(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152460
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】グロメット部品及びセンサの製造方法、並びにグロメット部品製造装置
(51)【国際特許分類】
G01N 27/41 20060101AFI20231010BHJP
G01N 27/419 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
G01N27/41 325J
G01N27/419 327J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062491
(22)【出願日】2022-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113022
【弁理士】
【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
(74)【代理人】
【氏名又は名称】下田 昭
(72)【発明者】
【氏名】加藤 誠人
(72)【発明者】
【氏名】南部 剛之
(57)【要約】
【課題】ゴム製のグロメットに電線を挿通させる際の電線の損傷を抑制すると共に、生産性を向上させることができるグロメット部品及びセンサの製造方法、並びにグロメット部品製造装置を提供する。
【解決手段】一又は複数の電線71を1対のローラ202,204間に保持する電線保持工程と、電線を個々に挿通するための第1挿通孔85hを有するゴム製のグロメット85を保持するグロメット保持工程と、1対のローラを回転させて電線をグロメットに向かって前進させ、第1挿通孔に電線を挿通させる電線挿通工程と、を有することを特徴とするグロメット部品の製造方法である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一又は複数の電線を1対のローラ間に保持する電線保持工程と、
前記電線を個々に挿通するための第1挿通孔を有するゴム製のグロメットを保持するグロメット保持工程と、
前記1対のローラを回転させて前記電線を前記グロメットに向かって前進させ、前記第1挿通孔に前記電線を挿通させる電線挿通工程と、
を有することを特徴とするグロメット部品の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のグロメット部品の製造方法にて製造された前記グロメット部品と、前記電線を個々に挿通するための第2挿通孔を有するセラミック部材と、を少なくとも有するセンサの製造方法であって、
前記グロメット保持工程において、前記グロメットと、前記セラミック部材とを、前記第1挿通孔及び前記第2挿通孔の延びる方向に隙間を介して保持すると共に、前記隙間に貫通孔を有するガイド部材を配置し、前記貫通孔を前記第1挿通孔と前記第2挿通孔とに重ならせ、
前記電線挿通工程において、前記第1挿通孔及び前記第2挿通孔に前記電線を挿通させ、
前記電線挿通工程の後、前記ガイド部材を除去する除去工程をさらに有することを特徴とするセンサの製造方法。
【請求項3】
前記電線挿通工程の後、前記セラミック部材から前記電線が複数突出しており、
当該突出した前記複数の電線を面一に揃える電線整合工程と、
前記電線整合工程にて揃えられた前記複数の電線のそれぞれに、端子金具を圧着する端子金具圧着工程と、をさらに有することを特徴とする請求項2に記載のセンサの製造方法。
【請求項4】
一又は複数の電線を自身の間に保持する1対のローラと、
前記電線を個々に挿通するための第1挿通孔を有するゴム製のグロメットを保持するグロメット保持部と、を有するグロメット部品製造装置であって、
前記1対のローラを回転させて前記電線を前記グロメットに向かって前進させ、前記第1挿通孔に前記電線を挿通させることを特徴とするグロメット部品製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム製のグロメットを備えた部品、及びこのグロメット部品を有するセンサの製造方法、並びにグロメット部品製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車エンジン等の内燃機関から排出される排気ガスの流路に取り付けられ、排気ガス中の特定ガス成分の濃度を検出する検出素子を備えたセンサが知られている。このガスセンサには、センサ出力を取り出すため複数の電線が接続され、各電線はゴム製のグロメットの各挿通孔に個々に挿通されている。
