されていないときには可動部材が第1位置に保持され、フィルタが装着されることによって可動部材が第1位置から第2位置に移動する。このため、可動部材の位置変化を利用する簡易な構造(フィルタ装着を検出する検出デバイスを用いない構造)によって、ユーザがフィルタ装着忘れを容易に認識できる。
【0009】
また、上記現像装置では、前記可動部材は、当該現像装置が前記画像形成装置に装着され、かつ、前記フィルタが非装着のときには、重力の作用によって前記第1位置に保持される構成とすることができる。
【0010】
上記の構成によれば、フィルタの非装着時に可動部材を第1位置に保持するための弾性部材などを必要とせず、現像装置の構造をより簡易化することができる。
【0011】
また、上記現像装置では、前記フィルタの着脱方向は、現像ローラの回転軸方向と平行な方向であり、前記フィルタは、当該現像装置が前記画像形成装置に装着された状態での着脱が可能である構成とすることができる。
【0012】
上記の構成によれば、現像装置に対するフィルタの着脱方向を、画像形成装置に対する現像装置の着脱方向(通常、現像ローラの回転軸方向と平行な方向)と同じにすることができ、現像装置が画像形成装置に装着された状態でフィルタのみの着脱が可能となる。
【0013】
また、上記現像装置では、前記可動部材は、回動移動によって前記第1位置と前記第2位置との間で変位可能であると共に、ガイドボスを有するものであり、前記フィルタは、当該現像装置への着脱動作に伴って前記ガイドボスを案内し、前記可動部材を前記第1位置と前記第2位置との間で回動させるガイド溝を有している構成とすることができる。
【0014】
上記の構成によれば、簡易な構造にて、可動部材の回動動作をフィルタの着脱動作に連動させることができる。
【0015】
また、上記の課題を解決するために、本発明の第2の態様である画像形成装置は、現像装置を備える画像形成装置であって、前記現像装置は、現像槽の内部の空気を排出するための排気口と、前記排気口に対して着脱可能に設けられるフィルタと、当該現像装置を前記画像形成装置に装着した場合におけるフロント側の端部側面に、前記フィルタの非装着時には第1位置に保持され、前記フィルタを装着する際の装着動作に伴って前記第1位置から第2位置に移動する可動部材と、を有し、前記現像装置に対する一方の端部側に開閉部材を備えており、前記開閉部材は、前記現像装置の前記可動部材が前記第1位置にあるときには前記可動部材と干渉して閉じることができず、前記可動部材が前記第2位置にあるときには前記可動部材と干渉せずに閉じることができることを特徴としている。
【0016】
上記の構成によれば、現像装置にフィルタが装着されていない場合、すなわち、可動部材が第1位置にある場合は、可動部材の干渉によって開閉部材を閉じることができなくなる。ユーザは、開閉部材が閉じられないことで現像装置におけるフィルタの装着忘れを容易に認識でき、フィルタの装着忘れの状態で画像形成装置を稼働させることを防止できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の現像装置および画像形成装置は、現像装置におけるフィルタ装着の有無による可動部材の位置変化を利用する簡易な構造によって、ユーザがフィルタ装着忘れを容易に認識できるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明が適用される画像形成装置において、画像形成部の基本構成を示す説明図である。
図2】本発明の一実施形態を示すものであり、実施の形態1に係る現像ユニットの外観を示す斜視図である。
図3】現像ユニットの縦断面図である。
図4】現像ユニットから抜き出されたフィルタの分解斜視図である。
図5A】現像ユニットのフロント側端部を示す拡大斜視図であり、フィルタが装着されていない状態を示している。
図5B】現像ユニットのフロント側端部を示す拡大斜視図であり、フィルタが装着されている状態を示している。
図6】フィルタのフロント側端部における裏面拡大図である。
図7A】現像ユニットへのフィルタの装着過程を示す図であり、現像ユニットのフロント側端部を斜め下方向から見た図である。
図7B】現像ユニットへのフィルタの装着過程を示す図であり、現像ユニットのフロント側端部を斜め下方向から見た図である。
