(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152452
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0587 20100101AFI20231010BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20231010BHJP
H01M 50/533 20210101ALI20231010BHJP
H01M 10/0566 20100101ALI20231010BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20231010BHJP
【FI】
H01M10/0587
H01M10/04 W
H01M50/533
H01M10/0566
H01M10/052
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062478
(22)【出願日】2022-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】小倉 正也
(72)【発明者】
【氏名】内山 翔太
(72)【発明者】
【氏名】池田 博昭
【テーマコード(参考)】
5H028
5H029
5H043
【Fターム(参考)】
5H028AA05
5H028CC05
5H028CC08
5H028CC10
5H028CC12
5H028HH05
5H029AJ12
5H029AJ14
5H029AK03
5H029AL06
5H029AL07
5H029AM03
5H029AM05
5H029AM07
5H029BJ14
5H029DJ05
5H029HJ04
5H029HJ12
5H043AA04
5H043AA19
5H043BA19
5H043CA04
5H043CA12
5H043EA02
5H043EA22
(57)【要約】
【課題】セパレータの損傷を抑制することができる二次電池を提供する。
【解決手段】正極接続部33は、長さ方向Zにおける平面領域と曲面領域との境界位置で、第1位置P1と第2位置P2との間の折曲領域R3で厚み方向Dに鋭角に折り曲がるように構成される。第1位置P1は、負極板20の第2先端部20Bが設けられる位置である。第2位置P2は、セパレータ40の第1先端部40Aが設けられる第3位置P3から、正極合材層32の厚さT1だけ第2幅方向W2に離れた位置である。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極板、負極板、及び、前記負極板と前記正極板との間に設けられるセパレータを有する電極体を備え、
前記正極板は、正極基材と、前記正極基材の両面に設けられる正極合材層とを有し、
前記電極体は、前記正極板と前記負極板と前記セパレータとが積層方向に積層された状態で前記積層方向と交わる捲回方向に捲回されており、かつ、前記捲回方向における領域として、前記積層方向において平面形状である平面領域と、前記積層方向において曲面形状である曲面領域とを有するように構成されており、
前記正極板は、前記積層方向及び前記捲回方向と交わる幅方向のうち第1幅方向において、前記正極基材の両面に前記正極合材層が設けられていない正極接続部を有し、
前記電極体は、前記正極接続部の少なくとも一部が前記負極板と対向せずに、かつ、前記セパレータの前記第1幅方向における先端部が前記負極板の前記第1幅方向における先端部よりも突出しており、かつ、前記平面領域における正極接続領域で前記正極接続部が正極集電体に接続されるように構成されており、
前記正極接続部は、前記捲回方向における前記平面領域と前記曲面領域との境界位置で、第1位置と第2位置との間の領域で前記積層方向に鋭角に折り曲がるように構成され、
前記第1位置は、前記負極板の前記第1幅方向における先端部が設けられる位置であり、
前記第2位置は、前記セパレータの前記第1幅方向における先端部が設けられる位置から、前記正極基材の片面における前記正極合材層の厚さだけ前記第1幅方向と反対の第2幅方向に離れた位置である、
二次電池。
【請求項2】
正極板、負極板、及び、前記負極板と前記正極板との間に設けられるセパレータを有する電極体を備え、
前記正極板は、正極基材と、前記正極基材の両面に設けられる正極合材層とを有し、
前記電極体は、前記正極板と前記負極板と前記セパレータとが積層方向に積層された状態で前記積層方向と交わる捲回方向に捲回されており、かつ、前記捲回方向における領域として、前記積層方向において平面形状である平面領域と、前記積層方向において曲面形状である曲面領域とを有するように構成されており、
前記正極板は、前記積層方向及び前記捲回方向と交わる幅方向のうち第1幅方向において、前記正極基材の両面に前記正極合材層が設けられていない正極接続部を有し、
前記電極体は、前記正極接続部の少なくとも一部が前記負極板と対向せずに、かつ、前記セパレータの前記第1幅方向における先端部が前記負極板の前記第1幅方向における先端部よりも突出しており、かつ、前記平面領域における正極接続領域で前記正極接続部が正極集電体に接続されるように構成されており、
前記正極接続部は、前記捲回方向における前記平面領域と前記曲面領域との境界位置で、第1位置と第2位置との間の領域で前記積層方向に鋭角に折り曲がるように構成され、
前記第1位置は、前記負極板の前記第1幅方向における先端部が設けられる位置から、前記セパレータの厚さだけ前記第1幅方向に離れた位置であり、