そして、センサの製造過程においては、グロメット(ブッシュ)の挿通孔に電線を挿通させる工程が必要である。例えば、特許文献1には、電線(ワイヤ)をクランプで掴み、クランプ毎電線をグロメットに向かって前進させて挿通作業を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ゴム製のグロメットの表面は摩擦抵抗が高いため、グロメットの挿通孔に電線を挿通させる際の摩擦に抗するためには、電線を挟むクランプの掴み力を大きくする必要がある。
しかしながら、この場合、クランプで掴まれた電線に傷や凹みなどが発生するおそれがある。
又、クランプによるチャック機構は、1回の動作に「掴む、送る、離す」という3工程が必要となり、全体の動作に時間が掛かって生産性が低下するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、ゴム製のグロメットに電線を挿通させる際の電線の損傷を抑制すると共に、生産性を向上させることができるグロメット部品及びセンサの製造方法、並びにグロメット部品製造装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明のグロメット部品の製造方法は、一又は複数の電線を1対のローラ間に保持する電線保持工程と、前記電線を個々に挿通するための第1挿通孔を有するゴム製のグロメットを保持するグロメット保持工程と、前記1対のローラを回転させて前記電線を前記グロメットに向かって前進させ、前記第1挿通孔に前記電線を挿通させる電線挿通工程と、を有することを特徴とする。
【0007】
このグロメット部品の製造方法によれば、電線を1対のローラで挟みながらグロメットの挿通孔に挿通させるので、電線をクランプで挟む場合に比べて電線を広い面積で保持でき、挿通時の電線の傷や凹み、折れ等による損傷を抑制できる。又、電線を走行させてローラで挟めばよいので、クランプによるチャックのように1回の動作に「掴む、送る、離す」という3工程が必要ではなく、全体の動作時間を短縮して生産性を向上させることができる。
【0008】
本発明のセンサの製造方法は、前記グロメット部品の製造方法にて製造された前記グロメット部品と、前記電線を個々に挿通するための第2挿通孔を有するセラミック部材と、を少なくとも有するセンサの製造方法であって、前記グロメット保持工程において、前記グロメットと、前記セラミック部材とを、前記第1挿通孔及び前記第2挿通孔の延びる方向に隙間を介して保持すると共に、前記隙間に貫通孔を有するガイド部材を配置し、前記貫通孔を前記第1挿通孔と前記第2挿通孔とに重ならせ、前記電線挿通工程において、前記第1挿通孔及び前記第2挿通孔に前記電線を挿通させ、前記電線挿通工程の後、前記ガイド部材を除去する除去工程をさらに有することを特徴とする。
【0009】
このセンサの製造方法によれば、上述のグロメット部品の製造方法と同様に、1対のローラを用いるのでゴム製のグロメットに電線を挿通させる際の電線の損傷を抑制すると共に、生産性を向上させることができる。
さらに、ガイド部材の貫通孔を、挿通孔と収容部とに重ならせているので、挿通孔と収容部の位置が異なっていても、各電線を、貫通孔をガイドとして挿通孔から収容部へ挿通することができる。
又、電線挿通後には不要となったガイド部材を除去(撤去)することができる。
【0010】
本発明のセンサの製造方法において、前記電線挿通工程の後、前記セラミック部材から前記電線が複数突出しており、当該突出した前記複数の電線を面一に揃える電線整合工程と、前記電線整合工程にて揃えられた前記複数の電線のそれぞれに、端子金具を圧着する端子金具圧着工程と、をさらに有してもよい。
このセンサの製造方法によれば、セラミック部材から突出した複数の電線のそれぞれに、一度に各端子金具を圧着することができ、生産効率が向上する。
【0011】
本発明のグロメット部品製造装置は、一又は複数の電線を自身の間に保持する1対のローラと、前記電線を個々に挿通するための第1挿通孔を有するゴム製のグロメットを保持するグロメット保持部と、を有するグロメット部品製造装置であって、前記1対のローラを回転させて前記電線を前記グロメットに向かって前進させ、前記第1挿通孔に前記電線を挿通させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、ゴム製のグロメットに電線を挿通させる際の電線の損傷を抑制すると共に、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係るセンサの製造方法によって製造されたガスセンサの断面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るグロメット部品製造装置を示す外観斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るセンサの製造方法を示す工程図である。