図7C】現像ユニットへのフィルタの装着過程を示す図であり、現像ユニットのフロント側端部を斜め下方向から見た図である。
図7D】現像ユニットへのフィルタの装着過程を示す図であり、現像ユニットのフロント側端部を斜め下方向から見た図である。
図8A】画像形成装置内部における、現像ユニットの周辺部分を示した正面図であり、現像ユニットにフィルタが装着されている状態を示している。
図8B】画像形成装置内部における、現像ユニットの周辺部分を示した正面図であり、現像ユニットにフィルタが装着されていない状態を示している。
図9A】実施の形態2に係る現像ユニットにおいて、フィルタの装着過程における可動レバーの回動作用を説明する側面図である。
図9B】実施の形態2に係る現像ユニットにおいて、フィルタの装着過程における可動レバーの回動作用を説明する側面図である。
図10】実施の形態3に係る現像ユニットの外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔実施の形態1〕
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明が適用される画像形成装置において、画像形成部の基本構成を示す説明図である。
【0020】
図1に示す画像形成部では、感光体ドラム10の周囲に、帯電ユニット11、露光ユニット12、現像ユニット(現像装置)13、転写ローラ14、除電ランプ15、およびクリーニングユニット16が、感光体ドラム10の回転方向(図中の矢印R方向)に沿って配置されている。
【0021】
帯電ユニット11は、感光体ドラム10の表面を所定電位に帯電させるものであり、例えば、スコロトロン帯電器が使用される。帯電ユニット11には、図示しない帯電バイアス電源からの出力電圧(帯電バイアス)が印加される。露光ユニット12は、均一に帯電された感光体ドラム10の表面に、図示しない画像処理部から出力された画像データに対応する光を照射して露光する。これによって、感光体ドラム10の表面に画像データに対応した静電潜像が形成される。
【0022】
現像ユニット13は、感光体ドラム10上に形成された静電潜像をトナーで可視像化するものであり、感光体ドラム10に対向配置される現像ローラ131を含む。現像ローラ131は、現像ユニット13の装置筐体に設けられた開口133(図3参照)から露出した状態で、感光体ドラム10に対向配置される。現像ユニット13では、現像ユニット13の内部から現像ローラ131の外周に現像剤(トナー、もしくはトナーおよびキャリア)が供給されて、感光体ドラム10上に形成された静電潜像がトナーによって可視像化される(感光体ドラム10上にトナー像が形成される)。このとき、現像ローラ131には、図示しない現像バイアス電源からの出力電圧(現像バイアス)が印加される。
【0023】
転写ローラ14は、感光体ドラム10との間に記録用紙の搬送路(図1では図示省略)を有しており、搬送されてくる記録用紙を感光体ドラム10に押圧しながら搬送することができる。また、転写ローラ14には、図示しない転写バイアス電源からの出力電圧(転写バイアス)が印加され、感光体ドラム10上のトナー像を記録用紙に転写する。トナー像が転写された記録用紙は、図示しない定着ユニットに搬送され、転写されたトナー像の定着が行われる。
【0024】
除電ランプ15は、感光体ドラム10の表面に除電光を照射し、感光体ドラム10表面の残留電荷を除去する。クリーニングユニット16は、クリーニングブレード161によって感光体ドラム10の表面の残留トナーを除去する。
【0025】
図2は、本実施の形態1に係る現像ユニット13の外観を示す斜視図である。図3は、現像ユニット13の縦断面図である。図4は、現像ユニット13から抜き出されたフィルタ132の分解斜視図である。図中における矢印A方向は、画像形成装置への装着時の上下方向を示している。現像ユニット13は、感光体ドラム10との対向箇所に開口133を有し、開口133から現像ローラ131を露出させる。また、現像ユニット13は、開口133と現像ローラ131との隙間からの不所望なトナー飛散を防止するため、ユニット内圧が下げられ構成となっている。具体的には、現像ユニット13に排気口134を設け、排気口134から排気を行うことでユニット内圧が下げられる。また、排気口134からの排気と共にトナー漏れが発生することを防止するため、排気口134に対してはフィルタ132が設けられる。