前記第2位置は、前記セパレータの前記第1幅方向における先端部が設けられる位置から、前記正極基材の片面における前記正極合材層の厚さだけ前記第1幅方向と反対の第2幅方向に離れた位置である、
二次電池。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の二次電池において、
非水電解液と、
前記電極体及び前記非水電解液を収容する電池ケースと、を備え、
前記正極接続部は、前記正極接続領域から前記幅方向に沿う接続位置では、前記第1幅方向において湾曲するように構成される、
二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池に係り、詳しくは、負極板、正極板及びセパレータが積層された状態で捲回される電極体を有する二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より二次電池においては、例えば特許文献1のように、負極板、正極板及びセパレータが積層方向に積層された状態で、捲回方向に捲回される電極体を有するものが開示されている。このような電極体は、扁平形状を呈し、捲回方向における領域として、積層方向に平面形状である平面領域と、積層方向に曲面形状である曲面領域とを有する。
【0003】
また、電極体は、正極板の正極基材がセパレータから露出する正極接続部と、負極板の負極基材がセパレータから露出する負極接続部とを有する。正極接続部は、電極体の幅方向の一方における端部に設けられる。負極接続部は、電極体の幅方向の他方における端部に設けられる。
【0004】
正極接続部及び負極接続部は、電極体の捲回により、積層方向に積層されている。このため、積層されている複数層の正極接続部は、積層方向に集められた状態で正極集電体と接続される。また、積層されている複数層の負極接続部も、積層方向に集められた状態で負極集電体と接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された発明では、平面領域と曲面領域との間の境界位置において、正極板と負極板とに挟まれるセパレータが損傷するおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する二次電池は、正極板、負極板、及び、前記負極板と前記正極板との間に設けられるセパレータを有する電極体を備え、前記正極板は、正極基材と、前記正極基材の両面に設けられる正極合材層とを有し、前記電極体は、前記正極板と前記負極板と前記セパレータとが積層方向に積層された状態で前記積層方向と交わる捲回方向に捲回されており、かつ、前記捲回方向における領域として、前記積層方向において平面形状である平面領域と、前記積層方向において曲面形状である曲面領域とを有するように構成されており、前記正極板は、前記積層方向及び前記捲回方向と交わる幅方向のうち第1幅方向において、前記正極基材の両面に前記正極合材層が設けられていない正極接続部を有し、前記電極体は、前記正極接続部の少なくとも一部が前記負極板と対向せずに、かつ、前記セパレータの前記第1幅方向における先端部が前記負極板の前記第1幅方向における先端部よりも突出しており、かつ、前記平面領域における正極接続領域で前記正極接続部が正極集電体に接続されるように構成されており、前記正極接続部は、前記捲回方向における前記平面領域と前記曲面領域との境界位置で、第1位置と第2位置との間の領域で前記積層方向に鋭角に折り曲がるように構成され、前記第1位置は、前記負極板の前記第1幅方向における先端部が設けられる位置であり、前記第2位置は、前記セパレータの前記第1幅方向における先端部が設けられる位置から、前記正極基材の片面における前記正極合材層の厚さだけ前記第1幅方向と反対の第2幅方向に離れた位置である。
【0008】
上記課題を解決する二次電池は、正極板、負極板、及び、前記負極板と前記正極板との間に設けられるセパレータを有する電極体を備え、前記正極板は、正極基材と、前記正極基材の両面に設けられる正極合材層とを有し、前記電極体は、前記正極板と前記負極板と前記セパレータとが積層方向に積層された状態で前記積層方向と交わる捲回方向に捲回されており、かつ、前記捲回方向における領域として、前記積層方向において平面形状である平面領域と、前記積層方向において曲面形状である曲面領域とを有するように構成されており、前記正極板は、前記積層方向及び前記捲回方向と交わる幅方向のうち第1幅方向において、前記正極基材の両面に前記正極合材層が設けられていない正極接続部を有し、前記電極体は、前記正極接続部の少なくとも一部が前記負極板と対向せずに、かつ、前記セパレータの前記第1幅方向における先端部が前記負極板の前記第1幅方向における先端部よりも突出しており、かつ、前記平面領域における正極接続領域で前記正極接続部が正極集電体に接続されるように構成されており、前記正極接続部は、前記捲回方向における前記平面領域と前記曲面領域との境界位置で、第1位置と第2位置との間の領域で前記積層方向に鋭角に折り曲がるように構成され、前記第1位置は、前記負極板の前記第1幅方向における先端部が設けられる位置から、前記セパレータの厚さだけ前記第1幅方向に離れた位置であり、前記第2位置は、前記セパレータの前記第1幅方向における先端部が設けられる位置から、前記正極基材の片面における前記正極合材層の厚さだけ前記第1幅方向と反対の第2幅方向に離れた位置である。
【0009】
また、非水電解液と、前記電極体及び前記非水電解液を収容する電池ケースと、を備え、前記正極接続部は、前記正極接続領域から前記幅方向に沿う接続位置では、前記第1幅方向において湾曲するように構成されてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、セパレータの損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態のリチウムイオン二次電池の斜視図である。
