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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152470
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】非塗工紙
(51)【国際特許分類】
   D21H 19/10 20060101AFI20231010BHJP
【FI】
D21H19/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062505
(22)【出願日】2022-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 理弘
(72)【発明者】
【氏名】渕川 智和
(72)【発明者】
【氏名】吉本 孝士
(72)【発明者】
【氏名】中山 光司
【テーマコード(参考)】
4L055
【Fターム(参考)】
4L055AA02
4L055AA03
4L055AC06
4L055AG10
4L055AG26
4L055AG48
4L055AH01
4L055AH13
4L055AH16
4L055AH18
4L055BE08
4L055BE10
4L055CF02
4L055CF41
4L055EA14
4L055EA29
4L055FA15
4L055GA15
(57)【要約】
【課題】製造時の操業性に優れた非塗工紙を提供すること。また、オフセット印刷適性とUV印刷適性とを兼ね備えた非塗工紙を提供すること。
【解決手段】原紙の両面に白色顔料を含有しないクリア塗工層を有し、
前記クリア塗工層が、過硫酸アンモニウム(APS)処理または酵素処理されたタピオカ澱粉を含有する非塗工紙。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原紙の両面に白色顔料を含有しないクリア塗工層を有し、
前記クリア塗工層が、過硫酸アンモニウム(APS)処理または酵素処理されたタピオカ澱粉を含有することを特徴とする非塗工紙。
【請求項2】
前記タピオカ澱粉が、アセチル置換度0.1以上0.3以下のアセチル化タピオカ澱粉であることを特徴とする請求項1に記載の非塗工紙。
【請求項3】
前記クリア塗工層の塗工量(乾燥重量)が、両面で1g/m以上6g/m以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の非塗工紙。
【請求項4】
前記クリア塗工層の外添サイズ剤含有量が、0.01g/m以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の非塗工紙。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非塗工紙に関する。
【背景技術】
【0002】
製紙業界において、サイズプレス用途、内添用途、塗工紙塗料等の原料として、各種製紙用澱粉が使用されている。製紙用澱粉は、澱粉粉末を水に分散、蒸煮することにより澱粉糊液に調製してから使用されている。しかしながら、一度糊化した澱粉糊液は、経時的に老化が起こり、種々のトラブルの原因となる。
澱粉の老化とは、澱粉糊液中に含まれるアミロースが水素結合を介して再会合を起こしてゲル化する現象である。アミロースの再会合は、系全体に広がって液全体が増粘・ゲル化していく現象と、ごく狭い範囲で再会合が進行してゲル化物の沈殿が発生する現象に大別できるが、いずれにせよ、老化した澱粉糊液を使用すると、操業性が低下し、また、紙の表面強度や塗工層強度が低下する。澱粉糊液の老化は、一般的に糊液が高濃度であるほど、また糊液温度が低いほど進行しやすい。特に、近年、ゲートロールコータなどにより高濃度の糊液を塗工するケースが増えてきており、澱粉糊液の老化防止の要求は高まりつつある。
このような澱粉の老化を防止するために、酸化やアセチル化などの各種変性処理を施した変性澱粉が使用されている。例えば特許文献1には、効果安定性を向上させるために、酸化処理または酵素処理によりアミロペクチン比率が95%以上に調整されたポテト澱粉を塗布して、印刷特性に優れた紙を得る技術が開示されている。
【0003】