【
図5】グロメット部品製造装置の変形例を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
まず、
図1~
図4を参照し、本発明の実施形態に係るグロメット部品製造装置200及びセンサの製造方法について説明する。
図1は本発明の実施形態に係るセンサの製造方法によって製造されたガスセンサ(センサ)1Aの断面図、
図2は本発明の実施形態に係るグロメット部品製造装置200を示す外観斜視図、
図3は本発明の実施形態に係るセンサの製造方法を示す工程図、
図4は
図3に続く図である。
【0015】
図1において、ガスセンサ(全領域空燃比ガスセンサ)1Aは、センサ素子21と、軸線O方向に貫通してセンサ素子21を挿通させる貫通孔32を有するホルダ(セラミックホルダ)30Aと、セラミックホルダ30Aの径方向周囲を取り囲む主体金具11と、プロテクタ60Aと、後述する中間部材100と、を備えている。
センサ素子21のうち、検知部22が形成された先端寄り部位が、セラミックホルダ30Aより先端に突出している。このように貫通孔32を通されたセンサ素子21は、セラミックホルダ30Aの後端面側(図示上側)に配置されたシール部材(本例では滑石)41を、絶縁材からなるスリーブ43、リングワッシャ45を介して先後方向に圧縮することによって、主体金具11の内側において先後方向に気密を保持して固定されている。
なお、センサ素子21の後端29を含む後端寄り部位はスリーブ43及び主体金具11より後方に突出しており、その後端寄り部位に形成された各電極端子24に、グロメット85を通して外部に引き出された各リード線71の先端に設けられた端子金具75が圧接され、電気的に接続されている。また、この電極端子24を含むセンサ素子21の後端寄り部位は、外筒81でカバーされている。以下、さらに詳細に説明する。
【0016】
センサ素子21は軸線O方向に延びると共に、測定対象に向けられる先端側(図示下側)に、検知用電極等(図示せず)からなり被検出ガス中の特定ガス成分を検出する検知部22を備えた帯板状(板状)をなしている。センサ素子21の横断面は、先後において一定の大きさの長方形(矩形)をなし、セラミック(固体電解質等)を主体として細長いものとして形成されている。このセンサ素子21自体は、従来公知のものと同じものであり、固体電解質(部材)の先端寄り部位に検知部22をなす一対の検知用電極が配置され、これに連なり後端寄り部位には、検知用出力取り出し用のリード線71接続用の電極端子24が露出形成されている。
また、本例では、センサ素子21のうち、固体電解質(部材)に積層状に形成されたセラミック材の先端寄り部位内部にヒータ(図示せず)が設けられており、後端寄り部位には、このヒータへの電圧印加用のリード線71接続用の電極端子24が露出形成されている。なお、図示はしないが、これら電極端子24は縦長矩形に形成され、例えばセンサ素子21の後端寄り部位において、帯板の幅広面(両面)に3つ又は2つの電極端子が横に並んでいる。
なお、センサ素子21の検知部22に、アルミナ又はスピネル等からなる多孔質の保護層23が被覆されている。
【0017】
主体金具11は、先後において同心異径の筒状をなし、先端側が小径で、後述する中間部材100を自身の内面に係合するための円筒状の円環状部(以下、円筒部ともいう)18を有し、その後方(図示上方)の外周面には、それより大径をなす、エンジンの排気管への固定用のネジ13が設けられている。そして、その後方には、このネジ13によってセンサ1をねじ込むための多角形部14を備えている。また、この多角形部14の後方には、ガスセンサ1Aの後方をカバーする保護筒(外筒)81を外嵌して溶接する円筒部15が連設され、その後方には外径がそれより小さく薄肉のカシメ用円筒部16を備えている。なお、このカシメ用円筒部16は、
図1では、カシメ後のために内側に曲げられている。なお、多角形部14の下面には、ねじ込み時におけるシール用のガスケット19が取着されている。