【
図2】リチウムイオン二次電池の電極体の積層体の構成を示す模式図である。
【
図3】幅方向Wから見た電極体の端部の構成を示す模式図である。
【
図4】厚み方向Dから見た電極体の構成を示す模式図である。
【
図5】長さ方向Zから見た境界位置における電極体の構成を示す断面図である。
【
図6】長さ方向Zから見た接続位置における電極体の構成を示す断面図である。
【
図7】長さ方向Zから見た境界位置における電極体の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
以下、二次電池の一実施形態について説明する。
<リチウムイオン二次電池10>
本実施形態のリチウムイオン二次電池の構成を説明する。
【0013】
図1に示すように、リチウムイオン二次電池10は、セル電池として構成される。リチウムイオン二次電池10は、電池ケース11と、蓋体12とを備える。電池ケース11は、上側に図示しない開口部を備える。蓋体12は、電池ケース11の開口部を封止する。電池ケース11及び蓋体12は、アルミニウム合金等の金属で構成されている。蓋体12は、電力の充放電に用いられる負極外部端子13及び正極外部端子14を備える。負極外部端子13及び正極外部端子14は、任意の形状であればよい。
【0014】
リチウムイオン二次電池10は、電極体15を備える。リチウムイオン二次電池10は、負極集電体16と、正極集電体17と、を備える。負極集電体16は、電極体15の負極と負極外部端子13とを接続する。正極集電体17は、電極体15の正極と正極外部端子14とを接続する。電極体15は、電池ケース11の内部に収容される。
【0015】
リチウムイオン二次電池10は、非水電解液18を備える。非水電解液18は、電池ケース11内には図示しない注液孔から注入される。リチウムイオン二次電池10は、電池ケース11に蓋体12を取り付けることで密閉された電槽が構成される。このように、電池ケース11は、電極体15及び非水電解液18を収容する。
【0016】
<非水電解液18>
非水電解液18は、非水溶媒に支持塩が含有された組成物である。本実施形態では、非水溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)を用いることができる。非水溶媒としては、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等からなる群から選択された一種または二種以上の材料でもよい。
【0017】
また、支持塩としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiC4F9SO3、LiN(CF3SO2)2、LiC(CF3SO2)3、LiI等を用いることができる。またこれらから選択される一種または二種以上のリチウム化合物(リチウム塩)を用いることができる。このように、非水電解液18は、リチウム化合物を含む。
【0018】
<電極体15>
図2に示すように、電極体15は、負極板20と、正極板30と、セパレータ40と、を備える。電極体15の長手の方向を「長さ方向Z」という。電極体15の厚さの方向を「厚み方向D」という。電極体15の長さ方向Z及び厚み方向Dに直交する方向を「幅方向W」という。幅方向Wのうち一方の方向を「第1幅方向W1」といい、幅方向Wのうち他方の方向を「第2幅方向W2」という。つまり、第2幅方向W2は、第1幅方向W1の反対の方向である。
【0019】
電極体15は、負極板20と、正極板30と、セパレータ40とが厚み方向Dに積層される。電極体15は、負極板20と正極板30との間にセパレータ40が積層される。詳しくは、電極体15は、セパレータ40、正極板30、セパレータ40、負極板20の順に積層される。
【0020】
電極体15は、負極板20と、正極板30と、セパレータ40とが厚み方向Dに積層された状態で長さ方向Zに捲回される。電極体15は、長さ方向Zの中央において厚み方向Dに扁平形状である。
【0021】
このように、負極板20と、正極板30と、セパレータ40とが積層される厚み方向Dは、積層方向ともいえる。また、負極板20と、正極板30と、セパレータ40とが捲回される長さ方向Zは、捲回方向ともいえる。
【0022】
<負極板20>
負極板20は、リチウムイオン二次電池10の負極の一例として機能する。負極板20は、負極基材21と、負極合材層22とを備える。負極合材層22は、負極基材21の両面に設けられる。
【0023】
負極基材21は、負極接続部23を備える。負極接続部23は、負極基材21の両面に負極合材層22が設けられていない領域である。負極接続部23は、電極体15の第2幅方向W2における端部に設けられる。このように、負極板20の第2幅方向W2における第1先端部20Aは、電極体15の第2幅方向W2における第2先端部15Bとなる。
【0024】
負極接続部23は、第2幅方向W2においてセパレータ40から露出する。本実施形態において、負極接続部23は、全部の領域で正極板30と対向せず、かつ、一部の領域でセパレータ40と対向しないが、これに限らず、例えば、一部の領域で正極板30と対向しなくてもよい。このように、負極接続部23は、少なくとも一部が正極板30及びセパレータ40と対向しないといえる。
【0025】