また、一般の印刷用紙では、通常油性インキでのオフセット印刷を想定した品質設計となっているが、近年の印刷技術の進展に伴い、UV印刷を施されることが増えてきている。UV印刷とは、UV照射により硬化するUV硬化型インキを使用した印刷の総称であり、一般的にオフセット方式によって印刷される。そのため、印刷用紙には、油性インキによる油性インキ印刷適性とともに、UV硬化型インキによるUV印刷適性が要求される場合がある。UV印刷は、オフセット印刷と比較して、瞬間硬化、無溶剤、パウダーレス、各種耐性(傷、熱、溶剤)に優れる等の特性を有する。一方、UV印刷は、インキ粘度の温度依存性が高い、硬化後のインキ皮膜と基材との接着性不良、脱墨性(リサイクル性)などの課題を有している(非特許文献1)。
印刷用紙へのUV印刷に関し、印刷方法(特許文献2)、脱墨性(特許文献3)に関する検討はなされているが、印刷用紙に関する検討は十分にされていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-243013号公報
【特許文献2】特開2020-93430号公報
【特許文献3】特開2019-173239号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】難波 正敬、“最新印刷講座(第IV講)UV硬化型インキの基礎と今後の展望”、色材協会誌、2012年、85巻、2号、p72-79
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
製造時の操業性に優れた非塗工紙を提供することを課題とする。また、オフセット印刷適性とUV印刷適性とを兼ね備えた非塗工紙を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の課題を解決するための手段は、以下の通りである。
1.原紙の両面に白色顔料を含有しないクリア塗工層を有し、
前記クリア塗工層が、過硫酸アンモニウム(APS)処理または酵素処理されたタピオカ澱粉を含有することを特徴とする非塗工紙。
2.前記タピオカ澱粉が、アセチル置換度0.1以上0.3以下のアセチル化タピオカ澱粉であることを特徴とする1.に記載の非塗工紙。
3.前記クリア塗工層の塗工量(乾燥重量)が、両面で1g/m以上6g/m以下であることを特徴とする1.または2.に記載の非塗工紙。
4.前記クリア塗工層のサイズ剤含有量が、0.01g/m以下であることを特徴とする1.または2.に記載の非塗工紙。
【発明の効果】
【0008】
本発明の非塗工紙は、塗工液が増粘、ゲル化しにくいため、経時で塗工液の粘度がほとんど変化せず、条件を変更することなく安定して塗工し続けることができるため、操業性に優れている。本発明の非塗工紙は、油性インキ印刷適性とUV印刷適性とを兼ね備えている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
「非塗工紙」
本発明の非塗工紙は、原紙の両面に白色顔料を含有しないクリア塗工層を有し、このクリア塗工層が、過硫酸アンモニウム(APS)処理または酵素処理されたタピオカ澱粉を含有する。
なお、クリア塗工層とは、接着剤を主成分とし、白色顔料を含まない塗工層を意味する。また、本発明の非塗工紙は、白色顔料を含む顔料塗工層は有さない。本発明の非塗工紙は、オフセット印刷、UV印刷に好適に用いることができるが、その他、グラビア印刷、活版印刷、インクジェット印刷などにも用いることができる。
【0010】
・原紙
原紙のパルプ原料は、広葉樹クラフトパルプ(LKP)、針葉樹クラフトパルプ(NKP)など化学パルプを使用することができる。化学パルプ以外にも、用途に応じて各種パルプを使用することができ、例えば、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、脱墨パルプ(DIP)、針葉樹クラフトパルプ(NKP)など、一般的に抄紙原料として使用されているものの1種または2種以上を混合して使用することができる。
【0011】
原紙に使用される填料は、特に制限されるものではなく、重質炭酸カルシウムや軽質炭酸カルシウムなどの炭酸カルシウム、酸化チタン、クレー、シリカ、タルク、カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化チタン、ベントナイトなどの無機填料;尿素-ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子等の有機填料;製紙スラッジや脱墨フロス等を原料とした再生填料;のうち、1種または2種以上を混合して使用することができる。これらの中で、安価でかつ光学特性に優れていることから、炭酸カルシウム、特に軽質炭酸カルシウムを使用することが好ましく、さらに、印刷時の滑り性が向上することで搬送性が良好になる、抄紙用具や版の摩耗を低減する観点からタルクを併用することがより好ましく、軽質炭酸カルシウムとタルクの比率(乾燥重量)を、9:1~1:9とすることがさらに好ましい。