さらに、主体金具11の円環状部18近傍の内周面には、後端側から先端側に向かって径方向内側に先細るテーパ状の段部17を有している。
【0018】
主体金具11の内側には、絶縁性セラミック(例えばアルミナ)からなり、概略短円筒状に形成されたセラミックホルダ30Aが配置されている。セラミックホルダ30Aは、先端に向かって先細りのテーパ状に形成された先端向き面30fを有している。そして、先端向き面30fの外周寄りの部位が中間部材100を介して段部17に係止されつつ、セラミックホルダ30Aが後端側からシール部材41で押圧されることで主体金具11内にセラミックホルダ30Aが位置決めされ、かつ隙間嵌めされている。
一方、貫通孔32は、セラミックホルダ30Aの中心に設けられると共に、センサ素子21が略隙間なく通るように、センサ素子21の横断面とほぼ同一の寸法の矩形の開口とされている。
【0019】
センサ素子21は、セラミックホルダ30Aの貫通孔32に通され、センサ素子21の先端をセラミックホルダ30A及び主体金具11の先端よりも先方に突出させている。
一方、センサ素子21の先端部位は、筒状をなし、被測定ガスを導入又は排出可能なプロテクタ60Aで覆われている。本形態では、プロテクタ60Aは、通気孔56及び排出孔53を有する有底円筒状の内側プロテクタ51と、通気孔67及び排出孔69を有する有底円筒状の外側プロテクタ61とを離間して配置した2重プロテクタからなる。
このうち内側プロテクタ51と外側プロテクタ61の後端60Aeが中間部材100の外面に重なり合った状態で、内側プロテクタ51及び外側プロテクタ61を貫通する溶接部Wが形成されている。より具体的には、内側プロテクタ51の後端が拡径して外側プロテクタ61の後端に接し、両者が重なった後端60Aeが形成されている。そして、内側プロテクタ51の後端と中間部材100の外面とが対向し、外側プロテクタ61から中間部材100に向かって溶接部Wが形成されている。
【0020】
中間部材100は、金属製で無底筒状をなし、後端側に径方向外側に広がるフランジ部100aを有している。中間部材100のフランジ部100aを除く外径は、主体金具11の円環状部18の内径よりわずかに小さく、円環状部18の内側に中間部材100を嵌合可能になっている。
そして、主体金具11の後端側から中間部材100を挿入すると、段部17にフランジ部100aの先端向き面100fが係止される。さらに中間部材100の後端側に配置されたセラミックホルダ30Aの先端向き面30fを先端に向かって押圧すると、先端向き面30fがフランジ部100aの後端向き面に当接し、先端向き面30fが中間部材100を介して段部17に係止される。
つまり、中間部材100は、主体金具11とセラミックホルダ30Aとの間に挟持されている。
このようにして中間部材100が主体金具11に係合されると共に、主体金具11の先端よりも先方に突出した中間部材100の外面に、上記したようにプロテクタ60Aの後端60Aeが溶接されて溶接部Wが形成されている。
【0021】
一方、
図1に示すように、センサ素子21の後端寄り部位に形成された各電極端子24には、外部にグロメット85の挿通孔85h(本例では4個)を通して引き出された各リード線71の先端に設けられた各端子金具75がそのバネ性により圧接され、電気的に接続されている。そして、この圧接部を含む各端子金具75は、本例ガスセンサ1Aでは、外筒81内に配置された絶縁性のセパレータ91内に貫通して設けられた各収容部91h(本例では4個)内に、それぞれ対向配置で設けられている。なお、セパレータ91は、外筒81内にカシメ固定された保持部材82を介して径方向及び先端側への動きが規制されている。そして、この外筒81の先端部を、主体金具11の後端寄り部位の円筒部15に外嵌して溶接することで、ガスセンサ1Aの後方が気密状にカバーされている。
なお、リード線71は外筒81の後端部の内側に配置されたグロメット(ゴム製)85を通されて外部に引き出されており、この小径筒部83を縮径カシメしてこのグロメット85を圧縮することにより、この部位の気密が保持されている。
【0022】
因みに、外筒81の軸線O方向の中央よりやや後端側には、先端側が径大の段部81dが形成され、この段部81dの内面がセパレータ91の後端を先方に押すように支持する。一方、セパレータ91はその外周に形成されたフランジ93を外筒81の内側に固定された保持部材82の上に支持させられており、段部81dと保持部材82とによってセパレータ91が軸線O方向に保持されている。