本実施形態では、負極基材21は、Cu箔から構成されている。負極基材21は、負極合材層22の骨材としてのベースとなる。負極基材21は、負極合材層22から電気を集電する集電部材の機能を有している。
【0026】
負極合材層22は負極活物質を有する。本実施形態では負極活物質は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な材料であり、黒鉛(グラファイト)等からなる粉末状の炭素材料を用いる。負極板20は、例えば、負極活物質と、溶媒と、結着剤(バインダー)とを混練し、混練後の負極合材を負極基材21に塗布して乾燥することで作製される。
【0027】
<正極板30>
正極板30は、リチウムイオン二次電池10の正極の一例として機能する。正極板30は、正極基材31と、正極合材層32とを備える。正極合材層32は、正極基材31の両面に設けられる。
【0028】
正極基材31は、正極接続部33を備える。正極接続部33は、正極基材31の両面に正極合材層32が設けられていない領域である。正極接続部33は、電極体15の第1幅方向W1における端部に設けられる。このように、正極板30の第1幅方向W1における第1先端部30Aは、電極体15の第1幅方向W1における第1先端部15Aとなる。
【0029】
正極接続部33は、第1幅方向W1においてセパレータ40から露出する。本実施形態において、正極接続部33は、一部の領域で負極板20及びセパレータ40と対向しないが、これに限らず、例えば、全部の領域で負極板20と対向しなくてもよい。このように、正極接続部33は、少なくとも一部が負極板20及びセパレータ40と対向しないといえる。
【0030】
本実施形態では、正極基材31は、Al箔やAl合金箔から構成されている。正極基材31は、正極合材層32の骨材としてのベースとなる。正極基材31は、正極合材層32から電気を集電する集電部材の機能を有している。
【0031】
正極合材層32は、正極活物質を有する。正極活物質は、リチウムを吸蔵・放出可能な材料であり、例えばコバルト酸リチウム(LiCoO2)、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)等を用いることができる。また、LiCoO2、LiMn2O4、LiNiO2を任意の割合で混合した材料を用いてもよい。正極合材層32は、導電材を含む。導電材としては、例えばアセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、黒鉛(グラファイト)を用いることができる。正極板30は、例えば、正極活物質と、導電材と、溶媒と、結着剤(バインダー)とを混練し、混練後の正極合材を正極基材31に塗布して乾燥することで作製される。
【0032】
<セパレータ40>
セパレータ40は、負極板20と正極板30との間に設けられる。セパレータ40は、非水電解液18を保持する。セパレータ40は、多孔性樹脂であるポリプロピレン製等の不織布である。セパレータ40としては、多孔性ポリエチレン膜、多孔性ポリオレフィン膜、および多孔性ポリ塩化ビニル膜等の多孔性ポリマー膜、又は、リチウムイオンもしくはイオン導電性ポリマー電解質膜を、単独、又は組み合わせて使用することもできる。非水電解液18に電極体15に浸漬させるとセパレータ40の端部から中央部に向けて非水電解液18が浸透する。
【0033】
<電極体15の領域>
図3に示すように、電極体15は、厚み方向Dにおいて扁平形状を呈する。電極体15は、長さ方向Zにおける領域として、平面領域R1と曲面領域R2とを備える。曲面領域R2は、長さ方向Zにおける平面領域R1の両端に位置する。
【0034】
平面領域R1は、厚み方向Dに対して平面形状となる領域である。曲面領域R2は、厚み方向Dに対して曲面形状となる領域である。曲面領域R2は、平面領域R1よりも、電極体15の周方向に向かって大きな張力が加わる領域である。特に、平面領域R1と曲面領域R2との境界となる境界位置BPには、電極体15の周方向に向かって張力が加わる。つまり、境界位置BPには、電極体15の長さ方向Zに向かって張力が加わるといえる。
【0035】
<電極体15の先端部の距離>
図4に示すように、電極体15は、正極板30の第1先端部30Aがセパレータ40の第1先端部40Aから第1幅方向W1に距離D1だけ離れるように構成される。セパレータ40の第1先端部40Aは、セパレータ40の第1幅方向W1における先端である。このように、第1幅方向W1において、正極板30は、セパレータ40よりも距離D1だけ長くなるように位置する。
【0036】
電極体15は、負極板20の第2先端部20Bがセパレータ40の第1先端部40Aから第2幅方向W2に距離D2だけ離れるように構成される。負極板20の第2先端部20Bは、負極板20の第1幅方向W1における先端である。このように、第1幅方向W1において、負極板20は、セパレータ40よりも距離D2だけ短くなるように位置する。言い換えると、第1幅方向W1において、正極板30は、負極板20よりも距離D1と距離D2との合計の距離だけ長くなるように位置する。
【0037】
電極体15は、負極板20の第1先端部20Aがセパレータ40の第2先端部40Bから第2幅方向W2に距離D1だけ離れるように構成される。セパレータ40の第2先端部40Bは、セパレータ40の第2幅方向W2における先端である。このように、第2幅方向W2において、負極板20は、セパレータ40よりも距離D1だけ長くなるように位置する。
【0038】