填料の配合量は特に制限されないが、印刷時の裏抜けの観点から紙中灰分が原紙の絶乾重量に対し、15重量%以上、さらに好ましくは18重量%以上となるように添加することが好ましい。灰分の上限は特にないが、紙の強度や操業性を考慮すると、40重量%以下であることが好ましい。
【0012】
本発明の原紙は、公知の内添用である製紙用添加剤を使用することができる。内添用である製紙用薬品としては、特に制限されず、種々の薬品を単独または組み合わせて用いることができる。例えば、歩留剤、濾水性向上剤、凝結剤、硫酸バンド、ベントナイト、シリカ、内添サイズ剤、乾燥紙力剤、湿潤紙力剤、嵩高剤、填料、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、紫外線防止剤、退色防止剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤などの製紙用薬品を用いることができる。
【0013】
原紙の抄紙方法は特に制限されず、長網式、円網式、短網式、ツインワイヤー式抄紙機などによって製造することができる。ツインワイヤー抄紙機としては、ギャップフォーマー、オントップフォーマーなどが挙げられる。また、抄紙法は、中性抄紙でも酸性抄紙でもよいが、中性抄紙であることが好ましい。具体的には、本発明においては、抄紙時の紙料pHが5.0~9.0であることが好ましく、6.0~8.0であることがより好ましい。
【0014】
本発明において、原紙の坪量は特に制限されないが、JIS P8124に準じて測定した坪量が40g/m以上210g/m以下が好ましく、より好ましくは45g/m以上180g/m以下であり、より好ましくは60g/m以上150g/m以下である。
【0015】
・クリア塗工層
クリア塗工層は、白色顔料を含有せず、原紙の両面に設けられる。
本発明の非塗工紙において、クリア塗工層は、過硫酸アンモニウム(APS)を加え熱化学変性させる(APS)処理されたタピオカ澱粉、またはαアミラーゼを用いて加水分解する酵素処理されたタピオカ澱粉を含有する。APS処理、または酵素処理を行うと、分子量は低下し、アミロース主鎖が切断されるため、粘度が低下して経時で増粘(老化)しにくくなるが、紙の強度も低下してしまう。メカニズムは不明であるが、タピオカ澱粉は、他の澱粉と比較して、APS処理または酵素処理を行っても、老化しにくさと強度とを両立することができる。
【0016】
タピオカ澱粉は、アセチル置換度0.1以上0.3以下であることが、澱粉の老化防止等の点から好ましい。なお、アセチル置換度は、下記方法により測定することができる。
アセチル置換度測定方法
1.澱粉5.0BDg(絶乾)相当を採取
2.蒸留水100mlを加えて、スターラー攪拌
3.1%フェノールフタレイン(呈色領域 pH7.8-10.0)0.5ml添加
4.5mM NaOHを僅かに赤色の呈色が確認できる(pH8.0-8.5)まで添加
5.0.45M NaOH 25mlを添加
6.密封して、30分間攪拌する(加水分解反応が進む)
7.0.25M HClで滴定を行う
ブランク
蒸留水で、上記と同様の操作を行う。
【0017】
以下の式により、アセチル化度(A)、アセチル置換度(DS)を算出する。
・DS=162A/(4300-42A)
・A=(V-V0)×F×N×0.043×100/m
DS:アセチル置換度
A :アセチル化度
V0:Blank titer(ml)/ブランク滴定量
V :Sample titer(ml)/サンプル滴定量
F :Hydrochloric acid factor/塩酸ファクター
N :Normality of hydrochloric acid solution(M)/塩酸規定
m :Amount of sample(dry basis/g)/サンプル重量
【0018】