各リード線71、セパレータ91がそれぞれ特許請求の範囲の「電線」、「セラミック部材」に相当する。
又、挿通孔85h、収容部91hがそれぞれ特許請求の範囲の「第1挿通孔」、「第2挿通孔」に相当する。
【0023】
図2に示すように、本発明の実施形態に係るグロメット部品製造装置200は、複数のリード線71を自身の間に保持する1対のローラ202,204と、リード線71が走行する走行台210と、走行台210の先端に取り付けられてグロメットを保持するグロメット保持部220と、を有する。
ローラ202,204の後方(
図2の右側)には各リード線71の各リールを保持する箱状の収納部230が配置され、各リード線71が各リールから巻き出されて1対のローラ202,204間に挟持されつつ前方(
図2の左側)に前進する。
又、ローラ202,204の前方には走行台210が配置されており、この走行台210の上面には複数本(本例では4本)の溝210vがリード線71の進む方向に沿って設けられている。そして、各溝210v内にリード線71が収容された状態で、各溝210vをガイドとしてリード線71が前進可能となっている。
【0024】
そして、このグロメット部品製造装置200を用いて、後述するようにグロメット85(及びセパレータ91)にリード線71を挿通させる。
この際、リード線71を1対のローラ202,204で挟みながらグロメット85の挿通孔85hに挿通させるので、リード線71をクランプで挟む場合に比べてリード線71を広い面積で保持でき、挿通時のリード線71の傷や凹み、折れ等による損傷を抑制できる。又、リード線71を走行させてローラ202,204で挟めばよいので、クランプによるチャックのように1回の動作に「掴む、送る、離す」という3工程が必要ではなく、全体の動作時間を短縮して生産性を向上させることができる。
【0025】
さらに、走行台210にリード線71を収容(保持)した状態で、走行台210をガイドとしてリード線71を前進させるので、リード線71が本来の位置から逸脱して前進したり、複数のリード線71を前進させる際に絡まったりする不具合を抑制できる。
【0026】
次に、
図3,
図4を参照し、本発明の実施形態に係るセンサの製造方法(グロメット部品の製造方法)について説明する。
まず、上述のようにグロメット部品製造装置200(
図2)により、複数のリード線71を1対のローラ202,204間に保持する(電線保持工程)。さらに、ローラ202,204を回転させて各リード線71を、走行台210内で前進させる。
一方、リード線71を個々に挿通するための挿通孔85hを有するゴム製のグロメット85を、グロメット保持治具301の内部に保持する(
図3(a):グロメット保持工程)。
【0027】
又、本例では、外筒部材81xを、外筒部材保持治具303の内部に保持する。ここで、外筒部材81xは、カシメ後に外筒81となる部材である。そして、外筒部材保持治具303を、グロメット保持治具301の上方に両者の軸心を揃えて配置する。
【0028】
さらに、本例では、セパレータ91とその外面に嵌合された保持部材82とを、セパレータ保持治具305の内部に保持する。そして、セパレータ保持治具305を、グロメット保持治具301の上方に両者の軸心を揃え、かつ軸心方向に間隔を開けて配置する。さらに、セパレータ保持治具305とグロメット保持治具301の間に、ガイド部材401を配置する(
図3(b))。
ここで、ガイド部材401は貫通孔(本例では4個)を有している。
【0029】
次に、外筒部材保持治具303に保持された外筒部材81xの内側にガイド部材401を収容し、外筒部材保持治具303の上方にセパレータ保持治具305を嵌合し、外筒部材保持治具303の下方にグロメット保持治具301を嵌合して、アセンブリとする(
図3(c))。
なお、
図3(a)~(c)の工程は、所定の搬送装置上で順次行われる。
又、本例では、
図3(a)~(c)までがグロメット保持工程であり、ガイド部材401の貫通孔401hを挿通孔85hと収容部91hとに重ならせるように配置する(
図3(d)参照)。
【0030】
次に、
図3(c)で組付けたアセンブリを、グロメット部品製造装置200のグロメット保持部220に保持する。そして、グロメット部品製造装置200のローラ202,204を回転させ、電線保持工程で保持した各リード線71をグロメット85に向かって前進させ、挿通孔85hに各リード線71を挿通させる(
図3(d):電線挿通工程)。