電極体15は、正極板30の第2先端部30Bがセパレータ40の第2先端部40Bから第1幅方向W1に距離D3だけ離れるように構成される。正極板30の第2先端部30Bは、正極板30の第2幅方向W2における先端である。このように、第2幅方向W2において、正極板30は、セパレータ40よりも距離D3だけ短くなるように位置する。言い換えると、第2幅方向W2において、負極板20は、正極板30よりも距離D1と距離D3との合計の距離だけ長くなるように位置する。
【0039】
本実施形態において、距離D3は、距離D2よりも長い。つまり、正極板30の第1先端部30Aと負極板20の第2先端部20Bとの距離は、負極板20の第1先端部20Aと正極板30の第2先端部30Bとの距離よりも短い。
【0040】
<電極体15の接続領域>
電極体15は、負極接続領域24を備える。負極接続領域24は、負極集電体16と接続される領域である。負極接続領域24は、負極接続部23の第2幅方向W2における端部に位置する。負極接続領域24は、長さ方向Zにおける平面領域R1に位置する。詳しくは、負極接続領域24は、電極体15の長さ方向Zにおける接続位置CPに位置する。つまり、接続位置CPは、負極接続領域24から幅方向Xに沿う位置といえる。接続位置CPは、電極体15の長さ方向Zにおける中央に位置してもよいが、電極体15の長さ方向Zにおける中央以外に位置してもよい。
【0041】
電極体15は、長さ方向Zに捲回されており、第1幅方向W1の端部においては、複数層の正極接続部33が積層されている。電極体15は、正極接続領域34と正極集電体17とを接続するために、正極接続部33が厚み方向Dの中心に向かって曲げられるように構成される。このため、正極接続部33には、厚み方向Dの中心に向かって張力が加わる。
【0042】
電極体15は、正極接続領域34を備える。正極接続領域34は、正極集電体17と接続される領域である。正極接続領域34は、正極接続部33の第1幅方向W1における端部に位置する。正極接続領域34は、長さ方向Zにおける平面領域R1に位置する。詳しくは、正極接続領域34は、接続位置CPに位置する。つまり、接続位置CPは、正極接続領域34から幅方向Xに沿う位置といえる。
【0043】
電極体15は、長さ方向Zに捲回されており、第2幅方向W2の端部においては、複数層の負極接続部23が積層されている。電極体15は、負極接続領域24と負極集電体16とを接続するために、負極接続部23が厚み方向Dの中心に向かって曲げられるように構成される。このため、負極接続部23には、厚み方向Dの中心に向かって張力が加わる。
【0044】
<電極体15の第1幅方向Wにおける端部の構成>
ここで、
図5及び
図6を参照して、電極体15の第1幅方向W1おける端部の構成について説明する。特に、
図5を参照して、境界位置BPにおける構成について説明し、
図6を参照して、接続位置CPにおける構成について説明する。
図5及び
図6は、発明の理解を容易とするために、1層の負極板20、1層の正極板30、1層のセパレータ40の構成を代表して示し、他の構成を省略する。
【0045】
<電極体15の境界位置BPの構成>
図5に示すように、電極体15は、負極板20と正極板30とがセパレータ40を挟むように積層されている。正極板30は、正極基材31の両面において厚さT1の正極合材層32が形成されている。つまり、厚さT1は、正極基材31の片面における正極合材層32の厚さである。
【0046】
セパレータ40は、正極合材層32の第1幅方向W1における先端部32Aよりも第1幅方向W1に突出している。セパレータ40は、負極板20の第2先端部20Bよりも第1幅方向W1に距離D2だけ突出している。つまり、セパレータ40の第1先端部40Aは、負極板20の第2先端部20Bよりも突出している。セパレータ40は、厚さT2である。
【0047】
負極板20は、負極基材21の両面において厚さT3の負極合材層22が形成されている。つまり、厚さT3は、負極基材21の片面における負極合材層22の厚さである。負極板20は、第2先端部20Bまで、負極基材21の両面に負極合材層22が形成されているが、第2先端部20Bまでは、負極基材21の両面に負極合材層22が形成されていなくてもよい。負極板20の第2先端部20Bは、正極合材層32の第1幅方向W1における先端部32Aよりも第1幅方向W1に突出している。
【0048】
境界位置BPにおいて、電極体15は、第1幅方向W1の端部では、折曲領域R3において正極基材31が鋭角に折り曲げれる。つまり、境界位置BPにおいて、正極接続部33は、電極体15の第1幅方向W1における端部で、折曲領域R3において厚み方向Dに鋭角に折り曲げられる。
【0049】
折曲領域R3は、第1位置P1と第2位置P2との間の領域である。第1位置P1は、第1幅方向W1において負極板20の第2先端部20Bが配置される位置である。第2位置P2は、第3位置P3から第2幅方向W2に厚さT1だけ離れた位置である。第3位置P3は、第1幅方向W1においてセパレータ40の第1先端部40Aが配置される位置である。
【0050】
一方、境界位置BPにおいて、折曲領域R3よりも第2幅方向W2における中央領域R4では、正極基材31が鋭角に折り曲げられない。境界位置BPにおいて、折曲領域R3よりも第1幅方向W1における端部領域R5でも、正極基材31が鋭角に折り曲げられない。
【0051】
<電極体15の接続位置CPの構成>
次に、
図6に示すように、接続位置CPにおいて、電極体15は、第1先端部15Aでは、正極基材31が湾曲するように構成される。つまり、接続位置CPにおいて、正極接続部33は、電極体15の第1幅方向W1における端部で、厚み方向Dに湾曲するように曲げられる。正極基材31は、正極合材層32の第1幅方向W1における先端部32Aから湾曲する。つまり、正極基材31は、第1位置P1よりも第2幅方向W2における位置から湾曲する。