【0026】
フィルタ132は、交換やメンテナンスを容易にするため、現像ユニット13に対して着脱可能な構成とされている。本実施の形態1に係る現像ユニット13では、フィルタ132は、現像ローラ131の回転軸方向と平行な方向(図中、矢印B方向)にスライド移動させることで現像ユニット13に対して着脱可能となっている。通常、現像ユニット13も画像形成装置本体に対してスライド移動によって着脱可能であるが、その着脱方向(スライド移動方向)はフィルタ132の着脱方向と同じである。このため、現像ユニット13が画像形成装置に装着された状態で、フィルタ132のみの着脱が可能となる。フィルタ132および現像ユニット13は、画像形成装置に対してはフロント側から着脱可能である。
【0027】
フィルタ132は、図4に示すように、ホルダ部材132aにてフィルタ部材132bを保持する構成とされている。また、図2および図3に示されるフィルタカバー135は、フィルタ132の着脱時のスライド移動をガイドする機能、装着されたフィルタ132を保持する機能、および排気口134から排出される空気のダクトとなる機能を有する部材である。図3では、フィルタカバー135をダクトとする空気の流れを太線矢印にて示している。
【0028】
現像ユニット13において、フィルタ132の装着を忘れた状態で画像形成装置を稼働させると、排気口134からトナーが大量に漏れ出し、画像形成装置の内部がトナー汚染されることは上述した通りである。このため、本実施の形態1における画像形成装置は、現像ユニット13におけるフィルタ装着忘れが生じている状態での稼働を不可とする構造を有している。以下、この構造について詳細に説明する。
【0029】
図5Aおよび図5Bは、現像ユニット13の一方の端部、すなわちフィルタ132の挿入方向上流側端部(以下、フロント側端部)を示す拡大斜視図である。図5Aはフィルタ132が装着されていない状態の現像ユニット13を示しており、図5Bはフィルタ132が装着されている状態の現像ユニット13を示している。
【0030】
現像ユニット13のフロント側端部側面には、可動レバー136が備えられている。可動レバー136は、フィルタ132の着脱方向と平行な回転軸周りでの回動が可能であり、その回動範囲は図5Aに示す第1位置と図5Bに示す第2位置との間とされている。すなわち、可動レバー136は、現像ユニット13にフィルタ132が装着されていない状態では第1位置にあり、フィルタ132が装着されるときの装着動作に連動して第2位置に移動する。また、現像ユニット13のフロント側端部側面には、第1位置にある可動レバー136と当接し、可動レバー136が第1位置を超えて回動することを規制する規制突起137が設けられていてもよい。
【0031】
可動レバー136は、現像ユニット13にフィルタ132が装着されていないときには、重力の作用によって第1位置に保持される構成とすることが好ましい。そして、現像ユニット13にフィルタ132が装着されたときには、フィルタ132との当接によって押圧力を受け、この押圧力の作用により、重力に抗して第2位置側へ回動する。但し、本発明はこれに限定されるものではなく、可動レバー136は、バネなどの弾性部材によって第1位置側に付勢されており、フィルタ132の装着時には弾性部材の付勢力に抗して第2位置側へ回動する構成であってもよい。
【0032】
尚、可動レバー136は、現像ユニット13にフィルタ132が装着されておらず、第1位置に保持される場合に、その保持が確実に行われるような保持機構を有することが好ましい。そのような保持機構の具体例としては、可動レバー136と現像ユニット13の本体との互いの摺擦面において、例えば、可動レバー136側に凸部、現像ユニット13側に凹部を設ける構成が考えられる。これらの凸部および凹部は、可動レバー136が第1位置にある場合に互いに係合し、可動レバー136を保持するものとなる。このような保持機構を備えることにより、現像ユニット13にフィルタ132が装着されていない状態で、振動などによって可動レバー136が第1位置から回動してしまうことを抑制できる。
【0033】