クリア塗工層は、APS処理または酵素処理されたタピオカ澱粉以外に、他の澱粉、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール系高分子等の水溶性高分子を含有することもできるが、全水溶性高分子に対するAPS処理または酵素処理されたタピオカ澱粉の割合は、80重量%以上であることが好ましく、90重量%以上であることがより好ましく、95重量%以上であることがさらに好ましく、99重量%以上であることがよりさらに好ましく、100重量%であることが最も好ましい。
【0019】
クリア塗工層は、必要に応じて、ラテックス、外添サイズ剤、分散剤、増粘剤、保水材、消泡剤、耐水化剤、着色剤、導電剤等、通常の表面処理剤に配合される各種助剤を適宜使用することができる。ただし、本発明のクリア塗工層は、コーンなどの他の澱粉と比較してサイズ性に優れるタピオカ澱粉を用いることにより、外添サイズ剤の含有量が少なくても十分なサイズ性(点滴吸水度)を得ることができる。そのため、クリア塗工層における外添サイズ剤の含有量は、0.01g/m以下であることが好ましく、0.005g/m以下であることがより好ましく、含有しない(0g/m)ことが最も好ましい。
【0020】
クリア塗工層の塗工量(乾燥重量)は、特に制限されないが、両面で1.0g/m以上6.0g/m以下であることが好ましく、1.5g/m以上5.0g/m以下であることがより好ましく、2.0g/m以上4.0g/m以下であることがさらに好ましい。塗工量が1.0g/m未満では、オフセット印刷時の表面強度が不足するなど、塗工により十分な物性が付与できない場合がある。塗布量が6.0g/mより多くなるとUV印刷後のUVインキの乾燥性に劣りUV印刷適性が悪化する、塗工層中の水分の絶対量が多くなることにより、乾燥負荷が増大し、乾燥不良が発生しやすくなるなどの問題が発生する場合がある。
【0021】
・塗工方法
クリア塗工層を形成するための塗工方法は、特に制限されず、2ロールサイズプレス、ポンド式サイズプレス、ゲートロールコータ、ロットメタリングサイズプレスや、ブレードコーター、スプレーコータ、カーテンコータなどの公知の塗工方法を用いることができる。
なお、塗工前の原紙に、オンラインソフトキャレンダ、オンラインチルドカレンダなどによりプレカレンダー処理を行い、予め平滑化しておくこともできる。
【0022】
塗工したクリア塗工層を乾燥させる方法に制限はなく、例えば蒸気過熱シリンダ、加熱熱風エアドライヤ、ガスヒータードライヤ、電気ヒータードライヤ、赤外線ヒータードライヤ等各種の方法を単独もしくは併用して用いることができる。
得られた非塗工紙は、仕上げ装置、例えばスーパーカレンダー、グロスカレンダー、ソフトカレンダー、高温ソフトニップカレンダーなどに通紙して製品仕上げを行うことができる。
【実施例0023】
以下に、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0024】
・澱粉老化性
下記の各種澱粉に水を添加したスラリーを、卓上ジェットクッカー(ノリタケ製)を用いて150℃で蒸煮、糊液を得た後、水酸化ナトリウムで糊液pHを7.0に調整した。蒸煮後の糊液を10重量%濃度水溶液に調製し、調製直後、2時間後、24時間後にB型粘度計(本体:東機産業製TV-10M、ローター:M1~M4のうち、測定対象の粘度に応じて適切なものを選択した。)で、40℃、60rpmにて粘度を測定し、澱粉の老化しやすさを評価した。結果を表1に示す。
(製造例1)APS変性アセチル化タピオカ澱粉
アセチル化タピオカ澱粉(イーヤムヘン社、OG-35)絶乾25gにAPS(過硫酸アンモニウム)を所定量加え、純水にて合計250gとしたスラリーを、蒸煮、中和してAPS変性アセチル化タピオカ澱粉を得た。
(製造例2)APS変性コーン澱粉
アセチル化タピオカ澱粉を生コーン澱粉(日本食品化工社、ローコンス)に変更し、APS添加量を変更した以外は製造例1と同様に製造した。
(製造例3)
市販の酸処理コーン澱粉(日本食品化工社、TCS#10)をそのまま用いた。
【0025】
【表1】
【0026】
APS変性アセチル化タピオカ澱粉は、2時間後、24時間後も粘度がほとんど変化せず、老化しにくいことが確かめられた。
それに対し、APS変性コーン澱粉は、APS処理を強くするほど老化しにくくはなったが、0.25重量%添加率でも24時間後の粘度は約2倍に増粘した。また、酸処理コーン澱粉は、2時間経過後に著しく増粘し、24時間後にはゲル化していた。
【0027】
・原紙の抄造