【0052】
なお、本実施形態では、境界位置BP及び接続位置CPにおいて、電極体15は、第2幅方向W2おける端部でも、接続位置CPにおける第1幅方向W1おける端部と同じように、負極基材21が湾曲するように構成される。つまり、境界位置BP及び接続位置CPにおいて、負極接続部23は、電極体15の第2幅方向W2における端部で、厚み方向Dに湾曲するように曲げられる。
【0053】
<リチウムイオン二次電池10の製造工程>
ここで、本実施形態のリチウムイオン二次電池10の製造工程の概略を説明する。
本実施形態では、源泉工程が行われる。源泉工程は、リチウムイオン二次電池10の電池要素の作製の工程である。具体的に、源泉工程は、リチウムイオン二次電池10の電池要素を構成する負極板20及び正極板30をそれぞれ作製する工程である。
【0054】
源泉工程が終了すると、積層工程が行われる。積層工程では、負極板20、セパレータ40、正極板30、セパレータ40の順に、負極板20、正極板30、セパレータ40が積層される。つまり、電極体15は、負極板20と正極板30とがセパレータ40を介して積層して構成される。負極合材層22と正極合材層32とは、セパレータ40を介して対面するように配置される。電極体15の第2幅方向W2における端部に負極接続部23がセパレータ40から突出するように負極板20とセパレータ40とが配置される。電極体15の第1幅方向W1における端部に正極接続部33がセパレータ40から突出するように正極板30とセパレータ40とが配置される。つまり、電極体15は、第2幅方向W2に負極基材21が露出した負極接続部23が形成されており、第1幅方向W1に正極基材31が露出した正極接続部33が形成されている。
【0055】
積層工程が終了すると、捲回工程が行われる。捲回工程では、電極体15は、幅方向Wの捲回軸を中心に支持されて巻き付けられる。電極体15には、競走用のトラックのような平坦部と、その両端に形成される湾曲部とが形成される。
【0056】
捲回工程が終了すると、捲回体プレス工程が行われる。電極体15は、厚み方向Dから所定の圧力を超えない力で押圧され圧縮される。本実施形態では、所定の圧力としては、100kNが採用されるが、これに限らない。
【0057】
詳しくは、電極体15は、負極板20と正極板30とがセパレータ40を介して重ねて積層された状態で、捲回軸を中心に支えられて長さ方向Zに捲回される。電極体15は、幅方向Wと直交する厚み方向Dから圧力を加えることにより、幅方向Wから見た端部が競走用トラック状の扁平な形状に整形される。
【0058】
捲回体プレス工程が終了すると、端子溶接工程が行われる。端子溶接工程では、積層された複数層の負極接続部23が集められる。集められた複数層の負極接続部23は、負極接続領域24において負極集電体16と溶接により電気的・機械的に接続される。積層された複数層の正極接続部33が集められる。集められた複数層の正極接続部33は、正極接続領域34において正極集電体17と溶接により電気的・機械的に接続される。
【0059】
特に、境界位置BPにおいて、複数層の正極接続部33としての複数層の正極基材31は、折曲領域R3で、電極体15の厚み方向Dの中心に向かって鋭角に折り曲げられる。一方、接続位置CPにおいて、複数層の正極接続部33としての複数層の正極基材31は、電極体15の厚み方向Dの中心に向かって湾曲するように曲げられる。また、境界位置BP及び接続位置CPにおいて、複数層の負極接続部23としての複数層の負極基材21は、電極体15の厚み方向Dの中心に向かって湾曲するように曲げられる。なお、境界位置BP及び接続位置CPの形状は、負極集電体16及び正極集電体17と接続される幅方向の位置を変えたり、溶接時に電極体15の極板間に形状維持用治具を挿入したりして調整することができる。
【0060】
端子溶接工程が終了すると、ケース挿入工程が行われる。ケース挿入工程では、電極体15は、捲回され扁平になった状態で、かつ、負極集電体16及び正極集電体17が接続された状態で、電池ケース11に挿入される。
【0061】
ケース挿入工程が終了すると、封缶溶接工程が行われる。封缶溶接工程では、電池ケース11と蓋体12がレーザ溶接などにより密封される。この段階ではまだ非水電解液18は注液されておらず、蓋体12の注液口が開口している。
【0062】
封缶溶接工程が終了すると、セル乾燥工程が行われる。セル乾燥工程では、電池ケース内に残存している水分などを十分に乾燥させるため、電池内の温度が例えば105°C程度まで上昇させる。この工程では、温度が高くセパレータ40の樹脂が軟化するため、拘束は行わない。
【0063】
セル乾燥工程が終了すると、注液・封止工程が行われる。注液・封止工程では、蓋体12の注液口から電槽内に非水電解液18を注液する。注液が完了したら、注液口を密封する。これで、リチウムイオン二次電池10の組み立てが完了する。
【0064】
<本実施形態の作用>
本実施形態の作用について説明する。
図5に示すように、境界位置BPにおいて、折曲領域R3では、正極基材31が鋭角に折り曲げられる。境界位置BPにおいて、折曲領域R3よりも第2幅方向W2に位置する中央領域R4では、正極基材31が鋭角に折り曲げられない。境界位置BPにおいて、折曲領域R3よりも第1幅方向W1に位置する端部領域R5では、正極基材31が鋭角に折り曲げられない。
【0065】
このように、境界位置BPにおいては、電極体15の周方向に向かって電極体15に張力が加わるものの、中央領域R4における正極基材31からセパレータ40への押圧力を低減させることができる。これにより、セパレータ40から負極板20への押圧力を低減させることができる。したがって、セパレータ40の損傷を抑制することができる。