続いて、フィルタ132の着脱に伴って可動レバー136を回動させる構成について説明する。図6は、フィルタ132のフロント側端部における裏面拡大図である。図7A図7Dは、現像ユニット13へのフィルタ132の装着(挿入)過程を示す図であり、現像ユニット13のフロント側端部を斜め下方向から見た図である。尚、図7Aは、現像ユニット13からフィルタ132が外された状態を示しており、フィルタ132は図示されていない。
【0034】
図6に示すように、フィルタ132のフロント側端部の裏面には、ガイド溝132cが設けられている。一方、図7Aに示すように、可動レバー136は、一方の端部にガイドボス136aを有し、他方の端部にレバーボス136bを有している。可動レバー136の回転軸は、ガイドボス136aおよびレバーボス136bの間に設けられている。すなわち、可動レバー136の回動により、ガイドボス136aおよびレバーボス136bの両方が変位可能である。
【0035】
現像ユニット13へのフィルタ132の挿入時、可動レバー136のガイドボス136aは、フィルタ132のガイド溝132cに係合し、フィルタ132の挿入に従ってガイド溝132cによる案内を受ける。具体的には、ガイド溝132cは、フィルタ132の裏面から下方に立設された2本のリブによって構成されており、リブ間の溝にガイドボス136aを配置させてこれを案内する。ガイド溝132cにおけるガイドボス136aの入口側は、可動レバー136が第1位置にあるときのガイドボス136aが確実に溝内に入り込めるよう、広めに開放されている。ガイドボス136aにおけるガイドボス136aの終点側は、可動レバー136が第2位置にあるときのガイドボス136aを保持できるようになっている。ガイド溝132cにおける入口側と終点側との間は、フィルタ132の挿入に従ってガイドボス136aがスムーズに移動できるように、溝が斜行して(フィルタ132の着脱方向に対して傾いて)形成されている。
【0036】
このように、フィルタ132のガイド溝132cと可動レバー136のガイドボス136aとの連結動作により、現像ユニット13へのフィルタ132の挿入に伴って、可動レバー136は第1位置から第2位置へ回動する(図7Aから図7Dへ向かう動きとなる)。そして、フィルタ132が現像ユニット13に装着された状態では、可動レバー136は第2位置で保持される。また、現像ユニット13からのフィルタ132の抜去時には、逆の動きにより、可動レバー136は第2位置から第1位置へ回動する(図7Dから図7Aへ向かう動きとなる)。
【0037】
画像形成装置に装着された現像ユニット13は、現像ローラ131などの回転部材に関し、その回転軸が位置決めされる必要がある。このため、画像形成装置には、図8Aおよび図8Bに示すような位置決めカバー(開閉部材)17が備えられている。尚、図8Aおよび図8Bは、画像形成装置のフロント側の筐体カバーを外し、画像形成装置内部における現像ユニット13の周辺部分を示した正面図である。また、図8Aは現像ユニット13にフィルタ132が装着されている状態を示しており、図8Bは現像ユニット13にフィルタ132が装着されていない状態を示している。
【0038】
位置決めカバー17は、現像ユニット13に対して画像形成装置のフロント側で開閉可能に配置されている。画像形成装置に対する現像ユニット13またはフィルタ132の着脱は、位置決めカバー17を開いた状態で行われる。画像形成装置の稼働時には、位置決めカバー17は閉じられる。
【0039】
現像ユニット13にフィルタ132が装着されている場合、すなわち、可動レバー136が第2位置にある場合は、図8Aに示すように、可動レバー136のレバーボス136bは位置決めカバー17に干渉しない位置にある。このため、位置決めカバー17を閉じることができ、画像形成装置を稼働可能な状態とすることができる。
【0040】