ここで、4個の挿通孔85hを同一平面上で見たとき、4つの溝210vと重なるようになっているので、各溝210vに沿って4本のリード線71を前進させると、4個の挿通孔85hにそれぞれスムーズに挿通できる。
挿通孔85hに各リード線71を挿通させる動作までが、「グロメット部品の製造方法」に相当する。
【0031】
さらに、本例では、
図3(d)に示すように、電線挿通工程において、各リード線71を挿通孔85hに挿通させるだけでなく、さらにガイド部材401の貫通孔401h、及び収容部91hに挿通させる。ここで、ガイド部材401の貫通孔401hを、挿通孔85hと収容部91hとに重ならせているので、挿通孔85hと収容部91hの位置が異なっていても、各リード線71を、貫通孔401hをガイドとして挿通孔85hから収容部91hへ挿通することができる。
なお、本例では、収容部91hの各孔の間隔が挿通孔85hの各孔の間隔よりも広く、貫通孔401hの間隔も挿通孔85hに向かって広がっている。又、本例では、セパレータ91から外側に突出するまで各リード線71を挿通する。
【0032】
次に、セパレータ91から突出した各リード線71の先端にストッパ505を当て、各リード線71を面一に揃える(
図4(a):電線整合工程)。ここで、本例では、各リード線71の先端を第2ガイド部材501に挿通し、第2ガイド部材501から突出した各リード線71の先端にストッパ505を当てている。
第2ガイド部材501は貫通孔(本例では4個)を有しており、後述する端子金具圧着工程にて、端子金具75の配置間隔とセパレータ91から突出した各リード線71の間隔が異なることから、各リード線71の間隔を第2ガイド部材501内(の貫通孔)で広げて端子金具75の配置間隔に揃えるものである。
【0033】
次に、セパレータ保持治具305と外筒部材保持治具303とを切り離し、外筒部材保持治具303とグロメット保持治具301の結合体と、セパレータ保持治具305とをリード線71の延びる方向に間隔を開けるように移動させる。これにより、外筒部材81xに収容されたガイド部材401が露出する。
ガイド部材401は、上下の部材に分割可能になっており、ガイド部材401を(
図4の紙面方向に)分割することで、各リード線71をそのまま残した状態で、ガイド部材401を除去することができる(
図4(b):除去工程)。
【0034】
次に、外筒部材保持治具303とグロメット保持治具301の結合体と、セパレータ保持治具305とをリード線71の延びる方向に近接させてもとの位置に戻した後、走行台210上で、各リード線71のグロメット85から突出した後端側を所定長さになるようカッタ307で切断する(
図4(c))。
最後に、第2ガイド部材501から突出した各リード線71の先端に、端子パレット309に位置決めして収容された各端子金具75を圧着する(
図4(d):端子金具圧着工程)。
【0035】
以上のようにして、外筒部材81xに収容されたグロメット85及びセパレータ91にリード線71を挿通した状態で、
図1に示すように外筒部材81xのうちグロメット85及びセパレータ91を覆う部分を適宜カシメて外筒アセンブリを製造する。
そして、この外筒アセンブリを、センサ素子21及び主体金具11を含む素子アセンブリと組付けることでガスセンサ1Aを製造することができる。
【0036】
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
例えば、
図5に示すように、グロメット部品200Bとして、4本のリード線71をそれぞれ挟む1対のローラ202B、204Bを4組備えてもよい。
この場合、4組のローラを同調させて4本のリード線を一度にグロメットに挿通してもよく、1組のローラでリード線を1本ずつ順次グロメットに挿通してもよい。又、後者の場合は、
図2のような溝210vを不要として、グロメットの第1挿通孔への各リード線の位置決めを、リード線の先端を把持したロボットアームで調整してもよい。
グロメット保持治具301へのグロメット85の配置位置の位置決めとして、グロメット85の挿通孔85hに挿通するピンを有する基台を用意し、この基台のピンにグロメット85を装着し、基台ごと位置合わせをしてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1A センサ(ガスセンサ)
71 電線(リード線)
75 端子金具
85 グロメット
85h 第1挿通孔(挿通孔)
91 セラミック部材(セパレータ)
91h 第2挿通孔(収容部)
200 グロメット部品製造装置
202,204 ローラ
220 グロメット保持部
401 ガイド部材