【0066】
また、境界位置BPにおいて、折曲領域R3で正極基材31が鋭角に折り曲げられることにより、セパレータ40の第1先端部40Aが、上下層の正極基材31との間で挟まれる。このため、セル乾燥工程や製造後の検査工程において、電極体15が加熱された後であっても、セパレータ40の熱収縮を抑制することができる。
【0067】
一方、
図6に示すように、接続位置CPにおいて、正極基材31が円弧形状に湾曲するように曲げられる。接続位置CPにおいては、境界位置BPよりも長さ方向Zに対する張力が大きくはない。これにより、正極基材31からセパレータ40への押圧力を低減させなくても、セパレータ40の損傷を抑制することができる。
【0068】
また、接続位置CPにおいて、正極基材31が円弧形状に湾曲するように曲げられることにより、セパレータ40と負極板20との間隔が広くなり、かつ、セパレータ40と正極板30との間隔が広くなる。これにより、セパレータ40と負極板20との間、及び、セパレータ40と正極板30との間において、十分な量の非水電解液18を保持することができる。特に、接続位置CPでは、正極基材31が正極集電体17と溶接されているため、非水電解液18が浸透しにくいが、上記のように正極基材31を円弧形状に湾曲させることにより、十分な量の非水電解液18を保持できる。これにより、非水電解液18の不足を抑制することができる。
【0069】
また、接続位置CPにおいて、正極基材31は、先端部32Aから湾曲する。つまり、接続位置CPにおいて、正極基材31は、第1位置P1よりも第2幅方向W2における位置から湾曲する。接続位置CPにおいて、正極基材31は、正極集電体17と溶接するために、ある程度の長さが必要となる。上記のように第1位置P1よりも第2幅方向W2における位置から正極基材31を湾曲させることにより、正極集電体17と溶接するための正極基材31の長さも確保することができる。
【0070】
なお、境界位置BP及び接続位置CPにおいて、負極基材21が円弧形状に湾曲するように曲げられる。負極板20の第1先端部20Aと正極板30の第2先端部30Bとの距離は、正極板30の第1先端部30Aと負極板20の第2先端部20Bとの距離よりも長い。このため、負極基材21が湾曲する領域には、正極板30が配置されていない。これにより、負極基材21の湾曲により、セパレータ40が負極基材21と正極板30とに挟まれることがない。
【0071】
このように、境界位置BPにおいて、電極体15の周方向に向かって電極体15に張力が加わるものの、負極基材21からセパレータ40への押圧力を低減させなくても、セパレータ40の損傷を抑制することができる。
【0072】
<本実施形態の効果>
本実施形態の効果について説明する。
(1)本実施形態のリチウムイオン二次電池10によれば、正極接続部33は、長さ方向Zにおける平面領域R1と曲面領域R2との境界位置BPで、折曲領域R3で厚み方向Dに鋭角に折り曲がるように構成される。折曲領域R3は、第1位置P1と第2位置P2との間の領域である。第1位置P1は、負極板20の第2先端部20Bが設けられる位置である。第2位置P2は、セパレータ40の第1先端部40Aが設けられる第3位置P3から、正極合材層32の厚さT1だけ第2幅方向W2に離れた位置である。このため、折曲領域R3において、正極板30と負極板20とでセパレータ40が挟まれない。これにより、境界位置BPにおいて、電極体15の捲回による長さ方向Zに向かう張力と、正極板30に厚み方向Dに張力とが加わる場合であっても、折曲領域R3で正極板30を折り曲げることにより、セパレータ40の損傷を抑制することができる。
【0073】
(2)また、これに加えて、境界位置BPにおいて、折曲領域R3で正極基材31が鋭角に折り曲げられることにより、セパレータ40の第1先端部40Aが正極基材31に挟まれる。これにより、電極体15が加熱された後であっても、セパレータ40の熱収縮を抑制することができる。
【0074】
(3)接続位置CPにおいて、正極接続部33は、湾曲するように構成される。接続位置CPにおいては、境界位置BPよりも、電極体15の捲回による長さ方向Zに向かう張力が大きくはない。このため、接続位置CPにおいて、正極板30を湾曲するように曲げることにより、正極板30に厚み方向Dに張力が加わる場合であっても、セパレータ40の損傷を抑制することができる。そして、これに加えて、セパレータ40と負極板20との間、及び、セパレータ40と正極板30との間において、十分な量の非水電解液18を保持することができる。
【0075】
(4)境界位置BP及び接続位置CPにおいて、負極接続部23は、湾曲するように構成される。負極板20の第1先端部20Aと正極板30の第2先端部30Bとの距離は、正極板30の第1先端部30Aと負極板20の第2先端部20Bとの距離よりも長い。つまり、負極基材21が湾曲する領域には、正極板30が配置されていない。このため、境界位置BP及び接続位置CPにおいて、負極板20を湾曲するように曲げることにより、負極板20に厚み方向Dに張力が加わる場合であっても、セパレータ40の損傷を抑制することができる。そして、これに加えて、セパレータ40と負極板20との間、及び、セパレータ40と正極板30との間において、十分な量の非水電解液18を保持することができる。
【0076】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。