一方、現像ユニット13にフィルタ132が装着されていない場合、すなわち、可動レバー136が第1位置にある場合は、図8Bに示すように、可動レバー136のレバーボス136bは位置決めカバー17に干渉する位置にある。このため、位置決めカバー17を閉じようとしても、レバーボス136bの干渉によって位置決めカバー17を閉じることができなくなる。位置決めカバー17を閉じることができなければ、ユーザは現像ユニット13におけるフィルタ132の装着忘れを容易に認識でき、フィルタ132の装着忘れの状態で画像形成装置を稼働させることを防止できる。また、画像形成装置は、位置決めカバー17の開閉を検知するセンサを備え、このセンサによって位置決めカバー17の開状態が検知されている場合は、画像形成装置を稼働できないように電気制御されてもよい。この場合には、フィルタ132の装着忘れの状態で画像形成装置を稼働させることを確実に防止することができる。
【0041】
〔実施の形態2〕
上記実施の形態1では、現像ユニット13に対するフィルタ132の着脱方向を、現像ローラ131の回転軸方向としている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、現像ユニット13に対するフィルタ132の着脱方向は他の方向であってもよい。例えば、フィルタ132の着脱方向は、現像ローラ131の回転軸と直交する方向(例えば、上下方向)であってもよい。
【0042】
フィルタ132の着脱方向を上下方向とする場合は、例えば図9Aおよび図9Bに示すように、フィルタ132に当接部132dを設け、フィルタ132が装着される過程(図9A図9B)で、可動レバー136のガイドボス136aと当接部132dとの当接によって、可動レバー136が第1位置から第2位置へ回動する構成とすればよい。すなわち、当接部132dは、ガイドボス136aとの当接面がフィルタ132の着脱方向に対して傾斜した斜面となっており、フィルタ132の着脱に伴ってガイドボス136aを斜面に沿って移動させることができる。当接部132dは、現像ローラ131の回転軸方向においてガイドボス136aと対応する位置に設けられる。
【0043】
尚、フィルタ132においてガイドボス136aを回動させる作用を与えるのは、上述のような当接部132dに限定されるものではなくガイド溝であってもよい。但し、フィルタ132の着脱方向が上下方向である場合のガイド溝は、実施の形態1におけるガイド溝132cとは異なり、現像ローラ131の回転軸方向に対して直交し、かつ上下方向に平行な面(このような面を有する部分がフィルタ132のフロント側端部において設けられる)に形成される。
【0044】
また、フィルタ132の着脱方向を上下方向とする場合、現像ユニット13にフィルタカバー135が備えられているとフィルタ132の着脱の邪魔となる。この場合、フィルタカバー135は、現像ユニット13において省略されていてもよく、あるいは、フィルタ132にフィルタカバー135を備える構成とされていてもよい。
【0045】
〔実施の形態3〕
上記実施の形態1では、フィルタカバー135に、排気口134から排出される空気のダクトとなる機能を持たせる構成を例示した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、フィルタカバー135は、ダクト機能を持たない構成であってもよい。図10は、本実施の形態3に係る現像ユニット13’の外観を示す斜視図である。現像ユニット13’は、実施の形態1におけるフィルタカバー135に代えて、フィルタカバー135’を備えた構成である。
【0046】
フィルタカバー135’は、その上面に通気口135aを有している。現像ユニット13’では、ユニット内圧を下げるため、排気口134、フィルタ部材132b(図3参照)、および通気口135aを介して空気が排気される。
【0047】
今回開示した実施形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0048】
10 感光体ドラム
11 帯電ユニット
12 露光ユニット
13,13’ 現像ユニット(現像装置)
131 現像ローラ
132 フィルタ
132a ホルダ部材
132b フィルタ部材
132c ガイド溝
132d 当接部
133 開口
134 排気口
135,135’ フィルタカバー
135a 通気口
136 可動レバー(可動部材)
136a ガイドボス
136b レバーボス
137 規制突起
14 転写ローラ
15 除電ランプ
16 クリーニングユニット
17 位置決めカバー(開閉部材)
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図9A
図9B
図10