LBKP88重量%(CSF370ml)、NBKP12重量%(CSF460~500ml)のパルプスラリーに、填料としてタルク(福岡タルク株式会社製、Eタルク)と炭酸カルシウム(奥多摩工業株式会社製、タマパール121)を8:92の割合で灰分21%、パルプスラリーの固形分に対して0.7重量%(固形分)の無機系凝集剤(ポリ塩化アルミニウム)、1.0重量%(固形分)の紙力向上剤(カチオン化澱粉)を順次添加し、紙料スラリーを調成した。
この紙料スラリーから、角型手抄き機(250mm×180mm)を使用して坪量62g/mの原紙を抄紙した。
【0028】
[実施例1]
アセチル化度0.16のアセチル化タピオカ澱粉(イーヤムヘン社、OG-15)を、製造例1と同様の方法で、APS添加率0.11重量%の条件でAPS変性した。
このAPS変性アセチル化タピオカ澱粉を3.5重量%、スチレン系サイズ剤(荒川化学株式会社製、ポリマロン20SY)0.10重量%を含有するクリア塗工液を調製した。
クリア塗工液を原紙に含浸塗工法で塗工し、シリンダードライヤーで乾燥後、カレンダー処置して非塗工紙を得た。クリア塗工層の両面塗工量は1.9/mであった。
【0029】
「実施例2」
クリア塗工層の両面塗工量を2.6g/mとした以外は実施例1と同様に非塗工紙を得た。
「実施例3」
クリア塗工層の両面塗工量を4.3g/mとした以外は実施例1と同様に非塗工紙を得た。
【0030】
「実施例4」
アセチル化度0.25のアセチル化タピオカ澱粉(イーヤムヘン社、OG-35)を、製造例1と同様の方法で、APS添加率0.11重量%の条件でAPS変性した。
このAPS変性したアセチル化タピオカ澱粉を用い、クリア塗工層の両面塗工量を2.3g/mとした以外は実施例1と同様に非塗工紙を得た。
「実施例5」
クリア塗工層の両面塗工量を3.4g/mとした以外は実施例4と同様に非塗工紙を得た。
「実施例6」
クリア塗工層の両面塗工量を4.1g/mとした以外は実施例4と同様に非塗工紙を得た。
【0031】
「比較例1」
生コーン澱粉(日本食品化工社、ローコンス)を、製造例1と同様の方法で、APS添加率0.16重量%の条件でAPS変性した。
このAPS変性コーン澱粉を用い、クリア塗工層の両面塗工量を1.4g/mとした以外は実施例1と同様に非塗工紙を得た。
「比較例2」
クリア塗工層の両面塗工量を2.3g/mとした以外は比較例1と同様に非塗工紙を得た。
「比較例3」
クリア塗工層の両面塗工量を3.9g/mとした以外は比較例1と同様に非塗工紙を得た。
「比較例4」
酸化タピオカ澱粉(三晶株式会社、OXCEL)を用い、クリア塗工層の両面塗工量を2.1g/mとした以外は実施例1と同様に非塗工紙を得た。
【0032】
・評価
得られた非塗工紙について、以下の評価を行った。結果を表2に示す。
印刷適性1:UVインキ剥がれ(UVインキ、オフセット印刷)
ローランド社製オフセット枚葉印刷機(4色)にてオフセット枚葉用UVインキ(東洋インキ(株)製FD-LPC)を使用し、印刷速度8000枚/hで4色(墨、藍、紅、黄)の絵柄印刷を行い、UV照射を経て印刷物を得た。
印刷から一時間後に、得られた印刷物の絵柄に対し、セキスイセロテープ(積水化学工業(株)No.252)を接着長が40mmになるように貼りつけたのち、300gの分銅を一往復させてテープと印刷部を密着させた。約15mm/secで印刷物からテープを剥がして、印刷物からのインキ剥がれの程度を評価した。評価基準は以下の通りである。
◎=発生しない、○=ほとんど発生しない、△=発生する、×=発生が著しい
【0033】
印刷適性2:表面強度(UVインキ、オフセット印刷)
ローランド社製オフセット枚葉印刷機(4色)にてオフセット枚葉用UVインキ(東洋インキ(株)製FD-LPC)を使用し、印刷速度8000枚/hで4色(墨、藍、紅、黄)の絵柄印刷を行い、UV照射を経て印刷物を得た。
得られた印刷物について、印刷面のピッキング(白ポチ、紙面の一部がインキのタックにより脱落)の程度を目視で評価した。UVインキは油性インキと比較してタックが高いため、UVインキで十分な印刷を行える紙は、油性インキでのオフセットインクでもピッキングの発生は少ない。評価基準は以下の通りである。
◎=発生しない、○=ほとんど発生しない、△=発生する、×=発生が著しい
【0034】
【表2】
【0035】
本発明のクリア塗工紙は、インキ剥がれが少なく、UV印刷適性に優れていた。また、本発明のクリア塗工紙は、表面強度に優れており、各種インキを用いるオフセット印刷適性に優れていた。