第1実施形態では、電極体15は、境界位置BPにおいて、折曲領域R3で正極基材31が鋭角に折り曲がるように構成された。第2実施形態では、電極体15は、境界位置BPにおいて、折曲領域R6で正極基材31が鋭角に折り曲がるように構成されてもよい。以下の説明では、既に説明した実施形態と同じ構成及び同じ制御内容について同一符号を付し、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0077】
図7に示すように、第2実施形態では、電極体15は、境界位置BPにおいて、折曲領域R6で正極基材31が鋭角に折り曲がるように構成される。折曲領域R6は、第1位置P1と第2位置P2との間の領域である。第2実施形態において、第1位置P1は、基準位置P0から第1幅方向W1にセパレータ40の厚さT2だけ離れた位置である。基準位置P0は、第1実施形態における第1位置P1と同じように、負極板20の第2先端部20Bが設けられる位置である。つまり、第2実施形態において、第1位置P1は、負極板20の第2先端部20Bが設けられる基準位置P0から、セパレータ40の厚さT2だけ第1幅方向W1に離れた位置であってもよい。
【0078】
<第2実施形態の作用>
第2実施形態の作用について説明する。
境界位置BPにおいて、折曲領域R6では、正極基材31が鋭角に折り曲げられる。境界位置BPにおいて、折曲領域R6よりも第2幅方向W2における中央領域R4では、正極基材31が鋭角に折り曲げられない。特に、中央領域R4のうち、基準位置P0と第1位置P1との間で正極基材31が鋭角に折り曲げられない。これにより、セパレータ40の損傷を更に抑制することができる。
【0079】
<第2実施形態の効果>
第2実施形態の効果について説明する。
(5)本実施形態のリチウムイオン二次電池10によれば、第1位置P1は、負極板20の第2先端部20Bが設けられる基準位置P0から、セパレータ40の厚さT2だけ第1幅方向W1に離れた位置である。このため、折曲領域R6において、正極板30と負極板20とでセパレータ40が挟まれない。これにより、境界位置BPにおいて、電極体15の捲回による長さ方向Zに向かう張力と、正極板30に厚み方向Dに張力とが加わる場合であっても、折曲領域R6で正極板30を折り曲げることにより、セパレータ40の損傷を更に抑制することができる。
【0080】
[変更例]
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0081】
○本実施形態において、例えば、境界位置BPにおいて、中央領域R4及び端部領域R5で正極基材31が鋭角に折り曲げれられなければ、湾曲してもよい。
○本実施形態において、例えば、正極板30は、境界位置BPにおいて、中央領域R4に絶縁層を積層し、折曲領域R3,R6及び端部領域R5に絶縁層を積層しなくてもよい。中央領域R4に絶縁層を積層することにより、中央領域R4において正極基材31が鋭角に折り曲がらず、折曲領域R3,R6において正極基材31が鋭角に折り曲がるように構成してもよい。
【0082】
○本実施形態において、例えば、電極体15は、境界位置BPにおいて折曲領域R3,R6で正極基材31が鋭角に折り曲げられた後に、正極基材31が湾曲されてもよい。また、例えば、電極体15は、正極接続部33のうち所定の位置が所定の圧力で押圧されることにより、境界位置BPにおいて折曲領域R3,R6で正極基材31が鋭角に折り曲げられてもよい。
【0083】
○本実施形態において、例えば、2つの境界位置BPのうち少なくとも何れかにて、折曲領域R3,R6で正極基材31が鋭角に折り曲げられてもよい。つまり、正極外部端子14に向かう方向に位置する境界位置BPと、正極外部端子14に向かう方向とは反対の方向に位置する境界位置BPとのうち少なくとも何れかにおいて、折曲領域R3,R6で正極基材31が鋭角に折り曲げられてもよい。また、正極外部端子14に向かう方向に位置する境界位置BPは、正極集電体17が延在する位置であり、正極外部端子14に向かう方向とは反対の方向に位置する境界位置BPは、正極集電体17が延在しない位置といえる。
【0084】
○本実施形態において、リチウムイオン二次電池10を例に本発明を説明したが、他の二次電池にも適用できる。
○本実施形態において、車載用の薄板状のリチウムイオン二次電池10を例示したが、円柱形の電池などにも適用できる。また、車載用に限らず、船舶用、航空機用、さらに定置用の電池にも適用できる。
【0085】
○本発明は、特許請求の範囲の記載を逸脱しない範囲で、当業者によりその構成を付加し削除し変更し、順序を変えて実施することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0086】
BP…境界位置
CP…接続位置
D…厚み方向
P1…第1位置
P2…第2位置
P3…第3位置
R1…平面領域
R2…曲面領域
R3…折曲領域
R4…中央領域
R5…端部領域
R6…折曲領域
W…幅方向
W1…第1幅方向
W2…第2幅方向
Z…長さ方向
10…リチウムイオン二次電池
11…電池ケース
12…蓋体
13…負極外部端子
14…正極外部端子
15…電極体
15A…第1先端部
15B…第2先端部
16…負極集電体
17…正極集電体
18…非水電解液
20…負極板
20A…第1先端部
20B…第2先端部
21…負極基材
22…負極合材層
23…負極接続部
24…負極接続領域
30…正極板
30A…第1先端部
30B…第2先端部
31…正極基材
32…正極合材層
32A…先端部
33…正極接続部
34…正極接続領域
40…セパレータ
40A…第1先端部
40B…第2先端部